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平林太一君 本案に対しまして反対の意を表します。重大な問題です。
吉田君という
総理大臣、これは曾
つて昨年頃だと記憶いたしますが、スキヤンダルなしということを豪語した
人物なんです。
予算委員会等におきまして
質疑に答えまして、例えば当時四日市燃料廠の問題でありますとか、只見川の問題等について
質疑が出た。そのときに質問に対してスキヤンダル断じてなしと言
つたところが、造船、いわゆる陸運、海運等の、又庶民金融機関等に関連した
政府のスキヤンダルが出て来た。そうすると、これが
国会において追及をいたしまするというと、
吉田君、同君はですね。それは検察庁に任しておけ。検察庁のいわゆる正否の議論が決定したときに
善処するのだとこう言
つておる。ところが今度は検察庁において正否の議論が決定して、
自由党の幹事長である
佐藤榮作、これは刑事被告人です。これを
逮捕し
ようとしたところが、いわゆる指揮権発動ということをして、これを拒否した。これに対して緊急
質疑において、その何を確めましたところ、いわゆる
法律的暴力もあえて辞せないと、こういうことである。こういう
人物です、
吉田茂という
総理大臣が。これは実に古今未曾有の
態度だ。この
吉田総理大臣が出した
法案、
国民金融公庫法案というものは、
内容に対しましては、私は、先刻
大蔵大臣と
質疑をいたしておりまするから、それによ
つて明らかであります。
内容自体に対しましては、私の所信というものは明らかである。併しこれは恐らく昔の
ような天皇の信任による
大臣でありまするならば、私は善良なる
小笠原大蔵大臣は、辞任せられてお
つたと思います。そうすれば
吉田内閣というものは崩壊しなくちやならん、一連托生で……。ところがそういうことができないということは、渕藪するところ、渕源するところ、この
法律というものは、
吉田内閣総理大臣がこれは出した
法律案である。それで身動きがとれないというわけだ、
内閣は……。その
吉田個人が、もう如何なることに対しても、どういうその事態が出て来ても、殊に本院において速やかに辞むべしということの意思を含んだ
決議案を出しても、これは辞めない。それでまだ外遊をし
ようという
ような、外遊をして本人はまあ私の観測では、恐らく
吉田という
ような人は自己一身、保身のためには、殊によるとアメリカあたりへ亡命しちや
つて、金をたくさん持
つて行
つて、そうして辞めるときには、こつちはもうあとは野となれ、山となれという
ような
人物ではないかという
ような危険を、私は
国民のために慮るもの切実なるものがある。これは当時の東条
内閣総理大臣の時代においてもよくわかることなんであります。だからここで
国会が、つまり褌を緊めて、一個人の
吉田総理大臣、一、
吉田茂、このために全国が掻き廻される
ような事態をみすみす打ち捨てておくということは、私は議員の一員としてさ
ようなことはできない。併し先方がいわゆるこの権力、或いは職権を通じてそれを行うということ、それに対する処置はないわけなんです。我々においてこれを処置するということは、要するにこの
法案の
審議というものを…、…殊に
理由として挙げておるところは、
法案の
審議、
議決を求めるのだと言
つていることは、
法案の
審議、
議決が通
つてしまえば、もう
国会は閉会されるのですから、あとは向うが自由奔放、日本中に、これも
吉田その人以外にこの自由というものが広大に許された者はない。これはどんなことをしてもいたし方がないのである。であるから、
国会開会中において、我々としては責務を忠実に行わなければならない。
吉田個人が倒れたことによ
つて、我が国の行政機構が崩壊するものではない。微動だもいたしません。
内閣も次の
内閣が出る。そうして行政のいわゆる現状というものは、そのままつまり事務的な行政というものが残
つておるので、何らの痛痒はないわけなんです。ところが
吉田を生かしてこのままにしておけば、今日のこの疑獄、汚職という
事件が天下、いわゆる
国民に滔々として…、
大蔵省あたりは今申した
通り金を出すだけです。ところがこれはつまり事業官庁、いわゆる建設省でありますとか、郵政省という
ような事業官庁に
なつたら、このものは、数十億、数百億というものを使うのですから、活殺自在なんです。このことはこういうことが放置されておりますれば、行政の官庁というものは、いわゆる
予算の現金の執行ということに当
つて、どういうことをするか、又今日までの
性格においても、これは極めてよくわかるわけなんです。由々しい問題。
従つて全
国民の人心というものは、こういう
ような汚職疑獄という
ようなものは、もう当然これは行われるべきものだ、それぞれの職分分野において、これが潜行し、潜在して行われて行くということになれば、重大なるこれは
政治の混迷であります。だからこれはそういうことを、
国民の目付役として、我々はここへ出ておる。だからそういうものが出て来たときには、いわゆる慨然立
つてこれが粛正の実を挙げなければならない。そういう問題に対して左顧右聴し、躊躇逡巡しておるということは、事を挙げる所以ではない。これを
議決して行くということは、そういうことを、事を挙げて行くということをしなんで、そうして奨励して行くということになる。か
ような馬鹿々々しきことが今日の世にあり得べきものではないのです。これは我々が与えられた権限、これは
暴力的な
法律の
暴力、
法律的には
暴力と思うが、敢えてするのだと言
つて豪語しております。我々は
審議の上において
暴力ではない。これはか
ような一個人の
吉田そのものの
存在、
吉田そのものの
性格が、か
ようなものを、この
法律を提出しておるのですから、これは
小笠原大蔵大臣が出しておるのであれば、私は別個なんです、
考え方が……。
吉田と、いわゆる
小笠原という両君を比較して、私はその点は常識的によく判断ができる。併し今日の
吉田という人のあの言動、
行為というものを見ますれば、これはもう断固としてこの際
国会としては速やかに彼を処置する、
総理大臣の地位から退かしめる、貶すということである。併し我々のほうにおいては
国会法においてこれを成規の上に行うべき何がない。せめてもそういうことに対しまして、この間の
決議案をいたしたのでありますが、併しこの
決議案に対しては、従来の
内閣は、このことに対して恭順の意を表している。又二度の政権を担当する時期ありとの取りあえずの処置として、これは辞したわけであります。それをなお且ついたさない、こういうわけであります。そういう私は
意味におきまして、それをいたさなければならない。それを我がほうで処置して行くということは、これは
一つ一つ否決して、そして議案が通らなければ、
政府としてはこれは当然行き詰らざるを得ないわけです。
法案というものを何でも本院に流しております。併しながらこの
法案を次々に処置して行くということによ
つて、それを
行為の上に現わして行くというわけなんです。
ただ私が誤解のない
ようにこの際申上げておきたいことは、こういうことは、つまり
国家大局の上からということを、よくまあ弁護いたしておりまして、
国家大局の上でこういうこともあえていたさなくちやならんのだ、この間加藤というおいぼれた法務
大臣がこれを弁護しておりましたが、ところが大局の上にこれは何らの影響がない。
吉田首相というものを退陣せしむるということによ
つて、我が国の行政機構がそれによ
つて一時空白するとか、或いは崩壊するとかということでは大局に影響があるが、そういうことは毫末もありません。今日我々が
関係しているこの
大蔵委員会においても、極めて優秀なる
大臣官僚というものは、厳乎として
国家のこの行政
行為というものはちやんとこれは行な
つておる。そういう私は
意味におきまして、本案に対しては断乎としてこれに反対するものである。その
理由は、今申上げた
通り、一に
総理大臣、
吉田茂君の退陣を求めるという
意味におきまして、反対の意を表するのであります。