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1954-03-05 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月五日(金曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            東   隆君            堀木 鎌三君            平林 太一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   参考人    日本開発銀行総    裁       小林  中君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事辞任及び補欠の件 ○租税、金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (造船金融に関する件)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第十四回の大蔵委員会を開会いたします。  理事辞任についてお諮りをいたします。昨日石川理事より本委員会理事辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。つきましては直ちに理事補欠を互選いたしたいと存じますが、前例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それでは理事藤野委員を指名いたします。   —————————————
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次にお諮りいたします。本日造船金融につきまして日本開発銀行小林総裁の御出席を求めましたが、同君を参考人としてその発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。よつてよう決定いたしました。  これより造船金融に関する件を議題といたします。質疑を願います。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 先般来、運輸省事務当局質疑をし、又開銀事務当局にも質疑をしたのでありますが、本日は開銀最高責任者たる総裁が見えたので、特にお伺いしておきたいと思いますが、この造船融資について、いろいろ従来開銀融資について開銀自主性を持つてつたのだ、資金の大枠については国の計画によつて造船関係幾ら合成繊維幾ら、或いは鉄鋼幾らというふうにきまるけれども、その個々の誰に融資をするかということは、開銀独自の判断で自主的に決定するということは、総裁みずからもこの委員会でおつしやつたこともあり、又大蔵当局も常に繰返しておるのでありますが、造船融資についても開銀はやはり自主的に本当にやられておるかどうかということについて、先ず第一に総裁見解をお尋ねしたいと思います。
  8. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、造船融資は、御承知通り海運造船合理化審議会なるものがありまして、それに対して私の記憶では運輸大臣が諮問をいたしまして、その委員会答申をし、運輸大臣がそれを認めまして、その答申によりまして船主選考基準というものがきまるのであります。従いまして、そのきまりました基準によりまして、開発銀行の担当すべき部門がきまつて来る、こういうふうな順序に相成るわけです。従いまして、他の金融とは多少そこに趣きが異なつて参りますので、例えば船舶金融の場合におきましては、航路計画並びに造船所事情というものはこれは運輸省調査し、決定する。そうして開発銀行といたしましては、主としてその船舶会社資産信用力並び経営能力というものを金融機関立場から審査をする、こういうふうな形に相成つております。さよう御了承願いたいと出います。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 その手続的なことは我々十分事務当局への質疑によつて承知いたしておりますので、問題は、そういう融資基準等がきまつて、その基準に照らして開銀船主を選考される、その際に開銀としては、最もこれがベターである、こう思われたものが開銀の信念通りつておるかどうか、その点がどうもどうかと思うのだけれども建造許可権運輸大臣が持つておる。航路計画等から睨み合せて、開銀としては好ましくないと思うけれどもそつちのほうへ建造許可が下りる関係上、金をつける、こういう事例があつたかなかつたかということなんです。
  10. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、開発銀行といたしましては、仮に第九次後期の場合をとりますと、借入希望者が五十何社にも上りまして、その間で大体二十万トンを建造すると言いますと、おおよそどのくらいの会社の数がやや適当であるかということを見まして、その数の中で資産信用力並び経営能力というものを勘案いたしまして、そうしてこの程度融資対象としてよろしいのだというのを一応作りまして、そうして運輸省航路計画並びに造船所政策というものと両方突き合せて見まして、そうしてそこで大体融資対象をきめて行く、内定して行く、こういうふうなやり方をしておりますので、開発銀行として融資の承諾をいたしましたものは、融資対象として決して不適当なものではないと考えております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 事務当局お話によると、第九次ですか、それくらい多数の申込のある社を二週間以内に審査して、非常に一生懸命に担当者努力されたのでしようが、そういつた短期間に多くの社の判定をし、そうして企業能力等についての優劣を判断するというようなことはなかなか困難だと思うのですが、非常な信念を持つて自信を持つて、今のお話ように先ず融資をしたものは間違いがないということが言い切れるだけの確信があるわけですね。
  12. 小林中

    参考人小林中君) 実はお説の通り五十何社というふうな数に対しまして、二週間くらいの期限でこれを詳細に亘つて検討するということは、事実上なかなか骨の折れることでありますし、又銀行においても審査部総動員をいたしましてこれに当つているようなことでありすが、腹蔵なく申上げますというと、計画造船というものを一時に或る程度の短かい期間決定をするということは本来好ましくないことでありまして、長い期間において順次決定をして行くということのほうが我々としては好ましいと考えております。併しながら今までのやり来たりはそういうことでありますし、又海運造船合理化審議会答申案もそういうふうな方向で出ているものでありますので、止むを得ずそういうふうに総動員をして短期間にできるだけ勉強をしてまとめ上げたということであります。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 私はこの点は、今総裁見解として、或いは希望と言いますか、披瀝された点は、最後にお尋ねしようと思つていたのですが、そういうことであると、実際にまあまあこれならばという程度融資はきまつておるので、本当に開銀のほうの万全の自信を持つた融資は行われておらないのではないか、こういうふうに思われるのであります。これはまあ、こういうことを言つて総裁としてはお答えにならんと思いますが、今の御答弁から類推してもそのように判定せざるを得ないと思います。  それから次にお尋ねしたいのでありますが、船主決定の際に、運輸当局の説明によると、いろいろな諸般の事情を考慮して、船主は同格である、同じような資格を持つておるというような場合に、どの造船所に船を作らすか、こういうことで造船所のほうを考え決定する、こういうことを言つておるのでありますが、常に融資申込の際にはあらかじめ造船所と契約して、造船所一体としての融資申請ようなことをやつておる、こういうようやり方について、総裁は現行のやり方が適当であるとお考えであるか。我々は何も船を作るのに、船主決定し、船主が自由にどこの造船所に造らすかということは一応金ができてからきめてもいいのではないかと思うのでありますが、その点の御見解は如何でありますか。
  14. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御意見は私個人といたしましては誠に御尤もな御意見だと思います。本来開発銀行船主融資をするのでありまして、船主融資決定した上に、適当の、最も技術の進んだ、最も安く造つてくれる造船所に頼むべきことが本来だと思うのであります、ただそういう場合に、融資決定以前に船会社造船会社が何か一体になつた形で来るということは、事実上私は多少不合理な点があるのではないか、こういう点を今後一応考え直すべきではないかと考えております。但し従来やり来たつたことは、或いは運輸省といたしましては造船政策の上にさような必要があつたのではないかとは考えられるのでありますが、その事情は私ども詳しく存じておりません。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 その点は全く私の見解と同様でありますから、いずれ運輸大臣が出席した場合にその点を運輸大臣に質したいと思います。  次に造船融資を見てみると、全く船主は手金を持つておらない。全然他人資本依存をしておる。まあ政府資金が半分、市中資金が半分或いは七、三、こういうよう比率の違いはあつても、とにかく船を造る場合において全部が借入金である、こういうようなことが金融の常道から言つていいものかどうか。我々が金を借りに参りますと、あなたのところで一体どれだけ金を作れるのか、それが作れなければ話にならないと、門前払いを食う状態であるにもかかわらず、造船融資については全然初めから他人の褌で相撲をとる、借入金全部で賄つておる、こういうことが金融当局としてお考えになつて適当であるとお考えかどうか。
  16. 小林中

    参考人小林中君) 只今のお説も私個人としては御尤ものことでありまして、如何なる企業におきましても、企業の危険は企業者自体が或る程度負担すべきことが当然であるのであります。従つて船舶金融の場合におきましても、でき得ることならば、昔のよう自己資金を中心として船を造るということが至当だと思うのであります。併しながら終戦後におきまして、日本船舶業界は、戦争のためにことごとく所有船舶は失われているというよう事情になりましたために、国家船舶建造の必要を感じまして、そこに政府資金を付けてもなお且つ国の船舶建造をしなければいかんという国策に立ちましたために、結局国家資金を相当多く付けているということに相成つておるのではないかと思いますが、本来の企業建前から行きますと、今の小林委員のおつしやつた建前が私どもは至当だと考えておるのであります。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 戦争で全部船を失つた船会社は船が唯一の財産であつて、全部財産をなくした。それで国力を挙げて外航船舶を、船を造らなければならぬ、こういうことで国が大いに助成する、それは一つの方法ですが、併し何も戦争によつて財産失つたというのは、陸上における企業でも工場全部灰燼に帰し、全く素寒貧になつてしまつた。ただまあ土地だけがあるということはあるでしようけれども、殊更にそう船会社だけが痛い目を負つたのではなく、ほかに多くの犠牲がある。併し船会社と変らないような戦災の痛手を受けたものも、企業努力によつて自己事業力作つて今日立ち上つておるものもたくさんあるわけであります。或る場合においては国策として船を殖やさなければならぬ、従つて利子補給もし或いは政府資金も付ける、こういうことは必要であろうことは思います。併し全然年金を持つておらないものに対して、何と言いますか、全部他からその資金を供給してやるということが、どうも本当の事業的行き方をしなくなるのではないか。そこにいろいろな問題が起つて来る根本原因があるのじやないかと思うのでありますが、大体、総裁も私と同様の御意見ようですけれども重ねてお伺いいたしたい。
  18. 小林中

    参考人小林中君) 只今小林さんからの御質問でありますが、全然船舶業者自己資金を要さずに、或いは国家資金或いは金融機関からの借入金依存をして船を造つたとおつしやられたが、まあ資金のパーセンテージから行くと非常に自己資金というものが少いのでありますが、私ども昨年末船舶企業者に対しまして自己資金の充実ということを強く要望をいたしまして、各船会社が漸次増資をして参りました。従いまして昨年あたりは殆んど半数以上の船会社増資によりまして新しく自己資金を獲得して来たというふうな事実があります。さよう資金は然らば新造船資金として使えるかといいますと、旧債返済を大体はしておるのでありまして、新造船はやはり国家資金或いは市中金融機関資金で行く、併しながら実態はやはり自己資金船そのものには注ぎ込んであるというふうな形は漸次とつて参つておりますし、又今後も機会あるごとに私どもはさよう希望をいたしたいと思うのであります。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 次に今度十次造船ということでありますが、現在船会社は今度そういう状態で或る程度外航船舶作つておるが、むしろ日本にとつて外航船舶は必要であるが、昔のことを考えればまだ復旧率が低い、こういうことを言つておる、金融当局日本経済自立計画から照らし合せて見て、まだまだ船舶は作らなければならないということを言つておりますが、小林総裁は、今の事態において、なお且つ追つかけてすぐ何十万トンというものを開銀資金等をつけて今後重ねて作る必要があると思うかどうか。造船の必要を認めておられるかどうか。新聞の報ずるところによれば、もう十次造船開銀融資はつけたくないという小林総裁の意向だということも一部伝わつておりますが、差当つて十次造船等考えて見て、すぐ追つかけてやる必要を認められるかどうか。
  20. 小林中

    参考人小林中君) 十次造船の可否という問題は、現在の我が国の輸出入貿易の額から見まして、戦前とは非常に開いた額になつております。従つて輸出入貿易そのものが非常に縮小されておりますので、必ずしも戦前比率を以て日本船舶を所有しなければならないという理屈には直ちにならないと考えておるのであります。併しながら御承知よう船腹は主としてドル稼ぎをしておるのでありまして、今日の日本外貨事情から行きますと、ドル稼ぎをする船舶を作るということは、そういう意味から言いますと、必ずしも反対もできない場合もあるのではないかと思うのであります。ただこれは国の今後の海運政策等に待ちまして、よく政府でも検討し、我々も意見のあるところは十分述べまして、政府政策決定して頂き、その政策の上に立ちまして我々も考えなければならないと思うのであります。ただ私が先般新聞記者諸君に申しましたその意味は、実は九次造船の当時から、開発銀行といたしましては、海運業者に対しまして、できるだけ急速に整理統合をして頂きたい、この海運業整理統合というものは日本の国のためであるし、又海運業自体の堅実なる発展のためであるから、どうしてもそういうふうな方向に持つてつてくれということを要望しておりました。これは政府運輸当局にも強く要望をしておいたのであります。ところが今以て何らそういう措置を講じておられないという現状でありまして、私どもは急速にできるだけ業者熱意を持つてそういうことに努力をして頂きたいと同時に、政府当局におきましても、さような線に適切なる御指導を願いたい、これが私の念願でありまして、そういうことを刺激するために、現状よう熱意のない状態では融資をする意欲が欠けて来るのだ、こういうことを申上げたわけでありますので、御了承願いたいと思います。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最近の新聞を見ましても、ラジオを聞きましてもでありますが、造船疑獄は、これは何と申しましても、全国民の非常な反撃を蒙つていることは、これはもう事実だと思うのであります。というのは、成るほど船を拵える必要があるということは、誰でも認めるし、船会社戦争によつて痛めつけられたのであるから、これに対して国策上でき得る限り国の力で以て援助をしなければならんということも認めるのであります。その趣旨は一応筋が通つておるのでありますが、さて運用に当りまして、今検察当局の取調べ中でありまして、その全貌が明らかにされませんから、とやかくここで断ずることはできないといたしましても、この陰には何か臭いものがあるということだけは、大体国民誰も疑い、これに対して信用している者はない、何か臭いものがある。  そういたしますと、この融資に、一方、運輸大臣のほうは一番責任を持つし、それから開銀融資につきましてはあなたのほうで責任を持つて担当して来られたのでありますが、そこで第十次の造船もやらなければならん。これは大体海運当局でもやらなければならんと言つているが、そういう矢先に、今、金融の引締めだ、やれ均衡予算だというので、非常に各企業とも苦しくなつて来ている。又中小企業のほうも大分苦しくなつて来ている。不渡手形も出だした、即ち俗に言います景気が悪くなつて来た。こういう矢先におきまして、更に問題のある造船融資を続けるということに対しましては、これは国民の反感というものはますます強まつて来るからして、これも考えなければならん問題だと思う。  ところが国の要請としては、やはりできるだけ船は造りたい。これは誰でもそうだと思うのであります。諸外国の例を見ましても、戦後それぞれ船腹の増強には努めておりますので、日本だけは造船疑獄が起きたからやめるというわけには行かない、こう思うのでありますが、そこで総裁一つお聞きしたいのは、一体本当にあなたは開銀総裁としてこの融資決定をされる場合に、開銀側最高責任者として当られた場合に、果して今日疑惑を受けるような事実は船会社側にあつたかないかということ、やはり融資をするに当つても一応考えて、この船会社は大丈夫かしらということを十分検討して、それはしなければならんと思うのでありますが、これらについて十分の検討はなされておつたか。而もそんなことは考えないのであつて、単なる帳簿、或いは事務的な問題として、この会社なら大丈夫だということで処理をされたものであるか、そういう政治的な配慮考えて、政治的と言いますか、高度からの配慮考えられてこの造船融資と取組んで来られたのであるかどうか。この点を一つ伺いたいと思います。
  22. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、第九次造船融資の当時におきましては、私どもはさような懸念は少しも抱かずに、要するに銀行として相手方資産内容等を調べられる範囲におきまして努力をして調べて参つたのであります。従つてこれ以上法律的な力によりまして相手方調査をするということもできませんし、又さよう調査もいたしたことはございません。従つて金融機関として、相手方会社資産内容調査を、できる範囲調査をするということに御了承願いたいと思います。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に開発銀行に対する政治的な圧力と申しますか、政治的な力によつて開銀融資が左右されているのじやないかという疑問が、これは一応融資を受けたものは別といたしましても、大体国民一般考えて、そういう疑惑だけはこれは持つているということは、一応大多数の者が持つていると思うのでありますが、率直に言つて、どこに参りましてもそういうようななにがあるのじやないか。従いまして率直に申しますと、国の財政資金開発銀行のほうへ、特別会計に入れて、それで投資をする。而もその投資された国の財政資金を直接各企業融資をするというわけには行かんからして、開発銀行という機関に、政府銀行投資をするという恰好をとつて、そしてその開発銀行を通じて融資をする。融資をしますと、どうしても開銀の金利は安いものでありますから、民間の市中銀行一般の俗に言われる闇金融等から比較しましたならばこれはもう問題になりませんから、それだけ金融費というものは安くつく。従いまして企業側からみるならば運動費を使う余地ができて来る。そこで今盛んに言われておりまする或いは赤坂の待合中川等においてこれらの大きな融資というものの最終的な決定はそういうところでなされたんじやなかろうか。大正時代若槻内閣時代には政治の一番大事な決定は大てい待合決定された、そういう時代に戻つてしまつているのじやないかというよう疑惑を持つているわけであります。そこで、ここで開銀総裁にお伺いしたいのは、まあ時の政権が一旦枠だけは、勿論幾ら幾ら資金はどういう方面に廻す、こういう決定はするのは自然だと思いますが、その決定以外に個々の問題についていわゆる政治的な力というものは加わるものであるかないか、その点を明確に一つお答え願いたいと思います。
  24. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、御承知通り開発銀行は、私ども常に申しておりまする通り純然たる金融機関角度からものを見て判断をして参つて来ておるのでありまして、造船融資の場合におきましても、開発銀行融資対象として選びましたものは金融機関角度から選んだものでありまして、従つてこれに対して何らの外部圧力とか力とかというものは加わつていないことをはつきり申上げておきたいと思います。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、まあこれは今容疑者として取調べられておるだけであるし、まだ決定的な結論が出ておりませんから、論判することはこれは困難だと思いますが、政治家船会社から運動資金を取つて、そして開銀融資を俺が一つつてやろうと言つてつた者がある、或いは政党で以てそういう開銀融資をやつてやろうというようなことを条件として仮に献金を取つた者があるとするならば、あなたのほうはそれには全然左右をされない、こういうふうに言われるのでありますから、そうすると、その取つた者は一応詐欺的な行為をやつた船会社に対して詐欺的な行為をやつたと、こういうことになり、そして船会社からみるならば一杯引つかかつたんだ、放つて置いても通つたのに三百万円持つて行かれてしまつた。今言われている改進党の中曽根君が予算委員会発言をして、自由党のほうではこれに対して懲罰だと言つて懲罰動議を出したのだけれども、どうも、うしろ暗いところがあるのか、これを押し切ろうとしない。普通だつたら野党に対して懲罰動議を出した以上は強硬に押し切るのが国会の今までの通例でございますが、これをよう押し切らんところを見ると、伴睦老も少し臭いのじやないか。或いは石井君もちよつと臭いのじやないか。中曽根君が政治的な運命を賭けて発言するのだと言つて見栄を切つておるのだから、これに対して大自由党がとことんまで懲罰よう押し切らんというところに、国民から見るならば、或いは参議院側から見るならば、僕らは仮に自由党立場であつたならば、あんなことを勝手に言われて、若しもこちらが白いとするならば、徹底的にやらなければならんと思うのですが、どうもやらんところを見ると、どうも臭いのじやないかというふうに見ざるを得ないのであります。そこで今あなたの御証言によりますと、全然そういうものはかかわらないということになると、政治家やそういう政党幹部たちが、結局少くとも開銀融資に関する限り、そういう贈収賄をやつた政党的にやつてやるという条件の下に、献金をさしてあるというようなことになつたならば、これは一つ詐欺行為をやつた船会社側から言うならば一杯引つかかつた、こういう結果に率直に言つてなると思うのですが、開銀融資に関する限りそういうふうに了解していいですか。運輸省の問題は別として。
  26. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、開銀融資に限りさよう外部圧力は全然加わつておりませんことを再び明言をいたします。従つてどもは、さようなことが事実ありとしたならば、船会社なり何なりは実に馬鹿らしいというような感じを持つだけであります。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから、俗にまあ銀行に対しましてはお百度を踏まなければならんということから、あらゆる角度から運動は続けられたと思うのでありますが、あなたのところへも、少くともいろいろな方面から、この船会社に対して一つ融資のほうは面倒を見てもらいたいというよう運動は実際続けられたか。これはまあ名前をここで聞く必要はありませんが、そういう運動は続けられたものか、それとも書面を出して置いてそのまま皆待機しておつたものであるか。開銀融資に関する限りお伺いしておきたいと思うのでありますが、形式上から申しましたならば、本当なら、法律をそのまま読んで見ますと、書面を出しておいて、そしてそれをあなたのほうで審査して、あなたのほうで決定しました葉書なり電話の通知をもらつて、有難うございましたと言つて御返事をする。それで事務を進めて行くというふうであつたら、何もこういう問題も起らんし、今、世の中を騒がす必要もないのであると思うのでありますが、少くとも開銀だけはそういうふうな方針をとつて来られたかどうか、この点を一つつておきたい。
  28. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、本来は、おつしやる通り書面を出しておいて、会社の内容を全部詳細に書き出して、それに基いて開発銀行審査をし、比較研究をして決定をすればそれでよろしいのであります。併し世の中というものはそういうわけにはなかなか行きませんもので、或いは船会社の社長なり重役なりが来て、よろしく頼むというふうなことで、まあ、うまく、何といいますか挨拶に参るのもありますし、又、他の第三者が来て、この船会社のやつを一つ何とか考えてくれというふうなことも多少はあります。併しながら私ども、今どういう人が来たかというふうなことは、はつきり記憶はしておりませんが、やはり今の世の中でありまするので、そういうふうなことの全然なかつたということは、はつきりは申上げられない。そういうことはありましたことであります。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあそういう場合には、常識上から考えますると、手土産持参なり、ただ行つて名刺を出してということも私はないだろうと思うのです。常識上、今の世の中からするならば、そういうことはちよつと考えられぬと思うのでありますが、或いは今晩一つ中川へおいで下さい(笑声)というような招待も、あなたは断わつたか応じたか別といたしましても、そういうことは盛んに行われたんだ、九次造船前後には熾烈に行われたんだということは、一般新聞なんかで、すつぱ抜いておるところでありますし、検察庁あたりもこの点には捜査のメスを入れている。それからいろいろの人たちは、国を憂えるという角度から調べておるのだと思いますが、メモを発表したとか何とか言つておるのでありますが、やつぱりそういうものは行われたかどうかということと、これに対しては毅然たる態度をお示しになつたのかどうか。これを一つつておきたい。
  30. 小林中

    参考人小林中君) 少くとも私の関する限りにおいては、開発銀行におきましてはさようなことは全然なかつた考えております。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 勿論、総裁自身そういう御発言でございますが、そこで、まあ、石井さんも常々何回も国会におきまして、そういう問題については大丈夫だ、こういつて言明しておつたのでありますが、運輸大臣の部下と申しますか、運輸省の部課長或いは局長等に対しまして、今盛んにいろいろの疑惑を受けた人たちが出て、そうして引つ張られ出して来たのでありますが、少くとも開銀に対しましてはそういう事件の発生する心配はないというだけの自信をもつて今日まで開銀の運営に当つて来られたか。或いは、ひよつとしたらという御心配もおありになるかどうか。部下の中から、多い中だから、ひよつとすると、こういうことになつて来ると俺のほうもというふうにお思いになつているか。それとも、わしのほうは大丈夫だ、その代り、今日大丈夫と言われまして、二、三日先に大きく新聞に号外が出るということではちよつと困ると思うのでありますが、この点どうですか。大丈夫だと言い切れますか。ひよつとしたらという御心配ございますか。
  32. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、私は開銀の職員に対してはさようなことは絶対ないと信頼をしております。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 又あつた場合には一つこの次に御足労願つて、又それはどうしてあつたか、どういういきさつでそういうふうになつたかということでお聞きいたしますが、結構だと思います。私はそうなければならんと思うので、ここでそんな問題をどんどん起してもらつたのじや話にならんのでありまして、なければ幸いだと存じますが、そこで次に、戦前には殆んど瀬戸内海の機帆船くらいを動かしておつたよう会社が、今、小林君も質問しましたように、余り自己資金を持たなくても、戦争でまあ痛めつけられたのだから、その連中に対しては何らかの国の要請で船会社を動かさしておつた、だから船か沈められてしまつたが、何も補償がないのだからということで融資することについては、一応或る程度は筋も立つと思うのです。いい悪いは別といたしまして一応筋は立つと思うのでありますが、ところが、戦後創立された船会社、或いは戦前は単なる瀬戸内海あたりの機帆船くらいを持つてつた会社が、その七割は三分五厘で開銀から融資をされて、それは十五年くらいのうちに年賦償還すればいい、こういうような好い条件だ、こうなつて来ると、市中銀行のほうも何とか面倒見てくれるということになるので、実際はこの割当をもらつて船を作つたら、この割当さえもらつたら、その船会社は五億なり三億なりの資産ができてしまつたような結果になるわけでありますから、蟻が甘い所へつくようなもので、我も我もと押しかけて参りまして、外航船を一隻くらい持つというようなことはどうかと私は思うのでありますが、今、開銀から資料をもらいましたところが、一隻くらいより造つておらない、あとに殆んど船を持つておらないのだけれども、結局今度の造船割当で以て一隻か二隻の船を造つて外航船を持つておる、あとは、ろくな船はない。而もそれは戦前殆んど沿岸航路くらいをやつてつた船会社だというのが、名前は今日は挙げませんけれども、私は二、三調べましたところあるのでありますが、これらに対しては、国のほうも融資をされる場合には相当考えなければならんと思うのでありますが、これらにも融資は事実行つておるのでありますが、具体的にそれを挙げろということになつたら挙げますが、具体的に挙げませんが、そういうのはちよつと筋が通らんように思うのだが、これについては総裁はどういう角度からそうしてあるのか。お覚えは一つや二つはあるだろうと思うのでありますが。
  34. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問で、船会社で一隻か二隻船を持つておる会社開銀融資をしたというふうなことは、私は今はつきり記憶は実はしておりません。それは係の者にお聞き下されば内容はよくわかると思いますが、併し終戦後に日本船会社の数が非常に多くなつた、そうして我も彼も船を造つたということは仰せの通りだと思います。これはアメリカの占領政策が、日本の経済の分裂を図つて国の経済力を弱める一つ政策の現われで、占領政策中にさようなことが行われたことが、私どもは今日それがまだ尾を引いていて、日本の海運政策の上から言つても誠に寒心に堪えない状態になつているんだ、こういうふうに考えております。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、船会社融資をされましたが、どの船会社総裁すでに御承知通りに、皆、欠損であるか繰越しぐらいで、配当をしておらない、株の値段がもう払込を大低割つてしまつているというので、まあ俗に申しましてボロ会社の典型に皆なつてしまつたわけであります。ところが、あなたのほうから貸出している金は九百六十億近く、まあ一千億近くあるわけでありますが、これは今後相当こいつを規則に従つて回収して行くという段になりますると、今後の海運界の見通しもそうにわかに立ち直るとは、ちよつと我々素人目から見ましても、ここ二年や三年に山下亀三郎や内田信也が出たような船景気というものはまず期待できない、突発事態でも出ない限り期待できない、相当に苦しい数年間或いは十年くらいを過ごすことを覚悟しなければならんと思うのですが、だからといつて開銀の利子や或いは返納期間の来た分だけは返して行かなきやならんと思うのですが、もうそろそろ滞納が生じておるのであります、実際問題として。これらをどういうふうにあなたは今後処理して行かれるか。これは国民の税金で繰入れた金ですから、皆のふところの財布を預かつたようなものでありまして、あなたが銀行を組織されまして自力でもつて集めた銀行資金とはちよつと違うのでありまして、この点だけは責任が……普通の銀行の頭取なり経営者でありましたならば、その人の力によつて、信用力によつて集めたのだから、一つその人の、おれの全責任ということであるのだが、あなたのはそうじやない。あなたの開銀だけは、少くともこれは国民の税金、結局はこれは国民の税金が廻り廻つて集まつたものだと思いますから、責任がそれだけ重い。従いまして規則に従つてやはり回収をして、そうして規則通りのことだけは少くとも処置して行かなきやならんという責任上、極めて重大な責任があると思うのでありますが、これを遂行するに当つて、我々の見るところでは、もうすでに延納も出ている。今後利子の支払或いは元金の分割払等についても非常に困難な事態が生じて来るのじやないかと思うのでありますが、これらについて、少くともどういうふうな事態になつても、最少限度規則通りには回収をして取立てて行くんだ、毅然たる態度をもつて臨むんだ、こういう方針で行かれるのか。それとも、そういうのはなるべく少しずつ大目に見て行つて、十年に一遍ずつ、そのうちに花の咲くのを待つという方法、そうすると国民に迷惑をかけることになるわけでありますが、どちらの方針をとるつもりであるか。
  36. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、これは先ほど小林委員からも御質問のありました通り従つてどもは海運界の合理化或いは整理統合をどうしても急速にする必要がそこに生じて来るのでありまして、現在のよう日本の海運界の状態におきますと、日本の海運界自体がみずからの首をみずからくくつているんだ、こういうふうな事情になりますので、必要以上の競争をしておる、必要以上の収益減を来たしているというような形がとられておるのじやないかと思います。そこで、どうしても整理統合をできるだけ早い機会にして行かなければいかんということを強く主強しておるゆえんであります。但し開発銀行といたしましては担保は十分に取つておりますので、最後の段階におきましては、いわゆる担保の処分というふうな立場に入らざるを得ないと思いますが、こうなりますと、海運会社の整理に入るというふうなことでありまして、国の政策の上からこれをどう国が考えるかどうかという問題に立ち至りまして、国の政策上の問題とも絡み合つて行かなければならんと思います。併しながらまず第一段階としては合理化と整理統合を急速にして行く、これによりまして各会社の利益をできるだけ生み出して行くという努力を続けて行かなければいかんと思います。従つてようなことを私どもは強く主張をしておるわけであります。御了承願いたいと思います。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ合理化だとか企業の整備ということは、口ぐせのように、何かありまするとそういう言葉を使われるのでありますが、実際問題としてなかなかこれは進まんだろう、而もこの船会社状態からするならば容易にできる問題じやないと思うのですが、そこで、あなたの今の御答弁の中でも、どうしても取立てができなくなつた、そうすると最後は担保の処分ということになるのだが、担保処分ということになると、えらい問題になるということになつて、そこで又仮に開発銀行は、今この船会社の景気の悪いときに、船を担保に取つてあるか何を取つてあるか知りませんが、まあ船会社の担保といつたら船くらいだろうと思うのですが、そんなものを取上げてみたところで、船を処分すると言つたつてなかなか簡単に行くものじやない。そこで結局政治的にこれを解決して行かなければならんという段階になつて……これは今なぜそういうことを申上げておくかというと、いつでも、すべての公団をこしらえたり或いは何々金庫というものをこしらえまして戦後やつて来たけれども、それを整理してみますると、どいつもこいつもみんな赤字が出てしまつておる。そうして最後の責任の所在はどこへ行つたかわからんようになつてしまつて、結局欠損になつて国民の頭にかかつて処理されておるというのが今までの実例なのであります。併し、これだけ問題を起した造船融資の処置でありまするからして、少くともその処置だけは綺麗につけて、私は国民に申し開きをするというのは、やつぱり一にかかつて開銀の今後の船会社に対する利子の取立て、並びに元金の取立てにかかつているのじやないかと私は思うのでありますが、最後にそれが若しもできないようになるというふうな事態を今後考えなければならんと思いますが、そういうような場合は、やはり結局は欠損に見て行かなければならん。特に今年は政府のほうで、開銀の利子補給につきましてはどうも予算がないので、市中銀行の利子補給のほうは予算に盛られてありますけれども開銀に対する利子の補給の分はもう盛られていないのじやないかと思うのですが、そうすると、あなたのほうには利子は入つて来んということになるのですが、これらの処置は一体どういうふうに処分されようとするか。この点を一つお伺いしたいと思うのであります。
  38. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、御承知通り二十九年度の予算は、政府は緊縮予算という建前から行きまして、船舶建造開銀に対する利子補給額は削除しております。従いまして、法律は、三分五厘の業者負担でありまして、あとは政府が利子補給をするのだという法律は一方に残つていて、一方、予算は削減していると、こういうふうなおかしな形をとつておるのでありますが、開銀といたしましては、三分五厘と開銀の定める利息のその範囲は、会社が利益を少くとも生じた場合、償却以前ですな、その場合にはできるだけこれを元金と利息というふうなことで両方から取つて行こうと、こういうふうなことで政府の利子補給に対する考え方とは、大分きつい考え方を今持つておるのでありますが、これは各関係当局ともよく協議をいたしまして結論を得たいと今考えております。
  39. 平林太一

    ○平林太一君 この際、開銀総裁小林君に今回の造船融資に関連してお尋ねをしたいのでありますが、前提として申上げますことは、この造船融資決定というものは、又、貸付の当事者であります者は開銀総裁でありますことは、極めて明白であります。そこで第一にお尋ねをいたしたいと思いますことは、小林君が開銀総裁に御就任に相成りましたのは何年何月でありましたか。それを第一に伺いたいと思います。
  40. 小林中

    参考人小林中君) 一昨年の四月と記憶しております。
  41. 平林太一

    ○平林太一君 只今一昨年の四月という御答弁がありましたので……。
  42. 小林中

    参考人小林中君) 一昨々年だそうであります。
  43. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、昭和二十七年の四月ということでありますね……。
  44. 小林中

    参考人小林中君) 二十六年。
  45. 平林太一

    ○平林太一君 そういたしますと、二十六年以来、いわゆる第九次造船計画の後期、それまでにこの貸付を決定せられました、同君の責任によるこの造船融資決定総額はどのくらいに相成りますか。この際一つ明確にして頂きたいと思います。
  46. 小林中

    参考人小林中君) 只今平林さんの御質問でありますが、私が就任以来造船融資をしたのではないのでありまして、開銀といたしまして造船融資をしたのは第九次船の造船融資をいたしたのでありまして、その前は全部大蔵省でやつたということを御了承願いたいと思います。
  47. 平林太一

    ○平林太一君 私もそういうことはよく承知いたしております。それでありまするから、いわゆる開銀総裁に就任せられて、只今お話通り、第九次という、前期、後期ということに相成ると思いますが、そうすると、第九次の前期、後期において融資せられました総額、及び極めて数は少いでありましようから、その貸付をいたしました船主、それだけのことは総裁として御記憶のことと思いますので、この際明らかにいたして置きたいと思います。御答弁を願いたいと思います。
  48. 小林中

    参考人小林中君) 九次前期で五十六億、後期で百五十六億、合計で二百十二億というのを承諾しております。
  49. 平林太一

    ○平林太一君 只今二百十二億という御答弁でありましたが、これが総額は九百二十億内外に達してありますことは御承知通りでありますが、そのうち二百十二億、然るに今度のこの融資に対しましての内外の耳目を驚かすような、或いは一面から申しますれば国家政治の基礎でありまする綱紀の粛正或いは紊乱、そういうようなものを発生するような事態の起きておりまするのは、おおむねこの第九次の前期、後期に該当するものと私は承知いたすのでありますが、その点は如何でありまするか。総裁としてもよくわかつていると思いますから伺いたいと思います。
  50. 小林中

    参考人小林中君) 只今平林さんの御質問でありますが、現在問題になつておりまするものが第九次の前期並びに後期であるかないかは、その事件の内容を私どもは詳細に存じませんので、これは今はつきり私からさようでございますということを申上げることはできんと思います。
  51. 平林太一

    ○平林太一君 極めて巧妙な御答弁で、私もそのお気持は御推察申上げるわけでありますが、こういう問題のことは、利子補給の問題は後日にいたしまして、いわゆる造船融資に対する船主からの申請によるその船主の申請に対して、船主市中銀行からの融資確約書を添付して、それから造船合理化審議会の議を経て、これを開銀に移送する。こういう形式的な段階が蹈まれてあるわけでありますが、当然これは運輸大臣がこれに参画をいたしまして経過いたしておりますが、最終の決定者は開銀総裁であるということは、私自身といたしましてはよくこれは承知はできるのでありまして、従つてその責任というものは誠に重大である。只今金融機関であるというだけのお話でありましたが、私はこの開銀の場合は、金融機関ということは、要するに預金を大衆から集めて、その預金と自己資金というものを合せて、或いは日銀等からの国の借入れをして、これを貸付ける。こういうものが金融機関と常識上に私ども判断いたしております。併し日本開発銀行は、政府資金のみによるいわゆる国民財産、そういうものによる政府資金である。国民のいわゆる資金を今日三千二百億円内外を取扱うという、こういう一方的なものである。ですから、これを金融機関というふうにお考えを頂きますというと、私は非常に開銀総裁御自身がみずから御自身の職を低めるようなことになるのではないかと思います。国家資金の運用であり、それから国家資金の貸付でありますから、この点は非常に詳しく、小林さん御自身の御態度が平生から誠に厳然毅然たる御態度でありますので、極めてふさわしいと私は思つております。そういうことでおやりになるのありますから、実は船舶融資に対するこういうような問題は、その補給ということ自体が私は非常に不思議な事柄だと思つております。最終決定者でありまする開銀総裁小林君の人となり、そういうものが決定したことにこういう問題が起きたことは如何にも不可解である。だからこれに対しましては、どうしても他の何か大きな大なる力がこれに及んだのである。それからその大なる力が或いはこの政治的集団、そういうようなものがいわゆるこれに及んで来た。そうしてその結果そういうものが更に運輸省の行政官庁まで浸潤して、現在は官房長との壺井とか、或いは昨日の新聞を見ますと、土屋という事もあろうに海運局の監督課長以下幾人かが逮捕せられた、こういう次第です。それですから、貸付に対しまして、私自身といたしましては、私は開銀総裁が貸付に対しますときのいわゆる最終決定者としてのあなたが、どういうような方法によつてこれを申請者に対しまする決定をなさつたか。今二百十二億でこれはよろしいのでありますから、私は二百十二億に対しまして船主は何名だかということを先刻お尋ねしたのはそういう理由からでありますが、それにつきまして、一つ、当時、そういうことは決して零細な資金でありませんから、ただ無意識に決裁をなさるということはあり得ないはずでありますから、御記憶のことと思いますから、その点を一つ伺いたいと思います。
  52. 小林中

    参考人小林中君) 只今平林さんの御質問でありますが、開発銀行金融機関ではないではないかというお話でありますが、これは普通金融機関から見ますと、確かに多少形の変つておることは事実であります。これは平林さんがおつしやる通りでありますが、ただ金融機関として形が変つておるということは、金融機関として一般預金を取扱わないという点が変つておるのでありまして、他の業務に対しましては、他の金融機関といささかも変つておる姿ではないのであります。従つて開発銀行が創立されました後におきましても、開発銀行としては、銀行という建前、いわゆる金融機関という建前からしてものを判断し、ものを見て参つたのでありまして、従つて開発銀行の業務の運営は、金融機関と少しも異ならざる運営しておるということを御了承を願いたいと思います。  その次に、開発銀行は最後の船舶建造の許可権を持つておるのではないかという仰せでありまするが、これは運輸省建造許可権を持つておるのでありまして、建造許可が下りて初めて建造ができるということに相成つておるのでありまして、先ほどから小林委員菊川委員からその点は縷々御質問もありましたし、私もお答えをしておるよう事情であります。従つて開発銀行としては、金融機関として融資対象審査査定をいたしたということを御了承を願いたいと思います。又開発銀行といたしましては、この審査査定をいたしまするに、一応各船舶業者から申込を受けまして、それは営業部で一応の申込を処理をいたしまして、そうしてそれを審査に廻します。審査部におきましてできるだけ厳密に各会社の内容、資産、信用力並びに経営能力というものを審査をいたしまして、その審査の結果を役員会に報告を願います。役員会で各役員からいろいろな意見を述べられまして、そうしてその審査の報告が営業部に廻りまして、そうして営業部と今度は貸付の対象でありますところの各会社との具体的の折衝に移つて決定をする、こういう順序に相成つておるのであります。この点をさよう御了承願いたいと思います。
  53. 平林太一

    ○平林太一君 開銀の性格に対しましての只今の御意見に対しましては、我々といたしましてはもう少し小林君のお考えになつておりますよりも、私は開銀に対する国家資金融資をする或いは貸付をする、それから運用をするということに対しましては、もう少し何と言いますか、識見高邁なものを私どもといたしましては求めておるのであります。併し只今お話に対しまして今是非を論ずることは次の機会にいたしたいと思いますが、そこで只今決定に対しましてのお話がありましたが、二百十二億の融資いたしましたに対しましては、このいわゆる申込船主融資総額というものは二百十二億の最後決定でありまするが、これはどのくらいになつておりますか。概算でいいと思いますが、それを伺いたいと思います。
  54. 小林中

    参考人小林中君) 金額ですね。申込総金額ですね。
  55. 平林太一

    ○平林太一君 そうです。概算でいいのです。
  56. 小林中

    参考人小林中君) ちよつと申上げます。今、金額の累計は持合せがないのでありますが、後刻御報告申上げますが、隻数で参りますると、六十三隻ということでありまして、建造された実際の隻数は二十五隻だそうですから、丁度三倍弱くらいなものに当るわけであります。
  57. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林君に申上げておきますが、過去二回に亘りまして松田理事及び竹俣審査部長から事務的説明を伺い、更に詳しい資料も配付を受けておりますから、今の御質問の要旨は大体それによつて……。今日は最後の締め括りを総裁質問する、こういうことになつておりますから、そういう角度から御質問をお願いいたします。
  58. 平林太一

    ○平林太一君 只今の二百十二億、これは非常に何と言いますか、私といたしましては根本の問題だからこういうことを申上げるわけであります。二百十二億に対しまして、金額は今日はおわかりにならなくても、それでよろしいと思いますが、二十五隻に対しまして二百十二億お貸付けになつた、これは申請は六十数隻であつた、こういうのですから、この六十数隻はいわゆる三分の一になつたわけですから、ここに一つの、決定に対しましては相当なる御苦心があられたことは了承ができるのであります。それでありますので、そういうところに今度のような問題が起きた。このような問題は、これは起きてはならないことなんです、実際は。世の中のこういうことは、こういうことがあり得るものだと、まあこう言えばそういう理論も成り立ちましようが、事が普通の市中銀行における金融をいたした問題とは違います。国家資金を運用するという、運用されたという問題ですから、こういう問題が起るということに対しましては、この際、当然、国民の納得の行くようにこれが解決をみなければ、今後のいわゆる国民自体の政府に対する信頼、政府資金の運用、そうしてそれは誰が出すか、国民自体が出すのだということに重大な政治問題がありますので、これをこの際、明らかにいたさなければならないので、十分な御説明を願つておるのであります。そこで総裁のお手許へその書類が配付された、そのときには二百十二億、これは個々に分類いたしますれば、それが二十五隻になりますが、二百十二億というもの、二十五隻というものが総裁の机上にそれが送付されて、それで御決裁になつたと、こういうのですか、或いは総裁の許へ行つたときに二十五隻が……六十何隻のうち相当取捨されて、或いは三十隻なり或いは三十五隻なりがお手許へ届けられた、それを二十五隻に総裁が最後決裁をなされたのか。そういうときの処置ですね、それを伺いたいと思います。
  59. 小林中

    参考人小林中君) これは先ほど小林委員からも御質問がありまして、只今経過を申上げたのでありますが、大体六十何隻の申請がありまして、それを営業部で取りまとめまして一応申請の内容を質し、そうして審査部へ廻しまして、審査部で各会社資産信用力並び経営能力というものを審査いたしまして、その審査の結果を役員会に報告をいたしまして役員会で各役員からいろいろな角度から意見を出して検討をしまして、そうしてその審査の結果をまとめましてそれを営業部に流しまして、営業部が各船会社と具体的の融資の折衝をするというふうな形になつておるのであります。ただそこに普通の場合と違いますのは、船舶の場合はいわゆる航路計画とか造船所事情というものが、これは運輸省考え方が主となるのであります。従つて運輸省考え方の造船対象と、金融機関としての見方の開発銀行造船対象というものが、必らずしも最初から一致すべきものでないのでありまして、従つて仮に二十五隻を建造するという場合には、それより少し幅を持たした程度のもので、この程度金融機関として金融対象になり得るというものを拾い出しまして、そこで運輸省と突き合わせまして、そうして突き合わした結果、両方の意見の一致したものを以ちまして、そうして最後に運輸省決定をする。こういう段取であります。
  60. 平林太一

    ○平林太一君 私が今お尋ねしておりますことは、順序につきましては小林さんからよく御説明を承わりまして、それで了承いたしますが、私が今お尋ねしているのは、最後の決定者としての、いわゆるそういう経過を経まして、そうして最後にいわゆる何々会社に何十億の融資をするということを決定する、こういうことに対する最後の決定はそこできまるわけなんです。ただ漠然として、運輸省委員会決定したものに対して、それを開発銀行がその運輸省決定したものによつてやるというのではないということは、金融機関としての角度考え決定するというのでありますから、そうすると最後に開銀である。それから最後には開発銀行総裁がそれに承認し、いわゆる許可する。こういうことになるのでありまするので、それで、あなたのお手許で決裁いたしました事情をお聞きいたしたい、こういうわけであります。
  61. 小林中

    参考人小林中君) それは、最後と申しますか、形式的の最後というものは、最後に建造許可が済みまして、そのあとで最後に禀議書が廻つて、そうして決定をするのでありまして、稟議書は各役員が順次稟議書の内容を調べまして、そうして責任判を押して決定をするのでありますが、併し事実上は役員会で最後の決定をいたすのであります。これは今申上げました通り審査報告も役員会でし、最後の決定も役員会でするのでありますが、併し役員会ですると申しましても、私が決定権を持つておることは事実でありまして、組織の上から言いますと私が決定をするということに相成るのであります。
  62. 平林太一

    ○平林太一君 私は総裁の権限というものはそういうふうに軽く見ておらないのです。それから、そう軽く見てはこれはならんわけですから、役員会に対しましても、役員会が端的に申しますれば不当の議決をした場合に、そういう場合には、そのために総裁というものがあるわけです。役員会によつて最後的決定がそこで全部できるということでありますれば、これは理事制なんかで、いわゆる理事長でいいわけなんです。ところが開銀の場合は、それに対して総裁ということで、いわゆる総裁の最高機関を置いてあるということが、そういうことに、私は重大な最後の締めくくりですね、そういうものを求めておりますることが、我々の政治的の欲求であるわけであります。そこで総裁制というものを我々が実は承認をいたして、こういう制度を作つたわけですから、それだから今お話ような非常に総裁の影が薄い、決定に対しまして……。事実は併しそうであつてはならんと思う。そうすると、役員会で決定したものに対しては総裁は単なるロボツトであるか。そういう点を一つ伺いたいのであります。
  63. 小林中

    参考人小林中君) それは私が今説明の仕方が或いは悪かつたとも思いますが、役員会と申しましても、その役員会は勿論私が出席をしておる役員会であります。決して私が出席をしていない役員会で決定するというようなことはないのでありまして、私が出席をしておる役員会できめるのであります、事実上は……。併しながら組織の上から言いますと、平林さんがおつしやる通り、私に決定権があるのでありまして、私が決定すべきであり、又決定をするのであります。
  64. 平林太一

    ○平林太一君 それでよく了承いたしました。やはり結局、総裁が最後の決定をなさる。役員会でありますとか、或いは本問題に対しまする融資のことに対しましては、国家資金の、いわゆる開銀資金運用に対する活殺の権限は、挙げて開発銀行総裁に委ねられておるということは、これは明らかなんです。それだから、そこで一つお尋ねをするのでありますが、そうしてあなたが御決裁になりましたこの船舶融資の問題が、このような不祥な事態を今日起したわけです。これはまあ実に私から考えますれば、只今の首相吉田君自体は、非常にこのことは同君の例の我が儘ぶりを遺憾なく発揮しております。当初は吉田内閣というものは、綱紀粛正というものを、芦田内閣のあとを受けて、いわば看板にして掲げて来た。それでありますから、この綱紀粛正問題というものは吉田内閣の全生命であつたわけであります。従いまして、私、当時与党におる一人といたしまして、当時ですよ、スキヤンダルというものを起しちやいかんぞと言つたときに、同君は、スキヤンダルはありませんと、只見川の問題、四日市燃料廠の問題のようなことが起きておりましたが、スキヤンダルはありませんと、こう言つてつたのです。ところが今度いよいよ船舶融資の問題のような事件が起きて来て、スキヤンダルが出て来るというと、こういう事態は検察庁が調べればよろしいのだと、検察庁で調べて裁判によつて決定した後に善処しようと言うのです。これは総理大臣がそういうことを言うから、世間往々にしてそれが当然なことだと不思議を持たないのですが、過去の歴史を考えまして、これは私は容易ならないことだと思う。こういうようなことによつて、いわゆる政府の失政、殊に官紀紊乱ですね、綱紀の弛緩というものを、平然として、検察庁でやつておるのだから政治上の責任はないということになりますれば、全国民に及ぼす影響、いわゆる道義、風教と申しますか、これは根底から破壊されてしまいます。政治上の基盤というものは全く私は将来想像も及ばないような危殆に瀕すると思うわけなんです。ですから、昔は、そういう事件が内閣に起きますれば即時皆辞職したものです。山本権兵衛内閣においても、或いは大隈内閣の大浦内務大臣の事件においてもそうであるし、或いは台湾銀行の事件なんかも、丁度今度の船舶融資の問題と同じような事件でありましたが、国家資金における神戸事件だと思いましたが、斎藤内閣が即時辞職しております。それを、辞職どころではない、検察庁がなにしておればそれでいいのだと、我々は関せずと、こういうことなんです。これはまあ大変なことだと思つている。世の中にはそんなことがあり得ることではないというようなことが、特殊なる人物が言えばそれが納得せられ、それが国家にとつて取返しのつかないことになる。戦争中、東條という大将が戦争は勝つと言えば、全国民挙げて勝つと思つた。一部の者は、負けては困るという気分の人が、識見の高い人があつたのですが、併し総理大臣が勝つと言うものだから、世間その通りになつてしまう。それでああいう結果になつた。そこで、今度のこの綱紀問題、いわゆる官紀紊乱の問題も、私は同様だと思う。それだから、私はこれに対してあなたに、事務的なことで甚だ御迷惑かも知れませんが、併し今申上げておる通り、これは国家資金を資本としておる開発銀行である。だからこれは世界銀行からお借入れもあなたの御苦心によつて先年成立いたしたことも、私はよく了承いたしておりますが、併し外資の資金開銀に廻るといたしましても、それはいわゆる政府資金という間接なる背景によつてできるということは明らかなことなんですから、そういう資金がとにかくこういうような事態を惹き起したということ、最後的決定者でありまするあなたのお貸付になつた、あなたの融資したところの船舶融資に対してかような問題が起きたということに対しましては、今日私は総裁としての小林君はどういう考えをお持ちになつておるか。そうして又、その責任上に当つてもどういうふうのお考えを持つておりますか。これは決してあなたを責めるわけではありません。国家全体の一つの機構、国というものは一つの機構で成立つておるわけですから、その機構の中において行われることは……、個人々々によつて行われることは直ちに刑事事件になる。併し機構の中において行われることは、個人においては刑事事件になるような何十倍もの問題が、常にそういうものが普通の常識のごとく行われておるということは、実に私は将来のことが心配に堪えない。終戦以来私どもが国の会計、決算を審査いたしておりますが、二十二年以来累年増加しておる。会計検査院の不当事項、批難事項、或いは甚だしきに至りましては不正事項、こういうものが累年多くなつておる。殊に二十三年の十月と思いますが、吉田内閣が成立いたしまして以来五年五カ月になります。この間に累年増加しておる。こういうことは、一般国民が知らないからこれは黙つていられるのでありまするが、そういうことをして行きますれば、今に隠し切れない事態に立ち至つて、国というものはいわゆるスキヤンダルというものを中心にして一つの亡国の運命を辿らざるを得ないということを私は非常に憂えますので、この際あなたの船舶融資に対しまする最後的決定者といたしまして、この際、全国的な国民に対する御態度、そういうものを一つ承わりたいと思う。
  65. 小林中

    参考人小林中君) 只今の平林さんの御質問でありますが、今問題になつております事件の内容がつまびらかになりませんと、どういう金がどういうふうに使われ、どういうふうな形になつているのかも、私どもはよく存じませんので、できればそういうものが明らかになつた上でこれに対する措置、対策というものを考えるべきだと思います。こう申しますと、又平林さんから叱言を食つて、お前はそれじやいかんじやないかとおつしやるかも知れませんが、併し事実は私はどうしてもそう行かなくてはならんのだと思います。但し従来の計画造船決定の方法が、これ又万全だとは私ども現在も考えておらんのでありまして、これは各関係方面ともよく協議いたしまして、そうしてできるだけ完璧に近い融資形態を今後研究し努力して編み出して行きたいと考えておる次第であります。
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林委員に申上げますが、開銀当局に対しての質問にふさわしいような御質問を願います。大体政府に対する質問ようですから、開銀当局に対する質問としては少し脱線しておるきらいがありますから、なお時間も相当たつておりますから、簡略に願いたいと思います。
  67. 平林太一

    ○平林太一君 只今小林君から、前段の問題に対しまして、私の意見に対しまして非常に巧妙にこれを回避せられておりますが、これは私は決してそういうことであつてはならないと思います。もう少し責任を持つてつてもらわなければこれは困ると思う。事件の全貌がきまつたらというようなことでは……。昭電事件が三年も五年もかかつておる。そういうことがあるわけですから、これは一つのあなたの理窟であつて、又これは総理大臣もそういうような調子でやつておりますのは、甚だ職責としましては卑怯である。私はあなたに言うのじやないのですが、吉田という人の言葉は、今委員長が言われたから、成るべくそれには触れたくないのですが、そういうことが一つの何か理由になつてしまう、そういうものじやない。いやしくも検察庁が逮捕して而も起訴した。起訴せられなくても、逮捕せられたという事態だけで、これは政治上に対しまする取扱方というものは、厳然たる事実として、何らかの処置に出なければ、それでは世の中の秩序というものは立たん。上の者はそれでよろしいが、いわゆる声なき大衆というものはそういうことでは決して納得はしません。若しそういうものが野放しになつて行きますれば、そういう大衆というものが政府を信頼しない、そうして日々の政治希望を失いまして虚脱してしまうということですから、もう少しその点は非常な責任を持つて、何か毅然たる態度にお出になることをこの際強く要望いたしておくわけでありますが、これも開銀の場合につきましては、あなたの今の根本におきましての金融問題に対しまする意見の相違がありますので、そういうことを一応今日は聞きおく程度にいたしておきますが、最後にお尋ねをいたしておきたいことは、開銀自己資金でありますが、これは非常に船舶融資の問題に関連して私は不思議に思つておりまするが、本年度は御承知通り資金運用部資金から二百七十五億、産業投資特別会計から七十五億、それから自己資金三百億、こういうことに相成つて、合計六百五十億ということで今我々のほうではこれを審議いたしておるわけでありまするが、開発銀行が三千二百億円内外の資金を貸付をする。それから、それだけの力を持つてつて自己資金が三百億しかないということは、如何にも私どもといたしましては、開銀のいわゆる船舶融資というものに対しまする焦げ付きなども相当ありましようが、非常に遺憾に思つております。現に国民金融公庫は僅か数年にして、六百億内外のものでありまするが、今年の自己資金が二百二十五億となつております。でありまするから、こういう僅か三百億しかないという原因がどこにおありになりますか。当然これは船舶融資いたしました返還金というものが正当に行われていないということも第一の理由でありまするが、最後に全体の問題といたしましてこれだけのことを伺つておきたいと思います。
  68. 小林中

    参考人小林中君) 只今平林さんの御意見で、一応開発銀行の総融資高から御覧になりますと、如何にも普通の金融機関という角度からお考えになると、不思議にお感じになることは、私は御尤もだと思います。但し開発銀行融資の内容を申上げますと、電力融資船舶融資というものが開発銀行の総融資高の七割を越しておると思います。従つて、電力融資のごときは三十年の期限で融資をしておるということであります。船舶融資は御承知通り十三カ年或いは十五カ年で融資をしておるということで、資本の回転率が普通の金融機関からみると非常に薄いということであります。それを御了承願いたいと思うのであります。
  69. 平林太一

    ○平林太一君 只今、三十年、それから十五年と、こういうことですが、これは開銀総裁の識見として、三十年というような長期の貸付というものが、いわゆる発電資金に対しまして……、こういうものを当然のごとく今御答弁なさつておられますが、これは三十年というのはあり得ないことだと思います。それからこの船舶の問題に対しましても、三年間据置で十五年、こういうものを開銀総裁といたしましてあなたは妥当とお考えになつておられるか。今の御答弁から伺いますと、三十年だと極めて簡単に言われておりますが、そういうことは、国民資金国家資金というものに対しましてこれは非常に……。ただ一般金融機関としての性格から私は申上げておるわけではない。又一般金融機関ではこんな馬鹿々々しいことでは、これは成り立たないわけです。国家資金だからこういう長期のものをやつておる。併し国家資金であるから、その期間というものに対しましては重大な検討をしなければならん、三十年とか十五年なんというものでありますれば、これは実際問題は国で譲与したのも同じことなんです。で、それに対して又利子補給をやるのだ。昨年、経団連の植村という副会長は、予算委員会へ参りましたときに、こういうことを言つていました、いわゆる財政投融資として開銀へ金をたくさん出してくれ、そうして貸付期限はできるだけ無期限のようにしてくれと言われておる。それから利子は成るべくただのように安くしてくれと言つておる。(笑声)それで私は一喝をやつたのですが、今日の経済団体連合会の石川一郎とか或いは植村甲午郎なんというのは、これは大衆から見ましたら許すべからざる、私どもから申しますれば彼らは国賊なんです。(笑声)これは断じて憚らない。それをあなたのところでそのままお受入れになつたのでは、それは国民は知らんからですが、余りに情けない……。
  70. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林委員に申上げますが、これは今日は船舶融資について開銀総裁質問しておりますから、非常に質問範囲が広汎で、時間も余計とれますから、もう簡単に切上げて頂きたい。
  71. 平林太一

    ○平林太一君 それに対して御答弁頂きたい。
  72. 小林中

    参考人小林中君) お答えいたします。電力は御承知の水力電気が三十年でありまして、水力電気のダムとか建設は全部、税法から行きまして耐用年数が四十年に相成つておるのであります。従つて四十年間に償却をするということに相成つておりまするので、国策という建前からいたしまして、これを四十年を三十年と縮めて、三十年に償却をさせる、そうしてその以外に会社が利益があつた場合には、これはその利益を見ながらこの年限は縮めて行くというふうな考え方であります。  それから船舶におきましても、御承知船舶の耐用年数は二十年でありまして、これも国策という建前から十五年ということに縮めておる。そうして船舶業界事情によりましては、これは十五年よりもまだ早く取る場合があり得るのだというふうな建前をとつております。
  73. 平林太一

    ○平林太一君 遺憾ですがこの程度にいたします。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 一点だけ伺います。先般、時間の関係から最後までやれなかたのですが、手金を船会社が持つておらないということに対しまして、総裁は必ずしもそうでない、増資等をやつて作つておるということでありますが、それは資本金のある会社ですからその程度自己資金があるということは私も了承しておりますが、ただ新規造船をする場合に、絶えず自分の手金は使わず、増資をしたものは旧債の穴埋めにする、こういうようなことであつて従つて新らしく船を造ろうという場合は、何も自分の用意なしにやれる、そこで開銀或いは市中銀行に然るべく納得をしてもらうような、いわば船会社の目は、上を見ておつてちつとも足許を見ないという傾向がある。そこで考えてみれば、公債等も非常に多額に上つているようなことで、本当に事業家としての苦しみをやつておらないように思うのです。骨を削る思いで事業をやつておるとは私は考えられないわけです。その根本原因は、結局新らしい仕事をやる場合に、すべて他人資本によつてやれる、人の金でやれる、こういうことになるのです。今の旧債の返還といつても、政府資金に関する限りにおいては元加等によつて、むしろ今まで償還金よりも元加金額のほうが多いので、丁度融資額よりも残金のほうが殖えておる状態、お宅から頂いた資料によつてもそういうよう状態で、今までは国策ということでどんどん作らなければならん、だから足の立たないものを伸ばすように、手をとり足をとつて伸ばすということも或る程度意味があつたのでしようけれども、この段階においては、先ほどお話のあつた企業の整備統合ということも勿論やらなければならんが、同時に新規に船を造るという場合においては或る程度の手金を持つて来い、こういうことでやる、それができるまでは足踏みをするということが必要ではないか。最初に総裁から見解の披瀝がありましたから、私も同感なんで、質問という形にいたしませんでしたが、とにかく一緒に二十万トン或いは十五万トンというような船を同時に締切つてばたばたと造らせるということにも欠陥があり、そういうような手金の準備ができたものを、企業としての準備ができたものというような、営的に真にやれる、足許のしつかりしたものから逐次取上げて行く、こういう方法で、一年に二十万トン、三十万トン殖やさなければならないなら、一年間にそういう適格者を探して行くということにやらなければならんのではないかと思うのですが、最後に見解を披瀝して頂きたいと思います。
  75. 小林中

    参考人小林中君) 只今小林さんの御意見は私ども誠に立派な御意見だと考えますので、今後造船融資に対しましては御意見のあるところを十分何らかの形で活かして行くよう努力いたしたいと思います。
  76. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の平林さんの質問に関連してでありますが、最後の決定をされる云々の問題についてでありますが、仮に運輸省決定したのとあなたのほうの決定と必ずしも打合せてやるわけではない。今のお話でございますと、それぞれ双方で決定して、最後に食い違いを来たす場合も相当起き得たと思うのでありますが、そういう場合の調整は如何にしておやりになつたか、この点一つ伺いたい。
  77. 小林中

    参考人小林中君) 運輸省は先ほども申しましたように、航路計画並びに造船事情を勘案いたしまして決定をしたとは申しましても、運輸省自体がやはり相手の会社の資産信用力等を一応は調べます。従つてそれほど大きな食い違いは実際は起らないわけであります。但し観点が多少違いますので、これは或る程度の食い違いは無論起り得るのであります。そのときに、運輸省側はこう考える、開発銀行側はこう考えるというものを、一応両方の考え方をきめまして、そうしてそれを持ち寄りまして、そうしてここで運輸省考え方と開発銀行考え方を調整をして最後の線をきめて行くということであります。
  78. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この点についてでありますが、今、有田君が引つ張られまして問題になつておりまする名村造船の問題についてでありますが、これは開銀のほうの役員会でも、まあ、あなたもこれは一応どうも怪しいというので否決をした。ところがそこで有田君が、今、中曽根発言で問題になつておりますように、壺井に五十万円、石井運輸大臣に百万円、大野伴睦に百万円、それだけ出して、そうして運輸省側の意見をまとめて、今度はあなたのほうに圧力をかけて来て、名村造船のほうの造船ができるようになつた、こういうのが一般巷間に伝えられておる風評であります。これもたしかな筋から実は聞いて来たと言つておる代議士もあるのでありますが、私は直接たしかな筋から聞いたのでない、又聞きでありますが、そういう場合も往々あつたのですか。事実その問題は今一番問題の焦点になつておるようでありますが、その点について御答弁を願いたいと思います。事実あつたかなかつたのですか。
  79. 小林中

    参考人小林中君) これは汽船会社は東西汽船であつたと思いますが、東西汽船の場合は、東西汽船は私ども融資対象として挙げた中に入つておるのであります。但し順位はそれほど決して高いものではないのであります。従つてまあ東西汽船と似たり寄つたりという会社が五、六社くらい恐らくあると思います。これは事務のほうでよく詳しく調べなければわからないと思いますが、そういうふうな状態であつた会社であることは事実であります。従つて開発銀行としては融資対象にはどうしてもならんということを言つてあるわけではないのでありまして、その範囲内には入つておるが、順位は決して上ではなかつた、こういうことであります。
  80. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ここに出してもらつた考課表を見ましても、我々が見てもちよつとこれはどうも一流の船会社で外航船をどんどんこしらえて行く会社としてはどうかと思うように、私らでも実際首を振ると思うのでありますが、これは我々素人でありましても、そういうふうに第六感的に考えるが、ところが重役陣を見ますと、自由党の副幹事長が重役に加わつておるというところから、これはどうも臭い、結局あつたのじやないかというように、やはり多少こういう食い違いの問題等について政治的な力の動くような余地があるような気がするのでありますが、それ以上お尋ねするのは抜きにして、次にリベートということが流行語になつて、子供でもリベート、リベートと言つているよう状態でありますが、えらい流行語ができたものでありますが、こんなものが、巷間流行する、我我考えるのに、姉妹船なんかを造つた場合に、同じ型でありますから、設計も一緒で、部分品なんかも二つなり三つなり一緒のものを買えるといつたような場合におきましては、設計費だけは助かる、五百万円かかるか三百万円かかるか知らんが、それだけ助かるから、或る程度それだけ割戻しは戦前にあつたということは言われておるのでありますが、戦後は余り姉妹船というよう関係もないようでありますし、造船会社もどんどん変えおる。そういうところから見て、リベートなんというものは、仮にそういうものがあるとするならばそれだけ……、これだけ船価が高くて困る、だから利子を補給してもらいたいと言つているときだから、リベートを生めるような余裕があつたなら、それだけ安く注文して、あなたのほうから借りる金をそれだけ安くさせる、これはリベートが仮にあつたとするならば、あなた方としても十分検討しなければならん問題で、にもかかわらず言つて来た金だけを貸しておつたということになつたら、当然手ぬかりがあつたのじやないかと思いますが、これはその後あつたかどうかという事実は、金融会社として、又審査した者の責任上、私は取り調べる必要がある、取り調べると言つては語弊がありますが、調査をする、今後十次が仮にあるならば対処しなけばならんと思いますが、御調査になつたのですか、どうでしようか。
  81. 小林中

    参考人小林中君) 只今菊川さんの御質問のリベートの問題でありますが、御承知開発銀行が第六次船の融資をする場合に、船価は非常に高い、どうしても下げなければいかんというので、開発銀行が非常に強く主張しまして、あのときに一割強の船価を下げることを運輸省に私どもが強力に主張したのであります。従つて開発銀行といたしましては、いわゆる現在唱えられておるリベートのごとき形のものは、決してあるべきものではないという信念を持つておるのであります。若しさような形が現われたとすれば、当然仰せのごとく船価を引下げるべきものでありまして、それだけ船価を引下げることが当然のことであります。仮に姉妹船というようなものを造つて、或いは設計とかその他が手数が省けても、姉妹船の次の船は先の船よりはそれだけ船価が下るということがこれは当然のことだと思います。従つてどもは、融資いたした当時におきましては、リベートという問題があり得るというふうなことは全然考えておりません。又、日本におきましては、過去においても、私ども承知しておる限りにおいては、商習慣としてもさようなことはなかつたと私は承知しております。但し現在においてはそういう問題が仰せの通り問題となつておるのでありまして、今後融資する場合におきましても、そういう点は十分注意いたします。又従来の会社におきましても、私どもは権力を以てこれを捜査するとか調べるとかいうわけには行きませんが、できるだけそういう点は注意をいたしまして調べて参りたいと思つております。
  82. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点だけ、今問題になつているのは、あなたも仰せの通りに、何が問題だかわからない、成るほどそうなんでありまして、なかなか検察庁の、我々が皆、目明かし役をして調べるわけにも行かないし、あなたのほうも又目明かし役になつて調べるわけにも行きませんが、大体まあ臭いのがあるということで、全然臭くないということではありませんが、どこが臭いかということが事実だと思います。率直に言つて併し臭いということは否定できないと思いますが、そこで若しもこういう疑惑を受けておるよう会社、今後も及ぶと思うのでありますが、飯野海運、戦後の日本郵船や大阪商船を向うに廻して、隆々たる勢いにあつた飯野海運が疑惑を受けて捜査されたということもありますが、従いまして、仮に十次の融資割当をされる場合におきましては、少くともその疑獄問題に関連があると思われる。検察庁も、これは責任を以て、検察庁もやはり国民の税金によつて設けられた国家の重要な機関でありまするからして、これも責任を以てやつておることだと思います。従いまして、そういう少くともその方面から睨まれておるというよう会社に対しまして、十次の割当に当りましては、この間、あなたのほうの理事のかたから、こういうのが融資するところの経営者の能力とか、会社の経営状態、そのうちで、少くとも国の財政資金を使うというにふさわしくない行為をやつたということからして、私はやはり融資に対しては不適格条項の、これは一つの大きな欠格条項にならざるを得ないと思います。これが疑惑が晴れてしまつたという場合には又別でありますけれども、少くとも又決定してしまつた場合にはどうするかということと、疑惑線上にあつて今公判に付せられておる、ところが十次後期の割当をしなければならないという場合になつたときに、あなた方は、疑惑線上にある、起訴されておる、こういうよう会社に対しましては、今後どういう取扱いをするか。又疑惑がかかつて引張られておる、而も東京地裁では公判中だ、社長は公判廷に立たされておるにもかかわらず、開銀のほうではその会社融資をした、こういうことになれば、国民感情に至大な影響を及ぼす、かよう考えるのでありますが、総裁はこれに如何に対処されるか。この点を最後に伺いまして締めくくりといたします。
  83. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問、誠に御尤もな御質問だと思います。従つてどもは現段階におきまして、直ちに第十次の造船に取りかかろうとも考えておりませんし、勿論今の金融界、経済界の情勢から行きましても、そう急に第十次融資が具体化して参るとは思いません。但し無論多少の期間があると思いますが、その期間内に、現在問題としておるところの事件の真相が漸次判明して参ると思います。真相の判明によりまして、その内容如何によつては当然経営者として不適任だという結論になる場合も往々あるのではないかと思います。さような観点から或いは適否が起ることも考えられますので、さよう御了承願いたいと思います。
  84. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どう見ても逃げておるようななかなか巧いお話でございますが、具体的に申しますが、飯野海運が今東京地裁で公判をされておる、仮に十次の割当の最中に、申請はあなたのほうに出ておる、そういつた場合に、飯野海運に又融資されるということは、これは新聞も大きく書くだろうと思いますが、そういうような、併し輿論はどうでもいいということになれば別問題でありますが、これだけ大きな問題になりましたから、やはりこれは国民の輿論というものを十分考慮に入れて、金融業者配慮はこれは要らないとは私は言えないと思う。特に開銀の性格上言い得ないと思いますが、そういう事実に直面する危険性が大分あるのであります。ところが、もう貸してしまつてから、私のほうからあなたを呼んで、小林総裁どうしたと言つても、もう遅いのです。だから今のうちに私は、はつきりあなたの態度を聞いておきたいのです。運輸大臣からは又あとで聞きますが、先ずあなたの態度を伺いたいと思います。
  85. 小林中

    参考人小林中君) 只今直ちに第十次造船融資を行うと、仮に仮定いたします場合に、現在そういう疑惑の中にあります会社に対して私ども融資をすることには、よほど慎重な態度をとらなければならん。これを腹蔵なく言いますと、融資対象としては相当不適格なものであると考えざるを得ないのではないかと、私個人はかよう考えております。
  86. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、そういうのに対しましては一応見合わす、こういうように受取つてよろしいのですか。これは、はつきり言うておきますが、これは具体的に……含みを持つて、何だかあとで速記録を読むとどうだということになるのだが、事実起り得るかも知れないから、起つてしまつてからいつも騒いでいる。ですから起る前に私は聞いておきたい。今、東京地裁で盛んに公判の最中です。黒か白かわからないにいたしましても、公判の最中で、リベートというような事実を追及されている今といたしまして、その会社に対して更に今度割当が行くということは、私はやはり、そんなものは黒か白かきまるまで大丈夫といつても、一応何らかの配慮が加えられるべきだ、当然国民的な制裁というものは加わつて然るべきだ、こういう時期が時期でございますから、それで伺つているわけであります。
  87. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御意見は誠に御尤もなことでございまして、私どもは黒か白か判定するまではどちらでもいいというよう考え方は決して持ちません。やはり国家資金を運用して参ります以上は、輿論というようなことも特に考えなければならんのであります。そういう点、十分考えて参りたいと思つております。
  88. 前田久吉

    ○前田久吉君 いろいろ質問なり御返事を伺つておりますと、第十次の融資総裁は逡巡しておられるように思うのですが、御存じの金融の引締めとか、或いは又均衡予算で、街は景気が非常に悪くなつております。従つて業者も相当出て来ております。それで、十次造船というものは一つ総裁勇気を出してどんどん早く始めてもらいたい。この造船の仕事は、総裁は御存じだと思いますが、中小の会社が大体六割かかつておる。そういうのでありまするから、こういう時期は勇敢に一つ第十次造船というほうに、融資のほうにかかつてもらいたいということを私ども希望いたしておきます。
  89. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問に対して、先ほど小林委員からそういう御質問がありましたので、私は私の考え方を小林委員にお答え申したのであります。従つてどもは、船舶業者熱意を持つてできるだけ早い機会に整理統合し、合理化して行くという線をできるだけ早く出してくれるということになれば、私、融資をするという気持が非常に燃えて来るのではないかと思います。そういうことと両々相待つて考えられますので、どうか政府当局にも、あなた方から、船舶業の整理、統合、合理化の問題を一つ御促進願いたいと思います。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 運輸大臣質問いたします。先ず建造許可をされる場合に、運輸大臣はどういう観点で建造許可をされるのか。事務的なことは承知いたしております。運輸大臣の気持として、特に開銀等において審査をする、これが船会社の事業体として適当であるかどうかという、いわゆる経営面からの答えが出るわけです。それに対して運輸当局はどういう点を付加してお考えになるか。
  91. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私のほうでは船舶合理化審議会に諮りまして、大体の造船許可の基準をきめてもらいまして、この範囲におきまして私どものほうでは、航路計画であるとか、或いは私どものほうでわかるような信用状況であるとかいうようなものを、いろいろな調査事項を設けておるのでありまするが、それによりまして、それに適格なるものであるかどうかということを先ず調べるのであります。例えば九次の後期の場合のようなときは、非常なたくさんの申出がありまして、これを一応全部に亘つて調べまして適格、不適格を調べ出したのでございます。それから開銀のほうで又開銀立場において調べてもらいまして、そして両方のを持ち寄りましていろいろ話合いをした結果、意見が一致をいたしました。それを私が承認をいたしたという手順でございます。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 具体的に申しますと、経営体として考えた場合に、開銀としてはA・B・C・D四クラス、Dは問題にならない。Bが標準ライン、Aは特等だ、特待生、Cはボーダー・ライン、こういうような四階級に経営者の実力というものは、経営体が分析される。その際にいわゆる航路計画というようなものからいろいろ造船許可が考えられ、運輸当局としては考えられるようですが、大学へ入学するのに、法科、社会科云々と、こうあるが、どうも或る航路は希望者が余りない、従つて経営能力劣弱なるものでも、航路計画を変更し、或いはその易きにつけば許可が下りる、こういうようなことがあるのか。優秀な経営体ならばその会社と相談して、航路計画を変更さしてでも船を造らせる、こういうことなのか。その点をお聞きしたいのであります。
  93. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私のほうは、さつき申しましたように、大体航路計画中心でございまして、それに私のほうで調べのつく程度会社の信用状況というものも考慮いたしまして、そしてこれを、この中から適格なものを出すわけであります。そして航路計画を、この会社のは非常に信用の厚い会社だと、航路計画を変えて来れば又そこに入れるというようなことは特別にやつてないのでございまして、出て来たのをそのままに検討をいたしております。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 私はやはり、私が質問しているのは経営体の内容、経営主体というものにウエイトを置くべきじやないか。航路計画が今の国策に合う、或いは運輸当局で是非この航路には日本船を配船したい、こういうことがあつても、それに応募しておる船主等が余り優秀な船主でないというような場合には、当然見合わして、他の優秀な船主を以て振替えても然るべきじやないか。こういう意味で御質問をしておるのであります。絶対に申込まない船会社には船を造らせない、そうしてたまたまその穴を知つてつて航路計画があなたのほうの考えておられるのとマツチしたというものは、少々経営が劣弱であつて建造をさせるのだ、造船をさせるのだということは、非常に過ちを犯すもとではないかと思うのでありますが、その点如何ですか。
  95. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) そういう場合には、私のほうは、今申したよう航路計画というようなものが自然主になるのでございますが、それで、私のほうだけできめるのは、自然、今おつしやつたような点において完全な決定ということにはならないだろうと私ども思うのであります。それで、その点からいたしまして、開銀のほうで信用状況をすつかり担保力その他によつて調べまして、そして、それを両方持寄つて、この程度のものならよろしい。この程度のものはもういけないというふうに話合いを進めて行つていますから、実際上においてはあなたのような心持も含まれて行くと思います。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 なお事務当局の話を聞いても、又実際がそういうふうになつておるようでありますが、船主決定の際に、一体融資申込み、或いは建造許可申請をする、造船許可申請をするときに、事前に造船所をきめて、はつきり……、若し造船許可があればこの造船所で船を造ります、こういう契約を取結ばして、そうして造船許可を申請し、従つて開銀政府資金融資を申請する。こういうような行き方が果して適当であるかどうか。而もその船主を選定する際において、岡田海運局長の答弁によると、おおむね船主が対等な適格者である場合において造船所を問題にする。こういう御答弁があつたのですが、実際は必ずしもその比重たるや、かなり造船所のほうがウエイトを持つておるような場合もあるやに思うのでありますが、どうして船主造船所というものを不可分のものとして考えなければならないのか。
  97. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 船は御承知ように非常にむずかしいものでありまして、ただ規格をきめて、例えば戦標船を拵えたようなときみたいに規格をきめて、それによつてどこか資力のあるところに金を貸してやる、或いはそれによつてどこにでも入札に出すというようなわけに行かないものでございまして、どうしてもいろいろな航路により、或いは速力の差その他の問題が起つて来るとか、様々な問題がありまして、どうしてもこういう入札の式で行くことが本当の実情に合わない。やはりこれは随意契約で行く性質のものである、そのほうがぴつたりと船が造れるというようなことからいたしまして、そういう観測の下に今のような制度をとつておるわけでございます。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 いやしくも運輸当局希望する航路に就航をさす、その船を造ろうとする船主、而も国家資金をかなり付けてもいいと判断される船主が、自分の造ろうとする船がこの造船所では果して適格な船が造れるかどうか判断力がないということは、運輸当局がそこまで世話をやかなければ適格な船ができないというよう船会社の経営者では、この造船所ではいい船が造れるか造れないかわからんというような判定のつかないような経営者ならば甚だあぶなつかしいと思う。一定の金さえあればどこで造つたら最も適格な船ができるか、いい船が安くできるかということは、それは船会社のそれも一つの経営手腕だと思う。従つて、或る船主にこの航路を運航する船を造らせるということがきまり、国家資金も付けるということであれば、その船主の自由な意思によつて、或いはビツド等によつて造船所を選ばせて然るべきではないか。なぜそこまで造船所まで運輸当局が介入をして考えなければならないか。その点が我々納得できないのです。
  99. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) あなたのおつしやる通りに運んでおると思うのであります。私のほうから船主に、どこの船会社とお前の所は組んでやれ、どこどこの航路にはどこの造船所が適当だというような指導は一切やつていないのであります。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 いや、併しその金を付ける、或いは造船建造を許可をする際に、今の造船所はどこの船会社で造るんだということが、あなたのほうの判定の一つのフアクターになるということは、造船所があなたのほうのお気に召さなければ船会社にも船を造らさない、こういうことになるわけですから、事前に自由な意思によつて選べ、選んだ結果がその二人の結び付きであつて造船許可を申し出ておるんだ。できた結果から言えばそうかも知れませんけれども、その選び方によつては、その船主は金が付けてもらえない、造船許可をしてもらえないのだから、結局は運輸当局のお気に召す造船所と組まなければならん、こういう結果になるわけです。
  101. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私どものほうでは、さつき申しましたような、これは随意契約の形が適当なりという心持からいたしまして、船主とそれから造船所の間に随意に話をさしておるわけでございます。私どもは、国家資金を大部分融資をいたす場合におきまして、これが回収可能なりや否やという、又それに対する担保力がありや否やということが主眼になるのでありまして、これは船主に対してでございます。ところが、これの方面におきましては主として開銀調査をいたしまして、適当なりや否やということを判断してやることになるわけでありますが、私のほうといたしまして造船所の問題を頭に入れて特に考えようになりましたのは、造船合理化審議会の答申の場合に、同じよう条件であるならば造船所事情を考慮に入れることというよう意味答申がありまして、造船所がたくさんの人を抱え込んでおりまして、それがなるべく適当な仕事が若し行くことができれば好ましいことでありますから、そういうふうなことを考慮に入れておることは確かに事実でございます。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 これ以上は、この問題は見解の相違になると思いますから申しませんが、とにかく政府資金を付けたのが回収可能かどうかというようなことは、私は役所でやるべきことでない。むしろ運輸当局はそういう事柄は肩を透して荷を軽くしたほうがいいのじやないか。何のために開銀があるのか。政府資金責任をもつて開銀融資させるということでありますから、金融業務的なことは余り能力のない者がとやかくタツチするところに間違いが起るので、そこに開銀自主性或いは責任の帰属という点が不明確になつて参りますから、私はこの資金が果して回収可能かどうかというようなことは開銀責任を持たせるべきだと思います。開銀がそういうことがまずいというなら、これは開銀の運営を委す資格なしということになるわけでありますから、そこまで運輸当局が関与すべき問題じやなかろうと私は考えます。  次は、今非常に海運界は悪くて、各社とも赤字であり、借入金の返済も困難だというよう状態でありますが、第十次造船というようなものをこの際即急に考えなければならないのかどうか。私は日本の国力或いは貿易の状態等から考えて、なるほど船は持てればたくさん持つたほうがいいでしようけれども、現在の日本の経済力及び貿易の状態等から考えて、昔これこれ持つてつた、それでよその国はこれこれの復旧率を示しておるが、日本はそれに遥かに及ばないというような、子供のマラソン競争みたいな考え方でもありますまいけれども、そういうことで建造に夢中になるということでは、船主が是が非でも船を造るというような気持で運輸当局考えておつてもらつては甚だ困るのじやないかと思うのですが、一体、最近の事態においてなお直ちに相当の建造をやらなければならんとお考えであるかどうか。
  103. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) まず前段のほうで、ちよつと誤解がないように申上げておきたいのでありますが、船会社が信用があるかどうか、担保力があるかどうかというような点は、お説の通りに私どもは全然これは開発銀行判断に待つておりまして、私のほうではそのまた資料を持ちませんでございます。私のほうでは、まあ信用状況とか何とかいう一般的なことを言うだけのことで、これはもう全部開発銀行意見に従うつもりでございます。あなたのお説の通りでございます。  それから十次造船をやるかどうかという問題でございまして、私どもは第十次の造船をやるべしという考え方をずつと持つて参りまして、今度の予算にも計上いたしたわけでございます。それは昨年運輸省で、四カ年間百二十トン造船計画、これができれば大変結構だ、そうなると大体外航船が戦前の七〇%くらいまで回復できることになるのだがという意味の発表をいたしておるのは御承知通りでございます。その線に沿いまして、二十九年度もできれば三十万トン、若し苦しければそれになるべく近い予算を獲得したい、こう思うておりましたが、今度の予算ではずつと政府資金も減りましたので、今のところでは二十万トン内外の造船ができる程度の、まあ本年と同じような割合で政府資金が出れば、そして市中の資金が出ますれば、そのくらいのものは行くという計算の下に予算を提出いたして、御審議を願うことになつておるわけでございます。これを今改めてもう一遍考え直してみてどうだという問題になると思うのでありまするが、私どもはどうしても十次造船はやるべきだという結論で、そういう結論があるからこそ予算を出したわけでございますけれども、今もなお且つ私はそう思つておるのであります。造船疑獄というような声が盛んになりますると、何もかも批判の的になつて造船もやるべきかやるべからざるか、利子補給もどうだ、やめたほうがいいんじやないかとか、いろいろな意見が出るのでございますが、私はじつくり考えると、どうしてもこの十次造船はやらなくちやならんというふうに思うのであります。外貨獲得、外貨獲得と何でもよく言うが、日本のほうの金もうんと使い過ぎるのじやないかという声もございます。併し戦争前の海運によつて得ました貿易外の収入の立場と、この戦後の今日における海運収入の立場、その貿易収入、外貨に対する立場というものが非常に変つて来ておると私は思うのであります。戦争前におきましては、外貨は、外地において働いておる工場その他、商社、個人等からの送金というものも相当多かつたし、運賃収入、保険料収入その他いろいろ貿易外の収入があつて、貿易のアンバランスをよくしておつたわけでございますが、今日になりますと貿易においてはやつぱり戦前と同じような割に、非常に輸入超過になる、これをカバーする一番大きな部面にこの海運というものがウエイトが非常に重くなつたのじやないかと思うのでございます。それで、二十八年度においても約二億ドルの外貨獲得並びに外貨節約の部面でできると思うのでございますが、今、船は世界的に見てもう運賃が非常に下つているから船は要らないんじやないか、ちよつと息をついて然るべきじやないかということの考えもあるようでありまするが、品物がないのじやないのでございまして、まあ世界中がどんどんやはり船をこしらえておるという中に、できることならば私はやはりこしらえて行くべきじやないかと思う。そうすると外貨の支払部面がやはり少くなり、外貨獲得もできて、動き出せばすぐにもう御承知ように正比例で収入の面に出て来る問題でございますから、これは私はどうしてもやるべき問題じやないかと思うのでございます。ところが、まあこういう世の中になつて来ますると、私はまだ会つてみませんが、船主の諸君のほうでは、まあ、ほかのほうの船会社がこしらえるならば残されちや困るけれども、いま少し様子を見てもいいじやないかという心持が相当あるんじやないかというふうな心持がします。数日前に、海運界の長老で今直接に関係のないようなかたに数人集まつてもらつて、十次造船にからんでいろいろ意見を聞いたのでありまするが、その人たちもそういうふうな言い方をしておりました。併しこの造船は、一方においてやはり造船所という日本の大きな産業の動く動かんという問題もやはり頭に入れて考えなくちやならんじやないか。さつき造船所がちよつと平均的にいろいろ行き渡るという……同じようなことで、やはりこの造船の仕事が、我々の注文が全然出なかつたといたしましたらどうなるだろうかと……。保安庁の船がまあ商船に換算して五万トンぐらいできますか、それと外国からの注文、これは鋼材の補給金等がありまして、現在においては割合によく注文が来ておりまして、年内に十二万トンぐらいになるんじやないかということを聞いておるのでありまするが、これが、それじや来年どうなりますかと申しますと、この鋼材補給に廻しまする日銀や開銀の金と申しまするか、そういうものがだんだん少くなつて来ておる、本年通りにはもう出せないだろうという状態になつておりますることと、又、造船所においても非常に合理化をやつてくれておりまして、昨年の九次造船の前期と後期と比べますると、鋼材補給も合せまして一割六分ぐらい下つたのでありまするが、これはもつともつといろいろ合理化する線も推進すべきだと私ども思うのでありますが、それにいたしましても、外国からの注文というものがどのぐらい参りますか、それだけでは造船所がもう音を揚げてしまうのじやないかということ等も、これは大きな問題として考えなけりやならないということを考えておるのでございます。そういうものをいろいろ併せまして私どもは何とかして十次造船をやりたいと思つておりまするが、一方、今度銀行方面の声はどうかと申しますると、さつき開銀総裁が何かお話申上げたかもわかりませんが、市中銀行のほうからは政府融資の七割に対して市中の三割をもう少し何とか緩和して少くしてもらわなければ、なかなか負担し切れないというように、私どものほうにどうしてくれと、はつきりは言わないが、そういう空気ですということを伝えて来ておるわけでございます。今週といつても明日だけでありますが、来週あたり私は、船主の代表の人たち、それから造船業者市中銀行、それから船の労務関係の人たち、そういう人たちにみんな会つて、いろいろ意見を聞きまして、成るべく私どもが予算に計上するときの考えの線に沿つて十次造船をやりたい、こういうふうに今のところ私は思うております。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 船主のほうで最近尻込みをしている空気が多いわけでございますが、私も実際尻込みをするのが当然だと思うのです。如何に安い金利の政府資金を借りられるといつたところで、損をする事業を誰が好んでやるのか。本当の事業的センスを以てすれば、この際、船を造るのは事業家としてはおかしいのであります。国家として、ついて来いと言つてもなかなかついて来ないのが普通だと思う。今まででも私はそういうふうな情勢であつた場合があろうと思うのでありますが、それを我先に競争をしていろいろな問題を起してまで造船競争をやるということは、やはり運輸当局の持つて行き方にもあるのじやないか。と申しますのは、政府資金七割、市中三割というようなことで、殆んど……殆んどじやない、全然新規造船の際に手金を持たずに船が造れる。而もインフレ……今まではインフレ傾向であつて、とにかく前に借りた金で造つたのはその後の時価に直せば数倍の値上りであつて、大いに再評価の結果は含み資産がある。船を一杯処分すれば何次かの融資分は返せる、こういうようなことでもあり、造らぬのが損だというようなことで、そういうペイする、ペイしないは別として、造つておけば何とかなる、こういうことから、安易に、ひたすら造船許可を獲得し、開銀融資を獲得することに狂奔するというような事態が起るのではないか。そこで船主選考の場合においてやはり手金を持つて来させる。如何なる事業でも、普通の事業ならば、金融機関融資を頼みに行つて、自分はこの程度の金を出す、これだけ頼むから融資してくれというのが普通であつて、全部新らしくするのを何から何まで貸してくれと言つて行けば、普通のケースにおいては門前払いをされる、はねつけられるのが普通です、それがこの場合には全額他人借入金でやれるというところに私は問題があると思うので、その点が一点。まあ時間をとつてもいけませんから、その点を一つ……。
  105. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 普通の商売にいたしましても、この船の建造にいたしましても、これが普通の時代であればおつしやる通りであつたと思います。戦争前の日本船会社など、私はおぼろげで、船会社の者でもないからわかりませんが、まあ大体手金を持つてつて、そうしてそれに足りない分を銀行から出してもらう、そうして船をこしらえるというようなことが普通であつただろうと思うのであります。ところが御承知ように、戦争で船という船が殆んど主なものはやられてしまい、残るものは何かといえば実につまらん戦標船のようなものばかりになつてしまう。一方、船時補償は御承知ように打切られてしまつて、いよいよ日本の海運というものは自由に動き出してよろしいと日本の講和条約の結果言われた場合において、一体何が彼らの手許にあつたかというと、どうもおつしやるような手順にやれる船会社というものは殆んどなかつたのじやないかと思うのでございます。それで、まあ結局それならばどうするかと言えば、景気のいいときにおいては、政府の補助もなくやれるものもあるし、ものによつては小さい船などは今でも政府の補助なしに小さなタンカーなんかこしらえておる状態でございますが、これは自分のところの信用で借金でやつておる、こういうよう状態でございます。どうしても大きな外航船を造るということになりますると、今のような制度に止むを得ず落ち着いたということだと思うのでございます。それから、それじや一体この状態がどこまで行つたら払拭されるかというと、私どもまあ海運は十年を以て一期とするというような言葉か何かを言いますが、例えば商事会社の一期、二期の計算では、本当の計算ではないのだ、十年を一期としての計算を見るぐらいのものだというようなことを業界の先輩たちは皆申しておるようでありますが、私どもはただ漫然とそういう時期を待つているのでなく、どんどん造るだけ造れ、政府は金を出してやるというよりは、私どもやはり船を拵らえなければならんという、さつきの日本の海運の国策というものを一つ打立てて、それならどうしたらいいかという考え方にしておるわけでございます。現に名前を申すのは憚かりますが、或る昔から有名な船会社、歴史のある個人を主にした船会社等では、殆んど船を拵らえられない。自分の持つておる小さい船か何かでやつておる。こういう昔ならば第一級に位するような人がなぜ拵らえないか。今のような高い船を拵らえたつてそろばんに合わない、いずれ今の会社が船を売りに出す、そのときそれを買おう、そうしたら俺は儲かるだろう、俺はもうそろばん玉を弾くならば今のようなものを拵らえないということを言つておられるということは、又聞きでありますが、これは一つの見方だと思います。この人は商売としては非常な立派な見方だということも言えるのでございましよう。それならば、こういう人たちばかりみんな出たら船はこれから一艘も殖えないと言うと、さつき申しますように貿易の輸送量のまだ十分な輸送もしていないのに、もうそれ以上は造ることができない。外貨獲得もそれ以上はできないというような問題等を考えますと、それではいかんじやないかというよう考えておるわけであります。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 私は、まあこれは何でもですが、政府が例えば設備の許可権を以て何々設備は政府の許可なくしては造つていけんというと皮肉にも殖える、無理やりに運動しに行つてどんどん不必要な設備が殖えて来る。これと同じように、船のほうもそれは二十万トン、三十万トン殖やさなければならん、これは殖やすのは一応いいけれども、やはりこれは善意におやりになつて、行政当局でそういう許可権を握つていて、悪平等な観念が働いて、これにも一ぱい許してやろう、あれにも一ぱい許してやろうということで、恐らく戦後発生した信用薄弱の船会社にも外航船舶を持たせる。こういう結果になつて、先ほど開銀総裁も、企業整備、合理化をやつてもらわなければ、あとの融資を出したくない、こういうことを強く言つてられたが、造るに当つてもそういう企業統合……ドイツなどは、これはあなた方のほうが勿論専門的に詳しいでしようが、そうでたらめな、外航をやる船主というものは二社ぐらいじやないかと思つておるのですが、そういうふうに限定されておる。そういうものがもうこちらは誰でもやる。そういうことは手金が要らんから誰でもやれるのです。運動を十分やりさえすれば、それぞれ了解を得てやりさえすれば手金なしでやれる。勿論それは増資をして旧債を返しておるということもあるでしようが、併し政府資金に関する限りは減債よりも元加額のほうが多くなつて、現在の融資残は当初貸付高より多い、そういうよう状態であるから誰でもやれるのです。整理がむずかしくなつて来るので、どうしても整理統合ということをやらなければならんでしようし、そういうことには、今度の十次造船をやる場合においては、少くとも手金を作らせる。今のよう造船会社においては誰が金を出すかということもあるでしようが、これは一つのブレーキをかけるということによつて、真に実力を持つた者にやらせるならばやらせる。そうしないと、又一遍に締切つて、九次において三十万トンの船を、前期、後期というふうに分けて、ばつと募集をする。だから競争意識で、あれがやるなら俺もやろう、こういうことになつて、下らん運動なりが行われることになるのではないか。だからいろいろ造船審議会等で建造許可基準等もできておるのならば、その基準に合つたものは取上げて行く、それに更に今の手金のよう条件を加味して、その条件に適つたものから逐次許して行くということにやるならば、二十万トンなら二十万トンという船を一年に造るなら一年に造ればいいわけですから、そう一遍に締切つて云云する必要はないのじやないか。その点は如何でしようか。
  107. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 今のお話の悪平等になつていたのではないかというようなことは、これは私どもも、何かオペレーター中心で系統立ててその流れに沿うたものだけをやる。そのほかはトランパーならトランパーが必要ならば、どれだけをそれに必要な場合は交じえるというような線に考えて行くという心持ちはあつたわけでございます。且つ、数日前、先輩連中に話をしたときに聞いたのでありますが、この前の船舶合理化審議会の済んだあとでありましたか、もう今までのは船をどんどん拵えなければならんという一本で我々も進んで来たが、もうこの次ぐらいから、系統立ててと申しますか、少し今あなたのおつしやつたように、悪平等に陥らぬような行き方においての線を考うべきじやないかというような話が出ておつた。それを考えるべきときに来たのではないかというような話などもございました。私ども傾聴をいたしておるわけでございます。それから企業整備問題は、これは昨年の九次の後期をやりまするときに、小林総裁と私と最後に、いろいろ今後どうするか、まあこれは来年も第十次船というものをやる場合、若し今のよう状態で行くと、だんだん担保力というものも各社とも減つて行くわけです。それに対して一体どうするかというような話合いを前からもちよくちよくしたのでありますが、是非企業整備という方面に力を入れて行こうじやないかというような話などが出ました。私はこれが遂行し得る一番大きな力は市中銀行だ。実は推進力のあるのは市中銀行であろう。これが一番金を貸しておる主体である。実情を一番よく知つておる人たちだろう。こういう人たちが押してくれて、どこと、どことやるか、私どもにはわかりませんから、そういうところから尻押しをしてもらう。私どもは表から声をかけるということで行こうと思いまして、業者にその後集まつてもらいまして、昨年の秋でございましたか、集まつてもらつて、どうしてもこういうような線に沿つて行かなければ、この次は、今年船を拵えたところで来年は力がなくなつて来ても困るだろう、そういうことを考えて是非やつてもらいたい、特にオペレーターに対しましては非常に各地で無駄な競争が起つておるように我々は見られます。それには、商売上のいろいろな駈引もあるだろうけれども、これから我々のほうの利子補給を受ける、損失補償を受ける船会社としては、こういう問題について世界各国との競争もあるが、それを頭に入れながら是非これは一つちやんとするように話を進めてもらいたいということで、少しずつ話は進みつつあつた状態なのであります。けれども、具体的には、それにはどことどこがなり得るだろうかということになりますると、数日前、業界の先輩諸君にしてもなかなかそれは簡単に行くまいが、オペレーターの各航路別になりまするいろいろな協調という線が一番先に出て来るのじやないか。それに伴いまして、或る郵船なら郵船、商船なら商船の流れのその傘下にありまする連中が、まあどういう形で一体になるというような力を認め、それを中心にして、できれば十次造船等も考慮したらどうだろうかというような等々の話も出ておるわけであります。私、十次造船がいつ頃にまあ実際に動き出すかわかりませんが、その前に、それではこの会社とこの会社と合併するというような具体的なところまでなかなかこれは実際にむずかしいのではないかと言いまするが、いずれにいたしましても、この企業整備のような形をとらなければ、もうお前さんのところの力では駄目だということが、開銀なら開銀が調べまして駄目だということになると、そこにはもう船をこしらえたくても行き得ないことになるわけであります。そういう線から、いわゆる銀行のほうの力から押して行けば進み得るやつも多く出て来る、少し恰好をつけられるのじやないかと、そういうふうな線で進んで行きたいと思つております。  それからもう一つの、一時にやらないで、その注文があり次第、その資格を得て、例えば金なら金を用意して持つて来たものからやつたらどうか、これは見方であります。ところが、私ども、この前のときに、あんまりたくさん出そうなようでありましたから、実際上に金が市中銀行からの三割というものが確かに自分たちのところでできるのだというものだけに申込ませようと思いまして、初めのときに、その銀行融資確約書を持つて来い、それを銀行から出してくれんか、出してくれたところが先ず候補者になるということにしたいということで話合つたのでございましたが、これは市中はどうしてもこれはできない。それは、まあ或る船会社は、造船がもらえるかもわからん。或いはもらえぬかもわからない。それにどれにでも確約々々と言つて出すわけに行かんし、そうかと言つてボーダーラインにあるところの者に非常に気まずいものが起ると言いますか、最後にきまつたところで以て融資を必ずいたしますからというようなことで、できなかつたというような実際上の問題もあるのでございます。併し、おつしやるような趣旨は、特に一時にやらないで、力のできるものからやつたらというお話の線は、私どもこの次の問題の一つの問題として考えておるところでございます。
  108. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今問題になつておりまする造船の疑獄容疑の問題につきまして、これは大蔵委員会といたしましては、国の財政資金で賄われておる開銀資金が、低利で、普通考えられない、まあ一般の市中の金利水準と比較して非常な低利で融資されておる。従いまして、海運業界はそれだけのまあ一応国の援助を受けている。こういうことになるわけですが、その援助を受けた会社は、援助に乗じまして、或いはこの援助を受けるべく金品の贈賄を行なつたということになりましたならば、まさに結局廻り廻つて国民の税金を食つた、こういう結果になると思うのであります。従いまして、今、造船疑獄その他もろもろの汚職事件に対しましては、国民の汚職問題に対しまする憤激というものは、これは非常にもうどこへ参りましても、電車の中でも或いは風呂の中でも話が少しはずむと、この疑獄問題になる。で、こういうのは、これはもう我々は率直に認めなければならんと思うのであります。従いまして、開銀資金を使う場合におきましては、それだけに、普通の市中銀行から借入れるのとは大分性格も違うのでありまするからして、借りたものは良心的にこいつを使わなければならんと思うのであります。にもかかわりませず、最近いろいろの点から容疑者が出まして、そうしてすでにあなたの監督下にある一番大事な部下であつた官房長が引張られて、この間も海運局長の岡田君が来まして、ああいう新聞の記事なんかは僕らは憤慨している、こう言つてつて、これは海運局は私は大丈夫だろうと思つておりましたところ、もう二、三日経つと土屋課長が引張られたということで、この間はああいううまいことを言つていたが、これはどこまで行くか知れない、こういう疑惑を我々も持たざるを得ない。こうなつて来ると、而も要素もそういう要素があるわけでありますが、こんな事件を起した運輸大臣は、このまま何と言いましても一番の責任者だと思うのであります。これに対しましてあなたは、こういうような事件がどんどんと起きて行くけれども、今まで起きた事件に対しましてどのよう責任を感じているのか。それから今後どういう処置をしようと思つているか。それが今後の開銀資金を殖やすか殖やさぬかという法律がこの委員会に上つたときに、やはり論議の対象になると思いますので、一つあなたはどういうふうに責任を感じて、これは運輸省は窮境に追い込まれていると思いますが、そういうときにどういうふうに対処して行こうと考えておられるのか、一つ御所見を伺いたいと思います。
  109. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 部下の一人が先頃起訴されました。又、昨日一人容疑者として引張られているのでございます。実際に岡田局長がどういう返事をしたか知りませんが、私ども一番最初の問題が起つたときも、本当に寝耳に水の感じでございましたし、もうここいらでお終いかと思うておつて、どういうふうの調べか、内情というものは全然今度はわかりませんが、勿論調べを受けているというようなこと等は誠に残念且つ遺憾でございます。私といたしまして、これらの問題に対処いたしまして、運輸大臣としてどうあるべきかという問題は、先頃から私は至るところでお答えいたしているのでございますが、私が運輸大臣の職にありまして、その部下に思わしからざる行動をする者があるとすれば、これに対しての責任は当然私にあるわけでございます。如何なる責任をとるかというところが問題だと思うのでございます。私は運輸省に、こういう問題が起つたにつきまして、直ちにどうこうという人事の異動等は、直ぐは、何かわからない間はできないのでございますが、起訴されたという問題になりますると、それから先、有罪になるか無罪になるか、これは別問題といたしまして、運輸行政の仕事の上に長い間欠席者を置くことは困るのでございますからして、壺井君の場合は、御承知ように後任者を置き、壺井君は休職ということにしたわけでございます。あとの問題についてはまだ何も勿論考えていないわけでございます。そうして私としては、運輸省の仕事は一体何をすることだという、運輸行政の本体の仕事を手の付かんよう状態になさないで、皆がこの運輸省の運輸行政の仕事に一生懸命残つておる連中がやりますように、私は引締めて指導して行つて、運輸行政の実を上げて行くことが、私の現在においては一番大事な仕事だと、こういうふうに思つておるわけでございます。例えば船舶の問題にいたしましても、今、第十次造船というものを目の前に控えまして、何もせずにうろうろしていることのないように、それぞれの部課の責任者を指導いたしまして、この仕事の実際的に運ぶような途を怠らないように、怠慢にならないように、手遅れにならないようにやつて行くことが、私の現在の責任だと、こう思つております。
  110. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 開発銀行融資割当については、飽くまでも開銀の中立性を守るということを、開銀総裁はここで先ほど言明して帰つたのでありますが、ところが巷間今起つておる問題というのは、この海運の融資を、開銀事務当局或いは総裁、役員会等は正しく判定をして、融資するかしないかという決定をすると思うのだが、これに対してはいろいろと開銀のほうへも運動もあり、政治的な圧力はない、こういうことを開銀総裁言つてつたのですが、結局有田君の引張られた容疑にいたしましても、今容疑線上に浮んでいるといつて報ぜられているのも、ただ紙の上で申請書を出しておいたくらいではなかなか実際問題として割当が来ない。いかに優秀な船主といえどもその割当がもらえん。そこで止むを得ず代議士に頼んで、或いは政党に頼んで、これに頼み料を出して運動をする場合によつてはこの担当官に対しまして金品の贈与をやつたり、或いは待合その他に招待をして、御馳走政策でこれをこちらに廻してもらうように頼む。こういうことが行われた。こういうのが容疑線上に上つている容疑の事実なのでありますが、従いまして、ここでお尋ねしたいのは、そういう運動が事実行われたものかどうか。まあ開銀のほうへは盛んに行われた。併しはねつけた。こう言つておるのでありますが、あなたのほうでもそういう運動が事実行われたものかどうか。この点を一つお聞きしておきたいのであります。  次に第二点としては、そういう運動に動かされて、そしてこれが曲げられるようなことが、あなたのほうの考えていることよりも曲げなければならんというような事態が今まであつたのかどうか。事実があつたのかどうかという点をお伺いしたい。
  111. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 開銀融資の面というほうで小林君が答えたと同じようなことが私どものほうも言えると思うのであります。たくさんの船でございます。船会社もそれから造船所も、造船所は余りなかつたと思いますが、船会社が自分のところはこういう立派なものである、こういうのだというようないろいろな説明書を、いろいろな人が持つて来て説明を加えたのもありまするし、いろいろな注文も聞きました。一例を挙げますれば、例えば造船所側の注文の例といたしますると、元の軍工廠の跡などが、各地で、私はこれはちよつと驚いたのでありますが、土地の市長さんだとか市会の関係の人とか、これは社会問題にも関係するからというようなことで、非常に熱心に、自分たちのほうにも船が来るようにと、漫然としてでありますが、そういう希望を前からもちよくちよく聞いておつたようなこともあります。併し私どもが言い得ますことは、仮にそのたくさん見えたであろう人たちの、船会社にしても、造船所にしても、土地の人たちにしても、そういう人たちが一人でも来たかつた場合と来た場合とを考えましても、私どものきめましたこの決定というものがそれによつてつた、又変り得るということは、私ども考えられないことだと思うのであります。これはもう事務的にずつと築き上げまして、そうしてこれを開銀と私のほうの事務当局で持寄りまして、そこできめられましたものでありまして、皆公開のところで、たくさんの人が、開銀も恐らくたくさんの人が関与したと思うのであります。私のほうもたくさんの人がこれに関与しまして、いろいろなデータを集めまして順位をきめるというよう状態でありまして、そういう御心配は私のほうにもなかつたのであります。
  112. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 一応そういうお話がありますと、又運動がありましても、これは運動があつた場合には、この実情をお聴きになつて、斟酌すべきものは斟酌されていいと思うのでありますが、その間にいわゆる変な取引さえなければ私は結構だと思うのです。大いに運動をやるべきであつて、ついでに来たときに、あなたのとろに来て船をもらいたいということは結構だと思いますが、それが全然ないというお話でございましたが、過日の衆議院の予算委員会で、我々は新聞やラジオを聴き、ニユース映画まで見まして誠に奇怪に思いましたのは、改進党の中曽根康弘君が、政治的生命を賭けてここで発言をするんだと、こういう前提の下に、有田君からあなたと大野国務大臣に百万円ずつ金が渡つている、そのことで、一旦この開銀でも相当異議があつた東西汽船の融資に対して、その決定が覆えされて、結局、東西汽船のほうも割当を受けることになつたのだというよう意味発言中曽根君がしたわけであります。これは非常に重大だと思うのであります。造船疑獄と一緒のよなケースで、ずつと前、大正時代でしたか、あのシーメンス事件があつたときに、山本権兵衛総理に向つて、貴族院議員で、あなたのような顔をしたのが刑務所へ行くとうようよいると言つて、その発言がひど過ぎたというようなことから、その貴族院議員はやめた。ところが山本権兵衛総理も憤慨して、あのときはと述懐しておるが、なぐりたいと思つた、結局、総理という立場考えて、じつとこらえておつたということで、結局山本内閣も総辞職したのでありますが、結局山本内閣にもそういう不正事件がなかつたということが今になつてわかつたのでありますが、これは新聞記事とよく似ていると思う。幸い自由党も怒つて中曽根君を懲罰にするということでありますから、自由党中曽根君を懲罰に付して、そして懲らしめるであろう、若しもあなたの言うことが正しいということであるならば懲らしめるであろうと思う。従つて中曽根君が言うたことが正しいか、それともあなたの言うたことが白であるか、両方共、白ということは言えないと思う。こちらが黒でこちらが白ということが言えると思う。そうすると、中曽根君が嘘を言つたか、あなたが白つぱくれたか、どちらかであろうと思いますが、これは必ず我々は中曽根君を懲罰に付して、自由党としての毅然たる態度をお示しになるだろうと考えておつたが、あなたの所属しておる党にしても、中曽根懲罰事件に対しては冷却期間を置こうという態度をおとりになつている。それから見ますと、国民の第三者から見ました場合は、どうもあれは臭いから強く中曽根君を追い得ないであろうというふうに常識的に思われます。これは石井さん、あなたは名前を出されたからどうしようもないというふうにお思いかも知れませんが、第三者が冷静に見た場合に、どちらかでなければ……、中曽根君を懲罰の動議にすべての事案に優先してやつて行かなければならんということになつておりますから、懲罰を一度出した以上……。ところが出しつ放しにして、そのままにしておるところを見ると、どうも自信もないというようにも思えないことはないのでありまして、こういうところから見ると、今あなたがそういう関係は全然なかつたんだと明言せられましても、これらから考えると、どうも国民には大きな疑惑を投げかけたことは争われない事実だと思われるのでありますが、これについては、あなたは国務大臣であると同時にやはり党員でありますが、党内においてもこれはどちらかにはつきりせられることが、重要なる職責にあつて、今度十次の造船一つつて行こうという気概を示される以上は、やはりその立場をはつきりとせられる必要があるのではないか。私はこういうよう考えるのですが、そうせんと、どうも疑惑に包まれたまま十次造船をやつて行くということになると、大きな問題を残しながら、国民の世論の反撃をこうむりながら、やつて来て、皆こわごわやつて行かなければならんということになつて行くと思うのですが、こういう点については、何か処置をとられるか。それともこのまま放つておくつもりか。そのときにつくづく私ら考えるのですが、国がずつと栄えて行くときには、国会議員が発言するときにも責任を持つて辞める覚悟で以つてやる。国務大臣もそういうことに対しては毅然たる態度を示す。ところが国が衰えて疑獄や汚職がうようよしておる時分には、どちらもまあまあといつたわけで、無責任発言をする機会があるのじやないか。この際に、その当時を顧みまして、一つ私はこういう大きな問題が出て来ているんだから、どちらにしましてもはつきりする必要があると、かよう考えるのですが、この点にについて大臣の御所見を承わりたいと思います。
  113. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私の一身上の問題についてのお話でありますが、私はあのとき申上げた通り、こういうものには、あのとき、私自身が一番よく知つておるんだ、私は受取つたことはないんだからこのくらい間違いないことはないということを申上げた通りのことを、私、今もその通りでございます。ただ扱いの問題は、私はどういうふうになるかという問題についてよくその話を聞かれました。私は党がこれを懲罰に廻した以上、これは党並びに国会が善処してくれることを私は期待して待つておるという以上のことは申上げることはないと思います。
  114. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、もう時間がございませんから一つだけ伺つておきたいのですが、今、船会社で戦後たくさん造船の割当を受けた会社がいろいろと捜査を受けたり或いは主要幹部が拘束をされております、逮捕されておりますが、従つて十次の割当を先ほどもやるんだと、こうおつしやいましたけれども、そのリベートがあつたとか或いは贈収賄の事実があつたとかなかつたとか、こういう問題が容疑線上に浮んで来ることは事実でありまして、国家機関がこれに対して追及のメスを入れているんでありますから、全然これについては何にもなかつたということも言い切ることはできない。又あつたと断定もできないことは事実だと思います。併し何らかの容疑があることは、これは疑うことはできない。そうしますと、これらの会社は、一応、国の財政資金でいろいろと利子補給或いは開銀の低利な融資を受けておるから、それをいいことにして、そうして交際費の濫費をやつたり、或いは贈収賄を行うということは、やはりこれは結局廻り廻つて税金を食つてしまうということが言い得ると思うのであります。従いまして、今後割当を受ける際には、一つの私は欠格条項になるのじやないか。そんな金があるならば、リベートされるような金があるならば、それだけ船価を安くしてもらえばいい。如何ですか。船価を安くすればいい。それから、今も言つておる通りに、あなたも小林総裁も、何か持つて来たからどうこうといつて動かされたようなことはない、こう言つておるのでありますし、そんな金を使う必要はないのであります。堂々と正式の書面を出して、意見があれば堂々とあなたの応接室で会つて、そうしてその意見を述べて置けばいい。それで通る。ここではつきり国会の席上で、速記をつけてあなたも明言し、小林総裁も明言しておるにもかかわらず、余分な金を使つたということになりましたならば、こんな金があるならば、開銀へ利子を払う、そういう会社でまだ払うべき金を払つていないのもある。利子も払つていないところもあると思う。滞りになつておるところがあります。そういう会社も事実ある。今調べられている会社で、我々は考課表とそれから開銀の残高を見たのでありますが、払うべき利子さえも払つていないにもかかわらず、今度はそういう方面に金を使つておるということになつたら、これはもうはつきり申上げまして国民の敵だ。折角の血税をこれに廻して、そうして国の、あなたの言われるような要請に応えて造船をやらそうといつて廻した金が濫費をされたということになるのでありますから、これはそういう徳義上の面から言つても、経営者として私は不適格だとお思うのであります。若しも十次の割当をされる場合に、仮にそういうのが事実起訴をされまして、そうして公判に付せられる、公判中であつて白とも黒ともわからないというようなときに、十次の割当をしなければならんという事態になつて、申請書はそれらの会社からも仮に出て来たという場合には、当然これらは、一応この十次だけは、少くとも公判の結着がつくまでは割当をすることを遠慮して、それらの容疑のないところに割当てるというよう配慮をされるのが当然だと思いますが、飯野海運が捜査を受けたのでありますが、飯野海運に対しまして又二隻ぐらいの割当をするということになれば、今度の割当については新聞も相当神経過敏になつておりますから、どこへどれだけ行つたかということをすぐ発表する。その翌日に公判が開かれまして、飯野社長が仮に裁かれておるというような事態が国民に与える影響というものは、そんなものはどうでもいいのだ、船さえこしらえればいいのだと言うならば別でありますが、私はそうは行かない。やはり社会の輿論、国民輿論というものを十分考慮した上で、やはり推進されなければならんと思うのでありますが、そういう事実に直面することは今度は事実あり得ることだと思う。全然ないとは私は言えんと思う。そんなものは、そういう事実はないとは言えない。今の動きから見まして、そういうふうになつた場合に、一体運輸大臣はどう裁くかということを、はつきりとここで御答弁を承わりたい。
  115. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 汚職の会社があつて、それが、十次造船を仮に申し出て来るというような場合にどうするかということでございますが、そのときの丁度私どもが起訴されたかどうかという状態、その大よその様子はわかるわけでございます。そういう場合に、今おつしやつたような心持を以て見る場合に、何でもそんなものは別だ、船さえ造ればよろしいのだ、大きい会社だから造らしておく、今までと同じようでいいのだというわけに行くまいと思います。そのときの情勢を私どもはよく判断をいたしまして、十分そういう場合に処しての政府のとるべき態度というものはかくあるべしということを、はつきり示したいと思つております。
  116. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 政府の態度をはつきり示すというのは、信賞必罰だ、やはり悪いことをやつた場合には或る程度懲罰と言いますか、制裁と言いますか、行政的な意味の制裁というものも受けるべきものだ、こういう毅然たる態度をお示しになるか。それとも、そういう会社にでも又いろいろの理窟をつけまして、そうして融資をするということになつたら、いよいよ臭いということになるのでありますが、その点は、はつきりするつもりでおられるか。運輸大臣としては、少くとも政府部内において、あなたは政府のほうであとできめるというのですから、これはあとできめられるなら、運輸大臣として覚悟をきめておかなければ、こういう問題に直面しておるのだから、事後処理というもの、善後処理というものはあなたの重大なる責任だと思う。どういうつもりでおられるのか。
  117. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) あなた方の前で、そんな馬鹿げたことがあるかとあなた方から叱られないような方法をとりたいと思つております。
  118. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会