○
政府委員(
北島武雄君)
関税定率法につきましては、
昭和二十六年に
輸入税表の
全面改正をいたしたのでございます。その際に各
条文につきましても相当大幅な
改正をいたしたのでございます。ただその後の
実施状況を見まして、
改正を要する点もございますので、今回
関税法の
全面改正を契機といたしまして、従来の
関税定率法の各
条文につきまして、全面的な再検討を加えまして、ここに
輸入税表を除く他の
条文につきまして、全面的な
改正の案を
提案いたしたのでございます。なお、従来、
関税定率法の付則におきまして、今年の三月三十一日まで
関税を
免除或いは軽減いたしておりましたものにつきましては、
原則といたしましてその
期間を更に一年間延長いたしまして、明
昭和三十年三月三十一日までそれぞれ
関税を
免除或いは軽減することといたしておるのであります。即ち、
重要機械類の
免税、
学童給食の用に供しますところの
乾燥脱脂ミルクの
免税或いは
別表甲号におきまして大豆以下の
物品を掲上いたしまして
免税しておりますもの、或いは又
別表乙号におきまして
関税を軽減いたしておりますものにつきまして、それぞれその
免除或いは軽減の
期間を
昭和三十年の三月三十一日までと延長いたしております。
ただこの唯一の例外としましては、
金工業に使用いたしまする
物品の
免税規定を今回削除いたしたことでございます。
金工業に使用いたします
物品につきましては、
昭和二十五年から
貴金属管理法により三年間、更に昨年これを
関税定率法に移して、今年の三月三十一日まで
免税いたしてお
つたのでございますが、これらの
物品の
輸入は年々減少いたしておりまして、略々その
免税の
規定の
存在理由も失いつあるというように見受けられるのでありますが、なおこの
免税いたしております
物品の大部分はいわゆる
機械類でありまして、若し必要であるならば、それは
重要機械類の
免税のほうに移行いたしまして、政令で必要な
重要機械については
免税もできることにな
つておりますので、この際、
条文の
整理の
意味も併せまして、
金工業に使用する
物品の
免税はこれを削除いたしております。
それからなお今回暫定的に、
昭和三十年の三月三十一日まで
免税すべき
物品の中に、針葉樹の製材の中、ヘムロツクその他のつが属のもので、厚さが二百ミリメートルを超えないものにつきまして、暫定的に来年の三月三十一日まで
免税いたすことにいたしております。この
法案の三十六ページの
別表甲号の一番
最後の
税番千七百九番の木材というのが新らしく追加したものでございます。
関税定率法の本則は二十三条でございまして、
関税法に比べますと非常に簡単でございますので、一応参考の
意味も兼ねまして、旧法と対照しながら簡単に
内容の御
説明を申上げたいと存じます。
法案の第一条は
関税定率法の「趣旨」、第二条は「
輸入」、「船用品」、「機用品」、「輸出」という言葉についての定義を掲げております。従来の定率法には、法の趣旨及び重要用語の定義などはございませんでしたが、今回
関税法にならいまして、法の趣旨と重要用語の定義を明らかにいたしたのでございます。
第三条は、
現行法の第一条に相当する
規定でございまして、ただ表現を異にするのみでございます。
第四条は、課税
価格に関する
規定でございますが、
現行法の第二条でございまして、御参考までに、
関税は如何にしてその課税
価格を評価するかというこの第四条の
内容について、極く大体を御
説明いたしますと、第四条の第一項は、結局、輸出国におきまして、「当該貨物又は同種の貨物が通常の卸取引の量及び
方法によ
つて販売される
価格」というものを基にしまして、それを基にして積上げたところの本邦到着のCIF
価格によるという
規定であります。これが
原則でございまして、第二項、第三項は、その
原則の実施
規定でありまして、このCIF
価格は、
輸入申告に際して提出された仕入書その他の書類によ
つて決定できる場合においては、これらの書類をそのままと
つて行くというのが第二項であります。それから第三項は、「仕入書その他の書類が提出されない場合」、或いは「これらの書類に記載された事実が真実と認められない場合」、或いは「これらの書類により難い事由があると認められる場合」にはどうするかというのが第三項の
規定でありまして、その場合におきましては、最近に本邦に到達いたしました同種又は類似の貨物について前項の
規定によ
つて決定された課税
価格がございますれば、その
価格を基として、更にその貨物の
性質、
輸入の時期等の差異によるところの
価格の相違を勘案して、必要なる調整をこれに加えて決定するという
内容であります。
それから第四項は、本邦に到着いたしましてから、保税倉庫に入れて、そうしてそれで実際の
輸入の許可があるときまで相当長時間に亙るというような貨物につきましては、その
価格が保税倉庫等の蔵置
期間中に著しく変動いたしました場合におきましては、第三項の
規定に準じまして、最近に本邦に到着した同種又は類似の貨物について仕入書その他の書類によ
つて決定された課税
価格を基として決定するという
内容であります。
それから第五項は、前各項でいろいろや
つて来たけれ
ども、どうしても行かないという場合の
最後の
規定でございまして、この場合には国内の卸売
価格から逆算するという
規定であります。国内の卸売
価格から
関税その他の課徴金及び
輸入港から卸売市場に至るまでの通常の費用を控除した額を基として決定するという
内容でございます。
第六項は、今回の新設でございますが、これは外国通貨によ
つて表示された
価格の本邦通貨への
価格の換算をどうするかという
規定でございますが、従来これらの点につきましては、
規定がなくて、取扱上いたしておりましたことを、今回
法律で明らかにいたしたのであります。
この第四条におきまして、従来の第二条を
改正いたしました点は、一項におきまして、五行目に、「
輸入港に到着するまでに要する通常の運賃及び保険料」の次に括弧があります。この括弧書きを新たに入れたのであります。即ち、従来の
方法によりますれば、船舶で日本に到着したものについては、船舶の通常の運賃、保険料による。それから航空機で参りましたものについては、航空機によるところの通常の運賃及び保険料を基としてCIF
価格を決定するわけでありますが、ただ物によりましては、貨物で、航空機によりまして運ばれたものにつきまして、航空運賃及び航空保険料をそのままプラスすることが極めて無理な場合もございます。例えば少量の贈与品或いは商品見本などで課税されるような場合におきましては、うつかりいたしますと、航空運賃、航空保険料のほうが、そのものの
価格より高くなる場合がございます。そういう場合を救済する
規定でございまして、そのような場合には、船舶のほうの通常の運賃、保険料で見て行こうという
内容でございます。
あとの
改正点は、第三項の四行目で、「又は当該貨物の
性質、
輸入の時期その他の事情の差異による
価格の相違があるものについては、その相違を勘案し、
合理的に必要と認められる調整をこれに加えて、課税
価格を決定する。」というところ、これは従来からも私
どもの解釈としては当然このようにいたしてお
つたのでありますが、はつきりさせる
意味で書いたのであります。
それから第四項におきましては、
輸入港に到着のときから
輸入の許可のときまででありますが、その
輸入の許可というのに、いわゆる
輸入許可前の承認の場合におきましては、その承認のときまでだというふうにいたしまして、
現行法では単に「
輸入ノ時迄」とな
つておりまして、解釈上多少疑義があ
つたのでありますが、この箇条をこのようにいたしておりまするのは、はつきりいたしただけでございます。
なお、五項におきましては、やはり「当該貨物の
性質等の差異による
価格の相違を勘案し
合理的に必要と認められる調整を加えた額を課税
価格とする。」、これも従来解釈上や
つてお
つたことでありますが、法文上明らかにしたわけであります。
第六項は只今申上げたように新設であります。
第五条は
現行法の第三条そのままでございます。ただ文語体を口語体に直しただけでございますが、そこに「便益
関税」と称せられるものでありまして、
関税上の特別な協定が日本とその国との間にない場合におきましても、互恵的見地或いはその他の国際事情を勘案いたしまして、
関税協定による便益の
限度を超えない範囲内で相手方に便益を与えることができるという
規定であります。
第六条は「複
関税」と銘打
つてございますが、我が国の生産物について
関税に関する最恵国待遇の便益を与えない国の生産物に対しましては、貨物を指定いたしまして、別表の税率による
関税の外、従価一〇〇%以下の
関税を課することができるという
規定でありまして、新設でございます。複
関税につきましては、この一、二年来、国内にもいろいろ議論のあ
つたところでありまして、ガツト仮加入に際しまして、どうしても日本としてはこのような複
関税の
制度が必要ではないかという議論があ
つたわけであります。大体
法律的に研究いたしますと、
現行法の第四条、それは報復
関税と呼ばれておるものでありますが、この新法では第七条でございます。この報復
関税の
規定によ
つて、やろうと思えば
現行の第四条でもできるという
法律的解釈が国内的に一致してお
つたのでありますが、ただそれにつきましては多少の法文上疑義なきにしもあらずであります。且つ、又報復
関税という
規定によりまして複
関税をいたしますと外国を刺戟する点もございますので、今回新らしく別
条文といたしまして、はつきり複
関税制度ができるような
法律的基礎を設けたのでございます。
第七条は報復
関税でございまして、
現行法の第四条と殆んど同じでございますが、ただ本邦の航空機に対して差別待遇する国に対しても報復
関税ができるように新らしく追加いたしました。「本邦の船舶若しくは航空機又は本邦から輸出され、」云々とございますが、初めのほうの「航空機」というのが新らしく加わ
つております。
次は第八条でありますが、これは
現行法の第五条でございます。相殺
関税の
規定でございます。相殺
関税と申しますと、補助金、奨励金を出しておる
物品に対しては、その補助金の効果を減殺させる
意味において複
関税を課することができるということが各国の
規定にございます。補助金の効果を減殺させる
目的で以て追課するところの
関税、これが相殺
関税でございます。相殺
関税につきまして今回
現行法の第五条で若干書いておりますのは、これは専らガツトの規約に調子を合せたものでありまして、
現行法においては、単に「外国ニ於テ輸出奨励金ヲ受クル
物品ニ対シテハ」という、非常に簡単な言い方でありますのを、ガツトの
規定に合せまして、「外国において生産又は輸出について直接又は間接に奨励金又は補助金を受ける貨物の
輸入が本邦の産業に損害を与え、若しくは与える虞があり、又は本邦の産業の確立を妨げると認められるとき」に相殺
関税をかけるという要件をはつきりいたしたのであります。それともう一つ
現行法との違いは、
現行法におきましては「奨励金ト同額ノ
関税ヲ課スルコト」とな
つておりましたのを、今回「奨励金又は補助金と同額以下の
関税を課することができる。」と、若干幅を持たしたのであります。場合によりまして必ずしも奨励金又は補助金と同額の
関税を課する必要もないこともございますので、それの最高
限度といたしまして相殺
関税をかけることができるという
規定であります。
第九条はダンピング
関税でありまして、
現行法の「第五条ノ二」でございますが、つまり
現行法の
規定と殆んど同様ではございますが、ただガツトの
規定に即応させまして、二行日あたりに、「又は本邦の産業の確立を妨げる旨の申出があ
つた場合」というのを追加いたしております。それと第二項におきまして、ダンピング
関税を
徴収する相手方は、
現行法におきましては「不当廉売者又ハ其ノ代理人」、これらの者が追徴されるとな
つておりましたのを、「当該貨物の
輸入者」を加え、それから「その他これらの者と政令で定める密接な
関係にある者」を追加いたしております。
第十条は、これは
現行関税法の第二条に
規定しておる
規定でございまして、俗に損傷減税と呼ばれております。
関税法の第二条におきましては「
輸入貨物損傷シタル為減税ヲ請フ者アルトキハ
輸入免許前ニ限リ相当ノ減税ヲ為スコトヲ得」という非常に漠とした
規定でありまするが、今回定率法に移しまして、その
内容をはつきりさしたのが、この第十条でございます。
第十一条は新設の
規定でありまして、従来日本から輸出いたしまして、そして五年以内に昔のままで戻
つて来たものについては、これは
現行関税定率法第七条の十七号というところで、二度目に入
つて来たときには
免税にするという
規定がございます。但し、それに加工又は修繕を加えられて、初め出て行
つたときと姿が変
つたときは、
免税されないのですが、そういたしますと、加工又は修繕されて価値がプラスにな
つた場合には全部とられるということになります。それは酷でございますので、加工又は修繕のため本邦から輸出され、その輸出の許可の日から一年以内に戻
つて来た貨物につきましては、日本において加工又は修練をすることが困難であると認められるものについては、価値の増加分だけに対して
関税をかけることができるという
内容であります。多少むずかしい言い現わし方をしておりますが、窮局におきましては、価値の増加分の付加部分に対して
関税をとることができるぞという
規定でございます。
それから第十二条は、
現行法の第六条「主要食糧の減税又は
免税」でございまして、これらの主食につきまして
関税をかけることによりまして、国内において生産された同等品の卸売
価格よりも高くなるようなとき、又は凶作とか、天災地変等のため緊急の必要のある場合におきましては、これらの主食に対して「政令で定めるところにより、これらの貨物及び
期間を指定し、その
関税を軽減し、又は
免除することができる。」という
規定でございます。これによりまして、政令で今ここに挙
つておる品目につきましては全部
免税いたしておるのでありますが、ただ
現行法におきましては、このほかに小麦粉が加わ
つております。ただ小麦粉につきましては、これは日本の製粉工場も次第に整備されまして、最近では小麦を入れてそれを製粉して輸出するまでの余力も出たのでありまして、小麦粉そのままを
輸入することは先ず先ず非常に少くな
つて来た。それで他の主食といささか趣きを異にしておる点もございますので、主要食糧の減税又は
免税として、この
条文から削除いたしまして、ただグルタミン酸ソーダを輸出するために小麦粉を入れるという場合におきましては、
現行法の輸出原材料の
免税というところで、政令によりまして現在
免税いたしておるものであります。昨年の十月から主食に対する
関税の減税又な
免税の政令からは小麦粉を落しまして、その代りに、輸出するグルタミン酸ソーダを製造するために
輸入する小麦粉については
免税するように政令で
措置いたしております。
第十三条は、
特定の
物品を製造するために入れるところの
輸入原料品の減税又は
免税であります。
現行法では第九条の二項であります。ここに挙
つておる
物品は大体
現行法
通りでありますが、ただ一号におきましてコーンスターチの製造に使用するための「とうもろこし」というものを新らしく追加いたしてございます。コーンスターチというのは、御
承知のように「とうもろこし」から製造するものでございますが、これは輸出綿布の糊付けに使用されますもので、相当輸出に貢献いたしているものであります。輸出奨励の見地から、今回十三条の一号のほうに、コーンスターチの製造に使用するための「とうもろこし」を追加することにいたしたのであります。十三条のあとの
規定は大体
現行法の
通りでありまして、細かく言えば多少の違いはございますが、
説明は省略いたします。
第十四条は、「無条件
免税」と銘打
つてあるのでございますが、
現行法の第七条におきましては、「左ノ
物品ニハ
輸入税ヲ免ス」とありまして「一 御料品」から二十四までの「航空機ノ発着又ハ航行ノ安全ノ為必要ナル機械」等について
免税いたしておるのでありますが、これらの
規定の
内容をよく分析いたしますと、これは無条件に
免税していいものと、そうでなくて、
特定の用途に供するがために
免税するのであるから、若し他の用途に供された場合には追徴
すべきものも相当あ
つたのであります。それを
現行法におきましては
すべて包含いたしまして、一遍
免税いたしますと、あとで追徴する
規定が実はなか
つた。これは
関税定率法の一つの欠陥と私
ども考えております。今回
内容を分析いたしまして
現行法の第七条に
規定しておりますもののうち、無条件
免税すべきものを十四条にし、それから
特定の用途に供するがために
免税するのであ
つて、他の用途に供した場合には追徴するという場合は、第十五条の
特定用途
免税でいたしております。なお、外交官用貨物等の
免税については第十四条に
規定いたしたのであります。十四条の一号は、
現行法の第七条の一号、「御料品」というものの表現を改め、二号は
現行法の二号大体そのままでございます。それから三号は、
現行法の八号といたしまして「本邦在住者ニ贈与スル勲章、賞牌及記章」と簡単に書いておりますのを、今回贈与する主体のほうを公共的なものに限定いたしますと共に、対象となる
物品につきましては、勲章、賞牌、記章だけでなく、その他これらに準ずる表彰品に範囲を拡大いたしております。四号の「記録文書その他の書類」は七条の九号そのままでございます。五号は、七条の十二号、ただ「日本専売公社又はこれらの委託を受けた者が
輸入するもの」と、多少範囲は広くな
つております。第六号は「商品の見本」でありまして、
現行法の七条の十三号そのまま、それから七号は携帯品に対する
免税でありまして、
現行法におきましては七条の十四号でありますが、従来旅客の携帯品につきましては割合に簡単な
規定で書いてお
つたのでありますが、今回具体的に割合にはつきりさせますと共に、携帯品の中で、自動車、船舶、航空機その他の
物品につきましては無条件
免税といたしませんで、これを再輸出
免税のほうに
規定いたしております。それから八号は引越荷物の
免税規定でありまして、
現行法の七条の十六号でありますが、これも
内容を明らかにいたしますと共に、自動車、船舶等につきましては、これは
特定用途
免税のほうに持
つて行
つておりまして、無条件
免税するようにはいたしておりません。九号は、七条の十五号そのままであります。十号は七条の十七号、十一号は七条の十八号、十二号は七条の十九号、十三号は七条の二十一号、十四号は七条の二十二号というふうに、
現行法と大体同様でございますが、ただ、ここの十五号が新設でございます。十五号といたしまして「増殖用の動物(増殖された動物又は当該動物からする生産品が主として輸出されるものに限る。)で
大蔵大臣が指定したもの、」従来
昭和二十六年まで、
関税定率法によりまして種用の動物につきましては七条の二十三号でございましたかに
規定がありまして、
免税しておりましたが、但し
政府とか公共団体或いは
特定のものが
輸入するものでなければならんのでありますが、そういうものが
輸入する種用の動物は
免税いたしてお
つたのでありますが、二十六年の
輸入税表改正の際に、牛、馬、豚などの種用の動物は大体において無税になりましたので、その必要が殆んどなくな
つたというので、削除したのであります。実は最近北海道におきまして貂の一種でありますところのミンクをアメリカから入れまして、そうして三年
計画でこれを増殖しまして、あとで毛皮にして輸出しようというような
計画がございました。なおぼつぼつそのほかヌートリアとかアンゴラ兎とかいうようなものも、そういう
計画が起りつつありますので、今回有税の動物につきまして、それを増殖して、そのまま或いはその毛皮などを輸出するというような場合におきましては、
大蔵大臣が
規定いたしまして
免税するというふうな
措置を講ずることにいたしたのであります。
第十五条は
特定用途
免税であります。一号は
現行法の七条の十号に相当いたします。ただ公共企業体を一句加えましたのと、それから
免税される
物品におきまして、学校、博物館、研究所などで使用いたしますところの学術研究用品で、新規の発明に係るもの又は本邦において製作することが困難と思われるものはこれを
免税することに追加いたしております。二号は七条の十号後段そのままであります。三号は七条の十一号、四号は七条の十一ノ二、五号は七条の十一ノ三、六号は七条の二十号、七号は七条の二十四の一部分であります。八号が七条の二十四、大体
現行法のそれぞれに相応
規定がございますが、九号がこれが新設でございまして、先ほど申しました引越荷物でありましても、自動車、船舶等については
特定用途
免税といたしまして、二年以内に他の用途に供した場合には税金を追徴する
規定でございます。
十六条は外交官用貨物等の
免税であります。
現行法におきましては七条の六号と七号に
規定がございますが、それをそれぞれ分類して分けましたものと、多少範囲を拡げております。例えば三号におきまして、領事館
関係を「これに準ずる機関」というのは、今まで領事館だけでありましたが、これに準ずる機関の公用品も入れてありますのと、それから全般的に、領事館の
職員或いは又、大公使その他の外交官、領事館館員等のものの家族についても、御主人であるところの外交官等が
輸入申請するものについては、
免税するようにいたしております。併しこれらは勿論相互条件によるのでありまして、国際慣行によりまして相互条約の
原則の下にこの
免税の
規定を適用するのであります。この二項が新しい狙いでございまして、前項の
規定によ
つて関税の
免除を受けた貨物のうち政令で指定するものが、その
輸入の許可の日から二年以内に同項に
規定する用途以外に供された場合には
関税を
徴収するという
規定、大体自動車にな
つておりまして、自動車につきましては世界各国でも大分
制限規定があるのであります。今まで我が国は無条件で
免税いたしております。外交官が
輸入をし
免税にいたしますれば、これはまあ半年経たないうちに売
つても差支えなか
つたわけでありますが、国内市場の
関係からいたしましてそういう場合には追徴することにいたしております。
十七条は再輸出
免税でありまして、
現行法の八条でございます。一遍
輸入されて、
輸入の許可の日から一年以内で再び出されたもので、次に掲げるものを
免税する。この七号が多少範囲を拡げております。従来注文の取集め又は製作のための見本についてはそれだけでありましたのに、それに代用される用途のみを持
つておるところの写真、フイルムその他にについて
免税しております。それから十号は、これは先ほど申しましたように、旅客の携帯品として入
つておりますところの自動車、船舶等については、再輸出
免税として、一年以内にもう一遍持ち出せば
免税をしてやる。
十八条は、船舶の建造又は修繕用貨物の
免税であります。
現行法の第十条に相応いたします。細かい点については多少違
つておりますが、大体
現行法と大差ないものと御了承願います。
第十九条は
現行法の九条の一項でありまして、輸出貨物の製造に使用される原料品のうちで政令で定めるものについては、減税、
免税、又は
免除をするという
規定でございます。これも
現行法の九条のところと大体同様でございますが、ただこの三項が新しい
規定でありまして、この結果、相当輸出については便利な
規定でございます。非常に技術的な
規定でありますが、
関税の軽減又は
免除を受けた原料品と同種の他の原料品を混ぜ合せまして使用して、そうして輸出製造用の原料品だけを原料として製造した場合の製品と同一の製品を造
つた、
輸入原料品と同一の例えば小麦粉からグルタミン酸ソーダを造る場合に、
輸入の小麦粉と国内の小麦粉を混ぜて造
つたという場合におきましては、従来は、混ぜて造りますと、その全部が輸出されないと、とにかく輸出原料品としての製品とな
つて出て行かないわけであります。全体が輸出されない限り追徴をすることになりまして、非常に不
合理の点がありましたので、今回或る程度混ぜ合せました場合におきましては、当初
輸入いたしました原料品に相当する部分の製品だけ出て行けば、あとは混ぜ合せて国内品として
免税いたすという
規定であります。
一定限度において代替使用を認めたのであります。
二十条が違約品の返送の場合のもどし税の
規定でございまして、新設でございます。
輸入いたしましたが契約の
内容と相違するため返送するというような場合におきましては、従来もどし税の
規定がなか
つたのであります。それでは酷なこともございますので、今回
輸入の許可の日から三カ月以内にこれを保税地域に入れましてあとで戻すというような場合には、前の税金を戻してやるという
制度でございます。これは世界各国でも採用されておる
制度であります。
第二十一条は
輸入禁制品で、
現行法第十一条そのままでございまして、ただ二項を新設いたしまして、その
輸入禁制品の処分の
内容を明らかにいたしております。税関は、これらの
輸入禁制品は没収して廃棄するか、又はその積み戻しを命ずることができるというふうに、新らしくはつきりその禁制品の処分を
規定いたしました。
第二十二条は
関税率
審議会でありまして、
現行法の第十三条であります。
大蔵大臣の諮問に応じまして、
関税率に関する重要な事項を調査
審議するため、昔から
関税率
審議会があ
つたのでありまして、
現行法の十三条の
規定に若干の修正を加えてそのまま持
つて来たわけであります。
第二十三条は、外国とみなす地域、ちよつとこの
規定はわかりにくいのであります。
現行法の第十二条と同様でございまして、「この
法律の適用については、政令で定める本邦の地域は、当分の間、外国とみなす。」というふうに言
つておるのでありますが、平和条約第三条に
規定されております地域の中でまだ日本に行政権が復帰していないものを政令で
規定いたしております。即ち沖縄、小笠原というようなところでございますが、こういう本邦の地域は当分の間外国とみなすということにいたしまして、即ちこういうところから日本へ持
つて来る場合には
輸入になるということであります。出る場合には輸出になる。但しこれらの地域から
輸入されるものにつきましては、附則におきまして当分の間
免税する。勿論これらの土地で生産された
物品についてであります。
以上が極く大ざつぱでございますが今回の定率法の
改正の
内容でございます。おわかりにくいかと存じますが、なお御
質問によりまして詳細にお等え申上げたいと思います。