運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1954-11-11 第19回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十九年十一月十一日(木曜日) 午前十時四十七分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
西郷吉之助
君
理事
藤野 繁雄君
土田國太郎
君
菊川
孝夫君
委員
青柳 秀夫君 木内 四郎君 白井 勇君 安井 謙君
杉山
昌作
君 豊田
雅孝
君 成瀬
幡治
君 野溝 勝君 森下 政一君 平林 太一君 国務大臣 大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
事務局側
常任委員会専門
員
木村常次郎
君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省銀行局長
河野 通一君
中小企業庁振興
部長
秋山 武夫君
参考人
東京銀行
常務取
締役
堀江
薫雄
君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
理事
の
補欠選任
の件 ○
参考人
の出頭に関する件 ○租税、
金融制度
及び
専売事業等
に関 する調査の件 (
外国為替銀行
の
業務状況
に関する 件) (年末
金融等
に関する件) ○
協同組合
による
保険事業
に関する法
律案
(
小林政夫
君発議)
—————————————
西郷吉之助
1
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは只今より
委員会
を開会いたします。 先ず、
最初
にお諮りいたしますが、今般
理事杉山昌作
君が都合により
理事
を辞任いたしたい旨の申出がございますので、この際、その辞任を許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西郷吉之助
2
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
理事
の
補欠
を互選いたしたいと思いますが、
後任理事
の指名は
委員長
にお任せ願いたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西郷吉之助
3
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
杉山理事
の代りに
土田國太郎
君を指名いたします。
—————————————
西郷吉之助
4
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 次にお諮りいたしますが、今明日
委員会
を開きますが、本日
外国為替銀行
として
発足
以来の
東京銀行
の
業務状況
につきまして、
東京銀行
の
常務取締役堀江薫雄
君、明日は
日本
輸出
入
銀行
の最近における
業務状況
につきまして、
同行
の副
総裁山際正道
君、又
菊川委員
から申出がございました
アルミニウム工業
の
外資導入
の問題につきまして、
アルミ産業危機打開全国労組同盟会長
の
宮崎米一
君、
日本軽金属株式会社取締役営業部長
の
山田雄吉
君、それぞれ以上の四君を今明日の
参考人
として
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西郷吉之助
5
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 御
異議
ないと認めます。
—————————————
西郷吉之助
6
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは本日は
最初
に
外国為替銀行
として
発足
以来の
東京銀行
の
業務状況
につきまして
意見
を聴取いたし、更に二番目には前
議会
の末期に
小林政夫
君が提出されました
協同組合
による
保険事業
に関する
法律案
というのがございますが、御
承知
のように、その他五件が本
委員会
の
継続審査
の
法案
にな
つて
おりまするが、この
小林
君
提案
の
協同組合
による
保険事業
に関する
法律案
だけは
参議院
の
先議
でございまして、
あと
の五件は衆議院の
先議
でございまするが、この本
院先議
のこの
法案
につきましては、
小林
君の
提案理由
の
説明
だけを聴取して前
国会
が終
つて
おりまするので、
皆様方
の御
参考
に供するために、この際、
政府当局側
の
意見
を聴取しておきたいと存じます。更にそれが終りましたら、本日は年末
金融
その他、
証券取引所
の
争議問題等
がございましたので、
大蔵大臣
の
出席
を求めて
意見
を聴取し、その上御質疑を願いたいと存じます。 それでは本日の
最初
の議題といたしまして、
外国為替銀行
として
発足
以来の
東京銀行
の
業務状況
につきまして、
同行常務取締役
の
堀江薫雄
君から御
意見
を聴取いたします。
堀江薫雄
7
○
参考人
(
堀江薫雄
君)
堀江
でございます。
最初
に
外国為替銀行
の
関係者
の一人といたしまして、又
外国為替専門銀行法案
をかねて私主唱しておりました一人といたしまして、この春、
外国為替銀行法
の御審議に当りまして、特に
参議院先議
で御審議頂きまして、この
参議院
の
大蔵委員会
の
委員各位
が示されました深い御
理解
と御
尽力
に対しまして、厚くこの
機会
に御礼を申上げたいと思います。
外国為替
と申しますと、
国内
の
要素
とそれから
海外
の
要素
と、両方必要にな
つて
参りますが、特に
日本
のような
経済力
において
劣勢国
であります国におきましては、特に
国内要因
よりか
国際要因
、
外国側
の要因がより重要にな
つて
来るわけでございまするが、この一年間における
世界経済
或いは
国際金融
の
動き
という点から申しますると、明らかに大きな変革が動いておるわけでございまして、そういう
意味
から申しまして、
外国為替銀行法
が前の
議会
に通過いたしまして、
東京銀行
もその
法律
に基いて、
外国為替専門銀行
になり得たということは、
世界経済
の
動き
や
國際為替
の大きな流れから申しまして、大変時期がよか
つた
。もう一年遅れますると、
世界
の
経済
の動向から
言つて
も、どうしても
日本
は遅れをとらざるを得なか
つたの
じやないかと痛感しておるものでございます。と申しまするのは、
米ソ
の対立もありまするが、今のような
平和状態
が暫く続くといたしますと、
世界経済
や
国際為替
の点から言いまして、明らかに
貿易
の
自由化
ということと、又これと
表裏関係
をなしておりまする
通貨
並びに
為替
の
交換性
とい
つた
問題か大きな
世界経済
の態勢にな
つて
流れておるようでございまして、先般九月にワシントンで開催されました
国際通貨基金会議
では、その
通貨交換性
のほうは少し
論議
から外れて、
貿易自由化
のほうが非常に
論議
になりましたが、その
意味
から多少
通貨
の
交換性
のほうは先へ延びた感じはいたすのでありまするけれども、併し
世界
の態勢として
英国
のポンド、
ドイツ
のマルク、オランダのギルダー、或いはベルギーのフラン、こうい
つた
通貨
が
自由交換性
をそのうち実現するとい
つた
ことは、すでに大勢でありまして、
英国
や
ドイツ
もその目的のために本年に入
つて
から
為替管理
を大幅に緩和いたして、その方向に進んでおりますし、又同じヨーロツパでも、多少
経済機構
その他に遅れをと
つて
おりまするフランスやイタリアのごときは、早く体制を準備して追いついて行かなければならんとい
つた
ような焦りもあるようでありまして、現在の
世界経済
の
客観情勢
が今のような
事情
で続きます限り、当初よりか多少時期は遅れますけれども、大体来年一ぱいぐらいには
交換性
の問題は、完全な
自由交換
でなくても、実現に入
つて
行く。そういたしますると、
貿易
や
為替
の面で
国際競争戦
というのははつきりと激化して参るわけであります。
為替相場
のごときも、昔の
自由為替
ではございませんが、多少幅を持
つて
動くとい
つた
事情
にな
つて
来るのは、はぼ明らかなようでございまするので、そうい
つた
国際貿易
並びに
国際為替戦
において、どうしても
経済
上
劣勢国
の側に立
つて
おりまする
日本
において、一切の、こうい
つた
専門銀行
がない限り、非常な不利をこうむらざるを得ない。まあそういう
意味
にきまして、前の
議会
でこの
法律
が
通り
、よりやくそうい
つた
準備が具体的にできたということは誠に有難いことでございまして、若しも一年遅れますといたしますると、
世界
のそうい
つた
大きな流れ、本流について行くには非常な困難を来たしたんじやないか。その
意味
におきまして先の
外国為替銀行法
の前
議会
における通過というのは非常に間かよか
つた
、間に
合つて
よか
つた
、意義の深いものだと思う次第でございます。 ちよつと初め長くなりましたが、そうい
つた
私は喜びを胸に含めながら、
委員長
のお話になりました
外国為替銀行法
に基いて
改組
をいたしました
外国為替銀行東京銀行
のその後の
改組
の
状況
と
業務
の実情、そうい
つた
ことを御報告いたしたいと思います。 先ず第一に
改組
の
状況
を簡単に申上げますると、御
承知
の
通り
、
外国為替銀行法
が
国会
を通過いたしましたのは本年の四月三日であります。これが公布施行せられましたのが四月十日、同じく
施行細則
が公布せられましたのが五月六日であります。
東京銀行
といたしましては、この
法律
の公布以後、具体的に
改組
の準備に着手したわけでありまするが、先ずこの
法律
の第九条に基く
国内店舗
の整備の問題であります。
大蔵当局
並びに日銀としましても、いろいろこの点についてお考えがありましたので、これらと協議の結果、五月の中旬に
国内
か四十五
店舗
、その当時
海外
が六
支店
でございましたのを、
国内
の四十五
店舗
中二十四
店舗残置
、二十一
店舗廃止
の
方針
をきめました。爾後二十一
店舗
の
譲渡先
の選定に移
つた
わけであります。この
譲渡
につきましては、
大蔵省
か
店舗行政
を非常に厳しくや
つて
おります
関係
上、
市中銀行
、地方
銀行
、又
信託銀行等
から是非とも
譲受けたい
という希望が殺倒いたしまして、我々は取捨選択に困難を来たしたわけでありますが、第一に
営業
の
譲渡
をできるだけ円滑に運びたいという点と、お客様に迷惑を掛けないという点と、又
店舗
の
譲渡
と共にその
銀行
へ
譲渡
する行員、人間をできるだけ待遇やその他将来について
東銀
にお
つた
ときと同じような状態にしてもらうとい
つた
こと、又最後に
大蔵省
の
店舗行政
からの要請とい
つた
点から判断すると、結局二十一
店舗
のうち六
店舗
を第一
銀行
、同じく六
店舗
を
三井銀行
、それから七
店舗
を
大和銀行
、それから
京都銀行大分銀行
とにそれぞれ一
支店
ずつの
配分譲渡
を決定いたしまして、六月上旬中にそれぞれ
営業
の
譲渡
、この中には
預金貸出
、
内地為替
とい
つた
常業譲渡基本契約
、それから動産、不動産とい
つた
ものの
譲渡
、それから人間の
譲渡
とい
つた
問題を取極めまして、七月の終りにこれを実行いたしましたわけであります。それから他方これと併行いたしまして、
外国為替
の
専門銀行
に転換するための法制的な手続即ち
大蔵当局
に対する内
免許申請
、続いて七月の二十七日に
東京銀行臨時株主総会
を開きまして、定款その他を新しく
為替銀行法
に基くように改訂をいたしました。これらを漸次
予定通り
のコースで進捗いたしまして、八月一日付を以て
外国為替銀行法
に基く免許を正式に頂いて、同日
外国為替専門
に
銀行
として
発足
いたした次第であります。 次に、この切換え、
改組
によ
業務規模
並びに
人員数
の変化その他でございます。ところで
東京銀行
が今度
改組
されて、具体的にどういう
業務
上その他の変化を見ましたかとい
つた
ことを概略申上げますと、第一に
預金
でありますが、閉鎖し
譲渡
いたしました二十一
支店
の
改相当
時における
預金
の
残高
が約七十五億でありまするか、
改組
のときだけから申しますと、この七十五億だけの
預金
でありますが、それだけを
東京銀行
は失
つた
わけでありまするが、実はこの七十五億という
数字
は二十一
支店
の
実力
から見ますと、遥かに低下してお
つたの
でありまして、今年の春以来、
東銀
が
為替専門銀行
な
つて店舗
を出するもという噂が出始めましてから、ほかの
銀行
の攻勢が激しくな
つたの
と、デフレその他の影響もありまして、遂に七十五億という
数字
に低下したのでありましたが、本年の初めには百三十億、三月末にはこの二十一店
合計
が百二十四億に
預金
が
上つて
お
つた
わけでありまして、
東京銀行
といたしましては、大体常時百二、三十億
程度
の
預金
を二十一
店舗
で持
つて
お
つた
。それが
改組
その他のいろいろな
事情
から
預金
が
減つて
お
つた
わけで、
実力
百二、三十億と言うことができたわけであります。ただ
営業譲渡
の際に、
債権債務
、即ち
預金
と
貸出
しとの
差額
は第一、三井、大和その他の譲受け
銀行
から
東京銀行
に引続き
預託金
として
残高
を残すという契約になりましたので、その
差額
か二十六億円ばかりは、これら五行から引続き
東京銀行
への
預金
として返
つて
来ております。これも本年の三月あたりですと、その
預金
と
貸出
しの
差額
が四十数億あ
つた
わけでありますが、先ほど申上げました
事情
で、大体二十六億円
程度
、それを日歩一銭六厘、一年間据置き、その後十二カ月間に
割賦弁済
とい
つた
ことで、一年十一ヶ月目に全部返済というようなことで、引続き二十六億円は当行に残
つて
おります。 それから
預金
の次に
貸出
しでありまするが、二十一
店舗
の
改組
時における
貸出
し
合計
は四十一億六千万円でありまして、これも
預金
と同様の
理由
で、最盛時六十二、三億ありましたのが、
改組
を前に控え大分整理いたしました
関係
上、四十一、二億
といつた程度
で、まあ
貸出
し
実力
も同じく六十二、三億であ
つた
かと思うのでありますが、この
貸出
しか他行へ
譲渡
されたわけであります。 次に収益でありますが、昨年の上半期及び下半期における二十一店舖の諸経費、
人件費
、
物件費
を差引いた二十一店の
純益合計
は大体八千九百万円又は八十六百万円とい
つた
、九千万円前後の
収益力
であ
つたの
でありまするが、二十一店の
預金量実力
百二、三十億としまして、その
運用益
が
年ニ分
の利鞘、平均
貸出
し率を年九分にいたしまして、
資金
及び経費をすべて加えたのが七分乃至六分五厘といたしますと、大ざつぱに申しまして、大体二十一
店舗
で九千万円乃至一億円の
収益力
を失な
つた
と見ていいかと思うのであります。 その次に第四としまして、人員の件であります。
改組
の際し先ほど申しました五
銀行
に対して
譲渡
いたしました
人員数
は総計で七百八十七名であります。
三井銀行
三百七十八名、第一
銀行
二百十八名、
大和銀行
二百三十九名その他で、計七百八十七名、それから
改組
を
機会
に
年輩者
の
自発的退職
がございましてこれが百九名、その他に
長期信用銀行
に
譲渡
転出いたしましたのが十三名で、全部で
改相当
時に行員数約四千人のうちから九百九名を他のほうへ転退職したわけでございます。その結果、
改組
直後における、八月一日における
東京銀行
の
現有勢力
といたしましては、次の
通り
であります。
内地店舗
が
東京
初め二十四
店舗
、主として
貿易
の
為替
のある土地であります。それから
外国店舗
がその当時
ロンドン
、
ニユーヨーク
、カラチ、
ボンベイ
、
カルカツタ
、香港、この六
支店
とそれからアメリカのカリフオルニアに
加州東京銀行
という
子銀行
を拵えております。そこにサンフランシスコ、ロスアンゼルスと二
店舗
、
合計外国店舗
が八
店舗
であります。それから八月一日現在の
預金総額
が四百八十九億八千万、それから
日本
における
外貨
の
預金
が七億五千万、
海外
における
預金
が五十六億五千万円、
合計
六百二十二億という
数字
であります。それに対しまして
貸出
のほうは、
内地
の
円貸出
が六百八十九億円、
内地
二十四店舖であります。
海外店
の
貸出
が二十一億八千万円、計七百十一億五千万円、こうい
つた
貸出
の
残高
にな
つて
おります。
人員数
が九百九名譲りました
あと
が、全部で小使から
運転手
その他全部入れまして
日本
人が三千二十五名とな
つて
おります。
外国
はそれぞれその土地のクラークを使
つて
おります。これが
合計
で百五十名くらいおります。なお、そのほかに
為替
の
取扱い関係
は、二十一店舖を他出行に
譲渡
いたしましたが、それによ
つて
の影響は殆んどございません。と申しまするのは、
外国為替
のありまする
地域
の
店舗
につきましては
譲渡
しなか
つた
点、それがないところは
内地店舗
としてはどんなに有力な
支店
でも
譲渡
した。例えば
東京都内
でも馬喰町、
上野支店
とい
つた
ようなものは
為替
がなくて
預金
が二十億、十五億
といつた店
でありましたが、
外国為替銀行法
に基いて
譲渡
をいたしましたわけでございまして、大体本年の一月当時におきまして、
日本
の全体の
為替取扱高
におきまして
東京銀行
は
輸出
において全体の二八%くらい、
輸入
においてこの月は特に
減つて
おりますが一五%くらいとい
つたの
が、九月は同じく
輸出
が二七%、
輸入
が一六%とい
つた
数字
にな
つて
おりまして、大体まあ
取扱い高
におきましては、
輸入
も
輸出
も圧倒的に第一位を占めておるわけであります。 次に、それでは今後
東京銀行
が
為替専門銀行
として引続きや
つて
行く場合に、どうい
つた
問題があるかという問題でございまするが、
外貨資金
の問題とそれに対応する円貨の
資金
の問題、又
外国店舗
をどうするかとい
つた
問題を今後の問題として簡単に申上げて御
参考
に供したいと思います。 その中、
外貨資金
の問題であります。これは八月一日に
為替専門銀行
に切り換えまして一カ月目の九月一日に正式に
大蔵大臣勘定
、いわゆる
モフ勘定
とい
つた
政府所有外貨
の
預託
を正式に受けました。その当時までは
政府外貨
は主として
英米
その他の
外国銀行
に大部分を
預託
してあ
つて
、それ以外極く少額を
日本
の
為替銀行
に
日本
からの
輸入信用状発行
と同時に、そうい
つた
外貨
で
所要資金
が具体的にはつきりしたときに、その都度
ケースケース預託
をされてお
つた
わけであります。それを一般的に九月一日から
東京銀行
に
外貨預託
が実行にな
つた
わけであります。従業ほその都度主義で一類、二類、三類と申しまして、例えば
輸出物資
の
海外
における
引取資金一類
、それから
証券投資
二類、それから
本邦側輸入
の
現地貸付金
、それが三類、こうい
つた
使途別
で、その都度その
ケースケース
で
預託
を受けてお
つたの
でありまするが、
東京銀行
に
限り外国銀行並み
に九月一日から預入れを受けたわけであります。で、
最初
に受けました
米貨
が千六百九十四万ドル、それから
英貨
が九十九万ポンドでございます。これが九月末には
東銀
の
外貨
による利用、
運用
もだんだん大きくなりましたので、そうい
つた
こともありまして、九月末にはドルでも
つて
二千五百二十五万ドル、それから
英貨
でも
つて
四百七万ポンドとい
つた
数字
に相成
つて
おります。十月末には大体
米貨
で二千四百万ドル、
英貨
のほうが少し殖えまして約四百三十万ポンドくらいにな
つて
おります。 なお、私どもといたしましては、将来の方向として、又
最初
に申しました
貿易
なり
為替
の
自由化
に備えまして、
政府
並びに
日本銀行
の所有する
外貨
はすべて
為替専門銀行
にだんだんと
預託
替えして頂きたい。
預託
を受けておりますと、
英国
でも米国でもそれぞれ
運用益
が入るわけであります。それを従来は主として
外国銀行
が
運用益
を収めてお
つたの
を、今後は
本邦
の
外貨資金運用
の
機動化
、
効率化
を図ると共に、
運用益
を
日本
の側に確保し、且つ
発足
いたしました
外国為替銀行
の
対外信用力
を
英国市場
、
米国市場
その他の
海外市場
において増強せしめるということも配慮して頂いて、だんだんそうい
つた
ことにして頂きたいと考えておる次第であります。又
国庫代理店
とい
つた
海外
の
制度
でございまするが、戦争以前は
ロンドン
、
ニューヨーク
が
国庫
の
支払元
にな
つて
おりましたので、そうい
つた
日本銀行国庫代理店
の
関係
が大きか
つたの
でありまするが、最近では
国庫代理店
と申しましても、外地における領事の
査証料
の収入とか
出生証明書
の手数料とかい
つた程度
のものしかございませんのでありますが、これも将来は昔のようにいわば
外貨
における
国庫支払い
とい
つた
ものが
制度
上できることを希望したいのであります。で、この問題につきましては、この
国会
でもたびたび
論議
があ
つた
ように記憶いたしておるのでありまするが、
外国為替銀行
が法制定されるに至りました直接の
理由
は、
本邦
の
為替銀行
が、岡内では別といたしまして、
海外
ではいずれも
信用力
も大してない、いわば
どんぐり
の
背比べ
であ
つて
、
国内
ではむやみに
国内
の
為替競争
といたしておりまするが、
海外
に対しては単に有利と思われる所だけに
支店
を出して、それから手数の余りかからないような仕事だけに狂奔するとい
つた
、まあ悪い
意味
の
自由競争
の弊がありまして、而もその数は
甲種為替銀行
十二行、乙種が二十行とい
つた
ような甚だしく多い
銀行
が、ただ
国内
での
どんぐり競争
をしてお
つて
、
海外
では甚だ貧弱だとい
つたの
を、これを
国際的水準
にまで達するような
為替銀行
を作
つて
行く、そうして
経済
上
劣勢国
である
日本
が、
国際競争市場
においてひけをとらないようにや
つて
行かなければならないとい
つた
ようなことで、
為替専門銀行
の問題も
国会
の御
理解
、
政府
の御
尽力
ということで実現したわけであります。従いまして私ども、
東京銀行
といたしましても、
国内
における
為替吸収競争
などには大して血道を挙げて競争するとい
つた
ことよりか、
日本
の普通の
為替銀行
がやり得ない、又でき得ないような
地域
に、主として
海外サイド
でありますが、人的にも
資本力
としても強力に発展いたしまして、
海外サイド
から
日本
の
貿易
の拡大とか
日本経済
の発展のために協力したい。そのためには例えば現在でも儲か
つて
おります
ロンドン
、
ニューヨーク
或いは
カルカツタ
、
ボンベイ
とい
つた
ような所だけでなしに、
日本
の
貿易
上必要ならば、例えばアフリカのモンバサとか或いは南米或いはメキシコとい
つた
ような
地域
にも
支店
を出しまして、外側から
日本
の
貿易
や
為替
のために寄与したいとい
つた
ような
方針
に努力いたしておりますので、こうい
つた
点から申しましても、そうい
つた
構造上の問題以外に、
外貨
の
預託
とい
つた
問題を重点的に
為替専門銀行
に
預託
し、以て
英米
その他の
市場
における
信用力
をつけ、将来何かの場合に
日本
の
外貨
が枯渇したときには、逆にその
信用力
にものをいわせ、又
日本
の
為替手形
をできるだけ
質ぐさとして
、
ロンドン市場
、
ニユーヨーク市場
で
外貨
の
金融
を図る、いわばこちら側が借入れて行くとい
つた
ようなことに努力をし、そうい
つた
ことができるようなふうに、一つできるだけ持
つて
行き、又行かして頂きたいというふうに考えておるわけであります。多少手前味噌の感もありますけれども、
為替専門銀行
というのは
海外
に
支店網
を持ち、又練達の人材を擁して、これが
運用能力
を、
外貨
の
運用能力
を持
つて
おりますと共に、
外国為替銀行法
の条文からしましても
政府
は為専の、
為替銀行
の
人的構成
、特にその
経営陣
については強
発言権
を持つ建前にな
つて
おりまして、必要とあらば、
銀行
の
監理官
を置くことも考えられるのでありまして、
政府
並びに
中央銀行当局
は
外国為替専門銀行
の
経営自体
に強い
発言権
と
監督権
とを確立しておるのでありますから、こうした監督の強化があるかろい
つた
ことも実行されたわけでありますが、
政府
としても一層に一方では慎重に厳重に
指導監督
を行うと共に、
外貨預託
の重点的な預け替えとい
つた
問題を実現して頂きまして、従年の
正金銀行
が
海外市場
で活躍し、国の、
外貨
の
運用
上非常な益を
日本
のために挙げてお
つた
とい
つた
ようなことにして頂きたいものと熱望する次第でもります。 次に
円資金
の問題であります。
預金獲得
のために最も重要な
要素
でありますところの
国内
の
支店網
を二十一
店舗
を減じましたことと、それから
外国為替専門銀行法
に基きまして、純粋に
国内的性格
の
貸出
しにつきましては、将来だんだん少くして行く制限を加えて行くとい
つた
ようなことにな
つて
おりますので、
預金
の吸収につきましては、大きなブレーキがかか
つた
ことは申すまでもありません。先ほど申しましたように、
譲渡改相当
時に
預金
が
減つた
ほかに、いわば
預金
を殖やし得る点について制約を受けた点もあるわけでございまして、現在の二十四
店舗
による八月一日の
預金残高
は四百八十億円でありまするが、このうちいろいろな必要な
預け金
、現金とい
つた
ものを、まあ普通、
銀行
の常識からい
つて
、別途いたしますと、
ネツト稼働資金量
は大体三百五、六十億円ぐらいでありまするが、その
預金資金
に対しまして、
前期
四月から九月までの実績によりますると、どうい
つた
ほうに
資金
が使われてお
つて
、
貸出
がどういう
平均残高
にな
つて
おるかと申しますと、
輸出関係資金
で以て百二十億ばかし、それから
輸入関係資金
で以て二百二十億ばかし、それから
国内関係
の
貸出
が二百九十億、それからその他に
為替運用資金
とい
つた
ものがございまして、大体
前期
中平均の
貸出資金
が約七百二十億とい
つた
くらいの必要を示しております。それから
前期
の
通り現金
その他
必要資金
を差引いた
稼働資金
三百五十億円とい
つた
ものの
差額
三百六十億円というものは他の
銀行
からの
預り金
乃至
日本銀行
からの借入金とい
つた
勘定とな
つて
おります。ただ、
前期
は
政府
の
輸入
引締め
方針
、それから
当行自身
の切替その他による自制或いは
業務
の制限というものがございましたので、
為替
取扱量は大して変
つて
おりませんが
貸出
その他につきましてはいろいろな
意味
で消極的にならざるを得なか
つた
わけでございまして、将来につきましては、実績以上に
為替
関係
、
貿易
関係
資金
が必要にな
つて
来るという次第でありまして、当行といたしましては、折角に使命を帯びて
外国為替銀行
となりました以上、終極的には
日本
の
為替
取扱量の全国の四〇%ぐらいを確保しなければ、
当行自身
の採算というよりも、むしろ将来各国の
為替
が漸く
自由化
に向わんとする折から、
日本
の
為替
政策その他に応じて
日本
の円を中心にして円
為替
市場
をリードするに足る
実力
を持ち得ないということに相成りまするので、少くとも全体の四割
程度
を目標にして実現を図
つて
行きたいと考えておる次第でありまして、こういう目標の下に我々としましては差当りの実行目標として現在の二七、八%の
輸出
を三五%ぐらい、それから一六、七%でありまする
輸入
のほうを大体三〇%ぐらいの計画を立てて、あらゆる努力を傾けて行きたいと思
つて
おります。又すでにそうい
つた
方向で努力しておるのでありますが、
輸出
のほうの三五%は、これは御
承知
の
通り
比較的
円資金
が要らないで
為替
が吸収できますので、これも実は併し
東京銀行
へ来るのは中小以下——大商社、中商社、小商社、特に中商社は殆んど全部当
銀行
へ来るわけであります。これには手数がかか
つて
うまみが少いという点もあるわけでありまして、他の
銀行
にはまとま
つた
大きいのが行くとい
つた
事情
もあるのでありますが、
輸出
について差当りの目標三五%を実現するのは大した困難なくてできると思
つて
おるのでありまするが、輸人のほうは
輸入
資金
について、はね返りの
円資金
又それに続く
国内
の清算
資金
、
円資金
が必要にな
つて
来まするので、
輸入
のほうは他
銀行
との
関係
もあ
つて
、
円資金
を他
銀行
に押付けて
為替
だけとるとい
つたの
もなかなかむずかしいわけでありまするが、私どもといたしましては
外貨
表示期間後せいぜいニカ月乃至ニカ月半くらいの円貨を面倒を見る、
あと
は純
国内
資金
として自己
資金
又は他の
資金
でや
つて
頂くとい
つた
ようなことで、引続きや
つて
行きたいと思
つて
おるのでありまするが、併しそのニカ月乃至ニカ月半の引取
資金
その他はね返り
資金
を調達するにつきましても、
資金
の必要は甚だ重要なんでありまするが、併し
最初
申しましたように、
預金
の一番重要な
要素
でありまする
国内
支店
を半減いたしまして、それも主として
貿易
や
為替
のサービスのために
貿易
地にのみ
支店
が残りました
関係
上、ネツト
預金
を吸収する
支店網
を失
つた
という点から、なかなか自己
資金
を作るのはむずかしいわけでありまするので、
円資金
の調達については甚だ頭を悩ましておるわけでございます。その後、
大蔵当局
並びに
日本銀行
とも折衝をいたしまして、極力円滑に
貿易
資金
の中の
円資金
について御配慮を願いたいということで、目下まだ折衝中であります。この問題につきましては、
外国為替銀行法
の成立過程におきましても、いろいろと
国会
でも
論議
になりましたような次第でありまして、為専法成立当初から予想せられました難点でありまして、衆議院のほうは、附帯決議といたしまして
為替専門銀行
については、
外貨資金
の重点的
預託
並びに低利の
円資金
を供給しろという附帯決議が付きましたわけで、
外貨資金
につきましては、先ほど御説明いたしましたように、すでに
制度
ができまして徐々に必要に応じて重点的に
預託
が実行中であります。
円資金
につきましては窓口が単に
大蔵省
でなくて
日本銀行
とい
つた
関係
でございまして、日銀当局の態度は頗る協調的
理解
をしておられるのでありまするが、未だはつきりとした
制度
化をしていないという実情でありまするが、
貿易
発展のために、この問題を順調に実行して行きたいというふうに考えております。 それからその次に
海外
支店
の問題であります。現在
海外
の
支店
は先ほど申上げましたように
ニユーヨーク
、
ロンドン
、カラチ、
カルカツタ
、
ボンベイ
、香港の六
支店
でございます。そのほかに加州
東銀
のサンフランシスコ、ロスアンジエルスの八
店舗
でありますが、九月末決算におきまして、このうち
ニユーヨーク
、
ロンドン
、
カルカツタ
それから香港それとロスアンジエルスが漸く黒字を出しました。その他カラチ、
ボンベイ
、カルホルニアのサンフランシスコとい
つた
ものは、かなり大きな赤字でございまするが、合せまして総合的には約円にしまして二百万円ばかしの黒字にな
つて
おる。ただ御
承知
の
通り
海外
各地も
英国
のごときは約六割の法人税、事業税、アメリカでやはり利益の中から四割八分ばかし税金がとられるわけでございまして、できるだけ
海外
の利益は
日本
のために先ほど申上げましたように犠牲的に
日本
の
貿易
拡大のために必要な要地に
支店
を開いて行きたいというふうに考えております。この八
店舗
のほかに来たる十二月一日からハンブルグ
支店
を開設いたす予定にな
つて
、
日本
の
大蔵省
は勿論でありまするが、西独当局から開設許可を頂いております。その次にアフリカ及び中近東との
貿易
促進をもかねまして、エジプトのアレキサンドリアに来年早々
支店
を開設すべく只今のところ駐在員を派遣して事務を始めておりまするが、早ければ来年の春開店の運びになるかと予定いたしております。なおこのほか現在
日本
と
貿易
関係
の深い各地区に駐在員を設置しておりまするのは、駐在員、事務所がありまする
地域
は、フイリピンのマニラ、それからタイのバンコツク、ビルマのラングーン、南米でブラジルのリオデジヤネイロ、アルゼンチンのブエノスアイレス、それからシンガポールの六カ所でありまして、今ちよつと欠員にな
つて
おりますのはスイスのチユーリツヒ、そうい
つた
七カ所に駐在員の設置をいたしておりまするが、近くカナダのトロントに先方の了解を得まして事務所ができまして、駐在員事務所が開設することにな
つて
、駐在員が近く出発することに相成
つて
おります。更に将来の計画といたしましては、これ又
日本
の
貿易
拡大に資するという見地と、できれば
ロンドン
資金
、
ニユーヨーク
資金
をそのうちで以て
日本
のために有利に
運用
できるとい
つた
ような点と、それからできれば
日本
の商社が将来続いてこの地で
貿易
ができるように発展できるようなという配慮から、将来インドネシアのジヤカルタ、濠洲のシドニー、メキシコ等にも駐在員事務所乃至
支店
を開設すべく検討中でありまするが、これらの中にはその国の
制度
や戦後の民族主義的な傾向や、或いは賠償問題未解決等のために
支店
開設にまで至る見通しが極めて困難なものがございます。マニラはもうすでに長く駐在員がおるのでありますが、賠償問題の紆余曲折のために
支店
の開設までなかなか実現しおりません。又ジヤカルタ、スラバヤとい
つた
インドネシアでは、政局が頗る不安定なのと非常なインフレーシヨンでなかなか手がつかない。又濠洲では正金時代にありましたが、
海外
支店
の設置について頗る禁止的態度をと
つて
おるので、これにも時間がかかるということに相成りまするので、そうい
つた
計画や努力をいたしておりまするが、そういう
事情
から一挙に理想的な
海外
支店網
を完成することはむずかしいのでありますが、何と申しましても
海外
支店網
の確立は
為替銀行
の基礎工事でありまするほかに、
最初
申しましたように
世界
の
経済
や
国際金融
が
自由化
、流動化の方向に向いますると、この
支店網
があ
つて
、
業務
のほか情報の迅速とい
つた
ことが実現することによりまして、
貿易
や
為替
が有利にな
つて
来るとい
つた
問題もございまするので、引続いて先ほども申上げましたような
方針
に基きまして、
東京銀行
の
海外
支店網
の実現を期して行きたいと考えております。
海外
支店
の問題につきましては、
外国為替銀行法
が通過する過程におきまして、
国会
の
論議
におきましても、
日本
との
貿易
において重要な
地域
に而も
外国為替専門銀行
に優先的に
支店
を出させる。場合によれば必ずしも採算ベースによらなくても、
日本
の
貿易
拡大のために犠牲的に出させるとい
つた
ような御
方針
でもありまするので、一方で、先ほど申しましたように利益を挙げております
海外
支店
の利益、そうい
つた
ものを見合いに立てまして、極力国策の線に沿
つて
海外
支店
を出して行きたい。そのためには一つの
市場
で
日本
の
銀行
が一つしか成立し得ない、そろばんが取れないとい
つた
ところには、引続き
東京銀行
を優先的に出して頂くということをお願いいたしまして、それらが大体現在御
承知
の
通り
満洲、中国が閉鎖されておりまするので、それ以外の
地域
で大体
支店
が十七、八駐在員事務所が六、七ということに相成りますると、この自由
世界
における
世界
資易に
国際金融
とい
つた
ことでほぼ他の
英米
の一流
為替銀行
と伍して、情報網でも或いは
為替
の操作の面でも遅れを取らない
支店網
が結成できて、
海外
の
信用力
或いは活動力とい
つた
ものが殆んど充実するのじやなかろうか、そうい
つた
目標で現在折角努力中でございます。 以上
為替専門銀行
への
改組
の現況から
海外
支店
問題に至りますまで、極く概略でございますが、
大蔵委員会
の
委員各位
の御
参考
になると思われます点、乃至従来問題でもあり、将来も又問題として残るとい
つた
諸問題を一応取上げまして、現状を報告いたしましたのでございますが、これを要するに、
為替専門銀行
は去る八月に漸く呱々の声を上げて未だ三カ月でございまして、まだ乳呑児の段階にあるかと思うのであります。いろいろの問題や、又弱点をも持
つて
生れて参
つた
ために、例えば赤ん坊で申しますると、生れた時が標準八百五十匁としますと、
円資金
の解決その他そうい
つた
弱点を考え合わせますと、
東京銀行
為替専門銀行
としての同銀は、誕生当時は先ず六百五十匁七百匁ぐらいで生れたのじやないかと思うのでありますが、この小さく生んだ子を大きく育てて行くとい
つた
ことが、
銀行
自身の問題としても、又
日本
の
貿易
立国を国是としている国是乃至国策に副うゆえんでもあるということから、今後の育成とい
つた
もの、これを要するに筋はそれぞれ通
つて
いるわけでございまするし、と申しますのは、
最初
に申しました
外貨資金
の問題、又
国庫代理店
その他の問題、
海外
における優先的な
支店
設置そうい
つた
ものや、又
円資金
についても極力配慮するとい
つた
ような点から申しまして、筋は一応それぞれ通
つて
いるのでございますので、この諸
事情
から多少小さく生れた赤ん坊を極力
日本
の
貿易
のために大きく育てて行く。そのためにはミルクやその他相当な栄養を頂く必要があるわけだと思うのであります。
為替専門銀行
法がこの春
国会
に
最初
に上程されましたのはほかならない
参議院
の
大蔵委員会
が
先議
で、真先でありましたわけでございまして、いわば当
委員会
はこの
外国為替銀行
、
東京銀行
の生みの親と申してよろしいかと考える次第でございます。 なお
最初
にちよつと触れましたように
世界経済
或いは
国際金融
の態勢というものがヨーロツパで一部予想されたよりも多少先に延びるかと思いますが、いわば
世界経済
の本流として
貿易
の
自由化
、
通貨
為替
の流動化とい
つた
ような大きな流れが流れておりますので、その間
貿易
為替
における国際競争の上で
日本
が遅れを取らないための
日本
の国策を実行のために、この
委員会
が大きな留意を頂くことを私どもとしては希望いたしている次第でございます。すでに、去る八月一日切替
発足
以来、役職員以下三千人の行員が末端に至るまで新らしい決意と新らしい知恵とを持
つて
たゆまなと努力を重ね、今後もその努力を続けて行きたい。又特に
世界経済
の潮流に対して
日本
に遅れを取らせないためにそうい
つた
努力をして行きたいというような考えでおりまするので、今後とも御
理解
と御同情と御支援をお願いしたいと思うのであります。 大臣もお見えになりましたから、簡単にこれで切上げて終らして頂きます。
西郷吉之助
8
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは只今
東銀
常務の
堀江薫雄
君から
意見
の開陳がありましたが、これに対しまして御質疑がありますればこの際お願いいたします。……別段なければ次に進みます。
—————————————
西郷吉之助
9
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは只今
東銀
常務の
堀江薫雄
君から
意見
の開陳がありましたが、これに対しまして御質疑がありますればこの際お願いいたします。……別段なければ次に進みます。
西郷吉之助
10
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
大蔵大臣
が御
出席
になりましたから、この際
大蔵大臣
より年末
金融
或いは
証券取引所
の争議の問題、又
銀行
スト等の問題がございましたので、これらの問題等につきまして大臣より御
説明
をお願いしたいと思います。
小笠原三九郎
11
○国務大臣(小笠原三九郎君) 年末金 融対策につきましては目下いろいろ検討いたしておりまするが、大体次のような考えを持
つて
おる次第でございます。 それは
最初
に指定
預金
の問題でありまするが、本年十月末日現在におきまする指定
預金
の
残高
及び十一月と十二月とに引揚期限の到来するものが大体
合計
いたしまして十月末の
残高
が六十二億一千三百万円、それから十一月の末に引揚予定額の分が十六億六千六百万、十二月も同様十六億六千六百万、まあ大体こういうふうにな
つて
おるのでありまするが、今年は非常に財政
資金
が撒布超過の見通し等もございまするので、従
つて
いろいろな点からこの引揚げを延期することはどうかと思われるのでありますが、併し財政
資金
の撒布超過を受ける部分とそれから中小企業の
金融
とは必ずしも問題の面が一致していないことは御
承知
の
通り
でありまするので、大体におきまして私どもとしてはまあ引揚げは延期したいという考えを持
つて
おります。特に十二月期限の分につきましては、これも三カ月勿論延期するという考えでおりますが、十一月分につきましても大体そういうような
方針
で行きたいと思
つて
おるのであります。なお、ときどき新規
預託
をしたらどうかという実はお話がこれは出るのでありまするが、只今申上げた
通り
に、現在の分は大体において期限を三カ月延長したいと、こう考えておりますが、次に新規
預託
のことは只今のところ実はその指定
預金
制度
自体にもいろいろ問題筆もありまするので、かねがねそうい
つた
点から漸減
方針
をと
つて
も来ておりまするし、又最近の
金融
情勢から見まして、この際新たに追加
預託
を行うことはどうかと考えておりまするので、只今のところは新規
預託
のことは実は消極的に考えておるのであります。 それから国民
金融
公庫及び中小企業
金融
公庫等への
資金
手当でございますが、国民
金融
公庫が水害復旧
資金
として三億円の枠を設定しましたような
関係
もありまして、多少
資金
事情
が圧迫されておりまするから、年末
金融
のために
資金
の増大することを考えますると、第四四半期分の枠を若干繰上げて使用することにしたらどうか、こういうことも考えておるのであります。中小企業
金融
公庫も実は国民
金融
公庫と同様にやはり水害復旧
資金
に三億円の枠を設定しましたので、これも同様なことが考えられまするので、こうい
つた
こともやはり第四四半期にも繰上げて使用することにしたらどうか、かように考えておるのであります。 なお、商工組合中央金庫でありますが、商工組合中央金庫は年末にどうしても中小企業の運転
資金
が相当増加するものと考えられまするので、併しそれらの問題等もあ
つて
、一応只今考えておりまするのは、融資の枠がこれは大体四十三億円現在でございますが、そのうちまだこれは中小別枠融資というものがあるのでありますが、そうい
つた
中小別枠融資を総枠の範囲内で、この
銀行
の枠の一部を商中に振り替えるというようなことを考えてみたらどうか、一つそうい
つた
措置を
日本銀行
に講じさしたらどうかということを、商工組合中央金庫については考えております。 それから下請中小企業への支払促進の問題、これは従来ともや
つて
おりまするが、特に昨年と同様にこれは通牒を出しまして、又
日本銀行
が窓口指導をやることとして支払促進をやらしたい、一応かようなふうに考えておるのであります。 なお
東京
証券取引所
のほうのストの問題は、これは皆様がたが御
承知
のごとくに最近妥結いたしまして、双方円満に話がつきましたから、これらのことは皆様御
承知
の
通り
でございます。いろいろああい
つた
事柄が、公共性を持
つた
もののストというようなことは誠に望ましくないことでありまして、こうい
つた
事柄については今後とも十分かようなことのないよう
政府
側のほうでもまあいろいろ当局者に善処方を要望いたしておるのでありますが、こういうときに
政府
が立入
つて
実はどうこうするという法的権限も持
つて
いなか
つたの
で、あの当時は労使双方の話合いによる妥結を待つ次第でございました。譲歩して妥結してもらいたいというようなことで妥結を見た次第でありますが、幸いにこれらの良識ある解釈の下に話が進みましたので、大変結構に存じます。今後ともかような問題については、再発しては相成りませんので、いろいろ考えておる次第でございます。念のため申上げますと、ストライキそのものについてはこれは労働大臣が実はや
つて
おりますので、私どものほうは証券取引の点からだけ
証券取引所
に対する要望をいたしておる次第でございます。 大体、私のほうからのお話は
委員長
、この
程度
にとどめさして頂きたいと思います。
西郷吉之助
12
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは只今の大臣のお話に対して質疑がありましたら。
豊田雅孝
13
○豊田
雅孝
君 今、大臣のお話の指定
預金
に対して、十二月の分は特に延期する、十一月分も大体延期するというお話ですが、十月分の点がちよつとはつきりしなか
つたの
でありますが、その点を伺いたいと思いますのと、それからもう一点、商中の別枠を枠の範囲内において振り替えるというようなお話があ
つた
ようですが、これをもつと詳しく伺いたい。
小笠原三九郎
14
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。 十月分は大体四分の一ほど実は期限の来た分のうち引揚げまして、
あと
四分の三ほどはまだ延長してございます。 それから今の商工中金別枠の
関係
のことでありますが、これはまあ大体において余りどの
銀行
というふうにはちよつと申上げるのはどうかと思いますが、或る
銀行
ではその別枠をそれだけ使
つて
いない、予定しておる分だけ使
つて
いない分があります。従
つて
その分を金額としますと、ちよつと五、六億あろうと思いますが、その分を商工中金に振り向けるようにしたい、このように考えております。
豊田雅孝
15
○豊田
雅孝
君 これに関連いたしまして更に伺いたいと思いますのは、御
承知
のように
外貨
の収支が最近予想外に好転しておるわけでありますが、同時に十二月末の十一大
銀行
の
預金
増は三百五十八億、ところが
貸出
の純増は僅かに八十億にとどま
つて
おるというようなわけでありまして、デフレ政策はデフレ政策としましても、
市中銀行
の
金融
引締めが余りにも行き過ぎにな
つて
おるというふうに考えられるのでありまして、又日銀政策
委員
の間におきましても、これは余りにも
金融
引締めじやないかという
意見
も起きておるように聞くのでありますが、特に私どもの心配しますのは、この年末もさることでありまするが、このままで参りますると来年の一—三月、要するに第四四半期には千五百億からの引揚超過が出て来るという点もありまして、かような実勢以上の
金融
引締めが行われるということで参ると、年末も勿論でありましようが、特に来年の二、三月などは非常に由々しいことが考えられるのであります。現に日銀政策
委員
の一部も非常にその点懸念しておるようでありまして、この点につきまして年末並びに来年の一—三月に対しまする
金融
についての
大蔵大臣
としてのお考えを伺いたいと思います。
小笠原三九郎
16
○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体お話の
通り
の点もございまするので、実は十二月までのいわゆる第三四半期は非常な撒布超過でありますが、この点からの
金融
問題と併せて一—三月の分と関連して実は考えなければならんという点がございまするので、今実は検討いたしておりまするが、ちよつとここで的確に申上げるのはまたどうかと思
つて
おります。従いましてこの次の
機会
には、或いはもう少し早くでも申上げたいと思いますが、この頃例えば財政
資金
の撒布超過というものも当初
政府
が予期してお
つた
よりも非常に増加しおるのは、いろいろ
貿易
関係
もさることながら、特に農産物などの
関係
か相当
影響
しておる。それでどの
程度
までこれが、例えば超過供出なら超過供出にどういうふうに
影響
するかという問題等も絡んでおりまするので、もう少し私どものほうが
数字
を検討した上で御返事申上げたいと思いますが、お話の点は私ども決してこの十二月までの第三四半期だけのことで対策を立てておるのじやなくて、一—三月も含めても十分考慮いたしておりまするから、この点
数字
的にもこの次の
機会
には申上げたいと存じております。
豊田雅孝
17
○豊田
雅孝
君 只今の大臣のお話了承いたしました。ただ何事か起きてから後に、まあそれはそのときに考えるというようなふうで行くことは、この年末から来年の一—三月にかけては非常に危険なように思われるのでありまして、その点一つ前以て十分に
数字
の実勢を御検討願いまして、速かに一つ実情に即した
方針
をはつきりお示し願うようにしたいと思
つて
おります。その点要望いたしておきます。 それからもう一つこれに関連いたしましてでありますが、中小企業
関係
は御
承知
のように何とい
つて
も合理化の基本線というものが組合組織に重点をおいて行かなければならない。この点は
政府
のほうにしましても域いは自由党の政策綱領にもはつきりしておるように思うのでありますが、ところがこれに対しまする専門的な
金融
機関にな
つて
おりまする商工中金に対しまする
政府
の出資というものが非常に少くな
つて
おりまして、御
承知
のように民間の出資は十二億九千七百九十万円にな
つて
おりますが、
政府
の出資というものは僅か二百十万円というようなわけでありまして、又一面見返
資金
の優先出資がありますけれども、これも三億七千二百万円くらいに
減つて
来ております。これは年々次々返して行かんならんということにな
つて
おるのであります。従
つて
この全体から見ますというと、民間出資は十二、三億、
政府
出資は二百十万円という誠にアンバランスにな
つて
おるのでありまして、商工中金のできました沿革なり、商工組合中央金庫法のそれ自体の建前が
政府
出資半分、民間出資半分、要するに半官半民というような出資構成にな
つて
おるわけなのでありますが、現状から見るというと、その
法律
の制定の沿革の趣旨なりから非常に変
つて
来ておると思うのであります。そういう点で、現在中小企業
金融
公庫のほうから商工中金に二十億が出ておるようでありますが、少くともそのうちの半分くらいのものはこの際
政府
出資とせられて、そうして民間のこの乏しい中から出しておりまする出
資金
とパーになるくらいには
政府
としてもお考えになることが、中小企業に熱を入れられ、特に中小企業の合理化が組合組織というものにあるということをお認めになる以上は、当然そうあ
つて
然るべきじやないかというふうに考えるのでありますが、如何でございましようか。
小笠原三九郎
18
○国務大臣(小笠原三九郎君) 御
意見
の点誠に御尤もな点もありますが、実は中小企業
金融
公庫ができまして、あれを作るときから多少商工中金に対する性格が変
つて
おるように考えておることは、丁度農林中央金庫が農林漁業
金融
公庫ができてから農林中央金庫の性格が多少変
つて
来ておると同じように実は考えてお
つて
、その点から、今お話の点と
大蔵当局
が考えておることとにまだ少し検討を要する点があるように思います。併しお話の趣意もよくわかりますから、なお十分一つ考えましよう。
豊田雅孝
19
○豊田
雅孝
君 この際特に重ねてお願いしておきたいと思いますのは、要するに
法律
というものは厳然として存在しておるのですね。にもかかわらずこれが中小企業
金融
公庫ができたときに民間
金融
機関にな
つた
とかい
つて
みても、
法律
を変えたのなら別なんですけれども、
法律
というものは一面あるので、にもかかわらず一方に
金融
機関が、特別のものが出たから、
法律
が厳然としてあるにもかかわらずこれがどうだこうだという議論は、これは非常にまあ官庁独善といいますか、そういう弊が私は非常にはつきりしておると思います。その
法律
のある以上は、少くとも
法律
のあるらしい行き方をするということは私は当然だと思うのですがね。
小笠原三九郎
20
○国務大臣(小笠原三九郎君) いや、よくわかりました。まあ何か今ここで
銀行
局長の
意見
を少し述べたらどうかと私は言
つたの
ですが、併しよく御趣意はわかりますから……。ただし私は今あなたに対してだから率直にさつき答弁したのだが、そういうことで農林中金と農林漁業
金融
公庫のような工合に商工中金とつまりこの中小企業
金融
公庫ができたときに少し性格を区別したものですから、そんな
関係
で……、まあ私はあなたの言われる
法律
も残
つて
いるのだしという点も御尤もだと思いますから、もう一遍よく私も考えます。
豊田雅孝
21
○豊田
雅孝
君 どうぞその点をよく……。
平林太一
22
○平林太一君 これは、この
金融
の問題ですが、根本的の問題であるので、一応
銀行
局長に
数字
を伺
つて
おきたいと思いますが、この十一大
銀行
乃至十二大
銀行
とい
つて
おりますが、それから地方
銀行
、この二つにな
つて
おりますが、こう区別してですね。最近の
銀行
局長のお手許でできておりまする
預金
の総額ですね。これを一つ伺
つて
おきたいと思います。大体でよろしいです。
河野通一
23
○
説明員
(河野通一君) 速記をとめて頂きたいのですが……。
西郷吉之助
24
○
委員長
(
西郷吉之助
君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
西郷吉之助
25
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 速記を始めて下さい。
平林太一
26
○平林太一君
預金
が概算で二兆七千億と、私は今そういうふうに
承知
しました。そこで
政府
直接の機関として、具体的に申せば商工中金でありますとか、国民
金融
公庫であるとか、大きいのになりますと開発
銀行
でありますとか、そういうものがありますが、この総額は大体どのくらいにな
つて
おりましようか。全体の
政府
出資の
金融
関係
の
資金
量ですね。
河野通一
27
○
説明員
(河野通一君) これもはつきりした
数字
は今ちよつと計算いたしませんと申上げられませんが、大体開発
銀行
が五千億と思います。商工中金は豊田
委員
のお話もございましたが、純粋の
政府
機関と申すことができませんので、私どもが
政府
機関と申しておりますのは、
あと
は
輸出
入
銀行
、
輸出
入
銀行
は大体今の
資金
量が今度三十億を入れますから二百七十億くらいになる。それから国民
金融
公庫の
資金
量は大体四百億足らず、それから中小企業
金融
公庫の
資金
は二百五十億くらいではないかと思います。大体
政府
機関として私どもが考えておりますのは、そのほかに農林漁業
金融
公庫、その
資金
量がちよつとこれもはつきりとはあれしておりませんが、五百億くらい、非常に大ざつぱなあれでありますけれども、五百億くらいと思います。その
合計
で七千億くらいではないかと思います。
平林太一
28
○平林太一君 そういたしますと、それで大体明らかになりましたが、そうすると、この
通り
鋭意国の経営をや
つて
おりましても、今日我が国の財政の実態からいたしますれば七千億、できるだけこれは
大蔵大臣
も配慮せられてそういうことに相成
つたの
で、その点よくわかるのでありますが、そこで庶民
銀行
に
預金
をいたしておりまする
預金
量というものが二兆七千億、ですからこれは非常に厖大なものです。それだからこの
金融
の問題については、
政府
機関による七千億円にのみ依存してお
つて
は我が国
金融
の円滑化を図るという根本的な問題が解決ができないわけです。二兆七千億に対しては当然いわゆるオーバー・ローンをしておる、貸付超過である、こういうのですが、この貸付の内容というものを一つこの際検討して、そして二兆七千億がこのような我が国の
金融
の梗塞された
状態
に対して役に立
つて
行くように、具体的にそれぞれの処置を講ぜられて行かれるという方法がやはりそこに考えられるべきではないかと思う。それでなければとても
金融
問題というものは好転の見込みが立たないわけです。立たなければ一日々々ごとに国の
経済
が弱体化して行く、こういうことですから、何かそれに対して技術的に二兆七千億の
預金
というものの内容を御検討になれば、恐らくそのうちの一兆三、四千億、或いはもつと多いかも知れんのですが、そういうものが何か
銀行
の貸付形態の上に、
預金
を
吸収
して、その
預金
を貸付をするということが
銀行
の使命ですから、ところがそういうものと非常に隔絶した我が国の今日の
金融
資本の動態の中にそういうことが潜在している。だからそこへ何かメスを入れるという刺戟的なことは私は申上げませんが、何かしら
大蔵省
といたしましては整理して、そして今国が折角
政府
機関を作
つて
、
金融制度
の普遍化、
金融
の円滑化ということを図ろうとすることに対する具体的な方策が講ぜらるべきではないかと思う。差当り今年の年末
資金
というものは必ずしも十二月出なくてもいいわけです。一月に出る或いは二月に出る。本年の場合でありますれば昭和三十年の二月頃までに出るという見込が立てば、そうすればそれらの業者なり
金融
を必要とする人たちは年末
資金
が
現金
でなくても、これは取引上などにおいてはそれらの見通しがつけばそれによ
つて
打開ができる、こういうことなのです。そこで
大蔵大臣
及び
銀行
局長両者の御
意見
を、甚だこれは何と言いますか、漠然としたことと言えば漠然としたことでありますが、その点につきましては微細な点についてよく熟知しておられるわけですから、一つそういう点の御
意見
を承わりたいと思います。
小笠原三九郎
29
○国務大臣(小笠原三九郎君) 今平林さんが言われたことについてちよつと直接の御返事になるかどうかと思いますが、併し丁度お話の点の御
理解
を得るのにそれが一番いいじやないかと思う点を申上げたいと思います。 それは朝鮮事変の起
つた
昭和二十五年六月当時を顧みますと、
日本
の
預金
も一兆円以内であ
つて
、
貸出
高もほんのまだ九千億ぐらいの
程度
でありまして、従
つて
オーバー・ローンというようなものもこれはほんの千億足らずのものでありました。これが、二十七年、二十八年、二十九年とだんだん増加しまして、例えばこれを
貸出
高で言えばいつのまにか一兆円を超え、二兆円を超え、今は二兆六、七千億円ぐらいの
貸出
高がある。それで今度オーバー・ローンで言うと、平林さんが言われるようにいつのまにか千億を超え、二千億、三千億を超え、更に四千億を超えてしま
つた
。それでこれでは困るからということが一つの
金融
引締めの大きなもとにな
つて
おります。従
つて
オーバー・ローンというものはこの頃は三千五、六百億はありましよう。一時の四千二百億に比べればよほどよくな
つて
おりますが、三カ年ばかりにおける
金融
のいわゆる
貸出
高の増加というものは少し実情に副わん点があ
つた
。それがやはりオーバー・ローンという不健全な形にもな
つて
現われておる。従
つて
或る
程度
の
金融
の引締めが必要であるということは皆さんがすでにおつしや
つた
通り
であります。私どもその線に沿
つて
や
つて
おるわけであります。ただでき得れば資本の蓄積、預貯金の増加が最も望ましいのでありまして、この点は仮に戦前の比で申しますならば、恐らく仮に貨幣の価値を戦前の
預金
高と比較して申せば六兆円くらいなければいかんのです。六兆円くらいの
預金
がなければいかんのが、今まだ二兆六、七千億という
程度
でありますので、従
つて
何とか資本の蓄積、預貯金の増加を図りたいと考えており、従来から
国会
のほうでもいろいろ御協賛を下さいまして、先に預貯金の源泉課税というようなものを二割から一割に減じており、更に又長期のものを五分にしておるというようなこともありますが、或いはもう少しこれを何らかの方法で資本の蓄積ができて、まあ健全な姿に持
つて
参りたい、こういうふうに考えておりまするので、
貸出
に対する私どもの言葉で言うと、質についてもつと十分な考慮を払
つて
もらうように絶えず
銀行
側へも要望いたしておりますが、同時にこの不健全な姿であるオーバー・ローン解消に対する案もいろいろ相談をしなければならないし、又
銀行
自体も預貯金の増加によ
つて
できるだけオーバー・ローンを避けるべきだと思
つて
おります。同時に又預貯金増加の一つの刺戟になるように何かいろいろな、例えば税制対策でも必要ならば、どういうことが最も効果的に行けるかということについて今実は相談をいたしておりまして、これらも具体案を得れば実は本
国会
にも出したいと思
つて
おります。 一例を挙げれば、例えば
ドイツ
で非常に資本蓄積の一つの方法としてや
つたの
は、源泉で、三カ年以上貯蓄すると所得から控除したのですね、それで相当のものがまとま
つて
、三カ年というと長い期間ですから、比較的これが事業
資金
その他のものに使われて、
ドイツ
の
銀行
経営は比較的健全に行
つて
おりますが、そういう点が非常に大きな働きをしておると思う。
日本
でもやはりよその国がや
つて
、そのよその国がや
つて
いいことは取上げていいわけですから、こういうことも一つ考えたらどうかというので、三年にしたらいいか二年にしたらいいか、どの
程度
まで控除することにしたらいいかということ等を検討しておりますが、全般について
金融
政策をもう少し考えなければならん点が非常に多いことはお話の
通り
と思いまするから、まあお話の趣意もありまするし、私ども今後十分この点については案を得て皆様に御相談申上げたい、かように考えておる次第でございます。 直接のお答えにならなか
つた
かも知れませんが、一応今までのことをちよつと頭に描いて頂くのには幾らか御
参考
になるかと考えて申上げました。
平林太一
30
○平林太一君
銀行
局長からそれに対して技術的な見解がおありのことと思いますので、簡単にちよつと伺
つて
おきたいと思います。
河野通一
31
○
説明員
(河野通一君) 大臣からお話がありましたことで尽きておるのでありますが、
金融
機関における、殊に
銀行
におけるその使命の公共性ということが非常に従来から言われておりますが、最近において特にその点が強調されなければならん事態にな
つて
おることは今お話のありました
通り
であります。
金融
機関、殊に
銀行
の公共性という面は御案内のように両面にある。一方においては多数の
預金
者というものを抱えて、この
預金
者の保護ということを全うすることが
銀行
としての公けの使命を果す一つの大きな柱であることは申すまでもないことであります。それと共に集
つて
来た零細な
預金
を最も国民
経済
の上に有効に効率的にこれを
運用
して行くということが、
銀行
における公共性の第二の点であろうと思うのであります。この積極、消極と申しますか、或いは与信、受信と申しますか、そうい
つた
両面の
銀行
の公共性ということを今後一層更に強めて行かなければならんと、かように私ども考えておるのであります。 只今平林
委員
から御指摘のありましたのは、主として今私が申上げました後者の問題についての公共性ということを更に強化すべきではないかというお話と承わ
つて
おります。国民の非常に貴重な
資金
が
銀行
という一つの公けの機関に集ま
つて
来るのでありますから、この
資金
が最も国民
経済
上有効に使われるということを確保いたしますために、いろいろな措置を従来から講じて参
つて
おるのであります。ただ問題はそうい
つた
資金
の
運用
をできるだけ公けのものに活用いたして行きます方法として、或いは一部にはこれを効率的に何か
金融
統制と申しますか、ということを行な
つた
らどうかという
意見
も出ておるわけであります。戦争中におきまして御案内であると思いますが、臨時
資金
調整法という
法律
があ
つたの
であります。これによりまして
銀行
の融資というものの相当部分がこの
法律
によ
つて
効率的に規制をされて参
つた
例があるのであります。そうい
つた
ふうなことをこの際行うことが一体
日本
の
経済
全体の現状から見て適当であるかどうかという点については、これはよほど慎重に考えなければならん問題だと私は思うのでありますが、そういう法的な規制なり法的な強制を行うことの可否の問題は一応おくといたしましても、
銀行
の融資という、或いは
資金
の
運用
という面におきまして質的な考慮と申しますか、質的な重点化ということを特に今後強化いたして参らなければならんことは、これは仰せの
通り
であろうと思います。これらの点につきましては、現在そういう
方向
に考えておりますが、具体的には果してどの
程度
まで、又どういう形でそういう問題をこの際行な
つて
行くのがいいかという点につきまして、私からはつきりした結論を申上げる段階にまだ行
つて
おりませんが、これらの問題を含めて現在鋭意研究を加えている段階である、かように御了承を得たいと思います。
平林太一
32
○平林太一君 そこで私のほうで心配いたしていることは是非
金融
を引締めて
預金
を保護しなければならん。そうしてその
預金
を効率的に
銀行
が運営する、それが
銀行
の使命なわけでありますが、どうも現在の
金融
資本家としての
銀行
経営者の態度というものが、依然として頭の切換えができていない。実は今
大蔵大臣
のお話の
通り
六兆円くらいにこれはできるわけなんです。ところが六兆円の
預金
を
吸収
することができないということは、
銀行
のいわゆる
金融
資本家の
銀行
経営の実態が取上げられていないから六兆円ができない、こう私がこれは申上げても差支ない。そこでこの際二兆七千億円の
預金
に対する貸付の実態、内容というものが、先刻も申上げたのですが、長期に亘
つて
……、実は昭和四、五年頃だと思うが、これは昔のことを回顧することも一つの今後の
参考
となるのですから申上げまするが、殊に地方
銀行
がパニックで崩壊した実態を見ますと、第一に大口の貸付というものがみな
銀行
の頭取であるとか重役であるとか親戚であるとか、或いは頭取、重役を動かしてそうして
資金
を
銀行
から取得した。だから
銀行
が破算したときに全部わかりましたが、そのときわか
つた
ものは、第一に大口の貸付金というものに対しては期限が無期限である、驚くべきことです。こういう世の中にはあり得ないことがあるから、それで破綻を来たすわけです。それからその貸付額が必ずしも担保を対象としない。いわゆる無担保で貸付けておる。それから担保で貸付けても、それは単なる形式である。つまり十の担保資格しかないものへ千、二千の
資金
を貸付けてある。それからその金利が全然取
つて
ないというのですから驚くべきことなんです。そしてそれは皆何かいわゆる形式上は元金にそれが振り替えられて、そしてこの帳簿上のことは入れたことにな
つて
実際は入れてない。そして元金には振替えられている。こういうことです。これが
銀行
パニックの行詰
つた
最後の最大原因であ
つた
ということは、当時のことを私はお調べになれば、あのときは地方
銀行
がたくさんありまして、小さい
銀行
ではありましたが、大
銀行
でもそうです。
東京
におきましても十五
銀行
であるとか神田
銀行
であるとか、そういうものが倒壊したときを調べれば皆わかる。その当時
銀行
の経営者が皆いわゆるこれを利用して、そしてそれを外に向
つて
融資していなか
つた
。
預金
というものは、少額の
預金
というものは、殊に庶民
金融
に対する
銀行
の何と申しますか、取立不可能になるということは殆んどパーセンテージはないと私は断定して差支えないと思う。いわんや長期に亘
つて
三年、五年、十年というのであるから、一つこの際私は十一大
銀行
を初め、全国の地方
銀行
の長期の少くも大口貸付けをしておるものを私はお調べになる必要があると思う。そうした結果出て来た表によ
つて
私は
銀行
に対する今後の国の、
銀行
を運営して行くという面において一つの発見ができるのではないかと思う。 我々は無論共産主義的な
金融
行政というものは、私自身としては少くともそういうものは賛成いたしません。しませんが、共産主義であるとか非共産主義であるとかを問わず、要するに国民の福祉利益に貢献するということが国の政治としては最大眼目ですから、その場合におきましては、今日のような
金融
資本家の
銀行
を経営して行く態度からして、それが国の将来に対してこれが幸慶をもたらさないということでありますれば、一応
銀行
はいわゆる全部個人の、自身の企業を許さない。そして現在
政府
の機関でや
つて
おりますようにこれは皆
法律
でやるということも考えられるわけです。速急にそれをいたすべきだということは、私は申上げるわけではないのですが、ものは相談ですから、それですからそういう事態に今日の我が国の
金融
資本家の態度というものはだんだん彼らみずからそういう線に追い込んで行くというような実態を今日呈しておる。そしてこの
銀行
というものが庶民怨嗟の中心にな
つて
おるということを、一つお考え願いたい。
銀行
があるということは、庶民は喜んでその
銀行
から受ける便宜というものを喜ばなくちやならん。又そのために
預金
というものをする。そして
銀行
を通じてそれが有利に利用されて、例えば僅かの薄利の利率でも安心してそれを受けられる。ですから
預金
する人も借入れる人も
銀行
の存在というものを礼讃し、それから大いに顕彰しなくちやならない。それが今日は我が国の
銀行
ぐらい庶民から非常に恨まれているものはない。なぜかというと、庶民というものには
銀行
は全然無縁の態度をとる。そして一部の少数なる階級にのみ
銀行
というものが利用されているというよりも、まあ寵愛されておる。これは私は政治論を申上げるわけですが、併しこういうことは長くそう続くべきものではない。必ず私は行き詰まると思います。このままにしておきますと……。それで現在の法人の
銀行
会社の頭取とか重役とかいうものは一応実際問題から言いますれば全部退陣せしめて、そして新しい考えを持
つた
人物を入替えるというようなことは一つの架空の理想としては考えられる。まあそういうことは私は申上げませんが、その点を私は
大蔵大臣
として、私は
銀行
局長として、この際転ばぬ先の杖、これは実に重大な問題だと思
つて
おるのです。それを一つお考えにな
つて
頂きたい。だからそういうことはうすうす一つお考えにな
つて
いるじやないか、お考え中ということよりもそういうことを心配なさ
つて
おられると思う。ですからそういうことに対してどういうふうに、これでは困
つた
ものだと、そういうことだけは御同感が得られると思う、困
つた
ものだと。これでいいんだと、これで野放しにしておけばいいんだというふうにはお考えにならんと思う。それは別に私は
異議
を申しません。それに対してどういう処置をするとか、庶民に愛される、庶民に寵愛される、国家の背景とな
つて
、
預金
者としては、他の
金融
機関がつぶれたのと違
つて
銀行
がつぶれるときは国家がこれを保証するということだから、皆
預金
者というものはそういう極めて最後的な安心感を持
つて
一応
銀行
は許しておるわけです。併し庶民
金融
というものにこのくらい冷淡な今日の我が国の
金融
資本の態度というものはあり得ない。今日私は明治以来、明治以来のこと、大正、そういうことはちよつと古い我々のほうだけの話になりますが、併し当時の
銀行
というものは皆人を対象として金を貸付けたものです。それですから始終取引をしてお
つて
、いわゆるまじめなこれは商人だ、まじめな中小企業者だと思えば担保を取らずしてどしどし貸付けて、そして金が返
つて
来る。そしてそのようにして
日本
の産業を飛躍せしめたことの最大原因です。ところが今日の
銀行
家はそういう熱意がない。人を見るというところの熱意と、それからそれだけの力がないといいますか、それですからこれは
銀行
家の技術の問題ですが、そして貸付けるときはいわゆる大口の貸付を、この
銀行
外の取引によ
つて
、それをそういうものによ
つて
貸付ける。或いは重役の
関係
によ
つて
貸付ける大口に。ですからこれは事によると実際は形式上そうな
つて
お
つて
も無利息であり無期限であり、無担保である。これが二兆七千億のうちには、私の予感といたしましてはどうしても二兆七千億のうちのその五〇%、六〇%といたしますると、少くとも一兆五、六千億円がそれにな
つて
おるわけです。だからこの一兆六千億をこれが運転されるようにな
つて
、そしてこれが庶民
金融
に役立つということになれば、これは国家がこのように国家直接のことによ
つて
やらなくても、どのくらいこれは我が国の
経済
を一朝にして明るくして行くと、こういうことにこれは極めて簡単です、なれるわけです。それを放置しておくということは、私は
大蔵省
といたしましては、殊に
大蔵大臣
は行政的な見地に立
つて
、やはり何といいますか、時にはただ従来の惰性でない。これによ
つて
自分の在職中にこの問題を根本的に解決しようということで、まあ一つ徳を万世に残してもらいたいと思う。そういうことを私は非常に切々として考えるわけです。 まあそういうことについて一つ具体的に全部一度にやるというわけには行かないが、そういう
方向
による
金融
打開の途、差当り百のうちの一でいいですから、今年の冬にはそのうちの一つを取れば、それが大きな役に立つわけですから、そういうことで、全体的な、今申上げた問題に対して、一つ御経綸を是非承わりたい。かように思うのです。私の
意見
は極めて温厚篤実なわけです。(笑声)
小笠原三九郎
33
○国務大臣(小笠原三九郎君)
銀行
経営というものが、その公共性を持
つて
おるだけに、一般国民のため、又同時に国民
経済
発展のためでなければならんことは、これはお話の
通り
と思います。
銀行
業者が今日私どもが、これはちよつと御
意見
が違うかも知れませんが、率直に
言つて
、
金融
業に携わ
つて
おる人々は、いずれも知識の
程度
においても人格の
程度
においても、割合に立派な人が上のほうに余計携わ
つて
おることは、これは社会的に見て事実だと考えるけれども、多少今お話のような大口に対する貸付もあることはあると思いますが、ただ、お話のごとくに、利息も入らん金が半分を占めておるということは、これは事実はございません。これは
銀行
の信用のためにさようなことはないと申上げるほかないと思います。なお厳重に私どものほうでも行政指導をや
つて
おるのでありまして、この点については、検査その他のほかの行政指導を絶えずいたしておりまするから、今御期待
通り
のことには行かんと思いますが、
金融
業者としての使命を十分に果さしめるようにいたしておりますが、併し、なお足らざる点は今後とも努力いたします。 実は今日は私ちよつと渉外
関係
でやむを得ぬ用事があ
つた
んでありますが、年末
金融
のことで今日でないと困るということで参
つたの
で、三十分ほど、私、時間をよそに借りておるのです。そこで、甚だ勝手ですが、お急ぎのことでなければ次の
委員会
で種々申上げることにしておいて、一言だけ申上げておきたいのは、実は中小の金につきましてのお話でございますが、現在どれくらい貸しておるのかということを申上げると、今のようなお話に対する御
参考
になると思う。それは、普通
銀行
で貸しておりまするのが六千六百十八億、本年六月末で
残高
があります。更に商工中金、相互
銀行
、信用組合中央金庫、中小
金融
公庫、国民公庫、これを
合計
いたしまして五千七百六十八億貸しておりまするので、六月末現在で中小企業に貸しておる金が、丁度、一兆二千四百六億、こういうことにな
つて
おります。これを前年の同期に比べますと、大体千九百九十一億
貸出
が増加しております。こういう次第でございまして、足らん点はあろうかと思いまするが、これは御必要に応じて表を差上げても結構でございますが、そんなような工合にな
つて
、平林さんの御指摘のような点もあるが、漸次よくなりつつあることもこれは事実です。従
つて
、
金融
業者にこの上ともお話のような公共的使命を十分に果してもらえるように努力はいたしまするが、又これは
金融
業者もそれに従
つて
や
つて
くれると信じておりますけれども、行政指導等、これは十分怠りなく私どものほうでや
つて
参りたいと考えております。
平林太一
34
○平林太一君 そうすると、今の
大蔵大臣
の話の七千億円が中小企業者に何しておる。それから他の五千億円内外で一兆一千億円、こういうのですが、二兆七千億円の
預金
に対して一兆一千億円、こういうわけですが、この問題に対してはおのずから議論がありまするが、その点、私といたしましては少な過ぎる、こういうことを申上げておきます。それ以上は申上げません。それから今お話の七千億円内外を中小企業に利用されたいと、こうおつしやるが、それは実際には中小企業というものに対しての貸付というものは遥かに少いものである、七千億円のうちの……。それは今の
日本
のいわゆる
金融
資本家が中小企業として貸付けてあるという
大蔵省
に報告をいたしておるところの対象というものは、実は中小企業ではない。実質は大体大企業であり大資本であります。それだから中小企業問題というものが起
つて
来るわけです。実際の問題からいたしますれば、それが七千億円乃至一兆億円が中小企業者に事実貸付けられておる。中小企業者というものに該当するものに貸付られておりますれば、国民
金融
公庫や中小企業
金融
公庫というものの必要はないわけです。事実が裏書きするわけですから……。それならば、一兆一千億円の貸付対象というものの、つまり最低貸付額というものをお調べになればよくわかるわけです。中小企業者というものは、二十万とか三十万とかというものを貸すことによ
つて
、少くとも最高五十万です、そういう最高五十万以下という金が中小企業者の運転
資金
に入
つて
行くというならばこれは起死回生です。そういうことは見解の相違になるかもわかりませんが、実際の問題です。我々のほうが、その点については、
大蔵大臣
よりも血のしたたるような一歩実質に即したものを私どもは持
つて
いるわけです。これはあなたも代議士として選挙にお臨みになるから、よくそのことは御
理解
になられると思う。ところが今
銀行
が、今日のいわゆる
日本
の
金融
資本家が貸付けておるというその中小企業というものは、決してそうではないのであります、お調べになれば……。現に中小企業
金融
公庫ですら一件当り二百万円、これが中小企業
金融
公庫のことは毎回申上げているからこの際申上げません。これは中小企業
金融
公庫自身でや
つて
いてすら一件に対して二百万円、それがいわんや今の
銀行
がや
つて
おりまする七千億円というものの貸付内容というものは、調べたらこういうことはあり得ないのだ、世の中に……。こういうことは中小企業
資金
として考えるときはあり得ないのだということに思い当ることと思う、だから、それは一つ年末
金融
に当りましても、直接今日そういうことでおいでになられたんだから、それを今一つ御
尽力
になられて、そして年末
金融
に対する措置というものを、中小企業を初め、これは中小企業のみではありません、庶民
金融
、国民大衆の年末の打開を我が国
金融
行政の上において如何にすべきか、こういう幅の広いもので年末
金融
というものをお考えにな
つて
もならわくちや困る。こういうことですね。それに対して、年末
金融
に対して、只今
大蔵大臣
もそのためにおいでにな
つた
というのですから、御腹案のあることと思いますから、私以外の
委員
に御答弁にな
つた
ことは別といたしまして、私の質問に対しまして今一応一つこの年末の
金融
に対して詳しく話して頂きたい。こういうことに対して一つ御答弁を煩わしたいと思います。
小笠原三九郎
35
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。
政府
がやることといたしましては、先ほどお答え申上げた
通り
、現在中小業者のために
預託
してあるこの指定
預金
、これをまあ大体において三カ月延期しようということと、それから商工中金が一番対象にな
つて
いるが、これは中小企業者に対する貸付の別枠のうち五、六億は商工中金に振向ける分があるから、これを振向けるというようなこと、及び国民
金融
公庫、中小企業
金融
公庫等がそれぞれ風水害の復旧
資金
に三億ぐらいずつ使われておるので、こうい
つた
ものをそれぞれ第四四半期分を繰上使用するというようなことにいたしたいと考えております。 なお申すまでもなく第三四半期は非常に
政府
資金
が散布超過になりますので、これが対策として、むしろ
日本銀行
に、例えば農林中金などに対しては売りオペレーシヨンで向
つて
おるというような工合に、
金融
の調整等もいたしております。それから若し又普通
銀行
のことでありますれば、これは普通
銀行
が
貸出
すことに対しては、これはできるだけ中小企業者に
貸出
すように従来も
言つて
おるし、あなたの
数字
でのお話もありますが、私どもは自分が得ておる
数字
に基いてかように考えており、又、事実、地方
銀行
等では中小企業以外には
貸出
先のない地方もあることは御
承知
の
通り
でありますので、そうい
つた
ことの一連の対策として、只今申上げたような措置を年末には講ずると、かように考えておる次第です。
平林太一
36
○平林太一君 そうしますと、話はわかりましたが、これは私どもは常に何と言いますか、
金融
の根本的な、いわゆる
大蔵大臣
としては、事、
金融
に対しての問題については、少くとも国の百年の大計をお立てにな
つて
もらわなくては困るのですから、そういうことを先刻来申上げておるわけでありますが、この際全国の
市中銀行
というものに対して、それぞれ
機会
がおありのことと思いますから、この庶民
金融
というものに対してどうしても頭の切換えというものをしなければならんということを、具体的に案を立ててお臨みになられることをこの際切に要望いたすわけですが、そういうことは、すればできるわけです。ところがやはり
銀行
は
銀行
として、
大蔵省
が指示しても、受けつ放しにしまして、そういうことをしないという憂いが多分にあることをもお考えにならなければならん。だから、よほどこの際は、年末に当
つて
、一つ庶民から今日まで不信に思われているのをこの際挽回しようと、挽回する方法というものはお前たち
銀行
当局者がよく考えればわかるじやないか、そうして今までとは違
つて
、
銀行
の庶民
金融
に対する態度が変
つて
来たのだよということを、全国民が……、そういうことは事実の問題で、特にこれは金の問題ですから一番わかる問題です。そういうことを是非一つや
つて
頂いて、当然みんなが
金融
の恩恵に浴して、そしてすくすくとおのおのの
業務
に安心して行かれるというような方法がおのずから講ぜられる。ひとりこれは中小企業だけではありません。農家にいたしましても、又俸給生活者にいたしましても、年末において生活
資金
として十万円か十五万円、少きは五万円、これを
銀行
から信用で借受けられる、或いは又俸給を担保に見越して借りられることができるとするならば、どんなにか年末というものが平和に年が越されるかと、こういうことです。これは諸
外国
の例は
大蔵大臣
のほうがよく御熟知と思いますが、一体、年表でありますとか、お盆であるとか、こういうときに、よく
日本
の
金融
業者は非常に平生と異らない態度をと
つて
おりますが、そういうときこそ何か私は
銀行
自体として、安らかな正月を迎えることができる、安らかにお盆を迎えることができるという一つの
金融
的な処置を全体の庶民に与えるという、一つの
銀行
の非常な高い識見というものを持たなければならん。そういうものが
日本
の
銀行
家には全然ない。ですから、その点を何か御工夫があるのじやないかと思いますので、重ねて一つ
大蔵大臣
に……。これはまあ本当に突きつめた話ですから、そういうこともできることを放置しておくからできないのです。
小笠原三九郎
37
○国務大臣(小笠原三九郎君) 御
意見
の点もよく承わりました。
政府
はできるだけのことをいたしたいと存じております。
西郷吉之助
38
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは、
大蔵大臣
は非常に急いでおられるようでありますから、この
程度
にいたしたいと思います。
—————————————
西郷吉之助
39
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは次の問題に移ります。冒頭申上げました
通り
、
協同組合
による
保険事業
に関する
法律案
が前
議会
の末期に
小林
君から提出されて、その際
提案理由
の
説明
だけは聞いておりますが、
政府
の意向等は聞いておりませんので、この案は
参議院
の
先議
事項でもございますので、この際
参考
のために
政府
当局の
意見
を聞いておきたいと思います。
河野通一
40
○
説明員
(河野通一君)
協同組合
による
保険事業
に関しましては、数年前から実は
政府
部内においていろいろ研究をいたして参りましたのであります。昨年の初めでありましたか、一昨年の暮でありましたか、この問題に関連いたしまして、衆議院の各党の議員の方方から、一つのこれに対する法制化、立法化の
法案
が議員提出として
提案
されたのであります。この
法案
につきましては、私どもはいろいろな点で、率直に申上げまして賛成をいたしがたいということであ
つたの
であります。爾来この
法案
を中心にいたしまして、従来から私どもいろいろ検討を加えておりました点を、衆議院のそうい
つた
関係
の議員の方々とも極く非公式にお打合せをいたして参
つて
お
つたの
であります。そのうちにだんだん
政府
部内における考え方と衆議院の各議員方のお考えとが近寄
つて
参りまして、若干の問題、これも非常に重要な点ではありませんが、若干の問題を残して大体
意見
の、非公式ではありますけれども、近付きを見て参
つたの
であります。そういうふうな段階に参
つて
おりましたところ、
参議院
におかれまして、たしか
小林
議員からであ
つた
かと思いますが、これらの問題に対する
法律案
の御
提案
があ
つたの
であります。この
法律案
の内容を拝見いたしますると、今申上げましたように、大体衆議院の
関係
と私どものほうと、通産省の中小企業庁も一緒に相談いたしたのでありますが、
政府
のほうと大体考え方が一致して参
つて
おりますものと、内容においてほぼ同じようなものであるようである、ただ一二の点において、私どものほうとしてどうも、了承と申しますか、同意申上げることがむずかしい点があ
つたの
であります。 率直に申上げますと、今
提案
にな
つて
継続審査
をされておりまする、あの
法案
につきましては、
協同組合
が引受をなし得る保険金額の最高限度につきまして、やや過大に過ぎると、あの
法案
につきましてはやや過大に過ぎると私どもは考えておるのであります。具体的に然らばどの
程度
の金額が適当であるかという点につきましては、いろいろ議論があると思いますが、私どもが行政当局としてこれらの問題に本格的にタッチをいたしまして、保険
契約
者の利益に対して万一にも損害を与えるとい
つた
ようなことのないように、十分にその保険業の堅実なる運営を確保いたして参りますためには、保険金額の点につきましては、少くとも当初の出発におきましては相当低い
程度
に押えて行くことが必要であろうと考えておるのであります。特に先般の北海道岩内における大火の結果を見ましても、これらの点について、
保険事業
というものが、特にこれは
金融
事業と同じように、或いは場合によ
つて
はそれ以上に堅実なるベースにおいて運営されることが絶対必要であります。万が一にも保険
契約
者に対して
契約
通り
の保険金が支払えないというような事態に立至
つた
場合における
保険事業
の信用を落すということの非常な大きな障害は、これはまさに私どもの想像を超えるものがあろうと思う。その
意味
から言いましても、この組合による
保険事業
というものが堅実に発展をいたして行きますためには、今申上げましたような点で十分に勿論そういう心配のないように、私どもも
法案
が成立いたしましたのちにおきましては、当然私どもの職責上の責任といたしまして、これらの事業が万が一にも破綻することのないようこ
監督
の責任を十分尽すのでありますが、その
監督
の責任を十分尽した上で、そうした問題の起らないように、やはり
法律
の
制度
というものもはつきりそこに堅実なベースに立つことが絶対に必要であろうというふうに考えておるのであります。 なお然らば、
政府
として、一体今出されておりまする
法案
について、
政府
提案
という形ででも、
政府
は積極的にこれらの問題について
提案
をするだけの腹構えができておるかどうかという点についてでありますが、若し仮に
政府
が積極的にこれらの問題について
法案
を御
提案
申上げるということを仮に前提として考えました場合には、現在考えられておりますような内容の案で、果して
政府
としてこれが積極的に出すというところまで踏み切れるかという点につきましては、やや私は率直に申しまして、自信がないと申上げなければならんと思います。
政府
の
提案
によ
つて
この問題を御
提案
申上げるということに相成りまするならば、更に
政府
の中の
関係
当局とも十分に打合せを必要とするのではないかと、かように私は考えておりますことを率直に申上げたいと思います。
西郷吉之助
41
○
委員長
(
西郷吉之助
君) この際、中小企業庁のほうの何か御
意見
がありますか。
秋山武夫
42
○
説明員
(秋山武夫君) 中小企業庁の振興
部長
であります。只今
銀行
局長からお話がございました
通り
、
協同組合
という形式で行われます
関係
から、私どものほうとしましても、前回の衆議院に出されましたもの並びに
参議院
に
小林
議員から出されましたものをそれぞれ検討をいたしまして、又
保険事業
の
監督
というような問題になりますれば、これは
大蔵省
の主管に属しますことでありますので、十分内部の連絡協議をいたしましたが、私どもは、実は
協同組合
という立場から、できるだけ中小企業者の利益になることを当然希望するわけでございます。果してその保険金の最高額が例えばもう少し高いほうが中小企業者の利益であるのか、或いは万一の危険という場合を考えればむしろ低くすべきじやないかという、二つの矛盾した
意見
の調整に悩みまして、結局
大蔵省
の
意見
に同調するということで、一応
政府
部内の態度は一致したわけでございます。只今最後に
銀行
局長からお話のございましたように、若しこれを
政府
提案
の形で出すということになりますと、今までのような考え方、いずれかと言えば必ずしも判然としない考え方では進み得ないということになりますので、大分問題は我々としてもむずかしくな
つて
参るということになろうかと考えております。
小林
議員の御
提案
になりました
法案
は、その点が実は
大蔵省
としても疑問としてお考えにな
つて
おられるようでありまして、我々もまだはつきりこの点いずれの案がいいかということを、断定的なことを申上げられるまで、最後の腹をきめかねておるという
状態
でございます。その他の点につきましては、私どもは全面的に賛成の意を表します。
豊田雅孝
43
○豊田
雅孝
君 今お話のありました最高保険金額は、原案は幾らにな
つて
お
つて
、それから高いというふうに言われておるようでありますが、どの
程度
ならいいというふうにお考えにな
つて
おりますか。
河野通一
44
○
説明員
(河野通一君) 私の
承知
いたしておりますところでは、たしか
小林
議員の御
提案
にな
つて
おりまする
法案
におきましては、資本金の最低限度が三百万円、それに対して保険金額の最高は、その十分の二と申しますと、つまり六十万円、それから自己資本金がだんだん殖えるに従
つて
最低の保険金額はだんだん上げて行
つて
いいことにな
つて
おりますが、その最高は百五十万まで上げられる、こういうことに相成
つて
おります。それが衆議院の議員の各
関係
の方々が中心にな
つて
御研究になりまして私どもに御相談のあ
つた
案、これは最終決定までは実は至
つて
おらなか
つたの
でございますが、大体お話合いができておりました当時は、最低の資本金はやはり三百万円、一件の保険金額の最高限度はその自己資本の十分の一、従
つて
自己資本が三百万円の場合、一番最低の場合におきましては、保険金額の最高は三十万円とい、うことに相成るわけであります。それからだんだん自己資本が殖えて来るに応じて最後にシユープリームとしてと
つて
おります
数字
としては、百五十万円という
数字
、この点は
小林
議員の御
提案
にな
つて
おりますものと変
つて
おらないように私は
承知
いたしております。
豊田雅孝
45
○豊田
雅孝
君 それでは
政府
のほうで高いという判断をせられておるようでありますが、どれくらいならいいというふうに考えておられるのでありますか。高い、低いという判断をする以上、何か一応の基準を持
つて
おられるのじやないかと思うのですが、それも併せて伺いたい。
河野通一
46
○
説明員
(河野通一君)
保険事業
における自己資本と申しますか、要するに保険の支払
準備
になりますものと保険の一件当りの金額との割合というものは、民間の保険会社等における事業におきましては、これは経験的に出て参ります。併しこれは圧倒的にその割合が違
つて
おるのでありまして、その例を以て組合保険の場合に当てはめることは非常に困難であろうと思いますが、大体私は、今申上げました衆議院のほうでいろいろ議論をされておりまして、私ども一応その問題について
意見
を聞かれました当時、今申上げましたような大体最低の資本金の場合における最高の保険金額三十万円
程度
、つまり大体自己資本に対して一割
程度
の保険金額であれば先ずよいかというような感じでございます。併しこれはそれでもまだ、一件の金額が自己資本の十分の一ということでは、保険というものの危険は分散されますけれども、集中する度合ということも考えなければなりませんので、その点、自信があるかと言われますと、やはり個々の事業のやり方、或いはその運営の堅実なやり方とい
つた
ようなものを十分個々について判断いたしませんと、如何なる経営者、如何なる陣容によ
つて
この問題が扱われても、この
程度
であれば大丈夫ということは申しかねると私は思うのであります。ちよつと
委員長
、速記をおとめ願
つて
……。
西郷吉之助
47
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
西郷吉之助
48
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 速記を始めて下さい。
豊田雅孝
49
○豊田
雅孝
君
小林
案の保険金額六十万円にいたしましても、戦前の金にでもすれば千五百円になるかならんかというような金で、従
つて
そういう点じや六十万円くらいの保険金額でも、一体中小企業者が保険をやるという場合に、果してその
程度
のものでいいかどうか、非常に問題だろうと思うのですが、併し今お話のように保険金支払い能力というものがあるということになると、これは全国地区の組合をむしろ推奨せられるという気持にな
つて
おられるのかどうか。 それからもう一つの問題は、これは先ほど同僚議員からもいろいろお話がありましたように、一般
金融
関係
を見ても、中小企業その他から、要するに中小産階級全体から
金融
機関は
資金
というものを吸上げるわけですが、それの大部分というものが大企業の方面に流れておる。そこに非常に非難が出て来るわけですね。又保険
関係
を見ても、保険会社に、この中小産階級以下の保険料というものは、これは非常なものだと思うのですが、その吸上げた保険料収入というものは、これは又大企業本位にのみ使われる。そういう点から来る非難、それが集積せられて、一つの抵抗とな
つて
現われておるのが、中小企業の専門
金融
機関を作れとか、或いはもつと
政府
資金
を導入せいとか、或いは又保険
関係
については保険
協同組合
を認めろとかいうような問題にな
つて
来ておると思うのです。これは中小産階級の金を吸上げるが、それはもう皆大企業方面に流れて行くということに対する私は一つの抵抗の一般的な現われだと思います。従
つて
組合で保険をやる場合に、最高保険金額が低くなければならんということで行くならば、全国地区の組合で相当の出資をさせて、その代り最高保険金額というものは相当高いところにというか、或いは中小企業としてもそれだけの保険金額をもらえば一応後顧の憂いがないという
程度
の金額にするか、或いはさもなくば保険会社というものを中小企業資本によ
つて
やることをお認めになるかどうか。又お認めになることが然るべきじやないか。これは実際この現在の資本主義下においていろいろ問題が出ておるわけですが、これをうまく収拾してゆく一つの途としても、大体中小
関係
から出てい
つた
資金
というものは、大体において中小に戻
つて
来るというような仕組を考えなければ、もう中小
関係
はや
つて
ゆけんというところへ来ておる、これはもうそのいい悪いは別として、厳然たる事実なんです。そういう点から考えれば、今言
つた
ように、いろいろこの保険組合の問題があるならば、むしろ中小企業資本による新保険会社というものを認めるかどうか。そういう点について如何でございますか。
河野通一
50
○
説明員
(河野通一君) 只今のところ、そうい
つた
ら新しい保険会社の設立を認めるという考えは持
つて
おりません。ただ今御指摘のように、危険分散という観点から申しますと、できるだけ危険の分散される
地域
の広いほうがいいことは、損害保険におきましては当然であります。従いまして今度の北海道の岩内の例を見ましても、やはり業種別の全国組合、全国を
地域
とする組合の
保険事業
におきましては、割合その打撃は少か
つた
というような例もあるのであります。併しながらこの問題を考えます場合におきまして、私はやはり組合による
保険事業
という特質があるのでありますから、やはり組合保険という一つの基本的な筋に入り得るものであることが必要であろうと思うのであります。具体的に申上げますならば、これはいろいろ問題はありましようけれども、少くとも全国的な
地域
を区域といたしまする組合保険におきましては、やはり業種別と申しますか、同業者ということでお互いに組合的に結合いたしてゆくもの、そうい
つた
ものを大体対象といたしまする
保険事業
が大体全国を規模とするものとして考えられるものではないかという、ふうに思
つて
おります。従いまして、中小企業者というものを対象とする全国的な
保険事業
という種類のものにつきましては、組合保険という性格から見まして、果してそういうことが適当であろうかどうかにつきましては、私どもは、これは、よほどやはり慎重に検討を要するものではないかというふうに考えております。尤もこの問題につきましては、まだ中小企業庁とも相談をいたしておりませんので、まだはつきりとした結論として申上げるわけに参りませんか、私としては今そういうふうに考えております。
豊田雅孝
51
○豊田
雅孝
君 今の御答弁で、保険会社の中小企業資本によるものを認めないということになれば、これはいい悪いは別として、そういう考え方でゆくということになれば、この保険組合
制度
によ
つて
中小企業者が保険をやろうという場合に、地区をどうするか、どうするかというような問題もありましようが、何とか折角認める以上は、中小企業独自の保険
制度
らしい保険金額にするということでないと、子供瞞しみたいなものを作らして、そうして又ちよつとまとま
つた
火事でもあ
つた
ら大変だ、まあそうだからやめたほうがいいということに追込んでゆくのでは、作
つて
おいて叩くというか、私は政治としてまずいと思うのです。この際保険会社を認めないならば認めないで、それに代るものとして、こうもすれば相当な作り甲斐のあるものになるのだという誘導的な行き方をするのが、私は当然じやないかというふうに考えるわけなのでして、そういう点についてお考えはどうでしようか。
河野通一
52
○
説明員
(河野通一君) お話の点も十分考えて参りたいと思いますが、この点につきましては、私どもは、中小企業者のための
金融
機関が必要であるという問題と、中小企業者のための保険会社が必要であるという問題とは、おのずから分けて考えて参らなければならんと思うのであります。中小企業者のために、先ほど来平林
委員
からも縷々お叱りを受けたのでありますが……、に対して、例えば都市の大
銀行
等が金を貸すということをなかなかしないということは、仮に事実であるとするならば、これはやはりそうい
つた
ものを専門に扱うべき
金融
機関というものが必要にな
つて
来る。勿論私は大
銀行
に対してもかねがね中小企業に対する融資ということに大いに努力しなければならんということをたびたび申して参
つて
おります。又今後もできるだけそういうふうに努力をさせるようにいたしたいと思うのでありますけれども、それにいたしましても、やはり十分に手が廻らんということになれば、中小企業専門の
金融
機関というものが必要にな
つて
来る、例えば相互
銀行
であるとか信用金庫或いは
政府
の
金融
機関であるとか、そういうものが必要にな
つて
来ると思うのであります。併しながら、まあ保険におきましても、生命保険と損害保険と違いますが、損害保険におきましては、中小企業であるから保険会社がその保険の扱いをいたさないということは、私はないと思います。若し仮にそういうことに対して損害保険会社が中小企業の物件については保険をとらないというようなことが仮にあるとすれば、これは今お話のようなことも考えなければならんかと思うのでありますが、私はまずそういうことはないと考えております。現に現在の民間の保険会社の火災保険の普通物件における
平均
の保険金額は五十万円であります。五十万円ということは、五十万円以下のものも相当あるということであります。そうい
つた
ことから考えまして、私は三十万円という金額は決して高い金額とは思いませんけれども、そういう点から考えて、必ずしもそう問題にならんほど低い金額とは私は考えておりません。併しここに問題があるとすれば、やはり民間の保険会社の保険料が高いじやないかという問題があると思うのであります。民間の保険会社の損害保険料が高いということは私も認めます。現に数年前からすでに数回に亘
つて
引下げを行な
つて
参りました。これからも来年の初めにかけて更に引下げを行わせるつもりで、現在具体的に作業をいたさせておりますが、そういうことで、保険の料率の引下げについては今後も努力いたします。併しそれにいたしましても、現在やはり保険料が高過ぎるという議論が出て参
つて
おります。中小企業者に対してはもつと安い保険料で保険の便益を得られるような施設がなくてはいけないという議論として、この問題が出て参
つて
おることは、これは私もよく
承知
いたしておるのであります。その限りにおきまして、できるだけ保険会社の保険料も下げるようにいたしますけれども、他面において、この組合保険における保険料というものが余りにこれを低くして行きますことは、先ほども申上げましたように、又損害保険としての保険の填補について不安を起す虞れが又一方にも起
つて
来る。それは両方極端に物を考えては勿論いけないのでありますが、それらの問題も併せて考え、保険の事業としての堅実性を維持しながら、その範囲内においてできるだけ保険料を下げるというふうな努力がなされることが必要だろうと思うのであります。中小企業等を対象とする組合保険の存在ということか私は否定さるべきものでないということは先ほど来申上げました
通り
でありますが、その問題につきましても、今申上げましたような観点からこの問題をお考え願いたいと思うのであります。結論から申上げますと、私どもといたしましてもできるだけ民間保険会社の保険料も下げますが、同時に組合保険におきまして保険料を低くすることのみに余りに急でありますると、却
つて
保険者としての責任を果すという点において、ややもすれば不安と申しますか、十分でないという問題を起しやすいという点もあるということも、両者相併せてこの問題を考えて参らなければならん、かように私は考えております。
豊田雅孝
53
○豊田
雅孝
君 今保険と
金融
機関というものはおのずから別だというようなお話でありましたが、そうして又保険会社で中小企業の保険を取らんということはないじやないかというお話、私は取らんどころではない、大いに取ろうと競争し抜いておるのであります。これはよく
金融
機関には
貸出
こそしないけれども中小企業の
預金
を狙
つて
狙
つて
しようがないのと同じことなんです。要するに中小企業界から金を吸いあげて行こう、これは大いに数も多いから吸いあげて行こうというのですが、蓄積せられた
資金
が中小企業にも健全な
運用
でなければならんであろうが、健全な範囲内においてバランスのとれた行き方をするような、良心的と申しますか、そういう行き方にな
つて
おるかどうか、そこに根本問題があるのです。先ほど来、私が保険
協同組合
制度
というようなものを中小企業界から要望するその行き方というものは、これは要するに中小企業が自分らから出した
資金
というものは健全な範囲内においては自分らでやはり活用し得るようにしたいという一つの傾向の一連の現われなんです。そういう見地から考えてもらわんとこの問題は解決しないであろうということは、そこにあるのです。それで保険料の高いこともこれは甚だ怪しからんが、安くせんならんけれども、保険料を安くすることのほかに、中小企業、中小の階級から吸いあげた
資金
というものは、やはり健全な範囲内においてはこれを中小企業等のためにも活用して行こうという気持が具体的に現われるかどうか、それが非常に問題だと思います。これはやろうと思えば、例えば商工中金債の引受とかいうようなことで或る
程度
行けるでしよう。併しなかなか問題は解決しない。そういう面をやはり補うためには、保険組合
制度
なり或いはできれば中小企業信用保険会社を作
つて
、そうして自分らの保険料として蓄積したようなものはやはり健全にこれを活用して行く途をせめて作らなか
つた
ならば、今のようにやり切れんという問題があるけれども、そこを一つ今後お考えにな
つて
保険会社もお認めになるかどうか、或いは認めないとすとならば、保険組合
制度
というものが相当保険金額としても常識にある
程度
のものになる。それでなければ、第一、保険料も寄らんのですから、そうして又蓄積せられたものが健全に
運用
せられるような仕組を一つお考え願いたい。そうでないと却
つて
だんだん思想的というか、要するに
経済
的思想が悪化して、それでますます始末の悪い
方向
へ行く。だからむしろ余りここでいろいろ抑えるということは一文惜しみの百失いになる。私は正にそうだと思
つて
非常に心配しておるのです。ですからそういう
意味
で一つ今後これを本当に大事に至らんうちに善導、誘導して、目的を達成せられるようにしようというお考えで、できるだけのことを一つ考えようという
方向
で進んで頂きたい。
杉山昌作
54
○
杉山
昌作
君 現在組合でや
つて
おるのは全国に一体どれくらいあるのか。その金額がどのくらいにな
つて
おるのか。大体のことはわかりますか。大体の
数字
でようございますが。
秋山武夫
55
○
説明員
(秋山武夫君) 現在の
協同組合
法によります組合の形式で火災保険のみを目的として作られておる組合というものと、それから一般の
協同組合
の、いわゆる
経済
事業を営みながら、かたわら
保険事業
を営んでおるもの、この二色ございます。それから、そのかたわら
保険事業
を行な
つて
おるものの中に、更に火災保険のみを、火災共済と称しておりますが、火災共済のみをや
つて
おるものと、それから併せて生命共済的なものをや
つて
おるものと、この二つがございます。
杉山昌作
56
○
杉山
昌作
君 内訳でなくて、その総体で何組合と言いますか、何事業と言いますか……。
秋山武夫
57
○
説明員
(秋山武夫君) 只今申上げますのはいわゆる兼業ではございませんで、共済事業を専業として考えておるものを主として申上げます。組合の総数では現在十七、尤も現在と申しましてもこれはちよつと古いのでございますが、本年の一月三十一日の調べでございますから、やや古いのでございますが、この前、
法案
が問題になりましたときに調べましたもので、当時で組合数は十七ございまして、そのうち出資額で申しますといずれも大体が低いのでございますが、五十万円未満の出資額というのが十一組合ございます。それから組合員数で申しますと、やはり十一組合は三百人以上ということで、これは範囲は食い違
つて
おりますが、たまたま同じ十一組合が三百人以上、即ち人数はまあ今回の
法案
の三百人というところと一致しているものが十一ある。併し同時に出
資金
で見ると、非常に低いという現状でございます。
杉山昌作
58
○
杉山
昌作
君 兼業でや
つて
おるのはどれくらい、組合の数は。
秋山武夫
59
○
説明員
(秋山武夫君) 兼業というのはちよつと調べがつきませんで、私ども
数字
を持
つて
おりませんが、これは非常に広い範囲に亘
つて
おると思います。つまり見舞金というようなものを出すという……。只今申上げましたのは、いわゆる共済掛金を徴する、性質から言えば、先ず保険に近いと思われるようなものを挙げたわけでございます。これが十七ございます。
杉山昌作
60
○
杉山
昌作
君 そこで私はちよつと、さつき
銀行
局長の話、初めの話だと、まだ研究中で積極的に
政府
のほうでは
法案
を出すまでの気持にならないというお話だ
つた
。今のように単純な組合、十七ぐらいしかないと
言つて
も、これは最近どんどんできて来ておる。それから兼業でや
つて
いるのが何組合あるかわからないという、これはいい加減な数があるのじやないかと思います。結局今の豊田さんのおつしや
つた
ような
金融
という面もあるかも知れませんし或いは
銀行
局長のおつしや
つた
保険料が、
営業
保険料が高過ぎるという点もあるかも知れません。とにかく何らかの必要で自然発生的にできて来ておるのですね。この傾向はだんだん殖えるのじやないかと思います。そうしますと、それをいい案ができないということで延ばすということは、私は非常にいやな気がする。というのは、こういうふうな
金融
関係
のものなんというものは、
法律
ができて事業ができるのじやない。事業のほうが必要に応じて先にできてしまう。一番いい例は、保全
経済
会を中心にしたあの
金融
機関、あれもどんどんできて来た。それを取締るいい方法がない。どの
程度
にや
つた
らいいかというふうに考えているうちにどんどんできてしま
つて
、ああいうふうな問題を起してしまうということにな
つて
、この保険なんかも慎重に一番いい案をお考えになることは是非必要でもあるし、そうすべきものでありましようけれども、
政府
はなかなか積極的にまだやる段階ではないということを
言つて
おる間に、保全
経済
的な
金融
機関に見るような現象が起きたらむしろ困るので、やはり先手を打つくらいの気持で、もつと積極的におやりになるというふうなことは如何ですか。
西郷吉之助
61
○
委員長
(
西郷吉之助
君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
西郷吉之助
62
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは速記を始めて下さい。 本日はこの
程度
にいたしまして散会いたします。明日は午前十時に開会いたします。 午後一時三十一分散会