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1954-09-15 第19回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十五日(水曜日)    午後二時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            伊能 芳雄君            館  哲二君            川村 松助君    委員            伊能繁次郎君            長谷山行毅君            木村 守江君            小林 武治君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            寺本 広作君            加瀬  完君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    警察庁長官   斎藤  昇君    警察庁警備部警    ら交通課長   後藤田正晴君    国家消防本部長 滝野 好暁君    自治政務次官  石村 幸作君    自治庁次長   鈴木 俊一君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    農林省農地局災    害復旧課長   大塚 常治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (台風十二号による災害に関する  件)  (地方財政に関する件) ○派遣議員報告理事補欠選任の件   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  先ず理事辞任及び理事補欠互選の件につきましてお諮りいたします。理事小林武治君より理事辞任の旨の届出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) では右様決定いたします。  石村幸作君の委員辞任により理事に欠員が生じました。又今回の小林理事辞任に伴い、理事補欠互選をすることといたしますが、補欠互選の方法につきましては如何いたしましようか。
  4. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 理事補欠互選につきましては、成規の手続を省略いたしまして、委員長理事の指名を御一任することの動議を提出いたします。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今伊能君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議がないようですから、委員長から指名することといたします。  では、館哲二君、川村松助君を理事に指名いたします。   —————————————
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 議題に入りまして、地方財政調査に関する件を議題に供しますが、その前に台風十二号による被害状況に関する件を議題に供しまして、後藤田警ら交通課長から概況についての御報告を願います。
  8. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) このたび本土に来襲しました台風は、規模の大きさから見まして、従来の室戸台風にも比肩せられるというほどの大きなものであるということが予報として発令をせられまして、我々としまして莫大な被害発生するのではないかというようにおそれておつたのでございますが、幸い今次台風南方海域から本土に接近するまでの速度が非常に遅かつたということ、それから九州南端の陸地に上陸をいたしましてから急速にその強さが弱まつたということ、而も従来の再三の被害に鑑みて、すべての人がこれに対応する準備を十分に整えておつたということ、こういつたいろいろな原因が働いたものと思われますが、被害は我々の予想しておりましたよりも相当下廻つたものとなつておるのでございます。我々としても非常に喜んでおる次第でございます。お手許にお配りをいたしました台風十二号総合情報は今朝の午前六時までに一線のほうから報告があつたものを取りまとめたものになつておりますので、お読み取りを願いたいと考えます。  その概略を御説明申しますと、今回の台風被害は、被害発生地域が非常に広汎に亘つておるということ、而も広汎であるけれども、全般的に見ましてその損害比較的軽微である。その内容についてみますと、高潮による被害出水による局地的な被害というのが特徴になつておるかと思われるのでございます。  で、地域的に被害の甚しかつた県を申しますと、宮崎県、鹿児島県、大分県、熊本県、香川県を除く四国三県、広島県、山口県、こういう所が比較被害が甚しかつたように思われます。特に被害が甚大でございましたのは宮崎県でございます。お手許にお配りをいたしました表の上では、まだ宮崎県は他の府県と比べてそう多くの被害数字が上つておりませんけれども、実は宮崎県は末端の通信相当杜絶をしておる。この通信杜絶をしておる地域被害が実は発生をしておるといつたよう関係で、被害報告が遅れておりますので、宮崎県は今後相当被害額が厖大な数字に上るのではないかという点を心配いたしておるのでございます。更に被害地域高潮出水とに区別いたしまして、主な地名を申しますと、高潮被害地域は日向灘、豊後水道、志布志湾、大隅半島の東海岸、これらに面する大分宮崎鹿児島各県の側に発生をいたしております。それから周防灘の福岡県側、それから有明海の佐賀県側及び島では奄美大島、これが九州高潮被害地域なつております。四国では高知県の土佐湾一帯紀伊水道の徳島県側一帯、これが高潮被害地域なつております。広島県は安芸郡、佐伯郡、広島市の海岸一帯山口県は小野田、宇部、光の海岸一帯、こういう地域高潮被害発生をいたしております。  で出水被害地域といたしましては、宮崎県は主要河川河川とも、警戒水位を遥かに突破いたしまして、大淀川はようやく溢水にとどまりましたけれども、他の河川ではところどころ堤防の壊れたところもあるようでございます。で大淀川流域では都城市、高岡町、嵐崎市、綾町、これが主な被害発生地域でございます。広渡川は日南市、耳川上流では椎葉村、五ケ瀬川では高千穂町、これは報告は来ておりませんけれども、ここに発生しているということは予想が確実にせられております。及び延岡市、これが主なる出水被害地域でございます。熊本県は球磨川流域の湯前町と人吉市でございます。それから五箇瀬川上流に馬見原町というのがございます、ここにも発生をいたしております。大分県は番匠川流域佐伯市、大分流域大分市、これが被害発生地域なつております。鹿児島県は串良川の東串良町。高知県は仁淀川の伊野町と高田町、物部川の美良布町、これが主な出水被害発生地域に相成つております。なお、そのほかに、随所に崖崩れ、山崩れ等による人命の損傷の被害発生をいたしております。被害数字はお手許にお配りをいたしました最後のほうに報告をいたしておりますので、これでお読みを願いたいと思います。ただお手許にお配りいたしました宮崎県の被害につきましては、すでに私が当委員会に出て来るまでに、電話での報告ですでにこれを相当上廻つておりますので、今後も又先ほど申しましたように相当数殖えるということが予想をせられております。  これらの被害を従来のジエーン台風なり、西日本水害なりと比較して、一体どのような結果になるかということを見ますというと、それぞれ西日本水害にいたしましても、ジエーンにいたしましても、今回とはその内容がいささか変つておりますので、必ずしもこれと比べるということが実際むずかしいのでございますが、比較をして大数的に見れば、先ず問題にはならんということが言い得るのではないか。但し宮崎県等については、これは恐らく従来にない甚大な被害であろう、こういうように思いますが、全体的にはそういうことが言えます。一例を申しますと、人的被害のうち、死者について見ますと、西日本水害では五百九名でございます。ジエーン台風では三百八十二名、これが今回は、現在まで判明しておるのが約六十名ということでございます。家屋の全壊について見ますというと、西日本のときが千八百六十八戸、ジエーン台風が一万一千百二十一戸、今回は八百七十九戸ということでございます。更に床上浸水について見ますというと、西日本水害の際は十五万八百八十五戸、ジエーン台風が十三万百二十五戸、今回は三万一千九百二十五戸。耕地被害流失埋没について見ますと、西日本の際が一万五千五百五十三町歩ジエーン台風が二万三千八百四十七町歩、今回は五百一町歩でございます。流失埋没は、西日本が七千三百七十五町歩ジエーン台風が八千八百五十八町歩、今回が二百八町歩、こういう結果になつております。  ただ私どもの、被害で判明をいたしておりませんのは、晩生の稲の被害、これについては私どものほうでは全然報告が参つておりませんので、こういう被害についてはわかつてもおりませんし、従来との比較も困難でございますので、そういう点は御了承を賜わりたいと思います。  で私どもといたしましては、今回の台風が非常に規模が大きいということで、主として一線に対しましては迅速な被害情報の収集はもとよりのことでございますけれども、第一に水防作業等に従事し得る人は別として老幼婦女子は努めて早期に、危険な情勢を判断をして、早目避難をするという方針を実は指示したのでございます。それによりまして今回避難をいたしましたのが約二十七万名程度に達しております。人的被害は、最近数次の災害の結果だと思いますが、非常に規模比較しても、逐次減りつつあるということが言い得るように思われます。  なおこれらの罹災地域治安情勢でございますが、九州四国につきましては、これは治安上は特別な事態は発生いたしておりません。ただ物価が、木材等が若干値が上つておるのではないかというように言われております。で中国地方におきましても、治安情勢は特異なものはございませんが、今回の被害比較早目に皆さんが準備させられた関係で、ろうそくとか、懐中電燈等、そういつたものの買漁り相当にあつて、この値段が高くなつておるのであります。或いは木材も一部騰貴を見ております。近畿地方につきましても、九州四国中国とそう別段の相違はございませんが、一部にこの災害救助に対する陳情避難者無料診療、こういうようなことをめぐつて若干の動きがあるようでありますが、これはいつもあることでありますし、見方によれば極めて当然のことでもございますので、特に治安上どうこうということはございません。  大体簡単でございますけれども災害報告を以上で終りたいと思います。
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) それから農林省のほうで、大塚災害復旧課長
  10. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 農林省被害状況について御報告いたします。  御承知のように、今回の十二号台風は十三日から十四日の間にかけまして、九州中央部を北上いたしまして、山口県から日本海に抜けております。従いましてこれが当初の情報では相当東にずれて、北陸から東北方面までもやられるのではないかという情報が外れましたことは、誠にお喜び申上げたいことと存じておる次第でございます。従いまして被害は大部分中、四国九州に限られているようでございます。九州におきましては、宮崎鹿児島大分熊本の南部の方面がひどいようでございます。それから中国では山口四国では愛媛等が誠に被害がひどいような報告が入つております。  この被害は先ほどの御説明もありましたように、やはり出水高潮による災害に分れるかと思いますが、十三日の午後の高潮のときが、丁度台風山口県あたりを通過しておつたときでありますので、瀬戸内海沿岸高潮による被害があつたのでございます。本州の海岸部、それから島嶼部等被害が強いようでございますが、残念ながら先ず島嶼部のほうについては報告が参つておりません。農林省災害復旧のうち、農地局関係農業施設及び農地災害復旧は、約十五億程度の現在までの報告が入つておりますが、そのほか水産、林野等数字はまだ不明でございます。それからなお作物は大体水稲が多いのでございますが、これも岡山県以外はまだ数字として入つておりません。岡山県は金額四十億という数字が入つております。十二号台風につきましては、目下のところその程度の御報告しかできませんのでございますが、今年発生いたしました農林省関係の全体の災害は、作物被害を除きまして、現在のところ約百五十億でございます。それにこれが加わることになるのでございますが、例年どもの扱います災害の総額は四百億乃至五百億程度でございますので、十二号外の被害は丁度三分の一程度被害でございます。これはまあ先ほど十五億と申しましたが、これはこの程度ではとどまらないので、どんどん数字が訂正されて、まだ報告が来ると思います。大体において明後日の午前中を以て一応の集計の目標の時期といたしております。そのくらいでないとちよつとはつきりしたことはわかりかねるのでございます。従いまして、まあ今までのところは、例年の二分の一乃至三分の一程度災害で本年はおさまるのではないか、こういうように推測いたしておる次第でございます。  極めて簡単でございますが、御報告申上げます。
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員のかたがたから御質疑がございますか……大蔵省関係から実は災害に対する予算関係融資関係の問題の報告があるように手筈をしておつたわけでございますが、まだ出席しておりませんから、これはあとに廻すことにいたします。  それでは一応台風十二号による被害状況に関する件は、只今の御報告で又次の機会に譲ることにいたしまして、追加する分があつたらそういうようなことにいたしまして、次の議題に移りたいと思います。   —————————————
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 次は消防費に関する件、この件を一つ……。
  13. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 当委員会におきまして、消防の現状及び今後どう考えておるか、計画説明したらという御意向のように承わりました。できるだけの資料は持つて参つて申上げたいと思つておるわけであります。  簡単に申しますと、火災消防関係といたしまして、火災状況はその件数におきましては、一昨年より昨年、昨年より今年というふうに、火災件数は漸次殖えて来ておる傾向でございます。一昨年は件数におきまして約二万二千件の火災を出しております。昨年はこれに対しまして、二万五千件にも増加いたしております。本年が上半期がまだ決定的な数字がつかめておらないのでございますけれども、仮に最も火災の多い時期であります三月を一つ見ますというと、昨年昭和二十八年の三月には二千四百三十一件、二十六億の損害を出しておりますが、本年の三月同期におきましては、二千七百三十七件というふうに殖えておりますし、損害も二十七億というふうな数字なつておりまして、決して消防関係といたしまして油断のならない情勢であります。お蔭を以ちまして自治体の、市町村の運営いたしまする消防も逐次その陣容、施設等も改善されつつあるのでございまするけれども、御承知頂いておりますように、非常に困窮しておる地方財政の下に、消防の非常に遅れた施設を至急に改善充実するということが甚だ困難を告げております。でありまするので、国といたしましても、御協賛を得まして、ようやく消防施設強化促進法に基く補助の途を昨年以来開いて頂いたのでございますが、その状況をずつと御覧頂きますと、このお手許にお配りいたしております一枚の表を御覧頂きますというと、非常に読みづらい数字なつておりまするけれども昭和二十八年度国庫補助額要望額を見ますというと、合計におきまして全国市町村から補助を求められた額は三十五億九千二百三十一万円にも上つております。これに対しまして、昨年の補助は、始めました初年度におきまする配分額は、二億三千四百九十九万円、こういうふうになつております。尤も二億三千四百九十九万円と申します中には、従来都市計画法に基きまして、都市計画事業といたしまして消火に要する防火水槽補助約一億円を含んでおりません。これは本年度から合流して一本になりましたけれども、昨年は別でございましたので、このほかに約一億の防火水槽設置補助費が別に都市計画事業費の中に織込まれておつたのでございます。それにいたしましても、御覧頂きますように一割にも達しない程度状況でございまして、更に隣りにございます昭和二十九年の要望は、やはりそれに近く二十九億五千万円にも上つております。これに対しまして、ここに表にはございませんが、既定予算といたしまして、ようやく防火水槽合せまして約三億の補助金が計上されておるに過ぎない状況でございます。それを各都道府県に割当てました数字がかようなふうになつておるのであります。  それから隣りにございますのは、次に頼るべきものは、やはり特定消防財源といたしましては単独起債とそれから補助に伴う起債でございますが、自治庁許可になりました数字はここに示しておりまするように、消防に対する起債要求といたしまして六十億四千四百余万円が上つておるのでございますが、それに対しまして二十八年度におきましては四億九千九百万円というふうな僅少なものになつておるのであります。本年はどうかと申しますと、本年度はやはりここに掲げてございますように要望が四十三億何がしもあるのでございますが、これに対しまして九月一日現在で私のほうで自治庁のほうから得ました数字によりますと、二億六千五百九十万円ということになつております。これは単独起債でございます。それから一番右に掲げてございますのは二十八年度補助いたしましたに対応するところの残り部分に対する起債許可額でございまして、これが一億二千三百七十九万円、これは補助に見合う起債でございまして、昨年の二十八年の許可額四億九千九百三十万円に加えること一億二千三百七十九万円というのがいわゆる純消防に対して認められた起債額なつておるのであります。傾向といたしましては、自治庁許可に相成りまするところの消防起債も年々徐々にではありますけれども、殖えてはおりますけれども、何しろ要望額が非常に多いのでございまして、十分ではないのでございます。  それから立続けに申します。次の私のほうで三十年度にどんな消防強化の方途を考えておるかというのを数字的に、別の消防施設整備費補助予算概算要求書というのでお配りいたしておりますが、この第一表で御覧頂きますように、消防ポンプその他の機械類報知機有線電話消防専用無線電話防火水槽というふうなものを合せまして、これに対する若干の監督費を合せまして三十一億四千二百万円という程度のものを是非予算として欲しい。これは昨年要求しました三十三億にやや近い数字でございますが、どうしても、この以下に説明ございますが、私のほうで一定の計画の下に年次計画で以て最小限度消防施設を完備するといたしますれば、この程度のものは補助して、而も三分の一程度補助でございますが、補助しなければ急速にはなかなか自治体消防も満足な状態にはならない。かようなわけでございます。  非常に細かくなりますが、逐次簡単に御説明いたしますというと、最初消防ポンプの十三億七千余万円の補助額基礎は二ページにございますように、各種のポンプをかようなふうに……例えば普通消防ポンプ自動車千三百四十三台、三輪ポンプ自動車五百四十三台、手引動力ポンプ五百七十五台、小型動力ポンプ三千六十四台というふうに一つ計算基礎の下に出しましてその三分の一を計上いたしますと十三億七千余万円になるのでございます。それから同様に火災報知機が一億二千八百万円、それから専用有線電話が七千五百万円、消防専用無線電話、これが一億七千九百余万円、ちよつと申上げますが、消防専用無線電話と申しますのは、国家消防本部の私のほうの研究所におきましてここ数年来研究して参りましたのでありますが、超短波でなく、中短波のいわゆる短波無線の簡単な装置を以ちまして、有線電話或いは超短波無線の発達していない大都市以外の中小都市乃至町村等におきまして、火災は勿論水害等の事あるときに応援要請或いは緊急連絡というふうなものになくてはならないものといたしまして小型短波無線計画いたしまして、一応これを完成いたしたのでございます。これが非常に軽便でありまして、大体余り遠方には聞えませんけれども、十キロ乃至十五キロの範囲でありますれば、非常にはつきりと聞えるのでございます。勿論山がございましても聞えますが、それが大体単価十二三万円程度のもので設置できまして、現に本年度におきましても一千万円程度補助をいたしたいと存じますが、それが今後消防界に普及いたしますれば、初期火災の対策といたし、或いは水害等の場合の連絡等には非常に有効なものだと期待いたしております。それを今年度から補助いたしておりますが、来年度も是非この程度の四千四百八十四台というふうなものを考えております。  それからポンプに即応いたしまして、なくてはならない防火水槽、殊に地震等の場合におきましては上水道も期待できませんので、これは相当数年来やつて来ておりますけれども、非常に要請が大きいのでございまして、これも金額から申しますれば、ポンプ程度の十三億何がしの補助をいたしたいというふうなことでございます。これによりまして消防施設強化促進法に基く補助額合計三十一億四千万円というくらいのものを期待いたしているのでございますが、来年度も恐らくは非常な緊縮予算が編成されると思つておりますので、このような大きな予算は容易でないと思つておりますが、折角財政当局に折衝してみたいと、かように考えております。それ以下は非常に細かくなりまして、如何にしてこの三十年度の申上げたポンプ以下の機材整備が必要かということになりますと、簡単に申しますと、ポンプ以下の各機材は五カ年計画で申しまして昭和二十八年即ち昨年度以降五カ年計画を以ちまして、一応国家消防本部が立てました基準量に達せしむるべく計算いたし、以後年次計画を以ちまして算定いたしたものでございます。  それから防火貯水槽は実際に地方要請をとりまして、これは甚だ大きいのでございますけれども、十カ年計画を以ちまして毎年整備いたすという基礎の下にかような私のほうの計画が出ているのでございます。又御質問がございますればお答えいたしますが、消防施設整備のための補助計画は以上で終ります。  次にもう一つ別冊をお配りいたしてございまするけれども、これは最初にこの綴りの一番お終いを御覧頂きますと、消防関係災害国庫補助に関する主要陳情一覧というものが掲げてございますが、私のほうに届きました従来から最近におきまするこれに関しまする陳情も、ここにございますように消防関係会議のみならず、地方市長会、或いは市会議長会、或いは全国町村会、或いは県議会等からもしばしば要請要望があるのでございますが、まだ実現して来ていない問題でございます。それは非常に危険作業でございまするところの消防の業務、火災のみならず風水害その他のあらゆる災害に臨みます消防の団員、職員が死亡、負傷いたしました場合におきましては、御承知頂いておりますように、ようやく消防組織法の改正をもちまして、消防組織法の十五条の四等によりまして、或いは一般人の協力援助いたしました場合におきましては、消防法の三十六条の二によりまして、消防管理主体でありまするところの市町村におきましてその災害を補償しなければならないと、補償義務制度法律を以て制定して頂きましたのであります。それに基きまして、国家消防本部におきましては、法律に掲げてあります通りにその基準となりますものを制定いたしまして、市町村で制定いたすべき消防団員公務災害補償条例というふうなものの準則を、これはここに綴込んでございますが、すでに示しまして市町村に勧告してございます。これによりますると、最も気の毒な場合は殉職でございまするけれども、団長以下幹部職員等の場合におきましては、大体現在の私どもの示しておりまする計算基礎で申しますと六十数万余円、それから最低におきましても四十数万円というふうな補償を、一つ基準でございますが、して頂かねばならんこということに相成つております。又消防吏員の場合におきましても、地方公務員法によりまして、一般職の地方公務員として災害の場合に補償せねばならんということになつているようなわけでございまするが、それに対しまして、実際に各市町村が私のほうで示しましたこの条例準則に則りまして実際に条例を制定いたし、且つこの通りに給付いたしているところはそうたくさんはないのでございます。財政の窮乏いたしております関係上、消防団員等が殉職いたしましても、基準に示しておりますような額の五分の一程度にも足らない、いわゆる見舞金と申しますか、さような少額のものを差上げて我慢して頂いているというふうな状況でございます。でありますので、毎年こういう要望を強くいたしておりまするけれども、まだ実現いたしておらないのでございまして、ここにお配りいたしたものの二枚目ですか、御覧頂きますとわかりますように、私のほうで来年度是非大蔵省から欲しいという補助額は、二分の一の補助を国がいたしますといたしまして、大体七千八百万円程度のもので済むのでございます。これは死亡災害のみならず負傷の場合一切を含めてでございます。団員、吏員は勿論のこと、第三者でありまするところの一般協力援助者に対しまする補償を含めまして、七千八百万円程度のものを市町村に援助してやれば満足な給付ができると確信いたしておるのでございます。その内訳はここに細かくございまするが、又御質問等によつて申上げてみたいと存じます。  ともあれ、この程度の額を国が出すことによつて非常に消防の士気が上り、今後起るべき災害に対して非常な効率を発揮するのではないかと確信いたしております。水防法という法律がございまして、これは主務官庁は御承知のように建設省でございますが、建設省におきましても、水害、風害等の場合におきまして、河川、港湾その他の建設工事面におきまして非常に巨額の金が要るし、なかなか思い切つた手が打てない事情もございまして、一つには水防業務、水防業務は水防団員と消防団員がそれぞれ皆活躍するのでございますが、そういう人たちは建設省で申しますれば、水防団関係の水防業務におきまして殉職された人々に対し、或いは負傷された人々に対し、これを国で補助してみたいという非常な熱意を持つていられるように仄聞いたしております。建設大臣も非常な意気込みでやつておられるそうでありますが、水防といわず消防といわず、いずれも危険作業を顧みずやる仕事でありますので、国家におかれましても十分お認め頂きまして、この辺の御推進を賜れば幸いだと思います。  更に申上げますが、消防組織法の第二十五条には、消防に要する経費に対しまして、国が補助する場合には法律を以てこれを定める、こうありますので、仮にこの災害補償が予算化がめどが立ちましたならば、速急に法律を制定いたしまして、これに応えねばならんという態勢になることを申添えておきます。
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員のかたがたから御質疑がございませんか。
  15. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 災害補償の問題では、町村の共済組合というか保険制度ができているわけですね。その普及状態はどうですか。
  16. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) お答え申上げます。先ほど申上げましたように法律を制定して頂きましたし、それに基く条例準則も定めて市町村に示して勧告はいたしましたものの、やはり財政関係市町村が非常に悩むという関係がございまして、何かこれをやつて行く方法はないかというわけで非常に研究いたしました結果、日本消防協会等でも非常に研究して頂きまして、差当り県単位に各市町村が負担すべき災害補償義務を各市町村同士で分散したらどうかという考えからいたしまして、県単位に一つ消防関係を中心といたしまして消防団員災害補償会というふうな団体を作りまして、そして団員一人当り年額幾らというふうな経常的な負担を市町村にさせまして、その醵金によりまして、その補償会が一旦市町村がそういう団員災害の補償事務を負担したときにこれをカバーするという、いわゆる危険分散の一種の保険共済事業をやつて頂くように私のほうから一つの案を示し、おすすめ申したのでありますが、幸いにいたしまして、相当この線に則つてやつて頂いております。又地方によりましては、そういう団体もいいが、これは市町村の負担であるからやはり地方自治法に基く一部事務組合で以て、各市町村ごとの、県下の市町村一つ災害補償のための事務組合を作りまして、そうして同様な共済事業をやつたらいいじやないかというわけで、地方自治法に基く一部事務組合を結成いたしましてやつておる所もございます。ちよつと今それの結成状況と今の種類別を持合せておりませんけれども、殆んどの府県でかような一応の危険分散の体制をとつておるのでございます。丁度正確な数字を今持つておりませんが、いずれ機会を持ちまして又御報告申上げたいと思います。
  17. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ちよつとお尋ねしたいんですが、都市の消防についてはお差支えがないように聞いておりますが、町村などで相当大きな火事のあつたときの応援の消防と地元の消防との協力関係の確立というような問題がどうもうまく行つておらんようですが、そのために消防の水の問題その他について、ときに機宜を失するようなお話も伺つておりますが、その辺のところは実際にはどういうふうになつておりますか。
  18. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 只今の御質問非常に御尤もな御質問でございまして、これは御承知のように自治体消防で各市町村ごとにそれぞれの消防機関を設けて、その郷土の守りを固めておるわけでございますが、今申しましたように、ちよつと大きな火災の場合等は必ず近隣から応援に来るのが普通でございますし、又応援に来てもらわねばならないのでございますが、ただこれが戦前のような体制になつておりませんので、法律の建前といたしましては、消防組織法の二十一条に「市町村長は、消防の相互応援に関して協定することができる。」というふうになつておりまして、いわゆる相互応援協定というものを結んで行くべきが普通なんでございます。まあ応援協定の内容は大体ございまするけれども、一般に火災等の場合におきましては相互に応援する、そしてその負担はどうするというふうなきめ方があるのでございますが、御質問の要点は、むしろそういうほうぼうから集まつて来た消防隊を如何にさばくか、実際の火事場の問題だと思うのですが、これは何と申しましても、地元の消防機関の長、即ち都市等におきましては余り問題はないのですが、消防長、町村等の場合におきましては、殆んどの場合消防団長その人がその町なら町、村なら村の消防の責任者でございますので、水利の統制をいたし、応援に来て頂いた消防隊に対しましては、その配置、それから火がかりというふうなものを一々全体の指揮をいたすことになるわけでございます。併しながら、実際もう大きくなりますと、指揮能力がなくなつてしまうのです。これがまあ非常に現在におきましては悩みなんでございますが、かと申しまして、今その上の者が、誰が全体の統制をするという役目の者がきまつてはいないわけであります。ただ、非常に大きな災害、例えて申しますと、まあ極端な例ですが、一昨年焼けました鳥取の大火災のような場合のごとき、或いはその他の数市町村に跨がるような火災、或いは火災のみならず水害等もいいんでありますが、消防組織法の二十四条の二におきまして、都道府県知事が指揮権を持つておるわけでございます。その知事の指揮権に対しまして、知事が実際はいたしますまいけれども、知事の補佐役でありまする部長乃至は課長が実際の現場におきまして集まつて来るところの消防隊全体を指揮するという場面があり得るかと存じます。実際の鳥取の火災のような場合は鳥取県が乗り出して相当全体の統制をとつたような様子でございます。その点で、実際問題といたしましては、全体の指揮能力に欠ける場合があるということは私たちの非常に問題とするところでございます。
  19. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 実は先だつての山梨県の河口湖畔のあの火事の際にそういうような問題があつて、地元としても又県としても何か臨機に処置が適切にとれるような具体的な協力体制というものが考えられないかという意見が出ておりましたが、そういう点について何か消防庁のほうでお考えがあるかどうか。実情については今お伺いしたのですが、将来の問題として何かお考えがあるかどうか、その点をお伺いしたい。
  20. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) そういう場合は、まあ私たちも非常に研究もいたし、問題にしておるのでありますが、これという的確な今申し上げる非常に名案がないのでございますが、折角御忠告によりまして、この問題に対しましていい策を研究さして頂きたいと思います。
  21. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今の問題、まあ消防の問題としては一番大切な問題だと思うのです。大体団長というのは非常に名誉職で、あれは制服を着て歩いたり、いろいろ大会などをやるときは非常にいいし、又火災予防だといつて消防車に乗つて景気よく歩いたりするときはいいんですけれども、実際指揮能力がないということはこれは誠に残念なことなんです。自分のところだけでも大変なのに、いわんやよそから応援に来たポンプをどこに置く、どこの水利を取るかということを不断研究している人は殆んどないのです。今大きな火事があつて県が直接指揮に出られるというときにも、県自体に指揮能力がない。ですから、今その点が一番消防における欠陥だと思う。これは是非十分研究してやつて行かないと、この間警察法の改正のときに、警察に吸収されちや困るといつて、非常に消防が騒いでおつたけれども、今のような場合警察のほうにやつてもらつたほうがいいんじやないかということさえ言えるので、折角自治消防が育つて来たのに、今町村の自主的消防がそうしなければできないようなことじや困るので、一つその点は消防庁としては補助金なんかの獲得よりも、もつと重大な問題として私は研究しなくちやならん問題だと思う。恐らく地方消防で一番の弱い点はそこなんだと思う。その点十分御研究願いたいと思う。
  22. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 伊能委員の仰せの通りでありますが、従来とても消防団というふうなものは各市町村ごとに結成をされ、火災というふうなものは大体一応はその地域に限つて起るのが普通の場合でありますので、やつて来たのでありまするけれども、やはり今申されたように欠陥があるわけでありますが、これは消防の組織の根幹に触れるような問題で、にわかには私も私見を申上げられないのでありますが、やはり郷土に根を下した消防を育てて行くという考えならば、やはり地の消防隊の長、責任者にやはりそれだけの能力を与えなければ仕方がない。これには相当の骨も折れますし、教育の方法等も徹底させなければならんと思つております。消防教養の徹底につきましては、今日は申上げませんでしたけれども地方消防学校等の充実を考えておるのでございますが、先ず、卑近な問題といたしましては、どうしてもよそから入り込んで行つて指揮するというよりも、今の建前をとる以上は、やりはその地元の消防の長なり責任者に、やはり指揮能力において有効な消防活動のできるように十分の教養と能力を与えるという方法を講じなければならんと思つております。今おつしやいました問題といたしましては、組織の根本の問題に触れるので、更に検討さして頂きますけれども、さように考えております。
  23. 小林武治

    小林武治君 これは別なことで参考に伺うのですが、消防団と政治活動というのはどういうふうにお考えですか、これは事実問題に副うて一つ……。
  24. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 消防団が政治活動とおつしやいましたが、主として選挙運動のことだと思うのでありますが、これは御承知頂いておると思うのですが、公職選挙法の改正によりまして、消防団、団長以下団員の立候補制限は排除されたのでございますが、まあみずから立つ、或いは第三者が立候補した場合とに限らず、消防団のそういつた政治活動、選挙運動等は消防団の名において、或いは消防団員の名において公然と選挙運動、選挙活動をするということは、これは真正面からの法律禁止はございませんけれども、長い間の消防の伝統であり、消防が不偏不党のいわゆる公けの団体であり、機関であるという建前からいたしまして当然のことといたしまして、さような一党一派に偏した、或いは特定の立候補者の運動をし、或いはこれを妨げるというふうな選挙活動、運動は絶対避けねばならんという建前をとつておりまして、数次に亘り私ども地方に勧告もいたし、警戒をいたしておるのでございますが、実際問題として、まあ公然と消防団或いは消防団員の名において運動するということと、個人の資格といたしましてそういう活動をするということの具体的なけじめというものがなかなかむずかしいように存ずるのでございます。これは繰返しそういつた方面地方に対しまして、殊に消防の教養を通じまして申上げておるのでございます。例えて申しますと、私たちが消防の団長の教育、教養講座を開く場合におきましても、真先に申すのはこの問題であるのであります。やはり地道ではありまするけれども、そういつた頭の考え方から直して行つて頂くというふうにいたしたいと考えております。
  25. 小林武治

    小林武治君 今の問題は、消防団というのと、例えば消防団長協議会連合会、或いは消防協会、こういうふうないろいろの団体がありまするが、お話のは消防団であつて、例えば消防協会、或いは消防団長会議、こういうようなものが候補者の推せんをするというのはどういうふうにお考えになりますか。
  26. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 結局消防協会といい、或いは消防団長会議といい、集まつているかたがたはみなそういう消防組織法にきめられた市町村の機関としての消防団のメンバーであり、而もその団長であるという立場からいたしまして、個人の資格においてそういう会議を利用するということはあり得ないのじやないかと思つております。ですから、そういう会議におきまして公然と特定の候補者を推せんするとかということは絶対にない、俺たちは団長ではあるけれども、個人の資格において申合せたのだという立場をとられるかも知れませんけれども、併し客観的に見てそれはそうは言えないと思つております。事実あるとすれば、これはよろしくないというふうに考えております。
  27. 小林武治

    小林武治君 例えば、公然と団長の会議が成る候補者を推せんした、それを公表した、こういうふうな場合には、何かこれに対する、これを抑制するという適当な手段があるのか。ただそれがよくないと言つておるだけの話なのか、その点を伺つておきたい。
  28. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 私たちがよく最初申しましたように、現在のところ法律上の制裁や規制はないと申上げたのでありますが、併しながら、この前公職選挙法を改正して頂いて、消防団長以下消防団員は特別職の公務員として立候補の制限があつたわけなんです。それを地方消防のみなさんが非常な熱意、熱烈な御要望といたしまして国会に働きかけ、ようやく公職選挙法の改正によつてこれの制限を緩和して頂いたのでありまして、又そういうふうなことが頻々としてあれば、公職選挙法の改正によつて又元に戻すとか、或いは何らかの方法によつて更にそういつた特別職の公務員たりとも消防関係に限つては特殊の方法によつてこれを規制するという手段が法律的な方法で行われるかも知れない、それを行わせないように道義的にお互いが反省して考え合わすのが消防団ではなかろうかということをいつも私たちは申すのでございますが、場合によつたら、これは許せないという段階に来たら、そういう方法が又逆にとられるという場合も予想されるのでありますが、そういうふうなことのないように、そういうふうなことの法律的な措置がとられないでも済むように、一つ消防伝統の不偏不党の方針をとろうじやないかということを申しておるのでございますから、仰せのようなことが頻々として起り、弊害極まれば、又今申上げましたような措置がとられるかと存じます。
  29. 小林武治

    小林武治君 私は今お話のような点で結構だと思うのですが、一つ又選挙も或いは近くだんだん近付いて来ますし、それについて改めて地方消防関係者に注意を喚起して頂きたい、こういうことを要望しておきます。
  30. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 僕は前に一遍この問題について申上げたことがある。まあ私は選挙のことでどうのこうのということは何も言いたくない。併し四月選挙のときに、村の消防団が皆出て、消防の出初式でもないでしようけれども、訓練をやる、ひどいことになると、淡路の北のほうの消防団がやつぱり自動車に乗つて洲本からまだ南のほうまで行つて訓練と称してやつておる。今頃やるのはおかしいじやないか、こつちはトラックに乗つて田舎に行けば、どこの田舎でもやつている。昔風の皆で挽いて行くやつから、それからちよつとした市になると、ガソリン自動車で、それで団長が上で兵隊式に敬礼をして総動員でやつている。そういう人たちは別に消防団から出ている誰々を支持してくれとか、誰々をよろしく頼みますということを公式には何も表示していない。併し今頃あれだけ大きな消防がデモをやつておるということは、心ある人には何のためにやつておるかよくわかる。その肝心の候補者なんというものは立会演説にはちつとも来ない。立会演説の会場には本人はちやんと来ていて、消防団の有志とは懇談をやつておるが、立会演説には一つも出て来やしない。そういうことで消防団は全県下に亘つてデモをやつて歩いている。直接のいわゆる選挙違反に問われる関係はないかも知れませんが、併し小林君が今言うそれぞれの消防団、村の消防団、町の消防団がやつぱり消防から出ておる人を担がなければならんという、そういう申合せなり懇談なりしておると思う。そういう事実はつかまえどころがない。併し見れば明らかに選挙目当てに消防団がやはりデモをやつて、具体的に言えば特定の消防団から出ておる候補者を応援する、或いは支持するという意思表示をしておるとしか思えない。そういう実例は前に申上げたことがあるのですけれども、そういうものに対して、或いは村だとか町だとかいう消防団がちよつと見てそういう特定の人を担ぎ廻つておるという、そういう姿を何か注意するということにして頂かないと、まあ選挙違反という事実ははつきりつかめないかもわからない、併し具体的にはそこを狙つてやつておるのだと、併しそういう自動車を動かしたり、それから自動車の訓練をやつた、その晩いつぱい飲む金はどこか県の消防協会とか何かというところから出ているに相違ない。恐らくそんなにたつぷりした予算がその村の消防団とか町の消防団にあるはずはない。特別に一つこれで訓練をやつてくれという何かの金が廻つているに相違ない。形式から言えば選挙違反にはならないけれども、実質的に言えば明らかに繋がりがある。もつとそういうものに対して徹底するように、いやしくも選挙運動と間違えられるような行動なり或いは方法なりをとるべきじやないと厳に戒むべきだということははつきり言つて頂かなければいけない。公けの機関というものを私の機関みたいにしちやう、どうなんですか、そういうことは。
  31. 滝野好暁

    説明員滝野好暁君) 仰せの通りでありまして、先ほど申しましたように、形式論からいえば実際捕捉しがたいということなんですけれども、そういう裏がみえるというような行動はよろしくないことは勿論であります。消防の従来からの動きからみましても、選挙或いは選挙運動中は消防の各種の催しは極力避ける。諸会合を避けるというのがありていなんでありまして、又事実私のほうもそれはやめて欲しい、疑わしいことは、疑われるようなことはしないほうがいいし、又好んでそういうときを選ばんほうがいいのじやないかということから極力避けているのでございますが、今後も選挙は年中行われるのでありますし、いろいろの選挙があるごとに消防は避けなければならん、先ほどから繰返しますような方法で、いやしくも選挙運動中、運動中のみならず一般的に見て消防が疑われるようなそういつた会合、催しはしないほうがいいということを更に強調いたしまして、少しでも御趣旨に副いたいと存じます。
  32. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それはなぜだかということはちよつと調べて頂けばすぐわかる。とにかく小さな町で五台も六台も消防ポンプ自動車を動員するということは、もうすぐわかりますよ。明らかにこれは選挙違反に併しまあ形の上か言えばなかなかそれはつかめないことです。小さな町で四台も五台もポンプ自動車は何をしているのだろうという感じを持ちます。そして一方は本人は立会演説に出ない、併しその代理者が消防何々、消防何々、こう言つているのだ、結果から言えばぴつたりするわけです。そういうことは逸脱していると思うのです。厳に戒めて頂きたいと思います。
  33. 内村清次

    委員長内村清次君) この消防施設強化促進法の制定の際には、裏付けの予算関係は十分政府のほうでも努力してもらいたいという意味の要望が本委員会であつたわけです。これに基きまして二十九年度予算、勿論三億五千万円で十分じやないというような憾みもございますが、三十年度予算関係につきましては、政府関係では十分一つ御努力をして頂くようにこちらからもお願いしたいと思います。   —————————————
  34. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に入りますが、先般委員会から派遣されました第三班の新潟、山梨班の報告伊能繁次郎君から……。
  35. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 只今委員長から御指名がございましたので、去る八月三十日から五日間に亘りまして、私と松澤委員とで山梨県並びに新潟県の両県につきまして、新警察制度、町村合併、改正地方税法の実施の状況並びに一般地方行財政問題につきまして調査のために参りましたのでありますが、詳細は後刻書類報告をいたしますので、その概略を申上げますと、山梨、新潟両県とも町村合併につきましては、大体三〇%強程度進捗をいたしておりまして、おおむね順調な推移と申上げて差支えないと存じます。ただいずれの県の町村合併にもございまするように、合併後の当該市町村の運営前に町長であり、村長であつたという人々の処理の問題、或いは合併後における非常に当該市町村の中心地から離れておるということ、隣接市町村の中心地に非常に近いというような事情から分村をしたいというような希望の面も一部にありましたが、おおむね順調に合併後も推移をいたしております。ただ山梨県に特異な事情といたしましては、昨日松澤委員からも御質疑がございましたが、入会権の問題と町村合併との調整の問題につきまして、大分それが町村合併阻害の一因にもなつておるというような点がございましたが、この点は昨日の鈴木次長のお話によりまして早速自治庁からも御連絡を願い、我々も山梨県に連絡をして、その円滑な町村合併の促進を図りたい、かように考えております。  その他につきましては、現在新潟県においては、なお市になるべく予想されております五泉、新井、それから佐渡の両津、この三町が市になるべく目下促進中であります。山梨についても、なお三市ほど計画中でありますが、これらの、率直に申上げますと、何人が中心になるかというような点等について一部遅延しておる向きがありますが、おおむね順調に推移しておる。新潟県におきましては、既定計画促進審議会におきまして、完成の暁には三百四十万の人口が市部百七十万、郡部百七十万、大体半々くらいになるというようなことでございまして、町村合併については特別の支障もなく推移をしておる。ただ山梨県について甲府市に関しましては、郡部合併に際しまして、市の中心部の方面から合併反対の声が出ており、丁度私ども調査に参りました日が市会の委員会を開催してこれが当否をきめる、翌日市議会総会においてこれが当否をきめるというようなかなり白熱した状況を呈しておりましたが、その事情としては、市部中心の市民は郡部を併合することによつて市部の財政負担、税金負担が強化されるのではないかというような心配をいたしておりましたことと、もう一つは率直に申上げますれば、市長選挙に絡みまして、市部中心の方面で市長選挙の感情問題が残つて反対がされておる。こういう事情も看取されたようでありますが、最近はその事情を円満に調整するために隣接村の合併が延期をされて、目下円満な調整中だというような話を聞いております。  大体町村合併につきましては以上申上げたような推移で、詳細は報告書を御覧頂きたいと存じます。  更に新警察法の実施状況につきましては、両県とも極めて円滑に円満に移り替りを終了いたしております。殊に山梨につきましては、財産の移管等については全部無償で完了をいたしておる。新潟県につきましても無償の方針で目下移り替りを推進中である。かようでありまして、ただ両県ともここで後刻財政上の問題についても申上げたいと存じましたが、教育関係職員、県庁職員、警察職員、この三職員系統を通覧いたしました際に、いずれも教育関係職員が一番平均給として上位である。次が県庁職員、警察職員が最下位に属している。この点は恐らく他府県においても同様な事情ではないか、かように考えられるので、将来この点については両府県に対して松澤委員並びに私から然るべき調整の方法を成るべく早い機会にとる必要があるのではないかということを勧告をいたしておきました。殊に山梨県については、これは県庁職員から責任ある話を聞いたのではありませんが、他の系統からの責任ある話によりますると、警察を府県警察に合体するに関して、県庁職員だけの級の引上げを行なつたという事実がありまして、県会並びに警察側からもその点についての調整方を申入れたために、県議会として警察職員の平均給引上については最近の機会において特段の措置をとるということが県会において決議をされておるという一つの事実がございます。新潟県におきましても、同様な状況でありまして、この点は我々として何らかの措置をとるようにという勧告はいたしておきました。又市警職員と国警職員との給額差額の問題でありますが、これは両県とも特に顕著な差異を生じているとは思われませんでしたが、全体としては千四、五百円、山梨県において七千五百円を超えること千円、八千五百円が最高でありました。新潟県においても大体同様でありまするが、新潟県においては市部警察と従来の国警とのそういう方面における連繋が極めて円滑であつたために、比較的新潟県の差額が大県であるにもかかわらず、市部のほうの給額があまり高くなつておらなかつたというような事実は一つ注目すべきことであり、市警、国警併合について非常に円滑な推移を見た事情にも相成つておる、かように考える次第でございます。更に一本化によりましての過員の問題でありますが、両県とも特に顕著な過員と目せらるべきものもありませんで、三年間ののちにおいてはいずれも十分消化し得るという程度の過員でありますので、この点は非常に適切な併合ではなかつたか、かように考えられます。ただ両県いずれも合併によりまして、それぞれ五千万円程度待命職員の退職資金の問題、或いは四級線以下の通信関係経費の問題その他で五千万近いものが既定予算よりも足らないということで、これは将来県会を開く、その他の処置によつて処理をしてもらわなければならん。又中央において或いは四十億円と称せられる府県警察費の不足の問題と関連して処理してもらいたいというような希望も出ておりましたが、新潟県はかなり大きな県であるにもかかわらず、山梨県に比べて大体同じ程度の不足額でありましてこの点は新潟県の当初予算の計上が、かなり警察に十分慎重な考慮を払つたという証査ではないか、かように考えられる次第でございます。  最後に財政上の問題でございまするが、山梨県につきましては、形式上の赤字は出ておらず一応帳面ずらは合せておりまするが、当局の話によりますると、約三億円近い赤字が出ており、その中の半額近いものは恩賜林の伐採処理によりまして、昭和二十八年度末においてこれを処理したので、あとは支払いの繰延べその他事業の繰越によつて当面の経理面は処理しておる、かようなことでありましたが、新潟、山梨両県を端的に比較いたしますと、新潟県については御承知のように十五億円というような赤字を出しておりまするので、これが赤字解消については非常な熱意を示しておりまして別途詳細なる報告によりまして、赤字解消対策も御覧を頂きたいと存じますが、事務的経費のうちから三割、約三億円を節約をする。又人員の問題にいたしましても、七千人の県庁職員を抱えておりますが、これが三割の削減を行うことによつて赤字の解消ができる。併しながら直ちに三割の人員整理を行うことは到底不可能なので、欠員不補充その他の処理によつてでき得る限り赤字を解消したい。又単独事業等についても、財源の裏付のないものは一切この際起さない、若しくは繰延をするというような、相当ドラステイツクな措置が新潟県についてはとられているようでありまするが、山梨県のほうについては、特段の強力な赤字解消対策というようなものがとられておらなかつたのは、やや残念な感じがいたしております。それぞれべースアツプの改訂による人件費が非常に高くなつているとか、前年度の凶作による生活保護費が増加している、中小学校の児童の自然増加というような、いろいろな事情を挙げまして赤字が出たというようなことを言つておりますが、山梨県の事情は私どもの感じでは、新潟県ほど急迫した事情ではない。更に又赤字が出れば恩賜林というような特殊な財源を持つておりまするので、この点はかなり楽ではないかというふうな感じを受けておつたような次第でございます。  それから山梨県並びに新潟県双方で議論になりましたが、給与所得者と、農業関係、商工業関係の業者の間における市町村民税の徴収の不均衡、この点は山梨県、新潟県を問わず、一町歩近い田畑を持つている人が扶養家族その他の関係から殆んど税金を納めない。ところが勤労所得者については非常な低額所得者であつても、それによつて国税を納め、市町村民税を納めなければならない。これらの点について何らか適当な調整方法を考えて頂かなければなるまいというような意見は双方から出ておりましたし、又市町村民税の所得割の課税標準の選択についても、是非これは統一をしてもらいたいという意見も出ており、更に今回地方税の改正によりまして、固定資産税の税額が百分の一・六から四に減額されたにもかかわらず、自治庁における算定基準の価格改定によつて逆に相当な増税になつている。この点は非常に両県においても工合が悪い。殊に毎年々々課税標準額を変更されることは、これは徴税上においても非常に困難を来たす点もあるので、何らか安定した方策を、課税標準額の変更を毎年行わないで、或る程度安定したような方法でやつてもらわないと困るのではないかという意見が出ております。  又財政緊縮対策の一端として、両県共に各種の行政委員会法律に盛られた八委員会のほか、関係各省の行政委員会が、これは前回の過般の報告にもございましたが、六十幾つある。これにいずれも多きは事務局、事務局がなくてもそれぞれ然るべき人間がおつて、人件費の負担に堪えない、これは是非中央において整理をして欲しい、こういう御意見が出ておりましたことも注目すべき点だと考えられるのであります。  それから交付税額、交付税の税率につきましても二五%か二二%というようなことになつておるが、これらの点は警察を背負い込んで、非常に警察自体の本当に警察をやつて行こうというための経費と、交付税その他によつての経費とでは、各いずれの県も赤字が出ておるので、この点については交付税額の二五%、若しくはでき得るならば三〇%程度にして、府県市町村の自主財源の確立を図りたい、いずれも府県市町村を問わず何とか自主財源の確立を図りたい、そのためには従来のような交付金、補助金等によつて当初は一〇〇%の補助率、その翌年になると半額になり、更に甚だしきは四分の一になる、ところが人間は各府県市町村においてはこれを整理することができない、又甚だしきにおいては、折角新潟県等において部内の府県の部課の整理を、行政整理或いは機構改正を行おうとしても、中央の関係省からこの課を減らすならば自分のほうの補助金はやらないぞというような、率直な恫喝的な意見も出て来るようなことで、こういうことでは自主的に機構改正をやり、人員を、七千人の人間を六千人に減らし、五千人に減らして行こうと思つても非常に困難になる。こういうような点は是非総合的に、各省別の人員に対する補助というようなことでなく、何らか一本で考えられないかというような意見もいろいろと出ておりまして、我々として今後府県財政の健全化について審議しなければならん問題も幾多あるやに拝見をいたして参つた次第でございまするが、余りこまごましく長く報告するのも如何かと存じますが、概略その程度を御報告いたしまして、詳細は私並びに、松澤委員から提出いたします報告書によつて御覧を頂きたいと思います。
  36. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員のかたから御質疑はございませんか……。じや、御苦労さんでした。  それでは全国都市問題会議へ出席されました伊能芳雄委員から……。
  37. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 先般第十六回全国都市問題会議が新潟市において開催されるに当りまして、院議を以ちまして、地方自治に関する本委員会の審議の参考に資するために、内村委員長と私の二人がこれに出席いたしましたので、その概要をここに御報告申上げたいと存じます。  都市問題会議は、全国市長会と東京市政調査会との共催にかかるものでありまして、毎年度適切な議題を取上げて報告並びに討議を行い、市政の発展に寄与している極めて有意義なものであります。従つて本委員会といたしましては、毎回議員派遣を行なつておるのであります。本年は新潟市公会堂において都市の産業政策を議題として、九月八日から十日まで三日間に亘つて開催されたのでありますが、第一日は主報告、第二日は二つの部会に分けてそれぞれ一般報告及び討議、第三日は実地視察をいたしたのでありますが、私どもは日程の関係上、会議の第一日にのみ出席いたしましたので、当日の概略を御報告申上げます。  会議は定刻十時に開会せられ、先ず主催者を代表して全国市長会長金刺不二太郎君の開会の挨拶、開催地代表として新潟市長村田三郎君の挨拶があり、次いで衆参両院の地方行政委員長、新潟市議会議長の祝辞がありました。引続きまして会議に入り、議長の選任、会議の運営についての協議等を済ませましたのち、主報告に移り、午前は産業における地域的構造について一橋大学教授山中篤太郎君、午後は国土総合開発と産業立地について、経済審議庁計画部国土開発第二課長奥田享君、都市の産業政策と商工会議所について、日本商工会議所専務理事岡松成太郎君、デフレと都市産業について、中小企業庁長官記内角一君からそれぞれ有益な研究の発表がありました。  会議に参加いたしましたのは、全国各都市から参集いたしました市長、助役、部課長、議長、副議長等の実務家のほか、学者等の研究家でありまして参加者数百名、極めて盛会でありました。  私どもは今回の会議が、既設の市については勿論、特に町村合併促進法の施行以来、新らたに設置せられた百六十になんなんとする市にとつては最も緊要且つ切実な問題である産業発展の問題、同時に我が国人口問題の解決上も極めて重要な意義を有する都市の産業の発展の問題に貢献するところが少くないことを痛感いたした次第であります。  なお、主報告並びに一般報告の要旨、都市産業政策に関する参考資料、都市の産業政策に関する論文集等につきましては、別の印刷物により、その他会議の詳細については後日主催者側から配付される会議報告に譲ることにいたしまして、取りあえず以上を以て御報告といたします。
  38. 内村清次

    委員長内村清次君) 質疑はございませんね。   —————————————
  39. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に入ります。地方行政の改革に関する調査の件中、警察関係の費用その他に関する件を議題に供します。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  40. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  41. 小林武治

    小林武治君 今回のこの委員会は、前回の委員会の際に警察制度の改革に伴う地方財政の欠陥、こういうことについて政府が実態調査の上でその結果の報告を頂くと同時に、その善後措置をどうするかということを協議するという趣旨で開かれたのでありますが、これらの調査がどの程度できているかということを先ず伺いたい。
  42. 石村幸作

    説明員石村幸作君) 小林委員の御指摘の通り、八月中に調査を終えて、結果を出すようにというようなたしかお話があつたと思いますが、爾来自治庁におきましても、鋭意これを他の財政調査等もやつておりましたので、多少遅れた関係がありますけれども、警察それから大蔵省等と鋭意各現地を調査して参つたのでありまして、実は遅れまして申しわけありませんが、調査に出ていた者が昨日帰つたようなわけでして、まだ調査の集計等もできておりません。詳細な結果を出したいと、こう考えておりますが、まあ大体調査の結果を見ますと、警察費に関する算定洩れ、又は算定不足と、こういうふうにみられるものを概略申上げますと、人件費のうちの休職者に関する給与、それから巡査見習生に対する給与費、こういうふうな点が相当問題になる。それから第二に、初年度の県内の警察官の大移動をやつた、それの赴任の旅費がみてなかつた、これも相当数字になるのじやないか。それから第三に物件費のうち、電話の専用料の査定の誤りがあつた。つまりそれは四月以降の値上分を見込んでいない。もう一つ警察職員に対する被服費の見方が十分でなかつた。こういうふうな点が主なるものでありましてこれらを詳細に数字的に集計しておるわけであります。今お答のできる範囲内についてお答えしたいと思つておりまするが、次長からお答えさせます。
  43. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今政務次官からお答えがありましたように、調査につきましては、自治庁、警察庁、大蔵省三省の連名を以ちまして調査様式を統一いたし、それに所要の事項を記入してもらうということで、調査を進めておりました。七月一日現在で調査をする。それから調査の方法としては、調査票に記入して行なう調査と、実地調査と二つの種類を持たすということになつておりまして、調査の範囲といたしましては、全都道府県及び五大市において昭和二十九年度における警察費にかかる予算措置、給与切替状況等、警察制度切替に伴なう諸費全般を調査する。給与の実態調査につきましては、更に別途給与実態調査票というものを作りまして、それに所要事項の記入をせしめる、こういうことにいたしておるのであります。全体の集計が終りますのは、十月三十日までということになつております。給与実態調査調査票につきましては、相当細かい数字が累積いたしますが、統計局の調査集計の機構を利用してこれは行うというようなこともとりきめておるわけであり、そういうようなことで調査をいたすわけでございますが、給与以外の分につきましては、八月三十一日までに調査票が提出せられて参りますので、目下鋭意これを集計をしておるわけであります。大体九月一ぱいにこの給与以外の関係調査の結果をつかむことができると考えております。なお今月の初めから給与の警察関係の実態調査をやつております。先ほど政務次官が申しましたように、昨日を以ちまして、大体の調査を一応終つたような次第であります。それらのものも調査の中に織込んで結論を出すと、こういうことに相成つておる次第であります。
  44. 小林武治

    小林武治君 只今調査につきましては、各都道府県が警察の予算を編成するに当つて、或る県では不足分をすでに相当計上しておる、又或る県では、自治庁の指示通り予算しか組まれない県がある、こういうふうな二通りなつておりまするが、これらの予算を或る程度参考にされたか、或いは予算などにはかかわりなしに、今のお話のような実態調査に基いて、組まれた予算は一応度外視しておやりになつたかどうか、その点を一つお伺いしておきたい。
  45. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 調査につきましては、予算調査も勿論いたしまするし、又実態がどうなつておるかというその関係調査も勿論これをいたすわけであります。両方に亘つて詳細に調査をいたしておるわけであります。
  46. 小林武治

    小林武治君 今経費に計上しているいわゆる自治庁の財政計画による分に対しての超過して組まれた予算がありますが、その全体の集計はどのくらいになつておりますか。
  47. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) これは今申上げたように、正確な数字調査の結果を待たなければ申すことはできないのでありますが、極く概略な計算によりますと、約四十億でございます。
  48. 小林武治

    小林武治君 私が伺つておるのは、すでに府県が計ししている予算がどのくらいあるかと、こういうことでございます。不足額で……。
  49. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 計上している不足額……。
  50. 小林武治

    小林武治君 すでに各府県で以て自治庁の指示より超過した予算相当組まれておりますが、要するに不足額と認むべき数字です。
  51. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今お話のございましたような自治庁と言いますか、政府の指示に基いてやつておりますものについて、実際の財政計画上の額では足らないために更に不足分を継ぎ足して計上しているものがどのくらいあるか、こういうお話でございますが、そこまでの分析をいたしました数字只今持合せていないわけでございます。それらの点は調査の結果明らかになるわけでございますが、先ほど申上げました数字は、財政計画上の警察費に計上すべき総額に対してどれだけ上廻つて計上しているか、それが約四十億であるということを申上げたわけであります。
  52. 小林武治

    小林武治君 実は私がさような質問をいたすのは、今後政府においていわゆる警察費の不足額を計算或いはこれを改算するに当りまして、或る県は相当山をかけて超過した予算を組む、又或る県は正直に少しも超過しておらない、こういうふうで以て予算のきめ方が非常に違つておる。従つてこれらの予算基礎にして按分をされるとか、或いは改算をされるということになると、非常に不公平な結果になる虞れがある。私どもとしましては、実態調査によつて厳格に計算をしてそうして府県の配分もすべきである。即ち現在の予算にとらわれてもらいたくない、こういうことを考えておりますが、その点は如何ですか。
  53. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今御注意のありました点は、誠に御尤な点でございまして、交付税制度の建前といたしましても、さような実績主義に基かないで、基準財政需要を測定いたします際にも、自由測定と申しますか、そういう形のものをできるだけとつているわけでございますし、現実に組まれておる予算に影響を受けないで、要するに客観的な各都道府県を通じて適当と思われる基準に従つて所要の必要額を算出をいたし、それと先般措置いたした額との間の不足、こういうものを見て参るようにいたしたいと考えております。
  54. 小林武治

    小林武治君 私が最近調べたところによると、例えば北海道庁等は不足額を計上しておらん、或いは宮城県等もそういうふうな措置をとつておる。従つて現在すでに成立しておる予算にとらわれないでやるべきだということを改めて御注意を申上げておきます。  なお実は地方におきましては、七月の警察予算というのはもう早々の間のものである。すべてこれらは九月に補正予算を組むということが各府県とも共通な事柄、計画なつておりまするが、従いまして、私どもは政府のこれらに対する措置が八月中に調査が済むべきである、こういうふうに考えておるのでありまするが、この九月に地方がそれぞれ追加予算を組む、こういうふうなことを考えておりますが、これらについては何か打合せがございましようか。
  55. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 先般の七月に計上いたしました予算額の補正のための予算を提出するという話も聞いておる県もございますけれども、それは何と申しますか、特殊なむしろ県のように私ども考えておるのでございまして特に従つてこのための所要の指導と申しますか、連絡はいたしておりません。私どもといたしましては、調査結果の判明を待つて適当な措置をしたいと考えておるわけでございます。又事実名府県といたしましても、調査結果に基いてどのような措置を政府がとるか、その結果が判明いたしまするまでは、具体的な補正等の措置に出ずることは少いのではないか、又私ども聞かれれば、成るべくその結果が判明いたした上で所要の措置を講ずるようにということを申しておりまするので、特殊な県を除きましては、御指摘のようなことはないのではないかと考えておる次第でございます。
  56. 小林武治

    小林武治君 調査が途中でということですが、大体自治庁の見込み、今までの見当ではどのくらい不足されるかというふうな見込みが立つておられると思いますが、その金額はどのくらいになりますか。
  57. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 先ほどもいろいろ御注意がございましたように、単に計上されておる額と財政計画との数字の上だけの比較でこれだけ不足する、こういうような結論にはなりませんものでございますから、これはよく数字内容を洗つてみなければならんわけでございまして、只今のところ幾らということは申上げることはちよつと困難と存じておりますが、従来極く達観的には四十億前後ではないかというようなことを申しておりますが、これは併しなおよく洗つてみなければわからないと考えております。
  58. 小林武治

    小林武治君 自治庁次長と政務次官からこういう点が漏れておつたというふうなお話がありましたが、その点は警察庁も同じ見方をされておるわけですか。
  59. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 大体同様に考えております。
  60. 小林武治

    小林武治君 そうすると、まあ私ども現在の段階ではできるだけ早く一つ結果を知らして欲しいと、こういうことを申上げておくわけでありますが、それにつきましても、ともかく相当額の不足があるということは、もう現在確実に予言できる。こういう事態になつておるのでありまするが、これらを如何なる方法によつて措置されるかということは、無論政府の責任者でなければ御返答を聞けないのでありますが、それらの点につきましても何らかのお話合いをされておるかどうかということを伺いたいと思います。
  61. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 自治庁といたしましては、不足であろうと予想せられまする費目が大体経常費的なる内容のものでございまするので、やはりこれらは交付税の増額を以て処置すべきものというふうに今考えておりまして、そういうことで只今大蔵省のほうにお願いをいたしておる次第でございます。
  62. 小林武治

    小林武治君 大蔵省はその点はもうやむを得ざるものとして肚をきめておられるかどうか、事務当局の一つ御意見をお伺いしたいと思います。
  63. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) だんだんとお話のように、警察費につきましては、私どもは最も信頼する自治庁、警察庁の資料を頂きまして最初に計上いたしました次第でございまして、その計上の筋から申しまして、余り大きな狂いはあるものでないという考えを持つておつたのであります。即ち国のほうの国家警察の経費、市町村警察経費、この両方から府県に移したものの国のほうに直接自然的に残るものと、補助金が多少残る、その筋をずつとたどつて行きますと、さして大きな食違いはあるはずがないという考えを持つておつたのでありますが、併し今お話のようにいろいろお調べになると、どうも算定洩れ、或いは算定過少のものがあるというお話は一応伺つておるわけであります。併しながら今日まだ調査は一応三者共同でいたしましたが、その結果はまだ出ておりませんので、この結果を待ちまして、大蔵省としては十分国家財政全般の地方財政との関係という点を考えてみたいというふうに思つております。  交付税を増額するというお話でございましたが、この点につきましては、まあ理窟を申しますと、交付税には御承知のように普通交付税、特別交付税、その特別交付税も普通交付税も府県と市町村というふうな関係に分れるのでありまして、私どもとしてはやはりこれはまあよその外から飛込んで来たものではないので、市町村から府県に移つた、そうするとその移し方の面がどういうふうな関係なつているとか、警察費の負担を免がれた市町村の財政と府県の財政との関係ということも十分検討をしなければならんのではないか、結局、従つて簡単に交付税の増額と言われるのでありますが、地方団体の経常費は固有財源で先ず賄いまして、その固有財源の中に交付税も入るのでありますが、固有財源としてはみずから徴収されるところのいわゆる地方税というふうなものもあるわけであります。そういうものとの配分の関係も十分考えなければならないというふうに考えております。只今のところ簡単に自治庁が言われました通り、交付税の増額以外に途はないかという点につきましては、まだそこまでは考えておりません。殊に今申上げたような配分の問題、そのほかに国が直接支弁をいたす経費があるわけでございまして、これは一応国家の予算の中に入つておりますが、府県としては御承知のようにこれを予算には見ておらないわけであります。これが支弁をしました結果どうなるかというふうなことも併せて考えなければならんかと思うのであります。従いまして私どもとしては無論何らかの措置を講じなければならんことは申上げるまでもないのでありますが、やはり実態の究明を待ちまして、諸般の方法を講じまして、この最も大切な警察の運営に遺憾なきを期して参りたい、かように考えております。
  64. 小林武治

    小林武治君 私は、従来地方財政の財源の措置が不十分だと、こういうようなことが従来言われておりますが、これは大かた水掛論になると思いますが、併し今回の警察法の改革は現実に七月一日に移管になつた。従つてこの調査比較ということはやはり私は正確にでき得るというふうにも思うのでありまするから、これらが若し必要があつたとするならば、当然私は結果として財源措置をいたすべきだというふうに思うのでありまして、従いまして、この際としましては、迅速に又正確に調査をされ、結果を出されるということは、他の財源措置の参考にもなるし、又この問題自体は極めてむしろ簡単な問題だ、こういうふうに思いますので、適切な措置を一つ政府においてとられたい。こういうことを特に希望申上げておきます。  なお、それに関連しまして伺つておきたいのは、自治庁で以て現在国警と自治警との給与の差額の調整金を払つておると思いますが、その調整金は全額でどのくらいになるか、計算ができたかどうか、伺つておきたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今の調整手当でございますが、これは指導の方針といたしましては、最高七千五百円程度で抑えるということを予算編成上の措置として見ておつたわけでございますが、先ほどの御報告にもございましたように、八千五百円を組んでいるようなところもあるようでございますが、財政計画の上におきましては、たしかこの額としましては十三億であつたかと思いますが、その程度数字を考えておる次第でございます。これが現実にどの程度計上せられておりまするか、これは調査の結果を待ちませんと明らかにならないわけでございます。
  66. 小林武治

    小林武治君 これは警察のほうに伺つておきたいのでありますが、調整手当の問題はこの過渡期においては或る程度やむを得ない。こういうことで始めたのでありまするが、進行をして始めた推移を見ると、非常に警察士気の問題に影響を来たしておるのでありまして、私どもはこの調整手当というものが、そう長く一体継続していいものかどうかということに非常な疑問を持つておるのであります。もらう者も妙な気持になつている。而して机を並べておる従来の国警の者も非常に心よからず思つている。従つて警察活動或いは警察の統制のために私は非常な大きな禍根を今後残すというふうに思つておるのでありますが、これに関して地方では或いは三年で打切るというふうな話も流布されておるのでありまするが、何らか私はこのままでなくて自然の推移に任せておくことは私は警察の維持運営の上において非常な心配をしなければならないと思うのでありますが、これに対してお考えを持つているかどうか伺つておきたいと思います。
  67. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) この差額手当の問題は、法案のときから問題でございまして、原案として政府が出しました際にも非常に苦慮したあげくがああいう調整手当をいたしたわけでございますが、お説の通り現実に実施をいたして見ますると、只今仰せの通りのような状態が現われております。併しながら一面調整手当はとにかく旧自治警察時代にもらつておつた給与を著しく下げない、いわゆる個人の基本的な権利をできるだけ尊重しようという趣旨でできましたものでございまするし、表面的には調整手当をもらつているのは如何にも心苦しいという感じを持つてはおりましようが、併し内心これを打切つてしまうという場合に、果してどんなものであろうかという点も考えざるを得ないと思うのでございます。で、只今自治庁の次長から御説明がありましたように、最高が七千五百円で打切つているのが殆んど大部分であります。所によりますと八千五百円で打切りをしている所もございます。併しこういう高い調整手当をもらつておりまする員数は極めて数少いのでありましてこれを平均いたしますると、大体千二、三百円乃至千五百円以内でございます。数の非常に多い部分はそれよりももつと下廻つているのでありましてこれらは一両年に他のいわゆる従来の国警にいた者の給与が自然に上る、昇給をする、ベース・アツプでなしに昇給をするということだけによりましても解消をいたして参るのでありまして、三年、四年、或いはそれ以降に残る者の数は極めて少くなつて行くと考えます。殊に高額の調整手当をもらつておりまする者は数が少いのみならず、又相当長い間勤務をした人でありまするので、これらの自然退職ということも又起つて来ると思うのであります。只今といたしましては、法的にこの調整手当を今後三年で打切つてしまうというようにするのが適当であろうという結論にまでは達しておりません。もう少し実情と推移を見極めまして、又輿論、殊に国会の皆様方の御意見等も今後十分承わりまして、適当な方法があれば善処をいたしたい。その程度に考えているわけでございます。
  68. 小林武治

    小林武治君 地方で聞きますれば、このまま放置すれば、十年たつても解決がつかんというふうなことも言つております。実際問題として相当深刻な気持を、もらうほう、もらわんほう、いずれも持つているということは、最近私どもも切実な訴えを聞いております。それで私は個人の問題も大事だが、警察の運営という点からも大いに考えなければならんし、又今お話を聞けば、これだけでも十数億円になる、こういうような問題でありまするから、急にはどうというわけに行きませんが、十分一つ研究して頂きたい、こういうふうに考えております。
  69. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今斎藤さんが簡単に国警のほうも昇給するのだ、ここ両三年なり或いはもう少し長く時間をかければ簡単に解消するとおつしやつたけれども、そう簡単に解消するものでしようか。具体的にどういうふうにやつたらこの違いというものは解消できるかということを、もう少し具体的にお話願えませんか。
  70. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) この調整手当をもらつておりまする間は、本俸は上らないということになつております。で、例えば今旧国警にいた者の巡査の平均給が例えば一万二千円、それから自治警から来た者が一万二千円よりも例えば一千円余計もらつているといたしますると、一千円だけ調整手当がついている。ところが大体巡査級におきまして、一年に六、七百円くらいの昇給をいたすわけでございます。そういたしますと、その差額は四百円になつて来る、翌年になるともうその差額がなくなるということになりまして、従つて数の多い者は大体千二、三百円以下の者が非常に数が多いわけです。従つてそういう者はまあ少くとも二年ぐらいたてば旧国警のほうの者が昇給をいたしまするから、もう同じ給与になつて、そこでこの調整手当がなくなつてしまう、こちらのほうは……。ところが高い五千円或いは七千円をもらつております者は、これはお尋ね通りなかなか追つつけません。一方はそこで足踏みされておりますけれども、一方のほうの昇給が、そこまで追いつきますのには、七千円ということになりますと、これは高給者のかたでありますから、やつばり四、五年はかかると思います。併しこれらの者は数が少いということを申上げておきます。
  71. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは実際に全体を通じてまあ警視だとか或いは警視正だとか、警視正は別ですが、ここで警視以下の人たちは何人で、それから平均の調整手当というものがどのくらいというような調べはあるわけですね。ありましたら一つ見せて頂きたい。
  72. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) その調べも只今いたしておりまするので、できましたらこの委員会に提出をいたします。
  73. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この問題は自治庁のほうのおつしやることとは別に、警察のほうだけで調べがついているわけですね、調整額の問題は。
  74. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 今の調整額の問題は、自治庁、それから大蔵省、警察庁、三者共同で実態調査をせよという中の項目に入れておるのです。これは七月一日に切替えましたが、その七月一日にすぐ本俸を幾らにするかというのはぴしやつときめ得ない府県が相当ありまして、七月の半ば以降まで、或いはそれ以降もかかつて、一体本俸をどこにきめるかというのをやつておる所がまだありました関係で、丁度自治庁、大蔵省一緒に調べをしたほうが正確であろうというので、その調べを一緒にすることにいたしたのであります。
  75. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それからもう一つ。高級の者はなかなか何しない、併しまあ勤続年数が長い者はそのうちに上るだろうということになると、そういう調整額をたくさん取つている者は、或いは早くやめてもらわないと、調整額というものはいつまでもいつまでも残つて行くということで、自治警出身の高級者が早く退職させられるという心配がある、そういう心配はございませんか。何となく期待するということは……。
  76. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) そういうことはできるだけなくしたいと思うておるのであります。調整手当は調整手当として別に予算をもらつておりますから、県の予算当局から調整手当をもらつておる者を早く整理をしてくれというような、そういう要求はなかろうと思います。従いまして、警察としましては予算をもらつておりまするから、ただ成績或いは本人の実情等によりまして勇退をする者ができて参りますけれども、或いは調整手当をもらつていたから早くやめさしても、その調整手当が他に廻るというわけではございませんから、そういうことは先ずなかろうかと考えておりますが、更に指導といたしまして、さようなことのないようにいたしたいと思います。
  77. 小林武治

    小林武治君 今長官のお答えの中に、調整手当をもらつておる者は昇給しない、こういうことをおつしやつたが、それは違うので、調整手当の中から本俸のほうへ直している金額があると思うのですが、その点はそうじやないのですか。本給を上げて行くのじやないのですか、やはり。
  78. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) それは本給は旧国警の水準に本俸をきめまして、そうして今までもらつておつた差額だけは調整手当としてもらう、そこで旧国警の者が昇給すると同時に、この自治警から来た調整手当をもらう者の本俸も上りますが、その上りに応じて調整手当が減るわけであります。従つて旧国警の者がその調整手当を上廻るところまで行くまでは、本人は実質上は昇給しない。本俸は上ります。本俸が上ればそれに応じて調整手当が減つて行く、そういうことになつております。
  79. 小林武治

    小林武治君 それで結構です。もう一つ、私は警察庁長官に伺つておきたいと思いますが、私どもは前の警察制度の改善に当つても、できるだけ機構を簡素化してもらいたい、従つて我々はできるならば管区警察の新設というものは認めたくなかつたのです。こういう事情にあつたことは御承知の通りでありますが、私は最近北海道のほうを見たのでありますが、北海道には方面本部というのが五つある、而してこれらの方面本部には公安委員会というものが皆ついております。ところが公安委員会の仕事というものがそうない、或いは殆んど明定されておらん、そういうことで、私ども第三者から見ればこれは不用じやないかというふうに思つております。又、なお、札幌には道の警察本部があつて、そこに又方面本部が重ねてある。こういうふうなことで、これらの組織については私は或る程度簡素化する余地があるというふうに思つておりますが、それについての御意見は如何でしようか。
  80. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) これはまだ新制度実施早々でありまするので、もう少し推移を見たいと考えております。現在といたしましては、北海道は五方面に分れております。ある地域の広い所で、而も警察が民衆から遊離をしないで、民衆の監視を受けながらやつて行くというためには、これはやはり五方面に公安委員というものが存在するほうがよろしいと、かように考えておるのでありまして、特に目立つた仕事はいたさないといたしましても、やはり各方面に三人の公安委員さんがそれぞれおられるということは、私は警察が官僚化をしない、又行き過ぎをしないという是正といたしましては必要な存在ではなかろうかと、かように現在では考えております。
  81. 小林武治

    小林武治君 私はまあその点は長官と考え方が違つておる。即ち、公安委員会等は恐らく不用であろう、こういうふうに私は考えております。従つて一つ今後の運用を御覧の上で再検討を願つておきたいと思います。こういうことを申上げておきます。
  82. 木村守江

    ○木村守江君 先ほどからいろいろ御説明を聞いておりますと、警察費の各都道府県における不足ということは、これは否定できない問題であるというように説明を伺つたのです。それでその実際の不足額はどのくらいであるかということを調査するために、自治庁と警察庁と大蔵省と三者共同の体制を立てて実際額を調査するというようなことをいたしましたことは誠に結構なことで、是非そういうふうにすべきであるというように考えるのでありますが、その三者共同で出ました不足額というものがもうはつきり現われて参りました際には、大蔵省は、先ほどいろいろ説明がありましたが、或いは県独自の財政云々とか、或いは平衡交付金の不正支出の問題とかありましたが、警察費の不足として三者で調査いたしまして、三者が共同して、而も三者で一致した結果が出ましたら、それに対して大蔵省は当然警察費の不足としてこれは支出しなければいけないんじやないか、そのために大蔵省も調査に乗出したんじやないかと思いますが、警察費として計上したものが不足なんだから、これはほかのほうの平衡交付金の問題や、独自の固有の財源というような問題と考えないで、警察費として独自に考えなくちやいけないんじやないかと私どもはしろうととして考えるのでありますが、どんなふうなお考えでありますか。
  83. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) お話は御尤もに思うのでありまして、警察費の不足をほかにしわ寄せるというような考えは毛頭持つておりませんのであります。実はさつき申上げたのは、或いは言葉の表現がまずいんだろうと思うのでありますが、要するに市町村から府県に移る、国から府県に移つた、そうして財源としましての一応の合理的な計算をいたしまして、これに見合つたものを移したつもりであるのでありますが、まあそれが移つてない、そうしますと、どつかへ金が消えてなくなつたんだと言えば、そういうはずはないのでありますから、これは市町村のほうの財源の見方なり、国のほうの財源の見方なりというものを検討して見なければならない。そうしますと、やはり配分の問題ということも併せて考えなければならない。即ち、鈴木次長が一応の筋として交付税の増額ということをおつしやいましたが、私どもはその前に、もう一つ与えられた枠内で配分が果して正しく行われるかどうかということも併せて検討して見たい、こういうことを申上げたわけでありまして、決して不足額をほかへしわ寄せるというわけではありません。警察費に、これは財政需要のほうは自治庁でございますから、それに見合いになるところの財源の移し方が妥当であつたかどうかという点をよく検討してみたい、こういうことを申上げたのであります。なお国のほうにおきましては、御承知のように直接支弁の経費とか補助金が入つているわけでありますが、それらの経費も果して正しく積算されているかどうかということも一緒に見てもらいたい、こういうことを申上げたのでありまして、実態調査につきましても、積極的に大蔵省も参画いたしたのでありまして、この結果につきましては、無論三者の一人といたしまして十分責任を感じて善処して参りたい、こういうように考えております。
  84. 木村守江

    ○木村守江君 話はよくわかりますが、これは警察制度の改正をする場合に、今大蔵省の次長から話されたような、いわゆる歳入の面は十分に考えて、そうして予算の裏付をしたのだと我々は考える。そうしてその十分の裏付を考え、当然その市町村から入つて来るものを計上して、而も不足だというような結果になつた場合には、当然大蔵省がこれを支弁しなければ、如何に陳弁しても、ほかの経費のしわ寄せにならざるを得ないだろうと思うのですが、どうでしようね。
  85. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 実はおつしやる通りで、先ほど申上げたのですが、自治庁や、警察庁というところは間違いをされるところではないのでありますから、ですから歳入のほうは全然間違つていないという前提が正しいとしますれば、最初の財政計画でごらんになりました需要も間違つているはずはないのでありますが。どうもそつちのほうに算定漏れがありました、或いは算定過少がありましたとおつしやるのですが、歳入のほうも全然ミステイクがないでもない、そこはもう一度よく計算してこそ納税者に対して我々の務めが十分果されるのではないか、こういうようにも考えているのでありまして、これは財政需要の面を検討するならば、それの裏付になるところの歳入財源のほうもよく見て頂きたいということでございます。ただ全然持出しにならないという結論も早いと思いますし、全部持出しになるという結論も早いと思うのでありまして、全体をよく検討いたしまして、やはり国民の負担を全体として殖やさないということが大事かと思うのであります。できる限り国民の負担を殖やさないということも同時に大事でございますから、その点も併せて考えてもらいたい、そういうことであります。我々結果を見ないとあれでありますが、私どもはそういうことを考えておるわけであります。
  86. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 斎藤さんと鈴木さんにちよつとお伺いしたいのですが、この残つた五大市警察関係の経費、これはどういうことになつておりますか。はずすつもりで財政計画を立てて、そうしてこれが残つたということで、五大市持出しの分が非常に多くなつているのじやないか、それに対する地方交付税の関係などが十分でないということになつたのじやないかと思うのですが、その点は自治庁のほうではどういうふうなお考えを持つていますか。
  87. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 五大市に警察が来年の七月まで残るということになりました関係の財源上の問題でございますが、これは大ざつぱに申しますと、五大市の警察が政府原案の通り府県に移るということになりますというと、五大市がすべて地方交付税関係では交付団体になり、相当の余裕財源を生ずる、こういう恰好になつて来るわけでございますが、修正されました最終の決定案に基きますると、それが逆の姿になりまして、五大府県のうち今度の交付税の決定にも現われておりますように、東京、大阪は勿論でありますが、神奈川等も交付団体になりました。愛知も交付団体になつたわけであります。京都と兵庫は不交付団体として残つているわけでありますが、そういうふうに府県のほうが交付団体になる割合がふえて参りました反面、五大市に対しましては不交付団体になりますべきものが交付税をもらう、こういうような恰好になつて来たわけでございます。大阪だけが不交付でございまして、あとは四市とも交付団体、こういう結果になつたわけであります。従つて交付税の配分によつて調整ができる、こういう観点で特に警察の移譲の関係では税制上或いは財源配分上、制度的に特に検討を加えないで始末し得るという考え方になつているわけでございます。
  88. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 何か資料を見ますというと、五大市の警察の維持に必要な経費が八十六億ですか、そうして国庫負担金なり補助金なりその他特別財源いうものが六億程度で、あと一般財源といいますか、一般会計として八十億ほどのものを警察費に関する財政需要として考えなければならん、これは相当ただですら芳しい財政に一つの圧迫をかけているのじやないか、勿論これは五大市のほうでは残してもらうということはいいですよ。財源をこれだけ持出しになるから警察は要らない、こういうこととは違うのだけれども、八十五億ほど持出しになるらしいという計算なんですが、こういうものを持つていてその財源的な措置があまりしていないということであれば、相当五大市としても苦しいと思うのであります。そういう関係は如何ですか。今申上げたように八十六億ほど警察維持費が必要である。それから特定の財源は今申しましたように六億程度である。又八十億は市の一般財源としてこれを考えなければならん。この数字は正確なんですか。
  89. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 五大市につきまして、お話のように最近地方財政の窮乏しているような関係から非常に苦しい。殊に警察が残り、又ベースアツプがあつたというような関係で非常に苦しくなつている。従つて何らか適当な財源措置を考えてくれという一般的な要望は私どもも最近非常に強く承つているのであります。これは警察に関しまする問題だけを抜き出してみますというと、御指摘のように五大市としてはたしかに他の警察を府県に移譲した都市に比べますと、苦しいわけでございますが、併し状態としては昨年と同じような状態が更に持続したということであるわけでございます。一方固定資産税或いはたばこ消費税といつたような而におきましては増収があるわけでございまするし、勿論市民税の一部が府県民税として移つた点はございますけれども、総体の財源上の問題として考えてみますというと、財政計画上からはこのために特に苦しくなつたということは言えない。むしろ数字的には逆の結果が出ているのであります。併しそれはそれといたしまして、たしかに人口が急激に五大市は増加して参つた。そういうふうな関係、例えば児童とか生徒の数が殖える。その関係の財政需要も或いは教員の増加となり、或いは学校の校舎の建築となり、というようなことで非常に苦しいことがわかつて来ておるのでありまして、それらの起債の割当等につきましては、一つ十分その実情に即するような措置を講じたいということを考えておる次第であります。警察のために特にこの際特別な制度上の財源配分の変更をする必要はない。殊に来年七月までということに一応制度上なつておるわけでございまするので、一応交付税の運用によつて処置をして行きたい。今申上げましたように起債等によります面におきまして、或る程度の調整を図りたいと考えておる次第であります。
  90. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 来年の七月で廃止になるのですから、暫定的にまあ税制上の特例を設けるということも困難かも知れないけれども、併しまあこの警察がある場合とない場合とでは、相当に財政上の余裕と申しますか、或いは困難さというものが変つて来ると思うのです。暫定的な何かこの警察制度をも含めて、先ほど実態調査をやつていらつしやる、特に存続したために五大市の財政を圧迫したという事実がわかれば、何か考慮して頂けますか。
  91. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) この点はまあ今回の調査の対象にやはり五大都市も入れておるわけでございますから、その調査の結果によりまして、今度の制度の改正に伴つて何らかどうしても処置をするのが当然である、府県の警察費について何らかの措置を講ずるとするならば、その権衡上五大市の警察につきましても当然に同様な措置をいたすべきである、こういうような結論の出るものがございますれば、やはり同じように考えるべきものと思うのであります。
  92. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 自治庁から資料をお願いしたいと思いますが、地方公共団体に対する補助金調、本年の七月できましたこれを明日ここへ配付してもらいたい。できているでしよう。
  93. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 地方団体に対する分ですね。
  94. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方公共団体に対する補助金調、藁半紙の立派な表ができておるでしよう。それからこれは新らしく拵えてもらいたいんですが、明日では間に合わないんでしようが、終戦後の起債の累積状況、それの償還の年次計画、それは大体本年あたりの八百億とか九百億とかいう線で、だんだん累積して行くというふうに見て、そうですね、三十五年か四十年ぐらいまで償還の予定ですね、そういうものを一つもらいたいと思うんです。それからたばこ消費税の入り方、最近のものがとれておつたら……。これはなかなかわかりませんかね……わからなければ仕方がないですな。  それから大蔵省の主計局次長ではちよつと筋違いですが、入場税がどんなふうになつているか、わかりましたら一つ資料でできましたらお願いしたい。明日間に合わなかつたら来月の初めぐらいに又やるでしようから、その頃までに何らか一つお願いしたい。それから法人税、所得税、酒税の伸びる状況もわかりましたら併せてお願いしたい。
  95. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  96. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。
  97. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今伊能委員からお話の補助金の調べ、起債の調べは、これは手許に資料がございますので、明日提出するようにいたします。
  98. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後四時四十七分散会