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1954-09-07 第19回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月七日(火曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            藤野 繁雄君            杉山 昌作君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            西川甚五郎君            安井  謙君            土田國太郎君            豊田 雅孝君            前田 久吉君            野溝  勝君            森下 政一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    自治庁税務部府    県税課長    細郷 道一君    自治庁税務部市    町村税課長   中西 陽一君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (租税及び金融問題に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より大蔵委員会を開会いたします。  本日各委員会からいろいろの質疑がございます。例えば中小企業に対する税制運用に関する問題、或いは通関手続の問題、国税に関連して地方税問題等の御質疑の通告がございます。なお野溝委員より石油鉄鋼に関しまして緊急質問をいたしたい、なお時間の関係があるので最初にしてもらいたいというお話がございますから、最初野溝委員に御発言を願います。野溝委員
  3. 野溝勝

    野溝勝君 同僚委員の御了承を得まして誠に有難うございます。私はこの際特に開発銀行関連を持つております鉄鋼関連事業であるドロマイト事業に対する内容につきましてこの際お伺いをしておきたいと存じます。先ず本日はこのほうの関係局長でございまする鈴木さんがお見えになつておるようでございますから、鈴木さんにお伺いするのでございますが、通産省といたしましては、このドロマイトに対する事業が如何に日本の鉄鋼産業の上において重大かという点においては、すでに鉄鋼政策一環として通産省から発表された方針があるのでございますが、その方針は今日変改されたことを私は聞いておりませんが、その点に対して先ずお伺いしておきたいと存じます。
  4. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) その点については変りないと存じております。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 多分変つたということを聞いておりませんが、私もさように了承しております。ところが最近新聞紙上を見まするというと、この方針が変改されるような動きを示しておるやに見受けられるのでございまして、若しこれが事実とすれば、私は今鈴木さんが御答弁になられました方針に対し、大きな変更を余儀なくされるようなことが来はせんかと案ずるものであります。と申しますのは、新聞紙上にこういうことが出ておるのであります。「鉄鋼反対押切り合併案いよいよ提出」、そこで内容は、「磐城セ持株に物言わす」、内容は、「磐城セメントではかねて同社が大株主である不二ドロマイト工業資本金一億円)を合併しようとして、合併反対する鉄鋼業界切り崩し工作を進めていたが、いよいよ甘一日の不二ドロマイト役員会にこの問題をかけ、強引に乗取りをはかることになつたもようである。現在、鉄鋼業界が強い反対をしているにもかかわらず、磐城七、鉄鋼業界三という株式比率がものをいつて乗取りは成功する可能性が強いが、これは通産省がこれまでとつてきた不二ドロマイト工業育成方方策と逆行することになり、さらには独禁法との関係から公取委としても黙視できないものとみられるので、各方面に重大な問題を投げかけるものとして成行が極めて注目されている。」云々、こういうことが出ております。この合併によつて合併をしなければならないという、いわばしようとするところ磐城側見解としては、こういう理由を掲げております。「1合併によつて資本金が大となり対銀行関係も強化され運転資金の借入も有利となる。また諸経費電力の融通なども良くなりコスト切下げが可能である。2設立当初鉄鋼メーカー側の熱意が足りなかつた。3合併後といえども販売価格引下げをはかるとともにセメント生産に転用したり、クリンカー生産量を変更して鉄鋼業界に対して不安を与えるようなことはしないとしている。」これがいわゆる合併賛成の三つの理由でございます。反対側理由を申上げますと、「1合併によらなくとも年間六千万円の純益をあげている現在十分コスト切下げはできる。人件費といつて結局本社費のみでありコストヘの影響は問題にならない、また電力にしても大半は鉄鋼特殊関係によるものが大部分である。2資金的援助を高く評価しているが、借入金は金利を、その保証については保証料を徴収している。3鉄鋼業に不安を与えないとしているが、これまでの経緯から信用し難いとしている。」  こういう賛否の意見が出ておるのでございます。そこで私は、特にこのドロマイトが、こうした鉄鋼業界になくてはならない産業として、鉄鋼業一環として、政府が、今鈴木氏の答弁の中にもありましたごとく、さような方針で今日まで進んで来た。特にその能率を挙げるためには、開発銀行に対しまして認定書まで出させて、いわゆる証明書といいましようか、融資に対する斡旋認定書まですでに前任局長は出しておるのであります。さような方針が一貫して変らんということでありまするならば、その方針を踏襲して行かなければならない。折角国策機関としても、いわゆる開発銀行に多くの政府資金を出して、その政府資金の中から、特にドロマイトに必要な資金として二億五千万円も出しておるのであります。今後も相当これとの関連において踏襲しなければならない情勢にあると思う。して見ると私は、今日は開発銀行関係者あと廻しにいたしますけれども、取りあえずその指導行政の任にある当局は、この間にあつて、折角これまで運営がよく来ておるのにあえてこういうことに対する、この動きに対して、特に前局長でございまする徳永君が強硬なる反対意見書を出しておるにかかわらず、どんどんとかようなことが進んで行くということは、一体鉄鋼業界の将来というものに何ら支障がないと言い得るか、或いはかようなことに対して当局は遺憾の意を持つておるのか、或いは今後どうしようとするのか、この間に立つてどういう措置をとろうとするのか、その見解をお伺いしたい。
  6. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 只今お話がありました通り、いろいろ事情お話ところに尽きておると思いますが、大体の事情を申上げますと、この不二ドロマイト株式会社は、昭和二十六年の十二月に、ロータリーキルンにより、ドロマイト・クリンカー製造専門として設立をされました。そこで大体我々考えてみますと、このクリンカー消費量は、月に四万五千トンから四万八十トンでございまして、大体この工場が約全消費量の四分の一程度を占めることになつております。供給することになつております。そこで設立当初でございますが、資本金は一億円、開銀から二億五千万円出ております。そこでこのときの資本構成でございますが、これは磐城セメントが七〇%、それから残り三〇%を鉄鋼メーカー七社及び日鉄鉱業が保有しておることになつております。この当時いろいろ考え方があつたわけでありますが、磐城セメントの非常な積極的な面に鑑みまして、この資本構成がこうなつております。これが今日いろいろ問題になつておる一つ資本構成ところでございます。  そこで、今回の合併問題で、先ほど先生から詳しく新聞を引用されてお話がございましたが、磐城側合併による経費の節減、それから資金調達上の容易化、こういうような点を主張しておりますのに対して、鉄鋼側設立当初の趣旨ということと、それから同時に仮に磐城言つた通りになりますと、将来の鉄鋼原料としてのクリンカー供給の不安或いは価格の不安、こういう点を強く強調しているのでございます。我々このクリンカー鉄鋼原料としての重要性はよく存じておりまして、これの供給価格については今後とも不安のないようにしたいというのが我々の考え方でございます。本件につきましても、今後の鉄鋼原料供給確保という観点並びに価格について不安ないという観点からしてこの問題を処理して行きたい。かような趣旨から、現在この鉄鋼関係のものと、それから磐城セメントの間に円満にこのことが行くようにということを希望し、その方向に向つて努力している次第であります。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 今の鈴木さんの御答弁は、結論的に言えば、円満のために努力しているということでございますが、私はその円満のためと言つても、あなたは重工業局長としておられるのですから、重工業局長としての所管事務でございます、その所管事務、いわゆる軽工業から重工業に扱うようにしたのですから、ドロマイトについては……。その所管事務としての責任立場から、これをどういうふうに処理しようとしているのか、そういう点をもつと具体的にしてもらわないと困る。例えばすでに前任者でございまする徳永重工業局長のときには、この合併問題につきまして、こういうことを磐城セメント社長宛に出しているのです。「表記の件については、先般来より貴社において不二ドロマイト工業(株)合併する計画が進められつつあるやに仄聞するが、ドロマイト工業は、鉄鋼生産合理化のための重要関連産業であり、特に不二ドロマイト工業(株)は同業界において極めて重要な地位を占めていること、および同社設立当時の経緯に鑑み、当局としては同社運営には至大な関心を有しているので、果して貴社に不二ドロマイト工業(株)合併する計画があるか否か。」いわば先に大体の意思を標傍して、次にその意思を聞いていると、こういう内容から見ても、私はその間の気持を窺うことが……、十分明らかにされていると思うのです。それからこの会社合併賛成理由というものは、経営合理化のみに強調点を置きまして、生産合理北という点については、徳永君は生産合理化を主張しているし、齋藤君のほうは経営合理化を主張している。私はこの合理化は、両方とも並行的に行かなければ完全な合理化を図れないと思うのです。こういう点についても私はかようなことが軽々に行われることは非常に重大なる影響を各方面に与えると思うのです。そういう点について鈴木君の見解をいま少しく具体的にされたい、これが一つ。  それから一体何でこの他産業が、幾らセメント会社が儲けるからと言つて、何でもかんでもよその事業を自分の手中に納めなければならない、そんな必要ないではありませんか、現在うまく行つていないとか問題があるとかいうならば別でございます。私はこの点は鈴木君にも十分に考えてもらいたい。問題があつて初めてこれに対するところ対策というものはあるのです。うまく行つているものに何の対策がある。私はその条理がわからない。僕らの常識から言えばそんなことは判断できない。だから私はそういう点からも、鈴木君は新らしい局長ではございますが、やはりこれに対するところ専門局長でございますから、そういう点に対する見解をお聞きしておきたいと思います。
  8. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 只今いろいろ御尤もな御質問がございましたのですが、大体ドロマイト鉄鋼原料としての重要性は私ども十分考えているつもりでございます。そこでこの消費者である鉄鋼業者関係と、供給者の主体である現在の磐城セメント、この関係がうまく円滑に行くことを我々として切望している次第でございます。そこで我々の立場先ほど申上げました通り鉄鋼原料としてこれが将来必ず確保されるとか、それから価格について不安がない状態、将来低廉化すること、こういうことが我々の局としての考え方であります。で先ほど申上げ讃した通りこの方向に向つて努力して行きたい、こういうふうに考えている次第であります。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 これは、鈴木局長のそういうように努力すると言うことはよくわかるのでありますが、大体今申しました通り最初作るときの経緯というものは、これは一貫産業で、鉄鋼関連一貫産業として必要だということで作つたのでしよう。そうして斡旋費として二億五千万円の開発銀行融資に対する認定書というものを出したじやありませんか。これは明らかになつているのです。そうしてみれば、それが非常にうまく行つていないとか、或いはデッド・ロックに乗上げたということで、問題を新たに提起するならばよくわかるのです。そうでなく、うまく行つているのを、何が故に磐城セメントで七割の出資をしてあるから、これが今日合併論を出したから、それを考えなきやならないという理窟はないと言うのです。  そこで私の申上げるのは、特にこれが一貫産業でない。いわゆる他産業資本の力によつてこういうような合併とか指導権を取るということになりますれば、幾ら通産省がこれに対しまして努力すると言つてみたところで、今までのようなわけには行かないと思うのです、実際問題として……。うまく行くわけないです。それは今のところ政府機関のような開発銀行出資しているから、相当それに対する睨みも効くのでありますけれども、それを今度はそうでない磐城の、いわゆる政府機関でない、出資機関でないようなところが勝手な力を出して来るというようなことになれば、それはあなたの言つているようなわけに行きません。私は将来において何かこれは問題が起ると思う。ところがそのときに、原石を押えているからよい、日鉄原石を押えているからその操作ができる、こうおつしやるかも知れませんけれども、それはなかなか不可能だ。そうなつて来ると今度は中小メーカー……、日鉄八幡製鉄、並びに冨士製鉄磐城セメントとは合流して行けるかも知れないけれどもあと中小メーカーというものは又やられてしまいます。そこで私はそういう点から見ても、この際本当に真剣に局長として考えて頂きたい。  それから私はこんなことは言いたくないのでございますが、若しこれが事実とすれば承知ならんと思う。これはこの次の委員会に私は一つ関係者を呼ばつてお聞きしたいと思うのですが、開発銀行が特に磐城セメントと合流してこの斡旋に乗出しているということを聞いているわけでございますが、これは私はまだそこまで調査が行届いておらないから、その問題については今調査中でございますが、そういうことがあるとすればこれは重大な問題で、特に今日鈴木局長を折角お招きして、こういうことを委員会の前でお聞きするのは、あなたが本当に責任を持つてしつかりしてもらわないととんでもないことになります。通産省の最近の状態を見て御覧なさい。実際資本の力に左右されて問題にならないではありませんか。本当に私は役人の諸君に十分考えてもらいたい。特に独占禁止法との関係もあるから、公正取引委員会との関係もある事業でございます。ですから真剣になつて、うつかりして力に左右されんように一つ慎重に善処されんことを私は希望いたしまして、今日はあなたに対する質問をこれで打切りたいと思います。いや、その御意見一つ聞いておいて、決意一つ……。
  10. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 只今お話ござ旧いましたが、先ほど申上げました通り、私ども十分ドロマイトクリンカー重要性を考えまして、供給確保或いは価格について不安のないという観点を十分注意して、本件について慎重に研究し努力いたしたいと思います。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 それでは次に川上鉱山局長にお伺いするのでございますが、私は今日愛知君に出席をしてもらうように委員長に希望したのでございますけれども、都合が悪いというものですから、当事者の川上局長出席願つたのですが、今日は私は余り数多く申しませんが、私個人の問題でなくして、本委員会答弁されたことに対しては責任を持つてもらわなければならないと思うのです。これは野党、与党を問わずです、如何なる場合といえども、私は本委員会というものに対しましては、発言したことに対しては責任を持たなければならない。私が今日聞かんとする問題は、帝石のいわゆる人事等に関する問題ですが、特に議会におきましては、衆参を問わず、通産並びに大蔵委員会等におきましては、この帝石問題の内紛、先般の統制、今後の石油に対するところ増産施策に対する法律案の一部改正につきまして、各委員から熱烈なる意見のあつたことはすでに川上局長承知であろうと思う。特に私はその際本委員会におきまして、帝石内部がああいうような暗闘をしておつたのでは、生産上どんないい法律作つても、改正案を作りましても、能率が上がらない、軌道に乗ることができない、こういうことを申したわけです。そこでその際一体当局帝石人事問題について、指導権問題についてどういうふうに考えるか、こういうことを私は聞いたわけです。特にそのときに私は具体的にその内容……、人の名前まで挙げて、かような経緯があるということを露骨に言うたわけなんです。そのときに鉱山局長は、大臣愛知君と共に口を揃えて、現執行部であるところ田代社長中心にして運営をやつて行きます。それから田代社長は非常によい人だと思いますし、立派な人だと思います。こういうことを言つて議事録にもちやんと記録されております。それを最近の様子を見ると、これらの諸君に詰腹を切らしてやめさせておる。いや、それはまあ表向きは辞表を出しておるから、それは君らとしてはそういうことは承知ないような恰好をするかも知れないけれども、それは事実なんだ。そこで、そうして今度は誰を据えたかというと、何だ、我々が委員会において十分叫んだことが却つて裏書されておる。というのは、あなた、これは九月五日の毎日新聞の、新社長なつ鮎川義介君の「時の人」というのを見ましたか。帝石が本当の業界指導者によつて人事、その他指導権を持つように強く要望しておいたところが、依然としてこの会社の株を持つておる菊池君と南君の、この有力なる株主に左右された人事ができたじやありませんか。私はこんなことを余りあなたに言いたくない、けれども人を馬鹿にしておるですよ。私、野溝個人を馬鹿にしたと言うのじやない。委員会において言明したことと、声明したことが守られないから、委員会全部をこれは侮辱しているのですよ、或る意味から言うと……。そういうようなことが、例えばこれはあなたの意思でやつたのじやないと思う。大きな手が動いておるのでしよう。一官僚のあなたがそんな我我委員会発言を無視してやるというようなことはできつこない。よくわかつておる。大きな手の動いておることはよくわかつておる。併し噂は噂として、我々が論議することは避けたい。むしろ当面の責任者として私はあなたに意見を伺いたい。  そこでこの新聞を見ても、とにかく菊池、南という、この田代と対立した株主有力者でございまするところの、この君たちが中心にしているその人々が今度社長になる。それが指導権を持つようになる。こういうことをあえてする諸君は、一体どんな考え方があつてこういうことをしておるのか、こういうことを承認したのか、これで以て能率が上ると思つているのか、こういうことをして、帝石国策性社会性公共性というものを諸君はどう思つているのだね。僕は、川上さんね、これはあなた将来やめてから非常に悔を残しますから、見ていて御覧なさい。私はこういう点についてあなたが愛知君とどういう相談の結果こういうことをされたのか、この点を一つ参考にお承わりしておきたい。それ以上あなたに私は食い下つて質問することは避けますが、それだけ一つ聞いておきましよう。
  12. 川上為治

    説明員川上為治君) この帝石内紛の問題につきまして、又人事の問題につきましては、野溝先生からもこの委員会におきましていろいろ御注意がありましたし、御警告がありましたし、又衆議院通算委員会とか或いは衆議院通算委員会におきましてもいろいろ御意見がありましたので、私どもとしましては、その委員会の御意見は十分拝聴しておりますし、又その御意見に対しましては十分尊重申上げておるわけでございまして、その際におきまして現執行部……、当時の田代さんを中心としてやりたい、そして紛争がないようにしたいということを、私のほうは大臣からも、私も申上げたのでありますが、その点につきましてはずつと今日まで変つて来ていなかつたわけでございますけれども、丁度たまたまこの九月の二十日になつて田代さん初め若干の重役の任期が満了になりますので、それ以後におきまして果して田代さんがずつと続けてやられる決意があるかどうか、或いはずつとやはりうまくとにかくやつて行かれるであろうかどうかという点につきまして、いろいろ情報も聞き、或いは又田代さんに対しましてもその話を申上げたのですが、田代さんのほうではいろいろ御研究になりまして、実はまあいろいろ世間の人はおつしやるかも知れないと思いますけれども、自発的に、今回限りで社長をやめたいという申入れがあつたわけでございまして、私どものほうとしましては、田代さんの意見を十分承わつて、早速大株主関係方々に集つてもらいまして、勿論その大株主の中には、今おつしやいましたような方々もおるわけなんですが、いわゆる精製三社と申しますか、日石或いは昭和或いは日鉱、或いはその他大株主という方々に集まつて頂きまして、田代さんが今度辞任するとおつしやつておりますが、それでいいでしようか、どうですか。或いは、その後任としてどういう人を一つ選んだらいいか、御相談してきて頂きたいということを申上げましたところが、田代さんの辞任を各大株主はこれを了承いたしまして、それから新聞お話がありましたような方を推薦して参つたわけでございまして、私どものほうとしましては、先ほども申上げましたように、この帝石が実際これは現在国策会社ではありませんけれども、国策的な性格を持つておりまして、その採油につきましては一種の独占的な性格を持つておりますし、又五カ年計画というものをどうしても私どもとしましてはやりたいというふうに考えておりますので、いつまでもごたごたがあつて、そしてなかなかうまく行かない、たとえ表面上はごたごたがなくても、なかなか内部が打解けて行かんということでありますれば、やはりこの際きれいにしたほうが一番いいのじやないかというふうにも考えましたので、田代さんのほうから自発的な申出もありますし、真にこの際そのあとに非常にいい人が出まして、そうしてこの人が中心になつて帝石を本当にまとめて、国策的なほうに持つて行くというようなことでありますれば、誠にそれは結構なことであるというふうに考えまして、田代さんの辞任を我々のほうは認めまして、又この際新しい人によつてやるということを実は認めた次第でございます。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 それは川上さん、私どもはこのごたごたは両方責任があるというならば、これは両方責任を処置しなければならんと私は思います。ところがその場合、今川上さんの御答弁によりますと、あとごたごたを処理して新しく出直すと、そうするというと私はいわゆる執行部というのは、大体あの当初の答弁からすると、田代君を中心にしてものを考える、その田代君がやめるというならば、それまでごたごたを起した執行部は全部責任をとられるという態度をとつたのですか。
  14. 川上為治

    説明員川上為治君) 私どものほうとしましては、先ほども申上げましたように、やはりこの際一新して、本当に今後生れるまあ帝石の内閣と申しますか、そういうものが本当に一致団結したものであつてほしいというような希望を持つていたのですが、これは新聞にも出たかと思うのですけれども田代さんのほうでも自発的に辞意を表明して参りましたし、又いわゆるその反対側でありました菊池さん或いは南さんのほうからも自発的に辞表を出して来ているように我々聞いておりますので、この点、私はやはり役所のほうから両方ともどいちまえというようなことは非常に角が立つと思うのですがね。皆さんのほうから本当にあとの立派な内閣を作つてもらつて、そして今までの渦中の人たちは自発的にやめるということであれば、誠に私は円満に行くのじやないかというふうに考えておりまして、今までのいきさつは今申上げましたようなことになつておりまして、あとに私は非常にいい内閣ができまして、本当に団結してやつて行くことを、私どものほうとしましてはひとえに希望しておる次第であります。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 私はこれに対する答弁ば、又愛知君から一つ質問の際に得ることにいたしまして、この点は一つ川上さん違つておりますから申上げておきます。よく速記録を見て御覧なさい。愛知君も、あなたも、人事問題については最善の努力をすると、こう言つています。殊に今度の法律案によりまして、或る程度政府発言権というものが強くなつて来る。過去の点につきましても今までのようなだらしないような動きはさせないことになつている、配当制限をするから……。更に人事問題についても、とにかく出資を、政府出資をしているのだから、そういう点からも意見を出す、そうなれば内紛を起した諸君に対しましても、現に我々は今後そういう過ちをなくすための最善のことをする。さもなければ増産運動の成果を挙げることはできないから……、こういうことを速記録に記録してある。それを言つておきながら、際どいところに来ると、あとはそこまで容縁はできないから、その点は努力するじや、それは私は答弁技術だけでございまして、そういうことでは真実性はないのです。だからこれ以上あなたに言つても、私は先ほどから申した通り、後に相当の手が動いていることを知つているのですから、言いませんけれども、こういうことであなたがたが委員会において答弁したことのその実践に移せないということは、誠に私は悲むべきことだ。こういうことは甚だ将来の政治の上に、行政の上に禍根を残すことになると思うのです。ですから私はこれ以上言いません。とにかく南君、菊池君というのは、どこへ行つても株によつて操作する大手筋ではないですか。こういう大手筋が、そのまま依然として国策性社会性公共性を持つている国策会社に対してふんぞり返つてつて、それで以て左右するというようなことでは国民が泣きます。私はこれ以上言いません。以上を以つて打ち切ります。
  16. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では次に中小企業の問題につきまして豊田君の発言を許します。
  17. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 中小企業関係の税制を見ますと、法人税にしましても、又所得税にしても、或いは事業税等にしても非常にアンバランスがあるのでありますが、今日は主として協同組合関係についての税制のアンバランスを是正してもらいたいという点についてお伺いしたいと思います。  御承知のように租税特別措置法で、生活協同組合につきましては、積立金が組合出資総額の四分の一未満であるという場合は積立金に対して課税をしないということになつておるのであります。又農協関係につきましても、連合会が整備をやつておる限りは、それに加入しておる単協はやはり出資額四分の一になるまでの積立金に対しては非課税にするということになつておるのでありますが、中小企業等協同組合については全然こういう行き方になつておらん。これにつきましては前の国会でも相当問題になつたようでありますが、先般御承知のように参議院の決議にもなつておるわけでありまして、これらに対してどういうふうな措置をとられるか、それを明確に伺いたいと思います。  なお、印紙税法の問題でありますが、印紙税法によると、組合の出資証券に対する印紙税は他の協同組合については全部課税免除になつておるのであります。ところ中小企業等協同組合については印紙税を課税免除しておらん。この点も非常に私は不公平だと思う。又国税ではないのでありますが、地方税関係につきましても、例えば組合の診療所、これらについて農協等については固定資産税を課さない。ところ中小企業等協同組合についてはそういう点についても課税をしておる。従つて、これは具体的の例でありますが、丹後縮緬の協同組合などは、診療所を組合経営にすると不利なものでありますから、組合経営にしないで、わざわざこれを別個の法人経営にしておるというようなことになつておるのであります。更に組合の事務所、それから倉庫に対してやはり困定資産税が、共同設備なるが故に非課税になつておるのでありますが、これは農協関係などは倉庫が非常に多い。又組合である以上事務所はみんな持つておるというようなわけで、事務所、倉庫に対しての非課税で大体目的を達するのでありますけれども中小企業等協同組合関係になると、その共同設備というものが、むしろ倉庫などよりも染色、精練などの共同設備或いはその他の機械設備というようなものが多い。従つて組合の共同設備に対して非課税にする、共同設備なるが故にこれを非課税にするという場合には倉庫と事務所だけを狙うということは、これは実質的に非常に不公平なんです。どうしてもやつぱり共同設備であるものについては一様にこれを認めて行くということにするのが当然であります。そういう点について研究すればするほどアンバランスになつておるのであります、こういう点があるが故に、先般参議院の決議にも組合の課税について是非ともアンバランスを是正するようにということが決議になつておるのでありますが、これらについて今回配られた資料を見ますと、何か慎重に検討するというようなことも一応お座なりになつておるのでありますが、具体的にの際アンバランスを是正することについて御意見を承わりたいと思います。
  18. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 先ず最初に協同組合に対する法人税の問題からお答えいたしたいと思います。この問題につきましては、前国会でこの委員会で相当御論議もございましたので、先ず以て我々のほうとしましては、現在協同組合の仕事の実態がどのようなふうになつておるかということを中心に一応の調査を進めると共に、そのアンバランスがありとすれば、どういうふうに考えて行くかという点について検討を続けていることは書面で申上げた通りでございます。と申しますのは、先ず生活協同組合と農業協同組合、或いは中小企業等協同組合というものにつきましては、これはまあいろいろ御意見がこの前の国会でも出ましたが、我々の理解するところ一によりますれば、生活協同組合というのは結局消費者の集りである。従いましてまあ消費者の集りであるというところによりまして、そこから出た剰余というものも、結局安く買つたといつたような問題とも結び付きますので、農業協同組合、中小企業等協同組合とは相当性格が違うんじやなかろうか。まあ実はこの生活協同組合の問題にしましても、農業協同組合の問題にしましても、いずれも実は国会修正で現在のような措置になつたものでございますが、併し我々としましても、その国会で御修正になつた分につきまして、一応御尤もな理由があると思うものにつきましては、そういつた意味におきまして、生活協同組合というものは消費者の集りであるというところにおきまして、農業者の団体、それから中小企業者の団体のその事業と結び付いた協同組合とは性格が違うじやないかと、こういう点を一つ考えております。それから農業協同組合と中小企業協同組合、これは同じく事業をやつておるものでありまして、その意味の性格からすれば私は非常に共通したものを持つておるじやないか。ただ農業協同組合につきまして現在のような特別な措置がとられていることにつきましては、今お話もありましたように、農業協同組合が相当一時赤字を出しまして、企業再建整備ということを実施せざるを得なかつた。従いまして、それに伴う臨時の特別措置としまして現在のような措置を行なつて来た、こういうふうに我々は理解しております。従いまして、そういつたような性格及び農業協同組合の場合におきましてはそうした臨時の措置であるということを考え合せました場合におきまして、中小企業協同組合は現在そういう措置がなされていない場合において、どの面で一体アンバランスがあるか、こういう点を我々は検討してみたい、バランスをとることにつきましては我々も当然考えべきことと思つておりますが、その二つはいずれもそれぞれ別な理由でありますが、一応それぞれの理由を持つておる、中小企業協同組合はその間におきましてどういう立場にあるか、御承知のように農業協同組合におきましても、企業再建整備と全然関係のないものにつきましては現在におきまして中小企業協同組合と同じような扱いを受けておるのでございまして、農業協同組合なるが故にそういうことになつているといつたような性格のものではないわけであります。尤も私のこの農業協同組合と申しますのは、農業、林業、漁業の三つを含めての農林省関係の協同組合というふうに御理解願いたいと思います。農業協同組合におきましても、企業再建整備と全然関係のないものにつきましては何ら特別措置をとつていないわけでありまして、そういつた点も考えて参りますときに、中小企業協同組合をどう扱つて行くべきか、これはやはりこのいろいろな御論議がございますので、更に検討して結論を出すべきものじやないかというふうに考えておる次第でございます。  それから第二の御質問の印紙税の点につきまして、農業協同組合、消費生活協同組合、それから漁業協同組合、それから森林協同組合、それから塩業組合、虚業に関係ある中小企業協同組合に対する出資証券、これに対する印紙税が免除されております。この出資証券に関する限りにおきましては中小企業協同組合が入つていない。それで貯金通帳とか、こういつたものにつきましては、これは信用協同組合の場合におきましては一応免税になつている。従いまして、お話出資証券の問題だと思いますが、実はこの点どうも今ちよつと急に、私不勉強で、何で中小企業脇戸融合の出資証券が立科にならないで、ほかのものだけ免税になつたかということについて、この立法の経過をよく記憶して存じておりませんので、或いは後日改めて御答弁申上げたほうがいいかと思いますが、強いて理窟を求めれば、まあ原始産業的なものとそうでないものとに区別されてあるようでございますが、それが出資証券で片方は免税し、片方は免税しないということについてどれだけの配慮の下にこういうことになされたか、この点はもう少しこの立法の経過などを一応調ぺまして御答弁さして預きたいと思います。  それから次の固定資産税の問題でございますが、これは私のほうでも一応見ておりますが、主としては自治庁がやつておりますし、特に個々の品物、物件についての非課税の関係といつたような比較的細かい点になりますと自治庁のほうで大体やつておりまして、私のほうではそう細かく見ておひませんので、これも私がどこまで御答弁申上げていいかわかりません。まあ農業協同組合とかそういうものにおきましても、御承知のように共同施設として、まあいわゆる利用施設と言いますか、加工或いは製造の過程を持つているものも相当あると思います。同時に、その分につきましては固定資産税は免除していないわけでございまして、まあ程度の差は確かに、農業協同組合、これも集荷とかそういうものを中心とした組合におきましては、倉庫は割合大きい、併し加工関係はそれほど大きくはない、こういつたようなことは確かに御話のようにあろうかと思いますが、併し農業協同組合におきましても、やはり例えば果物の加工でありますとか、いろいろな関係になりますと、中小企業協同組合と同じようにやはりそうした加工施設は持つているわけでございまして、結局加工施設というものにつきましては、これを固定資産税はまけるのはどうだろうか、まあ倉庫のような問題になりますと、現在米の集荷を国がやつているというようなこともありまして、やはり固定資産税を免除するほうがいいんじやないだろうか。まあその場に一々細く考えて参りますれば、これは更にその理由なら別途の思想が出るかも知れませんが、一応そういつたようなことと関連して恐らく現在のような措置になつているのじやないかと思いますが、この細目は冒頭に申しましたように、自治庁のほうの関係でありますので、更に適切な御答弁は自治庁のほうから申上げたほうがいいかと思います。
  19. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 印紙税関係につきましては原始産業とそうでないものと区別すると……、まあお調べにならんとはつきりしたことは答えられんというふうでありましたが、お調べになつても、我々が納得できるよりな理由を発見せられることには私はお困りになるというふうに思うので、従つてこの点は是非早く修正をせられたい。これはまあ一例でありますが、かほどまでに中小企業関係は常に税制上アンバランスを受けておるという、これは私は一つの例になると思うのであります。この点については速かに是正をして頂きたい。それと固定資産税は自治庁の関係でありますが、細かい問題というお話でありまするけれども、課税免除にするという問題は相当大きな問題でありまするし、法律事項でもありまするしするので、それぞれの協同組合の本質に応じまして、最もその代表的なものは課税を免除するということで行くことが私は公平だと思う、従つて農協について事務所と倉庫をやるならば、工業協組合細については機械設備と事務所をやる。商業関係については事務所と倉庫でもいいというようなふうに、実質に応じてバランスをお考えになるようにこれは御研究を願いたい。そうして自治庁のほうへも私はそういう趣旨を大蔵省としても十分に申入れを願いたいと思うのであります。  それから積立金の非課税の問題につきまして、中小企業協同組合と生協或いは農協との性格上の相違というようなことを言われたのでありますが、私はこの生活協同組合というものもこれは考えようの問題でありまして、別個にそれぞれ消費生活者というものは生活の糧というものは得ておるので、別個に生活をしておる。生活の財源というものは別個に得ておるしその上生活の改善の意味から生活協同組合を結成しておる。それが場合によると員外にまで販売したり、全くもう普通の商業者と変らんような行き方になつておる。こういうものに対して出資金の四分の一になるまでの間は積立金に対して課税を免除するという行き方は私は相当問題があると思う。併しまあ仮にこれを認めるならば、それによつて影響を受ける商工業者の立場というものは、これは商工業者は御承知のように今非常な苦しみにあるのでありますが、その苦しみにある者が協同組合の形態で経営の改善をしようという場合に、この生活協同組合などと、或いは農協などと比べた場合に、どつちが苦しい状態にあるかということは、これは一分私は検討しなければいかんと思う。一概に生活協同組合なるが故にこれは擁護すべきものである、中小企業等協同組合なるが故に擁護の必要がないということは私は非常に皮相的な見解だと思う。実質的に見たならば、只今申す通り、消費生活協同組合のほうは、組合自身は或いはどうなつても別に差当つての生活には困らん、一方中小企業者のほうは、もう自分らの事業それ自身が非常な危険にさらされておる。せめて組合に頼つてという、そういう面において、消費生活協同組合と同じような待遇すら税制上受けられんというところに私は非常な問題があると思うのであります。そういう点において生活協同組合と性格が違うというふうにお考えになることは私は皮相的なお考えじやないかと思うのであります。それから又農業協同組合については整備をしておるものについてやつておるのだからというお話でありますが、農協については赤字があるからというので整備を始めましたけれども中小企業関係の組合について、そういう見地から言つて、これはやはり整備しなければならん、整備をするという法律があるのとないのとによつて区別されるという行き方でなく、やはりこれは実態に即した考え方によつてバランスを考えて行く必要があると思うのであります。そういう点において、農協なり生協と中小企業協同組合が性格が違うということで片付けられることだと、どうも私は納得が行かんのであります。実質的にお考えになつてバランスをとるようにお考え願いたい、そういう点について……。
  20. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 私も実質的に考えてバランスをとるべきだという御意見はその通りであろうと思つております。それで生活協同組合につきましては、確かにお説のように員外取引をやつており、実態的に見まして、果してこれが本来の意味の生活協同組合だろうかと思われるような生活協同組合が現実の事実としてあることはお説の通りでございます。従いまして生活協同組合につきましてこういう措置をとることにつきましての国会のほうで御意見が出ましたときにおきまして我我が申上げたことは、確かに生活協同組合につきましては、例えば職場の本当にクローズドされた組合員以外に販売しないといつた生活協同組合もあれば、それからまま大都市に見られますように、まあいわば相手かまわずに売つているような調子に見える、これは組合法から言いますと多分に違反でございますが、実態的には売つておりますような生活協同組合がある。従つて後者のようなものにつきましてこれを特殊な扱いにすることについては、これは他の協同組合との関係から考えましておかしいのじやないかということをいろいろ私どもは申上げました。従いまして、これはすでに御承知のことかとも思いまするが、ちよつと申上げておきますと、現在の法律の上から言いまして、同時にそれに伴いまする政令の上から言いまして、員外取引をしておりますものにつきましては原則としてあの規定は適用しない、こういうことになつておりまして、そのときの御意見はとにかくこれはまあ衆議院のほうで修正が出て参つて、こちらも御同意になつたわけでありますが、そのいいものと悪いものとあることはそれはわかるが、いいものを悪いものがあるからと言つて十把一からげに全部違反というのはおかしいのじやないか、こういう御意見がございました。そこでそれではそういう区別をしよう。員外取引をするものにつきましては原則としてこれは認めない。それでその他のものについて員外取引をしない、組合員内部のものについてだけこれは認めて行こう、こういつたようなことに現在なつておりまして、その点生活協同組合という名前であれば全部があの条項が適用になつておるわけのものではない。これはまあ豊田さん十分御承知と思いますが、そういうことになつているわけでございまして、我々としましても、いわゆる生活協同組合の中にはいろいろなものがありまして、その極端な事例におきましては、まあ普通の商店とどこが違うのだと思うような形態のものもあるということは我々も認めておりますし、同時にそういうものについてあの条項を適用するということには現在なつておらんわけでございます。  それから農業協同組合の点につきましては、これはもう繰返して申すことだけでございますが、再建整備の関係と結付いてなつておるわけでございまして、今豊田さんのお話のような中小企業協同組合においても実態的に考えればもう赤字的なむのじやないか、実質は同じじやないかというお話もこの前のときにもいろいろございましたので、果してどういう実態になつているかということを現在我々のほうで調べているわけでございます。どうもまだそれに対しまして赤字になつている、実態的に再建整備をやらなければならん状態になつているといつたようなことがまだはつきりいたしませんので、もう少し調べさして頂きたい、こういうふうに考えております。
  21. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 生活協同組合につきましては員外利用をしている人なんという問題を別にしましても、生活協同組合のほうはそのメンバーが俸給生活をしている、或いは労賃をもらつておるということでありまして、とにかく一応生活をしている。でその状態と、今非常にデフレ下において困つている中小企業者のふところの工合と比べてみていずれがどうかというようなことは、これは非常に問題だと私は思います。何も中小企業者が非常に楽をしておるということではないのであります。これはもうこのデフレ下においての世間一般の模様を御慶になれば、非常にはつきりしている。そういう場合において員外利用あるなしにかかわらず、一方においてその生活協同組合についてその積立金に課税するということになれば、当然私はバランス上中小企業者の協同組合においてもさような行き方が当然である、員外利用あるなしにかかわらず、そういうふうにするのが当然であると私は考えます。又農協関係におきましては、これも先ほど私のほうもいろいろ話をしたし、これ以上言いませんけれども、とにかく中小企業者が困つておるかおらんか、これだけのデフレ政策を強行されておる際の危機の突破対策のために官民共に非常な苦労をしておるわけであります。こういう際に中小企業対策政府なり与党中心で非常に言われていることは御承知通りであります。これは口頭禅に終つては何もならん、中小企業対策としては、やはりこの際、少くとも従前アンバランスであつたものだけはバランスのとれるように、従来の行きがかりを捨てて、率直にこの際再検討せられてお進みになるということが私は当然であると思います。これは内閣の方針だと私は思う。そういう点について御意見を伺いたいと思います。
  22. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 現在我々のほうで、まあ協同組合に対しての課税関係で考えて参りました見方は、結局協同組合そのものをどういう性格のものかという点を中心にして考えて来たわけでございます。従いまして農業協同組合の問題にしましても、これはまあ農民がふところがどうであるかこうであるかということと別にしまして、まあ協同組合というものから見ますと、どうもあの姿ではやつて行けない、従つてどうしも再建整備の問題が出て来る、こういうことで、その協同組合を何とか盛り立てて行かなければならんというところ中心でああいう措置がなされたものというふうに思つております。  それから生活協同組合の問題にしましても、結局まあそこに生活協同組合と他の協同組合との間の違いがあるのでございますが、生活協同組合のほうは、何と申しましても消費者の団体ということにおきまして、確かに課税の面からいいますと、所得として発生するのは別個の俸給とかそういうものになる、その面で課税を受けております。結局、一人で買うよりは大勢集まつて協同に買つたほうがそこで以て安いものが買える、いいものが買えるというところに生活協同組合の性格があるのじやないか。そういうふうに考えて参りますと、これはまあいいものを買い安いものを買う、これが生活の消費のためであるとしますれば、これは課税の問題はそれ自体としては起きて参らないわけでございます。それを集合体としてなすところに別途に課税の問題が出て参るわけでございます。本来の性格がそういうところにあるというところにおいて、生活協同組合というものの本質的に事業のための団体というものとは違うものがあるのじやないかというのが私が申上げておることでございまして、まあ繰返し申すのもいささかどうかと思いますが、そこに何かやはり本質的な違いがあるのじやないだろうかというふうに私は現在でも実は思つておるわけでございます。まあ中小企業協同組合というものを従来の観点から考えて参りますと、やはり私はそこに区別する理由、現在農業協同組合の積立金について四分の一課税をしていないといつた見方、或いは生活協同組合についても同じことをしたという見方というものの観点からいいますと、果して中小企業協同組合に同じような理由があり得るかどうか、まあ中小企業というものが現在相当苦しい立場に立つておる、これは我々もわかりかすが、協同組合という立場において果してどうであるかという点にはまだ我々成るほどそうだといつたようなデータを得ておりませんので、この観点からもう少し検討してみたい、或いは又もう一つ中小企業対策といつた大きな観点から、果してこれをどういうふうに考えて行くべきか、もう一つ観点が確かにあり得ると思いますが、その場合においてのこの課税問題をどう扱うか、これは又全然新らしい観点の問題じやないかというふうに私は思つております。従来のものの見方からしても、バランスの問題というものはないのじやないかというふうに思つております。そういう見方をもう一遍更にこの問題として取上げていけないというわけでもないわけでございますし、総合的に考えて参るということにやぶさかのつもりはございません。
  23. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 協同組合というものの根本精神なんでありますが、これは御承知だと思いますけれども、要するに弱者の立場にあるものは、相互扶助の形態において、これの改善を図つて行くというのが趣旨なんでありまして、従つて私は協同組合を認める以上、又これが独禁法の適用除外などにもなつておるし、そういうような点から見まして、協同組合という形をとる以上は、実質的にこれを判断して、そうしてバランスをお互いは取るということが私は当然だと思う。殊に最後に言われましたように、中小企業対策としてこの際政府は積極的にやろうというので大いにやつておるのでありますから、その一連の関係においてもこの際一つ従来の行きがかりを捨てられて、組合相互間の税制のバランスを取るという特別の御研究を一つ願いたい。そういう点を私は希望を申上げておきます。  それからなおこの機会に先般の参議院決議に関連いたしまして、税制関係いろいろやられたことに伴いまして、二、三の点を伺つておきたいと思います。  第一は青色申告をやる場合に、家族の専従控除、特に配偶者の専従控除、これを認める、これは誠に結構なんでありますが、従来からやかましくいわれておりましたこの本人の、中小企業者本人の自家労賃の損金算入、これをどうしてもこの際やられることが、中小企業対策の上からいいましても、又青色申告の家族専従控除の行き方をもう一度徹底させる上からいいましても必要じやないか。特に御承知のように大工とか左官とか、或いは魚屋とか豆腐屋というようなものとか、労働本位にやつておるものについて、一面勤労者に対する特別の控除があるにかかわらず、これらに対する控除が行われておらない。そういう点から自家労賃の損金算入を認めるという見地からの何らかの措置を御研究をしてもらつておるかどうか、そういう点を伺いたいのが第一点であります。  それからもう一点は、法人税、所得税におきましては売掛金の一定限度のものを控除する、こういうわけですが、これは結構ですが、これに関連しまして物品税は、御承知のように庫出税、これも一定の猶了期間はありますけれども、実際物品税を課税せられておるこの物品の代金回収というのは、猶了期間等では到底賄えないということは、これは御承知通りであります。実情がそういう状態になつておる。こういう面において立替払いをやつておるのでありますが、売掛金について特殊の行き方が所得税関係について、法人税関係については認められている。物品税についてこれを認めることが、バランスの上からやはり必要ではないかというのであります。この点も第二点として……。  それから第三点は、予定納税に今度なつておるわけでありますが、その税額の減額申請のできるのは、減額が三割以上の場合になつておるというように聞いておるのであります。ところが従来の予定申告の場合でも、減額が二割以上になると減額申請を認めたのでありまして、これがバランスから考えると、むしろ予定申告のときが減額二割であるならば、減額の申請を認めるというのを予定納税になつたならばもつとこれを緩和するのが当然である。本人に予定申告をさした場合ならば大分見当もはつきりする。狂いも少い、ところが予定納税のほうになると、これは昨年の実績本位になつて非常に狂いが出て来る。従つて予定納税の場合には予定申告の場合よりも減額申請の認める基準というものは緩和せらるべきであるというふうに考えられるのであります。この点について御質問するのが三点。  もう一点は、所得税の調査委員制度を復活されるお考えはないか。これは中小企業関係などになるというと税務署への折衝能力というものは非常に乏しいのであります。そういう点において所得税の調査委員というものがあることのほうが非常に便利である。尤もこれについてはシヤウプ・ミツシヨンでも指摘せられて、所得税調査委員というものはボス化するということで問題になつたそうであります。悪い点は是正すればいいのであつて、いい点が多い。又これは業界こぞつて希望するという場合には大いに考えられて然るべきである。そういう点において所得税調査委員制度を復活させることが、日本の特に中小企業などの実情に合う、そういう点などについてお考えをどんなふうにお持ちになつているか。
  24. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 第一の個人の企業につきまして営業主の給与支払を認めるということを考えることはどうかという御質問についてお答えをいたしますが、要するに農業の場合におきましても、事業の場合におきましても、そこにあります所得は結局事業をなさる方の労働といいますか、経営に力が入つているわけでございまして、これが法人であればそこに役員報酬が出るというわけですが、事業所得そのものが実はその分を包容しておるわけでありまして、そこに労賃分を認めること自身は非常に擬制的なものが入つて来るわけでございまして、そういう考え方でなしに、結局基礎控除、事業税についても基礎控除を認めておりますが、そういうところにおいて勤労所得との関係においてバランスをとるべきじやないかというふうに考えておりますので、そんな意味からしまして事業税につきましても結局基礎控除、今年から七万円に上げて参りましたし、まあ将来政令で定めるとしたら、これを更に十万円にするということに現在の地方税法がなつておりまして、今この場合に、普通のそうした俸給云々ということが全然ないものに俸給を考えるということは、これはいろいろ扱いを複雑にするだけでありまして、むしろ基礎控除をどうするかというような点で問題は扱つて行くべきじやないか。更に勤労控除に対しましてそれと見合う何らかのそれに相当する控除が考え得られるかどうか、この問題も我々いろいろ検討しているわけてありますが、いろいろな見方がございまして、現在税務の実際の負担から言いますと、まあ勤労所得のほうは入つた金額がそのままはつきりしているのに、事業所得のほうは百が百そのままとられていないのではないか。こういう意味において実際は勤労所得のほうの負担が一番高いのではないか、こういつた意味の御批判もあるわけでありまして、我々といたしましては、これは実際問題としましてはそういつた批判もいろいろ大いに反省しなければならん点があると同時に、建前としてそれをそのまま是認して、従つて中小企業の負担は勤労所得に比べて軽いのだということもできかねる問題ではないか、併しそういつたような事態がいろいろ指摘されているということも一つの事実でございまして、そういつた面等も考え合わせながら、一体この控除をどう考えて行くべきか、勤労控除そのものが一五%てもまた低いのだから、もつと二〇%にも更に上げろ、こういうような御批判もあるわけでございますし、或いはそういうものと併せて、まあ片方を二割に上げれば片方に五〇%の控除をするといつたような考え方もあり得ると思いますが、同時にそれは結局のところ基礎控除を上げるということと問題は同じじやないかということで、前回の改正におきましては基礎控除を引上げるということで問題を取扱つたわけでございまして、只今としまして中小企業、これはまあ当然農業に問題は波及して行くわけでございますが、そこに実際支払われるということは考えられない、俸給を考えて行くということは徒らに問題を紛糾させるようなことになりますし、むしろ問題は基礎控除の問題として考えて行くべきである。或いはせいぜい勤労控除といつたようなものと、給与所得と我々呼んでいますが、これの控除の問題と結び付けて考えて行くべきだ、こういつたような問題として検討しているわけでございます。  それから次に物品税の問題についてお話がございました。現在物品税につきましては原則として庫出しされました、販売されました翌月、その月の分を翌々月に担保を提供すると更にもう一月、担保を提供しました場合に九十日、それから月の初めから終りまで平均的に出たと一応まあ観念的に仮定しますと十五日、百五日、一応徴収の猶予がなされているわけでございます。で、品物によりまして現在のまあ取引状況がいろいろ悪くなつているという分も確かにあると思いますが、併しかなり百五日という日数は長い日数じやないかというふうに我々思つております。従いましていろいろなお話がありますが、もう少しよく実態を見まして検討して行くべきじやないかと思いますが、百五日というのはかなり長い日数じやないかというふうに考えておりますので、現在としましてこれを更に延ばすということにつきましてはまだ考えておりません。  それから第三の予定納税に今度変つたにつきまして、税額が三割以上減ると認められる場合にだけ減額申請が認められているという点についてお話がありましたが、これは多少こういう点をお考え願つたら御理解行くのじやないかと思いますが、現在の制度は御承知のように基礎控除があり、それから課税の所得に対しましては累進税率で以て課税されて行く。従いまして所得が例えば二割減りますと、それによる税負担というのは二割にとどまりませんで三割或いはそれ以上減るということに実はなるわけでございます。従いまして従来は所得で以て二割というところで押えておりましたが、今度は税額で押えるということになりますので、大体従来所得で二割減つた場合の税の減り方はどういうことになるかという点から一応の数字を求めまして、税額の三割を出したわけでございますが、税額の三割の場合は所得二割の場合に比べますと申請をなし得る範囲が拡まりこそすれ私は狭まるものじやない。これはいろいろ計数で或いはよく御説明申上げていいと思いますが、所得二割の場合におきましては税額は、恐らくこれはまあ段階によつていろいろ違いますが、三割以上の場合が多い。従いまして税額で三割ということに押えましたことによりまして、従来の扱いよりも厳格になつたということは、これは言い得ないのじやないか、こういうふうに思つております。と所得との関係が、結局先ほど申しましたように基礎控除、それから累進税率という関係で所得が二割殖えることによつて税額は実は三割以上殖えるという場合が大部分でございます。そういつたことから何割をきめるかということにつきましては、我々も提案いたします際に相当慎重に考慮じたつもりでございますが、大体これによつて従来よりもまあ甘いと言つちや語弊がありますが、甘くこそすれ辛くなるものじやない、こういう確信を得ましたので、現在のように三割ということにしたわけでございます。  それから最後に所得調査委員お話がございましたが、所得調査委員の問題につきましては、これはまあ申告納税という制度と結び付けましてもやはり相当問題があるのじやないか、同時に過去においても所得調査委員会が果した役割というものを考えてみましても、どうも現在の税制におきまして所得調査委員会を作るということが適当かどうかということにつきましてはむしろ我々は消極的に考えております。と申しますのは、結局税の問題は非常に個人的な問題でございまして、個々の人において初めてわかるわけでございまして、なかなか外から見たところで以てその人の所得が果して幾らかということはつかみにくい。従いまして相当専門調査している者が個々の人にぶつかりまして初めて実はわかるわけでございまして、他に職業をお持ちになつておる調査委員の方がままお集まり、時としてその時期にだけお集まりになりまして、そうしてこれが多いとか少いとかいうことはなかなかわかりにくいのじやないか。結局わかりますのはその方が直接関係していらつしやる分だけ、そうしますととかくそこにいろいろ政策の問題とかいろいろなものがありまして、全体としてなかなかつかみにくい。而もその人の関係した分についてだけがわかるということになりますと、却つてそこに弊害があるのじやないか。むしろ同時に、そこに現在におきましては申告納税制度をとつているということも、従来の賦課課税制度をとつているのと大分建前が違つておりますし、従いまして現在中小企業者などにおきましていろいろな税務署の調査などにつきましての御不満は、これは現在協議団制度、これは国税庁長官もおりますが、最近長官も非常にカを入れてこれらの強化と言いますか、実質的な強化に努めていらつしやいますが、あそこで苦情相談所の形で、或いは協議団の形で問題を受付け、十分納税者の言い分も聞きまして、第三者的な立場でその的確な所得を調べると同時に、税務署の調べたところに間違いがあれば協議団の意見によつてこれを是正して行く、こういつたような方法、協議団を強化拡充して行くという方法によつてこの問題を処理して行けるのじやないか、かように考えております。
  25. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 自家労賃の問題は基礎控除で考えればいいじやないかというお話でありますが、基礎控除になるとこれは一般的な関係になるのでありまして、今の自家労賃の問題は中小企業者の中でも特に労働本位の、労働それ自体というようなものが営業形態だというそういう特殊のものについて特別の控除が考えられて然るべきじやないかというわけなんであまりすので、今のお話は、基礎控除を全般的に勤労控除というか、給与所得控除というか、それと睨み合わしてやるというお話でありまして、これはお考えになつたほうがベターであることは間違いないのでありますが、それだけでは私は賄われない、特殊の労働本位の営業形態の零細企業、これに対して特別の控除というものがあつていい。殊に青色申告をやつたような場合については一つの特典、これは零細企業にまで青色申告をやらして行くというのは、相当今後まだ屡透さすのには非常に努力も要り、又それについては或る程度の特典も考えられるということが、私は零細企業大衆に対する課税の適正を期する上において必要なんじやないか、そういう点において只今申すような意味の特別控除を御研究を願いたいということを私は重ねて希望しておきます。  それから物品税関係につきましては大体百日くらいの猶予があるのだからいいじやないかというお話がありますが、現在売上金の回収で百日内で返つて来るようなことはないことはお調べになればわかる。もう大抵百二十日或いは百五十日、ひどいのは百八十日から二百七十日というのもあるわけなんですから、そういう点を考えると、物品税について特別の考慮をめぐらせる必要が私はやつぱりあると思う。殊に売上金になつても貸倒れになつている。そういう工合に、物品税のほうは結局金が返つて来ないが税金は納める、これは酷じやないか。これは所得税、法人税について考えるのだが、直接納める物告税それ自体についてもやはり考えるべきじやないかというのが私の主張なんであります。今日は時間もないようでありますから、そういう点を一つ御研究を願うということを希望しておきまして、他の問題と併せて又適当な機会に申上げたいと思います。
  26. 土田國太郎

    土田國太郎君 関連してちよつと局長に伺いますが、先ほど来豊田委員からいろいろ税の問題で御質問はあつて、実際我々国民は、まあ概括的に見て御承知のように商工業者は六〇%程度のものは、これは中央、地方を通じての税額でありますから納めなければならないというのが今日の状況であります。これはまああなたも御承知通りであります。それで昨年の問題ですが、農業所得と商工業の所得と勤労所得ですね、この三つのもののバランスをとつてみたのですが、農業所得は中央地方を通じての税率が、大体月収三万円程度の者を一応見てみたのですが、これは四・七%ですが、それから商工業者は二〇・三%です。それから勤労者は一一・六%、べら棒に商工業者の比率が高くなるのですね。これではとてもこの今のようなやり方では商工業者は立つていかん。特にデフレ政策のために、そのしわ寄せば全部殆んどが商工業者へ押寄せて来る。日本の産業はなかなか一貫した産業はなく、皆下請工業というようなもので成り立つておるのが多いのですが、それで今言うような政策のために商工業者が困つておるところへ税金はべら棒に高い。農業所得に対しては五倍も商工業者は納めておる。如何に原始産業といえどもそのように税金を安くしなくてもいいじやないか、儲かつていたらぱ相当のこれは課税をしてもいいじやないか、こうまあ自分は考えるんですがこのようなアンバランスでずつと将来行つていいかどうか、私としては非常にこの点には不満があるんですが、政府としてはどうこのアンバランスをお考えになるか、それを一つ伺いたいのでございますが。
  27. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 今上田委員のお挙げになりました数字の点は、私まだよく拝見しておりませんので、そういう数字は、そのまま我々が成るほどそうだと申上げていいかどうか、これはちよつと何とも申上げかねますが、一応農業所得について申上げますと、まあ農業所得につきましては、特に昨年におきましては、御承知のように凶作といつた大きな問題がありまして、その故に特に昨年は農業所得の課税が少かつたということは、これはまあ当然であろうと思つております。それから更に農業所得につきましては、これを見て参ります場合において、家族の構成、家族数というものをやはり考えて行かなければならんと思いますが、農家の現状におきましてはいわゆる扶養家族の数が相当多く出ております。従いましてそういつた点から別途負担が低い、これはまあ考えて当然の結論じやないかというふうに、現在我々が持つております考え方からすれば当然出て来る結論じやないかというふうに考えております。農業所得で以て特にまあフエイバーとして与えられておりますのは、現在超過供出奨励金でありますとか、供出完遂奨励金でありますとか、早場米奨励金でありますとか、そういうものについて税金を課税しないという特例法が出ております。それが恐らく一つは働いている、これは事実だろうと思います。で、まあこういうことが果してどうかという問題は、これはまあいろいろ議論があろうと思いますが、現在の統制による出荷という問題と結び付いて是非とも必要であるという観点から国会が立法をなされたものであるわけでありまして、従いましてそういうことが重なりまして、或いは現在お話なつたような数字がそのままいいかどうか知りませんが、相当低い数字が出て来るんじやないかというふうに思つております。従いましてその中には税の負担という面から考えまして、まあ当然と是認さるべきものもあろうと思います。それから別途経済政策といいますか、大きな国策の上から割出された意味の負担軽減もあるんじやないかと、かように考えております。その両者をどう考えて行くべきかという点については又別の問題があろうと思います。  それから中小企業の問題につきましては、これは何と申しましても事業税が相当大きな負担になつているというところ中小企業の負担割合を大きくしている一つの原因だと思つております。従いまして本年の改正におきましてもその点を考えまして、個人に対し決して従来一二%の税率になつておりました事業税をまあ八%に下げたというわけでありまして、これでもまだ下足りないんじやないかという御意見も、これはあるかも知れませんが、一応地方財政ということも考えて参りますと、これがそこに大きな財源となつておりますものを、そう無茶苦茶に下げるわけにも参りませんので、一応これを八%、三分の二に下げたわけでございまして、将来これをどう考えて行くべきかという問題は、更に別途あるんじやないか。  それから勤労所得の問題につきましても、まあこれは結局総合的な数字で出しますと、それぞれの所得者の階層、或いは平均所得、こういうようなものからやはり考え合わせて行かなければなりませんので、単純に今おつしやつたような数字だけで勤労所得のほうがむしろ軽いじやないかということも言いにくいんじやないか。結局税制の上から考えますと、まあ勤労所得のほうは事業税を負担していない。それから或いは給与所得控除がある、こういうことでございますが、併しとかくまあ片方に、先ほどもちよつと申上げましたけれども、勤労所得のほうは百が百つかまえられているのに、どうも事業所得は百が百つかまえられていないんじやないか。従つて実質的に言えば、勤労所得のほうがむしろ負担が向いじやないか、こういう御批判も片かで受けているわけでございまして、快々のほうといたしましては、そうい面からも勿論改善もしなければなりませんし、そうして負担の権衡ということにつきましては十分考慮して参るべきもの、だと考えております。
  28. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今豊田君の御希望でありました地方自治庁から市町村税課長出席しておりますから、若し御質疑が残つておりましたら……。
  29. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど主税局長のほうへは国税関係を主としてお尋ねしたつもりでありまして、従つて地方税関係については余りそう明確なる御答弁も得られなかつたわけでありますが、そういう点において今市町村税課長が見えておるようでありますから、地方税関係についての第一点の固定資産税の関係でありますが、農協等につきましては診療所、これは組合が所有し、且つ経営する診療所、それに対しては課税除外になると思うのであります。ところ中小企業等協同組合においてもやはり診療所をやつておるものがあるのでありますが、これについては課税除外になつておらん。これはどういう関係からそういうふうになつておるのでありますかという点が第一点。  それからもう一点は、これは農協その地中小企業等協同組合、共通して組合の事務所と倉庫は課税除外になつておるのでありますが、ところ中小企業等協同組合の実情には合わん。というのは、事務所はどの組合でもありますが、倉庫というものは、農業協同組合についてこそ非常に重要なものであり、各組合が持つておるのでありますが、中小企業関係になるというと、倉庫のある組合もあり、まあないものが多い。その代り、機械等の共同設備というものが多い。ところが、その多い機械等の共同設備については課税免除になつておらん。これは実態に即応しないじやないか、実質的に見ればアンバランスじやないか、こういう点について御意見を伺いたい。  それからもう一点は、先ほど主税局長の触れられた事業税の問題でありますが、今日中小企業が非常に過重な負担になつておるのは、いろいろありますけれども、特に事業税、これは私は輸出振興を阻害していると思うのです。輸出振興、輸出振興とやかましく言つておる際に、あれだけの重税を、従来の比率から行くと府県税の七割というものを商工業者だけが負担している。これで輸出のコストをどんなに高めているか。内閣は総理が輸出振興、輸出振興と言つて、それがためにデフレ政策まで強行して、それにもかかわらず、商工業者にあれだけの重税を課している。これは非常な問題だと思う。その点について事業税に対して一体どうするのか。今まで一割二分だつたのを八分にしたと言うが、こんなものは問題にならん。この際事業税について根本的な再検討か必要だと思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。これは具体的に伺いたいと思うのでありまして、特にこれを従前やつてつたような、戦前のような所得税、法人税の附加税で行くというおつもりはないかどうか。これは附加税で行くということになると、地方税としての徴税技術も簡単になるし、それに関連する人件費の問題なども非常に私は節約できるのじやないか。人員整理をやろう、行政整理をやろうというのには、これは一番いい方法じやないか。そういう点において、むしろそれは摩擦もあり、相当目に見えぬ何じやかんじやと理窟をつけて、これを否定することがより多く考えられるのですけれども、私はそういうことはけしからんと思う。こういう際に、極めて徴税技術としても簡単であり、又人件費も要らぬ、而して所得に応じて各事業者各国民が均等に負担のできる、実質に応じての均等課税ができるという行き方においての従前の附加税に直そうというおつもりはないかどうか。  それからもう一つは、今回府県民税を設けられたのでありますが、あの府県民税の行き方でも、あれに応じてあれで所得に応じた行き方を徹底的にやるということになるというと、これは事業税というものはもうやめてもいいのじやないかということが考えられる。それの試験的な、暫定的な、過渡的な行き方として、ああいうことを考えておられるというならまだ話はわかると思うのでありますが、府県民税と事業税との関係及びこれを今後どう進めて行くか、そういう点をお伺いしたい。
  30. 中西陽一

    説明員(中西陽一君) 只今の御質問の第一点及び第二点につきましては、市町村税課長からお答えいたします。  先ず第一点の中小企業等協同組合の診療所の問題でございますが、このお尋ねの点につきましては、農業協同組合の診療につきましては、固定資産税の附加税になつておりますが、今の中小企業等協同組合において行います診療は、果してどの程度でありますか、こういう点につきましても、なお検討いたしたいと思うのであります。  それから第二点のお尋ねでございますが、これにつきましては、実際上他の事業の行なつております態様との関係からこれは検討しなければいかんのじやないかと思いますが、いずれも他の形において行います事業の態様と果してどういつた関係にありますか、こういつた点について検討いたさねばならんと考えます。
  31. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 事業税のほうの問題のお尋ねでございますが、結局個人事業税の中小業者の負担が非常に重いではないかということに関連したお尋ねと思うのであります。御承知のように、現在事業税というものにつきましては、農業、林業等について非課税の扱いになつておるわけであります。その他の事業者に対しまして、その事業経費を分担してもらうという考えに立つて事業税が課されておるわけであります。その際に何を以て課税標準とすべきかということにつきましては、いろいろ意見があるのでありますが、現行法におきましては、所得を以て課税標準に当てるというふうになつておるわけでございます。従いまして所得税に出て参ります所得の問題、所得におきます、いわば先ほど来御指摘のありました不均衡と言いますか、そういつた問題が実はそのまま出て参るわけであります。その点は所得税のほうが人税でありますことと、こちらのほうが物税と観念されておるということによる一つの違いがあるわけでありまして、課税標準等につきましては、確かにいろいろ御批判もございまして、検討の余地があるわけでございますが、現在の段階におきましては、一応そういつた所得を課税標準にとるという考え方をとつておるのであります。これによつて起ります不均衡の問題につきましては、今回の改正におきまして、特に税率の軽減、或いは基礎控除限度の引上げ、こういうようなことによつてその措置をいたしたのでありまして、これによりまして従来に比すれば随分と負担の軽減ははからえて参つたかと思うのであります。なお、不均衡の問題に関連いたしましては、半面勤労者等の把握の問題等関連して全く逆の立場からの御意見等もあるのでありまして、その辺につきましては、私どもとしてもなお将来の研究課題であるということは十分承知いたしておるわけであります。なお、その将来の問題に関しまして、いつそのことこれを所得税の附加税にしてはどうかというような御意見でございます。今申上げましたように所得税の人税であることに対しまして事業税を物税と観念しておりますことから、先ず附加税にすることが果してその両者の性格の違つたものに対して妥当であるかどうか。又課税標準につきましても、現行法におきましては一応所得ということになつております。なお、法律上は収入金額をとるという途、或いは外形課税をとるという途、こういつたような方途も法律上認められております。そういつたような関係もございまして、今俄かにこれを附加税に改めて行くということはちよつと問題がむずかしいのではないかというふうに思つております。これに関連いたしまして、今回できました道府県民税の創設に当つて、これが又所得を課税標準とする関係から、事業者と特に農業所得者等の関係において不均衡が又ここで二重に出て来るのではないかという御指摘があつたのでありますが、私どもといたしましても、その点を十分考慮いたしまして、今回の道府県民税につきましては府県の課税すべき総額は、成るほど県内の住民の所得税の何パーセント、現在五%になつておるわけでありますが、一定の割合で定めますが、これを市町村に配付いたしまして、市町村が現実にそれを課税いたしますときには、それぞれ市町村民税の課税標準によることになつております。これは今やはりいろいろと御意見のございました徴税費の節約といつたようなことも十分考えたのでございますが、半面負担分任の精神を表わす府県民税として成るべくたくさんの住民に負担して頂きたいというような考え方から、市町村民税の課税方式によることにいたしたのであります。御承知のように市町村民税の課税方式は現在法律上三つ、技術的には五つの方法があるわけでありますが、その方式で第一のは、御承知のような所得税額にそのまま乗つかつて所得税額の何%をとるという行き方でございます。あとの二つの方式は、一つは課税所得金額を基礎にして、課税標準にしてとるという行き方、いま一つは、課税所得金額から所得税額を引いた残りの額に課税をして行くという三つの方式があるわけでありますが、この三つの方式によります場合に、第一の方式によりますれば、御指摘のように所得税におきます問題がそのまま道府県民税或いは市町村民税にも現われるわけでありますが、第二或いは第三の方式になつて参りますと、課税所得金額に対する課税となりますので、その点の問題が大部分解消して来るわけであります。実際問題といたしましても、市町村民税の課税方式について、現在どの程度にどういう方式がとられておるかというのを見てみますと、現実には第二の方式が最も多いのでございまして、全市町村の数から申しますと、約八割は第二の方式によつておるのであります。更に五%ぐらいというものが第三の方式によつておりますので、結局市町村の大部分はそういつた負担の分担という精神から、できるだけ広くのかたに負担をして頂くような課税方式をとつておるわけであります。従いまして県民税が市町村民税に乗つて課税をして行くという場合には、その市町村民税で是正された方式がそのまま県民税にも乗つて来る、こういう形になつ参りますので、全くそのまま所得税におきます所得の問題が道府県民税に現われて来るということは言えないだろうと思うのでございます。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 固定資産税関係についてはどうもはつきり具体的な答弁がなかつたのでありまして、何かまあ検討するというようなことでありますから御検討願つて、次の機会にはつきりと具体的な御答弁を願いたいと思います。  それから事業関係につきましては、これはまあ非常な地方税の根本問題でありますから、なかなかここで今日お見えになつている方々との何でどうというわけにも行かんかも知れませんが、先ほどからいろいろ答弁はありましたが、要するにこの法人税、所得税にしても、それから事業税にしても、所得を課税対象にするという点においては、これはもう共通的なもので、ここにおいて附加税にするか、或いは府県民税一本で行くか、根本的な私は再検討が必要だと思う。それでなければ、私は輸出の振興などできんと思う。事業税、さつきも言いましたように、府県民税の七割も占めるという事業税を商工業者だけが、而もそれも終戦直後のような闇など横行しておつた時の懐工合のよかつた時なら、これは格別かも知れませんが、今日のごとく困窮状態になつている時にあれだけの偏頗な課税をやられるということになつたら、これは輸出コストに響いて来ることは当然でありまして、それは輸出を阻害する最たるものの一つだと私は思う、そういう点について、これは地方税の問題ではなく、国全体の問題として考えなければいけないのではないか。今回多少の税の軽減など行われたが、こんな問題は枝葉末節な問題だと思う。根本的な税制それ自体の再検討をする、そういう点においても地方税制度の検討の委員会があるのかないのか知りませんけれども、この際、地方税制の根本的な改革をやるための委員会で大いに研究してもらつて、この新らしい情勢に即応した地方税制を確立せられなければいけない。これは上司のほうへ十分お伝え願いたいと思います。  それと同時に、一つ念のために伺つておきますが、二十五年までは農林関係にも事業税がかけられておつた。それをどうして二十五年に農林関係は課税対象から除かれたか、その当時の事情を伺つておきたいと思います。
  33. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 御承知のように二十五年からは、シヤウプ税制によつて附加価値税になつたわけでございます。で、制度上附加価値税になつたわけでございますが、実施はまあ今日まで実現を見ずに終つたわけでございますが、附加価値税になりました際に、農林業等につきましては、その固定資産税を一方で市町村のほうに対して非常な負担をするというような関係がございまして、これが落ちておつたわけでございます。それがそのまま、当時附加価値税を実施に至らないために、事業税を暫定的に施行して参りますときに、それがそのままに踏襲されたという形になつておるわけでございます。
  34. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なおこの際、中小企業の問題がございましたら漸次御発言願います、
  35. 東隆

    ○東隆君 私は大蔵主税局とそれから自治庁のかたが見えておりますのでお伺いしたいと思いますが、先ほど豊田さんから質問のありました点に関連をして問い質しておきます。私は協同組合は、これはいろいろございますが、これは同じものだと、かように考えております。そこで協同組合に対する非課税の原則、これは当然できないかと、こう考えておりますが、その意味から中小企業者に対する法人税に関連しての措置、これを私は同様にやるべきものではないか、こういう考え方を持つております。それの基礎は日本の協同組合は、これは戦後に実はいろいろな方法で以て協同組合法の立案についていろいろやつたわけですが、占領下において、先ず取上げられたのは商工協同組合法、これは当時不足しておつたところの物資を民主的に配給するために協同組合法を作るというので、臨応物資需給調整法の法律ができるときに同時に、この法案を出して、そうしてやつたところがその場合に、商工協同組合に今までの会社であるとかその他が全部が盟をすることに、加入することになつて、民主的な機構にならなくなつた。従つてその場合に、どういう方法を講じたかというと、不足した物資を配給するために公団ができた。公団ができて、その公団はどういう形態をとつたかというと、国が資本を出してつくり上げた一種のパブリック・コーポレーシヨンの形態によつて物資を配給した。そのときには課税は当然されないと、こういう形態で以て進んで来ておるわけです。その次にできた法律は農業協同組合法、これは農地改革によつて土地改革が行われた。その土地改革が行われて、そして農家が土地を所有することができた。併しこれによつて、将来又転落農家ができないために、農業協同組合をつくるのだと、こういう占領軍の指示によつて、農業協同組合というものが生れて来た。こんなような関係で、その後に出て来た各種の協同組合は、これは本来ならば、私は協同組合法という一つ法律があつて然るべき場合に、各省に分れてセクト的に協同組合法が出て来た。それで、機構を考えて行くと、私は昔産業組合法という一本の協同組合法があつたときと同じように、協同組合法という一つ法律によつてやるべきではなかつたか、こういう考え方を持つておるのですが、そうすると、私は各省協同組合について当然非課税の原則ができておる。それで歴史的に見て協同組合に課税をするようになつたのは、これは戦争が次第に熾烈になつて来る、或いはその以前からですが、国策に即応するために課税をする。こんなような形になつて、協同組合に課税をされる形が生まれて来ておるわけです。そいつが戦後にそのまま踏襲されて、そうして協同組合に課税をする、こういう形をとつて来ておるわけです。これは歴史的に協同組合に対する税をお調べ下さい。その形ははつきりしておる。だからこの場合に国策に即応するという戦争目的のために、協同組合に課税したのは、これは問違いである、こいつを一つ考えの外に置きまして、今の各種の協同組合における税の臨時措置によるところのあの減免のやり方ですね、これはどちらかというと、非常に姑息なやり方、併しその姑息なやり方であるにかかわらず、なお、中小企業者がそいつに入つていけない。協同組合に中小企業者が入つていけないというような、これは非常に協同組合非課税の原則からいつたら、飛んでもないふうにとられておる。大蔵省のほうでは成るべく税金をとろう、こういう考え方にお立ちになつておりますから、そこで理屈をだんだん付けられて、そうして一つずつ落ちて行つておるわけです。私は公平な立場からいつて、協同組合に対する減免の措置は、非課税の原則を中心にして考えて行かなければならん、こういう考え方を持ちますが、どうですか、この点は。
  36. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) お話のうちにありました、現在中小企業協同組合だけが特例を受けていないといつたような点につきましては、豊田委員の御質問に対しまして、すでにお答えいたしました。一応もう一つの、まあ東委員の主張の根本的な問題であります協同組合課税という点について、考えていることを申上げさして頂きたいと思います。協同組合課税のことが日支事変の途中に生まれた。それでそれ以前は産業組合に対しては全然課税がなかつた。これは私も当時主税局におりましたし、その通りであることをよく存じております。で、結局協同組合がそれを、特に農業協同組合或いは中小企業協同組合という場合におきまして、それを構成している人の、まあいわば手足である、その集まりである、一応独立した人格は持つておりますが、むしろ主体はこれを構成している組合員にあるのだといつたような考え方が曾つてつた当時に、まあそれが曾つての実体、そこに産業組合の非課税といつたような問題があつたのじやないかというふうに思います。従いまして、これる課税に取上げました場合におきましても、その点は十分考慮いたしまして、現在同じことになつておりますが、いわゆる事業分量に応ずる配当というものは、組合としてはこれは課税の外に置く、従いまして課税の対象になりますものは、組合の中に留保される分及び出資に対する配当という形で以て配当される分、こういうものだけに限定されているということは御承知通りであります。で、この点につきましては、最近いろいろ協同組合の姿を見て参りますと、従来の組合員というものと離れた、一応組合員は組合員でありますが、同時に協同組合としての独立した存在いうものがだんだん顕著になつて来ている傾向があるのではないか、そこに他の法人とのバランスの問題があるのじやないか、従いまして現在のような姿におきまして、協同組合が、その組合員と独立した一つの存在が実質的にもだんだんはつきり出て参ります限りにおきましては、これに対しまして、法人税を課税するという考え方は許されていいのじやないか、かように考えております。で従いまして、現在におきましても、これを構成している組合員というものを主体にしてものを考えて行くべき分、即ち事業分量に応ずる配当というものにおきましては、現在でも協同組合の課税の対象から、これは除外されておるわけでございまして、結局協同組合が協同組合としての独立性を主張しているどいう面についてだけ課税が伸びているわけでございまして、協同組合というものの実態を見て参ります場合におきまして、それがまああるべき協同組合の姿じやないだろうか、いろいろな議論は別としまして、現状における協同組合というものを考えて行きます場合におきましては、現在極度の課税がそこにあるということは、ただ法人の場合許されるのじやないか、かように考えます。
  37. 東隆

    ○東隆君 今お話なつ事業分量に応ずる配当には課税をしない、それから出資に対する配当には課税をするという問題でありますが、私はこれは簡単に言えば、協同組合と会社の比較をされるとよくわかるのですが、協同組合の場合には、結局剰余金であります。それから会社の場合におきましては利潤です。その場合に協同組合は剰余金を上げることが目的じやないのです。会社の場合には利潤を上げることが目的になつている。それと協同組合の場合には剰余金として上るのは、これは簡単に言えば手数料をたくさんとればいい、或いは金利をたくさんとれば黒字になる。それから少くとれば赤字になる。これは何も問題じやないのです。簡単に言えばそういうことなんです。それで若し赤字になれば、何のことはない組合員から取上げる、黒字の場合にはそれを返してやる。これが原則なんです。会社の場合にはそうじやない。会社というのは利潤を上げることが目的でやつているのですから、だから全然根本的に違つておるのであります。事業分量に応ずる出資配当をするわけで、そうして出資に対する配当については課税をする、こういうようにやるというのは、これは税をとるために大蔵省のほうがそういうお考えになつておるだけなんです。併しその配当をするものも、これは手数料や或いは金利なり、そういうようなものだ。だからそいつは神様ならばプラス、マイナス、ゼロであつて、赤字にもならないようにし、黒字にもならないようにしようと思えば、若し正確にやればできるのです。併しそいつはできませんから、それで少し余計にとる、或いは少な過ぎた。こんなような問題で黒字になつたり、赤字になつたりして問題を起しております。会社の場合にはそんな問題じやない、飽くまで利潤の追及というものが目的だから、他から上つて来た利潤に対して課税をする。こういうことは当然であります。これは事業分量によるという、そういうものではないし、それから株金に対する配当というようなもので区別をすべきものじやない。当然利潤を上げることを目的にして儲けた金なんだから、そいつにやる。それから協同組合の場合には、そういうようなやり方によつて、今度は構成しているところの組合員そのものは利益を受けるかも知れない。その受けたものは所得の増の形で課税をされている。だからどういうことになるかというと、完全に協同組合の場合に、若し課税をすれば二重課税になり、会社の場合には、そうじやないのです。会社の場合は、そういう形にはなりません。併し協同組合の場合には、完全に二重課税の形になる。協同組合ではどういうことをやつておるかというと、結局大きな事業家がやつておるような仕事を、小さな中小企業家がやり得ないから、その分は一つ共同の力で以てやりましよう、こういうのでやつておるのですから、そうして、その利益を一つ自分達で以て受けよう、その利益は所得として現われるから、それに課税してもらう、こういう形になつておるわけです。だから協同組合に課税するべきじやない。その課税をすべきではないものを、理窟を付けて課税されておるわけです。だから私はその意味で、どうしても今までの臨時措置というのは、あれは姑息なやり方であつて、当然協同組合には課税をすべからず、この原則を確立して、そうして、それだけ組合を構成しておるところの組合員が利益を上げておるならば、それに対して、所得増があるから税をかける。そういう形で以て行くべきである。だから私はその意味で、どうも今まで豊田さんに説明されておるのと、それから私に説明されておるのが、どうも腑に落ちない。協同組合と会社というものは本質的に違う。協同組合には民主主義の原則が当てはまつているが、会社の場合は民主主義の原則に一つも当てはまつておりません。だから独占禁止法なり何なりは協同組合は除外されておる。会社の場合は除外されていない。そういう法理論というか、何かそういりものから言つても、はつきりして来ていることなんです。それから歴史的な発達の過程を御覧下さつても、非課税の原則というものは立つている。それから現実の問題から見ても課税すべからずという原則に立つている、そいつに税をかけようというのですから、結局中小企業者の弱い者に国家は二重課税をしておることになる。こういう形が出て来ておる。私は、これは非常に変だと思う。その点はどうですか。
  38. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 私の説明が悪いのか、大分東委員のお考えになつていることと、実際の実情といいますか、法律できめられておることとは違いがある。と申しますのは、まあ話が二重課税の問題からはつきり出て来ておりますから、一応申上げたらいいと思いますが、現在協同組合で課税しておりますものは、先ほども申しましたように、事業分量による配当の分には課税しておりません。従いまして、この事業分量の配当によつて、そうして割戻しが行く、こういう分は協同組合では課税になつておりません代りに、事業家のほうには課税になつておる、これは確かにその通りでございます。併し、出資に対する配当、そういう形で以て分配されますものにつきましては、これは事業所得としては扱つておりません。これは剰余金の処分、いわゆる配当所得とか、そういうものと同じように扱つております。従いまして、そこに我々のほうは、二重課税ということがあるとは考えておりません。今お話のように、協同組合は剰余金を集めることを目的としているのでなくして、結局組合員の販売、或いは生産、或いは購買、そういう面について、これは農業協同組合、中小企業協同組合において当てはまる問題でありますが、それを共同購入、共同販売をやつて行こう、従つて、その場合によつて全然剰余金が出なくともいい、ただ神様でないから、そこで或る程度剰余金が出て来る。それに対して課税しているじやないかという、こういう御意見でございます。で、現在まあいろいろな形がありますが、確かにこれは神様でないのだから、剰余金が出る場合があり得ます。その場合、決算的に見まして剰余金が残つていれば、その分を事業分量に応じて配当するという、あとのことができるわけであります。剰余金をゼロにすることも、これは可能なわけです。同時にその分に対しては、我々のほうでは課税していないわけです。で、結局課税の対象になつておりますものは、出資についての配当、それから留保、こういう分が問題になつて来るわけです。これはもう事業分量に応じての配当というものよりも、出資といつたものと結びついておりまして、これはもう全然やはり協同組合にしても或る程度の資金が必要だ、資金は必ずしも事業分量に応じて出されるというわけのものでもないわけでありまして、結局従つてその出された資金については、事業分量と別個の観点において、やはり一応の剰余金の分配をしなければならん、こういう建前ができているわけです。同時にその分について、我々は課税しているわけであります。これは同時に事業所得の中に入つていないわけであります。従いまして二重課税というものは、私は考えられないのじやないか、かように考えております。
  39. 東隆

    ○東隆君 今の二つにお分けになつて、そうして出資に対する配当に対してのみ課税をするのだというのですが、これは便宜ですね、その上つて来た金というものは何かといえば、結局手数料だの、それから金利をたくさん取つたから上つて来ている金なんです。ただ出資を増加しなければならんとか、或いはその他の配当の便宜のためというような形で以て、そういう形体をとつているのであつて、その金そのものがどこから出て来ているかというと、全部金利或いは手数料、そういうようなものから構成されて来ている。何もそんなに分類するわけはない。だから若しもう少し資本を必要とするならば。蓄積をしなければならん、こういう必要があるときには、取上げた、出て来たところの剰余金を、そつちのほうに振り向けるかも知れない。それは一つの自由な形体においてやつて行かなければならない。出資の増嵩という形体になるのですから、それを奨励している。そうでないと仕事がうまく行かないだけの話なんです。だからそのもとが全然違うのです。協同組合の目的が違うのです。会社の場合は利潤を上げるのが目的なんですから、その場合はこれは当然利潤に対して課税をされる。こちらのほうは利潤ではないのです。それを利潤と計算されて、そのうちどうも事業分量について割戻しをしたものは、これは一つ理窟が立つから事業者に課税をする、出資に対して配当した分についてはと、こういうのですが、これは蓄積される形体もありましようし、いろいろな形体によつてつて来るのですから、その自由だけは許してもらわなければ大きくなりません。堅実な経営はやれません。だから私は、この点も、主税局のほうでは何とかして税金を協同組合からとろうという気持が非常に強いから、そういう理屈をつけられているので、本質的なものをお考えになつたら、そういう理窟は出て来ないと思いますが、どうですか。
  40. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 私は税金を取ろうといつた観点でなくて、むしろ事柄の本質からみて、そこに違いがあるのじやないかというふうなことは考えております。確かに剰余金というものは、まあ員外取引をやつている場合が相当ございますが、これは一応この場合には議論の外においていいと思います。組合の中から剰余金が生れたといいましても、事業分量に応じて分配されるものは、結局例えば買入れのとき、共同販売の組合でございましたら、組合員からの付入れ価格を幾らにきめるかということで、おのずから出て来る量はきまるわけでございます。従いまして高く買えば、共同販売の場合高く組合員から買えば、これはもう剰余金が生れない。安く買つて置くから剰余金が生れるのだ、こういう性格のものだと思います。従いましてその分は結局安く買つてですね。それで高くまあ市場へ売つたと、そこで剰余金が出た、こういう場合には、あとで以て事業分量に応じて割戻す制度があつて、結局適正な値段で組合員から買たというのと同じ結果をそこに残し得るわけであります。従いましてこの事業量に応じての分配金というものは、それが幾ら出るか、かくら出るかということは、結局共同販売の場合におきましては、組合員からの仕入価格を幾らにきめるかということで、先ず第一段にきまり、或いはあと事業分量に応ずる配当によりましてそれが調整できるわけでございまして、こういう点につきましては我々は課税の外にこれは考えていくべきものだと考えておるわけでございます。で、留保される分或いは出資に応じて配当される分、この分は確かに若し員外取引が全然なに組合でございましたら、それは出て来る先は、或いは組合員の懐ろであると、これは言えるでしよう。併し結局それがどういうふうに分配されるかというので、必ずしもたくさん出した人にそのたくさん出したのに応じての分配がなされるわけじやなくて、結局今の通りたくさん出資されている人に対してたくさん配当されるわけでありますから、そこの形態は、もともともつと高く買つてやれば、それで剰余金が生れなかつたはずのものだという性格のものじやないのじやないか。その二つに我々は性質的な違いがあるというふうに考えておるわけでございまして、まあ東委員はそれはそれに違いがないとおつしやいますが、我々はどうも違いがあるのじやないか、こういうふうに考えております。
  41. 東隆

    ○東隆君 今出資の配当の問題はこれは会社と同じじやないか、こういうお考えのようですが、協同組合の出資に対する配当は、これは全部制限をつけられておる。それから株式会社の場合はこれは制限され、はい、配当は……。勿論いろいろな社会政策上非常な制限を加えたかも知れませんけれども、本質的に協同組合に対する出資に対する配当というものは法文でもつてきちんと大概きめられております。中小企業者等の協同組合法がたしか一割くらいになつておるようです。これは一番最高らしいのです。制限は……。あとのものは非常に少いはずです。そういう性格になつておるのですが、これは私は単にこれによつて出資に対する配当によつて利益を挙げるというようなものは、これは協同組合としては邪道である。こういうことからやはり制限を加えた。配当に対する制限ですね。そこでこういう点はどういうふうにお考えですか。
  42. 渡邊喜久造

    説明員渡邊喜久造君) 協同組合につきまして出資に対して制限があるということは我々も承知しております。同時にそれについてはそれ相当のやはり理由があるものと思つております。併し一応出資に出する配当の性格というものは、先ほど申上げた通りのものであるわけでございまして、事業分量に応じての剰余金分配とは違つた政策のものであるということは、制限があるということから直接影響はないのじやないか、かように考えております。
  43. 東隆

    ○東隆君 いろいろ私もまだお聞きをしたいのですが、又この次の機会に譲ることにして、今日はこれだけにしておきます。
  44. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではまだいろいろ中小企業の問題が残つておりますが、明日大蔵大臣を呼んでそれをやります。あと士田君にやつて頂きます。
  45. 土田國太郎

    土田國太郎君 府県税課長に伺いますが、事業税の問題ですがね。どうもシャープ勧告以来、事業税がいろいろなふうに変つて来たので、実際の性格もわからないのだが、さつきあなたの御説明によりますると、この事業費というものは商工業者だけに負担させて、そうしてほかの事業経費を負担するというような御説明になつて、当然これは物税でございますが、それはどういうわけで商工業者だけが金を出して、他の業者の経費を負担しなければならないかという理由は、どこにあるのですか。
  46. 細郷道一

    説明員細郷道一君) ちよつと私の御説明が十分でなかつたかと思いますが、事業を営んでいる人の負担を、事業を営んでいる人に負担して頂く、その場合にその事業経費として事業税を扱つて行く、こういうつもりで実は返事をしたのでありますが、商工業者から取つて、それをよそのほうへ廻わす、こういうつもりで実は返事をしたのではなかつたのでございます。
  47. 土田國太郎

    土田國太郎君 然らばこれは応益税と解釈してよろしいのかどうか。
  48. 細郷道一

    説明員細郷道一君) おつしやる通り応益税と見ているわけでございます。そこで事業をやつておる者は、当然にそれぞれのその地方団体からの或る程度の受益がある、地方団体からの受益がある。そこでその受益を何を以て測定するかということになつて参りますと、やはりその事業の活動量を以て測定するのが一番いいのではないか、活動量を現わすものは何だろうかということになつて参りますと、或いは売上げ高で行くのがいいだろうというお説もございます。又所得で行くのもいいだろうというお説もございましようし、いろいろあるわけでございますが、現在のところでは、先ほど申上げましたような、そういう措置をとつておる、こういうわけであります。
  49. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは応益税である以上は、ひとり商工業者のみならず、府県において事業をするあらゆる業態は府県の経費に御厄介になつておるわけです。であるから、そのあらゆる業態が、府県費を使わなければそれは別でございますが、都道府県費の御厄介になつておるものは、その応益の比率に従つて課税されるものではないでしようか。
  50. 細郷道一

    説明員細郷道一君) おつしやる通りであろうと思います。御指摘のように、商工業者だけが負担して、農業関係者が負担しないのは先ず、おかしいじやないか、同じ応益で課税を受けるならば、全部事業者というものは負担をすべきじやないかというお考えだろうと思うのであります。農業事業者と商工業事業者というものを比べて参ります場合に、やはり農業という事業は、先ず全般的に零細であるということが一つ言えるだろうと思うのであります。又この農業という事業は、非常に自然的な条件によつて左右されるということも言えるだろうと思うのであります。更には先ほどもちよつと触れましたような固定資産税というような、農業事業の非常な要素になつておりまする土地について固定資産税というものが相当大幅にかけられておる。こういつたような観点から、実は農業についての課税を差控えておるわけであります。
  51. 土田國太郎

    土田國太郎君 農村は土地を持つておるから固定資産税を課せられるから、事業税は課さない、こういうような御説明ですが、商工業者も工場を持つておるし、又商品も固定させなければならん。その意味においては農村とプラス・マイナスだろうと思う。而も農村の今のあり方は税面から見て、先ほども税問題で論じたのでありますが、頗ぶる小さなものである。殆んど農村で所得税を収めておるという者は、全く何百人に一人というような今日の情勢であるのであります。而も土地を持つておるからと言うても、その土地も昔の戦前のように田圃や畑をたくさん持てる時代なら、そういう議論も成り立つが、今のように制約された土地を持つておる農村が特に固定資産税を商工業者よりもたくさん納めておるという議論は、私は成り立たないと思う。そういう意味において、事業税というものは、県費を負担して又それによつて利益を得たものが、その応益の比率において納めるべきものではないかと私は考えておるんだが、今あなたは農村は零細事業であるんだから云云というんですが、とにかく都道府県において、まあ東京のごときは商工業のほうへ経費を一番使つておりまするが、地方のほうへ参つて見まするというと、私も調査したんでありまするが、農林水産に都道府県で経費を使つておるのは一四%、それから商工業に使つておるものはただの二%、これはあなたのほうで御調査になればおわかりになりまするが、大体私の調査したところでは、まあその程度になると思うんですが、まあ方向としては大体間違いはないと思うんですが、こういうように一方のほうでは莫大もない金を取られ、而もそのために使う経費は僅かに百分の二だ。一方のほうは農林水産は一四%も都道府県で金を使つておるというように、非常に取られるだけで、一方で商工業者に施設をして下さるというところは殆んどゼロにひとしい、百分の二ぐらいですから。そういうようなことは非常に為政者として私は考えて頂かなければならんと思うんでありまするが、将来これに対するお考えは如何ですか。
  52. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 御指摘のように、農業と商工業との間の事業税負担についていろいろ御批判があるわけでありまして、これは一体是正するならどういう方向があるかという場合に、一つは農林業にも全部事業税を課税して頂くという方向一つございます。今一つは、今のままで行く場合に、せめて農業所得者程度の事業のいわゆる一般商工事業者、そういうものは事実上課税されないような方向に持つて行く、考え方としては或いは基礎控除を引上げるとかいうようなこともあると思いますが、先ずそういつたような方法がある。そのいずれをとるかという問題になつて参りますと、実は昨年ありました地方制度調査会等におきましても、非常にその点の議論が熱心にございました、考え方といたしましては、むしろ第一の、前段のほうの全部に課税する、いわゆる非課税規定を整理するというような御答申を頂いたわけでございます。それに対しまして私どもいろいろ実際問題として研究をいたしたんでありまするが、先ほど来申上げましたような零細であるというような問題もございますし、又非常に自然的であるというような問題もございますし、かたがた固定資産税の負担もあるというようなことから、実は現在のところそれを見送つたわけでございます。反面もう一つのほうの方向の問題といたしまして、税率の引下げと基礎控除の引上げというような措置に出たわけであります。で、将来これをどうするかという問題については、先ほども私お答えいたしましたように、確かに問題のある点でございまして、実はそれは保税標準等との関係においても問題があるわけでありますし、そういう面からなお私どもとして研究をいたしたい点でございます。勿論名案がございますれば、私どももそれを大いに参考にいたしたいというような気持を現在持つているわけでございます。ただここで御注意頂きたいことは、全体について応益的に課税をするという問題に発展いたしますれば、一番理論としてすつきりいたすわけであります。併しながらそれはやはり沿革その他の点もございましてなかなか今直ぐ私からそれができるということを申上げることもいたし兼ねると思います。いま一つのほうの問題として、いわば基礎控除とか、何と申しますか、中小の業者の負担を軽減するというほうの問題になつて参りますと、やはり他面には財政上の理由ということも考えてみなければならないと思います。その辺を考えまして、今年とられた改正においても非常な財政上の負担を忍んで実はやつた措置でございます。それからいま一つ、どうも農林業のほうにたくさん県費を出しておつて、都市のほうには一向出していないじやないかという御指摘があつたわけであります。応益という言葉をその通り数量的に見て参りますと、そういう問題があるかと思いますが、応益という言葉を、そういう数学的に解するよりも、やはり質的にお考え願いたいと思います。確かにおつしやるような批判はございましたので、そういう面から、今回先ほどお話した都道府県民税というようなものを起すことによつて、全県民が何がしかの負担を分任するということ、こういう別の税によつてそれを補うという制度をとつたわけであります。
  53. 土田國太郎

    土田國太郎君 私の考えでは農村にこれを無茶苦茶にかけるという意味で申上げているわけではないのであります。ただ私はこの商工業者のみに限定するところに不満がある。これは全国の一般商工業者の憤りですよ、この問題については……。でありますから、これを広く浅くしたらどうか。シャウプ勧告の前の事業税的なものは商工業者は四〇%、今日は八二%も納税しているというような大体の情勢、倍になつている。そういうような関係で、ひとり商工業岩が県費を——大体県費の六、七〇%ぐらいを負担しているのじやないですか。そういうような非常な一ところへの弱いものいじめというような恰好に現在はなつているのだが、そういうことでなく、本年設定されたような府県民税ですか、ああいうように浅く広く一つかけたらどうか。又一つの方法としては、商工業者の負担しているものを全部なくしてしまうということは、これは地方財政があなたのおつしやるように非常に迷惑する話なんだから、私はこの財源としてはこれを広く持つて行くということ、つまり府県民税的に皆に負担してもらう、事業をしておるかたですよ、私の申上げるのは……。何か勤労者はこれはやつてくれとも申せませんし……。但し今申上げましたように府県費を使うというようなものは大体おわかりになつているのですから、そういうようなところも勘案されて、広く浅く課税して頂ければ、これは商工業者の不満というものは非常に柔げられるのじやないかと思う。まあこれは政治面に入つて来ますので、あなたにそれを要望することは無理でございますけれども、まあ政府意見として一つそのほうをおとり上げになりまして、本年の予算面等につきましてもお考えを願えれば結構だと思うのですが、何ですか、商工業と農林水産と勤労者の地方税負担のパーセンテージ、割合というものはおわかりになりませんか。
  54. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 手許にちよつと持つておりませんから。
  55. 土田國太郎

    土田國太郎君 二十八年度の大体の何といいますか、地方税の締め括り、総額等はおわかりになつておりますか。
  56. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 五月末現在の徴収実績は出ております。
  57. 土田國太郎

    土田國太郎君 それと予定と…。
  58. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 出ております。
  59. 土田國太郎

    土田國太郎君 それでありますから、一つ委員長にお願いすることは、二十八年度の都道府県税の総額、それから事業税の総額と、それから市町村税の総額、この三つの総額と一人当りの、百平均で結構ですが、税額、これを知りたい。もう一つは今申上げましたように、商工業と農林水産と勤労者の地方税負担の負担比率、これを知りたいのですが、一つ委員長からお計らい願いたいと思います。
  60. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今の士田君の要望に副うように、できるだけ早く御提出願いたいと思います。
  61. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今の資料提出を要望せられたのに関連いたしまして、各都道府県の予算のうち商工関係の予算が府県税収入の何%を占めているか。そうして農林関係が何%を占めておるか、それを出して頂きたい。それからもう一つは、今回事業税が軽減せられたのですが、軽減せられてもなお且つ事業税が府県税の同割を占めておるかということを一緒に願いたいと思います。  それから更に、今課長から答弁せられた際に言われたことで、今後御検討を願うようなことに重要な関連があると思うので、二点だけ言つておきますが、農業が零細と言われるのは、勿論それはそうでしようが、併し農地制度の改革せられた後の農業というものは、全体の産業からみて曾つてとは大分違つて来ておる。そうして又中小企業というものに零細企業というものがないというふうに考えておられるかどうか、そういう点が問題だ。もう一点は、農業は自然的条件に支配せられる、天災があるというようなことも言われたのですが、共済制度があつて、風水害、冷害霜害等のときに多額の共済金が出ておる。ああいう制度というものをどういうふうにみておるか。私も農業に何も過重負担をさせようというものではない。士田委員と同じように乏しき中に等しき負担をしたらどうなのか、そういう点なのでありまして、これは農業関係のみならず、サラリーマン、労働者、そういうものに対してみんな同じことであります。そういう見地に立つて我々は言つておるのでありますから、誤解のないようにしてもらいたいと同時に、今の零細、零細と言われること、それから自然的条件を云々せられるが、それに対してはそれぞれ反駁せられる材料があるということを十分にお考えになつて、この問題についてこの次にもつと具体的な案を一つ自治庁全体知能をしぼつて対案を出して頂きたい。
  62. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私はちよつとまあ時間がたちましたので、簡単に、去る二日の日にイギリスの労働党の幹部の諸君が日本を訪れて参りました。その際に、羽田の飛行場におきまして、税関の通関手続並びに出入国管理令に基くところの入国手続等について、どちらかと申しますと、まあ前に大臣を勤めた連中が二人もおる。それからイギリス労働労は御承知通り、すでに戦後四カ年間も政権を担当しておつたというような世界の大政党だと思う。代表的な政党だと思うのですが、そこの代表がやつて来る際に、若干、若干というか、大いに、こういう連中を迎える通関手続として又出入国管理令に基くところの入国手続としては、ちよつと礼儀を失するようなやり方をやつたんじやないかということは、新聞でもやかましく言われております。そこで税関部長にお尋ねしたいのは、出入国管理令の問題はちよつとこれは別にいたしまして、通関手続でありますが、これはやつぱり通関というのは密輸と禁制品の持込みというのを取調べるのだと思うのですけれども、こういう連中はまさか香港から金側の時計をたくさん持つて来るというような心配もなかろうし、或いは阿片を持つて来るということもないであろう。殊にベヴアンにしましても、フランクリンにしましても、我々は接したのですが、実に着ている洋服一着見ましても、あれだけの人間が、日本人であつたならば、海外旅行をするということになつたら、先ず洋服を一着拵えて行かなければならんというのですが、この連中の著ている洋服を見てみますると、いずれも日本人の歓迎に行つた者の着ている洋服よりも悪いような洋服を著て平気で来る。そういうところから見て、まさかああいう連中は密輸なんということは絶対ないというふうに私は考える。人間を見て法を説けだと思うのであります。香港から来まして、ああいう際に、これは政府の代表で公用旅券を持つていなければ、一般民間人として扱うのだ、こういうような取扱いをあなたのほうは指令されておるのか。少くとも前に大臣をやつた者に対しましては、或る程度これは外交的な儀礼ということも考えなければいかんと思うのですが、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  63. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 去る二日の夕方英国労働党のベヴアン氏一行七名のかたが羽田に到着されましたときに、日本側の受入態勢に若干不都合がある、殊に税関につきましては、一部の新聞に税関が旅行者並というふうに大きくでかでかと書いてありまして、あたかも税関が一行の来朝に際しまして礼儀を失したかのような感を一般読者に与えておりますので、本日は大変いい機会でございますので、当日の状況を私から御説明いたしまして、税関の立場等を御了解頂きたいと思います。  今回の労働党の幹部のかたがたが来朝に際しましては、別に外務省からはら何の連絡もなかつたわけであります。かねがね税関といたしましては、一国の相当な貴賓のかたが参ります際におきましては、便宜簡易通関というものを行うという習慣になつております。そこで税関といたしましても、手ぐすね引いて簡易通関の準備をして待つてつたのであります。今回の場合におきましては、社会党側と輸送会社であるBOACから事前に税関に連絡がございまして、通関手続につきまして十分な打合せを遂げたようであります。そこで、当日は勿論これは執務時間外ではありましたけれども、特に英語に非常に堪能でありますところの羽田税関支署長と支署の次長が居残りまして、みずから支署長と次長がペヴアン氏一行を出迎える、こういうことにいたしておつたのであります。そこで当日の予定はたしか午後七時に到着のようでありましたが、二十六分遅れまして、七時二十六分に飛行機が羽田に到著いたしたわけであります。まあ従来の例によりまして、社会党の関係方々或いは新聞班の方々などか飛行機のそばまで行かれた。これには空港のほうの予めの許可もあるわけであります。それでタラップから降りて来られるあのベヴアン氏一行に対しまして、歓迎の辞をお述べになり、挨拶を交換せられて、その間新聞班などがフラッシュを盛んにたきまして、約十分間ぐらい経過したそうであります。それからその歓迎の嵐も終りましたので、ベヴアン氏一行が丁度ロビーのところに出迎えておりました一般大衆の方々の歓呼に応えるために、そこで五、六分又歓迎の声に対しまして応待されたのであります。その際に、羽田税関といたしましては、先ず羽田税関支署の次長がベヴアン氏の案内役となりまして、一応挨拶を交して、歓迎陣の歓迎の一段落するのを待ちまして、例の通り入国待合室のほうへお連れしたわけであります。その間におきましても、新聞班が盛んにフラッシュをたきまして、一行の方々は大分迷惑そうな顔だつたそうであります。入国待合室におきましては、羽田税関支署長がみずからベヴアン氏に歓迎の辞を述べまして、さあこれから一つ出ましようということで、先導しようとしたそうであります。その際に、社会党のかたが、実はこれはちよつと名前を申上げ兼ねますが、英語のできる某氏がちよつと交渉したいことがあるのでちよつと待つてくれということで、そこで七、八分間時間を経過したそうであります。やがてそのかたがお見えになりまして、ベヴアン氏等との打合せが終りました模様でありますので、羽田税関支署長が先導いたしまして、出品のほうへお連れしたわけであります。この間税関といたしましては、通常の各国の貴賓が羽田へ参りましたときと全く同一の態度でありまして、荷物に関しましては勿論全然検査をいたしておりません。チヨークで以て税関の検査済をいたしまして、荷物の検査は全然いたさないばかりじまございませんし、荷物についての質問ども全然いたしておらない。そこで羽田支署長がそのままずつとお連れしたわけでありますが、ただ新聞に出ておりますのは、実は一般にもこれはよく誤解があるのでありますが、羽田の飛行場に着きましてから出るまでが一般に税関手続だというふうに考えられております。新聞にありますのも、恐らくは細かく考えればいろいろ表現の仕方もあるでしようけれども、例えばニクソン副大統領が来られたときとか、或いはカナダのサンローラン首相が来られたときなどには、飛行機の側にすぐ自動車を横附けにさして、そして飛行場外へ出さしたじやないか、それにもかかわらず、今度は通常のようなやり方で飛行場の外に出て行かれた、税関も旅行者並みに扱うというふうに出ておりますが、私ども大変迷惑な話なんで、実は従来のものを申上げますと、ニクソン副大統領、カナダのサンローラン首相、或いは又最近来朝いたしましたビルマの賠償使節団等の場合におきましては、即ち国賓或いはそれに準ずる賓客の場合には、外務省からあらかじめ連絡がありまして、そうして空港のほうに実はこれこれこういう事情なので飛行機の側にすぐ自動車をつけて、そして飛行場の外に出したいがということを航空局の羽田の出張所でございますか、それに許可を申請して来るわけであります。羽田の空港出張所におきましては、税関或いは入国管理事務所に打合せの上入国を許可しておるわけであります。今回の場合も、若し仮に社会党の方々がそういうような歓迎の方法をおとりになりたいということをお申出でになりますれば、勿論これは羽田空港側も許可したものと思われます。ただどうして社会党の方々がそういうような従来のニクソン副大統領、或いは又サンローラン氏などの場合のように、飛行機から降りてすぐ自動車でお供するということを空港事務所或いは税関に申し出なかつたかということを考えてみますと、私の推測でありますが、新聞にもありますように、日本の新聞記者団と一行との会見を予定されておつたようでございます。従つてどうしても飛行機のそばから自動車で飛行場外へお連れすることが工合悪かつたのじやないか、そのためにこういうような申請を出さなかつたのじやないか、こう考えております。私どもといたしましては、これは羽田の税関、空港というのは非常に重要な場所だと思つております。単に税金を徴収するだけでなく、或いは又為替管理、貿易管理の場合におきましてもチエツクするだけではなくて、日本におけるところの第一印象を外人客に植付けるところの大事な場所であるというふうな感じを持つておりますので、各国からの来遊客に対しましては、それぞれその方々の身分或いは地位、職業等を勘案いたしまして、できるだけ簡単な手続をいたしておるのであります。実は今から二年くらい前までは羽田の税関の取扱いが非常に厳格であるというふうに一部の非難を受けておつたのでありますが、これは多少手前味噌になつて恐縮でありますが、一昨年私がガツトの会議に出席いたしまして、その間欧州の各税関、空港の取扱い、或いはアメリカの取扱いなどを見ました結果、やはり羽田の取扱いを変えなければならんというふうに考えまして、帰国いたしましてからは、専ら大体におきまして欧州式な方法によつて羽田空港の通関をいたしております。即ち欧州式というのは非常に簡単であります。大体旅行者は税関に対しては余りいい印象を持つていないのであります。欧州あたりにおきましては、一般旅客に対して非常に親切、殊にその人の地位とか或いは職業等を見て、到底密輸をするような虞れのないような人でありますれば、単に何か課税品をお持ちですか、と聞くだけで、ないと言えば、そのまま通関する状況であります。現在羽田の通関方法も大体欧州のそれに準じてやつております。そこで最近におきましては、一般からそう御非難を招くようなことは実はいたしておらないつもりでおるのであります。先般のベヴアン氏来朝の際におきましても、只今申述べましたような取扱いでありまして、税関といたしましては何ら貨物の検査をいたしませず、又通関について一行の方々に貨物についての質問をするというようなことは全然いたしておりません。その点一つどうぞ御了承頂きたいと思います。
  64. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今税関部長から詳しく御説明願いましてわかりました。私も当日歓迎委員つたが、現場までは行けずに、こちらのほうでほかの仕事のために追われておつてよくみてございませんけれども、様子は大体わかりましたけれども、非常にベヴアン氏一行が第一印象を悪くしたというふうに新聞にも載つてつた。で、心配しておつたのですが、今の御説明でよくわかりましたが、今後やはり人間を見て法を説くということは必要だと思いますので、特に羽田へ今年又十一月にもアジア社会党会議が開催されましてウ・チヨウ・ニエン氏なんかが今度は、今は賠償使節でやつて来たけれども、今度は社会党の党首、指導者というような恰好でもう一遍十一月には来る、こう言つておるので、この前に来たときにはえらい税関は簡単に済んだけれども、今度来たときにはやられるというようなことのないように一つ、今の御説明でそれが現地でおやりになつておるのでしたら結構であります。了解いたしました。
  65. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 明日は十時から開会いたしますが、朝日は大蔵大臣出席いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時十七分散会