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説明員(
渡邊喜久造君) 第一の
個人の企業につきまして営業主の給与支払を認めるということを考えることはどうかという御
質問についてお答えをいたしますが、要するに農業の場合におきましても、
事業の場合におきましても、そこにあります所得は結局
事業をなさる方の労働といいますか、
経営に力が入
つているわけでございまして、これが法人であればそこに役員報酬が出るというわけですが、
事業所得そのものが実はその分を包容しておるわけでありまして、そこに労賃分を認めること自身は非常に擬制的なものが入
つて来るわけでございまして、そういう
考え方でなしに、結局基礎控除、
事業税についても基礎控除を認めておりますが、そういう
ところにおいて勤労所得との
関係においてバランスをとるべきじやないかというふうに考えておりますので、そんな意味からしまして
事業税につきましても結局基礎控除、今年から七万円に上げて参りましたし、まあ将来政令で定めるとしたら、これを更に十万円にするということに現在の
地方税法がな
つておりまして、今この場合に、普通のそうした俸給云々ということが全然ないものに俸給を考えるということは、これはいろいろ扱いを複雑にするだけでありまして、むしろ基礎控除をどうするかというような点で問題は扱
つて行くべきじやないか。更に勤労控除に対しましてそれと見合う何らかのそれに相当する控除が考え得られるかどうか、この問題も我々いろいろ検討しているわけてありますが、いろいろな見方がございまして、現在税務の実際の負担から言いますと、まあ勤労所得のほうは入
つた金額がそのままはつきりしているのに、
事業所得のほうは百が百そのままとられていないのではないか。こういう意味において実際は勤労所得のほうの負担が一番高いのではないか、こうい
つた意味の御批判もあるわけでありまして、我々といたしましては、これは実際問題としましてはそうい
つた批判もいろいろ大いに反省しなければならん点があると同時に、建前としてそれをそのまま是認して、従
つて中小企業の負担は勤労所得に比べて軽いのだということもできかねる問題ではないか、併しそうい
つたような事態がいろいろ指摘されているということも
一つの事実でございまして、そうい
つた面等も考え合わせながら、一体この控除をどう考えて行くべきか、勤労控除そのものが一五%てもまた低いのだから、もつと二〇%にも更に上げろ、こういうような御批判もあるわけでございますし、或いはそういうものと併せて、まあ片方を二割に上げれば片方に五〇%の控除をするとい
つたような
考え方もあり得ると思いますが、同時にそれは結局の
ところ基礎控除を上げるということと問題は同じじやないかということで、前回の
改正におきましては基礎控除を引上げるということで問題を取扱
つたわけでございまして、
只今としまして
中小企業、これはまあ当然農業に問題は波及して行くわけでございますが、そこに実際支払われるということは考えられない、俸給を考えて行くということは徒らに問題を紛糾させるようなことになりますし、むしろ問題は基礎控除の問題として考えて行くべきである。或いはせいぜい勤労控除とい
つたようなものと、給与所得と我々呼んでいますが、これの控除の問題と結び付けて考えて行くべきだ、こうい
つたような問題として検討しているわけでございます。
それから次に物品税の問題について
お話がございました。現在物品税につきましては原則として庫出しされました、販売されました翌月、その月の分を翌々月に担保を提供すると更にもう一月、担保を提供しました場合に九十日、それから月の初めから終りまで平均的に出たと一応まあ観念的に仮定しますと十五日、百五日、一応徴収の猶予がなされているわけでございます。で、品物によりまして現在のまあ取引状況がいろいろ悪くな
つているという分も確かにあると思いますが、併しかなり百五日という日数は長い日数じやないかというふうに我々思
つております。従いましていろいろな
お話がありますが、もう少しよく実態を見まして検討して行くべきじやないかと思いますが、百五日というのはかなり長い日数じやないかというふうに考えておりますので、現在としましてこれを更に延ばすということにつきましてはまだ考えておりません。
それから第三の予定納税に今度変
つたにつきまして、税額が三割以上減ると認められる場合にだけ減額申請が認められているという点について
お話がありましたが、これは多少こういう点をお考え願
つたら御理解行くのじやないかと思いますが、現在の制度は御
承知のように基礎控除があり、それから課税の所得に対しましては累進税率で以て課税されて行く。従いまして所得が例えば二割減りますと、それによる税負担というのは二割にとどまりませんで三割或いはそれ以上減るということに実はなるわけでございます。従いまして従来は所得で以て二割という
ところで押えておりましたが、今度は税額で押えるということになりますので、大体従来所得で二割減
つた場合の税の減り方はどういうことになるかという点から一応の数字を求めまして、税額の三割を出したわけでございますが、税額の三割の場合は所得二割の場合に比べますと申請をなし得る範囲が拡まりこそすれ私は狭まるものじやない。これはいろいろ計数で或いはよく御説明申上げていいと思いますが、所得二割の場合におきましては税額は、恐らくこれはまあ段階によ
つていろいろ違いますが、三割以上の場合が多い。従いまして税額で三割ということに押えましたことによりまして、従来の扱いよりも厳格に
なつたということは、これは言い得ないのじやないか、こういうふうに思
つております。と所得との
関係が、結局
先ほど申しましたように基礎控除、それから累進税率という
関係で所得が二割殖えることによ
つて税額は実は三割以上殖えるという場合が大部分でございます。そうい
つたことから何割をきめるかということにつきましては、我々も提案いたします際に相当慎重に考慮じたつもりでございますが、大体これによ
つて従来よりもまあ甘いと言つちや語弊がありますが、甘くこそすれ辛くなるものじやない、こういう確信を得ましたので、現在のように三割ということにしたわけでございます。
それから最後に所得
調査委員の
お話がございましたが、所得
調査委員の問題につきましては、これはまあ申告納税という制度と結び付けましてもやはり相当問題があるのじやないか、同時に過去においても所得
調査委員会が果した役割というものを考えてみましても、どうも現在の税制におきまして所得
調査委員会を作るということが適当かどうかということにつきましてはむしろ我々は消極的に考えております。と申しますのは、結局税の問題は非常に
個人的な問題でございまして、個々の人において初めてわかるわけでございまして、なかなか外から見た
ところで以てその人の所得が果して幾らかということはつかみにくい。従いまして相当
専門に
調査している者が個々の人にぶつかりまして初めて実はわかるわけでございまして、他に職業をお持ちにな
つておる
調査委員の方がままお集まり、時としてその時期にだけお集まりになりまして、そうしてこれが多いとか少いとかいうことはなかなかわかりにくいのじやないか。結局わかりますのはその方が直接
関係していらつしやる分だけ、そうしますととかくそこにいろいろ政策の問題とかいろいろなものがありまして、全体としてなかなかつかみにくい。而もその人の
関係した分についてだけがわかるということになりますと、却
つてそこに弊害があるのじやないか。むしろ同時に、そこに現在におきましては申告納税制度をと
つているということも、従来の賦課課税制度をと
つているのと大分建前が違
つておりますし、従いまして現在
中小企業者などにおきましていろいろな税務署の
調査などにつきましての御不満は、これは現在協議団制度、これは国税庁長官もおりますが、最近長官も非常にカを入れてこれらの強化と言いますか、実質的な強化に努めていらつしやいますが、あそこで苦情相談所の形で、或いは協議団の形で問題を受付け、十分納税者の言い分も聞きまして、第三者的な
立場でその的確な所得を調べると同時に、税務署の調べた
ところに間違いがあれば協議団の
意見によ
つてこれを是正して行く、こうい
つたような方法、協議団を強化拡充して行くという方法によ
つてこの問題を処理して行けるのじやないか、かように考えております。