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説明員(谷村裕君) 銀行局長が申し上げるはずでございまするが、どうしても差支えがございまするので、私から御
説明申上げます。今担当の課長から御
説明申上げましたように、今回の
資本充実に関する
法律は、要するに一定の
資本組入れをして行かなければ一定以上の
配当をしてはならない、こういう形にな
つております。
ところで一方、金融機関再建整備法の
適用を受けて調整勘定を持
つております金融機関については
資本の組入れは許さない、こういう絶対的な
規定があるわけでございます。この
法律におきますこの二つの矛盾は、果してこういう矛盾をおいておかなければならないほど、どちらかに絶対的な要請があるかということを、我々は
考えて見たわけでございます。そうしてやはり
法律の体系といたしましては、この金融機関再建整備法の
適用を受けて調整勘定を持
つている金融機関について絶対に
資本組入れを認めない、こういう条項を残しておく必要はない。それではこちらのほうの
趣旨が通らない。こういう一つの
法律の建前と申しますか、筋道のほうから
考えますその理由によりまして、これを取りやめたい。こういうのが先ず出て参ります。
その次に実際問題としては、先だ
つて小林委員も御指摘になりましたが、現実に金融機関は、都市銀行であれば一割二分、地方銀行においても一割二分五厘、こういう
配当率で大蔵省は
制限している。その場合、仮りに
資本組入れがあろうとなかろうと、政府
原案によりまして一割五分、さような
配当をするのにいろいろ条件をつけられることはないじやないか。これは実行上まさに現在その
通りや
つております。併しながらこれも御存じのことと存じますが、金融機関によりましては、例えば創立五十周年記念、例えば創立何周年記念とい
つたようなときには特別に
配当を殖やしてやるということを現にいたしております。私のほうでそういうことを認めております。具体的には大体三分
程度の
配当を更に乗せることを許しております。従いまして仮りに
原案が一割五分ということでありますと、仮りに三分の
配当を認めるといたしますならば一割五分五厘ということに地方銀行ではなりまして、僅か五厘の差でございますけれども、実行上やはり
資本組入れを
制限されておりますために、さような
配当ができないというのではおかしい。
資本組入れをする力を持
つておりながら而もそれが許されないというのでは困る。こういうことが具体的にはあるわけでございます。そこで、それならばこの間から御指摘がありましたように、金融機関再建整備法によ
つて調整勘定を設けておれば、そこに出て来ている再
評価積立金なるものは、これは或いは将来旧勘定の債権者たちに帰属し得る可能性を持
つているのではないか。だからこそ再
評価積立金の
資本組入れを禁じているのじやないか。その問題がある限りは、やはり再
評価積立金を取りますことは認めるべきではない。こういう御意見が確かに出て来るわけでございますけれども、その問題につきましては、一体、この
法律、現在の再
評価法によりまして、なぜ
資本組入れは絶対にや
つてはいけないということにしておりましたかということを申さなければならないと思うのでございます。この間も銀行局長から申上げましたが、元金勘定に属しました
資産をめぐりまして、旧勘定
関係と新勘定
関係と両方のどちらにどうその利益の調整を図るべきかということは、再建整備法が施行されましてから今日に至るまで大分いろいろの角度から議論された問題でございます。例えば不動産と確定
評価と、もうこれでこつきりだということにして、新勘定のほうに譲
つてしま
つて、なお且つ又その不動産が処分されれば、その処分益は調整勘定に帰属する、こういう一つの調整方法がございます。それから
考えますと、調整勘定と申しますものを
考えておりますのは、もと旧勘定に属しました
資産が何か利益が実現したときには、俺のほうにくれよ、こういうことを調整勘定というのは狙
つているのでございまして、そういう点から
考えてみますと、
評価替えが行われたということだけでは、利益が実現したのではなくて、いわば、価値の是正と申しますか、そういうことでございますから、必ずしも直ちに調整勘定に行くべきものではない。こういうふうになるのは当然だと思うのでございます。
ところで、そういうふうに
資産再
評価法に
規定を書きます際に、その頃はまあ新勘定育成と申しますか、そちらのほうの気持が非常に強か
つたわけでございますから、単に再
評価しただけではその再
評価差益というものは調整勘定に行くべき増加益ではないと、こう
規定してしまいまして、それ以上の調整を図らなか
つたのでございます。そのために、これではどうだということが第二次再
評価の際に問題になりまして、そのときは、やはり法案の作成上の都合から、まあとにかく今すぐこの問題を片付けるわけには行かないけれども、まあ再
評価益というものがこれは絶対に調整勘定のほうにも行かないのだと断じてしまうのも早過ぎるじやないか、ちよつと問題は
考えようということで、先ほど経
済課長から申しましたように、とにかく再
評価積立の取り崩しに関しては又別に
法律で定めるぞとい
つたような
規定が、再
評価法の百七条に実はそのとき入れられたわけでございます。それで、取り崩しのほうは、だから
資本組入れなどということはせずに待
つておれと、こういうことが又
規定されましたわけでございます。その問題をどう調整するかにつきましては、内部でいろいろ議論もございましたが、せんだ
つて御賛成を頂きました再建整備法のほうで、ともかく再
評価しただけでは、それはその利益が調整勘定のほうに行くというふうにするのは、これはできない。併したまたまその再
評価にかかわる
資産を処分して処分益が出たときには、それはその再
評価益も含めて廻したらいいじやないか。調整勘定というのは利益が実現したら廻すと、こういうものなんだから、それはそういうふうに直すのが一番適切な調整方法であろう。こういうことでその問題についての一応の解決をみたわけでございます。従いまして、曾て再
評価益をめぐ
つて、これをどの
程度に調整勘定に帰属させるか、或いはこれはどの
程度に新勘定のほうであるかという問題につきましては、私どもといたしましては一応のもう解決を得たものと
考えております。そういう面から
考えましても、この際、調整勘定を持
つておりましても
資本組入を認めて差支えない、かような
考え方をと
つたわけでございます。
御承知のように、再
評価積立になります再
評価益というものは、すべて旧勘定に属していた
資産から生じたものではなく、新勘定
関係の
資産から生じておるものもある、と申しますか、むしろその後における
償却によ
つて生じたものも入
つていたりするわけでございます。すべてがすべて、この再
評価積立金というものが、皆、旧勘定の
関係のほうと絶対に結び付くというものではない。
部分的には結び付いておる。かように
考えますので、実行上、私どもが銀行法の運用によりまして、
資本増加を認可にかかわらしめております。それによ
つて今後運用して参りますれば、本件は旧勘定
関係者と新勘定
関係者との利害の調整の上から決して誤まることはない。
法律に曾てきめられましたその
考え方は貫かれて行くと、こういうふうに
考えた次第でございます。少し
説明が長くなりまして恐縮でございますが、以上でございます。