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1954-04-08 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月八日(木曜日)    午後二時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            成瀬 幡治君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    調達庁総務部会    計課長     横山 正臣君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     高橋 俊英君   —————————————   本日の会議に付した事件公認会計士法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、その内容説明を聴取いたします。
  3. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に内容を御説明申上げたいと思いますが、この公認会計士法につきましては、今までたびたび国会でもこの改正につきまして御審議を煩わしておりますので、いろいろ御承知のことと思いますが、御承知のように、公認会計士特別公認会計士試験につきましては、昨年暫定的に一年延ばすというようなことで延ばしまして、本年の七月三十一日に、この特別公認会計士試験制度はこのままで行きますと廃止されることになつておるわけであります。ただ、そのようなままで放任しておきまして、この試験制度が八月以降なくなる。その結果、従来、特別公認会計士試験というものによりまして、公認会計士になる資格を得る機会を与えられておりました計理士税理士等につきまして、一般と同じような一次試験、二次試験、三次試験を受けるというようなことにいたしますることは、やはりいろいろと現状からいたしましていささか無理があると申しまするか、適当でないと考えましたので、取りあえずの措置といたしまして、今回かような法案を提案いたしまして、今回は公認会計士試験をただ延期するということでなくて、少しやり方を変えまして、新らしい型の試験を経て公認会計士になれるようなふうに改正をしようということに考えまして、今回の法案を御提案申上げましたような次第であります。  それで今回の改正案趣旨は、大体、特別公認会計士試験というような特別な試験は廃止いたしまして、新たに公認会計士試験の第三次試験、この第三次試験を受けまする資格検定する試験制度を設けまして、税理士計理士一定資格のある者は、この検定試験を先ず受けまして、その資格検定通りました者が、第三次試験が受けられる。こういう形にいたしたいと思うわけであります。それで、資格検定試験といたしましては、どういうふうなものをやつたらいいかというようなことは、いろいろ考えられるわけでありますが、大体従来の特別試験科目と、第三次試験科目とを考え合せまして、この法律にございますように、三次試験を受けるために必要な実務知識のほうは別といたしまして、専門的な学識を有するかどうかというようなことを判定いたしまするために、会計学商法につきまして資格検定試験をやる。その資格検定試験通りました者は、一次、二次を通らずに第三次試験が受けられる。こういうふうな制度にいたしたいというわけであります。なおこの期間は、今回は一年ではございませんので、三年間やる。一年の間に毎年二回やりますが、これは従来通りでございますが、そういうふうなことで措置をいたしたいというような趣旨でございます。  その他のことにつきましては御質問を受けましたらお答えすることにいたしまして、簡単でありますが、一応ごの法律内容の御説明を申上げた次第でございます。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質議を行います。
  5. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 公認会計士の設けられた趣旨というのは、まあアメリカ制度に倣つて設けられたと思うのですが、一体置く趣旨はどこにあるのですか。なせ申上げるかというと、先ほどちよつと申上げたように、まあ今回いろいろほうぼうで起きております特別背任横領罪というような罪名で、検察庁は盛んに捜査の手を伸べているんですがね。ああいうのは、公認会計士が、株主総会なり、或いはその他等において摘発をして報告できないというような公認会計士なら、何のためにあるのやら、ちよつとわからんのですがね。その点について御説明を願いたいのです。そういうことをやるのじやないですか、公認会計士は……。
  6. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士制度につきましては、勿論御承知のように、会社経理内容を調査いたしまして、経理が法令なり或いは健全なる会計原則に従つて行われて処理されているかどうかということを専門家として監査する。こういうことによりまして、会社経理内容を健全にいたしまして、投資家なり、株主なり、その他取引関係者を保護するというようなことが大きな目的であると思います。それでいろいろ御指摘のような場合のことでありますが、これは公認会計士監査そのものがだんだんと徹底して、なお広い範囲に亘つて行われて行く。こういうことになりますと、なおこういう制度全般の結果といたしまして、会社自体経理につきまして健全な考え方でやつて行くようになる。こういうような状況に至りますれば、御指摘のようないろいろな問題もだんだん減少して行く、或いはなくなつて行くというようなことが考えられると思いますが、ただ現状といたしましては、公認会計士制度を設けられまして、まあ六年間ぐらいの期間が経つているわけでありますが、なかなかこれはやはりむずかしいと言いますか、一挙にそういうふうな域まで到達するというわけには行きにくい点もございまして、だんだんと漸進的に、併しまあ確実にこの公認会計士仕事というものを進めて行く、こういうようなことで参つておるわけであります。それで監査範囲でございますが、御承知のような一定会社につきましては監査をいたしておるわけでありますが、まあだんだんと監査というものに着手しまして、最初は初年監査というような名前で呼ばれておりますが、最初には極めて簡易な監査をする。監査される会社会計制度内容内部組織がどうなつておるか、業務状況、或いは帳簿組織勘定の体系或いは原価計算制度とか内部牽制組織とか、そういうふうなものがどういうふうになつておるか、それが適正に整備され、行われておるか。こういうようなことだけについて監査をするというようなところから先ずスタートいたしましたわけであります。それからまあだんだんとそういうふうな制度監査を行なつて参りまして、昨年に至りまして初めでそれから一歩前進いたしまして現金預金或いは有価証券手形債権或いは棚卸資産というような項目につきまして監査手続を実施いたしまして、その五つの項目につきましての監査をいたしまして、会計士がその意見を表明する、こういうようなところまで範囲を拡げて参りましたわけでありますが、まあだんだんとそういうふうに着実にやつて行こうというような建前になつております。御承知のようないろいろ世間で最近噂に上つておりますような簿外関係、こういうようなものにつきましては、監査によつてここれを摘発するというような関係は、非常に実際問題としてむずかしい問題でありますると同時に、現在の監査範囲としてはそこまで行つていないわけであります。将来、監査範囲が非常に今よりもなお拡げられて来る、これはまあ当然拡がることは考えられますが、そういうような時期になりまして、なおこれはやはり相手が経理につきましての観念が非常に誤つておりまして、そういう犯罪行為にもなるようなことをあえてするというようなときに、これはやはり犯罪者摘発するような考え方会計士が飽くまで調査して摘発する、こういうようなことに行きますることは、これは会計士制度がよほど整備いたしましても実際問題としてもかなりむずかしいことじやないかと思いますので、やはり会計士制度が整備徹底しまして、その面におきましても十分な監査が行われまするし、会社経理に当る者の側におきまする経理道徳と申しまするか、そういうような観念もそれに伴つて向上して来ると、こういうような状態を予想しまして、そういうような不祥な問題がだんだんなくなつて行く、こういうふうにまあ期待して行くというな大体の考えで私どもおるわけであります。
  7. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私、考えますのに、これは商法まで改正して行つて株主は一々その会社株主総会において経営のすべてについて質問し、経営者責任者の不始末その他については株主総会で追及するということになつているのだけれども、とてもそんなものは一度や二度の株主総会ではできないから、常に公認会計士を頼んで、そしてそういうことのないように気をつけてもらう、そうして、あつた場合には株主総会に公告をして、そうして、そういう一つのデータを公告された場合には、今度はその点から株主が個人々々の追及をして行く、こういう行き方が私は狙いのように思うんですがね。ところが実際問題としては、経営者と殆んどぐるになつてしまつて、この公認会計士というのは税金をうまく逃れる指導者なつてしまつておるんではないですか。折角、例えば今度の造船リベートだとかそういうようなことが問題になつておるのだが、そんなことはできないと言われるけれども、それは素人ではないかも知れんけれども、常に会社経理を見ておる人ではない検察庁あたりがああして帳簿を見たりすればわかつて来る。いろいろな事件が出て来る。今度の鉄道会館の操み消しというようなことで……。これはちよつと検察庁あたりで追及すれば出て来る。そんなことは検察庁が追及する前に公認会計士株主総会において問題にしておつた、そうでなければならない。これは臭いぞ、臭いことを言うから検察庁が手を入れる。これはひど過ぎるというときには、検察庁が手を入れる、こういうことになつて来なければならないと私は思うんですが、最後狙いはそこまで行くよようにあなたらは考えておられるか。  それからもう一点聞いておきたいのは、それでは公認会計士制度ができまして、今日までいろいろと実績を持つておられるだろうと思う。あなたらは、新らしい制度であるから、それについてはいろいろの角度からどういう実績を挙げておるかということについではお取りになつておるだろうと思う。ただ何も実績も見ずに作つたアメリカから押付けられたから実施した、これではいけないと思う。一遍実績があつたらお知らせを願いたい。こういう事実があつた名前を挙げることは工合が悪いようでしたら匿名でも結構ですが、その点を一つ説明願いたい、具体的に。
  8. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 先ほど来申上げましたように、公認会計士監査制度監査範囲そのものが、なかなか会社帳簿内容適否或いは簿外というようなところまで監査するということに現在なつておりませんから、現状においてはそこまで監査範囲が拡がつていないということでありますが、大体、公認会計士監査制度そのものといたしまして、やはり会社経理が正しく公正に会計原則に従つて処理されておるかどうかということを監査をし、指導して行く、こういうことに主眼があると思うのでありまして何と言いますか、不正な犯罪摘発するというような、検察庁のような立場で犯罪摘発するというような点には主眼がないのではないかと思いますが、帳簿に、そういう犯罪行為的なやり方の結果としまして誤りがある、不正があるということでありますれば、監査範囲が非常に拡がりますれば、勿論そういうものまで公認会計士監査によりまして発見されると言いますか、出て来るということも予想されるわけであります。ただ制度そのものといたしましては、やはり不正の摘発ということが主眼なつておるわけではないのであります。なお公認会計士制度といたしましては、公認会計士会社帳簿を調査をいたしまして、事実こういう不正があるということを知つていながら虚偽監査証明をする、或いは十分な注意をしないために誤つた監査証明を、重大な誤謬のある証明をしたというようなことがありますれば、これは当然、公認会計士法趣旨に従いましてそれぞれ懲戒処分業務を停止される、或いは登録取消処分を受ける、こういうようなことになつておるわけでありまして、公認会計士が、そういうような疑義があるのに、公認会計士信用というところから言いまして、さようないろいろな不正があるのに黙つておる、これを隠しておる、こういうことはないではないかというふうに思つておるわけであります。  なお公認会計士の今までの実績というお話でございますが、これは数字的にどうというようなことで挙げにくい問題でございますけれども、やはり公認会計士監査指導によりまして、会社経理組織、いろいろ帳簿組織やり方とか、原価計算制度やり方内部監査やり方、こういうようにいろいろと改善、改良がなされておる、会計経理当局者のいろいろなやり方につきましても指導がなされ、向上はして来ておる、こういう事実は勿論全体としては見られると考えておりますが、具体的に数字を挙げましてどういうような実績であるということは、ちよつと制度の性質上申上げにくいわけであります。
  9. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、あなたのおつしやるのは、併し株主側からするならば、そういう不正な金を使われないようにしてもらう、そういうようなことがあつたらば摘発してもらう。これは一番望ましいことであつて帳簿つけ方間違つているとか、簿記経理つけ方がどうの、伝票の書き方がどうのというのは大したことじやないと思うのです。日常の問題なんかを監査してもらうというのが公認会計士仕事だ。今のあなたの説明を聞いていると、大体そういうことです。税務署が来て見たときに、帳簿をわかりやすくつけておいてもらうということの程度なら、公認会計士というのは意味をなさないと思うんです。本当は特別背任横領罪を犯すような重役を摘発することが大事なことなんだ。そういうことは今さしていない。そういうことはする必要がないのだ。ただ帳面のつけ方間違えでおらんかというのなら、まあ簿記の学校の先生の程度でいいのですが、極端に聞けば、今のあなたの説明を聞いていると、そういうことだよ。
  10. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) まあ先ほど来申上げましたように、会社会計制度組織やり方というものが整備して参るということになりますれば、おのずからやはり不正が行われる、或いはまあ不正の段階にまで行ませんでも、不当な、不適当な会社財務経理が行われるということはだんだん減つて参る、そういう機会がなくなると、こういうことになると考えます。具体的にまあ犯罪行為が行われている、そういうものを摘発する、こういうようなことを主眼として会計制度というものができているというふうには考えていないわけであります。
  11. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう意味じやないので、僕は、犯罪行為としてそれを摘発しないけれども、商法上の特別背任ということになれば、まあ字で害いた通りに任を背くということだ。背任というのは、取締役会長でありながら、会長の任を背くというような行為をやつているのをよう見つけんような公認会計士は、まあ頼りないものだと、こういうことだ。そういうことは言えますか。まあそのくらいな程度。何を一体監査するのか、余り実績もわからんようだし、これはえらい試験制度国家試験までやつた、ばつとした看板掛けた人が一体……。
  12. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) まあ現在の問題といたしまして、そういうことが摘発しない、発見できないような会計士では仕方がない、こういうお話でありました。現在先ほど申上げましたように、監査範囲がそういうところまでやるようになつてないわけであります。どこまで監査をやるかという点につきましては制度監査というようなところからスタートいたしまして、現在、会社勘定科目のうちの限られました五項目だけについて監査をやるという段階まで来ているわけであります。これはいろいろ事情はあると思いますが、やはり根本的には、こういう監査制度がかなりむずかしいことでありますので、漸進的に、今確実にやつて行こうというふうな趣旨でこういうふうに進んで来て参つているわけであります。御指摘のような点は、従いまして、まあ最後段階まで進みまして、公認会計士監査制度が、そういつた式のものの、殊に帳簿の、或いは計上されたものの適否を調べるということでなくして、計上されないもの、簿外のものまであるかないかということまで調べる、こういうところまで監査範囲が拡がりまして、それに基きまして十分なる監査が行われれば、これは勿論発見されることがあるわけであります。現状といたしましては、公認会計士が無能だからということでなくして、監査範囲がまあそこまで行つていないと、こういうことであります。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、そういうことはやらせない。それを若しもやらせるというようなことにすると、又、経営者団体のほうから圧力が加つて来る、そういうことまでやつちや駄目だ、こう言つて来るのでしよう。実際問題として……。それでまあこれは本当の形式上、経営者側にとつて都合のいいことで、株主をごまかしちまう、公認会計士監査も受けたのだからということになれば、一つ世間態を装うようなことになるのじやないですかね。実際、公認会計士制度を設けた理由は、それならば帳簿をうまいことつけさせると、それならば簿記を習つて来た良い社員を採りさえすれば、それでいいじやないかと思うのだ。その趣旨は僕らにはよくわからんのだ。国家試験改正する。而もこの特別試験までやる、検定までやると、えらいむずかしいこと言つて専門学科商法会計学というようなことの検定をやるという意味が僕らにはわからんことになつて来るのですがな。将来はどうするつもりです、これを。
  14. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは先ほども申上げましたように、監査範囲をだんだん漸進的に拡げて行くというような形になつておりますので、お話のような、まあいろいろそんなことを調べちや困るからというので、そういうことまでやつていないということではありません。まあこれからだんだんと拡張して行く、進めて行くというふうなつもりでおるわけであります。具体的に現在非常に問題になつておりますようなものが発見されないということだけで……、公認会計士が全体として会社会計やり方指導いたしまして、会社経理やり方というものが向上して来ておるという事実は、これはやはり或る程度認めなきやならないのじやないかと私ども考えておるわけでございます。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、今度はその身分ですが、この公認会計士を採用する場合には、一体どういうふうにして採用するか。経営者都合のいいのを雇うことになる。それからこれは株主総会の議決を経て承認を求めなければならんようになつているか。それからこれを馘首する場合には、経営者都合が悪い、会長は、これはえらいことを見つけやがつたリベートを見つけやがつた、こんなやつは駄目だ、やめちまえ、リベートなんか黙つているやつにしろ、こういうことをやれというようなことになるのですか。そういうことを一つ第何条に書いてあるか、教えて下さい。改正の際にそういうことを考えてなきやいかんので、あなたのほうは、試験改正をしよう、改正というと試験のことばかり言つている。試験をやつて、いい人を拵えて、免状持たせて見たところで、働けんようじや駄目だから、その点を一つ説明願いたい。
  16. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士会社が委嘱するにつきましては、これは会社執行機関から委嘱し、或いは解職するこことしておるわけでありますが、株主総会にかけるということはいたしておらないのであります。ただ、その公認会計士のほうを委嘱するにいたしましても、その公認会計士はこういうような非常に厳重な試験を受けた適正な資格者が選ばれておる。そういう意味会計士制度炉あるのであろうと思いますが、そういうようなことになつておりまして、なお会計士職業道徳といたしまして、当然、会社から委嘱された形ではありますが、監査証明に当つて会計人として間違いのない証明をするということは、これは当然のことでありまして、それがなければ、会計士制度というものは、これはいろいろの法律等むずかしいことを定めてみましても意味がないことになるのではないかと思います。それで具体的の措置といたしましては、先ほども申上げましたように、会計士虚偽或いは不当な監査証明をするというようなことにつきましては、懲戒規定がございまして、一定期間の、一年以内の業務停止処分とか、或いは登録の抹消の処分であるとかいろいろそういつた式規定がございますわけでありまして、そういうような処分を受けますれば会計士としての信用も失墜するわけでありますから、そういうような意味で、会計士がまじめに会計士らしい監査をやるというようなことが保証されておるというような形に、制度としてなつておるのであります。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それなら次に一つ具体的に例を挙げて御質問したいのだが、あなたは、懲戒制度で……例えば今問題になつております名村造船だとか、石川島重工だとか、新三菱なんか、みんな調べられているのだが、結局その調べられている根本がどうだというのです。結局、船会社に対してリベートをやつたかやらんかというところで調べられているのだが、まあ一割リベーをしたか、五分したか知らんが、五分やつたとしても二千五百万円の金が動いているわけです。それで契約書もちやんと取つて、入金したというので、ちやんと入金の伝票が発行してあつて、一旦、銀行へ入つているだろうと思う。それは現金出納簿にも載つておれば、支払伝票もちやんと載つておるだろう。これがリベートするということになつて来ると、ほかに、やつた領収書をとつておるだろう。これは今度の地下鉄の問題も同じことですが、一輛の車輛をこしらえさしておいて、一千万ぐらいづつ戻さしてやるということになつている。それを今度、経理には不正はございませんと、こういう報告をしておるだろうと思う、恐らく……。あれは全部で、今のところはこれは事実あつたかないかわからんので、検察当局のほうで三年、五年かかつて調べることになると思う。最高裁で調べることになつたら、世の中がどうなつているかわからないけれども、そういう事実があつたにもかかわらず、さような不正はございませんという監査報告がしてあるとなると、これは能力がなかつたか、それとも故意にそれを見て見ぬふりをしておつたか、どちらかになると思うのですがな。そういうものを、各公認会計士故意によつて見逃したものであるか、実際それだけの能力がないために発見できなかつたものであるかということは、誰が今度確定することになるのですか。
  18. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今お尋ねの点でありますが、これは先ほど来申上げておりますように、監査範囲といたしまして、最初はまあ制度監査と言いますか、会社会計組織やり方、機構というものから監査を始めておりましたが、昨年の五月から、現金預金有価証券手形債権棚卸資産という五項目につきましての監査手続を始めたわけであります。只今お話のようなリベートの問題でありますと、これは具体的にまあいろいろな場合がございます。普通の商取引上、正規に認められておるリベートでありまして、商慣習上認められておるリベートでありまして、それが会社の適当な収入に計上されておるというような場合もありますでしようし、或いはまあ非常な不正な犯罪行為に当るようなリベート会社が法外に受けておるというような場合もあると思います。いろいろな場合が実際問題としてはあると思いますが、そういうようなものにつきまして、これを殊に不正なものにつきまして発見するということになりますると、全体の勘定科目すべてを調べてみなければならなくなりまして、収支の状態も全部調べてみなくてはならん。更に進んで、その会社帳簿なり、勘定に計上されておるばかりでなくて、それ以外に、簿外に何かあるのじやないかということまで、まあ間接に資料を辿つて調べてみなければならん、こういうふうなことになるわけでありまして、現在の五項目だけの監査では、そういうことを発見することは先ずできないと申してよろしいと思います。従いまして、現在の監査範囲で、只今問題になりますリベートというような問題がありましたとしましても、発見できなかつたということは、これは当然あり得ることでありまして、監査範囲が全面的になり、それが徹底して行われる、こういう段階になりますれば……、今度はならなければ……、現状では、会計士能力があるとかないとかいう問題ではなくて、そこまで監査範囲行つていないことに相成つておるような状態でございます。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、この委嘱する権限を誰が持つかということは、一番大切な問題だと私は思うのですがね。改正案は馬鹿に試験改正だけを熱心にやつたのだが、公認会計士制度というものを確立するという熱意をお持ちになつているのかどうか。お持ちになつているとするならば、例えば執行機関が委嘱するということであつたならば、これはその執行機関そのものが大体監査を受ける立場にあるわけですな。株主の代理として、出資者の代理として、監査を受ける立場にある。その受ける立場にあるものが、監査機関を任命する。一体そういうことは、その独立制ということについてはお考えになつておるのか。これはもうアメリカが言いよつたものだから仕方がない。で、うるさいから出したという程度のものか。それとも、これを守り立てて行ごうという熱意をお持ちになつておるかどうか、僕ら疑わしいのだね。そういう改正案を出して来ると、成るほどこれは話せるということになるのだが、この試験制度をやかましく言うたつて、結局、会社の重役は自分の好きな奴を委嘱する。これはちよつと骨つ筋があるというような奴は、お前は駄目だということになつて追われるというようなことになつたのでは、意味をなさんと思いますが、これについて御見解をお聞きしたい。そういうつもりがあるのかどうか。あなたがどの程度までこれを守り立てて行こうとしているのか。
  20. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士を誰が委嘱するか、監査を受ける会社が委嘱するというのは意味がないじやないかという今のお尋ねにつきましては、確かにそういつた式考え方も(菊川孝夫君「考え方もといつて、それは本当だよ、君。そんな考え方というどころじやない」と述ぶ)あると思つております。ただ現在のやり方といたしましては、やはり公認会計士というものを、厳重な試験をしたしまして、会計士として十分な資格を備えた者に資格を与えるというふうな前提を踏みまして、なお公認会計士故意に不正な監査証明をやるというようなことに対しまする懲戒処分、罰則の規定を設けまして、会計士の公正な業務の執行を確保する十分な資格者を先ず選定いたしまして、なおそれの業務執行につきまして、そういう資格を停止するとか、剥奪するとか、そういうような面で、この公正なやり方を確保して行く。こういうような建前で行つているわけでありまして、お説のような考え方も確かにあると思いますが、公認会計士会社から任命されれば、必ず会社の利益と言いますか、殊に会社の不当な……、会計の立場から言いますれば、不当な、不正な考え方に対して、これを裏付けして行くような監査を必ずするだろう、こういうふうにきめ込む必要もないと思うのでありまして、現在の制度で一応十分じやないかというふうに私どもとしては考えている次第でございます。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 現在のやり方で十分だとお考えになつているということになると、それはもうセンスを疑うのですがな。公認会計士に対して、えらいこんなむずかしい試験をやる必要をどこに認めるか。折角こういう試験で、ふるい分けておられて、いい人間をこしらえられた、その人間を活用する。これは国家が試験をやつたのだから、これをまあ国家的に活用するためには、身分の保障というようなことも考えてやらなければならん。で、そうすると、これは職業を与えるという意味ならば、これでいいですがね、職業教育なら……。そうじやないのだもの、これは……。で、現在で十分だということでは、ちよつと私共納得できんと思うのですがな。と言うことは、私の言うことはわかると思うのだ。これは素人論かも知らんけれども、あなたもわかるだろう。そのくらいのことはおわかりになるだろうと思うのだ。これは政治論だけれども、法律論、この法律そのもので言うのじやないけれども、折角お出しになるならば、そういう点について検討を加えなきやならんじやないか。アメリカが押しつけた当時は、まあ仕方がないからやつたのはいいけれども、もう六年もやつたので、実績に照らして、今而もほうぼうでそういう問題が起きているのだからして、これはこの公認会計士を活かして、そういうことの少しでもないようにしなきやならん。そのためには、やはり身分保障というようなことも考えて行かなきやならんということは、株主総会において重役陣と対決しなきやならん場合がある。それは報告するでしよう。そういうことだと言つて、それで報告したら、この公認会計士報告は、相当峻烈な執行部に対する批判的な報告が出る。これに対して、重役陣がやはり真つ向から、そうじやないというので、両者が対抗して、株主総会において批判を受けろ。こういうことにやらなきやならんと思うのですがな。まあ日本のあらゆる点が腐つているのだから、そんなことを言うてみたつて、それは駄目だと言うてしまえば、それまでですが、それでは何をか言わんやであつて、これは国会議員でもなんでも腐つていて、もう腐れついでだからというなら、これは何をか言わんやだけれども、この法案の提案理由の説明、或いはあなたの内容説明を聞いていると、高遠な理想の下に公認会計士制度と取り組んでおられるとするならば、そういう点から検討しなければ駄目だと思うのですが、これについての御見解を一つ伺いたい。
  22. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士制度につきましては、お説のようなことも今確かに考えて行かなければならん点もあると思いますが、まあ何分にも、先ほど来申上げておりまするように、公認会計士監査範囲というようなものを現状といたしましては漸進的に進んでおりまして、全面的に監査をするというところまではまた行つていないわけであります。まあだんだんに公認会計士制度というものを育成して行くという段階に現在あるわけでありまして、現在いろいろな世間に噂に出ておりまするような不正事件公認会計士の手で摘発されていない。そういうことから、直ちに公認会計士が今のようなやり方では独立した立場で監査ができないじやないかというふうにきめ込んでしまうということは、これはやはり早計じやないか。お説のように、確かに公認会計士制度というものは、だんだんといろいろな面からいつて強化して行くべき点があると思いますが、現状ですぐにそういうふうに監査範囲を全面的に拡げなければならん、或いは会計士にいわば会社から独立した特別の資格を与えるようなことをするというところまで、今直ちに必要がある、そうしなければならんというふうには申しにくいと思いまして、まあ会計士制度ができましてから年数としてはかなりたつておるわけでありますが、やはり制度そのもの、或いは公認会計士業務そのものとしてもかなりむずかしい問題がたくさんあるわけでありまして、だんだんと漸進的に現実にこれを発展させて行くというような考えで進みたいと思つておるようなわけであります。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、会認会計士を各会社その他の法人がみな雇つておると思うのですが、労働組合でも公共企業体等労働関係法の適用を受ける組合は公認会計士監査を受けなければならんことに法律なつておりますが、そこで、この公認会計士の報酬というようなものは現在どの程度なつているかお調べになつたことがありますか。
  24. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 報酬というのは労働組合のですか。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、どこまでも一般の……、それは公定価格でもきめて、組合とかそれぞれの協会とか何かできめてやつておられるのか。それとも月手当というのでやつておられるのか。どういうふうになつているか。
  26. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 協会で、内規というか、大体約束として同じようにやつております。年間四十万円お出ししておると思います。一社から一人の公認会計士が四十万の報酬を受ける、監査証明に関しまして。そういうふうにみな均一料金と言いますか、同じようになつております。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、監査証明を出してもらうために四十万円、これはその点でかなり身分保障がなされておりますね。而も公認会計士監査証明を付せなければならん。株主総会には出すことになつてある。労働組合なんかこれの監査を出さなければ駄目だというふうにきめられておるから、好むと好まざるとにかかわらず、大会に報告するときには監査証明を付けなければならん。而も四十万円でなければ駄目だ。こういうことになつておれば、誰か頼まなければならんということになりますね。その点においては或る程度保障されておるけれども、その協会を一つ強化しまして、ああいう会社のいわゆる横暴なところに対しては出さん、出さなければ決算報告ができん、大蔵省への報告もできないということになるから、そういうことをすれば或る程度その点はちつとはチエツクできるじやないかと思いますが、実際はどうですか。
  28. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 先ほど四十万円と申しました点は、強制監査の対象になる公認会計士監査を受けなければならない会社が支払う料金でございます。労働組合等が受けますのは、これは職業会計士監査を受けなければならないのですから、計理士でも結構です。それは又四十万ではございません。恐らく違うと思います。今の点でございますが、事実、例といたしまして、余り好ましくない経理をしておる会社には非常に良心的な公認会計士は断わる場合がある。これは事実あつた。これはその会社から頼まれて、どうもあの会社については自信がないというので、私が若しやると、余り正直に報告すれば会社から嫌われるし、といつて良心に反してやれば、場合によつた懲戒処分を受ける虞れがある。従つて、私はその会社は見たくないというので断わつた例がある。併しそれだからといつて、誰も行かないということでは話になりませんが、事実又、行つております。それで、なお先ほど来、菊山先生がおつしやる点は、昨年も私この席でお叱りを受けた点でございまして、いろいろ研究して参りました。そのために一つの方法としては、官選という手がある。どうせ四十万円ときまつているわけでございますから、会社から全部四十万円供出させまして、官において適当な人を任命いたしまして、各会社にやる。或いはもつと徹底すれば、抽選で縁故関係を断わつてやるというような方法もあるのでございますが、私どもといたしましては、この監査を始めてから、昭和二十六年の七月でございまするから、それほど長くたつておるわけではございません。外国の歴史に較べれば、こういう監査の歴史としてはまだまだ初歩の段階にあるものと考えます。その時代において、いきなりそういう不信用を押付けまして、信用できない公認会計士はお抱え会計士であるから信用ができんという意味で官選にするとか、或いは抽選でなければいかんというふうなことにするということは、果してこの制度の育成にどうであろうか。プラスとマイナスの面と両方考えましていま暫く現状のままで見て行きたい。と申しますのは、先ほど局長からいろいろと説明申し上げましたように、項目は限られておるのでございまして、全部の項目について、あたかも税務署がすべての項目を調べるように、徹底的調査をやりますれば、それは成るほど脱漏やその他或いはちよつとした表面からわかるような不正事件を見逃がしたとあつては、これは私はただで済まさないと思うのです。そういうことが先に行われるようになりませんと、ここで人間をいろいろ取替えてみましても、大した違いはない。これは経営者の側にも十分御理解を願わなければならん点でございまして、これをただ徒らに嫌う、会社内容を、秘密を知られることを嫌うということでは、この制度は発達しないわけであります。ただ公設会計士の側といたしましても、誤まつておれば事前に直すという点に主眼が置かれなければなりませんので、不当なものであるからこれを摘発するというのであつたならば、これは絶対に経営者の側と相容れる制度にならないわけであります。そういうような点を考えまして、できるだけ紳士的に、政府の側としても十分公認会計士信用して、公認会計士も今までの一般の企業家よりも高いレベルにおいて仕事をするのだという意識を確立いたしまして、お互いに各種の不明朗な事柄をだんだんに少くするというように努力して行かなければならん。そういう意味から行きまして、今までに起きました事件につきましても、正直のところ懲戒処分にまだ付しておりません。おりませんが、それらのことにつきましては、公認会計士審査会において或る程度調査と言いますか、事情を聞くというふうなことで、その道義的な責任の点については、やはり追及しておりますし、又その当該の会計士も、責任を感じて、その後は十分に注意するというふうなことでやつておりますから、いきなりきつい急進的な方法ばかりを採りませんで、徐々に徐々にこれを育成して行きたい。而も目標とするところは、やはり先生の御指摘になりますように、いろいろな、ああいう不正事件はなくするように、不正ができないような帳簿書式なり、仕組みに持つて行きたいと、そういうふうに念願しておるわけでございます。決していろいろな御指摘の点を等閑に付しておるわけではございません。十分努力しているつもりでございます。よろしくお願いいたします。
  29. 平林太一

    ○平林太一君 菊川君からの資格の問題ですが、今度『第三十五条中「特別公認会計士試験」を「第五十七条に規定する検定」に改める。』こういうことですが、第五十七条の二に「特別公認会計士試験の合格者を定める場合には、試験科目の成績により定める外、必要に応じ、受験者が前条第二項各号に掲げる職に在つた年数をしんしやくして定めることができる。」それから、その二項、「前項の規定による年数のしん上やくの方法については、政令で定める。」、こうなつておりますが、今度、検定については、第三次試験の受験資格に対する検定と、こういうことになるのですか。ちよつとその点、詳しく説明を願いたい。
  30. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 従来の五十七条の二の規定は、特別公認会計士試験の合格者の、試験を受ける際の年数斟酌の規定でございますが、その規定を、今度は特別公認会計士試験そのものがなくなるわけでありますので、廃止いたしまして、代りに又新たに五十七条の二の規定といたしまして、検定試験内容規定いたしました。それで検定試験内容といたしまして、第三次試験を受けるための資格、学識を有するかどうかを判定するために会計学商法試験をするのだ、こういう規定を入れましたわけです。従来の年数斟酌の規定は、特別公認会計士試験というものはなくなりました関係上、廃止になりましたわけでございます。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にこれは具体的条文に入りまして、会計学及び商法、これは会計学商法ということになれば、高等学校程度でも会計学を教えます。それから商法も教えます。昔は中学校、商業学校でも教えた。一体どの程度会計学商法ということになるのですか。どの程度を狙つておられるのですか。
  32. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) これは今度会計学商法の二科目につきまして試験検定するということにいたしましたわけでございますが、従来から特別試験につきましては、会計実務のほかに、会計令、商事法令というものが試験科目に入つておりました。そのような関係も考えまして、今回は又第三次試験検定のあとで受けられるわけでありますので、こういう商法会計理論、こういうものにつきまして学識があるかどうか、公認会計士となるに必要にして十分な学識あるかどうかということを、検定するわけであります。そういつたような趣旨からいたしまして、まあどの程度の知識であればいいかということでありますが、これは具体的にちよつとどうということを申上げかねるのでありまして、非常にむずかしい専門の……計理士とか、税理士とか、こういう人が受けるにはむずかし過ぎるような試験をすることは、勿論考えていないわけですが、併し大体の程度といたしましては、やはり現在の新制大学等で、いろいろ会計学等をやりますが、そういつた程度試験をすることに、大体の感じとしてはなると思います。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは今のあなたのお話では、専門的学識を有するかどうかを判定することを目的としてやられるのに、今の新制大学の会計学程度或いは商法の知識というのは、そうすると専門的学識を有するかどうかを判定するという目的とえらいちよつと違つて来ませんか。今の新制大学の卒業程度のといつても、専門的学識を有するかどうかを判定することを目的としてやるのに、その点大分こうずれて来ないか。どの程度の本を読んでおけばこれは通るのか。構想をどの程度に考えておられますか。まあはつきり申上げて、こんなことはむずかしい問題だと思いますが、一応会計学にはこういう人の著わしたこういう本がある。この程度をマスターしておればいいというふうに考えておられるか。その点を聞いておかないと、この法律をきめるのに、理財局長はこのままこの場を逃れたらいいというような答弁をしておられるけれども、法律を審議する際に聞いておかなければならない。
  34. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 新制大学卒業という点はその通りなんです。ただ何何先生というここで名前を上げるのはちよつと工合が悪いのですが、通常、商法の例で申し上げますれば、弁護士試験でございますね、弁護士試験の際に、学生の皆さんが勉強される、司法官試験の際に勉強される、あの程度の勉強はして頂きたいのです。併し問題を申す場合に、すでに経験者で実務に従事しておられる方が多いのでございまして、その方々に司法官になるようなときに要求される程度のレベルのものを課するということは、いささかきついのじやないか。ですから私どもとしては、この検定は、基礎的学識、専門的なものではありますけれども、主として基礎的な問題、必ずしも弁護士等に要求される程度の高い水準の商法に関するもの、或いは会計理論にいたしましても、学者が非常に論議しておりますようなむずかしい問題についてやるというのじやなくて、大体一般的に認められているところの、学説として認められている、原則としてすでに確立されているというようなものについて知識があるかどうか、それを或る程度理解しているかどうか、こういうふうなことを調査するつもりでございまして、概してこの検定は私どもとしては幾分甘い感じで採点して頂きたいというふうに考えているのでございます。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第三次試験を受ける有資格者というものは、一体どのくらい今のところはあるのですか。この三年間におやりになるについて、今までの実績からして大体おわかりだろうと思いますが、資格のある人はどのくらいあるのですか。
  36. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 非常にはつきりしておりますのは、計理士とか、税理士とかということで、すでに登録されているというものは、これは数字がわかります。そのほかに、五百万以上の会社等で会計課長経理課長等の職を三年以上やつた者は資格があることになつています。そのほかこれに準ずるような有資格者がありますが、この数は、はつきりとは掴めません。実際に受験した者の数から推定すれば、相当多いとは思いますが、受験者の数としては余り多くないというふうに感じます。と申しますのは、計理士の数だけで、登録されておりますものが今年の三月末現在で四千二百十五名ございます。そのほかに税理士があるわけでありますが、税理士計理士とは相当重複しておりますので、このほかに純然たる税理士としては、計理士資格を兼ねない税理士はおおむね二千名程度であろうと推定されます。合せて六千名以上になるわけであります。それ以外の会社等の会計の経歴の深いものというものはたくさんあると思いますが、受験者の数といたしましては、おおむね今まで少いときで二千人、多いときで三千五百、この程度が受験者一回の受験者数になつております。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 公認会計士の人物を得る、免状を与えるためには、主として学問的な知識のある人をあなたのほうでは要求しておるか。それとも実務の経験者に主力を置いているか。どちらを公認会計士として適当だと思つておりますか。これはそこでおのずからわかつて来ると思うのですが、というのは、これはあとで聞きたいと思うが、その点一つ、実務経験者、これがいいか、それとも学校を卒業した、新しい学問的の、知識のある人、こういう人を期待しているか、若手の新進か、それとも長い間、経理関係の事務を担当している者、どちらを……。これでは両方とろうというわけですかな。この試験制度を見ますると、若いそういう人を今後養成して行ごう、こういう趣旨でこれは設けられているのか。
  38. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 私どもとしてはどちらでも結構だと思います。学校を出て間もない人は公認会計士として不適性かと申しますと必ずしもそうではございません。但しそれには相当の実務の経歴を必要としますので、現在でも学校出たての人は、大学など出ておれば第一次試験は免除になりますが、第二次試験を受けます。その後三年間の実務と言いますか、講習を受けなければ第三次試験を受けられない。三年実習をやつて、初めて第三次試験を受ける資格ができるということになつておりますので、実務ということについてはかなり重きを置いておりますし、他の昔の高文に相当するような、余り実習を必要としないものとは違いまして、三年という期間を要する。従いまして計理士税理士等におきましても三年以上登録をして仕事をしておつた者ということになつておるわけでありまして、最少限度三年の実務経歴は要るのだ。併しそれかといつて基礎的な学識については何もわからんということは語弊がありますが、非常にレベルが低いということでは困る。このほかに、試験ではなかなかこれはできないことですけれども、本来ならば人格が大切だ。但しこの人格というのはなかなか試験でやることはむずかしいのでありまして、それを実習の期間等においてやつて頂くというのが趣旨なんであります。必ず政府の指定を受けた公認会計士指導を受けなければならないということになつております。
  39. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に合格率というのは、今までこういうふうに持つて行くためには、こういう試験の合格率だ。一般の国家公務員の試験、或いは昔の高等文官ですか、弁護士の試験、司法試験、外交官の試験、これらと、この合格率というものを見て、そうしてこういう特別なものをこしらえなければならんというところで、提案理由は大体そういうふうに我々受取るのですがね。その合格率をお示し願いたい。  次に同名くらいを無制限にこしらえるというのか。何名くらいまではこしらえたいというところから、特別な試験検定ということを考えておられるのか。何名くらいの会計士を確保するため、多少の条件を緩和しても、これは職業を与えるため、先ほどあなたの言われた一つの職業を与えるというのが目的であるのか。そのどちらですか。その点を一つ……。
  40. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 第一点の合格率でございますが、これは特別試験だけについてみますると、昭和二十四年から二十八年までの平均で申しますると、それまでの受験者総数延人員を申します。延人員一万三千六百四十八名であります。合格者数が九百五名、六・六%、これは年によつて多少不同でありまして、昭和二十七年のごときは一〇%を超えておりますが、二十八年のごときは五%、こういうふうに差異はございます。その年によつて成績のいい場合とそうでない場合がありますが、大体平均は六・六%になつております。特別公認会計士試験がそういうふうになつております。  なお参考のために申上げますと、第一次試験は平均一〇%、第二次試験の合格率も総平均で申しますと一〇%になつております。それから第三次試験、一次、二次を通過いたしまして第三次を受ける者でございまして、これは特別試験とは全然別個のものございますが、それは四九%に上つております。すでに第一次試験を通つて来ておまりすから、第三次試験の合格率は略略五割ということになるわけであります。なおほかの試験とこれを比較いたしまして、司法試験におきましては、これは第一次試験、第二次試験というのがございますが、非常にからいように見受けます。第一次試験は二十五年頃から二十八年までは五%、三%、三%、二%、第二次試験のほうも七%、六%、五%、四%、そのほか最近行われております税理士試験科目別に受けることになつておりますので、非常に科目が多いのでございますが、これは非常に科目によつて違いますが、かなり、からいように見受けます。非常に高いものでも、科目によつて合格率の高い年の高い率でも二〇%を超えているももは極めて稀でございます。概ねは七%から一〇%くらいまで、中には極端なのは二%、一%とかという例がございます。大体これで通じますと税理士の諸君のほうが或いはからいのではないかというふうに考えます。  それからもう一点、会計士の数でございますが、これはこういうふうに考えます。特別公認会計士試験を行いましたのが急に制度が変りまして、その期間第二次試験を行いましても第三次試験を受けるのには三年の間がございます。三年間は一人も公認会計士ができないということになると、それは困るということが第一点と、それと従来の職業会計事務等の公認会計士となる機会を与えるという両方の趣旨から、最初三年間だけ特別試験をやるということでございましたが、それが延び延びになつて今日になつたわけでございます。それで特別試験の合格者は、九百五名のほかに、第三次試験を通過した者が五十名でございまして、九百五十五名いるのでございます。九百五十五名で一体多いか少いかという問題でございますが、例の強制監査の対象となる会社の数は七百社余りと思いますが、それに対して一人が何社も兼ねているということから、百数十名の公認会計士で満員になる。つまり新らしく強制の対象となる会社が殖えない限りは、公認会計士のほうが殖えて行つても強制監査の受持の会計士にはなれないわけであります。ですから、もう暫らく前から合格した人も、そういう会社を持つているという人は極めて稀なのであります。稀なんでございますが、私どもは公認会計士を強制監査のためにだけ必要だというふうには考えておりません。おいおい長い眼で見ますれば、新らしく計理士というのはないわけでございますから、年々多少とも減つて行くわけであります。そういう職業会計人としての計理士等に代つて、この特別公認会計士がいろいろな会計上の仕事をするわけでございます。法人だけを仮に捉えて見ましても、大きな会社でも手数百社ございますが、そのほかに、つまり五千万以上の会社だけでも千数百社あり、更に五百万円とか或いはもつと小さな法人まで考えますると、何十万という数の法人があるわけであります。これらが、皆が皆、会計士指導を必要とするとは私は思いませんが、一人で十数カ所持つといたしましても、相当の人数が要るのではないか。それかと言つて、私どもは、決して公認会計士制度を作りながら、そのレベルを非常に下げて、低いレベルのものをみな会計士にするという気持はございませんので、まあ考え方といたしましては、毎年、当分の間、何名とは申しませんが、二百名とか四百名とかという数字がそれだけ増加して行きましても、別に多いとも思いませんし、必要ではないか。併しいわゆる現在の段階で強制監査を行なつております会社が、極めて限られた数でございまするから、そういう意味における監査証明書の必要数、それはすでにもせ一ぱいてある。併し会計士制度としては、それだけが目的ではございません。現に職業の範囲としても、それだけの収入を当てにしてやつているわけではございません。他のほうの分野でみな十分職業として成立つているわけでございます。大体何名合格させなければならんかとか、どれだけ必要だというはつきりしたことは申上げられませんが、考え方としましては、従来のいきさつ等を申上げますればそのようでございます。
  41. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それに関連しまして、次にお尋ねしたいのですが、強制監査制度ですね。これはあなたのほうの分野になるかどうかわかりませんが、あなたのほうの担当になつているのですか。
  42. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 担当と申しますと、私の課としては、会計原則を作るというふうなことは私のほうでございますが、それを実地に当てはめる強制監査の面は、只今のところは証券課のほうに所管してもらつているわけであります。
  43. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 強制監査につきましては、強制監査を設けられました理由というものは、どうも公認会計士制度と裏腹の関係にあるのじやないかと思うのですが、この歴史は、いつから強制監査というものはできたのですか。それから強制監査制度の設けられている理由はどこにあるのか。  次に、監査役との問題ですが、今後調整して行くのはどの点からどういう調整をして行くのか。その点お伺いしたいのですが、最初の強制監査を設けられた理由は、どうもその監査証明をつけなければならんと、法律にもぐつと載せてしまつたのですが、アメリカは言つたらしい、その労働組合の強制監査制度を載せてしまえと。こんなものは必要じやない。ちやんと監査員というのがいるのだから……どうしても入れなければならん、アメリカはそうやつているのだと言つて、どうしても聞かなかつたのですがね。日本の強制監査制度、これは公認会計士の問題と密接不可分の関係があると私は思つてお尋ねするわけです。
  44. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 確かにおつしやるごとく非常に密接な関係でございます。いわば公認会計士制度作つたというのも、強制監査の必要がある。つまり会社の外部からの監査の必要がある。それが先ず先にありまして、それにはその当時における職業会計人では不十分である。こういうことから、非常に厳重な試験を受けた公認会計士が必要だと、公認会計士制度を先に作りまして、昭和二十六年の七月から強制監査制度を実施したわけであります。まあ労働組合等に対する監査の問題については、暫らくおくといたしまして、会社に関する限りは、最初のきつかけと申しますか、非常に近い頃で、必要だと言われたのは主に外資導入でございます。外資導入をするのに、日本では公認会計士制度がない。監査役というのはいるのですが、それは悪口を言うようですが、取締役になりそこなつた次順位にある者が監査役になつているような実情にあるから、そういう監査役が監査したからといつても値打ちがない。やはりアメリカにおけるような公認会計士監査証明をして、ちやんと内容が裏打ちされているような会計でなければ、外資導入というものは期待できないのではないか。そういうことが一つのきつかけであつたことは事実であります。で、それが今度はどれだけの意味を持つているかということでございますが、先ほど来いろいろと申しますように、不完全でございまするが、とにかく外資導入で、非常に目立つた大きな外資導入はありませんけれども、会社別に、技術提携、資本提携等で入つて来る場合には、やはりものを言つていると、私はそう見ているわけです、この公認会計士制度ができて以来、監査ということが非常に問題にされております。監査役による監査にしても、各会社においていろいろ研究しておりまするが、とかく内部監査というふうなことが非常に表面に強く言われるようになり達したのは、こういう監査制度ができたためである。従つて、今まではどちらかと言えば、手足を持たないような監査役が、今度はちやんとした部下を持つて内部監査をやつているという例がだんだん殖え棄ている。そういうような効果もございますが、それじや監査役だけで十分ではないかという意見も一方にはありましようが、私どもとしては、これは何と申しますか、本当にその会社から常時専属に給料をもらつている常務監査役が監査した場合と、外部から診察してもらう、いわばお医者さんのような仕事をするのだと思いますが、それが自分の身内の中でやるのでは、信用度が余り高くない。だからやつぱり公認会計士でやつたほうが有効というふうには認めるわけであります。その点は、監査制度が非常に立派な監査制度になるということになればおのずから話は別でございますが、そのときには、私は監査役になるような人は、やはり公認会計士試験を通つたくらいの人がなるのが当然であろうと思います。
  45. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 僕が考えまするには、この監査役と公認会計士との関係というのは、監査役が自分の適当だと認める者を、部下としては何だか嘱託的な関係において、これを使つて、そして監査をさせる。こういう組織にできるだけするというふうにする。強制監査というのは、何か公認会計士という制度を設けた、ところが仕事がなくちや困るから、強制監査という一つ制度を設けて、ここだけはしなければならんから、まあそこだけ仕事はあるから、だから公認会計士を設けた。一つここでどうしても好むと好まざるとにかかわらず頼まなければならんということになるから、だからそういうふうにこしらえたのではないか。そうすればだんだん殖えて来るということになると、強制監査というものを殖やす、公認会計士が殖えて来るに従つて殖やすということにして行くのか。それとも、もつと充実して監査範囲を拡げて行く、こういう構想を考えているか。どつちか。
  46. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 監査役が内部監査をするのに公認会計士を使うように持つてつたらどうかという御意見でありますが、事実、会社によりましては、将来公認会計士として職業会計士になるという意味じやなしに、内部監査をするために、自分の会社経理を、経理課長等をやつてつた者を受験せしめて、そして内部監査に使つておるという例があります。ですから、能力とかという点から申しますると、外部から監査に行つた公認会計士よりも事実上はその会社のことについて非常に詳しいのですから、内部監査をやつておる人のほうが能力で上だということはあるのです。私は比較はできませんが、あると思います。併しそういうふうにすれば、先ほど先生がおつしやつた、その会社から給料をもらいながらその会社の不正なり何なりを摘発できるかという点になると、全然却つて反対の方向になりやせんか。私どもとして、公認会計士には、不当や不正のことを知りながらそれをわざと落してやる監査証明をした場合には、業務停止、何と言いますか、懲戒処分に付するまでもない、業務を停止するというふうな措置がとれて、それによつていわば職業を一時剥奪されたような形になるというふうな罰則を設けておるわけです。その点、非常に効き目があるのですが、会社の中に従事する者が会社の不正な行為や或いは会社の不利となるようなことを庇つたということによつてその者を処罰する、営業停止を食わせるということは、ちよつとうまく行かないんじやないか。公認会計士の場合であれば、そういうことによつて、たとえ金をもらつておりましても、まあ今後だんだんやかましくなつて、我々のほうも厳重にいたしますれば、ちよちよ懲戒処分を受ける者が出て来るかも知れない。これは非常な衝撃になる。そのことはいわば職業上の生命を絶たれたようなことになる。あの人は非常に信用のない人であるということになるわけです。その点はやはり外部から監査したほうがいいんじやないかと思いますが、さりとて非常に小さな会社にまで徹底的な監査をさせるということになると、経費が大変だろうと思う。経費の点で参つてしまう。先ほど四十万円と申しましたが、まあ大会社に、今の対象になつておる会社にとつては四十万円くらいは大した負担じやないと思いますが、小さな会社までこれを及ぼすということになると、かなりむずかしい問題があります。なお今こそ四十万円程度で済んでおりまするが、全部の勘定科目について相当長期に亘つて監査をすることを強制いたしましたならば、私は費用としてはとてもその程度では足らんのじやないかと思います。それらとの睨み合せ、費用とを睨み合せて対象も考えて行かなければならんと考えております。
  47. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いずれにいたしましても、今までお聞きしまして、我々はどうもしつくりと、ああ成るほど結構な制度だとも思えんし、まあ宙ぶらりんなものであつて、どちらかと申しますならばすつきりしない。あなたらのお話を聞いておつても、局長の言われるのは、不正を摘発するのは主眼でない、まだ五項目ぐらいだということになつたら、一番の核心には触れない。そうすると、それなら帳簿指導員かということになる。指導員なら何もそんなにしなくても社員の腕ききを雇つたほうがましだということにもなるし、これは何回も試験を、公認会計士試験をやるにつきましても国で相当の金がかかると思うのです。どうも、どこが狙いであるか、ただ議論の応酬だけに過ぎないのでありまして、ちよつと僕らにはこれは成るほど必要な制度である、これは非常に有効だから将来伸ばさなきやならん。成るほど伸ばさなきやならんと思うんだが、ところが、ぐんと伸ばすかというと、そこまで踏み切ることはなかなかいろいろ摩擦があつて困難だ。だから結局、要するにどう考えても、これはアメリカが来たときにこれをやれと、こう言いよつたもので仕方なしにやつた。やつたにはやつた。で、今更廃止するわけには行かん。こういう性質のものですな。大体どうもそういうふうに見えろな。すつきり徹底的にやるかというと徹底的にやれない。だからと言つて、それじやいい加減にしておくというわけには行かない。国がわざわざ金をかけて試験をやるというんだが、どうもすつきりしないのですな、今まで聞いたところでは。なぜそんな私が意地の悪いような御質問を申上げるかというと、これは相当国家としては金を出す。法律改正をするに当つて、イエスかノーかをきめるに当つては、これらをどうもえらい必要なものであるという観点に立つてこれと取り組んで行こうと思つて質問してみると、大して、監査範囲をこれくらいに縮めて、五項目くらいに縮めておくということになれば、核心に触れないことになつて、これじや意味をなさん。折角事務的試験を何のためにやるか。それは職業として一つの看板、大蔵省免許の看板をもらうということだけが目的でやるんだということになればおのずから別です。会計士という職業をこしらえる。就職難時代ですから、そうしたものを多くこしらえよう。そうして、されておるというふうな狙いつたら、おのずから又角度を変えて考えなきやならんと思う。この公認会計士制度そのものをうんと伸ばして、これを有効適切に働かせるように守り立てて行ごうという熱意を持つて取り組んでおられるものか、どうもはつきり僕らでは、今までの応答の経過でははつきりしないのですがね。
  48. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 公認会計士制度について、先生は特に監査の面を非常に強調しておられるわけでありますが、私どもは先ず第一に、監査のためにだけ公認会計士が必要であるというふうには考えておりません。若しそういうことであれば、従来から計理士等があつたのがおかしいのであります。若しああいう計理士等の職業が、やはり社会的に必要であつたということであれば、制度が変つて新らしい計理士が出て来ないことになつたわけであります。何らかこれに代る制度がなければならん。これは監査だけではありません。監査というものは仕事の中の今では一部にしかす罰ないわけです。例えば報酬として得るうちのほんの一部が監査によつて得るわけでありまして、その他の面で受ける報酬のものが遥かに大きい。これは現に計理士のかたが強制監査をやつておらない。併し相当の収入を得ておられるかたもある。だから会計士制度というものはいずれにしても要るということは納得が頂けると思います。問題は、その監査の点が不徹底で、非常に科目の点を限つてつたりして根本的にはわからんようにできておるじやないかというお叱りでございますが、それで満足しておるわけではありません。この五項だけをやればいいというのではないのでして、一挙に全体に入ろうとするといろいろ摩擦がございます。はつきり申上げると、そう急には参らない。毎年毎年、もう少しどうだ、もう少しどうだということで漸進しようということで、去年から始めて、この五項の、立会監査ですか、実際に監査をやる。それまでは制度監査だけであつて、何もやつていなかつた。去年からはこの五項でございますが、これでいつまでも置いておるわけではありません。更にあとの項目を加える。そうやつて行くと経費との関連が生じて参るのでありますが、とにかくだんだん増して行かなければならん。一応全体を見なければ本当の意味監査になりませんから、そこまで行く間に、会社の側にも十分準備をしてもらう、それだけの監査を受けてもいいように内部的な組織も整えておく、考え方やなんかについてもいい加減でなしに監査を受けても十分だというように整えてもらう、そういう時間的な余裕を置きながらこれを進めて行くわけでありますから、決してこの制度が非常に宙ぶらりんだとか……現在の建前では宙ぶらりんでございますが、それは認めますが、この制度全体が直ちにそれだからナンセンスであるということにはならないのではないかというふうに考えております。十分に御了解を頂きたいと思います。
  49. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私の考えでは、大きな法人等におきましては、株主総会で自発的に、むしろ積極的に公認会計士を五名くらい置いて徹底的に今回は監査をしたいというくらいな決議をしてやる。四十万やそこらで五人雇えば二百万円、少し楽すれば二百万や三百万の金は直ぐふつ飛んでしまう。それは、はつきりしておる。ちよつとこの五人なら五人を頼んで、そうして細部に亘つて監査をしてもらうということになれば、おのずからこの会社の株そのものが刷新されて来るのだ。そこに非常によくなつて来るのだろうと思う。そこまで協力するように出て行つて、そうすれば事案報酬として支払うのは惜しいようだけれども、それによつて、二百万円の報酬を支払うことによつて一千万円も二千万円もその会社自体が経費の節約になる、こういうふうに持つて行かなければならんと思うのですがね。そういうふうな態勢に今日の法人あたりはこの制度と取り組んで来ておるかどうか。そこまで積極的に動いて来ておるかどうか。それとも、うるさい制度を設けやがつたというふうに経営主義に一体出て来ておるものか。今の動きは一体どちらになつておりますか。
  50. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) それはもう会社として従来の長い悪い弊風もございますから、確かに、何でしよう、余り深く立入られては困る場合があるからということで、いい面もあるけれども、徹底的に監査をやられるのは時期尚早ではないか、といつて、正面切つて反対するのも工合が悪いから少しでも引張つておきたいという気持がある。それに対してこちらとしては、それはいけないのである、やはり日本の経済に欠けておるのはああいう経理道義と言いますか、重役やその他の都合のいいことばかり書いて、調子のいいことばかり言つておるのは、投資家をだます面がある、これを防がなければならんというふうな考えでおりまして、それでこの公認会計士のレベルも非常に高まる必要がありますので、現にこの試験制度ができましてから、この試験を目当てに非常によく勉強しておる若い人たちが多いということはお認めになつて頂きたいと思います。
  51. 東隆

    ○東隆君 先ほど、外資導入の場合なんかも考えてこうい制度をこしらえられた、こういうことを伺つたのですが、それもあると思いますが、端的に言うと、どうなんですか。その株主に対する正当な利益を擁護するためにこの制度を設けたのか。それとも国家が会社から正当に税金をとるためにこの制度を設けたのか。どつちのほうに重点を置いているのか、それをお聞きしたいのですがね。
  52. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) これはもう税金をとるための目的では決してございません。これは初めにおつしやられました投資家の保護でございます。本筋は飽くまでも投資家の保護であります。ただ先ほどちよつと外資導入と申上げたのは、それが一つのきつかけになつたということでございます。投資家の保護であることは申すまでもございません。
  53. 東隆

    ○東隆君 それでは私はお聞きしますが、飽まで株主の利益を擁護するためにこの制度を設けた、これに重点が置かれておるのだと、こういうわけですね。そうすると、私、疑問を起すのは、飽くまでこの制度は株式会社内部において、監査役と取締役との関係から、監査役が飽くまで株主の擁護をするという立場に立つておるという意味で、そつちのほうにつくべきものですかね、この会計士は。それは私の言い方がはつきりしなかつたかも知れません。執行部と監査をする者と二つに分れておるわけですね。理事機関と監査機関と、こう二つに分れておるわけですね。その場合に、公認会計士は一体どつちのほうにつくのでしよう。
  54. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 公認会計士制度の基本的な考え方としまして、先ほど来申上げましたように、会社監査をやる、株主或いは投資者の保護をするということでございますが、これはもつと広く考えますれば、会社に対していろいろ取引をする人も、会社内容がはつきりして、こういう人も保護されると思いますが、もつと広く考えますと、公認会計士仕事監査ばかりに限られておるわけでもありませんで、一般に会計経理やり方、こういうものを適正に健全にして行く、そういうものの向上を図つて行くということが基本的にあるわけであります。只今御尋ねのようなことにつきましても、これは公認会計士会社監査をいたします立場、やはり公平な一般の大衆、公衆というものを代表した公正な第三者という立場に立つでやるわけでありまして、会社内部に立入つて誰の味方をしてどういう仕事をする、こういうような立場ではないというふうに私どもとしては了解しておるわけであります。
  55. 東隆

    ○東隆君 併し先ほどお話があつたように、四十万円ですか、これは会社から出るわけですね、結局。そうすると、この四十万円プラスアルフアの形で以て出るということになると、これは会社の理事機関と言つたはうがいいですかね。取締役、そつちのほうに非常にこれはやはりいいような方向に行くのが人情だと思いますがね、今の機構から言つたら。そういう点は監査役も同じですね。
  56. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) この点につきましては、先ほど来いろいろ御質問もあつたわけでありますが、強制監査を、受けます会社は、これはどうしても会計士監査を受けなければならない。会計士そのものはいろいろこういう試験等を経まして厳重にその資格が審査されておる。而も公認会計士信用というものを保持するために制度的にいろいろ懲戒制度というものができておる。こういうような形になつておるわけでありますから、会社が、取締役、執行機関公認会計士に対する報酬を支出すると言いましても、これは強制監査を受ける会社につきましては、会社の当然どうしても支出しなければならんものになりましようし、又、執行機関の利益と言いますか、執行機関が自分の都合のいいことをするための支出、こういうことではないのでありまして、要するに公正な監査を受けることによつて会社自体信用が高まり、経理内容がよい方向に向う、こういう利益を受ける。これが四十万円なら四十万円を支出する利益になるわけであります。何もそういう経費を出したから、その報酬を受ける者が取締役殊に執行機関等の不正な意図に迎合して監査をする、こういうふうにどうもきめ込む必要もないのじやないか。やはり公認会計士の本来の立場に立つて公正な監査をする、これが会計士の道徳でもあるでしようし、制度的にもそういうことが確保されておるのじやないかというようにも思うわけであります。
  57. 東隆

    ○東隆君 こういうことをお考えになつたことはないですか。例えば一億以上の資本を持つている会社ですね。その資本の額に按分してもいいし、それから事業分量に按分してもいいと思いますが、醵出をする、そして一つ溜りをこしらえるわけですね。一つの溜りをこしらえて、そこから報酬を出す、こういう態勢を整えて行くならば、相当独立した立場でその会計士仕事ができると思うのですがそういうことをお考えにならなかつたですか。
  58. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) その点につきましては公認会計士会社から独立させる公正な監査ができるという立場は一層確保するという意味からいたしまして、まあ確かにそういう考えもあるわけです。公認会計士の団体、これはまあ公益的な団体になると思いますが、そういつたようなものを結成されて、そこから会社に対して、そこの意見によつて公認会計士を派出するとか或いは公認会計士の官選ということも考えられます。或いは官選ということで特別な意図が入るということを排除しようとすれば、これは又抽選とかいろいろまあそんなことが考えられる。いろいろ考られる余地があると思いますし、私どものほうでも研究して見たこともあるわけでありますが、ただ現段階といたしましては、先ほどいろいろ不徹底であるとか宙ぶらりんであるとかいう御批判も頂いたわけでありますが、何としましても、制度が始まりましてこれを育成して行こう、会社自体にもこういうものをだんだん受入れて行くという体制を作つて行こう、頭から押付けて強制的に官選会計士を差向けると、こういうような形でなくしで、やはりこういう官選の制度というものがいいものだ。これによつて会社自体も利益になつ経理内容を向上して行くのだと、こういうようなところからだんだんと公認会計士自体も実績をあげまして、そういう方向に行くというふうなことで、まあ現在、育成するという段階にありますが、そういつたようないわば非常に徹底した厳重な制度に行くというには、まだ尚早と言いますか、考える余地があるのじやないかというようなことに只今のところとしては考えておるわけであります。考え方なり将来の方向としては確かに研究の余地がある問題だとは思つておりますが、直ちにそこへ行くことはどうかというように考えております。
  59. 東隆

    ○東隆君 今直ちに行くのだというお話ですが、どういう点が邪魔になるのですか。その方向へ進めるのに……。実は大きな会社関係を持つておる者は非常にいいけれども、それに関係を持つことのできない者は非常に困るのです。非常に不公平な関係になるというのが一つと、それから会社の、まあ結局飼われておる形になるわけですね。会社に飼われたような形になつておる場合には、これは公認会計士としての面目を発揮できないじやないか。こういうなにが出て来るわけですね。そういう批評があるわけです。私どものところへそういうことを言つて来ておる者もあるわけで、それを是正するために、私はもう少し外部からの監査の形態、外部から見るという、そういう形態を作り上げるためには、やはり報酬その他に関係するものを一つ別な溜りを拵えて来れば、その関係はもう少しすつきりするものであると、こういう考え方を持つものですから、そこでそういう方向に行くのに邪魔になるものは一体何か。どういう点が邪魔になるか。それから今現に大きなところ、会社なんかに位置を持つておる者が反対をするというならこれは話がわかりますが、はつきりしますが、併しそれ以外にどんなふうなものがあるか。そんな点をお聞きしたい。
  60. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) その問題につきましては、先ほど済課長から御説明いたしましたように、まあ公認会計士の現在資格のある者は、すでにもう強制監査で必要な会社の数より多くなつておるわけです。強制監査の委嘱を受けない者があるわけでありますし、まあ只今会社の、大会社を持つ、或いは小さい会社を持つ、或いは全然持てない、不公平という問題になりますると、なお更に一人で数社を抱えておるという人もあるわけです。この点は現在の建前から、まあ公認会計士というものが、自由職業と言いますか、それぞれの会社と契約いたしまして、会社の委嘱によつてつておるという建前をとつています壇上、これはまあいたし方がないわけでございまして、まあ計理士税理士にいたしましても、いわゆる得意先があると言いますか、大きな会社に頼まれてやつておる者、そうでない者、いろいろそういうように違いはあるわけです。こういう関係が非常にあるから、現在いい地位についているものを保護するためにやらないのだと、こういうような趣旨では勿論ないのでありまして、その点は、現在の建前をとる以上、そういうたまたま有利と言いますか、そういう地位についておる者がある、ないということは、これはまあ当然のことでありまして、これはまあ会社都合、当人の都合によりまして委嘱替えされるということは、これもまあ別段都合の悪いことではないのでありまして、プールを作りまして、何かそのほうの立場で任命してきめて行くということは現状ではどうかとも思われます。やはり根本的に会計士制度がまだ育成の段階にある。だんだん漸進的に確実にやつて来ておると言つておりますし、特に監査範囲が、先ほど説明申上げておりますように、制度監査からようやく五科目だけ、全体の帳簿なり勘定科目の各帳簿について強制監査をするという程度にしか、まだ現在のところ進んで行つておりませんが、そういう段階におきまして今の公認会計士のそういつた独立的な立場というものを強化する、そういうような部門ばかり進めましても意義もないし、適当ではないじやないか。こういつたような公認会計士の現在までの進んで来ております段階から言いまして、現状ではどうも又そういうことは必要もないし、適当ではないのじやないかというふうに考えておるわけです。
  61. 東隆

    ○東隆君 先ほど官選の問題もありましたが、官選に到達する過程として、やはりもう少し事業体の内部からでなければ公認会計士としての面目が発揮できないのじやないかと、こう考えますので、この点は将来どの程度のところまでお考えになつておるものか。それをお聞きしたいのです。
  62. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) お尋ねの趣旨ちよつとわかりかねる点がありますけれども、強制監査をやる場合に自由契約だけでなしにやるという必要性の問題ですが、私たちとしては只今研究しておりますが、これはよろしいかどうか。いずれもそういう何らかの結論が出た場合御相談申上げなければなりませんけれども、例えば電力会社のごとく非常に公益性が高くて、而も国家資金を非常にたくさん使つており、政府資金を非常にたくさん使つて、それによつて建設工事をやつておるというものの会計監査です。これについては、多少、悪く言いますと強権的な監査ですね。自由契約によらないところの政府から委嘱を受けた者の監査を受けることを義務付けるというようなことがあつてもいいのではないかと思つておりますが、その場合には、併せてその監査趣旨経理の公正を期するという意味でありますからして、全般に亘つて行わなければならない。すべてについて行わなければ、部分的な監査をやりましても、それはいわば制度監査を実地にやつたという程度でありまして、本当に不公正な金の使用を抑えるとい参うふうなことにはなりませんから、それをどこまで踏み切つてやるかどうかか、その点と併せて考えなければいかんと思つております。その点がつまり契約によらない監査が時期尚早だと言われる点でございまして、こちらから、政府から任命するとか、その意思によらない、会社の意思によらない監査を受けるというふうなことになれば、これは内容的にもそういう必要があるのだということでなければいけない。その監査内容が徹底的に行われるのだということができなければ、例えば官選であつても何も発見できないことになるのでございまして、その内容的な問題と密接な関係があると思います。研究は十分いたしてあります。全般の会社にこれをやるということは、とても今の状態では私はできないと思います。これについては経営者側からも相当恐らく反撥もございましようし、時期尚早で、公認会計士そのものに問題があるということで、必ずしも一気に押切るわけには行かんと思います。ただ一部のそういつた非常に効率的な立場から経理内容監査する必要があるものについては、一つの研究としてやつてみたらどうであろうかということは、私の手許ではやつておるわけであります。そういう研究を進めでおるわけであります。
  63. 東隆

    ○東隆君 この場合に、昔のあの産業組合なんかは、これは自治監査、これは系統機関を通つて、中央会系統のこれは自治監査をやつておるのです。それから勿論自分の内部監査をやつております。そういう系統でやつておりまして、これは政府の資金、当時の預金部資金なんか大分流れて来ておるのも当然ありますし、それからその場合に役所が勿論監査をやつた。主務省が中心に監査が行われたわけであります。それで今いろいろな公益的な会社を初めとして、造船会社のようなものにしても、財政資金が相当流れて来る。こういうようなものは、これはもう当然官庁が中に入つてつていいものだと思うのでございます。ただ今までの会社は系統的な形をとつておりませんから、それで暫らくそれに対する監査が行われないという、こういうような形が行われるので、会計検査院なんかも、それに融通をした銀行までは入れる。それから先は入れないと、こういうのが恐らく大きな間違いになつたろうと思う。今度勿論、中まで入つて行く、そういうようなふうで、会計検査院なんかも、そつちのほうまで入ろうとしておる。これは私は当然な話だろうと思う。国家の資金が流れて行つた場合に、公益的な事業は勿論のこと、その他造船会社或いはその他の船会社のような、そういうような国家が特に計画的に助長行政をとつたものに入つて来るのが当然だろうと思う。そういうようなことを考えたときに、当然、行政官庁が手足にして使わにやならんものを、専門的なものを持つ必要がある。今の行政官庁自体の能力ではこれはできるはずがないのです。そんなような意味先ほど官選とかいろいろな話もありましたけれども、そういうような方向にこれは大きくなれば、投資がそつちの方面に行く部分が多くなればなるほど、そういう面が出で来ると思う。それで、そういう段階に行く過程として、もう少し外部に立つてやり得るような態勢を作り上げ、又それを進めで行く、こういう段階をとるときではないかと、こう思いますが、この点は、私はこの法律を余りよく知らんものですから、どうもはつきりこうだと、そういうことはできませんけれども、そういう方向に進めで行くことが、公認会計士試験制度でも何でもそういうようなものを確立して行くための意味がある。ただ単にその会社の出資者に対する利益を、正当な利益を擁護するためにやるのだというふうに、重点をそつちに置かれるのだつたら、これは私はあまり試験制度とか何とか、そんなことまでやつてやる必要はない。だから、もう少しフリーにやつて自由競争をさせて、いい人がどんどん好い位置に就いてやつて行けるような態勢をとつたらいいので、それからもう一歩進んで、そうして国家の財政資金だとか何だとかが入つている会社には正当な運用をやらせる。或いはもう一つ先ほどそういう目的はないと言われたけれでも、利潤を目的にしてやつておるところの会社から正当な課税を、一つ正当に国家が収入を挙げ、歳入を挙げて行く、こういう観点をやはり持つて、そうしてやつて行くなら、十分に目的は達せられると思いますが、どうです。その点は……。
  64. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) 只今お話の点、非常に参考になる御意見だと思いますが、私どももまあ非常に政府全体としての関係も大きい問題だと思いますけれども、私どものほうの理財局等の関係から申しましても、まあ財政投融資の関係、資金運用部、政府の特別会計からもいろいろ出資、投資等も行われておるわけでありますが、こういうようなものが適正な目的通り使用されておるだろうかどうか効果を得ておるだろうかどうか、こういうような監査につきましても、先ほど指摘がありましたように会計検査院等では政府機関等の金融機関の段階までは調べております。或いは補助金等を受けておる団体等について調査をいたしておりますが、一般に又貸付金の貸付先まで調べるということは現状ではいたしてないのであります。で、そういうような方面につきまして、これをまあ公認会計士というようなものが、折角こういう制度があり、だんだんと育成され、強化されつつあるわけでありますから、こういうようなものと結び付けて何らか考えてみる必要があるのじやないかというようなことになりますと、確かにこれは十分に考えて行く価値があるものだろうと思うのであります。ただ先ほど来、経済課長からもいろいろ御説明申上げましたように、現状といたしましては、先ほどのような部分的な監査をいたしておる団体があります。又これを全面的に、全科目会社の全内容監査ということに拡げるかどうか、或いは立場を変えまして、先ほども申上げましたような非常な公共性の強いもの、或いは政府から特殊の計画性を持つて保護助長を受けておるという、こういうようなものについて特に拡げて行くとかいうような問題、いろいろ関係するところが広い点もあると思います。御趣旨の点は十分に一つ研究してみたいと思います。
  65. 東隆

    ○東隆君 私はまあ公社を先頭にして、それから公益事業なんかで、勿論、公社の形態に移すべきものもあるでしようし。私らの立場として国営に移さにやならんようなものもあるでしようし、いろいろのものがあるわけです。それがもう飽くまで私的独占の形態で、そうして国民大衆の利益というものを度外視してやる傾向が出て来ておるわけです。  電気会社を取上げても、それからガス事業の面を取上げても、これはやはり相当な面がある。だから、そういう面に対する監査を中心にして、行政官庁のその方面に対する交渉ですか、そういうものは、こういう面からやはり相当入つて行かなければならんと思うのです。  それで私は、これ以上申上げることは私の意見ばかりになつてしまうので申上げませんけれども、併し仮定として、やはり報酬だの何だのというものは一つのものにまとめて、そうして、若し一億以上の会社を中心にされるならば、それでもいいと思いますけれども、そういうようなもので一つの団体をこしらえて、そこに全部集めてそこで支払いをする、こういう形をとられると、外部に立つて十分に会社を見ることができる。内部監査と違つた立場においてやらなければ三三内部監査ならば、これは監事或いは監査役、その他が十分に動けばいいのですけれども、ダブらしてやつても仕方がないのですから、一応そういう意味で、外部からの監査ができるような形に持つていくことが、公認会計士という意味においても当てはまるのじやないか。こう考えますから、その点を申上げておきます。
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会