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1954-03-08 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月八日(月曜日)    午後二時二十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員西郷吉之助君辞任につき、そ の補欠として伊能繁次郎君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁財政部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○地方行政改革に関する調査の件  (昭和二十九年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは只今から地方行政委員会開会いたします。  委員のかたがたにお諮りすることがございますが、只今委員会開会前に委員長理事の打合会をいたしまして、公職選挙法改正小委員会、これに付託します法律案及び又その審議日の件につきまして御相談いたしました結果として、審議日は本委員会審議日であります月木金を除いた火水土開会をして審議するということに一応きまりました。同時に只今付託すべき法律案が四件出ておりまして、この四件の法律案は一応本委員会提案理由説明を聞く、この日にちを明日に聞くことにいたしまして、それから小委員会のほうで審議をして頂く、こういうふうなことでございました。この法律案の案件を公報に明示するために、先ず選挙関係法律案を申上げますと、公職選挙法の一部を改正する法律案閣法第七号)、次に公職選挙法の一部を改正する法律案閣法第七五号)、それから公職選挙法の一部を改正する法律案(参第五号)、市川房枝君外一名発議、政治資金規正法の一部を改正する法律案(衆第一〇号)中村高一君外十九名提出、この四つの法案選挙法改正の小委員会審議せしめた上、報告せしめることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取計います。   —————————————
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) それから自治庁長官に、只今までに政府のほうから提出が予想せられて、未だ提出されておらない地方自治法の一部を改正する法律案、都道府県の職員退職年金法、及び退職一時金の基礎となる在職期間等の通算に関する法律案町村職員共済組合法案地方公務員法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、これだけがまだ提出されておりませずに、実は昨日青木政務次官のほうから、地方税法の一部を改正する法律案予備審査をこちらのほうにして頂きたい。衆議院関係ですが、というような申込みもあつておりますが、これは参議院議運のほうでは、地方税法の一部を改正する法律案ほか税法関係法律案は一括して本会議において提案理由説明を聞き、質疑をした上で委員会に付託する、こういうことになつておるわけですが、委員会に付託をされますについても、只今申上げました法律案関連した法案もありますから、これが出揃わないとなかなか委員会での円滑な審議ができないという状態で、委員会としては非常に迷惑に感じておるのですが、いつ頃これが政府のほうで提案されるか、この点一つ説明願いたい。
  5. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大変関連法案が遅れ遅れになつて恐縮をしておるのでありますが、自治法の一部を改正する法律案は大体において要綱が内部的にまとまりまして、最終の調整を若干加えるということになつて参つておるのであります。平衡交付金法の一部を改正する法律案はそれよりも更に進んでおりまして、極く僅かの点が残つておるわけであります。それからあと公務員法財政法はそう大きな問題ではありませんが、財政法行政整理のことに若干関連した部分が実質的な問題であると思つております。いつ頃になるかわかりませんが、どうしてもこの法案成案が十分間に合いませんとすれば、せめて要綱だけでも早く資料としてお出ししまして、御審議のお役に立てたいと、こういうふうに考えております。
  6. 島村軍次

    島村軍次君 自治庁長官にこの問題についてはつきり御認識を願つておかなければいかんのは、税法自治法財政法を一括して本会議へ上程してそうしてその結果によつて審議する、こういうふうになつておるのです。だから審議は進みませんよ、要綱ぐらいのことでは……。だからはつきりいつ頃出るということを早くお見通しをつけて頂かんと、審議参議院のほうは見通しはつかんことになる。そこで自治法はおよそいつ頃の予定でございますか。
  7. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この中で一番実質的に問題があり、一番遅れるかと思いますのはやはり自治法だと思うのであります。地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案はもうじきにまとめればまとまると思うのでありまして、そのほうはまとまればこの成案法制局関係段取りもそうひまが要らないと思うのですが、自治法は問題が問題だけに、法制局に参りまして、もう少しひまが要るかと思いますので、極力急ぐつもりにはいたしておりますが、早急というわけにはいかんような段取りでございます。
  8. 島村軍次

    島村軍次君 そうすると、委員長にも併せて希望なり意見を申上げておきたいのですが、自治法改正議運できまつたようですし、一括するとして、非常に延びれば、あとのものをそのまま放置しておいて、それが出てからということになると非常に遅れると思う。そこで税法の問題だけを取上げて税法財政法だけを切り離して本委員会で先に審議されてはどうか。こういう問題については理事会でお諮り願つて至急に御決定願つたほうが私はいいのではないかと思います。  それからもう一点自治庁長官に、只今事情はわかりましたが、三月の終りになつて自治法が出るということになると、これは府県としては若し分割すれば、大よその見当はつくでしようが、税法財政法だけを先にやるということについて今の情勢ではいかんことになつている。従つて自治法の問題を切り離すかどうかということは、地方財政なり税法に非常に関係があることなんですから、自治法が三月の終りに出るようなことになれば、これは延びてしまうと思うのです。そこで大よその見通しは三月の二十日なら二十日というようなふうに責任を持つてお話ができるかどうか、自治法の問題……。
  9. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大体財政平衡交付金のほうはもうお出しできる段階になつて参つておりますから、それではこれを早急に出しまして、そうしてこれと税法とで御審議を開始して頂いて、自治法のほうは二十日までに何とか、衆議院のほうもありますので、遅くなるかも知れませんか、もつと早く出せるよう極力努力いたします。
  10. 島村軍次

    島村軍次君 委員長のほうは大体どういうようなお考えですか、
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) 私のほうは確かに今島村君のおつしやる通り公布期限あたりを勘案しますと、もうこれは審議上非常に遅れておつて或いはその公布の期日までに間に合うかどうかということは見込がつきません。ただ問題はこれはとまだ付託されておらないのだから、ここに自治庁から話がないわけです。いわば未定法案で、勿論これは委員の手許には法案として出ておりますが、やはり議運のほうでこれは本会議に上程すると決定しているのですから、議運のほうでどうしてもやはりこれは考えて、そういうような事情政府のほうで官房長官から一応議運に言つてもらつて、これは議運のほうで解いてもらわない限りは、こちらのほうはどうしようもない。委員会としては非常に心配しているだけの問題です。心配しているから特にあなたのほうに委員長から予定日を聞いて、これでいいですかというようなことをこつちから言つたような次第であつて、それは当然あなたのほうで御心配なさつて、やはり官房長官あたりに代弁さして、議運のほうに申込んでもらわなければ困りませんかと、私たちの側から心配しているわけですよ。
  12. 島村軍次

    島村軍次君 蛇足のようですけれども、地方自治法改正は非常に財政法税法関係関連があるのですから、これは今委員長お話のように、議運でそうきまつているのですから、早く申入さして進めて頂かないと、切離すなら切離すなり、政府方針をきめられて、至急に善処されんことを希望いたします。
  13. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはそれでは党とも相談いたしまして、そのように極力議運の御了解を得るように運びたいと存じます。
  14. 堀末治

    堀末治君 長官よくおわかりの通り、ここには警察法という大きな問題がかかつておる。それですから、あれといろいろと絡んで来ると思う。こつちにもあつちにもとやつておられないものが多いから、この前の税法改正以来の大きな改正ですし、大分議論があるわけですから、できるだけ一つ都合して、早く本会議に上程されるようやつて頂きませんと、ちよつと面倒ですね。問題がなければいいですが、相当御承知通り多いですからね。そうすると何とか、二十日なんと言つたら遅すぎるので、早くやつてもらわないと……。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの島村委員の御発言関連するのですが、普通の場合なら地方自治法の単なる一部改正というような問題と税法財政法なんという問題とは切離してやつても大して差支ないという場合もあると思うのです。ところが現在伝えられている自治法改正内容というのは相当重大な内容が伝えられているのです。特に先日の委員会でもちよつと長官の御見解を質したように、地方自治の一番中心と言いますか、根幹と言いますか、それほどの比重を持つている知事の公選制を廃止するとか、或いは廃止しないまでもそれへの足固めくらいは今度の自治法改正でやつておくのだというようなことさえも伝えられているし、又その他中央行政改革の問題と関連して、中央地方事務配分の問題、又地方団体相互間の事務配分の問題であるとか、いろいろな点において単なる一部改正でなしに、相当大幅な、画期的な改正が行われるというようなことも我々は聞いておる。それだけにやはり非常に財政面にこの自治法改正内容というものが響いて来ると思う。どうしても先ほどおつしやつたように、切離すとか切離さぬというようなことは、これはまあ極めて便宜的な問題でありまして、我々としてはやはり本筋の進め方を極力やりたい。又やるべきだと思いますので、自治法改正につきましても、一つ昼夜兼行でお急ぎになつて、今の目途として何日くらいまでに出せるかということを一応もう一度聞いておきたいと思う。
  16. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私もそのように感じますので、これは担当の行政部事務の進め工合をもう少し検討いたしまして、お答えいたしたいと思います。
  17. 島村軍次

    島村軍次君 私も蛇足でありますが、今の問題を補足いたしたいと思いますが、自治法改正というものがやはり基本になるのですから、むしろ財政法税法あとで、自治法改正というものを主体にして考えれば、我々は切り離すべきでないという考え方に立たざるを得ないと思うのです。そういう意味一つ御検討願いたいと思います。   —————————————
  18. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは議題に入りまして、昭和二十九年度地方財政計画に関する件を議題に供します。  前委員会ではこの三党協定、今回の予算修正の項目に対する地方財政計画に影響を及ぼす諸点について質疑が行われておりますが、それに関連いたしまして……。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 この前の委員会財政部長から一応三党修正内容を極く事務的に説明願つたんですけれども、この問題はやはり予算委員会等におきましても大きな政治問題として取上げられておりますし、又本年度の地方財政計画に対して相当な変動のある問題でもありますので、この際自治庁長官から一つこの三常修正の問題について詳細なる御説明をお願いしたいと思います。
  20. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) まあ詳細なというお尋ねは、どういう点を細かにというお考えでいらつしやるのでありましようか。内容説明は恐らく私が申上げるよりも財政部長から申上げたことのほうが詳細ではないかと思うのでありますが、ただまあこういう修正が出て参りまして、これが本きまりになりますまでのいきさつでありますけれども、私も修正意見衆議院側に出て参りましてから非常に心配をいたしましたのは、何にいたしましても、今の地方財政計画が大体の数字をもうきめてしまつてから、いろいろな点で地方財政に更に困難が加わるような修正、例えば税法の中の固定資産税の面の修正でありますとか、そういうものがたくさん出て参つておるわけであります。それから例の揮発油譲与税の四十八億の紐付きの問題とか、だんたん地方財政計画に困難が累加して参つて来ておるような状態なものでありますからして、又今度の修正でそれが一層しわが寄つて来るというようなことでは、もうとても地方財政計画として自分としては責任を持てないということを強く閣議においても発言をいたしまして、御承知のように当初約二十八億くらいはどうしても地方財政負担が出て来るだろうという見通しの当初の修正予算を、まあこのような点で漸く解決をしたということになつておるわけであります。  まあ、この計画では一応地方財政負担増が四億一千二百五十一万円ということになつておりますけれども、まあ成るべく地方負担のかからないという形でこれを処理して持つて行きたい、こういうことでこの問題を一つ運営の上で善処して参りたいと今は考えておるわけであります。なお、個々の点がどういう考え方であるかというようなことでありますれば、お尋ねを頂いて、更に重ねてお答えを申上げたいと存じます。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 今の最後の問題ですが、その点を更に御説明願いたいと思います。
  22. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 最後の点とおつしやいますのは、この四億の負担増をどういう工合解決したらいいかということ、これは御承知のように四億の負担増が出て参つております部分は、最後には起債で以て、政府資金を付けたもので以て解決をしてもらうということに今のところ考えておるわけであります。それは大体大蔵省側とそのような話合いがついておるわけであります。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、これが現在今度の地方財政計画予定されている地方債の枠にこれだけの枠がプラスされるということですか。それで地方債の枠へ割込んでやつて行くということになる虞れがあるんじやないですか、その点をお願いいたします、
  24. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはこの部分だけは枠にプラスをして考えるということになつておるわけで、むしろ運営の上で一番困難をすると思いますのは、簡易水道施設費の国費四億円、これに対して本来から行けば十二億地方負担がなければなりませんのを、一応六億ということでこれを計算いたしておりますので、ここのところにもう一つ困難が残つておる。これは併し話合いの上におきましては地方負担を伴わない、地方団体にこの部分補助をつける、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連しまして、自治庁から出ているこの資料によつて単独事業費、これが十八億減じているのであります。これは一体どういうふうなことになりますか。
  26. 後藤博

    政府委員後藤博君) この前ちよつと御説明を申上げたんですが、危険校舎復旧事業費というのがありますが、これは三分の一補助であります。ところが補助事業とこれは単独事業と二つありまして、現在の起債計画の中に単独事業として約二十億くらいのものが入つておるわけであります。補助を伴わない分としての危険校舎分であります。その二十億のものが振り替つて行くわけであります。そのうちで補助事業に変つて行くものが十二億ある、それから補助金の分が六億ありますので、合せて十八億振替つて行く、こういう恰好になるわけであります。従つて十八億の減、こういうことになるわけであります。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、振替りによつてこの単独事業が停止してしまうとか、打切られるということはないんですね。
  28. 後藤博

    政府委員後藤博君) 振替つて参りまするので、結局単独事業補助事業振替つたということだけで、事業分量は殖えないということであります。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 減らないんですね。
  30. 後藤博

    政府委員後藤博君) 減りません。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 何か新聞で見るというと、地方負担が三十億だとか三十八億だとかいうようなことが、これは実際において四億一千二百五十一万円に減つたんですが、これはまあ結構なことだと思いますけれども、何かそのために地方のほうの事業が非常に減殺されたとか何とかいうふうなことはありませんか。
  32. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは当初出た三派修正案通りで行きますと、先ほど申上げましたように二十八億の地方負担ということに計算はなるわけであります。私どもが計算しましたのでは初め五十億くらいになるという計算でありましたが、だんだんと内容を検討してみますと、二十八億くらいということになつたのであります。二十八億でも勿論今日の財政計画では措置をしてもらわなければ全然できないということを強く私が閣内において突つ張りまして、それでその後各党間においていろいろ話合いをしてもらつてここまで持つて来てもらいましたので、併しそれは別に書類の上でこしらえたということでなしに、地方負担の伴う形であつたものを伴わない形に直してもらつた、その中で今も問題になつた危険校舎のように実は直つた従つて補助が付いたけれども、仕事量は減りはしなかつたが別に殖えないという形も出て参りまして、この程度の負担増でおさまつたのです。それからもう一つは先ほど申上げました簡易水道などの場合には、一部分地方負担の伴わないところでこれは補助を付けると、こういうようなことで二十八億の予定であつた数字が四億に直つた、こういうことであります。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは、財政計画全般に三派の修正がいろいろまだ関連して来るだろうと思いますが、一般問題に入つて質問してよろしうございますか。
  34. 内村清次

    委員長内村清次君) 結構です。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは昭和二十九年度の地方財政計画一般につきまして二、三お聞きしたいと思つているのでありますが、先ず第一に、先般長官からも財政計画について要旨の説明がありましたのですが、先ずこの財政計画を策定するいわゆる根本的な考え方でございます。その点について伺いたいと思うのでありますが、この財政計画の策定の仕方は基本方針としては先ず調査会答申を十分入れて、そして従来の財政規模を是正した上に二十九年度のこれを立てて行く、こういうふうに私は承知しておるのでありますが、そこでその問題を考えてみますと、従来の財政規模を是正するという建前は、いわゆる二十八年度の財政規模というふうなものの上に立つということになるだろうと思います。ところが長官もよく御承知通り在来地方財政においては赤字赤字を重ねておる。そういうふうないわゆる腐つたような土台の上に更に建築を施して行くということは、これはちよつと我々としては考えものだ、在来非常に問題になつておる点がその点なのであります。殊に二十九年度の地方財政計画というものは先ほども話がありました通り、今地方のいわゆる行財政についていろいろな改革を施そう、こういうふうな立場にあるのでありますからして、これは在来二十八年度の財政規模計画を立てるとか、或いは二十七年度も立てたという場合とは私は少しく意味が違うのじやないか。そういう点について今まで通りと何ら変りなくやはり前のを是正してその上に立てて行く、こういう恰好をとられているのは甚だ以て我々としては解せないところであります。これにつきまして長官の御説明を聞くわけなんでありますが、現に長官説明の中にも、現在の地方財政計画に明らかに算入漏れ又は算入不足となつておるというようなことを調査会から指摘されておる、これくらい財政計画に対しては不十分なものであるということを認められておるのでありますから、二十九年度の財政計画についてはもつと慎重に別な角度からいろいろ検討して考えらるべきじやなかつたか、これらに関して御答弁を願いたいと思います。
  36. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それはお尋ねの焦点がどこにございますか、ちよつとつかみかねておるわけでありますけれども、今年の地方財政計画を策定いたします、つまり国予算を組みます場合の地方交付税その他のいろいろな地方から出て参りますものを最終決定いたします場合に、私が強く主張いたしましたのは、何にいたしましても、今年はこういう緊縮財政を組むという根本方針になつて参りましたもので、非常に当初考えておつた考え方にはこれを主張し通すのに困難な面がありましたのでありますが、とにかく制度調査会答申考え方もそうでありますが、私も事実その通りだと思うのでありまして、今までの財政計画基礎にして、それに財政需要というものをプラスして伸ばして行つたというだけのものでは、これはとても財政運営はつかない、殊に更にプラスして緊結を更にその上にしようということであつたのでは、とても自分としては地方財政計画運営責任者としてやつて行く見通しが立たない。であるからして国が中央財政計画を極力緊縮して行くと言われるなら、地方も又それに調子を合して緊縮するという考え方について自分も異論はない。極力協力して行くつもりであるか、それならばなお更一層今までの財政計画の上にあつた穴だけはとにかくここで埋めて行つて、そうして埋めた上で今度全体を眺めて、国の方針と歩調を合して緊縮をするという方針に是非してもらわねば困るということを繰返して強く大蔵省と折衝しました結果が今度のことになつたわけでございます。只今若木委員からの御指摘は二十八年自体が調査会でも指摘のように非常に穴のあるものである、それの上に二十九年度の財政計画を積立ても満足なことができないのじやないかというお尋ねであつたようでありますけれども、その二十八年の土台の悪いところ、腐つているところは実は不完全ではありましたが、二十九年度は先ずそれを直して、その上に積重ねをして行つたということになりますので、これは財政計画の過去何年か立てて来た前年度の既定財政規模の上にプラスマイナスして行くという行き方は、ちつよつと今の段階ではこの方法によらないと数字の出し方が適切な方法はないものですから、その点は踏襲をしたわけでございますけれども、今申上げるように、その点は踏襲しながらも直すべき点は直して、そうしてその上に最近のやり方でプラスマイナスをして、それにプラスマイナス方針と合せた緊縮を盛込んだ、こういう考え方でいるわけであります。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、今のこの大臣の答弁考えて見ますと、これはまあ昨年度において穴のあいておつた、いわゆる既定経費是正額として百四十九億円を考えたのだが、これで調査会指摘した分に応えられるし、一応そういう点は十分穴埋してその上に立てた、こういうふうな御答弁であつたようでありますけれども、これは確かにそういう面は一部私は考えられると思います。併しもつと根本的にそういう穴がどこから来ているかということを考え行つたときに、これは地方の本当のいわゆる基準財政需要額の上に立つて、その上に立つて平衡交付金なり、そういうものを交付してやつて来たかどうかという問題が私はあると思います。その問題を考えずして、ただ単に算入漏れであるとか、算入不足の分を入れて見たところで、これは一時のいわゆる穴埋めであつて、弥縫策であつて、根本のものは解決されない。やはり二十九年度においても在来と同じようなこの問題が残つて来ている。赤字が再び又考えられる事態が来るのじやないか。こういうふうに考えますので、どれだけの一体そういう方面に対する自治庁としては検討を加えられたか、この点をお伺いしたいと思います。
  38. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点は、実は先般例の知事公選制の御質問を受けたときに、こういう考え方を私が持つに至つた理由の一つとして申上げたと記憶しているのですが、実は御指摘になられた通り、私もこの財政計画で果して二十九年以降は赤字が出ない地方財政の現状というものが出て来るだろうかということになると、非常に実は疑問を持つわけであります。そこでそういう問題が、つまり地方財政赤字と言いましても、御承知のように全部の地方団体が同じ比率で赤字を持つておるわけではありませんので、特殊の団体に赤字が出ておる。而もその団体数がだんだん多くなり、その金額もだんだん殖えて来ておるという現状になつておると思います。そこでその原因がどこにあるがということを考えましたときに、勿論一部分はこの是正された穴からも来ておると思いますが、まあそれはそれで直す。それからもう一つ部分はやはり地方団体の相互間の配分が十分でなかつたという点にもあつたと思うのであります。その点はかなり今度は財政計画、税制計画を通して相当程度一応是正はしてみた、こう思つておるわけであります。全体の足りない部分をこういうように或る程度補い、それからして配分の点のまあ是正をしてみて、どんな工合に今度の二十九年度の地方財政の現状が個々の地方団体について出て来るかということを実は私も非常に期待を持つて計数を弾きながら今考えておるのでありますが、どうも私が当初考えておつたように、これですつぱりとどこにも赤字が出ないという実情が出て来るかどうかは、これは私も疑念を持たざるを得ない状態になつておるのであります。ただそこのところから参りますと、あのときも申上げましたように、実は今の自治団体のあり方、機構、そういうものにも若干の原因があるのじやないかということで、その面ももう少し考えてみなければならんじやないかと、まあこういう感じを実はいたしておるのであります。かたがたこの機会に、それから又昨年中しばしば過去の赤字はこの機会に整理をしたいということを強く申上げておつたのでありますが、これは実は実現できておらんのであつて、私も努力の十分でなかつた点に申訳ない気持を持つておるのでありますが、一つ財政金融計画がこういうふうに非常に詰つたということと、かたがた今申上げたような一応の手を打つてみたからどんな工合に結果が現われるかということを見た上で、もう一度一つ考え直すということも一つ考え方であるなという感じで以て、一応この点は見送ることになつておるのであります。併し将来の問題としては、過去の赤字は是非これで行けるという見通しが立つならば、又その見通しを、足りない分があるならば今後も立てて、一緒に整理をして、財政状態をすつきりしたいというふうに考えておるわけであります。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 私もその点を、過去の赤字というようなものをどういうふうに整理されるかということについても伺いたいと思つたのですが、今の御説明で大体わかりました。ところが、併し今の御説明では非常に私は頼りない。そういうような感じがするわけでありますが、もつと的確な、自治庁としては今二百億と言われ或いは五百億と言われておるのでありますが、この問題をしつかり解釈することが自治庁一つの大きな責任の問題ではないかと、こういうようにも考えられるのであります。  次に伺いたい問題は歳入の方面でございますが、この計画におきまして大体これは二十九年度の予算説明書を見ますると、財政需要増加額が四百八十九億ある。これは予算のほうで出した説明であります。内訳はいろいろありまするが、それに対して財政収入の増加額が八百三億あります。増減を精算して行くというと、差引き歳入の超過額が三百十四億、富裕団体の関係を差引いて純増としては二百九十九億、こういうようなことが出ております。そこで今度平衡交付金に代つたいわゆる交付税交付金、この減額に百六十億を充てる。それから地方起債の減に百三十九億を充てて行く。そうしてバランスがとれる。こういうふうに一応出ておる。そこでこの問題の財政収入増加額が八百三億ということには、これは税収の相当増を見ておられるものである。これは果して見積られたことくに地方税の収入がそのように増額されるかどうかということは私は問題であると思う。これは地方税の税収額としてあなたのほうで考えられておるのは三千四百七十四億、これは見積り過大ではないかということは、これは知事会議あたりでも相当心配しておる点であるし、同時に又調査会あたりの見方もせいぜい三千三百億ぐらいの程度のものではないか、こういうような見方をしておる。これが若し見積り過大であるということになれば地方財政計画というものはがらりと崩れて来るし、地方財政も非常に苦境に落ちて来るというように考えられるのでありますが、これだけの見積りをされた根拠、この点について伺いたいと思います。
  40. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) そういうふうな点はちようど財政部長がおりますから御説明申上げますが、全体としての感じで、私は今年の税収に関してはむしろそんなに無理をして見積つてあるというよりも、幾らかまだゆとりも出るのじやないかという感じを持つて見ておるわけであります。これは国の税収も私どもが見まして、幾らかまだゆとりを見ておるのじやないかという感じを持つて見ておるくらいでありまして、従つて国の税収を基礎にしていつも出て参ります。我々のほうも相当程度、相当程度と言うほどには参りませんが、そんなにこの数字よりも欠けて来るということにはならんのじやないかという感じを持つておるわけであります、ただその中の個々のものについて、或いは相当地方団体においてこの税法通りの線に強力に徴収を進めて行かないと予定通りに行かないというのも出て来るかも知れませんが、計画自体にはそう無理をした見積りはしていないと、こういう感じであります。なお財務部長から詳しく御説明申上げます。
  41. 後藤博

    政府委員後藤博君) 税収のうち、例えば府県税で申しますと、大きな税は府県民税と事業税と遊興飲食税であります。そのうち府県民税は市町村税に乗つかつております。これは前年の所得を基礎にして計算をしておりますので、私どもでは過大見積りにはなつていない。これは大蔵省の実際の本年の徴税の実績を基礎にしてやつておりますので……。それから事業税でありますが、これは先ほど長官ちよつと申されましたが、法人事業税につきましては国の法人税を基礎に持つて参つております。従つてこれは私も大分圧縮されたものが法人税のほうに出ておるように考えておりますので、これもそう過大見積りにはなつていない。それから遊興飲食税でありますが、これも昨年と比べましてそうべきな開きはありません。ですから、これも大体いいのではないか。ただ市町村税の中で市町村民税は、先ほど府県民税で申しました通り、前年の所得を基礎にしております。ただ法人税割は本年の所得でありますが、これは法人税を基礎にしておりますので、そう見積り過大になつていないと思います。ただ固定資産税だけが一つ問題があろうかと思つております。固定資産税は土地、家屋とも二十八年度よりも二十九年度に多少平均価格の引上げを考えております。従つて平均価格を引上げておいて、そうして税率を落した恰好になつております。その間約九十八億の増収を見ております。これは勿論自然増もこの中には入つておりますが、固定資産税だけが多少問題があると言えばあるのでありまして、それ以外の税は大体国税の所得、国税の本年及び来年の見込をとつておりまするので、そう税収は見積り過大にはなつていない、私は十分この程度の収入はあるものと、かように考えておる次第であります。
  42. 若木勝藏

    若木勝藏君 お見込の通り行けばこれは結構なことだけれども、とにかく他のほうから批判的に見ても少し見積過大でないかというような点があるのであります。十分この点は一つあなたたちのほうでも考えてもらわなければならないことじやないかと思います。それで、だんだん細かな点に入つてお聞きしたいと思うのでございますが、それは先ずこの計画を立てる上に一応考えられたことは、大臣の説明の要旨の中にもありまするが、いわゆる人員整理という問題であると思う。これにつきましていろいろ伺いたい思うのでありますが、先ず一般職員の人員整理につきましてパーセントをきめてあるが、これらについての根拠ですね、これを伺いたいと思う。
  43. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今資料を取寄せまして細かく申上げますが、大体の考え方といたしましては、一般職員部分は大体国と歩調を合せる。それで国の全体の平均がどれくらいになつているかということと歩調を合せて大体の目安をつけておきまして、そうしてそれを各府県及び市町村の区分区分によりまして、この辺にはこの程度の率、この辺にはこの程度の率というふうに、ずつと総合的に睨み合せて行つて最終的な数字というものをつかんで参つたわけであります。それからして教育職員部分につきましては、これは当初は別の考え方をしておつたのでありますが、いろいろ文部省側と折衝し、又文部省側の意向を聞いた結果、やはり現存するものを整理するということは非常に困難な段階にあるだろう。と申しますことは、若しそういう工合にいたしますと、現在の教育職員、中小学校の職員の定員はやはり一応今の学制というものを基礎に置いて定められた考え方従つて積上げて行く式になつているから、それを根本的に直すことなしに数字だけを例えば理論学級一学級あたり一・八を一割落す、一・五を一割落すという考え方でいかないであろうということを文部省側が強く主張しておりまして、尤もだと思われる節があつたものでありますから、それでは一体現在実員がどれくらいあるだろうかということを検討いたしまして、そしてその実員をつかみ、それからしてその実員に対して実員だけではとても操作ができるものではありませんからして、実員に対して約一%の余裕を見て、欠員の余裕を見てその上に今年新らしく児童数の増加によつて増加しなければならない数字というものをつかまえて、それをプラスして、そこで一応の二十九年度の定員を押えておこう、あとは本質的に今度考え直した段階にそれと又別の考え方をするならするで、一応この通りにしておこうということで、教職員部分の定員の数というものを算定したわけであります。
  44. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ず私の質問した第一点は、長官説明されたこの要旨の中にもあるのでありますが、道府県及び五大市の一般職員について五・五%、市の一般職員五%、町村の一般職員は平均一・七%の整理を見込むと、こういう五・五%であるとか、五%であるとかというこの数字は何によつて一体出されたものであるか、その点を伺つておるのです。
  45. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は先ほども御説明申上げましたように、国の大体の制度と、それからして国の整理率と、その国の整理率をはじき出しましたやはり細かいいろいろな計数の資料があるわけです。簡単に申上げますならば、国の国家公務員のいろいろな整理可能の度というものを頭に置いて五段階に分けまして、そして例えば本省におります一般官吏の職員ならば相当程度の整理ができるだろうと考えられるからこの点は二割、二〇%、それから只今の末端の学校の先生方でありますとか、それから病院の看護婦さん、お医者さん、そういうところは殆んど整理が困難ではないか、又検察庁の検事、そういうものは最低の率の二%というような整理率を頭に置きながら五つの段階に分けたわけです。そうして各省の大体の整理の予定人員を出してみまして、その上でそうは言つても個々の部分は、絶対に削れないという部分はそれぞれの省の意向を聞きまして、当該省の意向を入れて逐次そのはじき画した数字から減じて参つたわけであります。そして国の全体の整理率というものが出て来たわけでございます。そこでまあ地方職員の場合においてもその点で一般の国の整理率を頭に置きまして、同じような考え方でずつとこの府県市町村のいろいろの職員の整理の率というものを頭に置きまして、それを総合して行つて全体との比率を見たのがこの五・五%という数字になるのでありまして、ですからして五・五%というのは一つは国の全体の今申上げたような結果として出て来た整理率を頭に置き、一つはその国の整理率を出すときに考え考え方を基準に置いて、両方から寄せて来て大体この辺だということで五・五%という数字を出した。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  46. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで、問題は国の整理率という問題になつて来るのでありますが、これは一つの行政を進めて行く上において、まあ合理的に考えましてこれだけの定員、これだけの人員というような方面から行けば、それは私は間違いないものだと思うのです。ところが私の心配する点は何か衆議院予算委員会でも大臣は答弁されているようですが、公務員一人整理するというと二十二万要ると、そうすると十五万整理すれば三百三十億ですか、これだけのものが要る。そういうふうなものをいわゆる一兆円予算の枠内から締出すというふうな考え方があれば、これは非常に問題だと私は思うのですが、やはりそういう点もあるのではないですか。
  47. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは行政整理をいたします一つ考え方に、この国民負担が非常に重くなつていると、従つて国費をできるだけ節約しなければならないという考え方もあるわけでありますけれども、併しその考え方だけで今度の整理をいたしたわけではないのでありまして、やはり行政整理は国民全体に役人が多過ぎるというこの直覚的な見方、考え方をしていられるし、我々も部内でいろいろ見てみて、もう少し人間を減らしても、もう少し頑張つてつたならば、減らした人間を以て能率を落さず、従つて国民に対するサービスを低下することなしに行政機構の運営、行政事務運営というものがやつて行けるのではないかというように考えられますのですから、その両面を頭に置きながら整理人員というものを出しましたわけであります。まあそういうふうにあれをしますのですから、重点はむしろ国民のそういう役人が多いという感じに、私は整理をいたします場合には重点を置いたのでありまして、これだけで以て費用を節約しようという点には第一次的には重点は置いておらなかつたわけであります。で、今年は特に緊縮予算でありましたけれども、行政整理の面におきましては、先般の衆議院予算委員会でお答えいたしましたように、今年はほんのもう三、四億という程度の予算の面のプラス縮減しかできなかつたわけでありまして、これが平年度化した場合に、大体国の場合には百五十億くらいという今計算上の数字を持つているわけであります。そういうような状態でありますので、繰返して申上げますが、国費を節約するということは第一次的には今度の整理には重点に置いておらなかつた。もう一つの側面的な証拠といたしましては、退職金でありますとか、それからして待命制度、それから年次計画というものも考慮に遣いて、現実の整理が無理なく行われるように、いろいろな計画を総合的に考えた点でも御承知頂けると思うわけであります。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 更にその点についてお伺いいたしますが、そういうふうにしていわゆるこの整理されたところの人間の行き場所と言いますか、それがどこに落着くかというふうなことについて政府としてはどういうふうにお見通しを持つておられますか。
  49. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは過去幾度かの整理においても同じように問題になつた点であると思うのでありまして、又過去幾度かの整理においても同じような手をいろいろ打つたわけでありまして、これは行政管理庁長官としての私だけの考え及ぶ問題でもありませんし、又従つて私だけが負わなければならん責任ということでもない、内閣全体として当然考えらるべきものと思うわけでありますが、ただ行政整理を担当する私の立場として考えられます最大の手といたしましては、一つは内部でできるだけ配置転換をして行く。それから整理をするときに成るべく困難のない人を選んで行くというようなことも考えるわけであります。それからやめられたかたがたに職業補導の面で労働省の力を借りてお世話して行く。又再就職の面のお世話をして行くというふうな、一応行政整理の担当長官として考えられるたけの方法は併せて考えまして、これらの人たちがとにかく成るべく近い将来に又安定した生活の途を得られるようにということを考えておるわけであります。併し、それから先の大きな全般的な問題といたしましては、これは私は国全体の産業政策、人口政策、そういうものに繋つて行くと考えますので、これは、内閣全体の方針として閣員の一人として努力をして行きたいと、こう感じておるわけであります。
  50. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは次に教職員の整理の問題につきまして、少し細かくなりますので、財政部長のほうに伺いたいと思います。これはあなたのほうから出されたところの資料に基いて伺つて行きたいと思います。  国初第二十一号ですか、それから自己財発第八号、昭和二十九年の二月二十三日に文部省事務次官、自治庁次長、こういう方面から各都道府県知事、それから各都道府県教育委員会に出された通牒でありますが、「地方公務員の人員整理に関する閣議決定に伴う小、中学校教育職員の取扱について」、この資料に基いて伺いたいと思います。先ず、この問題で一番うしろのほうの別紙参考資料、ここで伺つたら非常にはつきりするかと思うのであります。これによりますと、従来の方式と今回の方式と二つに分れている。従来の算定方式によるところの定数というものは、いわゆる小学校は児童数に五十分の一・五、これはたしか五十人という理論学級に対して教員を一・五置くことだろうと思います。それから結核の補正、三十三万六千六百五十八人、中学校も同様にして計算が出ておる。ところが(ロ)として同上の方式によつた場合に二十九年度はどういうふうになるか、こういうふうなことが出ておる。そうすると、小学校においては二十八年度のこの既定数が三十三万六千六百五十八人なのに対して三十五万三千九百六十九人という非常にこれは殖えることになる。中学校も同様でございます。ところが今回の算定方式によるところの定員数というものは遥かにそれを下廻つて来る。つまり先ほど大臣からも説明がありました通り、二十八年度の実員、これに対して児童の増加に伴うところの定員の教員数の増加、それから欠員の一%の見込み、こういうことになりますというと、三十三万一千二百八十七人になる。これは前の計画に比べまして二万六千三百四十六人で約五%減つて来る。これは非常に私は定員の問題として大きな問題だと思うのであります、五%減つて来るということは……。こういうふうなことはいわゆる自治庁であるとか大蔵省であるとかいうふうな方面で単独に決定さるべきところの問題ではないと思う。いわゆる財政の上からこういうことを決定すべきものではないと思う。教員の定員を確保するということは教育上非常にこれは重要な問題でございます。ところがこういうところの今回の算定方式をどうしてとられたか。その間において文部省或いは大蔵省自治庁の間にどういうにふうな一つの協議が行われたか、そういう経過について先ず伺いたいと思います。
  51. 後藤博

    政府委員後藤博君) お説の通り二十八年度と二十九年度との算定の方式を変えたのでありますが、これは二十八年度から義務教育費半額国庫負担法が施行されましたので、実際の実額というものがはつきりわかつて参りました。それから定員も実員もはつきりわかつて参りました。従つて我々財政計画としては現にあるところのものを基礎にして財政計画を立てることが必要である、かように考えまして、当初から実員を中心にした計画に置換えたのであります。その間文部省及び大蔵省それぞれに勿論相談をいたしておりまして、この点については別に私どもそう強い反対があつたとは思つておりません。ただ抑制する人員につきましてはいろいろ意見がありましたけれども、方式そのものについでの意見が、そう強い反対意見があつたようには考えていないのであります。で、財政計画としては、現実にあるところの数を中心にして増員を考え、そうしてそれに欠員数も加えたものをとつて行くことが私どもはいい方法ではないか。理論定員数につきましてはいろいろな問題のあるところでありまして、理論定員そのものにつきましても私ども問題があると思つております。従つて一応あるべきものとして考える場合には定員を基礎にして、理論定員ではなくて実学級数を基礎にしたところの、推定実学級数を基礎にしたところの増員を考えて行くのが筋ではないか、かように考えたのであります。理論定員一点張りで参りますると、いろいろな問題が個々の府県で起つて参ります、従つて私どもは文部省に早く定員をきめてもらいたいという要求をしておるのでありますが、その定員というのは理論学級数を基礎にした定員ではなくて、実学級数を基礎にした定員をきめてもらいたい、こういう要求を続けて参つたのであります。その要求に対応して私ども財政計画としても実員を基礎にして、その上に推定実学級数を基礎にした増員分を考えて行くという方式のほうが、より地方団体財政需要に近くなつて行くのではないか、かように私どもは現在考えておるのであります。残念ながら文部省のほうで定員をきめるというはつきりした腰を上げてくれないので、私どもも困るのでありますが、そういう実際の数字を捉えて行くのが財政計画上必要であるという観点からこういう方式に直したのであります。
  52. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のあなたの御説明で理論学級なんというようなことよりも、実員、実学級の上に立つて定員なら定員を確保して行くということは私もそれは正しいと思います。その行き方は実際に合うと思う。併しその場合においてただその当時の実員の上に立つて行く、実学級の上に立つて行くとしても、その場合には一体一学級に対してどれだけ、一・五なら一・五というふうにこの先生を考えて行くか、或いは一・一ぐらいに考えて行くかによつて非常な狂いが出て来る。そういう点から考えまして、あなたのほうでこれは今のあなたの言ういわゆる地方の実情に合うという建前に立つて、実員の上にやろう、そういうふうな考えだ、そういうふうなときにおいては一学級に対して小学校はどのくらいの定員の確保になりますか。
  53. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは増員の場合に私どもが考えたのでありますが、増員の場合にまあ文部省は別の考えがあるかも知れませんが、私どもとしては現在の義務教育の半額国庫負担法の政令でありますかにありますところの、実学級に中学では六分の九、小学校では六分の七を掛けたもの、この辺が大体教員数ではないか、こういうふうな推定、これがまあ一番現在実学級に近いものじやないか、かように考えております。これ以上のいい方法があればそれは文部省として定員を作つてもらいたい。定員が若しも作れないのであれば、こういう一つの方式を考えてもらいたい。我々ははつきりした各地方団体が出せる方式を考えてもらいたい。その範囲内において定員をきめるようにすれば一番実員に近いんじやないか、こういうことを申上げているのであります。まあ文部省でも推定実学級数というものを基礎にしたところの教員数を六分の七、六分の九ではじいております。実学級といたしましてその方式をとつておりますが、そのとり方を増加人員の場合にとつて来たわけであります。
  54. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで大体あなたのほうの考え方はわかりました。そこで六分の七というのは校長が入つていますか。六学級について七人という意味だろうと思うのですが、校長は含んでおりますか。
  55. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私は含んでいると思つておりますが、間違つているかも知れませんけれども……。
  56. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうなりますとね、あなたは地方財政に合うかも知れないけれども、六分の七という七の中に校長を含んでいるということになつたらこれは大変な問題ですね。それからまあ六分の七で以て割つてごらんなさい。六で一点なんぼになりますか、一・一なんぼになるじやありませんか。
  57. 後藤博

    政府委員後藤博君) 学校数をとこれにプラスしていると思います。
  58. 若木勝藏

    若木勝藏君 学校数をプラスするというのはどういうふうな意味になりますか。
  59. 後藤博

    政府委員後藤博君) 校長は別に考えているわけです。
  60. 若木勝藏

    若木勝藏君 校長を別に考えている。そうでなければこれはもう一つの問題だと思うのです、校長を別に考えておつたとしても、この一学級当りに一・一なんぼというふうな教員の数というものは非常にこれは低い、理論学級五十人に対して小学校において一・五というふうな場合に比べてごらんなさい。これでは到底これは地方においては常にこの定員を確保して、そうしてどの学級にも欠員がないように通常保たれて行くことができないと考えております。これは非常に私は遺憾なことだと考えるのです。こういうふうな点でいわゆる定員を縛つて行くということになると、これは教育上一つの問題である、こう考えるのです。併しそれに対して文部省は余りこれに対して反対の意見も述べなかつたということになるというと、これは極めて専門であるところの文部省が教育に一体何を考えているのだ。そういうことを考えているのが文部省であつて、この頃考えているような、いわゆる教唆扇動のほうばかりやつているのは、これは文部省としてはおかしなものである。危険校舎を直したり、それからこういう定員を確保して教育を朗らかにして行くというのが、これが文部大臣の考えるべきことであるのに、こういうふうなことを自治庁に押されて、或いは大蔵省に押されてこういうものをきめているということは甚だどうも遺憾なことだ。いずれこの問題は文部大臣にも聞かなければならないと思いますけれどもね、そういうふうに考えられるのです。まあ教職員の問題についてはそのくらいにしておきたいと思うのです。  それから次に、これは二十九年度の財政計画にも関係して来るのでありまするが、義務教育費国旗負担法、この中に二十八年度は十九億の予算が組まれておつた、教材費として。それが今度の計画では十四億に落ちておるのです。まあ洛ちたということは、これはもう全く文部省に言わせるというと、理科の振興とか或いは学校図書館のほうにも考えたから、それでまあ教材費のほうは十四億に落ちてもいいじやないかというようなことも又言うようでもありまするけれども、私の今聞こうとすることは、その額ではなしに、あの義務教育費国庫負担法のときに、私もあの場合に地方行政におりました関係上合同審査に当つたのですが、あの法律の趣旨というものは教育費が常に貧弱で、そうしてどつちかというと地方団体においては他のほうに利用するために教育の教具なり施設が非常に貧弱で、通常な教育が保たれない。そういうふうなことから別枠で以て国庫負担として十九億出したというのが、これがあの法律の趣旨なんです。ところが現在地方のほうにおきましては我々の調べたところによると、まあその十九億というようなものは別枠になつておらない。地方の理覇者は当初の予算を変更して、ああ十万円来たからこれはうまいことをした。それを中に織込んで、そうしてこの前に見積つてつたところの額を減額して、他のほうに使つておるというふうな例がたくさんある。これは一体自治庁あたりから、まあ平衡交付金関係あたりを考えて何か通牒でも出しておるのではないのですか、そういう取扱をせいということは、どうですか、次長さん何かありませんか。
  61. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) そういう記憶は全然ございません。
  62. 若木勝藏

    若木勝藏君 文部省のほうからは相談を受けたようなことはありませんか。これは平衡交付金あたりと関係して来るのですが。
  63. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 私は直接そういう話は承つた記憶はございません。
  64. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではこの問題は恐らく文部省のほうからそういうふうな通牒が出ていると思いますから、こちらのほうに全然そういうことがないとすれば、向うのほうに又伺つてみたいと思うのですが、差当つて私が伺おうとしたことはそれだけですが、早急の問題で伺いたいのは、今度の第三次の補正予算で以て富裕団体に義務教育負担費を二十八億か何かやるというふうになつたが、それは法律が審議未了になつたためにそうなつたわけです。ところが富裕団体のほうだけ組んで、そうして現在において道府県に渡してある部面が少いために三月の俸給も払えないという所がある。これは全国調べてみると約十億、北海道は一億五千ぐらい足りない。この問題は自治庁としてこれは精算してくれるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは御承知のごとく建前が実支出額を基礎にいたしまして、その半額を国が負担をするという建前でありますから、従つて精算した上で当然国は出すべきものを出さなきやならんわけであります。ただその間の繋ぎをどうするかというような問題、只今指摘のような事態が現にございますれば、そういうふうな問題が起るわけでございますが、その点は速かに文部省或いは大蔵省に私どものほうとしても十分連絡をいたしまして、遺憾ないようにいたしたいと考える次第であります。
  66. 若木勝藏

    若木勝藏君 この問題は私は地方団体としては、それでなくとも赤字が多く出て困つておるのでありますから、実際においてまあ北海道あたりで一億五千万も不足になつていて俸給も払えないというような事態は大きな問題だと思うのです。文部省はそのうちに何とかするだろう、大蔵省は何とかするだろうというようなことではいかんと思う。これは地方団体財政上、自治庁としても急速にこの問題の解決に当つてもらわなけりやならん。必ずこれは地方財政のあれに皺寄せが来るのですから、地方負担に落されてしまうというふうなことがあつたらば大変な問題だと思うのです。今も御答弁がありましたが、十分その点を御警戒を願いたいと、こう考えております。
  67. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大体今次長からお答え申上げましたように、考え方としましては、実額ということを頭に置いているわけでありますから、それが足りないというときには当然これはまあ負担をして追加をしなければならないという関係になるわけであります。直接には文部省の問題でありますけれども、それが延いては地方財政に響いて来るところが大きいのでありますから、私どもとしましても十分関心を持つて文部省と協力をして、そのために地方財政が困難を生じないようにまあ是非努力をいたしたいと、かように考えております。
  68. 島村軍次

    島村軍次君 先の若木委員発言にありました赤字解消といいますか、現在すでに二百億と称せられ、三百億と称せられる赤字に対しての措置はしてなかつたということでありますが、実際問題として府県では繰上げをやつてその措置をしていると思うのでありますが、この問題は非常に重要な問題ですが、それは財政需要の是正に当つて、その問題はどういうわけでお考えにならんのかということを一応伺つておきたい。
  69. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは今年の財政計画の上では一般的に考えられる原因というものは、大体まあ十分ではないのでありますけれども、ここで是正をして行つたつもりなんであります。例えば今までの物件費でありますが、物件費は御承知のように過去何遍か国の節約のときに何割というようにして切つているのであります。ところがだんだん調べて見ると、その切るときは国と同じ率で切つているのですが、国のほうでは予算を組むときに物価の値上りや何かでちやんとそれは仲ばすべきところは伸ばしておいて国は切つている。ところが地方のほうはその点が十分理解がつかないままに、伸びを見ないままに切るところだけ国と調子を合しておつた。そこで物件費も一つ国と歩調を合わせて伸ばすべきところだけは伸ばして行くと、このように考えまして、そのほかにそういう感じで一般的に考えられる面は補正をして今年はまあ組んだわけであります。ただその国の場合と違いますのは、先ほどもちよつと申上げましたように、三百六十億まあ二十八年度は赤字になるのではないかという想定をしているのでありますが、三百六十億としましても個々の団体が同じ比率で赤字を出してそういうようになるわけではないのでありまして、全部の団体が同じ比率になるわけではないのでありまして、それぞれの団体に違つた形で出て来る。或るものは赤字にならない、或るものはむしろ黒字になつている、又或るものは赤字が出るけれども軽微である、或るものは非常に多い、そこでまあそういう赤字の累積をした数字がそういう工合になるものでありますからして、それぞれの団体に出て来る赤字の実態というものをつかまえないと、恐らく是正できない部分が残つて来るのではないかという感じがまああるわけであります。ところがそこのところまで行きますと、なかなかつかまえにくいのでありまして、ただ全体としてそういうものが平衡交付金なりそういう調整資金の配分の上から来ると思われる面は、今度は財政計画、税制計画を通して先ほども申上げましたように併せて是正して行く。従つて今度の私どもが考えております財政計画の上では、この配分の上にも調整が加えられて、そういうものが相当程度今度は少くなるのではないかという感じを持つておるわけであります。  ただ最後の一点として先ほども申上げましたように、それでは、これでどの団体も赤字が出ないように行けるだろうか、又出るとするならば、それは政府としてももう少し面倒を見る必要がある原因のものだろうかどうだろうかと申しますことは、逆に裏から申上げますならば、今日国がこれだけ緊縮財政を組んでおる時期でありますからして、地方もその程度は独自に緊縮の精神で以て、方針で以て赤字が出ないように努力してもらつて然るべきものでないだろうかどうだろうかという点になりますと、どうも私もはつきりとつかめないのでありまして、むしろ皆さんがたにも率直に御意見が伺えるなら非常に有難いと思うのは、先般も私が申上げましたように、どうも今のようなこの自治団体のあり方では、財政計画でどれだけ見てもやはりどこの団体かに或る程度の赤字というものは毎年出て行くことはないだろうか。そうして又こういう行き方で行く以上は、だんだんその赤字が殖えて行くという今までの傾向は、我々が赤字を出さないという努力とは別に、やはり是正されずに行くのじやないだろうかという疑念を依然として私としては持つておるわけなんでありまして、その辺が機構の面にもう一度検討を加えて見なければならんのではないかという感じを私が強く持つておりました一つの大きな要因になつておるわけであります。
  70. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、今回の財政全般に亘る改正案について、例えば府県民税を創設して、現在の市町村でとつている枠内で府県に移した。こういうことになりますと、勢い府県、市町村間の競合というものが将来の財政計画の上に出て来る。特にそのしわ寄せは市町村に来るというような弊害が起きやすいものではないかと思うのであります。即ちこの膨脹財政需要というものを国で考えておるというような問題以外に独自で、例えば富裕府県においては特にそういう問題が考えられて、その結果はやはり交付税をやつても、或いは又交付しても、或いは税をこういうふうに配分を親心でしようとしても、漸次に増加する傾向になり勝ちだと思うのでありますが、特にこの平衡交付金交付税にした場合においては、そういうふうな調整が困難になるんじやないかというふうな感じがいたすのですが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  71. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはこの平衡交付金を今度のこの改正によりまして交付税にしまして、而もこの交付税の場合には、今までの交付金法第三条にありましたように、財政需要財政収入の差額を交付金の形で交付するというあの基本考え方を一応今度はやめましたわけであります。従つて交付税の総額というものは、一応の考え方といたしましては、国の所得税、法人税、それから酒税のそれぞれの二〇%という形できちつと押えられておるわけであります。勿論本年度は若干酒税だけは率が違うわけでありますが、一応平年度におきましては、それぞれ二〇%、それでよくよくの減額、下足が出て来ない限りはこれは個々のところはかまわない、従つてきまつた総額の上で今までの平衡交付金制度が持つておりました調整作用というものを最大限に活用して行くという形に今度はしましたのでありまして、まあこの点はそれだけ地方中央に依存するという考え方を気持の上で打切つたわけであります。併し打切ると同時に、打切つて然るべき財政措置というものがしてなければならんはずでありますからして、そこの面は今のたばこ消費税でありますとか、そのほか或いは譲与税でありますとかという面で、大体或る程度今後よくよく事情の変動がない限りはやつて行けるのではないかという線を今度の財政計画で出したわけであります。  それから府県と市町村の間の関係でありますが、これは御承知のように、今までのシヤウプ勧告に基いた税制が少し市町村に片寄り過ぎて、従つて赤字赤字と言いましても、今までのここ二、三年の赤字の実情を見ておりますと、やはり府県のほうに赤字の重点があるというように考えられますので、これは一般傾向としてはやはり市町村から幾らか持つて行つて府県に移すという感じ、そうして全体としては殖やして、府県、市町村の間は今申上げるように、市町村の分を幾らか府県に移すという感じで両面の調整ができるのではないかという考え方が今度の財政計画、それからしてそれに伴う税制の改革、こういうことになつていると御了承願いたいわけであります。
  72. 島村軍次

    島村軍次君 そこで、この府県と市町村間の競合の問題は、まあそういう一つ考え方もできるだろうと思うのでありますが、市町村民税が府県に分れるということの結果は、今度の課税方法についてよほど考えなければならん問題は、財政需要を充たすために課税を成るべく余計にしたいという考え方から、それはやがてこの大衆課税に強化されるというふうなことになり勝ちだと思うのでありますが、実際問題として農村地帯ではそういうふうなことが事実問題としてよほど現われているようでありますが、その是正方法というような問題について、税法の上で何かお考えになつておりますか、どうですか。これはまあ税の関係かもしれませんが……。
  73. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) どういう点に御疑念をお持ちであるか。つまりこの府県民税を創設いたしましても、個々の住民の全体がらして市町村及び府県に徴収いたします税額というものは、今度の制度改革では少しも増減は起つておらない。増減と言いますのは、率の上での増減は起つておらないわけでありますが、ただその配分いたしました例えば府県民税を市町村の個個の人間にどういう工合にこれが割当てられるかという点に、今までと変つた形が出て来るのじやないかという御疑念であるかもしれません。そしてその場合に大衆課税という性格が出て来るのじやないかという御疑念じやないかと思うのでありますが、この点はまあ私どもその団体又は個々の市町村の総額はもう押えておるのでありますからして、個々の市町村はこれをこういう工合に村民なり、町民なりに負担してもらうのが適当であるというので、そのように配分になるならば、私は最も適当な形が当該自治団体において出て来るのじやないか、こういう感じです。併しそのために額がうんと多くなるということになれば、御指摘のように大衆課税の傾向がただ面の上でなしに質の上でも強くなつて参りますから、そういうことが起らないように先ほども申上げましたように、総額は押えておく、あとは当該市町村の判断において、最も村民なり町民の間に適切と思われる方法で配分をして頂くのだ、こういうようにまあ考えておるわけであります。
  74. 島村軍次

    島村軍次君 重要な問題として残るのは、この地方制度調査会と言いますか、神戸さんが委員長であつた時分のあの厖大な事務の再配分に関する答申が随分細かく出ておるわけであります。この全体を通じて地方財政に及ぼす影響はいろいろ考え方があるわけでありますが、これを今回抜本的に取上げなかつたというその理由について一つ
  75. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは実は私も中央地方事務配分、それから地方での府県、市町村の間の事務配分というものは、今度のこの行政整理一つの大きな項目として考えておつたわけであります。そうして又その考える場合の基本の構想としては、私は神戸報告に盛られている方向が比較的適切なものなんじやないかという考え方で、強く検討して参つたわけでありますが、何にいたしましても、機構の面のこういういろいろな改革というものは、実際にやつてみて意外な困難があらゆる面から出て参りますので、御承知のように機構の面が今度の行政機構改革ではまだ殆んど成果を挙げておらん。むしろ全体的にまだ何もされていないということを申上げるほうが適切なくらいなんでありまして、ただ併しそれでもう捨ててしまつたという感じではなしに、やはりそういう本格的に、本質的に機構に関する部分はこれは徹底的にやるならばやるというのでなければ、中途半端にやつて意味がないし、又国会側の御了承も得られるゆえんでないというように考えますので。まあ一つゆつくりともう一度取組み直してみよう、こういう考え方あとに見送られておるわけであります。併し考え方といたしましては、御指摘のような考え方は確かに持つておりますし、又是非そのように努力したいというつもりでおるわけであります。
  76. 島村軍次

    島村軍次君 もう二点だけ一つつておきたいと思いますが、一つはこの国の補助事業に関してでありますが、一つの例として問題になつております農林省の関係の普及事業の経費の問題であります。この補助率は三分の二になつておるわけであります。併し実際の支出を見ますると、これは次長でもおわかりであろうと思うのでありますが、俸給が上つて来るということが一つと、それから補助対象になつておるものの経費というものがはつきりつかめない点もあるのだろうと思うのでありますが、重要な大きなこの事務費というものを、普及事務所の運営費というのは市町村で負担をしておるのであります。これはこの農業改良助長法によりますというと、その負担の額が出ている。負担をすることになつているわけです。ところが実際はその市町村から寄付を取つている。これが総額で三億何千万ということになつておるようであります。そこで全体を通じて見まするというと、国の負担というものは三分の二であるべきものが総額の四三%に当つている。市町村はその四三%の二分の一を見るのだからというので二二%しか持つていない、義務負担が……。そこであとの残りは市町村、若しくは県費でその額をやる、いわゆる純県費で持つておるその額が率にしまして約二四%に相当する、こういうふうになつておるわけです。これらの経費は一体今度の交付税の交付の際において計算上入れられておるのかどうかということが第一点と、それから実際に持つておる純県費である二四%の経費、まあ額にして約七億ばかりの経費と思うのですが、このものは一体財政需要額のうちに計上して計算をしておるかどうかということが第二点、それから今の運営費の三億三千万円は全くこれは地元の市町村が寄付をしているのであるからつして、県費の二四%のほかはまあ恐らくこの市町村の経費のうちに計上なしに、財政需要に入れずして計上されておるのじやないかと、こう思うのですが、この三点について一つつておきたいと思うのです。
  77. 後藤博

    政府委員後藤博君) 二十八年度は御承知通り三分の二の補助であります。で、国庫補助金が十一億一千二百万円、それから地方負担が五億五千六百万円であつたのであります。二十九年度はそれが二分の一になりまして、国庫補助が九億五千八百万円、地方負担が同じく九億五千八百万円、そういうことになつております。これは財政計画上は地方負担分は勿論入つております。  それから第一点は財政計画上入つておりまして、交付金の計算の場合にもやはり入れた計算をしております。ただ入れた計算をしておりますが、お説のように補助単価が低い上に、而も人数が多くなつております。従つて府県の現実の予算とは異なつておりますから、持出し分がお説のように相当あると思つております。併し持出し分は一応計画上は入つておりません。  それから市町村に負担を下しておるという場合も私ども聞いておりますが、この場合は市町村の負担は一応府県負担の建前になつておりますから、財政計画上は一応府県で負担をするという計算にしております。併しこれは先ほどもお話がありましたが、そういう消費的経費でありますとか、それから又投資的な経費でも、府県が市町村に負担を下しておるものが相当ございます。そういうものが相当ありまするので、我々は起債の面等の計算におきましては、やはり地方負担に下した分は市町村のほうで見るようにいたしております。  それからこの消費的な経費につきましても、やはり交付金の配分の際に現実の財政計画よりも市町村のほうに多少多く廻して交付金の配分をいたしております。これは特別交付金でさような操作をいたしまして、できるだけ府県の市町村に寄せるしわを少くしたい、かような措置をとつておる次第でございます。
  78. 島村軍次

    島村軍次君 この問題については、塚田長官は三党協定の際のいきさつをよく御承知だろうと思うのでありますが、今お話のように、現実の数字というものから見ますると、府県においてもすでに持出し分が七億二千万円で、パーセンテージにすると二四%を見ておる。而もそのほかにまだ三億三千というような経費を見て、市町村の財政自治庁ではおわかりになつておるとは存じまするけれどもこの経費は非常な地方の負担なんです。むしろ今の農業改良助長法による制度そのものについての批判はこの方面からいろいろなトラブルが起きておることを一つよく御承知を願いたいということと、それから現にこれだけの負担をしておるということはこれはいろいろ御計算はなさいまするが、やはり一つのしわ寄せであり、而もこれは人件費に相当するものなんです。で人件費は、事務所を運営をする費用としてこれは是非なくてはならん費用なのであつて、これを起債に持つて行くというようなことは、これは事実問題として困難であろうし、又この点は或いは将来の問題として相当大きく市町村の財政の上に癌をなすものではないかと我々は考えておるわけです。一応この点は一つ事情だけ承わつて、まあ別途に意見を持つておりますが、意見を本日は差控えたいと思います。  それからもう一つ、これは税の問題に関してでありますが、今回のこの固定資産税について特に農村地帯で問題になつておりまするのは、要するにこの評価の額の問題です。聞くところによると、約二割から四割ぐらい評価を上げられる。それは率は或る程度下げられたけれども、農村全体として四十億ぐらいの負担増加になるのじやないかということを言つておるわけです。で、東京都内のもと家屋税の際によく例になつてつたのですが、丸ビルのあの建物と、市町村の山間地帯の不毛の土地にも相当するような、草の生えるような土地も一つの基準でやられるということに対しての非常な不満がある。土地についてもそうである。例えば中央部におきましては、二、三年前三千円ぐらいの売買値段のものが現在では殆んど十倍以上に近い三万円或いは六万円というような数字になつて、土地の値段というものは非常に都市が上つて来た。然るに一律に二割とか四割の増を見られるということは、結局今度の税法でしわ寄せがこの市町村の固定資産税に持つて行かれるのじやないか。而も農村地帯においては四十億というような数字が加わるのじやないかということを心配しておるわけです。この点に対して一つ意見を承わりたい。
  79. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは先ほども財政部長から申上げましたように、今年の税制では御指摘のように確かに固定資産税に問題があると思うのであります。ただいろいろと考えてみますと、固定資産税は時価を基準にして、この法の建前からいたしまして年々上つて参つておりますし、上つて行くということのほうが正しい考え方だ、こういうように思うのであります。ただそれを上げて行きます場合に当然税負担が多くなつて参りますからして、それが他のものの上り方、例えば農村で見ますれば、米価がどういう工合に変動しているかとか、そういうことを十分側面的な考慮に入れて行きませんと、実質的な負担がうんと殖えるという形になつて参ると思うのでありますが、ただ上げて行きます場合に一律にという御意見でありましたけれども、一律には上げておりませんので、やはり余計上つておる所はうんと上げておるという結果になつておるのですが、非常に上つている所はやはりそこまで行かないものですからして、幾らか実際よりは低目になつておると、それに対しては或いはこの農村などは現実のこの上りよりは率は低いにしても、現実の動きからすると実情には割に近いところに出ておるので、都市なんかの殊に宅地なんかは相当上げておるが、現実にはもつと高い値段になつておるというような意味の若干の実情とそぐわない面があるかとも思うわけであります。まあ極力そういう面は是正をして行くつもりではおりますが、ただ併し農村なんかの場合に非常に実情を無視した評価増を見ておるというようなことは絶対にないはずでございます。
  80. 島村軍次

    島村軍次君 もう一つ直接の関係ではありませんが、来年度の予算には米価を八千五百何十円に見ておる。ところが大蔵大臣は常にこの二十八年度予算は一万三百五十七円だと言つておる。それが予算面で計上されておるのは八千五百円、そこで地方に今の固定資産税等にもまあ間接に関係を持つわけなんですが、この点は内閣全体として一体この問題に関してどう考えられるか、地方税にもよほどの関係を私は持つと思うのです。これはまあ御参考までに一つ申上げておきますから、折角長官おいでになつたのですから、これらの調整問題についてのそういう意見のあることを十分一つ承知を願いたいと思います。
  81. 小林武治

    小林武治君 私二、三伺いたいのですが、この地方財政計画というものは非常に結構にできておりますが、大体これは言つてみれば自治庁の独りよがりでこれを作つておると言うても差支えないのじやないかと思うのですが、例えば節約をこれだけしてもらうということが計画に入つておりますが、これらのことが多少地方によつて実行される目途があるかどうか、こういうことを一つつておきたいと思います。
  82. 後藤博

    政府委員後藤博君) 地方団体といたしましては、私どもの財政計画を勿論基礎にいたしまして節約を立てるわけでありますが、最近の傾向といたしましては、財政事情が非常に悪いために我々が考えているもの以上に、例えば二十八年度でありますると、それぞれの団体、全部じやありませんが、聞きますと相当の節約を、例えば一割だとか二割だとかいうふうに上廻つた節約を現在いたしております。まあこの程度の節約なら可能ではないか、すでにやつてしまつておるのも勿論ありますし、可能ではないかと私ども考えております。
  83. 小林武治

    小林武治君 これは二十九年度の例えば経常費の減をお出しになつておりまするが、この中には人件費がどのくらい入つておるかというようなことを地方にお示しになつておりますか。
  84. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは経常経費の減というのは人件費と申しますか、旅費及び物件費でありまして、その旅費、物件費の現在財政計画に入つておりますものの例えば府県は一〇%、そのほか五%というふうになつて、大体こちらのほうの計画内容も細かく示しております。
  85. 小林武治

    小林武治君 そうすると、人員整理というようなことにつきましては、中央に準じてどうこうというようなお話がありましたが、これらはどういうふうに出されるおつもりですか。
  86. 後藤博

    政府委員後藤博君) 人員整理につきましても国といたしましては、財政計画上は二十九年、三十年に例えば府県でありますと五・五%やる、二十九年は三・五%の人員整理をやる財政計画になつておる。併しそういう説明をしておりますが、ただ財政計画上は一般職員につきましては先ほど申上げましたように、整理によつて浮くところの財源と退職金とが、大体同じであるという計算をいたしておりますので、財政計画上から申しますると、そういう整理はお願いしておりますけれども、財政計画上の数字の上では整理をしない建前にいたしております。
  87. 小林武治

    小林武治君 私は実はこの自治庁の現在の地位と申しますか、職責というものが非常に心許ない、心細い存在だということを考えておるのでありまするが、これにつきまして、ともかく地方財政なりについて自治庁は或る程度心配もしてやるし、又殊に今までは平衡交付金というような制度等によりまして、地方のとにかく赤字を埋めてやる、こういうことになつておるのでありますが、赤字というものは極めて相対的なものであつて、余計使えば赤字が出る、従つてこの会計の結果等につきましても現在殆んど何らの監督権もない、こういう状態にあるのでありまするが、自治庁がいやしくも地方の世話を或る程度してやる、こういう建前からいたしますれば、もう少しこの世話の仕方といいまするか、或いは言葉を換えて言えば関与と申しますか、そういうことをする必要があるのじやないかと思うのです。そういうふうに私は思うのでありますが、今度は地方自治法等の改正案も出るのでありますが、多少そういうふうな考え方を以てやつておるかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  88. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) ちよつと今の問題でございますが、実は地方自治法改正案におきましては、そういつた点も考慮に入れて今案を練つておるところでございます。現在の程度ではなかなか世話も行き届かんし、目も行き届かないので、せめて目だけ行き届かせる方法がありはせんだろうかというので、その点は研究中でございます。
  89. 小林武治

    小林武治君 要するに私は、よそでもお聞きした話でありまするが、現在地方財政が非常に膨脹するということについては、要するに変な言葉で言えば地方がまたそれだけの自治能力が備わらないうちに、いわゆる完全自治の形を与えられたということにも大きな原因があると思うわけで、私ども多少やはりそういう感を持つておるのでありますが、従いまして、どうも私は今の自治法の程度では余りに放任、手放しに過ぎるというふうに考えておるのでありまして、何も私は中央集権を言うわけじやありませんが、実情に適するように、本当に地方地方の仕事ができるというなら結構であるが、これを或る程度補完するような作用が私はまだ自治庁に必要ではないかというふうに思うのでありまして、ただ自治庁地方に言われて、足りないないと赤字の言訳ばかりすると、或いはこれらの元を正させると、こういうふうな態度がこれは職責上乏しいのかも知れないが、そういう態度にあるのは私は非常に遺憾だと思つております。従いまして、私どもは地方の能力というものをもう少し勘案されて、そうして地方財政の世話をするなら世話をするなりに世話の仕甲斐があるように、本当に赤字が出たら赤字責任を持つというふうなことにして頂きたいと思う。又その責任を持つからには、その内容についても或る程度の関与をしなければできない。現在の状態では極めていい加減なものである。こういうふうに思うのでありまするが、その点を自治庁考えておられますか。
  90. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはこの問題をそのように御理解願えているということは、私どもとしても非常に有難いのでありまして、むしろ国会が、全体の空気としては、私どもはそういう感じで問題を見るのを絶えずそれは自治の侵害であるというように御理解されているのではないかと非常に心配をしながら物を考えておるのであります。併しそうかといつて決して行き過ぎのないように、行き過ぎには警戒しなければなりませんけれども、地方財政が完全にだんだんと言つて行くようにして行くということは是非頭に置いて問題を考えて行かなければならないという意味で、財政、税制、それから自治法全般を検討いたしておるわけであります。
  91. 堀末治

    堀末治君 先ほど来島村さんと小林さんから大変地方自治の根本問題についてお話があつたんです。私は今ここでお尋ねしたいのは、実は赤字々々ということを若木さんからも二百億だ、三百億だ、乃至五百億だとこう出ておる。それで都道府県並びに市町村で実際に赤字を出している所がどのくらいあるかというお調べがございますか。若しもそれが調べてあつたらそれを我我に資料として出して頂きたい。どこがどれだけの赤字になつているという資料一つ出して頂きたい。そうしてできることならこの赤字は何によつて大体来ているか。いろいろ制度の欠陥とか、或いは事務の配分とか、税収の不足とかいろいろございましようけれども、私の一番心配なのは、それらも根本問題ですけれども、いわゆる地方自治として中央政府の余り関与を受けたくないという以上は、どうしてもみずから立つ工夫をしていなければならないと思うのです。だから随分やかましく言われておりますけれども、地方自治体の中には頗る放漫な所もあるのじやないか。こういうことを思うのであります。実は昨年ですか、私ども四人で千葉県へ行く途中、津田沼の白鳥町長の所へ寄つて、僅かの間いろいろあそこでお聞きしたのであります、人口二万六千の町だというのに二十六人の職員で一切をやる。行つて見るというと、実に静かにして、仕事があるのかないのかわからないというような状況でやつておる。よく聞いて見るというと、一人の職員が人口千人を受持つているというわけなんです。戸籍謄本のごときも簡単な機械を利用してそうして手数料でむしろ収益を挙げている、こういうようなことで、それで非常にそこのいわゆる職員が待遇でもいいのかというと、その待遇も聞いてみたところが一万三千何ぼの待遇、年齢なんかでいつても私の会社とほぼ似ているので、案外待遇もよくない。それにもかかわらずそういうふうに静かにやつているということは私非常にいい例だと感心して帰つたのであります。帰つて実は私の市の旭川市をちよつと調べて見ますと、どうもこれははつきりした数字が出ませんけれども、大体人口三百人について一人の職員がおるように思う。いろいろ聞いて見ますけれども、どうもこれもはつきりしない。自治庁のほうにもちよつと聞いて見ましたけれども、これはいわゆるそこの市町村、或いは都道府県の規模或いは事業量によつて違うから一概には言えない、こういうことであります。それはそうだと思うのですが、でき得ることならばいろいろ経費の節約等についてもそういうふうな費目をずつと調べて見て、そうして自治庁としては、むやみに今の自治法から言えば監督などはできませんし、むやみに関与もできにくいでしようけれども、何かそういう標準的なものを調べて、そうして場合によつたら国会から勧告してやるということは、これは当然でき得ることだと思うのであります。そういう資料を出して頂いて、市としては人口何ぼくらいの所は恐らく職員としてはこれくらいの範囲ならば当然できるのだというような調査を出して頂くと、要するに国会はこれらの資料を検討し、場合によればそこの放漫な或いは市町村、都道府県知事を呼んで、そのとき厳しい戒告といいますか、勧告ができ得ると思うのであります。こうして緊縮財政をとらなければならないし、又今の日本の実情からいえばとらざるを得ない実情なんですが、先ほど御説明を聞くと、それぞれ大体のああいう数字を示したけれども、それ以上にやつておる所もまあございましようけれども、なかなか今言つたようにやつておらない所もある。私どもあたりへ陳情に来る極く貧弱な村長さんあたりでもカメラを抱えてそうして東京へやつて来ておる。何のために一体村長さんはカメラが必要かわからない。そうしてその人は、是非自治庁に行けと言つても、自治庁はもう来てもらつても受付けないというようなこともある。ただおろおろとカメラを抱えては先生頼みます。先生頼みますと言つて何日おりましたか、おるという状況、これらは誠に無駄なことだとつくづく思うのでありますが、そういう点についても幸いに自治庁はなかなか手不足でそこまで行きませんか知れませんけれども、できるならばそういう資料を出して頂きますと、今の政府の要するに職権の上からできないことでも、国会の立場からは私は十分監督もし勧告もできるのじやないか、こういうように思うのでありますから、幸いにそういう資料がございましたらお出しを願いまして、余りひどいのには遠慮なしに国会から叱りつけるというようなやり方を少ししたならば、何ほどか効果が上るのじやないか。まあこんなことも思いますので、幸いにそういう資料もございましたら一つお出しを願いまして、我々に材料を提供して頂きたい、かように思うのであります。
  92. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それは私も全く同じ感じを持つております。赤字が出ている個々の府県、自治団体をそのままみんな面倒を見てやるという考え方は絶対にとつてはならないと私も思うのです。今御指摘になりました例えば人間の使い方一つを見ましても、国の各省、各庁の行政機関の間でさえやはり厚薄があるのでありまして、まして、別々の世帯になつております自治団体というものは非常に大きな差が私もあると思つておるんです。今度の実は行政整理の場合に、一応の全体の計画は先ほど申上げましたようにこのような計画で立てましたけれども、個個にこれを自治団体にどういう工合に消化をしてもらうかということの場合には、今堀委員が御指摘になつたように、私はどこかのと申しますか、府県なら府県、市町村なら市町村、而も或る規模を考えまして、或る規模の最もうまくやつて頂いていると思われるものを基本として、それと比較をして見て、果してこの程度の人間の使い方は妥当であるだろうかどうだろうかという検討をしてみたいということを部内にも先般行政整理の案を立てますときにやかましく言うておるわけであります。それにしましても、資料を持たなければやはりなりませんので、府県から市くらいまでは大体資料が集まつておる。ただ町村になりますと全部というわけに行かんのでありますが、併し逐次調査はやつておるわけでありますから、今年は赤字を非常に出しておるような町村を重点的に先に調べて、そうしてそういう意味の検討を是非して見たい。そして赤字の原因がどこにあるかということの究明をしてみたいと思つておるわけであります。  なお、今まで調査のできております部分は成るべく目的の達しられる程度の簡潔なものにいたしまして、資料としてお手許へ差上げて、御検討願いたいと考えております。
  93. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは委員会はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会