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政府委員(
渡辺喜久造君) 最初に申告
所得税のほうが
減税にもかかわらず前年に比べての絶対額が五億七千三百万円殖えている。この点についてはこういう点を申上げたいと思います。二十八年度の予算は、これは補正予算後の予算でございますが、これは農業における
災害或いは九州等における
相当の風水害といつたようなものを一応考えましたために、当初予算に比べて四十億、一応申告
所得税ではマイナスにな
つております。その点がまあ今度は少くとも先ず以て今年の予算を見積るときにおきましては、そうした
災害を受けた、これはまあ毎年或る程度の
災害はあるわけでございますが、昨年は特に大きな
災害があつた。そういう特に大きな
災害をここで見積る必要はないのではないかという点が、先ず第一に当初予算におきまして、最初の
減税前の予算におきまして、この申告
所得税が
相当先ず以て大きくふくらんでいるわけでございます。その後につきましては、この
説明にもございまするが、大体物価は或る程度下がるが、生産は大体基準年度に比べまして百五十億くらいで横這いして行くものだ、こういうふうに見積りまして、一応の数字を出したわけでございます。
それで
改正後との
関係になりますと、もう一つ申告
所得税の実はマイナスを打ち消すフアクターがあるのですが、それは事項別増減収額調べに書いてございますが、
事業税の引下げということがこれはまあ絶対額では約百億を超えるような……実はこの四ページを御覧願うとわかりますが、約百億を超える
事業税の実は引下げが片方で行われます。そういうふうになりますと、
事業税は現在
所得税の
必要経費で以て差引いておりますので、まあこの
必要経費がそれだけ減
つて来るということが、細かい計算にな
つていささか恐縮ですが、実は当然考えられるわけです。この分の引下げのはね返り等を要するに三十億増収に見ていいのじやないか。これは百億現実に
事業税が減りますから、そこでそういうふうな数字を見ているわけでございまして、かれこれ大きなフアクターとしましては、一つには本年度の、二十八年度の分におきましては、農業において冷凍害による減収、それから九州等における風水害による減といつたようなものを見て頂く、今度はそれを見なくても済む。それから増
減税の
関係におきましては、
事業税の
減税なかりせばこれはそうならんのですが、片方に百億
ちよつとの
事業税
減税による分がこの
所得税の増にはね返
つて来る。主としてこの二つでございますが、この二つの結果が最後の結論といたしまして、平年度と
改正後の今年度と比べますと、
相当の減になりますが、十一億ぐらいの減になりますが、前年度と比べまして五億七千三百万円の増収になる。この十一億という減が割合少いというのは、片方に
事業税の減収があるが故に、源泉
所得税におきましては
所得税の減がまるまるそこに出て来るわけでありますが、申告
所得税の
関係におきましては、これは特に営業
関係だけでございますが、そういうことがあるが故にプラス・マイナスの差引があるというのがこの数字の出て来たゆえんだと申上げていいと思います。
それから
法人税についてのお話がございましたが、我々もまあ
法人の業績というものがどういうふうに変化して行くかということについては
相当検討しておりますが、この点だけ特に御注意願いたいと思います。と申しまするのは、二十九年度の
歳入に入ります
法人税収入というのは、実は会社の決算が全部三月決算と九月決算だというふうに大きく言いますと、これは大部分でございますが、今年の三月決算の分と九月決算の分、これが二十九年度の
歳入に入
つて来るわけです。そうして三十年の三月に入ります決算の分は、これは三十年度の
歳入になるわけでございます。従いまして景気が或る程度下降傾向に今後行つたとします場合におきまして、二十九年度の
歳入に入
つて参りますものは、まだ下降傾向の始まり、それほど下降して行かない、最初の時期と、それから
ちよつと好景気に入りかけた時期、この分が
昭和二十九年に入
つて来るわけでありますが、三月の決算つきましてはいろいろ我我も調査されたものを調べておりますが、割合に会社の収益はそれほど悪くな
つていないという数字が出ているようでございますし、それこれ見て参りますと、まあこの見積りが特に楽観に過ぎているというふうに我々は考えなくともいいんじやないかと考えております。