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1954-03-15 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十五日(月曜日)    午後二時二十四分開会   —————————————   委員の異動 三月十二日委員松野鶴平君辞任につ き、その補欠として、白井勇君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            山本 米治君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君   政府委員    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省為替局課    長       稲益  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○株式会社以外の法人の再評価積立金  の資本組入に関する法律案内閣提  出) ○出資受入預り金及び金利等の取  締に関する法律案内閣送付) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法  案(内閣送付) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○国税収納金整理資金に関する法律案  (内閣送付) ○関税法案内閣提出) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○外国為替銀行法案内閣提出)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  一、株式会社以外の法人の再評価積立金資本組入に関する法律案、(本審査)  二、出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案、(予備審査)  三、交付税及び譲与税配付金特別会計法案、(予備審査)  四、証券取引法の一部を改正する法律案、(予備審査)  以上四案につきまして提案理由説明を聴取いたします。
  3. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今議題となりました株式会社以外の法人の再評価積立金資本組入に関する法律案はか法律案につきまして、提案理由説明申上げます。  先ず株式会社以外の法人の再評価積立金資本組入に関する法律案について申上げます。  資産再評価法第百九条の規定による再評価積立金資本組入につきましては、従来、株式会社についてのみ認められていたのでありますが、株式会社以外の法人につきましてもこの際、資本組入を認めることが適当であると考えられますので、ここに、この法律案を提出することとしたのであります。  以下本法律案につき、その大要を申上げます。  先ず第一に、再評価積立金資本に組入れるには、定款変更の場合と同様の決議を要することといたしております。  第二に、出資について口数の定めがある法人資本組入を行なつた場合には、組入額の総額に対応して出資の総口数が増加するものとし、出資者各人出資口数は、それぞれの出資者が現に有している出資口数に応じて増加することといたしております。  第三に、資本組入の場合においては、原則として無償で出資口数が増加するのでありますが、株式会社の場合と同様、出資一口の金額の一部を出資者に払い込ませることを認めるとともに、端数又は払込のなかつた出資口数が生じた場合における売却又は出資者募集及びこれによつて得た金額の分配について必要な規定を設けることといたしております。  第四に、資本組入を行なつた結果、出資者口数法令規定する保有限度を超える場合の特例を設けると共に、出資者に対して分配すべ金銭の額について、法人所得計算所要特例措置を講じております。  第五に、本法律案の附則によりまして、株式会社資本組入の場合において、失権株又は端株を公募する際の発行価額について、商法の特例を設けました。  次に出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  元来、出資金複数人共同事業の基金として拠出される金銭であつて、後日これに相当する金額出資者の手許に復帰するかどうかは、事業成否如何にかかるのであり、あらかじめその返還を確約しがたいものであります。然るに、最近におきまして、出資金として一般大衆から大量の金銭を受け入れるにつき、一方において後日必ずその全額又はこれを超える金額支払うべきことを表示し、又はその全額を払戻すかのごとき誤解を生ぜしめるような方法を用いておりながら、他方において、事業不成功の場合にその金額支払の不能を来している場合が少くないのであります。かかる方法によりまして不特定多数の者から金銭受入をすることは、出資者に不測の損失を招来せしめ、一般経済秩序に混乱を生ぜしめる因となることは明らかであります。そこで、このような金銭受入禁止する方途も考えられるのでありますが、この際はむしろ、出資金の性格を誤認せしめるような出資受入禁止し、一般大衆を惑わすような金銭受入方法を一掃するのが適当であると存ずるのであります。  又、預金受入等受信業務につきましては、現在すでに各般金融関係法規によりまして、行政庁免許乃至認可を受けた金融機関以外の者がこの業務を営むことを禁止しているのでありますが、最近はこの面における脱法的な行為も愈々巧妙な手段がとられるようになりまして、取締に困難を加えて参つておる実情であります。従いまして、この際、預金受入等禁止の範囲について明確な規定を設ける等の措置によりまして、取締に便ならしめ、もつて金融秩序の維持を図ることといたしたのであります。  次に金銭貸付等を業とする貸金業者につきましては、現在「貸金業者取締に関する法律」によりまして、貸金業を行うには大蔵大臣への届出を要することといたしております。この外、この法律におきましては、貸金業者預り金をすることを禁止すると共に、更に金融機関役職員等のいわゆる浮貸し等を禁止し、又この法律制定の当時、無尽業法規定する無尽に類あります。然るところ現在に至るまでのこの法律運用上の経験に鑑みますと、貸金業者届出制は、現在においてはその必要を認めないのみならず、むしろ弊害を生じている状況でありますし、他面、殖産会社整理はすでに完了いたしておりますので、この際この法律はこれを廃止することが現状に即すると考えられるのであります。  なお貸金業者金利のみならず、一般金銭貸付利息等につきましては、その不当に高いものはこれを取り締る必要があると考えられますので、今回罰則をもつてその取締を行うことといたしたのであります。  次に、この法律案の主な内容についてその概要を御説明いたします。  第一に、何人も、不特定多数の者に対して、後日出資金金額以上の金額を払いもどすべき旨を示し、又はこのような払いもどしがある旨の誤解を生じさせるような仕方を用いて、出資金受入をしてはならないこととしております。  第二に、他の法律に特別の規定のある者を除いて、何人も業として預り金をしてはならないこととし、預り金解釈規定を設けるとともに、主として貸金を業とする者が、社債の発行により不特定多数の者から貸付資金受入れるときは、業として預り金をするものとみなしております。  第三に、貸金業等取締に関する法律は、これを廃止することといたしますが、同法中の金融機関役職員等に対する浮貸し等の禁止規定は存置することとして、おおむねこれと同様の規定を設けております。  第四に、金銭貸付を行う者が、その貸付利息について、日歩三十銭の限度を超えてこれを契約し又は受領したときは、刑事罰を課するとともに、金銭の貸借の媒介を行う者は、その手数料について、媒介金額の五分の限度を超えてこれを契約し又は受領してはならないこととしております。  第五に、罰則につきましては、高金利の処罰の外、出資金受入制限預り金禁止、浮貸し等禁止及び媒介手数料制限の各規定に違反した者及びこれらの各規定脱法行為をした者に対し刑事罰を課することとするとともに、所要の両罰規定を設け、また銀行法貯蓄銀行法信託業法及び無尽業法の無免許営業者に対する罰則を強化し、併せて両罰規定を設けるほかこれらの法律中の他の罰則についても整備を図つております。  次に交付税及び譲与税配付金特別会計法案について提案理由を御説明申し上げます。  政府におきましては、今般、地方公共団体財政運営自律性及び安定性を強化し、地方財源の偏在の是正を図るため、従来の地方財政平衡交付金制度に代え、新たに、地方交付税及び入場譲与税に関する制度を設けるとともに、昭和二十九年度揮発油譲与税に関する特別措置を講ずることといたしまして、本国会に、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案入場譲与税法案及び昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案提案いたしているのでありますが、これらの法律に基く交付税及び譲与税配付に関する経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理することが適当であると考えられますので、ここに交付税及び譲与税配付金特別会計法案提案いたした次第であります。  以下この法案内容についてその大要を御説明いたしますと、この会計は、内閣総理大臣及び大蔵大臣共同管理をいたすこととし、地方交付税相当額一般会計からの繰入金入場税収入及び附属雑収入歳入とし、地方交付税交付金入場譲与税譲与金入場税収入の一割相当額一般会計への繰入金及び附属諸費歳出とし、その他、毎会計年度決算上の剰余は、翌年度歳入に繰り入れ、毎会計年度歳出予算支出残額は、翌年度に繰り越して使用することができることとする等、交付税及び譲与税配付に関して必要とされる会計運営制度規定するとともに、昭和二十九年度揮発油譲与税配付に関する経理につき所要規定を設けることといたしているのであります。  最後証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  近年における一般大衆による証券投資の増加に顧み、投資者保護を益々強化する必要があると存ずるのでありますが、最近一部の貸金業者例えばいわゆる株主相互金融会社等にその例が見られますように、株券等募集売出等に際し、その株券等額面価格が常に保証され、又は一定配当等支払が保証されるものと誤認させるような誇大な宣伝方法を用いて投資を勧誘し、これを信頼して投資に応ずる一般大衆に損害を与え、又は与えるおそれのある勧誘行為がなかば公然と行われているのであります。投資者保護のためには、これらの勧誘行為の規制を一層強化する必要があると認められます。よつて、この法律案を立案した次第であります。  その内容について申し上げますと、  第一に、株券等につきその投資額相当額金銭の回収が可能である旨の宣伝等をすることを禁止することといたしております。  即ち、株券証券投資信託又は元本補填の契約の存するもの以外の貸付信託受益証券等募集売出等に際し、一般大衆に対して、これらの証券一定価格で買いもどし等が行われる旨の表示をすることを禁止することといたしております。  第二に、これらの証券について一定の額の配当等が受けられるものと誤解されるような宣伝等をすることを禁止することといたしております。即ち、株券証券投資信託又は貸付信託受益証券等発行者売出をする者、これらの役員、使用人等が、これらの証券募集売出等に際し、一般大衆に対して、これらの証券につき一定額利益配当が確実に行われる旨の表示その他一定利益配当等が受けられるものと信じさせる恐れのある表示をすることを禁止することといたしております。  なお、これらに違反した者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処することといたしております。  以上が四法律案提案理由及びその内容概要であります。  なにとぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことを切望いたします。
  4. 小林政夫

    小林政夫君 出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案証券取引法の一部を改正する法律案、これは前から審議中であるといつてもいいことですが、法務大臣、副総理等出席はどういうようになつておりますか。
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ずつと前の特別金融機関の調査の件に関して、今お話の副総理或いは法務大臣等出席を要求し、その手続をとりましたが、その当時どうしても繰り合せがつきませんで、今日に及んだ次第であります。今度この二法案提案になつたわけでありますが、この二つの法案は前からの問題と表裏一体を成すものであるし、この法案審議に当つては両大臣出席を要求しようと思つております。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 もう大分日にちも経過しておるし、どうも予算委員会等審議関係で、どうもこの委員会には出席でき難いのではないか、そういうことで、明日私は予算委員会質問をすることにしました。ついては、政府のほうにおいては、特に銀行局長は本委員会における審議の経過は十分御承知のはずでありますから、大蔵大臣法務大臣及び副総理において、私の質疑に対して十分な答弁ができるように、ただ銀行局長関係のみでありません。国税面等においても、十分答弁のできるような用意をして、答弁に当られるように取計らわれることを要望いたします。
  7. 河野通一

    政府委員河野通一君) 明日ですか。
  8. 小林政夫

  9. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国税収納金整理資金に関する法律案について、その内容説明を聴取いたします。
  10. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは国税収納金整理資金に関する法律案内容を御説明申上げます。  すでに提案理由説明でも申上げましたのでございますが、従来国税として歳入に受け入れましたものの中には、過誤納金或いは欠損繰戻し、その他の事由によりまして、将来これを納税者還付すべ性質金額を含んでおつたのであります。この還付は別にもとより予算に計上いたしまして、租税払戻し金として支出しておつたのでございますが、これはすでに委員各位の御承知通り財政法第二条に「収入とは、国の各般の需要を充たすための支払財源となるべき現金の収納をいう。」という、この規定から申しまして、いわば支払い財源に充当すべからざるものがこの国税等歳入の中に入つてつたということでございまするので、私どもとしましては、この点、誠に不合理の点があるということを痛切に感じておつた次第であります。特にこのことは、現在の所得税或いは法人税等租税の大宗を占めますところの税が、いわゆる申告納税制度をとつておりますために、特にそういう現象が著しくなつておるのでございます。昭和二十八年度予算におきましても、これらの、いわゆる租税払戻し金予算が八、九十億に上つておるような次第でございまして、この点、誠に財源として、いわば不適格なるもの、或いは不確実なるものが入つておる。こういうことを痛切に感じておりましたので、今回この国税収納金整理資金に関する法律案提案申上げました。以上申上げましたような、歳入の中に含まれておりました不確実な或いは不適格な要素はこれを排除いたしまして、収入は文字通り確実であり、又合理的であるところの収入を以て収入とするという建前にいたしたい、こういうことが本法律案提出の根本の理由でございます。  そういう趣旨からいろいろと規定が設けられておるのでありますが、法案の第三条に、資金を設置いたしまして、只今申上げましたような目的を達成するために、国税収納金整理資金というものを置くことに規定をいたしたのであります。本資金は、第四条に規定いたしております通りに、大蔵大臣法令従つてこれを管理することにいたしております。  そうしまして、あといろいろ手続き規定があるのでありますが、国税或いは滞納処分費等徴収収納は、大体現行歳入徴収手続きに準ずるのでございますが、いわゆる従来歳入徴収官というものを設けておりましたが、この歳入徴収官に代りまして、「国税収納命令官」を新らしく設けております。その規定は第八条にございます。そうしまして、この「国税収納命令官」が、従前の歳入徴収官歳入徴収いたしましたと大体同じような手続きによりまして、徴収及び収納をすることとしておるのであります。  なおこの国税等収納いたしましたときに、すべてこれを本資金に受け入れまして、又この資金から支払われることになる過誤納金等還付金支払いにつきましては、従来の支出官の代りに「国税資金支払命令官」、これは第十条に規定いたしておりますが、「国税資金支払命令官」というものを設けまして、この「国税資金支払命令官」に支払命令を行なわせるほか、郵政官署にその支払を委託する等、現在の制度を大体踏襲することにいたしているのであります。それから郵政官署支払を委託する場合には、やはり現在の制度に準じまして「国税資金支払委託官」を設けることにいたしております。これは第十三条に「郵政官署への委託払」といたしまして規定をいたしております。かように収入支出につきまして大体現行制度に準じた扱いをいたしているのであります。  以上のような方法によりまして毎会計年度所属国税収納金の額と当該年度において支払の決定をいたしました過誤納金還付金等の額との差額を、当該年度一般会計或いは又今回新らしく設けられました交付税及譲与税配付金特別会計に所属いたします入場税等につきまして、その特別会計歳入に組入れることといたしているのであります。即ち最初に申上げましたように、従来漠然と歳入として、その中に相当額のものが納税者還付せられるべき性質のものが入つておりました。それらの不確実な要素を一掃いたしまして、確実に歳入であるところのものを一般会計或いは特別会計歳入にする仕組をとつているわけでございます。現下いわゆる健全財政が非常に強い一般的な要請になつております際に、私どもとしましてはかねがね非常にその不合理を痛感いたしておりましたこの歳入の中の不確実不合理要素を排除する仕組をとることによりまして、真に確実であり合理的な歳入財源といたしまして、予算を組み、或いは予算を実行して行くという建前を貫くために、以上のような仕組を考えまして、関係各省庁と協議の上、ここにこの法律案を出しておるような次第でございます。ただ最後に、還付加算金だけにつきましては、これはその性質上、国の経費でございまするから、これは従来と同じように、一般会計、又は先ほど申上げました特別会計歳出から、その還付加算金及び償還金に必要な金額を本資金に繰入れまして、資金から他の支払金と同様に支払いをすることにいたしておるのであります。  即ち、従来漠然と或いは包括的に租税払戻金として予算に計上いたしておりましたものの中から、真の意味におきましては歳入すべからざるもの、こういうものを先ず除外する。併しながらその中に、本来歳出を以て支弁すべ還付加算金、或いは償還金というものも一緒にあつたのでございまするから、先ず前者の歳入すべからざるものを、いわゆる歳入歳出外とするための仕組を作る、こういうことを先ずやりまして、残りましたところの、本来の歳出として支出すべきものは、依然としてこれを歳出として出す。こういう建前をとつておる次第でございます。  以上申上げましたような目的並びに方法によつて歳入の真の意味における確実であり且つ合理的であるもののみを歳入とすることにいたしておるのでありますが、この制度の採用に伴いまして、帳簿報告の様式その他の点につきまして、又、本収支決算書に関しまする資金受払い計算書等につきましては、それぞれ会計検査院検査及ひ国会の御議決を願うための手続につきまして、必要な規定を設けております。  なお又、本資金の適正なる運用を期するために、第十七条には「職員責任」につきまして明確なる規定を設けておりますと共に、「資金支払計画等」につきましては、第十一条にそれぞれ規定を設けました。本制度はすでに提案理由でも申上げましたように、一方におきましては歳計の健全化合理化明確化ということを所期いたしておるのでありますが、他面におきましては納税思想の高揚に資するように、払戻しすべきものは速かにこれを払戻すということをも所期しておるのでございます。併し、そういう目的のために本資金が濫用せられることは、厳に避くべきでございますから、只今申上げましたような適正なる計画を立てまして、その計画によつて資金収支を行なつて参る。又それらの決算等につきましては、それぞれ検査院或いは国会に送りまして、検査を受け、或いは御議決を願うということにいたしておるのでございます。会計管理責任は明確にこれを本法の中に規定しておるような次第でございます。  以上で大体この資金目的と、本法案目的と、その運用方法の大綱を申上げたのでございますが、なお御質問等によりまして、詳しく御説明を申上げたいと思います。
  11. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に関税法案(本審査)及び関税定率法の一部を改正する法律案、(予備審査)右二案を議題として内容説明を聴取いたします。
  12. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 関税定率法につきましては、昭和二十六年に輸入税表全面改正をいたしたのでございます。その際に各条文につきましても相当大幅な改正をいたしたのでございます。ただその後の実施状況を見まして、改正を要する点もございますので、今回関税法全面改正を契機といたしまして、従来の関税定率法の各条文につきまして、全面的な再検討を加えまして、ここに輸入税表を除く他の条文につきまして、全面的な改正の案を提案いたしたのでございます。なお、従来、関税定率法の付則におきまして、今年の三月三十一日まで関税免除或いは軽減いたしておりましたものにつきましては、原則といたしましてその期間を更に一年間延長いたしまして、明昭和三十年三月三十一日までそれぞれ関税免除或いは軽減することといたしておるのであります。即ち、重要機械類免税学童給食の用に供しますところの乾燥脱脂ミルク免税或いは別表甲号におきまして大豆以下の物品を掲上いたしまして免税しておりますもの、或いは又別表乙号におきまして関税を軽減いたしておりますものにつきまして、それぞれその免除或いは軽減の期間昭和三十年の三月三十一日までと延長いたしております。  ただこの唯一の例外としましては、金工業に使用いたしまする物品免税規定を今回削除いたしたことでございます。金工業に使用いたします物品につきましては、昭和二十五年から貴金属管理法により三年間、更に昨年これを関税定率法に移して、今年の三月三十一日まで免税いたしておつたのでございますが、これらの物品輸入は年々減少いたしておりまして、略々その免税規定存在理由も失いつあるというように見受けられるのでありますが、なおこの免税いたしております物品の大部分はいわゆる機械類でありまして、若し必要であるならば、それは重要機械類免税のほうに移行いたしまして、政令で必要な重要機械については免税もできることになつておりますので、この際、条文整理意味も併せまして、金工業に使用する物品免税はこれを削除いたしております。  それからなお今回暫定的に、昭和三十年の三月三十一日まで免税すべ物品の中に、針葉樹の製材の中、ヘムロツクその他のつが属のもので、厚さが二百ミリメートルを超えないものにつきまして、暫定的に来年の三月三十一日まで免税いたすことにいたしております。この法案の三十六ページの別表甲号の一番最後税番千七百九番の木材というのが新らしく追加したものでございます。  関税定率法の本則は二十三条でございまして、関税法に比べますと非常に簡単でございますので、一応参考の意味も兼ねまして、旧法と対照しながら簡単に内容の御説明を申上げたいと存じます。  法案の第一条は関税定率法の「趣旨」、第二条は「輸入」、「船用品」、「機用品」、「輸出」という言葉についての定義を掲げております。従来の定率法には、法の趣旨及び重要用語の定義などはございませんでしたが、今回関税法にならいまして、法の趣旨と重要用語の定義を明らかにいたしたのでございます。  第三条は、現行法の第一条に相当する規定でございまして、ただ表現を異にするのみでございます。  第四条は、課税価格に関する規定でございますが、現行法の第二条でございまして、御参考までに、関税は如何にしてその課税価格を評価するかというこの第四条の内容について、極く大体を御説明いたしますと、第四条の第一項は、結局、輸出国におきまして、「当該貨物又は同種の貨物が通常の卸取引の量及び方法によつて販売される価格」というものを基にしまして、それを基にして積上げたところの本邦到着のCIF価格によるという規定であります。これが原則でございまして、第二項、第三項は、その原則の実施規定でありまして、このCIF価格は、輸入申告に際して提出された仕入書その他の書類によつて決定できる場合においては、これらの書類をそのままとつて行くというのが第二項であります。それから第三項は、「仕入書その他の書類が提出されない場合」、或いは「これらの書類に記載された事実が真実と認められない場合」、或いは「これらの書類により難い事由があると認められる場合」にはどうするかというのが第三項の規定でありまして、その場合におきましては、最近に本邦に到達いたしました同種又は類似の貨物について前項の規定によつて決定された課税価格がございますれば、その価格を基として、更にその貨物の性質輸入の時期等の差異によるところの価格の相違を勘案して、必要なる調整をこれに加えて決定するという内容であります。  それから第四項は、本邦に到着いたしましてから、保税倉庫に入れて、そうしてそれで実際の輸入の許可があるときまで相当長時間に亙るというような貨物につきましては、その価格が保税倉庫等の蔵置期間中に著しく変動いたしました場合におきましては、第三項の規定に準じまして、最近に本邦に到着した同種又は類似の貨物について仕入書その他の書類によつて決定された課税価格を基として決定するという内容であります。  それから第五項は、前各項でいろいろやつて来たけれども、どうしても行かないという場合の最後規定でございまして、この場合には国内の卸売価格から逆算するという規定であります。国内の卸売価格から関税その他の課徴金及び輸入港から卸売市場に至るまでの通常の費用を控除した額を基として決定するという内容でございます。  第六項は、今回の新設でございますが、これは外国通貨によつて表示された価格の本邦通貨への価格の換算をどうするかという規定でございますが、従来これらの点につきましては、規定がなくて、取扱上いたしておりましたことを、今回法律で明らかにいたしたのであります。  この第四条におきまして、従来の第二条を改正いたしました点は、一項におきまして、五行目に、「輸入港に到着するまでに要する通常の運賃及び保険料」の次に括弧があります。この括弧書きを新たに入れたのであります。即ち、従来の方法によりますれば、船舶で日本に到着したものについては、船舶の通常の運賃、保険料による。それから航空機で参りましたものについては、航空機によるところの通常の運賃及び保険料を基としてCIF価格を決定するわけでありますが、ただ物によりましては、貨物で、航空機によりまして運ばれたものにつきまして、航空運賃及び航空保険料をそのままプラスすることが極めて無理な場合もございます。例えば少量の贈与品或いは商品見本などで課税されるような場合におきましては、うつかりいたしますと、航空運賃、航空保険料のほうが、そのものの価格より高くなる場合がございます。そういう場合を救済する規定でございまして、そのような場合には、船舶のほうの通常の運賃、保険料で見て行こうという内容でございます。  あとの改正点は、第三項の四行目で、「又は当該貨物の性質輸入の時期その他の事情の差異による価格の相違があるものについては、その相違を勘案し、合理的に必要と認められる調整をこれに加えて、課税価格を決定する。」というところ、これは従来からも私どもの解釈としては当然このようにいたしておつたのでありますが、はつきりさせる意味で書いたのであります。  それから第四項におきましては、輸入港に到着のときから輸入の許可のときまででありますが、その輸入の許可というのに、いわゆる輸入許可前の承認の場合におきましては、その承認のときまでだというふうにいたしまして、現行法では単に「輸入ノ時迄」となつておりまして、解釈上多少疑義があつたのでありますが、この箇条をこのようにいたしておりまするのは、はつきりいたしただけでございます。  なお、五項におきましては、やはり「当該貨物の性質等の差異による価格の相違を勘案し合理的に必要と認められる調整を加えた額を課税価格とする。」、これも従来解釈上やつてつたことでありますが、法文上明らかにしたわけであります。  第六項は只今申上げたように新設であります。  第五条は現行法の第三条そのままでございます。ただ文語体を口語体に直しただけでございますが、そこに「便益関税」と称せられるものでありまして、関税上の特別な協定が日本とその国との間にない場合におきましても、互恵的見地或いはその他の国際事情を勘案いたしまして、関税協定による便益の限度を超えない範囲内で相手方に便益を与えることができるという規定であります。  第六条は「複関税」と銘打つてございますが、我が国の生産物について関税に関する最恵国待遇の便益を与えない国の生産物に対しましては、貨物を指定いたしまして、別表の税率による関税の外、従価一〇〇%以下の関税を課することができるという規定でありまして、新設でございます。複関税につきましては、この一、二年来、国内にもいろいろ議論のあつたところでありまして、ガツト仮加入に際しまして、どうしても日本としてはこのような複関税制度が必要ではないかという議論があつたわけであります。大体法律的に研究いたしますと、現行法の第四条、それは報復関税と呼ばれておるものでありますが、この新法では第七条でございます。この報復関税規定によつて、やろうと思えば現行の第四条でもできるという法律的解釈が国内的に一致しておつたのでありますが、ただそれにつきましては多少の法文上疑義なきにしもあらずであります。且つ、又報復関税という規定によりまして複関税をいたしますと外国を刺戟する点もございますので、今回新らしく別条文といたしまして、はつきり複関税制度ができるような法律的基礎を設けたのでございます。  第七条は報復関税でございまして、現行法の第四条と殆んど同じでございますが、ただ本邦の航空機に対して差別待遇する国に対しても報復関税ができるように新らしく追加いたしました。「本邦の船舶若しくは航空機又は本邦から輸出され、」云々とございますが、初めのほうの「航空機」というのが新らしく加わつております。  次は第八条でありますが、これは現行法の第五条でございます。相殺関税規定でございます。相殺関税と申しますと、補助金、奨励金を出しておる物品に対しては、その補助金の効果を減殺させる意味において複関税を課することができるということが各国の規定にございます。補助金の効果を減殺させる目的で以て追課するところの関税、これが相殺関税でございます。相殺関税につきまして今回現行法の第五条で若干書いておりますのは、これは専らガツトの規約に調子を合せたものでありまして、現行法においては、単に「外国ニ於テ輸出奨励金ヲ受クル物品ニ対シテハ」という、非常に簡単な言い方でありますのを、ガツトの規定に合せまして、「外国において生産又は輸出について直接又は間接に奨励金又は補助金を受ける貨物の輸入が本邦の産業に損害を与え、若しくは与える虞があり、又は本邦の産業の確立を妨げると認められるとき」に相殺関税をかけるという要件をはつきりいたしたのであります。それともう一つ現行法との違いは、現行法におきましては「奨励金ト同額ノ関税ヲ課スルコト」となつておりましたのを、今回「奨励金又は補助金と同額以下の関税を課することができる。」と、若干幅を持たしたのであります。場合によりまして必ずしも奨励金又は補助金と同額の関税を課する必要もないこともございますので、それの最高限度といたしまして相殺関税をかけることができるという規定であります。  第九条はダンピング関税でありまして、現行法の「第五条ノ二」でございますが、つまり現行法の規定と殆んど同様ではございますが、ただガツトの規定に即応させまして、二行日あたりに、「又は本邦の産業の確立を妨げる旨の申出があつた場合」というのを追加いたしております。それと第二項におきまして、ダンピング関税徴収する相手方は、現行法におきましては「不当廉売者又ハ其ノ代理人」、これらの者が追徴されるとなつておりましたのを、「当該貨物の輸入者」を加え、それから「その他これらの者と政令で定める密接な関係にある者」を追加いたしております。  第十条は、これは現行関税法の第二条に規定しておる規定でございまして、俗に損傷減税と呼ばれております。関税法の第二条におきましては「輸入貨物損傷シタル為減税ヲ請フ者アルトキハ輸入免許前ニ限リ相当ノ減税ヲ為スコトヲ得」という非常に漠とした規定でありまするが、今回定率法に移しまして、その内容をはつきりさしたのが、この第十条でございます。  第十一条は新設の規定でありまして、従来日本から輸出いたしまして、そして五年以内に昔のままで戻つて来たものについては、これは現行関税定率法第七条の十七号というところで、二度目に入つて来たときには免税にするという規定がございます。但し、それに加工又は修繕を加えられて、初め出て行つたときと姿が変つたときは、免税されないのですが、そういたしますと、加工又は修繕されて価値がプラスになつた場合には全部とられるということになります。それは酷でございますので、加工又は修繕のため本邦から輸出され、その輸出の許可の日から一年以内に戻つて来た貨物につきましては、日本において加工又は修練をすることが困難であると認められるものについては、価値の増加分だけに対して関税をかけることができるという内容であります。多少むずかしい言い現わし方をしておりますが、窮局におきましては、価値の増加分の付加部分に対して関税をとることができるぞという規定でございます。  それから第十二条は、現行法の第六条「主要食糧の減税又は免税」でございまして、これらの主食につきまして関税をかけることによりまして、国内において生産された同等品の卸売価格よりも高くなるようなとき、又は凶作とか、天災地変等のため緊急の必要のある場合におきましては、これらの主食に対して「政令で定めるところにより、これらの貨物及び期間を指定し、その関税を軽減し、又は免除することができる。」という規定でございます。これによりまして、政令で今ここに挙つておる品目につきましては全部免税いたしておるのでありますが、ただ現行法におきましては、このほかに小麦粉が加わつております。ただ小麦粉につきましては、これは日本の製粉工場も次第に整備されまして、最近では小麦を入れてそれを製粉して輸出するまでの余力も出たのでありまして、小麦粉そのままを輸入することは先ず先ず非常に少くなつて来た。それで他の主食といささか趣きを異にしておる点もございますので、主要食糧の減税又は免税として、この条文から削除いたしまして、ただグルタミン酸ソーダを輸出するために小麦粉を入れるという場合におきましては、現行法の輸出原材料の免税というところで、政令によりまして現在免税いたしておるものであります。昨年の十月から主食に対する関税の減税又な免税の政令からは小麦粉を落しまして、その代りに、輸出するグルタミン酸ソーダを製造するために輸入する小麦粉については免税するように政令で措置いたしております。  第十三条は、特定物品を製造するために入れるところの輸入原料品の減税又は免税であります。現行法では第九条の二項であります。ここに挙つておる物品は大体現行通りでありますが、ただ一号におきましてコーンスターチの製造に使用するための「とうもろこし」というものを新らしく追加いたしてございます。コーンスターチというのは、御承知のように「とうもろこし」から製造するものでございますが、これは輸出綿布の糊付けに使用されますもので、相当輸出に貢献いたしているものであります。輸出奨励の見地から、今回十三条の一号のほうに、コーンスターチの製造に使用するための「とうもろこし」を追加することにいたしたのであります。十三条のあとの規定は大体現行法の通りでありまして、細かく言えば多少の違いはございますが、説明は省略いたします。  第十四条は、「無条件免税」と銘打つてあるのでございますが、現行法の第七条におきましては、「左ノ物品ニハ輸入税ヲ免ス」とありまして「一 御料品」から二十四までの「航空機ノ発着又ハ航行ノ安全ノ為必要ナル機械」等について免税いたしておるのでありますが、これらの規定内容をよく分析いたしますと、これは無条件に免税していいものと、そうでなくて、特定の用途に供するがために免税するのであるから、若し他の用途に供された場合には追徴すべきものも相当あつたのであります。それを現行法におきましてはすべて包含いたしまして、一遍免税いたしますと、あとで追徴する規定が実はなかつた。これは関税定率法の一つの欠陥と私ども考えております。今回内容を分析いたしまして現行法の第七条に規定しておりますもののうち、無条件免税すべきものを十四条にし、それから特定の用途に供するがために免税するのであつて、他の用途に供した場合には追徴するという場合は、第十五条の特定用途免税でいたしております。なお、外交官用貨物等の免税については第十四条に規定いたしたのであります。十四条の一号は、現行法の第七条の一号、「御料品」というものの表現を改め、二号は現行法の二号大体そのままでございます。それから三号は、現行法の八号といたしまして「本邦在住者ニ贈与スル勲章、賞牌及記章」と簡単に書いておりますのを、今回贈与する主体のほうを公共的なものに限定いたしますと共に、対象となる物品につきましては、勲章、賞牌、記章だけでなく、その他これらに準ずる表彰品に範囲を拡大いたしております。四号の「記録文書その他の書類」は七条の九号そのままでございます。五号は、七条の十二号、ただ「日本専売公社又はこれらの委託を受けた者が輸入するもの」と、多少範囲は広くなつております。第六号は「商品の見本」でありまして、現行法の七条の十三号そのまま、それから七号は携帯品に対する免税でありまして、現行法におきましては七条の十四号でありますが、従来旅客の携帯品につきましては割合に簡単な規定で書いておつたのでありますが、今回具体的に割合にはつきりさせますと共に、携帯品の中で、自動車、船舶、航空機その他の物品につきましては無条件免税といたしませんで、これを再輸出免税のほうに規定いたしております。それから八号は引越荷物の免税規定でありまして、現行法の七条の十六号でありますが、これも内容を明らかにいたしますと共に、自動車、船舶等につきましては、これは特定用途免税のほうに持つてつておりまして、無条件免税するようにはいたしておりません。九号は、七条の十五号そのままであります。十号は七条の十七号、十一号は七条の十八号、十二号は七条の十九号、十三号は七条の二十一号、十四号は七条の二十二号というふうに、現行法と大体同様でございますが、ただ、ここの十五号が新設でございます。十五号といたしまして「増殖用の動物(増殖された動物又は当該動物からする生産品が主として輸出されるものに限る。)で大蔵大臣が指定したもの、」従来昭和二十六年まで、関税定率法によりまして種用の動物につきましては七条の二十三号でございましたかに規定がありまして、免税しておりましたが、但し政府とか公共団体或いは特定のものが輸入するものでなければならんのでありますが、そういうものが輸入する種用の動物は免税いたしておつたのでありますが、二十六年の輸入税表改正の際に、牛、馬、豚などの種用の動物は大体において無税になりましたので、その必要が殆んどなくなつたというので、削除したのであります。実は最近北海道におきまして貂の一種でありますところのミンクをアメリカから入れまして、そうして三年計画でこれを増殖しまして、あとで毛皮にして輸出しようというような計画がございました。なおぼつぼつそのほかヌートリアとかアンゴラ兎とかいうようなものも、そういう計画が起りつつありますので、今回有税の動物につきまして、それを増殖して、そのまま或いはその毛皮などを輸出するというような場合におきましては、大蔵大臣規定いたしまして免税するというふうな措置を講ずることにいたしたのであります。  第十五条は特定用途免税であります。一号は現行法の七条の十号に相当いたします。ただ公共企業体を一句加えましたのと、それから免税される物品におきまして、学校、博物館、研究所などで使用いたしますところの学術研究用品で、新規の発明に係るもの又は本邦において製作することが困難と思われるものはこれを免税することに追加いたしております。二号は七条の十号後段そのままであります。三号は七条の十一号、四号は七条の十一ノ二、五号は七条の十一ノ三、六号は七条の二十号、七号は七条の二十四の一部分であります。八号が七条の二十四、大体現行法のそれぞれに相応規定がございますが、九号がこれが新設でございまして、先ほど申しました引越荷物でありましても、自動車、船舶等については特定用途免税といたしまして、二年以内に他の用途に供した場合には税金を追徴する規定でございます。  十六条は外交官用貨物等の免税であります。現行法におきましては七条の六号と七号に規定がございますが、それをそれぞれ分類して分けましたものと、多少範囲を拡げております。例えば三号におきまして、領事館関係を「これに準ずる機関」というのは、今まで領事館だけでありましたが、これに準ずる機関の公用品も入れてありますのと、それから全般的に、領事館の職員或いは又、大公使その他の外交官、領事館館員等のものの家族についても、御主人であるところの外交官等が輸入申請するものについては、免税するようにいたしております。併しこれらは勿論相互条件によるのでありまして、国際慣行によりまして相互条約の原則の下にこの免税規定を適用するのであります。この二項が新しい狙いでございまして、前項の規定によつて関税免除を受けた貨物のうち政令で指定するものが、その輸入の許可の日から二年以内に同項に規定する用途以外に供された場合には関税徴収するという規定、大体自動車になつておりまして、自動車につきましては世界各国でも大分制限規定があるのであります。今まで我が国は無条件で免税いたしております。外交官が輸入をし免税にいたしますれば、これはまあ半年経たないうちに売つても差支えなかつたわけでありますが、国内市場の関係からいたしましてそういう場合には追徴することにいたしております。  十七条は再輸出免税でありまして、現行法の八条でございます。一遍輸入されて、輸入の許可の日から一年以内で再び出されたもので、次に掲げるものを免税する。この七号が多少範囲を拡げております。従来注文の取集め又は製作のための見本についてはそれだけでありましたのに、それに代用される用途のみを持つておるところの写真、フイルムその他にについて免税しております。それから十号は、これは先ほど申しましたように、旅客の携帯品として入つておりますところの自動車、船舶等については、再輸出免税として、一年以内にもう一遍持ち出せば免税をしてやる。  十八条は、船舶の建造又は修繕用貨物の免税であります。現行法の第十条に相応いたします。細かい点については多少違つておりますが、大体現行法と大差ないものと御了承願います。  第十九条は現行法の九条の一項でありまして、輸出貨物の製造に使用される原料品のうちで政令で定めるものについては、減税、免税、又は免除をするという規定でございます。これも現行法の九条のところと大体同様でございますが、ただこの三項が新しい規定でありまして、この結果、相当輸出については便利な規定でございます。非常に技術的な規定でありますが、関税の軽減又は免除を受けた原料品と同種の他の原料品を混ぜ合せまして使用して、そうして輸出製造用の原料品だけを原料として製造した場合の製品と同一の製品を造つた輸入原料品と同一の例えば小麦粉からグルタミン酸ソーダを造る場合に、輸入の小麦粉と国内の小麦粉を混ぜて造つたという場合におきましては、従来は、混ぜて造りますと、その全部が輸出されないと、とにかく輸出原料品としての製品となつて出て行かないわけであります。全体が輸出されない限り追徴をすることになりまして、非常に不合理の点がありましたので、今回或る程度混ぜ合せました場合におきましては、当初輸入いたしました原料品に相当する部分の製品だけ出て行けば、あとは混ぜ合せて国内品として免税いたすという規定であります。一定限度において代替使用を認めたのであります。  二十条が違約品の返送の場合のもどし税の規定でございまして、新設でございます。輸入いたしましたが契約の内容と相違するため返送するというような場合におきましては、従来もどし税の規定がなかつたのであります。それでは酷なこともございますので、今回輸入の許可の日から三カ月以内にこれを保税地域に入れましてあとで戻すというような場合には、前の税金を戻してやるという制度でございます。これは世界各国でも採用されておる制度であります。  第二十一条は輸入禁制品で、現行法第十一条そのままでございまして、ただ二項を新設いたしまして、その輸入禁制品の処分の内容を明らかにいたしております。税関は、これらの輸入禁制品は没収して廃棄するか、又はその積み戻しを命ずることができるというふうに、新らしくはつきりその禁制品の処分を規定いたしました。  第二十二条は関税審議会でありまして、現行法の第十三条であります。大蔵大臣の諮問に応じまして、関税率に関する重要な事項を調査審議するため、昔から関税審議会があつたのでありまして、現行法の十三条の規定に若干の修正を加えてそのまま持つて来たわけであります。  第二十三条は、外国とみなす地域、ちよつとこの規定はわかりにくいのであります。現行法の第十二条と同様でございまして、「この法律の適用については、政令で定める本邦の地域は、当分の間、外国とみなす。」というふうに言つておるのでありますが、平和条約第三条に規定されております地域の中でまだ日本に行政権が復帰していないものを政令で規定いたしております。即ち沖縄、小笠原というようなところでございますが、こういう本邦の地域は当分の間外国とみなすということにいたしまして、即ちこういうところから日本へ持つて来る場合には輸入になるということであります。出る場合には輸出になる。但しこれらの地域から輸入されるものにつきましては、附則におきまして当分の間免税する。勿論これらの土地で生産された物品についてであります。  以上が極く大ざつぱでございますが今回の定率法の改正内容でございます。おわかりにくいかと存じますが、なお御質問によりまして詳細にお等え申上げたいと思います。
  13. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 以上の案について御質疑を願います。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 今度新らしく免税される甲号表の千七百九の「ヘムロツクその他のつが属のもの、(厚さが二百ミリメートルをこえないものに限る)」これは商品知識がないのですが、どういう用途で、どういうふうにするかということがわからないので、説明を願いたいのです。
  15. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ちよつとわかりにくいのでございますが、つが属のもので、厚さが二百ミリメートルを超えないものについて免税するということになつておりますが、針葉樹におきましてはねずこ属、つが属、ひのき属とございます。そのうちのつが属は非常に大衆的な建築用材でございまして、我が国に輸入されますものも大部分このつが属でございます。林野庁におきましては来年度相当大衆用建築用材を輸入さしたい予定でございますが、五%の税金を暫定的に免除するという趣旨で提案いたしたわけでございます。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 大衆用の建築用材ということですね、まあ簡単に言えば。
  17. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) はい。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 一カ年特別減免をする、別表乙号の七百十九のカーボンブラツクですね。これはその後の生産状態及び需要状態を、まだ来年一年間特別軽減措置をどらなければならないことがわかるような具体的な説明をしてもらいたいと思います。
  19. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) カーボンブラツクにつきましては、昨年政府において御提案申上げました案におきましては、輸入税表現行一割をそのまま二割に上げるという内容であつたのでございますが、国会において御修正になりまして、但し今年の三月末までは今まで通り一割に据え置こうというような御提案でございました。カーボンブラツクにつきましては、その際、御説明いたしましたように、日本の四社、名前を挙げますと、東海電極、電気化学、日鉄化学、旭カーボン、この四社が新製品の製造に努力いたしておりまして、昨年この四社によつて大体輸入品と同程度のものが試作的にでき上つたのであります。このうちの一社の東海電極につきましては、これは工業化いたしまして、昨年の九月から市販を始めたのでありますが、やはり品質において多少の難点があるそうでありまして、まだ国内需要者から継続的な大量注文を受けるに至つていない状況のようであります。
  20. 野溝勝

    ○野溝勝君 カーボンブラツクとは何ですか。
  21. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 自動車のタイヤが黒い色をしておりますが、これはそのカーボンブラツクを入れるからであります。ああいうことになるのであります。品質に多少難点があるのでありまして、且つまだ国内需要者から大量注文を受けるに至つていない状況であります。まあだんだん、これはやはり一割というのは、定率法の別表通り二割にしなきやならんと思うのでありますが、まだ昨年八月にやつときまつたものでありまして、もう少し事情を見る、静観するという意味におきまして、取りあえず一年間延長する、こういうことを御提案したわけであります。これが国内品が本当に自信を以て国外品とはつきり対抗できるということになりますと、私のほうといたしましても自信を持つてこれは二割に復元する法案を御提案できたのでありますが、まだそこまで自信がございませんので、暫定的に一年間国会の御裁定の通りの税率で参るということにいたしたわけであります。
  22. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に外国為替銀行法案議題といたしまして、質疑を行います。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 この第八条ですが、「物上担保附社債に関する信託業」ですが、これは純然たるいわば国内業務ということになるのですか。こういうふうに第八条をはつきり設けて、特にこの業務を扱わせる、こういうことになると、今後外債を募集する仕事は、優先的にというか、海外支店設置と同じようにこの外国為替銀行に取扱わせる。こういう趣旨のようにも読めるのだが、それでは成るべく国内業務はこの外国為替銀行にはやらさないのだと、こういう趣旨と違うようにも思うのです。この前の正金法等におきましてはこういうことはなかつたと思うのですが、どういう趣旨で特にこの規定を挿入されたのか。
  24. 河野通一

    政府委員河野通一君) 御質問の点は八条と、ここに条文が出ますものですから、今お話のような誤解を実は起すような点もあるのでありますが、この趣旨は実はそういう意味でできているのではないのでありまして、この規定がありません場合におきましては、外国為替銀行は、担保附社債信託法に基く担保権の受託業務はできないことになる。併しながら外国為替銀行といたしましては、外国に店を持ち、これらの外国で募集される担保附社債信託及び担保の附いている社債につきましては、いろいろそのほか或いは信託されておる担保の問題についての交渉等について非常に便宜が多い。従いましてこういう仕事については、お話のように成るほど担保の受託業務自体は純然たる国内業務でありますけれども、外国において募集される社債に関するものでありますから、その社債権者等についてはいろいろ担保権についても折衝するについて非常に便宜が多いという点がありますので、特に国内業務である社債の担保の受託の業務を外債に限つて外国為替銀行で取扱わせるということにいたしたのであります。勿論、外国為替銀行だけが優先して取扱うことがないことは勿論でありまして、例えば日本銀行でありますとか、信託銀行におきましては、当然これらの規定を要しないで外債については担保の受託業務は行われるわけです。恐らくそういつた場合には、外国為替銀行がこれらの受託会社になる場合におきましても、恐らくは共同受託というような形で行うだろうと思います。この規定はむしろ優先的に取扱わせるという意味ではなくて、外国に店を持つておるこれらの外国為替銀行を、外債の担保の受託の業務から全然オミツトしてしまうことは如何と考えますので、そういうことに限つて、外債に関する限りは担保の取扱い業務はできるということにわざわざ規定をいたした、こう御了解を頂きたいと思います。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 大体趣旨はわかりましたが、念を押して尋ねておきますが、長期信用銀行等と共同するというような場合において、一応窓口的な役目をするところに、この外国為替銀行は一番便利だと、こういうふうな意味で共同受託をすると、こういうのであつて、本来の目標は長期信用銀行にあると、こう考えてよろしうございますか。
  26. 河野通一

    政府委員河野通一君) どつちが主たる受託会社になるかという点につきましては、具体的にはなかなか私としても御説明申上げかねると思いますが、外債であつても、その担保の受託業務というのは国内業務であるということは、はつきり申上げられると思います。従いまして、恐らく外国為替銀行が受託会社になります場合においても、単独で受託会社になるということは恐らくあるまい。従つて殆んどあらゆる場合において、殆んどの場合が共同受託、若し外国為替銀行が一口乗るという場合においても共同受託ということになる。而もこの担保附社債信託という業務は国内業務であるということから、当然に今お話のようなことに解釈されて差支えないと私は考えます。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 ついでにこの際、この法案とは直接は関係ないけれども、外貨ユーザンスですね、ユーザンスというものを一件どういうふうに考えておるか。これはまあ輸入の場合のみならず輸出とも合せて、この銀行を作るとすれば、将来もだんだん曽つてのごとき貿易金融というものを軌道に乗せて行こうとすれば、当然輸出輸入とも合せての外貨ユーザンスというものを考えなければならん。そういう点についてはどういうふうに考えるか。
  28. 河野通一

    政府委員河野通一君) 稲益総務課長のほうから御説明申上げます。
  29. 稲益繁

    説明員稲益繁君) お尋ねの外貨ユーザンスでございますが、一般的な為替金融というような観点から見ますると、恐らくユーザンスというものが金融の常道であるというような考えをとつておるのでありますが、たまたま現状におきましては、国内における金融の問題、主としてその観点から、特に現在ではドルの輸入のユーザンスというものは御承知のようにとめておるわけでございます。ポンドにつきましては、外貨の不足の状態に応じましてポンドの資金繰りを楽にするという観点から、昨年春以降、実は実施いたしております。それで問題は、将来このような為替の専門銀行ができた場合に、このような制度をどう考えるかということにあるかと思うのでありますが、問題は、このような銀行制度によつてどうこうと申しますよりも、むしろそのときどきの国内の金融なり或いは外貨事情なり、そういうものから判断せられるべき事項であろうかと考えております。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 そのときどきの金融情勢によるということであるけれども、外貨ユーザンスというものを輸入輸出についてだんだん拡げて行くという考えでいるのか。それはそう国内金融との関連と言つても、やり方によつては必ずしもそう問題にする必要がないということもあるのだし、今でも、それでは、はつきりわかるように今直ちにやれないという理由は、どういうことによつて、やつたら金融操作上困るとお考えになるか。
  31. 稲益繁

    説明員稲益繁君) ちよつと説明が或いは足りなかつたかと思うのでありますが、ドルの場合に、現在ドルの輸入ユーザンスというものをとめております理由は、実は制度そのものとしては正常なるこれが貿易金融であるというふうに考えられるのでありますが、大体たまたま日本のドル資金がかなり豊富にありますこと、これは昨年までの話ですが、従いまして、そのような際にドルのユーザンスを外国の銀行から受けるということは、結局は日本として外貨の金利その他において外貨払を必要とすることになる。かたがた最近におきましては、国内で輸入の金融を引締めるということになりますると、外国の安い金利を国内の或る段階まで、例えば手形到着後三カ月とか四カ月とかいう期間入れますことによりまして、国内の金融をそれだけ緩和することになる。そのような観点から、現在実はドルのユーザンスについてとめておる。一方、ポンドの問題でありますが、これはそのような観点から申上げますると、やはり同じように停止すべきものかと考えられるのでありますが、たまたまポンドの資金繰りが非常に窮屈であつて、いろいろ資金手当のために苦労いたしておりまするので、ポンドについては、外国からのそのようなポンドの資金繰りを助ける意味でユーザンスをしておるというような違いがあると考えられるのであります
  32. 小林政夫

    小林政夫君 輸入の場合にユーザンスを与えるということは金融を楽にする、楽にするけれども、当然それだけの物は入つておるわけですから、インフレ云々というような点から考えればそう心配はない。そうして金利が安いということは却つてそのコストを下げるゆえんだし、むしろ、それはいいので、そういうことによつて安易に物が入つては困るということはあるけれども、これは為替管理のほうで考えて行けばいいので、そのユーザンス制を採用するために困るということには必ずしも行かないのじやないか。それから同時に、輸入のユーザンスだけ考えているけれども、輸出の場合だつてそういうことを考えたほうが、物が売れやすいこともあるだろうし、輸入輸出を併せて考えれば必ずしも今踏み切れないというほどのことでもないのじやないですか。どうです。
  33. 稲益繁

    説明員稲益繁君) 実は輸出につきましては、御承知のように、ユーザンスと申しますか、期限付輸出手形というのが特別の日本銀行の低利の融資で行われておるわけであります。このほうは別に私どもも、輸出促進という見地から非常に結構な制度だと考えております。ただ輸入につきましては、先ほど申上げましたように、実はユーザンスということになりますると、通常形態といたしまして、物ごとに或いは国ごとに期間乃至は商品による差別をつけるというようなことが、まあ実は非常に困難になつて来るのじやないか、例えて申上げますと、最近輸入金融の引締めをやります際に、不要不急品につきましては極力輸入貿手の優遇から外して行くとか、或いは期間を短縮するというような形で、物により、或いは地域によつて国内における扱いを異にする。これは国内における金融制度と申しますか、そういう観点からできております輸入貿手、輸入決済手形という場合に、初めてそういうことが或る程度政策的にできるというふうに考えられるわけなのです。これが外国から受けますユーザンスということになりますと、一応、通常の場合、手形一覧期は九十日とか百二十日というふうに、およそきまつている問題でありまして、例えば贅沢品たるバナナには期間を三十日にするというようなことが、一方的なこちらのあれで、これは許可制という観点から申しますとできない問題ではないと思うのでありますが、対外的な摩擦と申しますか、そのような観点からなかなか実行しにくい。このような点で、現在輸入金融につきましては引締めの態勢にある際、ドルについてのユーザンスは見合わしたいという考えであります。
  34. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はまあ、この外国為替銀行法、これは遅かつたくらいに思つているのでありまして、大体まあ結構な法案だと思つております。併しどうも、この理由から見ても御尤もでありますが、今までにかような理由を考えておられたとしたならば、一体、銀行当局は、なぜ国家的に利益になることに対して手を打たなんだのですか。その点を私は一つお伺いしておきたいと思います。
  35. 河野通一

    政府委員河野通一君) この問題を私どもとして真剣にとり上げることになりましたのは、講和条約が発効いたしまして、日本が対外的に独立の国家として一人前に国際経済に参画して行くという態勢になりましたときからでありまして、爾来なかなかこの問題につきましては、いろいろな観点から検討を要する事柄が非常に多いために、部内におきましてこの結論を得ますまでにも、相当長い時間を要したのであります。部内におきまして一応の結論が出ましたのちにおきましても、やはり大蔵省以外の、関係のある各方面の意向を徴することが必要でありまして、これらの関係から、非公式に、関係の方面、例えば金融界でありますとか、或いは貿易界でありますとか、或いは貿易界以外の産業界、つまり生産者にも、この金融ということは非常に関連のあるところでありますが、そういつた産業界も含めた財界、そういつた各方面の意向を徴しておつたのであります、これらの各界の意見も、なかなかいろいろな観点から、一致した結論が出るのに相当の時日を要したというようなことで、漸く昨年の秋頃に、各界の意見が、賛成、不賛成の問題は別として、一応出尽したというふうな状態まで漕ぎつけることができたのであります。従いまして、これらの意見を受けて、私どもは昨年の暮に、大蔵省に臨時金融制度懇談会という諮問機関がございますが、この懇談会にこの法案についての諮問を申上げたわけであります。この懇談会におきまして、約一カ月余りいろいろ御研究を願いました暁におきまして、御答申を頂いたわけであります。その答申に従いまして、この法案の具体化ということに着手いたしまして、今日国会に御提案申上げたような次第でございます。その間に非常に時間を要したではないかという御議論でありますが、正に約二年の期間をこの間に費しておりますことはお話の通りでありまして、事ほどさように、いろいろな観点からやはりいろいろデイスカスをし、論議を尽して参る必要がある問題でありましたために、今申上げましたように時間を要した次第でございます。御了承頂きたいと思います。
  36. 野溝勝

    ○野溝勝君 別に、まあ遅かりし感もありますが、かような企図が具体化することは結構なんですが、併しこういう計画が、大蔵当局でも、或いはそれぞれの国家を思う専門家等の間において執拗にまあ強調されておつたのでございますが、むしろそういう点におきまして、今、銀行局長は、肝心なところには触れておりませんけれども、いわば業界のほうにいろいろの意見があつて、ということは、むしろ私は、日本の金融業者が、自分の縄張りを侵される、乃至は自分の縄張りを少し有利にしようというような気持から、かようなことが相当長引いて来たと思うのです。誠に日本の金融資本家の諸君は実に度しがたき者であつて、日本の国家的利益に対しても、かような邪魔をするのであつて、誠にこの点は実に私もジユウのごときものであると、実に慚愧に堪えない。そこで特にこの外国為替銀行ができない場合においては、貿易上におきましても、今、局長が言われたように、或いはその他金融操作の上におきましても、或いは食糧の入手等々の具体的な問題におきましても、どのくらい一体損をしておるかわからんという状態であります。特にこの外国為替の専門店といたしましては、戦争前は正金銀行でしたね、あれは正金銀行が専門的に扱いました。当時、国といたしましては、この特殊銀行と言いましようか、専門銀行に対して、いろいろと援助を与えて来たのであります。これは私が言わなくても、銀行局長自身十分承知をされておることだと思いますので、私は詳述を避けますが、とにかくこの正金銀行の為替操作のために、或いはアメリカ、或いは英国、その他外国の為替操作に対等な闘いをやつて来られた。ここにおられる木内四郎君なども、すでに上海において財務官として、この外国為替の問題については活躍をされたのでありますから、今更ここに喋々と私も申上げますことを避けますが……、というようなわけで、非常に国家的に……、金融資本家それ自体の問題は先ほど申した通りなんですが、併し国家的に非常に日本は利益しておつたわけなんです。それが戦後においてぐずぐず、まあ今日までに至つたのでございまして、特に私は、この特徴といたしましては、外貨の重点的預託、国内金融は円滑に、資金を低利に、有利にこれをやるという条件がある。更に第三は長期信用、或いは等々、興業銀行あたりがいろいろの方法をやつておりますけれども、とにかくこういう専門銀行ができれば、より貿易上の円資金というものを出すことができる。こういうような、非常に国家に有利な条件が、この専門銀行によつて整備することができると思うのであります。ただ併し、理窟はこれは容易でございまするが、この今まで戦争前に国家的に成果を挙げておりました、利益を挙げておりましたその専門銀行である正金銀行のようなものが、そういう技術を持つたものが、そういう国際的に操作力を持つたようなものが、現在、日本において、日本の金融界において残つておるのですか。又そういう点においては心配がないのですか。この点を一つお聞きしておきたいと思います。
  37. 河野通一

    政府委員河野通一君) お話のように、金融界の一部では、この外国為替銀行制度に対して強い反対がありましたことは事実であります。併しこれは金融界の中ですべての銀行がこの制度に反対したのでないことは、金融制度懇談会の議事の経過に見ましても明らかであります。ただ、反対、賛成、両方の意見があつたと思います。併し私は、今、野溝委員のおつしやるところとやや見解を異にいたしております。私は、銀行においてこの制度に反対をいたしたものも、ただ単に自分の私的利益、その立場だけから、この為替銀行制度に反対をしたのではないと考えております。  それからこの銀行制度ができました場合に、今、野溝委員からおつしやる通り、私は国際経済に日本が参画して行く場合におきまして、非常にこれがやはり制度としては寄与するものであろうということは、私どもそういうふうに考えて参つたのでありまして、それがこの法案を御提出申上げる最大の理由であることは、勿論これは申上げるまでもないところであります。併しながら私は、やはりこの金融制度というものは、この外国為替銀行制度も含めて、決して私はこれは万能薬ではないと考えております。その意味におきまして、あらゆる他の施策も併せて並行して、今後の日本の貿易の進展、或いは貿易金融の円滑化ということに向つて努力をいたして参らなければならん、そのうちの、あらゆるいろいろな施策のうちの一つの大きな施策が、やはりこの外国為替銀行制度の整備ということにあると、私は確信をいたしておるのであります。  最後のお尋ねは、然らば戦前において横浜正金銀行が果しておつたような、国際的な、世界的な信用、対外信用というものを確立し、且つこの外国為替業務というものが要求いたしております高度の技術、能力、経験というものが、現在の金融界の中にあるかないかという点であります。この点、野溝委員も御承知のように、戦争中、特に戦争末期におきましては、いわゆる自由なる意味の、本来の意味の外国為替というものは、実はなかつたのであります。戦後におきましては、占領中やはり本来の意味の外国為替というものは、実は日本にはなかつたような状態でありまして、いわば外国為替に関する限りにおいてはブランクの時代があつたということは、これは否めないと私は考えております。併しながら、現在の銀行界のうちにも、相当、戦争中の外国為替業務が活溌に行われておつた時代から、相当な経験を積んだスダツフを十分に備えておる銀行というものは私はあると考えております。で、今後もますますこれらの能力を伸ばして行く、経験を更に積んで行くことによつて、これらの人々が非常に大きな勉強をしてくれますならば、非常に為替銀行というものが育成され、確立される。そうしてその本来のこの制度の使命を達成するのに、決して欠くるところはないと私は期待しておる次第でございます。
  38. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで、非常にこの銀行局長である河野さんは、今後のこの期待を非常に確信しておるようでございますが、私はなかなかさようなものではないと思います。戦争前におきましても、この問題につきましては、政府自身におきましては、非常に、助成と言いましようか、非常にまあ力を入れていた。然るに戦後におきましては、戦前と違いまして、国力も弱まつておりますし、対外的の国際的の信用も弱化しております。そこへ持ち込んで来て、今日もうすでに日本の腹わたは見透かされておるわけであります。ドルの状態も御存じの通りこういう憐れな姿の下におきまして、今後国際的に優位するというについては、政府におきまして余ほど私は腹をきめた積極的な支援育成をやつてもらわなければならんと思うのです。そこで、そういう点について、折角この法案を出して、これから国際的に飛躍させよう、特に食糧の輸入の問題に対し、或いは貿易上の問題に対して、この外国為替銀行との関連におきましては、これは裏腹の問題だと思います。それこそ私どもは今後の日本経済に非常な影響を持ち、又、操作されるものだと思いますので、こういう点について、大蔵当局、特に当面の責任者であります銀行局長河野さんは、今後どういう方法を以つて育成して行こうとするのか。又この法案を出すと同時に、只今お聞きするところによりますると、相当の技術を持つておるらしい。又そういうのもある。多分これは正金銀行の系統をとる東京銀行を指すのじやないかと思いますが、いずれにいたしましても、私はこういう状態の下にある今後の為替銀行専門店となるような銀行は、余ほど政府の支援がなければ、私は国際場裡に太刀打ちができないと思うのでございますが、この点に対する見解をお伺いしておきたいと思います。
  39. 河野通一

    政府委員河野通一君) お話のように、今後の国際環境というものが決してなまやさしい事態で打開もできるものではなく、日本の経済的地位というものの向上を図るについて、決して容易な努力で達成できると私は考えていません。今後のますますむずかしい環境の下におきまして、私どもが貿易を伸ばし、そうして国の経済というものを本当に自立させて行くためには、なみなみならん努力が要るということは、今、野溝さんのおつしやる通りであろうと私は考えております。そういう環境の下におきまして、この外国為替銀行制度というものが、真にその制度確立の目的を達成するようにいたして参りますためには、これは、この銀行当事者のみならず、政府といたしましても、できるだけの育成強化を図つて参ることが必要であろうと考えております。ただ私は、そのために、この制度ができたからと言いまして、他の市中にありまする一般の外国為替銀行、これらの仕事を著しく制限し、制約して、いわばこの新しくできる外国為替の専門銀行の独占的な地位というものを築き上げるというような意味におきまして、この外国為替銀行を育成するということは、考えておりませんし、又そういうことをすることは適当でないと私どもは考えておる次第であります。これを他の言葉で申上げますならば、この育成措置は、飽くまで私は質の変つた育成措置ではなくして、量的にできるだけこの新しい外国為替銀行の育成に措置をとつて参るというふうな方向で進んで参りたいと考えておるのであります。先般も当委員会におきまして、この点についてのいろいろな御意見を承わつたのでありますが、私どもは当面決して事態の環境を楽観はいたしておりませんが、今申上げましたような基本的な育成方針を以て、先ず新しい外国為替銀行制度というものは、発足後順調なる発達をして行くことができると期待をいたしておる次第であります。先般も当委員会で例を引いて申上げたのでありますが、例えば国内の貿易関係の円資金の供給にいたしましても、特に私はこの外国為替専門銀行というものに対して、他の一般の外国為替銀行に対する円資金の供給と違つた条件で、違つた有利な条件で、これらの資金を供給するということを考える必要はないと私は考えておるのであります。これは戦前におきましても、横浜正金銀行に対して、そういつた意味の質的な優遇ということは、実は大したことは与えられておらないのであります。たしか戦争の末期頃におきましても、僅か二千万円かそこらの日本銀行からの低利融資ということが行われておつたのでありますが、その当時における二千万円という数字が如何にその当時の経済のヴオリユウムから言つて小さい数字であるか、おわかり願えると思うのであります。まあそういつた意味で、私は、特にこの新しい制度を作つたからと言つて、独占的な意味の外国為替銀行を育てて行くという形において、育成をして行くということは考えておりませんし、そういうことをいたすことは適当でない。かように考えておるのであります。
  40. 野溝勝

    ○野溝勝君 まあそこにこの法案の非常に複雑なところがあるのでございますが、私は結論的に言いますならば、むしろこういうのは国営銀行的な性格にすれば一番いいと思うのでございますが、まあそういうことは今すぐできるものでないし、又無理だと思いますから、私はそういうことを申上げるのではありません。そこで、特に今このいわば資本主義の世の中の枠の中におきまして、独占資本を強めるというようなことは、これは私も賛成しておるのではないのです。そこで私の言うのは、折角いよいよこの外国為替銀行が業務を開始するということになると、先ほど申したような事情で、本当に骨が折れると思うのです。なかなか戦前のようなわけには行かんと思うのです。とてもそんなあまいものの考えではお笑いものだと思うのです。銀行局長はこの点はよくわかつておられると思います。ですから、そういう点においては独占をきせるということはできない。そんなことは無理でありましようが、それだけに困難な国家的な任務といいますか、使命といいましようか、大きな日本経済の再建の意図を持つておる業務であるだけに、その点に対して政府はそれを育成するという熱意だけは強く持つて頂くならば、おのずと途は開けるというように考えて、私は先ほど見解を述べたのです。局長は、他の銀行に非常に影響する心配から、発言を非常に自重してお答えされておるようでございますが、その取越し苦労は、それはやめたほうがいいと思います。私は率直に申上げる。折角この為替銀行法を作り上げたこの趣旨は、さようなところに意見が一致するのじやないか。ですから、どうかそういう意味において、先ほど申された通り、私が言う円資金を特に徹底的に大きくするとか、或いは金融の再建の方法についても徹底的に資金を出してやる。貿易資金を出すとか、外貨を重点的に市中に預託されるとか、こういうことが必要であるということを私は述べたのでありますが、これを決定的に独占的にしなければならんということを申したのじやない。私は希望的に意見を申述べたのでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。大体希望意見でございますから、質問というよりは、まあ、こういう見解であるということをお含み願いまして、その点に対しての最後の局長の答弁を願いまして、私は打切りたいと思います。
  41. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お話頂きました点は、私どもも、そういうふうに考えて運用をして参りたいと考えております。例えば外貨、政府が持つております外貨資金、これを為替銀行に預託いたします場合につきましても、先ほど来申上げましたように、量的にはできるだけ厚く、この新らしい専門為替銀行に預託をして行くということに私どもはいたして参りたいと考えております。非常に弁解がましくなつて恐縮でありますが、専門銀行に限つて預託の金利を安くするとか、つまり例えば専門銀行にはこの預託金の金利は年一%出す、併し一般の為替銀行に外貨を預託する場合には二%出す、そういつたふうな質的な差別はつけたくない。量的にはできるだけこの銀行の育成に役立つような措置は講じて行く、こういう趣旨で考えておりますので、この点については、恐らく野溝委員のおつしやつておりますことと、私どもの考えておりますところとは、現実の問題といたしましては、そう開いておらないのじやないかと私は考えておる次第でございます。なお、お話の点はよく含んで、今後過ちのないようにやつて参りたいと考えております。
  42. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 資料を頂いておるうちに、私、素人だからお尋ねするのですが、日系外国銀行、この日系外国銀行の資金の構成その他、大体を御説明願いたいと思います。
  43. 河野通一

    政府委員河野通一君) この日系外国銀行と申しておりますのは、加州にできております住友銀行と、先方のアメリカのアメリカ銀行との間の共同出資によつてできておる銀行。それから東京銀行とやはり同じような形で、加州で、向うのローカル・バンクができておりますが、これがこの二つであります。
  44. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 その資本の内訳は。
  45. 河野通一

    政府委員河野通一君) 資本は、今ちよつと手許にございませんが、百二十五万ドルくらいの資本金じやなかつたかと思います。それから預金等は、最近の日計表等は持つておりませんが、大体私が承知いたしておりますのは、去年の暮頃で約三百万ドルか四百万ドルくらいの預金ができているのじやないかというふうに考えております。これは大体業務の相手方が非常に限られておる点もございまするので、伸び方は必ずしも急激に預金量等は殖えておりませんけれども、着実に固定した取引関係がだんだんできて参つておるようであります。私はそう急なカーヴで伸展するとは思いませんけれども、なんとか順調に伸びて行くのじやないか、かように考えております。なお御必要がありますれば、のちほど、もう少し正確に調べたもので、資料として差上げたいと思います。
  46. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これも素人でお尋ねするのですが、政府が手持の外貨を、どういうふうな銀行にどのくらい預けておられるか。その資料があつたらば、一つ御説明を願いたいと思います。
  47. 稲益繁

    説明員稲益繁君) 只今数字的に幾らということを、ちよつと正確な数字を持合せておりませんが、大体現在ございます日本の外貨というものを分けまして、おおむね三つになります。一つは、最も多額に持つておりますのが大蔵大臣勘定、いわゆる政府の勘定であります。第二に属しますのが為替銀行の自己資金で持つております外貨、第三のグループが日本銀行が自己の資金として持つております外貨でございます。こちらの外貨の持ち主の関係から申しますと、以上の三つに分類されるわけであります。これがどのように対外的に預けられておるかということでありますが、現実のところ、大部分が外国の銀行に預金の形でございます。その相当部分が勿論定期預金になつておる。一部は証券運用されておりまして、その残りが現実の為替取引のための信用上のマージンになり、或いは決済資金という姿で、当座勘定で外国の銀行にあるという姿になつております。
  48. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の銀行別に一つ数字を明らかにすることができたならば、お願いしたいと思います。若し秘密であつたならば又いずれ伺いたいと思います。
  49. 稲益繁

    説明員稲益繁君) 銀行別と申しますのは、その外国の預け先の銀行ですか。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 はい。
  51. 稲益繁

    説明員稲益繁君) これは甚だなんでございますが、外銀同士の商売の競争と申しますか、内幕がわかることになりますので、一切公表できないことになつております。
  52. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ここに外国の為替銀行や何かの数字が、銀行名が出してあるのでありますが、日本の輸出入貿易の全取扱い高を、日本銀行と外国の銀行と比較して、どの銀行がどのくらいの取引をやつているんだということが、これも明らかにすることができたならば教えて頂きたいと思つております。日本の貿易の総体をどういうふうに取扱つているか……。
  53. 稲益繁

    説明員稲益繁君) 昭和二十八年中の為替の取扱い高で申上げますと、御質問は貿易ということでございますが、貿易外の受取り為替なり支払為替なりを含めまして、全体の為替取引のうちで、日本側の銀行で扱われております額が、いわゆる甲種銀行と申しております十二行で八六・六%、乙種と申しております二十一行合計で七・一%、それから日本にあります外国銀行十二行で合計六・三%、以上のような比率になります。
  54. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 法律第四条第二項ですが、「国際的信用に関する見通し、」これはこの前もちよつとお話がありましたが、「国際的信用に関する見通し」ということと、それから「経済金融の状況その他を勘案し」ということになつておりますが、経済金融の状況その他というものは、どういうふうなものを勘案されるお考えであるのか。この二つをお尋ねいたしたいと思います。
  55. 河野通一

    政府委員河野通一君) この「国際的信用に関する見通し」という言葉は、実は私どもといたしましては、外国為替及び貿易管理に関する法律の中にこういう言葉を使つておるのであります。つまり外国為替銀行というものが対外的に活動いたして行くことが必要である。つまりそういつた場合に、対外的に活動いたします場合に、国際的信用をかち得るということでなければ、なかなかこういつた銀行は育ち得ない。又、育つてもこの法律目的を達成しないということになるのでありますから、この銀行を免許いたしますに当りましては、免許され、設立された暁におきましては、これが十分に国際的信用を博し得るという見通しがあることが必要であろうかと思います。そういう意味で、免許をいたすかどうかをきめる場合の基準といたしまして、その一つの重要なものとして考えて行きたい。  それから、「経済金融の状況その他」といいますのは、今特に私は、具体的にどういうものということは、頭に具体的に描いていないのでありますが、内外の経済の金融なり経済の状況を考えなければなりませんが、そのうちでも、やはり貿易の状況がどういうふうになつているか、つまり日本の経済の貿易依存度というものが非常に大きい関係になつて参ると思う。そういつた観点から、これらの銀行が、例えば数を考えます場合に、御案内のように、この法律は決して一行を予定し、対象といたしておる特別銀行法ではないのでありますから、数行が建前としてでき得るわけでありますが、日本の経済の状況から申しますならば、或いは現在としては一行しか認める余地がないということになるかも知れない。そういつた場合におきまして、その一行にすべきか、或いは一行がすでにできた場合に、第二の外国為替銀行を作ることが適当であるかどうかというような判断をしなければならんと思うのであります。私どもは、そういう場合におきましては、やはり既存の銀行の活動状況でありますとか、そういつた点から、ここに書いてあります恐らく大部分の問題は経済金融の状況ということでカバーができるかと思うのでありますけれども、更に、経済金融の状況以外に、やはりこれらの外国為替銀行の設立を認めるか、認めないかということを判断するために必要な材料というものが、まだほかにあるかとも思われますので、そういつた点につきまして、具体的には、こういつたことということは、ちよつと申上げる材料を持つておりませんけれども、これらの経済金融の状況、それに類するような状況を勘案する必要がある場合があると思うので、「その他」というようなことを入れたのであります。今、具体的にどういうことを考えるかということは、今予定はいたしておらないような次第でございます。  それから、ちよつと先ほど総務課長から御説明申上げましたことで、ちよつと附加えておきたいと思うのでありますが、外国銀行の日本における活動の状況の数字が六・三%ということを今申上げたのでありますが、これは実は窓口において外国為替等を取扱う場合の数量を実は言つているのであります。これはやや専門的になつて恐縮でありますが、インター・バンクの取引は実は相当あるのであります。例えて申上げますと、日本の為替業務を営んでおります銀行が信用状を受付けたり、或いは輸出手形を買つたりいたしますのは、それの窓口でやりますが、それをそのまま、輸出の面においても、輸入の面においても、それをそのまま右から左に通り抜けのように、外国銀行へ持つてつた、そういつたものが相当な数に上つております。然るに、今申上げました表の上には窓口において取扱つたものの数量が出て参りますので、今のように、インター・バンクで日本側の銀行から外国側の銀行に移して行く、或いはさような形になることもありましようが、それがそのまま通り抜けて行く場合もございましようが、そういつた場合におきましては、実際は外国銀行が取扱つているけれども、形の上は窓口が日本側の銀行を通じているために、これは商客の関係で、こちらの数字が、日本側として取扱つているというよりは非常に膨れているというので、実質的にはもつと外国側の銀行に終局的に取扱われておるものが相当量に上つている、こういうふうに御了解頂きたいと思います。
  56. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 第五条の第一項には、「外国為替銀行は、その商号中に銀行という文字を用いなければならない。」ここに銀行ということがある。これは外国為替銀行だから、何故、銀行ということでなくて、外国為替銀行という名を用いないかということなんです。私ども疑問にしているのは……。それで、今度第十条によつて見ますると、外国為替銀行というような文句が、外国為替銀行は銀行法に言う銀行ではないということであるし、今度は附則の第四によつて見ると、『外国為替銀行」を「外国為替公認銀行」に改める。』というようなことにもなつておるのですが、同じく外国の為替をやるところのものでありながら、一方のほうは公認とし、一方のほうは公認じやないというようなことになれば、外国為替ぼすようなことはありやしないか。こういうふうに心配するのですが、こういうふうな心配の必要はないのであるかどうかお伺いしたい。
  57. 河野通一

    政府委員河野通一君) 第五条は、御質問の点は誠に御尤もな点があるのでありますが、銀行法には、銀行法規定が出ておりますが、銀行法第四条には、銀行でなければ、銀行という商号の中に銀行という文字を使つてはならんという規定がある。然るに、外国為替銀行は、これは銀行法の言つている銀行ではない。先ほど御指摘のありました通りでありますが、普通に商号の場合においては、これを外国為替銀行ということを必ず商号の中に入れなければならんとまで統制する必要はないであろう。これは前例といたしましては、実は長期信用銀行法があるわけです。先年御審議を頂いたのでありますが、これもやはり商号の中で長期信用銀行ということを使う必要はない。単に銀行でよろしい。こうなつておるわけであります。現に長期信用銀行法によつてできております日本興業銀行は、これは長期信用という言葉を使つておりません。単に銀行という言葉を使つております。これによつて、現銀行法禁止している銀行以外のものが銀行という商号を使うことによつてつて来る弊害は何らないということが一点。それから外国為替という言葉を必らずしも付けなければならんと強制しなければならん必要もない。これは長期信用銀行についてと同じことであります。そういつた観点から、特に銀行という文字を使わなくてもよろしい、外国為替銀行ということを名称中に使わなくてもよろしい。これは、先例は、今申上げましたように長期信用銀行法にある。それから非常に複雑な規定で、外国為替銀行或いは外国為替公認銀行という言葉を使つておりますが、一々について詳細御説明したほうがいいのですが、極く簡単に申上げますと、外国為替及び外国貿易管理法に、現在、外国為替銀行という言葉を使つている。この外国為替銀行という言葉は、新らしい法律によつてできて参ります外国為替銀行とは違うのであります。と申しますのは、現在、銀行法によつてできている銀行で、外国為替業務を営んでおりますものが、この外国為替銀行、これは外国為替及び貿易管理法に基いて店の認可を受けているそういうものが外国為替銀行として総称されているのであります。然るに、今般いわゆる専門銀行を私どもは外国為替銀行と呼ぶことになつたのであります。そうしますと、同じ国の法律の中に同じ言葉で違つた内容を持つている言葉が出るということは、適当でないということでありますので、従来の意味銀行法によつて使われている外国為替銀行に当るものは、これは外国為替公認銀行、つまり外国為替を営むことが公認されている銀行だ。こういう言葉に変えようというわけであります。そうして、外国為替銀行と単に言つた場合には、このいわゆる専門銀行と申しますか、外国為替銀行法によつて免許せられた銀行だけを外国為替銀行と呼び、そしてこの新らしい法律によつてできた外国為替銀行も、外国為替公認銀行の一つであることは間違いない。つまりもつとカテゴリーが広いわけですから、外国為替銀行も、外国為替公認銀行の一つであるけれども、外国為替公認銀行というのは、外国為替銀行より遥かに広い内容を持つている。つまり稲益君からも御説明申上げましたように、甲種銀行、乙種銀行という言葉を使われておりました、これらのいわゆる外国為替銀行がすべて外国為替公認銀行になる。そういう意味で非常に複雑な規定になつております。おわかりにくかつたかと思いますが、ここにいろいろな条文を改めておりますのは、そういつた趣旨の一連の規定であるということを御了承頂きたいと思います。
  58. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会