○平林太一君 それで今極めて筋の通
つた御答弁を伺
つたわけですが、
一つ、こういうことは、こういう事態によ
つて壊滅、崩壊したということで、これをこの機会においてただに責むることのみを急にしては私はならないと思う。そうすると、やはり角を矯めんとして牛を殺すということになりますので、それについては、今度こういうふうな事態に
なつたという原因がどこにあ
つたかということは、本日それを御答弁を伺わなくてもよろしうございますが、非常にその点は法務当局としては深い御思慮を払
つてや
つて頂きたいと思うのです。実はこういう案は、
法務省と
大蔵省が合作でやるというようなことは、これは恐らく偶然のことなんです。
金融に関することですから当然
大蔵省が立案して、そうしてその立案に対して
法務省のいわゆる司法的
取締、
社会秩序の上からそれに対する
意見を盛り込んでゆくということが、常識的に我々が考えられる問題です。ですから、そういうことについても
一つ考慮を十分払われて、そういう点、行き過ぎにならないようにすること……、私が申上げておることは、庶民
金融というものが非常に厳しくな
つて、全然影をひそめてしまうというようなことになると、容易ならん事態が出て来る。それならばやはり世の中で
金融を受ける者はそれだけの特別なる階級にしか属さないということに相成るわけなんです。庶民
金融というものは、今度は
資金を集めたということで、そのほうは非常に厳しく糺弾されております。併し全然それが
貸付をしないで……、そういう立場じやないのであります。
貸付をしたほうにも相当の
利益がある。それで私御参考までに申上げて御
意見を伺いたいというのは、今度壊滅したという事態に対しての最大の原因というものがどこにあるかということは、これは私から申しますれば、
大蔵省でもない、国税庁でもない、
法務省でもないのです。どこにあるか。新聞紙上で極めて厖大なる政治献金というものがその主体をなしておるわけです。政治献金というものが主体をなしておるというと、それでは政治献金を……いずれにしても
一つの企業ですから、そんな厖大な何千万とか或いは億に達する、一億、二億というような金を誰もみずから神社仏閣にお賽銭を上げるというようなことでこれはや
つた行為ではないのです。何らかのここに
一つの誘導がある、最も平和に申上げますれば……。それからもう一歩進んで申上げますると、誘導ではない。
一つの要請があ
つた、要求があ
つたわけです。その要求、要請に対して、やはり庶民の企業としての弱さから、つまりそれを出さざるを得なく
なつたという事態も、私は見逃がしてはならないと思うのです。そうすると、どうなるか。
一つの企業でそういう厖大なものが要求されて、その弱い庶民の立場において、
一つの圧力によ
つてそれを出してしまうということになると、孜々営々として努力勤勉しておる事業形態というものは、これは自暴自棄にならざるを得ない。自暴自棄になると同時に、そういう厖大なる強制、強圧力に対して、いわゆる
一つの信頼をするとか、それから常識では判断のできないような、つまりその力に対する大きな献金をしたということ、それに対してみずから慰める、或いはそれによ
つて一切の良心的なことが麻痺してしまう、そういうことが今度の庶民
金融機関の崩壊の最大原因であるということを、これは全部とは私は申しませんが、言わなくちやなりません。特にすでに新聞紙上に発表せられておりまする事実から見ますれば、政権担当下の政党が、最も強大なるところのいわゆる庶民
金融からの献金を受けておる。現在衆議院においては、当年の幹事長であ
つた廣川弘禪であるとか、或いは池田勇人、こういうようなものが、もやもやしておる。どういう事態であ
つたか、こういうことになる。そうすれば、今度こういうものが潰れたということは、私はそういう面をも
一つ考慮して、必要以上の何かその企業に対する不信用の
行為を以て今度の
法律を作
つてはならんと思います。恐らく今度はこれを以て、政党なりそれぞれのそういう力を持
つておる
一つの団体が、かような零細なる
資金を集めたその企業体に対して
一つの力を、威圧を加えるなんということは根絶したいと思います。今後は恐らくこれはないと思います。又これはあ
つてはならないと思います。そうなると、これは
一つの企業主の、つまり企業経営者の人柄とか能力によりまして立派に経営ができて行くところに、経営者もよし、又それを利用する人もよいというところに、いわゆる
社会機構全体の中になくてはならない
一つの存在というものがそこに成立して、そしてそれぞれ所を得るという行き方があり得ると思うのです。ですから、私は多くを申上げませんが、十分にこういうことを御考慮になられて、今度の
法律に対しましては
一つ十分にして頂きたい。
法律を作
つて見ても、実際はそういうものを根絶するのではないと称してお
つても、
考え方によりまして、その作る
法律というものが事実の上においてはこういうものがあとを絶
つてしまうというような事態になるということにも相成りますから、その点は十分にお考え願いたい。監督関係におきましての
大蔵省、或いは政治関係におきましてはそれぞれ政治的に、
一つの
金融だけではありません。他にもこういうような形態のもの、類似のものは、
金融面でない他にもたくさんあるのでございますから、そういうことを
一つ御考慮を願いたいと思います。私の質疑は本日は終りますが、こういうことにつきまして法務当局としてはどういうふうにお考えになりますか、先刻から私は、どこに原因があ
つたか、今度潰滅崩壊した、これは名を指してはいけませんが、伊藤斗福にしても或いは日殖の何がしにしても、そういうようなところの原因の中にそういうものを全然御考慮に入れておらないのですから、ただその
会社自体が濫費し、みずから墓穴を掘るような事態をしたのかどうかということなんです。併しそのことは、なぜかと申しますと、
資金を投じたものがそれによ
つてこのような非常な損害なり非常に大きな怪我をしたわけなんですから、実際においてはそういうものが育成さえしておりますればこれらの者はそういうことの難を逃れたのでありますから、こういうことを私は本当に物の裏を非常に考え心配するわけなんです。そういうことについての御私見がありますか。御私見で結構なんですが。