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1954-03-31 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十一日(水曜日)    午前十一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            大谷 贇雄君            西川彌平治君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            東   隆君            堀木 鎌三君            平林 太一君   衆議院議員            内藤 友明君            平岡忠次郎君   政府委員    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    通商産業政務次    官       古池 信三君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては衆議院大蔵委員会において修正議決しておりますので、先ずその修正点について説明を聴取いたします。
  3. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 只今議題になりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、昨日衆議院大蔵委員会におきまして修正議決されました部分につきまして、概略御説明申上げたいと思います。修正の案文はお手許にお配り申上げたのでありますが、それによつて御覧頂きますと、  第一の点は第五条の修正であります。「昭和二十九年二月一日」とありますのを「昭和二十八年十二月一日」に遡ることに改めました。これは増資分配当についての免税についての恩典を昨年の十二月一日まで遡ることにいたしたいというのであります。  それからもう一つの第五条の修正点は、百分の二十というのがありまするが、これを削る。二割までの配当ということを削ります。これは実はいろいろ政府委員からお聞きしますると、二割の配当をするものが極く少数だということでありますので、必要なかろうということになつたのであります。  その次は七条の修正でありますが、これは前回に小林委員のほうからお出しになられました輸出のことに関してのこの臨時措置法修正がございました。そのときに、これを入れるべきはずであつたのでありますが、漏れておりましたので、それを加えたのであります。第七条の六及び七の輸出奨励のための減税の適用範囲の中に、陶磁器輸出のためにする「上絵付を行う者への自己の製造した陶磁器の素地の販売」を加えようとするものであります。  それから第三の修正点は、消費生活協同組合及び同連合会所得留保に対しまして、一定積立が行われるまで法人税を免除しようとするものでありまして、これも今回政府から、消費生活協同組合連合会規定整備いたしまして、十分に監督ができるようになつたからということでありましたので、この恩典規定を差し加えたのであります。  この修正案は多分今日午後の本会議で可決されるものと思いますので、何分よろしくお願い申上げたいと思います。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御質疑を願います。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 私は全体の質問に入る前に、内藤さんは衆議院大蔵委員会における有力者、長い間の理事であります。どうもとかく最近衆議院から本院へ廻つて来る諸税法が非常に遅いのです。予算と裏腹の、裏腹といつても、特に歳入予算の大宗をなす税法についての衆議院意思決定ということは、おおむね予算に対する意思決定と同時、或いは遅れても一両日というようなところでなされて然るべきだと思いますし、その意味において、当参議院予算委員会においては、第十六国会或いはその前においても決議をし、本院の議長を通じて衆議院議長申入れをいたしたはずでありますが、今国会においても殆んどその申入れは実行されない。而も政府原案通り御送付下さるならば、まだまだ予備審査過程において相当審査をしておるわけでありますが、相当修正が行われて来ている法案もあるというようなことであれば、実際問題として参議院が何らかの意思表示をしようとする場合には、こういうふうに四月一日施行の法律を今日午後の本会議で上げるというような状態では、我々参議院意思決定を拘束する、こういう結果に相成るわけであります。案自体については予備審査において或る程度研究ができますけれども、その研究に基いての本院としての最終の意思決定という段階において相当の拘束を受けるのでありますから、この点について本院議長から、或いは我々委員としての数次に亘る衆議院に対する申入れについて、どのような御配慮を賜わつておるのか。お聞かせを願えれば幸甚だと思います。
  6. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 只今小林さんからのお話、御尤も至極でございまして、衆議院大蔵委員会の末席におります者として恐縮のほかございません。御趣旨のことは十分委員長に申し伝え、委員会の諸君にも申し伝えまして、今後はできるだけ審議の促進に十分資しますようにいたしたいと存じます。誠にどうも恐縮のほかございません。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 それではまあ一つ是非実行を願うということを強く要望いたします。  それからこの内容に入りまして、第五条の十一の十二月一日に遡ると、こういうことでありますが、十二月一日に遡るならもつと遡れという意見もあるのですが、まあ二月一日が不適当で十二月一日まで遡られる、こういう趣旨はどこにあるのですか。
  8. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 実はこの問題につきまして、経団連の皆さんから御要望を頂きましたのは、八月一日にしてくれというふうなお話があつたのであります。実際問題といたしまして、十二月一日に遡りましたのは、実は電力会社がいろいろ作業いたしますのに、くじ引きにいたしたそうであります。従いまして二月一日以後にその「くじ」に当つたものは恩典を蒙るけれども、その前にやつたものは恩典を蒙らんというふうなことなどがありまして、一応十二月一日ということに区切れば、大体くじ引き恩典がなかつたということもなかろうというふうなところで、この十二月一日というのが出て来たのであります。これは主として電力会社関係であります。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 この時期の問題については非常に公平だ、不公平だというような問題もあるように私も拝聴しておるのですが、主税局長のほうではこれでそういう問題は一応まあまあというところですか。
  10. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この点についてはいろいろな意見があると思つております。まあ我々としましては、結局どこに基準を求めるべきかということで随分議論をしたわけでございます。昨年の一月まで遡るべきじやないかという、遡つて欲しいという陳情も聞いておりましたし、それから八月まで遡つて欲しいという陳情もあり、十月まで遡つて欲しいという陳情もあり、いろいろ陳情はございましたが、結局我々のほうとしましての結論としましては、とにかく政府がこういう意思表示をして世間に発表したその時期を基準にすべきじやないかというので、実は原案の二月一日をきめたわけでございます。もう一つ考え方としては、四月一日というのが更に考えられるのでございますが、併し一応すでにこういうふうな案が出まして国会論議になつているとしますと、恐らく二月に増資計画している会社は四月まで延ばすといつたような事態が相当可能性も大きく考えられるのじやないか。そうしますと、この法案のゆえに二月、三月の増資というものの計画相当ごたごた狂う。それが経済界にいろんな動揺を与えることは面白くあるまい、こういつたような観点から、やはり一応政府としましてこういう原案を出し、国会の御審議を願うときにおきましては、相当この法案の御審議を願うことによる動揺は少くとも阻止すべきじやなかろうかという意味で、実は二月一日をきめたわけでございます。ただその場合におきまして、一応我々のほうの論議として出て来ました問題は、その電力の問題があつたわけです。内藤委員お話のように、電力十一社ですか、一応今度同じような形式で無償二割、有償八割の抱き合せで以て増資計画をしまして、まあ同じような歩調で増資をした。そのときにおきまして、どの電力会社がいつの時期にやるかということにつきましては、結局内藤委員お話通りだと思いますが、証券界のほうとの話合いの結果としまして、そう各社が一遍にやられては堪らない。やはり或る程度なし崩し的にやつてつて欲しい、こういうことで、十二月に該当した分が、東京、北陸、中国、北海道、この四つの電力会社があります。それから二月に該当した分が、関西、九州という二つの電力会社があります。それから三月に該当した分が、東北、中部、四月に該当した分が四国。それで通産省でございましたが、電力料金というものが相当やかましい論議の的になり、かなり厳重な統制下に置かれている。そういうような意味におきまして、この十一の会社の中で、たまたま「くじ」が一二月に当つたものが二月という線を引かれために該当をしなくて、残りの分が該当する。残りの七つは該当する。これはおかしいから何とか考えられぬか、一応の話はあつたんでございますが、我々としましては、どうも電力だけで云々というのはおかしいじやないか、どうもちよつと説明が十分つかない、こういつたようなことで、結局政府としての意見としましては二月一日になつたわけでございますが、まあ我我のほうの内部論議の場合におきましても一応この点を考慮すべきじやないかという、結果的には少数説でありましたが説があつたことは事実でございます。国会におかれましてはその少数説がむしろ多数説になり、我々のような議論少数説なつた結果だと思いますが、十二月一日というのを一応よしとして修正なされた。我々のほうで議論しました際におきましても一応こういう考え方が出ていたことは出ていた。ただ我々のほうの考え方としましては、どうも十二月一日という時期はむしろ一つのアービトラルな線になつてしまうので、二月一日としてやはりはつきりした適当なところで出すべきじやないか、政治的な考慮とか何とかいうこともあつて別途お考えになるならこれは別として、少くとも事務当局が立案する場合におきましては、そこまで考えるのは行過ぎじやないかというので、二月一日と提案したのでございますが、大体今言つたような点を御配慮なつたんじないかと思いますが、十二月一日という修正案が出たものと思つております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 私のほうは御承知のごとく加藤正人氏がおられまして、紡績の代表がおられますが、紡績界には関係がありませんか、影響は。今ちよつと聞きにやつていますけれども
  12. 渡辺喜久造

    政府員渡辺喜久造君) いろいろ各業態におきましては、いろいろの意見があるわけなんです。そこで業態によつて、これはまあ国会の御論議は、私から申上げるのは少し如何かと思いますから、これは内藤議員からお話しになつて頂いたほうがいいと思いますが、今の私の申上げた説明を多少敷衍して申上げ、我々の内部論議のときのことを申上げて……
  13. 小林政夫

    小林政夫君 だから意見でなしに事実を……
  14. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 事実を申しますと、結局電力だけについての配慮であります。何で我々のほうでそういう論議なつたかといいますと、これはやはり電力料金には相当やかましい規制をしておる。他の産業にありましてはそうした事実がないものでございますから、これはとにかく一応こういうあれをするにつけても、どの会社が或いはどの業態がどういうふうに、いつ、やつたからという配慮は、これは初めから要らないじやないか。従つて或いは紡績などにおいてもどういうことになつているか、こういうことになつているか、いろいろまあ実績は調べましたが、とにかくそれは我々のほうとしては初めから論議の的にはならなかつたのです。それで電力だけについては、小林委員よく御承知のように、現在でも電力会社のほうは値上げをしてくれと言つており、それに対してなかなか輿論はその値上げに対して否定的な議論が強い。政府におきましても相当このために慎重に扱つておる。まあこういう事情にあるものでございますから、それだけに、電力会社についてだけは、やはり何か特殊な配慮が必要じやないか。こういう意見があつたわけでございます。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 次に、最後の消費生活協同組合について質問しますが、まあ農業協同組合等に対する措置と同じような軽減措置をとろうとしておられるわけですが、この消費生活協同組合をこういう取扱いにするについては、中小企業等協同組合法による協同組合等についても関係団体から相当陳情もあるわけですから、特に衆議院において消費生活協同組合を一応お取上げになつたという趣旨をもう少し敷衍して御説明願います。
  16. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 只今お話でありますが、そういうことも私ども実は聞いております。併し中小企業等協同組合法は非常に、まあこう言つては甚だなんでありますけれども、十分に整備されたところがまだないようでありますので、監督規定もまだ余りございませんし、解散するということもできませんし、誰でも任意に設立はできますけれども、あとはもう野放しのような形になつております。まあそういうふうなものまで免税恩典を与えるということはどうか。消費生活協同組合のほうも実はそういうことになつてつたのでありますが、今回厚生省はそういう点は十分に監督するという改正法を今度出しておりますので、それを十分に説明をお聞きしたものでありますから、まあこの程度なら消費生活協同組合も多少生活費軽減ということにもなるのだろうということから、この問題が、実はこれは各派全員一致考え方で入つたのでありますが、まあそういうことで実は入りました。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 それは私は、消費生活協同組合と、現行法において中小企業等協同組合法規内容について、今おつしやつたような監督規定においてそう著しい差異はないと思うのです。これからそういうふうな厳重にするんだということでこれをお取上げになるならば、中小企業等協同組合についても同様の趣旨でもう少し整備されるということで考える必要もあるんじやないかと思います。なお、特に最近問題になつている共済事業等について、放つておけば保全の二の舞をやらんとも限らない、こういう点が憂慮されておるのであつて消費生活協同組合及び中小企業等協同組合、特に事業組合等について、そういつた関係法規整備は、本委員会においても銀行局長に対して強く要望をいたしており、又予算委員会等においても大蔵大臣及び法務大臣にも言つて、いろいろ未然に過ちを防ぐ意味において、関係法規整備ということを至急に厚生大臣或いは通産大臣等に打合すように申入れをやりますということになつている。そういう点から行くと、特にまあ考えないなら考えない、取上げるなら取上げるということについて、そこのお取扱いが、一方が不十分だけれども監督する、軽減に値いするように法規改正さして軽減するのならば、もう一方もそういう親心はなかつたものでしようか。
  18. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 実は先年、所得税法の一部改正法律案が出ましたときに、中小企業等協同組合の問題が非常に私ども大蔵委員会で問題になりまして、当時、中小企業庁の長官も来て頂きましたし、又通産大臣も来て頂きまして、この点いろいろ質したのでありますが、私ども余りその方面の知識がなかつたのですが、聞けば聞くほどこれじやあどうもというような感じがありましたもので、実は所得税法改正もまあ政府原案を固守したような形であつたわけです。これは主税局長のほうがよく実態を御存じだと思いますので、一つあなたから……。
  19. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 政府のほうで今の生活協同組合改正法案を実は出しております関係もありまして、これは衆議院のほうでお答え申上げるよりも政府関係でお答え申上げたほうがいいのかも知れませんので、一言申上げますが、生活協同組合法につきまして、今度まあ前国会におけるいろんな論議の経緯に鑑みまして、相当やかましい監督規定が、まあやかましいといいますか、或る程度監督規定が入ることになりまして、大体、私、審議の経過をよく存じておりませんが、この改正案衆議院のほうは委員会で成立したのじやないかと思つておりますが、少くとも成立することを前提として厚生委員会からお話がございました。ただこの監督規定につきましても相当実は内部的には論議があるようでございまして、片方を特別の扱いをするからといつてすぐに監督規定がやかましいものが入つていいかどうかというのは、これはやはり別な問題のようであります。従いまして、この生活協同組合関係の人々の間にもまあいろいろな論議があつて、そして併しやはり現状としては或る程度監督規定があつていいじやないかと……。従いまして中小企業等協同組合におきましてすぐにこうした監督規定が果して入るべきものかどうかという点については、別個の観点でやはり論議さるべきものではないかと、かように考えております。それで、我々のほうで、中小企業協同組合消費生活協同組合との関係につきましては、実は私たちは少くとも性格的に大分そこに区分があるものではないかと考えております。で、消費生活協同組合の場合におきましては、これはまあよく御承知のように、結局お互いの、我々の家庭の者が一人で買いに行く代りに多数人が寄つて買いに行く、まあ買いやすいものを買つて来たということでありまして、そこにいわば一つの剰余が出ましても、それは安く買つたということに終るべきものじやないか。従つてそこに関係しますのは、もう所得の発生して行く過程でなくて、逆に消費過程である。中小企業協同組合になりますと、これはまだどちらかといいますと所得発生過程の問題である。従いまして、現在におきまして、まあ事業分量配当というものは、これは損金に認めておりますが、消費生活協同組合事業分量配当というのは、同じ損金に認めておりましても、それが各人に分散した場合には、これは各人所得になる性質のものではないだろうと思いますが、中小企業等協同組合の場合におきましては、これは各人に分散されれば、結局、収入金額の増加になるか、或いは必要経費の減少になるかして、そこに所得に増減が出て来る問題だと思つております。従いまして、今度は逆に、それが分配しないで企業の中にたまつて参りますという場合においては、これはやはり課税所得として各人組合員のほうに出る額が少くなつて組合のほうが所得がたまつて行く。これはやはり消費生活協同組合と、中小企業等協同組合といつたような、そうした事業協同組合との間には、相当本質的な何か差があるのじやないか。まあこういう点も実は少くとも我々としては考慮対象になつているわけでございまして、特に今、内藤議員のおつしやつたように、片方では相当監督規定を作ろうとする。同時に我々のほうとしましては、いろいろ御懇談申上げまして、員外取引ということが相当現状において行われているわけですが、こういう場合においては、非営利法人という姿になり切つておりませんので、その員外取引の分については相当厳重なる制約を作る、こういうことになれば、今申上げましたような家庭と結び付いた組合であるという姿がはつきり出ますので、これについて或る程度、税についての規定を作るのは、これは一つ考え方じやないか。こう考えております。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 今、衆議院租税特別措置法の一部を改正して、消費生活協同組合もその法人税軽減措置がとられた。これで聞くところによると、消費生活協同組合については相当従来よりも監督規定を厳重にしてやる。ところがまあ我々は前から消費生活協同組合農協と同じようにしてくれ、中小企業組合農協と同じようにしてくれ、一本の要望は聞いておつたけれども、今の税制調査会等の答申によれだ、成るべくそういうものをしぼつて行こう、こういうことで、今度書き代えたような法文になつている。従つて従来相当要望があつたけれどもちよつと待つて下さい、こう言つてつた。ところが衆議院のほうで消費生活協同組合についてはこういう修正が行われて来た。それならば、衆議院においてはなぜ中小企業等協同組合をお取上げにならなかつたか、こういう質問に対して、まあ消費生活協同組合については相当監督規定を厳重にして厳格にやるのだ、中小企業等協同組合はその必要がないから一応今度は取上げなかつた、こういう御説明である。主税局長の今の話だと、多少事業協同組合協同組合でも少し性質が違うようだ、こういう意見の開陳があつたのですが、その点について、中小企業等協同組合については、これは別の機会に改めて話そうとしておつたのですけれども監督規定その他について話はないのですか。
  21. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 消費生活協同組合活動につきましては、例えば員外利用組織されました組合員以外に及ぶというような点で、少しく協同組合活動の本来の運営が外れておる向きが相当にございまして、この点について厚生省において最近その活動規律を明確にするということを申しておるのでございます。そういうような点に信頼いたしまして、若干話は異なりますが、今回中小企業金融公庫貸付対象消費生活協同組合も加えるという改正まで行われた次第であります。消費生活協同組合に対して、今までのような、いわば町の真中に大きな会社生活協同組合がありまして、員外者にどんどん安売りをやつておるというようなことはなくなるであろうことを期待しておるわけでございます。従いまして、その点からこういうような税法上の特別の取扱が出て参つたことかと存じておるのでございますが、私どもこれらの修正条項につきましては実は仔細に検討いたしておらないのでありまして、咄嗟の御質問に何とも答えられないのでありますが、ただ申上げますことは、中小企業等協同組合に対しましては、前の租税特別措置法改正におきまして、主税局との話合いによつて中小企業等協同組合の行います協同施設に対して特別の処理を認めるということの改正を行いました。その改正案に絡みまして、突如といたしまして農協方面に対しまして積立金免税扱いが拡張されたのでございますが、承わるところによりますれば、これは再建整備にかかつておる農協が多いという趣旨からだつたそうでございまして、中小企業等協同組合には、その程度に及んでおるものがないからだというのが、協同組合の中で中小企業組合農協と分けた理由のように相成つておるわけでございますが、大体の考え方といたしますれば、いずれも協同組織相互扶助の精神に基いて、直接の営利でなく、組合員経済生活の向上ということを念慮してできております法律組織でございますから、税法上の扱いにおかれましても、大体から申しますれば平等扱いを受けることを、私どもとしては要望もし、期待もいたしておるわけでございます。協同組合活動が非常に問題になるという点が、これは企業組合につきましては御承知通り相当規律をいたした次第でございますが、事業協同組合につきましては、成るほどいわば休眠組合といつたような、事業活動として活発でないものは悪いにしても、その活動それ自身が本来の趣旨に外れておるというようなものは今のところはないものと考えて、特に監督法規等を強化するまでのことはなかろうというふうに、事務当局としては考えておる次第でございます。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 その企業組合は別として事業協同組合について、多少は主税局長の言うごとくニユアンスは消費生活協同組合とは違いますけれども、本委員会においては、東委員から先達つて協同組合というのは非課税法人にしろということが出ておるくらいで、この消費生活協同組合とのバランスにおいて、あなたは別扱いにされてもいいとお考えですか。これは政府修正じやないのだから、衆議院修正だから、率直に伺いたい。別に政府委員としての見解を統一する必要はない。
  23. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 率直に申上げることをお許し願えますれば、積立金非課税の点につきましても、その他の条項につきましても、非出資の協同組合は別といたしまして、少くとも出資組合につきまして、これが農林であろうと、水産であろうと、消費生活でありましようと、大体同じに扱わるべきであろうというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  24. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点になりますと、私はもう大分意見が違うわけでございまして、これはお互いの間に本当にまだ意見が交換されていませんから、我々は先ほど言いましたように事業者の関係の集つた協同組合消費関係の集つた協同組合との間には、少くとも所得の課税の問題と結びついては本質的な違いがあるということを、やはり考えて行くべきじやないかと考えておることだけを申上げます。
  25. 東隆

    ○東隆君 私は内藤さんに伺いますがこの第八条の五の二項の修正ですが、これは現行法をそのまま存置してそれに生活協同組合乃至連合会、又は私は望むらくは中小企業等の協同組合等もこの中に入れたほうがいい、案文の整理からいつても存置のほうがよかつたじやないか、こういう考え方を持つのですが、衆議院のほうではどんな意向だつたのですか。
  26. 内藤友明

    衆議院議員内藤友明君) 実はいろんな意見がございましたが、結局まあここに落ち着いたことになるのでありまして、今、東さんのおつしやるようなこともそれは話に出たことは出ています。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 減収は幾らになるのですか。  それから今我々が言つている中小企業等協同組合事業組合を、そういう措置をすることによつて、一体減収はどのくらいになりますか。
  28. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 生活協同組合関係昭和二十七年の数字ですが、所得金額で課税対象になつておるのは四千六百六十万円、この関係は税率が三五でございますから、従つてそれの金額がこれによつてすぐ落ちて来るとは思つておりません。それから中小企業等協同組合関係になりますと、中小企業等協同組合だけで一応二十七年度の所得額として入つておるものが十三億あります。
  29. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後零時三十五分速記中止    —————・—————    午後一時十八分速記開始
  30. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後一時十九分休憩    —————・—————    午後四時十五分開会
  31. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 休憩前に引続きまして会議を開き、租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたして質疑を行います。  午前中に、衆議院修正にかかる部分のうち、消費生活協同組合及び同連合会に対して免税する件について、いろいろ質疑応答が取りかわされたのでありますが、只今衆議院修正案の発議者平岡議員が見えておりますからして、先ず平岡議員から、この修正趣旨、併せて午前に問題になりました事業協同組合等についてはどういうふうなお考えを持つておられるか、そういう点に亘つて説明を願いたいと思います。
  32. 平岡忠次郎

    衆議院議員平岡忠次郎君) 私、衆議院の大蔵委員の一人でありまする平岡忠次郎でありまするが、たまたま本委員会に付議されておりまする消費生活協同組合に関する今の租税特別措置法改正案につきまして参考の意見を述べよとのことでありますので、この問題につきまして、一応提案とか、そういうことをやりました関係から申上げたいと思うのであります。  実は昨年第十六回国会におきまして、消費生活協同組合及びその連合会が課税されていることの不当を申述べまして、当時、再建整備法と一連の立場にあるところの農業協同組合或いは漁業協同組合同様に今の免税措置をすべしということを強く述べたのでありまするが、採択するに至りませんでしたので、附帯決議といたしまして、速やかにそうした措置が近い将来とらるべし、こういう附帯決議をいたしました。そこで、今年になりまして、たままたやはり租税措置法の改正に際しまして、昨年の決議の趣旨に副つて免税措置をすべし、こういう点から大蔵委員会におきまして審議されまして、一応議決されたわけであります。ただ事業協同組合消費生活協同組合の差がどうであるかという問題は、私としても考えを持つていますが、併し参議院の独自ないろいろな議論の仕方がありましようから、特に私としましては消費生活協同組合が非課税たるべしという点を解明したいと思うのです。  で、早い話が、勤労者なら勤労者が源泉徴収で課税されまして、三万円の給料のうちから手取り二万五千円を持ち帰つたとします。それが家庭の主婦に渡されまして、家庭の主婦が自分の生活の合理化或いは節減の意味から消費生活協同組合に入りまして、例えば三百円の品物をその機関を利用することによつて二百五十円で買つたとします。五十円は確かに利益でございます、併しすでに源泉徴収により濾過されて来た金をどういうように使おうが、それが課税の対象になるはずがないのであります。そこで問題になりましたのは、員外販売、協同組合員以外に売つている場合がやはり問題だということなんです。ところがそれも今のと同じ理窟で、員外者といえども、ものを安く買うということが課税の対象になり得ないのは、今申述べた理由から明らかでございます。ただ問題は、小売業者とか、そういうふうな立場の人が、その協同組合の員外販売まで拡張してやられたんではとてもたまらんだろうというふうな、むしろそうした第二次的なと申しましようか、協同組合課税そのものの理論ではなしに、権衡上の政治的な配慮からどうするかという問題だけで来ているのです。そこで私ども今回は、今の員外販売をする協同組合はこのフエーバーを与えないという原則を一応確立しております。併しながら今の協同組合を考えるのに、昔のロツチデール式な立場だけに跼蹐するならばメンバーだけが利用するのであつて、メンバー以外は利用されないんだというのが、一応定説になつています。ところが現在は、スエーデンにしても、デンマークにしても、協同組合運動の外延的拡充運動といたしまして常識になつておるのは、員外販売をも一応認めているのであります。但しその員外販売はウエーテイング・メンバーとして、いわゆる利用額に比例して或る期末なら期末に剰余金の配分がありますが、その配分は出資に振替えるのだと、こういうことを約束した方方に限つて、やはりその員外販売を認めて行くと、こういう建前を取つているのが現在の協同組合の最も新しい形態です。ですから、そのことも是非やつぱり入れてくれと、こういうことで、結局「命令で定める者」のほかは、というので、命令に定める事項にウエーテイング・メンバーも加えると、こういうことで了承願つて衆議院におきまして現在お手許に配付されたような生活協同組合の減税措置がなされたのであります。  それからもう一つは、審議過程におきまして、今申上げましたように、少くとも消費者が今の問屋さんから直接買うとか、或いは小売のマージンを組合の利益として還元するという点においては、課税の対象にならんけれども、今度は消費者の協同組合のメンバーがたくさんになりまして、自己生産の段階に入りまして、自己の消費に充足するために生産企業を起した時には、これはやはり普通の企業の場合と同様に課税対象になるだろうが、少くとも消費過程と言いましようか、流通過程における協同組合運動が課税の対象になることはないという、こういう限度をきめましての論議でございました。  そこで今の事業組合とどう違うか。ここにやはり事業組合消費生活協同組合との限界点があるというのは、その点から御推察頂けるのではないかと思うのです。ただ今の生産者協同組合或いは中小企業等協同組合もなお育成すべしというのは、別個の観点で、その問題が論議されることは、私といたしましても一つも介入する筋合いではございません。ただ一つお願いしておきたい点は、今の中小企業等協同組合にもこの議論を適用すべしということから、それが容れられなかつた場合においては、生活協同組合免税措置も十把一からげにこれを葬り去るというようなことのないように、その点だけは一つ御了承をお願いしたいのであります。  それからいま一つ抜けたのですが、いわゆる昨年私ども生活協同組合に対して今のフエーバーを与うべしという議論をした時に、ここにおられる渡辺主税局長の反対した根拠は、今申上げたような員外販売を認める点が怪しからんということと、それから生活協合組合の仮面の下に、例えば東大なら東大の消費組合というものがあるとします。そこに或る小売商が入つて来た。そこで実際はその小売商が協同組合の名の下に仕事をしておる、その場合に協同組合免税のフエーバーが与えられるならば、その仮面を被つてつている小売商の利益になるわけなんで、そういう点が怪しからんという議論があつたのです。ところが今年は厚生委員会のほうにこうした弊害を避けるための法律案が出まして、すでにこれは通つております。そこで今言つたような名前を貸すことによつて不当にフエーバーを受けるというような弊害がなくなつて来た。昨年の立場と今年の立場はそういう点で変つて来ております。そこで生活協同組会の問題がいかなる意味においても課税対象にならんということ、又、私をして言わしめるならば、租税特別措置法においてこのフエーバーを与えるというようなことではなしに、本法自身に消費生活協同組合並びにその連合会は課税さるべきではないということを謳うのが本則であろうと思うのです。ただこの問題に対しまして法制局と話合つた結果、法制局のほうの都合から、第八条の五第二項にそれを入れてくれというので、我我としては、理論的な立場からはそうした扱いには反対だつたのですけれども、その経緯を申上げることも、消費生活協同組合自身のユニークな立場を一応闡明することになろうと思いまして、附加える次第でございます。  以上を以ちまして一応、衆議院大蔵委員会における論議の主な点を御披瀝申上げまして、参考になれば幸いだと存じます。
  33. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 消費生活協同組合及び同連合会についての平岡議員の御意見はそれでわかりましたが、衆議院大蔵委員会におきましては、事業協同組合方面に対しての御意見とか御論議はどの程度ありましたのですか。伺えればその点についても御説明願いたいと存じます。
  34. 平岡忠次郎

    衆議院議員平岡忠次郎君) 本国会においては積極的にその問題は取上げられておらなかつたと記憶します。私どもとしましては、昨年から懸案になつてつた消費生活協同組合の自主性というものに論議を集中しまして、この結果を見たのでありまして、対比的に事業協同組合が特に引合いに出されたいということはないのであります。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 通産大臣に出席を求めたのですが、何か所在がわからんというので、政務次官に代つて来てもらいましたが、政務次官としては、中小企業等協同組合法による事業協同組合が、今のように消費生活協同組合事業協同組合とは性質が違うということはわかるのですが、一方に農業協同組合或いは漁業協同組合がこういう減免の恩典に浴しておつて中小企業等協同組合法による事業協同組合が一方で取上げられない、こういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
  36. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今小林さんからお尋ねのありました点につきまして、私どもの役所といたしましては、中小企業等協同組合法に基く組合につきましても同様な特別な措置を是非して頂きたいということを考えております。
  37. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 ちよつと伺いますが、漁業協同組合中小企業等協同組合との違つておる点は、私は殆んどないと思つておりますが、そういう点について違つている点がありましたら一つお知らせ願いたいと思います。
  38. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これも今我々も余り勉強が十分でないかも知れませんが、一応事業者の団体であり、そうして同時にその構成員である事業者の利益のためにできている協同組合であるという意味におきましては、漁業協同組合中小企業等協同組合等において、特にとりたてて本質的な違いがあるというふうには我々も思つておりません。ただこれは蛇足かも知れませんが、附加えて一言申上げさせて頂けば、これは昨年国会の御修正で入つた規定であります。漁業協同組合等におきまして、この規定が入りましたにつきましては、これは先ほどもちよつとお話がありましたが、再建整備の問題とも結びつけて、是非必要だからということで入つたものと了承しておりまして、従いましてその趣旨が、昨年の国会修正のままでございますと、はつきりいたしておりませんので、本年その趣旨を、主として組合のかたなどにもよく御意見を伺いまして、入れて、これで趣旨をはつきりさせたほうがいいのじやないかという意味改正案を提出している次第であります。
  39. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 只今説明で了承いたしましたが、私は通産当局がここに出席をされておりますので、通産当局に伺いたいと思います。  中小企業等協同組合が今日非常なる苦境に立ち至つておることは、私が申上げるまでもないのであります。  なお先に農業協同組合とか或いは漁業協同組合再建整備という一つの問題からいたしまして租税措置が取られておるようでありますが、私は今日、中小企業等協同組合も、本当に再建整備というよりは、むしろそれ以上、整備どころじやない。極端な情勢におかれておると考えておりますが、(「同感」と呼ぶ者あり)そういう情勢におりまする際、やはり同様この再建整備という意味合いからいたしましても、この改正が出ておるのでありますので、中小企業等協同組合もその中に一つ入らなければならんと私は考えるのでありまするが、その再建整備というような見地からした通産当局の御意見を伺いたいと思います。
  40. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今質問の点でございますが、中小企業等協同組合に属しておりまする事業者は、いずれも非常に困窮しておるということは、只今御指摘の通りと存じます。特に今年度におきましては、財政面におきましても緊縮政策をとられるのでありまするので、結局それらのしわ寄せは最後には中小企業に来るということは否み得ないと思うのであります。ところで再建整備関係につきまして違うかどうかという問題でありますが、これは今まで中小企業者が殆んど自力でこの苦しいところを切り抜けて来たのでありまして、その意味において再建整備の点で国の援助を仰いだか否かという問題は、大してここで大きな要素にはならない。むしろそういう苦境をできる限り自力で乗り切つて今までやつて来たという、その苦労をむしろ買つてやるべきで、この際、私どもとしましては、この租税の特別措置において、農業、漁業の各組合と、中小企業組合とを区別して扱うという理由は殆んどないのではないかと、かように私は考えるのであります。
  41. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私は通産当局から、中小企業等協同組合の諸君は、いわゆる自己資金を以て孜々営々として今日までやつて来た。むしろ非常に同情すると申しますか、褒賞と申しますか、しなければならんというような意味お話がございましたが、それもそうでありまするが、最近におきましての商工中金に対する中小企業等協同組合の支払遅延或いは不払いというような点が非常に大きくなつておるのでありまして、まあ率直に私が申上げますならば、商工中金、更に昨年発足いたしました中小企業金融公庫、それから国民金融公庫等に対しまする中小企業等協同組合が借りておる金が、特に最近は遅延をしておるという点も、一つ十分にお考えを願わなければならんと私は思うので、その点を一つ、自己資金だけでやつてつて、そうしてそういう対象が余りないんだというような通産当局の御見解は、少しく私の質問に対しましては、ちよつと満足しかねる点でございます。ちよつと伺います。
  42. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ほど私がお答え申しましたのは、苦しい中小企業の一部を申上げましたのでありまして、只今御指摘になりました点は全くその通りと存じます。もはや中小企業としては、この際、極端な言葉を用いますれば、いずれももう倒れる一歩手前まで来ておると申しても差障りはないんじやないかというぐらいに我々は考えておるのでありまして、中小企業金融公庫なり、或いは商工中金に対する借入金の返済等に非常に困つておるという事実は、只今御指摘の通りと思います。
  43. 小林政夫

    小林政夫君 今の問題に関連して……。恐らく西川さんの趣旨は、農業協同組合、漁業協同組合再建整備法というようなものがあれば、この際は通産当局としては、そういうようなものに準じた法案等について、中小企業等協同組合対象とした準備をなさる必要もあるんじやないか。  それからもう一点は、先般来、当委員会においては、銀行局長に対して問題にしたのですが、共済事業中小企業等協同組合事業組合でやつているのです。これが今のように苦しいならばなお更のこと、掛金等が事業資金のほうに廻るのではないか。その結果は、或いは保全等の二の舞を演じないとも限らん。こういう今のような情勢で、だんだん中小企業が追いつめられて行つて、政務次官のおつしやつたような中小企業組合の状態であるならば、これは今から心配しておつて間違いないと思う。従つてそういうものについては、監督規定、経理規定等を協同組合についても十分整備をする必要があるのじやないか。その点については如何ですか。
  44. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今の御質問の、何らかこちらでこれに対する法制的な措置を考えておるかどうかというお尋ねでありますが、今我々のほうで事務的に検討を進めております。  なお詳細につきましては、石井振興部長がおりますので、石井振興部長から……。
  45. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 事業協同組合等の行いまする共済事業が却つて中小企業の不為になるという懸念は、注意しなければならんと思いまして、この一月に各都道府県に通牒を発しまして、表面上、共済と称して、保険類似の行為等に及んではならない。十分、事業計画等を追及して監督するように、若し疑義に亘るようなものは厳重な告発なり或いは事業計画改善なりを命ずるようにという通知を発しました。同時に、昨年の国会以来問題になつていました協同組合の法制化の問題、この問題につきましての研究を進めまして、大蔵省方面とも大体の線につきましての意見の一致も見得るような段階になつておりまするので、ほどなく一部議員提出、一部政府提案を以ちまして提案の上、御審議願うことになろうと思います。
  46. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さつきの懇談の際に私、申上げたのでありますが、念のためにお伺いしておきたいと思うのであります。今の生活協同組合の問題ですね。生活協同組合の中の「但し、当該事業年度において、その組合員その他命令で定める者以外の者にその事業を利用させた場合においては、この限りではない。」これは、若しも生活協同組合が命令で定めた者以外の者に売る生活協同組合があつたならば、その生活協同組合はこの法律の特典から除外する、こういう意味でございますか。
  47. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。  なお、ついでに補足して申上げますと、その命令で定める者という点につきましては、一応衆議院の立案者のかたの御意見を尊重して、衆議院の御意向を伺いまして政令を定めるつもりでおりますが、只今考えておりますのは、例えば、たばこ専売法のような場合におきまして、組合が許可を受けますと、これを組合員だけに売るとか、組合員以外に売るとかということは、むしろ専売法違反になる。こういうような場合におきましては、特例でありますが、やむを得ず売らざるを得ないと言つたような場合とか、或いは病院を経営している。これは医療法の関係でありまして、治療を組合員以外に拒むわけにも行かない。こういつたような法令に基いて、ちよつと組合員以外にも拒み得ないといつたような場合が一つと、それからもう一つは、先ほど衆議院の平岡さんからお話がありましたウエイテイング・メンバー、これはもう一応準組合員的なものと考えていいと思いますが、ウエイテイング・メンバー、従つて将来は組合員になる、こういうふうにはつきりしたことになつていまして、将来、事業分量によつて割戻しが行つた場合に、その割戻しが出資に振り替つて組合員になる、こういつた点がはつきりしているもの。大体その辺に限りまして、いわば通りがかりの人に売るといつたようなものをこの場合に考えるわけのものでは勿論ない。こういうつもりであります。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 ウエイテイング・メンバーについてやるならばこれは範囲は当然広くなると思います。私はその点について、平岡さんが言つているから聞いて見ようと思つたのだけれども、そこはあなたが認めるというのでしたら、そういう員外取引は絶対にやらせないのだ。午前中だつたか、先ほどの答弁で、きつく言われたけれども、かなりこれはルーズなことになりはしないか。それは売つた人がはつきりするという意味においては、はつきりするでしよう。誰に売つたかわからんということはないでしよう。これは相当広範なものであると言つていいと思います。
  49. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 別に御議論を申上げるつもりではございませんが、ウエイテイング・メンバー、結局、準組合員、これはやはり私は一応合理的なお話と伺つておりますから、その点を入れるのはいいじやないか。現在我々が一番、生活協同組合として、現実にある生活協同組合として、これは非常におかしいと思つておりますのは、もうウエイテイング・メンバーであるかないかといつたようなことは全然議論の外でございまして、とにかく組合員であろうがあるまいが一応売つている。こういつたようなものが非常に現実の事実として東京辺には相当多いのであります。従つてそういう場合におきましては、結局そういう人に売つた分のものについても、相当の剰余が残つているわけですから、従つていわゆる経理的な性格というものが、そこに非常に濁つて来るのじやないか。こういつた意味で一応質問したので、ウエイテイング・メンバーであれば、結局その人の割戻しが行く、その人がメンバーになるというのですから、それは組合員というものの限定の仕方をどう考えるかという点に行きますけれども、先に入つていれば勿論問題はないのです。買つてからあとで入るということになれば、ウエイテイング・メンバーになるので、これは一応、その程度の範囲まで認めるということは、協同組合の性格から言つて、そう筋が違つているものじやあるまいと私は思つております。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 それは、あなたの説明はわかるが、そこまで拡げて行けば……、私は生活協同組合理事者だつたら、売る人に通いを渡して、適当にあとで払戻して、事業取引高に応じて払戻しのときの出資に当てますよ。こういうときに全部買いに来る人はみなこれに該当するようにやれますよ。だから理窟は理窟だけれども、やり方によつては殆んど同じような、そう限つたということにはならないような取扱いができるであろうというのです。それはもう答弁要りませんよ。それで、こういうことで、丁度通産政務次官がおられるのだから、主税局長は、一体、中小企業等協同組合事業協同組合にどうしてくれれば同じように扱つてもいいとお考えですか。今のままじやどうも扱いにくいという先ほど来の御意見ですがね。どういう法的措置をとつたらあなたは同様に扱つてもいいと割切りますか。(笑声)
  51. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在これで修正案ができますね。そうした場合においては二つの性格のものがあるわけです。  一つは、要するに再建整備といつたような問題と結び付けて、そしてこれは先ほども御答弁申上げましたが、少くとも私の解するところでは、中小企業等協同組合と本質的に差異がないと思われます。漁業組合とかそういうものが一応特別扱いになつている。ただこれについては、先ほど来、これはよく御承知のように、再建整備という問題があつて、それについては法律的な措置まで加えられているわけです。現実の単なる事実というだけでなくて、法律的な措置まで加えられているわけです。只今お話が出ましたように、中小企業等協同組合というものについて、やはり農業協同組合と同じように、相当苦境に立つている場合があるというふうなお話もございますが、この辺、実は我々そこまで内容をよくまだ検討しておりません。中小企業庁からも伺つておりません。従つて中小企業等協同組合においても、やはり農業協同組合と同じように、法的な措置まで講じなければならんほどのような意味の問題があるというなら、農業関係とそこを区別する理由はない。これが一点だと思います。  それから中小企業等協同組合の性格というものは、これは生活協同組合とは違うと思つております。従いまして生活協同組合との基準において、中小企業等協同組合を扱うのは如何か。ただ正直に申しまして、これは国会修正になつておりますので、一応突然取り出した問題でございます。事前に中小企業庁のほうと我々が相当検討を重ねて、そして中小企業庁のほうでは、是非何とかしてくれと言い、我々のほうはそれは困ると言つてお別れした問題ではなくて、中小企業庁のほうからは、それは全然話はなかつたというのも言い過ぎかも知れませんが、殊に積極的にこの問題について具体的にお話はなかつた問題なんですから、従いまして、そういう点で問題を考えるとなれば、現在の中小企業等協同組合についてより深く検討する必要があるんじやないか。と申しますのは、事業組合企業組合とは私は性格的にかなり違つていると思いますが、とにかく中小企業等協同組合法の中にある企業組合の問題については、相当我々のほうの執行官庁もまあ苦い経験を味わつておりまして、そのために、昨年におきましては一応衆議院において特に問題が多かつたのですが、いろいろ論議を重ねた末に、所得税法の中に特別な法文まで入れて頂いたわけでございまして、従いまして、中小企業等協同組合について、その企業組合は、これは現在でも特別な扱いになつておりますが、これは問題は全然別個だと思いますが、その他の組合についてもよほどよく検討して見ませんと、同じようにしていいという結論は出ないのじやないか。農業関係におきましても、現在において出ておりますのは再建整備と結びついていることから出ているのでありまして、協同組合の性格ということから出ているのとはこれは又別なんでございますので、組合法の点などにつきましても更に検討して御相談すべき点はあるのじやないだろうか、かように考えております。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 再建整備と結びついているということですがね、今度初めて再建整備とはつきり結びつけるように改正しようとしている。そもそもこれが出たときは何もそういう限定はなくて、中小企業等協同組合は、先ほど来、西川さん或いは政務次官の話のように、再建整備で果して助かるか助からんかわからんというような段階にまで追い込まれているというものもたくさんある。そういう情勢からいえば、私はもつと事態は悪いと思います。この緊縮予算をやつて行くに当つては、かなり一層その計画に拍車をかけて、再建できるかできないかというような事態に追い込まれておるので。だから先ほど政務次官に、一体、再建整備法のごときものを中小企業等協同組合でお考えになつておるのかということを聞いたのですが、振興部長は、共済事業のことについてのお話があつたけれども事業協同組合の経理その他の点について何か事務的に検討しているのですか。これは今の西川さんのお話のあつた商工中金からの借入金がなかなか払えない、こういう事態が起つているのですか、実際に。
  53. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 商工中金と直接にからみましてお話しますと、金融機関との信用の関係もあると存ずるのでございますが、中小企業等協同組合は、御承知のごとく農業に比べますれば遥かに激しい経済的変動に当面した事業をやつているわけでございまして、綿糸にしましても、人絹にいたしましても、暴騰あり、暴落ありでございまして、その余波を追いまするとこれは想像もつかないような、相当健全な経営をやつておりましても余儀なく現在でもなりつつあるものが多いわけでございます。殊に農協再建整備をやりました当時、即ち経済統制解除をやりましても、経済政策が転換のときには、各組合とも相当な痛手を負つたことは事実でございます。併しながらこれに対しましては、先ほど政務次官からもお話がありましたように、極力自力更生という点をモツトーとしまして、あえて再建整備といつたような、国の資力にすがるということを避けさせる方向で指導をし、関係金融機関も歯を食いしばつて切抜けて参つたわけでございまして、御案内のごとく、商工中金に例をとりますれば、ここ数年来全然無配当でございますのみならず、その金利は、農林中金その他の農林系統の金融機関に比べまして二厘、三厘、甚だしきは五厘程度高くなつておるのでございます。それでもなお且つ配当等ができない。その理由は主としてこれらの事情から御推察願えることと存ずる次第でございますが、いずれにしましても、曾つてにおきましては、曾つてのドツジ・ライン当時、乃至は統制解除当時の経済変転に対しましては、業者みずからが努力をし、金融機関もこれに即応して、ここ数年来の努力で徐々にその傷を直しつつあるという状況でありますが、又新らしい事態が生じて参ることにつきましては、どのような事態になりますか、ちよつと推察いしたかねるような状況にございます。
  54. 東隆

    ○東隆君 ちよつとお伺いいたしますが、中小企業者等の協同組合法に対する改正の意向があるのではないのですか。それで新聞などに発表しているが、今年は若し新聞に書いてあつたことが事実だとすると、私は協同組合から大分離れるように思う。それは或る程度の出資を、出資をたくさん持つている者に表決権をたくさん持たせる、丁度、会社のような形に多少変更すると、これは事業組合の場合もそういうような形をとつているのではないですか、そういうような変更をすると、こういうようなことがちよつと見えておつたのですが、若しそうだとすると、中小企業者は協同組合から完全にもう離脱するものだと、こういう考え方を持つておるのですが、その辺に対してはどういうふうになつているのですか。
  55. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 現在、協同組合法におきましては保険組合の問題を中心とする改正案、これを国会方面において御用意中でございますので、組合法の構造そのものについての改正は現在のところ考えておりません。ただ東先生から御指摘の点は、事務当局におきましていろいろな点を検討してみたことはありますが、その中に出資比例の議決権等を考えたということは、これは事実でございます。と申しますのは、これは資本蓄積に関係かございまして、現在、協同組合の出資が約九十億、これに対しまして中金だけをとりましても借入が五百億でございます。自己資本と借入との比率が一対六に近いものになつておる。こういうようなことで、内部の資本構成がなかなか強化されない。これを積立金等の非課税等ができますればこれも一つの大きな有力な要件になつて参るわけでございますが、そういつたようないわば他力本願は考えませず、何とか自力で資本の充実を図る道はないかということを検討いたしました過程におきまして、塩業組合等の例も斟酌いたしまして、検討いたしたのでございますが、これらの検討それ自身が、協同組合自身の内部資本蓄積なり、資本的健全化ということに非常に苦しんでいるということの一つの現われでありますることを、御了承願いたいと思います。
  56. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 この再建整備の問題でちよつと私お伺いしたいと思いますことは、農業協同組合再建整備は、県連合会といいますか、もう全国的に再建整備対象になつておるように私は聞いておりますが、その下部組織でありますところの市町村の農業協同組合には、相当まだ有力なる協同組合があつて再建整備対象になつておらんようなものが相当あるようでありまするが、その再建整備対象になつておらないものも、この恩典に浴しておるやに私は聞いておるのでありますが、その点は如何でございましようか。
  57. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 再建整備の問題につきましては、その再建整備に直接対象になつている組合、これが一つありますが、それからまあ連合会などが再建整備対象になつております場合におきましては、やはり連合会相当金を出している組合がある。まあそういう組合が、それ自身としては再建整備対象になつておりませんが、併しその出しておる金自身が再建整備対象になつておるということで、多少そこに程度の差はあるのでございますが、一応やはり組合としては特殊な扱いをすべきだと、こういう御意見がございました。その組合そのものは別に再建整備対象にはなつておりません。と申しますのは、その組合相当金を出しておると、その金がそのまま入つて来るものとして実はバランス・シートの上に載せてありますから、一応再建整備という問題からは抜きますが、併し、一応資産として持つておる金自身が実は再建整備対象になつておる組合に対する出資である、或いは貸金である、こういつたような性格になつておりまして、従いまして必ずしも資産として載せてあるもの自身が万全のものでない、こういう組合は、やはり何か特殊に考えてよろしいのじやないかと、こういう意味の点が入つておりますので、今お話のように、その組合としては再建整備対象には形式的にはなつておりませんが、併しその組合の持つている資産の中に再建整備対象になつている組合員に対する貸付金、預け金或いは出資金とかいろいろ形は違いましても、そういうものがある。従つてこういうものは一律に考えるべきではないか、こういう意味におきまして、そういうものが入つておるわけでございます。
  58. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 私はその説明は実によくわかりました。説明はよくわかりましたが、実際問題として単協は相当内容の差がある。おつしやる通りこういう出資が相当多くて、その悪いものもありますが、併し反対に、その出資額の如何にかかわらず非常に優秀な、経営者が非常によろしい単協がある。あるんですが、それが皆この恩典に浴しておるということになりますと、ちよつと私は解せない点があるように考えまするので伺つたんですが、お話意味合いはよくわかつたわけでございます。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 大体この件についての質疑は尽きたように思うのですが、速記をとめて……。
  60. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ほかにこの件以外に本法案についての御質疑はありませんですか。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 それはありますけれども、一応若し修正に同調を願えるならば案文を用意する都合がありますので、一応この件に限つて懇談してくれませんか。
  62. 木内四郎

    ○木内四郎君 では一応質疑を打切つておいたらいいじやないか。
  63. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    午後五時四分速記中止    —————・—————    午後五時四十九分速記開始
  64. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それじや速記をつけて下さい。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 第五条の十一の今度の配当に対する減免措置ですね、「同族会社の再評価積立金の資本組入に因る資本又は出資の増加を除く。」、こういうことはどういう観点なのか。
  66. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 大体今度の資本充実の施策としましては二つの観点に基いているものと思つております。一つは自己資本の充実、これは例えば増資しまして新規に払込みをする、こういう場合でありまして、同時にもう一つは、払込み資本というものをとにかく名目的であれ殖やして行く。それは現在実業界のいろいろな方面で言われていることなんですが、とかく自己資本としては再評価積立金とかいろいろなものがあつて大きいので、払込み資本そのものが小さいために、名目的な配当としては非常に高率配当になつている。高率配当をしているが故にとかく経営がイージーになる。従つて、やはり払込み資本を相当大きくして配当率も適正に下げさせることによつて会社の経営を緊実にして行こう、こういう二つの狙いがあるわけなんであります。そうして新規の払込みの場合におきましては、その二つともが具備されるわけでありますから、その意味で一応百分の十、再評価積立金を振替えた場合におきましては、自己資本の充実ということは御承知のようにないわけでありまして、払込み資本だけがふくれるわけであります。まあそういう意味におきまして、効果から言えば片方は合せて二つであるのに、片方一つしかない。従つてそれは百分の五だ、こういうふうな案になつているわけでございます。そこで今の御質問のほうに移るわけなんですが、同族会社におきましては、これは配当率がどうだとか、従つて払込み資本がどうだとか、或いは再評価積立金がどうだといつたことは余り問題にならんというわけだと思つております。従いまして、別途御提案を申上げておりまする資本充実の案におきましても、一般の会社におきましては、これは大きな会社だけを対象にしたと思いましたが、再評価積立金の四割は払込み資本に振替えなければならんという強制をしておりますが、同族会社は除外しておる。同じような趣旨におきまして、同族会社については、こういう意味の再評価積立金を払込み資本に振替えることは大して効果も持ちませんし、従つて税法扱いにおいて特にそこに税率を減免して奨励するといつた問題には入らない、こういつた観点であります。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 同族会社について、再評価積立金を資本に組み入れて、その配当を減免することが大して意味を持たないということは私はないと思う。その点についてはあなたと見解が違います。同族会社といえども、かなり他人資本を集めておるのであつて、昔の保全会社的なものならば、これは私はお説のようなことが成り立つかも知れないけれども、今の同族会社と看做されておる会社については、かなり純然たる他人資本が入つておる。而もその中には中小企業者が多い。そういうことについてこういう措置を認めないということは、中小企業庁としての見解はどうですか。
  68. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 税法における中小法人、殊に同族会社扱いにつきましては、全般を通じまして、課税原則から発しておることと思われるのでありまするが、例えば留保しました積立金に対する課税の問題とか、その他一般的に考えまして、中小企業者の立場乃至は中小企業庁の立場といたしましては、率直に申しまして、腹に入らない分も相当にあると思います。今度の改正法案におきましても、勿論大蔵当局と十分折衝はいたしたのでありまするが、只今お話のありましたような趣旨から、今回の配当免税から除くという意思を表示されたわけでありますが、ただ御承知のごとく、今回税法全部を通じまして、政府原案におましては、地方におきまして、同族会社を最も含んでおりまする中小法人の地方税たる事業税の軽減ということに若干の配慮をいたしておる。それからこの積立金に対する累年課税を一年限りにした。この程度の改善だけしか実現し得なかつた次第でありまするが、議論といたしましては、只今小林先生のお話のような議論は私どももいたしておるのでありますけれども、最終決定には只今主税局長お話のごとき意味を以て本原案が提出された次第であります。
  69. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちよつと私、説明を補足さして頂きたいと思います。なおこの点とちよつと裏腹になると思いますが、これはあえて小林委員に申上げなくても、小林委員よく御承知だと思いますが、従来の同族会社の定義が少し広過ぎると言いますか、そういう嫌いがありましたので、例えば一人で三割以上持つてつたらもう同族会社だと、こういつたようなものもございますので、この問題を考えるのに当りまして、それと裏腹としまして、同族会社の範囲を狭くすると言いますか、そういう他人資本の入つております場合には同族会社の範囲に入れない。これはあえて今御指摘の条文の問題だけではございませんで、積立金課税の問題につきましても同じように該当し、或いは同族会社の行為否認についても同じように該当するわけでありますが、同族会社の範囲を狭くして、他人資本の相当つているものは同族会社に入れないという措置が併せてとられておることも御了承願います。
  70. 小林政夫

    小林政夫君 今の説明は十分承知しての私の質問ですが、大体この第五条の十一が今度設けられる趣旨は、資本蓄積以外にない。それが同族会社だからと言つてこれの減免に与かれないということはおかしいので、こういうところにも私は中小企業軽視という態度が現われておると思う。成るほどいろいろの事業税の軽減だとか、或いは積立金課税の是正ということもあるが、積立金課税の是正に至つては当然の是正なんで、今更中小企業庁のほうであれで一点儲けたというような考えでは困るので、こういう点は私は本当はこれも削除したいのです。これから削りたい。資本蓄積から言えば同じじやないですか。
  71. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 資本蓄積の観点から言えば、結局新規に払込みを得た分ですね。これが資本蓄積の観点からプラスになるのだと思います。新規払込みの分につきましては、同族会社、非同族会社との差別はしておりません。結局その再評価積立金を払込み資本に振替える、振替えないという場合におきましては、非同族会社と同族会社との間には本質的な違いがあるじやないだろうか。まああえて中小企業というものを中心に考えてはおりませんで、大洋漁業でありますとか、或いはブリツジストンでありますとか、相当大きな会社で同族会社のあることも御承知通りでありまして、やはりその点は相当配慮をすべきじやないかと思います。
  72. 小林政夫

    小林政夫君 併し非同族会社といえども今の再評価積立金を資本に組み入れた場合においては、その配当について五分は軽減する。それは成るほど会社自体から考えれば資本蓄積ではないかも知れませんけれども会社のほうでもそれだけのものは損金に見られるわけだから今の資本蓄積になると思うのです、同族会社では……。
  73. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちよつとよく御質問趣旨が私に呑み込めないのですが……。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 要するに、配当金のうちの五分に相当するものは経費と見るのだから、結局その非同族会社法人税を納める場合において、それだけのものは、経費と見られたものだけ法人税では軽減されるわけです。だから同族会社でも同様の措置をすれば、それだけの課税は軽減され得る。
  75. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 税金が安くなればそれだけ資本の蓄積になるのじやないかということに結局帰するのじやないかと思いますが、それは確かに税金が安くなれば資本の蓄積……まあ勿論そこに、片方消費の増加になるか貯蓄になるかという問題がその先の段階にあるわけでありまして、税金が安くなつただけ一から十まで消費されるものとも思いませんから、そういう点からすれば資本の蓄積になるということは、これは別に否認いたしませんが、今問題になつておる点は、再評価積立金を払込金に振替えるか振替えないか、それ自身におきましては、結局、会社の経理というものの勘定がAからBへ移つただけの効果でありまして、それに対して何で認める必要があるのか。これは随分御議論のあるところだと思います。再評価積立金を払込みに振替えるのについて、果してそれだけの資本充実ということには直接すぐにはならんわけですから、税金を軽減するかしないかという点についてはこれは御議論があると思いますが、この点については先ほども説明申したように現在ともかく再評価積立金のままで置いておいて、そうして払込資本金を小さくし、従つて配当の率は高い、そのためにとかく経営の仕方がイージーになりやすい、その点はこの際、是非是正すべき一つの大きな点である。こういう点が現在政府として取上げられたものですから、そこでそういう措置をとつたわけですが、同族会社と非同族会社とは大分その点が違うのじやないか、こういうふうに考えましたので、原案のこのような提案をしておるわけであります。
  76. 小林政夫

    小林政夫君 問題を搾れば、資本充実には役立たないかも知れませんが、蓄積には大きな貢献をするのじやないか、こういうことは言える。
  77. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それは結局、再評価積立金を払込金に振替えたこと自身が資本充実であるかどうか。
  78. 小林政夫

    小林政夫君 それはそうじやないでしよう。だけれども、この配当の五分というものを経費にみるということは、それだけ法人税の負担が軽減することになるのだから、資本蓄積には役立つのじやないか。
  79. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ですから、先ほど申しましたように、税金が安くなれば安くなつただけ、一応、会社のほうに残るか或いは配当になるか、この場合には配当になつて行くわけでしようが、それが或る部分は消費に使われる分であつたかも知れないし、或いは或る部分は貯蓄になつて行く分であつたかも知れない。とにかく税金が高いから資本蓄積を阻害しておる、税金を安くすれば資本蓄積に資するのじやないかという御議論であれば、私もさように思いますということは先ほども申しました。
  80. 小林政夫

    小林政夫君 これから先は意見になるけれども、私の考えでは、同族会社だけをこの例外にする必要はないのじやないかと思う。
  81. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 我々は常に考えておるのでございますが、これは当然……。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 税収はどうですか。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今ちよつと計算がすぐ出ませんが、我々のほうでいつでも議論をしておりますのは、個人の営業の場合における負担と法人の営業の場合における負担、これがやはり相当常に議論になつておるところでございます。更に、大きな会社と小さい会社、これが議論になつておるわけですが、現在積立金課税をしておることについて、これは不当であるという御意見は、我々は俄かに賛成できないと思います。結局、個人営業者の場合における負担というものと法人営業者の場合における負担というものとのバランスも考えて行かなければならん。そういう点を考えて参りますと、同族会社の持つ性格、従つて同族会社はそうしたことによつて特殊の減税をするということについては、個人営業の場合とのバランスから言つて問題が多分にあるのではないかという点を考慮し、同時に、本来の狙いが先ほど来申上げておるような観点であれば、同族会社が入るのはむしろおかしいじやないか、こういう結論をいたしたようなわけであります。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 そこの、同族会社が今度は範囲が少し狭くなつたのですけれども、併しそれは個人と法人を比較するとき、他人資本も相当あるのです。今度の狭くなつた同族会社においても……。だからその個人と法人との比較ということは、むしろ私は事業税の問題が大きい。その辺を彼此勘案してみて、私はこれだけのこの措置でこういうことをすること自体、税理論から言つて正道じやない。五条の十一なんてものを設けることは……。主税局長もこれは恐らく好んで設けた規定じやないと思う。併し資本の充実という大命題のため、資本の蓄積ということからこういう案を考えついた、提案をせざるを得なくなつた、それなら何も小さい割り切り方をせんでもいいじやないか。これは意見になるから答弁はいいです。恐らく主税局長もそういう純粋の立場から行くならば、こういう規定を置くことは余り賛成じやなかろうと思う。結局、今の資本充実或いは資本の蓄積ということが日本の今重要な課題なんだから、こういう例外措置を、特別措置をとるわけでしよう。それならば、その中における少々のことを理論的に厳密に議論する必要もないのじやないか。甚だしく税収が云々ということであれば別ですが……。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 議事進行についてちよつと速記を止めてもらいたいのですが。
  86. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を付けて下さい。
  88. 小林政夫

    小林政夫君 交際費の基準が政令案ができて、まだ説明を聞いていないのです。資料としてはもらつておりますが、一応主税局長から説明を聞きたいと思います。
  89. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 基準を作りました考え方としましては、今度の交際費の制限が、基準年度と我々名付けましたが、昭和二十八年度、それの七割までとにかく節約して頂きたいというのが提案の先ず大筋であります。ただいろいろ考えて参りますと、過去の事業年度においてすでに相当節減されている会社がある。幾ら七割節減しろと言つたつてこれ以上節減できんという会社も考えられ得るわけであります。従いまして、そういう会社について、特殊な率を作つておく必要があろうというので、そこの歩合を作つた。その意味におきまして、我々のほうでまあ一応のデータを集めまして、基準年度である二十八年度の平均の率を出してみまして、その平均率の七掛というところを元にしましてお出ししたのが、現在の政令の案として我々が考えておる数字であります。個々の会社の例につきましても、衆議院のほうで御要求がありまして、衆議院のほうへはお配りしましたが、個々の会社の例につきましても一応できているものがございますので、御要求があれば御配布申上げることかできると思いますが、なかなか非常にまちまちなものでございますので、まあそれの余り異常な分がありますので、まあ余りアバレージじやなくて具体的な数字を出してくれという注文だつたのですから、大体中庸と思われるものをそこへお出ししたというわけでございます。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 結論的に言いますと、実績の七割ぐらいの率だということですね。
  91. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 信用してそれ以上質問しません。
  93. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 五百万円以上の会社に適用するということになつておりますが、この趣旨で地方の税務局の調査を受けておることであるという意味なんでございますか。
  94. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結論を先ず申しますと、さようでございます。それで、そういうふうに一応考えましたのは、小さな会社は、まあ先ほどもちよつと話題になつております同族会社が多いだろう、同族会社においてはいわゆる社用族的な交際費の使い方はあるまい。実はここで問題になりますのは、むしろ家事関係の交際費を会社の交際費のごとく使つている場合がむしろ問題になるのですが、これはむしろ個々の交際費制限の問題ではないのです。小さな会社で実は議論になりますのは、むしろ本当なら友人が来たから、めしを食べたといつたような、何にも商売には関係ない人と食事した分を会社のほうの経理へつける、この分でありますが、これは実は今度の交際費制限の問題とは別個の問題で、現行税法で、それがはつきりすれば、むしろこれは会社の経理でないといつた問題になるわけです。  それで大体こういうことを出しました元は、いわゆる社用族に対するこういう非難から出たわけでございまして、従いまして小さな会社についてはそういう問題はあるまいというのが一つ、それからもう一つは、前回もやはりこういうような案を、今度の考え方と大分違いますが出したことがありましたが、そのとき一つ御指摘を受けて我々も大いに反省しなければならんと思いました点は、やはり相当これは交際費であるかないかといつた点について、会社の帳簿などもしつかりしていないところもあり、同時に、片方では、調査する者も若い者が行つていろいろトラブルを起す心配はないか、こういう御指摘があつたわけです。従いまして五百万円以上になりますと、今お話のように調査課の者が行きますし、同時にそれの対象になつている会社におきましては、いろいろありましても、帳簿が非常に不完備だという会社はまあ稀である。こういうような、目的から言いましても、調査のそうした点を考えましても、やはり或る程度以上の会社、五百万円以上の会社対象にして考えるのが妥当であるのじやないだろうか。小さな会社をも含めますことは徒らにトラブルを生じますと同時に、本来狙うところもその辺にあるのじやないであろうか。こういつた趣旨におきまして、五百万円以上という制限をつけたわけでございます。
  95. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 私の今お伺いいたしましたのは、五百万以下の会社で調査課のほうの調査を受けておる会社があるのです。そういうふうなところはこれから除外されるのですか。
  96. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 確かにそれはございます。これは主として特殊な必要に基いて調査課が調べておるのでございますが、これは調査課が調査の対象にするか、税務署が調査の対象とするかということは、納税者のかたにとつては実は大して直接関係はないと思います。従いまして、どういう会社を調査の対象にするかということにつきましては、行政官庁の裁量に委ねておるわけであります。従いまして、調査課が対象にしておるということが制限を受けるということになりますと、制限を受ける会社自身、行政官庁の裁量に委ねられるというふうに結論的になりますものですから、それはいささか如何かと思います。確かに御指摘のように五百万未満の会社で調査課が調べておるものがございますが、そういう場合におきましてはむしろ除外すべきものじやないだろうか。そこで法律でおきめ願うなら……、今調べるとか調べないとか、これは原則的にはそれで分けますが、やはり資本金ではつきり区別したほうがいいのじやないか、かように考えるのであります。
  97. 土田國太郎

    土田國太郎君 この政令に出ております製造業は率が千分の八となつておりますが、別表のほうを見ますとビールは七となつておりますが、ビールは御承知通り御馳走政策をしなくてもいい環境にある。局長も御承知通り、この政治の今の状態ではそう心配ない。蒸溜酒は御承知通り御馳走しなければ売れないという今日の情勢であることは、あなたもよく御承知通りなので、それはビールと大体同じようになるのですが、少しこれはかわいそうな感じがしますが、如何ですか。
  98. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 製造業におきましても、実は各業態を細分してみて参りますと、相当いろいろまあ荒い数字でありますが、ここに出ておる数字では、むしろ甘い業態もあれば、それから今御指摘のように辛い業態もあるのであります。併しそういうふうに細かく分けるのがいいか、やはり製造業一本でやつた方がいいか、実は相当内部でも議論したわけでありますが、先ほども申しましたように、本来は基準年度の七掛というところに実は重点があるわけでございまして、従いまして、これは副次的な点になるわけでございます。余りそこを業態別にいろいろ区別するということも如何かと思いますので、こういうふうにしたわけであります。なおビールの数字は、たまたまお配りしたのは八になつておりますが、そこに出ております数字は七掛したのがその表になつておるわけでありまして、従いまして八とありますのは大体平均のところが十一ちよつというときに、実は七掛しますと八になるわけであります。ビールは御指摘のように交際費は使つていないでしようが、それは実は基準になつておるわけではありません。もう少し高いものが基準になつております。  なお蒸溜酒につきまして具体的に御指摘になりましたから一言申上げておきます。確かに過去においてそういうことはございましたが、最近、酒税の保全その他の去々というような法律がございまして、あれで生産統制をやつておりまして、余り無理な売り方をしないで済むような状態になつておりますので、決して売手市場などというほど強くはなつておりませんが、一時のような無理な交際費を使う、それでなければ商売ができないという状態から見れば、随分最近は改善されているというふうに考えるわけです。
  99. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の問題に関連しておるのですが、売らんがために販売業や何かを酒造業が招待していますね。それはやはり交際費と見るべきか、宣伝費と見るべきか。その考えは如何ですか。
  100. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) やはり売るために取引先を御招待なさる、これはもう普通の会社が、程度の差はいろいろあると思いますが、普通に行なつているところでございまして、これはやはり交際費と見るべきものだと思つております。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 もう一点、交際費の範囲ですが、政令案によると、「相当その金額が少額であるもの」とあるが、この少額であるものというのはどういう程度ですか。
  102. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) そこに書いてありますように、カレンダー、手帳、扇子といつたようなものを考えているわけでございまして、従いまして、その金額も、大体このカレンダー、手帳、これが大体幾らぐらいするものか、私ちよつと存じませんが、大体その程度の範囲というものなら、これはむしろ広告費と見て、この交際費に入るべきではないのではないか、こう考えております。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 若し又政令を作るなら、政令に、又、政令が要るということでは困るのですね、今のカレンダー、手帳、扇子等、広告を兼ねる等という含みがあるのです。その金額が少額であるものということ、この交際費の判定は今後相当税務当局と納税者との間にトラブルが起きる。はつきり一品何千円以下とか、何百円以下とか、こう明確な規定にすべきだと思うのですが、その点、如何ですか。
  104. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 確かに明確にすることは必要だと思つておりますが、この点一つ私は助かり得る点が一つあると思つております。と申しますのは、基準年度の七掛というところに重点がありますから、基準年度で取り込んだものがやはり当該年度においても取り込まれるわけでございます。従いまして、明確にすることは必要と思いまするが、基準年度、当該年度でこれは別だというものが基準年度にも取り込まれないわけでございますから、まあその辺に多少問題のトラブルを少くし得る余地があるのですが、現在政令で考えておりますところも、実はカレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭すべてそのほかこれに類する広告を兼ねる物品を贈与するに通常要する費用、特に金額を掲げてございませんので、どうもちよつとそれぞれ恐らく手帳なら幾らとか、カレンダーなら幾らとかいろいろある思うので、もう少し研究して見たいと思いますが、なかなか金額を入れることができるだろうかどうだろうかという点については、ちよつと自信を持つておりません。
  105. 小林政夫

    小林政夫君 私は、カレンダー、手帳でも、扇子でも、年々派手になつております。特に金をかけた高価なものを我々のところにも相当つて来る。これはカレンダーならカレンダーというアイデアでは同じであつても……それからいろいろ盆暮のお付き合いについては、なるべく斬新的な、どこでも買えるような手帳なんというものはこの頃はやらないので、置物にしようとか、或いは何々にしようとか、いろいろありますよ。そういうものが将来会社の実績にはなかつたというようなことで、税務当局とトラブルが起きる余地があるのですが、今、政令案ですから、そういう意味において十分研究をして頂きたいと思います。
  106. 土田國太郎

    土田國太郎君 盆、暮の商工業者が得意先に対する贈答品、我々にしたならば物をやるとか、風呂敷をやるというものは、どう御覧になるのですか。
  107. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 盆、暮の贈答ということになりますと、これはいろいろ実はあるわけでございまして、極めて簡単なものから相当高価なものまで、恐らく取引をやつていらつしやればあるのじやないかと思つております。従いまして、今我々のほうで考えておりますのは、そこに書いてありますように、カレンダーとか、手帳とか、扇子とか、こういつたような種類のものは、これはもう広告宣伝を兼ねているものだから、交際費に入れない。従つてそれ以上のものになりますと入ります。ただ、これも先ほども申しましたが、従来引続いてやつているということになれば、その当該年度の交際費の中にも入りますが、基準年次の交際費の中にも入るわけでございます。従つて片方に入つて片方に入らんということにはならんわけで、従つて勿論その分についても三割は節約して頂きたいという問題は残りますが、まあ基準年次に入り、当該年次に入るということによりまして、そこにそうひどい無理なことは出て来ないで済むのじやないか。かように考えております。
  108. 東隆

    ○東隆君 この五条の十二の二項ですが、ここで交際費に課税をする範囲がきめられているわけですね。それでどうですか。法人だけですが、個人の場合は問題じやないのですね。
  109. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結局この交際費制限の規定ができましたのは、先ほどもちよつと触れましたが、社用族的な存在があるのではないか、こういうところから出発しているわけでして、結局最近の資本と経営の分離が少し行き過ぎになりまして、経営者がいわば重役的な感覚で、本来の会社としての目的から離れて行くのじやないか。これは資本蓄積とかいろいろな面から見ても面白くない、こういつたところから出発しているわけです。個人の場合におきましては、結局そのかたが商売をなさつていらつしやれば、恐らく営利追求じやないか、それで交際費を使い過ぎれば結局自分の身を食べるわけでありますから、従つて個人の場合におきまして、そこにいわゆる社用族的な感覚で使えばいいといつたようなことは考えられないじやないか。それはいろいろここで御議論をして行けば、そういうものにも弊害がある場合がないとは限りませんけれども、併しそこまで、とても税法が行き得る筋でもありませんし、同時に大部分の場合はそういう点は心配ないのじやないか。なお、この個人の場合につきましては、先ほど同族会社で触れましたが、むしろよく問題になりますのは、本当に商売と関係のない親戚の人と飯を食べたという関係のものを、会社というか営業のほうの経費に入れているような場合が間々ありますが、これは家事に関連した経費か営業の経費かというところで、むしろ別個の問題としてこれは取扱われる。その問題は別にございますけれども、営業関係の場合に、結局、社用族の存在というのは資本と経営の分離から出ているのじやないか。それで資本と経営が密接している個人の場合においては、そこに問題がないとは我々も思いませんけれども税法で取上げました性格とはちよつと違うのじやないか、そう考えております。
  110. 東隆

    ○東隆君 この前の株式会社以外の場合ですね。相互銀行、それから相互保険会社、この場合はどういうようになりますか。
  111. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) そこに書いてありますのは法人と書いてありまして、会社というふうに、特に株式会社とか、そういう限定をしていないわけであります。従つて法人格を持つている場合には一応先ず入つて来るわけです。そして、その第二項で、適用をしないものとしまして、「資本又は出資の金額が五百万円に満たない法人及び命令で定める資本又は出資のない法人については、」この限りでない。この意味からしまして、相互保険会社は一応出資というのはございませんけれども、命令で定める場合のものだけがこれに抜けることになつておりますから、出資のない法人におきましても、相互保険会社は実はこの規定の中に、該当の中に入れよう。こういうつもりで政令案もできております。
  112. 東隆

    ○東隆君 これは出資のない法人については、これを適用しないというのは、かけるということなんですか、この文章は……。
  113. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これは多少文章がややこしくなつておりますので、もう一遍御説明さしてもらいますと、資本又は出資の定めのない法人には原則として実は適用しないつもりでおります。ただその中で我々のほうで目についておりますのは相互保険会社です。相互保険会社はやはり入れたほうがいいのじやないか、こう実は考えているわけであります。そこで、この命令案としては、相互保険会社以外の出資や資本のない法人を命令にきめまして、こういうものには適用しない。相互保険会社というようなものは適用しないものから実は除く、それによつて適用の対象にして行く、こう考えております。
  114. 東隆

    ○東隆君 私はここでも協同組合一つその中へ考えておいてほしいと思うのですが。
  115. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 協同組合につきましては、御承知のように出資のない法人が協同組合でございますね。これは勿論我々は入れるつもりはございません。従いまして、命令で定めるほうへ入れまして、そしてこの交際費の制限とかなんとかという問題の対象にはしないつもりでおります。
  116. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  118. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は本案に賛成いたすものであります。併し質疑応答の過程において明らかになりましたように、中小企業等協同組合及び事業協同組合現状は実に困難を極めておりまして、大いに意を用いなければならん点がありまするので、この際、附帯決議を附して賛成をすることにいたしたいと思います。  附帯決議案を読みます。    附帯決議   政府中小企業等協同組合事業協同組合)の実情に鑑み、右に対しても消費生活協同組合等に対すると同様な減税措置をなし得るよう、速かに検討の上、成案を得て、国会に提案することを要望する。   右決議する。  この決議案の案文は簡単でありまするけれども只今申しましたように、中小企業等協同組合の実情に鑑みまして、政府は成るべく部内におきまして研究し、意見の調整を図つて、成案を得た上に、できれば本国会又は遅くも次期国会までには提案し得るようにすることを強く要望するという意味であります。この附帯決議を附しまして賛成することにいたします。
  119. 小林政夫

    小林政夫君 私も原案並びに木内委員の提案された附帯決議に賛成をいたします。特に今の中小企業等協同組合事業協同組合法人税減免の措置については、この国会中に政府においては成案を得られることを強く要望いたします。なおこの租税特別措置法については、私は何回か政府には討論の際にも申しておるし、こういう租税特別措置法というようなものは、一般納税者について非常に税法を難解にするものである。速かに整理をすべし。ともかくこの中には恒久法に入れてもいいものもある。所得税法或いは法人税法に入れらるべきものは入れて、成るべくこういう特別措置法のごときものを撤廃する、整理をする、必要最小限度のものにとどめるということにしてもらいたい。こういうことを言つておるわけでありますが、どうも一向に実現がないのでありますが、強くその点も今回も要望いたしておきます、又、法人税法の一部改正の際の討論でも申しましたが、こういつた個々の減免措置は成るべくとらるべきでない。恐らく主税当局も喜んでやつていることではないと思いますが、この一部のものに軽減になるような措置よりも、できるだけ一般的な一律の減税を考えるほうが妥当である。又こういうような特別減免措置をするならば、むしろその適用を受けるのは大企業であるようなものが多いのでありますが、こういうものを残しておく以上は、中小企業等についても十分考える余地があるのじやないか。従つて、例えば貸倒れ準備金等についても、金融機関の積立てるものについて、中小企業向けの金融についてはその比率を変え、そうしてその税収の点を考えれば、一方の大企業向けの融資については千分の十の率を減らし、中小企業向けについては、千分の十の率を上げる、こういうようなことでやられるはずである、こういう点についても十分な検討を願いたい。又、先ほど質疑の際に申しましたが、この五条の十一の同族会社に対する再評価積立金の資本組入れ、こういうようなことをやめるということも、中小企業軽視或いは特にそれを取上げないということ、これもいろいろ小さい理窟はあるでしようけれども、私はこういうことについても、本来ならばこれを削除したいのでありますけれども、まあ一応そういう不満の点を数々申述べて賛成をいたします。
  120. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は租税特別措置法並びに衆議院送付修正案に対しまして反対いたします。大体この租税特別措置法は、先ほど小林委員が言われましたように難解であり、且つ難解に乗じまして、どうも我々の眼から見ますると、特別のものに対しまして減税をする、蔭でわからんように減税してしまう、こういう嫌いがなきにしもあらず。従つて強く運動を行なつた者は特別措置法の恩典に浴する、こういう結果に間々なりがちなところがある。それはやはり陳情、請願が国会に取上げられることは結構なことでありますけれども、それに精力を注いだ者が取上げられるということになりますと、一歩を誤まりますと、造船利子補給法をめぐつたような事件に発展する危険なきにしもあらずと思うのであります。従いまして、そういう意味からも、この難解な特別措置法は先ずでき得る限り簡単にしてしまつて、あとは本法のほうで表現するように我々はしてもらいたいと思います。その意味からいたしましても、特に今度の衆議院修正案については言語道断と思うのでありますが、二割以上の配当を一応制限しようとする、それでさえも我々は賛成できないのに、ますますそれを削除するというがごときに至つては、真つ向からこれは反対せざるを得ないのでありまして、以上の趣旨からこの租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに衆議院送付修正案に対しまして反対をいたします。
  121. 東隆

    ○東隆君 私は本案に反対をいたします。併し審議過程において衆議院修正案並びに先ほど木内議員の言われた決議案その他は、これは私は漸進的な意味において、これには、この範囲に関する限りは賛成でありますが、全体として私はこの際、反対の意思を表明いたします。
  122. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  租税特別措置法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中において述べられました木内委員の附帯決議案を問題に供します。  木内委員の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  125. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。  よつて木内委員の附帯決議案を本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     藤野 繁雄  土田國太郎     白井  勇  三木與吉郎     大谷 贇雄  山本 米治     青柳 秀夫  前田 久吉     岡崎真一   堀木 鎌三     西川彌平治
  126. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。    午後六時四十三分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた