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1954-05-10 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十日(月曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            山本 米治君            土田國太郎君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   衆議院議員            井手 以誠君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君   政府委員    大蔵大臣官房長 石田  正君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告 ○旧海仁会等施設及び附属物転換  処理に関する請願(第二一一五号) ○農山漁村農業協同組合等法人税  減免に関する請願(第二三七五号) ○国有地地上権確認に関する請願  (第二三八二号) ○旧軍用財産防衛施設使用計画に  関する請願(第二五九五号) ○農林漁業金融公庫出資金わく拡大  等に関する陳情(第五二七号) ○中小企業金融難打開に関する陳情  (第五九八号) ○社会福祉宝くじ発売に関する請願  (第一五八六号) ○ドライクリーニング用揮発油の免税  に関する請願(第一九〇二号)(第  一九一一号)(第一九一二号)(第  一九二九号)(第一九五二号)(第  二〇一三号)(第二〇八二号)(第  二一五三号)(第二一五四号)(第  二一九五号)(第二一九六号) ○時計物品税撤廃に関する陳情(第  五七七号) ○外国為替及び外国貿易管理法の一部  を改正する法律案衆議院送付) ○大蔵省関係法令整理に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○経済援助資金特別会計法案内閣提  出、衆議院送付) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  請願及び陳情に関する小委員長報告を求めます。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 請願及び陳情につきまして小委員会における審議経過並びに結果を御報告申上けます。  五月七日、第二回の小委員会を開きまして、各委員の意見、及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。  請願第二千百十五号は、旧海仁会並びに海友社施設及び附属物は、過去半世紀以前から旧海軍軍人の零細な醸金を根基として造営して来たものであるから、その施設及び附属物の今後の転換処理に際しては、絶対に営利団体、又は個人的利得の対象としない処理方法を実施するよう、特別の考慮を払われたいとの趣旨であり、  請願第二千三百七十五号は、農山漁村における産業経済団体である農業協同組合森林組合漁業協同組合が、その性格公益性を有しているにもかかわらず、組合に対する法人税一般営利企業と大差のない取扱を受けているが、これら組合育成強化のため、これに対する法人税減免措置を講ぜられたいとの趣旨であり、  請願第二千三百八十二号は、社団法人日本農会、大日本山林会、大日本水産会の三会が事業奨励助成目的を以て明治二十三年赤坂溜池所在の御料地を五十カ年無料で借用し、昭和十五年を以て一応該地の契約期間が満了したのであるが、当時、国も何らの異議もなく、その後御引続き使用を継続しており、借地法による法定契約更新が行われたものと思われるから、右国有地請願者地上権者であることを確認せられたいとの趣旨であり、  請願第二千五百九十五号は、旧軍港市転換法による諸都市において、今後新たに防衛施設のため旧軍用財産使用する計画を立てられる場合は、従前同様その都度事前に関係市と緊密なる連絡をとられると共に、内協議されるよう取計われたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。よつて以上の請願四件はいずれも採択すべきものと決定いたしました。  陳情第五百二十七号は、農林漁業金融公庫農林漁業生産力維持増進に多大の効果を挙げているのではあるが、広汎多岐に亘る事業体貸付金として、真に目的達成のために、農林漁業金融公庫政府出資金の枠を拡大すると共に、利子低減方を取計われたいとの趣旨であり、  陳情第五百九十八号は、中小企業が融資を受けることが極めて困難であり、倒産続出実情にある現在、商工中金に対する資金運用部資金貸付に当つては、商工債券引受枠大幅拡大を認めると共に、これらの利率を極力引下げ、長期且つ低利の貸付を可能にすること等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。よつて以上陳情二件はいずれも採択すべきものと決定いたした次第であります。  請願第千五百八十六号は社会福祉宝くじ共同募金会をして発行せしめられたいとの趣旨であり、  請願第千九百二号、第千九百十一号、第千九百十二号、第千九百二十九号、第千九百五十二号、第二千十三号、第二千八十二号、第二千百五十三号、第二千百五十四号、第二千百九十五号、第二千百九十六号は、ドライクリーニング用揮発油を免税せられたいとの趣旨であり、  陳情第五百七十七号は時計物品税を撤廃せられたいとの趣旨であり、いずれも不適当と考えられます。よつて以上請願十二件、陳情一件は、いずれも採択せざるものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今の報告のありました請願及び陳情につきましては、いずれもその報告通り決定することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。よつてさよう決定いたしました。
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案議題といたします。先ず発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  7. 井手以誠

    衆議院議員井手以誠君) 衆議院議員井手でございます。外国為替及び繁外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明いたします。  輸入予算と言われる外貨予算が、国の予算と表裏一体の重要性を持つことは申すまでもございません。又経済自立を急がねばならない今日、輸入統制のために厳格な為替管理を行うことは当然でございます。ところが国の予算国会において慎重審議されておりますのに反し、外貨予算閣僚審議会において作成決定され、国会はただ外国為替資金特別会計歳入歳出予定額と、その予定損益計算を承知するに過ぎないのであります。  従いまして、今日半期毎の外貨予算ありとは申しましても、その作成と外貨割当は放慢に流れ、近時思惑輸入はますます繁しくなり、不急品贅沢品はどしどし輸入され、率直に申しまして輸入は野放しの態であります。そのため、昭和二十七年夏十一億ドルを越えた外貨保有高は、この三月末八億二百万ドルに激減し実質的には七億ドルを割つて外貨の危機が叫ばれております。  このように無計画に等しい輸入の増大は、国内消費景気をあおり、インフレを進め、国際物価に比し割高を生じ、同時に国内金融は梗塞されて中小企業は行詰り、勢い輸出は伸び悩み、国際収支悪化の悪循環を招いて、二十八年度は実質的には三億九千万ドルの赤字となり、為替レートに大きな暗影を与えるに至つたのであります。  従いまして、国民に耐乏生活を強いる一兆円緊縮予算も、このような自由放任輸入状況では殆んどその効果を抹殺ざれることになるのであります。  勿論政府は最近この輸入に若干の調整措置を講じてはおりますが、なお極めて不十分の憾みがあり、貿易の前途を思ろとき、予算の一切を今日の行政機関に委ねることのできない憂うべき事態に立ち至つたのであります。又、国の財政経済政策に至大の関係を及ぼす外貨予算国会が関与することが財政監督の権限からも当然のことと存ずるのであります。  ここに外貨予算を国の予算関連して国会審議にかけ、輸入計画化してわが国経済自立を図ろうとするのが、本案を提出した基本的理由であります。  即ち現在外貨予算を決定している閣僚審議会廃止し、外国為替予算国会議決を要することといたした次第であります。  次に内容の概略を御説明申上げますと、  第一に、予算期を一カ年といたしました。昭和二十五年民間貿易再開当時の外貨予算四半期制度であり、次いで二十七年から半期予算となりまして今日に至つておりますが、輸入計画化を図るには長期予算が必要であり、現在でも年間計画の枠内で半期予算が決定されておりますし、国会の会期の都合もあり、取引上の機動性を失わないためにも、長期予算を決め、弾力性を持たせておくことがむしろ商取引の機を掴むに利便であると存ずるのであります。  第二に、外国為替予算議決は国の予算の例にならうことにいたしましたが、その性格を考え、内閣は二月末までに提出し、国会は大体三月いつぱいで議決するようにいたしました。  第三に、輸入物資経済自立に必要な最少限度に抑える必要があり、物資別金額を明かにする方針でありますが、使用細目の公開は取引に不利を生じますので、時期別、積出地別細目は要らないことにいたしました。  第四に、この予算の変更は、輸入統制重要性を考え、国会議決を必要とすることとし、輸入の実績についても国会に対し早期に報告せしめることにいたしました。  以上が本法律案を提出いたしました理由とその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御協賛下さいますよう切にお願い申上げます。
  8. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。   —————————————
  9. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に大蔵省関係法令整理に関する法律案議題といたしまして、この概要の説明を聴取いたします。
  10. 石田正

    政府委員石田正君) 本法律案につきましては先般提案理由説明をいたしておるのでございますが、内容について申上げますると、  第一条におきましては、明治四年に制定されました太政官布告「新紙幣を発行する件」から現在に至りまするまで二百六十の法令につきまして、すでにその実効性が現在におきましてはないと思われまするので、これを廃止したいというのが第一条でございます。  それから第二条でございまするが、これはポツダム政令関係のものを拾い上げたのでございまして、先ずポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸法令措置に関する法律第八条第四号の削除につきましては、外国為替資産を戦後分離保管するという勅令がございまして、終戦当時金融機関が保管していました金、銀、白金、金銀貨並びに外国通貨、それから外貨で表示しておりました証書等資産を分離保管しなければならない。これに違反した場合には罰則を適用するという規定があつたわけであります。その後この勅令廃止されましたが、その勅令廃止しました際に、勅令廃止前の違反行為を処罰するために附則によりまして罰則規定が存続されたのでございます。講和条約発効と共にこれを法律に置き換える必要がありましたので、第八条第四号で更に存続させたわけでございます。これも、もうその必要がなくなりましたので、それをやめようというのが一つ。それから第八条第五号の削除でありますが、これは日本銀行に対しまして外国通貨等を引渡すことに関する勅令がございまして、これは終戦国内にあつた外国通貨等日本銀行に集中することを規定した勅令でございます。この勅令規定によりまして集中した外国通貨の一部は、外国通貨及び外貨表示証書買上げに関する政令規定によりまして、買上げて、残存分はそのまま日本銀行が保管するということをしておつたのでございます。その後この勅令廃止に当りまして、保管中のものの取扱が決定いたしておりませんので、附則によりまして、日本銀行が保管している効力及びこれに関する外国為替管理令による売却又は寄託義務の免除並びに罰則に関する規定の適用はそれぞれ存続させておつたのでございます。これも講和条約発効後一応法律に切り換える必要がございましたので、この五号で残しておつたのでございますが、これは日本銀行が保管しておりましたところの外貨で以て国が使用できるようなものにつきましては、すでにそれをここに集中いたしまして、そうしてその対価をそれぞれの所有者に払うという措置を完了いたしておりました。今残つておりますのは、外貨であるとか、外貨証書と言いましても実際は役に立たないものが多いわけであります。これらのものにつきましては日本銀行に寄託した人に返したほうが適当であろう、こういうふうに思われますので、今回五号を削除いたしまして返そうというのが、その次の問題になつておるわけでございます。それからその次に第八条第十一号に書いてありまするところの削除といいまするのは、学校及び保育所給食用ミルク譲与及びこれに伴う財政措置に関する政令なのでございまして、この政令内容といたしておりましたところは、学校給食及び保育所給食のためのミルク輸入は、昭和二十五年度におきましては米国対日援助見返資金特別会計から財源を繰入れて貿易特別会計輸入いたしましたが、貿易特別会計廃止されましたので、昭和二十五年度におきまして貿易特別会計が買入れ契約したものの権利義務食糧管理特別会計に引継がせようということが一つ。それから昭和二十六年度におきまして給食ミルクにつきまして一般会計財源負担する措置がなされるまでの間は、食糧管理特別会計負担において買入れるということを目的としておつたわけでございます。そうしてその二つの場合におきまして、財源は対日援助見返資金特別会計から繰入れることというようなことを規定しておつたのでございますが、財源の繰入れ措置及び児童の負担となる経費措置が完了しておりませんので、その問題に関連いたしまして、当分の間これを講和条約発効後におきましても残しておつたのでございますが、すでにそれらの財源の繰入れ及び経費の徴収というものは終りましたので、この際廃止したいというのが十一号のところの問題でございます。  次に第十一条の削除のところの問題でございますが、これは証券保有制限令の第二条第一項本文の規定によりますると、制限会社等は他の会社株式取得を禁ぜられておるのでございますが、その但書におきまして、金融機関だけにつきましては、特に企業再建整備法に基く債権者割当による当該金融機関同一資本系統に属する会社株式取得並びに担保権行使又は代物弁済による同一資本系統会社株式取得が認められております。且つ第十七条の二、四の規定によりまして、当該金融機関制限会社等でなくなつた日から一年間は特例による株式取得が認められておつたのでございます。而もこの勅令によりまして取得した株式をその取得の日から一年を超えて所有しようとするときは大蔵大臣の承認を受けなければならない。本勅令廃止されますると、その廃止後は、特例によつて取得を認められました株式数が、独禁法第十一条の金融機関株式保有制限数百分の五を超えるとき、その取得の日から一年を超えて所有しようとする場合には、公正取引委員会認可を受けなければなりません。而も委員会認可は速かに処分することを条件としてなされることとなつて、これは廃止してしまいますると不便であると思いますので残しておきましたが、大体もう制限を超えますというような虞れがその後消滅しましたので、この際、合せて廃止したい、こういうふうな経過のものでございます。  それから次に第四条について申上げますが、これは煙草に使いまするところの巻紙につきまして、これ煙草と同じような一種の専売制を布いておるわけでございます。これはこのまま放つたらかしておきますると、煙草密造等を助長する虞れがあるというふうな観点からそういうふうにしてあるわけでございます。輸出をいたしますような場合におきましては、国内において闇煙草を作るというふうな心配がないわけでございます。そういう場合におきましても一々これを公社の一手買取制にしておくということは実情に即しないものがあるのではないかというふうに考えられまするので、輸出する場合につきましては、許可制によりまして、専売公社輸出と並んで巻紙製造業者等自己輸出を認めようというのが第四条の規定趣旨でございます。  第三条と第五条とは関連いたしておるのでございまして、現在におきましては塩のほかに「にがり」をも専売制にいたしておるのでございます。この「にがり」を専売といたしましたのは、戦時中におきまして金属マグネシウム増産確保の要請によりまして実施せられたものでございますが、現在におきましてはその必要がないであろうと思われまするので、これを廃止いたしたいというのが三条でございます。それから第五条はそれに関連をいたしまして、塩専売法のほうにつきましても改正をいたそうということでございます。  それから第六条も、これは塩業組合法におきまして今の「にがり」の専売廃止することにいたしまして、関連規定を削ろうということになつておるわけでございます。  それから第七条でございますが、第七条の関係は、政府契約いたしました支払に関しまして遅延を防止する等に関する法律の第六条と申しますのは、政府対価支払の時期を規定してございまして、その第三項には、政府契約特例に関する法律契約について政府対価支払事務起算日規定しておるのでございまして、このたび政府契約特例に関する法律廃止に当りまして、この項を削除しようとするものでございます。と申しますると、非常にわかりにくいことになるのでございますが、大体本法は、終戦後におきまして、これは連合軍の兵営の設営とか或いは賠償撤去とかいうことを終戦後やりましたために、非常に物価が上るとかいうふうな関係がございまするので、特例といたしまして、一応契約をいたしますときに、政府支払金額の確定していないものについても、政府が適正と認める支払金額を指定して契約を締結することができるとしたものでございます。併しながら、これは何と申しましても異例なものでございまして、当然今日の状況におきましては廃止さるべきものでございますので、それを廃止いたしたいと思いまして、それに関連いたしまして、その関係条項政府契約支払遅延防止等に関する法律の中にございますので、それの該当分を削ろう、こういう意味でございます。  それから国債に関する法律のところでございますが、外国におきまして発行いたしました外貨債等につきましては、昭和十八年以降現在に至るまで、国債関係事務簡捷化に関する法律規定によりまして、一般国債と同じにその消滅時効を援用しないという臨時立法が適用されておつたわけでございます。今回その分を廃止することにいたします。これは第一条の二百三十六のところで国債関係事務簡捷に関する法律というものを廃止することになつておりますが、これは戦時中国債取扱いにつきまして、一々利払いから消滅時効が来ておるかどうかということを確めるのが事務上困難であるということで、それをやめてしまつて、とにかく元本なり一札を持つて来ればどんどん払うということをやつたのでございますが、それを今日の時勢におきましては元に戻そうということで廃止いたしますと、今度外国において起債したところのものはどらなるかということが起つて来るわけでございます。この点につきましては、外国において起債した国債につきましては、それぞれ起債地の法例又は慣習によらないと、国内のやつたものによりましては問題が起る場合もあろうかと考えまして、こういうふうな但書をつけるということにいたしたわけでございます。  次にこのたび消滅時効が援用されることになりますと、困りますのは割賦償還方法で償還する国債時効についてであります。そもそもこの国債は、その賦札元金及び利子金額が表示されておりますが、国債に関する法律第九条では、元金十年、利子五年の消滅時効となつております。併しこの国債賦札所持者は一枚の賦札で同時に権利行使をするのでありますから、元利を加えた賦金の時効を十年として普通の消滅事効特例を設けたのであります。  それから第九条でございますが、これはこの銀行法等特例法の第四条から第六条までにつきましては、今申上げまするような理由で、戦争終結後の平常状態では必要ないと思われますので、削除することといたしたいと思うのでございますが、四条と申しまするのは、業務制限取締り等特例でございまして、勅令を以て定めるところの金融機関は、それぞれの業法で規定されておるもので、現在なおこの規定による特例を設けで置く必要はないと思われますので、やめたいと思うのであります。
  11. 木内四郎

    木内四郎君 勅令を以て定めるというのはどういう金融機関ですか。
  12. 石田正

    政府委員石田正君) 今ちよつと勅令中身を持つておりませんが、要旨は、普通の業務制限取締りに関するところの法律規定がありましても、その規定を適用しないで特別な仕事をやらせて行こうというふうなこと、になつてつたのでございますが、その必要は…。これは勅令に細かい条文がございますが、中身を申しますると、例えば勧銀とか北拓とか興銀というようなところにつきまして、担保なしで貸付ができるというふうなことの特別な規定を設けておつたわけでございますが、これは戦時中の特例でございますので、もうそういうふうなことを今更残しておく必要はないであろうという意味でございます。  それから第五条は、資金調達方法に関しまして政府が命令することができるという規定でございますが、これはもうそういう必要はないであろう。六条は役員の解任ができるというような特別の規定でございますが、これも今の時勢に合わないであろうというふうに考えられますので、要するに戦時中のそういう特例というものにつきましては、これをやめさせようというふうに考えておりますのが第九条の規定でございます。  あと附則のことでございますが、これは大臣がお見えになりましたので、御質問がありますれば御説明するということで、一応打切らして頂きたいと存じます。   —————————————
  13. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本案質疑あと廻しにいたします。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に経済援助資金特別会計法案議題といたしまして、質疑を願います。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この第一条の「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため必要な費途に充てるために、」云云、こういうふうに目的が出ておるわけですが、これと、安全保障で、例のMSA法の五百十一条によりますと、大統領が、こういうような援助を与える場合、米国の安全を強化するものであると認めた場合で、且つ被援助国が、御承知のように援助に四つの条件が出ておつて、その六条件を承認した場合において援助するというように、アメリカのほうにおいて立法されておるわけですが、それと、これとは少し矛盾していやしないかという気持がするわけですが、どういうものであるか。それに対する所見を伺いたい。
  16. 原純夫

    政府委員原純夫君) この安全保障法の五百十一条の規定は、今回の援助協定、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定にかかつて来ると思つておりますが、この経済援助資金特別会計法におきまして、贈与されます円資金を「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資する」ということは、別段そちらのほうと矛盾はいたさないというように考えております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 確かにここに「工業の助成」とか、「本邦の経済力の増強」と、こう書いてある。ところが、MSAのほうでは、アメリカの安全保障を強化する、そういうことを大統領が認めたとき、やるわけなんです。私が聞きたいのは、「工業の助成その他経済力の増強に資するため」となつておりますが、これは兵器生産のみを指しているのかどうかということがはつきりすればいいと思うのですが、そうではなくて、一般的なものもこれでできるかどうかという点を明らかにして頂きたいと思うのです。
  18. 原純夫

    政府委員原純夫君) この「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため」といいます法案の文句の意味につきましては、その通り、それにあります通りに解釈いたしております。つまり防衛力の強化でなければならんというように狭くは解釈はいたしておりません。又、防衛力の強化という言葉にいたしましても、いろいろなニュアンスがあるわけであります。兵器産業だけに使えるというように考えるか、或いは広く重工業の能力を高めるということも防衛力の強化であるというようなことにもなります。又更にこの重工業だけでなく、要するに日本の生産一般が強まるということも考えられる、要するにその辺は狭い意味ではつきりと制限されるものではないと考えております。ただこの目的につきましては、協定によりまして、この日米相互間で合意する線に従つてということになつておりますので、向うと全然離れて使うわけには参らんと思いますが、非常に制限的には解釈いたしておりません。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ第四条の政令とも関連して来るわけですが、今あなたのおつしやることは、まだアメリカとは話合いができておらなくて、こちらのほうの態度としてはこういうふうにした。ところが、向うのほうが同意して来なければ、それに使われないのですから、どうこうするわけに行かない。ところが、日本側の解釈はこらであると、そういう御答弁なんですか。それと絡み合つて、第四条の「政令の定めるところによる」となつておりますが、政令はどういうものを用意しておいでになるか。まだこれもアメリカとの交渉が全然されていない、折衝がされていないから何もきまつておらないと言うのですか。その辺のところをお聞かせ願いたい。
  20. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は政令のことは衆議院でもいろいろお尋ねがありますが、まだ実は、大体のところは、今第一条の文言を作つておりますけれども、まだ正確な最終的なものは作つておりません。  それからこの第一条について、ちよつと今問題ございましたが、実は実際問題とすれば、最初兵器産業でないと向うの合意が得られんのではないかと思いまして……併し私どもは、この第一条に広い意味があるから、単純に兵器産業でなくて、その関連産業及びその基礎童業という意味で、実な向うへは説明しているわけであります。それで先般来そういう主義で、一応数字はこちらのほうではまとめておりますが、なかなかこれはどなたか御指摘になつたように、例えば私のほうの立場で言うと、採算のとれる事業をいたしたい、こういう考えをしているし、それから又一方には、採算を多少離れても、将来のためにこれはやつておきたいという意見等も出ておりますので、そういうことについてまだそれぞれ打合せ中でございまして、最終的な決定を見ておりません。こちらのほうで打合せましたら、先方、アメリカ側とも打合せまして、そうして同意を得たものによつてこの処置をいたしたいと、こう考えておりますので、尤も政令も一般的な広い意味でやつて置けば、これは何でもなくできるのでありますが、そんなことで、まだちよつとこの点はでき上つておりませんので、その点率直にそう申上げておきます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたもアメリカヘお行になつたし、いろいろなことで、初めのうちは経済援助、経済援助、ところがもう軍事援助でなければ駄目だ、こういうことはもうはつきりしているわけだ。ところがこの法律の名前を見ても、「経済援助」と、こうなつているものですから、非常にそこらあたりが喰い違つている。こういう幅のある第一条の書き方やいろいな点があるから、私としては、やはりその点はつきりしていることは、やはり軍事援助だと思う。そういう広い意味だと、この意味の解釈の問題もありますが、結局防衛生産に使われるものでなければ、この三十六億なら三十六意というお金は使えないものだ、こういうふうに想像しているわけです、自分としては。ところが、これが何かこうぼやぼやしたような、何かこうごまかすような答弁を政府はしておられるのは、非常に遺憾であると、こう思つて、指摘して、それに対する私は明確なお答えを実際要求しているわけです。
  22. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私はアメリカへ参つて話をしたときに、向うでの話をここで率直に申せば、こういうことを言つてつた。どうもアメリカも非常に税金が高いと納税者が育つているときに、日本の、よその国り経済援助をするのでは、なかなか同意しません、従つて軍事援助という言葉は非常に含みのある言葉に考えてもりいたい、こういうことでして、そのことを私はこちらへ帰つてからも、そのことは申しました。含みのある言葉だと、言い換えれば、或る意味の、経済援助意味も含んでいるという意味ですが、そういうこともあつたので、そういうことを申上げておきます。現在のところ三十六億円だけの問題であれば、これは同意を得るのは、やはり今お話の通り、大体主たるものは兵器産業になろうかと存じております。併しながら向うでもそういうふうに考えており、こちらでも強く考えている事柄に、これが後日過剰生産等になつて、日本産業に悪影響を及ぼすようなものになることは困ると、こういうことを言つているのでありまして、従つて兵器産業と言つても、将来日本の保安庁その他で使うようなものとか、或いはそれが設備の、拡張になり過ぎないものとか、そういつたようなものに大体向ける、こういうことに話はしてあるのでございまして、従つて私どもが、将来の分、例えば又三十年になつても、更にこういうようなこの場合が起つて来るかと思います。どういうふうになるか、これはまだ話し中でございますのでわかりませんけれども、仮りに将来も起つて来るとしますれば、そういう場合には広い意味での言葉が本当に生きて来ると思います。併し現在の二十九年度のという意味で申しますと、このうちから一千万ドル、三十六億円の分について申しますと、これは大体兵器産業と、こういうふうになると存じております。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それについて、大体この前、通産大臣のお答えによりますと、何か航空関係に対して主としてやつてあと、あなたが言われるような過剰生産、いわゆる火薬とか、或いは艦艇、武器ですね、そういうようなところの設備は大体今のところいい、だから今足らないのは大体航空機関係だ、それを見て行こうというようなことを答弁ざれたとか、或いは新聞で私知つたのかわかりませんが、大体そんなところに今あるわけですか。
  24. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) そんな話も出ておりますが、まだこれもきまつたわけではございません。のみならず、これはあなた方のほうでもお話が出ておると思いましたが、例えばジェット機を造るということに対して、そう金を出すということは、現在の日本のほかの工業がついて行かないときに、それだけを先走つても、ものにならんじやないか、そういう御意見等も出ておるので、まだ現在それを決定しているのではございません。そういう話のあるのは事実でございますけれども、それらのことがいろいろもだ各省の立場で相談をいたしておりまするので、それが最終的な決定に入つていないと申しておるゆえんなのでございます。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一点お尋ねしておきたい点は、例の防衛生産委員会とかいうものが、経団連とか、日経連関係で、できておるわけですね。あそこで、防衛生産のために投融資を九十億ぐらいですか、何やら必要とすると、こういうものをもらつただけでは足らないから、それに対して九十億か、約百億見当のものがほしい。そういうものを又政府は出すべきだというような、一つの結論を出されて、政府に対して意思表示があつたものだと思つておりますが、そういうものに対しては、今あなたの指摘されたような設備過剰というようなものを非常に心配している。或いは将来の防衛計画があるかないかといつたつて、ないわけです。そういうものに対して、そういうものと睨み合せて、私は結論が出ていない、或いは今の段階としてそういうものを蹴飛ばして行くのが正しい態度だと思つておりますが、それに対して、又それを全然お聞きになつていない、或いは働きかけがあつても、政府はそれに対して何らかの処置をされているか、その辺のところを一つ……。
  26. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 経団連のほうでは、一部ではそういう意見があるということは、書類なども私どももらいましたけれども、それは向うの業者の立場で実はものを見ておるのでございましてね。私どもそれは書類をもらいましたけれども、別にその書類に基いてどうこうというようなことは考えておりません。ただ、この三十六億だけでは多少できないものもございましようと思われまするので、従つて民間の資金が若干入ることは若干入るだろうと存じております。併しどうも、もう実は私ども金融引締めのほうから見ますると、設備資金を出してもらいたくないという考えを強く言つておりますが、従つて民間資金も若干出ましようけれども、この大きい筋には変りはないと、こう思つております。
  27. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は率直に言いますと、昨年、冷害、水害等の凶作で、食糧の問題が非常に国民の大きなる声となつて輸入にしろ、供出にしろ、この際、何としても食糧を間に合わせなければならないということで努力してもらつたわけですから、そういうことについての努力は感謝されなければなりません。又当然やるべきことでありますから、只今法案として提示されておりまするこの経済援助特別会計法案でございますが、そういう意味で、この食糧の問題を解決されるように努力されたいのですが、結果がよくないね、結果が……。一体その結果を見るというと、どうも余つておるものを向うはくれたのだね、実際は……。だから私は、これはむしろアメリカの過剰農業生産物の処置に対する援助をしたのですから、私はこの援助という意味が、アメリカの農業政策行詰り経済援助法というふうに(笑声)解釈したほうが正しいのじやないかと思つているのですが、これはまあ皮肉のようでございますが、さようにもとれる。と申すのは、大臣は多分御承知だと思うのでございますが、それより専門家は御承知の前谷さんですが、最近非常に向うで値下りをして来たのですね。而も当時の援助によるところの資金と数量の関係より以上、今日は二十四億ドルくらいに、今度はその値下りの……、額が下つてつておるわけですね、幾らか……。ですから、そういう点を見ると、アメリカを非常に助けたようなことになるのですが、併しその当初は、食糧の足りないところを、こちらへ入れることに努力されたのですから、その点、私は、その線までは援助、それから後は向うへ今度は援助した。だからこれは差引きパーだ。そこで、更にこの法案を今度出すに至つたのは、前のガリオア資金、イロア資金と、終戦処理費ととの関係ですね。あの場合に、こつちは援助されると思つても、それは借金なんだね。それが議会で問題になつたのだ。それでは終戦処理費はどうしたのだということで、結局あのときは問題になつた。こういうことを法律的に何とか具体的に規定しておかなければならないということがこの法案になつて現われたという、意図があるように思うのです。これは老婆心か何か知りませんが……。こちらを最初援助した。それから逆に過剰農産物をこちらが買つて援助した。そうすると、これは御破算なんだ。そうすると、あと、その処置は実はこつちに任してもらつてもいいと思うのですが、これを紐付けされるというのはちよつとおかしいと私は思うのですがね。これを紐付けされて、あれに使つちやいかん、これに使つちやいかんと言うことが、どうも私は解せんのですが、この点一つ割切れるようにお話願えないでしようか。又その点について大臣は、どうもそうにも考えられるが、何か努力したいとか何とか、そういう紐付きでなくて、兵器の生産、或いは基礎産業だと言つても、何が基礎産業か私はわかりませんが、そういう点についてこちらに処理を一任してもらいたいというようなことについて、大臣は何かその間お話をされたことがありますか。その点だけ一つお伺いしておきたいと思います。これは大臣、皮肉のようでございますが、実際そういうようにも解釈されるのです。
  28. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、わかる。野溝さんの言われることは私は皮肉に取つておりません。皮肉なものとして御答弁もいたしません。実はこの小麦の……、まあ小麦と大麦とありますが、大体主として小麦ですが、その買付については、昨年丁度九月の末、私が丁度アメリカにおるときに、電報を受取つて、向うと話をするようにということであつたのですが、たしかいろいろのことでこちらに帰らなきやならんから、いろいろ頼んで来たのですが、当時の事情は、これは野溝さんよく御承知のように、当時日本が食糧を買うのに、二十七年がたしか百九十六万トンか、それが更に二十八年も百九十三万トンか、買つているというような工合であります。その五、六十万トン買うことはそのうちで買うのですから、日本としては成るべく有利にこれを買いたい。有利に買うというのには、二つの方法があつて一つは値段を安く買うというのが一つ方法であり、一つはドルを使わない、外貨を使わないで買うというのが一つ方法である。この場合には値段は世界の並みの値段で買うということになつておるから、これは値段が持に安いということじやありませんけれども、併し向うで受取る金は円でよいということになつたのですから、この点、非常に有利なんです。そういう点から見て、余り野溝さんのように私は。パーというふうにちよつと考えにくいのじやないか、こう思うのです。(野溝勝君「精神的に」と述ぶ)そこで、まあそういうことで、円で買付げる。併し向うは多少とも経済的に何とかしたいということが、それにはもとの二割、一千万ドル相当額だけは差上げます。ドルで上げます。上げるが、併しそれはこういう性質のものだから、MSAで五千万ドルというものを何するのであるから、千万ドルを上げる分は、やはり成るべく日本の兵器産業その他に使つてもらいたいということを向うとしては考えておる。こちらの文句としては、今申上げた通り、協約に書いてありますから、協約の文句をそのままとつてそういうふうにしたのですが、実際問題は先ほど申上げた通り、本年度の分は、少くとも兵器産業が大体主であると思つております。まあそんな工合であつて、私どもは、この千万ドルをくれたということになれば、その使途については一応自分のほうへも相談して呉れと言うのが当り前じやないかと思う。従つて、枠をきめるのに、例えばこれを何に使うとか、これに使うとか、こういう枠をきめるときに、これを向らへ相談をする。而も枠がきまつたら、現実の問題としてどの会社にどう貸出しをするかということは、これは日本の自主的な判断でやつて行く、こういうことになつているから、まあ紐付きといえば紐付きに相違ないが、余り太い紐が付いたともいいにくい、まあこの程度のものは私は仕方がないのではないかと思つておりますが、今後は私は、先ほどから申す通りに、重複になつた日本の産業が、あとから、そういうものが、過剰生産が起きるような点は避けたいと思つておりますから、従つて一条の文言通りの方面に、この次の分から、こういうことが起つて参りますれば変えたい。こういうふうに考えておるわけであります。
  29. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は大臣のいうことは、千林君の言を借りるのじやないが、池田大蔵勇人之守と違つて、吉田側近の悪代官と思いません。私はあなたは、今回の汚職事件があつても、何を見てもありません。それについては非常に私らも、あなたは、まじめなかただと思つているが、併し大臣に太い紐じやないが、細い紐ぐらいには考えておると思う。これは希望ぐらいのことならばよくわかる。併し細い紐ということは、希望の範囲を越えているわけです。具体的になつている。ですから結局私のいうのは、ここの法案の理由の中にもあります通り、余剰農産物の見返りの円資金のうちということが具体的になつておるのですから、余剰農産物なんですから、余剰ということは余つて困ることですから、余つて困るものをこちらが処理するということは、アメリカのためにもいいことなんです。それなら私は、その間、こういう問題については、そういう細い紐にしろ、太い紐にしろ、いわくつきのないように、自由に委してくれないかということについて話をして見たことが具体的にありますかということを聞いたのです。この点についてはこのぐらいは仕方なかろうという御答弁でございますが、そういう点についてはお話したことはないのであるか、一つ聞かしてもらいたい。
  30. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは私は直接この問題に携わりませんから聞いておりませんけれども、この第一条等の、「経済力の増強云々」と持つて来るのには、そういう話も出て、特にあのうちに双方の合意するというときに、その話も出たことは聞いております。まあ併し向うとしてみれば、やつた金であるが、併しこれはMSAの関係だから、やはり防衛力の増強に使つてもらいたいという、こういう「建前を私はとつたものであろうと思う。それがああいう文言を残されたものであろうと思いますが、併しこれは今後そういう話をしたらどうかということでございますれば、これは一つ話をして見たいと思います。
  31. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣は非常にさばけた御答弁ですが、これは池田君がアメリカに行つておるときに、まるで、大手柄みたいに発表しているが、たしかに食糧輸入という点はいいのですよ。併しこのように、日本の食糧増産に農民の不満をもたらすような、更にアメリカの過剰農産物を処理したという、その大臣処理方法が私どもといたしては合点行かないのです。そこで、その当初池田君は、吉田総理の私設秘書か何か知らないけれども、あなたは堂々たる大蔵大臣としての資格を持つている、そのときに、あなたが行つておるうちに、一吉田総理の私設的な特使というようなものが、さようなことを、あなたの了解を得ないで勝手に交渉をして、そうして一体、日本の政治というものは妥当性を持つのですか。そういう点について、大蔵行政に対しての御見解を聞いておかなければなりません。
  32. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは誤解でして、私は行き違つて、丁度ハワイかどつかで行き違つて、私はこつちに帰つて来るときに、私がカナダのどこかにおるときに電話がかかつて来まして、五千万ドルほど小麦を買い付けたい、それについて話をするようにという電話があつた。それは電話があつたのは大使館からあつたのですが、私に交渉に当れということをいつて来たのです。併しところがこちらのほらにもいろいろな予定があつた。自分は真つすぐ帰るから、帰るほかないから、渡辺公使に、一つ、君、話してくれといつて頼んだ。それが九月の二十三、四日くらいの話です。池田君がいわゆる特使として出発したのは、これはずつと遅いのですから、私と行き違つたので、何もそういう話は、渡辺公使が引続きやつてつたところに、池田特使が行つて、そういう話をした、こいうことです。
  33. 野溝勝

    ○野溝勝君 まあほかにも質問があるこ思いますから、これで大臣に対する質問は終りますが、今大臣もいわれましたように、どうも今後もあることで、我が党が天下を取るまでは、なかなかどうも今後もあることだと思いますから、自由党の天下のうちは……。だから我々の思うようには行かないけれども、今大臣のいうように、とにかく援助資金というのですから、やる以上はそれに飽くまでも援助性格を持たなければならない。ところがこの説明の中にもありますように、米国の余剰農産物の見返りの円資金のうちということがはつきりこれに書いてあるのですから、それで行くと、米国の余剰の農産物というのは余つたものを処理してやつたのだから、このことに対して、議会においては社会党初め、各委以から猛烈なる意見があつて、この考へ方について強く問われた。ついては私も尤もだと思うから、アメリカ当局二つ御考慮を願うとかして、紐付きで心いという努力を一つしてもらいたい。ところが先ほどあなたは努力するといわれたのでありますから、私はこれ以上申上げません。その点は一つ即時交渉に移して頂きたいと、こう思つおります。それから前谷さんに一つお伺いしておきたいのですが、最近の外国小麦の値下がりによりまして、政府は儲けたといますか、国の儲けになるのですが、その処理はどういうふうにするつもりですか。
  34. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 二十九会計度におきまする小麦については、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたように、百九十三万トンでございますが、これに対しまして、当初この小麦によりまする国内の現行の販売価格との差が約二十六億ほど出ておる。こういうふうに想定いたしておりますが、この益は御承知のように米、小麦につきましては、まだ輸入補給金を必要といたしますので、外国食糧全体といたしましてプールいたしまして、結局におきまして、その益は米なり小麦なりの輸入補給金の削減に役立つておる、こういう形になつております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 貿易との関連でどんなふうにに託考えになつておるかという点が質したいのですが、MSAを受けることによつて中共乃至ソ連との貿易に非常に困難を来すのではないかというような見通しもあるわけなんですが、こういうものに対して大臣はどんなふうな御所見を持つておられるか。
  36. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 中共に対しましては、御承知のごとくまだ全然条約を結ばれておりませんし、まだ戦争状態に置かれたままになつておるのでありまして、従つて貿易関係を公けに進めて参るわけに行かないことは、相互の話合いの付く以外にできないし、又、日本は今自由主義国家群の一員としておりまする関係上、自主的にとは申しましても、例えばアメリカ等でいやがる品物まで出すわけには行きませんので、従つて大体よそと同じ歩調で行くということでやつておりますけれども、そう多くは望めないという状況にありますので、MSAの関係が直ちにどうこうということではなくて、やはりもつと根本的に中共関係を実は直して行かなければならないじやないか。この点についてやはりイギリスが少しアメリカと変つた考えを持つておるように私は今でも承知しておるのですが、これは香港その他を通じて多少、アメリカほど窮屈ではなく、アメリカは全然やつてませんが、やつておりますので、日本もこの頃は段々と中共に対する輸出品目等を殖やしておりますけれども、併しもう少し国交関係がはつきりいたしませんと余り大きく望めないのではないか。これは将来に課せられた大きな問題ではないかと思います。現在のところはそう多くは望めないのではないか。このことが直ちに関係があれば、やはりイギリスもよその国もみな受けておりますから、MSA関係はどこの国も同様なわけですから、今のところ中共というのは、何か中共貿易というと非常によざそうに思われるのでありますけれども、私どもは現在の段階ではそう多く望めないように実は考えておる。中共には併しできるだけ、少くともイギリスがやつておるくらいな程度までは早く今後もやるようにしたいと思つております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もも参ごたごたやりたくないわけです。そこで例えば今ソ連の船舶の修理が御承知のように造船に入つておる、或いは建造の注文もあるじやないか、そういうものもやはり今の造船界の設備の関係上非常に多くは望めないかも知れませんけれども、若干あることは造船界に非常に有利なんです。いろいろの問題があるので、中共の問題も、確かに西独の問題、或いは御指摘の対イギリスの関係がいろいろあるのですが、大臣としては、日本経済の安定上、そういう立場からこれをいうことが一つつて、多くは望めないからという考え方ではないと思う。それを外務省との協力といいますか、外務省と手をつないで、どういうふうに持つて行こうかという構想なり、これをワンステップでやつて行こうとする方途というようなものをお持ちであろうと思う。そういう構想とか、具体策というものをお持ちになつておるのではないかと思いますから、そこらあたりどんなふうになつておるかを説明しで頂きたい。
  38. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは成瀬さんの御質問でありますが、私は実は通商産業省に入つたときも、とにかくできるだけ日本の輸出品目を殖やしたいというので、私がおる数カ月の間だけでも九十七品目か品目を増加いたししました。なかなか一遍に行きませんので、数回に亘つて輸出品目を増加いたしてもらいましたが、この方針は引続き今も通商産業省に残つておるのでありまして、通商産業省はずつとそういう一貫した方針でやつておると思います。私自身は、これは根本的な解決は両方の国交が整うということを待たなければならんけれども、それまででも双方に必要な物についてはできるだけこれを進めて参りたい、こういう考えを持つております。但しそれがためによそを刺激することになつてもどうか。例えばこれは例が悪いのですが、イランの石油のような問題ですね、例えばイランの石油が安いので、是非とも日本が大規模に入れたいのですが、あれを入れることによつてイギリスという大きなものを貿易関係に悪影響が来てもいかんものだから、そこに両方の睨み合せで、了解のできる程度で今度も少し入れるようですが、入れつつあるというような実情なんでして、私自身は中共に対しても貿易をできるだげ進めたいと思つておりますが、まあやはり余り他を刺激して悪感情を起さしてもいかんから、その点徐々に進めて行くよりほかあるまい、こういうふうに考えております。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 例のバトル法の問題ですね、これは西独とかイギリスよりも日本のほうが酷になつておる、それをあなたが打合せてだんだんそれに近付けて行く、而もこれはアメリカの国内法です、だからそういう方法があることを了承して……もう一つ出血受注的な残つた四千万ドルの考え方なんですね、これはやはり今後大きな問題になるので、こういう方針で、物を買うという場合に、調達して行く場合に域外買付けのような場合にどういう方式がとられるか。
  40. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 最近においても同様であろうと思いますが、実は出血の問題でやかましいときに、私がマーフイ大使に二回ほど会いました。その問題のために私自身が会つて来ました。そのときの向うの考え方としては、決して日本に出血受註を強いる意図は毛頭ない。併しながら日本の側で一回目にその入札をする。そうすると、或る会社は、あの入札のときは自分はこうしたけれども、もつと安くやります、こういう文書をよこすというんです。会社のほうでですね。そうすると、安く入れるというものをやらんわけに行かん、こういう問題があるので、もう一度入札になる場合この問題が起つて来る。そこで出血には、むしろ日本側のほらを止めてもらわなければ困るということを言われたことが実はあるんです。日本側についても、武器等製造法、あれが通ると初めて権限を持つてできたのですが、通らん中でしたので、権限を持つてはやり得なかつたのですけれども、向うのほうの考え方は、別に出血受註をさす意図は毛頭持つていなかつた。これは日本の無用の競争からああいうことが起つて来たので、武器等製造法が通りましたから、今後は……、今はないと私は思つております。百四十四億円、今度の四千万ドル相当額の分が残つておりますが、これは主として日本国内でのものに使うものもありましようが、やはり仏印とか、或いは朝鮮その他のものもございましよう。朝鮮は主として余り見ておりませんが、そのほか各国に対するものがあると思います。そういう兵器、武器を製造する、而もそれを輸出するというふうに向うが考えておりまして、この域外買付の一つで買うということを申しておりますから、その場合にも、今お話したように出血受註になつては何にもなりませんから、この点は今、武器製造法で通産省でも十分配意してくれたと思いますが、なお私からも一遍よくお話する機会もありますから、申しておざます。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 前谷長官にお尋ねしますが、米食率の問題が若干出て来ているわけですね。今後ずつと協定がどのくらい続くか知れませんが、一千万ドルづつ絶えず小麦が入つて来るということになるわけですが、大きくあなたのほうが、今、食管としてどんなふうにやつて行こうというような……、これが出て来たわけですから、私はやはり根本的に立て直されるような段階に来ているのじやないかと思いますので、どんなふうにお考えになつているのか、承りたいと思います。
  42. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 二十九米穀年度につきましては、本予算に計上いたしておりまするように、米の現行配給量を維持して参りたいと思います。それから、それに伴います必要量を米麦共に輸入いたしているわけでございますが、二十九年産米、つまり三十米穀年度につきましては、この食糧管理制度の点につきまして改善を要する点は改善いたしたい、こういう考え方を以ちまして、只今いろいろ検討をいたしているわけでございまして、これは三十米穀年度におきまする米食率の問題は、まあ二十九年産米の作柄の問題もありまするし、それから又、その後における消費の実態、だんだん麦の消費が増大をいたしておりますが、まあそういう消費の実態等も合ぜまして、いろいろ米麦を合せました露給計画を立てて参りたいというふうに考えている次第でございまして、三十年度におきまする食糧管理の改善についてはまだ結論を得ておらない状態でございます。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いつ麦類の二重税制を外すというような考え方はあるわけですか。
  44. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 現在の主食の状態は、御承知のように、今、米で半月、麦で半月、こういうふうな形で進めて参つておりますので、現在麦はいわゆる間接統制の方式をとつております。この間接統制の方式は、やはり生産者に対する一種の価格の安定、又消費者に対する価格の安定、この両面を考えて参らなければならない点と考えておりますので、我々といたしましては、この麦の現行の方式を変えるという意思はございません。
  45. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この小麦の輸入ですね、最初外貨で百九十六万二千トンの輸入をするというような際に、国際小麦協定で百万トン、アルゼンチンから三十万トン、カナダから残りというようなことになつてつたように聞いているのでありますが、今度の五千万ドルのMSAの関係で小麦を輸入されるということになつたならば、この関係では幾らか違うのじやございませんか。
  46. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、只今の藤野さんのお話のように、百九十六万トンのうち、MSAで百万トン、アルゼンチンで三十万トン、残りの六十六万トンがアメリカ、カナダからの自由買付の予定でおつたのでありまして、この自由買付の分を、MSAの五十万トン、その分に振替える、かように考えております。
  47. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、国際小麦協定で買うのは百万トン、その他の六十六万三千トンのうち、五十万トンが今度のMSAで買うということになるのでございますか。
  48. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) さようでございます。
  49. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、国際小麦協定で買うとするならば、国際小麦協定は、大体輸出する国は、オーストラリアであるとか、カナダであるとか、フランスであるとかというようなものがありますが、そういうふうな関係はどういうふうになりますか。
  50. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 国際小麦協定におきます輸出国は、御指摘のようにアメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス、まあこういう形になつているわけでございます。フランスの場合におきましては、これは欧州でございまするので、全然従来ともに我が国がこれから買付をいたしておることはないわけでございます。問題はオーストラリアから買えるかどうかということでございまするが、従来オーストラリアにつきましては、イギリスとの関係もございまして、小麦の状態が窮屈な時代、又現在におきましてもこれら買うという考え方もございませんし、又非常に買うこと自体も困難であると思います。ただ大麦につきましては従来からオーストラリアから買付をいたしております。
  51. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、国際小麦協定で買う値段と、MSAで買う値段と、アルゼンチンから買うところの値段の差がありますか。
  52. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) MSAの場合におきましては、アメリカでございますが、アメリカの場合におきましては国際小麦協定と同様な価格で買付をなし得るわけでございます。アルゼンチンにつきましては、これはアルゼンチンのその国の貿易操作の面、レートの操作の面といたしまして、一般国際市価よりも幾分高目になつておりまするが、最近だんだん国際市価にサヤ寄せしつつあるように考えております。それでアメリカとカナダとの関係におきましては、最近の状態におきましては幾分カナダが高くなつているようでございますが、従来はカナダがアメリカよりも安かつた、アメリカはカナダの輸出価格を見合いまして輸出価格をきめております。現在におきましては殆んど大体同等と、こういうふうに考えている次第でございます。
  53. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 このMSAの問題、いろいろなことで小麦が入つて来るということで、安いものが入つて来るということは誠に喜ばしいことであるが、そのために日本の農業が圧迫されるというようなことはないでしようか。大蔵大臣どうお考えですか。
  54. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はさようには実は考えておりませんが、ただ若し日本が必要とする以上の数量を入れるようなことが起りますれば、これはいろいろつまりそういつた多少政策的なものが若し織込まれますると、そうでございますが、極く少量の所要量を入れまする限りはさような心配はございません。ただこういうことはございましよう。今度国際的に安くなつて来るときに、その国際的な安さから若干やはり日本の麦を作られる方々も影響を受けるということは、これは免れ難いんじやないかと思います。
  55. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、最近の麦の値段の政府が決定しようというところは、昨年のパリテイは一一三、本年五月の推定指数は一二〇と、こうなつて来るでしよう。そうすると、一一三が一二〇になれば、当然。パリテイから行けば値段が上つて来なくちやならない。然るに新聞紙や何かの報ずるところによれば、どうも指数が上つただけ上らないというようなことになつて来そうな話であつたが、これはこういうふうな小麦が入つて来て日本の農業を圧迫するというようなことになりはしないですか。
  56. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この値段の問題は、実は農林省とも打合せ中でございまして、最終の結論に入つておりません。ただ藤野さん御承知の、法律そのものから見ますと、下ることを得ないと書いてありまするから、法律の解釈で見ればそうである。併し何か又特殊の解釈をするような人もあるし、しますけれども、この点は十分一つ農林省とも打合せをいたしまして、これは農民各位の御納得ということも極めて必要でございまするから、やつてみたいと思つております。
  57. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 日本には、日本の食糧として小麦を絶対的に増産しなくちやならないというようなことで、外国の小麦を当てにするわけに行かないということからいたしまして、政府は小麦増産の根本方針を決定した。そうして麦の増産のためには、各府県に小麦担当官を置いたり、農業倉庫のうちで、普通の農業倉庫だつたらば米のみの倉庫であつたから、畑地の農業倉庫はできないから、畑地の農業倉庫を奨励するために小麦倉庫というようなものを作らせて日本全国にやつた。そういうようなことで、過去においては、小麦には小麦担当の奨励官を置き、小麦を保管するところの倉庫を作り、そうして絶対的に小麦というものは奨励しなくちやできないんだというようなことでやつた結果、日本の小麦というものは非常な勢いで増産になつて来た。今度外国から安い小麦が入つて来ることになれば、日本の小麦を圧迫するというようなことになつて来やしないか。将来におけるところの日本の小麦増産に対する奨励方針はどういうふうにお考えになつておるか。
  58. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これはよく農林省のほうともお打合せ申上げてきめなければならん問題でありますが、ただ私は思うのに、一時非常に世界的に安くなつて来たときに、それのみで日本の政策を変えて行くということは、これは非常に危険であつて、これは今、藤野さんお話のように、日本が米のみで行けない、どうしても小麦その他を必要とする国柄に置かれておるのでありますから、そこに或る程度のつまり恒久的な対策が必要であることは申すまでもありません。従つて一時的にまあ世界の小麦がずつとこれは何年もく安くて世界的な水準が下つておれば、これは継続的にそうなつて行けば別でありますけれども、ただそこでちよつと安くなつたからといつて、直ちにその影響を受けるようなことになりましたならば、これは日本の置かれておる食糧事情から見て非常な危険なことでありますので、このことはじつくり考えたいと私は思つております。
  59. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 とにかく日本では畑地が多いんだから、畑地のためにはどうしたつて麦作をやらなくちやできない、こういうふうなことからいえば、この小麦が入つて来たからというようなことで麦作の奨励を疎んずるようなことであつては、私は日本の食糧問題を根本的に破壊するようなことになりはしないか、こういう心配をしますから、そういうふうなことのないように、一つ十分の注意をして、こういうふうな食糧の輸入については御検討を願いたいと思います。
  60. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 承知しました。
  61. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私、大体経済援助内容については予算のとき質問しまして、御答弁が不十分でしたが、もう重ねてしようとは思いませんが、特別会計を設置なさる以上は、一体何年くらいこれが続くおつもりでいられるのですか。
  62. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 何年というふうに実は目安を持つたわけでけございませんけれども、少くともここ数カ年間は続いて参るということは間違いないことと存じておるのであります。
  63. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると、大蔵大臣にお伺いいたしますが、この特別会計が数年続くということは、MSAに上る援助が数年間続くというお見込みに立たなくちや言えないことだと思うんですが、その点は内閣は責任を持つて言えるのでしようか。
  64. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 責任を持つてと仰ぜになると、或いは私の立場でそういうことを申上げることは差控えたほうがいいかと思いますが、併し私どもは、少くとも明年も、金額その他についてはこれは別でありますが、同じようなことは行けると私ども考えておるのであります。ただ併し金額その他がどういうふうになりますかこれはわかりませんが、いずれにしましても、仮に三十六億円だけを見ましても、この分は主として商業的採算の下に開発銀行をして貸出させるのが主でありまするから、やはりその点についてはこれだけでも残つて行かなければならんものでありまするし、又、設備資金でありまするが回収はそう急いでも回収できるものでもございませんので、ただ私は同じようなMSAの援助が何年間続くかということが堀木さんのお尋ねの点だろうと思いますが、これはちよつと私がお答えすることは今のところどうかと、こう「思われます。ただ私の心持をいえば、なお数年続くような気がいたします。
  65. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも大蔵大臣、この頃の大臣の御説明は、どこまで信頼していいのかわからなくなつて来る、政治のよりどころがなくなつて来るのですが、ともかくもこれは条約に基いてできたものであるから、これはもろ当然設置する義務を条約で負つているのです。では大蔵大臣としては一年間がいいか、二年間がいいか、ともかく特別会計設置は大蔵省としては好ましくないのでしよう。そうして又収支の関係整理することは、特別会計を設置しなくてもできる方法は技術的にはあります。御存じがなければ教えて差上げても一向差支えない。ともかくも特別会計を設置することが条約によつて義務付けられているときに、大蔵大臣としては、特別会計を設置する理由、即ち、それが或る程度の恒常性を持つたものでなければ特別会計を御設置なさるはずはない、こう私は思うんですが、従つて、その点については大蔵大臣として向うと御交渉なり御相談があつて然るべきものである、こう思うのですが、如何でございましようか。
  66. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) あつて然るべきものと仰せになりますが、それはその通りに私は思いますが、併し私は実は交渉はいたしておりません。交渉いたしておりませんが、併しまあ外務大臣が交渉に当つておるので、私どもはこの協約に基いてこういう特別会計を作ることが必要であるというところから作つたのでありますが、勿論、私は、先ほども申した通り、私の心持としてはなお続くものというふうに思い、又その了解の下にやつておるのでありますが、あなたは、まあ堀木さん別に僕をいじめるつもりではないんですが、責任を持つて何年間続くか答弁しろとおつしやると、これは私の立場からは避けたほうがいい、その辺は御返事があいまいになつたようで申訳ありませんが、これは外務大臣からでも一つ、事、外交に関することですから、或いは副総理でも内閣を代表してお話をして、そういうことでなければ、私は出過ぎてもいけないと思いますから……。
  67. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 これはそうおつしやると今日上らなくなつて来るんですが、それで、外務大臣が交渉しておるときに大蔵大臣知らん顔をして見ているわけがないはずなんだし、外務大臣が又こんな特別会計を作るか作らないかについて、この頃外務大臣は余ほど常識がないからわかりませんけれども、少し会計のことがわかつておれば、特別会計を作る以上は、或る程度の、その点は素人の外務大臣といえども、財政に暗い外務大臣といえども、私は当然念を押すべきものだと思うんです。そういう点が、特別会計を設置するが、まあそれは何も数年続くか続かんかということはお取消になれば一向差支えございませんが、少くとも一年や二年限りという意味でないというお見込でなければ交渉に入るわけはないと、こう思うんですよ。それは予算のときに実はお聞きしようかと思つたんだが、時間切れで聞けなかつたし、又実体的なものが非常に不十分だつたんです。そこまで行かなかつたんですが……。
  68. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の堀木さんの仰せの趣旨はよくわかりますが、理屈だけちよつと言わして頂けば、この特別会計は一年だけでも作ればこれは作れるんです。それで最初からお断わりしておるように、理屈だげ言わして頂けばそういうことですが、併しながら私は理屈だけ申上げる意味ではないので、そこで私どもも今申上げておるように、数年続くという考えの下に、こういう特定の歳入があるものと考えておりますけれども、併しながら、責任を持つて何年続くかと、こう仰せになりますと、どうも私の立場で御返事をすることはどうかと思つたから、それで私は、更に」外務大臣がおりましようから、話をし合つて、来年の見込は一応私どもほぼついておるけれども、再来年の見込ということになると、まだ全然話合つたことはございません。それ、だから私は少し理屈を言わして頂けばという一言を付けておいたわけです。
  69. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もらうものならもらつてしまえという気の軽い話は別にしまして、それから特別会計設置についての法律的な形式論なら、これは私、承わらなくても知つておる。併し、と同時に、大蔵省として、そう特別会計を勝手に作つて行くことが財政処理の上にいい方式でないことは財政法上確かです。三十年度は確かにあるということが言える。それでは爾後期待が持てるんだ、こういうことは言える、こういうことなんでしようね。
  70. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これはMSAというものができてからのよその国に対する実例等から見まして、爾後も期待ができるように存じますけども、併し正確な答弁はやはりちよつとこれは外務大臣にしてもらつたほうが誤まりがないと存じます。
  71. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今おつしやる御説明といよいよ疑いになるんですが、アメリカ政府は、軍事援助、経済援助、殊に経済援助です。アイゼンハワー政府としては、外国援助は成るべくやめて行きたい、軍事援助すら減らして行きたい、こういうのが全体の趨勢だと思うんです。だから私は意地悪く責めておるんじやないんです。アメリカ政府の基本的方金がそこに嵐そのに、例外的にこういうものが起つて来た。金額は極く僅かで、予期したものと比べれば問題にならないと思いますが、そういう問題から見ますと、どうも今の共和党の政府の方針としてそういうことが期待できるかという大きな考え方からお聞きしておるんで、単純に大蔵大臣の御答弁を困らせるつもりはない。そういうほうが、今おつしやつたように諸外国に対するMSAの援助から見て相当続くだろうとおつしやることは、今まで出していたMSAのアメリカの政府の方針というものはよほど消極的にだんだんなつて来てるということは明らかなんです。だからその点からお聞きしておるわけなんです。
  72. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それはだんだんと消極的になつて行くという堀木さんのお話は、私もよくそういうふうに了承しております。と言いますのは、これは私どもがいろいろ話をしましたときも、向うのほうとしては、これはアメリカ側は、今日のごとき高い租税をとつておるときに、どうしてもこの税を少しでも安くするためには先ず以て歳出を減じなければならんが、歳出を減ずるときに国内的な費用とい書の挾ろくな関係があつてなかなか減じにくい、どうしても対外援助というものに向いやすいということを、これはドツジ氏と話したときにドツジ氏も言つておりました。どうしても対外援助というものに向いやすい。従つてどこの国でも議会政治だとそうだが、国内のものはなかなか削りにくい、だから対外援助は漸次少くなつて行くものという考えは持つてもらいたいということを言つておりましたが、少くなるということは、なくなるという意味じやございませんので、漸次私は少くなるとは思いますけれども、ですから先ほど堀木さんのお尋ねに、金額のことは申されません、併しながらまだ続くものと私は思つておると申したのはそういう意味で、実は金額のことは来年はどうだとおつしやると又困ると思つたから言つたのでございますが、続くことは続くと私は思つております。
  73. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  74. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。
  75. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一つ伺いたいのですが、対日援助の例の見返資金特別会計の問題ですがね。それについて最近正式に御交渉を開始なさる意向でございますか、その点ははつきりしておきたい。
  76. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) このいわゆるイロアとかガリオアというあの分につきましての交渉は、明十一日から正式に向にと交渉することになつておりますが、正式と申しましても、実はまあ事務的に話合うことが最初であります。これは御質問ないかも知れませんが、ちよつと申上げておきまする、実は金額はなかなか一致いたしません。それで、そのことについては相当今調べてもおりますけれども、今後とも或る程度金額に対する双方の一致点を見出すことが相当骨が折れるだろう思います。と言いますのは、見返資金特別会計に入つてからはつきりしておるのです、日本のほうは……。それ以前の分につきましては、通商産業省のところに残がありますけれども、帳面は向うが一方的につけておつたんです。従つて十分にわかりかねる点があります。それから、まあ、いつぞや衆議院のほうで河野議員が四千数百万円の問題を出しましたが、ああいつたような問題等もありますし、それから全部これは払うべきものかどうかという、一応計上されても、これは何と言いますか、払うべきうちへ入れるものかどうかという問題については、相当詮索を要するものがあると思います。そんなこと等で、私は相当日にちがかかるのじやないかと思つております、この問題は……。
  77. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それで無論、外交交渉によることですから、今秘密に亘ることをお聞きしようとは思つていないんだが、一応その点で、例えばガリオアについては向うが譲歩し得るのかどうか、或いはドイツのように、三分の一とか、考える方向で行くのか、いろいろ行き方はあるだろうと思うんです。まあ今困るとおつしやれば答弁は要りませんが、これは外交交渉は当然外務大臣がやるんだ。やるんですが、大蔵大臣としては重大なる責任を持つておるわけなんだから、そういう点について大蔵大臣はどういうような方法で物を解決して行こうと思つていられるのか、差支えがない程度に言つてもらつたらと思います。
  78. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これはまだどうも、私どももこれから交渉に入る、明十一日から交渉に入るというだけでして、物をまだ関係各省が集つてきめてはおりません。従つてはつきり申上げることは時期的にどうかと思いますが、まあ私の一応の考え方、だけを申上げますれば、先ずどうしても向うの基礎になるのは、西ドイツに対する分が基礎になるんじやないかと思われます。ところが西ドイツに対する分でも、相当金額を、一応出た数字のうちから、こういうものは控除すべきものだとして控除している分があります。ちよつと例を挙げますと、例えば日本で言えば、子供に給食しました。あのときはギフトだとはつきり言つておるんです。そうして、そういうものが一応出ておりますが、そういうふうな控除は大分あると思います。そういうようなものを控除する等で或る程度の金額は出ましよう、いろいろなものをやつて……、出て来集した場合に、やはり日本は西ドイツで受けましたものと内容その他においても少し違うんですね。従つてこれらの点を十分よく了解に努めてもらうように私どもも資料を整えようと思つておりますが、そういうことによりまして、できるだけ日本の今日置かれておる立場から言えば少い金額にしてもらいたい、かように実は考えておる。又アメリカ側も無理に日本からどうこうしようという考えは毛頭持つていないようでございまするから、できますだけ、説明のつく程度で、西ドイツよりも、まあむしろ緩やかに見てもらうのが私は当然じやないかというふうに考えておる。そういう点から実は私ども今資料を整えるつもりでおります。そんなこと以上には、ちよつと今のところ申上げる段階には行つておりません。
  79. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 余り時間をとらせては悪いから、私、御注文をいたしておきますが、外交交渉だからと言つて、吉田内閣はぎりぎり結着のところまで行つちやつてから議会に話をするのが通例ですが、そこで対日援助の問題をどう処理するかということは国民的関心事だと思うのです。で、交渉の途中においても適当な段階において一応御報告なざるように、大蔵大臣としては特に御注意願いたいと、こういうことを特にお願いしておきます。御了承願えますか。
  80. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 承知いたしました。外務省等と相談の上、差支えないところは、これは皆さんの御船得を得なければやれる問題でございませんので、できるだけさよういたしたいと存じております。
  81. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 このMSA援助は、何こ言つても私はもうはつきりとアメリカの陣営について、一応これはどう弁解しようとも、やはりソヴィエト、中共等の共産陣営を相手方に見ているということだけは言えると思う。それはまだ敵国とまで表現するにはどうかと思うが、そう見ておる援助の受入れだと思います。従いまして、見方によつてはこれは日独伊防共協定を結んだ、あのときにまあ国論も相当沸騰したわけでありますが、あれと大体同じような状態にならんかもわからん、なるかも知れんという危険を含んでいると思います。そういう角度から、一つこの特別会計を設置するに当つても、そういう背景があるということの前提に立つてお尋ねしたいと思うんでずが、そこでMSA援助MSA援助と言つて鳴物入りで盛ん政府のほうでもいろいろと宣伝もされ、又我々も論議をやつて来たんですが、このMSA援助を受けて日本にどういういい影響をもたらすものであるか、こういう点と、それから悪い影響もあるだろうと思う。いいことばかりじやないと思う、何でも。従つて悪い影響、これを経済的な面から、特に大蔵大臣が財政経済の担当大臣として経済的な面から見て、いい影響はこういういい影響をもたらすんだ、三年先にはこうなるとか、或いは二年先にはこうなるんだというような一応の見通しもあるだろう。併し又悪い面はこういう影響を及ぼして来るんだ、これだけは国民も覚悟しておいてもらわなければならん、こういう点を一つ説明を願いたい。
  82. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) このMSA全体についてどういう援助が日本に来るかという問題が、これがその点において非常に岐れ目になると思います。例えば今後の五千万ドルというような分については、これは食糧で来るのでありまして、これははつきりしております。つまり日本がどうしても百九十数万トンの小麦を入れなきやならんときに、とにかく国際市価でドルで買える。向うがドルでやつてくれて、そして日本の円で買える。日本の立場から円で買えるというような、ですからこの点は利益になることはよくわかりますし、又そのうちの一千万ドルについては向うがグランドでこちらへくれるのでありまして、それが日本の広い意味から言えば経済界の、当初は兵器中心でありまするけれども、広い意味から言えば日本の工業力なり経済力なりの助けになると、こういうふうに考えられまするし、残りの四千万ドル、御承知の百四十四億円は日本銀行の中のアメリカの特別勘定において、日本で物を買つたり使つたりするものだと、こう言つておるのでありますから、これ又日本の経済の助けになることは、これは争えないと思います。  但しMSAはそれだけにとどまらんことは、これは菊川さん御承知の通りでありまして、例えばそれが来るときに完成兵器その他のもので入つて来ると、それらの影響は、それは買わなきやならん、どうせ日本が作らなければならんものだから、作らんだけ得ではないか。果してそういう見方のみがし得るかどうか、私はそんなに簡単な見方をしないつもりでありますが、こういう中身によつては大変違つて来るのじやないかと思われますが、併し日本といたしましてはいずれにしても今の、これは少し菊川さん、立場が違うので困るのだけれども、私どものほうは防衛力を増加して行かなきやならんという建前をとつておる。そのときに少くとも日本の兵器産業なんというものがそれで強化されることになる。或いは又半製品で来るにいたしましても、それが日本で買わないで済むというような工合になれば、それだけいわば国費を減ずることにもなるというよろな点もありまして、この点は私は経済的に有利だと思いますが、併しどんなものでも有利だけという一面はございませんので、その半面これに対する義務というものもございますからね。こういう点から見てどれは大所高所から見たときにどうであろうか。経済なり財政なりの面から見れば、これはたしか有利な点は争いがたいと思いますけれども、但しやり方が下手で、例えばそれが二重投資になつたり、或いは将来の生産過剰を生むことになつて、それが日本経済を或る程度傷付けるようなことにでもなれば、これはいけませんから、十分な注意もいたしますけれども、さもなければこれは経済的には私は有利だと見ております。ただMSA全体が多少の義務の付いておることは御承知の通りでありまするので、この点から見ましての意見になると、これは私はMSAに参加することを是なりと確信いたしておりますけれども、いろいろ御意見もあろうかと実は思つておるのであります。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は大蔵大臣の言われました経済的にはいい影響をもたらす、これはどういうふうに言えということになると、具体的には今御説明がございませんけども、なかなか具体的には言えないと思うのだが、そこで一体アメリカという国が、どこの国でもだと思いまするけれども、慈善事業として援助をしてくれる、慈善的に援助をしてくれるという場合には、これは殆んどもらい得だと思います。洪水或いは天災その他のときに慈善事業団体或いは国の本当の救済の意味援助をするやつは、これはもらい得だということも言えるのだが、あなたの言われる、後には義務が付いている。これは援助には必ず義務が付いているということをお認めになる以上、特に向うのほうでは相当大きな義務を、私はこれは条約上とか法文の上には現われておらないけれども、相当この義務というものを期待しているんだと思うのだ。そうでない限りアメリカという国が国の予算でこれだけの援助を与えるのに全然そろばんを弾かずに援助をしつこはないと思うのですよ。そこをやつぱり見抜いてかからんことには……。僕らは青年時代に、丁度今の国会の長老連中から教えられたのは、キリスト教の宣教師自体さえ警戒しなきやいかんといつて教えられて来た。そういう教育を受げて来た。アメリカの宣教師、イギリスの宣教師なんというものは警戒しなきやならん、教会へも行つちやいかんという教育を長老連中から受けて来た。そういう長老連中が国会へ復帰されて、アメリカの援助は結構なものだと言つていられるものですから、どうも我々はとにかく一遍裏を返して見なきやならん、こういうふうに考えるからお尋ねするのでありますが、例えば軍需品を完成兵器でもらいましても、軍需品ほど消耗それから進歩の甚だしいものは私はないと思います。武器はそれから又或る程度蓄積をしておかなきやならん。一旦一渡りだけ小銃をもらつたつてこれはこしらえとかなきやならん。いよいよ防衛力を増強しなきやならん、こう言われる前提に立つておるのだが、防衛力が必要なときになつてからアメリカから送つてもらつて、太平洋を渡つて鉄砲の弾を補給してもらつたつて間に合いません。或る程度の、三月分なり四月分なりは若しもの場合には耐えられるように、一月でもいいが、蓄積しなきやならんと思うのですね、そういう蓄積分までも来るものか。蓄積が来ないということになれば、日本の、今度はMSA援助で以て或る程度の耐える軍需産業というものを実はこれから起して行かなきやならんと、こう思うのですがね。そういうことをこれには含んでおるから、そういうことも考えてあなたがた三十六億を一つこれから投資されよう、こういうふうに考えておるのですか。
  84. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 菊川さん、三十六億だけの問題ならこれは小さな問題で、実際言つたらそう貯えておくほどのことでもないし、恐らくはこれだけの問題であれば、あなたも御心配になるほどの問題もなく、私も大いに経済の助けになりますと自慢するほどの問題でもないように思う。勿論経済の助げになります。三十六億を無視する意思は毛頭ございません。のみならず更に百四十四億という別のものが日本で使い、又日本で物を買つて行くというのでありますから、大きな効果があることは疑いありません。疑いありませんが、併し日本が或る程度の武器を持たなければならんときに向うがくれる。くれる物が絶えず日進月歩で変つて行く。変つて行くとすれば、もらつても今のところそれだけじやすぐに役に立たん。くれる間はもらつて行くわけです。これがいつまで続くか、その点もよくわかりませんが、併しその完成兵器というものが、例えば日本でそれができ得るような、或る程度例えば修理でも、飛行機のようなむのでありますればできますのは当分け修理でしようが、今の日本の産業状態から見ますれば、今各種の工業がそこまで進んでおりません。ああいう一つの総合工になるとなかなかなかあらゆる産業がそこまで進んでなければそう行きせんから、そうなるとなかなかこれはもう少し内容が具体的になつて来ませんとはつきりいたしません。  五千万ドルだけの問題については一応これは私どもの意見も申述べますが、あとの問題はどういうようなものがどう来るか、これが保安庁としてはどういうふうに役立つて行くかというような問題等も非常にからんで来ますので、もう少し内容がわかつてからこれは御答弁さして頂きたいと思います。これはこの問題は五千万ドル、特に一千万ドル以外の問題は直接この特別会計にも関係がございませんので、又何かのときに、どうせ国会があるのですから、いろいろ私どもでなくて、保安庁その他からもお聞き願うことがいいのじやないかと思いますね。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あなたは直接関係はないとおつしやるがね、これは一つこしらえてしまいますと、これに応じてだんだんと殖えて行くのですよ、軍需産業というものは。だから三十六億を一つの誘い水として見ると、これだけでは足らん。だからもう少し拡大しよう。これはどこの軍隊でもよそから借り物の武器を以て本当にしつかりやれる……、歴史的に考えても、大体武器をもらつていて勇敢な戦いができたという歴史はない。それで勝つたという歴史があつたら教えてもらいたい。援助してもらつてそれで以て大勝利を得たなんていうことは先ず先ずないと思う。だからこういうものを誘い水としてこしらえて行くと、やがてはこういう特別会計を設けて貸して行くと、又、こういうふうにしなければならん、こういうふうに工場を作らなければならん、これは融資その他でやつて行かなければならんという要求がだんだんと次々と殖えて行くと、こう思うのです。特別会計を設置するに当つて十分これらの見通しもあなたはお持ちになつて、これだけやつたらそのうちに何とかなるだろうというのでは心細いと思う。これは誘い水にするか、これ以上やるという見通しを立てなければならない。産業というものはそういう簡単なものではない。戦前、戦争中我々は十分その目で見て来て体験して来たところだと思うので、これを特別会計を設置するに当つてそれくらいの、ここ一両年くらいの見通しが立たんのか、これを大蔵大臣にお伺いするのは当然だと思う。
  86. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 従つて私が今申上げたのは、この三十六億円とあとの百四十四億円についてのお話を申上げたのでございますが、併し私はこれはこの特別会計は実は条約の上で、ああいうふうに承認を得た条約の上でこういう特別会計を作るということを約束されておるのでありますから特別会計を作るのですが、この特別会計を作るに当つて将来のずつと先々までどういうふうな見込かというお尋ねがありますれば、同じことは三十年度も起ると思います。金額のことはわかりません、わかりませんが起ると思います。そのくらいのところまでは大した問題ではないが、だんだんとあなたがおつしやるように多くなつて行くときには、これは国会において特別会計にいきなり関与する……、何もこれで又幾らでも調べる工夫もつくのですから、御審議を願うときにやればいいので、私ども日本のような国が最初からこの国防についても防衛についても、そういう話が出ておるのですから、日本の経済の力に余るということはしないということを吉田総理もたびたび申しており、又私どもはたびたびアメリカに対しても私直接にもいたしておるのでありまして、従つて日本の経済力を超した防衛の生産等も起るはずもなし、又自衛力の整備も行われるはずもないと実は私は考えておる。従つて大きくなつたときにどうかということは、もう少し先へ行つてからお互いが十分審議したらいいのじやないか、こう思うのです。
  87. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 併し、これはまあ議論になるからこれでおきますけれども、先へ行つたらというそういう見通しのないことでずるくに……、満州事変だつて初め始まつたときには大東亜戦争になろうとは誰も思つていなかつた。満州くらいで勝つつもりだつたが、支那事変になり大東亜戦争になつてしまつたのだから、出発点が大事だと思う。どの辺くらいなところで限度を守るというような点がなければならんと思う。ただ今の自衛力にいたしましても、まあ憲法との関係もございますけれども、自衛力増強だ自衛力増強だと言つておりながら、だんだん殖えて行つて既成事実ができて行く。そうすると軍というものが強くなつて行くと、予算も殖えるし、そうすると大蔵大臣として、これは戦前、戦争中大蔵省の今の若い局長連中は丁度その辺は事務官連中だつたと思うのでありますが、その大蔵省の予算折衝の一番難点がやつぱり軍との折衝だつたと私は思う。これをどう調整して行くかということで一番悩んで来たと思う。みんなそれぞれ努力をされて来たと思いますが、これは殖えて来ると必ず民政との間の調整というものが一番大きな問題になつて来ると思う。大蔵大臣がそのくらいの見通しくらいはお持ちになるのが当然だと思いますが、言えないというのならばこのくらいにいたしまして、次の問題に入ります。  これは「経済援助」と書いてあるのですがね。経済援助という言葉は、本協定の中にはちつとも使つておらないのですがね。日本だけが経済援助だ経済援助だと言つても、これはごまかしだと思うのですが、経済措置だとか、農産物の購入に関する協定だとか、経済援助に関する協定という言葉は使つていないのですが、これは経済援助資金特別会計というふうにせられた理由一つわかりやすく御説明願いたいのですがね。
  88. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) なお先ほどの菊川さんのお話ですがね。実は保安庁の長官も、何年計画、それじやどれだげの、まあ陸上部隊をどれだけにするとか、海上部隊をどれだけにするとか、飛行機をどういうふうにするかということまで計画は立たんと言つておりまして、実ははつきりしたことは今持ち合わしておりませんので、従つて私の答弁もあの程度で御了承願つたのであります。  それから今の問題ですがね、今の問題は実はお話の通りに協定のほうには「経済的措置に関する」とありますが、初めの目頭のころに、冒頭と言つても二、三行行つたところに、前文のところに、「アメリカ合衆国政府が、日本国の工業生産及び潜在的経済力の発展を援助する目的で、」と、こういう言葉があつたものですから、この言葉をこれは大体取入れまして、実はこの言葉を経済援助資金特別会計と、こういうふうにいたした次第でございます、第一条は……。
  89. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わかりました。然らばこれは如何なる用途に充てるかという点が、これは連合審査の際にもちよつとお尋ねいたしましたけれども、これはもう三十六億をどういうふうにどこの会社へ何をこしらえさせるためにまあ融資なり投資なりをされるということになると思うのでありますが、大体わかつている点だけは御説明頂きたい。これもわからん、これから研究するというのでありましたならば、これは……。
  90. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実はこの協定に基いてこの特別会計を作る必要から、特別会計を設置することにして御審議を願つておるのでございますか、あれに書いてありまする通り、実は三十六億円は主として開発銀行を経て融資をする、貸出をするという考え方であります。それで勿論そのほか使用ということもございますし、融資するばかりでなく使用することもございまするので、何か使用する場合もありますが、これは極めて少額にとどめたい。例えば試験的なことに使用する場甘も起つて来るかと思いますが、これは極めて少額にとどめたいと考えておるのであります。主として開発銀行を経ての融資をしたい。開発銀行はと申しますと、大体自主的に判断をいたしまして、それで一定の枠内のものの産業に個々の貸出をいたす。枠内のものというその枠はどうしてきめるかと申しますれば、これにきめてありまするように、日本の国内で打合せましたものを更にアメリカ側と相談いたしまして、アメリカと双方の合意に基いた枠の中で貸出をする。枠だけは双方で協定いたしますが、具体的にどの会社へどう融資するかと、こういうことにつきましては何も向うの同意を得る必要はございません。それで枠は、例えばそれじや火薬に幾ら使おう、或いは大砲とか小銃とかいろいろ作る、弾丸なら弾丸、たまのほろへ幾ら使おう、或いは兵器そのもののほうへ幾ら使おうというふうにいろいろ分れて来るかと思いますが、これについては実はまだきめておりません。それで今打合せをいたしておりますが、大体その枠を関係各省のほうで打合せをしておるわけでございまして、一応私どもの根本の考え方としては兵器産業及びその関連する産業並びにその基礎産業、こう三つを主として取上げておるのでありますが、この点についてはまだ各省間で意見が実はまとまつておりません。従つてまだ先方へも、アメリカ側へも相談する段階に至つておりません。  なお念のために申上げますと、金もまだ、実は全然予定しておるだけでございまして、まだ小麦そのものが入つて来ておりませんので、今後入つて来ます場合についてできるだけ早く相談いたしたいと思つておるのでありますが、実はまだそういうようなわけで結論に至つておりませんので、それ以上申上げる段階に至つておりません。それで大体から申しましてまあ私どもが商業的採算に基いた融資をする。そしてその融資に基いて二重投資になつたり設備の過剰に陥らざるよう努めて、やはり言い換えまずると、将来は保安庁その他でそういうものが要るというようなものを大体めどに持つて行こうというふうに、或いは外国等へ多少輸出品として出て行く、併しそれもいわゆる域外買付として出て行く、それは百四十四億円、今度のいわゆるMSA関係意味貸付でも百四十四億円でございますから、そのほかにもございまするので、そういつたものを目安におきますけれども、併し輸出産業的な考え方をいたしますると、非常に或るときには需要が多くございましようが、或るときには過剰生産に陥る等の虞れもありますので、そういつた点についても十分配慮を加えた上でこの配分方を先方と取極めたい、かようにまあ考えておる次第でございます。
  91. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止]
  92. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を付けて下さい。
  93. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それで本当にお尋ねしておきたいのは、二重投資や設備過剰にならないように注意するとおつしやるので、そこでアメリカはこれをやかましく指示を与えて来るのじやないかと思うのですが、どうせいこうせいという細かいところまで、あなたの今のお話では枠だけきめるだけだ、こうおつしやるけれども、そんな生やさしいものじやないと思うのだが、これは大丈夫ですか、その点は。
  94. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この点は従来の打合せでそういう細かいことは指示を与えない、枠だけきめればよろしいとい、りことになつておりますし、それから又これには顧問団その他何ら関与いたしませんので、日本の自主的運営に任せておりますから、そういうことはないと存じております。
  95. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうするとこの特別会計はわかりやすく言えば日本の軍需産業を復興するために使われる資金である、こういうふうに了解すればよろしうございますか。
  96. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは第一条にはつきり書いてある通りでありまして、やはり工業力その他のもので、必ずしも兵器産業と限つたことじやございませんので、これはそういうただ差向きのところ実際問題はそうであろう、三十六億だけの金ですからそうであろうと思いますけれども、この特別会計の趣意は全然それのみではないことは、これは前から繰返し申上げておる通りであります。
  97. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 けれどもこの第一条にはこういうふうにうまく日本の「工業の助成その他本邦の経済力の増強」とい、りものでえらい大きく大上段に振りかぶつておるものだから、だけれどもお話を聞いてみると、殆んど軍需産業の復興に使われるということははつきりわかると思うあですが、今のところは何に使うかわからない。どこの会社に貸すかわからないと言つておるが、端的に言つて三十六億ばかりであるから、これは皆軍需産業というか兵器産業のほうに廻つて行くと、こういうふうに考えて行かなければならないと思うのですが。
  98. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 当初初年度の分は主としてそうであろうと思いますが、まだきまつておりませんから、私どもは基礎産業にももう少し使いたいとい、りことを考えておる。従つて私は先ほど申上げた通りに主として兵器産業であろうが、併し同時に関連産業及び基礎産業にも計画しておるという答えをしたのです。
  99. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 アメリカの希望としては、これの援助を受ける義務というか、向うの期待というものは、将来は日本の兵器産業は保安隊の兵器くらいは自給自足ができるところまでまあ持つて行きたい。その一つの誘い水として今回の援助を与えられた。この三十六億の国内使用が認められると、こういうふうな性質のものですかどうか。向うは大体どのくらい……、それは期待があると思うのだ。お前たち勝手にええくらいに使つてくれというふうには行かんと思うのですが。
  100. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 先方は如何なる場合でも日本の防衛力の強化することを希望いたしております。併し防衛力強化ということは、ただ兵器を作るといつてもそれに伴う各種の鉄とかそういうものができなければやれないので、例えば飛行機を日本で作るにしても、飛行機工業は各種の工業の総合工業であるということは菊川さん御存じの通りのことであります。ただ一つだけではできない。それから今のようなお話でそのまま現わしては害がありますので、私どもはさつき申上げた通り主として兵器産業、そうしてそれに関連産業、基礎産業にその金は使われるべきものであると、こう考えておるわけであります。
  101. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にこの利息ですけれどもね、今のは商業採算ところおつしやるのですが、これはちよつとわかりにくいのですが、年利率どのくらい、年利はどのくらいということはどういうような考えを持つておるのですか。
  102. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 開発銀行へ出すのは大体五分五厘という考えを持つております。併し開発銀行が更に事業会社に出すのは開発銀行が自主的にやるので、或いは六分五厘、七分のものもありましよろ。これはわかりませんが、これは向うが自主的にやるのです。
  103. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは成瀬君聞きましたかな、次に造船の、計画造船をめぐつての又割当の取合いで大分問題になつておるのですが、これも物凄い、やはりこの三十六億の取合いが始まるのじやないかと思うのですが、今の兵器産業も随分たくさんございます。今倒れかげたような日平産業というのもあれば、それから三菱重工業、いろいろあるが、こう景気が悪くなつて来ますと、何としてもやはり保安隊といいますか、保安隊の仕事をやつて一つ永続きするものだというような見通しで、これに切換えようというようなものも相当出て来るだろうし、今まではそれはできないので、ミシンを作つたり或いは自動車を作つたりしておつたものが、やはり昔取つた杵柄で、これが一番いいので、切換えようとするものが出て来るだろうと思うのです。今の日本の各重工業の設備というものは、大体において戦時中の軍需会社に一旦切換えられて、それが戦後再び民需にそれぞれ止むを得ず切換えられた工場が多いのです。技術者もまだ相山温存されておると思いますから、どうしてもおれのほうもおれのほうもやりたいという希望で、物凄い運動が起きるんじやないかと大体想定されるの外すが、そうすると再びあの轍を踏むような危険が考えられないこともないと思いますが、これらについては相当厳重……この前の問題に懲りておるからして、そういう何らかの機関を設けてそして対処せられる予定でおられる州どうか、それを一つお伺いしておきたい。
  104. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今のところは開発銀行が貸出をするということにしておりますので、開発銀行の責任で以て貸出をするのでありますから、そういう開発銀行に対しては政府のほうで監督いたしておりますので、特別なそういう機関を設けようとは考えておりません。又、今お話の点もあつて、それをみなやりたがる云々というお話もありましたが、やりたがるにしても、武器等製造法というものがございまして、適格者でなければやらせませんから、これは御承知の通り認可することになつておりますから、従つて自由なものとちよつと企業的に違うものがございまして、その点は余り御懸念の点はないのじやないかと私は思つております。
  105. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはやつぱり認可をとつたら、この前の造船の融資だつてやはり開発銀行の枠を取るために、割当を取りさえすれば枠がもらえるというのですから、開発銀行が自主的にやるし、政府がそれを統制しておるのだから、開銀を通してやつてつたから問題がないと言うけれどもああいう問題が起きた。この前のものによく似た、より以上の今後割当を一旦もらつて、融資を受けて、兵器産業に乗り出すことができるかできんかということで、あと続いて来るか来ないかということもあるだろうと思うので、これは血眼になつて大競争になるというように予想されるのです。あなたはそういうふうに思いませんか。
  106. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、少しいろいろあなたが色目を似て見られますが、私どもはそういうものじやないと思うのですがね。それであの場合は、一つの船の場合はいろいろなその何があつて、今度開発銀行が自主的にやれば、船の問題も開発銀行自体は何も問題がないのです。開発銀行から先のほうで問題が起つて来ておるのであつて、開発銀行の貸出に何ら不正或いは不当なものはないというのでありますから、私どもは将来又そういう弊害が若干起ることがあれば、これは別に考えなければなりませんけれども、今のところそういうことは考えることはないと思つております。
  107. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 で、どういう援助、先ほど堀木さんも尋ねておりましたけれども、何年続くかということですけれども、世界情勢の変化によつてはアメリカの対日政策というものも猫の目のように変るということは、占領軍が最初に来た当時は日本刀、猟銃まで神経質になつた。今度飛行機をこしらえてもいい、機関銃をこしらえてもいい。それについては援助をやろう。このくらい四、五年のうちに変つて来るのですから、又これはソヴィエトとアメリカとの関係でどういうふうに変るかわからんということだけは一応見通しをされておらなければならん。その間に一旦武器の援助をもらつてこれだけ装備もした。而も設備もした。こういうやつを、この情勢の変化にも応じるようにして置かなければ工合が悪いと思うのですけれどもね、そういうことも考えておられますか。大蔵大臣、これは大事な問題だと思いますがね。
  108. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) その点について先ほど申したことは、いわゆる設備の過剰にならざるように、又二重にならざるようにと申したのはその点であつて、言い換えますと日本におきましても、これもお話のように同様な何かの変化で、いわゆる何の防備も要らんような時代が来ないとも限りませんが、只今のところはさようにも私ども考えておりませんので、やはり日本が自分の自衛隊を以てはまだ現在では何もできんことは御承知の通り、従つて自衛隊に入用な程度のものをやつて行くならば、これは日本の産業構造にもどこにも何ら影響はない。又将来どういうことが起つてつても影響はない、かように考えているのであります。
  109. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それではあなたの目標としては、今アメリカからもらうような複雑でないような兵器は日本でこしらえるくらいなところまでは持つて行きたい、それくらいなもの、だつたら、日本の経済力もだんだん回復するから耐えて行けるから、例えば簡単な機関銃だとか小銃ぐらいなものはもうアメリカからもらわずに、これは完成兵器が来ると言つているのだから、今も堀木氏が尋ねてあなたから答弁があつたように、二年ぐらいのことは大体聞いているが、三年、五年先ということはわからんというのです。一旦もらつて訓練したものを、あと補充せんわけにはいかん、こんなものはすぐなくなつてしまう。五年分ぐらい今年に来るわけじやないだろうと思いますが、これらが来ないということになつたら、保安庁のほうからこれは大蔵省に対して予算の要求は当然されるだろうと思う。こういう見通しは今大蔵省はどのくらい持つておられますか、その関係を伺いたい。
  110. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 保安隊をどうするかという問題についての、この年次計画というものがまだできていないことは御承知の通りで、どんなにおつしやつても保安庁長官は答えておりません。従いまして私どもも年次計画の立たんものに対してどういう見通しをするかとおつしやつても、これはお答えのいたしようがない。併し私どもは例えば現在の少くとも保安隊はこれは必要でございましよう。昭和二十九年度は二万ほど増加するだけのものは、最小限度見てもこれは必要でございましよう。従つてそれらに要するものというものは、これはめどがつきますから、ただ今お話のあるように兵器というものは、武器というものは日進月歩、これはしよつちゆう変るのですから、現在あるものは慣れているからそれを作つてつて、間に合うか合わんかというような問題もございますし、今仰せのうちに、簡単なものを作るか、複雑なものを作るかということがありましたが、これは簡単とか複雑とかいうものじやなくて、日本の入用な程度にとどめたいと思うのですけれども、これはもう少しそれらを、何といいますかね、入用とする保安隊のほうの中身がはつきりしませんと、将来のことについては言えませんが、現在の三十六億があつて、これをどこへでも使えるものかという程度の問題ならば、これは保安隊でも何もできていないのですから、これは御心配ないと思います。
  111. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大体それじやわかりましたが、まあ要するに今のところはとにかくMSA援助というものをくれるからもらつてちよつとやつてみると、併し先については何らまあはつきり言つて見通しその他についてはここではわからんと、国会でお聞きしてもわからん、政府のほうでも方針というものはそんなものは立つていない、とにかくやつて行くのだ、こういうふうに了解してよろしうございますか。それ以上はもう知ることはできない、とにかくまあ三十六億を使つて、何に使うかもはつきりしないものを、特別会計をこしらえて一つ……。併し大体日本の軍需産業を復活させるといいますか、復興させるよろな目的に使つて、日本の防衛力を増強して行くということだけはわかつているんだが、それ以上のことはわからん。それ以上は政府の責仕においてこれからやつて行くのだ、まあ国会議員はそんなことは知らなくてもよろしい、こういうのが政府の態度である、こういうふうに受取るよりしようがない、こういうことでよろしうございますか。
  112. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 国会は側も知らなくてもかまわん、政府政府の責任でやつて行くの、だという考えは毛頭持つておりません。毛頭持つておりませんけれども、現在のわからん段階では答弁はできない、こういうことを言つているのでありまして、勿論この金についてはさつき申した通り、全然別の方面に使うのではなくて、兵器産業及びその関連産業並びに基礎産業に使うということを申上げておつて、方角ははつきりしていると思うのであります。従つて私どもはこの将来の問題については将来の計画は立たん、はつきり立つておらんときに将来のことを言えとおつしやつてもそれはお答えができないというのであつて国会はどうでもかまわんぞという意味は毛頭持つておりません。国会の御意向を尊重することは勿論であります。従つて今後とも又そういう予算その他の措置でいろいろ御審議を願わなければならん問題があるのでございます。併し本年の三十六億はこれで一つお認め願いたい、出しておるものでお認め願いたい、かように存じております。
  113. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、それで一応国会を通つたとしまして、大体その計画ができて、こういう方針で行くということになつた場合には当然委員会なり或いは本会議において政府のほうから説明があるものと、こういうふうに了解してよろしうございますか。それは又時期はいつ頃になつたら大体明らかになるのですか。
  114. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは一つ特別会計の予算が通つて参りますればこれに基いてやつて行くのでありまして、これを一々きまつたからと言つて途中で報告するということは、丁度ほかの予算でも、一兆円の予算を願つておりまするけれども、一々何ら途中で御報告いたしておりません。併し必要がある場合にそれは国会へ御報告することもありましようし、又御審議を願わなきやならん、問題が起つて来れば御審議を願うことがあろうかと存じますが、これは菊川さん、常識的に考えて見ても、三十六億円の問題で特にお集りを願つて、いつ何日発表するという問題でもないと私は思いますがね。
  115. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あんたはそういうふうに簡単に言われるけれども、それは国の行き方がころつと変るんであつて、今まで八年間やつて来たところがころつと変わるのです。普通のときと、これは道路をつけたり、堤防築いたりするのとは違うのです。今まで鉄砲もいかん、まあとにかくあの戦後今日までやつて来たのと、それから憲法との関係もあるし、それを一つこしらえたら大きく今後だんだんとこれがふくれて行くことははつきりしている。これは今急いでそんなことはあんたないとおつしやるけれども、どこの歴史だつて、日本の又軍隊の発達史を見てみたつて、もう一つ少しできたやつがだんだん殖えて行つて大きくなつているのです。従つてその出発点が大事であるから、どういうふうなんだと言つて、私はくどいほどお尋ねするわけですが、それは一番出発点が大事だと、こういう意味でお尋ねするのですがね。従つて普通の予算の執行と同じように私は考えるべき問題じやない。今答えられんというのだから、それでまあ答えられんけれども、そのまま承知せいとこうおつしやつているのだから、答えられる時期が来たら説明してもらうのは、これは当り前だと思うのですが、どうですか。
  116. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はお答えをしているのであつて、答えが不満足であるからそのときに言えと、こうおつしやつてもそれはいかない。私ははつきり言つている。金額は三十六億である。これを開発銀行を通してこの兵器産業、関連産業、及びその基礎産業に出すん、だと、こう言つているのでありますから、これははつきりしていると思うんです。何も具体的に何の会社は幾ら出すということを一々御協議を申上げるものではなかろう、こう思うのであります。
  117. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それは何の会社にどういうふうにという意味じやなしに、私はどういうふうなところまで日本の兵器産業をまあ起したい。復活したいと思う、だからしてこういう産業とこういう産業に重点的にやはり投資なり融資をして、こういう産業だげはどうしても日本が早急にやらなければならんからしてこういう方面にやつてつて、その目標はこれは三十六億じやとても話にならんから、やがては次々と又援助をして行かなければならない。又これアメリカから援助があればいいし、ない場合にはこれは国の財政的援助をして行かなければならん性質のものではなかろうかと私は思うのです。そういう性質は全然ないのですか。今年一遍切りで、その三十六億使つて投融資してしまえば、あとはそういう援助とかまあ融資というような必要が起らんか、どうですかと、これは考えるから私はくどくお尋ねするわけです
  118. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは先ほども御答弁申上げておる通りであります、もう今年一遍のものでないということは、私は思うということは申上げておる。それは何度お尋ねになつてもこれ以上のことは言えませんでしよう。
  119. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、私の言うのは、アメリカから来るのはこれ1偏じやないと言うの、だけれども、アメリカから来ないということになつたらば、一旦投資してしまつたものだから、次には開銀からそれらに枠を与えて融資をして行くというようなことの必要も起きて来るだろう、起きて来ないかと、こういうのです。
  120. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) そういうことは若し必要か起るときがありますれば議会に御審議をお願いします。私は現在のところさような必要が起るとは思つておりません。どうせ特別会計ですから、又これ風上の金についてのことであれば、これは御審議を願わなければ一銭の金も動かざれん、従つて十分御審議つた上でやります。
  121. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それぞれ特別会計のこの法律案だけであつたならばあなたの御答弁はそれでいいと思うのです。併し一番最初に、冒頭にお尋ねしましたように、MSA援助が日本の経済にどういう影響を及ぼすかということについてお尋ねしましたときに、あなたも多少この悪い影響もあるということをお答えになつた。それはこれで以て投資をした以上は、それで棒切りになつてしまうというわけにもいかんと思うのです。ジエツト機をやられるとか、或いは関連産業にいたしましてもだんだんと進んで参りますから、而もそれでは一般の市中銀行から借入れて、独力でやつて行くこともなかなか最初のうちは困難だろう、そうするとやはりこれに対しても投融資の別途の、日本の国家財政の上からいつてもして行かなければいかんという必要も生じるのじやないか、こういうふうに思うからお尋ねしているわけですが。
  122. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 本年は少くとも生じません。来年のことは又一つ来年度の予算のときに御相談頂きたいと存じます。
  123. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじやそれらの長い目で見たところの計画というようなものは全然ここではわからん、こういうわけですな。
  124. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) そういう激しい言葉で言われると御返事に困るのです。一応の誰でも見通しは持つておるけれども、一応の見通しというものを直ちにここで日本のはどういうものだということごはつきり申上げる段階に至つておらん、こう言つておる。つまり煎じ詰めて何でもきちつとイエスかノーかということではつきりしようとすると、これは問題がはつきりしませんとどうも御答弁は困るのですよ。
  125. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 菊川君、どうですか……。
  126. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは違うのですから……。
  127. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 違うのだから、これだけははつきり聞いて置きたい。くどいようだけれども聞いて置きたいのは、それでどうしてもわからんと言えばしようがないけれども、その次にお尋ねしたいのは、これは一兆円の予算ということをあなたは盛んに言われたのだが、これとは全然、その枠をはみ出す結果になるのじやないですか、その点大丈夫ですか、国の予算の面において、まあ補正予算通りましたからそれだけ殖えた、こういうふうな見方になるのですか、どうですか、それを。
  128. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これけ特別会計のことですから、いわゆる一般会計とは全然関係のないものでごどいまするので、普通に一兆円予算というものは一般会計について言つておるのであります。御承知の通り鉄道その他各種のものがありまして、各種の特別会計合わせればそれは相当大きなものになります。と申しまするのはこれは全然別個のものであります。
  129. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは今の緊縮予算というかデフレ政策というのとは……、デフレと言つちや又あなた怒るかも知らんけれども、それには全然これは脚響はないものですか、どうですか。
  130. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 経済問題ですから全然影響がないということは申されませんが、影響ありというほどの影響はございませんということは申上げられます。どんな問題でも、三十六億の金が動くときに全然影響がないということはこれは申されません。併しながら影響ありというような影郷はないということを申し上げます。
  131. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじや、そうするとこれは大して問題にするようなことははないと、こういうふうにあなたが言われるのですが、その影響が全然ないということは言えないというような、どの程度の……そう言つちや又あなた怒るけれども、(笑声)それが一兆円一兆円といつて、まああれだげでとめるのだと言われたのだが、これだけ動くのだから、相当インフレ的な要素をこれかへ帯びて来るような何はないですが。
  132. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) インフレ的な要素を帯びる心配なら絶対にございません。
  133. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、これ一つだけ……。
  134. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 菊川君、ほかの人はまだ食事していませんから……。
  135. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大蔵大臣も帰るというのでこのことだけ聞いておかんと……、それじやこういうものはなくても、あなたが最初に説明されましたように、今年末になつて来たならば物価は大体一割乃至五分程度は下つて来る、ころいうことに了解してよろしうございますね。我々も帰つて話さにやならんから、それけ大丈夫ですね。
  136. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 五分乃至一割の物価の値下りは私は確実に予想いたしております。現に四分程度は下つております。四%程度卸売物価で下つておりまするし、更に物によつては繊維類などは一割以上一割七、八分まで下つておるものがあります。従いまして普通に申して五分乃至一割の値下りは本年度末には明らかにこれを予期することができると存じます。
  137. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次に、今度はこの小麦が参りますことに上つて、今年でぎます小麦、麦類に対する影響は相当ひどい影響を与える、及ぼすようなことはないか、その点。
  138. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これはすでに食糧長官からたびたび答弁済みでありまして、むしろ私どもは何らそ、れは影響がないと考えておりますが、若し、食糧関係のことてあればむしろ農林大臣がお答えするほうが正確を期し得る、だろうと思つております。
  139. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あなたの目から見たら農村恐慌を生ずるというくらいにそんなひどい影響を及ぼすものではない、こういうような自信を持つておられますか。
  140. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) さように考えております。日本は二十七年も二十八年も輸入して、二十七年は百九十七万トン、二十八年は百九十三万トンからの小麦を買つておるのですから、その内輪でMSAの小麦が五十万トン入つて来た或いは六十万入つても、それがために日本の農業に影響を及ぼすものじやない、かように考えております。
  141. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あわてられるから、ゆつくり聞こうと思つたけれども、又疑問があつた一つ……。
  142. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。    午後二時二分休憩    —————・—————    午後三時五十分開会
  143. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開き、交付税及び譲与税配付金特別会計法案を議題といたします。質疑を願います。別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。交付税及び譲与税配付金特別会計法案を衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     小林 政夫  藤野 繁雄     三木 與吉郎 木内 四郎     岡崎 真一  青柳 秀夫   —————————————
  147. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に経済援助資金特別会計法案議題として質疑を行います。
  148. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これはまあ第一条からお尋ねしますがね。「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため」とあるのですが、「工業の助成」というのは具体的に申しましてどういうことか。それから「本邦の経済力の増強」、私先ほどからいろいろ質疑応答いたしましたのですが、これによつて日本の経済力がどのようにまあ増強されるのかということが、どうも納得できないのですが、この点御説明願いたい。今あなたのほうで、この立案に当りましてどういう工業力をどの程度まで助成する、それから「本邦の経済力の増強」というのは、どの程度まで増強するのかというような、まあ計画をお持ちになつてつた一つ説明願いたいと思います。
  149. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 第一条の「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため」云々とございます規定は、別途両院の御承認を経ました経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の第一条にございまする「アメリカ合衆国政府は、日本国の工業の援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため、相互間で合意する条件に従つて」云云、この文章に歩調を合わしたわけでございまして、その意味するところは、別段特別の含みも何もございません。「工業の助成その他本邦の経済力の増強」その通り意味で条文を書いたわけでございます。ただ只今読上げました協定の文句にもございますように、「相互間で合意する条件に従つて」ということがございますので、この特別法の規定に従いまして今後この資金を運用するに際しましても、贈与を受けるに際し日本国と米国とで合意した条件に従つて運用をして行くということになるわけでございまして、その場元口に今回のこの援助が、いわゆるMSA協定の一環として行われました関係から申しまして、その主たる狙いは防衛産業の強化というようなことにおかれるのではないか。今後防衛する交渉をするわけでございますが、そういろ点に勢い重点がおかれることになるのではないか。私どもといたしましてはその点は止むを得ないと存じますが、それを余り狭い意味に解しないで、防衛産業の関連産業、乃至はその基礎産業を日本が育成強化しなければならん、防衛産業の基礎になる基本的な産業にも及ぼし得るように、できるだけ広く範囲を設けたいというようなことで考えておる次第でございまして、目下その点につきましては、関係各省間において鋭意協議中でございます。どの工業にどうというような具体的な資金計画は、未だ策定の段階に至つておりませんのは遺憾でございますが、私どもの気持といたしましては、只今申上げましたように、極端に狭い意味に解したくない、できるだけ広く解釈したいと、そういう態度で向うに臨みたいと考えておる次第でございます。
  150. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そこでこの「工業の助成その他本邦の経済力の増強」という意味は、こういうふうに理解しなければならんものかどうか。それは戦争中或いは戦争直前におきましては、高度国防国家とか、高度国防というような意味から、すべて近代戦においては軍隊というものと、それから経済力というものは一体になつて、これは国防だというようなことを、我々はまあ教え込まれて来たのですがね。そういう観点に立つてこれは第一条のこの「工業の助成」というようなことを言われたのかこういうふうに理解しなければならんのか、どうですか。
  151. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ここに書いてございます意味は、そういう特殊た観念の上に立つた経済力の増強ということではないと考えるのでございまして、日本として必要なる「工業の助成その他本邦の経済力の増強」という単純なる意味に私どもは解しておるのでございます。先ほど申上げました或る程度限定されても仕方がないと申しますのは、この「工業の助成その他本邦の経済力の増強」ということから来るのではなくて、「相互間で合意する条件」という制約がございますので、その合意が如何なる場合に両方の意見が合うか、その成行きを想定して考えますと、先ほど申上げましたように、或る程度狭い意味になつて来るおげでございますが、ここに書いてあります言葉の意味は、決してそういう高度国防国家とか、そういう意味経済力の増強というような意味では毛頭ございません。
  152. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今言われます日米間の合意についてでありますが、日本政府としては担当の省、これは外務省でおやりになるものか、或いは保安庁が担当するものか、それとも大蔵省は主管省として、日米間の合意と申しますか、折衝にお当りになるのか、どつちでございますか。
  153. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国内の資金運用に関して非常に密接な関係のあります官庁は通産省、それから資金の関係としては大蔵省、それから総合調整的な観点からしての経済審議庁、この三つが相談をして計画をきめるわけでございますが、米国との交渉の任に当りますのは、それらの三者の意見を代表いたしまして外務省が米国の駐日大使館当局と交渉する、さような段取りになると思います。保安庁はその交渉の面には出て参らないと考えます。
  154. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この会計は、或いはこういう場合も考えられると思うのですが、昔軍が存在いたしましたときには、軍工廠というのは、これは陸軍も海軍も持つておりましたが、今のところは保安庁がみずからのそういう、昔の、軍工廠と言つたつて、そう大きなものは持てないといたしましても、まあこれに類する軍工廠の卵といつたようなものを持つ計画があり、それにも、これはあるとするならば、使われるものであるか。それともこれはすべて民間のほうの工業にやらす。従つて今後は防衛生産というものはすべて民間を利用するという行き方で行くものか、この第一条と、それから協定を結ばれる際に、当然そういうことも話合いになつておるのじやなかろうかと私は思うのですが、政府の方針はどちらになつておるか、一つ伺いたい。
  155. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今の点は第四条に規定がございますが、「資金は、工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため、政令で定めるところにより、運用又は使用するものとする」ということでございます。この条文を素直に読みますと、例えば保安庁が直接工廠を経営するその場合の資金に使用するというようなことは、ここからは全然出て参らないのみならず、現在政府の方針といたしましても、この金をそういつた工廠等に使用するという考え方は毛頭持つていないのでございます。ただこれは全部民間での使用に委ねるか、例えば民間に融資したり、或いは投資したり、或いは民間の何かの用途に使用する、それだけかと申しますと、それは例えば国が日本の工業を助成し、経済力の増強に資するような、例えば試験研究施設等にこの金を使用するというふうに読める余地はあると思います。併しそれは国の予算を必要とするわけでございまして、別途予算措置がなければ、国のそういつた研究機関等の支出にこの資金を使用するわけには参らないのでございまして、試験研究的な用途につきましても、本年度はそういう予算は全然組んでおりませんし、少くとも二十九年度に関する限りは、そういう使途に使用するつもりはございません。小くとも二十九年度に関する限りは民間に使う。それも殆んど大部分は開発銀行に対する融資、開発銀行から個々の企業に対する貸付というような形で、これを運用する、さように考えておる次第でございます。
  156. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ここで特別会計を設けられた理由を、その次に「一般会計と区分して行うため、特別会計を設置する」、こういうふうになつておるのですが、これを国の歳入にしてしまつて一般会計として開発銀行のほうへ出資をする。そうして開発銀行にやらせるという行き方はできないものかどうか。この開発銀行の出資というのは皆特別会計になつているのかどうか、この点を一つ伺いたい。
  157. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 開発銀行に対する出資は、元は一般会計から行つておりました。昨年産業投資特別会計というのができましたのでございますが、その以後はすべて産業投資特別会計からいたしておるわけでございます。この金を特別会計にいたしました理由といたしましては、この協定にも「日本政府に対して行う贈与から生ずる円価額を積み立てる特別の勘定を設けるものとする」という一条文がございますし、又財政法にいわゆる特別の資金を特別の用途に充てる、そういう場合にもぴたりと当てはまるわけでございます。これは特別会計を作るべき典型的な場合に当てはまると考えまして、特別会計として提案をいたした次第でございます。
  158. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の私のお尋ねした投融資の特別会計の中でも、これは見返資金の分だといつて別途整理をやろうと思えばできると思いますが、この協定には成るほど特別の勘定というのですが、別に、特別会計にこれだけを切離したというのは、大した意味があるのではなくて、こういう協定もあるし、別に一つの特別会計を設けた、それだけの単なる理由であるか、それとも何かはかに理由はあるか、この点を重ねて……。
  159. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) この特別の勘定ということも有力な理由でございまするし、財政法第十三条の規定によりまして、「特定の歳入を以て特定の歳出に充」てる。これは歳入も歳出も特定のものであるわけでございまして、その条文の趣旨から照らしまして、新らたに特別会計にいたしておくほうがいいと考えまして、産業資金特別会計以外に、こういう特別の会計を新らたに設けることに提案いたしたわけでございます。
  160. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、今年が三十六億ですが、来年これに加わるか、もつと追加して援助があるかないかということは、そうはつきり見通しは立たんと思うのですが、そうすると、僅か三十六億の特別会計が、仮に今御説明になつたような開銀に貸付けて、そうして開銀が更にこれを一般の軍需産業に融資をずる。そうしますと、恐らく償還年限というものは、そう短期なものではないように実は思うのでございますが、場合によつては、まあ造船の一五年、或いは十年というようなことも考えられると思うのですが、僅か三十六億の特別会計を十五年も十年も、まあおいておかなければならんということになると思うのですが、これは返つて来て清算ができるさでは、この特別会計というものは設置をしておかなければならんものかどうか。例えば半分殆んどもう返つて来ちやつた。で、ここにこういうふうに剰余金は資金運用部資金に預託する、こういうふうになつているのですが、これらの運用は一体どういうふうにやつて行かれるつもりであるか。例えばどこどこの開発会社に貸しておいて、それは三年先に返つて来た。そうすると、これを今度は潜水艦をこしらえる会社に貸す、こういうふうな運用をやつて行くお見込みであるかどうか、この点を一つつておきたい。
  161. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 来年新らたな援助があるかどうか、これは今日のところ勿論的確に予想することはできないわけでございますが、別途米国では、過剰農産物の処理関連いたしまして、新らたなる援助の話も最近起つておるようなふうにも聞いておりますし、まあ仮にその余剰農産物を買入れるというようなことになつて参りますと、又このあとが続くというようなわけにもなるわけでございます。併しこの点は勿論的確に予想することはできません。仮に来なかつた場合でございますが、三十六億が毎年利子を生んで参るわけでございます。現に初年度、これは期間が短うございまして、金額といたしましても、おおむね三千万円くらいの利子収入を見ておりますが、仮に一年間フルに運用できるということになりますと、まあ一割でございますれば、三億数千万円という利息金が毎年入つて来るわけでございます。相当な資金の蓄積にもなり得るわけでございまして、単に回収の点だげでなく、年々新らたな運用をする問題といたしましても、特別会計を創設する十分な必要性があるだろうかと存ずるわけでございます。  なお、開銀からの貸付金の期間でございますが、電力は三十年、これはまあ御承知のように発電所というものは非常に償却年限も長いほうでございまして、特別に長い貸付の期限になつております。船は十三年から十五年、これらは長いものでございますが、そのほかのものは五年以内ということになつております。このほかの一般産業への貸付金を五年以内というようなことで、僅かにそれに対する例外として水力の自家発電の装置、これはまあ十年となつておりますが、そのほかのものはすべて五年以内でございます。この資金を開銀に融資して開銀が貸付けます対象は大体五年以内という場合に該当するわけでございまして、まあ五年間、少くとも五年間で資金が回転する、さようなことになるわけでございます。五年たてば元本も入つて参りますし、年々一割以内の利子収入が入つて来るわけでございますので、それらをこの会計で運用して参るわけでございます。  なお、先ほどお挙げになりました資金運用部の関係でございますが、これは差当り開銀で貸付の目途がないと、その間資金が遊んでおるというようなときに、一時資金を運用部に預託することができるということになつておるわけでございまして、これは各特別会計とも差当り資金の使用の目途のない余裕金は資金運用部に預けることになつておりますが、その先例に従つたわけでございますが、これは短期の金でございますので、そう大した利子も付きませんが、勿論若干は利子収入が入つて来るわけでございます。
  162. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 三十六億の金額全額がいつそれでは今のところのあなたのほうの計画では、いつからそれが活きて実際に現金になつて動く。この間補正予算通りましたが、併しまだ小麦も入つて来ておりませんし、これは小麦が入つて来たら、これを一旦食糧管理特別会計に売渡すか、そういう方法でやるのでしようと思うのですが、それが実際動き出すのは、三十六億はいつ頃から動き出すのですか、現なまになつて動くのは。
  163. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほど来、引例いたしました経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定並びに農産物の購入に関する協定、これは五月一日にもうすでに発効をいたしておるわけでございまして、この協定に基く諸般の手続は、勿論全部一時ではござい喜んが、だんだんに進行いたして参つておるわけでございます。従いましてもう受入態勢さえ整えば、一部につきましては遠からざる将来に贈与を受げ得る態勢になつておるわけでございますので、私どもといたしましては、この会計の承認成立の一日も速かならんことを希つておるわけでございます。勿論小麦三十万トンとか、大麦十万トンというような相当大きな量でございますから、それらが全部輸入された暁に、まあ丁度三十六億になるわけでございまして、そのすべてが現金化される時期がいつかということになりますと、これは恐らく八月とか九月とかいう時期になろうかと存じますが、併し全部揃つた後でなければ贈与を受けない、或いは運用ができないというわけではないわけでございまして、その意味で早く受入態勢を整えたいと思いまして、お願い申上げておる次第でございます。
  164. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 第二条のその次に管理という点でございますが、「この会計は、大蔵大臣が、法令で定めるところに従い、管理する」、ここでも法令に定めるところに従い管理するというのですが、これはどういう法令意味しておられるのですか、先ほど通りました譲与税等についても、大蔵大臣内閣総理大臣法令の定めるところに従いといつておられるのですが、これはもうすべての日本の法律、こういう意味で、この法令というわけでございますか、これは。
  165. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大体この法律に基く政令も勿論でございますが、そのほかに財政法会計法等、財政法規がたくさんございまして、それらの法令をここで指しておるわけでございます。
  166. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、こういうふうにわざと「法令で定めるところに従い、管理する」というふうに入れられた理由ですかね、「法令で定めるところに従い、管理する」、わざとここで法令に従い、管理すると、こうなつているのですか。すべて大臣が管理する場合には法令に従つて管理するのは当然だと思うのですが、これはわざと入れなければならん理由一つつておきたいと思うのですが、なぜ法令に従いということを入れたのですか。
  167. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大蔵大臣が管理いたします場合には、いつも法令に従わなくてはならんわけでございまして、その意味では当然であると言えるわけでございますが、数年来の立法例といたしまして、法令に定める云々というようなことを的確にきちんと入れるような例になつております。又例えば設置法等におきましても、大蔵大臣の権限は法令の定めるところによる、当然のことなんですが、そういうことを書くような例に五、六年来なつておりまして、そういう一般的な用例に従いまして起案いたしましたわけでございます。
  168. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、これはただ単に立法用語例に従つただけであつて、別に深い意味を持つておるものではない、こういうふうに解釈してよろしうございますな。
  169. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) さようでございます。
  170. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そこでお尋ねしたいのですがね、この「法令の定めるところに従い、管理する」ということになつて、これはちよつと大蔵大臣政務次官にもお聞きしておきたいのですが、日本国憲法も当然この法令の中には入るのだろうと思うのですがね。そこで憲法と、MSA援助を受入れて国が鉄砲をこしらえたり大砲をこしらえたりするところへ投融資をするということと、九条との関係をどういうふうに双務次官は理解しておられるか、一遍お聞きしておきたいと思うのです。これは大蔵大臣に聞こうと思つたのだけれども、今日見えんから……。
  171. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 私その点につきまして十分なる研究はいたしておりませんので、甚だ不行届きなお答えになるかも知れませんが、一応お答え申上げます。法令の定むるところに従い、管理するという建前で行きま十場合に、その法令とは憲法その他日本の各諸法律政令等々をずべて含むということは当然であろうと思います。その場合に恐らくは兵器産業等に対しての投融資等に使つて差支えないか、兵器産業というものが我が国の憲法その他法令上許されたる産業であるかどうかというような問題に関連が起つて参ると思います。大蔵大臣がその法令の定むるところに従つて管理すると言います場合には、その当該産業が若し我が国の憲法その他の法令の上で明瞭に禁止しているということがきまつておりますような産業に対して運用するということになりますると、これはやはり法令に従つて運用したということにならなくなるというふうに私は考えます。併しながら現在我が国がいわゆる憲法上戦力を持つことを禁止しておりますけれども、併し我が国の産業が例えば輸出産業等におきまして、国内で兵器を作つてこれ2外国へ売るというような場合は禁止していないと私は考えますが、かかる場合におきまして、こうした産業に投融資をするというようなことについては、これは法令の定むるところに従いという文言に反するものではない、かように考える次第でございます。
  172. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この投融資の、投融資と言いますか、融資先につきましてははつきりとどういうふうな産業に融資をするということはわからないのだということを、大蔵大臣も午前中答弁しておられました。ところが伝え聞くところによりますると、ジェット機の製造と言いますか、研究等に使うということを巷間伝えられておりますが、そのジエツト機ということになりますと、木村保安庁長官が戦力とは言わんというところで、大分衆議院でも参議院でも予算委員会で論議いたしました。その際、木村さんの言うには、今日ジェット機やそれから原爆をもつていないものは、これは戦力ではない、憲法上の戦力ではない。ところが今度いよいよジエツト機に融資をする、これは輸出をするということになればいいけれども、日本でジェット機を持えたものは向うが買うようなことはないので、恐らくこれは国内使用するというようになると、いよいよ木村さんが言つていたジエツト機、原爆だけは別でございますが、ジェット機に融資するということになると、大分近くなつて来る、かように思うのですが、この点政務次官どうお考えになりますか、お伺いしておきたい。そういうものには使わんのか。その点伺つておきたい。
  173. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 今回のこの三十六億の金の中で、ジェット機の製作等に従うところの会社に対して融資等の希望をもつている或る向きがあることは私も聞いておりますけれども、併しこの点まだ何ら確定にもなつておりませんし、又単なる研究の途中でございます。従いまして只今菊川委員の御指摘になりましたような疑問もたしかに起る場合があり得ると私も感じます。従つてそういうものに融資をするということが果していいかどうかにつきましては、仰せのごとく法令その他に違反なきやについての研究も十分にする必要があると考えます。
  174. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、今余りつきつめて言うとどうかと思いますが、木村さんもジェット機をもつようになつたら、今までは戦力じや、ということを言つておられたが、そのジエツト機に十億ぐらい出すということになると、いよいよ戦力をもつところの準備だということはどうしても認めざるを得ないことになるのじやないかと思うのですがね。その点の調整は、止むを得ないということならば別だけれども、止むを得ないともあなたははつきり政府を代表して答弁できないでしようね。ジェット機や原爆には投資しない、こういうことは言い得るのかどうか、この点も一遍念を押しておきたい。
  175. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今私の承知しております範囲では、只今菊川委員の仰せになりますようなジエツト機関係には融資をしないということを確言ずることは困難だと思います。非常に屍理窟になるかも知れませんが仮りにジェット機を作る会社、そういう目的会社ができると仮定いたしましても、先ほどもお話の通りなかなかそう直ちに間に合うようなものは作れるわけのものではないと思います。日本の現在の工業力におきまして……。そうしますと、そういう会社ができても、その製品ができ上るのは数年先きのことであつて、差当つて会社のできた一年、二年の間は単なる基礎的の研究の過程にしか、その会社が従事できない、かように考えるのであります。さような場合におきましては、或いは会社としてジエツト機の製造に関する技術その他の研究というような意味におきまして、これを運営しても、法令違反になるかならんかというようなことは、考えて見ますというと、これは或る意味において、或る程度において考える余地があるのじやないかというふうに、これは極めて即座なお答えでラフでございますが、考えられますから、従つてジェット機製作を以て目的とするような会社ができた場合に、これに対してこの会計の資金が運用されるかされんかということを、今この際はつきり申上げることは差控えさして頂きたい、かように存じます。
  176. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 政務次官のお答えわかりました。そうすると、その裏にはひよつとするとジェット機製造会社に対しても融資するかも知れないということは言えると思う。それでそうなつて来ると、少くとも戦力をもつ準備行為であるということだけは言えるかと思うのです。木村さんから、これは政府を代表して言つておるのだから、本会議で原爆、ジエツト機のないものは戦力と言えないのだ。今度はジェット機を据えるということになると、戦力であるかないかは、これはできてしまわなければ戦力にならんのですが、少くとも戦力を持とうという意図のためにこれが運用、投資をされるということになりましたら、そういう戦力を保有する意図で準備工作段階に入つた、仮りにジエツト機会社に融資をされるということになつたら、そういう準備段階に入つたということだけは言えると思うのですが、そういうふうに受取つてよろしうございますか。
  177. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点私必らずしもそう考えておりません。と申しますのは、先ほども申上げましたように、ジェット機を作る目的会社ができたとしましても、その会社のいわゆるジエツト機製作に関する技術その他研究ということが、最初数年間のせいぐの、何と申しますか事業にしかなり得ないという場合に、これにこの会計の金を結局運用することになりましても、一体それが日本の国がそのジエツト機を使う目的でその会社に運用したのか、或いはその会社のジエツト機の製作に関する技術を伸して、そうしてその会社でジェット機を拓えて、優秀なものができれば、それをどんどん外国輸出するという目的で、日本のいわゆる貿易を助長する意味で、これに資金的援助を与えるという場合も考えられますから、その意味におきまして、私ただちにお説に御同感はいたしかねます。
  178. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 アメリカの、先ほど主計局長が言つた合意ということは、このMSA援助はあなたの言われるような大いに日本の兵器産業を起して、そうして日本の貿易を、兵器産業で金儲けさせてやろうという意図よりも、日本の自衛力と言いますか、防衛力増強のために向うはよこすのだろうと思います。兵器産業を日本にやらして金儲けをさせるためにやつているのじやないということだけははつきりするので、果して合意というのは、向うでは一旦ジェット機の生産研究に充当せいということに合意する以上は、まさか外国輸出するのだつたら向うでやると思うのです。こちらに金儲けをさせるということはやらないと思う。従つて日本の防衛力増強の一端として、このジェット機生産に融資することを合意する。そうしてジェット機の生産に乗り出したということになると、いよいよ二条件一つであるジェット機だけは持つことになりますから、半分だけの戦力保有の準備段階に入つたということだけは言えるのじやないか。屁理窟を言うようですが、そういうことだけは言えるのじやないかと、こう考えるのですが、どうなんですか。
  179. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 重ねてお答えいたしますが、私はやはりその場合でも必ずしも御同感いたしかねる、と申しますのは、なるほどアメリカが今回の資金援助というものは、日本の防衛力増強ということを主たる目標にしているというふうに考えた場合におきましても、やはり我が国で、そうした会社に資金的援助をするかしないかということが、即ちジェット機をその会社にこしらえさせて、そうしてそれを我が国の兵力として使おうというような考え方がありますというと、アメリカの意図するところと或いは合うかも知れませんけれども、併し我が国としては何もそれを直ちに国の戦力兵器として使おうという考えを持たず、而もそれによつてできたものは外国貿易一つ寄与させようという考え方で行きました場合には、こちらの考えとは違つております。そうすると恐らく反問されると思います。日本の考え方とアメリカの考え方が合意に至らなかつたのだから云々と、こういうことに仰せになるかも知れませんが、併し私といたしましては、仮りにアメリカが日の防衛力の増強に資しようという考えを持つていると前提にいたしましても、直ちにこの当該会社でできたものが、日本の兵器として買上られなくても、これが当初のうちは仮に外国へ或る程度幸いにして輸出されるということになれば、若しも将来日本の憲法その他法令の許す状態になりますときまでに、当該会社の当該生産物が非常に優秀なものになつておるということを考えますと、やはりこれは非常に間接で遠いことになりますけれども、日本の防衛力の増強に役立つのではないか、かように考えられます。併しまあその点につきましては、先ず冒頭にお断り申上げておきましたように、こうした種類の会社に運用するかしないかという問題については、私どもも十二分に警戒もし、研究も重ねた上で慎重に処して参りたい、かように存じます。
  180. 東隆

    ○東隆君 私ジエツトの関係のことで、一番先にこれはとこう考えたのが、航空機連盟というのがありますね、この航空機連盟が旬報か週報か出しております。そしてその週報の二月頃のものだと思いますが、それにジェット機に十一億割当がきまつた、勿論これは内輪でしようけれどもきまつた、こういうようなことが出ておつた。これは何か通産省とその他の関係、いろいろの打合せじやないか思うのですが、従つてもうすでにその頃からジエツト機製造のいろいろな会社なり、そういうところで目論見なり何なりがずつと進められていると思うのですが、その経過がどんなふうになつているのか。  それからもう一つは、最近の新聞紙上で、日本がジェット機に対して、この会計から融資することはアメリカが不賛成だ、こういうようなことが出ておつたようですが、それでその経過はどんなような形でもつて進んで来ているのか。
  181. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 三十六億の割振と申しますか、その中でまあジエツトに幾ら出すということにきまつたというようなことは全然ございません。ジェット機に対する資金運用を含んだ計画が或る方面にまあないではないことは、先ほど政務次官からもお話がございましたが、各省間でまだきまつたものといたしましては、そういうものは全然ございません。なお、ジェット機の会社でございますが、これは民間会社で、実は去年か一昨年もう一つできているのがございますが、全然実際は動いていないはずでございます。政府と全然無関係にそういう会社ができた。これは恐らくはジェット機の修理等の関係もございましようし、まあそんなよ、りなことで多少は動いているかも知れませんが、試作乃至は生産という方面にはまだ全然入つていないはずでございます。  なお、アメリカがジェット機にこの資金を割振することについて不賛成の意を表したというようなお話でございましたが、私はまだアメリカが具体的な資金計画について何らかの意思表示をしたというようなことは全然聞いておりません。まだそこまで話合いが行つていないはずであります。
  182. 東隆

    ○東隆君 この資金の割当、それからその他アメリカとの交渉、そういうようなものはどちらのほうでおやりになつていますか。
  183. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 通産省、大蔵省、経済審議庁あたりで、国内的に資金の使用計画をまとめまして、それに基いて外務省がアメリカ側の大使館の担当官と交渉する、さような段取になるはずでございます。
  184. 東隆

    ○東隆君 そうすると、まだ一つもそういうような交渉その他についてのことは進められておらんのですか。
  185. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 一、二度予備的な折衝と申しますか、会談は行われたやに伺つておりますが、具体的な資金計画、日本側の資金計画を提示いたしまして、それについての向うの同意を求めたというような段階にはまだ参つておりません。
  186. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次にこの第二条の「管理する」という意味について法文解釈についてお伺いしておきたいのですが、これは管理するというのはどの法律でも使つておりますが、特になぜお尋ねしておくかと申しますと、管理とい、りのはただこれが開銀へ貸付けをする、開銀に対する対開銀貸付或いは資金運用部資金に預託というような点、それから国会に対する歳入歳出予算計算書の作製、こういうようなことが、大蔵大臣の管理であるか、それとも開祭どの狂いよいよこのこの資金を融資をするか、或いは又国のどういうところへこれを使用するかということを決圧する権利を、第二条によつて大蔵六日が権限として持つことになるか、こり管理という解釈について、一つお伺いしたいと思います。
  187. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) いわゆる会計法的な意味におきましては、第四条の運用又は使用、又歳入歳出の管理予算の作成、決算の作成その他まあ会計法的なものが管理の内容になるわけでございまして、運用の内容として、日本開発銀行に対する貸付という政令が出ました場合には、日本開発銀行に対する貸付が即ちこの管理の一つの大綱になるわけでございますので、開銀が個々の産業に貸付ける場合、この場合に、一々大蔵大臣が管掌をして細部の決定を大蔵大臣ができると、そこまでの内容は、この法文上は含まれていないのでございます。ただ事実問題として、例えば開銀に資金を融資いたします場合に、開銀の資金計画を聴取するというくらいのことは勿論あると存じます。それから又開銀が融資をいたします場合に、これは今度の資金の関係だけではございませんが、開銀も他の固有の資金の場合でも同じことでございますが、何しろこうした国債財源とする政府機関でございますので、政府機関の資金運用計画につきまして、全然関心を持たなくていいというわけのものではないわけでございまして、現在でも開銀の資金運用の大綱につきましては、閣議決定で大綱はきまっておるというような次第もございますので、この三十六億の開銀からの貸出につきましても、全然無関心であるわけではございません。併しそれは第二条の管理の正確な意味における内容ではないと存ずる次第でございます。
  188. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 何故この点をお伺いするかと言いますと、計画造船の融資を廻りまして、今忌わしい問題が起きているわけです。これが事実か何かは、後の検察庁当局の追及とそれから公判の結果を見なければわからないのですが、併しとにかく火のない所に煙は立たずで、やはり開銀融資の割当等を廻つての結局問題である。ところが三十六億は大体利率というものも償還期限というものも、よく似たものになるだろうと想像する。そうすると、割当を運動するということになると、造船割当は運輸省に運動して先ず枠をもらつて、開銀のほうと両方やつたということは、我々の調査したところで明らかになつたが、今度は運輸省の割当のようなものはないのですね。大蔵大臣の午前中の説明によると、単に枠だけはアメリカとの間にきまつた、今度は又これを実際に運用する場合には、通産或いは経済審議庁、それから大蔵省等でまあ協議をするということになつているの、だけれども、さて、それでそれも僕はどの会社にまでということは、その三者会合はできないと思う。具体的にどの会社に貸せるということになると、これはなんだが、それなら開銀の権限ということになると、小林中氏が握るということになると、この三十六億の融資獲得のためには、開銀さえ陥落すればいいということになつ  て、いよいよそこで再びああいう競争を生じて、又大蔵省から口をきくと、この融資がうまく行くということになつて、事件が起る。(笑声)笑いごとだけれども、そういうことは一遍あつたから、これはもう念を押しておかなければいかん。できてから言うて見たつて、もうあとの祭りだ。今のうちに一つ言うておかんならん。そういうこと、が起きないようにする方法があるのか。又それは起きる心配がないか。大蔵大臣はそういうことはないの、だとあつさり言つているけれども、まあ造船融資なんか誰れもあると思つていやせん。それが結局はあつたわけですから、やはり今の金融は一方において引締めているでしよう。そこへ向けて三十六億というのですから、これは財界から見れば早天の慈雨です。それは取り合いになるのは当り前だと思う。私は恐らく競争になると思う。あなたはどういうふうに操作するか知らんけれども、ここらにおいて、一つ一遍どういう構想で一つつて行こうという考えを以ているか、一遍一つお聞きしておきたい。例えば、あれはあれでも、併しまだ割当するときには何とか委員会計画造船委員会とか何とかいう委員会がございましたですな。こつちにはそういうものは全然……。尤もこの特別会計の場合には、そういう条項は作つていないんだけれども、今のやつにはどういう委員会を作つてやるのか、そういうことも何もこれはないのです、この条文には。それは必要ないかどうか。或いは別に政令で、第四条の政令でそういうものをきめる見込みであるかどうか。森永氏に一つお聞きしておきたい。
  189. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 開発銀行に委ねられた場合に、非常に好ましからざる、或いは不正融資が行われるとは私どもは実は考えないのでございます。まあ現在問題になつております造船問題につきましても同様でございますが、むしろ役人が一々のケース・バイ・ケースの貸付にタッチすることのほうが、いろいろ問題が起り易いかとも考えるのでございまして、やはり金融家という、専門家にこれを委ねたほうがよろしいんじやないかというようなことで、むしろ開銀への融資を主たる運用の方法として考えている次第であります。開銀に委ねました場合に、用心の上にも用心を重ねたほうがよろしいことは勿論でございまして、その意味におきましては、監督上におきましても十分配慮をしなければならないと存ずるのでございますが、今具体的な枠と申しますか、産業別くらいの枠は、これはまあ政府関係各省間できめるわけでございますが、それをきめる。それに従つて融資させるということ以外に、特別に融資を審査する委員会を作るとか、そういう問題につきましては、実はまだ検討いたしておりません。運用の実情を見まして、必要があれば考えるにやぶさかでないのでございまするが、今日のところは開銀の普通の融資と同じように、開銀の自主的判断に任かせて行くのでよろしいのではないかと考えております。
  190. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点がね、成るほどあんたのほうは危険—危うきに近寄らずという点についてはいいんだ。それで開銀に出す。ところがこれはもう本当に大きな別れ道になるのです。これは三十六億だから少額です。併し一旦この融資を受けて行くということは、国から兵器産業のまあ免許をもらつたようなものです。公認の兵器産業の会社になるわけです。鉄砲を携える、或いは戦車を持えるという会社、その設備資金に開銀からとにかくMSA援助資金の融資を受けたというのは、将来これはもう自衛力増強というものは、今の政府が続く限りは、保守党が政権を担当して、我々のときになつたら覆すといたしまして、これは余分なことでありますが、それが続く限りには、兵器産業というのは増強して行くのでしよう。小笠原氏は三十六億だから大したことはない、大したことはないと言つて、これで又論争しなきやならん、私は聞かなくちやならんが、まあ今日出て来よらんから、政務次官なりあなたにお聞きしたいのだが、代理で見えているから。三十六億、その金額はそれは大したことないのです。併し出発点というのは、これをもらつたというのと、もらわんというのは大きいのですよ。そこであなたの説明では、どこの会社に貸すということまでは指示しない。これは小林中氏の最後の決断によつてどうということにきまつてしまう。併し小笠原さんは二重投資はしない、設備過剰にならんように留意する、こういうことだつたからして、例えば潜水艦の製造或いは砲弾の製造ということについては、僕は一つぐらいだと思うのです。そう砲弾を捕える会社余計、僅かなものですから、融資するわけに行かない。だから三菱重工業についてはどうする、住友金属はどう、こういうふうになつて来る。そうすると、住友金属は砲弾製造のために融資を受けたということになると、受げないものとえらい違いができて来るのだから、私は競争が起る、こういうのです。そういうことについては、将来の方針として、こういう会社を本当に、将来自衛隊の一つの武器請負業者として育成して行くか育成して行かんかのわかれ目になるのじやないか。従つて競願も多いだろうと思うのです。それを開銀の小林氏の差配によつてきのてしまうということは、これは私はどうかと思うの、だが、どういうことになるわけですか。私の言うのは質問がちよつとくどくてわからんか知らんけれども、言つていることはあなたがたおわかりになると思うが、それでいいりかどうか。
  191. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 建前とい たしましては、開銀当局の金融専門家」よる慎重なる審議の結果、自主的な判断に委ねる、そういう建前で考えておるわけでございます。ただ、こういう場合もあろうかと存じます。というのはこれは域外買付の発注を米軍がいたします。その場合設備資金が要る、その場合にその設備資金を国家が出すというようなことじやないかと思うのでございまして、そういう場合には、そういう金融専門家の調査も勿論でございますが、どこまで勉強するか、入札の方法、域外発注のほうは恐らく入札で行きましようから、そのどこまで勉強するかということ、その勉強の程度と、それから信用の調査というような要素、これが開銀当局の調査の結果出て来るわけでございまして、そちいうようなことで違つて行くのじやないかと考えるわけでございます。勿論三十六億といえども、これは非常におろそかにできないわけでございまして、血もそれも今お話がございましたように、これは将来がきまつて行くという非常に大事な問題でございますかり、慎重の上にも慎重を期さなくちやばらんと思うのでございますが、これほそづくりそのまま私どもは開銀当局に対して慎重の上にも慎重を尽すというようなことを要望せざるを得ない、ごように考えておるわけでございます。
  192. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、それならは私のお尋ねするのは、はつきり申しふして、砲弾を持えるという産業は、囲えば日平産業と、それから小松製作川、三菱重工、こう三つが競争して来たら、設備過剰にならない、二重投資にならないようにということを言つておりましたが、そうすると、そのうち、今の自衛隊の状況から言つて、又域外買付を考えても、せめて二社ぐらいということになると、どつちか三つ四つ—これは無論二つや三つじやないと思います。もつとたくさん競願がある。そのうち三つへやるということで、これがもらうかもらわんかということは、業界にとつては、私は今非常に、まああなたも御承知の通りに、業界は必死になつて来ておりますね。ぢからそれをもらうか、もらわんか、融資を受けるか受けんかということは、業界にとつては私は大きな要素と言いますか、将来発展のための要素になるだろう。従つてそこを狙つて今この三十六億を欲しいというのじやないのです、将来性を狙つて、ものすごい競争は必ず起きるだろう。こういうふうに思うのだが、それを単なる開銀によつて調整させる、又これは私らもそんなことは反対だけれども、今度できる自衛隊の、ここの御用工場ということになるわけですな。はつきり言うと、これをもらつたところは。それになるかならんかということですから、これの融資を受けたところには、当然設備古それだけ改善されて行くでしよう。だから勿論進歩して行くから、注文がどうしても保安隊のほうからそこへ行くことになつて、単に三十六億の問題じやないと思う。それは業者のほうも狙つて乗出して来るだろう、この話合いに。又仮に保安隊にやらせるということになりましても、軍がそういうことに—軍というか、じやないけれども、まあ保安隊がそういうことに全然タッチができないということじや、これはもう向うの銀行も承知できないだろうと思うのです、昔の考え方からすれば。やはり或る程度これによつて監督するようにしなくちやならん、これもやはり一つ参画をさせなくちやならん、こういうことになつて来るのじやないですね。ただ小林さんが最後の決定をして、五つ、六つあつた場合、三つ程度にふるうということをやるというようなことになれば、この間、開銀の融資の最後の決定はどういうふうにやるのだと言つて聞いたら、造船融資のときも話したが、重役会に諮つて相談してみる、相談して意見がまとまればよろしい、まとまらないときは最後の決は私がとりますと言う。これも今の御答弁だと、そういう方法のようになる。あなたの言われることを正直に受取つておれば、そういうことになると思う。それがちよつと三十六億だけで以て、あと何にも影響がないのなら、私は大したことはないと思います。併しそれは私の申上げたようなことも、必ずしも仮空のことじやないだろうと、あなたはお認めになるだろうと思うのです。それでいいのか、そういうことで飽くまでもやつて行くつもりか。それをもう一遍重ねて私は念を押しておきたい。これは大きななにだと思うから。
  193. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) まあ保安隊は、現在狭い意味の兵器、弾薬類の発注量は、これは微々たるものでございまして、特にそのために設備の拡充等を必要とするような量ではないわけでございます。そうしますと、まあ米軍の域外発注を日本の将来の需要と見合つて、どの程度にこなすかというようなことで、まあこの産業にどれだけ金を多く出すかというようなことがきまつて来るわけでございますが、政府としては、勿論そういうような要素も考えまして、この金をどういうふうに使うかという割振りをきめるわけでございます。その中で具体的にどの産業に行くかということは、勿論各社から競願もございましよう。で、その競願は開銀に対する融資の申請という形と、それから域外発注を受けるについて、それを自分のほうにとりたいという競争と、これはまあ二つの面で出て来るわけでござまいす。
  194. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうそう保安隊の御用商人というようなところを……、
  195. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) それはまあ政府一つ一つに、この会社がいいというようなふうに、実際的に関与すべきものではない。飽くまでもやはり経済的な原則によつてきめるべきものであると考えるのでございまして、安くて注文が落ちた、而もその会社は開銀の審査の結果から考えても、信用も十分あるし、将来も大丈夫だというようなもの、両方がぶつかつたときに、その会社に注文も落ちるし、金も貸される、さようなことになるのじやないかというふうに考えます。その間勿論開銀だけで、開銀が幾ら金を貸すと申しましても、入札が落ちなければ貸せないという要素も勿論あると思いますが、少くとも融資の面では、これは開銀当局が持つておる金融のエキスパートとしての調査能力に期待せざるを得ないわけでございまして、その調査の結果によつて、開銀では、内部機構で誰がきめるのか、私そのほらはよく存じませんですが、普通の融資の場合におけると同じような諸種の段階を経て、最後は総裁の責任できめる、さように考えておるのでございます。
  196. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじや政務次官にここでお尋ねしておきますが、自衛というものの広義の解釈は、自衛隊は頭数が揃うだけじやなくて、これが持つ鉄砲もあれば、そいつの補給ということも関連して、これは自衛ということが考えられなければならんわけだろうと思うのですが、あなたらのよく言つている自衛というのは、そういう意味に解釈できると思うのですね。そうすると、第一線に立つて、鉄砲を持つて、若しも外敵の侵入があつた場合には、防ぐ場合の隊員と、これに後方から補給するところの工場も引つくるめて、自衛というものを考えなくちやならないと思う。今の主計局長の答弁では、単なるビジネスとしてこれをやつて行こうというのか、ただ補給という面を保護育成するという面は、全然考慮せずに、自衛は自衛だというので、鉄砲を持つ奴だけが自衛で、あとのことは考えないのだ、こういう文官式に、本当にビジネス式にこれを今後考えて行くつもりであるのか。そういうことで果して今後できる自衛隊との調整がうまく行くのかどうか。あなたはそういうふうに切り離して考えてやつて行くおつもりであるか、それで大蔵省としては押切るつもりであるかどうか、この点も重ねてあなたから一つ大臣の代理として伺つておきたい。
  197. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げますが、成るほど迎せの通り我が国の自衛力というものを考えます場合には、単なる保安隊、若しくは自衛隊の人員の問題のみならず、装備、更にその装備を供給する或いは製作する産業の当該会社の力というものも、広い意味においてその範囲内に入ると思います。従つてかような場合におきまして、今回のこうした資金の運用の場合に、単に開発銀行の総裁だけに一任して、それに全責任を負わしておいていいかどうかという問題については、これはいろいろ考え方が私はあると思います。只今森永政府委員からお答え申上げましたように、政府としては、諸般の事情を十分に開発銀行の総裁に伝えた上で、十分善処させるという方法一つでございましよう。かかる場合においては、日本開発銀行の総裁としては、それが本当の意味の単なる経済上のいわゆるビジネスだけとしての観点から立つて仕事をするか。或いはその場合には当然日本の自衛力の広い意味において一部分をなすのであるからというので、日本の国全体としての広い見地からも、その相手の選定に当つて考慮に入れるか、というような問題が考えられると思いますので、こういう点につきましては、やはり必ずしも政府がタッチしなくても、当該開発銀行に責任をゆだね、而もそれに対し十分にこの問題の相当深く、国全体のためにも考慮すべき点を伝えた上で、運用させるということも一つ方法だろう、かように思うのであります。尤も只今お話の点から私想像するのでありますが、私の個人的な見解を申上げますならば、むしろこういう場合に、政府として適当な機関を設け、その機関と、そして当該開発銀行の理事者と一体となつて仕事をするのがよくはないかというようなことも一つの案だと思うのでございます。併し何しろこの問題につきまして、それほどにする必要があるかどうかということにつきましても、なお、考究の余地があると思いますから、御意見等も体しまして、更に研究もし、考えてもみることにいたしたいと存じます。
  198. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう少し各条を少しお尋ねしたいと思うのですが、時間も時間ですし、もう委員各位も殆んどおられませんし、どうですかな。これはちよつと速記をとめて……。
  199. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  200. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて。  本日はこれで散会いたします。    午後四時五十九分散会