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1954-04-12 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十二日(月曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            堀木 鎌三君            平林 太一君   衆議院議員            大平 正芳君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     高橋 俊英君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○入場税法案内閣提出衆議院送  付) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法  案(内閣送付) ○公認会計士法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  入場税法案、(本審査交付税及び譲与税配付金特別会計法案、(予備審査)右二案を議題といたします。  先ず入場税法案衆議院修正点について説明を聴取いたします。大平衆議院議員
  3. 大平正芳

    衆議院議員大平正芳君) 入場税法案に対する衆議院修正点につきましてその趣旨を御説明申上げたいと思います。  この修正は大きく分けまして三点になつております。一つ税率軽減でございます。次は第一種の入場税免税点撤廃でございます。第三は施行期日の変更でございます。  先ず税率軽減でございますが、第一種につきましては、政府原案におきまして、四十円まで二割、七十円まで三割、百五十円まで四割、百五十円超五割という税率でございましたが、我我のほうはその四段階を五段階に分けまして五十円までを一割、八十円までを二割、百三十円までを三割、百五十円までを四割、百五十円超を五割というようにいたしたのでございます。第二種のほうにつきましては、従来原案におきましては、七百円以上につきまして四割という高率の税率考えられておりましたが、第一種のほうの税率軽減いたしますのと権衡をとりまして、七百円を超えるものも一律に二割の税率に戻したことと、第一種のほうで一割の税率を設けましたので、それとの権衡を見まして、八十円以内につきましては第二種のほうの入場税を一割にいたしたことでございます。で、この趣旨入場税徴収義務者でありまする興行者の経営の実態を考えまして、できるだけ税率軽減を図つて行こう、併しながら入場税国税に移管するという方針は飽くまで貫かなければなりませんので、税率の大幅の軽減によりまして非常な税収減を来たすことのないように非常に心を砕きまして、今提案申上げておりますような税率にいたしたわけでございます。  それから免税点撤廃でございまするが、これは興行者のほうからの事情の具申がございまして、二十円以下を免税にするということになりますと、二十円以内で興行の濫りな実行が行われまして、興行者の間に秩序が乱れるというようなことで、いつそこれは撤廃してもらいたいというような陳情も考慮いたしまして、二十円以下の免税点撤廃いたしました。第二種につきましては、博覧会展覧会等がございますので、これは原案通り免税点を存置するということにいたしたのであります。  それから施行期日の問題でございますが、これは四月一日から施行することになつておりましたが、御承知のような事情法案審議が遅れましたので、公布の日から数えまして五日後というふうにいたしたのでございます。  なおこれに関連いたしまして、衆議院のほうの修正によりまして税率が下りました。これによつて非常な減収を来たしまして、地方財政運営支障を来たすというようなことがあつては相成らないということを考えまして、入場譲与税法案附則を改正いたしまして所要の措置を講じて行く。地方に譲与される限度額が、百七十二億八千万円につきましては、如何なる場合においてもこれを確保して行こうという措置をお願いいたしたわけでございます。  以上が修正趣旨でございまするが、御審議を願いまして御賛成頂ければ非常に幸いと存ずるのであります。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 本案の衆議院における態度決定しないために、参議院においては予算結論を出すこともできない。相当我々としては、この入場税法案及び入場譲与税法案については、二十九年度予算骨格の一部、重要な支柱をなすものであるというような考えを持つておるわけでありまするが、この点について大蔵大臣は、只今衆議院における修正を、この自然成立した二十九年度予算との関連においてどのようにお考えになるのか。その点を最初にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この入場税入場譲与税法案等につきましては、政府としてはできるだけ速かなる通過を希望して、あらゆる努力をいたした次第でありますが、なかなか容易に決定を見ず、漸く四月八日になつてこれが修正可決されるというようなことになつたのが、ひいて参議院におきましての御審議一つの妨げのもとにもなつたということは、誠に遺憾に存じております。  ただ私どもとしては、政府としていつも国会に速かなる御審議を願うということで、力を尽す以外に、国会審議にどうこうということはできませんものですから、この点は甚だ不本意の結果にはなりましたが、政府としては尽すべきことが多少足りなかつたかもしれませんが、できるだけのことは努力して参つたということを御了承願いたいと思つております。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 今の私の質問は二点あつたので、もう一点御答弁を願いたいのですが、次の点は、こういうふうに衆議院において修正されたことが、大蔵大臣としてお考えになつて、二十九年度予算を執行する上においてどのようにお考えになるかということが第二番目にあるわけですが、それは次にお答え願うとして、今御答弁なつた点でありますが、これは本委員会においても、与党の委員長である大矢委員長自体、今まで非常に衆議院審議について、又、政府当局審議促進について遺憾の意を表しておられるのであります。又、先般三月の二十八日、日曜日に、ここで午前十時から晩の八時まで審議をいたしましたが、四月一日施行税法を三月の二十七日夕方上げて来たというようなことで、而も重要法案を一遍に上げて来て、そうして結論を出せと、こういうようなやり方については、甚だ我々の審議を実際において拘束するものである。当日、大蔵大臣も御出席になりましたが、私は午前中の委員会において政務次官に篤と申上げたので、二度と大臣に申上げるのは如何かと思つて遠慮したのでありますけれども衆議院議員である大蔵大臣として、今後衆参のこの種法案運営について、どういうようにしたらいいとお考えになるのか。甚だ努力をしたけれども、どうも国会のことは自分一人の力ではどうにもならないので、甚だ遺憾であるということ、こういうことだけでは、どうも我々としては甚だ物足りないわけでありまして、而も当委員会としては、第十六国会においても、この委員会の決議として、委員長から参議院議長申入れ参議院議長から衆議院議長に正式に申入れをして、とにかく重要なる歳入予算骨格をなす税法については、速かに、予算と同時に、或いはそれと日ならずして当院の審議に廻すようにということを強く要望したのにもかかわらず、第十六国会においては、本来の施行期日である八月一日を過ぎて、八月三日に送つて来られた。こちらの申入れは、ことごとく無視せられておる。こういうようなことで、今度の入場税法案は特殊な事例としても、他の税法についても、例えば租税特別措置法は三月三十一日の午後の二時半に上つて来て、これを即日我々が議決したということで、某一流新聞が、予備審査をやつたとは言いながら、如何にも参議院審議はおかしいじやないか、こういう非難をしている。一瞬間の委員会審議を捉えて、我々はそういう非難は実際受けたくない。受けたくないけれども、一日から施行だということで涙をのんで議決をしたわけですけれども、そういうようなことは、大蔵大臣として、これは小笠原さんという意味ではない、大蔵大臣として、今後どのようにしたら本院の審議に、実際において支障がないような措置をとれると思うか。この点を一つ……。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 特に予算関係の各種の重要な税法案が、この国会において、余り審議のたくさんの日がなくて当院に廻つて来て、而も参議院におきまして非常な御勉強を願つて、朝早くから夜遅くまでやつて頂きまして、そうして御審議をして頂きましたことに対しましては、衷心から私は感謝申上げておるのでありますが、併しこれは実は私どもとしては、もう少し衆議院のほうも早く終つてもらつて参議院に相当な審議日にちを持つて頂くことが一番望ましいことでございますので、今後は十分一つこの点に対して、政府当局は勿論、能う限りの努力をいたしたいと考えております。そうして又、大体小林さんが仰せになつたような御期待に背かぬようにいたしたいと思つております。ただ入場税等の問題につきましては、これは私が説明しないでも、いろいろ御承知のようないきさつがございまして、いろいろ私どもとして力を尽したのにもかかわらず、それが参議院の特に緑風会のいろいろな審議に対する御主張があつたことについては、この点、私も繰返し遺憾に存じておる次第でございます。ただ修正案が、今度衆議院のほうは修正案通り決定を見ましたが、この修正案につきまして、最初のお尋ねにちよつとお答えが漏れて甚だ恐縮でしたが、実は私どもも、率直に申上げて、これは原案がいいと考えておりますが、併しいろいろな御批評で、先ほど提案者から御説明なつたような工合に、修正を受けることになつたのであります。これにつきまして、政府としては、まあ国税移管という大きい筋に変りがなく、又大体税収というものが、これは今までの積算方法によつてやりますと、大蔵省のほうでやりまするものによると、細かい数字は今わかりませんが、大体一応百四十五億ぐらいの収入考えるのでありますが、併し一方、よく料金が下ると入場者が殖えて来るといつたような問題等もあつて衆議院でこれはちよつと問題が出たくらいで、いや却つて増収になりますよなんて言われた。私どもはさよう考えませんが、併しそのまま現在の率をかけて、これだけ入つたものに対して、同じ人員で同じ割合で出しますと、百四十五億になりますが、まあ必ずしもそれにとどまらんだろう、こういう見方もいたされまするので、それで本税が一番狙つている点は、これは小林さんがおつしやる点であろうと思う。地方税のほうに迷惑をかけずにやれるかというのが、一番小林さんの御懸念の大きな点であろうと思います。実は修正案ではその点に対する措置もとつてございましたので、かたがた政府としてはこれを御同意申上げて、この予算執行の責に任ずる考えでおります。併し数字的に細かいことは、御必要に応じまして、表をお出しいたしますし、勿論御答弁も申上げますから、さよう御了承願いたいと存じます。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 その先の点は、まだ、あつさり今後やるということだけでは、これはここで押問答しても、それはそういうことに尽きるかも知れませんが、遺憾であつて、どうも何とかしなければならんということだけでは困る。私は二十八日の日は政務次官に、あなたは特に国会運営を担当していると見なければならん、その政務次官がこういう不手際なことをやつたということは、職を賭してもいいということまで言つた。それは併し、私がやめたところで、という話だつたけれども、何も植木さん自体を攻撃しているわけじやない。大蔵政務次官として、それだけの、参議院に対する義理を感じてやめたということになれば、これが延いては衆議院審議促進することになるのじやないか。こういうことで、強くその程度の肚をかけて、衆議院審議促進しなければならん。例えば参議院においては、四月一日からの施行なんだから是非やつて下さいというて、主税局長はじめとして、てんやわんやで、我々を督促なさる。それと同じに、何といいますか、審議促進を、衆議院大平議員も来ておられますが、衆議院大蔵委員会で、個々の大蔵委員にせつつかれれば、これは何とか今より少くとも一週間やそこらの短縮はできると思う。今のままで行つてもですね、そういうように、まあ一週間どころで我々満足するものではありませんけれども、その熱の入れ方が、政府委員としての熱の入れ方が、非常に足りないのじやないか。又そうでなければ、例えば物品税とか或いは租税特別措置法とかいうような、うるさいものを早く衆議院で上げて来て、参議院でもう一遍こねられるということは、いじり廻されるということは、どうもよろしくない。そのいじり廻す余地のない最後の日に持つて行つて、無理押しに原案通り呑ましてやろう、こういう底意があるのではないかと、疑つても止むを得ないようなこのやり方だ。政府委員としては、我々に対して四月一日施行に対して大いに結論を出してくれということの熱を入れられるくらいの熱を……、或る一定の日にち衆議院審議限つて、まあこれだけの余裕参議院に与えれば十分だと思われる日にち余裕を置いての審議促進ということは、少くともおやりになつて然るべきだ。それから更に、衆議院だけ責めるようでありますけれども政府法案提案も遅いのです。で、少くとも予算ができたということであれば、まあ一両日遅れるということは止むを得んにしても、骨格をなすところの税法等は、おおむね国会には出せる運びをすべきだと思う。その点が入場税等については遅れている。こういうことについて、今後政府としてはどういうふうに……、これはもう政府直接の責任です。この点についてはどういうふうにお考えか。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実はこれは、私、率直に申しますが、何もそれじや衆議院のほうで早くやつてもらえれば、面倒くさくないであろう、そんなような気持は、実際大蔵省のほうは一人も持つておりません。これは衆議院審議の経過を少し冷静に御覧下さればわかると思います。自分のほうとしては、非常にたくさん大蔵委員会法案がかかつているのですが、毎日これだけ願えませんか、あれだけ願えませんかというて、我々あらゆる努力をしているのですが、なかなかそう行きかねる点もありまして、この点、誠に遺憾に存じておりますが、お話の通り更に一応一層熱意をこめてこれはやるべきであると考えますので、これは今後もずつとあることでございますから、一つ今後は一層努力いたしますから、さよう御了承願いたいと思います。  なお政府提案の遅れておりますことにつきましてのいろいろお叱りがあつて、この点も、これは私ども責任として誠に申訳ないと思いますが、今度の法案の中には、党その他への交渉を要するものが相当あつたのでございます。これはまあ小林さん客観的に御承知と思います。そういうこともありまして、それらの点から多少手遅れになつているようなものもございます。又いろいろな関係上、すぐ、例えば要綱をきめましても、それを成文化するときに少し時間がかかりますとかというような問題がありまして、他のいろいろな法律との関連上遅れているものがあることは誠に遺憾に存じております。これは参議院のほうでおきめ下すつたもので、一つ遅れているものが、まだ実際お叱りを受けるものが一つあります。これも実はこの間からずつとやつているものについて、要綱をこしらえても、なかなかあすこで引つかかり、こつちで引つかかり、漸く今日明日の閣議では決定するかと思うのでありますが、こういうふうに、実はこれも政府の手際が悪いからそういうことになるのだというお叱りがあれば、これは全くその通りであると申すよりほかございませんが、そういうような関係で遅れている点は、あえて申訳をいたすのではありませんが、お察しを頂きたいと思いますけれども、今後とも政府の側での提案につきましては、できるだけ取り急いでやつて、御期待に副うようにいたしたいと存じております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 もうだんだんルーズになるのですよ。それが私も短かい国会経験ですけれども国会の開催の都度そういう点がずるずるとルーズになつて、今日まで注意をしてもそれはもう全く糠に釘で、だんだんそういう点が非常に回を重ねるに従つてルーズになつて行くのが実情です。私は一つその点は十分に今後今の御言明通り実行を願いたいと思います。  それから大平衆議院議員にお尋ねしますが、この前、内藤さんが見えたときに、私は今の大蔵大臣に対する質疑で申上げたように、衆議院税法等についての審議について、参議院議長から衆議院議長を通じてあなたのほうへ申入れたことについては、以後どういうように考えてもらえるのか、こういうようなことを二度とやらんように一つお願いしたいのですが、その点、如何でしよう。
  12. 大平正芳

    衆議院議員大平正芳君) これは小林委員の御質問、誠に御尤もであります。我々といたしましても、参議院のほうからの御注意を待つまでもなく、参議院のほうに十分の御審議期間が残るように配慮をいたしたい熱意で一ぱいでございまするが、今回の事情は、党内もとより非常に複雑でございまして、いろいろ努力を重ねましたが、あのような不始末になりまして、誠に遺憾に至極に存じております。御趣旨を我々委員会、与、野党全員に伝えまして、今後十分戒心して、十分の御審議期間参議院に差上げるように一致した努力をいたしますように、委員会を通じまして各位に要請いたしまして、御要請に応えたいと思いますので、今までのことは遺憾に存じますると共に、今後十分誠意を持つてやりますことを申上げまして、御了承を得たいと思います。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 今度の参議院予算結論を出すに至らなかつたということは、特に我々緑風会に属している者としては非常に責任を感じているわけです。感じているわけですが、併し止むを得ない、我々も当然そういう態度をとらざるを得ない、こういうふうに考えているわけですが、それは決して何も政府を痛めつけようとか何とかというわけではございません。なかつたわけですけれども、その起つた事態については、ああいう結果になつたということについては、政府としても、又衆議院としても、相当の責任を感じてもらわなければいかん。で、二度とああいう事態を繰返さないようにということを、甚だ繰返してくどいことになりますけれども、ああ、もう予算は放つておけば自然に成立するのだというような考えで将来も安易にやられるということであれば、我々としては今後の審議については相当又同じような事態を繰返す。予算はああいうもので成立をするかも知れませんが、法案等はそうは行かないのであります。今まではどうにか実情を加味して、まあまあというので、まあまあまあまあが今日になつておるわけでありまして、今後はまあまあで行かなくなりますが、その点については十分諸氏の御言明通り、是非御実行を願いたいと思います。  それからこの当面の入場税の問題に移りますが、今の御説明だと、税率が下つたわけで、従つて今までの表、つまりその基礎数字を基にして六十億くらいは減収になるけれども、それで以て脱税……、簡単に言えば脱税がなくなるであろうから、実質的には余り税収は変らないのじやないか、こういうような御説明であつたのみならず、万一減つて入場譲与税法案附則でしたか、予算に予定しておる百七十二億八千万円というものは、必ず地方団体へやるのだ、万一、入場税収入が足らん場合においては、一般会計から補填して出す、こういうことが謳つてありますが、一体その万一足らん場合という、その一般会計から補填するということは、どういうふうにしておやりになるのか。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まあ大体先ほど申しましたごとく、一応今までお出ししておる数字を根拠にして、そのままの下つた率を人数に掛けてやりますとそうなりますので、必ずしも私どもは百四十五億になるとは思つておりません。もう少しこれは増収になると思つておりますが、なおその点も衆議院でも問題になりまして、脱税をなくするからという意味で、それは脱税があるのを何で認めておるかという問題があつて、これは政府が言つたことじやございませんが、政府の立場で申しますれば、政府は、多少料金が安くなるから、入場者が多少殖えるだろうという気持を、政府側としては持つておるのでございますが、そういうことで、とにかくどれくらいになりますか、数億の不足を来さずに済むようなことに行けば大変結構だと思いますが、一応先ず最初におきましては、政府一般会計から入れます十九億二千万円でありますか、百九十二億の一割、この分を一般会計から繰入れないで済むようにいたして行きたい。それでもなお不足が生じますというと、今度は特別会計のほうで借入金を二十億できることになつております。二十億を、これが特別会計へ借入をしてやつて参りますれば、それで大体処理ができるのではないか。ただこの二十億は、今までの原案ですと、年度内だけに限つておりましたので、それを更に翌年度まで延ばし得ることに今度は修正案でなつておりますから、そういたしますれば、一応はつきりと目途のついたものが、そういうふうに十九億二千万円と二十億とございます。それでもなお、そうしますと、決算が三月末になればいずれはつきりと出て来ると思いますが、出ましたものについて、仮に不足が出ますならば、これは三十年度予算のほうで計上して御審議を願う、こういうことになろうかと実は考えておるようなわけでございます。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 この十九億は、今おつしやつたようなことで、合計三十九億何ぼですか、その場合、不足すると翌年度でやるというわけですが、少くとも二十九年度予算で、今の十九億というものは穴が明く。この穴はどういうことになりますか。今の大蔵大臣の御説明をそのまま受取つたとしても、十九億二千万円、当然に受取つていられるべきものが穴が明く。これはどういうふうになりますか。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはまあ税収のことは、どうも一般会計になりますると、はつきりとどれだけの税収があるか、国の歳入があるかといいことが、これはもう少し先へ行きませんとはつきりいたしません。只今のところは一応そう見えますが、これは小林さん、例の教員の半額国庫負担ですね。あれはああいうふうに通りませんでしたが、三月になつて漸く、どうしてもこれは方法がないということで、二十八年度第三補正をお願いした。これも、私もやつて参りまして、どうしてもこれはいたし方がないということが起りますれば別でございますが、まあこれは長い経験で見ますと、十九億やそこらの問題は何とかなるのじやないか。まあ国のとにかく一兆の歳出入の問題でございますので、例えば税のほうもそれくらいのことは、多少のゆとりがあるのじやないか。或いはもう少しのゆとりはあるのじやないか。こういうふうにも考えられまするので、実情を見ました上で……、尤も今おつしやる意味が、その実情を見ても遅いじやないかという御意味かも知れませんが、若しそれなら、二十年の十二月頃になつて、これは十九億二千万円どうも駄目じやないかということになれば、その折に補正をお願いしなくちやならないということになるかも知れませんが、今のところはそれなくして行けるのじやないかと、実は私どもも見通しておる実情でございます。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 そこが大蔵大臣のいいところでもあるし、個人的に非常に好感を持てるところでもありますが、予算的な面から考えてみますると、非常にルーズな点があるのです。そういうふうな弾力性のある考え方をされるものだから、繊維税は、これは私は個人的には通らんと思つているのですよ。思つているのですけれども、八十五億、それから補助金等の打切りも、どうもやればこれも三十億というものが実際要る。八十五億に三十億で、百十五億、それに二十億で百三十五億、このような穴が……まあ補助金が通らんとは言いませんよ。通るかも知れない。そのくらい一兆円の中では何とかなるだろうということでは、実際困るのです。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) いや、それはわかつております。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことだから、私はあなたに重大警告を与える意味において、例の義務教育費国庫負担特例法の予算については反対をしました。ああいう法案が通らないということ自体が……、通さないのじやない、通るようなところへ持つて行つてないという気持もあるのですけれども、実際、財政の、責任ある一つのこうと方針をきめたら、或る程度どこまでも貫こうという気魄、まあ今の党内その他においていろいろの問題があるということは承知しておりますけれども、それにしても余りだらしがないので、こういう点については、どうもまあまあ何とかなるだろうというようなことは、少しだらしがなさ過ぎると思うのだが、どうです。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) あんまりどうも改まつて申上げるのは、実はどうかと思つたので、少し私の言葉が、小林さんのことだから少し率直過ぎたかも知れません。併しこれは私は二つ考えております。税収の点で行けるだろう、併し行かん場合には、これはこれだけ節約をいたします。御承知のように今度の予備費を、五十億いろいろなものに向けた結果として、予備費が五十億削られております。けれども、これについては、私ども施設費とか、物件費等、いろいろなものを削りまして、五十億だけに止めませずに、もう少し実行上の予算では削る強い決意を持つております。従いまして、私は今申上げたのが、これは一兆だから成るほど十九億かというので、一番御理解願うのにいいかと思つて、実はそういう言葉で申上げたのですが、行かん場合には、これは必ず経費の節約を実行いたしまして、それによりまして支弁することにいたします。
  21. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この際申上げておきますが、大臣は正午から他に御用があるので、どうしてもそのほうに行かなくてはならんそうでありますから、この際、大臣に御質問のかたはやつて頂きたいと思います。
  22. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 実は私も小林君と考え方をやや同じうするものですが、まあ小笠原さんはよく御承知だと思うが、昔は予算の一部が削られても、予算不可分の原則で、内閣は責任をとつた。その額というものは、実に小さなもので、我々の記憶しているところでも、実に軽微な点が予算修正されても、予算は一体不可分の原則であつて、非常な重大問題だつた。ところがこの頃は何と申しますか、全体として、そういう政治責任というものが、私は非常に国会が最高権威だという蔭に隠れて、おろそかにされているということを痛感するわけです。で、本来、予算の編成の基礎になつたものについては、これはもう内閣としては如何なる事態があつても、私は変更さるべきものではないという考え方が正しいと思う。で、この入場税に関しては、大蔵大臣がしばしば言われるように、ともかくも予算修正の際に、改進党、自由党、日本自由党等が、その予算の基礎になつ税法その他各種の法律案については、できるだけ円滑な施行に行くようにすることは、これは書いてあろうが、書いてなかろうが、予算修正したほうの責任だということも私は十分考えます。併し率直に言えば、私どもそういう予算修正の衝に当つた者としては、当然責任の一半を感じるべきだと思うが、と同時に、驚くべき現象は、実は与党の中でもたくさんそういう人が出ておる。で、政党責任政治だと言いながら、そういうふうな状態になつて来たら、一体、政治の責任というものはどういうところへ持つてつたらいいのだろう。一体どの程度まで、今度の予算の基礎になつていますものを、入場税の問題もありますが、その他の案もあるわけです。小林君が挙げたような繊維消費税の問題、及び補助金等の打切りに関する法律案等々あるわけですが、一体どの程度になつたら内閣は御責任をお感じになるのですか。逆な方向から私お聞きするのだが、内閣としては、国会が最高の権威であるから、どの程度の修正をしようが、それは受ける、併し内閣としては責任を感じないのだというお考えなのか。どの程度の修正なつたら内閣として責任をお感じになるのかということは、やはり一つの現在の政治情勢に鑑みて、大臣としては重大なる御決心をなさるべきだ、そういう立場に立てばこそ、私は大蔵大臣の国家経済に対する地位の重さ、及び国家の経済政策に大蔵大臣の地位の占められる大きさというものが出て来るのだと思うのです。で、無論私はそれだから大蔵官僚の作つたものそのものがいいとは思いませんけれども、その問題について私はもう少しまじめに、これは大蔵大臣だけでなしに、各党どこにいる者も、責任政治確立という点から考えなくちやならん問題じやなかろうかということを痛感しておるので、非常に小林君よりは逆な、皮肉な面からの質問ですが、これは余ほど御決心を以て、内閣はもうじき自分たちは代るんだからというお考えはまさかあるまいと思いますから、この際その点は明らかになさるほうが本当だと思う。大蔵大臣の出所進退はやはり全体の政治の道徳面を正しくするあり方でなければならん。単純な経済政策の技術面ではないと私は考えますので、その点を小林君は今日は非常に鋭鋒を外らされていますが、私のほうとしては、そういうふうに私は一遍大蔵大臣の所信を確めておかなければならんと、こう思うのです。御答弁を願いたいと思います。
  23. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 予算が一体不可分であるということは、これはもう以前はみなそうであつて、すべてその方針の下に処理されておつたことについてはよく承知いたしておりますが、ただ、今の新憲法下の予算になると、国会修正ということは、まあ以前にもないわけではないのでありますが、非常に最近はつきりと最高国権として認められておる。従いまして、議院政治の下では特に国会の御審議を尊重する、こういうことは私は根本のことでなければならんと思う。然らば、政府自分の作つた予算についてその批判を受けた場合にどうか、こういう問題なんでありますが、私はその批判を受けた程度の問題と主義の問題とあると思います。若し政府が立てておる主義についての問題に関するならば、これは政府としては決して譲るべきでもなく、又、自分の立てた主義に対しては責任は果すべきものであると、かように私は考えておる。どうも余り率直過ぎて言葉が違うかも知れませんが、私はそう考えておる。併し程度の問題であれば、これは自分一人だけがよい考えを持つていると言つて自分のいわゆる考えを押し付けるということはどうかと思われるから、或る程度のことは、これはいわゆる忍べるところの程度までならこれは忍んで参る。そうやつて議会政治の円滑な運行を図つて行くというのが民主政治ではないかと、私は実は率直に申上げてそう考えておる。従いまして、プリンシプルの問題になると、これはそれまで譲つてやることは、これは議会政治家として、又民主政治家としてとるべきではない。併し、程度、まあその程度も余り越ゆべからざる程度であれば、これは問題でありますが、或る程度、まあいわゆるこの前のときも涙を呑むと、涙を呑んでも何でも、辛抱のできる程度のところであるならば、これはやはりそれらの総意を体して予算の執行に当るということが、私どもつて責任を果すゆえんではあるまいか。こういうふうに考えております。但し、吉田総理がどう考えておるか、これは知りませんが、小笠原九郎大蔵大臣個人として私はさように考えておる次第であります。
  24. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今のお言葉を平面的にとると、私も大体その程度で、いいのだと思うのです。併し実際は、むしろプリンシプルの問題そのものを言葉の中にどの程度含んでおるだろうかということを考えざるを得ない。と申しますのは、義務教育費半額国庫負担の特例法の問題も、これも私は決して程度の問題じやなくて、富裕県のあの種のものについては負担すべきでない、それは地方財源の偏在を是正するのだという方針が立つたのだから、あの義務教育費半額国庫負担の特例法がつぶれたことは、これはやはり方針ではなかろうか。それから地方財源の偏在を是正するという観点から見て、遊興飲食税もお取り上げになつたことは確かだ。それがいつの間にか胎児のうちに葬むられた。入場税法案についても、まあこれはここに現われて来たのは、一部財源不足というか、今おつしやつたプリンシプルでないかも知れない。併しどうも私は最近の政治の経過を見ると、私は何も吉田さんがどう考えておるかは一向差支えないのであります。これは大蔵大臣自身が……。私は大蔵大臣の経済政策としてこのことを受付けられないのだと言つて大蔵大臣を代えて恬然としておるような総理大臣ならば、私は総理大臣の資格のない人だというふうに普段から考えておりますから、それはなんですが、ともかくも小笠原氏のおつしやつた言葉が、その通りに額面通りに行われておらない。どうも曲げられて来ておるというふうに痛感せざるを得ませんが、まだ今の私の申上げたことはみな程度の差であつて、プリンシプルの差でないとおつしやいますか。
  25. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは私はさような言葉を繰返す以外にございません。
  26. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうもそうすると、私は小笠原さんのプリンシプルに非常に疑いを持つて来る。程度の差とプリンシプルの差が、丁度為替銀行のときに量的な問題が質的の問題に発展するというふうな考え方以外に、今申上げたようなことは内閣の方針であることですよ。金額を少しいじつた程度じやない。義務教育費半額国庫負担特例法がつぶれてしまうというようなことは、私はそうだと思う。それからまあ遊興飲食税は胎児のうちに葬むられてしまつたから、それはあなたとしては、それについては議会には出て来なかつた問題だとおつしやるだろうが、これは事実としては誰しも考えておる問題です。知つておる事実だろうと思う。それをどうもプリンシプルだとおつしやると、どうも突き詰めて行くと、内閣が責任をとらないでごまかせる範囲はこれは程度の差である。内閣がどうしてもごまかせなくなつたときには、今度はプリンシプルの差だと、逆説的におつしやらなければ説明がつかなくなると、こう私は考えますが、それも御答弁はありませんか。(笑声)
  27. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) どうもこれは堀木さんのお言葉だけれども、各人の良識で考える以外にないと思います。
  28. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも吉田内閣の良識、この頃、良識という言葉が、緑風会の良識とか、或いは政府の良識だとか、いろいろ使われるのだが、どうも日本語というものはそういうふうになつて来るとおしまいだと、こう感ぜざるを得ません。併し私は小笠原さんに特に申上げたいことは、私は何も野党だからそう申上げたのではありません。同じ政府責任の立場にあるからそうおつしやる、そういうふうな答弁をして行かれることは、私はやはり政治家として、お互いにこの場において、政治の進歩性と、だんだん民主主義のルールをよく立てて行こうという感じを持ちつつ、共同の方針を持ちつつある者に対する御答弁だとは、私は思わない。若しもそういうふうなやり方で政治というものが行われて参りますと、これはもう全く合理性を失なつた形に議会政治そのものがなつて行くということを非常に心配するのです。まあそういうふうな事柄で、逆に、内閣が責任をとらなければ……、責任をとつた場合というときだけがプリンシプルの問題であつて、それまでは常に程度の差だというような理窟を現実にお作りになれば、力関係で争う政治そのものが激化するだけです。そういう点は私は非常に遺憾だと思いますが、お答えがなければ一向差支えございませんが、ともかくそういう点について大臣としては十分私は考えて頂かなければならん。殊に民主主義の政治を何とかよく打立てていこうという考えの間に立つて質問に対して、そう通り一通の御返事なんてありようはずはないのだと私は考えます。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 私は今、堀木さんが非常に今日は柔らかじやないかということを言われたが、声を荒げて言つても笑つてつても同じでありまして、気持は、個人小笠原さんには大いに敬意も表するし、お立場には同情を申上げておりますけれども、言葉は非常に今日は柔らげて申しておりますけれども気持としては非常に強いということをお含みおき願いたいと思います。余りにもだらしがない、こういうことで愛想が尽きているというふうにも思つているということは、これは押問答の過程においておわかり願えると思う。今又もう一つガソリン、揮発油譲与税の問題がありますが、今のような調子で言つたら、なかなか政府として方針が、きめられたことが貫きがたい情勢である。これについては相当に肚を締めてかかる必要がある。こういう問題についてはやはり或る程度の締めくくりというか、或る程度の政治的責任というか、はつきりとらなければならんとして、今日はおとなしく申しますけれども、その実は強いものであるということだけお含みおきを願いたいと思います。
  30. 安井謙

    ○安井謙君 極く簡単に大蔵大臣にお伺いします。今の政府がいろいろと地方税の国営移管を意図なさつていらつしやるのですが、それは各地方の財源の偏在を正すという意味からすれば一応御尤な面もあると思うのですが、これを強行されることについて、やはり地方自治体と申しますか、地方制度の本質から見て、中央集権的に税金を集められるということはどうかと思われる節も相当あろうと思う。今後の御方針は大体どのような線でおやりになるつもりであるか。
  31. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は中央集権的という考えは余り強く持つているわけではありません。私ども地方自治の強化を望んでいるのであります。これをちよつと御覧になると、移管ですから、何だか中央へ集めるように見えますが、内容を御覧下されば、はつきりと取れた九割は地方へ戻すのだ、戻すのは人口割で戻すのだということですから、これは地方は、はつきりしているので、何ら中央集権的なものでない。むしろ財源の不均衡を調整する、こういう意味から出ているのでありまして、今の取れたものは取れたものでなくて、取れたものの九割を人口割で戻すという財源の調整をやるという意味でありまして、こういうことをはつきり御了承願いたいと思います。
  32. 安井謙

    ○安井謙君 その意味はよくわかるのですが、財源の調整をやられると同時に、地方自治の精神から申しますならば、中央、地方の特殊性を活かし、或いは地方の財源事情についてそれぞれきまつたいろいろなやり方もある、それを中央に集めて調整なさるのが果して最善の措置かどうか、この点に多少の疑問があるかと思うのであります。今一つ、ただそういう地方財政の特殊性を活かして成るべく強化されるという意味なら、何もわざわざ手間をかけて一割だけ差引いたものを地方に戻すということも、非常に面倒な、手数が二重になるだけのことじやなかろうかと思うのであります。それと、もう一つは、地方税としておけば相当高率な税を、国に持つて行くときには一つ下げるのだというような言い廻しが入場税のとき或いは遊興飲食税のときもあつたようでありますが、その点はいささか割切れないような感じがするのでありますが、どうですか。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは実は税収を殖やすということが特に目的でもございませんでしたので、最初にやるときは、ただそのままの形で行けばこういうような数字が出て来るということからやつたのでありますが、細かい根拠は主税局長から答弁をしてもらいます。
  34. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 地方制度調査会の御意見、それから税制調査会の御意見で、現在地方収入している程度を目途にしまして、税率その他を調整したのでございます。こういうわけでありまして、いろいろ検討して参りますと、これは地方団体によつていろいろ違います。特に入場税などにおきましては、都会の方面におきましては、相当がつちりした徴収の行われている地方団体もございますが、併し必ずしもその把握の程度がそれほどでもないという地方団体もあるわけでありまして、現行税率そのままで徴収しますときには、大分違つた姿になつて来るのではないか。田舎のほうでその把握が必ずしも十分ではないというところには、もう一つやはり原因があるようでございます。と申しますのは、税込の料金が田舎のほうに参りますとそう高い料金が取得りない。そのために業者としましても五割といつたような税率ではなかなか負担が耐えきれない。そこに地方団体との間にいろいろトラブルがあるでしようが、まあ把握に十分でないといつたような事態もあるのでありまして、結局その点を見て参りますと、どうも料金が幾ら低い場合におきましても、同じ税率というところに、やはり無理があるのではないだろうか。大体いろいろ我々が調べて参りますと、政府原案程度ならやつて行けるのではないか、こういう考え方がございましたから、地方制度調査会或いは税制調査会の御意見を、その点におきましては尊重いたしまして、原案のような税率で御提案を申上げた次第であります。
  35. 安井謙

    ○安井謙君 大体お話の通りよくわかるのですが、今の地方税が高いというようなことなどは放つておく、そうして、これが国がやるとすれば安くしてやるのだというような考えでなくて、今後地方財源なり、地方財政を強固にして行くためには、それは結局自治庁の仕事ではあるが、大蔵省としてもそういつた税率を安くしてやれるものなら、一つ地方でやるものも極力もつと合理的に、安い而も正確に把握ができるような、大蔵省は税の大元になるのでありますから、今後指導をそういう方面へも一つ向けて頂きたい、こういうように思う次第であります。
  36. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御趣旨の点につきましては、地方自治庁のほうともよく連絡をとつて相談して参りたいと思います。
  37. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一点、事務的に伺いたいのですが、税率を引下げても収入が上るというお見込なのか、或いはそれは先ほど言われました節約その他の点から財源の補填ができるという考えなのか、その辺が非常にあいまいだと思うのですが、今度の予算の基礎になつておるのは、大蔵大臣としては、やはり消費購買力の抑制というふうな点が相当あつたように私は思う。これが予算の陰に隠れている一つの大きな経済的なものだと思う。そうすると、率直に言えば、税率を下げることによつて、実際は入場者が多くなつて行くというふうな点は、本来の予算の執行の上からは、そう期待できないのではなかろうか。そういうふうに経済を持つて行こうと内閣は意図したのではなかろうかというふうにすら考えるのが穏当だと、私はこう考える。そうなると、税率を下げて減収になる分は自然増収の形で補われるという形では考えられないのではないか。成るほど今、汽車の旅客や何かは相当混んでいるようだが、これが浸透して来れば消費面にも相当及んで来る。消費面のほうに、そういうふうな考え方で、あなたのほうでは、前に酒の値を下げたられときに、これは消費購売力が殖えて来るから税の不足は補える。たばこを値下げして大体収入もそう減らないだろう。こう言われるのだが、今年の予算の基礎は、みんなそういうものを上げたから或る程度減収して来るという基礎になつているわけですね。本来から言えば入場税なんかも、国策的なものについては相当いろいろ考えられるが、併し一般的な面をら言えば、むしろ上げるという方向に行くほうが、予算の方向としては私はそうあるべきものだ。何だか小笠原財政は、実際何というか、両刀使いというのか、片一方じやそういう方向を掲げられているが、こういうふうなものになると違つた説明もあるように思う。やつぱり小笠原財政の見地から言えば、財源不足は本来経費節約によつてやるよりしようがないのだとおつしやることが、私は一番趣旨が一貫しているように思う。そうでないと、まあやりくりをするのだ。自然増収は今年はあるにきまつているのですよ。あなた方だつて、我々だつて、あの予算審議するときに、自然増収が隠れていることはわかつている。併しそれをあえてしなければ日本の経済が駄目だ、持つて行けない。従来の形では持つて行けないという考えであつたればこそ、六兆二千億から五兆九千億の国民所得になつても我々黙つているわけなんです。そういうことを考えれば、よほどこれに対する考え方の方向そのものが経済政策とつながつているという形において物を考えなくちやならん。こう私は考えるのですがね。国の財政のほうは、自然増収があるから、十億や二十億や百億やそこらなくなつつて、繊維消費税が潰れてもこれも大したことはないのだというふうな考え方で行かれては、非常に我々があの予算から受けて物事を処置して行くという場合に、やつぱり内閣の方針はそのときそのときにぐらぐらするのだ、こう考えざるを得ないと思いますが、そういう点はどうお考えになつているか。大蔵大臣の御説明を伺いたい。
  38. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは堀木さんのおつしやる点尤もでありますし。私どもも、方針としては飽くまで一貫して参る所存でありますが、さつきちよつと十九億二千万どうするかとおつしやつたものだから、一番わかりがいいじやないかと、ひよつと申上げた。それだけでは成るほど言葉を尽していないと思つたから、実行予算でこういうふうにいたしまするからと、本当の私の一貫した考え方を申上げた次第でございます。それで御了解を頂いたような次第でございます。この税を今度は減じておりますが、これは先ほど主税局長が申しました通り、税制調査会なり地方制度調査会なりで、税収入をそのままに据えおいて税源のほうの調整をしたらどうかという御意見であつたので、政府のほうでいろいろ過去の税収入からやつて見ますると、据え置くとすれば下げることが必要だつたので、それでああいうふうにしたのであります。それが更に修正案で下がることになつて来たのでありますが、勿論、主義の上から言えば、まあむしろ引上げてということが筋だと思います。併しまあこの点も余りそうひどいというほどの問題でも、実はこれは叱られるかも知れんが、入場税問題は、今のような、むしろ両方の調査会等の意見を尊重したほうがいいというような考え方で、私どもああいうふうにいたした次第で、決して両刀使いをやつているという心持では全然ございません。なお今の、私ども収入がそう一応出すほどにも減らんであろう、こういうふうな考え方をしておりまするのは、これは堀木さんもお聞きになつている通り、不景気なときには割合ああいうところにたくさん入るものでして、この間も或る人が衆議院でそう言われましたが、不景気のときには、割合ああいつた、いわば割合に少い金額で長い時間をエンジヨイし得るような方面に人が入る。従つて不景気のときほど、芝居とかああいう演芸館とか、或いは映画館は賑わうものですと言われたかたがあつたのですが、そういつたこともあるかも知らん。それで大体、わからんけれども、まあ必ずしもそう著しい収入減にもならんであろう、若しなればこういうふうに処置しようというので、御迷惑をかけちやなりませんから、地方税のほうには御迷惑をかけぬような処置をとつている。地方歳入に対してはそういうことをいたしている。こういうことで実は今度の御修正案に私ども賛同申上げた次第であります。
  39. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 余り入場税に直接関係ないこともなんですが、入場税等が問題になつて来たのは、地方の財源是正と同時に問題になるのは、地方財政そのものであります。これはむしろこの問題とは関連していないのですが、今年の傾向を見ると、国家財政では五百億くらい節約した、地方財政では五、六百億やつぱり膨れている。中央地方を通じてものを見ますと、やつぱり内閣として、無論、自然の膨脹を或る程度抑えたということはいいことですが、そういう点から見ると、これは大蔵大臣としてはどうお考えになつているのか。更にそれは根本の問題だと私は思うのですが、どうなんですか。
  40. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは地方が殖えたことについては、誠に私ども遺憾に思つておりますが、御承知のように、大体ベース・アツプその他の影響が地方にずつと出て参りまして、地方ではああいう費用、俗に余儀ない方面の費用が非常に多かつたので、従つてほかの方面の費用は殖えておりませんが、そういうものから来ている避け難い点が金額として殖えているのでありまして、これは私どもも、地方ももつと機構を簡素化してやつてもらわなければならんというので、この点については、自治庁とも相談しまして、いろいろこれらについての促進方を頼んでいるのでありますが、一応今年の予算は、ああいうような工合になつた。この点は誠に遺憾に思つております。遺憾に思つておりますが、細かく見ますと、地方で実はお削りになつたらどうかと思うのは、人件費が多いのでありまして、義務的な費用が非常に多いのです。地方の分は。それで中央ほど力が及ばなかつたという点は御了承願いたいと存じております。
  41. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今度の入場税の引下げによつて入場者の負担は減ずる見込みでありますが。どうですか。
  42. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この点については、まあ入場税税率引下げが入場料金にどういう影響を及ぼすかという点につきましては、これは少くとも可能性として二つあるわけでして、一つは入場料金はそのまま据え置く、従つて結局、興行者の手取りがそれだけ殖えるという可能性が一つ考えられます。それからもう一つの可能性としては、入場税の下つただけ料金が下るという可能性も考えられますが、前回地方税法の改正がありましたときに、入場料金が十割から五割になつて下りましたとき、料金が一時はちよつと下りましたが、結局は余り下らなかつた。これはまあ当時、業者に言わせれば、あの当時の業者の手取りが余りに少な過ぎまして、結局採算が保てなかつたので、ああなつたということでありますが、相当大きな非難があつたことも御承知通りでございます。従いまして、我々としまして、ちよつと何とも申上げかねますが、そうした過去の批判に鑑みますと、入場料金も或る程度下るということも相当考慮されるのじやないかと思いますが、入場料金が下げられない場合においても、まあサービスと言いますか、内容をよくするとか何とかいう方面においては、これは相当のプラスになり、従つてこの税率の引下げが相当観覧者のほうに、料金の引下げが、或いは内容の充実か、いずれかの形においては、きつと観覧者のほうへ享受されて来るものだ、観覧者のほうへ廻つて来るものだということは、我々はそうなるんだろうと信じております。
  43. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この委員会で三月の十八日に日本興行組合連合会の事務局長の加藤巖雄さんのお話によつてみまするというと、あれだけ税率は引下げたけれども、何とかかんとかいつて話があつたが、実際には入場者の負担は減じていない結果になつている。そういうふうな数字になつております。そうしてみまするというと、今お話のあつたように、今度の税率の引下げによつて入場者の負担は減ぜられないというようなことが大部分じやなかろうか、こう考えられるのです。ただ、それだけの金が或いは設備の充実ということには廻るかわかりませんが、この目的というものは入場者の負担を減ずるのが目的ですか。何の目的で税率を下げるか、税率を下げる原因をお尋ねしたい。
  44. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 政府原案におきましては、先ほども申上げましたように、現在の税収がそのまま確保されるということを一応目途としておりますから、従いまして税率が引下げられましても、いわゆる興行者と言いますか、これが払われる金は変らないわけです。それから、すぐに料金が引下げられる、これは併し場所によつて私は相当違うと思つております。先ほど申しましたように、都会の中心におきましては、相当徴収も厳格に行つておりますから、こういうところでは、まあはつきり減るわけでございます。従つてそういう面におきましては、少くとも料金が下らなければその内容の充実になつて来るんじやないか。ただ田舎のほうになりますと、多少又そこが変つて来るのじやないか。こういうふうに思います。いずれにいたしましても、大きく見まして税収は大体従来と同じことを目途としておりますから、従つてすぐそこから料金が下るだろうと、これは場所的には違うとは思いますが、平均してすぐそういう結論は出て来ないじやないか。ただ今度衆議院修正された案になりますと、事情が少し違つて来ると思います。その意味におきまして、料金のほうへどうはね返つて来るかということになると思いますが、修正されたかたの御意図は、これは幸い大平委員が御出席になつていますから、どういう意図で御修正なつたかということは、衆議院のかたから御答弁つたらいいと思います。
  45. 大平正芳

    衆議院議員大平正芳君) 只今の御質問でございますが、この税率引下げによつて入場者の負担がどうなるかという問題でございますが、これは二つに分けて考える必要があろうかと思います。入場者全体の負担ということと、それから一人一回の入場料金に伴う負担と、二つあるわけでございます。税率を下げますと、端的に一人一回の入場料金に対する負担は減ると思います。ただこれによりまして、先ほどからも御説明がございましたように、消費が殖えるというようなことに相成りますれば、税収全体の減収はそれだけ減つて来るわけでございます。これは本年度の消費経済の状況をよく見ないとわかりませんけれども、我々のほうといたしましては、税率低減に伴いまして或る程度の消費増が見込まれるのではないかという想定を持つております。併しながら一人一回の入場料金に対する入場者の負担というものは端的に減ると思います。
  46. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今のお話によると、一人一回の入場料金税率が下つただけ減ずる、こういうふうなお話ですが、是非そうなくては改正の目的は達せられない。併し過去の実例がそうではないのでありますから、この入場税率を引下げたということについて、その結果が現われるように監督をして頂かなければいけない。でありますから、この目的を達成させるように、従来のような轍を踏まないように十分の監督をお願いしたいと思つております。  それからもう一つは、この入場税を徴収するために、徴税費はどのくらいかかつて行つて、本当の国家の収入はどれくらいになるか、こういうようなことをお伺いしたいと思う。
  47. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 徴税費としまして本年度予算に計上してございます金額は二億三千八百万円となつております。なおこれによる定員の増が四百七十人となつております。
  48. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうしますと、四百七十人は国税としての徴収にそれだけ増員になるとしたならば、県税として徴収しておつたところのものはこの方面に振替られるのでありますか。
  49. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 地方財政計画のほうにおきましては、従来入場税の徴収人員として計上しておりました人数は勿論不要になるわけでございます。従いまして、考えようによつては振替わるという言葉も使えるのかも知れませんが、国のほうで殖えて地方のほうで減る、実際の今度は実員の関係におきましては、これは地方の団体と、それから国税庁と、よく相談しまして、従来地方にいらつしやつたかたで国税のほうの仕事をやつて頂くことができるかできないか、これは別途、国税庁と地方団体との間でよく御相談申上げようということに自治庁と話合いをしております。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、政府原案では入場税収入が百九十二億である。そのうちの一割の国の収入になるのが十九億二千万円ある。そのうちから二億三千八百万円は徴税費として使用されるので、実際の国の収入は十九億二千万から二億三千八百万円引いた金額になる、こういうふうなことになりますか。
  51. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点につきましては多少補足的な御説明をしたほうがいいと思いますが、十九億二千万円という数字は、徴税費をそのまますぐに差引く意味で十九億二千万円の数字がきまつたわけではございませんで、徴税費は先ほど申上げました二億三千八百万円。ではなぜ一割だけ国のほうへ残すようにしたかという点が御疑問だと思います。率直に申しまして、一つは、十が十全部地方のものだということにいたしますと、まあ国税庁といたしましても、相当熱心にやつてみても、地方団体のほうからこれはもうたくさん取れれば取れたなり、少ければ少いなりになるわけでございますから、どうも地方の税金だから熱の入れ方が少いと言いますか、そういう御批判も起きやせんか。或いは税務署のほうにしましても、地方の税金で相当苦労する、どういうわけだといつたようなことにもなりやせんかと、こういつたようなことも考えまして、そういつた、本来、地方に属すべき財源と思いますので、一割程度はやはりその増収減収が国のほうに響いて来るということを考えて行くべきじやないか。勿論この十九億二千万円を入場税で、一応、国の歳入としましたその尻は、別途、交付税のほうをそれだけ殖やしておきまして、十割若しそのまま還元すれば、現在提案しています交付税の額は、十九億二千万円の率は減つてもいいわけでございます。従いまして、この十九億二千万円を国のほうへ残すということ自体は、直接、別に地方のほうには御迷惑をかけておりません。では、なぜそういうふうに十九億二千万円を残すということにしたかということにつきましては、今申上げましたように、やはり国としても直接それによつて相当の増減収を受ける影響をやはり持つたほうがいいんじやないか、実はそう考えましたものですから……と申しまして、それを余りに大きな額にしますときは、これは又、折角地方の財源であつたということに、ひびが入りますので、そこでまあ一割程度というのを一応きめましたわけでございます。
  52. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記止めて下さい。    〔速記中止〕
  53. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  暫時休憩いたします。午後は一時半から続行いたします。    午前十一時五十三分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会
  54. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  入場税法案交付税及び譲与税配付金特別会計法案を議題といたしまして、質疑を行います。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 さつき大臣がおられたので、細かい問題を聞いてもいかんと思つたのですが、大矢委員長から質問をした衆議院における改正要点が、こつちのミスプリントなのかどうか、ちよつとはつきりしないので、もう一度事務的に主税局長から数字に亘つて説明して下さい。
  56. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 衆議院修正案がお手許にあると思いますから、それに従つて説明したいと思います。  第四条の第一号のところに、原案が「四十円以下であるとき 入場料金の百分の二十」となつておりまするが、「五十円以下であるとき 入場料金の百分の十」となつております。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 十が落ちているな。
  58. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 二は削るとの申合せではないかと思いますが、こういう場合にはそこに棒の引つ張つてあるのは削る約束のように思います。  それから入場料金が一人一回について、政府原案は「四十円をこえ七十円以下であるとき」となつておる。これが「五十円をこえ、八十円以下であるとき」というふうに修正されまして、その税率が「入場料金の百分の三十」の原案が「百分の二十」に変つておる。以下その次の項はそれに準じておるわけです。そして新らしく「入場料金が一人一回について百三十円をこえ、百五十円以下であるとき 入場料金の百分の四十」、これが一つ入りまして、それから「百五十円をこえるとき」の「百分の五十」、これは政府原案通りであります。  それから「第二種の場所」の関係でございますが、これは政府原案の「百分の十」、それから二項で、最初の一行目はちよつと飛ばして頂きまして、「スポーツを催す競技場への入場についてその入場料金が一人一回について八十円をこえるときは、前項第一号の規定にかかわらず、入場料金の百分の二十の税率により課する。」こういうふうに修正しまして、他の文章は全部削除するわけでございます。「入場料金が一人一回について八十円をこえるとき」とありますのは、八十円以下であります場合は本文のほうで十乃至二十になつておりますので、本文のほうで三十以上になつているときだけに特例を設ける必要があるという意味におきまして、こういうふうな書き方になつていると思います。  これが税率に対する修正の点であります。  それから五条の免税点の問題でありますが、第五条の一項の頭へ「第二種の場所への入場者から領収する」これが「一人一回について二十円以下であるときは、入場税を課さない」という修正をすることにいたしまして、第一種の場所の場合におきましては五条の一項の規定は働かないように修正されておるのであります。この修正によりまして第一種の場所への入場者につきましては免税点がない、これが修正の第二点でございます。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、その点は、免税点を取つたんだから、或る意味においては増税になりますね。
  60. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 免税点をとつた点については政府原案より増収になります。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 次に行つて下さい。
  62. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それから第六条に(第四条第一項第一号)、それから「又は同条第二項」、第二項というのは、その税率区分を変えた関係がございますので、今度は修正案におきましては、七百円以下であるとき、それから七百円を超えるときと、こういつたような規定がなくなりましたので、その関係でこれは必要がなくなりましたので削ります。それから原案の四十円、七十円、百五十円、七百円、これは五十円、八十円、百三十円、百五十円に変りますが、これは四条の第一項におきまして、税率区分が修正になつておるということに伴うものでございます。  それから六条の二項へ参りまして、「若しくは同条第二項」という規定がありますのは、これは一種のほうの関係におきましては免税点がなくなりますので、この規定は要らなくなるわけでございます。それから「最低のもの又は同項第二号に規定する」、これは二種のほうだけには一応免税点がございますので、この条文整理の関係でというふうにお考え願つて、第二項というのは削りまして、そこで第一項が出て参りますので、すでに第一項第一号と書いてありますので、「同項」と、単純なる条文整理というふうにお考え願つて結構だと思います。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 但書は……。
  64. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 但書は、これは免税点がなくなりましたので、税額計算のその分についての特例は要らなくなつたということで、この二項のほうは、これは免税点関係だけでできている規定でございますが、一種のところの場合におきましては免税点がなくなりましたので、この二項の特例は要らないわけでございまして、従いましてここに但書が入つたわけでございます。六条は一項のほうで税率区分の各段階の近接している料金の場合についての規定がございます。二項のほうは免税点関係でできた規定でございます。二十一円とか二十一円五十銭とかいうような料金をきめていた場合にどうなるか、免税点がなくなりましたので、この一種のほうは但書が入つたのであります。  それから十九条でございますが、一種の場所におきましては免税点がなくなりましたので、そこでその一号のほうの「入場料金が、一日を通じ、すべて一人一回について二十円以下である場合」、これは入る人が全部免税点以下の場合にあるときは切符を使わなくてもいいと、こういう趣旨で作つた除外例でございますが、一種の場合におきましての免税点がなくなりましたので、従いまして第二種の場所ということに限定される、その意味におきまして条文の整理がなされているわけでございます。  それから二十二条でございますが、記帳義務の関係でございます。その一号に、「常時の入場料金が一人一回について二十円以下である場合」、これはやはり免税点以下の場合におきましては記帳義務を免除しよう、こういう規定をしているのであります。一種の場合におきましては免税点の規定がなくなりましたので、修正案におきましては、「第二種の場所への入場者から領収する」云々と、第二種の場所についてだけ記帳免除の規定がある条文整理だと御了承願つていいと思います。  それから附則の一号でございますが、これは審議が遅れましたので、「昭和二十九年四月一日」というのを、「公布の日から起算して五日を経過した日」と、大体は国税庁といたしましても、五日程度の猶予があれば施行が可能であろう、公布の日即日に施行ということは、これはいろいろ支障がございますので、この程度なら可能であろう、こういうふうな考え方から一応そういう規定に修正になつているものと思います。  以上、一応修正の箇所について御説明を申上げました。
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 この法案が通るまでは従来の地方税法による入場税収入が行われるわけですね。そういうことがあなたに聞くのが適切かどうかですが、入場譲与税法案附則で、百七十二億八千万円を絶対に譲与税として保証するという際に、考慮されたのかどうか。これは長引けば長引くほど、相当地方としては収入になるわけです。この点はどうですか。
  68. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点は我々も一応議題にいたしまして、我々の内部で議論をし、自治庁とも話合いました。それで結局、法案審議のことでありますから、我々余り何とも申上げかねますが、例えば一カ月或いはそれ以上遅れるようでございましたら、あの百七十二億円という数字は、何か変えて頂く必要が出て来るのではないだろうか。できるだけ早くお通し願いたいという気持でございまして、一カ月未満、半月とか、そういうときにおきましては、いろいろ議論もございますが、話が非常に細かくなりますものですから、そうした余り細かいことは言うまい。併し、それが例えば半月とか、或いはそれ以上ということになります場合におきましては、あの数字は変更されて然るべきじやないだろうか。一応そういうふうに考えております。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 それから今の、公布の日から起算して五日を経過した日という、五日で準備が足りるということですけれども、これで政府が印刷をしてやるのですが、いつ通るかわかるまい。又この税率も我々が引繰り返すかも知れない。五日くらいで準備できますか。
  70. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 無論いろいろな準備もございますが、これはまあ正直を申しますれば、法案が通つたということになりまして初めて準備をするというと、五日は非常にむずかしうございますが、国会の御審議の状況と見合いまして、相当な準備をむしろしておいていいといつたような情勢でありますれば、これはどうせ役所の中だけでございますが、或る程度の準備をしておくということが許されれば、大体五日程度のゆとりがあればいいんじやないか、こういう考え方でございます。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 さつき資料を要求してありますから、それと比較して仔細に質問することにして……。私は最後の五日という問題は相当無理だと思いますが、どうして五日と書かなければならないか。政令で定める日とかいうようなことでいいんじやないかと思います。
  72. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 政令で定める日という規定の仕方もあると思いますが、これは国会修正でございますから、我々がさようなことを申すのは如何かと思いますが、いろいろ最近の傾向としまして、政令で定める日ということになりますと、政府施行の日を一任をしている格好になりますので、そういう姿はできるだけ避けて行きまして、或る程度施行の日は拘束されるような姿に法律を作つてつたほうがいいんだ、こういう全体的な立法技術のほうのお考えのように伺つております。恐らくそういう考え方に基きましてこういう修正なつたものと思つております。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 普通の場合ならこれでいいと思うのだけれども、これだけ揉んだ法案で、参議院においても又あとで引繰り返すかも知らんし、引繰り返すときにこつちが修正すればいいわけですが……。  主税局長に言うのはどうかと思うのだけれども入場譲与税法案を今度衆議院修正した点について……。
  74. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私の存じておりますことだけはお答えいたします。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 それは一応事務的に主な相違点を見て行き、説明して頂きたいと思います。
  76. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 附則に第二項が入りましたが、これは本法におきましては収入額の十分の九に相当する額を譲与税の額にする、これが本法の規定であります。そこでいろいろ議論されましたのは、衆議院修正によりまして税率が下げられた。そこで当初の案のように百九十二億の税収がございますならば、十分の九が百七十二億八千万円に当りまして、従いましてそれが地方財政計画にマツチするわけでありますが、その十分の九が百七十二億八千万円に至らない場合があることを心配される、こういうことがあるわけであります。従いまして、その場合におきましては、百七十二億八千万円だけ一応一種のギヤランテイにしよう、こういう考え方。そうしてその差額につきましては一般会計の負担にしよう。従いまして、例えば百九十二億入りますれば、百七十二億八千万円までは黙つていても十分の九で行くわけです。それで百九十二億以上に歳入が上るという場合におきましては、この附則の規定は働きません。譲与税の額は百七十二億八千万円を超えますから……。或いは税収入額が百九十二億より下廻つた場合、この場合におきましては、とにかく百七十二億八千万円までは譲与税とする。従いまして、本法のほうで行つた場合と、この百七十二億八千万円をギヤランテイにする場合に、差額が出る場合が考えられます。その差額はどうするか。これは最後にございます一般会計の負担とする。この規定でございます。  それから二項でございますが、本法によりますと、結局七、十、一、三、この四回に分けまして、実際の収入金額の実績に基きましてその九割を譲与する、これが本法の原則でございます。それで昭和二十九年度につきましては、二項にございますように百七十二億八千万円に満たない場合という場合を予想しまして、一応の規定があるわけでございます。それで本法のままで参りますと、若しこの満たなかつた場合における補填が、最終回に全部「しわ」がよつてしまうと申しますか、中間におきましては少いままで譲与される、こういうことになるわけでございます。それでは地方財政計画のほうから行きましてどうも工合が悪い、こういう考え方が出ましたので、別途、特別会計のほうでは借入金の途もございますので、そういう場合におきましては、将来一般会計の負担になる額と考えられる額、これを一応考えまして借入金をし、同時に七、十、一と、この最初の譲与税配賦の機会におきましても、或る程度実際収入額以上に配賦できるような途を開いておく。と申しましても、入場税そのものが相当季節的な変動がありまして、例えば正月とかそういうときには、現在におきましても相当多額の収入が上つておる。そうした季節的な変動があるわけでございますから、百七十二億八千万円をそのまま四分して譲与するというのも、これは多少実情と合わないわけでございます。そこでこれはどの程度の額を分けるかという点が問題となつておりますが、考え方としましては、そうした百七十二億八千万円は年間に行く。併し季節的な変動による増減ということは、これは地方団体としても一応覚悟して頂きたい。まあその金額がどの程度になりますか、いろいろ細かい計算もあろうと思いますので、一応政令で定める金額を譲与する、こういう規定に第三項を入れておるわけでございます。  それから第四項でございますが……
  77. 小林政夫

    小林政夫君 修正の三項ですね。そうすると前の原案は、七、十、一、三に、それぞれ入場税収入額というものの、例えば五月、六月において収入した入場税収入額の十分の九という、こういう規定があつたのを、全部はずしてしまい、政令で定める金額ということにすることは、そういう実際の五月或いは六月という税収入にかかわりなく、適宜政府のほうで適当と認める全体の金額二十億なら二十億、或いは五十億なら五十億というものが出せるというのですか。出そうということですか。
  78. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 考え方といたしましては、数カ月実施して見ますと、まあ大体年間の収入の予想も立つんじやなかろうか。百九十二億というものに対して、これは年度を締め切らなければ勿論最終的なことはわかりませんが、大体の傾向的なものがわかるのじやなかろうか。そうしました場合におきまして、まあその額だけでは、とても百七十二億に年間を通じては達しそうもない、こういうことも言えるわけであります。或いはこういうふうな、別の言葉で言つていいのかも知れませんが、百七十二億というものは、年間を通じて譲与しよう。併し相当の季節的な変動があるわけでありますから、例えば過去の実績なら過去の実績をとりますと、七月に配分するものは、その中の何分の幾つという線が一応出ると思います。実際に収入した額と、それとの差額があるわけでございますが、その差額は、例えば借入金によつてそれを賄う。こういうのも一つ考え方と思いますが、政令に定める額というものをどういうふうにしてきめて行くかということにつきましては、最終的な考え方は、まだきまつておりませんが、考え方としましては、必ずしも四分の一づつやるという考え方ではございませんが、同時に、修正案税率によつてつたものの十分の九だけを渡しておいて、そうして最後の「しわ」を全部最後の配分のときに寄せてしまうということでは、地方財政ちよつと工合が悪い。従いまして、その中間を行くといいますか、大体百七十二億が年間には入る。同時に季節的な変動の上に、且つ当初の入り方において少い場合には、それを加味したところで、同時にその程度は配分することによりまして、地方財政支障を来たさないように配分しようと、こういう考え方で政令がきめられるものと思います。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 あなたのおつしやることはわかるようなんですけれども、そもそも原案は、二十九年度でも、修正前の附則によると、はつきり基準が示してあるわけですね。例えば七月に譲与するものは五月及び六月において収入した入場税収入額の十分の九となつておる。収入額の十分の九も問題ですけれども、この政令で定めるというのは、こういうようにはつきりと、七月に譲与するのは、五月、六月に収納した入場税収入額の何ぼとか、或いは十月に払うのはこうだというような政令のきめ方をせずに、今までの或る程度の実績を見て、百七十二億八千万円は年間に出す。その月割、二月分なら二月分、三月分なら三月分というような頭でやるのか。そうすると、この政令で定めるというのは、その都度、七月なら七月に幾ら幾ら出すんだと、こういう定め方をするのか。一定の政令で、改正前の附則第二項にあるような基準を入れておくのか。その点なんですよ。その都度出すということならば、その都度、自治庁とあなたのほうで相談して、多い、少いという問題が又出て来ると思いますが、総額は変らないにしても、今の変動も問題ですが、その点のやり方はどうですか。
  80. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 政令の内容につきましては、考え方は先ほど申上げた通りでございますが、運用につきましては、これは或いは主計局のほうから別途御説明申上げていいのじやないかと思いますが、ただ我々の了解しておりますところでは、交付の都度にその額をきめる、こういうのではなくて、一応二十九年度の年間を通じてこういう方針で計算した額を交付するという基準を、この法案の成立後直ちに案をまとめまして、それを政令として規定して頂く。従いまして、その機会に自治庁と大蔵省との政府内部で十分論議を進めまして、そうして結論を得るということで進ませたい。従いまして、その機会におきましてはいろいろな論議が重ねられるかも知れませんが、一応そのきまつた線は年間を通じてそのまま実施して行く。七月とか十月とか、その交付するその時期毎に今度は幾らといつたような話合いをすることは非常に煩瑣でもございますし、これは避けたい。かように考えております。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 主計局に説明して頂いたほうがいいですね。
  82. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) そうして頂きましよう。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 それでは全般的に、今度の衆議院修正について、事務当局としての三税局長は、先ほどは大蔵大臣の意見を聞きましたが、事務当局として一体これで辛抱できるのかできないのか、率直に聞かしてもらいたい。
  84. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 政府といたしましては一応原案が最善のものだと考えております。それは現在の地方財政及び国の財政の状況から見まして最善のものだというふうに考えておりましたし、現在といたしましてもその考え方は変つておりません。ただ衆議院修正税率について相当の引下げをなさつたわけでありますが、私は率直に申しまして、税率だけ考えて見ますれば、入場税税率が五割というのがちつともまずいとも思いませんし、それから今度の政府原案修正案のようになりましたとしましても、これが安過ぎるというふうな感じは実は持つておりません。各国の事例を見てみましても大体入場税税率というものは二割見当が実は普通の姿になつているわけでございます。従いまして、今度の修正案はそれに比べますと相当まだ高いですから、税率だけ見ますれば、これが特に低過ぎるというふうには私は思いませんが、ただ我々の心配されますところは、これによつて当初我々が考えていた百九十二億という税収が果して確保できるかどうか。若しこれが確保できないといつたようなことになりますれば、結局、国の財政の負担によりまして入場税を減税した、こういう結果に、結果的に見ますとなるわけでございます。事業税の減税等におきまして、政府原案で相当減税していますが、この分につきましては、国がこれを補填するために交付税を相当殖やしていますが、我々としまして国税地方税を通じて減税をする場合に、どこに減税の重点を置くべきか、こういう点を考え、事業税については国が相当持ち出しても、やはりこの際、相当税率を引下げるのが至当であろう、こういうふうに我々も考えまして、政府としましてもそうした措置をしたわけであります。今回の関係におきましては、結局一種の減税が行われ、それが若し百九十二億確保できれば別に問題はないのですが、若し確保できないという惧れがあり、それが現実の事実になつて現われて来ますと、結局、国の財源を持ち出してそれだけの減税をしたという結果になり、若しそういうふうに何十億かの減税をするとすれば、果して入場税を先ず真先に取上げて減税すべきものかどうか、これについてはいろいろ意見もあろうと思います。もつとほかのほうで減税すべき税もあるというふうになつて、意見もあろうと思うのですが、結果的に見ますれば、結局、入場税というものにつきまして、若し百九十二億の税収が確保できないということになれば、国の負担において相当の減税をした。それが税の中で、果してそれだけ優先的に減税すべきものだろうかどうだろうかという点に議論があろうと思いますが、ただ他の税が高いと同じように、入場税自身も相当の負担の高さである。相当高い税率である。これは私もそう思います。従つてそのこと自体として、これじや下げ過ぎたといつたような感じはそこだけに焦点を合せてものを考えれば、私はそうは思いませんが、ただ若し国の財政収入を分けて、これだけを優先的に減税すべきかどうかという点になりますと、いろいろ議論もあるだろう。尤も提案者のように、百九十二億確保できるのだということをおつしやつていらつしやいますが、それが現実の事実になつて出て来るならば、これは今申上げたことは別な姿になると思いますが、百九十二億確保できないという場合においては今申したような結果になるのではないか。この修正案に対して私が考えておりますことを率直に言えば、今申した通りであります。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 私は発議者に次の機会に聞こうと思つているのですが、一体こういうふうに税率を下げて妥協案が出たということ、そのこと自体から考えると、同じように税収を確保する、当初予定しておつた百九十二億は必ずこういうふうに税率を下げても確保できるのだ、こういうことであるならば、国税移管という原則を崩すなら別ですが、国税移管という原則は貫いて、ただ税率だけ下げればそれで折合いが付くのだということであるならば、やはり今の主税局長がそうなるかも知らんと心配しておるように、国庫の負担において税を分けるということが頭になければ、こういつた妥協案で承知したということにならないじやないかという気がするのだがね。その点はどうですか。あなたはどう思いますか。
  86. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御質問趣旨がどうもちよつと私に呑み込めないのでありますが、非常に恐縮でございますが、もう一遍……。
  87. 小林政夫

    小林政夫君 もう一遍言うと、こういう妥協案が、まあこれで妥協した。要するに相当根本的には国税移管に反対な空気をこれで抑えた。簡単に言えば……。ということになるんじやないか。ところが国税移管の原則は、これで認めて、そうして税率を低くしたということで、そういう国税移管の反対の空気を抑えたということであれば、それは何かそれに土産があるだろう。というのは、百九十二億、一応提案者は税収には変りありませんと言つても、必ず穴があくことが考えられる。その場合には、国庫からの土産を、今の国の負担において税率の引下げをやつたのだ、今この案を通すときはそうはおつしやらんかも知れないけれども、結果としては何がしかの国庫の持ち出しになるということを頭に置かなければその妥協案という、こういうことで国税移管は認めようということにならないのではないかと思うのだけれども、その点はどうですか。
  88. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうもお話は、御質問趣旨はわからなくもありませんが、ちよつと私が御答弁申上げる範囲の外であるような感じがいたしますので、私としては何とも御答弁いたしかねると思います。
  89. 前田久吉

    ○前田久吉君 百九十二億の基礎は、何の税金の基礎になつているのですか。
  90. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点につきましては先刻小林委員から御要求がございましたので、別途資料で差上げるつもりでおりますが、一応口頭で御説明申上げたいと思います。百九十二億の税収につきましては、御承知のように、今度初めて新らしく国税として徴収するわけでございますので、国税としての資料は実は過去においてはないわけでございます。過去においてある資料は地方税の徴収の資料が一応あるのでございますが、入場税歳入をいろいろ調べて行きますと、率直に言いまして、東京の特に中心部とか、そういうようなところにおきましては、都のほうで発行しました入場券を使わしておりまして、それを使わなければいけない。他の入場券は使えない。こういうことにしておりまして、徴収も非常に厳格に行つていると我々も実は感心しているくらいでございます。併し田舎のほうへ参りますと、同じようなことをやつておりますが、必ずしもそのように把握が的確に行つているかどうか、かなり疑問な点があるように思つております。従いまして、現在の地方税歳入の基礎になつている数字をそのまま取りまして計算するのも如何かと思います。百九十二億という数字は、実は従来のやり方税率五割にしまして地方税で取つていた数字を、大体年間の消費の伸びとかいろいろなものを見まして取つて参りますと、大体百九十二億という数字が出て来るわけです。そこで地方税制調査会におきましても、この収入の金額を目安にして、税率、課税範囲を調整したらいいだろうというような、こういう御意見もございましたので、そこで百九十二億の数字というものは、どちらかといいますと、従来の地方税のままにしておいて、一応自然増収とか、そんなものを考えて取れる額、これが百九十二億という数がまず出まして、この数字を確保するために、今度は逆に国のほうで相当把握もしつかりして行つた場合に、税率としてどれくらい下げ得るかということを別途計算しまして出ました結論が、原案として御提出申上げたものでございます。  その場合にどういう数字を取つたかという点を簡単に御説明申上げますと、一応入場税の一番主な財源となつておりますのは、映画館の入場者の分でございます。大体総額の八割がこの額になつております。これがまあ一番歳入の額を左右するものでございますが、一応先ほども申しましたように、現在の入場税の資料もそのままちよつととりにくい。そこで我々のほうといたしましては、先ず第一に映画につきまして、映画の配給収入の額、これも調べてみました。日本映画と洋画と二つに分けまして、一応資料がありますので、これを中心にしまして年間の映画の配給収入というものを調べました。配給収入から今度は逆に、大体まあ、あれは歩合制になつておる場合と売り切りの場合と二つでございますが、一応五十とか五十五とかいう数字が出ますので、それから今度は入場料金そのものを逆算いたしまして、一応税抜きの入場料金の額を計算してみました。その次の作業といたしましては、これがどういう料金区分になつておるか、これがきまりませんと、今度のような段階税率を適用した場合の税収入が出ません。そこでこれは不十分ではありますが、大体全国を六大都市とか、それから人口二十万以上の都市とか、十万以上の都市、或いはそれ以下の都市、それから郡部とこういうふうに分けまして、そしてその分けたところにおけるサンプル調査をいたしまして、それぞれの映画館でどれだけの入場者があるか、それから同時にその料金の区分はどうなつておるか、このサンプルを調査いたしました。勿論、東京のようなところにおきます映画館におきましては、収容人員も多いし、田舎におきましては収容人員も少い。これがそこで一つ出ます。それから料金におきましても、東京のようなところは比較的料金が高い、田舎は料金が安い、こういう区分が出ます。そこで今度は、今の大都市、中都市、小都市、郡部における映画館の数、これは別途資料になつております。これを掛けまして、そうしますと、大体全国におきましてそれぞれの料金においてどれくらいのパーセンテージになるかということが一応推算ができますので、この推算に基きまして、先ほど申しました映画の配給収入から計算した入場料金を配給区分いたしまして、そうしてそれぞれの段階における料金収入が幾らぐらいである、それに新らしい税率を掛けて計算しました数字が積算して参りますと大体百九十二億になる、こういうわけのものでございます。
  91. 前田久吉

    ○前田久吉君 そうしますと、これからの見込は、百九十二億を、入場者が殖えるとか映画館が殖えるとかいう点で、税の収入は多いと考えられるわけなんですか。今までの景気と相当違つて来ると思うのですが、不景気になつても映画館とかその他の入場料が税の百九十二億は下廻らないというように大体お考えなんですか。
  92. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 百九十二億の数字は、先ほど申しましたように、現行の地方税のままであつた場合において、大体これくらいの数字じやないかという数字を先ず出したわけでございます。で、その数字は大体、本年度において地方税収入として考えられます入場税の額に、九%、百分の九でございますね、それだけ一応消費の増があろう、こういうふうに考えてそれを見込んだわけでございます。それで百九十二億という数字を先ず出しまして、それを片方の柱にしまして、片方の柱としましては先ほど申しましたように配給収入とかそういうものを元にしまして出した。それで大体まあ税率をこの程度ときめますれば百九十二億が大体確保されるんじやないか。従いまして百九十二億という数字の元に見込んでございますいわゆる自然増と言いますか、それは先年度に比べまして大体九%ぐらい、これは過去の実績の傾向などを見まして、まあこれくらいは、相当デフレ政策もありますが、大体見込んでよかろうというふうに考えたものですから、そういうふうに見込んでございます。
  93. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  94. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。   —————————————
  95. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 都合によりまして本案の残余の質疑は後廻しにいたしまして、次に公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 今度の改正で公認会計士の今までの特別試験の代りに検定試験をやつて、そして第三次の試験をやる。今までの特別試験と今度の改正によつてやろうとしておる点とでは、受験者の側に立つて考えると具体的にどういう変化があるのか。まあ受験科目、問題は受験科目ですが、そういうような点に主体をおいて一応説明をしてもらいたいと思います。
  97. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) この公認会計士の特別試験につきましては事情をよく御承知のことと考えるわけですが、昨年もこれを一年延長しましたときには暫定的な措置として延ばし、もうこれ以上は延ばさないというようなふうにお話があつたように承わつておるのでありまして、やはり試験としましては、公認会計士制度が初めてできまして、その際に経過的な措置としてできた試験であろうと思うわけであります。従いまして、今回はこの特別公認会計士試験というのをやめまして、第三次試験を、検定試験を経て計理士、税理士等は受けられるというような形に変えたわけでありますが、その試験科目は、内容といたしましては、従来の第三次試験、これはまあ会計実務関係の試験であつたわけであります。そのほかに特別試験といたしましては、従来特別試験と申しまする場合には、実務のほかになお会計理論或いは商事法令等の試験もいたしておつたわけであります。従いまして今回は、会計実務は、これはまあ計理士、税理士でかなり会計実務等に練達の人でもありまするし、これは第三次試験をやるわけでありますが、資格検定試験としましては、そういうふうな公認会計士となるに最低の限度必要な会計理論及び商事法令、これにつきまして基礎的な専門的な学識を持つておるかどうか、これを検定すると、こういうような意味におきまして、会計理論と商法と、これが今回の検定試験の科目にしてあるわけであります。従いまして、極くラフに申しますと、科目としましては、今までの特別試験で受けておりました科目の検定と、それから第三次試験と、二度に分つて行うというような感じになると思います。受けるほうの側といたしましては、今までのような特別試験でありますと一時に三科目パスしなければなりません。勉強もしなければならんわけで、まあいわばそういう意味で負担が重い点があるわけであります。今回のやり方でありますると、商事法規、会計理論、これを勉強しましてパスしておけば、又第三次試験につきましては、いつでも一遍検定をとつておけば受けられるわけでありますから、そういう意味におきましては負担が軽減されるというような面があります。それはたしかに出て来ると思います。まあ一方から申しますれば、いろいろと従来の公認会計士試験につきまして、実務経歴年数を加算する、成績に加算して合格か否かを決定する、こういつたような仕組は、今回のような建前に変えました関係上、いたしておりません。その辺は多少マイナスといいますか、そういうふうな点がこれは或いはあるかもしれません。大体ざつと考えましてそんな点が実質的には変つて来るのではないかと思います。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 簡単に言うと試験は二回に分けられたのでありますけれども、それから今の経験年数による点数加算ということはないが、受験科目としては検定試験及び第三次試験を通じて前の特別試験のときと変らない。まあラフに言つてこれでいいですか。
  99. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 大体お示しの通りでありまして、受験の科目としましては変らないわけでございます。
  100. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 公認会計士法案の質疑は一時留保いたします。   —————————————
  101. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは入場税法案及び交付税及び譲与税配付金特別会計法案を議題といたしまして質疑を行います。小林君。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 今度の衆議院修正案に、入場譲与税法案修正、この附則第三項、これで「政令で定める金額を譲与する」と、こうなつておるが、政令で定める、政令の定め方というのはどういうふうに予定されておりますか。
  103. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 入場譲与税の本文によりますと、各企業ごとに前三カ月の「入場税収入額の十分の九に相当する額」を譲与することになつておるわけでございますが、今回の修正案におきましては、この十分の九に相当する額というものの代りに、政令で定める額というのが入つたわけであります。  この政令で定める額のきめ方でございますが、入場税収入が比較的順調でございまして、これならまあ百九十二億円収入がありそうだと思われるような、そういう状態の下におきましては、十分の九というふうのことでもよろしいわけでありまして、さような見込みが生れる場合には十分の九というような政令の姿になると思います。これに反しまして収入の見込みが悪い、結局百九十二億は取れない、或いは入場税収入額が百七十二億ですら下廻るという場合もあり得るわけでありますが、さような場合におきましては、できるだけ百七十二億と予定いたしました場合の各期別の金額に近いものを譲与いたしまして、地方財政の円滑なる遂行に資する必要があるわけでございまするので、そういう気持から、入場税収入状況を見極めて、十分の九を上廻る率、十分の十まで恐らくなり得るわけでございまするが、その範囲内におきまして十分の九を上廻る率を使つて計算した金額を譲与する必要があると思います。さような政令の規定のいたし方をいたしたいと存じておる次第でございます。  更に入場税収入の実績の如何によりましては、一時借入金の規定を利用いたしまして、入場税収入の全額を超ゆる譲与をする必要もあろうかと存ずるわけでございまするが、その場合には結果的には十分の十を上廻る金額を、このどの時期になりますか、恐らくは三月というような入場税収入の実績の推移を見極めた上でということになると思いますが、それの譲与時期をこの政令で定めると、さようなことになるかと存ずるのであります。何分にも入場税収入の実際の推移如何にかかつておりますので、政令できめて頂くというようなことに提案者においてもお考えなつたものと考えている次第でございまして、私どもの運用といたしましても、今申上げましたように、相当弾力性を持つてこの政令を規定して参りたいと、さように考えております。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 その弾力性を持つて行きたいということは考えられるのですけれども、初めてのことではあるし、ただそのきめ方が、前の改正、衆議院修正前だと、一応例えば七月の譲与分は、五月、六月において収入した入場税収入額の十分の九に相当する額、それから十月は云々と、こういうふうに、およそ七、十、一、三において譲与する目安というものが立ててある、そういうことは政令ではやらなくて、今のように非常にその弾力性を持つて考えるということであれば、七月に交付するものには七月に、その都度、政令でやるのか、或いはどうせ総額百七十二億八千万円やらなくちやならないのだから、この七、十、一、三と四等分をされたその資金調達は、一時借入金によろうと、どうあろうと、渡すほうはおよその金額に、なんぼという指定の仕方をするのか、その点はどうなんですか。
  105. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 最少限度は入場税収入額の十分の九と、これはもう各時期に渡すことをはつきり政令に規定しなければならないと思います。その十分の九のほかにプラス・アルフアを渡すわけでございますが、それにつきましても、例えば入場税収入が百九十二億に満たないと認められるような場合には、十分の九から十分の十の範囲内で百九十二億の場合の譲与税額の各時期別、四半期別の、これはまあ季節変動がございますから、四等分でもいかんと思いますが、まあ年間の実績を考慮いたしましたウエートを掛けた四分した額に近づけるように、この十分の九を上廻る率を適用することができるとか、さような規定になるんじやないかと思います。そのほかに、もう絶対額が百七十二億をすら下廻るという場合に、借入金をいたしましてこれを分けるわけでございますが、これを分けるのは、これはちよつと率ではうまくいかんと思いますが、これはやはり収入の実績を見きわめまして、臨時的に、いつの時期に交付するということを別に政令できめなくちやならんと思います。いずれにいたしましても、地方団体収入のめどができるだけ付きやすいようにという配慮は十分用いる必要があると考えております。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、次の四項ですがね、これだと、むしろ税収はうんと殖えるかも知れないという、まあ四項の建前は、百七十二億八千万円、全体では百九十二億よりも税収があるかも知れん。あつた場合の規定ですね。予想しての……。
  107. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) さようでございます。実際の入場税収入額の十分の九が三月末に確定いたしまして、それが百九十二億より多かつた場合、そういうような場合の規定でございます。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 まあ主税局長には前に聞いたのですが、主計局長としては、こういう衆議院修正と、前の政府原案と比べてどういう見解を持つておられますか。
  109. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私どもといたしましては、勿論、飽くまでも原案の成立を希望し、且つ期待しておつたわけでございまして、是非とも原案をと思つておりましたのでございますが、まあすでに衆議院でこういう修正案が通つたことでございますので、この法律案自身につきましての批判は私、控えたいと思います。併し何分にも国家財政にこの入場税のしわが寄つてつたのでございまして、私どもといたしましては当惑いたしたのでございますが、できるだけの範囲でこの成立いたしました予算並びにこの法律との間の調整を図ることが我々の任務であると存じているわけでございまして、場合によりましては中央財政におきまして節約をするというような必要も生じて来ようかと存じますが、これは若しこの法案が成立いたしますれば、国会の意思でさようになつたことでございますので、全力を尽して善処いたしたいと、かように存じております。
  110. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に質疑がなければ、本日はこの法案に対する質疑はこの程度でとどめます。   —————————————
  111. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に先ほど留保いたしました公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を願います。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 まあこれは先ほどお話のように、経験加算はなくなつたけれども、受験科目としては、特別試験と今度の改正によるものと変りはない、こういうことになるわけですが、やはり試験を受けるほうの側からいつて、非常に問題にし、困ると言つておるのは、試験の内容、一体、試験問題について、大蔵当局としては今までの試験問題が適当であつたかどうかという点については、どういうふうに考えておられますか。
  113. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 試験問題の点でございますが、従来の特別公認会計士の試験の問題、特に最初に行いました試験等におきましては、いろいろと、慣れないと言いますか、初めてのことでありまして、具体的に言いますと、何か算盤でも非常にやらなきやできないような問題が出ましたとか、そういつたようなことがありましたが、併しこれはだんだんと、その後回を重ねて試験をやりますにつれまして、非常に試験として不適当な試験であるというような出題傾向は、私どももないのじやないかと思つております。これは、まあ受けるほうの側になりますればいろいろ御批判等もあると思うのでありまして、例えば試験官の如何によつて出題傾向が非常に分れて来る。或る先生の学説なり本を読んでいるのが非常に有利だ、いろいろそういつた意見なんかもよくあつたのでありますが、これも併し或る程度、特定の試験官を依頼いたします以上は、その先生の日頃の学説等によりまして出題傾向が或る程度出て来るということは、これは止むを得ないことでありまして、特定のかたに試験官をお願いする以上は、そこまで絶対にそういうことがないようにというふうな厳密なことを言いますと、これは試験官にお願いする人がなくなつてしまうというようなことにもなつてしまうのじやないかと思うのです。そういうような点を考えますと、どうも試験問題が従来非常に不適当であるというような御批判につきましては、最近はさようなことはなくなつておると申していいのじやないかというふうに私ども考えております。それで、今後新らしい検定、それを経て第三次試験を受ける、こういう構成にいたしました場合に、どんな試験をするかということでありますが、まあ第三次試験につきましては、これは一般と同じ試験を受けるわけでありますし、なお会計実務の試験でありまして、計理士、税理士のように、会計実務のほうでは専門の相当の経歴を持つ人が受けるのでありますから、この点につきましては、一般の二次試験を通つた人、二次試験を通り実習過程を経て受ける人と同じ試験を受けて、別段、試験問題なんかは公平不公平という問題は起らないと思うのですが、今の検定でございますが、これによりまして会計理論と商法の試験を受ける。その場合に、計理士、税理士として現在非常に立派にやつておりまして、十分な専門的技能を備えておる。併し何分にもこういう学科試験をやることは、お年をとつた、実務ばかりやつておられる人には、なかなか却つてむずかしい点があるということが考えられると思います。そういうような点を考えまして、この検定試験の建前としましては、どの程度の会計理論、或いは商法の知識を要求するか、どんなレベルのものを考えるのかというような点が先ず問題になるわけでありますが、これにつきましては、一応考え方としましては、新制大学程度のそういう法律知識、或いは司法試験とか弁護士試験、こういうものにつきまして予想されておるような、商法、会計理論、その程度の知識というようなものを想定しなければならないと思いますが、やはり今申上げましたような、多年会計実務のほうをずつとやつて来ておる、そういう人が受ける試験であるという点を考えまして、やはり出題或いは採点というようなことを考える。ただまあ甘くして、能力のない、資格のない人がパスする、何でもかんでも通つてしまうということでは、これはまずいと思いますが、併しやはりそういう実情を十分考慮した出題或いは採点ということを考えて行くのが適当であろうというふうな、大体の考え方をとつているわけであります。
  114. 小林政夫

    小林政夫君 どうも、あなたのほうへも陳情があつたとの思うのですけれども、私が陳情を受けておるのと違う考え方、というのは、今お話の実務をやつておる者は実務に得意である。むしろ理論的なものが不得意だ、けれども実際に我々が聞いておるのは、何十年と計理士をやつたというような人の陳情なんですが、この会計学、商法の試験で、理論的な試験を受けるのはかまわない、むしろ大いにやつて下さい。が、この実務の試験において、非常に今までのような出題は困る、というのは、もう六十、或いは中には七十近い人もあるのだけれども、相当補助者を使つて、まあ二十人なら二十人というような補助者を使つて、計算なんかを一々自分でやるわけじやない。にもかかわらず、出された問題は、一時間以内、或いは一時間半以内にかなりの算盤を入れなければならん、こういうような問題が出るので困るのだ。こういう陳情があるわけなんです。そこで、私はそれを聞いて尤もだと思つた。そういう試験問題、その試験問題も見ました。あなたの言われるように、初めはどうかと思われる試験問題であつた。けれども、最近は直つたというほどではなくて、だんだん試験の回数を重ねるに従つて、すでに前に出されたような問題ではどうも出し甲斐がない。そこで少しひねくろうというわけで、これは出題傾向としては止むを得ない傾向かも知れないけれども、かなりまあひねくつた、トリツクを使つた問題が殖えた。而もかなり算盤を入れてみなければいけない問題があるわけです。こういう点について、やはり問題は試験の内容だと思うので、この点について、何かそういう長年の経験者については、それに当てはまるようなものが考えられないか。要は経理判断ができればいいわけなんですからね。そういう点に主眼をおいた出題の仕方というようなことは考えられないものか。
  115. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 只今質問の点は、いろいろそういうふうな意見と申しますか、御批判があることは、確かにあると私ども考えますが、先ほど申上げましたように、極く最初の頃の出題でありますると、非常に算盤がうまくないと時間内にできない、知識は備えておつても、むしろ算盤の能力を試験されるようなことになつて、それができないために、間に合わない、こういうような傾向が確かにあつたように伺つておるわけであります。それで、最近の試験におきましては、やはりそういつたような会計実務の知識、判断力如何を調べるよりも、算盤の技能のほうを調べるような、そういう出題傾向になつておると私ども考えておるわけなんであります。ただ問題は、いろいろ会計鑑査、財務分析、会計実務というような問題に分れておりますが、その中に税務の問題等も入つておるのでありますが、そういつたような問題になりますと、これはやはり何と言いましても、実務の試験でありますから、全然数字が出て来ない、計算をしてなくともいい、こういうふうには、やはり問題としては参りかねる場合があると思うわけでありますが、これはまあ複雑な計算を早くやらなければできないというような問題でなくて、そういうことでなしに、実務のやり方、理論、考え方さえわかつておれば、計算の点ではそんなにむずかしい点はない、こういうような問題を出すということで、これは満足するよりほか仕方ないと思うのでありますが、いろいろ御趣旨の点もありますが、最近の問題は、大体はそういうふうな傾向になつておるので、むしろ最初の第一回の試験のときに見られましたような傾向は私どもとしては、なくなつておるというふうに考えておるようなわけであります。
  116. 小林政夫

    小林政夫君 どうもその点があなたの認識と違う。私もずつと第一回からの試験問題集というのを見たですよ。だから今抽象的に議論しておるわけではないので、それで見ると、僕も商学士だから、そういう試験問題の傾向というはの全然わからないことはない。それで検討してみて、それはかなり問題としては無理だと思う問題がまだまだかなり出ておる。そういうことから考えると、今あなた自身がそういう考えを持つておられるとすれば、やはり今後こういう制度にしても、長く実務をやつた人がパスするのにはなかなかむずかしいような試験問題が出るのじやないか、従つて、邪推するほうから言うと、すでに公認会計士試験にパスした公認会計士のギルド精神で、成るべく落そう、こういうことで、問題をむずかしくしてパスさせないようにする、こういう考えがあるのじやないか。私自身は、公認会計士の制度を作つた以上は、これをできるだけ守り立てて行つて立派なものにしよう、当時の公認会計士制度創設の趣旨に則つて行きたいという考えを持つ。併し故意に、試験方法が悪いために、企業分析、或いは企業の可否の判定能力等においては相当能力があるにもかかわらず、ただ試験の科目の内容のために、その実力が認められない、むしろ学校出たてで、若い、記憶力も持ち、或いは算盤も弾ける、手で早くやれる、物を書くのも早い、こういうような者だけがパスして、いわゆる老練な、むしろ企業分析等の能力においては、そんな学校出たての者よりも長い間経験を持つておる者のほうが遥かに上な人たちが、試験にはパスしない、こういうことにならないような問題自体についての配慮ということが、是非考えられなければならない。或る程度の数字をいじらなければ、企業分析能力なんということはわからんと言われるけれども数字は当てがつてつても、このバランスシートがどうだとか、この会社の経理内容はどうだとか、一つ数字を当てがつた数字を見ての判定というようなもの、こういう試験方法はあるわけですから、そういうことで、もう少し試験科目の内容について、そういつた経験者を頭においての出題、こういうことを考えてみる必要があるのじやないか。今ので絶対にいいというのでしたら、私はどうもいいとは言い切れないのです。あなたが出題されるわけではないから、なかなかこうしますということは言えないかも知れないけれども、併し、そういうふうに、出題者に対して註文をつけるということは必要だと思う。
  117. 阪田泰二

    政府委員(阪田泰二君) 御質問の点、誠に御尤もな点であるとも思うのでありまして、先ほど来、私がお答えいたしましたことが、今の試験でもういいのだ、絶対ああいう傾向で、今のままで変えなくていいのだというふうに聞えましたら、それはやはり言い過ぎだつたろうと思うのでありますが、長年の実務ばかりをやつて来たような人でありまして、かなり経歴にも富んだ年とつたかたなんかには、試験ということ自体はなかなか厄介なことであろうと思います。まあいろいろな点も考え、殊に今度の新らしい制度が国会通りまして、三次試験を一律に同じようにやつて行くというような形になりますれば、御趣旨のように、やはりそういうような意見も非常に多いことでありますし、十分に研究してみたいと思います。なお試験官のかたとも十分御相談いたしたいと思います。併し絶対に数字の出ない試験というものは……やはり実務の分析力とか判断力に関する試験をいたすわけでありまするし、会計経理の仕事というものは金勘定を相手に取組む仕事でありますから、これは無理だと思いまするが、御趣旨のような点が十分達成されますような出題の方法を今後も研究してみたいということで、私どもとしましても是非考慮いたして参りたいと思います。
  118. 小林政夫

    小林政夫君 これは私自身も会社の経営をやつてよくわかるのですがね。これは若しどうしても或る程度の数字が出題においてやむを得ないのだというようなことであれば、女の子のような算盤のうまい補助者を連れて入つて試験ができる、或いは参考書類は十分持つてつてやれる、こういうふうな試験に変えるべきで、記憶力と、そうして手早いということだけでかなり成績が制限されるというようなやり方は、大いに改善されなければならん。算盤を用いなくても、ちやんと勘どころというものはあるので、それによつて十分この会社の内容がいいか悪いか、或いはここに欠点があるということは指摘できるわけですから、そういう何でもかんでも記憶と算盤というようなことでなしに、そういうことは附随的な、実際、実務をやる上においては算盤の一級の人も使えるわけだし、参考書はどこからとつて来ても見れるわけですから、むしろ本を持つて来てすぐそのまま答が出るような問題を出すこと自体が間違いであつて、どんな参考書を持つて来ても、補助者を使つても、補助者が試験を受ける人以上の人では困るでしようが、そういうアシスタントを使つてつてもいいようなことで試験を受けさしたほうが公正な結果が出ると私は思う。そういう点についても一つ研究をしてみてもらいたい。
  119. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 助手を使うという点は、これはなかなかむずかしい点だと思いますが、出題傾向につきまして、先生自身が見て、これは無理だ、困るというようなことがございましたならば、具体的に御指摘を頂きまして、どういう点が本当に無理なのかということをよく研究してみたいと思います。私自身も、算盤の競争になるようなことはさせたくありませんし、又、時間が非常に問題なんで、一問一時間でやつておる。普通、昔の高文の場合ですと、大抵二時間の単位で、二時間で二問というふうな出し方、これですと時間に追い詰められていずれの問題も中途半端になるというようなことではなしに、一問だけは完全にできる。それに対しましては、却つて二時間はつらいという意見がある。若い人なら二時間ぶつ通しでもかまわないけれども、一時間ごとに休ましてくれというような人もある。これは、年令の層の幅が広いために、どうも体力戦になつてしまう。二時間ぶつ通しだと却つてつらい、一時間で、せいぜい十五分かそこら休ましてもらわないと困るというような問題もある。そうすると、一時間でやり得る程度の試験ということになる。それじや一時間でやり得る試験の問題を二時間かかつてもいいかというようなことになると、相当時間がかかつても実力さえ出せばいいのであつて、多少の早い遅いはこの種の試験には問題にはならない。一時間でこれだけできなければどうということはない。半日かかつたつで私は正確な解釈ができればいいと思う。ところが得てして体力のある者が勝つのだということになつて、そこがまずいと思う。私としては、どうも一時間ごとに一問というようなやり方は少しぎごちないのじやないかという感じがしておるのであります。できれば時間だけはゆつくり与える。参考書も場合によつたらゆつくり見て頂いて、正確な判断を出して頂けばいい、それで十分実務には堪え得る、そういうように相当弾力を持つた試験をしたほうがいいじやないかという感じは、私個人としては持つておりますが、今までの行き方がそういうので一貫しておりまして、試験を執行するのは審査会のほうで、私のほうは庶務だけしかやつていない。意見は述べるのですけれども審査会のかたによく御了解を願つてやりませんと、うまく行かんものですから。なお試験問題は、これは私が受けたら恐らく受からない。むずかしそうですから、余り判断力はありませんから。大いに勉強いたしまして、これらの試験はとても無理だ、変えてもらいたいということで、試験官を集めましたときに申入れをいたしまして、だんだんに直して行きたい。今度の場合に、第三次試験に特別試験の資格者が全部入つて来るということになりますから、ますますそういう点について注意いたしまして、経験豊富で実力のある者が本当に合格するというようにしなければならんと考えます。どうぞ御了承願いたいと思います。
  120. 小林政夫

    小林政夫君 あとで審査官の名前と経歴を知らして下さい。大分審査官に不信任だという議論もあるらしい。
  121. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) その審査会のメンバーの方々と試験委員とは別なんです。審査会の方々は、誰を試験委員にするかとか、合否の決定をするときに、正直なところ申しますと、或る先生の採点が余りにもからいというような場合に、それらを多少直すというふうなことはやりますけれども、試験官を選ぶというだけでありまして、試験そのものについては、或いはその採点については、一応容喙しないという建前でやつて来ておるわけであります。審査会のメンバーに不信ということではなくて、試験官に問題があると思います。今までどのような人を試験委員にしておつたかということは詳しく書いてお手許に差上げることにいたします。
  122. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会