運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-27 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十七日(火曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 眞一君            木内 四郎君            白井  勇君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君   政府委員    調達庁総務部長 山内 隆一君    調達庁総務部会    計課長     横山 正臣君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局総    務課長     佐藤 一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主計局主    計官      谷川  宏君    会計検査院事務    総長      池田  直君   —————————————   本日の会議に付した事件財政法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○特別調達資金設置令等の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国民金融公庫が行う恩給担保金融に  関する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国有林野事業特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  財政法等の一部を改正する法律案特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案、以上三案を一括議題として大蔵大臣に対する質疑を行います。
  3. 平林太一

    平林太一君 大蔵大臣に対して、三案を一括して質疑をするに当りまして、大蔵大臣が今日御出席になられて当院の議決を求めようとするその性格ですね、これに対して一応明らかにして、所信を質しておきたいと思う。そう言うことは、御承知の本月の二十三日に、参議院内閣に対する警告決議案、これは政府の、私から申しますと言うと、吉田内閣に対する奴隷的な存在として指摘して支障のない自由党以外の各会派が、参議院としては一致してこれを議決しております。然るに、この決議案というものは、参議院としては、衆議院における不信任案と同様の性格のものであることは極めて明瞭である。歴史的に見ましても、曾つて大正四年頃と記憶いたしますが、当時の田中義一内閣が、時の内相水野錬太郎の、同人の汚職関係事件に連座したことによつて、なお留任せしめたということによつて、このことに対して、当時議決をした、その後間もなく内閣は総辞職をしておる。従いまして、参議院の上院としてのいわゆる内閣に対する善処善処ということは、やめろということなんです。それに対して、何らの処置をいたしていない。反省をしていない。だから実は私は、小笠原君が官僚出身大臣なら、私はそういうことは言わない。度しがたいものですから、官僚出身というものは。政党出身大臣であるから、こういうことをよく言うのでありますが、国の今後における秩序というものが、この一点に集中しておるわけです。それだから、もはや大蔵大臣としては、二十三日以降は委員会出席して、何かその今までのよう気持でやるよう態度は、これは非常にずうずうしい態度である。私から言わしめれば、謙虚、謹慎をして、そうして、その態度を、恭順の意を表すべきなんです。そういうことからしまして、実はこの審議というものに対しては、もはや不信任案をした後の議案の審議をするというくらい、筋の通らない話はない。これは吉田という古今無双の、強引な或いは悪質な総理大臣というものを出しておるので、今日、いわゆる自由党以外の、国会を中心とする全国民が、手に負えない、どうしたらいいかということで、そういう事態下におけるこの法案の、これをなして行こうというわけなんです。而も、その逮捕許諾権検事総長の要求を拒否した。そうして、その佐藤何がしという悪い人物逮捕を要求したことを拒絶したということは、法案審議議決を求めることだという理由だ。而もその行為に対しては、本会議においては、吉田君は法律的暴力であるということを肯定しておるのです、そういう行為法律的暴力だと。これは驚くべきことなんです。法律的暴力を行使しても、なお且つ法案審議を要求するのは、強要するのは、こういうまあ今日まであり得ない、歴代内閣総理大臣として、暴力を行使して、それでなおやろうという……。ところが、この法案議決審議というものは、国会自由意思なんです。つまり当然議決すべきものは、国家のために議決するを必要とするものは、当然議決する。然らざるものは否決する。それで、してもしなくてもいいものは審議未了にして、そうしてなおいわゆる検討をして行く。こういうことなんです。それを敢えて暴力を行使してまで、いわゆる法律的な暴力を行使してまで、これを求める——そのために国家の一大違法をしたところの罪人と見なされる……、逮捕を要求されたということは、まさに罪人なんです、その人物が如何なる人物であるにかかわらず——そういうことまでしてやろうという、そういうこと自体が……、そうなると、我々としては、いわゆる審議に対する暴力審理的暴力といろものを用いなければ、国家の安泰というものは期し得られないわけなんです。こういう点は、私はこれは根本の問題だ。二十三日以降は。これは変えて考えなくちやならん。いおんや昨日はなおこれに対する追究があつたようだが、私は昨日のことは余り考えていません。二十三日におけるこれはいわゆる議決したんだ、否決になつたわけじやないんです。だからこの際、私は、大蔵大臣は、ここへ御出席になるということは御遠慮になつて然るべきだと思う。(笑声)そういうふうに思うのです。こちらのほうで審議して、そうして何も、これを慫慂するということはよくない。これは根本の問題なんです。いわゆる政治根本問題。これは国家のために、私は一小笠原君という人が、国家有用の大人材であると心得ているわけなんです。一政党吉田内閣におけるところの大蔵大臣というような小さいものに考えていれば、そういうことは私は申しません。国の興廃、いわゆる国家秩序国民のいわゆる道義、政治根抵をなすべきその問題が、今日のような時代に、あなた自体は、いわゆる吉田自体をこの際立てるために、国のことを第二義に考え人物とは考えない。官僚出身大臣であれば何をか言わんや。そういう場合には、官僚というものは、常に隷属しているのだから、ただもう自分の一身の保身をすればいいということは、今までの歴史で明らかだ。併しこれも一つのいわゆる技術者として重宝な代物だから使つて置く、こういうことなんだ。(笑声)併しあなた、小笠原君に対しては、それほどの私はいわゆる考えはない。これに対するあなたの見解を先ず、これをこれからやろうというときに、一つここで、まあ別に何も先入的にどうこうという問題じやない。一応前途ある、国家の将来を——吉田内閣の将来を云々するのではない——国家の将来を双肩に担うあなたに期待するところが極めて大である。だからこのことを一応一つ、まあこれは試しなんです。あなたの人物テストなんです。(笑声一つ答弁願いたい。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 参議院におきまする御決議の次第につきましては、昨日副総理その他が本会議で述べました通りでございまするので、これは私から全体としての御答弁はできる立場でもなく、又避けまするが、ただ私どもといたしまして、この内閣が一体としておりまする関係上、やはり強く内閣で要望している重要諸法案通過を切望いたしますので、この席に罷り出て、実はできるだけ私どもが御審議のためにお役に立つことについてはお役に立ちたい、かよう考えている次第でございまして、私どもが今平林さんの仰せになつように、この法案審議とか或いは議決に対して、これは国会の権限である、その通りでありまして、これに対して何らかれこれ申すべきではありません。ただ御審議のお役に立つためという意味で罷り出ている次第でありまして、但し政府といたしましては、これらの重要法案は、いずれも目下の、いろいろ平林さんのような御意見もありますけれども政府といたしましては、これは是非通過を熱望いたしておりますので、その点から法案の御審議をお願い申上げたい、かように切にお願いいたす次第でございます。
  5. 平林太一

    平林太一君 只今議事進行に関連して、大蔵大臣から御答弁があつた。これはもう何も私は申上げません。これは会議録で、いずれその試験の答案を大蔵大臣が今書いたわけだから、お言いになつたわけですから、これは国民が後世の歴史において批判する。併し私は今言つたように、単なるこれは大臣としての事務的の、大臣自体を事務的にお考えになつておる。大臣存在というものは、そういうことでは今日では困るのだ。事務官としては次官以下それぞれあるのですから。併し言葉はそれでよろしうございますから、一つまあ熱を入れて心静かにお考えになられて、成るべく吉田内閣というものを早くやめるように、倒すよう一つあなたもお考えになるということを希望いたしまして、これ以上申上げません。
  6. 東隆

    東隆君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、私は三月の十八日に冬季積雪地域における予算繰越特例に関する法律案発議をしたわけであります。そうしてこれの説明を実はやつたわけでありまするが、そのときに政府のほうで、近く財政法等の一部を改正する法律案を出すからという話がありまして、その通り財政法等の一部を改正する法律案提案をされておるわけであります。そして、その私の発議をしたものに対しての説明について、大蔵省のほうから当時出そうとする法案内容について説明があり、そのときに私のほうの案に対する批判をしつつ説明があつたわけであります。それで私は政府が大変いい法案を出されたと実は考えておるわけであります。そこで多少まだ心配になる点がありますのでお尋ねをしよう、こういうわけであります。  私がなぜ冬季積雪地域における予算繰越特例に関する法律案を出したかと申しますと、これは御承知ように、寒い地方では、雪のために会計年度禍いされて非常に仕事がやりずらいので、そういう関係の調節をしよう、こういうわけで、先ずできるならば十二カ月の予算を十五カ月で使えるようにして、六月三十日までくらいに使えるよう一つやりたいものだ、こういうわけでここに提案をしたものの前の法案の準備をしたわけであります。その法案によりますと、欠点は、ただでさえ遅れておる決算がなお一層遅れる、こういうよう欠点が非常にありますので、ここに出しているような案にこれを直しまして、そうして提案をしておるわけであります。併しこれは飽くまで大蔵大臣承認をできるだけしないでそのまま繰越ができる、こういう考え方であります。それから財政法の一部改正の場合は、大蔵大臣承認はこれは省くことができない。大蔵大臣承認をしてそうして繰越をする。こういうことを前提に置いて承認その他の手統なんかも非常に簡素化する。こういうようなことがこの本旨になつておる。こういうよう考えております。  そこで欠点はどういう点にあるかと申しますと、先ず第一番目に問題になるのは、主務省仕事をする場合に、できるだけ年度内決算をつけておかなければ予算の獲得その他に非常に禍いが生ずる。こういうわけで、無理なことを承知しながら、過去においては、できもしないのに竣工した、こういうわけで金の支払いをしておる。こういうところに無理なところがあつたわけであります。そこでその考え方は、この承認のやり方によつて又その問題がなお将来考えられるわけであります。それで、この承認の取扱い方について、大蔵省のほうではどの程度まで緩和されておるかということなんですが、それの直接の関係はこの法案の第四十六条の二の末項のほうにある「政令の定めるところにより、」と、こういう字句がありますが、私はここにあると思うのです。それで「政令の定めるところにより、」のこの範囲ですね、ここのところを一つ説明を願つておくことが肝要だと思います。それで大蔵大臣のほうから若し直接にお答えができなければ、一つ政府委員のほうから答えて頂いて、そして大蔵大臣にそれを確認をして頂きたい。
  7. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 東さんのお尋ねの件につきましては、実は多少予算執行の適正を期するという意味を強く出しましたので、大蔵大臣承認を要することになつておりまするが、かねて、この前ちよつとお出しになりましたよう冬季積雪寒冷地域における予算繰越特例に関する法律、このことについてはよく事情もわかつておりまして、従つてこの案は東さんの御覧の通りにその主意が織込んであると思いますが、あと細かいことは政府委員から答弁いたさせます。
  8. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 繰越に関連いたしまして繰越明許費運用について承認が必要であるといたしておりますのは、只今大臣からもお話がございましたが、繰越承認するに当りましては全額が繰越されるのではなく、そのうち不用に立つべきものは不用に立て承認することにいたすということが、財政の適正なる運用上必要であると存ずるのでございます。又翌年度予算現額を確定するという建前から申しましても、又、繰越財源を確保いたします観点からいたしましても、やはり大蔵大臣財源等関係をも睨んで承認をする必要があるというよう考え方から、繰越承認制を必要とすると考える次第でございます。但しその運用に当りましては、只今お話もございましたように、極力円滑なる運営を期すべきであると存ずる次第でございまして、今般の財政法改正に際しましても「政令の定めるところにより、委任することができる。」というようなことにいたしました。この政令内容についてお尋ねがあつたのでございますが、これは結局、経費種類とか委任を受ける立場の職員を規定しているわけでございまして、委任を受ける立場の官吏といたしましては財務局長、全国に十カ所財務局がございますが、財務局長委任いたしましてそこで処理させるというようなことを考えております。なお委任以外にも、一定経費種類を限りまして、包括的に繰越承認するというようなことも場合によつて考えられるかと存じているのでございまして、財政上の必要を最小限度に満たす限度内におきまして、極力この承認制度を簡素化いたしたい、さよう考えております。なお大蔵部内では財務局長委任を受ける立場になるわけでございますが、その場合の申請をする相手方の官庁はこれは各省出先機関になるわけでございまして、各省出先機関大蔵省出先機関との間で地方的に、経費種類にもよるわけですが、地方的にこの承認処理が行われる。そういうことができるようにいたしたいと考えております。
  9. 東隆

    東隆君 これは金額の枠なんかを決定することはないわけで、例えば公共事業費その他については、そういう枠なんかに制限を加えるようなことはないわけですね。
  10. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 金額につきまして無条件に承認をするという場合だけでなくて、工事施行状況その他諸般の経済情勢推移等考えまして、やはり一定金額を限つて承認するというような必要も場合によつては起るのではないか。それらの点につきましてはなおもう少し検討いたしたいと思いますが、経費種類だけで包括的に承認するというわけにも行かないのじやないかとも思います。
  11. 東隆

    東隆君 それは今後研究をされるようですが、これは以前に決定を見ている金額ですが、それで成るべく決定したものについては、枠を狭めるような、そういう制限を加えるようなことをしないよう一つ考え頂きたいことを希望として申上げておきます。  それから次にこの四十三条の三項の追加をされるわけですが、この中にある「やむを得ない事由がある場合においては、」この問題ですが、これは私は説明の場合には、積雪寒冷の場合において工事をやり得ないような場合、こういうことが強調されておりますが、これをもう一度一つ特に強調しておいて頂きたいと思うわけです。
  12. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 前段の点は御趣旨を十分尊重いたしまして今後の運用に当りたいと考えます。後段の止むを得ない云々の問題でございます。これは会計年度独立原則から申しまして、支出負担行為もできればやはり年度区分に従うべきではございますが、それを積雪寒冷地等工事施行事由その他によつて年度に亘る契約を認めるわけでございまして、やはりその必要があると納得さぜるよう理由がある場合に限定すべきであると存ずる次第でありまして、その気持を現わすために「やむを得ない事由がある場合」ということを規定いたしたわけでございます。冬季積雪寒冷地等工事施行上の必要というような場合は正にこれに該当するわけでございますが、そのほかにもやはりそれに準ずる同じような必要のあるような場合もあるかと存ずるわけでございます。
  13. 東隆

    東隆君 大蔵大臣、今の通りようございますか。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今主計局長答弁通りで結構でございます。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 私は東委員とは多少違つたニユアンスを以て質問をするわけですが、東委員等提案された積雪寒冷地帯等に対しての予算繰越使用を円滑にするという趣旨は、或る程度止むを得ない点もあろうかと思うのでありますが、といつて国財政をルーズにするということは望ましいことではない。(「賛成」と呼ぶ者あり)で、そういう点から今度の財政法等の一部を改正する法律を検討してみると、先ず第一に、第十五条の債務負担行為年限というものが今まで原則として三カ年間であつた、それを今度五カ年間にする、こういうことは、十五条の規定を見ると、いろいろの場合においてかなり三年の原則を破つて長期亘つて債務負担行為をするということが規定されておるんです。而も一応三年と限るけれども国会の特別の承認を受ければ延長をすることもできる、こうなつておる。ただ継続費の場合において五年以内、こういうことがいわれておるから、これを今度五年にするんだという先般の大蔵省説明でございましたが、継続費について五カ年ということも、当委員会においてはその継続費を設定するときに問題になつた点であつて、一方の継続費が五カ年以内ということになつているから、債務負担行為も三年を五年に延ばすんだということはどうも理由としては納得しがたい。その点は大臣としてはどういうふうにお考えになるか。
  16. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 一応私から申上げます。継続費の五カ年は、いろいろ問題もありましたんですが、結局五カ年ということになつております。その運用に当りましては只今小林委員の御指摘のありましたように、できるだけ濫用をしないようにという気持でこれを運用いたしておるわけでございます。債務負担のほうもあまり長期に亘ることが望ましくないことは勿論でございまして、私どもといたしましても、五カ年にそういう延長をお認め頂きました場合におきましても、これを認めますのは、極く特殊の、例えば製作に非常に長年月がかかるというような非常に特殊なものの注文の場合に厳重に限定するというようなふうに運用をしたいと考えておる次第でございます。ものによりまして非常に長くかかる。例えば天文台の望遠鏡といつたようなものは製作に非常に時間がかかるのでありまして、そういう極めて特殊なものについてだけこういう規定運用して参りたい、濫用は極力慎しみたいと考えておる次第でございます。そういう極めて例外的なものについてのみこの規定を活用するということで是非一つお認めを頂きたいと考える次第でございます。  なお十五条第三項の特に延期を認めて頂く場合、これは実は年限制限はないわけでございます。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 この年限後段のあなたの説明はどういうことですか。今の三カ年度以内とするということを十五条第三項はそれを五カ年度以内とする、こういうことで、今、説明ように、五カ年度にはしたけれども、なるべく厳密にやる、こういうことですが、但し国会議決によりその年限延長するものはこの限りでないともあるんだから、あなたのおつしやつた天文台の建設というような特殊なものであれば、その都度国会承認を得ればいいので、なぜこうぱつと五カ年間に処期しなければならなかつたのか。もつとほかに目的があるんじやないんですか。
  18. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 第十五条第三項は、一応三カ年にする、三カ年にするが、その施行状況その他を考えて、国会議決によつて更に年限延長をするものについてはこの限りでない、この場合には年限がもう少し、別に法律制限がなく、延ばし得るという、そういう規定になつておるわけです。ところが当初から三年では困難だというような問題もあるわけでございまして、そういうような問題につきましては、この十五条第三項の但書の活用で参りますよりは、そういう必要に応ずるために三カ年を五カ年ということで、而もその運用は極力濫用を慎しむべきでございますが、法律によつて承認を得ておくことが適当であると考えた次第でございまして、かたがた継続費のほうも五カ年ということになつておりますので、それと同じ歩調で五カ年までお認め頂きたい、さよう趣旨でございます。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 次は繰越明許費公共事業費との関係ですが、こういうふうに改正をして行くと、東さんの説には大いにそうであろうと思うけれども予算編成態度というか、心構えというものが可成りルーズになつて来るのではないか。年度内に使用できるかどうかということを正確にあなたのほうで判定をする努力を怠つて、とにかく一応は繰越明許費について国会承認を得ておく、こういうことで、勿論予算編成するときに、積雪寒冷地帯においてどの程度事業量がこなせるか、こういいうことは頭にあつて予算の数字を定されたはずなんです。それが年度内使用ができないよう予算をつけること自体が間違いであつて、そういう意味から言うと、あらかじめ使用できないかも知れないものを、繰越明許費にしておけば何でもいいということで、今後は積雪寒冷地帯公共事業費については、ことごとく繰越明許費という国会承認を求めることになるのではないか。その辺の扱いについてはどういうふうにお考えになつておるのでありますか。
  20. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算編成上の気持としては、只今おつしやいましたようなことで初めから繰越というようなことがわかつておるものを濫りに認めるべきでないことは正におつしやる通りであります。従いまして、こういう繰越明許費制度並びにそれに基いて翌年度に亘る契約を認める、これは例外的な処理でございまして、予算執行状況等に鑑みて、どうしても翌年度に亘る必要がある、繰越しが止むを得ないというようなものに限定して、この制度を活用して行くべきものと考えるのであります。従いまして、特に必要があるものにつきましては、運用を徒らに厳格にして煩瑣な手続でこれを縛るということは慣しむべきでありますが、この規定が適用される範囲につきましては、やはり相当厳選主義で行くべきである、特に必要なものを選びまして、それについては極力この制度を活用して、運用の妙を期待しなければならないと思いますが、広汎に流れるものにつきましては厳に戒しめたいと考えておるわけであります。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことで、私も今の説明通りならば、そのまま言葉通り受け取つて了承しますが、まず事故繰越について今までよりも可成り幅のあるやり方をやつて行くわけですから、この当初の予算査定が厳重であれば、おおむねその事故繰越が、今度の四十三条第二項の改正によつて、十分積雪寒冷地帯等の要望に副えると思う。それを更に繰越明許費についても又その或る程度範囲を拡げて行く、先だつての法規課長説明では、今度は寒冷地帯の公共事業費について相当繰越明許を認める含みを持つて説明である。二十八年度予算ように、八月一日になつて施行ができるようなつたというような場合は、これは例外として考えるべきである。今度のように四月一日施行予算が三月三十一日に成立するというような事態においては、余ほどの例外でなければ繰越明許というようなものをやるべきではなかろうと思うのですが、そういうことで事故繰越を可成り幅のあることにしたことと関連して、今度の繰越明許費の扱い方については、あなたの今の御説明通りならば問題はないけれども、三十年度予算についてはまだ具体的に、今までの繰越明許費範囲よりも、繰越明許費として国会承認を求める費目というものは殖えませんか。
  22. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 二十九年度における予算執行状況をも十分に検討いたしまして、御意見の点は十分検討いたしたいと考えております。第四十三条の第三に「予算の執行上やむを得ない事由がある場合」ということを書きましたのも、只今おつしやいましたように、何でもかんでも繰越明許にして翌年度に亘る契約をしていいという趣旨ではないのだということを強く現わすために書いたのでありまして、気持の上では只今申上げたようなことを考えております。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 私のようなきつい問い方をされると大分こつちになびいたよう答弁をされるし、東さんのような場合には可成り弾力性の含みを持つた答弁をする、そういう政治答弁は甚だ困る。東さんのやさしい意見があるように、我々のようなきつくしてもいいという意見もあることを十分に頭に置いて、予算の編成については厳重にやつてもらいたいと思います。
  24. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今の御意見十分拝聴いたしました。
  25. 野溝勝

    ○野溝勝君 私さつぱりわからなくなつたのだが、実は質問はやめておこうと思つたが、よくわからないからお伺いしておきます。法案理由書を読むと、「財政会計制度の合理化及び簡素化を図るため」というのですが、この法案内容を見ると、何だか複雑になつて来たようです。当局の言う簡素化とはどういう意味か、私ども素人の考える簡素化は、非常に簡単に明瞭になることだと思うのですが、この改正案から見ますると、十三条が改正されまして、従来代理支出負担行為担当官ということによつてつてつたのが分任負担行為担当官制度が殖えた。これは今度は便宜の処置即ち繰越明許費というものの取扱に弾力性を持たしたために、ころいうものが必要になつて来たというがその内容を簡単に説明を願いたい。
  26. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 技術的な点でございますので、私から御説明申上げます。手続の簡素の見地から今回数点に亘つて改正が行われましたが、只今の点も重要な観点であります。御承知ように、今建設省等の各土木出張所等におきまして、公共事業をやつております、そういう場合には、会計法の上でその出張所長を資金前渡官吏ということにいたしまして、百万円とか二百万円という一定金額を渡しまして、日々の必要な経費を賄なわせておるのでございます。その場合には、即ちその百万円の資金の範囲においては、契約を結ぶこと、又その契約によつて支払うこともできるのであります。ところが一面におきまして、資金前渡の額を余り多くしますと、いわゆる濫費の傾向を生じまして弊害が生ずるのでございます。それで、私のほうといたしましては、できるだけこの限度を下げたいのであります。ところが一方に仕事立場から言いますと、少くとも契約だけは或る一定の幅のものを認めてもらわないと困る。そこで今回従来の資金前渡官吏のその職分、即ち契約の職分と支払いの職分というものを分けて、一方において契約だけは五百万はする、併し支払いのほうはやはり五十万とか、百万とか、現金はできるだけ僅かにして、そして直接支出官から小切手で払うようにする。それによつて仕事の運営の便宜と、それから経理の厳正という、両方の要求を調整しよう。こういう考え方から、改めて分任支出負担行為担当官、こういうものを置くことにいたしました。即ち従来の支出負担行為担当官と申しますのは契約の権限を与えられた官吏でございますが、そのうちで一定経費を更にその部下の一定の者に、この経費についてこれまでの金額はお前が契約してよろしいという、いわゆる分任官を更にその契約担当官の下に置き得るという制度にいたしたわけでございます。これによりまして、現場の非常に差追つた要求、円滑に予算を執行するために資したい、こういう考えから置いたものでありまして、役人の職名が一つ殖えたので非常に複雑になつような印象を与えておりますが、実は非常に御便宜になるだろうと、こういうふうに考えております。
  27. 野溝勝

    ○野溝勝君 ますますわからなくなつて来た。この法律は二十四年に改正されたらしいですね。大臣はその当時おいでにならなかつたし、森永局長はその当時には中堅官僚として大蔵省におられた。そうすると、ここ二、三年前とはそんなに大きく変化を来たしたのですか。これをみると、この点に対する改正は昭和二十四年四月二十四号を以てこの条文改正していた、それからこつちそんな変化が出て来たのですか。その間の説明を聞かしてほしい。
  28. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 昭和二十四年にいわゆる支出負担行為制度が初めてできまして、そしてこの担当官の制度がそのとき併せてできたわけであります。まあ会計法規、財政法立場からいたしますれば、できるだけいわゆる厳正にする、従つて経理も一本に集中する、いわゆる分任官と申しますか、こういうようなものはできるだけ避けて行きたい、こういうようなことで、当初の出発点は、そういうところからただ一本の担当官だけを置いておつたわけであります。一方において、最近予算の執行につきまして、もう少し必要の限度において、弊害のない範囲においてはできるだけその執行が円滑に行くように手続を簡素化すべきではないか、こういうような御要求が他面に非常に強く来て出て来ておるわけであります。積雪寒冷地の場合もその重要な例でありますが、そういうような点から弊害ができるだけ生じない範囲においては、我々においてもできるだけそういう点をゆるめて然るべきものはゆるめていいじやないか、こういうようなことから分任官の制度を作つたわけであります。御承知ように支払いの権限を持つておる支出官につきましては分任支出官の制度が従来あつたのであります。でありますから、当時からその制度を当然考えてもよかつたかも知れません。併しながら初めて制度ができた当時でございますので、その際には分任官を置かないで出発したわけであります。最近の情勢から支出官と同じよう契約担当官の場合には分任官を置いても差支えないということで、初めて今回提案するようなことになつたわけであります。
  29. 野溝勝

    ○野溝勝君 積雪地域処置の問題は二十四年前から問題があつた。それは農村の現金収入というものは時期があるのですよ。だから金の入つた時期に納税のできるようにしてもらいたい、これは長年の問題でございまして、今日昨日に始まつた問題じやないのです。殊に積雪寒冷の地域における納税問題、これは長野県でも当然関係ありますから至急期待に副うよう措置されたい。ただ併し我々立法府のものとしては、でたらめな且つ思い付きの法制規定は国政上非常に弊害を起すと思います。そういう点については慎重に善処したい。この点については小林さんの見解と考は一致しているわけでございます。特に私は今、森永さんの言うような解釈乃至は意見が即ち分任支出担当官制度というものを又置くことになつようにも聞えるのでございますが、さよう考え方から制度を設けたとしたら問題を起すと思います。もつと抜本的に、納税性格及びその時期これを明らかにしてもらうことのほうが、立法府としては正しいのじやないか。ただこれが、一事務当局によつて操作ができるというようなことになると問題だ。又、出先の事情と言いましようか、考え方は、絶えず問題を起して大蔵本省に伺いを立てて来なければならんようなことになり、中央のほうでは弾力性を持たせて政治的な答弁をする、地元のほうでは消極行政を徹底した考え方を持つ。ここに一つの行き違いを来たす、こういうことはたびたびあることです。この問題でなくても、そういうことは皆さんよく知つているところだと思うのでございます。例えば大蔵省の下級機関である税務当局に税収額の予定を示す。政府は割当をしていないと言つても地方はこれを割当として大体の枠を立てる。問題の起きたとき政府に抗議すると、政府は枠はないと言う。下級は大体その枠に当て嵌るように成るべく成績を上げなければならんというようなことで、絶えず問題を起しているわけでございます。私はこれ以上申しませんが、こういう点については、ただこうした抽象的なきめ方でなく、事務的にこの手続上の職名を改正するということでなくて、もつと根本に遡つて、この制度を置かなければならぬかどうかを検討する必要がある。そういう点を一つ明らかにして頂きたいと思います。  それから第二に私の質問は、社会党などにおきましては、従来会計検査院というものは実に仏作つて魂入れずで、無力のようなもので、これじや意味がない、だからこれを強化しようという見解を持つているにも拘わらず、財政法の一部改正法を見ると、なんだか会計検査院というものは用はないというようなふうにも解釈できるのです。要するに本法案ではこれを削るということになる。この削除するという理由について御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私どもも、会計検査院の職能につきましては非常に重視しておりますし、会計検査院の意向をつねに尊重して会計の経理の事務をやつているつもりでございます。ただ問題の三十四条のいわゆる支払計画の通知につきましては、これは御承知ように、この規定は、いわゆる支払計画、年に大体四半期ごとに各費目につきましてこれだけの分は支払つてよろしいという計画を、結局大蔵大臣承認に基きまして各省がそれを得まして、それによつて支払をやつて行くおけでございます。で、四半期その都度ごとの支払計画というものを会計検査院としては直接に必らずしも必要としないという会計検査院の御了解を得まして、今回主として手続の簡略化ということからこれをやつたのであります。支払計画書というのはこれはなかなか大変でございまして、元の原本を各省大臣が手許に一部持つておりますし、それから大蔵大臣はこの承認を与える仕事立場からどうしても一部要るのであります。それからこの支払計画を甘木銀行に通知いたしまして、日本銀行は大蔵大臣承認を経て支払計画が到達しない問は如何なる各省の要求に対しても小長手を振出さない、こういう必要から日本銀行にも支払計画が行つている。それから各本省からの出先の機関に対して又その写しの一部がどうしても行くのでありまして、それやこれやで支払計画が五、六十部になるのであります。これは非常にこういうところで説明するにはふさわしくない事務的なことでありますが、丁度カーボンで写しますと一枚でとれるかどうかで、もう一枚、もう一度書き直すかどうかという境目になるくらいの枚数になるのであります。併しながら会計検査院は四半期毎の計画を一々受けなくてもいいと、こういう実際上の、実務上の点から、この認知を略したのでありまして、決して検査院の仕事の意義が非常に軽いと、こういう意味からこれを削つたのではございません。検査院と十分相談をし、その了解を得まして、そうして単なる通知であるからと、こういうことであります。勿論年間を通じましていつも検査院は必要な資料を要求することができますし、それから年間の支出済みの報告は勿論受けておるわけであります。ただ支払計画書という、大蔵大臣各省に四半期毎に与える計画書の通知を略する、こういうことであります。
  31. 野溝勝

    ○野溝勝君 まあ大体その規約ですね、こういうものに、法律上に規定されてあればその通りやるのでございますが、規定されてないことは、そんなものは申合せで、そんな規定がなくてもやると言うが、官僚事務なんというものは、僕らも知つておりますが、そんな生まやさしいものじやないと思うのです。やはり規定してなければ何もそんなものはやらんでいるのでございますから、あなたたちの考えているのは……あなたたちの時代にはそういうことをやつて、あとは忘れてしまう。だから特に私は一般に大蔵省フアツシヨだとか、大蔵省官吏は頭のいい諸君ばかり揃つているから、非常に独善だとか、どうもそういうことを言われるのだ。だからそう言われぬためにも、こういろものがあつたほうがいいと思うのです。ただいろいろ面倒だ面倒だと、それは今まで何十年間において、何が面倒か知らんけれども、こういうものがあつて妨げになつたから……今まで大蔵省は今日や昨日生れたわけじやないのですから、急にそういうことをすることは誤解を起しやせんかと思うのです。さもなくてもこの頃は疑獄だとか、汚職だとかでますます国民が疑惑を持つているときであります。まじめな皆さんにしては実はこういうものがなくちや却つてやりにくいのじやないか。不まじめなかたならば、こういう厄介な存在なんというものはなくなつたほうがいいかも知れませんけれども、まじめなかたは、こういうものがあつたほうこそ却つて会計検査院がしつかりしてくれて、こういうものがあつたほうが却つていいのじやないのですか。私はそういう意味においても、むしろ大蔵省の独裁とか或いは独善とかいう傾向を輿論から払拭するにもこの点を強調したほうがいいと思うのですが、これがあつて悪いということは別にないでしよう。むしろ私は日本銀行などは大蔵省と同じようなものだから、この方式は大して必要がないと思うのだが、むしろ会計検査院を残して日本銀行のほうを削つてしまつてはどうだろうか。
  32. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) それでは支払計画の制度を簡単に御説明申上げますと、四半期毎に各省から一年間の予算を大体四半分いたしまして、経費によりますが、大蔵省承認を求めて参ります。そういたしますと、大蔵省といたしましてはそれの承認をいたしまして、直ちに日本銀行に通知するわけであります。日本銀行はその支払計画の通知がありまして初めてその各省の要求に応じて支出をする、こういうことになつておるわけであります。従いまして、いわばこれが日本銀行の資金を出すか出さないかの枠、めどでありまして、日本銀行が支払の仕事をするための絶対に必要な一つの条件になつております。従いまして、日本銀行の通知を省略するということはこの制度の建前からできない、こういうことになつております。それから会計検査院が検査に当る場合には、実はこの支払計画、これは只今申上げましたように四半期の一定の計画に過ぎないのでありまして、これに基いて実際の支出がどう行われた、こういうことはこの支払計画の額から直ちに来ないのであります。会計検査院は実際に支出せられた金額が適法に且つ妥当になされたかどうか、こういうような点を検査される建前であります。従いまして支払計画書は直ちに直接に仕事関係上要らない。従来は会計検査院ということで、いわば何でもかんでも通知をするという面もあつたのであります。まあ長い間、各省の下のいわゆる経理の担当官の立場からすれば、随分不利な不便なこともあろうと思うのであります。それが最近やはりいろいろと研究をいたしまして、必ずしも必要のないものは、一方に不要な事務の負担をかけることになりますから省いて行つたほうがいい、こういうことでやつたわけでありまして、会計検査院自体も、勿論、重要な検査院の職務に鑑み、若し必要な資料でありますならば、私どもがここにこういう提案をすれば勿論賛成を頂けないわけでありまして、今回十分その御了解を得てこういう措置をしたわけであります。
  33. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは私は今日でもいい、この次に会計検査院を召喚してもらいたいと思うのです。その際に私は質問したいと思う。一体、会計検査院は何か。この支払の関係内容或いは検討、こういうものが十分行われないような会計検査院なら、こんなものは用はない。若しそういうことが簡単に話合いができるとすれば、一体、国会における決算委員会で、この支払がどう行われたかということについては会計検査院が重要なる任務を持つておると思うのです。徒らに会計検査院がこういうような問題を軽く扱うということは、会計検査院の存立の意義ということに非常に不可解な感じを持つ。立法府として重要なる問題でございますから、いずれ会計検査院を招致してもらい、どうしても早くこの法案を上げなければならんというなら、今日でもよろしうございますが、直ちに会計検査院当局を呼ばれて一応意見を聞いてみたいと思います。そんなだらしのない会計検査院だから、両院の決算委員会において聞かれても何もわからんようなうやむやな状態です。そういう行政機関なら私は却つて意義をなさんと思う。そういう点について全国民に申訳ないと思うのです。ですから、その点を申述べておいて、この問題の質問を打切ることにいたします。  最後にもう一つ事務当局に聞いておきたいのは、一体こういう支払事務を簡単にする、簡単にするというのですけれども、何と言いましても、国家の経理、特に出納、そういうものがいつも問題になるのでございますが、実際その第三者的なそうした監督機関と言いましようか、監査機関と言うか、会計事務を処理する、乃至は内容を明確にしておくところの機関というものは、一層私は必要に思つておるのでございますけれども、それがなかなかいろいろな事務支障を来たすというのですけれども、事務支障を来たすにしろ、それでは事務支障を来たさない能率化の問題についてこうしようという意見があればわかりますが、これを全部会計検査院を削つてしまつては、それでは問題が、ますます疑惑を起すようなことが私は出て来ると思うのですが、そういう点について特に、こういうものを削つてしまつて何ら故障は起らないというようなこと、更には何ら外部の疑問は起らないということが立証できるようなことがあるのですか。その点について参考にお伺いしておきたいと思います。これは一つ大蔵大臣からお聞きしておきたいと思います。小笠原さんから簡単に見解を……。
  34. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 会計事務の適正なる執行、これはもう国民の血税でございますから、もう我々としても至上の命令として考えておるわけでございます。他面、会計事務もだんだん煩雑になつて参りまして、それに対する簡素化の要請が非常に強いわけでございます。前に一回簡素化の措置を講じたのでありますが、その簡素化にも、只今おつしやいましたような会計事務の適正なる執行という観点から限度があるわけでございまして、その必要限度は私ども常に確保しなければならない、さよう考えておるわけでございます。従いまして、今般のこの財政法改正に当りましても、関係各省におきまして、行政整理の折柄でもございまするし、会計事務をもつと簡素化してもらいたいという切なる要請があつたわけでございますが、私どもは他面における会計事務の適正なる執行という要素も織込まして、まあ今回提案いたしましたくらいの、これは極く小さな改正でございますが、このくらいのところが限度ではないか。この前の簡素化ということもございまするし、今回簡素化を実施いたしますとすれば、御提案申上げましたこの程度にとどまるのではないかというようなことで、この提案をいたしましたわけでございまして、適正なる執行を確保する上における最小限度の要請はこれで大体確保できるのではないかと考えるのでございます。会計検査院の問題がお話にございましたのですが、私ども会計検査院のより活発なる活動を期待することにおきましては決して人後に落ちないのでございまして、今般の支払予算の通知をやめることにいたしましたのは、これは何ら検査院本来の活動には支障がないのではないか。各省に対しまして検査をいたします場合に、この支払予算がどうなつているかということは、各省に原本があるわけでございまして、検査の際に十分それを見ることもできまする次第でございまするから、事務簡素化の要請から申しまして、この程度のものはなくてもお済まし頂けるのではないか、さよう意味で会計検査院のほうも御同意を願つたのでありまして、適正なる執行という観点からの要請には欠けるところがないのではないか、さよう考えておりますので、御了解頂きたいと思います。
  35. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると、まあ森永さんの御説明でわかりましたが、私も行政庁の整理の煽りを受けたように見ておるのですが、今お話の中で、支払予算の検査では支障を来たさないと、これは検査院でもさように申しておるというのですが、そうすると、今まで一体この会計検査院というものはこういうことが必要であつたのですか、なかつたのですか。又こういうものが必要でなくなつたということは、ただ行政機構の整理の排け口といいますか、部分としてこれを取入れたということなんですが、今まではどうなつてつたのですか。
  36. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 必要がなかつたということではないと考えます。一応この通知をお取り頂きまして、それ相当の御活用を願つてつたと思うのでございまして、実は今般の簡素化に際しまして、この支払計画そのものの承認がもう要らんのじやないかという意見も実はあつたくらいなんでございます。各省立場からそういう要請もあつたくらいでございまして、殊に四分の一と機械的に分けるというようなものにつきましては、取り立てて四半期ごとに支払計画を立てるという必要性も薄くなつて来る面もないではないわけでございますが、私どもは必ずしも機械的に四分の一ということではない。又、歳入と歳出との時期的な調整を図るというような問題もございますので、最小限度支払計画を残す必要があるということで、この制度を残すことにいたしましたが、それならそれで、各省がこの支払予算計画の書類を作る手間はできるだけ簡素化しよう。写しう一部でも少くすることが、先ほど総務課長からお答えしましたように、即ち事務を簡素化するということに寄与する面もございますので、検査院としても全然お使いになつていらつしやらなかつたということでなくて、それ相応の御活用を願つてつたと思うのでございますが、この際はこれをなくて済まして頂くということの御了解を得たわけでございまして、不要なものを取つてつたということでもないと存ずるのでございます。
  37. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 会計検査院には今出席を要求いたしております。
  38. 野溝勝

    ○野溝勝君 それではその際に又質問をいたします。
  39. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 成るべく大臣に対する質問を願います。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 国民金融公庫に関する件で、今度の改正によつて恩給を担保とするものに対しては、生業資金以外の資金、即ち消費資金を貸付けることができる、こういうことに改正になるわけでございます。これは恩給受給者にとつては非常な福音であり、その意味においては私は賛成でありますが、今までの終戦以来今日まで、大蔵当局のとつてつた、消費資金に対しては金をつけない、金融しない、こういう建前がこれで一つ穴があくわけです。この点について大蔵大臣としてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  41. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は国民金融公庫ができますときも、いろいろ話がありましたが、恩給担保に対する金融が、別に恩給金庫から出ておりましたのがなくなりまして、そこで恩給証書だけ持つておるというかたが、生活のために、金を借りるためにどうしても行くところがないから高利の金を借りる、こういうことでは困るから是非何とかしてもらいたいという、これは実はこの参議院においても非常に強い要望がございました。衆議院でも強い要望かございました。国民金融公庫等でやるといたしましても、生業資金というふうに限られておりましたものですから、それで取計らいができませんでしたので、そこで今度そういうような御要望を実は容れまして、それで大体初年度二十億ぐらいを今割り振るという考えになつておるのでありますが、尤もこの運用のほうもありますから、回収するほうもありますから、二十三億ぐらいの金はできるかと思いますが、それで、こういうことによつて恩給証書を持つておられる方々が高利のところに行つて高利にさいなまれるということをやめたい。こういうことの点からこの法案を出しておる次第でございまして、おつしやる通り一応穴があくように見えますが、こういうことをどこかでやらない限りは、いろいろな点において受給者が非常にお困りになるので、この程度がよかろうかと存じまして、今回特に御審議をお願いしておる次第であります。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 私の申上げる趣旨は、金融政策に関する問題で、こういう恩給受給者につきまして、特に生活困窮者に類するものもあるわけです。お話のごとく金融のつかないために高利に走る。これは我々もこの委員会でも指摘した通りで、この恩給受給者に対してこういう措置をずることに私自身反対でないことは申上げておるので、ただ今後の金融政策として一体こういう類いのものを取上げるのか。これは例外であつて、恩給受給者についてのみこういうことをするのであつて、他のほうでは考えない。例えば有価証券担保に消費金融をやるというようなこともやるのかやらないのか。こういう大きい問題で聞いておるのです。
  43. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) その点は、これは全く例外的に取計らう考えでございまして、御承知のこの恩給証書を持つておるかたというのは、皆老齢なかたで、生業資金がちよつと容易に得られませんので、こういうことを全く例外的にお取計らい申上げたい、こういう意味であります。
  44. 平林太一

    平林太一君 大蔵大臣お尋ねしておきますが、この法案で恩給を直ちに現金化するという処置をいたされたことは、近来のこれは大蔵大臣の大成功として一応賞讃いたしておきます。(笑声)そこで二十億というのですが、これは何ですか。この法案議決されると、つまり資金は新らしく恩給金庫に措置する、こういうよう承知してよろしいのですか。
  45. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今度恩給金庫のほうへ出資金として二十億、借入金は九十一億、合計百十一億出ることになつております。そのうちの分の配分方に、普通貸付が六十二億、特別小口貸付八億、恩給担保貸付二十億、それから借入金返済二十一億、そういうふうに見てございまして、本年度国民金融公庫に対する資金計画に見てございます。
  46. 平林太一

    平林太一君 それじやどうも困るのですね。あれは、いわゆる国民金融公庫の今日行なつておりまするところの金融措置というものは、先刻申上げた通り吉田内閣としては賞めるのはこれ一つくらいですがね。これは非常にいいことなんです。そこで、それをその中へ食い込むということじや……資金計画はもうすでに発表しておるのです。国民金融公庫の手持資金とそれから例の一般会計、それから預金部資金、こういうもので、内容は私ちよつとここで正確に記憶いたしませんが、総計三百二、三十億に達しておりますと思いますが、その中からこれを措置するということでは、それでは国民金融公庫を賞讃するという意図が挫折してしまうわけです。恩給担保金融に関する二十億円というものは、これが議決ざれたら、いわゆる予算措置を新らしくこれは作るのでなければ困る。その点はどうなんですか。
  47. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は国民金融公庫の資金計画につきましては、お手許の御参考には出しておりませんが、まだ一般に公表しておるというものではございません。それで昨年に比べれば相当増額になつておりまして、この貸付計画は、普通貸出の計画が大体三百三億円になつております。そのうちの新規の資金が先ほど申しました六十二億円、回収いたしますものが二百二十九億円、更に新規の分で回収するものが十二億円、総計で三百二億円であります。特別小口貸付の分が二十三億でございまして、そのうちの新規資金が八億円、回収金からの十五億円をそれに廻していくということになつております。恩給担保の分は新規の資金が二十億貸しますると、回収金もできますのでこれが三億、計二十三億、合計いたしまして普通の貸しが三百三億円、特別小口貸付が二十三億円、恩給担保貸付が二十三億円、こういうふうで、合計いたしまして三百四十九億円。昨年に比べますれば相当増額になつております。ころいう次第です。
  48. 平林太一

    平林太一君 これは私のほうで今そういうことを新らしく、これがいわゆるこの法案議決を求めるのですから、それに対しましては、今お話なつように、資金計画として計画をされたその中にある、こういうことですが、事態はまあ今、特別小口貸付のお話もございましたが、これは本月十四日から実施しておるようですが、五万円と承知いたしておりますが、これも極めて適切な方法である。一昨日も千住の皮革商が一家心中をした。それに対してそれの資金の措置というものが恐らくこれは大したことじやないと思う。五万か十万くらいのことでそういう事態になつた。ところがそういうなには全然自己の資金以外には、いわゆる対人的な資金の関係……信用によつて求めるということはできない。それからいわんや公共的な資金というものなどは全然求められない。  この前も申上げましたが、中小企業金融公庫というものは、実はこれは看板倒れなんで、このくらい悪質なものはない。あれは何の役にも立つていません。中小企業金融公庫という明文を掲げていて、実際はいわゆる大企業の資金というものにあれは偏在している。ああいうことは実に許しがたいことなんです。中小企業金融……中小企業とはいわゆる中、小というのだから、小企業というものが入つている。一家心中をするようなそういうものが皆該当しているわけです。ところがこれが何百万という貸付なんです。それで今非常に複雑多岐な……これに関連しますから申上げますが、大蔵大臣一つ中小企業金融の貸付をした実態をお調べになつてもらいたいと思う。もう恐らくこれは今の開発銀行の貸付けているよう政治関係によつてその資金を貸付けているということがはつきりいたしておる。今の坂口某というような総裁というものは、官僚の一番これは捨て所のない悪質の人間なんです。これが総裁という……まあ総裁というには身分不相応な者を選んだ。あの程度の者は……。だからその感覚で皆大企業に貸付けることのみ彼らはやつておるわけなんです。そうして中小企業には何もしていない。それをせめて救つているのがこの国民金融公庫である。私は与党でも野党でもないわけです。極めて公正な、公平な見地からこれは申上げている。まあこの機能というものは非常によろしい。それで無担保で貸付けておる。期日も案外早く貸付けているように、私は私の調べたところでは思つております。それで而も全国各地の状況を見まするに、貸付けると言つても担保がないのですから、一応申込者に対する調査ということは、これはしなくちやならん。金のことですから……。ところがこれもまあ山間僻地に至るまで皆んな靴を摺り減らして行つて調べて、そうして大体すぐ貸付をしておるらしい。而も大体二十カ月という。今度の特別小口貸付は六カ月か三カ月のようですが、今まで十万貸付けておるのが大体二十カ月、ですから、月賦なら十万借りても一カ月に五千円返せばいい。利息は年に一割、これは実に救われる。これは非常に効果がある。大衆の金融、特に中小企業の金融というものに非常にこれは役に立つておる。非常に成功だと思う。だからそのことを申上げる。  ですから、この際関連して、第一点には中小企業金融公庫に対する根本的な御検討を願いたい。これは私のほうから願いたいなんということは初めて言うことなんです。(笑声)私は指示命令するというところなんです。国家のためこれは替えがたいから願いたい、こういうことです。えらいことですよ。あんな中小企業金融公庫というものは必要ないと思う。あれは若しおやりになるならば、大企業金融公庫というものをお建てになつておやりになることは別なんです。中小企業金融公庫と言う以上は、そんなことならばああいうものは必要ない。あれだけの資金を、今年も二百億くらいあつたらしいが、あれを国民金融公庫に持つて来れば……。而も地方に、国民金融公庫の場合は各府県にそれぞれ支店なり事務所があるのですから、これくらい便利なことはないのです。極めていい。ところが中小企業金融公庫というものは、開発銀行を何か小さくしたような思い上つた態度でやつて行くというわけなんです。二百九十億というものを措置をしたことが却つてそういう非常な害毒を流しておる、今日は……。直ちにこれは一つ御考慮願いたい、機構の改革を……。そうしてこれをやはり真の中小企業のために……。あの千住の心中の問題にしても、一家四人が外へ出て死ななければならん原因は何もない。要するに運転資金が行詰つたということなんです。それで税金だけはどんどん出さなくちやならん。こういう事態である折柄、今あれしておりまする恩給金庫というものに対しましては、第二条、第三条にありまするいわゆる戦傷病者戦没者遺族等援護法、こういうものにもこれは処置されるはずですから、このくらいいい美事善行はない。だからこれに対して、この資金が今お話になつて、計画をしていたら三百二十何億あるということでは、せめてこれだけ立派な法案をお作りになつ大蔵大臣としてはもう一歩というところです。これは法律が通つたら二十億円というものは、それぞれ国家が一兆円もの予算を何しているのだから、二十億くらい何して来ることはできるのですから、このことに対しては、大蔵大臣もこの際、いずれにしても吉田内閣というものは五年も十年も続くものではないのですから、こういうものは一つあなたの因果応報というか、いい何としていい善果をお残しになる、そうして二十億円というものが五万円ぐらいずつ借りて行かれたならばどのくらいあれするかわからん。そうして一家心中をも救い得る。これはそういうことがなければわからんが、実際においては、結果においてそういう事態が非常に出ている。だからこれは和気語々として中小企業者の家庭をこれによつていわゆる処置する、こういうことですから、一つ、二十億円というものは、私は何も事務的のことを何だかんだということは、私自身としては好まない。できないことをやるということが政治なんだから、できないことをできるようにするのがいわゆる政治交渉というのだから、国会というものはそういうものです。事務的には今森永君が御指摘になつ通り大いに信頼している。併しそのことをやることが、私は大蔵大臣としての政治的な仕事だと思う。だから是非二十億円を、今の御説明ではどうしても既存の国民金融公庫に対する、いわゆる予定した資金措置というものはいたしてあるというお話ですが、それでは世の中のやはり現実、実質において、折角の効果、それを何か十分に生かすことができない、そういうことを非常に遺憾に思う。だからこの際は二十億円でいいですから、いわゆるこの恩給担保に対しましては、どうか一つ特別にお考え願いたい。
  49. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は国民金融公庫の恩給貸出をするということはきまつておりましたものですから、それで最初からこの法律案を出すことになつておりましたので、二十億というものを特に見てある次第でございまして、全体から見ますると昨年より四十数億、ほかの公庫は大体減らしているのにかかわらず、これが四十数億の金を全体としては増している。資金の増加、回収その他を見て、結局本年の資金計画で四十三億貸出が殖えて参るというのはそういう点からであります。但しおつしやつた趣意はよくわかりますから、今後とも機会がある毎にこれが資金の増額に努めたいと思つております。  それからどうも中小企業金融公庫が非常に槍玉に上つて、少し実情が違うようですから、私の監督者としての立場から御説明申上げておきたいと思います。中小企業金融公庫は決して大企業に金を貸しておりません。それが第一であります。中小企業金融公庫は、資本金千万円以下、従業者三百人以下に金の貸出をしているのでありまして、対象がそういう決して大企業に貸しているものではございません。この点、少し誤解があるのではないかと思われます。第二に、この中小企業金融公庫は、その中小企業のいえあば企業の合理化をする、近代化をするために出すことが主になつておりまして、従つて金額も五カ年間という長期に出し得ることに相成つております。大企業はそれぞれ近代化、合理化ができることになつているのであります。中小企業は、繰返して申上げまするが、中小であります。決して大きな企業ではございません。それが少しも金がないために、近代化、合理化ができないので、てこで近代化、合理化をさせるために、通常下請でやつて行く上においてもそういうことが必要でございますので、そういうために金を供給している、こういうので、一種の事業資金でありますから、余ほどこの点が違つているのであります。それから店舗がないことについてのお話がございましたが、できましてすぐに働くというために、経費がかかるようなところへ店舗を設けることはできませんので、開業即日、今まである銀行窓口として恐らく四千以上の窓口がありましよう、そこで資金の融通をしてやつておりますが、併し近く大阪に支店を作ることになつております。そのほかに既設の機関を、つまり各銀行等を使つておりますので、多少その点について、これはいろいろ御不自由の点もありましようけれども、併しできましてから、ほんのまだ一年でございますから、平林さん御存じの通り……。これはそういうわけで止むを得ないと私ども考えておるのであります。  それから大体の大蔵省のほうの考え方としますと、そういつた中小企業に対するいわば企業の合理化とか近代化等に使う金は中小企業金融公庫で賄う。それから組合等に行つている、いろいろな組合関係等での協同利害その他から起つてくるもの、又、組合員としての貸出を受けるものについては、いわゆる商工中金でこれを賄つて行く。更にその二つに及ばない零細な資金を要求されるかたに対しては、つまりこの国民金融公庫というものを持つて行く。この三つで政府考えている中小企業その他に対する金融をやつて参る。こういう考え方であります。そこで、もう少し中小企業のかたには御辛抱願いたいと思います。御趣意はよくわかりますから十分監督いたしますが、平林さんのような御意見もあるが、同時に五百万貸してもらつて自分のところで開業して、非常によかつたといつて感謝されているような向きもあるのでありまして、決して中小企業者に金が無駄使いされているものでないということは、これは私は堅く信じております。併しながらいろいろ御意見のあつた次第について、今後とも監督すべき点は十分監督し、そうして折角成績を上げるようにやつてもらいたい。決して大企業のみに貸出している、大企業と改めたらよかろうというようなものではございませんので、どうかその点は十分誤解のないようにお願いしたいと思います。
  50. 平林太一

    平林太一君 それは大きく誤解がある。それは何かと言えば百億でしよう、二十八年度のいわゆる貸付総額において百億円だと私は承知しております。貸付ているのは四千七百件なんです、そうすると平均やはり二百万円内外貸しております。こういうことになる。そうすると、これは中小企業という看板を持つて日本中八千八百万のうちで四千七百件しか貸付けていないというのでは、中小企業というものじやない。大臣がおつしやる通り三百人以下とおつしやるが、結局、工業の場合で三百人、商業の場合は三十人、こういうのが通産省あたりの中小企業の対象にした人員の目当らしい。ところが三百人で工業をやつているというような人は中小企業とは言えないですよ。商人でも自分の家の者以外に三十人の店員を使つているというような商店というものは、地方へ行けば殆ど稀有というべきなんです、そこに非常な大臣の誤解があるようですが、善意の誤解と私は受取るが、非常に大臣の誤解なんです。今日中小企業をなぜ救わなければならんかというとこころの対象になつているのは、いわゆるそういう対象じやないのです。本当に庶民の間に行われているところの、家中だけで、本当に学校へ出したいのだが出せない、それも店員として使つている、或いは親戚の就職しない者を取りあえず手伝わしている、それが中小企業であります。だから昨日一家心事した皮革商というような全国の中小企業というものを対象にして然るべきなんです、だからそれは二百万なんというものじやないです。これは十万か二十万を貸付ければ起死回生なんです。そうしてそれが一つ制度になつて、思わざるいわゆる自己資金になつておる。そうしてそれによつて非常な飛躍をする。勤勉、何といいますか、努力ですね、もうリベートなんというものは毫末も考えていない。そういう人は本当の意味の営々たる汗の結晶であれだから、二十万円ぐらいの金が行きますれば、それでもうずつとそれが伸びて行く。それを私は中小企業と言われていることは非常に遺憾だ。非常に残念だ。そうして国家資金を二百万円貸付けるのだということをおつしやる。中小企業金融公庫はそういうことなんだから。それは決して中小企業ではない。中小企業の名を奪つて大企業がやつているのだ。それから今の企業の合理化とか、まあいろいろ科学的とか何とかいうことは、私どもは学問がないからわからないが、そういうようなことは、今言つた通り、開発銀行とか市中銀行でも十分にどしどしこれは利用しておるはけです。それだから市中銀行はオーバー・ローンしているわけです。不正貸付、厖大な偏在した貸付をしているから、それでオーバー・ローンしているわけです。二兆六千億のところで二兆七千億も貸付をしているわけです。それだから国家が中小企業というものをどうしても今のようなお考えでは困るわけなんです。その点を一つつて頂きたい。まあ併し考える、こういうことですから、一つここでそれ以上は善良なあなたには申上げません。それ以上追及することは……。だからそれを一つ十分に何して頂きたい。それから国民金融公庫に対しては、今のお話もよく了承しますが、いずれこれは措置したその二十億円というものは、いろいろな御説明があつたが、それではこの法案はこれが若し議決にならんときにはどうなるか。二十億円というものは使うことができないわけなんです。ですから、そういうようなことが、私のほうでもそういうまあやりとりはいたしませんから、それだから、本当にいいことなんですから、いいことだから、いずれ本年のまあ割当はこれでよろしいでしよう。よろしいから、第二・四半期、第三・四半期でも、そのときになつて一つこれを措置するようにということを、一つ固くこの際に申上げておきたいが、これは大蔵大臣としても余りこだわらずに一つ答弁を、そういうことをやりますと、まあやりますと言わんでもいいから……(笑声)これはやつてもらわなくちや困る問題ですから、これは二十億円をこのぐらい、今のお話ようなことでは、これは我々法案議決するのにそういうことでは非常に困るということを申上げたのです。
  51. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この問題は、これから一つ現実に貸出等の問題が起つて参りますから、十分御趣意に副うようにいたします。それから今の中小企業の金融公庫のことでありますが、私はお話の趣意もあるし、もう少し低いところに余計貸出をするように、向うのほうともよく話するようにいたしましよう。私が申した三百万円とか五百万円とか、こういうのは最高限でして、それは一番上のところを申したわけでありますから、さよう御了承願います。
  52. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 会計検査院の池田事務総長出席いたしましたから……。
  53. 野溝勝

    ○野溝勝君 池田さん、今回財政法の一部改正法案が出たのですが、これによると、「第三十四条第三項中『及び会計検査院』を削る。」ということになつていますね。そうすると、支払の計画について大蔵大臣承認したときは、あなたのほうは用がないのだな。そうすると、会計検査院というのは何の仕事をやるのですか。
  54. 池田直

    説明員(池田直君) お答え申上げます。  会計検査院は、予算の支払計画が各省に示達に相成りますと、従来今お話通り会計検査院も各省と同じように御通知を頂いておりました。併し私のほうといたしまして、従来通り支払計画の示達の御通知を頂くことが全く必要ないわけではございませんけれども、実際私どもが検査いたします場合は、各支出官が、これが各省大臣からそれぞれ支払計画の示達を詳細に受けりす。その間の数字を別途各支出官ごとに支出計算証明をいたさせて、そうしてその計算証明によりまして、各支出官ごとの支払計画を押えまして、その範囲内において支出の負担行為、或いは支出をいたすわけでございます。これを集約集計いたしまして、各省ごとに全体の支払計画がどう来ておるかということを押えるわけでございます。ここで、この第三十四条の支払計画の通知につきましては、会計検査院といたしましては、各省について直接これを確認するなり、或いは大蔵省の主計局から別途これを確認するなり、そうしたことで検査が十二分にできまするので、会計検査院といたしまして、これを削除に相成りますることが検査上特に支障があるとも見えませんので、今回の削除の案も、会計検査院といたしまして、主計局が事務簡素化が非常に必要なんで、この関係を削除しても差支えないかどうかというお話がありましたときに、会計検査院といたしましては、今申上げましたような事情で、検査上特に支障を認めなかつた関係上、止むを得なかろうということで、私ども同意いたしておるような次第でございます。
  55. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると池田さん、一体、国会などで予算の使途等について始終論議をされているのですが、なおここに問題になつているのは決算ですが、決算などについても特に問題のある場合は、この会計検査院の表明を唯一の頼みと言いますか、期待を持つているわけでございます。この支払の事情がよく呑み込めないでおつて、そうしてかよう決算等に対する問題点のある場所、並びに内容等につきまして、国会からさような質問などあつた場合に、詳細答弁に支障を来たすようなことは全然ないのですか。
  56. 池田直

    説明員(池田直君) お答え申上げます。御尤もな御意見でございまするが、会計検査院といたしましては、只今申上げましたような事態で、各支出官ごとに、これをよく支出の内容等について詳細証明をいたさせまして検査いたしておりまするので、国会等の御要望がありますれば、特に又特定の事項につきましては、できるだけ御期待に副えるようなふうに努力いたしておるような次第でございます。
  57. 野溝勝

    ○野溝勝君 国会の要望があれば云々なんということはおかしいですよ。あなたのほうの任務、性格というものは、もう私が言うまでもない、よくわかつておいでなんです。或いは会計事務の厳正執行が行われているかどうかということを検査するのが検査院の主なる任務なんだから、そんなことを国会質疑或いは要求があるまでもなく、私はその任務並びに性格においてその完璧を期してもらわなければならんと思う。私がいうまでもなく、もう池田さんも耳に入つておるでしようが、会計検査院の無能を言つておるのです。無能を。一体何をやるのか、会計検査院は一体行政機構として会計検査院の能力を発揮しているかどうかということで、この頃、価値論が出ているのですよ。会計検査院はこういう点から見ても、私はむしろ姥捨山のような感がする。ざつくばらんにいえば……。これでは相成らんと思う。私どもは実際に会計検査院の重要性を感じておるのですよ。それが余り機能が発揮できないところに大きな私どものうらみがあるわけです。そういう点から、若しだんだん手をもぎ取られ、足をもぎ取られ、しまいには何をもぎ取られるか、心までもぎ取られてしまつたんでは、そんな機構は私は用はないと思う。そういう点について、あなたは、一角づつ外郭を崩されて行くのだが、それで一体、これで会計検査院の任務なり或いはその性格なりの仕事ができるかというのですよ。若しそういうような場合に、あのときは惜しかつた、誓いうことが拝ればこういうことにならない。あのときにあそこが生かしておいてもらえたならば、私どもは十分そういうことの完璧を期し得たというようなことをいうことは遅いのでございますから、で、私どもは今からあなたの責任ある答弁を聞いておきたい。こういうわけです。
  58. 池田直

    説明員(池田直君) お答え申上げます。御意見は十二分によくわかります次第でございまして、かねて国会その他皆様方が会計検査院に対する期待を強くお持ちになり、私どもといたしましても、現在の権限なり権構なりによつて、全力を挙げて、少しでも皆様方の御要望、御期待に副いたいと努力いたしておる次第でございまするが、今の御意見の通りまだまだ皆さんの御期待に十二分に副い得ていない事情につきましては、甚だ私、遺憾に存じておる次第でございまするが、私どもといたしましても、次の三十年度予算の編成等に当りましては、皆様方の御意見、御要望、御期待等を十分に胸に置きまして、少しでも御期待に近ずけるように努力したいと思つております。なお先ほどは、少し私の表現がまずかつた関係もありまして、特に又只今御意見を頂きました次第でございまするが、私どもといたしましては、国会の御要望を常に胸に深く銘じつつやつております次第で、検査に精励いたしておる次第でございまするが、先ほど国会の御要望がありましたら、なおその都度よく勉強いたすということを申上げましたのは、特定の、私どもが勉強が足りなかつた点について、特に御指摘、御要望があつた場合に、できるだけ御期待に副うように勉強いたしますという次第を申上げたような次第でありまして、只今の御意見は十二分に私ども伺いまして、これから予算の要求、その他について努力いたしたいと、こう考えております。
  59. 野溝勝

    ○野溝勝君 どうも池田さん、特定の要望があつたならばより一層御期待に副うようにしたいと、こういうのですが、そういうような場合はあり得ると思つていなければならんと思う。そうすると、結局かようなふうに、支払の計画について何ら通知を受けないでもさようなことが達し得るというのですか。達し得る自信があるというのですか。その点を聞いておきたい。
  60. 池田直

    説明員(池田直君) 三十四条の会計検査院に対します支払計画の大蔵省からの通知の削除につきましては、私どももいろいろ十分に検討いたしたわけでございまするが、この本件の関係は特に削除しても検査上は支障はない、こういう結論に達しているような次第でございます。
  61. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると、ちよつと大蔵大臣にお伺いしておくのでございますが、この四十三条の三の中、この内容を見ますと、「各省各庁の長は、繰越明許費金額について、予算の執行上やむを得ない事由がある場合においては、事項ごとに、その事由及び金額を明らかにし、大蔵大臣承認を経て、その承認があつた金額範囲内において、翌年度にわたつて支出すべき債務を負担することができる。」ということになつているのですが、これは一種の継続費とも見て見られるのでございますが、例えば、具体的に申上げますと、先ほど森永ざんのお話、総務課長お話等を聞きますと、例えば積雪地域における予算繰越ような問題ということを一つ言いましたが、例えば保安隊の保安庁予算どもたまたまこれに類似したようなものがありますから、この条文で扱つて行こうという考え方なんですね。
  62. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは繰越明許費を最初からその金額に限りますものと、止むを得ざる事由がある、こういう条件がついておりますし、事項ごとにその事由及び金額を明らかにした上で初めて承認を与うる次第でございますから、保安庁のものについても、繰越明許費というものの中で予算執行上止むを得ぬ事由がはつきりすれば、これについては大蔵大臣承認を与える場合がある、こういうわけでございます。
  63. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。暫時休憩いたしまして、午後は一時半から続行いたします。    午後零時五十人分休憩    —————・—————    午後二時二十七分開会
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  財政法等の一部を改正する法律案特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案、以上三案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 午前中、平林委員から、中小企業金融の問題について御意見が出ておりましたが、私はいつでしたか、委員会において銀行局長に、中小企業金融全体についての問題についていろいろ質疑をしたのであります。その結論としては、曾つて大臣も中小企業に対しては一兆五千億というような金も出ておるというような話があり、一兆五千億という金目を聞けば、どうもえらいたくさん中小企業には金が出ているな、こういう印象を与える。併しそれは金高の問題ではなく、現実に中小企業は金が足らない。例えばこの問題になつている国民金融公庫としても、今、前年度よりも資金は絶対量が殖えておる。こういうお話でありますが、資金の伸びの状況等から考えれば、先般もここに公庫の総裁が来て、二百十億は普通貸付資金において足らない。そしてプラスこの恩給担保金融がアルフアとして附くということになるのです。そういう計算もあるので、前年度よりも資金量は殖えた。貸付高は殖やしてある。こうおつしやつただけでは資金量が十分であるとは言えない。併しこうやつて足るとか足らないとかということをやつておりますと水掛論になるので、一つ政府のほうでも、市中金融機関を含めた日本の全金融機関について、一応の基準は、平林委員には異論があるようですけれども、資本金一千万円以下、従業員三百人以下、こういうものの資金需要量が幾らであるか、その資金源はどうなつているのか、こういう総合的な資金の需給計画を立つてもらいたい。私はこれは不可能なことではない、政府部内において関係当局が一つ合同作業をして、一応政府としてはこう考えます、だからこれで中小企業金融は大丈夫だ、こうおつしやるならば、この数字に基いた説明をお願いしたい。その点について大臣は如何お考えになりますか。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 誠に御尤もな御意見なんですが、さてこれは実際作業でみますると最も困難な問題なんです。そこで今の中小の企業者がどのくらい金が要るかということは、実は只今までのところとる方法もなく、非常に困難なんです。それで通商産業省で今日までに相当たくさんの中小企業の実態を調査し、診断したのがあります。それに基いて一応の極く大ざつぱなものならば、およそこれくらいのものはこれくらい金が要るだろうということで推計ができるかもわかりませんが、併し私はよほど困難な作業と思います。若しそれがわかりますればお話のごとくに、どういうように今後中小企業の金を調達して行くべきかということで、非常な良い指針が示されると思うのでありまするから、これはまあでき得るだけ努力はいたしてみたいと思いまするが、なかなか容易ではございますまいと考えております。まあ現在中小企業について考えておりまするのは、なんと言つても一番大きいのがいわば普通銀行、なかんずく地方銀行が非常に大きな、地方銀行では殆んど貸出の六割近くのものが中小企業に向いていると考えております。それから同じ銀行でも大都市のいわゆる十一大銀行、こういうようなものになりますと非常に少くて、私ども一応調べたところでは一割九分何厘しか中小企業には向つておりませんで、割合に大企業のほうに多く向けられております。それからあとはいわゆる政府関係の機関、これが貸出しているもの、こういうようなものが合計しましてどのくらいの数字になりますか、一応いつか申上げましたように合計したら一兆三千億か五千億くらいになるのじやないかと思つております。勿論これは小林さんの言われる通り金は実は足らないのです。足りませんので、特に少くとも政府関係している商工中金にしましても、或いは中小企業金融公庫にしましても、国民金融公庫にしましても、これは金は足りません。いつも要望通りに参りかねておりますが、財政資金の関係上十分のことが参りませんので、まあそのときとしては割合に比重をこの辺に重きを置いてやつておりますが、本年について申しましても、殖えているのは資金計画は僅か四十三億だけ昨年より殖えている。この国民金融公庫の一例で申せば……というような工合であります。全体としましてもそう著しく殖えておりませんので、この点は小林ざんが言われるように中小企業者のお困りの点がよくわかるのです。併し最近預金部資金も以前のように順調に伸びておりません。そんなこと等で思うにまかせませんが、これは日本の、私どもが財務当局としてはなんとしても中小企業の占める部分に対する重要性を考えて、できるだけのことをいたしている。できるだけのことをしているというのは、前年より若干でも減らさないだけの措置をしているというので、誠にこの点不十分とお叱りを受けるのはどうも甚だ遺憾に実は私ども存じておる次第でございます。
  68. 小林政夫

    小林政夫君 いつもそういう中小企業金融の問題をお伺いすると、折角努力をする、今の処置では十分とは思わないということで、それ以上は話が進まないのです。そこで、今おつしやるごとく非常に困難な作業だとは思いますけれども、併し前回銀行局長にも私は言つたのですけれども国民所得の推計というものが、私もあの数字だつて大してそう正確な数字じやないと思います。文字じやないと思いますけれども、一応政府はことごとく予算説明或いはその他の際に、あの国民所得というものを使われる。だから少くとも現在政府が作業をして国民所得を推計しておられる、それに対して或る程度の信頼を置いておられる程度の信頼性を持ち得る中小企業金融の資金需給推算というものは、やる気になつてやればできるのではないか。だから今直ちに今日、明日というわけではございませんけれども、その点を特に大臣にお願いしておくわけですが、一つ推計する体制を整えるようお願いしたい。そうすれば、まあこの程度の不足がある、或いはこれはこの金融機関で埋めるというようなことが言えるし、今のような緊縮財政及び金融引締めをやつて、かなり中小企業に「しわ」が寄せられるときがある。一応そういう推算ができれば、今後はこういう政策が行われているからこのほうにこれだけの「しわ」が寄るだろうというようなことで、非常に中小企業金融の需給論議が科学的、数学的に行えるのではないか。そういう意味において是非作業をお進め願いたい。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは誠に御尤もですから一つ研究してみましよう。実はこれが農漁業ですと、小林さんも御承知通り大体わかると思うのです。従つて農林漁業金融公庫に対して借りるものを考える場合においてはなかなかわかりいいのですが、鉱工業生産のほうになつて来ると、どこまでの生産がつまり大企業であり、どこから下のものが中小企業に入るかというようなことを、これも一つのめどを、大よそでも参考になりますし、私ども仕事をする上の作業の一つの拠り所になりますから、いわゆる国民所得の中から農業関係のもの、漁業関係のもの、林業関係のものを除いてみて、更に又、給料その他のああいう所得を引いて行くということにしまして、ずつとやつて行きまして、多少分析的にやりますれば、或る程度のものが極く大ざつぱではあるが、つかみ得るものと考えますから、これは一つお話の次第もありまするし、経審とも連絡をとりまして、何らかのものを今度は一つ次の国会までに出し得るように努力いたします。
  70. 小林政夫

    小林政夫君 大臣に対する質問ではないのですけれども特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案について、主計局長に前回の外務、大蔵、内閣、連合委員会の席で質問をして、少しあいまいな点があつたわけですが、その後非公式には聞いたのですけれども、一応速記に載せる意味におきまして、一体この回転資金はどういうふうに使うのかという点について一つ明快に御答弁して下さい。
  71. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 特別調達資金は、当初主として駐留軍関係の、これは占領時代から引続きでございますが、連合軍関係の労務の調達の円滑化を期するために、いわゆる間接雇用の形式をとります場合に、一種のプール資金として設けられたわけでございます。労務を主とするものでございますが、政府といたしましては、役務乃至は物資、両方が入つてつたわけでございます。運用上の実情から考えますと、大部分は労務ということになつてつたわけでございます。今般改正いたしました趣旨は、国連軍との関連で協定ができましたので、その国連軍の関係の労務並びに物資の調達にもこの資金を活用する、これも実際上労務のほうが大部分であるわけでございます。その国連軍の関係にもこの資金を利用する道を開く、それが改正の第一点でございます。第二点は、今般MSA協定に関連いたしまして、いわゆる顧問団が置かれるわけでございますが、顧問団の関係にもこの資金を利用し得る道を開く、顧問団の関係は労務の関係が殆んど全部でございまして、現在のところは、物資につきましてこの資金を利用することは考えておりません。ただ労務以外に一つ考えられますることは、顧問団で家屋を賃借いたしまする場合に、直接の賃借ではなくて、間接の賃借にするというような場合に、ひよつとしたらこの資金が利用されるというようなこともあろうかと存じます。併し大部分は労務の関係でございます。なおこの顧問団の関係は、法律でこういう道を開きましたが、まだ現実にどういうふうにこの資金を使用するかということにつきましては、先方との間に交渉が行われていないのでございまして、大体の内意といたしまして、労務の関係には是非使わして頂きたいというような希望の表明がございました。その程度でございます。以上が今回の改正の主な点でございますが、そのほかに、この資金を利用するにつきましての手続に関し、或いは府県に一部の事務を委任する、或いは銀行に支払い等の事務を委任する、そろいつた事務取扱いの簡素化の観点からする若干の改正も併せ行なつている次第でございます。大体以上のよう趣旨で今回の改正法律案を提出いたしました次第でございます。
  72. 小林政夫

    小林政夫君 この従来の資金の回転状況について説明をしてもらいたいと思います。
  73. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 調達庁で直接運用いたしておりますので、調達庁の政府委員からお答え申上げたいと思います。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 それじやこの法案と関連して大臣に特にお尋ねいたしますが、この国際連合の軍隊が駐屯する、これは本会議でもいろいろ質疑があつたのですが、地域は呉というところに限られておるわけですが、この駐留のために当該自治体がいろいろ行政費が余計かかる、こういうことは特別交付税で面倒をみる、こういうことでありますが、このほかに代替施設、例えば呉の港等について、建前は共同使用ということになつているけれども、事実、港が使えないというような場合に、別のところに埠頭を作り、或いは施設を作るということが必要だということになるわけですが、そういう場合、これは一つの例ですが、代替施設等についての資金というものはどういうふうに考えてもらえるのか。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は私どもは、この国連のほうの軍隊とアメリカの軍隊と性質上違うので、結局国連のほうは有償にしていろいろやるべきだということで、大分内輪の問題ですけれども、相当強く主張して参つたのでありますが、その後、刑事裁判その他の問題で、やはり同一に扱うということが非常に望ましいということになりましたので、結局こういうふうに、私どもが最後に、まあ俗な言葉で折れて、それじやもう、すべてそういうふうにしようということにしたのでありますが、そのときに、実はこれは小林さん御承知かと思うが、私は実際現実に見ておりませんが、非常に広い地域を取り過ぎておる、こんなにどうしてたくさんとつているのかわけがわからんほどとつているので、今これを現地に委員会を作りまして、その委員会に知事とか市長がみな入つておりますので、できるだけ余計戻してもらう、こういうことで、まあ一口に言うと、私どもが折れたときに、これだけは是非貫徹してもらいたいということで、相当強く実は要望しておる次第であります。それで、埠頭等につきましても、相当返してくれることに、その時分に返す見込みで話をしておりましたが、代替のことについては、特にその当時としては、私は自分で交渉はいたしませんでしたが、まだどうもなかなか返すのも思うように進行いたしておりません。何かその代替についてお話がありましたか。ちよつとそれでは主計局長から……。
  76. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 代替施設は安全保障諸費で、米軍の場合でございますと、代るべきものを建設いたしておるのでございますが、国連軍ということでございますと、そうは参らないわけでございまして、従いまして、これは大臣からお話がございましたように、施設そのものの接収乃至は使用を必要なる最小限度にとどめて頂いて、日本側が使えるようにする、その努力を先ずいたしておるわけでございます、お話のありました呉の場合には、米軍も一部使用いたしておりましたので、米軍乃至は英軍がこれを利用することによりまして受けるこちらの非常な不便を緩和するために、若し必要がございますれば、安保諸費で代るべき施設を作ることも名目が立たないわけではないわけでございますが、具体的にはまだ計画が進んでいない現状でございます。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 協定等において、今のお話の米軍が使つておるものを、国連軍が米軍から又借りをするというようなこともできるようですし、あなたのほうで親心で安全保障諸費の使用を考えて、成るべくそれで施設をして、実質的にはアメリカ軍、駐留軍が使つてないけれども、国連軍の場合に使うこともあるということで、主として国連軍が使うような施設であつても代替施設として安全保障諸費を使い得るというように了承していいですか。
  78. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 米軍から又借りということでございますが、米軍も使つておるということが前提になりませんと、ちよつと安全保障諸費を使うような場合にならんじやないかと思うわけでございます。それで呉市の実情につきしては、しばしば陳情もございますし、道路その他の関係でもいろいろ御希望もあるようでございますので、呉市全体の経済的困窮の度合その他も十分検討いたしまして、できるだけのことはいたしたいと存じておりますが、埠頭につきましてはまだ具体的にお答えをする段階に参つておりません。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 できるだけ考えたいという言明を大いに尊重して了承をいたします。
  80. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 調達庁から総務部長が出席いたしましたから、小林君の発言を願います。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 この調達資金の最近の回転状況ですね、これを一つ数字的に説明してもらいたい。
  82. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) お答えいたします。調達資金の回転状況としまして、先ずどういう順序で支払をし、回収をしているかということをちよつと申上げたいと思います。三月の賃金の支払は四月の十日、各月の十日に支払をいたしております。そこで十日に支払をする賃金につきましては、三月の末にアメリカのほうから各人別の出勤状況或いは勤務時間、そういう賃金の基礎になる詳細の数字を入れまして、結局幾ら支払うべきかということの通知が、ペイロールと言つていますが、それが各労管事務所のほうに参りまして、そこで労管事務所のほうではそれを整理しまして十日に払う準備をするわけですが、約八〇%に相当するものを四月二日、三日ぐらいに軍から頂くわけでございます。そうして十日に払いまして、そのあとの二〇%に相当する残金はその月の末まで必ず頂けるということになつておるわけであります。そんな関係で、最近は、この回収も、以前は殆んど長いときには三カ月もかかつたわけでありますが、だんだんと短かくなりまして、今では一カ月で回収ができるわけであります。そんな状況であります。最近は特殊の問題かありまして若干遅れるのがあります関係上、現在のところはまだ約四十億ばかりの未償還がありますが、併しこれは漸次少額になつて行きまして、殆んど三カ月もかかつたのが一カ月間で大体回転しているという状態であると申上げて差支えないと思います。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 一カ月分の今までの駐留軍労務者に対する支払賃金は幾らですか、大体最近の……。
  84. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 賃金といたしましては、多少月によつて変化はありますが、はつきりとした数字を今持つておりませんが……。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 概数でいいです。
  86. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 四十億未満でございます。今のところは大体先般整理をいたしましてから、今、数はほぼ安定いたしておりますから、三十五、六億程度の賃金の支払で済んでおるようであります。
  87. 小林政夫

    小林政夫君 これによつて追加された国連軍関係の労務者及びMSA協定による顧問団関係の労務費、これの一カ月の支払予定、支払見積りはどういうふうになつておりますか。
  88. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) お答え申上げます。国連軍関係の労務の提供に伴います経費といたしましては、大体のところ、人数といたしまして労務者が大体一万人程度、その経費といたしましては、年額といたしまして大体三十億程度、次に顧問団関係といたしましては、労務者の数は先方との交渉によりまして多少圧縮ができると思いますが、只今のところ百五、六十名、金額にいたしまして労務費の支払が年額五千万円程度、かようになつております。
  89. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この資金は七十五億のはずですね。だから今の追加した分は、そのよう状況であれば大体支障なく回転して行くと、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  90. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 国連軍協定に伴いますもの及び軍事顧問団に関しまする労務者の提供に伴う経費につきましては、両方とも前金で、国連軍、或いは米軍顧問団から日本政府が前金で受けまして賃金の支払に当てるという建前になつておりますので、仰せの通り資金には困らないわけであります。
  91. 小林政夫

    小林政夫君 今四十億くらいの未済があるということですが、七十五億とすると三十五億……のみならず今度の追加になるものは、今までの駐留軍とは違つて、一カ月あと払いでなくて、前金をもらうのだというのであるから、資金の回転がよろしい、それはわかりましたが、直接雇用から間接雇用に変るに当つて退職金を払いますね、この点の関係、退職金も前受金ですか。
  92. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 国連軍に雇用されておりまする労務者に対する退職金につきましては、今度の協定が効力を発生しまして、労務の提供につきましての実施取極ができました場合におきまして、退職金を国連軍が払うということになつております。それから顧問団の関係の労務者につきましても又同様に処理することで先方と交渉をいたしておりますので、間接雇用になつた日以降の勤務年数に応ずる退職手当につきましては、これも前金で毎月々々定額を日本政府が受けまして、実際に退職しますときにその積立金から払うということになつておりますので、すべて資金繰りとしては困らないというふうに考えております。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 ついでにちよつと簡単な問題について事務的に聞きますが、第三条の第二項の改正、「資金の運営に伴うその他の受入金で政令で定めるもの(以下「受入金」と総称する。)」、「その他の受入金」というのは何でしようか。
  94. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 「その他の受入金」と申しまするのは、例えば資金から労務者の給与として支出をいたしました場合に、それが例えば具体的に申しますると、休業補償、そういう場合に、過誤払い、それが年度を越しまして戻し入れをする必要がある場合に、現在の建前でありますると、外国政府からの受入金ということになつておりますが、その受入金では解釈できないという関係の、只今の資金の過誤払いによる年度経過後の受入金というもの、或いは失業保険で、事業主の負担の過払いになつた場合に、失業保険法によりますると利息がついて来るわけでありますが、そういう利息を受入れる、かような事務的な関係経費を受入れるための措置でございます。
  95. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 財政法等の一部を改正する法律につきまして、他に御質疑ありませんですか。  質疑は終了したものと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 私は本案に賛成をいたします。本改正は主として積雪寒冷地帯に対する公共事業費の使用について円滑を期するという建前の下に改正された点が大部分であるように思いますが、そういう点について或る程度の事業の進行を円滑にするという必要性からして考えるのでありますけれども、さりとて財政の厳格さ、資金の使途がルーズにならない、こういうような配慮は十分取らるべきであつて、むしろそういう意味においては、予算査定の際に、予算の数字をきめる際に、厳重に実情に合つた査定がさなるべきである。そのほうに重点をおいて濫りに繰越明許等のごときものを設けるべきでない、こういうふうに考えますので、そういう点については、十分配慮されることを要望いたしまして賛成いたします。
  97. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 社会党の第四控室でございますが、私のほうはこれは反対でございます。東委員のほうから修正案が出て、これに対していろいろな意見を開陳され、或いは一つ法案まで用意されておつたわけでございますが、そうしたよう趣旨における、即ち積雪寒冷地などにおけるところの、私たちは繰越しというようなことにつきましては、確かにそういう考慮をすべきであるということについては、実は了承するわけでございますけれども、併し枠を拡げることによつて、とかく会計検査院の指摘しておるごとく、予算の執行においてはとかくの疑惑が私たちは持たれると思います。今度こういうことを又やれば、ずるずると国の予算というものがだらしなく使われるという点が一つの心配の点でございます。それからもう一つは保安庁関係など、いわゆる準軍事的な、この「準」は準ずるの「準」でございますが、そういう予算も、このことによつて今後大いにやられて行くのではないか。単に保安庁長官が必要である、そして大蔵大臣承認を与えれば、そういうものも今後だらしなく行われるじやないかというような点を非常に心配いたしまして、積雪寒冷地帯のそれらの点については、十分考慮すると共に、こういうようなことになれば、私は財政法そのものがおかしいものじやないかというふうに考えまして、反対するものでございます。
  98. 平林太一

    平林太一君 私は本法案に対して反対の意を表明するものであります。その理由とするところは極めて明瞭である。すでにして本月二十三日に本院の内閣に対する警告決議案、これが議決されておる。而もこの内容にいうものは、今回の吉田首相を中心とする吉田内閣行為が、他の事柄とは違い、政策の失敗でありますとか、政策の行詰りであるというようなことでは、これはそれぞれ又検討する余地がある。問題の議論もおのずからこの範囲が広範囲に解釈されて行くのであるが、曾つて明治時代以来、空前絶後のいわゆる疑獄、汚職、この問題に対していわゆる善処議決した。この善処議決したということは速かにやむべし、辞職すべし、こういうことの極めて明瞭なる決議案である。従つて今日までもそういうことに対しては、そういうことを申上げることの煩鎖を避けますが、歴代内閣というものが、必らずこれに対しては従順なる態度を以て辞職をいたしております。当時におきましては、総理及び各大臣というものは天皇の親任によつてつたわけである。だから総理大臣も各大臣も同等の地位において天皇の親任を受けておる。併しこういうことができた以上は、むしろその当時の時代におきましても、天皇自体が、その親任の不明を謝して、そうして辞職を行わしめたのであります。天皇御自体においても……。然るに今日の民主政治議会におきまして、これが逆に、なお且つかよう決議が本院において行われても、なんらの措置を取らない。こういうことになりますというと、これは立法権というものが行政権に支配されてしまうということになる。容易ならざるこれは問題であります。こうなりますならば、当然本月の二十三日以降の議案というものに対してはびしびしとこれは否決して行かなければならない。委員会が若し開催されて行きますれば否決して行かなければならん、そうして我々としては信任せざる政府の提出したそのことに対しましては、否決をして、そうして政府をしてこの行政の運行を停止せしめるということで、これはなければならないわけであります。本院の議会制度としては、これは重大なる岐路に立つている問題なんですから、これは審議することはよろしいでしよう。よろしいでしようが、これを成立せしめて行くということは、これはみずから参議院制度そのものをこわして行くということになる。それでは国家のために困ることは当然であります。従いまして、この法案に対しましては賛成することができない。反対して、否決して、そうして進んで政府善処する。政府が速やかにその処置を取ることを望む。大蔵大臣も先刻も話されましたが、自分一個の所存ではできないと、これは無理からんことであります。これは昔でありますれば、当然一大臣総理と意見の相違が出て辞職するということになつた場合は、これは一連托生であります。総理大臣の地位を保つことができない、一大臣がいわゆる辞職したということになると……。今日は総理大臣大臣を指名したものであるから、そういうことができないのであります。そういう御苦衷が私は小笠原大蔵大臣にもあると思うのであります。それでありますから、その点は我々がそれをとりなしてやる以外にないのであります。だから私は本法案に対しましては、次々の議案に対しましては、それぞれ私どもの意を表明しますが、これは単なる一法案のことを処理するということよりも、いわゆる行政権と立法権の問題をここで明確にするということが、先ず以て重大なる問題である。立法権があつて初めて我々はこれを審議するということなんであります。でありますから、私としては本法案には強く反対の意を表明し、進んで当院の議決に対して、政府が昨日も緒方副総理が謹んで御趣意に副いますと言うのですから、謹んで御趣意に副いますということは、不信認を承知いたしましたということなんです。それを形の上に現わすということでなければ、これは私どもとしては了承しがたいという意味において、本案に反対するものであります。(「了解了解」と呼ぶ者あり)
  99. 東隆

    東隆君 私は本案に賛成の意を表します。理由はこの改正によつて予算の効率的な執行ができるという、こう考えるからであります。この点において賛意を表しますが、審議の過程において明らかになつたことは、この法案に便乗をして、着々余分のものが改正をされておるよう考える。この点については審議の過程でいろいろ発言せられましたが、政府において考える必要があると、こういうことを付加えて賛成の意を表します。
  100. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  財政法等の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     堀木 鎌三  三木興吉郎     藤野 繁雄  東   隆     白井  勇  土田國太郎     木内 四郎  前田 久吉     岡崎 眞一  小林 政夫   —————————————
  103. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案について御質疑ありませんですか。
  104. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一言だけ大蔵大臣にお伺いいたしますが、国民金融公庫の支所が、大体大蔵大臣も愛知県ですが、愛知県などに例をとりますと、名古屋に一つある。そこでこれを利用する人たちが非常に名古屋の周辺のかたというふうに地域がおのずから限定されておる。申込をいたしましても、調査をせなければ、なかなか貸してもらえない。あなたのような幡豆郡のほうから、具体的に申しますと、申込まれる。名古屋から幡豆まで出張して行くだけの旅費というものが非常に制限されておりますから、まあ一日行つて調査するだけためておいて、そして出掛けて行くというのが実情なんです。ですから、こういうものに対して何とか打開策、これは非常に国民から感謝されておるのですから、その感謝されておるのが均等に亘るような処置というものに対して私はもう少し支所を殖やすということになると、又非常に問題になると思いますが、貸出のほうは簡単に信用金融公庫などでやつておりますので、調査のほうも何かこれに対してやつて行けるとか、何とか便法を図りまして、均等に恩典に与かれるよう法律というものを御検討になつて、或いは今後やつて行こうというような御意思があるのかどうか。
  105. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は年年支所を殖やしつつありまして、昨年も三カ所たしか殖やしたことは御承知通り。そのほかに地方の信用金庫とか、ああいうものをそれぞれ代理店にも使つておりまするので、近くの代理店で貸出を受ける途が開かれるかと存じますが、できるだけ皆の御要求に応ずるような工合に持つて参りたいと思いますが、ただ支所を各地に作る、全国的に申しますると、それは相当旅費その他のものも出ると思いまするので、やはり成るべく代理店等を使つて代理貸をやつて、その資金が均等に行くように図りたい、こういうよう考えております。
  106. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 軍人恩給の担保の問題ですが、これは二十三億予算に計上するわけですが、これは大体私は申込件数に対して貸出される件数というものは非常に少いものじやないか。まあどのくらいの。パーセントになるか、私は調査を実はしていないわけですが、やはり二十三億では少し足りないじやないか。ちよつとこの間聞いたときには、十件に対して一件くらいしか貸してもらえないというようなことも、私は聞いておるのでありますが、これは私は調査した数字ではございませんから、正確に申上げるわけに実は行かないわけです。これもやはりこういうふうな恩典に浴することができたといつても、それが仮に十人に一人というようなのであつては、やはりどうも今日聞いてみますと、支所長などに聞いてみますと、同じ条件である片方のほうの金を貸すような場合には、事業形体とかいろいろなものを調べてやるのだけれども、恩給の場合はすべて条件が一緒であるから、くじ引きで貸さなければならないというようなことを言つておられる。私はくじに当る当らんで、くじに当ればいいが、当らない場合にはそれがために自殺しなければならんということになると、これは命のくじ引きをするようなことになつては大変だ。これに対してどんなふうにお考えになりますか、承わつておきます。
  107. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはまあ私どものほうも一応調べて見たのでありますが、それで五万人貸にせば、平均すると、二十三億ですから四万六千円ですか、貸出されることになる。これは勿論十分でありません。それでまあ今後ともこの金額は、実情に連れて、今年やつてみてもこれは初年度ですし、まだ実は恩給証書がなかなか行き渡つておりません。これは非常に何かもつと簡単な方法はないかとこの間も言つたのですが、非常に遅れております。従つて本年の模様を見まして、店開き早々の年ですから、大体これぐらいでいいと思いますが、特に足らんようでございますれば、来年度で以て相当増額することにいたしたいと、かよう考えております。
  108. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も大臣善処するというその言葉を信用しまして質問を打切ることにいたします。
  109. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  111. 平林太一

    平林太一君 本案に対しまして反対の意を表します。重大な問題です。吉田君という総理大臣、これは曾つて昨年頃だと記憶いたしますが、スキヤンダルなしということを豪語した人物なんです。予算委員会等におきまして質疑に答えまして、例えば当時四日市燃料廠の問題でありますとか、只見川の問題等について質疑が出た。そのときに質問に対してスキヤンダル断じてなしと言つたところが、造船、いわゆる陸運、海運等の、又庶民金融機関等に関連した政府のスキヤンダルが出て来た。そうすると、これが国会において追及をいたしまするというと、吉田君、同君はですね。それは検察庁に任しておけ。検察庁のいわゆる正否の議論が決定したときに善処するのだとこう言つておる。ところが今度は検察庁において正否の議論が決定して、自由党の幹事長である佐藤榮作、これは刑事被告人です。これを逮捕ようとしたところが、いわゆる指揮権発動ということをして、これを拒否した。これに対して緊急質疑において、その何を確めましたところ、いわゆる法律的暴力もあえて辞せないと、こういうことである。こういう人物です、吉田茂という総理大臣が。これは実に古今未曾有の態度だ。この吉田総理大臣が出した法案国民金融公庫法案というものは、内容に対しましては、私は、先刻大蔵大臣質疑をいたしておりまするから、それによつて明らかであります。内容自体に対しましては、私の所信というものは明らかである。併しこれは恐らく昔のような天皇の信任による大臣でありまするならば、私は善良なる小笠原大蔵大臣は、辞任せられておつたと思います。そうすれば吉田内閣というものは崩壊しなくちやならん、一連托生で……。ところがそういうことができないということは、渕藪するところ、渕源するところ、この法律というものは、吉田内閣総理大臣がこれは出した法律案である。それで身動きがとれないというわけだ、内閣は……。その吉田個人が、もう如何なることに対しても、どういうその事態が出て来ても、殊に本院において速やかに辞むべしということの意思を含んだ決議案を出しても、これは辞めない。それでまだ外遊をしようというような、外遊をして本人はまあ私の観測では、恐らく吉田というような人は自己一身、保身のためには、殊によるとアメリカあたりへ亡命しちやつて、金をたくさん持つてつて、そうして辞めるときには、こつちはもうあとは野となれ、山となれというよう人物ではないかというような危険を、私は国民のために慮るもの切実なるものがある。これは当時の東条内閣総理大臣の時代においてもよくわかることなんであります。だからここで国会が、つまり褌を緊めて、一個人の吉田総理大臣、一、吉田茂、このために全国が掻き廻されるような事態をみすみす打ち捨てておくということは、私は議員の一員としてさようなことはできない。併し先方がいわゆるこの権力、或いは職権を通じてそれを行うということ、それに対する処置はないわけなんです。我々においてこれを処置するということは、要するにこの法案審議というものを…、…殊に理由として挙げておるところは、法案審議議決を求めるのだと言つていることは、法案審議議決が通つてしまえば、もう国会は閉会されるのですから、あとは向うが自由奔放、日本中に、これも吉田その人以外にこの自由というものが広大に許された者はない。これはどんなことをしてもいたし方がないのである。であるから、国会開会中において、我々としては責務を忠実に行わなければならない。吉田個人が倒れたことによつて、我が国の行政機構が崩壊するものではない。微動だもいたしません。内閣も次の内閣が出る。そうして行政のいわゆる現状というものは、そのままつまり事務的な行政というものが残つておるので、何らの痛痒はないわけなんです。ところが吉田を生かしてこのままにしておけば、今日のこの疑獄、汚職という事件が天下、いわゆる国民に滔々として…、大蔵省あたりは今申した通り金を出すだけです。ところがこれはつまり事業官庁、いわゆる建設省でありますとか、郵政省というような事業官庁になつたら、このものは、数十億、数百億というものを使うのですから、活殺自在なんです。このことはこういうことが放置されておりますれば、行政の官庁というものは、いわゆる予算の現金の執行ということに当つて、どういうことをするか、又今日までの性格においても、これは極めてよくわかるわけなんです。由々しい問題。従つて国民の人心というものは、こういうような汚職疑獄というようなものは、もう当然これは行われるべきものだ、それぞれの職分分野において、これが潜行し、潜在して行われて行くということになれば、重大なるこれは政治の混迷であります。だからこれはそういうことを、国民の目付役として、我々はここへ出ておる。だからそういうものが出て来たときには、いわゆる慨然立つてこれが粛正の実を挙げなければならない。そういう問題に対して左顧右聴し、躊躇逡巡しておるということは、事を挙げる所以ではない。これを議決して行くということは、そういうことを、事を挙げて行くということをしなんで、そうして奨励して行くということになる。かような馬鹿々々しきことが今日の世にあり得べきものではないのです。これは我々が与えられた権限、これは暴力的な法律暴力法律的には暴力と思うが、敢えてするのだと言つて豪語しております。我々は審議の上において暴力ではない。これはかような一個人の吉田そのものの存在吉田そのものの性格が、かようなものを、この法律を提出しておるのですから、これは小笠原大蔵大臣が出しておるのであれば、私は別個なんです、考え方が……。吉田と、いわゆる小笠原という両君を比較して、私はその点は常識的によく判断ができる。併し今日の吉田という人のあの言動、行為というものを見ますれば、これはもう断固としてこの際国会としては速やかに彼を処置する、総理大臣の地位から退かしめる、貶すということである。併し我々のほうにおいては国会法においてこれを成規の上に行うべき何がない。せめてもそういうことに対しまして、この間の決議案をいたしたのでありますが、併しこの決議案に対しては、従来の内閣は、このことに対して恭順の意を表している。又二度の政権を担当する時期ありとの取りあえずの処置として、これは辞したわけであります。それをなお且ついたさない、こういうわけであります。そういう私は意味におきまして、それをいたさなければならない。それを我がほうで処置して行くということは、これは一つ一つ否決して、そして議案が通らなければ、政府としてはこれは当然行き詰らざるを得ないわけです。法案というものを何でも本院に流しております。併しながらこの法案を次々に処置して行くということによつて、それを行為の上に現わして行くというわけなんです。  ただ私が誤解のないようにこの際申上げておきたいことは、こういうことは、つまり国家大局の上からということを、よくまあ弁護いたしておりまして、国家大局の上でこういうこともあえていたさなくちやならんのだ、この間加藤というおいぼれた法務大臣がこれを弁護しておりましたが、ところが大局の上にこれは何らの影響がない。吉田首相というものを退陣せしむるということによつて、我が国の行政機構がそれによつて一時空白するとか、或いは崩壊するとかということでは大局に影響があるが、そういうことは毫末もありません。今日我々が関係しているこの大蔵委員会においても、極めて優秀なる大臣官僚というものは、厳乎として国家のこの行政行為というものはちやんとこれは行なつておる。そういう私は意味におきまして、本案に対しては断乎としてこれに反対するものである。その理由は、今申上げた通り、一に総理大臣吉田茂君の退陣を求めるという意味におきまして、反対の意を表するのであります。
  112. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  114. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、前例により、委員長に御一任を願いたいと存じます。
  115. 小林政夫

    小林政夫君 委員長、先ほどこの法案審議の際に、私は非常にいい大蔵大臣の言明を得たと思います。中小企業金融の需給計画、日本全体について。次回の国会までには一応の成案を得るべく作業を進める、こういうことでありますから、その点は特に委員長報告に織込んで下さい。
  116. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 承わつておきます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     堀木 鎌三  三木與吉郎     藤野 敏雄  東   隆     白井  勇  前田 久吉     木内 四郎  小林 政夫     岡崎 眞一  成瀬 幡治     山本 米治   —————————————
  117. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案について、質疑ありませんですか。  ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  118. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは速記を始めて下さい。  他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  120. 平林太一

    平林太一君 本案に対しまして、極めて厳かに反対の意を申述べたいと思います。  当案は、その提出者が内閣総理大臣吉田茂君であるということは、今日の議院内閣制下におきまする行政の組織上の機構において極めて明らかであります。然るにこの吉田総理大臣、その人の最近における行動、言行というものが、我が国の現状及び将来に対して極めて憂慮せざるを得ない事態をしばしば続出しておる次第であります。今日におきましては、速やかに同君の退陣を求むることによつてのみ、我が国家の正常なる方向、国の運営というものができるのであつて、それに対して参議院は、過ぐる二十三日この処置をすべく警告決議案議決いたしております。にもかかわらず、何らこれに対して処置をいたさないということに対しまして、同君が出したこの法律案に反対する、このことの第一理由であります。  殊にこれを強めて申上げたいと思いますことは、吉田総理大臣は、今回のこの法案審議を求めておりまする今期国会におきましても、同君の出席の率というものは、極めて懦弱、怠惰である。かような前例というものは、今日までの我が国の議会政治上、国会開会中における総理大臣出席の率といたしまして、未だかつて前例を見ない次第であります。かつて、憲政会総裁であつた加藤内閣の当時、当時の加藤総理大臣が、当時風邪のために数日間登院をしなかつた。供し病躯をおして加藤総理は登院をしている。そのために壇上に倒れておるのであります。こういう事態、又当年の浜口憲政会総裁の内閣のときに、いわゆる兇弾に襲われ、そうして未だ病躯癒えざるに、なお且つ登院して、遂にそれが原因となつて逝去せられた。これくらい当年の総理大臣というものは……。然るに今日首相は神経痛といつておりますが、あの程度の神経痛ならば、日本全国、国民の多数の中には、療養するどころではない。いわゆるそのいとまもなくて、そうして日々の仕事だけはいたしておるという程度の病状なんです。にもかかわらず、予算委員会等に対しまする出席の実情というものを見ましても、而も本会議及び予算委員会等に対する吉田首相の出席ぶり態度ぶりというものを見ましても、実に思い半ばにすぐるものがある。当年の総理大臣でありました伊藤博文の会議録を、昨日も私は古文書で、当時の文献を調べて見ましたが、予算委員会において、伊藤総理は、当時貴族院の予算委員会に列して、そうしてたしか予算委員長は、先頃逝去せられました徳川頼貞君の尊父でありまする徳川頼倫、当時の侯爵であつたと思いますが、貴族院の予算委員会においては、その伊藤内閣の提出した予算に対して、意に満たざるところがあるから、審議を停頓せしめる。それで修正をしてなお持つて来い。然らざればこれを決することができない。この際、当時伊藤公は、四十二日間に亘つて、朝の十時から夕暮の四時まで、予算委員会に終始出席して最後、には、自分の、伊藤博文の不徳であることは、如何ようにも責めてもらいたい。併しこの予算の中には外征の消費に対するところの糧秣、被服の予算が含まれておるから、若しこれを延ばしたり否決されれば、それによつてこれらの外征の消費というものは困るから、一つ予算の御議決を、速かなる決議を願いたい。伊藤博文の、七重の膝を八重に折つてお願い申上げるということを会議録に留めておる。当時の伊藤博文が七重の膝を八重に折つてお願い申上げるから是非一つつて貰いたいというわけで、これに対して当時の徳川予算委員長は、そういうような一部分の予算というものは、予算措置だけによつて措置できる。だからそれに反対するものではない。併しそれを理由として全体の予算というものを議決することはできないといつて拒否したということであります。当時の貴族院における、我々の前身でありますが、如何に国家のためには厳としてときの内閣に対決したかということは極めて明らかであります。然るに今日の政治家の比重、伊藤博文と吉田茂というものを比較したらどうなるか、世俗に、いわゆる提灯と釣鐘ということがある。この政治家の比重としては伊藤博文のほうが釣鐘の貫禄であるということは明らかである。吉田茂に至つては提灯の軽さにも比較すべきものではないか。伊藤博文の前に出ればその提灯の軽さにもひとしいような繊弱なる政治家としての吉田茂君自体が、釣鐘の重さのある伊藤博文よりも遥かに傲慢不遜の態度を以つて国会に相見えているというこの態度、その吉田茂君の提出したところの議案である。かような議案に対して、改めて次の内閣によつてこの議案が提出せられて来たときは、私はこれに対しまして双手を挙げて賛成することに吝かでない。併しながら今日の場合におきましては、吉田君の提出の法律案に、今日只今の現状におきましては、この議案に対して反対せざるを得ないということを、私は表明する、極めて理由としては簡単にこれは申上げるわけでありまするが、この理由によりまして本案に反対いたすものであります。
  121. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論を終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     堀木 鎌三  三木與吉郎     藤野 繁雄  前田 久吉     白井  勇  山本 米治     木内 四郎  小林 政夫     岡崎 眞一   —————————————
  124. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。内容説明を聴取いたします。
  125. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 特別会計の概略だけ私から説明しまして後から柴田長官から……。
  126. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは主計局総務課長
  127. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 本案の概略を御説明申上げます。  今回の改正は大別いたしまして二点ございます。その一番重要な点は、御承知ように、保安林整備臨時措置法というものによりまして、いわゆる従来この国有林特別会計が、国有林の維持経営を図り、立木を伐採しましてそれを売払つて経営をいたしておつたという、いわゆる主として経営的な性格でありまして、更に治山治水事業の一端を背負わさせるという見地から保安林等を買入れまして、そうしてこの会計においてそれの維持を図り、延いてはいわゆる水源涵養その他の治山治水事業の目的に資したいという大きな一つの政策に立ちまして、この特別会計におきまして、そうした治山治水の目的のために一定の山林等を買入れることができるというような措置をいたしたわけでありますが、そのために必要な、この特別会計法の改正をしているわけであります。  それからもう一点はこの特別会計のいわゆる利益金の処分でございますが、従来の原則といたしましては、一定金額予算によりまして森林維持のために利益金の一部を積立てることができる、いわゆる基金に入れることができる、こういうことにいたしまして、そうしてその残りはすべて一般会計に納付する、こういうことが原則になつておりました。但しこの原則は附則において実際は動かないことになつておりまして、当分の間は一般会計に予算で繰入れたもののほかは、全部損失補てんの積立金として積立てる、こういう附則が当分の間とついておりまして、従つて実際の利益金はすべて殆んど欠損のいわゆる損失補てんの積立金になつておりまして、そういう金額が百六十億ですか、百七十億の巨額に上つて今日に参つております。その従来の附則と原則とを一本にいたしまして、この際はつきりとした制度的なものにいたしたいということで、今回の改正におきましては、いわゆる損益計算上の利益金が出まして、而もなおそれが剰余金として残つております場合には、森林資源の維持のための基金とも繰入れることができるし、又予算によつて一般会計へ繰入れることもできるということにいたし、そうして更にその残りはこれを欠損の積立金に従来のように積立てるというふうに、いわゆる従来の附則に入つておりました事柄を本則に改める、そうして従来の附則もこれを取入れる、こういうよう意味処理の方法をはつきりとさせたわけであります。それに基きまして本年いわゆる三十億の治山治水のための事業を、この特別会計から支出いたしまして、山林等の買入れを行なう、こういう予算がすでに議決になつているわけであります。
  128. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 只今大蔵省の総務課長から御説明申上げた通り理由によりまして、この度国有林野事業特別会計法の一部改正をお願いをいたしている次第でございますが、元来この特別会計は主たる収入財源は林産物の売払収入によつて計上いたしているのでございまするが、林産物の売払は市価によりまして売払うという非常に不安定な基礎に立つている。従いまして従来の本特別会計の経過を見ますると、昭和二十二年度から特別会計が発足いたしまして、当時は木材、薪炭とも統制が行なわれておりまして、価格に関しましても、統制下にありまして、而も本会計の狙いといたしまするところは森林資源の維持培養によりまして、一面におきましては林産物の生産確保、需給の調整、併せて国土保全という二つの目的を以つて出発いたしておりまするので、現在蓄積から生まれまする成長量を伐採の基準とし、更に伐採後のあと地の造林によりまして資源の維持をいたす、かようにいたしまして保続経営いたすという建前になつておりまする関係上、収支のバランスがとれない場合におきましても、増伐によつてこれを補うということは一切しない建前になつておりまする関係上、ここに経済事情に上りまする市況の変動に備えまして、保続作業を行うための一定の基金が是非必要であるという点が、一つ本会計といたしましては非常に大きな特色として要請されると思われるのであります。特別会計発足以来、先ほども申上げましたように、政府の財源が価格の統制のために極めて困難な経過を辿りまして、昭和二十二年度及び二十三年度におきましては、事業施設をいたさなければならないために、それぞれ八億九千万円、十四億六千六百万円という長期借入金によりましてこれを処理いたした。更に二十五年度におきましては、米国の対日援助見返資金特別会計より三十億円の繰入れを受けまして、事業施設、或いは造林費等に充てて参つたという経過があるのでございまして、幸いに二十五年の一月に木材の統制が撤廃され、三月には薪炭の統制が撤廃せられまして、その後国有林材の特性からいたしまして、価値相当の評価を以て売払いが可能になるということと、丁度二十六年の秋頃から朝鮮ブームの影響によりまして、林産物価格の予期以上の高騰がございまして、ここに漸く赤字会計を脱出いたしまして、その後やや順調な経過を辿つて、先ほどお話のありましたように、二十七年度末におきまして、本特別会計の損益計算上の利益累計が百六十一億七千八百余万円ということに相成つたのでございまするが、ここに新しく治山治水の基本対策要綱に基きまする我が国の保安林整備の一環といたしまして、重要水域の水源地帯の重要な保安林、国土保全のための保安林を的確に施業いたしまするために、現在目標といたしておりまするのは、これら重要水域、水源地帯の整備後におきます保安林見込百十一万余町歩に対しまして、ほぼ半分に近い五十万町歩程度を国有林の予算を以ちましてこれを買上げ、これに国土保全のための施設を行うという制度が確立いたすことになりましたので、これらは従来の独立採算制によりまする国有林野経営とは少し性格を異にいたし一まして、主として公益性のために投資を主体とするという建前上、現在におきましては国有林の益金を一部充当いたしまして、これを買上げ或いは事業を実施することが可能でございますが、計画的に買上げ事業を実施をいたします場合には相当長期を要する。将来においてこれを実施するためには、国有林の経営の根本を紊すという危険が出て来る。これらを考えまして、公共、公益性のための投資に対しましては、予算の定むるところによりまして、必要によりまして一般会計から繰入れを見て、これが計画的実施をも国有林において行う、こういうことを明確にいたしまして、この重要政策の計画的な実現を国有林野事業において実施いたしたいと、かよう考え方から本改正法案の御審議をお願いしておる次第でございまするので、よろしく御審議をお願いいたします。
  129. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を行います。
  130. 白井勇

    ○白井勇君 大蔵事務当局にお伺いしますが、私は日本の今の山林行政というものはですね、まあ相当考慮を要する時期ではないかと、こう考えておるんですけれども、昔でありますれば、山林資源を伐り出しましたり、それによつて相当まあ国の財源を見込むというようなことも考えられると思うのでありますが、終戦後、殊に最近の引続きまするいろいろな災害関係考えてみまするというとですね、これはこの特別会計にありまするようにですね、この一条を見ますると、「国有林野事業を企業的に運営し」という言葉がありますが、こういうよう考え方で国有林野事業を運営する段階はもうすでにすぎ去つておるのであつて、むしろこれからは国のこの林産事業の需給関係でありまするとか、もつと治水関係の問題、更に国土保全のような大きい目標の下にですね、山林事業にできるだけ投資をして行かなければならない段階ではなかろうか。ただこれは今のような国の財政状態にありまするから、そういうことを目論見ましても、或る財政上からの一つ制限を受けるのだということはあり得ると思いますが、できるだけここにまあ今申しましたよう考え方で投資をして行くという段階ではないかと思いますが、大蔵事務当局におきましては、この特別会計というものを設定されまして、どういうよう考え方で今運営をされて行きますお考えでありますか、他の専売事業のようにやはり特別会計を設けまして、それによつて或る程度の国の財源を組んで行くというようなお考え方、やはりそういうものであるかということを一言お伺いしたいのであります。
  131. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 只今お話がございましたように、国有林野の特別会計につきましては、勿論その経営という観点も重要でございますが、すでに現在の制度におきましても、国土保全の見地を併せて十分考慮するという建前になつております。私どもといたしましては最近の災害の問題もございますし、今回のいわゆる保安林の整備のための臨時措置も又やはりそうした一つ考えに基きまして、従来保安林の整備がとかく十分でなかつた点を考えてやつておるわけでありまして、結局国有林は我が国の山林面積の中の重要部分でございますからして、勿論これについても同様の考え方に立つてこれを経営いたさなければ、如何に災害等について、後始末にばかり心配いたしましても勿論いかんおけでございます。今回の改正におきましても、従来の特別会計法のいわゆる本則の建前といたしましては、森林資源の基金に繰入れました分はすべてこれを一般会計へ召上げる、こういう原則になつておりましたが、それを改めまして、勿論森林資源の基金に入れ、又場合によつては一般会計に財源をもらうこともございますけれども、残りは原則として全部積立てる、こういう本則を打立ててございます。又今回の事業において、国有林に非常な無理をおかけするということは我々の欲せざるところでございますので、必要なその金額は一般会計からいつでも予算によつてこれを補うことができると、こういう途を開くための条文を設定してございます。只今もおつしやいますような点を十分考慮して、今後も運営すべきである、こう考えております。
  132. 白井勇

    ○白井勇君 よくわかりましたが、只今ような御趣旨であり、それから従来も先ほどお話がありましたように、一応剰余金が出ますれば、これはまあ国の山林行政といたしまして剰余金が出るという経営は、これは朝鮮ブームのような、ああいう特殊な事態がなければ剰余金がたくさん出るというような運営の仕方というものは、これは必ずしも適当ではないという私は考え方を持つております。従来剰余金が出ますれば、それを積立金とする。残りがありますれば、これは全部まあ今お話ように一般会計に繰入されておつたというようなのが原則であつたわけです。そこで今度改正の十二条の点ですが、その増強のための基金ですね、「森林基金の組入又は一般会計」、この「又は」ということですが、これは法律的にいろいろ解釈があるようですが、今のような御趣旨、従来の経過からみて、これは要しまするに大体森林基金にしてしまうのだ、極く例外的な年には、これは一般会計に入れることもあるのだというふうにこれは解して差支えないのですか。
  133. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私ども考え方としては大体そういう御趣旨通りであります。従来からもいわゆる決算的な意味の剰余金というものは繰入れたことはございません。ただ非常に金頭等が、剰余金が多くなりまして目立つたような場合に、一方において一般会計の予算編成と睨み合せて予算上の繰入を、例えば二十八年度にやつて頂きましたことはございますが、一般としては殆んどないのであります。でありますからして、そういう途を開いておきたい、こういう考え方であります。
  134. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつとくどいようですが、そうしますとあれですか、この「又は」は年によつてどつちか一方ということであつて、而もその大部分のものは積立金でやる、大部分の年においてはですね、こういうふうに解してよろしいのですか。
  135. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) まあこれは将来の予算措置の問題でございますので、どうなるかということを具体的には申上げられませんが、大きな方針といたしましては、こういろような現状でございますので、相当額の積立金を持つようにいたしたい。でまあその積立金が今度非常に巨額になつた場合等に、一般会計に多少繰入れてもらうという場合が起るかも知れません。そういうような大体考え方であります。
  136. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の白井さんの言われるのは、この「又は」というのは、「及び」という意味なんでしよう
  137. 白井勇

    ○白井勇君 従来は順序がありましたから、積立金は優先であつたわけです。
  138. 木内四郎

    ○木内四郎君 その両方にかかつているということですね。
  139. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そうです。かかつておるわけです。
  140. 木内四郎

    ○木内四郎君 「又は」は「及び」という意味を含んでいる……。
  141. 白井勇

    ○白井勇君 一年で両方をやれますか。
  142. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) それはできます。勿論按分して、或る一年に全部繰入もやるとは限りません。
  143. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、私は多少ここで従来のやり方よりも改悪のような感じがするのです。と申しますことは、従来ははつきりと、とにかく剰余金が出ますれば、一応積立金は優先なんですな。ただ残ればこれは一般会計に繰入れなければならんという縛り方があつたわけですけれども、今回のように「又は」といのは「及び」も含む意味合だということになりますと、これはその時の都合によつて如何ようにもこれはなるので、むしろ先ほどのあなたの御趣旨から見ました御趣旨とも違いまするし、従来の経過から見ても、これは却つて改悪になるような結果になりはせんかと思うのですが……。
  144. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) その点は御心配はないと思います。従来の規定を御覧になりましても、例えばいずれが優先するとかどうとかいうよう規定になつておるわけではありません。而も実際は本文は従来は死んでおりまして、附則によつて動いておつた実情でございます。これも当分の間という前提で動いておつたのであります。従来の必ず積立を真先にやつて、それから一般会計に入れるというような、その点の表現は、そういうふうにはつきりいたしておりません。それから又実際の取扱としましても、やはりその時の実情に応じてやつておりますので、その点は従来のものから見て改悪であるということは申上げられないと思います。むしろ全体としては、表現的に見ましても、森林資源維持のための基金に積立て得る途を大きく取上げて行くという気持で、この改正を行なつておるわけであります。
  145. 白井勇

    ○白井勇君 これは今のお話ですけれども原則としましては十二条と十三条の関係ははつきりと、やはり積立というものを優先されておるわけですね。それから附則で今のようお話であつたわけですが、これは従来の恰好からいいますれば、別途の損失補填の積立をしておつたわけです。積立金というものはどこまでも優先をしておつて、一般会計の繰入というものは、その積立の次の段階にあるというふうに私は解釈しているのですが、そうでないですか。
  146. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 今御懸念のような点もあるかと思いますが、私どもといたしましては、今回の改正によりまして、従来十二条におきましては、剰余の出た場合においては一般会計に繰入れなければならないという規定をされておつたのでございまするが、今回の改正では繰入れることができるというふうに非常に緩和して頂いておる。これは実情に応じまして従来も一般会計の予算編成の際に十分御相談をいたしまして、只今大蔵省から御説明のありましたよう趣旨で、本特別会計としては不安なく実施いたして参つておりますが、今後も今回の改正によりまして、十分御相談をいたしまして、本特別会計の予算の編成、或いは運営に支障がないというふうに了解いたしておりますことを御了承願いたいのであります。ただ従来一般会計に繰入れる原則を、附則におきまして、当分の間損失補の積立をするということをいたして参りましたが、先刻も申上げました通り、非常に経済界の好転によりまして予期以上に積立金が膨脹いたしておりますので、この際それ以上にこれを確保する必要はないので、もう少し明確な目的を以てこれを活用すべきである。かよう考え方を以て今回の改正が行われておるという点も御了承願いたいと思つております。
  147. 小林政夫

    小林政夫君 今の説明で大体了承できたのですが、これは一体大蔵、農林両当局から考えて、大蔵省当局のほうが譲歩をしたことになるとも思えるのですが、目的税的なんですが、一応従来ならば一般会計へ繰入れて……。それが森林基金としてぴしやつときめるということ、その点はどうなつておるか。
  148. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) どうも御趣旨が非常にデリケートでわからん点があるのですが、別に譲歩と言いますか、大蔵省といたしましては言わば非常に厄介な問題を、ざつくばらんに申しますと、国有林に背負つて頂いたことになるわけです。今までは国有林の材木を伐つてつておれば済んだわけですが、ここで以て保安林というようなものを買入れまして、それを維持し、そうして従来民間が維持していた以上に立派にこれを維持して、従つてそれによつて大きな水源関与と言うか、治山治水の面倒な仕事を一面かぶつて頂くわけであります。それで会計の経理のしかたにもよるのでありますが、従来におきましても、一面において国有林の施設等が少しずつ、目に見えずやはり崩壊をしておる。そういうような点で、或いは十分手が入つていなかつた点もあるかと思うのでありますが、何と申しましても、只今ようなああいう森林の状況でございますからして、国有林につきましても、或る程度積立金を持つて頂いて、十分に基礎的な意味の基礎的な部分をいわゆる荒廃させることなく維持していかなければならんわけであります。そういう意味から言えば、期せずして従来もこの条文、森林資源維持のための基金は設けるという規定はあつたのでありますが、実際の経理の処理といたしましては、これを予算で定めた枠内で、全部森林基金でなくて全部補の積立金という形になつてつたわけであります。それが百六、七十億も貯つてつたわけでありますからして、現状においても、将来それを森林基金とはつきり目的づけた積立金として行くということは、そう無理でもございませんし、大蔵省としても極めて当然のことである、こういう考え方で国有林のほうの御意見も参酌したわけであります。
  149. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、従来一般会計へ繰入れられておる、例えば二十八年度には一般会計へ幾ら繰入れておるか。
  150. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 二十八年度予算におきまし三二十二億繰入れております。
  151. 小林政夫

    小林政夫君 一般会計へ繰入れたわけですね、この森林特別会計から……。今度はこれは調べればわかるのですが、二十九年度はどうなりますか、この関係は……。
  152. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 二十九年度におきましては、一般会計へ繰入れは実は一文もございません。
  153. 小林政夫

    小林政夫君 だから今申上げたように、財政当局から言うと、二十八年度は三十二億といろものが一般財源として確保された。今度はこれを森林基金というふうに釘づけになることは、この事柄のよし悪しを言つておるわけではないのです。財政原則を言つているので、大いに治山治水はやらなければならん、保安林は守つてもらわなければならんということは思つておるのですが、併し財政の弾力的運用から考えると、それだけの金は釘づけにしたというふうに了解していいのじやないですか。
  154. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 実は過去の二十八年度に繰入れましたのは非常に剰余金が殖えて参つたわけです。そういう関係から財源に頂いたわけでありますが、二十八年度以前には頂いておらないのであります。二十八年に初めてこれだけの金額を頂いたわけであります。それから今回は一般会計へ繰入れはございませんけれども、その代りということでもないのですが、先ほどのいわゆる保安林整備、このために三十億円、この会計がいわば出しておるわけです。それで三十億は本来一般会計負担のものかどうかという問題もあるわけでありますが、一般会計からは只今のところはそのための繰入れはいたさないわけであります。それは申上げましたように、剰余金が百億以上もありますので、そういうよう意味で三十億の治山治水のための事業、いわば投資的な事業でありますが、そういうものは差当つては国有林のほうで自前で以てやつて頂く、こういうことにしております。私どものほうといたしましても、国有林特別会計の経費については、勿論予算の編成或いはその他のときにおいて、できるだけ注意をいたしておりまして、小林さんがおつしやいました意味の、ただ徒らに金を寝かすということはできるだけ避けて行くのが当然だと考えております。本年はそういう意味で三十億円治山治水のために出しておるのであります。
  155. 小林政夫

    小林政夫君 私ちよつと席をはずしたものですから、すでに説明があつたかと思うのですが、どういう割合でこれはやるのですか。今白井さんから多少質問があつたのですけれども、森林基金は幾ら、損失準備金としてどの程度、一般会計へはどうする、こういう剰余金についてのわけ方と言いますか、或いは森林基金として少くとも年間或る程度のものは積立できるのだという含みはあるのですか、ないのですか。
  156. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その基準は只今のところははつきりきめておりません。従来のいわゆる損失積立金が百六十億にも上つておりますから、差当つてはそのうちの相当或る部分を森林基金として積立てる形にいたします。れば、基金自体としても、相当十分な額になるわけであります。どの程度金額にするかは農林省ともよく相談をしなければならないのであります。それで基金に積立てます額は、そういうすでに基金として積立てられておる金額も頭におきまして、そうして基金がいいか或いは損失積立金がいいか或いは場合によつて一般会計に入れるかということになるのでありますが、御承知ように今回のようないわゆる治山治水のために、本来のいわゆる経営的な経費でなくして、治山治水のための特別の投資のための資金というものをこの国有林から或る程度出して頂くわけであります。従来の積立ておる部分から相当額を出して頂く点もありますからして、基金に積立てる額、治山治水に出して頂く額、損失積立金として妥当な金額、こういうものはこの保安林維持の事業と併せて今後そのときどきに適当な金額をきめて行く以外にはないだろうと、こう思つております。
  157. 小林政夫

    小林政夫君 こうやつた場合に、今の、この治山治水事業というものは非常に重要で、十カ年計画を立ててやろうと、本格的に本年度からやつて行こうというとき、現在それについて国が出している資金というものは計画の三分の一くらいしか出ておらない。一見林野庁から見ると、こういうことで、或る程度の基金というものを確保したようでもあるが、又別の観点から言うと、これがあるから大して一般会計のほうで見なくてもいいじやないかというようなことにもなりかねないので、折角この基金を設けるなら、又将来の財政需要の関係で、今の話を聞くと、相当一般会計のほうで財源が不足して来ると、是非出してくれということになると、基金という名前をつけても基金として使えない。こういうことになるので、折角基金としておくなら、少くとも剰余金についての何割とか或いは最低限度これだけとかというようなことをきめなければ、設けた趣旨意味をなさないのじやないですか。当面は剰余金があるからというようなことで、どうにか運営上言訳けが立つにしても、その場合縛るつもりならば縛るらしくしなければ駄目だと思いますが、林野庁長官どうですか。
  158. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 基金の一定の目標というものは、当然景気変動等を勘案いたしまして、本特別会計の規模からいたしまして、一定の目標を立てるべきであると私ども考えております。まだ併し明確に大蔵省とも御相談をいたしておりませんが、それらの検討をいたしておりますから、いま一つどもといたしましては、本特別会計の資産の再評価が非常に遅れております関係上、今後の経理目標を立てる場合に、先ず資産の再評価をいたしまして、それから一応額の目標を立てるべきであるというふに考えておりまするので、まあ差当りそれほど急激な大きな、今後基金が直ちに積立てられるというふうにも考えませんので、それらを検討して、併せてなるべく早い機会に御相談をいたして参りたい、こういう考えを持つております。
  159. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 保安林整備計画は十カ年で五十万町歩ということですが、その整備計画に必要の金額を基金として積立てられるのですか。その点如何ですか。
  160. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 森林基金として積立てまするのは、保安林整備のための基金ではなく、従来の国有林の経営のための森林資源の維持増強のための基金ということで積立てるということになつております。
  161. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうしますと、さつきの説明を聞いて見るというと、現在の基金に百六十億円くらいのものがあるから、これ以上に積立てることはどうかというようお話ようでしたが、一体どのくらいの金額を積立てられる御計画ですか。
  162. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) その問題に関しましては、只今小林先生の御質問にお答えいたしましたように、成るべく近い将来におきまして、本特別会計の経理の健全化を図る意味における一定の目標を、見当を立てたいと、こう思つておりまするが、現在におきましては、実は特別会計の内容自体をもう少し明確に特急調査いたさなければならんという点がありまするので、近い将来に大蔵当局と御相談をいたしまして、一定の幅を確定いたしたい、こういうふうに考えております。
  163. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これは保安林整備計画のところで話があつたろうと思うのでありますけれども、保安林等の国有林を買上げる場合には、いろいろの問題があるだろうと思つておりますが、その買入価格がどうも所有者の意見と一致しないような場合が若しもあると仮定された場合、その場合においては、どういうふうな処置をとられるのでありますか。
  164. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 保安林整備臨時措置法におきまする民有保安林買上げは、飽くまでも協議によりまして買上げることにいたしておりまするので、勿論私どもといたしましては、買上基準を公明にいたしまして、而も妥当に、時価を基準として基準を定めるつもりでおります。これは中央森林審議会の議を経て決定することになつておりまするが、それにいたしましても、所有者と相談ができない場合には、これは強制的に買上げるという考え方はございません。ただ強制をいたすという場合は、保安林といたしまして、森林計画において施業の指定をいたすわけでございます。施業の指定に対しまして、森林所有者がこれを守らないという場合には、森林法の三十八条に基きまして、或いは原状の回復、或いは造林の催告をいたすことになりますが、それでもなお聞かないというために、広域に亘りまして、国土保全上大きな影響があるという場合に、これは保安林整備臨時措置法によりまして、強制の措置をとる。強制はただそれだけを考えている次第でございます。
  165. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 民有林が保安林に編入されたために、所有者が若しも今のようなことで不利益をこうむつたというような場合があると仮定しましたならば、その際においての損害の補償は何とか考えておられるのですか。
  166. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 森林法におきましても、保安林の施業制限に伴いまして、森林所有者のこうむる損害がありまする場合には、補償の条項があるのでございます。従来余り多くこれを適用した例はないのでございますが、今後保安林を整備強化いたして参るといたしますれば、量の強化ばかりではなく、内容の施業指定の強化を当然図らなければならないということになりまするので、その際におきましては、特に森林所有者に、そのために損害がかかるということになる場合には、補償を当然考えなければならん。かよう考えておりまするが、補償の基準は実は非常に複雑多岐に亘りますので、一応二十九年度中にこれらを調査整備いたしまして、三十年度以降において補償の問題を解決いたしたい。かように存じます。
  167. 小林政夫

    小林政夫君 保安林を買れる場合に、経費の財源に不足するときに限り一般会計から繰入金をする。この不足するときというのは、一体どういうときですか。具体的に数字的に一応……。
  168. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 当該年度予算編成に当りまして、保安林整備のための国有林買上げの目標は、一応十カ年間に五十万町歩という目標を立てておりまするので、これを実施するために国有林の予算編成に当りまして、買上げ並びに買上げた保安林に対しまして、保安施設、或いは保安のための事業を行う経費が不足いたすという場合に、一般会計から繰入れをお願いすると、こういうことになるわけでございますから、特別会計で賄える限りは特別会計で賄い、不足する場合に一般会計から繰入れてでも予算を編成する。こういうことであります。
  169. 小林政夫

    小林政夫君 賄える限り賄うという程度ですよ。そのときは剰余金ももう出ない。一体剰余金はどの程度まで特別会計で出すのか。剰余金がもう皆無になるという、欠損が行くという段階において入れるのか。
  170. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 従来とも国有林の特別会計におきましては、予算において剰余金は見ておりません。決算において剰余金が出たものが損失補填の積立金として、今日百六十二億足らずになつているわけでございますので、常に収支はとんとんで本予算を編成いたしております。その場合に、収入を以て買上げ、その他買上げた土地に対しまする事業の行えない場合に、従来の国有林についての計画的な事業が行なえん場合には、基金の活用というような問題も出て参ると存じますが、保安林整備のための買入れ並びに事業の不足については基金を用いないで、一般会計からの繰入れをお願いすると、こういう筋合であります。
  171. 小林政夫

    小林政夫君 まあ大体わかつたのでありますが、その説明で、この会計において収支とんとんであつたということでありますが、二十九年度予算を見ると、当時純益十五億四千二百十八万円、利益は計上されておるのです。だからこの利益を計上することができない。収支とんとんまでは特別会計で見るということに解していいわけですか。
  172. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 損益計算におきまして、益金十五億と申しまするのは、土地の、保安林五万町歩買入れによりまして十五億の資産増ということを益金に試算いたしておるものでございまして、余剰金として利益を得るという問題ではないのでございます。
  173. 小林政夫

    小林政夫君 併しこれは貸借対照表であり、損益計算書であつて、大福帳的考えかたではないのでしようから、今の剰余金と純益というものを分けた考えかたということはちよつとおかしいと思います。勿論剰余金というものが予算に計上されたもの以外の収支の余りだ、こういうふうに言われるならば、剰余金はおつしやる通りでしようが、利益金の実態は山であろうと森であろうと、要するに、決算をして見れば、余計損益計算書によつては十五億四千二百万円というのはあるのですから、利益になることになつているのだから、これも剰余金というか余裕金の一種であることは確かである。それが現金の形ではないかも知れませんけれども、とにかく積立金にしよ、うとすれば積立て得る金なんです、経理上は。それは簿記会計の原則から言つて当然そうだと思うのです。
  174. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) お説の通り、積立金の対象には当然なるわけでございますが、歳入歳出の決算におきまする剰余金、現金としての剰余金ではない、こういうことでございますので、損益計算において益金に立てまするが、収支の貸借表におきましては収支とんとんという形で現われておる次第でございます。
  175. 小林政夫

    小林政夫君 だから併しね、この第十二条の書きかたも「毎会計年度の損益計算上利益を生じ、且つ、当該年度の歳入歳出の決算上剰余金があるときは、当該剰余金に相当する金額範囲内」とする、それでその損益計算上の利益ではなくして、今の歳入歳出の決算上の剰余金だけが積立ての対象になる、こういうことですね。
  176. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) さようでございます。
  177. 小林政夫

    小林政夫君 わかりました。
  178. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  180. 平林太一

    平林太一君 内閣総理大臣吉田茂君(「簡単」と呼ぶ者あり)提出による国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案、本案に対して反対の意を表明するものであります。  総理大臣吉田君の今日とつておられます行動に対しまして我が国家の現状に即して速かなる退陣を過ぐる二十三日本院はこれを議決いたしました。その表面に現われておりまする言葉といいたしましては、内閣に対する警告決議案と相成つておるのでありますが、国会法に定められた範囲内におきまして、本院といたしましてはその形におきましてこれを、議決いたしておるのでありますが、実質におきましては、今日前言で申上げた通り吉田君の首相たることを、速かにこれを退陣せしめることである。せしめなければならないということで、これが意思を同君に伝えるの処置をとつたのでありますが、今日依然としてこれに対していわゆる牽強附会の説をみずから立てて、その処置を今回遷延いたしておる次第であります。この上は本院といたしましては、鋭意同君の提出する法案に対して、これを否決して行くということが、決議案を具体的の行為の上に、事実の上に行なつて行くということであるのであります。殊に今回の決議案の発生をいたした理由として挙げられているものに対して、法案審議議決を求めることが必要であるから、特にこの検察庁法に対する暴力的な行為にまで敢えてするなというのであります。このことはとりもなおさず、吉田君の意図しておりまするところは、ひたすらに自己政権の担当を一日も長らえんとするということ以外に何らの意義を生じておらないということは極めて明らかであります。従いまして本院にいたしましては、私といたしましては、この際これらの行為に、吉田君の意図しておるこの法案審議に、決を求めることに対して議決を拒否する、否決するということが、今日刻下最大の急務なりと信じて疑わざる次第であります。私はこのことに対して反対の意を表明するの理由は、いわゆるこれら個々の法案、極めてこれらもそれぞれ処置すること重大でありますが、併しこれらは国家の一局部一部分における施策の一端であることは申すまでもありません。施策の一端でありまするその法律案を重しとして、この国家全部の政治の運行に対する吉田内閣総理大臣行為を見逃すということは、その軽重に対する常識上の判断というものを誤るということの極めて明瞭であると信ぜざるを得ません。  故に、本案に対しましては吉田君を信任せず、従いまして同君の速かなる退陣を要求する、その意味におきまして本案に反対の意を表明するものであります。
  181. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決にに入ります。  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案衆議院送付原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  183. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決することと決定いたしました。  諸般の手続きは、先例によりまして委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名を求めます。   多数意見者署名     山本 米治  藤野 敏雄     小林 政夫  白井  勇     前田 久吉  木内 四郎     東   隆  岡崎 眞一
  184. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  185. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会