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1954-10-26 第19回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十六日(火曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員の異動 九月二十日委員松澤兼人辞任につ き、その補欠として片岡文重君を議長 において指名した。 九月二十一日委員片岡文重辞任につ き、その補欠として松澤兼人君を議長 において指名した。 九月二十二日委員伊能繁次郎君及び川 村松助辞任につき、その補欠として 重宗雄三君及び宮澤喜一君を議長にお いて指名した。 九月二十四日委員宗雄三君及び宮澤 喜一辞任につき、その補欠として伊 能繁次郎君及び川村松助君を議長にお い指名した。 十月四日委員木村守江辞任につき、 その補欠として大達茂雄君を議長にお いて指名した。 十月七日委員寺本広作辞任につき、 その補欠として紅露みつ君を議長にお いて指名した。 十月八日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として天田勝正君を議長にお いて指名した。 十月九日委員紅露みつ君及び天田勝正辞任につき、その補欠として寺本広 作君及び松澤兼人君を議長において指 名した。 本日委員大達茂雄辞任につき、その 補欠として左藤義詮君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            伊能 芳雄君            川村 松助君            館  哲二君    委員            伊能繁次郎君            左藤 義詮君            片柳 眞吉君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            寺本 広作君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治政務次官  石村 幸作君    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政赤字対策に関する件)  (災害に対する地方財政措置に関  する件)  (町村合併促進に関する件) ○理事補欠選任の件 ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとつて。  去る九月二十日、川村理事は本委員辞任され、再び二十四日本委員となられました。つきましては、委員辞任と共に理事の地位も当然なくなり、理事補欠互選を行ないたいと存じます。理事補欠互選方法は如何いたしましようか。
  4. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 前例によつて委員長指名でお願いしたいと思います。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今伊能君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 異議ないと認めまして、では、委員長から理事を指名いたすことにいたします。川村松助君を地方行政委員会理事に指名いたします。   —————————————
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に参考人に関する件についてお諮りいたします。明後日の二十八日には日本製鋼所室蘭製作所争議における警察の関与に関する件を議題とし、調査いたしたいと存じますが、この際現地関係者参考人として意見を聴取したいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めまして、日鋼室蘭争議に関し、現地参考人より意見を聴取することに決定いたします。  次に、参考人の人選その他手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) では、さよう決定いたします。   —————————————
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは地方行政改革に関する調査の件を議題に供しまして、地方財政赤字対策に関する件を議題といたします。財政部長から何かこの問題に対しての政府の説明ありますか。
  11. 後藤博

    説明員後藤博君) 地方団体赤字対策につきましては、現在各個々地方団体赤字の多いところを検討いたして、その上で調査いたしまして、その調査の結果に基きまして、少くとも本年度赤字を出さない計画を立て、なお何年かの計画をそれぞれ作つて頂きまして、赤字解消計画を自主的にやるということに指導いたしておるのであります。併せまして、来年度の問題といたしまして、地方財政再建整備促進特別措置法政府提案で提出いたしたいと現在考えて、その立案をいたしておる次第であります。再建整備促進特別措置法につきましては、すでに衆議院のほうに議員提出の形で再建に関する法律が出ておりますので、この趣旨を大体入れまして、更にその上で地方制度調査会答申の線に沿いまして、再建整備計画の決行の円滑化を図る各種の規定を挿入いたしまして立案いたしたいと考えております。例えば長と議会、国と地方団体、長と行政委員会との関係等につきましては、現在出されております議員提出法律案の中には欠けておる点がございまするので、私どものほうでそういう規定を挿入いたしまして、特別の法律といたしまして次の国会には出したい、かように考えておる次第であります。  以上大体現在の進行状況を申し上げたのでありますが、個々地方団体におきましては、先ほど申しましたように、自主的に再建計画を立てて少くとも本年度赤字を出さないようにして頂きたい、こういう指導をいたしておる次第であります。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 何か要綱は前にお出しになりましたか。
  13. 後藤博

    説明員後藤博君) 持つて来ております。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 従来の衆議院で審議されて来ましたいわゆる議員提出の形式の再建整備法案と、今町の自治庁で考えているものとの著しい相違点というものを、この要綱従つて説明して頂いたらと思います。
  15. 後藤博

    説明員後藤博君) お手許に配付いたしております再建促進特別措置法案につきまして、簡単に御説明申上げます。従来出ておりますところの法案につきましては御説明申上げたので、変つておる点だけを申上げたいと思います。  先ほど申しましたように、修正の要点は、地方制度調査会答申の線に沿いまして、再建整備計画執行円滑化を図りたいという意味で長と議会との関係、それから国と地方団体との関係、長と行政委員会との関係合理化規定を新らしく挿入しております。なお従来の規定の中で、多少私どものほうで意見が違いますものを直しております。その点も合せて申上げます。  第一頁は全然変つておりません。  第一は、法律趣旨であります。法律の目的を書いております。  第二は、どういう団体再建整備をやるかということであります。これは申し出でによつて自治庁長官指定する団体がやる。つまりやるやらないは任意であるということと、赤字実質赤字を加えるという意味であります。  それから三は、財政再建整備団体は、指定日の属する年度から七年度間以内に財政再建整備のために起した地方債償還を完了するとともに、各年度において歳入と歳出とが均衡を保つよう財政再建整備を行わなければならないものとすること。  という趣旨を書いたものであります。  第四のところ、一枚はぐりまして四のところは、再建整備計画内容でありますが、その2のところの(三)に税の増収計画又は経費節減計画というものがあります。これは議員提出の案では、税の増収計画及び経費節約ということになつております。必ず税の増収計画を立てなければならないようなことに話がなつておりますので、これはちよつと現在の情勢では無理ではないか、かように考えまして、税の増収計画又は経費節減計画というふうに選択のできるようにいたしたのであります。これが変つております。それから3はその税の増収計画をいたしまする場合の基準でありますが、これは前と同じであります。  道府県にあつて道府県民税及び事業税市町村にあつて市町村民税及び固定資産税をそれぞれ標準税率の一、二倍以上の率で課した場合における増収額に相当する額でなければならないものとすること  そういうもので再建整備特別税を起す。最初の案は再建整備特別税という新らしい税を創設しない案でありますが、途中でそういう新らしい税を設けたほうが再建整備がはつきりしていいじやないか、こういう御意見衆議院のほうで途中で修正をされたのであります。それからあとのほうに、  この場合地方税法における個人に対する市町村民税所得割に関する制限税率は課税総所得金額の百分の九とすること。  これは新しく入れました。それからそこのところは四のところで変つております。  それから五のところは、これは五は変つておりません。これは住民に公表しなければならないということであります。  六 財政再建整備計画の百に、国の負担金又は補助金の支出を伴う事業費節約を図ろうとする計画があるときは、自治庁長官は、財政再建整備計画承認するに当り、あらかじめ、当該主務大臣意見を聞き、当該財政再建整備計画承認したときはその旨を通知しなければならないものとすること。この場合において、当該主務大臣は、当該財政再建整備計画の実行について協力しなければならないこととすること。こういう規定であります。これも変つておりません。  七が変つております。   政令で定める国の負担金又は補助金を伴う王業財政再建整備団体に実施せしめようとするときは、主務大臣はこれらの負担金又は補助金交付について予め自治庁長官に協議しなければならないものとすること。  これは各省で負担金又は補助金を出してもらいますと、それに伴いまして一般財源の持ち込みも多くなつて参ります。従つて再建整備計画が崩れるということになりますので、あらかじめ協議して出してもらいたいということであります。これは新らしく入れました。  それからその次に八も新らしくなつております。     教育委員会公安委員会、その他地方公共団体執行機関として置かれた委員会所帯事項のうち当該地方公共団体財政再建整備計画の樹立及び達成につき必要があるもので、当該地方公共団体の長が議会同意を得て指定するものについては、委員会はその執行について当該地方公共団体の長に協議しなければならないものとすること。   2 教育委員会法第五十七条から第五十八条の二までの規定は、財政再建整備団体には適用がないものとすること。  これは各行政委員会との間の、長と行政委員会との問の権限の調整をいたしたいという規定であります。前の規定、一号のほうは当該地方公共団体の長が議会同意を得て指定するものにつきましては、委員会はその執行について当該地方公共団体の長が協議しなければならない。その執行の協議を再建整備団体の長にいたさなければならんという連絡の規定を入れたい。それから2のほうは、これはいわゆる二、予算制度はこの期間中は停止するという規定であります。  その次の九は、他の公共団体の協力の規定であります。これは前の通りであります。  十が新らしくなつております。    財政再建整備団体の長は、当該地方公共団体議会議決が、財政再建整備計画に適合しないものがあると認めたときは、理由を示してこれを再議に付することができるものとすること。  2 前項の場合において議会議決が、なお、明かに財政再建整備計画にていしよくする場合においては、当該地方公共団体の長は、その議決不信任議決とみなすことができるものとすること。  これは折角財政再建整備計画を長が作りましても、議会とうまく行かない場合であります。その場合に議会議決計画に適合しない場合には、一応理由を付して再議に付して、再議に付してもなお明らかに抵触するよう議決をなされた場合に、これはその議決不信任議決と見なして解散ができるという規定であります。この不信任議決と見なして解散ができるという規定にいたしますか、更に進んで原案執行権を認めるかというところに問題がございますが、一応この案では不信任議決と見なして解放ができるという考え方にいたしております。原案執行権を認めたらどうかという御意見もございます。  それからその次の十一も新らしく入つております。   財政再建整備団体は、財政再建整備計画の定めるところにより、退職した地方公務員退職手当のうち、普通退職金に相当する金額をこえる部分の支給については、条例の定めるところにより分割払方法をもつて支給することができるものとすること。  退職した地方公務員退職手当のうち、普通退職金を超えるところのもの、特別な退職金を出すような場合には、条例でもつて分割払いができるということであります。これはすでに各地方団体でそろそろやつております。ですから、これを法定化いたしたい。  それから次に十二も新らしい規定であります。    財政再建整備団体は、地方財政法第五条の規定にかかわらず、財政再建整備計画に基きその歳入欠陥を補てんするため及び再建整備計画に基いて支払うべく退職金財源に充てるため、地方伏を通すことができるものとすること。  2 前項歳入欠陥を補てんするために起す地方債の額は歳入不足額のうち、たの各号に掲げるもので財政再建設備計画に基き、その財政再建整備のために必要と認められる額とすること。   (一) 翌年度歳入繰上充用額   (二) 支払繰延に係る事業事業費のうち未収入特定財源を差引いた額   (三) その他政令で定める金額  3 市町村五大市を除く。)は第一項の地方債を起そうとするときは、すべて自治庁長官の許可を受けなければならないものとすること。  全部新しく入つたのではなくして、前の規定にもあるのでありますが、退職金規定だけを新しく入れたわけであります。退職金起債を特別に認めるということであります。  その次の十三は、これは新しく入れました。   国は、前項地方債を引受けるために必要な資金予算に計上しなければならないものとすること。  一般会計からもらうということであります。借受ける、こういう考え方であります。  十四 財政再建整備のために起した地方債は、指定日の属する年度から二年据置とし、その後五年度以内に財政再建整備計画に基き、毎年一定の期限までに償還しなければならないものとすること。但し、災害その他の特別事由により、その償還が著しく困難となつたものについては、自治庁長官承認を受けて、その償還を延期し、又は毎年度償還額若しくはその期限変更することができるものとすること。  これも新しく入れたのであります。二年据置き、五年の地方債を起すことができる、こういうことであります。  それからその次の十五も新しく入れました。  十五 財政再建整備のために起す地方債は無利子とすること。  一応これは調査会の案をとつております。  十六 財政再建整備団体は、昭和二十七年度以前の国の直れ事業に係る分担金で、未だ納付していないものにつき、地方債証券をもつて納付することができるものとすること。これも新しい規定であります。これは直轄分担金がございます。これは現在九十五億くらい二十七年度の終りまであるのであります。そのうち府県分が九十二億くらいあります。納付していないものにつきまして地方債証券を以て納付する、つまり交付公債に直す、二十八年度以降のような恰好に直して行くということであります。  それから十七も新しく入つております。  十七 財政再建整備団体は、一時借入金の限度額について自治庁長官承認を得なければならないものとすること。  知事限りでもむちやくちやには出せないという規定を入れたわけであります。  それから十八、十九は、これは前からの規定でありまして、二十が新しく入れました。  二十 財政再建整備団体は、毎年度四半期の当初ごとに、当該四半期における資金計画自治庁長官に報告しなければならないものとすること。  これを新しく入れました。  それから、その次の監査の規定はもとからありました。  二十二はこれも新しく入れました。  二十二 自治庁長官は、財政再建整備団体財政運営がその財政再建整備計画に定められたところに適合しないものがあると認めるときは、当該地方公共団体に対し、予算の一部の執行停止又は財政画建整備計画変更を命ずることができるものとすること。  2 自治庁長官は、前項命令を受けた地方公共団体がその命令に従わなかつた場合においては、政令の定めるところにより財政再建整備のために起した地方債利子を付することができるものとすること。  これは再建整備団体がその計画に定められたところに適合しない財政運営をいたした場合にどうするかという規定であります。一応その場合には予算の一部の執行停止又は計画変更を命ずることができる、そういう命令を受けた地方団体命令に従わなかつた場合には利子をつけることにする、こういう規定であります。こういうきめ手しかないということであります。  二十三は委任の規定で、前からございます。  二十四は政令で必要なことを謳つております。  二十五も前からあります。  二十六は、一部新しくなつております。  二十六 地方財政法の一部を改正し、赤字が生じている地方公共団体は、財政再建整備計画を定め自治庁長官承認を受けた場合でなければ地方債をもつて出資金若しくは貸付金又は公共施設若しくは公用施設建設費財源とすることができないものとすること。但し、継続事業等命令で定めるものについては、この限りでないものとすること。  これは再建整備指定を受けない団体赤字のなおある団体がございますので、そういうものと再建整備を受けた団体との同の均衡の問題がございますので、赤手がなおあつて再建整備をしない団体につきましては、出資金若しくは貸付金又は公共施設公用施設のために地方債を起すことができない、地方債を抑えるということであります。但し継続事業等命令で定むる場合には地方債を認める、併し一般的に単独事業その他の起債は認めない、こういう労え方であります。  大体こういう執行円滑化規定を入れまして、現在各方面と研究をいたしておる次第でございます。
  16. 小林武治

    小林武治君 こういう法律を用意されるということは私ども原則的には賛成するものでありますが、これにつきまして二十八年度決算というものがもうすでに出たと思うが、その全貌というものは何か数字を頂きましたか。
  17. 後藤博

    説明員後藤博君) お配りしませんでしたか。
  18. 小林武治

    小林武治君 それでは、その中で大体この法律適用を受ける見込の数字はどのくらいになつておるか。
  19. 後藤博

    説明員後藤博君) 二十八年度決算はお手許にございますが、その中で赤字総額が四百六十二億ということになつております。これはお手許に配付しました表の一瞬目のほうに、一番右に実質収支額ということになつておりますその下から五行目であります。一番右の欄の下から五行日に四百六十二億二千三百八十七万四千円、これが赤字総額でありまして、団体数は一番左の欄に千七百二十四であります。この四百二十六億の中で先ほどちよつと申しましたように、直轄分担金というのか九十五億ばかりございます。これは二十七年度までに支払うべくして支払われていない、国に対して支払つてない額でありまして、これは国との間の問題でもありますので、先ほど申しましたように、交付公債制度によつて一時に納めないで、起債と同じような恰好で年賦払いをして行く、こういうことにいたしまして、一応棚上げをいたしたい。残つた三百六、七十億程度のものでありますが、そのうちで個々団体赤字を見て参りますると、この再建整備計画を立てなくても自主的な再建整備計画で以て消し得るところの赤字団体がございます。そういうものがどんなに見極りましても七、八十億はございます。従つてそれを引きました三百億程度赤字を解消する必要がある。さように考えまして、大蔵省のほうには三百億の政府資金一般会計からの貸付をお願いしたい、かように要求しておるような次第であります。
  20. 小林武治

    小林武治君 評しいことは又あとにいたしたいと思いますが、私どもとしては、この法案そのものは是非を言うわけでもありませんが、この赤字を過去において出したということについては、無論国の責任も相当部分ある。併し又一面地方別体財政が放漫であつた、或いは浪費が多かつた、或いは人件費その他において不当な膨脹を来たした、こういうよう地方責任に帰すべき事項が相当あると思います。それで実は今地方でもつて再建整備法のできるのは結構だが、何の仕事でもそうだが、正直者が馬鹿を見ないように是非してもらいたい。即ち或る県はまじめな財政をしたために赤字が出なかつた、そういうところがこの法律の結果馬鹿を見ないように一つ計らつてもらいたい、こういう希望があるのでありまするが、その意味再建整備法が徒らに保護法的或いは助成的なものであつて、一種の例えば或る程度の制裁的のものがないというようなことになれば、正直者がただ馬鹿を見て、そして政府の不当な保護を受ける、こういう結果になる。従つてそういう面についても正直者不平を持たないように立法をしてもらいたいということと、同時に非常な無理をして、そして県民不平を買いながら健全財政を維持して来たものに対して何らかの措置をとつてもらえるかどうか、こういうふうなことの希望があるのであります。私どもはこれは尤もな話と思うのでありますが、そういうふうなことについて自治庁は何らかの配意をしておるかということを伺つておきたい。
  21. 後藤博

    説明員後藤博君) お話の点御尤もでありまして、私ども再建整備ばかりを考えないで、やはり正直者が馬鹿を見ないようなふうにいたしたいと考えまして、再建整備法自体はやはり相当厳しいものにいたして行きたい、同時に再礁整備をしなくてもいい団体との冊の権衡をとるよう内容にいたしたいと考、えておるのであります。それから再建整備をいたしますると非常に窮屈になつて参りまするので、その場合に、まじめにやつている団体に対してはやはり自然に差がつくと思います。例えは起債の而等につきましても、再建整備団体については単独事業起債でもやはり相当しぼつて参ります。事業もしぼつて参ります。従つて再建整備を行わない団体との間には自然にやはり差ができて来るような結果になつて行くのじやないか、さように考えておる次第であります。
  22. 小林武治

    小林武治君 これは自然にまかしておいて結果的にそうなるということではなくてむしろ或る程度の積極的な意思と申しまするか、そういう意向が自治庁にあつて、そうして行政に携る、そういう必要が私はあろう、こういうふうに思うのでありますが、殊に健全財政を維持したという県はやりたい単独事業も非常に圧縮して、そうして県民に不便を与え、又県民の非常な不平を招いてもあえてしておるというのをよく見かけるのでありますから、従いまして、今後のいろいろの補助起債、或いは交付税、いろいろの問題について私ども政府が或る程度のそれに見合うような多少の配意が是非必要である、こういうふうに思うのでありまして、財政部長が言われるような結果的にそうなるであろうということではなくて、多少のそういう意味を加えた一つ行政を或いはその他においてしてもらいたいと思います。こういうふうに思いますが、その点はどうですか。
  23. 後藤博

    説明員後藤博君) まだどういうふうに、例えば単独事業を多くして行くかという方針をきめておりませんので、一応結果的に例えば起債の量が一定でありますれば、再建整備団体が多ければ、そちらのほうに参りませんで、再建整備をしない団体のほうに多く単独事業をつけて行くということになる、そういうことを申上げたのでありますが、従つてつけます場合にはやはり自己財源の持出し量の少いところ、再建整備をやらないで非常に締めておりますところには単独事業を積極的にやるよう起債をつけて行くようにいたしたいと考えております。
  24. 小林武治

    小林武治君 この問題は現在具体的の措置があるわけでありませんから、要するに政府の仕事のやり方に対する態度、心の持ち方を私は注文しておるわけであります。自治庁でそういう気持でおやりになるということであれば、漸次具体的の措置を我々は見て行きたい、こういうふうに考えておるし、又私どもはもう一つ申上げておきたいことは、再建整備法適用を受けるということは不名誉である、或いは場合によると現在は一種の準禁治産の措置を受けたというふうに理解してもいいものかどうか、これに対する考え方を承わつておきたい。
  25. 後藤博

    説明員後藤博君) 私どもといたしましては、再建整備法というものは非常にシヴイやなものであるということを盛んに申しております。従つて団体の中には非常に不名誉であるという感じをだんだん持つて来るようになつておりますので、できれば自主的な再建でもつて或る程度つて行きたいという団体もだんだん多くなつて参ります。非常にあまいものではないということは私どもはたびノれ申しておるのであります。そういう点で御趣旨の場合相当宣伝をしておるつもりであります。
  26. 小林武治

    小林武治君 今のよう趣旨において今後の立法にも私は対処して頂きたいというふうに思います。これは二十八年度までの問題でありますが、先ほど委員長が午後おやりになるのは三十年度財政計画ということですが、二十九年度は今我々がお聞きしてもよろしいかどうか。
  27. 内村清次

    委員長内村清次君) 結構です。
  28. 小林武治

    小林武治君 若しそうでありますれば、従前から問題になつている、我々が特に問題にしておる警察費の財源措置の不十分、不足というものについては、十分調査ができたものと思いますが、その結果はどういうふうになつておりますか。
  29. 後藤博

    説明員後藤博君) これは二十九年度の問題のお話と承わりますが、二十九年度の、警察費の不足分につきましての調査が一応終りまして、……これは終りましたのは、各府県の予算を一応集計いたしまして、それで財政計画の差を見ておりますと、大体の現在の予算では七十億くらいの差がございます。年度間の予算を組んでないところがございますのでそういう本年度内に必要な額を加えて参りますと、大体百億の差が財政計画との間にございます。これにつきまして、大蔵省とそれから警察庁と我々のほうと第三者が十七県の県につきまして組かく調査をいたしましてそれから全部の警視庁を除く警察官につきまして一人々々の給与の個票を作つて頂きまして、給与費がどういうふうになつているかという組かい調査をいたしております。この個票の調査が本月一ぱいはかかるということを統計局のほうで申しておりますので、これが出なければはつきりしたことは申上げられないのでありますが、他の問題につきましては、ここに計算をいたして一応の政府に対する不足額の是正額を出しております。
  30. 小林武治

    小林武治君 この数字は相当巨額になつておるし、地方としてはこれが早く補填されることを希望しておるわけでありますが、これは政務次官にお尋ねしますが、実際の補填の方法はどういう手段によつて二十九年度補填されるつもりか、その方法を伺うておきます。
  31. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) これは先般当委員会でも御質問がたしかあつたようでありまして、そのとき大蔵省の係官も来ておりましたが、その席上でもちよつと一端を申上げましたが、だんだん数字の具体的なものが出て参りまして、それを見ますと、どうしても今のままの財政計画といいますか、数字の上でやりくりということは到底できません。そこで今年度交付税の率を算定するときの基礎、それが警察費に関して誤つていた、これはどうしても是正して行かなければならぬ。従つてその財源としての交付税の率を上げる、こういうこと以外には方法はないと思います。従つて今年交付税を上げるということは警察費の経費の増額のためでありましてそれが自然三十年度に持ち越すということになりますから、どうしても交付税の増額によらなければならない、こう考えております。
  32. 小林武治

    小林武治君 それを政府の成る程度のまとまつた意見と承知してよろしゆうございますか。
  33. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) その点大蔵省と折衝を今もしておりますし、今後強く主張し、てどうしても交付税の増額による以外には途がない。交付税を増額することを大蔵省あたりでも承認してもらつて、それで進みたいという固い決心をいたしております。
  34. 小林武治

    小林武治君 この金額の問題ですが、私は先般の委員会でもこの経費の不足というものは、単にすでに計上したる予算を基準にしてもらつては困る、こういうことを申上げてあります。即ち或る県については多少水増し或いは山をかけて計上しておるものもある。又正直な県には全然予算にも計上しておらない、不足と知りながら自治庁の指示額で計上している県もある。従つてその点は十分一つお含みの上で今後の配分ということにも当つてもらわなければならん。即ち既計上額にとらわれないでこの配分は是非やつてもらいたいということを希望しております。その点は確かでございますか。
  35. 後藤博

    説明員後藤博君) 計上費の再計算をいたしまするので、その場合には細かく分けまして、それぞれに基準の単価を新らしく想定いたしまして、それで折衝いたしております。従つて現実の予算をそのままとつているわけではございません。従つて全国一定の単価で以て計算をして行きたい、かように考えております。従つておつしやるようなことに結果はなるのじやないかと思います。
  36. 小林武治

    小林武治君 今の数字のうち、百億と、こう言われておるのでありまするが、この中では多少交付税でなくて、補助金の増額というふうな部分がありはしないかと思いますが、そういうものはありませんか。
  37. 後藤博

    説明員後藤博君) 補助金の伴うものもございます。
  38. 小林武治

    小林武治君 それでこの内訳等は今我々承知することができますか。
  39. 後藤博

    説明員後藤博君) 先ほどちよつと百億と申しましたが、これは現在予算の差が百億くらいになる。そのうちで是正を要すべき額というのはその中にあるわけでございます。大体一応の計算をいたしておりますが、その中できまるものでありまして、百億が全部足りないという要求を私どもはしておるわけではございません。
  40. 小林武治

    小林武治君 中には非交付団体というものがあると思いますが、実際に今度は現実に政府から地方団体交付しなければならんこの金は一体どのくらいの見込みですか。
  41. 後藤博

    説明員後藤博君) 今の私どもの一定の単価を以ちまして計算をいたしましたものでは五、六十億になりはしないかと思つております。
  42. 小林武治

    小林武治君 そうすると、これは政府は毎々補正予算を組まないと、こういうことを言つておるのでありまするが、必然的に補正予算として次の国会に出されるというふうに了解してよろしゆうございますか。
  43. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) 当然これは補正予算に組むように要求しなければならんと思うのであります。
  44. 小林武治

    小林武治君 後藤さんにお聞きしますが、補助金はどういう恰好になりますか。
  45. 後藤博

    説明員後藤博君) 警察活動費のうちの一部が大部分なるわけでありますが、その警察活動費をどの程度見るかということによりまして補助金の額がきまつて参ります。従つて現在の二十一億の補助金がどのくらいに増額するかということは、警察活動費全体を見なければならんかと思いますが、警察活動費以外のものもございますが、そういうものがきまらなければ補助金の額は出て来ないと思います。
  46. 小林武治

    小林武治君 現在警察庁で何かこの種類のとめ置きがあるような話がありますが、それはありませんか。
  47. 柴田護

    説明員(柴田護君) 私ども承知しておりますところでは、第二四半期の国庫補助金として七億ばかりのものが地方団体に警察庁から配付になつておりますが、その額は現在の警察費の国庫補助金に照応いたしております。従いまして、警察庁の中でとめ置きがあるというふうに私たちは承知いたしておりません。  なお、ちよつと御参考までに申上げますが、警察費に関しまする調査の結果、大体地方団体におきまして、警察関係行政費に要する額とされておるものが三百五十八億五千万、その内訳を洗つて参りますと、公安委員会費が四億六千万、警察職員費が三百億九千七百万、警察行政費が五十二億九千二百万ということになつております。これに対する見返り財源といたしまして国庫支出金は二十四億六千万、その他の特定財源、例えば自動車の検査手数料とか各種手数料、そういつたものが十一億四千六百万、一般財源として充当起債額が三百二十三億三千三百万ということになつております。ただこれは地方団体が現に予算に計上、たしております額、それから今後追加所要額として地方団体が考えております額であります。その中には勿論多少東京、大阪等の給与の切替を行なつておりません団体もございます。又国庫支出金にいたしましても、現実には国威支出金としては二十億くらいが計上されておるわけでありますが、地方団体といたしましては二十四億くらいを計上いたしておるということになるわけであります。こういつたものを精査いたして参りますと、この辺のところは変つて来るわけでありまして、この百億という地方団体希望額というものと、それから現実に必要とされる額というものは、別の観点から査定をいたして参りますと、相当に縮まつて参るということになるのじやないかと思います。
  48. 小林武治

    小林武治君 自治庁の現在の御見込でも六十億円くらい現に足りない。これは地方財政にとつては相当重大な問題でありまして、恐らくこの補正予算が成立するとしても、年内は間に合わない。こういう状態で現在も六十億の金額は順次使用されておる、こういうことになりますが、このことのためにつなぎ融資或いはその他の方法を考えておられるかどうかも伺つておきたい。
  49. 後藤博

    説明員後藤博君) つなぎ融資のことは、私ども全然考えておりません。国の予備費から出す方法もございますし、それから節約した予算の余りから出すとか、いろいろ国としては方法があろうと考えておりますが、私どもといたしましては、国の一般会計からも是非出してもらいたい、それで先ほど政務次官から申されたように、交付税の増額という形で出してもらいたい。これで起債に持ち込んだり、つなぎ融資のような恰好では困る、こういうことを申しております。
  50. 小林武治

    小林武治君 私が言うのは、抜粋えよということじやございません。とにかく現在すでに困つている。而して自治庁自身が六十億も足りない、こういうことを言うておることは、今の地方財政の現金操作に非常に支障を与えている一つの原因になつている。従つてそういう趣旨で私はお聞きしているのであります。又特に予備費などがその面に使われるということは我々は期待できない。そういう意味の質問であるというふうに了解して下さい。
  51. 後藤博

    説明員後藤博君) これは警察だけのつなぎ融資ということだげじやなくて、一般のやはりつなぎ融資の一環としては勿論年度末の問題といたして我々は資金計画を立ててもらいまして考えて行きたいと考えております。その問題を先ほど申しました警察費の未措置の分の問題と一応切離した考え方をいたしておるのであります。
  52. 小林武治

    小林武治君 ここで私は自治庁関係はないが、よく注意して頂きたいのですが、政府地方に対する資金の操作と申しますか、補助金その他の交付が非常に怠慢だと申しますか、遅延をいたしておる。現に私は最近聞けば、二十八年度の義務教育の国庫負担金の精算ができておらないのがあるということまで聞いておりまげるが、これらは地方としては相当苦痛のわけであります。それで、そういう事実があるかどうかということを一つ自治庁から文部省にお尋ねをして、又若しそういう事実があるなら、厳に一つ督促をして頂きたいと思いますが、そのことを一つお願いしておきます。
  53. 柴田護

    説明員(柴田護君) 義務教育の国庫負担金の問題は、二十八年度分の未措置分として大体今のところ八億前後の額が予想されます。現在文部省のほうでは、これは先の国会におきましてもやかましく問題になりまして、たしかあのときは文部大臣は十億前後という御答弁をなさつておりましたが、その後精査いたしました結果、どうも八億前後に落着くようであります。文部省では先般来大蔵省と折衝いたしております。いずれにいたしましてもこの額は予算措置を要するのでありまして、予算措置でやるか、或いは予備費から出すかという問題であります。どうするかということはまだ今きまつていないようであります。その他一般の補助金につきましても、御指摘のように支出状況が必ずしもうまく行つておりません。私たちといたしましては、毎四半期ごとに資金計画を大蔵省が立てます際に、各省の資金計画をこつちで集めまして、それを検討いたしまして、各関係省にそれぞれ早く出してもらいたいということを催促し、督促してもらつております。最近の状況では、一時八月前後の地方団体資金状況が悪化いたしましたときには、相当その促進の結果、各省から補助金が出たのでありますが、最近やや鈍化いたしておるようでございます。追つかけて促進をして参りたいというふうに考えております。
  54. 小林武治

    小林武治君 今の話なんか、これはまあ精算を待つてというようなのは、とにかくこれは二十八年度の訂ですから、これがまだこれから予算措置をとるというのも随分私は間のろい話だと思うし、殊にこんなものが確定すれば、こんなものこそ予備費で出して私はいいのじやないかというふうに思うので、地方にいろいろ節約とか自粛とか言われるのは誠に結構でありますが、政府が出すべき金を未だに出さんというものが随所にあるということは、これはもう政府の怠慢というよりしかないので、殊に今の義務教育費の問題などは二十八年度分なんで、特にこれは何らかの自治庁としても、地方財政の問題を見ておる立場からしても、手段をとつて欲しいと思いますが、政務次官そういうことは御存じだつたのですか、二十八年度の問題は……。
  55. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) 余り詳しく知りませんでしたが、そういうふうな各省が補助金その他を出すのが非常に遅れているということは賜いておりまして、次官会議等でもそういうことのないようにということを、次官会議といいましても事務次官会議でございますが、よく折衝しております。又政務次官会議でもそういうことのないようにということを毎回主張しておる次第であります。
  56. 小林武治

    小林武治君 繰返して申しますが、とにかく二十八年度の精算金がまだ入らんというようなことは、非常に地方でも不平を並べておることでありますし、そのことは一つ又改めて特に申入れをして頂きたいと、こういうふうに思います。
  57. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。   [速記中止
  58. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは午後一時、から始めることにしまして、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後一時二十八分開会
  59. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは午前に引続いて地方行政委員会を再開いたします。  地方財政赤字対策に関する件を議題といたします。
  60. 小林武治

    小林武治君 午前中の委員会で、警察費の財源不足というものが大体六十億見当出たと、こういうことでありまして、これは今年の財政として政府は補填する私は義務があると、こういうふうに思えまするが、その補填の方法として政務次官はこれは交付税法の改正によつてやりたい、即ち交付税率を変えることにしたいと、こういうことを言うておられますが、この点につきまして、大臣どういうふうにお考えになつておりますか。
  61. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私も不足の性質上当然これは交付税によるのが一番正しい方法であると、こういうふうに考え、そのように又大蔵省と折衝いたしたいと考えております。
  62. 小林武治

    小林武治君 その向きのお見通しは如何でございますか。例えばこの次の国会には当然補正予算が出さるべきものと考えまするが、それについての自治庁の確信と申しまするか、そういうものを一つお伺いしておきたいと思います。
  63. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まあ打ち割つた話でありますけれども、前回の交付税の税率を決定いたしますときに、これは動かさないのだというので大分突つ張つた記憶がありますので、なかなか今度こちらから動かせという立論の仕方はよほどうまく持つて行かないと逆手をとられる危険があると思つておるのですが、併し今申しましたように、私は事柄の性質上当然これは考え方として筋のあるものであると思つておりますから、多少の難関が伴うかも知れませんが、ぜひ実現をしたいと、こういうふうに考えております。
  64. 小林武治

    小林武治君 午前中のお話では警察費の不足のお話だけをお聞きしたのでありまするが、なお二十九年度そのもの全体としまして相当の地方財源不足がある、こういうお話でありますが、その状態並びにその救済の方法等について一つお伺いしたい。
  65. 柴田護

    説明員(柴田護君) 二十九年度地方財政計画策定後しおきまして生じました変動要因でございますが、まだ数字はそれぞれ今後動いて参るかと思いますが、一応固まつてはつきりいたしておりますのは、揮発油譲与税の創設に伴いまして、新たに財政計画策定後におきまして、歳出に三十八億の穴があいております。これの補填財源の三十八億、それ上昭和二十八年度に発行いたしました交付公債利子分がこれが大体六億ばかりでありますが、この二つは金額が確定いたしております。三十八億円と六億円、これだけは補填をしなければならないわけであります。  それから今年度に発生いたしました災害の復旧事業費があるわけであります。この復旧事業費が幾らになりますかというはつきりした数字はまだ出ておりません。ただ被害の額は大体八百七十億見当というように考えられるのでありますが、これに対して国で査定をいたしまして、そうして初年度の施行額を出し、それに伴つた地方負担額をはじいて参るわけであります。それと、現在地方財政計画の中には国の整備費百億円に見合うものといたしまして、大体公共事業費並びに単独事業費の貯瀕といたしまして五十億見当のものを財政計鋼の中に織込んでおりまして、これ六どれだけオーバーするであろうかということが問題なんでありまして、この額はまだきまつておりませんが、仮に初年度施行率を大体従来の慣例によりまして三、五、二という恰好でやつて行く、従いまして初年度は三割施行を確保する、それから被害額に対する査定をどれくらいにみるか、この被害の報告額なるものが問題でありますし、査定の内容も問題でありますが、大ざつぱにまあ従来のやり方等を荒つぽくはじきまして、大体七割五分から七割というところの線で押えて参りますと、大体百二十億くらいの災害所要額になる、地方費負担分として百二十億くらいを要することになるのであります。そういたしますと、そこで大体六十億見当の差額が出て参るということに一応なつて参るわけであります。財政計画上といたしましては、この六十億見当のものはどうしても補填してやらなければ災害復旧事業は円滑にできないということになるのでありまして、なおこの数字は動きますが、災害復旧事業費について若干の地方費負担分について穴があくというように私たちは考えております。  それから社会保障費でありますが、失業対策費と生活保護費の増加の即題があります。これはどれくらいになるか、これもわかりませんが、大ざつぱな見当で一応二十億くらいの地方負担分の不足額というものが出て来るのじやないかというように考えております。主務省の要求とこの二十億という数字の間には若干開きがありますが、その後情勢どんどん変わつておりますので、なお数字はふくらんで参るかもわかりません。いずれにいたしましても、大蔵省のはうと労働省並びに厚生省のほうで査定を折衝されまして、きまつた額に対して見合う地方費負担分というものは財政計画上拡充して参らなければならんということになろうかと考えます。  それから警察費の不足額、これもどういうことになりますか、内容を父に折衝の結果いろいろ検討して参らねばなりませんが、私たちといたしましては、大体交付団体におきまして五十三億見当の不足額があるというように考えております。  それからたばこ消費税でありますが、たばこ消費税につきましてこれも年末のたばこの売り上げによりまして変つて参りますので、はつきりした計数はつかみがたいのでありますが、これに若干の減収があるのじやないかという心配をいたしております。  それから自転車競技法の改正によりまして、国庫納付金を全部地方団体が収納することができるという法律改正があつたわけでありますが、その後におきまして国会において修正なされまして、一定額は自転車振興会のほうに納めなければならんというように変つたわけであります。財政計画上は国庫納付金が地方団体に入つて参りますものを全部地方財源として計算いたしております。その後修正によりまして、その間に穴があいて参るわけであります。大体一億五千万見当というように、あらい計算をいたしております。  大体そういうことを勘定して参りますと、百四十八億見当のものが足らなくなつて参るのでありまして、これで一方公共事業費節約とそれから普通補助金節約があります。これは政府は実行予算でそれぞれ節約をいたしております。公共事業費、普通補助金共に一割の節約を大体やつてつたのでありますが、その後次第に解除をされて参つておるような状況でありまして、今のところでは大体公共事業費について四十億見当、普通補助金につきまして四、五億というものが地方負担が減つて来るという勘定になつております。但しこれもなお今後の推移によりましては、公共事業費等の節約分も解除になつて参る可能性もあるのでありまして、確定した数字ではございません。さようなものを勘案いたしまして、財政計画上は公共事業費並びに普通補助金につきましては、その裏付け財源としましては地方債一般財源を考えておるわけであります。従いまして、そういう浮いて参ります掘り替え財源をばそれぞれの費目に割り当てて参る、警察費の問題だけではこれは地方交付税の増率によつて措置をいたすことにいたしまして、災害災害復旧関係地方債によつて措置をする、あとは大体振り替え財源で一応措置ができるのじやないかというように現在におきましては考えておる次第であります。
  66. 小林武治

    小林武治君 まあ全体で百四十八億不足する、こういうお話でありますが、交付税率の改正に期待される金額は警察費関係だけと、こういうことにお考えですか。
  67. 柴田護

    説明員(柴田護君) 今の状況ではそれだけと考えております。
  68. 松澤兼人

    松澤兼人君 今のに関連して。大体今柴田君がおつしやつたのは、たばこ消費税の減収ということ以外には大体歳出の問題だと思うのですが、税収の見込というのはどうなんですか、やはり相当期待できるのでございますか。
  69. 柴田護

    説明員(柴田護君) 税収の見込につきましては、私のほうの税務のほうで詳細検討いたしておりますが、大体下期の決算を見て参りませんとわかりませんが、上期の決算では財政計画で見込みました以上の収入が入つております。従いまして、下期におきまして少々、今のお話は法人事業税でありますが、下期におきまして少々落ちましても、財政計画上の数字は大体とり得るのじやないか。大体たばこにつきましては専売益金の減収等も言われておりますし、ピースの売れ行き不振、ピースの新生への転換といつたようなことも言われておりますし、どうもこれだけは若干の減収があるのじやないかと考えられるというような見込のようでございます。
  70. 小林武治

    小林武治君 税金のお話がありましたが、所得税、いわゆる三税の自然増収の関係はどういうふうに見ておりますか。
  71. 柴田護

    説明員(柴田護君) 大蔵省方面といろいろ見込につきまして様子も伺つておりますが、今のところ私が承知いたしております関係では、法人税につきましては大体上期の自然増収と下期の欠損、大体とんとんになつて予算額より幾らか上廻るかもしれない。逆に申告の所得税のほうはこれは減つております。それから源泉分は若干伸びるかもしれない、さようなことを差引して参る。それから酒は大体とんとんだろう。大体さようなことを考えて見ると、国税のほうの三税の税収入は予算額を若干超過する程度じやないか。さして自然増収というものを期待できないじやないかといつたような状況であります。
  72. 小林武治

    小林武治君 もう一つ、入場税関係は特に又予算的に補填する必要が出るかどうか、その点は如何ですか。
  73. 柴田護

    説明員(柴田護君) 入場税関係につきましては、入場譲与税といたしまして百五十五億というものが予定されておりますが、今までの実績を見て参りますと、大体毎月十三億円でございましたかくらいが入らねばならん。それが十億円を割つておるというような状態で、入場税といたしましては百億をやや上廻る程度じやないかといつたようなことが言われております。そういたして参りますと、このままの状態で推移いたしまして、十二月、一月というのは、大体一月というのは入場税といたしましては毎月分の大体二カ月分くらいが取れるのでありますが、そういつたものを勘定に入れましても、このままの状態で行きますならば、大体百億をちよつと上廻る程度じやないか。そうなつて参りますと、当然に入場譲与税法の附則の規定に従いまして補填の措置がとられるわけであります。従いまして、その点につきましては予算上の措置を講じなければならんのじやないかというように考えております。
  74. 小林武治

    小林武治君 今のお活は又補正予算等で一般会計からの歳出を必要とする、こういう意味ですか。
  75. 柴田護

    説明員(柴田護君) そういう意味でございます。
  76. 小林武治

    小林武治君 金額はどのくらいお見込みですか。
  77. 柴田護

    説明員(柴田護君) 金額の点はまだ詳細わかつておりません。ただ見込みといたしましては、百億を少し上廻る程度しか取れんのじやないか。従いまして、放つておけば三十億以上は不足するというわけであります。
  78. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 税の問題に関連してですが、揮発油譲与税は、御承知のように制定当初各府県の道路の改修に使うということで、地方税として揮発油譲与税ができたのですが、それが道路に使われないということがいろいろ言われておる。何か地方自治庁のほうでそういう御指示もあつたやに言つておる県もあるのですが、この点は如何ですか。
  79. 柴田護

    説明員(柴田護君) 揮発油譲与税の問題につきまして、さようなことを私どもも聞いておりますが、私たちもといたしましてはさような指ホをいたしたことはございません。ただ察しまするに、揮発油譲与税を当初は一般道路財源として措置をいたしておるわけであります。ところがその後におきまして、七十九億円のうおで四十八億円分は道路整備五カ年計画財源として使えるということに変つた、のであります。そこで財源的には、財政計画上は三十一億円の予算措置は結構だ。そこでその措置を待つて財政的な予算的な措置をしようというのであつて予算措置もまだしていないといつたような県が二、三あるやに聞いております。併しながらこういうことがありましても、四十八億円分に相当する額と、それから三十一億円分に相当する額とはそれぞれ細別いたしまして交付いたしておりますので、而もその使途は明定されておりますので、よそに使うというようなことはできないはずであります。
  80. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 私どもも今課長の御説明のように理解もし、又そう当然ならなくちやならんと思つておるのですが、自治庁からそういうような内示的なものがあつたというようなことを言つておる県会議員もおるのでございますが、その辺がどうも理解ができないので、そういうことを建設省方面で聞きますと、だから揮発油譲与税というものは本来目的税として道路整備五カ年計画の本来の趣旨に使うべきだ。私どもは四十八億円は五カ年計画の一環として使われ、他の三十一億は各府県の道路整備のために使われる。又はかに使われるものではない、大体こう言つているのですが、そういう声がかなり各所に聞えておりますが、これについて今お説のように明確に明定してあるということであれば、よもや間違いはないと思いますが、その辺のところに誤解があるといけないので、これについて何か全課長会議とか或いはその他のものでお話が出たのか、或いは出ないとすれば、この点については将来建設省或いは自治庁間で紛訂が起つたりしないように、或いは各府県で予算の使途の問題が起らないように、何か措置される必要があるのじやないかと思うのですが、如何でしよう
  81. 柴田護

    説明員(柴田護君) その問題はお話のような誤解が若干あるということは私たちも承知いたしておりますし、建設省の当局と話もいたしております。誤解を解くように努力はいたしております。ただ問題は財源措置の見極めという問題もあるのでございますが、三十一億円の未措置分をどうするかという問題を早く片付けるという交渉をやるかたわら、そういうような誤解を解くように努力いたしております。
  82. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 それでもう一つ。これはお尋ねというよりは御考慮を頂きたいと思うことは、本年度のやはり石油の輸入量の点から申しますと、当初の二百三十七億円のガソリン税というものは決して下廻らない、明らかに私は上廻ると思う。前回の国会においては二十八年度の揮発油税の決算もまだ出ていなかつた。これは次の国会においては当然決算として明らかになるべきものと思つておりますが、その額は恐らく当初の所定徴税予定額よりも一割余りは上廻つておるだろう。従つて本年度においても現在の輸入計画より二百二十七億円を下廻ることはないので、その而から三十一億円の予算措置の問題についても大蔵省その他建設省とも御相談されて、至急明確にして頂いて、道路整備に急速に建設省、地方自治庁で御努力を願うべきだと思いますが、くれぞれもそうお願いしたいと思います。
  83. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先ほど二十九年度の不足財源についていろいろ柴田課長から説明があつたのですが、私どうもうつかりして確認できなかつたので、総額においてどれだけ不足しておつたか、その点を一つ。  それから長官に伺いたいのは、こういうふうな不足を生じたところの原因につきまして、或いは財政計画に欠陥があつたのじやないかとも考えられるし、或いは又他のいろいろの原因によつてそういうふうなものができて来たのじやないか、こういうふうにも考えられるので、その点を御説明願いたい。  それから、その総額がはつきりした場合において、如何なる方法でこれを補填するか。先ほど警察費については交付税ような話がありましたが、総体においてどういう方法をとつておられるか。この三つについて伺いたい。
  84. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この不足が出たことに対する原因がどこにあつたかということでありまするが、これは警察などはまあ移管問題の際の調査が十分でなかつたということになつてつたと思います。勿論当時から多少足りないかも知れないということは、私どももそのように考えておりましたが、数学がなんにいたしましてもきまらないために、一応あのよう措置になつておるのであります。それからその他のものは、一つは要するに財政計画の大体の骨子がきまりまして以後にいろいろな法の変更などがあつて不足をいたしたものもありますし、又随分いろいろ検討はしたのでありますけれども、解決が最終的にきまらないままに、当時間項になりつつもそれが話合いがつかなかつたというようなものもありまして、御指摘のようにこの財政計画に欠陥があつたのじやないかというように考えられますものは、警察費の今申上げる部分と、それから歳入の面ではたはこの消費税が、これが見通し、予想通りに結局とれなかつたというその二点だけであると、こういうように考えておるわけであります。あと政課長から補足的に……。
  85. 柴田護

    説明員(柴田護君) 総額におきまして、財政需要といたしましては二百二十億くらいのものが不足いたして参るわけでありますが、それから不交付団体分を差し引いたり、或いは一般公共事業費の削減、節約に伴います地方負担額の減、それから普通補助金節約に伴う地方負担の減、こういつたものを差し引いて参りますと、百四十八億円ばかりが足りないということに現在のところではなつております。但しこれにつきまして、地方公共団体の負担減に伴うところの地方負担の減も、必ずしも今の数字が正しくきまつた数字というわけではないのでありまして、動く数字であります。又災害復旧事業費につきましても働く数字であります。社会保障関係の増加に伴う地方負担分も動く数字であります。警察費の問題も動く数字であります。確定した数字は申上げられませんが、今のところは大体百四十八億くらいのところが足りんのじやないかというふうに考えております。これに対する措置といたしましては、一般公共事業費の縮減に伴う地方負担の減によりまして起債と、地方債一般財源が存いて参ります、普通補助の節減に伴いまして一般財源が浮いて参ります。それをその他のものに振向けて参る、経費の性質上交付税でもつて交付税的ないわゆる経営経費に見合います経営財源で排直すべきものとしては、経費の性質上は交付公債利子分、それから社会保障費関係の中の生活保護費関係地方負担分、それから警察費、たばこ消費税、自転車競技法の改正に伴う起債、こういつたものがあるわけでございます。こういつたものにつきましては今のところは振替財源を充当して参りますと、大体賄いがつく……、警察費の問題は別にいたしまして、あとの問題につきましては振替財源を充当して参りますと賄いがつく。あと災害復旧事業費、失業対策事業費、こういつたものにつきましては、総額でもつて措置をいたして参ります。
  86. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つ入場税の足らない分が、これは国で予算的に措置するのか、補正予算を組まなければならないのか……。
  87. 柴田護

    説明員(柴田護君) これは入場譲与税法におきまして百五十五億円は保証されております。従つて当然国に……。
  88. 松澤兼人

    松澤兼人君 ぎくぎり百四十八億ということになつておりますが、併し数字が動いて来たりすると、まあもう少し余裕を見て計算するというと約二百億近いものになりますか、そんなにはなりませんか。
  89. 柴田護

    説明員(柴田護君) 今の災害の問題は、率直に申しまして、私はもつと減るのじやないかというふうに考えます。従つてぎりぎり一ぱいに百四十八億円という数字ではないのであつて、社会保障関係経費は殖えるかも知れない、災害関係経費は減るかも知れない、そういつたものを差引いて参りますと、むしろ若干下廻るのじやないかというような感じがいたすのであります。
  90. 内村清次

    委員長内村清次君) それから次の議題災害に関する地方財政措置に関する件、これも含ませて議題としてよろしゆうございますか……そういうふうにいたします。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 当初の財政計画の御説明のときには、法人税も所得税も相当増収分が見込まれた。従つて交付税の増収分というものも総額において相当見込まれるわけだから、そういう点で昨年度に比べて割合に余裕の中が出て来るのじやないかというお話を承わつたように私は承知するのでありますが、本日の御説明を伺つておりますと、結局交付税の殖える基というものは全然巾がなくなつて来ておるわけで、初めの御説明とはちよつと見込み甘いといつたような感じを受けるのでございますが、その点如何でございますか。
  92. 柴田護

    説明員(柴田護君) 正確には下期の決算が判明いたしませんとわかりません。従いまして九月決算が判明いたして参りますのが大体十一月の終りになつて参りませんとわかりませんが、それで大体下期の大勢が掴めるので、その結果正確な判断ができるのじやないかと思います。ただ今の大蔵当局のお話では、当初考えておつた自然増収額に比べて、下期に案外デフレの効果が出て参つたので、思つたより自然増収がなくなつたということを言つております。なお交付税の基になる所得税、法人税並びに自然増収分は、大体これは決算確定後でありますので、来年度の補正予算以降の問題になつて参ります。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは自治庁の御見解というよりは、むしろ大蔵省の見解として表明された点が強かつたのでありますが、結果論的に申上げますと、当初の見込みと、現在仮定ではありますが、の判断ではどうたんでございますか。見込みの点について、そういう見込み速いがあつたというふうな点はないのですか。
  94. 柴田護

    説明員(柴田護君) 大蔵当局と最初折衝いたしておりました頃の経済情勢の見通しと、それから最近におきまする下期の経済情勢というものはまあ若干相違して参ります。その間に見込み違いがあつたとおつしやれば、見込み違いがあつたのかも知れません。当初国税当局でもそれは漠然とした考え方で立つてつたのでありまして、恐らくは正確な資料に基いた判断ではなかつたのだろうと思います。入場税等につきましても、入場税法の当時は大蔵当局といたしましては、あれだけの数字は必ず徴税できるだろうと言つてつたところが、最近におきましては余り芳ばしくなかつたといつたこともありまして、その間に経済情勢の変化というふうなことが大きく作用しておるのじやないかと思います。私たちはまあ見込み違いといえば見込み違いかも知れませんが、これはまあ経済情勢、殊に八月を契機として毎年大きく変動して参る日本経済の状況下においては、或る程度の幅は止むを得ない、こういうふうに考えております。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 この経済の一つの変動は政策的な原因による変化というものが主なる原因だと思います。大蔵省がそういう政策を立てて、而も非常な過大な見込みをしておつたということについては、これは政策の立て方というものと、それから地方財源に対する増収の見込みというものについては、ちよつとこの間同じ立場での考えではないように思われる。これは自治庁も強く主張しておつたところでありますが、結局自治庁が、例えば交付税の率の問題でも大蔵省に押し切られたというような形になつておるわけであります。そうして参りますると、自治庁としては大蔵省が言つてつたような結果ではなくて、自治庁が最も心配しておつたような結果が出て参つたわけでありますから、これに対して今後の措置といいますか、具体的な解決の方法と申しましようか、そういうものはどのようにお考えになつておるでしようか、大臣から……。
  96. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは誠にどうも力の不足のいたすところでありますので、今後大いに又説明をいたしまして、不足の点につきましてはそれぞれの必要の性格に応じて、先ほど来申上げるよう交付税、それからして起債の枠、そういうもので是非一つ確保したい、こういうふうに考えております。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省は、大蔵省が見込んでおつたことが、相当これは自治庁の見込みのほうが正しくて、自分たちの見込みは相当な誤りがあつたというふうには認識しておられるのでありますか。御交渉の経過からその点おわかりになりましたら……。
  98. 柴田護

    説明員(柴田護君) これは感覚の問題でございまして、むずかしゆうございますが、私たち、私個人かも知れませんが、感じておりますところでは、入場税につきましては大きな錯誤があつたということをどうも自覚し始めておるようであります。又警察費につきましても、当初の計算に間違いがあつたということを公式には表明はされませんが、暗々裡には認めておられるというような状態であります。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税総額についてはどうです。相当交付税の率をこのようにしても、総額については増収分を見込まれるということを盛んに大蔵省は主張しておつたわけであります。事実は併し違つて来ておる。それらについて大蔵省はどんなお立場をとつておられますか。
  100. 柴田護

    説明員(柴田護君) その点は詳細大蔵省当局からお聞き取り願いたいのでございますが、まあ交付税の自然増収分というものが思つたほど出ないようだという程度でありまして、現在の交付税が多いか少いかという問題につきましては、根抵に既定規模の是正の問題が特に給与費の問題をめぐり責任論が介在いたしておりまして、この問題につきましては、私たちと大蔵当局はまだ意見を異にしたまま今日まで至つております。
  101. 小林武治

    小林武治君 今地方財政というものは国の財政と離れては考えられない。従つて地方財政を論議する場合にはどうしても大蔵省に出てもらわなければ困ると思うのですが、大蔵次官なりそういう者の要求はなさらないのでしようか。
  102. 内村清次

    委員長内村清次君) 今回はこの前大蔵省のほうから参りまして、大体赤字のほうの問題は自治庁長官に是非一つ出席してもらうということで、大蔵省のほうには別に出席の要求はしておりません。
  103. 小林武治

    小林武治君 今後の問題としてどうも自治庁の陰の話を聞いてもどうにもならんので、これはどうしても大蔵省立会いの上で、今のような感覚の問題についても大蔵省から返事をもらわなければ困ると、これは委員会から要求されると同時に自治庁も是非大蔵省の係官を引張つて来てもらいたい。そうでないとどうも陰の話であつて、一つもあとの保証にもならんと、そういうことを一つ御注意申上げて注文をいたしておきますから、一つよろしくお願いいたします。
  104. 左藤義詮

    左藤義詮君 自治庁の長官が幸いに行政管理庁の長官を兼ねておられまするので、府県及び行政委員会というものが非常に煩雑になつておる。この部局を簡素化する御腹案がおありであるか、又どういうふうにしてそれを実施して行くのか、これは自治庁の長官の一つ御決心を伺つておきたいと思います。
  105. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 考えておるわけでありますけれども、ただ地方制度の部分につ寺ましては、地方制度調査会の御意見を伺つた上でということを考えておるわけであります。勿論地方制度調査会答申は基本の部分についてだけで、そう細かいところは出て来ないと思いますが、御指摘のよう行政委員会は成るべくこれは整理をしたいという考え方であります。又自治団体も国も通じて機構はもう少し簡素にしなくちやならないと、こういう考えを強く持つておるわけでありますけれども、いつかの機会に申上げたかも知れませんが、ただ断片的に地方だけ、若しくは一省の部局だけというものを収上げてみても容易にこの問題は実現する見通し、確信というものが持てませんものでありますからして、相当大がかりな基礎調査をし、大がかりな構想を立てた上で、併せて強い物定した政治力をもつて一挙に問題を解決したいと思います。
  106. 左藤義詮

    左藤義詮君 新聞等で児ますと、地方へ御出張の際には相当の決意示されているようであります。私は飛入りでありますけれども、先ずこの所管の委員会でもう少し、私は政治の安定というのは又別問題でありますけれども、やはり私は所管の長官として敗戦後の日本の実情から見まして、この問題には相当私は調査会が云々と言わずに、私は気魄を以て臨むべきであると思う。私はしろうとでありますが、戦前には副知事なんかなかつたのでありますが、大阪なんか副知事が三人おる。副知事が一人おればそれだけ車も要り秘書も要る、給仕も要る。三つか四つであつた部が十にも十五にもなつて来る。これは一つの部を減らそうとすれば、長野県の例で、林政部というものを一つ整理しようというとすぐ林野庁からお叱りを受ける。そんなことをすると予算をやらないぞ。これは随分各県にもあるのでありまして、知事が非常に財政責任を感じて少しやろうとしても、私はやはり職員組合の反撃よりも、そいう中央から邪魔して来る。もつと言えば部長等の人事も中央の人を出先へどんどん出張らしてそれに紐をつけている。それが非常に私は行政の邪魔になつておると思います。こういう問題は私は行政管理の長官として一つ閣議で強力にもつとあなたは積極的におやりにならなければ、いつまでたつてもこの問題は解決しないと思います。これに対する一つお答えを承わりたいと思います。
  107. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 決意のほどはいろいろ機会に、いろいろな委員会でもうむしろ申上げ過ぎるくらいに申上げているので、この委員会でも地方財政に関する部分はこれを地方制度に関しても申上げております。決して私は現在しつかりした考え方を自分で持たず、又表明をしておらないということではないのでありまして、只今御指摘のよう地方がやろうとするとぎに中夫が邪魔をするというようなことを、そういう事例を幾つかも知つておりまして、閣議にもしばしば発言をいたしておるのであります。併し私の無力ということになりますが、なかなか自分でやつてみた経験ではそう簡単にこの問題は片付かない。而も出て来た派生的な問題を捉えてやつてもなかなかうまく行かんので、機構改革を本当にやつて真に国民が期待されるような簡素にして強力な而も能率的なものを作るのには、相当大がかりにやりませんと成就しないというのが、只今まで私の幾度かやつて来た結論でございます。やりたい、やらなければならんという意欲は強く持つてれるわけであります。
  108. 左藤義詮

    左藤義詮君 中央もそうですが、特に地方では如何にして税収を上げよう、如何にして起債の枠を収ろうというようなことばかりに夢中で、何とかして国民の負担を軽くするというために、本当を言えば国会も私は場合によつては議員の数を減らし簡素化すべきだと思う。そうすればやがては各省も積極的に決意するようになると思う。そういうところまで行かなければいつまでも解決しないと思う。非常に決意をしておると言うが、それがちつとも具体的に現われていない。中には赤字に迫られて実際どうにもならないので府県知事がやろうと思つても、むしろ中央から邪魔をしている。これに対して一向自治庁は積極的に援助なさらない、御協力なさらない。そういう問題があつたら閣議で職を賭しても各省にこれをやらせるようにもう少し私は決意と又実行力をお持ちにならなければ、いつまでたつても解決しないと思うのであります。その点私は一つ長官の命がけの御決意と、それに対して即刻に……、やれ調査会とか、いやうまく行かないとかと逃げないで、いつするか知りませんが、政局安定ということもありましようが、それに対して挺身してこの問題を解決するという私は御決意がなければならんと思うのであります。甚だ今の御答弁では、いつまでたつても同じことを委員会その他で論議をしていても実効も現われて来ない。そのうちにも東京に出張所も作るし、人も殖やして行くし、ずるずるとその負担が結局は赤字になる。或いは国民の負担にますます重圧を加えて行つている。かように思うのでありますが、これに対して私は長官としてどうお考えになつているか、又事務局としても何かの案があるかどうか。自治庁だけでも一つ各省に対しても、地方に対してももつと積極的にこの問題の援助をし、協力するよう自治庁として私はお骨折にならなければならんと思うのでありますが、もう一つ御決意を伺つておきたい。
  109. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 今後一層努力をいたしたいと考えるわけでありますが、併し私はむしろそういう意味におきましては、いろいろ御指摘を受けましたけれども、最近の自治団体の動向というものは如何にして国民負担を軽減するかという方向に非常な熱意を示して来られたとさえ私は考えておりま一。私としてはそういう自治団体の熱意を側面から援助して、そうしてますますその実を上げるようにこの機会に是非やりたいというふうに考えておるわけであります。
  110. 小林武治

    小林武治君 今左藤委員からのお話のことは全く同感でありまして、私はむしろ自治庁なり行政管理庁のやり方に失望して、これ以上言つてもつまらんからというようなことで黙つておるのでありまするが、いつも問題は根本的ということに隠れて、そうして問題を流してしまう。私はむしろその考え方よりもむしろ卑近なことからおやりになればできることがあると思うのですが、もとから直さなければ駄目だ、こういうお考えが私は始終行政整理というものを失敗に終らせることだ。併し卑近なことが幾らでもあるというふうに思つておりますので、そういうことに大きく問題を転嫁して、そうしてその場を逃れるということでなくて私はやつて頂きたい。こういうふうに思いますし、今私どもが聞いておるのは、ただ自治庁としては結果的にこれだけ出ました、こういうことばかり聞いておることは非常に残念で、これだけ出たら出ないようにする工夫もれより先にしなければならんと思うのであります。私は午前中からただ結果だけをお聞きしておりますが、こういう結果が出た原因を或る程度調整するという考え方を是非自治庁が持つてもらわなければならぬ。聞くところによれば、今左藤委員からお尋ねがあつたのでありますが、地方行政簡素化ということについて自治庁も或る程度の腹案を持つておるということも聞くのでありますが、これは今担当の人がおられないが、その腹案がどういうものであるかということを一つ御披露願つて、そうして我々も協力できるものはた。こういうことにいたしたいと思いますから、あとで係の者が見えたらその御説明を一つ頂きたい、こういうふうに思つております。
  111. 松澤兼人

    松澤兼人君 塚田国務大臣がおいでにならなかつたときに、地方財政再建促進特別措置法というものの説明を部長から承わつたのであります。これは誠に結構なことだと思いますが、併しこれを財政の観点からだけ推し進めて行つて、自治本来の目的がそのためにゆがめられるということはないのかどうかということを非常に心配するのですが、この財政再建整備ということと、本来の自治を拡充するということの調整、或いは矛盾ということについて国務大臣のお考えを承わりたいと思います。
  112. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 基本の考え方といたしましては、私もその点は非常にこの法案の構想につきましては、懸念をいたしております。ただ私どもの今の当え方といたしましては、この程度のことはやはり御規定願う、そうして実施するのでなければ、恐らく赤字を面して行く、過去の赤字をなくすると同時に、今後赤字を出して行かないというようにすることは困難ではないかということを考えておるわけであります。恐らく法律にこういうものが出ませんでも、又国の指図によつてそういうことをしないでも、自治体で自分の団体赤字というものを解消して行かれるのには、恐らくこれくらいの決意と措置をなさるのでなければ実現しないのではないか、そういう考え方に立つております。御指摘の御懸念の点は絶えず頭に置きながら、この程度措置というものを考えておるわけであります。なお又詳細の点は私も十分検討はいたしておりませんのでありますが、お聞かせ願つて、まさに注意すべき点がありますならば、今後御提案申上げるまでの機会に是正をいたしたいとは考えております。
  113. 松澤兼人

    松澤兼人君 この要綱自治庁としてまあ固まつたものだと思いますが、こういう自治権の侵害と申しますか、或いは先ほど小林委員がおつしやつた一時的な準禁治産である、こういうふうに言われた。そういう例を以て言えばよくわかりますけれども、例えば再建整備であつても、自治権の本来のものをこの法律によつて制限するということがどうも自治権の侵害のように考えられるのです。特にいわゆる以前の府県知事の権限でありました原案執行権というところまで行かないけれども、併しややそれに類したようなことがあるし、或いは又これでもうまく行かなければ、その次は原案執行権ということも考えなければならんといつたようなことは、これは全く以前の知事は官選であつたからそういうことも考えられるのですが、今の公選知事の場合においては原案執行というところまで行きませんけれども再建整備に抵触するよう議決をなした場合に、それは不信任議決とみなすということは、現在の公選の特別職に対する一つの制約ではないかというふうに考えるのですが、そういうようなことが塚田長官の考えておられるいわゆる知事の官選制度ということに何らかのつながりがあるのかどうかという点をはつきりしておかなければいけないと思うのですが、その点如何ですか。
  114. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは地方制度、殊に府県の性格に対する私がいろいろの機会に申上げております考え方は、こういう考え方とは何らつながりがないのでありまして、むしろ自治団体というようなあり方の本質論から出ておるのであります。ただ、ここで問題になつております、御指摘を受けました今の不信任議決とみなすことができるというのは、これはどこまでも当該団体議会との間の関係でありまして、私はこの問題がこういう表現になつておること自体がそう大きく自治権の侵害になるというようには実は考えておらない次第であります。
  115. 左藤義詮

    左藤義詮君 私先ほどから自治体の行政の簡素化、財政の緊縮ということをお尋ねしておつた。その関連が大分まあ広がつてつたようでありますが、もう一度元の問題に戻しまして、先ほど小林委員から根本企画も大事だが、卑近な足もとからもつとやつて行けという、誠に私も同感でありまして、そういうことは余り自治庁から指図をせられれば、まあ自治権の侵害になるかも知れません。私は自治権というても、結局国の財政赤字を持込むような、ただ無軌道に何もかもいいというわけでないと思うのでありまして、もう少し地方財政に対して例えば監査制度というふうなもの、自治庁が行届いた指導をして行かれる御意志があるかどうか。特に地方議会というものが民主主義の欠点と申しますか、つい総花的になり、選挙本位になつてつておる。例えば地方議会委員会制度というものが来して小さい府県まで国会と同じようにいろいろな委員会を持つてやることがいいかどうか。議員の歳費等についても、これはもう自治権の範囲だから自由にどんどん上げて行つていいのか。私大阪市に住んでおるのですが、大阪市の市会議員のごときは、歳費以外にいろいろな税金のかからない費用がある。各自の宅に市政相談所というものを設けて、それの維持ひとしていろいろなものを支出したり、恐らく平均してみますれば、我々国会議員よりも遥かに実質的には高い給与を地方議員が取つておられる。これは自治権だから自分たちできめてやるのだということでいいかどうか。これは私はいわゆる民主主義の行過ぎと申しますか、自治権というものの陰に隠れて相当血税の濫費があるのじやないか。こういう問題について研究をしておられるか、或いはそれに対してどういうような指導というか、監査をして行かれる方針であるか、その点一つ伺つておきたい。
  116. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 国から自治団体の監査を、再建整備によるものは別でありますけれども、一般のものについては、これは自治庁というものの基本の考え方からはすべきでないという考え方を持つております。むしろそれよりも当該自治団体が本当に自覚されてよくなつて行く。そういうことが自治体の中で行われないようになつて行くということを、多少気長にはなりますけれども、望みながら、そのように注意をし、勧告をし、助言をして行くということが私は自治というものの本来のあり方からこれは正しい考え方であると、こういうように考えております。勿論現在の地方財政の機構が国からも相当の金が出て参りますからして、その範囲においては間接に財政面でのいろいろな制約でもつておのずからそう無駄な使いが行われないようにという努力はいたしておりますけれども、御指摘の大阪のような場合には、何にいたしましても、自治体には今の税財政制度の上では相当収入のある団体でありますからして、そういう間接の調整もなかなか十分にいかないということになつております。結局私は自治団体財政運営が、個々に勿論私ども調査をいたしました場合に注意して然るべき点は注意はいたしますけれども、自身に無駄な金を使わないという考え方に立つて頂くのでなければ、これは到底是正はできないものであるし、又財政を自身で是正をして行かれる方向に持つて行くのでなければ、やがてそこから自治の大きな基本の線に対する侵害というものが出て来る。これは考え方として絶対にそういう方法は避けなければならないと私としては考えております。
  117. 左藤義詮

    左藤義詮君 大阪市のような余裕のあるところは、何をしてもよろしいと言われると、それは長い眼で見るということは、結局自治庁としては捨てておくと、県民が自覚してそういうものを是正するまでは仕方ない、こういう御意見ようですが、余裕のあるところがやれば、余裕のないところも同じように真似をして、小さい府県までも東京に出張所を設けて、たくさんの人を送つて行く。だんだんそういうような冗費が殖えて行くばかりだと思います。その結果がこうして積り積つて大変な問題になつているのでありますが、そういう道楽息子はとことんまで行つて限が覚めるまで放つて置くのだ、それが自治権である、民主主義であるというふうにお考えになつておるなら、私は今地方議会委員会制度のことについてもお尋ねをしたのでありますが、そういうことに対してはなかなかむずかしい問題かも知れませんが、何か自治庁として研究をしておられるかどうか。ただ道楽息子が何をしようとも、先祖の家、畑を売つて素つ裸になつて眼が覚めるまではそのままにしておくというようなお考えであるかどうか。殊に地方議会なんか任期のおしまいになりますと、大体来年が多いのですが、いろいろな退職金だとか、記念品だとか、今のうちにいろいろな出張だとか、随分県民の眼に余ることがあるのですが、そういうことも自治庁としては眼をつぶつて参るつもりであるか。
  118. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 金があるところは何をしてもいいとは決して考えておりませんし、何をしても放つておくというように申上げたわけではないのであります。調査をいたしました機会に、やはり注意をし勧告はいたしておりますが、併しそれをお聞きになるかどうかということは、これはやはり自治団体のこれは自由判断ということになるのが本来の考え方でありますから、お聞きにならないからどういう工合に措置をするか、国から強制的に何らかの措置をするかということになると、それは私は自治団体のあり方としては国からはしない。自治団体には自治団体自体のおのずからなる議会があり、監査委員会制度があるからして、自治体の中でそういうものは是正さるべきもので、これが自治団体というものなんだと、このように考えております。勿論機構その他で国が法律でもつてきめておりますものは、その範囲におきましては、その法律を直すことによつて厖大なものはこれは縮小するという考え方は勿論あります。それらの範囲におきましては、当然自治庁の手によつて研究をし、これを是正して行かなければなりませんし、そういう意味のものは今いろいろ考案中のものもあるわけでございます。
  119. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今そういう問題について御研究中の、或いは今御計画中の、何とかしてもう少し地方財政を引締めようということについて御計画になつておる案がございましたらお示しを願いたい。
  120. 後藤博

    説明員後藤博君) お話の点は三十年度財政計画とからんで、あとでお話することにいたしたいと思います。先ほどお話になりました常任委員会制度につきましても、常任委員会というものを置くにしても、現在の常任委員会制度とは変つた置き方があるのではないか。そういう点のあり方のどういうふうに持つて行くかという問題、それから部の減少等に対してはまあどうしたらいいか、法理的措置を、例えばこういうことが考えられるということを現在検討いたしております。ただ歳費の点につきましては、これはなかなかむずかしいのでありまして歳費が終戦後非常に高くなつておりますし、議会費用全体が非常に高くなつております。併し全体から見まして、パーセントがその団体財政規模の大体一%乃至三%、少いところでは〇・五%でありまして、パーセントが非常に低く、絶対額が非常に低いということが財政的に見まして非常に逆に困ることであります。パーセントが低いから少々上げてもかまわないじやないかということでどんどん殖えておりますので、私どもといたしましては、いろいろ財政指導の際に議会費用が多過ぎるということを言つております。でまあ府県なんかよりも市町村なんかの間に非常に差がございまするので、私自身といたしましては、よく議員の方は十人減らした場合には一体どのくらいの節約になるか。例えば人口二十万の都市でありまして、普通の費用を年間にしてみますと、一人五十万円くらいになるところがございます。そういうところは四年間十人を減らしますと、立派な中学校が一つできるじやないか。そういうふうに施設と結びつけて議員の数を幾らにするか、将来の投資的経費をこういう恰好で殖やしていくのだということを市民によく話をして、現在の数自体の減少についてもつと市当局は考えてみるべきじやないか、こういう話を私ども個々にいたしております。そういう趣旨から議員の定数を減らしておるところもございます。そういう市町村の場合には市町村民に直結したサービスをやつておりますので、議会の費用というものとそれからサービスというものとがやはり何らか具体的な形で密着した形で示せば、私は一般の市民の協力を得られる。こういうふうに考えて個々には指導いたしておりますが、個々団体で非常に議会費用というものが異なつております。〇・五%から大体二%くらいまでございます。非常に多いところはそういう恰好でもつて圧縮して行く。勿論最近の議会の方々は非常に専門的になつておりますし、悪い言葉で申しますと職業的になつておりますので、残る程度の給与を出さなければならんことも私どもわかります。従つてそういうことになりますと、個人の問題でなくて数の問題じやないか、こういうふうな考え方でいろいろ指導いたしておる次第であります。
  121. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほど長官の話では、自治権の侵害ということを非常に惧れられている。行き詰まるまでは見送るほかないと言われましたが、今部長のお話のように、成績のいいものをモデルにして、そういうものを大いに推進をして他にも及ぼすようにするとか、或いは大体財政規模のモデルを自治庁で研究せられて、そういうものを公けにすることによつて、これに倣うように努力するとか、或いは成績のいい市町村を表彰するとか、新聞、社会の世論とも結び合わして、もう少し積極的にこの問題を地方財政節約ということに関連して研究の余地がないか。私は恐縮ですが、初めて申すのですけれども、しろうと百から見ておりましても実に目に余ることが、今財政規模とのパーセンテージのお話もありましたが、そういうことよりも、その議会或いはその地方の当事者のやり方が一般の国民思想に非常に大きな影響を与える。而も赤字を出しながら中央もこれをどうしようとする積極的な努力もしないし、地方も漫然とずるずる引きずられて行つておるということでは、一方で幾ら私はデフレ政策をやつたつて、消費節約を叫んだつて何にもならんじやないか。もう少し私はこの問題に対して民主主義とか自治権かいうことの形式だけじやなしに、もつとその精神をつかんで自治庁としては積極的に私は研究指導さるべきだと思うのでありまして、今若干部長からお話がございましたが、もう少しこの問題は推進をし、この問題に取つ組んで真剣に一つ御努力願いたいと思うのであります。若し長官の何かこれに対する御意見がございましたら……。
  122. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 御意見は誠に同感でありますし、今まで私が就任このかたの自治団体赤字に対して、どういう考え方で臨み、どのようにシヴイヤな指導をして来たかということは、むしろ自治団体側がよく承知しておられると思うのであり、先ほども申上げましたが、最近漸く政府のこの考え方が徹底いたしまして、自治団体側自体に財政緊縮をしなければならないという考え方が出て来た点、私は非常に自分としても喜んでおるわけでありますし、その勢いに乗つて本当にこの過去の赤字を解消し、将来赤字の出ないように、更に一層地方財政が緊縮できるように努力いたしたいと考えております。
  123. 内村清次

    委員長内村清次君) それからちよつと申上げます。第一の昭和三十年度地方財政計画に関する件、この点は懇談会に入るといたしましても、少し時間をとつて、掘下げてよく自治庁関係考え方を一つ聞きたいと思つておるのですが、そこで只今までの議題にも関連して、その中にも話に入りますから、次の議題と、それから又はかに何か当面の問題がございますなら、それを出してもらいまして懇談会に入る、こういうふうに運びたいと思いますが、よろしゆうございますか……。速記をとめて。    〔速記中止
  124. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて……。  長官御承知と思いますが、最近大都市に関係する町村合併の問題で非常に対立をした市及び県があるわけですが、例えば名古屋市のごとく、特に又この十月一日ですかに県条例を出しておる、この内容を御承知でございますか。
  125. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 存じません。
  126. 内村清次

    委員長内村清次君) 御承知でないとすれば、それでは実は行政部長には連絡をとつてあります。これはやはりよく塚田長官も知つておく必要があるということも附加えておりますから、この点御承知でないならば、行政部長が来られましてから質問したいと思います。その他何かほかに町村合併関係で御質問ありましたら。
  127. 秋山長造

    ○秋山長造君 町村合併の問題で今委員長のお話もちよつと出たのですが、大阪だとか名古屋だとか、その他いわゆる大都市の周辺町村の合併という問題ですね。これはもう御承知のようにどこでも府県会と市町村会の決議とがいつも食違つて、そのために又紛争が紛争を生んでいるというようなことを繰返している。この問題は結局例の大都市問題、あの特別市の問題の解決、つけない限りは、これはいつまでも続くと思う。ただ自治庁のほうでこういう問題に対して何か一つの指導方針というようなものを持つておられるのかどうか。聞くところによると、名古屋なんかの場合はその問題で名古屋市と愛知県とが対立をして、そうしてそれに対して自治庁の意向として、大都市の町村合併というものはむしろ抑えてゆくのだというような意向が示されたとかいうようなお話も聞いたことがあるのです。で何かそういう一つの大都市の周辺合併についての指導方針というものがあるのですか。
  128. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは若しお聞きであつたとするならば、何かの機会に私が非公式に質問を受けて答えたことが耳に入つておるのかも知れません。私はそういうような気持で発言をしたことは確かにあるのでありまして、自分としては大都市周辺の町村が大都市に付きたいということは、これはそう勧めてまでやつてもらいたいという考え方は持つておらん。むしろ現在の大都市でやれる程度のものは、それ自体でもう十分に自治団体としての財政面、その他の脂力も十分備えておるのですから、大都市の側に更に周りのものを合併しなければならないという要因はないと思う。ただ個々に問題を見ますと、そうかといつて、それでは周のところがどういう工合にして町村を合併して、大体考えられる健全な財政規模の団体になるかどうかということになると、やや個々に検討いたしませんと、一概の結論と考え方というものは出にくいものでありますから、基本の考え方としては、大都市は余り大きくならないほうがむしろいいと思うが、現実に問題があれば、個々にそのときどきについて検討して、どういう結論がいいかということを考えたほうがいいんじやないかと、こういうようなことを発言したことがあるわけであります。特に大都市周辺のそういう問題について、まだ自治庁としての考え方従つて地方にそういう一般的な方針で流しておるというようなものはございませんが、恐らく大体こういう考え方でいいのではないか、こういうように思つております。
  129. 小林武治

    小林武治君 今の問題の関連ですが、これはこれの立案に主として当つた石村政務次官がおられますが、私どもはあの町村合併法というのは大都市には適用する必要がない、従つて五万、十万という人口制限を附したということは、地方行政委員の方、皆さんよく御存じのことと思うのでありますが、別にこれを阻止する必要はないが、あの法律は大都市には適用しない、こういう方針でできておるから、自治庁がお邪魔をなさる必要はないが、地方が合併したければ、あの法律によらないでおやりになつたらいいじやないか、こういうふうに今でもそう思つておりますが、その点は石村さんは使い分けはどういうふうにお考えになつておるか。私どもは大都市にはああいう特典は認める必要はないと、こういう方針であの法律を作つたことは確かでありますが、その考え方は私はまだ変つておらんじやないかというふうに思つております。
  130. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) その問題、今長官が大体答弁された通りであります。そこで小林委員の、特に法律の立法当時の精神と現在と、こういうお尋ねのようでありますが、御指摘の通りあの促進法を制定いたしますときにも、都市の問題にはいろいろの議論も出たのでありますけれども、都市としては五万までというのが一番適正である、こう皆さん同じように考えられたのであります。但し地方の状況によりまして、特に必要の場合を慮つて、特例的に十万までということにしたのでありまして、これは御承知の通りでありますが、現在におきましても自治庁といたしましては、あの法律の精神をそのまま尊重してやつておるわけでありまして、各地の協議会等をやりましても、そういう意見がたまには出ますが、あの促進法の上から見ましては、大都市の合併にあれを適用又は準用する、こういう意思は現在のところ持つておりませんことははつきりしております。ただ過大都市を作ることがいいか悪いかという問題は、これは別問題で議論はいたしませんが、とにかく十万以上の大部市に、大都市と言いますか、十万以上の都市又は大都市に適用するという考えはございません。そこで大きい都市が周辺の町村を合併しようというような問題が起きたときには、それはあの促進法には関係なしに、ほかの措置を講じられるのは、これは御自由だと思います。促進法の立場から見まして、特に促進法の特例と言いますか、特典を与えてまで、大部市に周辺の町村を合併する、それに法律による特典を皆与える、こういう考えは今でも持つておりません。
  131. 松澤兼人

    松澤兼人君 関連して……。小林君の言うのは、趣旨はあなたのおつしやる通りであります。従つて別に促進する必要もなかろう、併しそうかといつて自治庁が別に邪魔する必要もなかろう、こういうお話です。それですから、あなたのお考えはそれでもいいと思うのです。併し塚田長官が、大都市は或る一定の限度があつて、それ以上人口が集中するということは考えものであるというようなお話があつたのです。併しこれを逆にしてみて、それじや長官がそういう過度の大都市が形成されておるところへ又附近の町村を合併するということは、これは考えものだとおつしやつたということなんですが、これを逆にしてみて、それじやあなたがそういう一定の規模以上の大都市の川辺の町村がそこに合併してはならないとはおつしやらないけれども、望ましくないということであれは、それをどうしたらいいのか、例えば名古屋の周辺の町村が、その町村だけが又合併して第二名古屋町みたいなものをこしらえて、それでやつて行けるかどうかということになると、これは同じ共通の経済圏を持つておるわけですから、或いはもう殆んど緊密な経済的一体性というものを成しておるのですから、それは入れたくないとあなたがおつしやつても、それじやそのほうに対してどういう設備をするのか、或いはどういうふうにしたら、第二名古屋町というようなものが生きて行く途があるかということを考えれば、やはり自然に周辺のものは名古屋に合併になるということは当然ではないか、こう思うのですが、それと逆に、もうこれ以上の大きな名古屋市を作る必要はないのだ、一つお前たちはお前たちでやつて行けと言つて、やつて行かれるという目安があるか、それに対してあなた自身はどうするか、あなた自身はどういうお考えを持つていらつしやるかということによつて、この問題は解決するのじやないかと思います。
  132. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 松澤委員のお考えの通りに私も考えておるのでありまして、従つて一般的に抽象的な表現で申上げますならば、過大都市は余り好ましくないからして、大都市でやれるほどのものに更に付くということは、自分としては好ましくないと申しますが、勧めてまでやつてもらいたいという考えは持たない。併しそれでは個々に具体的な問題が起こつて、例えば名古屋の場合に、名古屋市の周辺に名古屋市に入りたいというものがあつたときに、それがそこへ入れない場合に、どういう形の周りのものが考えられるかということをやはり個々に検討をしてみてでないと、これは一概には私も確かにきめられない問題である、こういうように私は考えますので、一般的の方針というものはむしろ立てないし、立ちにくい、個々に問題を検討して、ただそういう感じでありますから、恐らく愛知県の町村合併の計画も、県の当事者なり県の審議会は、そういうことを頭に置きながら恐らく検討されておると思います。計画を検討されておると思いますが、又私も計画の検討の際にそういう感じで、余り大きなところを一つのところへまとめないようにうまく計画ができることがむしろ望ましい、こういう考え方であります。
  133. 内村清次

    委員長内村清次君) 長官にちよつと……。そこで実は名古屋市の周辺の十八カ町村の間に合併の機運ができた、でこれが十八ヵ町村のほうも大体において希望であるというさなかに、県のほうでは十月の一日に大都市周辺市町村整備条例というものを作つた。この整備条例の中を見て見ますると、先ほど話がありましたような十三項目ばかりの各施設の特例と申しますか、施設項目を置いて、そして周辺を整備して行くのだ、こういう条例、そこでこの条例の趣意というものはやはり一応は大都市に例えば合併する場合のときにおいても、その資格条件というものを整備するのだという表面的理由であるけれども、底に流れる問題はやはり名古屋布の過大都市的な形態を、これを防ごうじやないかというような点もあるということが言われておるわけですね、この条例のために十八カ町村のほうも非常に足踏みをしたというような現状ですが、こういう条例自体はやはり県の自主性でやるといたしましても、促進法の精神から来る自治の精神及び又その促進法の精神からの合併に対する阻害というような見地も言われておりまするが、自治庁長官只今行政部長からお聞きになつたと思いますが、どういうふうにこういう点を考えておられるか。
  134. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この場合にも問題が具体的になつておりますので、周辺の合併計画、特に県が若しくは審議会が作つた合併計画がどういう工合になつておるかということを承知いたしませんと、この問題についての私としての若しくは自治庁としての意見が出にくいわけであります。一般的な考え方は先ほど申上げましたよう考え方でおるわけでありますが、本日具体的な御質問を初めて伺つたので、私としては何とも意見が申しかねておるわけでありまして、なお行政部長から何らか今まで調査をし、承知しております範囲がありましたら、答えさせることにいたしたいと思います。
  135. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 大都市周辺市町村整備促進条例、この話は私もちよつと聞いております。それでこの条例は最近県議会のほうで議員提出で成立されたということを聞いておりますが、この条例の中身とか、作り方とか、時期とか、その他につきましては、これはまあいるいろ考え方もあり得ることだと思いますが、恐らくは県のはうでは大都市周辺のまさか町村そのものをどうこうするという具体的の意図があつたのかなかつたのか、そこのところは私はよく存じませんが、これは合併促進法そのものと私は直接齟齬するとかどうとかという判断を下すのも差控えるべき問題じやないかと思うのであります。恐らくは基本的な考え方は先ほど長官が申されました通り、大都市とその周辺の地域との間における均衡のとれた秩序のある総合的な発展を図りたい、こういうので周辺の町村を整備しよう、こういう考えがまあ出ておるのではないかと思うのであります。この条例とは別問題で今の周辺の問題につきまして合併の問題があるとすれば、これは合併自体そもそも適当であるか、適当でないか、それが関係町村の住民の総意の上に出ておるのか出てないのか、それから県全体の再編成計画とどういうふうな関連にあるのか、そういうふうな問題を基礎にしてこれは具体的に判司すべきものじやないだろうかと存じております。そこらの具体的な問題につきましては、まだ我々のほうに具体的に相談もありませんし、個々の具体的の問題につきまして、まだ具体的の検討も進めておりませんので、今申上げられる段階ではありませんが、これはそれぞれ関係市町村及び関係府県におきまして慎重審議をしてこの問題の扱いをお考えになつて御決定になるものだと存じておるのでございます。
  136. 内村清次

    委員長内村清次君) ただ、今まだよく具体的な問心の相談を受けておらないとおつしやるのですけれども、もうすでにこれは例えば県と市の問におきましては十月一日を契機といたしましてその前後に相当この問題は対立的な様相で大きなやはり輿論関係にもなつておるわけですれ、自治庁ではまだ聞かないとおつしやるのですけれども、こういう問題はやはり条例関係につきましては、特に一つの都市計画区域の自治の発展性を考えるか、或いは又はそういう周辺だけに県の財政というものが集中をして設備の強化をやつて行くというようなことが自治の財政措置として公正であるかどうか、こういう点につきましては、やはり自治庁としては一応検討する必要はなかろうか、すべてこれは自治ですから県自体に任せてあるとしても、又県の議会その他の問題であるとしても、こういうことが果して当該町村に対しての国と連絡のとれた地方の開発といいますか、発展といいますか、そういうふうなことと、これは具体的にいえば起債の問題だとか、それから又交付税の問題とか、こういう問題と関連したことがそこだけなされて行く問題であるかどうかということの見地から条例の適否というものが私ははつきりと答えが出はしないかと思いますが、そういう点はどうお考えになりますか。
  137. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これは只今お話でございましたが、この条例に基いて例えば県の仕事なり或いは県の補助事業が特定の市町村にだけ集中的に行つて、ほかの市町村が全然顧みられない、そういう結果になるという前提で直ちに物を見ることは私はまだその時期でもなければ、又それだけの内容を持つておるものとも私は考えられないのでありまして、今後どういう形で運用されますか、今後の問題でありますが、県全体のいろいろな予算なり事業なり、その他の差しくりの関係で周辺の一部の町村に成る程度の仕事をまとめて考えるということもこれは全然できないわけではないと思います。愛知のような県ならば。それがためにそれによつてほかの町村が全然ないがしろになつてしまうようなことがあれば、これは適当だとは申されませんし、それから又そういう趣旨で県会としてそういう条例をお作りになろうとも私は考えられないのであります。これからの運用の時期をも考えまして、自治庁考え方から見て、例えば起債の付け方が明らかに偏頗であるとか何とかいうことになれば、これは起債を詮議する立場におきましても、適当な調整をせんならんということもこれはあり得ることだろう、そういうふうに存じております。
  138. 内村清次

    委員長内村清次君) そこで長官にちよつとお尋ねしますが、こういう大都市を中心といたしました合併の問題が一つ浮び上つて来て、特に又これは大阪にも以前関係のあつたものである、又今兵庫県にもそういう問題が出ておるというようなわけですが、面接大きな対立状態になつておるのは名古屋市です。そこでこれは一つ具体的に長官のほうでもやはりお目を通して頂きまして折角促進法による促進の今丁度真中になつた大事なところでございますから、やはり一応は自治庁としても、決してこれに介入して、自治庁から示唆するというようなことはこれは絶対そういうことはあり得べからざることたと思いますけれども、何かこう村立の斡旋のような形で、自治的に対立をなくして行くというようなお気持はないでしようか。その点は……。
  139. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは何も聞いておらないとは申しましても、最近両方側からしばしばの機会に陳情が出て来て、そのよう意見を聞いておりますので、私どもとしましては、逐次この具体的な問題についての意見は、事実が明らかになると同時に、それからまあこうあるほうがいいのじやないかという考え方はまとまりつつあります。その線で適当に指導しながら、形の上では現地で話合いでもつてこれが円満に片付くというように持つて行きたいと、こういうふうに努力いたしております。
  140. 小林武治

    小林武治君 今の問題と別にしまして、町村合併の問題でちよつとお聞きしておきたいのですが、町村合併はもう立法の趣旨からいつてできるだけ地方が自主的にきめようと、こういう趣旨でやつたことは御承知の通りでありますが、最近地方が合併を進めてみると、本当に僅かな一部の個人的な人の感情その他で町村の合併ができない、そういうものがだんだんあとに残つて来る、これらのものは今の合併促進法ではできないという感じを地方人自身が持つて来ておる。この点で今後町村合併を成る程度強制力を持たせる必要があるということを町村長或いは議長からしばしば聞いておるのですが、これらも場合によれば止むを得ない措置であると思うが、この点については自治庁はどういうふうな考えを持つておられるか、伺つておきたい。
  141. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私も、現在の促進法が御指摘のように自発的に盛上つた形で合併が促進されるという考え方になつておりまするので、今までの指導はどこまでもそのようにやつてつております。ですけれども、この問題は本当に重要且つ緊急なものであります以上、本来の反対論でなしに、そういう派生的ないろいろな問題でこれがうまく行かないというようなものがあれば、そうして又そういうものが非常にたくさん残るということであれば、そういう場合には何らかのやはり法に根拠を置いた強制措置というものを考えなければならんのじやないかと、こういうように考えております。
  142. 小林武治

    小林武治君 今の問題はまあ議員立法の建前から我々が主とし、考えればいい問題と思うのでありますが、私どもも上から天降りに強制を押付けるということは極めて不本意であると思つておりますが、今申すよう地方からそういう声が非常に出て来て参おるという状態を我々としても考えなければならんし、自治庁等におきましても一つ我々の立法に協力するという趣旨で、そういう方面の調査と申しますか、事実どの程度の輿論になつてそういう意見が出ておるかということを自治庁のほうも一つ十分お調べ頂いて、今後我々に報告して頂きたい。それによつて一つ協力して、要は町村合併を促進更する方法をそういうところまで求めなければならんということの結果が出ると思うのですが、その辺の御調査を一つ至急願いたいと、こういうふうに思つております。  なお、もう一つお伺いいたしておきたいことは、町村合併の補助金というものがありまするが、この補助金が全国に殆んど画一的に割り振られているのじやないかと思うのでありまするが、私或る県等に聞きますれば、その県独自の理由によつて合併が非常に困難な部面があると、こういうところを聞いて、これも我々同感できる部面があるのでありまするので、従いまして、よくその実情を調査の上で画一的にその補助金を配るというようなことをしないで、それらの得失というものを十分見てやると、こういうふうなお考えはないかどうか、伺つておきたい。
  143. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 実は合併の補助金でございますが、これは町村に行く分と府県に行く分とありまして、町村に行く分は合併に伴ういろいろな啓蒙、宣伝費、あと始末の金が要るだろうというので合併が完了した、確定したあとで各町村にやつておりまして、これは正直申しまして、画一的に各町村に行くように手を配つております。ただ、この新設合併の場合正と、編入した場合とか、形が違う場合はあとから選挙をしなければならんとかいうことがあるので、多少の差等を設けておりますが、全体としては正直申しまして一様に配つております。ただ、県の場合は、県は主として啓豪、宣伝、指導費でございまして、これは町村の数の多いところもあれば少いところもあるし、地域の広いところもあるし狭いところもある。実際の県の費用というものも県によつて違うだろうと思いますので、そこらは多少しんしやくして一応基準を作つて実は配つております。大体そういう配り方をいたしておりますので、大体その程度でいいのじやないだろうかと思つておりますが、なお御意見ございますれば、険討して通切な配分を考えたいと考えております。
  144. 小林武治

    小林武治君 私は最近奈良県のこともいろいろ聞きたいのでありますが、これらも自治庁が直接お聞きになつて、奈良県の特殊事情というものをお調べの上で、合併の補助金ばかりではなく、合併後の諾施設に対して一種の特典、こういうものについても一つ特別な配慮をする必要があるのじやないか、こういうふうに思いますから、この点の一つ注意を喚起しておきたい、こういうふうに思います。
  145. 小林与三次

    説明員小林与三次君) ちよつと今特に小林委員から奈良県と県の名をあげましてお話がありましたから、これについて、それは我々も考えておりまして、そういう誰が考えてもまだなかなか普通の手段では行きそうもないという特殊事情のある町村につきましては、一般の補助金と違つた何らかの促進的な経費というものを考えるべきじやないだろうか、こういうことを考えておりまして、できましたら、明年度予算あたりでそれを考えたいというので、関係省とも協議をして、対策を練つて予算も要求しているところでございます。できるだけそういう御趣旨に副うようにいたします。
  146. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 町村合併の状況を見ておりますと、市を作れといつて、市を作れそうな所は非常に早くできて市を作つてしまう。ところが健全なる農村の合併ということになると迎々として進まない。今進んでいるのはむしろ市の周辺の町村を市に持つて行こう、合併して行こうというようなことはまだかなり熱心に続けられますが、どうも健全なる農村という気持がだんだん失われないかということを私ども町村合併促進法を作り上げた上で一番心配している点なのです。この点は一つ自治庁のほうで特に指導上御留意願いたいことと、殊に市というのはややもすれば財政上多少自由財源が、幾ら赤字を出していても自由財源があるから、そういう自由財源があるのをいいことにして、村の村会議員や村長に御馳走したり、或いはやめたときの退職金の約束をしたり、非常に歪められた合併がこの際行われることは、私ども悔いを後世に残すと心配しているのですが、こういうような点につきましても、私どもでも多少の情報を聞いておりますが、自治庁としては特にそういう点を注意されて、いやしくもそういうような住民の多数の意思ではなくて、買収のようなことで合併が行われているというようなことは最も慎しまなければならんことと思います。そういうところの御指導については村当一つ積極的にやつて預かないというと、合併法の真意にも副えないということになり、非常に憂慮に堪えないと思うのです。どうぞこの点に自治庁として法の許す限りまあ変な合併が行われないように大いに御留意願いたいと思います。
  147. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  148. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 只今伊能委員の御質問と同じでございますが、確かに形式的な町村合併は進みましたけれども、町村合併の基本的目的である適正規模でございますとか、或いは町村行政の合理的事由でありますとか、こういう面での町村合併というのは本当に進んだかということになりますと、非常に問題がこれは残つておるのじやないかと思う。府県などの指導法を見ましても、機械的な町村合併は進みますけれども、基本的な町村合併促進法の目的としておるところの適正規模でありますとか、行政の合理的事由ということを強く打出したところが非常に少い。特に促進審議会でございますとか、こういうものの学識経験者の意見なんかを聞いての推進というものが薄くて、県議会あたりの政治的理由による推進のほうが表に強く打ち出されておる。これは伊能委員の御指摘のように、将来又再び問題を残すことになるのじやないかと私どもも非常に心配をしておるのであります。その点で、促進法の真の目的とするよう意味行政的にもつと指導を強く打ち出して行く必要があるのじやないかと思うのですが、この点如何でございましようか。
  150. 石村幸作

    説明員(石村幸作君) 先ほど伊能委員から御注意がありましたが、御指摘の通り、今までは特に自治法の市が五万となる。それを特例で特別に今合併する場合は三万、こんなことがあるので、非常に重点が急いで市を作るというほうへ向けられたようでありますが、よく見てみますと、市を作る、それからこれから市に入るという場合も、今合併はまだできていないけれども、手続上県の何といいますか、議決を経て一、ニカ月あとにというようなのが相当ございまして、そのほかにいわゆる町村が合併して町村を作ると、こういういわゆる今の伊能委員の農村を崩すなという御意見、そういう町作り、これも相当実は進んでおるようでありまして、恐らくこの十二月、例えば一月一日とか、それからずつと遅れて年度内、四月一日、こういうふうな期限を目標にして相当ごそつとできるんじやないかと考えております。併し、その間に今加瀬さんからも御指摘があつたように、政治的で、余り見にくい政治的の合併が推進されて、あとで悔を残すと、こういうようなこともないこともないと、こう考えておりますので、いろいろな問題を現在ぼつぼつと自治庁に持ち込んで来ておるようであります。併し、成るべく適正であり、歪められた形の合併が成るべくできることを避けたいと、そうして、例えば推進本部等におきましても、それに付属しておる委員会等でも常に研究して、そういうことのないようにして、今後も御趣旨ように十分やりたいと思つております。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 行政部長に伺いたいのでありますが、町村議会等が決定いたしたものでも、合併促進審議会あたりがみて合併促進法の趣旨に甚だ外れておる、合理性を甚だ欠くというものであるならば、その町村議会議決、或いは議決の過程において斡旋指導というものにもつと乗り出せれば、もつと適正規模或いは合理性というものが打ち出せるんじやないか、こういう動きが、非常に合併促進審議会というものがそういう働きをしておらない。又これに対して働かせようという府県側の合併促進審議会に対する見方というものも非常に薄い。これでは本当の意味の促進法というのが実現して来ないような心配があるのでありますが、この点何か自治庁としてのお考えはございませんか。
  152. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今加瀬委員がおつしやいましたことは、先ほど来問題」なつた問題とも私は多少関連が実はあると思うのであります。町村合併は今申された通り、合理的に町村の全体を再編成をしようというわけでありまして、それで町村合併計画というものを全体的に作つて、それに準拠して合併を具体的に進めたい、こういうのが促進法の精神でもあれば、我々も基本的な態度としてそういう方針をとつておるわけでございます。まあ大体の場合はその基本的な合併計画に基いて合併が進められて行くのでございますが、併し個々の町村の意思と食い違う場合がままやはりこれはあると思うのでございまして、その場合に合併計画個々の町村の意思をどう調整して行くかということが今の問題であろうと思うのであります。それでまあこれにつきましては、多少私たちのほうからみておりますというと、県によつても態度を異にしておるところがありまして、県の合併計画というものを非常に強く打ち出してその線に沿うように強力に指導しておる所もありますし、そうでなしに、まあその点は多少ルーズにして、町村のきまつた意思を前提で、事をあとから追つかけて行くというような形になつておる所も突はあるのでございます。そこらの具体的な調節が合併計画と申しましても、百パーセント間違いがないかと申せば、これは実施の段階で成る程度の調整というものもやむを得ない面が私はあり得ると思う。どうせ人間が作るのでありますから、実際の場合におきましては相当の調整をすべき点もあるだろうと思うのでありまして、そこらのところは具体的に計内の合理性と、それと具体の町村の意思の合致というものをうまく調整して、指導して行くよりほか仕方がないんじやないかと思つております。ただ個々の町村の意思と申しましても、これはどう考えても全く筋違いである、例えば飛地の合併を考えたり、何としてでも合理的な再編成と考えられんというような場合におきましては、これはまあ県といたしましてもその立場から強く指導もして行きますし、我々としても相当強い指導がこれは可能になるのでありますが、そうでないというと、そこらの関係の調節というものが実はまあなかなか実際問題として困難がある。こういうところが今の具体の先の名古屋の問題が起きましたけれども、これはまあ言つてみれは合併計画との調節をどうするかということの問題の私は一つの現われじやないだろうかと考えておるのでございます。それでありますから、全体の計画が狂わんように、而も具体的にそれぞれ話が付くようにと、そこをまあほどほどに実際の実情に合わして調節をして行くよりしようがないのでありまして、そういうふうな考え方で、我々といたしましては県にもそういう考え方で臨むように実は申しておる次第でございます。
  153. 秋山長造

    ○秋山長造君 いつも問題になる国有林の払下げの問題ですね、この前いつだつたか私あなたへお尋ねしたときに、どうも農林省のほうへ徹底しているような徹底しないようなお話だつたんですが、その後徹底するというお話だつたんですが、具体的な措置をおとりになつたか。それから又全国に国有林野で払下げた例はどの程度てきているか、ちよつと……。
  154. 小林与三次

    説明員小林与三次君) ちよつと今日資料を持つておりませんが、これはたしか十月一日現在でその払下げの状況を農林省のはうで発表しておる資料がありまして、私もそれを役所のはうに持つておるのでありますが、あのとき現在で、申込みの数はちよつと忘れましたけれども、決定をしたのが四十四件かあるはずです。それで、それはまあ内決定のやつで、そのときまで正式に明らかに処分したのはこれは一件でしたが、そのほかに内決定のものが四十四カ所かありました。あとの問題につきましても至急向うで審議をいたしておるわけでございます。ただ正直に申しまして、林野庁のはうでは意見の根本においては食い違いがあることは委員の皆さんも御存じだろうと思いますが、その範囲をどうきめるかということにつきまして、向うは例の林野整備臨時措置法の範囲ということを頭においておる。こちらはそれにかかわりなくもつと広く考えておる。そういう問題はありますが、その食い違いは別として、林野庁としても下のほうにはいろいろ流してはおるのでありますが、正直申しまして、現地の営林署や林野局のほうでは所によつては町村から話があつてでも、必ずしもあいそうのよい態度をとつていない所が相当あるのは、これは事実であります。それで林野庁のほうでもえらい気を廻しておりまして、そういう申込みがあつたら即刻本庁のほうへ報告するようにというような指令も実は出しておるのでありまして、だんだん個々の末端までは、徹底しておると思いますが、そういう例も少なくない。それでありますから、具体の問題があれば、なるべく大きく林野庁へ直接出すなり、或いは我々のところに連絡してもらうなり、そういうような形で途次片を付けて行きたい、こういうふうに存じております。
  155. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう一点。そのほかの郵便だとか電信、電話等の統合整理の問題ですね、この問題はどうなつているのですか。
  156. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今の特に郵便の集配区域とか、それから電信、電話の通話区域の問題は、電電公社のほうにおきましても非常に実は協力態勢にありまして、大体我々のほうの県から集めました合併計画の全体を基礎にして、そうして全般的な統廃合計画を向うでは実は立てておるわけなんです。ただ特に選話関係などにつきましては、御案内の通り施設その他で相当な金を要するので、これも五カ年計画か何か計画を立てておりまして、逐次整備しようというので、来年度予算につきましても、向うのほうから予算措置を大蔵省に要求して我々のほうにも実は協力を申し込んでおる点もございまして、そういう問題も、まあそれ以外にも例えば鉄道の駅名の変更の問題とか、そういうような問題でも、国鉄のほうにおきましても、現地の話が百パーセントまとまれば、できるだけその方向にことを増えようというので考えております。お蔭様で各省逐次全般的に協力態勢にあつて、又そういうために努力をしてもらつておる傾向にありますことを非常に喜んでおるのでありますが、なお、これはもう繰り返し巻き返し執拗に我々のほうとしてもやらなくちやいかん、こういうふうに考えております。   —————————————
  157. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは昭和三十年度地方財政計画に関する件を議題に供しまして懇談会に入ります。    午後三時二十七分懇談会に移る    —————・—————    午後五時三十五分懇談会を終る
  158. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは、地方行政委員会をこれにて散会いたします。    午後五時三十六分散会