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1954-05-21 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)    午後二時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            堀木 鎌三君   衆議院議員    黒金 泰美君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君   政府委員    大蔵省理財局長 阪田 泰二君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     高橋 俊英君    大蔵省銀行局銀    行課長     谷村  裕君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○企業資本充実のための資産評価等  の特別措置法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  企業資本充実のための資産評価等特別措置法案を議題といたします。先ず第三十五条以下について内容説明を聴取いたします。
  3. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 三十五条は再評価実施状況公示するということを要請しているわけでございますが、これは、次にあります償却実施状況、三十六条にございますが、これと同じような趣旨でございます。貸借対照表、或いは損益計算書に、再評価をどの程度に実施したか、或いはしていないか。それから又、損益計算書のほうにおいて償却をどのようにやつておるかということを明示させる必要があると考えておつたわけでございまして、再評価を十分にして、従つて償却が多くなりまして、その結果の収益がどうなつておるか、こういうことを見ませんと、会社の実際の状況がわかりません。又、一方におきまして、再評価を強制される会社ばかりでなくて、強制されない会社につきましては、このような規定を置くことによりまして、それだけ再評価を十分にしようという意欲を高めることができる、一種の刺激にもなり得るものであるという観点から、かような規定を置いておる次第でございまして、そのやり方は、ここにありますように、五百万円以上の会社は、原則といたしまして昭和二十九年十二月三十一日を含む事業年度以降ということでございまするが、これはつまり再評価を行い得る最終期限でございます。その事業年度から先は、当分の間、貸借対照表最低限度以上の再評価行なつた場合には、再評価行なつたということ、それから再評価行なつた日現在の要再評価資産の再評価をした後の簿価総額、それに対するところの再評価限度額合計額を記載する。若しその最終期限の日までに最低限度以上の再評価をしない場合には、その日の要再評価資産帳簿価額合計額及び再評価限度額合計額を附記する。どこに書いても結構でございまするが、通常は脚註として記載する。こういう意味でございます。で、若しも十二月三十一日以前に最低限度以上の再評価をした場合には、その再評価行なつた日を含む事業年度から早速この公示をするということが要請されておるわけでございます。  それからなお、この第二項におきましては、陳腐化資産等があつて、そのために、八割までの再評価を一旦は実施するけれども、同時に帳簿価額減額申請をするという場合におきましては、そのときの貸借対照表に記載する事項といたしまして、減額承認通知があつた日を含む事業年度の手前の事業年度まではどれだけの減額申請しておるかということを付記する。それから通知があつた後におきましては、通常の場合は、再評価をした直後の簿価総額を書くのでございますけれども、一旦減額承認があつて減額をした場合においては、減額後の帳簿価額合計額帳簿価額減額をした額の合計額を控除した額ですから、減額後の額を再評価後の簿価総額に代えて記載するということにいたしております。この公示規定につきましては、有限会社につきましてもこれを準用するということにしておりますが、やはり五百万円以上の有限会社に限りましてかような公示規定適用を受けるわけでございます。  三十六条の償却につきましても同様な趣旨でございまするが、やはり適用を受ける会社は五百万以上の株式会社及び有限会社でございまするが、この償却をどれだけしたかという状況を記載させることにしておりまして、三十五条の規定によつてその付記するところ貸借対照表と一緒に提出するももに対しては、この場合は損益計算書株主総会提出するという義務はございまするが、新聞に公告するというふうなことは商法規定では強制されておりませんので、その点だけが、同じ公示としましても貸借対照表の場合と違つております。記載事項としては、その損益計算書にかかる事業年度原価償却資産普通償却範囲額合計額、それからどれだけ減価償却行なつたかというその額を記載する。若しも翌年度に繰越されるところ償却不足額がある場合におきましては、その償却をした額の合計額不足の額を共に記載するということになつております。今の規定がいずれも公示規定でございます。  三十七条におきましてはこれは非常に技術的な規定でございますが、「(限度額更正等)」となつておりますが、ここにありますように、いろいろな規定によりまして、申告書或いは明細書申告書に伴うところ明細書に記載されました要再評価資産に関する再評価限度額やその合計額、その他、最低評価限度額陳腐化資産等限度額、再評価税額、再評価税又は旧再評価税免除額或いは超過納付額、再評価税追加免除額というものの計算誤りがあつた場合には、国税局長、或いは税務署長は、それらの額について更正をするという規定でございます。この更正につきましては、再評価法そのものにいろいろ更正規定があるのでございますが、それに加えまして、この今回の法律によりまして必要となつ事項更正し得る事項として附加えた。こういうふうに御了解願えばいいのじやないかと思います。  第二項は譲渡の場合の申告でございます。「第二十四条第六項の規定による」といいますのは、これを譲渡の場合に改めて一旦免除を受けた再評価税等を再び徴収せられるという関係がございますので、その場合の申告書提出すべき法人又は個人申告書提出しなかつた場合には、官側においてその再評価税額決定するという規定でございます。  第三項は再評価法を準用するという規定でございまするが、これは更正の場合、更正決定をする場合、或いは譲渡の際の課税、それから申告書に記載しておりますところの再評価税、旧再評価税をも含めますが、その免除額等につきまして再評価法の六十七条から七十一条までの規定を、こういう更正或いはその他決定について準用するということです。  四項は審査或いは訴訟に関する規定でございます。それは再評価法の第八章の規定を準用するだけのことでございます。  五項は、「再評価法第百十条(更生の場合の経理)の規定は、第一項の規定による更正についての通知を受けた法人の再評価積立金への組入れ又は再評価積立金の取くずし若しくは積立金について準用する。」、更正を受けたときには、その更生による増加分を再評価積立金に組入れたり、或いは場合によつて逆に取くずしをするというだけのことでございます。  それから第三十八条の規定は、「(充当又は還付の再評価積立金積立)」、法人税の、法人が納付した再評価税や旧再評価税額のうちに過納になつた分がある場合におきましては、その過納の部分を、国税徴収法規定によりまして、再評価税及び旧再評価税以外の国税であつてまだ納付していないものに充当する、或いは滞納処分費にも充当する、こういうふうなことでございます。で、還付されたときは、その法人は、そういうふうな充当が行われ或いは還付が行われたというときには、その充当又は還付があつた日に、それに相当する金額を再評価積立金に入れなければならんということにしております。一旦取くずしたわけでありまして、その取くずした部分が実質的に返つて来たということでありまするから、その部分を改めて再評価積立金にするのだという意味規定でございます。  それから第三十九条は、陳腐化資産等についての償却額計算をどうするかという問題でございまするが、第十五条の規定によりまして、八〇%までの再評価行なつたものについて、帳簿価額減額申請をしている間の償却をどうするかという問題でございまして、その減額承認した部分については、これは償却範囲額には入れないで、その額を初めから一応引いておきまして償却計算の基礎とする、こういう規定でございます。本来であれば、一旦は再評価をしたのでございまするから、その八〇%まで再評価をした帳簿価額をもととして償却をすべきでありましようが、実質的には、それは一部過大評価を含んでおるわけでございまして、その部分償却のもととはしない、それを引いた帳簿価額で、つまり当然将来取くずされるであろうというところのものは除いて償却計算をするという意味でございます。  第二項のほうは個人の場合でございますが、個人帳簿価額減額した、第十五条又は第十六条の規定によつて帳簿価額減額をした減価償却資産についてはその減額した日以降においては減額後の帳簿価額によつて償却をして行くという意味でございます。  第四十条は報告規定でございますが、配当制限等をいたします関係上、それらの適用会社から報告を徴するという意味でございまして、要再評価会社、まあ同族会社は除きますが、再評価を行わなかつたものは、本年の十二月末日を含む事業年度から昭和三十五年三月末を含む事業年度の直ぐ前の事業年度までの間、毎事業年度におきまして、それぞれ事業年度終了の日からニカ月以内に、利益配当額及びその年度における資本の額の平均額を書いた報告書大蔵大臣提出する。これはつまり、まだ再評価をしなかつた場合には、この原案によりますれば一割五分の配当制限を受けることになつておりますので、それを、睨み合わすために報告を徴するわけでございます。  それの第二項につきましても同様の趣旨でございまして、再評価を実施した会社は三十二年三月末日を含む事業年度から三十五年三月末日を含む事業年度の直ぐ前の事業年度までの間、つまり要するに配当制限を受けるその期間の事業年度につきまして、利益配当の額とか資本の額、つまり資本金、或いは資本組入額、その他償却範囲額償却額というようなものにつきまして、全部大蔵大臣報告書提出するという意味規定でございます。以下はすべて配当制限に引つかかるかどうかという点を見るために報告書を徴するものでございます。  四十一条は質問検査権でございますが、これもまあ大した規定ではございません。職員質問検査権に関しまして規定しておるものでございまして、職員が要再評価会社或いは要再評価会社であると認められる会社というようなものにつきましては、資産若しくは資産に関する帳簿書類検査するとか、その義務があると認める者には質問ができるという規定であります。その場合には身分を示す証票を携帯していなければならん。又質問或いは検査権限犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。これは他にもこういう例があるようでございますが、この第三項の規定犯罪捜査のために認められたものと解してはならないということになつております。  それから四十二条は、この法律の施行に関連いたしまして、十五条、十六条の規定によるところ承認に関する権限の一部、即ちこれは評価減規定でございまするが、評価減に関するところ承認に関する権限の一部を国税庁長官又は国税局長に委任することができるという委任規定でございます。  次の罰則は、一々申上げるのも何ですが、四十三条は税を逋脱した場合の規定でございます。これは非常に重いようでありまするけれども、一般脱税の場合の規定に準じて定めてございます。  四十四条は、積立金積立金として積立てる、或いは取りくずしをしなかつた場合の規定でございます。これらは一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金ということになつておりますが、二、三、四はいわゆる質問検査権等に対するところ妨害行為。  第四十五条は、これは申告義務に対するところ違反、或いは報告義務があるという規定に対する違反配当報告書を出すということに対するところ報告書提出しなかつた場合の規定、しなかつた場合、それらの場合の罰則でございまして、これは十万円以下の罰金。  それから四十六条はいわゆる両罰規定でございまして、法人代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、法人又はその人の業務又は資産に関して前三条の違反行為をしたときには、その行為者のみならず法人又は本人に対して各本条の罰金刑を科するという両罰規定でございます。  第四十七条は脱税に関する規定、四十三条は脱税規定でございますが、その者には刑法によるところ軽減規定適用しない。  四十八条は、これがいわゆるこの法律の本体をなす行為に対する違反に対する罰則でございますけれども、この場合は罰金とか懲役とかいうことでなく、三十万円以下の過料という、まあいわば行政罰になつております。一号の第六条第一項の規定違反したというのは、再評価そのもの、再評価をしなければならないという規定違反した場合。二号は利益配当制限、十七条又は十八条の規定でございます。これに違反した場合というのは、一定の場合において配当制限を受けるということになつております。その配当制限規定違反して配当行なつた場合、これらの場合につきましては行政罰のみが科されるということになつております。  それから二項は、この規定は三十万以下の過料になつておりますので、商法におきますところ配当制限等についての罰則の規程と、どちらが一体適用されるのかという疑問が生じますので、その商法の四百八十九条第三項の規定適用しないこととしております。この商法規定によりますると、法令違反利益配当等につきましては五年以下の懲役又は三十万円以下の罰金ということになつておりまして、こちらの商法のほうが非常に罰則としては重いわけであります。それはこの場合適用しないこととしております。  四十九条も、これも行政罰でございまするが、承認を受けてから減額をしなければならないという規定がございますのに対して、これに違反した場合には十万円以下の過料に処するということにしております。附則のうちで。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 一応ここで打切ります。三十五条以下の説明に対して質疑のあるかたは御発言願います。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 第三十七条の「所轄国税局長又所轄税務署長」の調査ですね、調査は一体どの程度にやるのですか。こういう誤りを発見するに適当なだけ調査をするということなんでしようけれども、具体的にはどういうふうに調査されるのですか。
  6. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) どの程度とおつしやいますと……。よくはつきりわからないのですけれども。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 例えばぎりぎりまでの再評価資産ところまで行つて、値踏みをするところまでやるのか。書類計算が、ただ書類だけを調査するということでもないようでありますし、具体的な調査ぎりぎりのところまで、徹底的に調査するとは一体どこまでやるのだということを……
  8. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) これは書類検査で十分できることであると私は考えますけれども、いわゆる乗込んで行つて調査をするというふうな、つまり現地行つて見て調査をするというふうな必要は殆んど起らないのじやないかと思うのですが、計算誤りがあるというふうな場合が大部分であろうと思います。仮に第二項のほうの譲渡の場合の課税を免れると言いますか、申告しない、譲渡をしても再評価税を納めるべきところ申告をしない場合、これらの場合は直接にはわからないわけです。不作為に対する調査でございます。これは普通の法人税そのもの調査等に当りまして附随的に発見せられるということが多いのじやないかと思うのです。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 併し更正するわけですからね、これは。ただ合計額だけの問題を言つているのじやなくて、いろいろこの陳腐化資産等限度額というようなものは、果して減額申請等をしているのが適当かどうかというのは、現物を見なければ判断できないのであります。従つて第四十一条の質問検査権との関連において、大体常識的には書類審査で済むとお考えになつてつても、あなたのほうでやり得る限界というか、一番その事業体に用いるリミットのことですが、そこまで考えているんでしようか。
  10. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それは特に陳腐化資産等限度額について一番問題があるんです。これは、ここには非常にたくさんの項目の中に混つておるので目立たないと思うのですが、実際問題としてはこれに関することが実際的に争いになると思いますが、そのことについて、現地行つて見ることをするかしないかというお尋ねだろうと思います。必要があれば私はそういうこともあり得ると思います。しなければ捕捉はできないと思います。例えば、書面によつていろいろの資料の提出を求めますからして、その書面で肯ける場合にはよろしいんでございますけれども、見なければその概念がわからん、而もそれが相当重要なものである、つまり工場全体が陳腐化しているというような申立てがあつた場合に、どういう程度に実物がどんなものであるかということを見るということは、私は場合によつては必要になつて来るだろう。まあ普通はそれほどまで行かないで片付けないと、実務の問題としては非常に大変なことだろうと思うのです。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、第四十一条の「当該職員」というのは税務署職員ですか。
  12. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) そうでございます。一般にはそうでございます。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 税務署職員だけですね。
  14. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) この要再評価会社に関する限りは、税務署でこの事務をやるということは余りないんじやないか。国税局以上の、国税庁調査課自身がやるか、或いのはその国税局がやるということが多いと思いますので、その税務署職員が主であるということにはならないと思いますけれども、それ以外に、その他の法人個人に皆関係しますですが、この場合には全部税務署職員ということになつております。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 要するに国税庁関係職員、この「当該職員」は税務関係職員、こう了解していいわけですね。
  16. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) はい。
  17. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと伺いますが、要再評価会社以外のもの、これの再評価陳腐化減額する場合は、従来減額する場合には、その決算のときに減額して、その前に税務署承認を得なくてもいいというように記憶しておつたんですが、その場合はどうですか。要再評価会社以外の陳腐化減額の問題ですよ。
  18. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 従来は、こういうその他の法人個人が再評価積立金を取りくずすということについては何らの制約がなかつた。今度最低限度以上の再評価行なつたとして申告をいたしまして、再評価税免除固定資産税軽減というような措置を一旦受けたというような場合には、後になつてこれを減額することによつて最低限度を割るという場合には、無承認ではできない。そういう制度であります。
  19. 土田國太郎

    土田國太郎君 私の言うのは、その恩典を、特別措置を受けない場合には、この法律通つても従来通りつていいか。その法人が勝手に減額して決算報告を出してよろしいか。この法律通つてからもその恩典に浴したい会社ですよ。
  20. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それはその通りでございます。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 それから五百万円以上の会社限つてこういう公示義務を与えたということは、調査課所管会社と、こういう意味ですか。
  22. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) さようでございます。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 会社全国法人の数等と睨み合せて、この程度以下は問題にしないというような経済的判断に基いたのではなくて、ただ税法上の取扱いで調査課所管以上の会社、こういうところに線を引いたというのですか。
  24. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) たまたまその調査課所管と合致しましたけれども、狙いは、余り小さな会社にこういう公示義務を負わせても余り意味はない。やはり多少投資家というものを保護すると言いますか、それらに対する会社の実態を明らかにしておく必要があると認められた程度会社、こういうことでございますから、そういうことを狙つたわけでありまして、然りとすれば、個人余り違わない程度会社であれば、強いてここに貸借対照表公示ということは不必要ではないかと考えたわけでございまして、たまたま調査課等において五百万円以上の会社を直接調査しておりますし、それらの狙いも、或る程度重要な法人ということでございましようから、それが一致したというふうにお考えになつて頂きたい。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 その今の公示義務同族会社といえども公示義務はあるわけですね。
  26. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) ございます。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると矛盾しやせんか。いろいろ同族会社はこういうことについて余り対象としないようにしておいて公示させるという点、同族会社こそ、今までの大蔵当局考え方から言うと、他人資本余りつていないから、資本の蓄積だとかいうような点に強制的な措置をする必要はない。いわんやみんなに知らせるということは尚更のことじやないか。
  28. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それは純粋に当該会社株主のみを保護するという見地から言えば、これは同族でございますから、よくわかつておるのであります。その意味から言えばこれは必ずしも公示は必要ないと思います。むしろその場合における第三者ですね、取引先等判断ということから申しますれば、それらの内容は記載されておる。バランス・シートに記載されておるということのほうが……
  29. 小林政夫

    小林政夫君 高橋さんの考えは、大蔵当局の一貫した同族会社に対する考え方から見ると、すこぶるおかしなものになるね。
  30. 土田國太郎

    土田國太郎君 同族会社恩典を受けないんだから、義務ばかり負わせるということはないよ。
  31. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 恩典を受けないということはございません。
  32. 土田國太郎

    土田國太郎君 受けませんよ。
  33. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それはほんの一点だけです。恩典を受けないのは、無償組入れの場合の配当金益金算入という点がないだけです。その他について、再評価税も勿論軽減されるし固定資産税についても同様である。有償増資の場合におきましても、やはり最低限度以上の再評価行なつておりますれば、やはり増資分に対する一割までの益金算入があるわけです。その差たるや実に僅かの点であろうと思いまするが、同族会社でも、先ほど同族会社であれば極く僅かの人で構成されているというふうに申上げたかも知れませんけれども、会社によりましては、同族でありましても、多数の株主を有しているという例はございます。ただ通常同族会社と言われておりますのは、極く少数の株主であるということでありまするが、今日の同族会社規定適用を受けるものの中に、同族会社でない会社と殆んど変りないというものもございますので、一概に同族会社を除外するというわけには参らないと思います。    〔委員長退席理事藤野繁雄君着席〕
  34. 小林政夫

    小林政夫君 いや、それは、その無償増資の五分を経費に算入するということは、非常な恩典なんですね。そういうことがないのかどうか。衆議院の案で修正されたけれども、原案では四割資本組入れということになるということがここにあるわけですが、無償増資に対する五分の配当というものを損金に算入しないということの、ここの説明は、必ずしも今言われたような趣旨でもない。やはりそれは一つの大きい再評価実施における恩典なんです。そうしてまあ再評価税は免税する。こういう我々のかねての主張ですけれども、今度いろいろ調べて見ると、一次、二次分に対して、三分にするということは、いろいろ計算して見ると、無償増資に対する五分の配当の経費算入という点と睨み合せて見ると、大体とんとんくらいの計算なるから、まあ我慢しようか。免税の主張ということにしようということを部内では寄り寄り相談しているのですが、そういう観点から行くと、同族会社というものは除かれる。そうして飽くまで、一方でそれだけのことをはずすのならば、公示義務を負わせる必要がない。取引先では、あの資産内容がわかるか、わからんかということは、これは問題にならんと思うのだがね。これは意見になりますから、もうその点でやめておきます。折角修意提案者が見えておりますから……。
  35. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) それでは衆議院の修正の説明に黒金さんが見えております。黒金さんに御説明をお願いいたします。
  36. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 御承知の通りこの法案につきましては、先頃の衆議院におきまして、二点修正を頂いております。修正の案文はお手許に行つておりますと存じますので、朗読は省略いたしますが、十七条の一項の中に百分の十五を二十に改める。第十八条におきまして、第一項の百分の十五を同様に百分の二十に改める。又百分の四十を百分の三十に改める。かような趣旨でございます。この法案につきましては、経済界に及ぼします影響、その他非常に重大でありますために、衆議院大蔵委員会におきましても、いろいろ公述人の意見を伺いましたのでございまして、慎重に審議いたしましたが、この法律の根本的な趣旨には賛成である。但しこの法律の中には、行き過ぎと申しては如何かと思いますが、かなり一足飛びの点もあるのじやないか。そういう点を緩和する意味を以ちまして、ここに修正をいたしたわけであります。  そのうちの第一点は、今申上げました通り、再評価積立金の四割までを資本金に組入れなければいけない。この規定を百分の三十まで引下げたわけであります。五千万円以上の会社に対し、今度再評価積立金の額、又同時に資本に組入れなければならない所要額の算定は、まだ第三次の評価が完全にできておりませんために、十分にはわかりませんけれども、かなり組入額を要するものがあるのじやないか。資本金に対して、或いは三割と言い、或いは四割というような組入れも行われ得る機会はある。殊に固定資産の多い会社におきましては、相当額の資本の増加になつて来る。その結果といたしまして、配当率が、若しも利益が同じならば下つて来る。その結果、株価にも影響を来たして来る。設備の改善その他につきまして、今後ともに有償増資を必要とする現状におきましては、今この四割の組入まで強制すると申しましようか、一割五分配当で抑えることによる強制をすることは、かなり一足飛びな感じがあるのじやないかということで、これを三割に改めた次第であります。殊に今申上げましたような事態におきましては、会社によつては逆に、株価を維持しますために無理な配当をして、これを維持するために弊害も起りかねない。かようなことをも考慮いたした次第であります。  配当率を百分の十五を百分の二十に改めましたことは、これは確かに現行におきまして有配株の平均配当率が一割八分であるとかいうこともよく存じておりますが、中には相当の配当をいたしておるものもある。企業努力の結果、配当は二割程度までは行かしてもいいじやないか。それをしも一割五分に抑えるということはいささか窮屈じやないかというような考え方を持ちまして、これはやはり衆議院におきまして修正し、同時に皆様におかれてもこれを御承認なつたのでありますが、租税特別措置法の再評価後の配当につきまして、これも二割の制限を取り払つたというような考え方と同じ考えをもつて、この一割五分を二割まで引上げて、企業努力の結果こよつてはせめて二割までの配当は認めてやろうじやないか、こういうような考えを現わした次第であります。  只今申上げましたところが修正いたしましたものの理由とするところでありますが、何分ともこの修正に満場一致御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  37. 小林政夫

    小林政夫君 質問をしてもいいですか。
  38. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) どうぞ。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 一割五分を二割に引上げられたのは、まあ三割以上の組入れをしなければ二割の配当をしてはならない。又、法定償却の九割以上の償却をしないものはやはり二割以上の配当をしてはならない。これはやはり同じようにお考えになつて一割五分を二割に引上げられたのですか。
  40. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) その考え方につきましては、配当償却なり或いは再評価積立金の組入と、結果的には相互に関連いたしますかこの考え方としては、むしろ配当配当で一割五分で抑えるというのは少し酷じやないか。全体的に見て、企業努力の結果二割まではやらしてもいいじやないかという考え方が一方にあるわけであります。その現われが償却のほうにまで及んで来ておるわけでありますけれども、又一方のほうでは、さつき申上げたように、四割まで強制して組入れるのは無理だろうということと睨み合せて、結果的には法定償却の九割まで、しないものでも二割までできるという結果に相成つたわけでありまするが、考え方としては別個に考えておつたのです。
  41. 小林政夫

    小林政夫君 その企業努力によつて一例まで配当してもいいということが、本当の企業努力なのかどうか。当然時価に資産評価しておいて、それの少くとも九割程度償却ができないものが、二割の配当をするということが、企業家としてのセンスから言うと甚だおかしいことであつて、もう償却はしておらなくても、再評価措置を十分今のような措置をやつておらなくても何でも二割までやるというのは、企業努力云々という問題ではなくて、あなたのお考えになつているのは株価の問題が頭におありになるのじやないのですか。
  42. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) それは当然に株価の問題は頭にあるわけであります。株価の問題があり、今のいろいろな利回りの計算が非常に変つてくるということによつて、今後の有償増資が非常に困難になるということは、これは当然必要なことでありましようけれども、そこにあまりに急いで行くことがよいかどうか、この判断が一番根本になつているわけであります。そこで今の案で参りますれば少し無理じやないか、もう少しテンポをゆるめたほうが適当であろう、こういう判断の上での修正であります。
  43. 小林政夫

    小林政夫君 それから先は意見の交換になりますが、そうすると、今のような御修正をなさると、事務当局の説明によると、従来の経緯から考えて、自発的にこういう強制措置をしなくても、大体第三次再評価積立金等を含んで五百億くらいは積立てるであろう、資本組入れをするであろう。こういう法律措置をとつて一割五分を二割に上げるということであると、大体殖えても百億くらいしか殖えないのじやないか。六百億くらいになる。放つておいても五百億、この法律があるために百億程度殖えるかも知れん。こういう見込みなんですね。そういう点から考えると、こんなややこしいことを企業に負わせなくても、第三次再評価益に当するものは免税だ、一次、二次分は二分の一免税にする、こういうことだけでいいのじやないですか。あなたの御修正なさつた趣旨から行けば……。どうなんです。
  44. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今のお話、これは見解の相違かも知れませんし、十分に理由のあることと思います。ただ私どもの考え方というものは、この政府の案全体を否定しようという考え方ではないのです。将来情勢を見まして、ここまで行つていいかどうかということは十分検討しなければならない。ただ今すぐにここまで行くのは如何なものであろうか。これもどうも再評価が実際に行われたあとでないものですから、実際の数字も私どもよくわかりません。わかりませんが、極く試算をして見たものの数字なんかをとつて見ますと、又一割五分以上の配当をやつている会社というようなものに対しては、今度の再評価の結果、四割で強制しますと、大体資本金が平均して四割くらい殖えなければならないのじやないか。今度は全体の五千万以上の会社についてもやはり三割くらいの資本の増加がある。今、有配株の平均が一割二分配当しておりましても、平均して三割、四割の増資になつてくるということになりますと、利回りが相当変つてくる。株価におきましても相当に激しい影響を受ける。平均で見ましてもそれでありますから、固定資産の多いものについて考えますれば、これはその中には電力会社とか、そういつたようにいずれにしましても配当のできないものもありましようし、例外はいろいろありましようが、実際はそうである。具体的に個々の会社についてみなければわかりませんが、そういうようなことを推定して参りまして、かなり苦しいものが出て参る。そのために、これを今強制しますれば、先ほども申上げましたが、逆に利益を何とかして作ろう、何とかして配当を無理をしてでもやつて行く、そうして株価を維持しようというようなものも出て参りましようし、又、今後設備の改善やなんかもしなければならないような状態にあります際に、あまりにここで三割、四割の資本金が平均しても殖えてくるということでは変動が激し過ぎるのではないか。ここのところ程度の問題ですから、これは何とも、人の判断によつてきまるものと思いますが、従つてこの程度では何でもない、まだ大丈夫だという意見も出ましようし、我々のほうのように、そこまで行くのは無理だというような意見も出ると思いますが、私どもとしては、今そこまで持つて行くということは無理だ、併しこれをやつて見て今後の情勢如何によつては、政府案に持つてつたらばいいじやないかというような考え方でありまして、根本的に政府の原案を否定しているのじやない。ただ併し一足跳びにそこまで行かないで、段階的に行こうというような考え方であるわけであります。
  45. 小林政夫

    小林政夫君 その点が、一足跳びといつても、考え方は二つに分けなければならん。四割を三割に下げたという考え方もあるし、そうして法定償却の九割以上をやらなくても二割まで配当するというようなものは、緩和といつたつて大分性質が違つてくるので、前の四割を三割に下げたというものと、九割以上の償却をしなくても二割配当を認めるというのとは、よほど立場を変えて考えなければならん。ステップ・バイ・ステップで行くと言われましても、それじややつて見て実効がなければ、次の機会に一割五分に下げるというお考えがあるのか。私は必ずしもそういう考えを持つてつて言うわけじやないのです。このくらいの修正をお考えになるならば、これは企業ですから、相当いろいろな申告をしたり、又立入つて検査もされたり、いろいろ事務的な負担があるのであります。そういうことならば、一足跳びにそこまで緩和されるなら、第三次再評価税は免税、一次、二次分は二分の一、これだけでも十分お考えになつている目的は達せられるのじやないか。
  46. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今申上げた通りに、それでも達せられましようけれども、何といいましようか、骨組は、政府の原案を決して否定しているのじやない。ただ今も申上げた通りに、部分的には理論的に変なところもあるかも知れません。併しながら何とかこの際幾らか緩和して行こうじやないかという趣旨でございますから、今の程度の案でありましても、意見に互つて恐縮でありますが目的は達せられるかも知れません。政府の骨組というもの、方向というものは残しておきたいというような気持があるものですから、このような修正をいたしたわけであります。このように御了承願いたいと思います。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 提案者の御意図はわかりましたが……
  48. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 提案者にちよつと伺いたいのですが、今、小林君からの質疑で大体意図されているところはわかつたのですが、どうも程度の差だとおつしやつた程度でなさそうな気がする。それはあなた自身の御答弁でも、要するに四割資本組入れにすれば相当資本が厖大になる、だから三割程度にするのだとおつしやることでも私は裏書きされていると思うのです。何というか現伏から見て少しひどいじやないかという点が、四割の問題も、一割五分を二割にされる問題も起つて来ているのですが、問題は、そういう現状というものを考えるときに、強制再評価をして、小林君の言うように手続上の問題はあるが、免税措置をとろうということは、やはり日本のオーバー・ローンを解消する方向に推進しようとか、或いは全体から見て二割というものを認めるのは、現状でもつと相当企業努力とおつしやるが、果して今一割五分以上やつていることが、企業努力だといつていいのか。或いはいろいろな操作の上に立つている場合があると思う。事実としては……。而も全体としては少いというようなことを考えられると、今度こういう強制再評価以後の全体の株価の問題というものが、今の株価とは変つてくる筈なんであります。変つて来ていい筈なんでありますが、こういうふうにお考えになりますれば、ともかくも政府原案よりは甚だしく資本組入れが少くなつて来る。それから全体として考えても、五百億と六百億の差だというふうになるなら、思い切つて強制再評価さして免税にしようという趣旨から言えば、殊に修正者の意図しているところなら、少くとも倍くらいの資本組入れがあるだろうと予想されるものが、まあ任意でやつておいても五百億が、今度ので六百億程度ということは、実は程度の差というけれども半減に近いものをどうするかという程度の差だ。つまり半分が全体かというところになつて来る。そういう今言つた日本経済に課せられた解決しなければならない今の問題の一つの解決方法として、ここではこういうものがジヤステイフアイされるものだと、私はどうもその点で、そういうものに対する修正者の意欲をどこへおいておられるのか。単純な程度の差でもないとも私は思われるし、議論の差だとおつしやれば議論の差かも知れないが、ともかく半分か倍かという程度の差だと考えられる。日本経済に課せられた一つの、オーバー・ローンを解消して、自己資金を充実しようという課せられた命題がある。そのためには免税も敢えてしようという命題から見ると、非常に矛盾を感ぜざるを得ないのですが、そういう点についてどうお考えになるか。
  49. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今おつしやる通りに、この法案の狙いが日本の経済を健全にしよう、この点につきましては私どもちつとも異論がございません。同時に、今おつしやるように、再評価が強制されますれば、資本関係が変つて参ります。それから配当関係も、配当の利回りというものも変つて参りますし、又それに伴つて証券の価格というものも変る、これも異論ございません。当然そういう帰結になるだろうということは言えますけれども、先ほど申上げました通りに、極く荒い試算でありますけれども、一割五分以上の配当をやつているような会社については、大体平均的に見て四割もの資本が殖える。仮りに収益が同じだといたしますれば、株が四割殖えれば、今の配当が結局一割五分以上のものは、平均はわかりませんが、これは十四分の十に減るのじやないか。そういたしますれば可なりに証券の市場の価格というものも変つて来る。相当の激減だと思います。同時に、そのような状態にありますために、今後の、これは証券市場を擁護する意味で申上げているのじやありませんけれども、会社のほうで今度有償増資をしようというときにおきましても、これは直接に直ぐに資本になるかもわかりませんが、今の有配株の平均が大体一割八分ほどの配当率になつております。これが十四分の十に仮りに減つたといたしますれば、皆ほかの預金だとか、地方債だとか、いろいろのあとの利回り関係において非常に変動が来る。こういう点が余りに急激に来るのは如何なものか。こういう見解に出ているのでありまして、今おつしやいますように、仮りにこれを三割にしたら、当然行われる五百億の資本組入れが六百億に過ぎないのじやないか、こういう懸念がございますが、私どものほうもこれの十分正確な資料ございません。ございませんので、これに対して反駁することもできませんけれども、我々としては、もう少し多いのじやないか、かようには考えております。何回も繰返すようで甚だ恐縮でありますけれども、今申上げたように、日本の経済を堅実にするために、おつしやるようないろいろな変動を覚悟してこのことを行わなければならない、これも私ども肯定いたしますけれども、余りに急激な変化が一時に起らないようにして行きたい。これがまあ繰返して申上げます趣旨でございまして、そのほかに他意ないわけでございます。
  50. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 まあ確かに政府の案も正確だといえるかどうかわからないのですが、考え方も、衆議院で修正されたものとしては、一体この程度資本組入がどれくらい行われる予定でお考えなつたのか、その算定の基礎があつたら一つ伺いたい。    〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
  51. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) これは十分にわかりません。先ほど申上げましたように第三次の評価が行われていないんですから各社共に実際に当つてつて見なければわからないのでありまして、私どもとしても十分な資料を頂戴し、それによつて算定して、これならば一体どれだけの資本増加になるかということまでは到底わかりませんが、私ども政府のほうからいろいろ頂戴しました案によつて、今までの政府の四割というものを組入れますれば、大体一割五分以上の配当をやつているものについては平均的に見て四割程度の増資になる。それから又、資本金五千万円以上の会社について平均的に見ますと、大体三割程度資本の増加になる。こういうことを根本の基礎におきまして、それから大体はじきまして、やはり今言われますように、普通に行えるものよりも百億程度とは考えませんけれども、もう少しは多いと思いますが、併し政府の意図しておられるのには無論及ばない。又及ばないために資本の増加がそれほど急激に行われないで済む、従つて事業界というものがそれほど急激な変化を受けないで済む、まあここを狙つたようなわけでありまして、これも一種の腰溜めと申上げるより以外にないかと思います。
  52. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 腰溜ということもよくわかりますし、それがむしろ第三次評価が終つていないときに推定の困難なことはわかるんですが、腰溜めでもいいんですが、大体政府の考えている資本金としてはこういうところが少し違うのだというところをはつきりさして頂けば、我々だつてわかる。恐らく調べたつてそんなに正確なものはできない。併し腰溜めでも大体見当がつくというような形が、私は法案を審議する以上、殊に修正が起る以上は当然だと思うんですよ。だから、その程度の納得させる合理性でたくさんだと、こう私は思うから、頂戴できないか、こう思うんです。或いは頂戴できなければここで御見解を表明して戴いても結構です。
  53. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 私どもの考え方としては、当然に増すというのは五百億だとしますれば、それに対してやはり百五十から二百というところくらいの増加だろうと思つております。
  54. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それはどういう意味でございましよう。どういうことからそういう政府案よりは少くとも或る程度は多いと考えられるか。政府の考えているよりは……。
  55. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 政府の考えているより多いというよりは、当然に五百億くらいの資本組入が行われ、今まででもそれくらいのものを行われるということを政府でも言われておつて、その上に、それによつて百億くらい、こういうことを言つておられるそうでありますが、私どものほうとしては百五十億くらいから二百億、そのくらいプラスになるんじやないか、こんなふうに考えておるわけであります。
  56. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも判然しませんが、もう一つ、何と申しますか、さつきおつしやつたオーバー・ローンを解消とまでは行かないでしようが、ともかく自己資金を充実させなければならんことは、今あなたもおつしやつていられる通りの、日本経済の一つの使命だと思うんですが、そういう点から見ると、どうも百億や二百億をというものは、私どもから言えば今オーバー・ローンの額から考えて非常に疑問に思うんですね。余ほど割切つた姿にまで持つて行かなければ自己資本というものを充実して行けない。そういう点についてはどうお考えになつているか。
  57. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今お話になりましたように、私はちよつとわからないんですが、この再評価によつて資本組入ということによつてオーバーーローンは解消をいたす……、ただ資本金額が殖えますから、それに対して借入額が同じであれば恰好が幾らかよくなるということになつて、実は今オーバー・ローンの解消策とは我々実は考えていなかつたのでございますが、今おつしやるような日本の産業の資本関係を十分に充実させたい、強固なものにしたいという部面につきましては、縷々申上げた通りに一向我々としても異存ございません。ただ先ほど来申上げておるように、この結果、資本が非常に殖える。従つて配当率が落ちる。株価が下る。これが更に激しく行われることによりまして今後の有償増資も困難になる。その結果、今設備を拡張するというところもあまりないかも知れませんけれども、併しながらやはり設備の改善その他にはかなりの金が要るのじやたいか。こういう点につきましてやはり余ほど考えて行かなきやいかんだろう。こういう考え方に立つてつたわけであります。
  58. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 オーバー・ローンの解消といつても、これは資本評価換えに過ぎないので、その点はわかるのですが、併しそれ自体が正当に評価されなければ、一体、今オーバー・ローンとか言つたつて何のことかわからないのですね。露骨に言えば……。借入資本と自己資本との本当のパーセントというものが正当の評価において初めてきまつて来る。そういうふうに考える。そうしてそういう正常な基礎において向わなければならんということが当然だ。それにいつまでも架空の資本金を以てその上に立つて配当をやつて行くこと自体がおかしいのであつて、そういうことは改正することは当然のことになるわけです。当然なことを勇敢に行くのに、どうして、何というか、現状にと言つて、現状は変化しなければこれは日本経済は改革できないにきまつていますがね。どうもその点についてのお考えというもの、そういう点について、オーバー・ローン解消ということにすぐ直接行つたのはおかしいけれども、併し少くともその点は、はつきりしていると思つてつてつたのですが、どうもそういう点で現状々々と言われることがおかしい。それから又、架空の資本に立つて二割の配当ということを言つたらこれは四割以上の利益でしよう、税金の関係から言つたら……。実際のところ会社としてはそういうことが、私はこういう特典を与えてまでやらなければならないことであろうか。およそ政府の政策として免税をやる以上は、そういうことについての抑制こそ大切なことじやなかろうか。むしろ場合によれば、本当に帳ずらが合つていればそんなことは考えられないのか本当であつて、ここで議論すること自体が現実離れをしているのじやなかろうかということすら私は考えているのですよ。そういう点から見て、まあ議論をするつもりはないのだけれども、どうも、現状に特に変化を与えるとおつしやるが、資本評価した以後の経済界は変つた前提なんで、今の前提で考えられること自体が少しおかしい気がするのですがね。
  59. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 何回も繰返して申上げるようで恐縮でありますけれども、私どもの考え方は、今おつしやる再評価後の正常な経済状態、これにつきましてはもとより賛成でありますけれども、何とかそこまで早く到達いたしたい。ただ併し、これは又意見に亘つて恐縮でありますけれども、今おつしやる現状がおかしいのだと言われましても、これが確かに現状なんでありますから、それをやはり基礎に物を考えなければならん。その目的に向つて何とか早く進みたいけれども、ここからも意見の相違になるかも知れません。主観が入りますけれども、政府の原案ではいささか急激に過ぎるのじやないか。従つてそこまでに行く段階的なものとしてこの修正を行なつた。かように申上げて御了承願う以外にないかと思いますが、そういうような気持でございます。
  60. 小林政夫

    小林政夫君 現状を変化しないというあなた方の御考慮が、今も堀木さんと大分問答がありましたが、出資者に対する現状変化を急激に起さないようにしたい、こういう点の配慮、証券保持者に対する配慮、こういうことに、御配慮があるようですけれども、併し大きく日本経済の全体を見るときに、堀木委員の言われたような問題もあるし、又更に現在の我が国の労働界を見ると、ベース・アップの要求は非常に強い。この場合、企業が二割或いはそれ以上の配当をしているということが、これは我々から見れば架空の配当なんです。再評価をせずに、法定償却をせずに、そうして二割の配当、こういう配当をするところに安易なベース・アップを誘発するのであつて、特に今の二十九年度において相当デフレ政策を貫いて行こうという国の方針から考えて、国の方針、特に自由党の内閣の方針から考えても、自由党議員である与党議員がそういう点については御配慮ないのか。労働界の現状が、何でもかんでもベース・アップ、マーケット・バスヶット方式なんかまで編み出してベース・アップを強行しようというときに、企業が安易な配当をやることは、これ経済的に考えればやはりベース・アップを誘発するということになるのであつて、その点の御配慮はなかつたのか。
  61. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 只今の小林さんからお話がありましたような点、御尤もであります。これにつきましても十分に配慮している。従つてこの法案に対して根本的に反対じやない。ただそれに対する、何と申しますか、何回も繰返すのであつて恐縮でありますが、漸進的に行くしかない。ただ今お話にありました中で、一言申上げておきたいことは、これは証券、株式を持つている人の現状を維持したいという気持ではございません。これが急激に変化することによつて将来有償増資の妨げになる点が多いのじやないか。従つて今後設備の改善その他のために有償資本を募集したいというときに非常な障害が出て来るのじやないかという点のほうに、私どもの懸念の重点がございます。その点はどうか御了承願います。
  62. 小林政夫

    小林政夫君 二割の配当があれば有償増資ができる、それは多いほうがいいわけですけれども、銀行株にしても、地方銀行が一割二分、市銀が一割二分五厘で抑えられている。併し増資は可能なんです。内容さえああいう状態であれば……。それから貸付信託の利廻りが一割以下でしたか……。投資信託であつてもだんだん利廻りは低下して、一割五分なら、それはもう相当余裕のある、今の普通の現金運用にしてはかなり優遇された利廻りだと考えてもいい情勢になりつつある。その水準を、どうしても二割ということにしなければならないか。一方において三割、四割という配当をするものがあるときはあれだけれども、これで一応べースをならして、一割五分というものがマキシマムだということになるならば、おのずからこれは投資者も考えを変えて来るのじやないか。その金利が高いというのは日本の現状であつて、なるべくそれを低目に抑えて行こうという場合に、どうしてそういう修正をしなければならないか。
  63. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今のは、何と申しますか、一割五分で抑えなければならんかどうか、いい会社でも一割五分で抑えなければならんかどうか、こういう問題になつて来るのですが、まあ私どものほうは、これは見解の相違になるかと思いますが、努力した良い会社であるなら、この一割五分で何も押えなくたつていいじやないか、併し二割を超えるとなれば、これはまあ押えていいんじやないか、こういうような意味の二割でありますから、一割五分で、どうしてもそれ以上というものは今押えなければいかんのだ、或いはそれをもう少し緩和して二割という、まあ程度の問題になつて来るかと思うのでありますけれども……。
  64. 小林政夫

    小林政夫君 どうしても私は、先ほどの堀木委員の前に私と質疑応答をやつたときにもそれを感じたのですけれども、要するに、資本組入れを四割を三割にするという問題と、再評価してそれの法定償却九割以上をしなければならんという問題とは、考えが違うのですね。それは、資本組入れにしようと積立金で行こうと、この点は同じです。けれども、法定償却の九割以上をしない会社が企業努力をやつていい会社だとは言えないと思う。そういうものに二割という配当をさせる必要はないんじやないかと思う。ここにあなたとの見解の相違があるわけで、企業努力をやつて良い会社なら二割配当させてもいいじやないかというけれども、この再評価した結果の法定償却九割以上をしない会社はいい会社とは言えない。一割五分以上配当するのは実力以上だ。こういうことが言いたいのです、私は。
  65. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今の小林さんのお考えよくわかります。これも結局さつき申上げましたような、現状というものは悪いんだ、悪いけれどもよくしよう、確かに私どもは今悪いと認めます。又よくしようということも認めますが、そこまで行くのに、今の現状を一気に破つてしまつて、いいところまで持つて行きたい。これはまあ人情でありますが、そこまですぐに持つて行くことが多少無理であつて、今の現状は悪くても、もう少し漸進的に持つて行きたい。これが全体に通じた気持でございまして、その判断が、まあそんな心配は必要ないんだ、もつと一気にやつてしまつてもいいんだ、政府の原案くらいのことならこれは当然やれるんだ、こういう見解はもとより出て参りましようし、又それに対して、私どものほうではちよつとまだ無理じやないか、もう少しゆつくりさせたい、まあこれに尽きておるわけでありまして、繰返して申しまして恐縮でありますが……。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 そこに私は、今の自由党内閣というか、自由党というものの意思分裂があると思う。大蔵大臣は一生懸命万難を排して一兆円予算をやる、こういう心構えでやつたと見なければならん。にもかかわらず、与党委員の皆さん方が非常に安易に漸進的にというときではないと思う。僅か三年間の期間ですからね、この間に、うんと企業態勢を整えようというので、これは非常にセンスの違いがあると思うのです。これ以上やると議論になりますから……。
  67. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 大蔵大臣は四時までで、四時以後ちよつと御用があるそうですから、成るべく大蔵大臣に御質問下さい。
  68. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 若しよろしかつたら、私、本会議がありますから……。
  69. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) よろしいですか。
  70. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、私は黒金さんに聞きたい。
  71. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  72. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。
  73. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 まあちよつと余り率直過ぎて感情を害するかも知れませんが、決して悪い気持で言うじやないので、一つお聞き願いたいと思います。それは、会期末に衆議院のほうで修正せられまして、こちらへ回付されまして問題を起したのは、あなたも御承知の通り造船利子補給という問題がございます。あれが廻つて来たときに、どうも臭いぞと言つて大分評判しておつたにもかかわらず、うやむやのうちに通つてしまつて、結果は御存じのような状態になつた。その結果、第十次造船もできないというようなことになつて、国のためには誠に遺憾なことだ。それからほうぼうの造船所を控えておるところの町々においても、えらいいろいろ問題の起きておることは、あなたも御存じの通りだ。それとこれと同じだとは私は申しませんけれども、ややもいたしますとこの会期末にそういうことが起り得るので、まあ前車の轍を踏まない、こういう意味から私はお尋ねするのでありますが、今回の衆議院でされました修正に当りまして、証券界、証券業者あたりの団体から、猛烈な働きかけがあつたということが流布されております。それから一つは、経済団体の経団連その他の諸団体からも、これを修正させるように猛烈な運動があつた。これはまあ運動があることは一向差支えないのでありますが、その陰に第二の造船疑獄のような事件が若しも伏在しておるとすれば、甚だ誠にどうも我々としては心配でならん、こう思いますので、そういうことはないとは思いまするけれども、この際、衆議院大蔵委員会を代表しておいでになりまする黒金さんに、これは将来のために、若しもあつた場合にこれはどうだと言つて、だから言わんこつちやないじやないかと言わなければならんと思うので、よくこれはお互いに気をつけなければならん、こういうふうに思いますので、そういう問題は心配は全然要らんかどうか。一つこの際はつきり御言明を願いたいと思います。余りにどうも率直過ぎて感情を悪くするかも知れませんが、決してそういう意味じやなしに、お互いに国の政治を憂える、こういう意味からお伺いするのでありますから率直にあなたも意思表明を願いたいと思います。
  74. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 只今非常に率直な御忠告に与かつて甚だ恐縮に存じます。この問題につきましては、私どもが衆議院で修正案を可決しました後に、朝日新聞であつたかと存じますが、解説めいたところで以て、何かこの陰に運動があるのじやないか、(菊川孝夫君「運動はいいんだ、運動はかまわんのだよ」と述ぶ)というようなことが書いてございました。私どもとしては非常にこれは心外に存じております。これだけの大きな問題でありますから、私どもは、実はほかの党派のことは存じません、自由党内と大蔵委員会との審議の経過を申上げますにとどめますけれども、各方面の意見を十分に聞いたことは事実であります。但し今おつしやるように、証券界の運動が特に激しかつた、かようなお話でございますが、私どもといたしましては二度ほど各界のかたの御意見を公聴会でも聞いております。併しこの際におきましても更に証券界だけのかたをお招きすることをせずに、経団連なり、或いは日商なり、或いは同友会なり、或いは金融界なりと一緒に証券業界のかたもお招き申し、同時にこの方面の知識経験の多いかたもお招きいたしまして、そうしてそれぞれにみんなの御意見を伺つて十分にその多くのかたに論議を尽して頂いております。そのときの記憶では、証券界はもとよりこれに対して緩和を主張いたしておることは事実であります。又、経済団体の中にもいろいろな御意見がございます。そういうことを斟酌いたしました上に、私どもしてはこれに対する方針をきめた。同時に、これは今終了間際のどさくさにきめたというふうにお話になりましたが、実は私どもの政調会の下打合せの際におきまして、これにすぐ関連いたしますのが、先ほどちよつと触れましたが、租税特別措置法のこれの再評価後の配当に対する優遇の措置であります。これを三月一ぱいに上げなければならなかつたために、これに関連いたしまして、実は三月当時に或る程度のこれに対する基本的な方針は出ておりまするし、同時に今申上げましたようないろいろなかたの御意見を伺つたのは三月の下旬のことであります。この終会頃になつてどさくさまぎれにこれを通したと言われますことは、いささか心外であり、慎重審議を尽したつもりであります。同時に大蔵委員会におきましても、学者の方々の御意見も参考人として伺い、或いは又、産業界、各界の方々の御意見も参考人として十分に承わりまして、そうして正々堂々とこの案をきめたのであります。今おつしやるような点は恐らく杞憂であろう、かように私どもは信ずるのであります。
  75. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 よくわかりました。各方面の意見をお聞きになるということは、これは又聞かなきやならん。政治というのは、そういうものをあらゆる方面の意見を聞いて、これを取入れて、どこへ持つて行くかということが大事だと思いますので、その限りにおいては誠に結構だと思うのでありますか、あとで、先ほど申しました造船汚職のようなことが再び社会の疑惑を招くようなことのないようにという憂いから、私は申上げたのでありますが、得に衆議院におきまして本会議の採決の際に、立案者であるところの、責任者の大蔵大臣、小笠原さんが、投票の際に躊躇しておつたところが、あの温厚な益谷氏が立ち上つて、党議に従えと言つて、叱吃激励したと、こういう新聞記事が載つておりました。誠に見事な統制振りだと思つてつたのでありますが、ところが翌日の新聞を見てみますと、益谷氏は造船の問題で任意出頭で取調べられているというようなことになつて、これはどうだというような印象を受けたわけなんです、率直に言つて。だから、これにも若し絡んだとするならば、若しさようなことがあつたとするならば、我々は参議院においては十分これは別な角度から検討しなおさなきやならん、こういうふうに考えますのでお尋ねしたわけです。あなたから、これは、しつかりした、自由党としてはそういうことはなかつたという御答弁がございましたので、私もそういう前提で一つお尋ねしたい、こう思います。  第二の点は、政党政治ということでございますが、これは野党側がどうしてもこれは駄目だと、これでは、政府原案では駄目だと、こういうふうに出て来た場合に、与党としても止むを得ずお譲りになるというのは、これは政党政治のあり方というのをお互いに政党政治家といたしまして考えなきやならんと思うのですが、自分たちが責任を持つて内閣を組織している、その政府の出して来た原案を、与党の議員が率先して、而も重要なポイントを修正するというがごときことは、政党政治の原則と申しますか、ルールから考えまして、如何なものだろうかと私は考えるのでございますが、この点について黒金さんから一応お伺いしておきたいと思うのです。これは立場を代えまして、あなた方は野に下られまして、我々が今度は与党になる場合もなしとしないのでありますが、そういう場合にもこれは重大な問題だと思いますので、この点についてあなたはどうお考えになるか。それも、やはり字句の修正であるとか、或いは附則に洩れておつたからこれを直すのだというのを、政府がやらないから、与党がおやりになる。これは結構だと思いますが、やはり今度の修正はこの法律の何と言つても私はポイントだと思うのです。一番重要なポイントだと思います。そこを少くとも与党において、こういう重要施策を考えられる場合には、当然政府と与党との間に緊密な連絡があつて、細かいところまでは連絡がなくても、こんなポイントだけは御連絡があつてやられたことは、又今後もやつて行かなきやならんことだと、かように考えるのですが、我々聞いておりますところによりますと、まあ衆議院大蔵委員会の方々だけがこれを決定されまして、あとの者は余り知らんうちに、そつときまつてしまつたというので、本会議でもまごつかれるんだということまで流布されているのです。これらについて、将来のために、お互いに、そういうルールというか、これは別にきまつたことではございません。法律上から言つても何も差支えはないのでありまして、政府がやることを国会が独自の立場でどんどん変えて行くということは何ら法律違反するものじやない。併し政治の道義というものはそんなものではない。私はかように考えるのですが、この点について黒金さんから一応伺つておきたい。
  76. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) それはどうも、私も、修正をいたしました大蔵委員会なり、或いは衆議院を代表して御答弁申上げるわけには行かないので、私の私見を申上げる以外にないかと思うのでありますが、それでよろしければ……。
  77. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それで結構です。
  78. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 私どもといたしましても、今いろいろ御忠誓を賜わりまして誠に御尤もだと思います。ただ併しながら、私どもとしてこれを修正いたしました点、又今後も多少ずつ修正があるのでありますが、これはやはり法律ができますまで、いろいろな段階を経ております。例えば今政府でお出しになる案にしましても、私ども政調会に御相談になり、或いは総務会なんかいろいろして党議もきまり、御提出にもなる。又審議の過程におきましても、いろいろ実際の法案関係で要綱が出て参りますれば、先ほど申上げました通りに、経済界全般に亘る問題で、いろいろとそこらの御意見が出て参ります。そういう全体の国民の意向を十分に考えました上で、法律ができます最後の瞬間まで、できるだけよいものにして行こうということが、やはり国会議員としての任務ではないか。かような趣旨で修正をいたしておりますわけであります。今おつしやいますような趣旨から申せば、できます限り、自分たちが与党であり、政府の出しました案を無傷で何とか野党の方々の攻撃に対抗いたしましても通したいと、こういう気持でやまやまでありますし、又それが当然であるかも知れません。今申し上げたような考え方も又十分に尊重して行かなきやならんと思います。こういうような考え方で修正をいたしておるのであります。御了承を願いたいと思います。
  79. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点については余り、あなたがそういうお考えであるというのであつたら、まあ理窟になると思いますが、私の申上げるのは、大したところでなければ与党がおやりになるのは当然なんです。併しこれは骨組みなんです。私はそう思う。私の見方が誤つておるかも知れませんが、ここが中心になつて罰則よりも何よりもこの点だとして、そこが覆えるということになり、而も政府のほうでやつぱり原案のほうがどうしてもいいというふうに対立しているときに、与党が率先しておやりになるということは、政治道義上どうもおかしい。  それからもう一つ、今問題が起きている、この前の修正のあの造船利子の補給の問題で、与党たるあなた方の幹部連中は容疑を受けているわけです。三役三人とも取調べを受けておるということを新聞で言われておるときですから、ますます以て私たちはどうもこれはいかんなということを感ずる。これは与党として当然だとあなたもお考えになると思うのです。これ以上論議しても仕方ございませんが、政治家という、今後の政党政治の在り方についてはお互いに考えなきやならん点があるのじやないかということを申上げる。あなたもこの点については一応お考え願えるだろうと思うのです。  もう一点だけ簡単に伺つておきますけれども、急激にこういうふうにするのはいかんというので、それではまあ暫くたつたら又更に原案或いは又それよりもきついやつを一つ政府が考えるということはお考えになつておるのですか。これは時限法だから、少くとも通してしまつて、又新たな観点からこういうことを考えなければならんと、少くともあなた方は修正に当つてはお考えになつておるかどうか、その点一つ。
  80. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 先ほどお見えにならない前に一応その点は御説明したのでありますが、これは先ほど来、なぜこれだけのことをするなら、もつと大きく改正して、それだけの目的を達するような修正をしないかと、こういう御質問に対してお答えしたのでありますけれども、私どもこの政府の骨組みに対して一向に反対をいたしておりません。ただ先ほどもしばしば申したように、漸進的に参りたい、こういう考えでありますために、今この緩和したものでやつて見ようじやないか。その結果によりまして政府の案まで行くか行かないかということは、将来の問題に残しておきたいというために、先ほど小林さんからお話がございました、非常な大きな骨組みまでも修正に及ばずにこのような修正をいたしたのであります。その点は御了承を願いたいと思います。
  81. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 先ほど小林君が、資本に比例して配当の多いということはベース・アップを誘発するのだと、こういうお話ですが、我々が考えると、一つ又別な角度から見ますると、戦争に敗けたにもかかわらず、高級自動車が氾濫する。社用族が使う金は、まあ人の見方によつては年間三千億くらいは使われておるだろうということを言われているのです。もう何でも、官庁に物を納めるにも会社へ物を納めるにもただでは納まらんというのだ、今の日本の実情は。これは、はつきり言つておりますが、事業をやつておる連中に聞いて見ますと、殆んど請負を請負うにいたしましても、物品を納入するにいたしましても、必ず飲ませるか、抱かせるか、握らせるか、これをやらんと、うまく行かん。これを先ず突つ切ることが一番私は大事だと思う。その意味においても、これもあずかつて力があるだろうと思う。若し資本が殖えて参りますと、それに伴つて利益率は低下することはわかつておる。こんな状態ではまさか飲ませるわけにも行かないからというところで、手拭一筋にも変えて行く、こういうふうに頭の切替えが必要である。重役は何もあの高級自動車を乗り廻しているだけの値打がないにかかわらず、みながえらく競つてクライスラーやキヤデラツクを乗り廻す。そこに一つの欠陥があるだろうと思う。そういうのを放つておいて、何か景気が悪くなると首切りをやる。こういうようなところにベース・アップの誘発があるのじやないかと思うのですが、その意味においても、今度の政府原案ではまだ生ぬるいくらいに私たちは思うのですが、又それを緩和するということになると、運動次第ではできるのだから、まずまずということになつて、これはなかなか改まらんのじやないかと思うのですが、これをどういうふうにお考えになつておるか、一つ聞かして頂きたい。
  82. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 今の点は、これはもう見解の相違になる。いろいろ主観の相違になるんだろうと思いますが、これは私どもとして、やはりこの結果として、もう何回か申上げて甚だ恐縮でありますけれども、やはり資本金が平均的に見て四割も殖える。そのために配当も非常に影響を受ける。証券市場も相当の影響を受ける。その結果、増資もできなくなり、設備の改善等も円滑に行かなくなることのほうが今のところ害が多いんじやないか。従つて今幾らか歩き方を緩和して、それでも目的を達するじやないか。こういう考えをとつたわけでありまして、それ以上の点はやはりものの考え方の相違になるかと思います。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これで終ります。
  84. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 黒金衆議院議員に対する質疑はもうありませんか。
  85. 黒金泰美

    衆議院議員(黒金泰美君) 何分よろしくお願いいたします。
  86. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私、大蔵大臣にお聞きしたいことは、基本的によく大蔵大臣と意見が程度の差と方針の差だといつて違うのですが、この問題についてお聞きしたいことは、一応衆議院では二割の配当まで認めようという点が一つ非常に大きい点ですが、一体、大蔵大臣は、今後の金融状態に対して低金利政策で行かれるのか、高金利政策で行かれるのか、その方向を一つ伺いたい。これは両論とも立ち得る。今後のデフレ的な経済政策、どういうふうに金利政策というものをお考えになつておるのか。特に経済的な考え方としては両論とも立ち得るという情勢なんですが、その中に立つて大蔵省としては非常に低金利政策を推進するがごとき考え方があるように思えるので、一つお聞きしたいと思います。
  87. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもは目標としては飽くまで低金利政策で行くべきであると思います。従つて銀行その他に対しましても機会あるごとに……、これは堀木さんも御承知のように、この頃銀行の資金コストが非常に高いのです。七分二、三厘につくのではないかと思いますので、これでは到底低金利政策は望むべくもございません。日本の個人企業が金利に対して負担しておる割合は非常に多い。各国に比べまして。この金利のハンデイキヤツプをつけられるということも非常に日本の産業のためにも不利でございますので、できるだけ低金利にしたいと思いまするが、無論その方針で進んでおりまするけれども、当面どうか、差当りのところはどうかと言いますると、目下のところはそう低金利を貫き得ないような情勢下に置かれておりまするし、又この頃、市中銀行が資金コストを下げて低金利に漸次導いて行くことは非常に望ましいことでありますが、然らば中央銀行がその金利を低下して、それで資金を誘導するというようなことは今日余り望ましいことではございません。従いまして、全体の方針は、只今申上げた通りできるだけ企業家の金利負担を減少する意味で低金利に持つて参りたく、まあ今のイギリス、アメリカ並みに行かなくても、漸次それに近ずけて行きたいと思つておりまするが、併しさつきの中央銀行の金利政策としてはどうか、こういうお尋ねでございまするが、これは現在の金融引締めをやつておる際といたしましては、さような措置はとりにくい。もう少し経済界の推移をみた上でそれに基いて低金利政策を実行して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  88. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 その点はよくわかるのですが、中央銀行、日本銀行のやり方自身はむしろ逆鞘になると考えるほうが正常な金利状態なんで、その点は、日本銀行が如何に高率適用しておる現状といえども、率直に言えば金融引締めの回転なり、通貨安定という点からはどうかと思つておりますが、併し市中金利そのものをもう少しコストの引下げという点から考えても、これはもう非常に負担が重いということは当然考えられる。だから、その市中金利については下げて行こうという考え方だと……、そこで私お伺いしたいのは、一体二割の配当というもの、そのことが日本の現状及び日本経済再建の方途から言つても一体考え得るか。ともかくもこの点については疑いを持つているのですが、例えばここで起つて来た一割五分と二割の問題も、大体これだけの配当だと倍くらいの利益を挙げなければ会社として配当ができない。そうすると、それが正常なる資本評価の上に立つての話ならまだ私どもは……、それでも全体の日本経済の現状からどうかと思うのです。自由主義を信奉される大蔵大臣としては、ともかく現在のような産業資本の構成で正常なる資本評価をして行つたら、二割ということは考えられないという現状から、なおこの二割の修正というものを程度の差だとお認めになるだろうか、こういうことなんです。かたがた一方において市中金利の低下ということをお考えになると、どうも私は、その点、むしろそれは証券業者の売り買いの問題もありましようが、民間の資金吸収の面から言えば、必ずしも名目的な株式の配当がいいということだけが当てじやないことは明らかなんです。どうもそういう点から見ると、あなたが一割五分と二割、さつき衆議院のかたが来られても、もう程度の差で頬かぶりされるのですか、これは程度の差だとお思いになるかどうか。非常に疑問に思う。大蔵大臣の御意見を伺いたい。
  89. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私ども程度の差であると実は考えておるものでありますが、併し程度の差も事によると、いろいろ実際問題としてこれを考える場合に、単に程度の差に止まらん場合がございます。その点を堀木さんは多分お考えの上での私に対する御質問と思うのでありますが、その意味の問題について申上げますと、これはまあ私は原案のほうがいいということはいつも申しておるくらいで、私自身はそう思いますが、併し漸進的にものをやるほうがいいと、こういう考え方が多数であつて、この国会をそれで通るものなら、今までの行き方と違つた今度のああいう言わば半強制的な措置をとるのでありますから、これでもやらんよりよいと、こういう意味で私はこれは賛同している次第で、若し通り得るものなら原案が一番望ましいということはいつも申上る通りであります。
  90. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 その問題についても、もう少し現在の株価の問題との関連において御答弁を頂戴したいと思つておりましたが、更に三割、四割の問題ですね。私は今わざわざ金利からお聞きしたのは、どうもあなたはいつも程度の差というのだが、一兆円予算を組んだときはブレーキをかけてこつちの方向へやろうとしている。ところが修正した人は先ず現状に近いもので行こうとしている、こういう方向の傾向の差がそこに起つて来ているのだ、こう私は常に考えるのですよ。殊に資本組入れの問題にしましても、三割、四割というものは、率だけでは程度の差のように見えるけれども、現に大蔵事務当局の話によれば、政府原案によれば千二百億くらいの自己資本積立てなり組入れになり得るのだ、そういうふうな考え方に立つて行かれるのが僅か六百億なんですね、今までのこういう免税の恩典に浴さないときでも五百億は予想される。こうなつてくると、私は程度の差でなくなつてくると思う。半減か六分の五かという問題なんですね。政府の原案よりは約半分になる。そうして従来の任意によるところ資本評価によつても五百億くらいになる。今度の案で六百億、露骨に言うと、恩典だけは政府にうんと浴させておいて、あとは任意の再評価をやるのと大体違いないという形になつてしまつたというふうなことについては、どうお考えになりますか。
  91. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体、過日私も丁度数字を見ておつたのでありますが、一応私どもの原案で言うと、今堀木さんのお話の千二百六十億かになるのを、六百億か六百五十億に止まるので、それではもとのままでも、去年の十二月までの数字的な形勢から、五百億やれるじやないか、幾らも殖えないじやないかということで、その点が私ども誠に遺憾に思いますが、併しこういうことで全部措置される。今までのままだとあまり措置されずに行きますから、措置されることになつて行きますので、この点がまあこの新しい法律ができる効果であると、かように考えているのであります。それから又、先ほどの黒金衆議院議員が申述べた説明の中にも、一応こうやつて行くが漸進的だということでありましたので、この結果によつては、この次には政府原案にまで進むということが明らかにもされておりますので、まあ一応これで一つ我慢をしておこうかと実は思つているような次第でございます。
  92. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 率直に言えば、この修正案だつた会社は痛むところはない、儲るところだけ、政府の恩典だけ乗ずるのだという形になりますが、ようございますか。そうなるとお思いになりませんか。
  93. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 前の点よりはそういつた御批判が幾らか出ようと思います。原案に比べれば……。併し全部そうだとも思いません。
  94. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 あとは細かい問題ですから……。併し何というか、大蔵大臣が全部理想に行くだろうとか、或いはこれでも全然ないよりはいいと言われる程度のもので行かれることは、今度資産評価の法案をお出しになつ趣旨から言えば、甚だしく遠く離れているという考え方を私はせざるを得ないのです。それが又常識だと思う。私だけじやない、そういう点はどうもこれを御承認なさる政府の……これだつたらむしろ引込めてもいいと言われるぐらいが、むしろその点を、これだけ政府の政策を織り込むということを骨抜きにするなら、従来通りとされるのが本当じやないかと思いますが、これはどうも水掛論になつて、私とあなたの感覚が違うようだから止むを得んと思いますが、私のこの法案を見たときの考え方はそうなんです。あとは細かいことですから、事務当局のほうから別にお聞きすることにいたします。
  95. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日の大蔵大臣に対する御質疑はこの程度に止めたいと思います。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 第三十九条の償却額計算の特例がありますね。これで減額申請をして、はつきり認可するという通知がなくても、申請した間はその減額分で償却を認める。こういうことになるので、その間におけるところの一割五分にしても二割にしても、配当制限との関係はどうですか、あとで誤りが……申請通り認めなかつたという場合において、それはもう度外視する……
  97. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 只今の配当制限償却との関係ですが、若しそういう両者の関係が起つてくるとすれば、償却か多い場合に残された利益が動くわけでありますね。償却を多くすれば、利益が減るわけです。その関係からも、できない配当をしてしまうことがあり得るかも知れません。そういう意味における関連しかないと思います。つまりこの場合は償却をどれだけすべきかということを規定したわけでございまして、実質的には陳腐化等が多いために平均八割以下であるべきであるという場合に、申告によつた帳簿価額は一応八割になつているわけであります。その八割になつ資産を基として、帳簿価額を基として償却をするのではない。それよりも差引いた減額後の額を、予想されるところ減額を差引いて、つまりすでに減額をしてしまつたのちにおける帳簿価額というもの、それを基準として償却をしなければならんという意味のことを規定したのであります。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 だから、今度はその減額を認めなかつたという場合には、簿価は上るわけですから、償却は九割にしても殖えなければならん。だから今あなたの言う意味と逆のことを言つているわけであります。当然すべき償却をせずして、而も配当制限には引掛らないという事実が起ると思うのだが、それは見逃すのですかというのです。
  99. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) その点、止むを得ないことと考えております。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 それは今の一年間はいいか悪いかという判定をしないのだから、これはもう止むを得ませんということですね。
  101. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) なおそれはこの陳腐化の認定そのものは如何に遅くとも一年後にはきまるわけであります。ところ配当制限が実質的に適用になるのは、勿論この再評価をしたかしないかということにつきましては、直ちにその適用を受けるわけです。その他の点は三十二年以降に起る。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 それは資本組入れ……。
  103. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 償却です。償却を強制せられますのは、三十二年三月末日を含む事業年度以降に強制せられるのでありまして、それ以前には適用がないのでございます。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの答弁だけでは自信がなかつたわけですね。それから先ほどの四十条、これはまあ簡単なことで……、百五条ですね、この中に引用してある再評価法の百五条というのは削除になつておる……。
  105. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それは今度の金融機関再建整備法によりまして一遍削られたやつが復活されることになつておるのです。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 復活して来たのですか。
  107. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 復活されることになつております。通りましたから復活しております。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 復活すべき百五条ですか。
  109. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) そうです。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 わかりました。
  111. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この罰則規定ですが、こういうものにこれは罰則を課せるという理由をちよつと伺つておきたいのですが、法律違反したものは何でも罰則だというふうな考えからこの罰則を設けておられるのか。ちよつと理由がよくわからんのです、これに罰則をこうかけなきやならん理由を。
  112. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 只今のお尋ねは、恐らくは第四十八条の問題ではないかと思うのです。つまりこれは再評価強制の規定違反した場合、それと配当制限規定違反したという場合であろうと思いますが、これはもう再評価を強制する。こういう建前をとる以上、何もそれに対する罰則がないということであれば、それは取りも直さず再評価の強制ではないということになるのじやないか。そこで一方に再評価をしなかつた場合には配当制限するという規定もあるわけです。但しそれは一割五分、原案によれば一割五分を超える配当をしてはならんというだけであつて、では一割五分以下配当をしておる会社は、若し罰則がないとすれば何ら強制されないということになる、配当制限だけならばもう実質的には配当してはならない。再評価をしなかつた場合には配当は当分の間全然してはならないという規定を置かない限り、まあ強制にはならんだろうと思います。ところが、それでも厳密に申せば逃れるわけでございまして、無制限に相当長期に亘つて配当をしてはならないという規定を置くということは、これは非常に問題であろうと思うのです。というのは、再評価するかしないかというような問題につきまして一番関心を多く持つておるのは、株主よりも前に経営者なんです。経営者がつまり償却を殖やしたり何かその他によつて計上利益が減る、名目利益が減るということを恐れている。その経営者が怠つたために株主が何年間も配当を受けることができないというのは、とんでもないところにとばつちりが行つてしまうのだということになるわけでありますから、一割五分の配当制限、或いは又無配当というような方法をとりましても、どうも強制の手段として適切でないというふうに考えられたわけでございまして、やはり何らかの罰則を伴わなければならん。併しそれはいわゆる刑事罰、刑法によるところ罰金或いは懲役というふうなところまで行くのは如何であろうかというので、ここに三十万円以下の過料というのは、非常にまあこの事柄に対しましては軽微な罰則を設けておる、非常に軽微だろうと私は思います。併しこれもないよりは遥かに違う。やはり経営者ともなれば、而も相当な大会社でありますからして、これをやらなかつたために、とにもかくにも、行政罰にしても罰則適用を受けたとなつては、余り体面にかかる問題でございますからして、これで十分抑えがきくというふうに考えております。配当制限の場合も同様でございます。
  113. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私の考えるのは、もう少し、やるなら体刑とかそういうふうにやるならいいけれども、三十万円以下の過料なんというのは、今の大体……。この三十万円のことを逆に言うと、三十万円の金を払つたらやらなくてもいいということになつて来るわけですね、逆説的に申しますと。ところが相手は今の常識から考えて、アプレ重役連中からするならば、三十万円というのは一晩に使つているようなやつが多い。そういう連中は、私が先ほど申上げましたように、交際費、宣伝費というようなものを仮に見たら、そのときに果してこの三十万円以下の過料ぐらいのところでおどかしがきくとあなたは思つているけれども、私はその点、相当疑問を持つているのですがね。これは見解の相違であつて、これは別に三十万円の過料なんというものを一々取上げない……。あそこの会社は三十万円の過料を払つた……。その点において、これはもうないよりましといつて、小笠原氏のように言つてしまえば別ですが、殆んど効果はないのじやないか。三十万円に限定した理由、これを一つだけ伺いたい。
  114. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) これは只今おつしやられましたように、どうせ強制するならもつとはつきりした罰則を設けてやつたらいいじやないかという当然この御意見があるだろうと思います。私たちも大分そこのところ考え、而も当然これの適用を受けます会社はいわゆる大会社であります。なぜそれじやこれらの会社の取締役が再評価しないのだ、今までしなかつた会社がたくさんあるわけです。なぜしないかという根本の理由を突きとめて見ますると、要するに金を借りるときに都合が悪い。計上利益が減ることを恐れている。増資するにしても配当等の関係で以てどうも工合が悪い。いろいろ外部に対する見せかけの問題にこだわつているわけです。ところが今度罰則適用された。言い換えると、再評価の強制規定違反して、たとえ何万円であろうが、罰則適用を受けたということになれば、そういう苦心も水の泡になつてしまう。折角こつそりと隠れて再評価したかしないかわからないような顔していたけれども、あの会社の取締役は再評価違反違反に問われたということになりますれば、それは何にもならなくなるから、それはたとえ軽微な罰であつても十分に効果が達せられる。三十万円と引換えに再評価しないというふうな考えは持たないであろうというふうに私どもは考えております。
  115. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それならもう一点だけ、それじや、この会社の取締役を三十万円の過料にするというのは、取締役に名を連ねておる連中は全部一人頭三十万円取られるわけですか。
  116. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) これはその辺明確でなしのですけれども、従来のこついうふうな意味規定はいろいろとございます。その会社の取締役を過料に処するというか、或いは罰金に処するというふうな規定でありますが、その場合は、担当取締役、責任者というふうな意味で実際に適用されておる。余り適用された例があるかどうか知りませんけれども、個人を罰する場合には、名を連ねている者全部を三十万円の過料に処するのではなくて、その事務の責任者であるところの取締役というふうに解釈されているようです。
  117. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると経理担当重役とよく言つている、あれですか。その取締役一人だけ三十万円……併しあなたはここでよくはつきりしないというのは、立案の趣旨はどういうことなんですか。そうすると経理担当重役から三十万円取るんだということでありますか。
  118. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) さようでございます。
  119. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ちよつとこの表現が「取締役を三十万円以下の過料に処する。」と書いてあれば、それは取締役会の議決を経てやるのですから、その人の責任だというような法律解釈はおかしいと思いますが、取締役会というものは、これは個人の責任においてやるんじやないんです。そんな大きなことを単独でやれつこはない。そういう子供だましみたいなことを言つてつてはおかしいと思います。こんなことで、そうこだわるわけではないが、ここでちよつと引つかかつたからですが、どこの会社でもそうでしよう。経理担当重役の独断でこんな大きな仕事はやれますか。これは取締役会で議決するなり相談してやるのが当り前です。それで経理担当重役だけを三十万円の過料に処するというのは、まさにこれは余りにも形式論ですよ。
  120. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 仰せの通り取締役が個人でこれを再評価するとかしないとかというようなことが決せられることはないと思います。ですから、そういうことから言えば、全部共犯であるということにもなろうかと思いますが、検察当局等の意見によりますれば、これは担当重役でいいんだということで、法の目的を達すると言いますか、懲罰の目的を達すればいいのでありまして、本来は取締役自体が自分だけの都合を考え違反するとかどうこうということはないと思いますが、要するに何と言いますか、一罰百戒と申しますか、一人を罰するだけでも十分目的が達せられるのに、全部を罰する必要はないんではないか、そういうところから来ているのじやないかと思います。実際に適用する場合に、一人だけを代表に処罰して行くというようなことは、法の目的を達すればいいということから来ているんじやないかと思います。
  121. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 罰則適用は明確にしておかなければならんと思いますからして、よく取調べて後日はつきり御答弁願いたいと思います。
  122. 小林政夫

    小林政夫君 今、委員長の発言を聞いていなかつたから、或いは同じことを言うかも知れないけれども、念のために聞いておきますが、刑の量ですね、これは他の経済関係法規と比較して権衡はとれているのですか、法務当局と十分打合せして……。私はそういう知識がないから、念のために大丈夫だということだけ聞けばいいのです。
  123. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) こういう罰則につきましては、すべて法務省刑事局に私どものほうから案を或る程度提示いたしまして、そこでどの程度がいいかということで手入れをしてもらうわけです。それはその次にあります商法利益配当制限違反、これに対する罰則と比べますと非常に軽い印象を受けますが、先ほど申しましたように、商法の場合ですと五年以下の懲役又は三十万円以下の罰金であります。それと比べますと非常に軽いのでありますが、まあこれらの今回の再評価なんかの強制の措置等の性質から鑑みまして、この程度でよいんではないかというふうな判断が下されたものと考えます。
  124. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に附則の説明を願います。
  125. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 続いて附則につきまして簡単に御説明申上げますが、附則の第二項の資産評価法の一部改正でございますが、先ず第九十三条第三項中「第七十三条第二項」としてありますのは、資産評価調査会に関する規定でございますが、そこの調査会に付議すべき事項の中に、今回の再評価等特別措置に基くところの第十五条第五項を加えるという規定でございまして、それから第七章は、再評価法によるところ更正に関する規定でございます。この法律の第三十七条、先ほど御説明申しました再評価法規定するもの以外の事項に関する更正決定事項でございますが、それを加えるということにしております。その次に同じく資産評価法の百七条の第一項中、これこれの事項を「削り」とありますが、これは金融機関再建整備法の規定によつて調整勘定を設けておる金融機関につきましては、その再評価積立金資本に組入れの場合の積立金の取り崩しを認めていないわけでございますが、今回は、この後のほうに出て参りますけれども、調整勘定のある金融機関につきましても組入れをすることができて、そうしてその場合に積立金を取崩すことができるということにしておりますので、それとの関係でかような規定を入れたわけでございます。その次の六号として加えておるというのは、「株式の消却又は資本の減少をした法人、」つまりいわゆる減資をした法人が消却又は減少によつて金銭その他の財産を払う、或いは交付するという場合に、再評価積立金の取崩しができるという規定を作つたわけでございまして、それが今ありますところ規定のその第五号と申しますのは、退社したり脱退した場合に、出資の持ち分の払戻しをする場合には、積立金の取崩しができることになつておりまして、これとの権衡上、こういつた減資の場合の交付金というものも、積立金の取崩しの原因として権衝上いいんじやないかということから加えた規定でございます。  それから同じような趣旨でありまするが、資産評価法の百八条におきまして、これは合併した場合に、被合併会社積立金に相当する額を、合併会社がそのままその同額を積立てしなければならんという規定でありまするが、その場合におきましても、やはり合併の際の現金交付をやつたというような場合には、その部分は合併会社積立てる額から除くことが適当であるというふうに、権衡の問題としてこれを付加える必要が生じたわけでございます。ですからこの趣旨は先の六号と趣旨においては余り変りございません。ただちよつと奇異な感じがするかも知れませんが、合併会社が、その被合併会社積立金をそのまま承継するという形にはなつておりませんで、その相当額を、それとの同額を新らしく積立てるんだ、いわば新らしい積立金であるというような規定になつておりますからして、その場合に積立額からは当然その際に取崩さるべき金額を除いて積立てればよろしい、こういう意味でこの規定を作つたわけでございます。  それから同じく資産評価法の「第百九条第三項中「及び再評価税」を削り、」とありますのは、少しこれは面倒な規定でございますけれども、要するに今までの規定によりますると、再評価税を完納すれば再評価積立金というのは金額組入れができるのだ、ですから、その前におきましては再評価税を先ず未納の場合にはそれを控除しておきまして、その控除した金額の九割までは組入れて行けるけれども、一割は除いておかなければならんという規定があるわけです。そこで旧再評価もやつて、つまり第二次までの再評価もやり、且つ第三次までの再評価もやつたという法人の場合には、旧再評価税は完納した、併し新らしい第三次の再評価税はまだ完納しておらんという場合にどうするかというわけです。今までの第三項の規定によりますると、その両方とも、再評価行なつ法人は、旧再評価税のみならず新らしい再評価税も全部完納したという場合において全額を組入れることができることにならないで、旧再評価の差額の分だけは全部いい、十分の一を前に留保しておつたが、その十分の一は附加えていいというだけの規定になつておる。これは権衡上おかしいということから、新らしい再評価税を完納したものはというのは削つてしまいまして、旧再評価税を完納すればその旧再評価差額に関する部分は全部組入れていい。新らしい再評価差額に相当する部分については十分の一だけを残しておく。まだ未納の税を差引いて残りの十分の九を組入れ対象としてよろしい。こういうふうにしたわけでございます。今までの規定で少し権衡上おかしくなつてつたというのを今回是正したものであります。それから同条第六項を削るというのは、第六項と申しますのは、金融機関再建整備法の規定によつて、調整勘定を設けておる金融機関については組入れてもよろしいという規定適用しないということになつておりましたのを、今回は仮勘定を設けておる会社につきましても、すべて組入れを強制しておる。完全強制ではありませんが、資本組入れ促進の措置をこの法律においてとつております。その振合いから申しましても、金融機関の場合だけは調整勘定があるからと言つて組入わを認めないというのは非常に偏跛な規則である。これはもともと日本側と言いますか、こちら側がこういうことを必要と認めてやつてつたというよりは、司令部時代にそういう指示がございまして、金融機関の場合は格別だというので除かれておつた。そのまま今日までこの規定を活かして来たのですが、今回としてはこれを削除したほうがよかろうということで削除することにしたわけでございます。あとは条文の整理の規定に過ぎません。
  126. 小林政夫

    小林政夫君 その点、今の調整勘定を持つておる金融機関の点ですね。一応、銀行課長からメモはもらつておるのですが、前の本委員会における質疑の関係もあるから、一応銀行課長から銀行局としての見解を伺いたい。
  127. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 銀行局長が申し上げるはずでございまするが、どうしても差支えがございまするので、私から御説明申上げます。今担当の課長から御説明申上げましたように、今回の資本充実に関する法律は、要するに一定の資本組入れをして行かなければ一定以上の配当をしてはならない、こういう形になつております。ところで一方、金融機関再建整備法の適用を受けて調整勘定を持つております金融機関については資本の組入れは許さない、こういう絶対的な規定があるわけでございます。この法律におきますこの二つの矛盾は、果してこういう矛盾をおいておかなければならないほど、どちらかに絶対的な要請があるかということを、我々は考えて見たわけでございます。そうしてやはり法律の体系といたしましては、この金融機関再建整備法の適用を受けて調整勘定を持つている金融機関について絶対に資本組入れを認めない、こういう条項を残しておく必要はない。それではこちらのほうの趣旨が通らない。こういう一つの法律の建前と申しますか、筋道のほうから考えますその理由によりまして、これを取りやめたい。こういうのが先ず出て参ります。  その次に実際問題としては、先だつて小林委員も御指摘になりましたが、現実に金融機関は、都市銀行であれば一割二分、地方銀行においても一割二分五厘、こういう配当率で大蔵省は制限している。その場合、仮りに資本組入れがあろうとなかろうと、政府原案によりまして一割五分、さような配当をするのにいろいろ条件をつけられることはないじやないか。これは実行上まさに現在その通りつております。併しながらこれも御存じのことと存じますが、金融機関によりましては、例えば創立五十周年記念、例えば創立何周年記念といつたようなときには特別に配当を殖やしてやるということを現にいたしております。私のほうでそういうことを認めております。具体的には大体三分程度配当を更に乗せることを許しております。従いまして仮りに原案が一割五分ということでありますと、仮りに三分の配当を認めるといたしますならば一割五分五厘ということに地方銀行ではなりまして、僅か五厘の差でございますけれども、実行上やはり資本組入れを制限されておりますために、さような配当ができないというのではおかしい。資本組入れをする力を持つておりながら而もそれが許されないというのでは困る。こういうことが具体的にはあるわけでございます。そこで、それならばこの間から御指摘がありましたように、金融機関再建整備法によつて調整勘定を設けておれば、そこに出て来ている再評価積立金なるものは、これは或いは将来旧勘定の債権者たちに帰属し得る可能性を持つているのではないか。だからこそ再評価積立金資本組入れを禁じているのじやないか。その問題がある限りは、やはり再評価積立金を取りますことは認めるべきではない。こういう御意見が確かに出て来るわけでございますけれども、その問題につきましては、一体、この法律、現在の再評価法によりまして、なぜ資本組入れは絶対にやつてはいけないということにしておりましたかということを申さなければならないと思うのでございます。この間も銀行局長から申上げましたが、元金勘定に属しました資産をめぐりまして、旧勘定関係と新勘定関係と両方のどちらにどうその利益の調整を図るべきかということは、再建整備法が施行されましてから今日に至るまで大分いろいろの角度から議論された問題でございます。例えば不動産と確定評価と、もうこれでこつきりだということにして、新勘定のほうに譲つてしまつて、なお且つ又その不動産が処分されれば、その処分益は調整勘定に帰属する、こういう一つの調整方法がございます。それから考えますと、調整勘定と申しますものを考えておりますのは、もと旧勘定に属しました資産が何か利益が実現したときには、俺のほうにくれよ、こういうことを調整勘定というのは狙つているのでございまして、そういう点から考えてみますと、評価替えが行われたということだけでは、利益が実現したのではなくて、いわば、価値の是正と申しますか、そういうことでございますから、必ずしも直ちに調整勘定に行くべきものではない。こういうふうになるのは当然だと思うのでございます。ところで、そういうふうに資産評価法規定を書きます際に、その頃はまあ新勘定育成と申しますか、そちらのほうの気持が非常に強かつたわけでございますから、単に再評価しただけではその再評価差益というものは調整勘定に行くべき増加益ではないと、こう規定してしまいまして、それ以上の調整を図らなかつたのでございます。そのために、これではどうだということが第二次再評価の際に問題になりまして、そのときは、やはり法案の作成上の都合から、まあとにかく今すぐこの問題を片付けるわけには行かないけれども、まあ再評価益というものがこれは絶対に調整勘定のほうにも行かないのだと断じてしまうのも早過ぎるじやないか、ちよつと問題は考えようということで、先ほど経済課長から申しましたように、とにかく再評価積立の取り崩しに関しては又別に法律で定めるぞといつたような規定が、再評価法の百七条に実はそのとき入れられたわけでございます。それで、取り崩しのほうは、だから資本組入れなどということはせずに待つておれと、こういうことが又規定されましたわけでございます。その問題をどう調整するかにつきましては、内部でいろいろ議論もございましたが、せんだつて御賛成を頂きました再建整備法のほうで、ともかく再評価しただけでは、それはその利益が調整勘定のほうに行くというふうにするのは、これはできない。併したまたまその再評価にかかわる資産を処分して処分益が出たときには、それはその再評価益も含めて廻したらいいじやないか。調整勘定というのは利益が実現したら廻すと、こういうものなんだから、それはそういうふうに直すのが一番適切な調整方法であろう。こういうことでその問題についての一応の解決をみたわけでございます。従いまして、曾て再評価益をめぐつて、これをどの程度に調整勘定に帰属させるか、或いはこれはどの程度に新勘定のほうであるかという問題につきましては、私どもといたしましては一応のもう解決を得たものと考えております。そういう面から考えましても、この際、調整勘定を持つておりましても資本組入を認めて差支えない、かような考え方をとつたわけでございます。  御承知のように、再評価積立になります再評価益というものは、すべて旧勘定に属していた資産から生じたものではなく、新勘定関係資産から生じておるものもある、と申しますか、むしろその後における償却によつて生じたものも入つていたりするわけでございます。すべてがすべて、この再評価積立金というものが、皆、旧勘定の関係のほうと絶対に結び付くというものではない。部分的には結び付いておる。かように考えますので、実行上、私どもが銀行法の運用によりまして、資本増加を認可にかかわらしめております。それによつて今後運用して参りますれば、本件は旧勘定関係者と新勘定関係者との利害の調整の上から決して誤まることはない。法律に曾てきめられましたその考え方は貫かれて行くと、こういうふうに考えた次第でございます。少し説明が長くなりまして恐縮でございますが、以上でございます。
  128. 小林政夫

    小林政夫君 その再評価積立金のすべてが調整勘定に帰属すべき可能性を持つておるものではないということは認めるのですが、少くとも調整勘定へ帰属すべき可能性を持つ再評価積立金資本へ組入れさして行くべきものでない、新株主に与えるべきものでない、こういうふうに思うのですが、その点はまあ従来通り規定を置いておくとすれば少しきつすぎるのですが、そういうふうな絞り方をして従来のような規定を存置するということが、まあ旧株主等の感情からいつても妥当じやないかと思うのですが、あなたはその点は行政措置で十分やれるという言い分と解してよろしうございますか。
  129. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 小林委員のおつしやる点、御尤もでありますが、その点を強いて一本にせず、行政の運用でやらせて頂いて、私たちはやつて参りたいと思つております。なお附言いたしますが、私どもは只今金融機関に対しまして、配当の抑制をいたしておりますが、特に金融機関の内部留保の充実と申しますか、自己資本の充実ということ、さような観点から、金融機関のさような利益が社外に流出するということは極力抑えて参りたいと考えております。さような面からも、資本組入れは、今後の方針といたしまして必ずしも一般の企業と同様に扱うとは限らないので、むしろ逆に金融機関については社外流出を防ぐ意味から、資本組入れはさように積極的には行わせない。かような気持で運用いたして参りたいと思つておりますので、かれこれ併せまして、いろいろ御心配になつております点は、私どもといたしましては十分御期待に副えるよう行政上やつて参れると思つております。
  130. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちよつと伺つておきたいのですが、金融機関の配当制限をする法的権限はあるのですか。
  131. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 法律上は権限はございません。権限と申しますと非常に妙な言葉でございますが、法規に基く一つの規定によつて、いろいろ行政処分として命令をしたり何かしておるのではございません。行政指導でございます。
  132. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 僕は一つだけ聞いておきたいのは、銀行課長もおるし、理財局の経済課長もおるんで、これだけ資産評価をして資本組入れを強制してやらせるということになると、これはすぐに火災保険なんか、これはまあやはり一旦資産に組入れてしまつた以上、それだけ資本に組入れてしまつたら、火災保険その他の損害保険は、やはりその額だけは大体上げて行かなければならないと思うのだ。保険をかける部分のものは、それだけの額の保険に加入するようにして行かないと、今度何か事故があつた場合に、すぐ欠損になつてしまうからね。それはやらなければならない。そうなると、その保険料率の問題、少しこういう点も考慮をしておられるかどうか。これは附則にも何にもないのだけれどもね。損害保険との関係を一つ考慮しておられるかどうか。一つお聞きしたい。
  133. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) まあ事実問題としましては、損害保険会社は従来まで非常に過小資本であつて、一時その株価等も非常に投機的にもてあそばれた嫌いがあるのですが、そういう関係がありまして……。
  134. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、違うね、それはこういう意味だ。或る工場があつて、一億円であつた。それが再評価して一億五千万円になると、これでその損害保険なり火災保険に加入する。これはやはりそれだけの加入をさせなければならない。まあ大体においてそれに相当する保険に加入をしなければならない。そうすると、保険料、あなたのほうで考えるのは、保険料についてはもとは同じものなんだね。ところがかける料金が大分違つて来るだろうが、どうするんだね、そういうのを。調整をどういうふうに考えておられますか。
  135. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) これは私のほうで所管しておらないので、具体的なことは余りよく存じませんけれども、大体火災保険に入るときの価格というものは、これは何も帳簿価額によつてつているのではなくて、まあ適当な超過保険にならないように時価でつけておる。それによつて保険料率、課税料率が課せられておると、こういう状態ですから、理窟から言えば、再評価帳簿価額を上げた。まあそれによつて生じた積立金資本に組入れるかどうかということによつて、それ自体が直接変るということはないという程度考えております。
  136. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大体そういうような点、火災保険、損害保険等は、それはもうすでに再評価した額で、自分の胸算用で再評価して殆んど加入しておる。こういうのが常識になつているんじやないか。今のところは……。
  137. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) これはまあ保険に入るとすればそういう価格で入るのが当然だと思います。それが時価で評価した金額まで保険に入らなければならん、こういうことでありませんので、保険をつける場合の常識としては、超過保険にならないという範囲内で、大体時価相応額までは保険に入つておるというのが、これが大体の実情であります。
  138. 小林政夫

    小林政夫君 今の行政指導で十分やれるという点が、今まではおおむね銀行家の人にあなたのほうの言うことは聞かれておるでしようけれども、相当骨のある人が出て来て、私はもう絶対やるんだという場合に、抑える手はないでしよう。ただ検査があるから何とかあなたのほうでつむじを曲げられては困るというので……。この点、大丈夫ですか。
  139. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) これはどうも私から申上げるのも如何かと思いますが、私は只今私の預かつております行政に関する限り、自信を以て抑えます。
  140. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会