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説明員(
高橋俊英君) 第十八条「再
評価実施
会社は、
昭和三十二年三月三十一日を含む
事業年度から
昭和三十五年三月三十一日を含む
事業年度の直前
事業年度までの各
事業年度において左の各号の一に該当するときは、当該
事業年度における
資本の額の
平均額の百分の十五に相当する
金額に当該
事業年度の月数を乗じて十二で除して得た
金額に相当する
金額をこえる利益の
配当を
行つてはならない。
一 再
評価法第百九条及び株式
会社
の再
評価積立金の
資本組入に関す
る
法律の
規定により当該
事業年度
終了の日までに
資本に組み入れた再
評価積立金の額が、再
評価法第百
二条第百八条若しくは第百十条又
は第三十八条の
規定により再
評価
積立金として積み立て、又はこれ
に組み入れた
金額の
合計額から、同
法第百三条第百四条第一項若しく
は第二項第百五条第百七条第一項
第三号又は第百十条の
規定により
当該
事業年度終了の日までに取り
くずした
金額の
合計額に同日後納
付すべき再
評価税額を加算した金
額を控除して算出した
金額の百分
の四十に満たない場合」、次の
括弧
は重要でありますから読みます
と、「(同日における再
評価積立金
の額が
資本の額の百分の二十五に
相当する
金額以下である場合を除
く。)
二 当該
事業年度において
減価償却
資産について行
つた減価償却の額
の
合計額が当該
事業年度の減価償
却
資産の普通
償却範囲額の
合計額
の百分の九十に相当する
金額に満
たない場合」
第二項「租税
特別措置法第五条の十一第二項は、前項第二号の普通
償却範囲額の
計算について準用する。」
第三項「要再
評価会社が
施行日後に合併した場合における合併
法人に対する前条及び前二項の
規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」
これはいわゆる
資本司
評価積立金の
資本組入れを或る程度まで行わしめようとすることと同時に
減価償却を十分に行わせようとすること、この二点を主眼として
規定したものでありまして、それに対しましては、これを行わない場合においても罰則等の適用はいたしませんが、
配当の制限を行うというふうな、いわば間接的にこれを要請、
強制すると言いますか、
強制ではないのでございまするが、そういう手段によ
つて促進せしめようという趣旨でございます。
その組入れのほうについて申しますると、
原則的には、再
評価積立金として積立てた額、それの四割に相当する額を
昭和三十二年の三月末日までの間に組入れをする、
昭和三十二年の三月末日を含む
事業年度末ということになりますが、それまでの間に積立金の四割を組入れなさい。併しその場合の積立金と称しますものは、その一旦積立た額の総額を言うのじやなくして、それから再
評価税などを納めます場合にはこれは取りくずすことにな
つております。それから譲渡損があ
つた場合にはこれを取りくずすとか、或いは損失の填補に当てる場合もございまして、これらにつきましては、再
評価法において、当然、当然と言いますか、再
評価積立金を取りくずすべきもの、或いは取りくずし得るというふうな
規定がございます。それらの
規定によ
つて取りくずしを
行なつた額は、
計算上、積立金の額から除外いたします。それらを除外した額の四割に相当する額であります。
こういうことでございますが、そのほかに、四割はまだ組入れなか
つたけれども、残
つている積立金の額がそのとき現在のいわゆる
資本金に対して百分の二十五以下である、こういう場合には、あえてそれ以上組入れを要請されることはない。組入れは多々ますます弁ずるとは思いますけれども、併し非常に小さな積立金にな
つてしま
つて、
資本金のほうが遥かに大きいというような場合には、そこまでむずかしいことを言わなくてもいいであろう。大局を規制すればいいのであ
つて普通の商法の
規定によりましても、これは再
評価積立金ではなく、利益準備金のほうでありまするが、百分の二十五は毎年益金から積立をしなければいかんという
規定がございます。それと別に、この数字は合わす必要はございませんけれども、
資本金の額の四分の一以下にな
つてしま
つているのに、それのうちから更に
資本金に組入れられて行く組入れの割合、そういうものが半端にな
つて来るということになる、実質的には、もはやそれは
目的を達したものと考えてよろしいということで、最後の一号の
括弧内においてこれを除外しておるわけであります。この組入れにつきましては、なおいろいろ御
質問によ
つてお答えしたいと思いまするけれども、概して申しまして、なぜ四割という数字が出て来たのかという点を釈明さして頂きまするが、これは最初、
資本組入れを要請する必要があるということに
なつたら、例えばどれだけをするかということを考えたわけでございますが、一部におきましては、もう
陳腐化資産等の
償却に充てたもの以外は全部組入れるべきだと、非常に極端な議論もありますし、一方では、この組入れという問題は全く
会社の任意に任しておいて然るべきではないかという意見、両極端の意見があ
つたわけであります。私どもとしましては、これは
強制するのにはいささか不適な面がある。
強制はしないけれども、
配当制限という手段によ
つて或る程度
目的を達したいということから
計算しましたところ、大体現在の
資本金に対して総
平均で一対一程度が限界ではなかろうかということを一つ頭に置きまして、それで今度この再
評価の促進
強制の
法律によりまして、どの程度再
評価するか。これは簡単に予測はできませんが、私どもとしては、
平均としては第三次
限度額の九割程度を
平均では行うのではないか。と申しますのは、中にはすでに紡績その他優良
会社は
限度すれすれまでや
つておる
会社があり、電力
会社におきましても十分な再
評価をしておる。ところが、電力
会社の再
評価が非常に大きいそうです。電力
会社の固定
資産による再
評価積立金の額は非常に大きい。それらのものが九九%、一〇〇%近くまでやるというものですから、総
平均では九〇くらい行くであろう、そういう前提で、今までの積立金に対して、これらの再
評価の
強制の
対象となる
会社の分だけで四千百億くらい再
評価差額が当然出るであろう。それを従来の積立金に加えて
計算しますと一兆一千億を少し欠けるという程度になるわけであります。組入れの
対象となる積立金の総額が一兆九百億円くらいに達するだろう。それの四割というものは、約四千四百億円になるわけでありますが、これを立案いたしました当時のこの再
評価の
強制の
対象となる
会社、五千万円以上の
会社ということに一応了解を頂きたいのですけれども、それらの
会社の
資本金額が丁度そのくらいになる。
資本金の総額が四千数百億である。それに対して組入れを要する額が、四千四百億である。ところがすでに組入れたものが四百億余りあるわけです。ですから、その分だけは除かれる。併しながら、これは若し
強制ということによ
つて全体の
会社をやらせれば、確かに今後三年間の間に四千億程度の組入れが行われることにな
つて来る。そうなると、証券界の皆さんが心配しているように、非常に有償増資を圧迫するということにもなりかねない。そこで
強制ということにしないで、三年後においてもなお且つ一割五分を越える
配当を継続しようという
会社だけこれに引つかか
つて来る。現に一割五分以下の
配当をしている
会社は何も関係ないわけです。極端なことを言えば何ら
強制されない。初めから除かれてしまう。現在一割五分以下であるようなものは三年後にな
つて、二割も三割もするということは余り常識的には考えられない。年々
配当の
平均率は下
つているのです。今では、五千万円以上の
会社、上場
会社等をと
つてみると一割八分少し上廻る程度でございます、
配当の
平均割合が……。で、一割五分以下の
配当をしている
会社の数が、上場
会社の全体の四割を占めている。ですから、四割の
会社は当然脱落をする。その中に電力
会社が多いわけですが、電力
会社の積立金は先ほど申しました一兆九百億円の中で約四千億円を占める。四千億円は九電力
会社の分だけで積立金が四千億になる。これは御承知のように現在は一割四分程度の
配当が予想されるわけでありまして、当然
強制と言いますか、それが
強制の
対象から除外されます。それらを除いてだんだんに
計算して行きますと、この
条文に従
つて再
評価を要請され、組入れを要請されましても、三年間の間にまあ
計算上千二、三百億円程度の組入が行われるのに過ぎませんけれども、併しながら今までの実績に比べればそれは確かに多いことは多くなります。多いけれども、さりとて、その年々千四、五百億にも達する有償増資を著しくこれがために阻害するという程度には至らないであろうということと、実際の
対象となる
会社は高率
配当をしている
会社だけである。それらの
会社は今後四割までの無償交付をしないと
配当率を一割五分に下げなければならんことになりますが、その場合、仮に今三割している
会社が、有償、無償等の増資をして参りますれば、自然にその
配当率も下
つて来るわけであります。而も
配当率は下
つてもなお株主に損害を与えないということは十分考えられることであります。一般的にただこういう
配当制限の
規定そのものが何か非常に証券市場に対して悪材料であるような印象を持つ向きがありますけれども、私どもとしては、これな今直ちにこれをやれというのではなくて、三年間にやればいいのであるという点と、その額が一部で考えられるほど巨額なものではない。併しいたずらに名
目的な高収益とか、高率
配当というようなことで、
経営が放漫になりがちな面を是正するという
意味においては、相当
効果もあるであろう。三割或いは四割というふうな
配当は、現在の過小なる
資本金に対してだけ言えることであ
つて事実は決してそういうものはございません。もつともつと低い
収益率であると思います。ただ何分にも、
資産の再
評価は行うことにしましたけれども、
資本金のほうについては何も触れておりません。
資産の部のほうの
資産だけがふくれ上
つておる。
資本のそのふくれ上
つた分の
金額が積立金という
名称で
資本準備金の項目に計上されておる。而もそれは
配当率や
収益率を問題にする場合において何らその
基準にとられておらない。そういうことから、名
目的な高収益、高
配当ということが起
つて来る。尺度が狂
つておる。目盛が狂
つておる。狂
つた目で皆見てお
つて、見せかけの範囲額であるということになるわけであります。これを是正しようというのがこの
資本組入れの
目的でございます。
なお二号のほうの
償却については重ねて申上げなくてもおわかりと思いますが、今度再
評価して
償却の範囲額が上りますが、その上
つたものに対して、直ちに
償却を
強制するといいますか、
償却をしないと
配当制限するぞというようなところまで行かない。今後約二年間た
つたところで、九割の
償却を要請する。それも何ら罰則を伴うものではございません。ただ九割までの
償却もしないで、一割五分を超えるような
配当をすることを禁止する。こういう趣旨でございまして、この点については却
つて非常に甘いという印象すらあるのではないかと思うのであります。併し極めて稀に十分な
償却をしないで
配当しておる
会社がありますが、最近の傾向といたしましては、
償却については
会社の実績も非常によいように見受けます。
償却に熱心である。一般に、折角、税を払わないで
償却できるのに、税を払
つて配当をしたり、利益で
償却するというようなことは余りやらないわけであります。特殊な
会社を、海運業界というようなものを除いてみますれば、大体
限度額の九五%の
償却をしております。但しこの九五%はまだ再
評価されない前の問題でございますからして、再
評価した後においては実額としては
償却の額は上ると思います。再
評価の
対象となる
会社については、総額では四百億円前後の
償却増があると思いますが、これは現在計上されておる利益に対しましては一〇数%に過ぎませんので、これが不可能だというふうには私どもは思
つておりません。当然それがためにこそ再
評価の
強制もするのであるというところから、その締め括りをする
意味におきましてこういう
規定を設けた次第でございます。
なお二項の点は、これは先般御審議願
つた租税
特別措置法の
改正法律に
規定されておることでございますが、料金を公定されておるもの、公益事業にあ
つて、税法の上では定率までやり得ることにな
つておる場合でも、この
償却の範囲の
規定の適用については定額のほうを
計算の根拠にする、こういう理由でございます。
次は第三項は、合併に関して、合併の場合の
資本組入、
償却というふうな点については、別に政令で
規定するようにな
つております。