○
国務大臣(
小笠原三
九郎君) 今の税につきましては、御
承知の
通り農村のほうは、超過供出については無税にするとか、供出について各種の条件が付いて無税々々ということにな
つておる。又食糧のああいう特殊事情等もございまして低くな
つておることは
お話の
通りだと思います。なお俸給生活者と今の
中小企業との
関係、片方は一一%、片方は二〇%云々という
お話でございましたが、これは的確な
数字を存じませんが、まあこれもそういう表現が間違
つておるかも存じませんが、つまり俸給生活者は完全に全部が課税される、それから中小業者のうちにはいろいろ経費の他覚られる分が相当ありまして、或いは見方が酷に過ぎて重くな
つておるかも知れませんが、多少そこに、言葉が悪いかも知れませんがゆとりの部分が俸給生活者に比べればある。そこで表面見たようなこともないのじやないかと私は
考えておりますが、それはもう少しよく調査した上でお答えを申上げたいと存じております。
それから今の先の見通しがなければという
お話、誠に御尤もでございます。私
どもが昨年の秋に皆様の御協賛を得て
一連の
政策をやりまして以来、物価について申上げますと、丁度本年の二月五日から十日くらいが一番高かつたのでありますが、そのピーク時代に比べますと卸売物価においては八分二厘くらい下
つております。従いまして相当これが輸出面にも
影響して参りまして、輸出のほうでは、仮に一月—六月をとりますと、昨年同期に比べますと三割八分、約三割輸出が増加いたしております。それから更に七月は一千万ドルもの黒字にな
つておることも御
承知の
通りであります。八月になりますと二千万ドルばかりの黒字にな
つておりまして、幸いこの点は貿易の面は頗る
一般的に申せば順調であります。ただ併この中にはオープン・アカウント地域に行
つておるので、そのうちにインドネシアに少し焦げ付いているものもあるのじやないかという
お話もございまして、これも
お話の
通りのところもございますが、併し大体スターリング。エリア・ポンド地域に出ておる分が相当殖えておりますので、全体から見まして
只今申上げた
通り貿易等は大体順調にな
つております。
従つて国際貸借も改善されまして、ひと頃例えば六月の末くらいには相当外貨が減るのではないかというふうに見られておりましたけれ
ども、七月末になりましてなお七億数千万ドルの外貨を持
つておるということでありまして、私
どもが決して自画自讃する意思は毛頭ございませんが、ただそういうような効果が皆さんの御努力によ
つて出て来ておる。
従つて貿易面が好転しておるということは、おおいがたい事実でございまして、それが非常に
政府が予想しましたよりも、むしろ
資金の撒布が殖えておるのは、輸入
資金が減
つて輸出が殖えておる、そんな
関係で、今のような少し散超状況の結果を来たしておるような次第でございます。大体から申しまして、私
どもに、今の貿易は単純に価格が安く
なつたから余計出るとは申されません。と申しますのは、大体向うとのそれぞれ協定に基いてやるのでありますけれ
ども、ただ安くないと、協定をしておいても、折角例えばイギリスならイギリスと同額の、一億ポンドなら一億ポンドという協定をいたしましても出て行かない、それが今日は出て行くようにな
つておるということでございまするので、大体貿易の面から見ますると、私
どもは最初五分乃至一割ということを申上げましたがほぼ二十九年度では目的を達しつつあると存じております。併しいま少し、これは全体ではございませんが、国際的に見て、出て行く輸出品についてはなお少し下つたらいいと期待しておるものがございます。
ちよつと例を挙げますと、今の繊維品はもう下る必要は毛頭ございません。現在のところ世界的にどことでも競争力を持
つております。併しよくプラント輸出の例として言われておる鋼材、各種の薄板とかああいうものがたくさん出ますが、こういう鋼材等がまだ
ちよつと下ることを期待しておる。現在でも最高時に比べては一割くらい下
つておりますけれ
ども、もう五分くらい下
つてくれると輸出力を増して来ますので、特にいわゆる東南アジア
方面、南米地方、この
方面へ相当輸出力を持
つて参りますので、これはもう少し下
つて欲しい。それで
合理化等についての
措置をもつと進めたいと思
つております。全体から見まして、私
どもはこの趨勢で行きますれば、三十年度は仮に特需た変化がないとすれば黒字になると存じております。
そこで、それでは特需はどうなんだというお尋ねがあろうかと思います。特需は本年の三月三十一日に作りました外貨予算の編成のときには七億一千万ドル見込みました。ところがその後、仏印の戦争が終つたとかいろいろな問題がありまして、相当減
つて参りました。現在のところは大体六億ドル見当ではないかと思
つております。六億ドルは欠けないだろうと思います。そういたしますと、当初赤字を一億ドル以内に押えたいと見ておつたのでありますけれ
ども、
ちよつとここで二億一千万ドルになる勘定になります。ところが特需の而から見ますとそうでありますが、今の輸出が当初三月三十一日には十二億七千万ドルと見ておりましたのが、今日のところでは大体十四億ドル可能だと私
ども見ております。十三億五千万ドルくらいに見ましても、大体一億五千万ドル以内で今年の赤字は済むのじやないか、こういうふうに見ております。従いまして、明年度になりますと、漸次物価が下りつつあり、例えば薄板のごときものも一割から下
つておることは皆さんが御
承知の
通りであります。
従つてそれだけに競争力を加えております。それから又プラント輸出は相当註文等も参
つておりまするから、輸出入
銀行の
資金の追加もございまするので、増加するということを考慮いたしまして、来年度は大体黒字までは行きませんがとんとんのところには持
つて行けるだろう。併し今申上げた六億ドルという
数字は、これが破れますと又別の工夫を要すると思いますが、特需六億ドルと見ますれば来年度は赤字にはならない、こういうような見通しを立てておるのであります。従いまして、
日本の商品が国際競争力をつけてそれ自身
経済自立が達し得る立場になりますれば、この上は
拡大均衡というところに持
つて行かなければならない。言い換えますと、
日本では輸入を昨年二十三億ドル入れましたけれ
ども、本年は二十億ドルにな
つております。三億ドルの原材料が減
つて来て、それだけ製造するということは、それだけ失業者を防ぐことになります。それが要らないというと、やはり産業はそれだけ失業者を生むということにな
つて参りますので、
ちよつとその他は言えませんが、そういう結果を来たしますので、
日本のような国では何としても
拡大生産、
拡大均衡のところに持
つて行かなければならない。それから
日本の品物が競争力を持つことですが、三十二年には少くともこれをやり得る、よく経審で出しておる十八億ドル、これはそれが一番望ましいことで、これは三十一年度にそういうふうなことを見ておるようであります。私は、今の模様で参りますればもう少し、或いは三十一年を忍んで頂けば、国際競争力に国内のものがついて行ける。
従つて拡大均衡のほうに持
つて行けるという確信の下に私はすべての処理をいたしておる次第であります。