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衆議院議員(
平岡忠次郎君) 私、
衆議院の大蔵
委員の一人でありまする
平岡忠次郎でありまするが、たまたま本
委員会に付議されておりまする
消費生活協同組合に関する今の
租税特別措置法の
改正案につきまして参考の
意見を述べよとのことでありますので、この問題につきまして、一応提案とか、そういうことをやりました
関係から申上げたいと思うのであります。
実は昨年第十六回
国会におきまして、
消費生活協同組合及びその
連合会が課税されていることの不当を申述べまして、当時、
再建整備法と一連の立場にあるところの農業
協同組合或いは漁業
協同組合同様に今の
免税措置をすべしということを強く述べたのでありまするが、採択するに至りませんでしたので、附帯決議といたしまして、速やかにそうした
措置が近い将来とらるべし、こういう附帯決議をいたしました。そこで、今年になりまして、たままたやはり租税
措置法の
改正に際しまして、昨年の決議の
趣旨に副
つて免税措置をすべし、こういう点から
大蔵委員会におきまして
審議されまして、一応議決されたわけであります。ただ
事業協同組合と
消費生活協同組合の差がどうであるかという問題は、私としても考えを持
つていますが、併し
参議院の独自ないろいろな
議論の仕方がありましようから、特に私としましては
消費生活協同組合が非課税たるべしという点を解明したいと思うのです。
で、早い話が、勤労者なら勤労者が源泉徴収で課税されまして、三万円の給料のうちから手取り二万五千円を持ち帰
つたとします。それが
家庭の主婦に渡されまして、
家庭の主婦が自分の生活の合理化或いは節減の
意味から
消費生活協同組合に入りまして、例えば三百円の品物をその機関を利用することによ
つて二百五十円で
買つたとします。五十円は確かに利益でございます、併しすでに源泉徴収により濾過されて来た金をどういうように使おうが、それが課税の
対象になるはずがないのであります。そこで問題になりましたのは、員外販売、
協同組合員以外に売
つている場合がやはり問題だということなんです。ところがそれも今のと同じ理窟で、
員外者といえ
ども、ものを安く買うということが課税の
対象になり得ないのは、今申述べた理由から明らかでございます。ただ問題は、小売業者とか、そういうふうな立場の人が、その
協同組合の員外販売まで拡張してやられたんではとてもたまらんだろうというふうな、むしろそうした第二次的なと申しましようか、
協同組合課税そのものの理論ではなしに、権衡上の政治的な
配慮からどうするかという問題だけで来ているのです。そこで私
ども今回は、今の員外販売をする
協同組合はこのフエーバーを与えないという原則を一応確立しております。併しながら今の
協同組合を考えるのに、昔のロツチデール式な立場だけに跼蹐するならばメンバーだけが利用するのであ
つて、メンバー以外は利用されないんだというのが、一応定説にな
つています。ところが現在は、スエーデンにしても、デンマークにしても、
協同組合運動の外延的拡充運動といたしまして常識にな
つておるのは、員外販売をも一応認めているのであります。但しその員外販売はウエーテイング・メンバーとして、いわゆる利用額に比例して或る期末なら期末に剰余金の配分がありますが、その配分は出資に振替えるのだと、こういうことを約束した方方に限
つて、やはりその員外販売を認めて行くと、こういう建前を取
つているのが現在の
協同組合の最も新しい形態です。ですから、そのことも是非やつぱり入れてくれと、こういうことで、結局「命令で定める者」のほかは、というので、命令に定める事項にウエーテイング・メンバーも加えると、こういうことで了承願
つて、
衆議院におきまして現在お手許に配付されたような
生活協同組合の減税
措置がなされたのであります。
それからもう
一つは、
審議の
過程におきまして、今申上げましたように、少くとも
消費者が今の問屋さんから直接買うとか、或いは小売のマージンを
組合の利益として還元するという点においては、課税の
対象にならんけれ
ども、今度は
消費者の
協同組合のメンバーがたくさんになりまして、自己生産の段階に入りまして、自己の
消費に充足するために生産
企業を起した時には、これはやはり普通の
企業の場合と同様に課税
対象になるだろうが、少くとも
消費過程と言いましようか、流通
過程における
協同組合運動が課税の
対象になることはないという、こういう限度をきめましての
論議でございました。
そこで今の
事業組合とどう違うか。ここにやはり
事業組合と
消費生活協同組合との限界点があるというのは、その点から御推察頂けるのではないかと思うのです。ただ今の生産者
協同組合或いは
中小企業等協同組合もなお育成すべしというのは、別個の
観点で、その問題が
論議されることは、私といたしましても
一つも介入する筋合いではございません。ただ
一つお願いしておきたい点は、今の
中小企業等協同組合にもこの
議論を適用すべしということから、それが容れられなか
つた場合においては、
生活協同組合の
免税措置も十把一からげにこれを葬り去るというようなことのないように、その点だけは
一つ御了承をお願いしたいのであります。
それからいま
一つ抜けたのですが、いわゆる昨年私
どもが
生活協同組合に対して今のフエーバーを与うべしという
議論をした時に、ここにおられる渡辺
主税局長の反対した根拠は、今申上げたような員外販売を認める点が怪しからんということと、それから生活協合
組合の仮面の下に、例えば東大なら東大の
消費組合というものがあるとします。そこに或る小売商が入
つて来た。そこで実際はその小売商が
協同組合の名の下に仕事をしておる、その場合に
協同組合に
免税のフエーバーが与えられるならば、その仮面を被
つてや
つている小売商の利益になるわけなんで、そういう点が怪しからんという
議論があ
つたのです。ところが今年は
厚生委員会のほうにこうした弊害を避けるための
法律案が出まして、すでにこれは通
つております。そこで今言
つたような名前を貸すことによ
つて不当にフエーバーを受けるというような弊害がなくな
つて来た。昨年の立場と今年の立場はそういう点で変
つて来ております。そこで生活
協同組会の問題がいかなる
意味においても課税
対象にならんということ、又、私をして言わしめるならば、
租税特別措置法においてこのフエーバーを与えるというようなことではなしに、本法自身に
消費生活協同組合並びにその
連合会は課税さるべきではないということを謳うのが本則であろうと思うのです。ただこの問題に対しまして法制局と話合
つた結果、法制局のほうの都合から、第八条の五第二項にそれを入れてくれというので、
我我としては、理論的な立場からはそうした
扱いには反対だ
つたのですけれ
ども、その経緯を申上げることも、
消費生活協同組合自身のユニークな立場を一応闡明することになろうと思いまして、附加える次第でございます。
以上を以ちまして一応、
衆議院大蔵委員会における
論議の主な点を御披瀝申上げまして、参考になれば幸いだと存じます。