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1954-06-01 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月一日(火曜日)    午前十一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            西川甚五郎君            山本 米治君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            山田 節男君            平林 太一君   衆議院議員            苫米地英俊君            片島  港君   政府委員    大蔵省理財局長 阪田 泰二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     高橋 俊英君    大蔵省管財局国   有財産第一課長  木村 三男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国有財産特別措置法の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○企業再建整備法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案議題といたしまして、先ず発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 苫米地英俊

    衆議院議員苫米地英俊君) 只今議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由を御説明申上げます。  国有財産特別措置法におきましては、社会福祉事業等施設の用に供する場合に、旧軍関係等普通財産を、地方公共団体社会福祉法人等に対して、時価から五割以内を減額した対価で譲渡すること等ができることになつているのでありますが、更生保護事業施設につきましては、何らこのような特別措置規定されておらないのであります。併しながら更生保護事業は、刑務所から釈放された者等を収容して、これを保護し、その指導を行い、その速かな更生を図ろうとするものでありまして、社会福祉の増進に寄与することにつきましては、毫も社会福祉事業等と異るところがないのであります。殊にこの事業を営むために設立された更生保護会は、更生緊急保護法により、国から委託を受け且つ国から補助金を受け、従つて国の監督の下に更生保護事業を営む法人でありますから、社会福祉法人等と同様の取扱をすることは極めて当然の措置と考えられるのであります。  よつてこの際、国有財産特別措置法を改正いたしまして、更生保護会更生保護事業施設の用に供するとき、又は、現在は該当事項がありませんが、地方公共団体更生保護事業施設の用に供するときには、社会福祉事業等の場合と同様、国有財産減額譲渡ができることとすると共に、その譲渡代金の支払につきましても、十年以内の延納の特約等ができることといたし、以て更生保護事業の健全な発達に資することにいたしたのであります。  以上が最初衆議院に提出いたしました本改正案趣旨及び内容でありますが、この原案は、慎重審議の結果、衆議院におきまして修正議決を見るに至りました。即ち現在各地方公共団体におきましては、農業改良助長法に基きまして、農村中堅青年養成のための教育機関として、農林省より補助を受けて、伝習農場施設いたしておるのでありますが、これら伝習農場のうちには、旧軍関係財産等国有財産を借受けて運営いたしておるものもあるのであります。而してこのような場合には、当該地方公共団体は国に対して毎年相当額賃借料を支出していることは言うまでもないのでありますが、そのほか維持管理費相当額に上り、而も諾修繕につきましては、その都度、国の許可を受けて実施しなければなりませんので、時には時機を失することもありまして、事業運営にも多大の支障を来たしている所があります。本来このような施設学校施設等と何ら取扱を異にする理由もないと考えられますので、施設管理を一体にすることが事業運営の円滑を期する上に最も適切妥当と認めまして、これらの施設の用に供する場合につきましても、国有財産減額譲渡等ができることといたしたのであります。  以上を以ちしまして、本改正案提出理由を御説明申上げました。何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願い申上げます。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。
  6. 平林太一

    平林太一君 ちよつと説明者である苫米地君にもう少し詳細に御説明願いたい。そういうことは、議員提出として、衆議院においての審議経過ですね。それからこれが論議された、そういうようなことについての衆議院内における各党の、相当意見もあつたであろうと思いますから、それをもう少し詳しく、常識的でいいですから、御説明願いたい。その経過ですね。
  7. 苫米地英俊

    衆議院議員苫米地英俊君) 申上げます。この最初更生保護事業というのは、これは元司法保護事業言つてつたのでございまして、これにつきましては、これは法務省関係のものでございます。それで法務省のほうへ、実は静岡県から陳情があつたのでございますが、静岡県のほうではこれを払げて行きたい、それでないというと、どうも今度払下にたることになつたのであるが、物価の上昇等で、時価が年々急速に上つて来るので、成るべく早くに払下げてしまわなければ、自分たちとしては困るので、払下げたいという陳情法務省のほうへお願いしたらしいのでございます。それで、同時に、そのことを衆議院のほうへも持ち込んで来たのでありまして、それから法務省のほうと打合せてみましたところが、これはどうもほかの更生施設と、福祉施設と何ら変らないばかりでなく、これは現在の世相から見ても非常に緊急で大事なものであるから、半額にして払下げてもらうことは、法務省としても適当と思うから、どうかそういうふうにしてもらいたいというここでありましたので、これを大蔵委員会でとり上げまして、私が提案者になつて検討いたしたのでございます。ところが、その際に、これが一応事業がしまつて、その更生保護事業施設がとりやめになつた、或る一定のところで、今問題になつている静岡で、それがとりやめにになつたというような場合には、それと同様な他の事業のほうにそれを譲渡する、譲渡しない場合には国に帰属するとかいうような規定がなければ、この法案は通すわけに行かんじやないかというような議論もあつたのでございますが、これは民法七十条だと思いましたが、それにそういう場合の規定が細かく載つておるので、それがこちらにかぶつて来るから必要はないじやないかというような議論がありまして、法務省のほうへ尋ねてみたところが、法務省側では、民法七十条がかぶつて来るのが当然であつて、それを修正するようなこういう規定を入れてもらわないほうがいいんだというような御意見であつたので、これはそういうものを入れないで、お手許に差上げましたような形で通過いたしたわけであります。そのほかには大した議論はございませんでした。
  8. 平林太一

    平林太一君 それに対する政府の見解を伺いたい。
  9. 木村三男

    説明員木村三男君) 国有財産関係減額譲渡又は無償で譲与するという場合には、それぞれ規定によつてその例が挙げられておるのであります。ここに出て来ております更生保護会並び伝習農場、これは現在の規定に入つておりません。そこで立法をする場合にはどういう点を考えるかと申しますと、その事業が公共的な性格が強いということ、並びにその事業そのもの収益目的でなくて、やはり赤出の行くような事業である、そういう場合には国有財産面においても減額取扱いをすることが適当であろうというような関係から、事業性質なり或いはその経営内容なりに着目いたしまして、法令を逐次整理して参るというような建前になつておるのであります。今ここに出ております更生保護会について見ますというと、現行のいろいろな社会福祉施設等に比べまして、事業性質或いは経営内容等から見まして、毫も遜色がないような関係もありますし、又その団体事業をやめた場合に、その財産はどうなるかということについては、只今提案者のかたから説明がありました通り民法規定によつて類似団体に移行する、然らずんば国庫に帰属するというような締め括りの点もありますので、私どもといたしましてはこれに賛成をいたしたわけであります。  なお次の農業改良助長法によるいわゆる伝習農場という施設につきましては、これもやはり公共的な性格の強い事業でありますと同時に国庫のほうからも補助がございます。そういつた関係もありますし、それを扱います団体地方公共団体でありますので、その点、運用については余り心配することはあるまいというようなことから、やはり大蔵省といたしましてはこれについて同意を表した次第であります。
  10. 平林太一

    平林太一君 今の政府の答弁も、非常に私の考えておりますことに対しましてよく納得ができたのであります。極く簡単に最後に提案者にお尋ねしておきたいと思います。場所ですね、それは性格に前後二つあるようでありますが、それだけを明らかにして頂きたいと思います。
  11. 苫米地英俊

    衆議院議員苫米地英俊君) 更生保護事業施設のほうは、これは各地にありますので、全部でどのくらいになつているか、私、数は存じませんが、政府のほうで御存じだろうと思います。それから農業施設のほうは印刷したものをお手許に差上げてあるはずでありますが、それでは先ず政府のほうから。あと片島さんから一つ……。
  12. 木村三男

    説明員木村三男君) 更生保護会関係について申上げます。法務省のほうで認可されました団体の数が百六十五団体あります。そのうち予算の補助の対象になつておりますのが九十八団体であります。この関係で、この法律の適用によりまして国有財産について特別の措置を受け得るであろうと予想されますのが三カ所ございます。一つ長崎県の大村市であります。これに所在しておりますところの更生保護会、それから千葉県の船橋市に一カ所ございますが、これは埋立地を使用しようという計画でありまして、現在はまだ着手しておりません。国有地の使用は開始しておりません。それから静岡県に一カ所、これは先ほど苫米地議員からお話がありましたが、その三カ所でございます。
  13. 片島港

    衆議院議員片島港君) それから県営伝習農場でございますが、北海道の中川郡本別町に軍馬補充部の跡がございます。それから青森県の上北郡三本木町に、これも元軍馬補充部の跡、開拓財産がございます。長崎県の東彼杵郡千綿町の元高射砲陣地跡開拓財産、それから大分県北海部郡坂ノ市町にあります、これもやはり同じでございます。それから宮崎県児湯郡高鍋町、これは元軍馬補充部跡、これが開拓財産大蔵財産両方にわかれております。道府県営伝習農場は全国的に五十数カ所ございまして、殆んど各府県にありますが、そのうちで国有財産としてそれを借受けているところは以上五つの道、県でございます。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  17. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。    多数意見者署名     木内 四郎  菊川 孝夫     平林 太一  成瀬 幡治     藤野 繁雄  東   隆     白井  勇  三木与吉郎     青柳 秀夫  前田 久吉     西川甚五郎   —————————————
  18. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に企業再建整備法の一部を改正する法律案議題といたします。  先ず本案内容説明を聴取いたします。
  19. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 企業再建整備法の一部を改正する法律案でございますが、これは企業再建整備法によりまして、株主或いは旧債権者に対して特別損失を負担させました、つまりそれからの権利を一部打切りました会社は、仮勘定というものを設けまして、これは銀行における調整勘定性質は同じことでございますが、処分を予定いたしました資産につきまして、若し利益があれば、これをその仮勘定確定いたしましたときに分配するということになつているのでございます。その仮勘定を設けるべき会社は千五百社余りあることになつているわけです。ところが現在の法律によりますると、この仮勘定は事実上は容易に確定し得ない、殆んど確定できない状態にあるわけでございます。と申しますのは、銀行の場合でも同様でございまするが、自分会社資産処分を終り、或いは債権回収を終りましても、他の会社終つていない。従いましてそれらの会社から仮勘定利益はね返りが来る。或いは金融機関調整勘定確定いたしておりませんで、そこからのはね返りも来る。相互にその仮勘定或いは調整勘定の間の関連がございまして、確定できないわけです、金融機関におきましては、利益がある場合には中途において随時調整勘定利益分配できるという規定がございます。この企業再建整備法によるところの株式会社の場合におきましては、その仮勘定中途において中間分配をするということはできたいことになつておるわけです。ところが実情をいろいろ調べてみますると、全部について調べたわけではございませんが、資産処分が完全に終つてない、それから債権回収、取立てなどもまだ完全に終つてないというところが、ままございます。これは金額的には僅かでありましても、多数の会社にそういう事例が多いようでございます。これをできるだけ早く終らせる必要があるということが先ず第一の狙いでございます。その理由は、確定をしないことによりまして、殊に解散会社の場合に最終清算結了等手続がとれない。従つて実際には大部分の始末を終えていながら相変らず解散会社清算事務を続行して行かなけりやならん。まあ毎年々々必ず少くとも一回は株主総会を開かなけりやならん。株主の多い会社でありますると一回の株主総会費用も数百万円にも上るという状態でございます。で、そのことによりますところのいろいろな弊害があるわけでございまして、なるべく速かにかような、何といいますか、曾つてはまあ非常に大きな問題でございましたけれども今となつてみれば経済的にみてさほど重要とは考えられませんこれらの企業再建整備の問題がいつまでもだらだらと続いているということは、非常に好ましくないというふうに考えるわけでございまして、これを速やかに実質的に終らせようというのが今回法律を改正する理由でございます。併したがらこれを本当の意味最終確定に持ち込もうといたしますると、それまでの実益がないにもかかわらず非常に法律上のいろいろな摩擦を起さなければならんむずかしい問題にぶつかるわけでございまして、今回のこの措置におきましては、理論上の最終確定ということではなくても、実質的には最終確定と同じような効果が得られるということを狙つているわけでございます。  次に条文について簡単にその内容を御説明申上げますが、先ず主なる条文について申上げまするが、第二十五条の二という規定におきましては、これは資産処分及び債権回収昭和三十年の九月三十日までに完了するように努めなければならないということを規定しております。併しいろいろな事情によりまして必ず終えるというわけにも行きませんからして、場合によりましては期限延長を認めることがあるということを規定しておるわけでございます。で、ここの条文に出ておりますが仮勘定監理人というものを今度置くことにいたしましたが、従来から特別経理会社という看板を未だに掲げている会社につきましては、特別管理人というものがあつたわけでございます。特別管理人というものは、旧債権者のほうと会社側から選ばれた者と双方同数の人数で構成しているわけでございまして、通常は二名ずつでございまするが、今度はそういう特別管理人のうちで会社側を代表する者は除きまして、旧債権者のほうを代表しておるものを仮勘定監理人と呼ぶことにする、それから今は特別経理会社という看板は掲げていないけれども勘定というものは未だに持つておるという会社につきましては、新たに仮勘定監理人特別管理人と同じような選任方法で選ぶことにしました。今申しました両方の場合を通じまして、仮勘定監理人というものが、いわば従来官庁でいろいろ認可しておりました事項等につきましても官庁に代つてこれらの会社をいわば監督して参るというふうにしたわけでございます。手続きをなるべく簡易にして、速やかに資産処分等を終らせ、且つ仮勘定利益分配させるために複雑な手続きによるところの官庁認可事項をなくしてしまう必要があるわけでございまするが、それに代りましてこの仮勘定監理人というものを置いて、いわばお目付役としてそれらの事項を監督させることにしているわけでございます。なおこれらの会社期限延長を許されたものの処分につきましては問題ないのですが、期限延長をしない資産につきましては、仮勘定監理人一定手続を経まして会社にその処分を催告する。そうして会社が催告をしてもそれに応じない場合には、会社にとつて代つて自分みずから処分或いは債権回収のために必要な一切の裁判上或いは裁判外行為をすることができるというふう権限を与えまして、これを促進することにしておるわけでございます。  二十五条の三におきましては、これは余り重要な規定でございませんが、一旦資産処分したり、債権回収したりした資産を、現金その他いつでも分配し得るような状態資産を保全しておけということを規定しているわけでございます。つまりこの後におきまして資産処分期年の九月末までに終り、その後、半年経過したときに、すべての会社に対して仮勘定利益を強制的に分配させるという規定がございますので、それに備えまして、現金に準ずる資産で保有させるようにしておるわけでございます。  二十五条の三の第二項につきましては、これはどちらかと申せば条文整理的なものが多いのですが、内容といたしましては、増資の場合プレミアム債権者が得た場合には、これは債権者損失負担額から差引くことに従来なつております。これはところが増資の場合に限らないで、第二会社の株式を買受ける、その権利から生じまするところのプレミアム益を得た場合には、それも増資の場合と同様であるということから、当然これは特別損矢負担額から控除して然るべきものである。それを従来規定しておりませんでした。それをここで補完したわけでございます。  それから第三項におきましては報告義務を課したわけでございまして、特別経理会社から——この特別経理会社と申しますのに仮勘定を持つている会社という意味でございまするがその会社主務大臣報告をするという規定を置いたわけであります。  それから二十六条の二は、こわは強制的に仮勘定利益分配させる規定でございまして、昭和三十一年の三月三十一日に仮勘定利益があつた場合には、まず特別損失負担を負担した旧債権者分配する。残りがあつたならば更に旧株主分配させるというふうにしておるわけでございます。内容といたしましては、この分配につきましては従来の建前をとつておるわけでございまして、まず債権者優先で、それに余りがあつた株主に及ぶということにおいて変りありませんが、仮勘定利益確定しない場合におきましてもなお強制的に分配させるということにしたわけでございまして、その場合いろいろ控除すべきものがございまするが、これは要するに仮勘定利益ではあるけれども、計算上の利益ではあるけれども、実際に現金又はこれに準ずる資産とはなつていたい、未処分資産等の形において仮勘定利益相当額が残されておるという場合には、それらの部分はこれは分配させようといたしましても実際意味がない、不動産やその他の有形資産状態にある場合に、それを帰属さしてみたところで、一つのものを分割するわけに参りませんし、意味がありませんから、そういうものではなくて、現金状態にあるものを分配させようという趣旨でございます。ただ解散会社の場合にはそればかりではいけませんので、清算費用、つまり最終的に清算を終了するに至るまでの清算費用も引かなければなりませんし、若し在外負債等がございました場合には、それに対して一定留保額を置かなければいけないということから、それらの額を仮勘定利益額から控除するということにしているわけでございます。つまり解散会社におきましては、他に何らその資産はないわけでございまして、とにかく現在持つている資産が全部でございますからして、あとから新らしく所得が生ずるわけでもないし、その中から若しも将来外国に対して支払わたければならないような事態が生じた場合に、それに対して備えておく必要があるということから、一定の額を留保さしておくということにいたしておるわけであります。なお、こういう措置を行う場合に、仮勘定を持つておりますところの会社同士、或いは調整勘定を持つておるところの金融機関との間の相互間のはね返りの額を計算しておいたほうが、すつきりするわけでございまして、そういう意味におきまして、金融機関或いは仮勘定を有する特別経理会社相互間において、この三月、昭和三十一年三月三十一日現在の利益額を通知し合う。で、一旦同時に通知して、受取つたその通知によつて殖えるべき利益額、それを更に又加えてどれだけ分配できるかということを相互に通知し合うというふうな手続を要求しておるわけでございます。  それから二十六条の三は、みなす確定とまあ私どもは呼んでおりますが、完全にその仮勘定確定いたしませんでも、債権者にに対してはその打切つた債権額相当額を全部支払う、それから株主に対してもその全部負担額を支払うというふうな状態に達しましたならば、もはや仮勘定を以て経理する必要はないわけであります。特別損失負担額以上に利益額分配させるという建前をとつておりますので、一旦消滅いたしました特別損失負担額を全部満たしました、完全に利益額を以て満たしましたときには、その仮勘定はもう閉鎖してもよろしいというふうにしたわけでございます。従来はかような規定はございませんので、本当に確定した場合でなければ確定とは言つていなかつたわけであります。今度はこのようなふうに措置したわけです。  二十六条の四は、今度はいつ如何なる場合でも、仮勘定利益があつて、それから清算費用その他在外負債引当額等を控除いたしましても、なお且つ残りがあるという場合には、これをいつでも分配ができるという随時分配規定を新らしく設けたわけであります。これは昭和三十一年三月三十一日までに債権者分配し、且つ残りがあれば株主分配させることにしておりますが、この場合に、とにかく債権者にだけ先ずこの負担額を限度として分配させるということにしております。株主にまで及ぶようにはいたしておりません。それは株主はさよう強制中間分配規定がございますから、そこで一旦行いまして、次の分配最終的に終つたときにやればいいということにしたわけでございまして、株主の場合は非常に数が多うございますし、又これを分配すべき金額も一株あたり二円とか三円とかいうふうな金額の例が多いわけでございますからして、それらに対してそうたびたび中間分配すると言いましても、費用のほうが余計かかるというので実益はございません。債権者に対してだけ随時分配ができとるいうふうにしたわけでございます。  二十六条の五は、金融機関調整勘定から利益分配を受けるという権利調整勘定の受益権或いは他の会社の仮勘定の受益権、仮勘定利益分配を受ける権利を他のものに譲渡することができるという規定を置きました。こういうふうにいたしませんと、自分のところの、自分会社資産処分を終り、且つ債権回収を全部終つたという状態にありましても、他の会社からのはね返りが幾らになるか見当がつかないために、仮勘定を閉鎖できないということになりますからして、こういう一種の期待権でございますが、それを他のものに譲渡すれば、それで全部国内的には清算が済んだというふうなことになるわけでございまして、そのためにこういう受益権の譲渡の規定を置いたわけであります。  二十六条の六は、解散会社の場合だけでございますが、存続会社の場合には、在外資産負債というものがございまして、それがために仮勘定確定しないというふうな状態がございましても、まあそのことの実際の弊害というものは、さほど問題とするに足らないわけでございます。存続会社でございますからして、仮に仮勘定利益がなくても、或いはあつても、将来法律上どうしても支払わなければならない在外負債というものが飛び出して来た、或いはまあすでにあることはわかつていたが、払わなくてもいいのだと思つていたところが、払わなければならんというようなことが起りましても、会社は依然として存続して営業を続けております上は、何らかの方法によつてこれを支払いに堪え得るものと私どもは考えるのであります。解散会社の場合ですと、国内的に清算が終つた、そこで解散を済ましてしまつた分配も一切終つて在外負債も全部返してしまつて会社がなくなつてしまう、実際上なくなつてしまつた場合でも、何と言いますか、外国から支払請求を受けた場合に、これは非常に困るわけであります。場合によりましては、清算人は、或いは再び一旦支払つた在外財産分配したものとか、或いは債権者に支払つた額を取戻して払わなければならんということも、まあ必らずないとは言えない、そういう懸念がございますので、国内的な清算を結了して事実上会社をなくしてしまうに先立ちまして、一定の額を特殊な人に委託さしておく、その特殊な人をここでは特殊管財人とよんでおりますが、主務大臣が選任するわけでございますが、特殊管財人が在外資産管理を委託し、又在外負債につきまして計算した引当てておくべきであろうという金額、その現金を引渡して管理を委託さしておく、そうしてその委託を受けた特殊管財人が、外国から請求があつたならば、それを折衝して支払を行なつて行く、こういうふうにしまして、たくさんの解散会社がそれぞれ清算人を置き、それぞれ又清算人が人を使つて事実上は仕事がないのに、まあ清算を終えることができないというふうな、状態、これは非常に無駄なことでございますから、これを解消して、いわば在外資産負債に関する限りは、特殊管財人というものに清算事務を集中するというふうにして、非常に簡素で無駄のないものにして行こうというのがこの狙いでございます。こういうふうなことをやつて一定の額を引当てた場合には、その会社は事実上仮勘定はもう確定したものと見なして差支えないことになりますので、そのような確定したものと見なすという意味規定を、この場合にも準用しておるわけでございます。又解散会社でありまして、すでに国内の債権者に対して負担額を全部支払つた、仮勘定株主に対しても全部支払つたという会社につきましても、やはり在外資産負債に関する部分につきましては、特殊管財人に事務を委託するということを認める必要がありますので、そのような規定も置いておるわ、けでございます。  それから二十六条の七以下の規定は、二十六条の七と八は、特殊管財人と会社との関係規定しておるわけでございますが、特殊管財人は主務大臣が選ぶわけでございますが、委託を受けた金銭を合同運用しまして、その合同運用して得た利益で以て必要な経費を賄うというふうに、ここでは一応踏み切つておるわけでございます。利益が一応あるものと考えて、おるわけでございまして、或る程度まとまつた元本ができますれば、当然これは可能であろうと思います。私どもの見るところでは、先ずそういう在外負債のための引当金額がそれほど少い金額になろうとは考えませんで、勿論何十億というふうな金額に達するとも思いませんけれども、まあ何億というふうなことにはなろうかと思いますので、これは支払うまでには何年かかるの、いつのことかわかりませんけれども、とにかくその間これを運用いたしまして、その運用した収益で経費を賄つて行こうというわけでございます。これに関しましては、必要な退任、解任又新らしく選任するというふうな規定も作つておるわけでございます。  二十六条の八の部分は、当初の原案におきましては、一たん退任した清算人がもう一遍復活するという規定を置いておつたのです。これは初めの考えでは、とにかく国内的には清算結了にはなるが、会社というものはやはり存続しなければならん、実際には社員もおらなければ何にもないというふうな会社でありますけれども、やはり在外資産負債の関係があります間は、会社というものは残しておかなければいかんということで、清算人は国内的な清算事務を結了した場合には一たんは退任する。併しのちになりまして、これは将来いつのことかはつきりわかりませんが、もう一遍最終的に清算結了の手続をとらなければならないようなここが予想せられるわけでございます。特殊管財人に金銭を引渡したけれども、その金銭は結局最終的には支払いの必要がなかつた、残つてしまつたということがあり得るわけでございまして、そのような場合にはもう一遍これを株主等に分配する必要が生じるわけでございます。これらの事務を全部特殊管財人がやるということはとても容易なことではありませんので、元の会社清算事務に慣れた清算人が再び復活するということにしたほうがよかろうと考えておつたのでございますが、衆議院の修正によりまして、これはそのときになつて適当な人を改めて清算人に選べばよいではないかという御趣旨を以て修正せられたわけでございます。でありまするから、自動的に清算人が復活するのではなくて、その必要が生じたときに主務大臣清算人を選任するというふうなことに直つております。  以下は非常に条文の上では面倒な書き方をしてございまするが、内容といたしましては読替規定その他形式を整えるものがございまして、余り重要なことではございません。  四十二条の三は、一番初めに申述べました仮勘定監理人の選任の規定でございます。それは特別管理人を選任した方法と同じような方法で選任するということになつております。  それから四十七条の三は、仮勘定監理人がその会社から報告をとつたり、会社の帳簿書類その他の物件を検査することができるというふうな一つの権限規定規定しておるわけでございます。それからなお特別管理人等の責任に関して、特別管理人等が一定の行為に該当した場合には利害関係人が損害賠償の請求ができるという規定が従来ございましたが、これは決定整備計画の認可があつたときから五年たつと自動的に時効にかかるということになつてつたのですが、そうではなくて、只今の状況ですと、実際には実行が終つていない、整備計画は実質的には完全に実行されていないのに、損害賠償請求権だけがなくなつたという矛盾がございますが、当初の考えでは、認可の日から二年間の間に再建整備の実行が終るだろうという予想があつたのですけれども、実際には非常に長引いておりまして、認可の日から五年という、ことになりますと、もう時効でなくなつてしまうという事例があるわけでございます。これは債権者株主等の保護に欠けるというところから、或る特定の事項につきましては、仮勘定の額が確定した日から二年たつて初めて時効になる。ですから仮勘定の額はまだ殆んど確定しておりませんので、これから仮勘定の額が確定するようになつて、それからその後二年たつたら時効になるというふうに改めております。  その他余り重要な規定はございませんが、附則におきまして、閉鎖機関の側で、閉鎖機関が企業再建整備法の適用を受ける会社に仮勘定利益分配を受ける権利、仮勘定受益権をやはり処分できるというふうな規定をこの法律でやつております。閉鎖機関令のほうで規定すべきではありますけれども、たまたま法律の都合によりまして、ここで閉鎖機関の整理を促進するためにやはり再建整備をやつた会社に対する仮勘定受益権を譲渡できるというふうに直しております。大体以上でございます。
  20. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御質疑を願います。(「休憩」と呼ぶ者あり)  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  21. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。   それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。企業再建整備法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  24. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。    多数意見者署名     木内 四郎  東   隆     藤野 繁雄  三木与吉郎     白井  勇  山田 節男     青柳 秀夫  山本 米治     成瀬 幡治
  25. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会