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説明員(阪田泰二君) 先ほど
銀行局長から御
説明いたしましたうち
財政資金の
国庫収支の問題、これにつきましては御
説明をいたさなか
つたそうでありますが、先ずそれにつきまして簡単に申上げておきたいと思いますが、
銀行局のほうからお配りいたしました
資料の第一表に
財政資金収支という表がございます。まあこれは
政府の
国庫の収支が全体として民間に対してどれだけ払いとなるか、或いは
引揚げとなるか、こういう表でございますが、この表にございますように、一番左の欄を御覧願いますと、これが全体の
政府のいろいろと各特別会計
資金の運用の
関係或いは
指定預金、為替の
関係、全部含めました
国庫の収支が民間に対してどう
なつておるかという
数字が出ておるわけでございますが、この一番左の
数字を御覧願いますと、昨年の四月からの
数字が出ておるのでありますが、ずつとございまして、二十八
年度の
年度計、この左のほうの下から六行目ですか、ここに大体九百五十一億という
数字が出ておるわけであります。大体二十八
年度は九百五十一億だけ民間から
引揚げという
数字に、結果において
なつたわけであります。それで、この九百五十一億の内訳を、ずつとこの横のほうを御覧願いますと、
指定預金の
引揚げが四百八十五億、これから三つ目のところであります。
年度計のずつと横のほうであります。
指定預金の
引揚げは四百八十五億となります。それから為替の
関係、これは
外貨の
関係では
外貨を喪失した反面、円の
関係では金の
引揚げになりますので、ここでは千二百五十八億と、いうような
引揚げに
なつておるわけであります。これに対しまして、この
二つを除いた特別会計、
一般会計の収支の
関係では、七百四十二億の支払い超過、民間に対する散布に
なつておるわけであります。去年の全体の態勢としてはこういうようなことでありまして、
一般会計、特別会計といたしましては七百四十二億の散布でありましたが、為替の
関係と
指定預金の
引揚げの
関係によりまして、全体として九百五十一億の
引揚げということで終
つたわけであります。
それで、今
年度の
国庫収支、これが
金融とか
通貨とかに非常に又大きな影響を持
つて来るわけでありますが、本
年度の
国庫収支の見込みといたしましては、実は今年の予算が
国会に提案になりまするときに、その予算或いはそれに関連する投資の
計画、いろいろの
資金計画等から
国庫収支の見込みをごの
国会にも御
説明申上げたわけでありますが、それにつきましては、大体いろいろ本
年度の予算におきましては、予算そのものは収支均衡いたしておるわけでありますが、いろいろ前
年度の剰余金を使用いたします
関係とか、食糧証券が
増加いたしまする
関係その他で、予算面から言いますと六百十三億の散布超過の要因がある。併し他方、国際収支の
関係、為替の
関係で約三百二十四億の
引揚げの要因がある。更に
別口外貨貸付の
制度を廃止いたしましたので、その
関係が、これがやはり
引揚げの要因に約三百億
程度ある。差引きまして二十九
年度としては十一億の
引揚げの
数字、大体まあ収支とんとんになるくらいの見込みであるという御
説明を申上げてお
つたわけであります。
併しこれは御
承知のように予算或いは予算に伴う投融資
計画から形式的に見ました
数字でありまして、現実の
国庫収支というものは、これは予算に盛られましたものでも翌
年度に繰越されて来年の三月までに実施されないものもございます。
それから、一方から言いますと、前
年度から越し来たいろいろの支出とか収入とかがございます。なお国際収支の
関係、いろいろの
資金の
増加の
関係、その他予算或いは見込みと相当違
つて来る面がございますので、現実の
国庫収支はこれとはかなり違
つたものと
なつて来るわけであります。それで、二十九
年度に入りましてからの
国庫の収支でありますが、先ほどの表にございまするように、四月が五百六十九億円、五月に五十六億の散布超過でありまして、六月は二百九十五億の
引揚げに
なつておりますが、第一四半期といたしましては三百三十億の散布超過に
なつておる。昨年の二百二十七億の
引揚げと、昨年の第一四半期の二百二十七億の
引揚げという
数字が上のほうにございますが、これに比べまして逆に散布超過に
なつておる。なお七月になりましても、二十八億の
引揚げということで、
引揚げ額が
割合に少いわけであります。
さような
状況に
なつておりますが、その内容がどういう
関係でこういうことに
なつておるかと申しますと、先ほど申上げましたように、今年の予算だけから見ました
状況に比べまして、非常に違
つて参りましたのは、やはり前
年度からの繰越金の
関係であります。最初に申上げましたように、今年の予算にいたしましても、来
年度に繰越されて本
年度は支出されないものがありますが、二十八
年度から繰越して来ました支出が本
年度に四月に
なつてから出るというものが相当ございますので、ぞの影響がこの第一四半期等にはかなり顕著に現われておると思います。大体二十八年の歳出で今年の四月になりましてから出納整理期間中に支出されましたものが本
年度は八百四十一億ございます。それからなお支出未済で二十九
年度に繰越されました額が千二百八億、これはすでに支出されたものもありますが、これから本
年度内に支出するものもあるわけでありますが、それだけありまして、合せまして二千億
程度だけ前
年度からの歳出が越しておるわけでありますが、そういうものが本
年度に入
つてから出ておる。それで、この二十九
年度の歳出がそれでは来
年度にどれだけ繰越されるかという問題が関連するわけでありまして、二千億
程度来年に繰越せば本
年度としてはとんとんになります見込になるわけでありますが、いろいろの
情勢、殊に今日までの支出の
状況等を見てみますと、御
承知のように、昨年は、当初は
年度初めは暫定予算でずつと泳いで参りましたので、支出等が余り進捗しておりませんでした。従
つて支出未済が多く出たという
事情があ
つたと思いますが、本
年度は最初から予算が成立しておりまして、予算総額に対する支出の進捗
状況も昨年よりも進んでおるわけであります。いろいろの
情勢から見まして、こういうような
関係で、本
年度はかなり散超要素がこの面から多く
なつて来るのではないかというふうに考えております。
まあ大きなところそういうところでありますが、その他いろいろの点を考えますると、この八月の
引揚げも、実は当初は、いつもの例によりますれば、かなり
引揚げがあるように考えておりましたが、かなり
減少するのではないか。殊に御
承知のように
地方財政の
関係等も考えまして、
地方財政交付金約百四十億の交付税、百四十億の九月に支給するものを八月に繰上げ支給するということにいたしましたので、八月の、これは散布超ではありませんが、
引揚げ額がかなり減るのではないかと考えられます。九月、十月以降になりますと、これは御
承知の食糧
関係支出がずつと出て参りまするので、かなり散布超過になる。第四・四半期は、これはまあ
引揚げになるわけでありますが、その
引揚げがどの
程度かということが大きな問題に
なつて来るわけであります。全体としまして、これは、これから先のこともありますので、勿論
はつきりしたことは申上げかねるわけでありますが、今年は非常に緊縮した予算を組んだわけでありますが、全体としての収支はいろいろそうい
つたような昨年からの事例その他の要素がございまして、全体としては予算そのものから見ましたよりも民間に対する散布超過の要素がかなり殖えるのではないか。従いまして何と言いますか、
金融引締めと言いますか、そうい
つたような要素で、この
関係を調節して行くという必要も相当依然としてあるのではないかというふうに現状のところは考えておるわけであります。
その次に、先ほど話がございました
財政投融資の
関係を
ちよつと申上げておきたいと思いますが、
財政投融資も、御
承知のように当初予算が提案されましたときの
計画といたしまして、全体といたしまして昨
年度よりも非常に引締めた枠に
なつておりますが、二千八百五億、これはまあ地方債、或いは国鉄電々等の公募債を含めましたものでありますが、二千八百五億という
財政投融資の枠を考えてお
つたわけであります。
一般会計で二百億、
資金運用部で千五百八十億、簡易保険で四百六十億、産業投資特別会計で百七十五億、公募債が三百九十億、こういうような
関係であ
つたのであります。この
関係につきまして、先般、
一般会計予算等につきましても実行予算の編成をいたしまして、約二百億の節約をいたしましたときに、
財政投融資の
計画ございますが、六月、七月は幸いに成績がいいほうでありまして、大体この分ならば年間九百億の
増加は十分であろうというふうに考えられております。ただ
資金運用部の財源といたしましては、そのほかにいろいろ特別会計の
預金等を織込んでおるわけでありますが、この
関係におきまして大分目標を下廻るというようなものが出て参りました。例えば厚生年金保険の
預金、これは三百億の
増加を見込んでお
つたわけでありますが、法律の成立が遅れまして、保険金の増額、保険料の引上げ等が時期がずれました
関係上、これはどうも三百億が少し割れるのじやないかというようなことに
なつております。それから失業保険につきましては、これは当初は失業保険特別会計の
預金の増を見てお
つたわけでありますが、御
承知のような
状態でありまして保険金の給付も相当多い。従いまして
資金運用部に預けてお
つた金を引出して失業保険金の給付に当てなければならない。こういう
情勢になりますために、これは相当、当初考えておりましたよりも
減少になり、
只今の見込みでは二十億殖えると見てお
つたものが、逆に三十五億引出される。差引きますと五十五億円も見込みと違
つて来るというのが出て
参つております。そのほか糸価安定
資金特別会計、これは生糸の価格操作をやるための特別
措置でございますが、これなんかも生糸の価格が御
承知のような
状態でありますために、その価格維持のために買出動をしなければならないかというような
情勢も起り得るわけであります。そうなりますと、この糸価安定特別会計の
預金というのは現在三十億ございますわけでありますが、これが引出される心配がある。まあいろいろそういう
資金運用部の
資金がどうも見込み
通り殖えないのではないかというような予想もございます。それから一方、公募債を、地方債では四百億、国有鉄道、電々公社の
計画では約九十億というものを見込んでお
つたのでありますが、これは
年度初め以来、起債の
状況が相当つま
つて来まして、社債、地方債いずれも起債額が昨年に比べて非常に減
つておるような
状態で当初見込んでおりました公募が今の市場の
情勢ではむずかしいのではないかという
関係もございまして、かたがた考え合せまして、大体具体的にどの
程度抑えるというところまでは、
はつきり確定的には決まらなか
つたわけでありますが、大体
一般会計、特別会計、全体を通じまして、
財政投融資で一割くらいを下げたところで、当初
計画よりも一割くらい削
つたところで、
財政投融資というものを実行上考えて実行して行く。なお今後中小企業
金融公庫であるとか、住宅公庫でありますとか国民
金融公庫、こうい
つたものについては、一割を特に五%といたしまして、その
程度削減したところで実行
計画を考えて行きたいということで、まあ
一般会計の実行予算の編成のときに、同時に
財政投融資のことにつきましてもそういうような実行一
計画を考えて、それぞれ
関係のほうとも打合せて参りましたわけであります。なおそれにつきまして、その後の投融資
計画の原資の
状況、或いは実行
状況等を申しますと、
資金運用部
資金の
関係は、先ほど申上げましたようなことでありますが、かなり
資金か
増加するというような見込もございます。これも
はつきりまだ確定的なことは申上げられないわけであります。なお
減少するというような要素もございまして、必ずしも先程申上げました投融資全体として一〇%、公庫において五%これを全部この
通り削減しなくとも、中には当初
計画通り実行し得るものもあるのじやないか、こういうような
程度の
段階に現在
なつております。いろいろと
資金の
増加の
状況或いは公募債の
状況等も考え合せまして、
一つ着実に実行を図
つて参りたいというふうに考えておるような次第でございます。
財政投融資の
関係はそういうようなことでありまして、現在のところは、先般きめました実行予算に関連する投融資の削減
計画というような基礎に立
つて実行をや
つておりますが、更に
資金の
状況とを見合せまして、今後の実行
計画を立てて参りたいと考えておるような次第であります。
それから最後に
証券市場の
関係の問題でございますが、これは別途
資料をお配りいたしましたので、それにつきまして御覧願いたいと思いますが、まあ御
承知のように
証券市場は最近非常に不振の
状態に
なつておるわけでございます。その第一表で、一番最初の全国の取引所の売買高、この表で御覧願いますと、おわかりになりますが、代表的な東京の市場、一番左の東京市場の
状況を見ましても、毎日平均売買高、株数というものは、非常に減
つておるわけであります。昨年の一月、二月あたり、一日平均一千万株というような大きな取引がありました時期に比べまして、最近は一番下の六月のところて御覧願いましても、三百万株
程度の取引に
なつており、非常に減
つて来ておるわけであります。二十八年中の一日平均の東京市場の取引高が六百九十一万、ざつと七百万株に
なつておりますが、二十九年になりましてからの平均が約四百万株、四割方減
つて来ておるわけであります。取引数が減
つて来ておるということです。それから取引株数だけでなく、株価のほうでも下
つて来ておるわけでありますが、次の表を御覧になりますと、まあダウ式株価平均、このほうで申しますと、昨年二月に四百三十三円、これが最高でありますが、昨年の十月、四百三十八円、これ以来ずつと下
つて参りまして、これは六月まで出ておりますが、八月になりましてからも、今日までの平均が大体三百三十四円ということでありまして、これもまあ昨年の平均に比較しまして、株価としても二、三割は下
つておる、こういうような
状態に
なつておる。こうい
つたように
証券市場がさびれておりまして、株価も低落しておる。こういう
状況が反映いたしまして、業者の業態、内容というものもだんだんと悪くな
つて参つておるわけでございます。これはこういう全体の市場の
状況ですから、全体として証券業者の採算
状況、営業収支の
状況が悪くなることは、まあ当然でありますが、いろいろと殊に昨年の三月の株価の急落、或いはヘタ株取引というような問題もございましたが、そういうような事件に関連いたしましていろいろと痛手を受けた。そういうようなのは、特殊な欠陥がある業者、或いは従来から取引のやり方、商売のやり方が堅実でなか
つた、投機的な不健全な
方向に走
つてお
つた、こういうような業者につきましては、最近やはりだんだんとそれがこういう
状況になりまして、表面化して破綻を来たすというものが出て参
つたわけであります。
この第三番目の表で、いろいろ証券業者につきまして検査いたし、いろいろ審問いたしまして処分いたしておる
関係の表でございすが、ここにありまするように二十九
年度になりましてから、この四番目の欄でありますが、登録取消をしておるものが毎月三件ずつ、七月まで十二件というような数に上
つておりまして、二十八
年度、前年一年間二十五件というものに比べまして、かなり多く
なつていることは窺われるのであります。その他、営業停止、或いは禁止命令その他を合せまして、昨年の全体がここにありますように三十一件を処分したのでありますが、今年は全体で四カ月間に二十二件を処分いたしております。いろいろと業態悪化を反映しまして、まあ私
どもとしては、できるだけ注意をいたして、検査怠らず、いろいろ問題がありまするものはできるだけ早く適切に処分いたしまして、いろいろと客に影響を及ぼす、或いは
一般他の業者に著しく大きな影響を起す、波及するようなことのないようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。残存業者数の
数字が最後の欄にございますが、まあだんだんと減
つて来ておりますが、併しここに八百十五というような多数のものがありましても、不健全な、堅実でない業者もかなりこの中にあることは事実でございます。
それから投資信託の表が次にございますが、これはあとにしまして、最後に証券業者の法定資本の額及び会員信認金の額がございます。これは表にございますが、これにつきまして
ちよつと簡単に申上げておきたいと思います。今のような証券業者の
状況でございますが、何と申しましても今の証券業者の資本構成が弱体である。従いまして最近のような不況に遭いますと、直ちに破綻を暴露するというようなことになりますので、自己資本の充実ということが非常に、やはり他の業態も同様でありますが、特にこういう大勢のお客を相手にする業態といたしましては、堅急な仕事になるわけでございます。現在、証券業者の自己資本、他人資本の
割合は、極端に他人資本が多いのでありまして、自己資本に対して他人資本が七、八倍というような
状態に、平均して
なつていると思います。そういうような
状況をできるだけ是正して行かなければならない。そのためには、現在証券業者の持
つていなければならない法定の最低資本金というものがございますが、これは
昭和二十五年にきま
つたものでありまして、この表にございまするのは
改正前の
数字でありますが、東京の会員業者でありますれば一千万円、名古屋でございますれば五百万円とい
つたような、こういう数子でございましたわけでありますが、これを今回七月一日から約三倍にそれてれ引上げることにいたしました。これはまあいろいろ現在の証券業者の業務の
状況からいいまして、直ちにこれを実現せよといいましても、なかなかむずかしい点もありますので、三年間の猶予期限がついております。三年間にここまで最低持
つて行く、
改正後のこの
数字まで、三年間に待
つて行くということでございます。なお新規に登録して、これから業務を始めようというものは、これは三年を待たずに、今日から新らしいこの引上げたほうの限度以上の資本金を持たなければ、営業かできないわけであります。そういうふうなことにいたしました。
それから会員信認金のほうは、多少同じような見地からいたしましたわけでありますが、今まで証券業者が取引所に納めておりまする信認金の額が、ここにあります
改正前の
数字のように、東京、大阪でも十万円とい
つたよりな極めて小額であ
つたわけでありますが、これもやはり取引者保護のためにもつと相当の額に殖やすほうが、この際適切であろうということで、大体まあ貧本金の一割
程度の額をモットーにいたしまして、それぞれ東京、大阪三百万円、名古屋百五十万円とい
つたように伸ばしました。これもそれぞれ取引所か定款変更いたしまして、こういう
措置をいたすわけでありますが、大体直ちに三百万円のうち百万円だけは
増加いたしまして、あと三年間に残りの二百万円を
増加する、こういうような猶予期間をつけて、この信認金の額も殖やすように指導いたしているわけであります。
それから最後に証券投資信託の問題でありますが、その前の表を御覧願いたいのでありますが、証券投資信託も、これは表にございますように、二十六年の八月から発足いたしました
制度でありますが、非常に急速にこれが普及いたしまして、この当初設定の元本、この
累計額というところで御覧願いますように、今日までに、まあ最近の
数字で行きますと、設定元本の
累計は、千二百億を超過いたしているというような大きなものに
なつております。この
数字は五月では千百八十四億と
なつておりますが、今日までの
累計では千二百億以上に
なつております。それで、残存元本、右から二行目の
数字でありますが、これもまあ七百九十億というようなこれも非常に大きな
数字に
なつております。それで、これだけ大きな額になりますると、その運用或いはこれからの持
つて行き方等につきましても、よほど慎重に考えなければならないわけでありますが、まあ御
承知のように、株式全体が非常に不振である、株価等も低落いたしているというようなことから、投資信託は、今日まで設定いたしたものは、大体当初は一割二分五厘その後一割というような配当をいたして、満期の償還におきましても、当初の払込額を上廻る、或いは倍額以上にも達するような償還ができるというようなことで、非常に好成績であ
つたわけですが、昨今はやはりなかなかこの運用におきましてもむずかしい
状態にな
つて参つております。それで実は昨年の暮に、いろいろと投資信託のやり方につきましても、業者とも話しまして、やり方を変えましたわけでありまして、特に投資信託の中間の配当の問題につきましては、従来一割を配当いたしておりましたわけでありますが、その内容を見てみますと、投資信託によ
つて保有しておりまする株券、或いは
預金、社債いろいろあります。株券が大部分でありますが、そういうものの配当収入とか、利子収入、こういうもので配当しております分がざつと半分くらいでありまして、その他売買益によりまして一割の配当
資金を捻出しているというような
状態に
なつております。株界がこのような
状況に向いて参りました場合に、売買益というものを無理に出して一割の配当を維持するというようなやり方は非常に不健全なやり方ではないかということで、実は配当のやり方を変えまして、投資信託の配当に当てる
資金は、配当収入とか、利子収入、これはそのまま投資信託の中間配当に当てられますが、売却益は、これはまあ大体評価損とか売却損とか一方にあるわけでありまするから、そういうものを埋めて、なおその上に将来の危険のために残りの三割を積立てた上でなければ投資信託の配当金に当てられない。要するにいろいろ損がある、埋めなければならないものがあるという場合には、売却益があ
つたからとい
つて直ちにそれを投資信託の配当に当てることができないというふうに
制度を変えたわけであります。それで、その新らしい
制度による配当が実はこの八月に第一回の分が来るわけであります。それによりますると、やはりいろいろとそういうふうな売買益自体も余り上
つておりませんし、売買益の配当をするということも今言
つたような基準から困難な事態に
なつておりまするので、大体八月期の配当は、いろいろ各社、或いは各投資信託のユニットによ
つて違いますが、大体平均して六分
程度の配当になるんじやないかというふうに、先ほど申上げましたような新方針で行くとなるわけでありますが、まあ大体そういうような
状況に
なつておりましたわけでありまして、従来の一割というようなものに対しましてかなり低下して来るわけであります。ただ最近業者のほうでいろいろと協議いたしました結果、今まで投資信託の手数料、証券会社のほう、信託
銀行のほう、両方合せまして千分の二十五の手数料をと
つてお
つたわけでありますが、これを千分の二十に減らすということにいたしまして、その分だけは配当に廻わせることになりましたので、大体その分が殖えますので、大体まあこれはユニットによ
つて、実績によりまして配当するわけでありますから、違
つて来るわけでありますが、大体七分
程度の配当はできるんじやないか、こうい
つたような
状態に
なつているわけであります。
なお元本の償還の問題でございますが、これは従来のものは二年、現在新たに募集しておりますものは三年という期限でありますが、現在満期に
なつて償還いたしておりまするものは大体当初の設定額の払込額の五千円を上廻わるような償還ができておりますが、だんだんと先にな
つて参りますると、高値のときに設定しましたユこツトにつきましては、償還期のときに今のような株価では五千円という元本が確保できない。五千円を割る償還をせざるを得ないというような心配もございますわけであります。これはまあ現在の問題でありませんので、先の、この調子では先にそういうことも起り得るのではないか、こういう問題でございますが、その辺のところも本当に慎重に考えまして、これから
一つ対策を立てて行きたいと、こう考えているようなわけであります。なお投資信託はそういうような
状況で現在まで非常に伸びて参
つたわけでありますが、株界の不況等も反映いたしまして、最近では設定額が非常に落ちて来ております。昨年あたりは毎月五十億
程度の新規の募集をいたしてお
つたわけでありますが、本
年度に入りましてからは月平均二十二億
程度、昨年の約半分くらいのスピードで募集がされているというような
状況に
なつておりまして、まあこれは最近の全体の市場の
状況から言いましても、止むを得ない点であろうと思いますが、現状はまあそういうふうなことに
なつておるわけでございます。
大体この表につきまして、最近の
証券市場の
状況を御
説明申上げました。なお又御質問等がございますればお答え申上げます。