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伊能繁次郎君
只今委員長から御指名がございましたので、去る八月三十日から五日間に亘りまして、私と松澤
委員とで山梨県並びに新潟県の両県につきまして、新警察制度、町村合併、改正
地方税法の実施の
状況並びに一般
地方行財政問題につきまして
調査のために参りましたのでありますが、詳細は後刻書類
報告をいたしますので、その概略を申上げますと、山梨、新潟両県とも町村合併につきましては、大体三〇%強
程度進捗をいたしておりまして、おおむね順調な推移と申上げて差支えないと存じます。ただいずれの県の町村合併にもございまするように、合併後の当該
市町村の運営前に町長であり、村長であ
つたという人々の処理の問題、或いは合併後における非常に当該
市町村の中心地から離れておるということ、隣接
市町村の中心地に非常に近いというような事情から分村をしたいというような希望の面も一部にありましたが、おおむね順調に合併後も推移をいたしております。ただ山梨県に特異な事情といたしましては、昨日松澤
委員からも御質疑がございましたが、入会権の問題と町村合併との調整の問題につきまして、
大分それが町村合併阻害の一因にも
なつておるというような点がございましたが、この点は昨日の鈴木次長のお話によりまして早速
自治庁からも御連絡を願い、我々も山梨県に連絡をして、その円滑な町村合併の促進を図りたい、かように考えております。
その他につきましては、現在新潟県においては、なお市になるべく
予想されております五泉、新井、それから佐渡の両津、この三町が市になるべく目下促進中であります。山梨についても、なお三市ほど
計画中でありますが、これらの、率直に申上げますと、何人が中心になるかというような点等について一部遅延しておる向きがありますが、おおむね順調に推移しておる。新潟県におきましては、既定
計画促進審議会におきまして、完成の暁には三百四十万の人口が市部百七十万、郡部百七十万、大体半々くらいになるというようなことでございまして、町村合併については特別の支障もなく推移をしておる。ただ山梨県について甲府市に関しましては、郡部合併に際しまして、市の中心部の
方面から合併反対の声が出ており、丁度私
どもが
調査に参りました日が市会の
委員会を開催してこれが当否をきめる、翌日市議会総会においてこれが当否をきめるというようなかなり白熱した
状況を呈しておりましたが、その事情としては、市部中心の市民は郡部を併合することによつて市部の財政負担、税金負担が強化されるのではないかというような心配をいたしておりましたことと、もう
一つは率直に申上げますれば、市長選挙に絡みまして、市部中心の
方面で市長選挙の感情問題が残つて反対がされておる。こういう事情も看取されたようでありますが、最近はその事情を円満に調整するために隣接村の合併が延期をされて、目下円満な調整中だというような話を聞いております。
大体町村合併につきましては以上申上げたような推移で、詳細は
報告書を御覧頂きたいと存じます。
更に新警察法の実施
状況につきましては、両県とも極めて円滑に円満に移り替りを終了いたしております。殊に山梨につきましては、財産の移管等については全部無償で完了をいたしておる。新潟県につきましても無償の方針で目下移り替りを推進中である。かようでありまして、ただ両県ともここで後刻財政上の問題についても申上げたいと存じましたが、教育
関係職員、県庁
職員、警察
職員、この三
職員系統を通覧いたしました際に、いずれも教育
関係職員が一番平均給として上位である。次が県庁
職員、警察
職員が最下位に属している。この点は恐らく他府県においても同様な事情ではないか、かように考えられるので、将来この点については両府県に対して松澤
委員並びに私から然るべき調整の方法を成るべく早い機会にとる必要があるのではないかということを勧告をいたしておきました。殊に山梨県については、これは県庁
職員から責任ある話を聞いたのではありませんが、他の系統からの責任ある話によりますると、警察を府県警察に合体するに関して、県庁
職員だけの級の引上げを行
なつたという事実がありまして、県会並びに警察側からもその点についての調整方を申入れたために、県議会として警察
職員の平均給引上については最近の機会において特段の措置をとるということが県会において決議をされておるという
一つの事実がございます。新潟県におきましても、同様な
状況でありまして、この点は我々として何らかの措置をとるようにという勧告はいたしておきました。又市警
職員と国警
職員との給額差額の問題でありますが、これは両県とも特に顕著な差異を生じているとは思われませんでしたが、全体としては千四、五百円、山梨県において七千五百円を超えること千円、八千五百円が最高でありました。新潟県においても大体同様でありまするが、新潟県においては市部警察と従来の国警とのそういう
方面における連繋が極めて円滑であ
つたために、
比較的新潟県の差額が大県であるにもかかわらず、市部のほうの給額があまり高く
なつておらなか
つたというような事実は
一つ注目すべきことであり、市警、国警併合について非常に円滑な推移を見た事情にも相成つておる、かように考える次第でございます。更に一本化によりましての過員の問題でありますが、両県とも特に顕著な過員と目せらるべきものもありませんで、三年間ののちにおいてはいずれも十分消化し得るという
程度の過員でありますので、この点は非常に適切な併合ではなか
つたか、かように考えられます。ただ両県いずれも合併によりまして、それぞれ五千万円
程度待命
職員の退職資金の問題、或いは四級線以下の
通信関係経費の問題その他で五千万近いものが
既定予算よりも足らないということで、これは将来県会を開く、その他の処置によつて処理をしてもらわなければならん。又中央において或いは四十億円と称せられる府県警察費の不足の問題と関連して処理してもらいたいというような希望も出ておりましたが、新潟県はかなり大きな県であるにもかかわらず、山梨県に比べて大体同じ
程度の不足額でありましてこの点は新潟県の当初
予算の計上が、かなり警察に十分慎重な考慮を払
つたという証査ではないか、かように考えられる次第でございます。
最後に財政上の問題でございまするが、山梨県につきましては、形式上の赤字は出ておらず一応帳面ずらは合せておりまするが、当局の話によりますると、約三億円近い赤字が出ており、その中の半額近いものは恩賜林の伐採処理によりまして、
昭和二十八
年度末においてこれを処理したので、あとは支払いの繰延べその他事業の繰越によつて当面の経理面は処理しておる、かようなことでありましたが、新潟、山梨両県を端的に
比較いたしますと、新潟県については御承知のように十五億円というような赤字を出しておりまするので、これが赤字解消については非常な熱意を示しておりまして別途詳細なる
報告によりまして、赤字解消対策も御覧を頂きたいと存じますが、事務的経費のうちから三割、約三億円を節約をする。又人員の問題にいたしましても、七千人の県庁
職員を抱えておりますが、これが三割の削減を行うことによつて赤字の解消ができる。併しながら直ちに三割の人員整理を行うことは到底不可能なので、欠員不補充その他の処理によつてでき得る限り赤字を解消したい。又単独事業等についても、財源の裏付のないものは一切この際起さない、若しくは繰延をするというような、
相当ドラステイツクな措置が新潟県についてはとられているようでありまするが、山梨県のほうについては、特段の強力な赤字解消対策というようなものがとられておらなか
つたのは、やや残念な感じがいたしております。それぞれべースアツプの改訂による人件費が非常に高く
なつているとか、前
年度の凶作による生活保護費が増加している、中小学校の児童の自然増加というような、いろいろな事情を挙げまして赤字が出たというようなことを言つておりますが、山梨県の事情は私
どもの感じでは、新潟県ほど急迫した事情ではない。更に又赤字が出れば恩賜林というような特殊な財源を持つておりまするので、この点はかなり楽ではないかというふうな感じを受けてお
つたような次第でございます。
それから山梨県並びに新潟県双方で議論になりましたが、給与所得者と、農業
関係、商工業
関係の業者の間における
市町村民税の徴収の不均衡、この点は山梨県、新潟県を問わず、一
町歩近い田畑を持つている人が扶養家族その他の
関係から殆んど税金を納めない。ところが勤労所得者については非常な低額所得者であつても、それによつて国税を納め、
市町村民税を納めなければならない。これらの点について何らか適当な調整方法を考えて頂かなければなるまいというような意見は双方から出ておりましたし、又
市町村民税の所得割の課税標準の選択についても、是非これは統一をしてもらいたいという意見も出ており、更に今回
地方税の改正によりまして、固定資産税の税額が百分の一・六から四に減額されたにもかかわらず、
自治庁における算定
基準の価格改定によつて逆に
相当な増税に
なつている。この点は非常に両県においても工合が悪い。殊に毎年々々課税標準額を変更されることは、これは徴税上においても非常に困難を来たす点もあるので、何らか安定した方策を、課税標準額の変更を毎年行わないで、或る
程度安定したような方法でやつてもらわないと困るのではないかという意見が出ております。
又財政緊縮対策の一端として、両県共に各種の行政
委員会、
法律に盛られた八
委員会のほか、
関係各省の行政
委員会が、これは前回の過般の
報告にもございましたが、六十幾つある。これにいずれも多きは事務局、事務局がなくてもそれぞれ然るべき人間がおつて、人件費の負担に堪えない、これは是非中央において整理をして欲しい、こういう御意見が出ておりましたことも注目すべき点だと考えられるのであります。
それから交付税額、交付税の税率につきましても二五%か二二%というようなことに
なつておるが、これらの点は警察を背負い込んで、非常に警察自体の本当に警察をやつて行こうというための経費と、交付税その他によつての経費とでは、各いずれの県も赤字が出ておるので、この点については交付税額の二五%、若しくはでき得るならば三〇%
程度にして、府県
市町村の自主財源の確立を図りたい、いずれも府県
市町村を問わず何とか自主財源の確立を図りたい、そのためには従来のような交付金、
補助金等によつて当初は一〇〇%の
補助率、その翌年になると半額になり、更に甚だしきは四分の一になる、ところが人間は各府県
市町村においてはこれを整理することができない、又甚だしきにおいては、折角新潟県等において部内の府県の部課の整理を、行政整理或いは機構改正を行おうとしても、中央の
関係省からこの課を減らすならば自分のほうの
補助金はやらないぞというような、率直な恫喝的な意見も出て来るようなことで、こういうことでは自主的に機構改正をやり、人員を、七千人の人間を六千人に減らし、五千人に減らして行こうと思つても非常に困難になる。こういうような点は是非総合的に、各省別の人員に対する
補助というようなことでなく、何らか一本で考えられないかというような意見もいろいろと出ておりまして、我々として今後府県財政の健全化について審議しなければならん問題も幾多あるやに拝見をいたして参
つた次第でございまするが、余りこまごましく長く
報告するのも如何かと存じますが、概略その
程度を御
報告いたしまして、詳細は私並びに、松澤
委員から提出いたします
報告書によつて御覧を頂きたいと思います。