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1954-03-26 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)    午後三時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            東   隆君            平林 太一君   政府委員    調達庁総務部会    計課長     横山 正臣君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省管財局長 窪谷 直光君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主計局主    計官      谷川  宏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○財政法第四十二条の特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は調達庁と、それから特にこれを昭和二十九年度だけでやめてしまつてあと延ばさないと、こういうことを菊川君の質問に対して正示さんがお答えになつておりますけれども、私は正示さんがどうこうというわけでなくて、こういう重大な問題を単に次長だけの言明で了承するわけには行かないですから、大蔵大臣とか、或いは副総理とかいうかたがやはり出てもらいたいと思つて、そういう希望を申しておつたわけです。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 調達庁次長がやがて出席いたします。大蔵大臣には連絡しておりますが、大蔵大臣予算委員会に出ております。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 外務省のほうはどうなんですか。
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 外務省合同委員会のほうへ係官全部出向い行つて、今日はここに出席はできかねるということです。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何か時間的に少し余裕はつかないかな。
  8. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) では重ねて連絡いたします。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 お願いいたします。この頂いた資料を中心として、若干いろんな点についてお伺いしたいと思いますが、道路のことですね、それが十カ所、航空基地関係三カ所、キャンプ関係五カ所、こんなふうに資料を頂いておりますけれども、これは数といたしましても僅かなものでございますから、一つこれはどこかということについて具体的に承わりたい。
  10. 谷川宏

    説明員谷川宏君) お答え申上げます。先ず今後使用見込み道路につきまして、この表を御覧頂きますると、十三億二千三百万円となつておりますが、そのうち演習場関係、これが十カ所でございまして三億五千六百万円ということになつておるわけでございまするが、これは妙義山、輪島大島小牧というようなところでございます。それから航空基地関係でございまするが、これは三カ所ございまして、やはり小牧、横田、立川の関係追加分でございます。それからキャンプ関係といたしましては五ヶ所八千四百万円でございまして、これは奈良そのほかでございます。その他の施設関係の三十八カ所は従来決定いたしましたものにつきまして不足のものでございまして、各県にまたがつておるわけでございまして、合計三十八カ所、八億五千九百万円ということになつております。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう少し具体的に伺いたい。
  12. 谷川宏

    説明員谷川宏君) それでは資料で詳しく表にいたしましてお手許に提出することにいたしたいと思います。複雑になつておりますので。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 わかりました。その他の中にレーダーとかラジオビーコンが入つているかつていないか、若し入つているとすればどんなところですか。ここで電探関係で言うと、奥尻と何ですか、これは……。二つ出ておりますね。
  14. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 厳原でございます。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 厳原でございますか。これがあるならば、それを一つ、どことどこかということを……。
  16. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 奥尻厳原につきましては、これは港湾関係でございまして、港湾基地整備ということになつております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 電探基地として、二項としてこう出ているわけです。ですから私は電探基地かと思つたらこれは違うのです。電探基地じやないのですか。
  18. 谷川宏

    説明員谷川宏君) この表の最初のページを御覧頂きますると、(3)として港湾なつておりまして、港湾を分けまして、代替施設と弾薬の荷揚げ施設輸送施設、最後に電探の施設なつておりまして、奥尻厳原につきましては港でございまするが、港の整備をやるわけでございます。港に電探関係施設がございますので。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それではほかに電探基地はどこにあるのですか。ラジオビーコンはどこに入つて来るかということを一つ内訳でお知らせ願いたいと思います。
  20. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 電探基地関係につきましては、道路の二十七年度移替済或いは二十八年度移替済の中に、その他の施設関係というのが、二十七年度におきましては三十九カ所、二十八年度はすでに二十七カ所移替が済んでおりますが、この中に多少電探基地関係道路、電探基地の近くの道路補修をやつた程度の小さいものがございまするが、大きい関係につきましてはそう大して金額が出ていないわけでございます。ラジオビーコンにつきましても同じでございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これは項目のことを私は言つておるわけじやなくて、一応この分け方で言うと、道路なら道路ということになつておつて、その中に道路ばかりじやなくて、電探の施設を直す費用も、或いはラジオビーコン施設も、この中に入つているということなんですか。
  22. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 電探或いはラジオビーコン施設そのもの経費は入つておりません。そのビーコンに至るところの道路、それを補修するとか鋪装するとかいう関係経費は、道路であれば道路のところで見ておりまするし、港湾施設関係でございますると、この電探基地二項だけでございまするが、これは港湾の事項の中に計上しております。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、そういう施設費用安全保障諸費から出ていないわけですか。
  24. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 施設建設費用は出ておりません。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 演習場として挙げられたこの大島というのは、あなたが十カ所のうちに挙げられた妙義輪島大島小牧と、こう挙げられた大島というのは、和歌山県の大島ですか。どこの大島ですか。
  26. 谷川宏

    説明員谷川宏君) この大島和歌山県の大島です。先ほど演習場と申しました中に大島を申上げましたのでございますが、この大島につきましては、主として電探基地でございまするが、その附近の道路につきましてここに入れてあるわけでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はよくわからないんだが、電探の施設安全保障諸費から出さない。道路は出しておる。或いは演習場もそういう費用だとお聞きしたんですが、大島の場合は電探の施設もこの中に入つているわけですか。
  28. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 施設そのもの建設費は入つておりません。この演習場関係と申しまするのは、演習場の近くの道路、或いは演習場演習場との間の道路航空基地関係道路につきましても、航空基地そのもの建設費ではございませんで、航空基地に至るところの軍用道路であります。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、演習場として大島と挙げられたのは電探基地ですね。島で道路を直すと、そういう意味のものとしてここに挙げられておる、そういうふうに了承していいのですか。
  30. 谷川宏

    説明員谷川宏君) そうでございます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 分りました。個々のことをお尋ねしましたから、ついでにもう少し話して頂きたいと思うのですが、二三日前の新聞によりますと、広島県の無人島ですか、何とかいう島ですね。あれを米軍へ提供するということが出ておつたのですが、朝鮮戦争が終れば日本に返してやる。併しそれまでは米軍に提供するということですが、そういう費用はどこから出るのですか、
  32. 谷川宏

    説明員谷川宏君) どこの島でございますか、まだ私、承知しておりませんが、その提供するという場合に、国有財産でございますれば、その国有財産そのものについては補償経費は出ませんが、民有施設がもしありますれば、それを借りるなり、或いは買上げるなりして提供するわけでございますから、その民有施設に対する補償経費が要るわけでございます。それは防衛支出金から出すことになつております。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは島は確かに国有のものですから、私もそう思いますが、そうじやなくて、向いに何とかという町があるのです。忠海ですか、それで忠海港湾施設か何かを直せばやつてもいいのだ。こう了承している。地元の意向がそうだというふうに聞いている。その場合の費用はどこから出るのですか。
  34. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 具体的の状況に基きまして検討する必要はございまするが、その向いの町の港湾施設、これを改修する必要があるのか、或いはそこに何か施設を新たに作る必要があるのかということによりまして異なりますが、若し改修をするということでございますと、米軍がそれを必要とするか、或いはすでに或る港を米軍が専有的に使用しまして、代りの港が要るという場合におきましては、代替港湾施設という意味におきまして、安全保障諸費から支出することになつております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これはまだどこの費目支出するかどうか分りませんのですか。
  36. 谷川宏

    説明員谷川宏君) まだ正式に具体的にどういう補償をするかということが決定しておりませんので、若し決定いたしまして、政府としても、代替施設の新設、或いは補修をするということが必要な場合におきましては、安全保障費の検討中のものという中に四十三億を見てございますので、そこから金を出すことになろうと思います。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 四十三億ではなくて四十三億のほかにまだ予備が十二億とつてあるわけです。
  38. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 十二億と申しますのは、五百六十億のうち十二億を引きました五百四十八億の工事を実施する場合におきまして、米軍の要請によりまして設計変更等が必要になつた場合に出す、そういう意味予備的な経費でございます。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 個々の問題について全部お聞きしたいわけですけれども、これは時間の関係その他いろいろな関係もございましようから、私は非常に便乗して、例えば都市計画とかということで便乗したり、或いは地元が反対するから、まあ何とかそれに報奨的なものとして道路を直すとか或いは港湾を直してやらなければならないということで、無用と言つてはいけないでしようけれども、国家的な見地から見れば相当私は無駄と言えないかも知れないが、特別に優遇したような金の使い方がされておると思うのです。それはちようど公共事業費におけるところの不正使用と同じようなものだと思います。そこで、あなたのほうとして聞きたい点は、例えば東京都内道路作つて行く、都としては当然環状線なら環状線を作ろうという計画はある。それをそこにたまさか倉庫なら倉庫作つたということについて、それを便乗さして、経費をうんと安全保障諸費でみてやつて行くというようなやり方というものは、妥当なものだと考えておいでになるのか。そういうものはこれからどんどんチエツクして行くつもりなのか。具体的な方針を一つ次長さんからお答え願いたいと思います。
  40. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今成瀬委員から御指摘の点は、公共事業その他につきましても、とかくこの便乗ということがありまして、この点、財政当局として常にできるだけ注意を払い、そういうことを避けておるわけであります。安全保障諸費につきましても、この経費性質上、特にそういう面につきましては従来も注意をいたして参つたのであります。併しこういう施設等が設けられる地元といたしましては、又その特殊な関係等からいろいろの御要求のあることも事実であります。そこで私共は、まあ大体道路につきましては建設省港湾につきましては運輸省というふうに、それぞれ所管の省があるわけでございまするから、それらの各省と十分連絡をつけるのみならず、昨日来申上げました施設特別委員会というようなものも作りまして、できるだけ公平な基準等も設けまして、例えば道路等につきましては、自動車がどのくらい使うが、そのうち駐留軍関係はどうであるかというようなこともよく調べます。港湾等につきましても、駐留軍関係にどの程度のものが使われるか、時間的空間的にそういうようなこともできるだけ計量いたしまして、その結果として、これは安全保障諸費で見るべきものであるかどうか。又、見るといたしましても、どの程度見るべきものかというようなことを検討いたすわけであります。そういうふうなやり方て、昨日来申上げましたように従来も極力この便乗等の排除に努めて参つたのでございますが、なお今回財政法四十二条の特例をお願いいたしまして、従来の懸案につきましてなおこれから折衝を行う余地があるものもございます。それらにつきましては一層それらの点を配意いたしまして、従来も十分注意をいたして参つたつもりでございますが、なお今回は一兆予算というふうなことで、更に財政支出を引締めて行くことが必要でございまするから、一層そういう点につきましては注意をして参りたい。かように考えておる次第であります。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう少し具体的にお尋ねするわけですが、世田ケ谷なら世田ケ谷一つ倉庫がありますね。それに対して道路を拡げようとすることがあるわけです。これを都のほうの予算関係を調べましても、二十七年度にも一銭も計上していない。二十八年度にもない。今度二十九年度でそれをやるかやらないか。こういう問題が出て来ると思うんです。計画はあるようです。その計画を見てみると、あそこに外人も家を借りておるわけです。その前は拡げない。某自由党の関係の人がおると、そこの前もよけて道路を拡張して行くというような、そういうやり方をしようとしておるわけなんです。計画を聞いてみれば、これを三十メートル道路にするか、十二メートル道路にするかはまだ決つていない。併しこれは当然安全保障諸費として見てやるんだというような、何だかさつぱりわからないようなことが伝わつておるわけですが、こういうのは私は当然チエツクして然るべきだと思う。そういうような具体的なところをチエツクするかどうか。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指摘の具体的な例につきましては、もとより移替えに際しまして、私どもとしては、この全体の計画を検討いたしておるのでありますが、比較的予備費支出等と同じように支出或いは移替えが決りますると、あとは或る程度まで建設省なら建設省が今度主管官庁になるわけでございます。これは御承知通りでございます。そこで主管官庁が与えられました金額範囲内で最も効率的に又経済的に工事を進めて行くように監督いたす建前なつておることは、御承知通りであります。例えば今のお話、私具体的に詳しく存じませんので、場合によりますと建設省その他からお聞きを頂いたほうがよいかと思いますが、こういうことがあるわけでございます。  道路をつけます場合には無論一直線に行くことが最も望ましいのでありますが、そのために補償を出さなければならん、その補償費が非常に高くかかる。迂回して多少それを避けた場合と補償をする場合と、どちらが多額を要するかというようなことを現実には考えなければならん場合があるかと思います。その結果、これが客観的に、やはりこういうやり方工事方法のほうが経済的であるということがはつきりいたしますれば、場合によるとそういう技術的な方法を講ずる場合があろうかと思います。ただ只今指摘の点につきまして、私、具体的に当つておりませんから、どういう理由かわかりませんが、まあ技術的にはそういうことも考えられるということを一応申上げます。併しながら私どもとしては、もとより先ほど来申上げましたように、国家財政運営に当りましては、事前の折衝に当つても、できるだけ圧縮いたしております。なお実施に際しましても監査をいたしておることは御承知通りでございます。それらの方法等によりまして、不当な支出がございますれば、これは私どもとしてもチエツクして行かなければならないのであります。御指摘でございまするから、それらの点につきましてもよく今後とも注意をして参りたいと考えます。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう少し私は具体的に申すと、東京急行電鉄ですか、もう神奈川県ですね、五十万坪ぐらい土地を買つているわけです。これはもうぐつと値つているわけです。御承知五島慶太さんがやつている、そうして東急だけじや余りにも不動産的なものを取扱うからというので、横浜不動産とか何とかいう第二会社を作つて、而も道路もこういうふうになつて行くのだということを盛んに宣伝して金儲けをやつている。而もこういう安全保障諸費を使つてやらせようという、丁度私は造船利子補給と何ら変らないと思います。やり方というものは。これは法律でなくて、こう延ばしたことによつて、今度建設省とあなたのほうと、つながつてつて行けるわけです。そういう点について具体的にあなたのほうがよく調査されて……建設省だから知らんと、そういう態度なのか。私はやはり相当いかがわしいいろんな話もあなたのほうに聞えて来るだろうと思うから、そういうものを極力チエツクして頂かなければならんと思います。
  44. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今重ねて御指摘の点は、おそらく座間に参る道路のことを……。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうそう座間というのに便乗しているわけです。実際はそうじやないですよ、放射線、東京都の放射の道路関係をしているわけです。
  46. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点、相当技術的な問題のようでございますから、私どもとしては技術的な設計なり或いは工事施工者としての判断をよく聞かなければならんのでありますが、やはり責任者として、その点は十分いろいろの点を考慮した上で、最適と思うところを実行したものと考えておるのでありますが、ただその結果として、道路ができました結果として付近の地価その他が変動するということも無論考えられるわけでございます。只今指摘もございましたが、無論私どもは、事は建設省であるから全然関知しないというようなことは毛頭申上げるつもりはないのでありまして、これは御承知のように、財政運営を総括しておる大蔵省といたしましては、予算配賦なり或いは実行上の監査等におきましてそれぞれ責任を持つておるわけでありますから、それらの点において不当なる支出の行われないように今後とも十分注意して参りたい、こういうように考えておる次第であります。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 都心施設地方へ移して行くというようなことが、こう決められたわけですが、これは少くともこの安全保障諸費予算に計上されてのちに私は話が出て決められたことだと思うのです。こういう予算というものは、今度の財政法の四十二条の金が余つているのだから、そこから出すのだという建前でやつておいでになるのですか。それからこういう費用は、都心から地方へ移る費用安全保障諸費から出ないのですか。
  48. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 安全保障諸費の積算につきまして、予算の計上につきまして、昨日も御説明を申上げたのでございますが、只今お話都心から郊外その他に、いろんな施設を移転するということが、安全保障諸費を計上いたしますそもそもの目的でございました。まあ当時私どもは直接関与をいたしておりませんが、当時の説明等を見ましても、駐留軍関係のいろんな施設都心から郊外その他に移転するために更に施設作つたり、或いはそれに関連して、道路その他の整備をするというふうなことが安全保障諸費の主体であつたことは、これは成瀬議員も御承知通りだと思うのであります。そこで四十二条の特例をお願いいたしました目的として、金が或る程度余つたから、これを繰越権を認めて頂いて、今後もそういうことをやつて行くという趣旨かとのお尋ねでございまするが、これは昨日も申上げましたと思いますが私どもとしては、この二十七年度以来、先方からのいろいろの要求に対しまして、昨日申上げました施設特別委員会等の機関において、非常にこちらとしても微力ながら努力をして参りました。先方相当厖大要求に対しまして、常に当方といたしましては、例えば営繕或いは道路等、すべて日本の規格というものを持出しまして、それを越えるようなものは到底こちらでは施設できない。例えば宿舎等につきましては、相当これは先方のいろいろ特殊の要求もあるのでありますが、それらはすべてお断りを申しておるような次第であります。  そういうふうな努力の結果、大体このお認め頂いた五百六十億の範囲内で賄つて行けるという見込みでおるわけでございまして、これ又、昨日申上げましたように、初めから五百六十億が先に決つたのでは決してないのでありまして、大体の見通しが五百六十億であつたのでありますが、実行上は相当先方との折衝その他に努力をして、やつとこれに収めて来ておるというふうな形になつておるわけであります。そこで、この機会にもう一年限りこの繰越しをお認め頂くならば、大体今まで聞いておりますところの先方からのいろいろの施設関係でなんとか処理をしなければならん問題を、大体処理できるという見通しで、重ねてそういう種類の経費予算に新規に計上することは避けられるという見込みで、この特例法をお願いいたしておる次第であります。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、特損法が前々国会ぐらいに通つておるわけですが、そういうものに基くところの損害補償のお金などというものは安全保障諸費からは全然支払われておらないわけですか。
  50. 谷川宏

    説明員谷川宏君) この安全保障諸費から今お尋ね経費支出する予定になつておりませんし、現に実際支出したことは一つもございません。  特損法関係補償経費は、すべて防衛支出金から出ることになつております。防衛支出金の中には昨日も御説明いたしましたように、米軍に対して交付をする金以外に、提供した施設借料とか補償とか、それらの経費を賄うための金が二十八年度予算におきましては、六十二億円、二十九年度の予算案におきましては五十二億円計上されております。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これは少し脱線というわけですが、関連してお聞きしたいのですが、内灘へ一戸当り五万円ぐらい見舞金という形で出ているわけです。そういうようなのはどこの予算費目から出ているわけですか。
  52. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 只今お尋ね内灘演習場に関連した補償経費でございますが、そのうち見舞金として出しました経費がございますが、これは防衛支出金から出ております。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 防衛支出金のどういうところから出ているのですか。
  54. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 防衛支出金只今申上げました借料その他の補償経費、これが二十八年度予算におきましては六十二億円計上してございます。そのうちから出ております。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あれは内灘だけどうも出ておつただけで、あと見舞金としては出ていないようですね。二、三日前の新聞を見ますと、妙義のほうにも何かこの見舞金をくれというような要求があつた。それに対しては全然出さないのだという。なぜあれは内灘だけ特別に見舞金の出ることを大蔵省は認めたのですか。
  56. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 見舞金としては、内灘以外の地区につきましても見舞金として出すことが適当な箇所につきましては出ておるわけでございまして、ただその見舞金がその見舞をする対象になる事柄の性質によりまして違うわけでございます。例えば行政協定の十八条というのがございまするが、それの規定に該当する場合、例えば飛行機が墜落して被害者が出る、これらの場合に対しましては補償という名前で出ております。併しながら十八条の場合におきましても、米軍責任がないという判定が下つた場合におきまして、なお国として救済をする必要があるという場合におきましては、見舞金という名前でその被害者に対して救済の金を出すことになつております。で、今お尋ね内灘の場合でございますが、それがほかの場合と違う点を申上げますると、内灘につきましては、私ども調達庁のほうを通しまして調査をいたしました結果によりますると、あそこの漁民は全然生業の手段を失つてしまうわけでございまして、こういう点はほかの地区には一つも類例を見ない非常に厳しい被害を受けるわけでございます。従いまして、そういうほかの地区とは比較にならない被害を受けるという意味におきまして、或る程度の金が出ているわけでございます。併しながら妙義の場合につきましては、内灘と違いまして、全然その演習場を全く接収を受けてしまうというようなことはないわけなんでございます。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はここに閣議決定の十八条に基く見舞補償要綱を持つているわけですが、療養見舞と休業見舞、災害見舞、死亡見舞、葬祭料、財産見舞、こんなふうになつておる、見舞金の基準が……。このうちのどれに該当しているか。
  58. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 今お尋ね見舞金の基準は、先ほど御説明申上げました十八条によりまする米軍の行為による事故、その事故の被害に対する見舞金の場合でございまして、内灘の場合には現実に具体的な一つ一つの行為によつて被害が起つたわけではないのでございまして、演習場を設定するということによりまして、間接的に漁業の収入が得られないという場合でございまするので、今お尋ね見舞金の支給基準とは違うわけでございます。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういう基準はどこによつてですか。法律的のものによつてか、何によつてか、それを示して頂きたい。
  60. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 内灘の場合には閣議決定によりまして処理いたしました。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 閣議決定というのはただ内灘に一戸五万円の金を出すという閣議決定かね。基準を作つてのものか。
  62. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 内灘の場合につきましては、閣議決定があつたわけでございますが、その閣議決定の内容は個々の人に対して幾ら幾らということではなしに、全体として大体このくらい手厚く補償するという趣旨の決定があつたのでございます。その閣議決定に基きまして現実に調達庁におきまして現地を調査した結果、その金額その他を算定いたしまして支給をしたことになつたわけです。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 内灘の魚が全然取れなくなつたから金を出したのだとおつしやるが、海面は全然使用してないわけです。魚を取れないことはない。危険区域というのは若干はありますけれどもそうじやないわけです。本当に魚が取れないというのは九十九里浜だとか、或いは関根だとか、或いは今度石川県、富山県にやりましたね、そういうところが取れない。そういうところには一戸当りの見舞金というものは全然出ていないわけです。そうしてあなたの説明では、こういう特別な事情だから出したのだと、この点が違つているのじやないか。
  64. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 今のお尋ねでございますが、内灘の場合におきましても、この海岸を全部接収されることになりますると漁船が出ることができないわけでございます。海面については成るほどそう広い範囲の接収を受けておりませんが、漁船が出ることができないことになりますると結局、漁がないわけです。一方、九十九里につきましては船は出ることはできるわけでございます。で、海面の操業を制限をされた以外のところに出ることができるわけでございまして、九十九里の場合におきましては、やはり閣議決定の補償要綱によりまして実際の損害額を算定いたしまして、現実の被害金額に対しまして補償を払つているわけです。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、あなたのおつしやるのは、内灘の人が全然漁をやつていない。  九十九里や関根の人たちは漁をやつている。だからそこが違うんだと、こういうことですか。
  66. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 成瀬委員にちよつと申上げますが、今日は余り防衛支出金のほうは実は何も余り用意をしておらないのです。安全保障諸費の問題の御審議を願うつもりで参りまして、場合によりましては、防衛支出金も無論これは予算の出ておることでございまするから、改めてこういう調査をして参るよりにとか、或いは防衛支出金について質問をするからよく調べて来いとおつしやつて頂ければ十分調査をいたして来ますが、今日は安全保障諸費と連合国財産補償費のことを調べて来ております関係で、若しできましたら、他日にお譲りを願いたいと思いますが。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も了承します。それは関連的に少し余り広げ過ぎたかも知れませんが、併し私は言いたい点は、道路の問題にしましても、こういうところでも余りにも国の金が政治的に使われておる。そういう点を非常に遺憾としておるからお尋ねを実はしたわけなんです。結論はそういうことなんです。  続いてお尋ねしたいんですが閣議決定、閣議決定と、こういうわけですが、閣議決定したものは、これは参考のためにお聞きしたいんですが、一つの例になるものですか。一ぺん決めてしまえば一ぺんぽつきりで、あと何も影響のないものか。どういうものですか。
  68. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 閣議決定につきましてのお尋ねでございますが、私、そのほうの専門家じやございませんが、私ども常識的に閣議決定にはやはり一回限りのこともあろうかと思いますが、併し又、中には、閣議で方針を決めまして、その内閣がずつと内閣の方針として堅持するもの、或いは次の内閣にまで引継がれるようなものもあろうかと思います。相当永久的なものもあると思いますが、中には例えば年度を限りまして、例えば昭和二十九年度の予算実行に関する閣議決定というふうなこともあろうかと思います。その性質によつていろいろ違うと思うのでありますが、閣議決定はやはり内閣の方針なり或いは関係閣僚の間の統一的なやり方というものが決められるのでございまするから、相当これはやはり行政部内としては最高の重要な方針の決定である、こういうふうにも考えております。例えば只今安全保障諸費等につきまして、この使用をどうするかというふうなことの基準等が閣僚で決りますると、少くとも相当これはいろいろのケースを統一的に処理して行くところの基準である、こういうふうに解釈すべきものと考えております。
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 行政協定の二十六条で紛争というところがあるんですが、実際問題として土地をいやだとかいろんなことを言うと思います。そうしますと、ここで若し解決ができなかつた場合に、日米合同委員会なり、特別委員会で解決されなかつた場合に、それに関連して第三項の解釈は実際問題としてどういうことになるんですか。合同委員会で解決ができなかつた場合には、適当な経路を通じてその問題をそれぞれの政府に更に考慮するように移すものとすると、こういうことなんですが、私はこれに対してお尋ねする趣旨は、四十三億という金が、まだアメリカとの折衝として残されておる問題だとこういうふうに了承するから、そうすると最後には二十六条の第三項で問題が解決して来るんじやないかと、こう思いますから、どういうふうになつて行くのか、その辺のところを一つ説明願いたいと思います。
  70. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 安全保障諸費によりまして支出をする問題の事項につきましても、勿論お尋ねのように二十六条の三項の適用があるわけでございます。で、具体的に申上げますると、安全保障諸費支出をする対象になる経費、例えば道路、どことどこの間の道路が駐留米軍の必要であるという申出でがありまして、施設特別委員会にかかりまして、日米双方の委員で検討した結果、行政協定の実施上止むを得ないという日本側の意見に対しまして、施設特別委員会におきまして決定がなされますると、その決定を日本政府部内の手続きといたしまして、閣議にかけまして、閣議決定に持込みまして、然る上、日本政府の正式の意思をアメリカ政府に表明するわけでございます。そこで調印がなされるわけでございます。その場合に、施設特別委員会におきまして意見の対立がございまして、問題の解決ができないという場合につきましては、更にその合同委員会、先ほどの場合も施設特別委員会の決定を更に上の機関である合同委員会の決定を経るわけでございますが、今度の場合におきましては、更に合同委員会で意見の調整ができないかどうかを検討するわけでございます。そこでなお解決ができないという問題につきましては、閣議の決定を経て、更に米国政府折衝をするということになろうかと思いますが、只今までのところは、大体におきまして、日本政府がどうしても困るというものにつきましては、アメリカ政府におきましても十分その点を考慮いたしまして、何らかの解決を円満に見ているような次第でございます。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、この二十六条の三項に基いての紛争を処理するような問題は大体なさそうだ、それまでに円満に日本政府のほうが大体譲つて行くから、私は円満に解決すると思うのですけれども、大体そういうふうなことで今までは大体解決されて来ておる、或いは今後残されておる問題についても大体そういうような見通しであると、こういうふうに了承していいわけですか。
  72. 谷川宏

    説明員谷川宏君) その点につきましては、大蔵省よりも外務省が所管の役所でございまするが、必ずしもお説のように日本政府が全面的に譲るということではないのでございまして、従来におきましても、相当日本政府全体といたしまして、全体としてどうしても具合悪いという点につきましては、アメリカ政府に十分その意思を徹底させるように努めて来たわけでございます。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういうふうにおつしやるんなら開き直つて聞きますが、日本原というのがあるんですよ。全然使つていないわけですよ。あれは返して貰つたらいいんじやないですか。返して貰つたら。
  74. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 日本原の演習場につきましては、詳しくは私、存じませんが、現在使つていない。まだ正式に提供はしていないという場合におきまして、これを提供することに決定するという経緯につきましては、相当日米間に折衝があつたわけでございますが、現在使つていないものにつきましては、極力日本政府としましては提供を遠慮して貰いたいということで話を進めて行くのが、大体の方針だと存じ上げる次第でございます。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 こういう問題は外務省にやる問題で、あなたのほうにも施設特別委員会の中に大蔵省関係の人も入つている。議長は調達庁がやつておられるが、あなたのほうの人も入つておるから、関連してお尋ねしておつたのですが、外務省にやるのが当り前ですから、外務省の人が見えてからお聞きしたいと思つております。  次に伺いたいのは、保安隊が一緒に……関根なんかが一番いい例かと思うのです。実際に私も各所で使つているから知つていますが、保安隊が使つてつた場合に、アメリカの許可を得て使つておると言うから、それは使うことの是非は大蔵省関係はないと思いますが、もしそこで不幸にして何か事故が起きた場合、その補償というものはどこがやつてくれるのですか。
  76. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 今お尋ねの場合でございまするが、具体的な場合によりまして考え方が違うと思いますので、事故というのでございますが、例をもう少し詳しくお示し願いたいと思います。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 立入り禁止の日高門別なら日高門別で実弾射撃をやつております。そのときに、アメリカのときに立入つてはいかん、保安隊の人達も立入つてはいかんと言う。そこでたまさか漁船が危険区域に入つたか、そのそばを通つたということで、流れ弾に当つたという場合の補償、それから或いは関根なんかにおけるところの仮に実弾射撃をやるために付近の山が燃えたというような、そういう土地の物件に対して被害を与えた、そういう事例ですね。そんなものについて御説明願えればいいと思います。
  78. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 只今の例の場合につきましては、その行為者が米軍ではなしに保安隊の職員でもるという場合であれば、勿論これは米軍責任にするというわけには参りませんので、保安隊におきまして適当な措置を講ずることになろうかと思います。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その場合に指揮者というのですか、指導者というのですか、そういうのはアメリカの人でもいいのです。
  80. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 今、仮定の問題のようでございますが……。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや仮定じやないですよ。
  82. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 非常に難かしい御質問でございますが、これは保安庁当局あたりが参りませんと、保安隊が米軍の指揮の下に動いておつて、こういう事故があつて補償するというような場合に、実はまだぶつかつたことがございませんので、それらにつきましても適切な御回答を申上げることは困難のように存じますから、別に一つお願いをできれば大変幸甚でございます。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この扱いについては委員長あとでお願いしたいと思いますが、もう一点こういうことについて関連してお尋ねしたいと思いますことは、外務省も十分特別委員会などにおいてアメリカと折衝して、取られないようにがんばつてくれる、又今度は逆にアメリカの圧力に屈してどうしても提供しなければならないという結論として、日米合同委員会に出した、閣議にも提訴した、例えば実例を取れば、妙義です。妙義地元の人達は、いやだとがんばつて来ます。そうしますと、強制収用いわゆる土地收用法にかけては私は取つて行かないと思うのであります。そこで大蔵省は最後に沢山あなたのところは金を出して進んでもらわなければならないような段階に追込まれて来ると思うのです、その場合には大体ノーズロース的に、あなたの方は幾らでも金を出して、金で解決するということを了承しているのか、これ以上は絶対に金を出さんという押えを以てやつているのか、その辺の一つ御所見を伺いたいと思います。
  84. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど来、縷々申したところで御了解を頂いたと思うのですが、私どもはすべて、いわば納税者から頂戴いたしました血税でございまするから、いやしくも如何なる経費についてもお言葉の通りの幾らでも出すというふうな考え方を持つたことは一度もございません。特に安全保障諸費のごとく、昨日来、別の委員の方々からも御指摘のように細かく内訳も示さないで国会の議決を得ておる予算でございますから、これはその支出については特に厳重にそういう点について注意すべきであるということは、当初から国会のほうからもしばしば御要求を受けておるところであります。たびたび申上げましたように、米軍との折衝でございますから、いろ  いろ技術的に困難な面もございますが、我々微力でありますが、最善を尽して、そういう点については折衝いたすと共に、国内的にも各地のいろいろの御要求がございますが、それらに対しましても一つでも、甘い、いわゆる甘いやり方をやつたのでは、ほかに非常に影響するところが大きいという点については、財政を預かる事務当局といたしまして、常に心を砕いておるのであります。そのために、先ほども申上げましたような各省との折衝或いは施設特別委員会等の連絡方法を講じまして、横のバランス、縦のバランス、常にバランスをよく考えますとともに、全体の歳出のできる限りの圧縮ということに意を用いておるのでありまして、只今重ねての御質問のように、幾らでも金を出して円満に事を解決すればいいのだというようなことを、かりそめにも考えたことはございませんし、今後ともそういう考え方はいたさないで、お認め頂いた金額範囲内におきましても、これをできる限り圧縮しまして、実行上少しでも節約を図つて参りたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  85. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういう抽象論じやなくて、私は具体的なことでやりますと、妙義補償を見てみますと、牧草地が坪千円だと言うのです。買う場合に……。坪千円なんですよ。付近の山林の賃貸料が年確か七十七銭だと記憶しておりますが、そんな恰好だと思うのです。そういうものをやられる場合、具体的な何からこう千円を弾き出したのか、立木は全然ない。どういうので弾き出されておるのか。あなたの方は妥当だと了承しておられるのですか。
  86. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 調達庁をお呼び頂いたのでしようか。
  87. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 調達庁は頻りに出席要求しておりますが、次長は一、二時間のうちにはこちらに参るということでありましたが、まだ見えませんので、今至急出席方を要求しておるのであります。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは只今妙義山の問題は具体的なケースでございますので、これは直接調達庁からお答え頂くのが筋かと思うのでありますが、まだお見えになりませんので、便宜、谷川主計官の知つておることだけを具体的に申上げます。
  89. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 只今お尋ね妙義演習場米軍の山嶽訓練場の用地として買収する土地の買収価格の点でございますが、この評価につきましては調達庁におきまして現地を調査いたし、慎重に検討した上決定されたものだと思いまするが、その評価の基準といたしましては、閣議決定の補償要綱というのがございまして、その要綱によりますると、第四条にございまして、附近の近傍類地の価格、売買価格を一応参酌することもできる、ということになつております。お尋ね妙義山の場合におきましては、軽井沢寄りのほうの一つ峠を越した所におきまして売買された実例がございまして、たしか坪三千円で取引されているという例を承知しているのでございますが、三千円は相当高すぎる。又、土地の地理的な条件におきましてもやや劣つておるという関係を考慮いたしまして、大体千円程度で買うということに調達庁が決定したというふうに承知いたしておるのであります。
  90. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 三千円でできたところというのは、軽井沢なら軽井沢のところでしよう。妙義のあの山のてつぺんと、こんなふうなところは、現地においでにならなくても御想像がつくと思う。坪三千円する場所はどの辺かということは、地図の上から、交通の上から、いろいろなところから割出して、わかると思う。それだから、あそこの辺も千円として妥当だろう、こういうふうにおつしやるかも知れませんけれども、私たちはそういうふうじやなくても、非常に犠牲を払つてもらうのだから、これについては一つ十分にやろうという、多分に政治的な値段が積み重なつた値段だと、こう思つておるのです。
  91. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 只今お尋ねでございますが、必ずしもお説の通り決定したわけではございませんで、実際調達庁の職員が現地を調査いたしまして、どのくらいの距離が離れているか、或いは地理的の条件の差がどの程度であるかということを慎重に調査した結果、弾き出された値段と了解して頂きたいと思います。
  92. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは現地に行つて云云じやなくて、あなたのほうには直接的なことじやなくて、間接的な問題になるから、押問答をしても何ですから、調達庁のかたが来てから言うことにいたしたいと思いますが、そうしますと、結局ちよつと条文でお尋ねするわけですが、二十九年度に繰越すものは、二十七年度にあつたものを二十八年度で使つて行つてなお残つたものを二十九年度に繰越して行く。そうして二十九年度に若しこのことが完了をしなかつたといつた場合にはどうせられるのですか。
  93. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 昨日も申上げました通りに、今回限り繰越をお認め頂ければ、二十九年中にはすべて工事完了という大体の見通しを持つておるわけです。併しどうしても工事が進行中、思わざる不測の事故ができまして、すでに契約は全部済んでおるけれども工事が完了しないので支払いが少し残つたという事態が起りました場合には、これは財政法の事故繰越ということがございますのは御承知通りでございますから、それによつて事故繰越ができるのでありますから、今回の特例法としてお認め願うこととは意味が違つて参ることになるわけであります。併しながら私どもとしては、心構えとして、こういう経費はできる限りそういうふうに長くやるべきものではないというふうに考えます。大体二十九年度中に工事が完了するというふうに考えております。
  94. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、正示さんが先ほど、都心から地方へ移つて行くものを一番大きな狙いとしてこういう予算が計上されておるということをおつしやつた。二十九年度の計画ですね、或いは今までやつておいでなつたことが大体それにおいて目的を達成されて、或いは二十九年度でやつてしまわれると、大体そうすれば都心から地方のほうへ殆んど行つてしまうのだと、こういう見通しがあるわけですか。
  95. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは都心ということの考え方の問題にも、或いは関連するのかとも思いますが、大体施設で一番大きなのは、昨日も申上げましたように、営繕が一番多いのでありますが、現在まだ東京の真中あたりで相当民間の方々の施設を接収等をいたしております。これらのものが大体施設ができることによりまして分散をする。それは併しなお都心じやないかというようなところが現実において残るかと思いますが、大体やはり中央部から分散して行く。そのためのいろいろ施設をこれによつて作るのである、こういうふうに了解をいたしております。
  96. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは国有土地とか、或いは国有の建物というなら別です。民有の建物をひつくるめての話なんです。
  97. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 原則は民間国有を通じてでございますが、併しいずれを先にするかというときには、むしろ私は民間を先にするわけであります。御承知のように大蔵省自身が今接収されている、虎の門で。まだ我々仮住いでございますが、これらは大体最後になつておりまして、いずれ施設ができますとあけて頂くことになつております。
  98. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は具体的にちよつと承わるのですが、これも調達庁関係、或いは外務省がお見えにならなければちよつとわからないと思いますが、名古屋の真ん中に、名古屋だけだと思うのですよ。真ん中にアメリカ村というのがある。非常に格好が悪い。今度二十九年度にやらないと、もうおしまいだと思う。その費用がどこから出るかというと又問題だと思う。そういうものはどういうふうにされるか、その見通しですね。それと今後のやり方というのはどうされるのか。
  99. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 只今お尋ねの名古屋の町の中のアメリカ村という駐留米軍の家族の宿舎でございますが、土地建物等も国有でございまして、今、正示次長からお話がございましたように、できるだけ町の真ん中から周辺に移す、移つてもらうという点につきましては、できるだけ国有につきましてもそうするように、外務省から米軍当局に対しまして話はしてあるのでございまするが、何分占領中相当厖大施設都心にございましたので、一時に全部移つてもらうということにはなりませんし、又、駐留米軍の家族等につきましても、自衛力の増強によりましてだんだん減つて行くというような関係もございますので、その中にはお尋ねの箇所につきましても、名古屋の周辺の適当な施設に移ることができると存じまするが、時期等につきましては只今お答えできないのでございます。
  100. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは土地も建物も国有だとおつしやるのですが、実際は、私も記憶ありませんけれども、地主がおる。民有地もあるわけです。面積は記憶ありませんが、町の格好から言つたら、私は町の真ん中をアメリカ村として、日本人は横切つちやいけない、こういうのは一つだけだろうと思う。これが飛行場とか何とかというならば別ですよ。こういう村としてアメリカ人の住宅がある。そういうことに対して、こちらのほうから、そういうものは都心から出てくれと、そういう働きかけは、これは外務省に聞かなければならないが、日本がやらせるのか、或いは向うのほうから俺のほうの家族を移したいというので、こちらのほうから受けて立つような恰好になつているのか。どういうふうですか。
  101. 谷川宏

    説明員谷川宏君) それは只今の場合につきましては、日本側におきまして要求をするという場合におきましては、日本政府のほうから要求するわけでございます。中にはアメリカ当局のほうで、兵力の関係でここは要らなくなつたからという申入れがある場合もございますが、日本政府の立場からどいてくれという場合には、勿論、日本政府のほうから積極的に申出をしまして、強硬に主張するわけでございます。
  102. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国連関係のことについて少しお尋ねしたいと思いますが、国連軍協定が今できておるようでございますが、その前の問題ですね、実際講和発効後九十日以降に向うは立退いて行かなければならない。ところが岡崎・ラスク交換公文、吉田・アチソン交換公文によつてあの人たちは、おるわけです。その金というのはどこから支払われるのか。今までに相当ああいうものに対する金額が支払われていると思うのですが。
  103. 谷川宏

    説明員谷川宏君) この法案の関係ではございませんのですが、お答えいたしますると、お尋ねの問題は主として国連軍の使用している民有施設の使用料というものだと思いまするが、占領中は勿論、終戦処理費で日本政府が負担しておりました。講和発効以降におきましては国連軍側と協定ができまして、全部国連軍側が負担するということになつております。現実に金をもらつておるわけです。二十八年度におきましては、予算書にも明示されておりまするが、一応国連軍の使用施設借料としまして、日本政府が一旦その所有主に支払いをいたしまするが、その後で国連軍から償還を受けるということになつております。
  104. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは国連軍協定がつい最近できたわけですね。それとも、あれはずつと遡るわけですか、そうすると。
  105. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 遡ることが適当なものにつきましては、遡り得るような協定になつております。
  106. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 金は実際は延び延びになつて支払わずに……実際はそれではなぜ支払わないかと聞くと、実際立替払いをしているという場合には、後で金がもらえないという大変なことになつたり、或いは負担が重くなるからというので、実際はずるずるべつたりに支払わずに来ておるのが多いと思うのです、実際問題は。殆んどもう支払つてしまつたのですか。
  107. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 全部支払つております。
  108. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、例えば岩国の姫小島の、或いはあの辺の漁場の問題、或いは呉地区のいろいろ問題が起きておりますね。そういうものは全部支払つてしまつたのですか。
  109. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 先ほどお答えの中で申しましたように、民有の使用施設借料の問題について、先ほどお答えしたのでございまするが、それ以外の問題につきましては、未解決の問題がございまして、協定ができましたので、外務省のほうで目下先方とその費用の負担につきまして交渉をしているわけでございます。
  110. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  111. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて。
  112. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今まで支払われた金はどういうところから支払われているのですか、予算では。
  113. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 国連軍に提供いたしました民有施設の使用料を支弁いたしました科目は、調達庁所管の英連邦軍使用施設諸費立替金という科目から出ております。
  114. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと私は予算書を持つて来ておらんのでわからないのですが、何かそういう費目があるのですか。調達庁の中に二十六年度、或いは二十七年度もあつたわけですか。
  115. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 二十八年度の予算書にございます。
  116. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、二十八年度にそれは初めて支払われて、二十五年や二十六年、二十七年は支払われていないわけですか。
  117. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 先ほどお答え申しましたように、占領期間中におきましては、終戦処理費から払われておりますが、講和発効以降におきましては、二十七年度につきましては、その取りきめができたのが予算編成後でございましたので、一応予備費から支出をいたしまして、二十八年度におきましては正規に国会の承認を受けました予算の科目から出ております。
  118. 東隆

    ○東隆君 先ほど成瀬君に答えられた中で、安全保障諸費施設のほうには使わない、こういうふうにお答えになつておりますが、これは今後使わないという意味ですか。
  119. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 先ほどのお尋ねは、例えば飛行場の滑走路そのもの、或いは電探施設そのものという、そういう建設経費には使わないということを申したのでございまするが、今お尋ね施設という意味が、営繕関係施設宿舎等ということでございますれば、勿論、施設にも使うわけでございます。
  120. 東隆

    ○東隆君 この頂いておる刷物の区分のところに、五番員に通信施設、それから六番目に保安施設、こういうのがありまして、このうち通信施設は二十八年度に出しております。それから今後の使用分についてもかなり出ておる。それから六の保安施設、これはありませんか、将来この金が使用見込みが立たない時に、いろいろの方面にこれが使われる惧れがあるのでございますが、今ここに掲げてある中身をいずれはつきりさして頂けるだろうと思いますが、それ以外には何も出てないのですか。
  121. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 東委員は昨日おいでなつたかどうか知りませんが、この表につきましては昨日御説明申上げたのでありますが、この通信施設なり保安施設というのは、通信施設について先ず申上げますと、大体はこの下のほうの営繕といたしまして、その営繕に伴う通信施設を上に挙げておるわけでございます。それから保安施設というのは、これは全く特殊なものでございまして、二十七年度に五百六十億の安全保障諸費をお認め願う際に、保安大学と、ヘリコプターを二機買うということを国会のほうに御説明をいたしたようでございます。これは私おりませんでしたので後で聞きました。その二つがここに上つておるわけでありまして、先ほど申上げました趣旨は、こういう施設のことではないのでありまして、例えば駐留米軍が電探施設を設ける場合に、その施設日本側で作るのか或いはレーダーの施設日本側で作るというのかという成瀬先生の御質問に対しまして、それは私のほうでは作りません、こういうことを申上げたのであります。そこで更に今後、それじやこういうふうに一応分けておるが、いろいろ入りくりがあつて、宿舎とかいろいろ言つておるけれども、そういうものじやなくて、別の施設を作るようなことがあるのじやないかという御質問でございますが、そういうふうには一応考えておりません、私ども今まで折衝しましてできました内訳がここに挙げましたようになつておるわけであります、こういう内訳で大体この経費を使つて行くということを申上げておるわけであります。而もこの枠の中で、できるだけ節約をして行きたい。こういうことを申上げておるわけであります。
  122. 東隆

    ○東隆君 今挙げられた保安大学とヘリコプターの問題ですが、これは当初安全保障諸費の中身が非常にはつきりしておらんから、それで、この保安大学と、それからヘリコプター、これは今恐らく元の警察予備隊それから保安隊、そこで使用しておるものだと、こう思いますが、その関係のものじやないですか。
  123. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) その分でございます。
  124. 東隆

    ○東隆君 そこで非常に問題になるわけですが、この安全保障諸費というものは、少くとも保安隊のために使われておる。保安隊用に使われておる。こういう問題が出て来ておるわけです。これは国会にお話しになつたとかその他いろいろなことをおつしやつておりますけれども、私は当初、安全保障費の中身をはつきりさせないと……、そして而も保安隊関係経費が未使用分で以て相当残されておる。いろいろな関係がある。そういうような場合に、こちらのほうの経費を以てやつておるということは、これは私は非常に国会の審議権を無視して使つたことになると思うのですが、その点はどうでしよう。
  125. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 重ねて申上げますが、実は保安施設としまして保安庁関係に使いましたのは、この九億三千万円だけでございまして、なお今後もこれを使うという予定は全然ございません。これは上の欄にございますように、昭和二十七年度におきまして移し替えた分、一番上の欄に区分を書いておるのであります。そこで審議権との関係でございますが、これは安全保障諸費を出しましたときの説明といたしまして、まあ主体はどこまでも駐留軍関係の、先ほど申上げた代替施設その他に使うのであります。ただ安全保障という意味から保安隊のこういう経費も使うということを御説明申上げておつたわけであります。而もそれはこれだけでございまして、その後、今、東委員がおつしやいました通りに保安庁の関係経費相当予算でお認め願いましたので、この後はこういうものには使つていないのであります。これは二十七年度として使いました分でありまして、このときの国会の御審議に際しましても一応申上げて議決を願つた、こういうふうに私どもは伺つておるわけであります。
  126. 東隆

    ○東隆君 最初に実はこの安全保障費の中身をはつきりさしておらんために流用されたという形になるのです、これは……。それでなお中身が非常にはつきりしておらんわけです。今後における使用についてもはつきりしておらんわけであります。それについて後刻その内訳について詳細なものを頂戴することになつておりますが、私はこの経費そのものの中身からいつて、将来なおほかの部分に流用されるような虞れが多分にある。私はこれはやはりその点、過去において一度犯したことがあるのですから、それで又、短期間の間にそういうようなことが行われないとも限りませんので、これはもう少し責任のある、一つ上の責任のある人からお聞きをしておいたほうがいいと、こう思います。
  127. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お言葉をお返しするようで申訳ないのですが、私は主計局次長としまして全責任を持つてお答え申上げますが、これは先ほども申上げましたように、安全保障諸費を計上する際に、国会においても御説明を申上げました保安隊関係の唯一の経費でございます。その分につきましての、これも流用とおつしやいまするが、すべて道路にいたしますと建設省所管に移し替え、港湾にいたしますると運輸省所管に移し替えますと同じように、保安施設につきましては保安庁の所管に移し替えまして使つたのでありまして、而もそれは当初予算におきまして御説明を申上げておつたところでございまするから、目的以外に流用いたしたものとは考えないのであります。併しその後におきまして保安庁関係予算もだんだんお認めを頂いておりまするので、もはやそういう必要はございませんので、今後この安全保障諸費の使用に当りまして只今お手許にお配りいたしました以外の目的に使用するというふうなことは毛頭考えておりませんから、その点は私で誠に不足でございましようが、申上げるところは御了承を賜わりたいと思います。
  128. 東隆

    ○東隆君 私はこの繰越の四十二条による特例ですが、二年繰越問題は、独立した日本として、非常に何か日本の国に対して国威、国威というものはもうないでしようけれども、それを犯されているような気が非常にしてならんです。その一点ですね。それは特にこの問題について繰越の又繰越をやるのですから、その点を満足させるような一つ御答弁ができますか。
  129. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この法律案を提出いたしました趣旨といたしましては、たびたび申上げましたように、まあ財政法四十二条の事故繰越というのが本来の繰越の明許を頂きました以外の繰越の場合なのでありますが、まあ相手が駐留軍関係でございまするので、実質的には殆んど契約ができるような段階に至りましても、なお最終的な契約のできないようなものがあるということが、大きな理由になつておることは、たびたび申上げた通りであります。  それからもう一つ只今委員がおつしやられました誇りというふうな点から申しますと、私どもはむしろこういう経費をこの際二度と再び予算に新しく計上するようなことをできるだけ避けて参りたいというふうに考えておるのでありまして、そのためにこそ今回のこの特例法案をお願いいたしておるとも申上げておるのであります。即ち昭和二十七年度にお認め頂きまして、本来ならば今日までに話をすべて付け、工事等も完了できるような段階に来ておればよかつたのでありますが、一つには相手が駐留軍であるというような特殊性、又、二つには国会のこの御議決を願つた御趣旨からいいましても、先ほど来縷々申上げたように、できる限り圧縮を図りたいという我々の気持がございましたので、施設等につきましても相当折衝に手間取つたというような点もございます。そういうことで、まあ思つた通りに二十八年度を以て支出を完了することができないのでございますから、そこでもう一度、二十九年度にまで繰越さして頂きたい。そうすれば新らしく予算に計上しないで済むわけでございます。むしろ私どもとしては、気持の上では、こういう経費をもう一度予算に計上するということを避けることが、独立を遂げた国として、気持の上から言つてもいいんじやないか、こういう気持からやつておるのでありまして、併し繰越をお認め願つたといたしましても、それを全部使つてしまうという考えは毛頭持つておりませんので、でき得る限り与えられた権限の範囲内で折衝にも強く臨んで参りますし、使用に当りましてはできるだけ節約を図つて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。
  130. 東隆

    ○東隆君 私は相手が駐留軍であるが故に繰越をしたものをもう一度繰越をする、こういうところに非常に不満足なところがあるのであります。そこで、こういう予算を再び組むことが却つて誇りを傷つけるのじやないか、こういうのですが、私はこの関係のものを分けてみますと、建設省関係、主として建設省関係に多いのです。そういうような方面にこれは当然移し替えて、そうしてやつてしまえば、これは何も問題でないと思うのです。それはどうでございましようか。
  131. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これはすべて建設省なら建設省へ移し替えるわけでございます。
  132. 東隆

    ○東隆君 勿論そうですが、予算そのものを移してしまえばいいんじやないですか。
  133. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 予算そのものを移し替えるということは、要するに、これを一応全部不用にして、そうして新らしく予算に組むという御趣旨かというふうに拝聴するのでありますが、それでございますと、これは新規に予算を計上するということになります。そこで折角二十七年度にお認めを願つた予算でありまするから、実行に当つてはすべて所管に移しておるわけであります。そのやり方でもう一年度限りやつて行きたい、こういうつもりなのであります。
  134. 東隆

    ○東隆君 私は、移し替えて、そうしてはつきりさしたほうがいいように思いますが、それは昨日、この前の委員会のときにも問題になつた、例の一兆予算からはみ出るのが百六十八億六千五百万円ですね。
  135. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは重ねて申上げますが、百六十八億六千五百万円の大部分は事故繰越のできる金なんでございます。財政法四十二条で、すでに契約さえ済んでおれば大体事故繰越ということを財政法でお認め願つておるわけであります。ところが、なお契約に至らんものが、昨日も申上げましたように、最後のほうに四十三億ほどございます。それと予備費の経費があるわけであります。この分がいわば今回新らしく権限をお認め願つて繰越せる分なんであります。ですから、厳密に言いますと、本来、財政法四十二条で繰越し得ないものというのは、まあ予備費を入れますと五十六億くらいございますか、そんな金額だけであります。それから一兆円予算との関係、昨日も菊川委員でありましたかに申上げたのでありますが、私どもは九千九百九十五億という今度の予算は、これはお認め願つても、すべてそれを使うというふうには考えておりません。やはりでき得る限り節約を図つて行きたいというふうに考えておるのでありますから、すべて九千九百九十五億にこれがプラスされるというふうにもお考え願わなくてもいいんじやないか。なおこれらの経費につきましても、今後とも物価等の動きも見まして、できるだけ圧縮を図つて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。
  136. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 外務省の伊関国際協力局長が見えられましたので、先ほど留保しておきました成瀬委員の御質疑をこの際お願いいたします。
  137. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 伊関局長お尋ねするわけですが、この安全保障諸費の二十九年度繰越にかかつて四十三億九千百万円という金が出て来た。これはどこかと、こう言つて説明を求めますと、それが妙義も含めまして問題が出ておるわけですが、今問題になつておる北海道十勝郡の大津、それから青森県の岩木山麓の問題等があるかと思いますが、そういうものは今のところ日米合同委員会としてどんな進捗状況にあるか、御説明願いたいと思います。
  138. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 昨年の十二月一日から個々施設につきましては調達庁のほうに事務を全部移管いたしましたので、私のほうは大体の報告しか聞いておりません。現在の折衝、交渉状況の細目については私は存じません。
  139. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、あなたは十二月に移されたのですか。それまではどんなふうになつておつたのですか。まだ何にも日本側としては、こういうことは不適当であるという主張の下に、成るべくならやめてもらいたいという主張であつたと思うのです。それに対して向うはいかんと、強硬な要求であつたのか。十二月までのあなたの所管であつたそれまでのいきさつを御説明願いたいと思います。
  140. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 妙義につきましては、それまでにすでに話が閣議決定もついておりまして、大津につきましては、我々のほうでは必要と認めまして、現地との折衝を開始しておつたか、開始する直前であつたと思います。岩木山につきましては、そのときは問題になつておりませんでした。関根のほうを提供する……。
  141. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、岩木は全然アメリカのほうも要求を放棄したという形ですか。
  142. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 昨年の十一月までのお話をしているわけでありまして、その後どういうふうなお話がありましたか、私のほうの所管と違いますので、聞いておりません。
  143. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、魚釣島ですね、リイン島というのですか。日本の領海になるところですが、あの辺のところはどういうふうになつているのですか。
  144. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) あれは行政協定の問題になりますかどうか、ちよつとそういう話がございまして……沖繩の南でございますね。私のほうもあの点は詳しいことは存じません。
  145. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 成瀬君に申上げますが、何か現に外務省の国際協力局長の所管の事項について是非出席を求めたい、こういうお話でありましたから、時間の関係もありますから、その点、集約して御質問願います。
  146. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はリイン島のほうもあなたのほうから話合いに出ておるかと思つてつたのです。ところが、それが別の問題だとおつしやるので、私もどこの所管だかわかりかねておるのです。それはそれとして、次にお尋ねしたい点は、あなたのほうに十二月までに要求をしておつたのは十カ所ある。そうして詳しい点については大蔵省のほうから明細書を出すとおつしやつたのですが、小牧飛行場なら小牧飛行場の第二次拡張の要求は出ておるのですか。いないのですか。今、賠償措置ができたわけですね。次の要求は出ているのですか、出ていないのですか。
  147. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) これはちよつと調べて見ませんとはつきりいたしませんが、正式な要求が出ておつたかどうかと申しますと、私はむしろ出ていないのではないか。併し先方はそういうことは前々から希望しておりまして、懸案のままになつておるというふうな形じやないかと私は記憶いたしております。
  148. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、アメリカの要求というものは一つの文書ですか。或いはまあ口頭で正式に日米合同委員会に持出されて、それが施設特別委員会とか、前の演習場委員会とか何とか言うのがあつたらしいのですが、そういうところに話が下つて来て、その結論が出たというのを、又、合同委員会にも行く、こう思つてつたのですが、普通そういう施設要求をされるような場合にはどういう形式であなたのところへ来ておるわけですか、そういう正式のものじやないとおつしやるなら……。
  149. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 今おつしやつたように、手続はその通りでありまして、昔でありますと合同委員会に文書で出まして、それから各分科委員会のほうで検討いたしまして、又、合同委員会から返事をする。只今施設特別委員会のほうに要求が出るわけでありますが、併し問題によりましては相当重大な問題等につきましては、文書を出します前に、向う側から口頭で、こういうふうなことを考えておるのだが、この点どうだろうかというような、事実上の文書が出る前の話があることもあるわけであります。文書は勿論出るわけでありますが、文書が出る前に、しよつちゆう会つておりますから、そのときに、こういうことを考えておるのだがということを、こちらのほうの下準備もございますから、そういうこともございます。
  150. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういう下準備も、私は確かにそういうことが普通の事務をスムースに運んで行く上においては或る程度必要だと思います。そういうものが出て来た場合には、もうすでに施設委員会のほうに、こんな話もある。だから若干準備をしておけというふうに話を下げて行かれるわけですか。
  151. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 大体そういう話がありますと、何と言いますか、向うもこういうことを考えておるが、いろいろと書類を出します前には、向うの部内の手続きもありますし、それから詳しく面積を計つたりなんかというような点もありますので、書類は少し遅れるが、こういうことをいつ要求するというようなことがありますれば、引続いて出て来るわけです。小牧の場合にはそういう書類は出ていなかつたように記憶しておるのです。前々から、滑走路が短かい。これは日本の飛行場の大部分について言えるのでありますが、今にこれでは足りなくなる、将来の問題としては、どうしても小牧とか伊丹の滑走路拡張問題があるということは、一般論として前から言つておるわけでありまして、ですから私は書類は出ていないと記憶しております。一般論として我々は知つておるわけです。
  152. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 都心から地方のほうへ施設を移して行くと、こういうふうな場合に、先ほど大蔵省のほうからも御答弁願つたわけですが、日本政府として都心のこういうところがある、これは民有国有を問わなくて、こういうところを一つ都心から地方のほうへ移つてもらいたいという要求は、あなたの手許でまとめて出されておるかどうか。
  153. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その通りでございまして、我々のほうで案を作りまして、折衝しておるわけでございます。日本側でこれこれのものを移して欲しいという案を作るわけでございます。
  154. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実はこういうことをお尋ねしたのは、あなたもお聞きになつたと思うのですが、名古屋の真中に、アメリカ村というものがあるわけです。当然あなたのほうの案の中に入つて折衝されたと、こう思つておるわけです。そうなつておるのか。折衝されたとするならば若干そのいきさつをお聞かせ願いたいと思います。
  155. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) あれは今直ぐあれを移すという分には入つておりませんで、私はたしかあれは逐次米軍も減つて参りましようし、少し問題を先に延ばして行くというようなことになつておると思います。
  156. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、アメリカの兵隊はだんだん減つて行く、それだからそういうものも勘案しておる。そうすると、そこは大体名古屋なら名古屋のものは減つてしまう。だんだん帰つて行けばなくなるから、それであと廻しだ、こういう解釈なんですか。そこのところもうちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  157. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 全般に都心から郊外へ移す計画をいたしましたときに、いわゆる家族宿舎というものにつきましてはこれを二次的に置いておりまして、兵舎とかその他のもののほうを主として空けて行つたのです。勿論、経費にうんと余裕があればそういうものもやるべきではないかということも考えましたけれども、併しまあ宿舎のほうはややあと廻しというような考えで案を作つておりました。
  158. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何か委員長から時間が余りないということですから、最後にお尋ねしたいのですが、アメリカとの間に合同委員会で、例えば妙義を提供すると閣議決定されて、向うにも公文書が出ておる。ところが実際は地元が反対した、そうすると、私は強制的に若し取上げようとするならば土地收用法に基くほかないと思うのです。そうするとここに半年乃至、一年ぐらいはどんなに考えても時間がかかると思うのです。そういうようなことが起きて来ると心配するわけですが、それでもあなたのほうは強行して行こう、一遍閣議で決定してしまえばそれ以外に途がないと、こういうふうにお考えですか。
  159. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 閣議決定をしたから強行するというのではございませんで、閣議決定をしましても、若し以後に必要がなくなればやめてもいいわけですが、依然としてあの妙義地区は必要だと思つておりますから、今後も成るべく早く現実に渡せるようにやつておるわけです。
  160. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もうちよつと……。アメリカは大体、私は朝鮮戦争がああいうふうな形で休戦状態に入つてアメリカ軍も減つて行くというような場合に、山麓は必要じやないのじやないかということも考えられるのじやないか思うのです。もともとアメリカの要求しておつたのは、朝鮮戦争の山岳の訓練をするから……こういうような打ち出し方ではなかつたかと思うのです、必要だという理由は、それをあなたはまだ必要だと、こう思われるわけですが、私はアメリカはそういう事由の下に要求して来たのではないかと思うのです。別なことで要求しておりますか。
  161. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 朝鮮の経験に基きまして、米兵は足が弱い、山岳戦の訓練に慣れておらんということで、ああいうものを要求したわけでありまして、それは何も朝鮮のために要求したのではありません。日本の防衛軍として、日本も朝鮮と同じような地形で、山岳が多いから、日本を守るためにやはり米兵は山岳戦の訓練が必要だということで要求していたわけです。米陸軍が早急に引揚げるということならば別でありますが、そうでない限りは必要なのであります。
  162. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのほうと大蔵省と私は相当連絡ができておると思いますが、大蔵省からこうこうと、私がここで挙げたいのですけれども、実は資料が出ていないから挙げられませんが、大体私たちが了承しておると言つてはいけないかも知れませんが、例えば大津の問題とか、或いは岩木の問題、つい最近広島の大久野島ですか、これが出て来たわけですが、或いは兵庫県の青野ヶ原演習場、或いは岡山の日本原、大分県の十文字原演習場というようなところがあるわけですが、もうこれ以外に新らしいところはないのですか。
  163. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私も最近離れておりますからよく存じませんが、北海道の大津、これが懸案になつております。それから青森県で関根か岩木山か一カ所どうしても要る。これは前からの話であります。それ以外に演習場という話は私は聞いておりません。或いは私は最近やつておりませんから聞いてないのかも知れませんが、大体なかろうと思います。
  164. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 飛行機のほうで、例えば熊野灘ですね、あそこを何か空中戦に使うとか、今現に使つているわけでしよう。そういうようなケースはありませんか。
  165. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 只今のは陸上について申上げたのでありまして、空軍並びに海軍の、海上の分でございますね、これについては私も最近のことは余り聞いておりませんので、熊野灘は依然としてやつておるのじやないかと思います。
  166. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は一つあなたにお願いしたい点は、とにかく大津の演習の状況なども、私、横須賀で実は聞いたわけですが、外務省のかたの現地へ行つてお話になることと雲泥の差があつたわけです。大津でなくて、あのときは日高門別なんですけれども、非常に雲泥の差があつたわけです。そういうような場合は、現地の人がこのくらいだと思つてつたら、実は蓋を開けてみたらこんなことだ、それでは大変なことだと思いますから、十分注意して現地の実情を話して頂きたい。  それからもう一つは、何といつたつて大津の演習場みたいなことをやられたら、ああいう上陸演習をやられたら大変だと思うので、私は日本の狭い国土が、又、日本人立入るべからずになつては大変だと思いますから、大いに一つ検討をして頂きたいということをお願いして質問をやめます。
  167. 東隆

    ○東隆君 先ほど一兆予算のことで、この安全保障費の残つた分をできるだけ節約するのだ、こういうお話ですが、私は、この安全保障費を外において、これは例えば税金の過誤払の場合、或いは特別会計に入れるとかいろいろなことをされて一兆の予算を作り上げておられるのだろうと思う。そういうような節が非常にたくさんありますので、あの一兆予算そのものがどちらかというと国民をだましておるような気がするわけです。そのような面がたくさんありますので、却つてはつきりとこういうようなものは予算の中に盛つて、その使途をはつきりさして頂くほうが、国会の審議を権威ずけるものである。こういう考え方がするわけです。特別会計のほうに持つてつたものが大分たくさんありますし、そこに隠されておるものがあると思います。それで、その辺のところが関連をして、この場合に残つておる額、こういうようなものはできるだけ本予算に組み込むべきである。それから又、先ほど申しましたように、こういうものを予算に組むことが却つて恥だというよりも、使途をはつきりさして組んで、将来にはなくす、そういう点で考え方が違つておりますので、若しもその点について御意見があつた一つつておきたい。
  168. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今私が申上げましたことにつきまして、まあ見解の相違と申しますか、多少違つた見地からのお尋ねでございますが、今回の一兆予算の中でいろいろからくりがあるというふうなお話でございますが、これはそれぞれに理由がございまして、私どもは単に一兆予算にするためにこれらの措置をとつたわけではございません。安全保障諸費の問題につきましてはたびたび申上げた通りでありますが、只今御質問の中に国税収納資金につきましてのお話でございますが、これはお言葉のように特別会計にするわけではございませんので、従来歳入として非常に不確かなものが歳入になつておる。これは多年の懸案でございまして、而もそれが八、九十億から百何十億というふうな金額にも上つておるのであります。そこで財政法建前から行きましても、そういう不確かなものはこれを歳入にすることなく、払戻しすべきものは直ちに払戻すという制度にいたしまして、厳密な意味で歳入にすべきものを歳入にする。そういうことをするにはどういう方法にするのがいいかということを多年研究して参つたのであります。これは、新らしい租税制度、租税法と関連をしてそういう問題が起つたわけであります。東委員承知のように申告納税制度でありますので、予算納税になつております関係で、そういう問題が起つて来ておるのであります。それに対処いたしまして考えましたのが国税収納資金という制度なんであります。これは単に今回の予算に関連してとつた措置でないことは、以上申上げた趣旨からも御了解頂けると思います。たまたまこういう機会に出しましたので、そういうふうな疑惑といいますか、多少の疑点を残したような恰好になつておるのでありますが、私どもの趣旨は毛頭そういうことでないのでありまして、どこまでも財政を根本的に堅実にするためには、そういう本来払い戻すべきものを歳入として受ける、即ちこの前も申上げましたが、財政法の二条の中に「収入とは、国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納」、これは、はつきり国会でおきめになつ財政法なんです。然るに払戻すべきものは、これは「各般の需要を充たすための支払の財源」とはならないのでございますから、そういうものは歳入とは言えません。そういう建前で収納資金という新らしい制度を設けましたわけであります。これは根本はどこまでも財政を健全にするための方法でございまして、只今仰せのような一兆予算のからくりとして作つたようなものでは毛頭ございません。安全保障諸費、連合国財産補償費を繰越すことの特例につきましては、たびたび申上げました通り、これはすべて財政法四十二条の意味から、実質的には繰越金と考えられるようなものを繰り越すことをお認め願うという意味におきまして、これ又財政法の精神からこういう特例を認めた次第であります。こういうふうにお願いしたいと思います。
  169. 東隆

    ○東隆君 横にそれたようですが、今の問題は、不確かなものと言いますけれども、併しプラスとマイナスがあるので、私は殊更に歳入の面においてその分を削つているのじやないかと考えますが、さようなことにはならんのですか。
  170. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) いわゆる払戻金、過誤納、過納、納め過ぎ、誤納、誤つて納めたもの、そういうものは、これは本来歳入にすべきものではございませんので、それぞれ払い戻すべきものでございますから、それだけのものを払戻しました残りを歳入にとる、こういう建前でございます。
  171. 東隆

    ○東隆君 そうすると、前年度の場合はそのものはラウンドナンバーで一応計上されておつたのですか。
  172. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 従来は、払戻金といたしまして歳出に組みますとともに、歳入のほうにそういう払戻すべきものも一緒に入つて来ておつたのであります。
  173. 東隆

    ○東隆君 同額ですか。
  174. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それは予算といたしまして昨年は大体八十何億でございますが、そういうものを歳出に計上いたしております。それを今回は歳入から先ず過誤納に相当するものを排除いたしまして、その代り歳出の面におきましてもそう払い戻しの必要はございませんからこれは計上してない、こういうことでございます。
  175. 東隆

    ○東隆君 大変一兆億礼讚の場合に、今のような措置をとられてありますので、非常に疑問を持つと同時に、やはりこれに関連して、今の安全保障諸費と関連をして、こういう問題が何かやはり予算の編成に当つて当然本予算の中に考えて行つたほうがいいのじやないかというので、その疑問はまだ氷解はしないのですが、私の質問はこれで終ります。
  176. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この契約の担当は、まあ業者のほうは日本人の業者がやつていると思うのです。兵舎を建てるにいたしましても道路にいたしましても、その担当は特調が独自にやることになつているのか。それとも米軍立会いの上で契約をやることになつているのか。その点をお伺いしたい。
  177. 谷川宏

    説明員谷川宏君) それぞれの所管の官庁の担当官が独自の立場で相手方の業者と契約をすることになつております。
  178. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、工事の監督、それから検収というようなものもありますね。これも独自の立場でやり得ることになつているのですか。それぞれ担当の官庁で……。
  179. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 独自の立場でやるわけでございまするが、その際、設計、例えば宿舎等につきましてはその入る人の使用の便不便等を考慮した上で設計ができておりまするので、実際実行上、折りに触れまして米軍当局といろいろ打合せをするということはあるわけでございます。
  180. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、これらの契約はいずれも財政法その他の会計規定の定むるところに従つて、随意契約、或いは指名入札契約というような方法をとつておられるのですか。この点はどうなつておりますか。一般の契約と何ら変らないやり方をやつておりますか。
  181. 谷川宏

    説明員谷川宏君) その通りでございます。
  182. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 我々の聞くところによりますと、これは殆ど米軍がその業者との間に先にきめてしまう。これはなぜ申上げるかというと、昨日頂きました資料の中で、道路何キロメートルについて経費は幾ら、それから宿舎については幾らというふうな資料を頂きました。どうも聞きますると、米軍の仕事をやる場合には非常に儲かる。このほうの仕事は儲かる。それはなぜかというと、業者のほうはあらかじめ米軍の担当官と連絡をつけておいて、そして指名入札契約だとか或いは随意契約とかいろいろ方法があると思うんでありますが、特調の担当官が介入する余地のないようにできている、こういうのが大体の行き方だということを我々盛んに方々で、ここの工事についてはこういう儲けをやつたとか、或いは又、業者が米軍の担当官を招待して方方で……今いわれる中川のは造船疑獄なんですが、これとはちがつて中川の対外版ということが方々で行われているということが相当風評となつている。実際にメモを出せといわれれば出してもいいんですが、実際に資料は我我のほうでも上つているんですがね、現地方面について。これらにつきまして、今度はあなたのほうは財務関係として予算の執行を監視するという面から監督をされなければならんと思うんですが、これらの風評、監査の結果についてはお調べになつておりますか、どうですか。
  183. 谷川宏

    説明員谷川宏君) そういうことはないと存じまするが、又只今お言葉でございまするが、調達庁ということをおつしやられたわけでございますが、この安全保障諸費関係につきまして調達庁が契約の当事者となるものは一つもないわけでございまして、例えば道路につきましては建設省が所管の官庁となりまして、国道の場合或いは地方道の場合によりましてちがいまするが、いずれも建設省責任を以て経理をする、或いは港湾につきましては運輸省ということになつておりまして、宿舎につきましては建設省が指名或いは競争入札で業者と契約をするということになるわけでございまして、昔、占領中におきましては、調達庁が中に入りましていろいろ設計の世話等をした例が、講和発効真近の時期におきましてございましたが、それはいずれもアメリカ政府のドルの負担による建設工事の契約について多少今御指摘のような問題があつたかもしれませんのですが、この安全保障諸費につきましては今説明申しましたような関係でございまして、検査院も常に検査をなしておりますし、大蔵省にいたしましてもそれぞれ監査を折に触れてやる建前なつております。そういう御心配の向きは全然ないと思つております。
  184. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、でき上つたものを今度は米軍に引渡す場合には、宿舎或いはその他の施設等について引渡す場合には、今度は建設省米軍当局との間においてこれは再び検査が行われるんですか。これはどうなつているんですか。
  185. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 建設省工事の契約をやりましてでき上りますると、それを業者から管理を受けるわけでありまするが、更にその上、閣議決定によりまして提供するという手続を踏みまして、その財産は国有財産になりますので、大蔵省の管財局がよく見まして向うに提供する、いずれも複雑な手続を経まして提供することになるわけであります。
  186. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 管財局は国有財産として一旦その所管にして、管財局が今度は引渡すということになる。今度は管財局が向うに引渡す場合に、あなたのほうで建設省にやらしているということになりますれば、工事竣工後使うほうでもいろいろ希望があると思うんですよ。今のあなたの御説明では殆んど建設省が勝手にやつてしまつて、管財局が国有財産にして、そうしてお前のほうに渡すということは、なかなかそういうふうに行つていそうもない。この施設の性格上から考えてとてもそんなことはできない。米軍が指導して行かなければでき上らないと思うんですよ。例えば昨日お出しになつた中には、格納庫とか弾薬の荷揚げ設備とか、そんなものを建設省が図面だけで……特に軍というものはこういうものについては私はやかましいと思うんですよ、軍からも来てやはり監督をしてやつているんじやないかと思うんですが、従つて軍と業者との間に結び付きがある、だからこれにやらせろといつて向うが実際言い出すんですよ。
  187. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 大体の実際の契約のやり方を簡単に申しますると、先ず第一に、軍との間に全体の計画日本政府との間にきまるんでありますが、その全体の計画の中におきまして、例えば宿舎の場合でございますると、その宿舎の規模はどの程度であるか、或いは現在の民有施設、それに代るべきものを建てるんでございまするから、その現在の施設との関係がどういうふうになつているか、できるだけ圧縮をするというような交渉をやりまして、いよいよ土地もきめ、具体的な工事契約について詳細に亘りまして図面によつて数カ月折衝をする、そういう関係がございましたので、今御審議願つておるような法律が必要になつたわけでございますが、従いまして、実際に工事に着手するまでにおきまして、工事計画或いは基本設計或いは実施設計の段階におきまして、先方の軍人と相当詳細な打合せを遂げまして、それから契約に付するという関係なつております。更に契約実施の途中におきましても、折に触れまして、先方の希望が若しあれば入れる。でありますから、工事が実際に完成するまでの間において相当向うとの間の意思の疏通が図られますので、でき上つたものが、好い加減といいますか、先方の注文に合わないというようなことにはならないというように考えております。
  188. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 表面はあなたが今おつしやつたようでありますが、それなら何も問題は起きないんですが、例えば指名競争入札にいたしましても、必ずこれはおれのほうへ落ちるという自信を持つていても、実際にはほかのほうに落ちてしまつた。よく調べて見ると、米軍の担当官と申しますか、アメリカの軍人と落札した業者とは密接な繋がりを持つていて、どこで宴会をやつたとか、率直に言つてここにリベートが生ずる。業者はあれだけでやらせようということになつて、少し高く入札、落札してもらつて、そしてその一部で以て米軍将兵を招待する。その連中は業者別に調べて見るとわかるのだが、大体特殊の業者が殆どやつているような傾向にあるのです、この安全保障諸費の請負工事につきましては……。
  189. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど谷川主計官からお答え申上げましたように、昔の終戦処理費或いは講和条約発効直前に、一部、米ドルの工事につきまして調達庁がこれを斡旋したような時代のことは格別といたしまして、今日は、只今まで申上げましたように、建設省或いは運輸省が一般の財政会計法令に準拠いたしまして、国内の業者とやつていることでありまして、この安全保障の工事なるが故に特に只今指摘のようなことはないと、私ども承知いたしているわけであります。従いまして、これに対する契約のやり方が不当であるとか或いは工事の実施状況が会計法令その他に反するとかいうようなことにつきましては、大蔵省の財務局におきましても監査をいたしております。建設、運輸におきましてそれぞれの出先機関を中央において監督していることはもとより、最後には会計検査院の検査を経まして国会に決算書として提出され、批難さるべきことは批難事項として提起されることも、一般の公共事業と何ら変らないのであります。この点は、今日におきましては、私は只今指摘のようなことはないというふうに承知いたしてしるのであります。
  190. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはあなたがここで答弁される場合はそういう理窟になるのですがね。現実にそれじや資料を出せということになれば、私どもも一、二の具体例を申上げてもいいのですがね。軍の至上命令的なものが安全保障諸費に基いて行われる工事には相当つきまとつているということになつているのですがね。あなた方はお知りにならんのですから、財政法通りつているかも知れないけれども、どこにもそういう批難がかなり多く起きているのです。
  191. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 具体的にそういう事例等がございますれば又、私どもに頂戴いたしまして監督の資料にいたしたいと思います。
  192. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすれば、そういう資料があつたらこれから一つ調査をするという……。
  193. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 菊川委員とは大蔵委員会の理事として常に緊密にお願いしておるわけでありますから、一つ御指導願つて、どうか適当な資料がありましたら頂戴いたしまして、予算実施上の貴重な資料にいたしたいと考えております。
  194. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この次にこの点については一つ提供します。
  195. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もこの決算書を読んでいないのでわからないのですが、普通に防衛道路と呼ばれるものについて、会計検査院が不正摘発だとか或いは行政監察のほうからこれはこうだという指摘は、大蔵省一つも受けていないというのですか。
  196. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) そういう意味ではございませんので、今後この安全保障諸費支出につきまして不当なるものがありますれば、検査院の批難事項に提起されるであろう。私どもは決して特別扱いをしていませんということを申上げたのであります。
  197. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、これは米軍と仮に私が今申上げたような事例、これは具体的に今ちよつと公表するにはどうかと思いますが、あつたとすれば、この運動をやつた者については贈賄罪は成立するのだろうね。饗応、贈賄ということは、これは受けたほうはこれに対して何とか……どういう交渉ができるのだろう……。
  198. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは贈賄その他の問題は、私はそういう点の知識はございませんが、職務に関連して便宜を供与せられるとか或いは特別な扱いを受けるということを意図して、饗応その他の金銭の提供等があつたというふうな場合でありまするから、これは具体的にお聞きいたしまして、或いは私以外の適当な者がお聞きして判断をすべきではないかと、こういうふうに考えます。
  199. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから次に、この安全保障諸費の中に保安大学を建設したことになつておりますが、この理由を一つ、どうも僕は、はつきりわからんが……そうして又今度のように予備費が十二億ばかりとつてありますね、この分で以て自衛隊の費用に使うということもあり得る。保安大学を建設したのですが、あと又残つて来て、今年度の百六十八億のうち、まだ契約ができていないのが四十億と予備費十二億というので、約五十億の金は契約もできていないわけですね、予定としては一応載つておりますが、二十九年度に使いこなすようにする、使いこなすようにするというのは語弊があるけれども、一応片付けてしまう。あとなつて、もう保安隊の大学を建設したのですから、自衛隊のほかの施設ということにもできることになるのですか。その点はどうなりますか。
  200. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほども委員でございましたかにお答え申上げましたのでありますが、保安庁関係に使います分は、或いは使いました分と申上げたほうがいいと思いますが、保安大学とヘリコプターだけでございます。又今後におきまして使う予定は全然ございません。それから更に付加えて申上げますが、十二億の予備費は、これはこういう保安施設の分に当てるという意味では全然ないのでありまして、昨日来申上げました、すでに契約をして工事をいたしておるようなもので、場合によりまするとこの工事設計変更等をやらなければならんような場合に備えまして、十二億という予算費を一応予定いたしておるのであります。
  201. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつとこの際申上げておきます。調達庁から山中不動産部長が出席いたしました。
  202. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次長が先ほどからたびたび、日本人として、米軍の過大な要求を正しい要求に是正させるように、正しいというか、我々から見て日本に適当なような要求に是正させるような努力をしている、こういう答弁をされたのですが、その場合、質を主として……質ということは、水洗便所を拵えよとか、蚊の入らないようにせよとか、ベツドをどういうふうにせよ、こういうふうな要求を押えて来たのか、それとも量であるか。これをこういうふうに、厖大な施設を拵えろといつて来るけれども、それを小さくさせるような、こういう努力をしているのか。こういう点を伺いたいのであります。
  203. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは詳しくは場合によつて谷川主計官から申上げますが、私の承知いたしておりますところでは、量質ともに折衝の結果圧縮をいたしておるのであります。量につきましてもいろいろの要求がありましても、これはこの程度で済ましてほしいというようなことも申しております。例えば坪数その他でございます。それから質につきましても只今指摘通りに、到底アメリカの基準では、日本としてそういうものを提供するわけにはいかないというようなことを申上げまして、極端な場合には遂に先方がドルで施設をしたというような事例もあるわけでございます。
  204. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今あなたのおつしやつたような、極端な場合、ドルで施設した。ドルで一部の部屋を施設した。兵舎を建てたけれども、その分だけをドルで施設するといつたような場合の国有財産上の処理はどういうふうになりますか。
  205. 谷川宏

    説明員谷川宏君) この施設の主体の工事につきましては日本政府の負担でやつて、その中の一部分を米国政府の負担でやつたという場合の関係でございまするが、一応日本政府の負担によりましてでき上りましたもの、これは国有財産法の適用を受けますから、国有財産法上の処理をするわけであります。その他、物品等につきましては、国有財産の適用を受けないものについては場合により物品会計法の適用を受けるわけでありますが、それ以外のアメリカ政府の作られるものにつきましては、日米両国政府間の話合いというふうに一応なるわけでありますが、行政協定によりますと、第五条でございましたか、そういうものにつきましては、原則として、アメリカ政府としては、若し米軍が撤退するという場合には、特別の取極めがない場合にはそのまま置いて行くということになりますので、その際、物件の所有権につきましてはそれぞれ適当の措置を講じて、或いは国有財産に編入するということになると思います。
  206. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、米軍の兵舎等について、質、量とも折衝されたというのですが、その質について折衝されます際に、あなた方の堅持された基本線というものは、その標準を米本国並みにやるのか、それとも日本人並みにやるのか、こういうものを質はどの辺に置いたのであるか。イギリス並みであるか。フランス並みであるか。これは非常にむずかしい問題だと思うのですが、質を折衝したとおつしやるのですけれども、向うの兵舎の質と、日本の保安隊の程度と比べまして、非常に違いがあると思うのですが、これらについての大体の標準、それから今まで落ち着いたのはどの程度であるか。例えば米本国並みにやると予算では仮りに百万円かかる。併しこれは話合いの結果八〇%くらいに落ち着いて、八十万円くらいにそれを片附ける、こういうことを堅持しておられるか。それとも向うの要求して来た百万円でこれだけやれと言つて来た場合でも、これはとてもそれではいかんから、その半分くらいで今まで落ち着けて来たのか。その点はどうですか。
  207. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 大変むずかしい御質問でございまするが、施設、建物の場合を例にとりますると、その主体をなす部分につきましては、大体におきまして日本人並みの質ということになりますが、問題は附帯施設関係でございまして、その関係につきましては或る程度アメリカ人の生活の水準ということも考慮しなければならないと思いまするので、例えば煖房の施設とか冷房とかその他につきましては、成る程度アメリカの生活水準を尊重しながら、行政協定の目的を終局的に達成する上において、支障がないように、十分配慮してやつているわけであります。
  208. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今日までそれでは仮にあなた方の御努力がなかつたと仮定した場合、あなた方の努力によつてどのくらいの節約を収めることができたか。若しあなた方のその努力がないような場合には、この五百六十億でなんぼもできないようになるわけですが、少くともそれによつて、折角御努力つたのだが、五百六十億という枠は使わなければならん、それで質を押えれば量で行く、量で押えれば質ということになるわけですね。結局五百六十億は向うが要求していると思いますが、いくら押えても、今押えた押えたとおつしやるが、そうすると五百六十億という枠だけは、いくら押えてもこのうちに入れてしまわなければなりませんね。それは、はみ出すこともあるが、押えた押えたとさつきから御答弁になつて、これは結構だと僕も思うのだが、これはこの五百六十億を余らすという努力をされていないのか。えらい御努力を願つても……。こう申しては失礼だが、五百六十億を余らして行くという努力をされていないのか。この結果昨日出された参考書類を見ましても、五百六十億を使う、幾ら努力されても、五百六十億は全部使つてしまうということになるのですね。実際問題として、日本国全体としては、あとつてしまつた場合に、政府が余計作つておけば、いつの日にか庶民の住宅に転用するということになるかも知れません。或いは保安隊の施設に転用するということになるかも知れませんが、折角の努力をされても、現実の問題として、五百六十億の枠というものはきまつているということになれば、主計官がさつきから盛んに努力した努力したとおつしやつたが、結論は余り効果はないということになるわけですね。
  209. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 昨日もこの点で菊川委員に申上げたのでありますが、先方は常に金で要求するわけではございませんので、これこれの施設作つてくれとか、それではこれこれの施設をせよ、或いはこれこれの港を使うということでございまして、そのための施設をするということになるわけでございます。そこで私どもは、結局それに必要な施設をすればいいわけでございますから、その施設をする場合に、先ほども申上げましたように、数量並びに質におきまして、できるだけ圧縮を図つておる、こういうことなのであります。従いまして五百六十億がすべて使わなければならん金であるというふうにも考えていないのでございまして、これはやはり今後の物価等の関係もございますが、一応予定をいたしました施設をこの枠として考えておるのでございまして、この枠内におきまして、できる限り圧縮をして参りたい、こういう気持でおるわけであります。五百六十億すべて使つてしまわなければならないという気持ではないのでありますが、一応枠としてはこれだけお認め願つておきまして、その枠内で物価その他の条件等も考え、又、先方との折衝或いは地元関係者との折衝等によりまして、できるだけ少い金額で用を足して参りたい、こういう気持でおります。そこで、それじや一体どの程度努力したのか、それを数学的に立証できるかという御趣旨かと思うのでありますが、これはちよつと只今すべての要求額がどうであつて、それをどの程度に圧縮したかという資料を持ち合せておりませんが、これは二十七年度以来のことでございまして、相当大きなものでありますが、これは最近の記憶でございますが、確か宿舎等につきまして、先方要求を容れますと、どうも坪当り十七、八万円から二十万円くらいにつくような建築をするような要求がありました場合に、これを十万円内外にしたというふうなことを聞いておりますので、この一事を以てしましても、やはり先方要求というものは相当まあ日本の規格から言いますと、何と言いますか、到底我々の負担に堪えきれないものでありますが、それを建設省の営繕局のほうで折衝いたしまして、坪数及び規格等につきまして、一応これは合理的なものではないかという線を想定いたしました結果、大体今のような単価の削減を見たというふうなことも記憶しておりますので、これは非常に不十分な説明かも存じませんが、一応そういうことは申上げたいと思います。
  210. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、この五百六十億という今のあなたの御説明を聞いておりますと、日本の接収されておる施設を成るべく取返す、接収解除せしめる、そのための費用であるというふうにこの法律は解釈されることになりますが、そうすると、この五百六十億でまだ十分こなしきれないと、解除しないと思うが、これを殖やして施設を拵えなければならんということになつて来ますが、その点はどうですか。これは、安全保障諸費というのは、日本の安全を保障してもらうために、こつちが負担して出す費用だという提案理由であつたはずです。予算委員会における最初の説明は……。今のになつて来るとちよつと形が変つて来て、都心にいるやつを郊外へ追い払う費用だというふうなことなんですが、今の御答弁から聞いておりますと。
  211. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは私の言葉が不十分であつたかと思いますが、根本は日本の安全を保障してもらうために、占領軍が駐留軍なつても、根本的な平和条約、行政協定に基きまして日本に駐留をする。それに伴いまして只今仰せの通りに、従来は国有、或いは民間の施設等相当占領軍という形で入つてつた。これが引続いて駐留軍として残る場合に、それらの施設をあけてもらうために、やはり代替施設を作らなければならん。これに代る施設を作らなければならんというようなことで営繕等が行われたことは、縷々申上げた通りであります。又、道路等につきましては、これは多少私の言葉でカバーできないかと思いますが、演習場、或いは飛行場等との関係でどうしてもそのための道路施設をしなければならんというようなことがございまして、そのために道路施設をする。これが安全保障諸費の用途であつたかと思うのであります。従つて只今申上げましたように、そういうやはり施設を現実に確保するということが、この安全保障諸費の使用の結果として出て来るわけでありまして、これだけの金をアメリカに、駐留軍に提供するという趣旨のものではございませんから、やはり施設整備するために先ほど来御質問のような契約その他の問題も起るのでありますが、それらのやり方が適正であり、心がまえがどこまでも節約をいたして参るという気持でやつて行くならば、これは相当程度やはり圧縮ができたのでありまするし、今後におきましてもなおそういう努力をする余地がある、こういう趣旨で申上げておるわけであります。
  212. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 併しあなた努力されるというのだが、予定表を見てみますると、殆んど使い切つてしまうことになつておるのですよ、この五百六十億円というものは。余つておれば最後まで向うのほうは要求して来るものである。又二十億なら二十億二十九年度に余るということになれば、これは要求をして来るだろうと思うのです。それを撥ねのけるこちらに根拠というものはあるのですか。五百六十億というのはやはり義務じやないのですか、一つの総枠の……。負わされた何らかの申合せがあるのじやないですか、協定というものが。この五百六十億という額にきめる、この限度内できめる。日本がこれだけは負担する、支出をする、アメリカもそれで了承する。こういう協定と言いますか、協定文というものができておるのじやないですか。外務大臣なり或いは向うの司令官との間に、或いはもつと下のほうの次官と向うの参謀長との間に。これはどうなつておりますか。
  213. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ず最初の御質問にお答え申上げますが、お前たちのここへ出した計画は五百六十億全部使用することに計画なつておるのじやないかという御趣旨でございますが、これは今日の段階におきましては、私ども計画を立てますと、まあ大体この程度のものが必要であります、こういうふうに申上げておるのであります。で、更にそれを節約できるかどうかという問題は今後の物価等の条件にかかつておるということをたびたび申上げておるわけでありまして、これだけの施設整備いたしますためにもいろいろの資材等を調達をいたさなければならんのでありまするから、それらの価格が下るということになりますと、やはり私どもとしては相当この中から節用できる余地がある、こういう趣旨で申上げておるわけであります。  それから第二に、併しそうして残したところで結局五百六十億というものは皆使わされるのじやないか。これはもう当然の権利、或いは申合せ等によつてどうしてもこれだけのものを使わなければならんということになつておるのではないかという重ねての御質問でございますが、それはそうなつていないのでありまして、どこまでも個々の事例、例えば演習場に至る道をつけるとか、或いはこれこれの宿舎を施設するとかいう個々の話合いに基きまして、その工事なり或いは施設費なりに使う金がどれだけあるかということが問題なのであります。決して金額先方と、これだけのものは必ず使うというふうな協定なり申合せはございません。
  214. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは五百六十億の予算を最初にこしらえられましたときに、向うとの間に五百六十億という折衝が恐らくしてあると思うのです。これはあなた主計局におられて、この折衝金額で抑えたのか。それとも施設で抑えたというのであつたらおかしいと思うのです。そのときは施設計画表ができていないのだから。こういう施設をやるのだといつて折衝したというのでなしに、これは金額で、この責任の限度額というふうに、これはできていると思うのだが、どうもはつきりしないのですがね。
  215. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは菊川委員おつしやる通り、私、当時主計局におりませんのでよくわかりません。わかりませんが、当時は御承知のように占領下で、二十七年度予算というものを向うの占領軍のOKをもらつて国会に出したわけです。そこでこの積算の基礎につきましてもとより御説明はしておると思うのです。その場合、大体今の、昨日も申上げましたように、道路関係とかいろいろの施設、これはまあ今日ほど的確にわかつていないと思いますが、駐留軍の移転計画その他演習場計画等と照合いたしまして、大体この程度金額が要るであろうということで予算を積算したと思うのであります。併しこれだけのものは必らず使うということの約束にはなつておりませんし、その後いろいろ当初の計画等の変更等もあつたかと思うのであります。それらの計画に基きまして、だんだん具体的になつて参りまして、道路、或いは営繕その他港湾関係というふうに、これが予定されて参つたのであります。そのために相当時日がかかりまして、二十七年度の移し替え、二十八年度の移し替えというものが或る程度遅れておるのでありますが、その結果として今度の繰越が問題になつたのでありますが、これは最初から一応の計画がそれぞれあつて積算をし、当時の占領軍のほうにも、もとより説明をしてOKをもらつた、こういうふうに大体推察いたしております。
  216. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その当時の折衝の模様はあなたおいでにならなくてよくわからんというのだが、向うと折衝されたときには、これだけ外人に宿舎を建てる、兵舎を建てるという大体のものができておつた記憶は本当にあるのですか。そうでなしに、これは金額で、これだけの金額一つ限度としてやれということになつているのじやないですか。これをはつきり……。
  217. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、当時たしか占領軍の中にパブリツク・フアイナンスというセクシヨンがありまして、そこへ担当の者が参りましてそれぞれの担当の費目ごとに説明をいたしたのであります。まあこれが非常に重要でございましたから、大体パブリツク・フアイナンスのほうの知つているだけの話は或る程度聞かしてもらい、又こちらとしてこれだけの経費を組むについては、大体どういう駐留軍の配置計画というようなものであるかというようなことの推定等も入れまして、これを積算いたしたと思うのであります。
  218. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、アメリカの基本方針は、成るべく日本その他各国の地上部隊を引揚げる、そして航空力で以てこれを補う、そうして現地の地上軍を増強させる、こういうのが近代のアメリカの世界政策の基本線だと私は読んでいるのですがね。大体そういうふうに見ております。そうなつて来ますと、地上軍が引揚げるという矢先でありまするから、勢い施設その他についても、今年使う、こしらえる予定というものは、無駄金を使わなければならんようなことになる虞れが相当あるのじやないかと私は思うのですがね。これらの見通しは主計局次長どうですか。これは誰でもアメリカの……僕らもそうよくはわかりませんが、国内の新聞或いは外国電報を見ましても地上軍は今年は成るべく引揚げる。そして現地民によるところの、向うから言えば外人部隊と申しますか、そういつたものを拵えて、これを地上軍の代替にして、そしてアメリカは主として航空兵力、それから原子力、これで以て後ろに控えている、そしてまあソヴイエトに対抗するというのが基本戦略のように思うのです。そういうむずかしいことはわからんのですが……。
  219. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大変むずかしい問題でございまして、私は米国の諸外国に対する駐留、或いは全体の作戦と言いますか、そういうふうな関係については無論よくわかりません。併しながら事この問題につきまして、然らば二十九年度に繰越しを認められて施設するものが、向うの政策の如何によりましては不用になるのではないかという御質問のように拝聴いたしたのでありますが、この点につきましては、先ほど成瀬委員からも御質問がございましたように、愛知県辺りにも、現在又、都心にも、まだこれは日本人の気持から言えば早くどこかへ引越してもらいたいというものが残つていることは事実であります。これは現在向うが使用しておるようなものがだんだんと空いて来れば、そういうことも可能でございまするから、私は少くとも私どもが事務的に御連絡を受けております限りにおきましては、大体の施設の規模といたしましては、この程度のものは当分必要である、ただそれだけの規模の施設を作るといたしますと、まあ物価等とも睨み合せてできるだけ無駄金を使いたくない、こういうことを申上げておるのでありまして、少くとも今日我々が事務的に承知をいたしております限りにおきましては、この程度施設整備をする必要があるという考えを持つておるわけであります。
  220. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは、最後に、二十九年度の使い切れなかつた……使い切れなかつたというか、あなたのいう契約もできなかつたという分の処理を、それは五十億できるか、三十億できるか、十億にとどまるか知りませんが、その金は一体どういうふうに処理されるのか。これはこの次の一年経つてから聞かなければならん問題だと思いますので、この点だけは特にしつかり頭にきざみ付けておきたいと思いますので、正示さん一つ特にしつかり御答弁願いたいと思います。
  221. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上けます。これは東委員に申上げたと思うのでありますが、今回この繰越をお認め頂きまして、私どもとしては、気持の上では二十九年度中にできるだけ工事そのものを完了したい、こう思つております。なお工事が完了して、その結果として、先ほど申上げたように物価が本当に一割なら一割下がるということのために、当初予定した施設は十分でき上つている、而も物価等が下つたために予算が不用になつたというものは、これははつきり不用にすべきものと心得ております。ただ天候その他のこともございまするので、契約をして工事をどんどん進めて行つたところが、どうしても工事が完了しないというふうな場合にはどうなんだと申しますと、これは財政法四十二条に事故繰越という現に我々に認められておりますところの繰越権限によりまして、繰越す場合がないとは、これはちよつと天候その他の関係で申上げかねるのでありますが、少くとも私どもとしては、今日この特例法を認めて頂くためには、工事そのものもできる限り完了したいし、事故繰越もできるだけ従つて避けて参りたい。なお、その上に物価その他の関係で節約ができるものは節約をして本当に不用にいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  222. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 従来官庁の慣例といたしまして、年度末において旅費が余つた場合には総花的な出張をやる、それから工事費が余つた場合には先ず今年のうちに使つてしまうというので、先ず一銭一厘残らんようにやつてつたのが、まあ日本の国の官庁の一番悪い癖だつたと思う。というのは、予算を今年余らせれば来年殖やしてもらえんからというわけで、そういうことをやらなかつたのは、参議院でもこの大蔵委員会は殆んど出張旅費は余らしている。これは余らしたつて来年度削減されるということもない。併しこれは官庁ではもうこれはきちつと旅費というのは使い切つてつたのは、正示さん認めるだろうと思います。どこの官庁だつて旅費を余すことはいたしません。必らず年度末三月になつて来ましたら、もう中央官庁が県庁などに行く、県庁の役人が地方事務所あたりへ出る、工事も同様にやられて来たことは、遺憾ながらこれはお認めにならざるを得ないと思うんです。ところが少くとも安全保障諸費については、これは二十九年度はもう繰越もできないからやれやれというので、なんとかやつてしまえ、無理でもやつてしまえというような使い方をしてはならんと思います。これについてはそういうことは絶対に避けなければならないと思います。どの面でも私はそうだと思うんですが、そうして翌年度の予備費に残しておいて、剰余金があるならば残しておいて、風水害その他の臨時的な災害に備えて今後はやつて行くように、一つ頭の切替えをやらなければならないと思います。特に安全保障諸費については私は特にそういう感を深くするのでありますが、繰返してお聞きしますことは、これは金額で押えられているものではない、こういうことは、はつきりしました。従つてそういうふうに私は今後は運用されなければならん、こういうふうに思うのですが、どうですか、この点……。
  223. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、重ねてのお言葉は私は重重御尤もに存じます。一般的に認められました予算を、まあ事務費或いは物件費にいたしましても、旅費にいたしましても、多少やはり国会で予算が成立いたしますと、それを使つてしまうということが当り前のように感じられる。或いは場合によると年度末等に多少無理をしてまでそれを使うという傾向がややあつたかと思うのでありますが、最近は御承知のように、予算が修正になるたびに相当事務費その他については節約を受けております。のみならず一般のやはりこれは民主化の非常に大きな力かと思うのでありますが、財政に対する監視と言いますか、一般の御注目が相当鋭くなつております。私はやはり官庁が率先してそういう弊風と言いますか、そういうものは払拭すべきであり、又そういう方面に改善のあとが見えているというふうに思うのであります。現に本年度も年度末の経費の使用等につきましては、はつきりそういう規定の御決定を得まして、今後も十分お話のような御趣旨で注意をいたしているのでありますが、更に来年度の予算の執行につきまして、この間うちたびたび申上げましたように、この予算の狙つておりますデフレ的効果、或いは物価の合理的是正というふうな線を強く打出すためには、やはり国会で議決を願いましても、その範囲内で一層の経費の節約ということに留意をして行かなければならないということは当然かと思うのであります。その点につきましては、一般の経費においても然りでありますが、特にこの安全保障諸費のような言わば特殊の経費につきまして、今回特に繰越をお認め願うような場合におきましては、一層そういう観念をはつきりいたしまして、関係者一同まあできる限りこの経費の使用に当りましては節約を旨としてやつて行かなければならない。こういうふうに考えております。まあ私どもの至らぬ点は多々あると思うのでありますが、一同そういう点につきましては、一層留意して参りたいと考えます。
  224. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 事務当局の責任者としての正示次長並びに課長の御説明で大体この法律案を提案される大蔵省の意図というものは、僕らはよくわかりましたし、この運営についても皆さん方の御答弁で大体了解できたと思います。ただこれが五百六十億の予算が盛られる予算委員会における質疑応答の当時の速記録を読んでみましたら、ちよつと違うのですが、併しあなたの今おつしやられたような運用をされるのは、私は正しい行き方だと、又そうなければならんと思つておりますが、ちよつと僕らは違うように思います。この点については相当論議した、この五百六十億は一番やかましく論議した項目の一つであつたわけですが、ところが少し違うようです。従つて私はやはり本案について、もう事務当局の御意向はよくわかりましたので、大臣並びに或いはそれに代る政務次官に対しての御質問だけをただ簡単に二、三点残しまして、これで事務当局に対する質問は終りたいと思いますが、そこで、委員長一つ議事運営についてお聞きしたいのですが、と言うのは、我々野党が遅くまで残つて盛んにやつておるのですが、今日も野党は三人も残つて、野党と言つてはなんですが、一応反対党側ですが、野党側がいるのに、自由党の委員諸君が殆んど帰つてしまわれる、こういう運営について、本当ならば会議を開いて議事をすることはできないのです。で、少くとも今日は採決とか何とかいうお話もございました。で、理事会でも大体それではそういう方針で臨もうじやないかというわけで、我々は質問をやつておるわけなのですが、ところが与党の諸君は、まあお前らだけやつておれ、そしておれらは知らんぞといつてつてしまう、こういう運営が果していいのですか。この点について僕は与党側の委員長として伺つておきたい。そういうことになれば、仮に委員長が採決されようとしたときに二、三名で成立するということが多い。それで我々はあんなものはいやだと言つて、ぽつと席をはずしてしまうということになつたら、そういうことで一体いいのかどうか。それでは、私は大蔵委員会運営につきまして非常に不満だと思うんですよ。而も与党側の委員が二名だけ残つておるだけだ。そしてそういう場合に、いつまでも会議を継続されて、お前ら言わせるだけ言わせておけ、あとはおれら知らんぞといつてさつさと帰つてしまうということでは、僕らこそ非常に不満ですがね。この運営について委員長から一つ、今後にもういよいよ重要な税法その他を控えて、会期の期限も大分迫つて来まして、今後もこういう運営を続けられるつもりかどうか。この点をお伺いしたい。
  225. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) お答えいたします。誠に御尤もでございます。年度末までもう余日幾らもありません。然るに衆議院の大蔵委員会にたくさんの法案がかかつておりますが、まだその大部分はこちらに廻つて来ないというような状況でありまして、三月三十一日までに審議を終らなければならん法案をどういうふうに処理して行つたらいいかということも、私、非常に心配しておりました。実はこの件につきましては明日午前十時から理事会を開きまして、そうして今後どういうふうにやつて行くかということを、篤と御相談して、成るべく審議の円滑且つ慎重を期したいと思つております。私は委員長として実は成るべく公平に皆さんの御質問等も十分尽すようにいたしたいと存じておりました。この法案につきましては、特に今日問題になつておる法案につきましては、菊川委員から十分いろいろお聞きしたいという御要求もございましたので、わざわざ……、これは約半月以上も延ばして今日になつたわけでありまして、そういう点も菊川委員において又十分御了承を願いたいと存じます。与党委員の残つているのが少いのは誠に仰せの通りであります。又、緑風会方面も一人もおりませんが、これは公平に言つてたまたま今日こういうふうになつて、数日前はいわゆる野党が殆んど御列席がなかつたというときもありまするので、それはまあ相互に成るべく審議を十分尽す意味におきまして、明日から十分皆さんに御勉強願いたいと存じます。私は与党出身の委員長として、又、与党の委員のほうには十分菊川委員の御意見も伝えまして、できるだけ出席するようにいたしますから、どうぞよろしく御協力を願います。
  226. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは与党のほうで、今日はまあ一つあげようじやないかというような、委員長からのお話つた。だから我々もそれではというわけでやつたのですが、それでは最後に大蔵大臣の質問だけを残して、事務当局に……、それで大蔵大臣はまだ見えませんが、見えなければ政務次官もおられるし、今日は大蔵省当局にも……。これは普通の法案とはちよつと性格が違つているということは、これはよくおわかりだろうし、この五百六十億については予算委員会におきましても一番問題にした一つの焦点であつたわけです、予算案審議の際にも……。それが今度又繰越されるということになるんですから、当然これは問題をできるだけ究明しておきたいというのは、これは委員長もお認めになると思うんです。
  227. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  228. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十九分散会