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1954-08-18 第19回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十八日(水曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員の異動 六月三日委員小林政夫君及び山田節男辞任につき、その補欠として奥むめ お君及び森下政一君を議長において指 名した。 六月十五日委員大矢半次郎君、奥むめ お君、三木與吉郎君及び苫米地義三辞任につき、その補欠として西郷吉之 助君、杉山昌作君、豊田雅孝君及び井 村徳二君を議長において指名した。 六月十六日委員河合義一辞任につ き、その補欠として野溝勝君を議長に おいて指名した。 七月二十四日委員松永義雄辞任につ き、その補欠として東隆君を議長にお いて指名した。   委員長補欠 大月十五日大矢半次郎委員長辞任に つき、その補欠として西郷吉之助君を 議長において委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。   委員長      西郷吉之助君   理事            藤野 繁雄君            菊川 孝夫君   委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            安井  謙君            山本 米治君            杉山 昌作君            土田國太郎君            豊田 雅孝君            成瀬 幡治君            東   隆君            森下 政一君            井村 徳二君            平林 太一君   事務局側    常任委員会専門    員      木村 常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵政務次官  山本 米治君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (最近の金融一般情勢に関する件)  (財政投融資の問題及び証券市場の  実情に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今から委員会を開きますが、委員会に先立ちまして、委員長から一言御挨拶申上げます。  今回不肖私が大蔵委員長の席をけがすことになりましたが、甚だ未熟なものでございますから、どうか委員各位の絶大なる御協力並びに御指導を仰ぎたいと存じます。今後何分ともよろしくお願いいたします。  只今から大蔵委員会開会いたします。先ず議事の進め方についてお諮りいたしたいと存じまするが、一応今回の今明日の委員会予定を申上げますが、本日は最近におきまする金融情勢或いは財政投融資の問題とか、又証券市場問題等につきまして関係官から説明を聞き、質疑をいたしたいと存じます。又明日は、引続きまして租税の徴収、滞納状況とか、たばこの売行き等が余り芳しくございませんので、そういう方面につきまして事情説明を聞きたいと存じております。  又閉会後上田、白井両君北海道方面、又成瀬山本両君関西方面視察旅行にお出になりましたが、いろいろ現地を御視察になりました御報告等もあるかと存じまするが、委員会の中におきまして、質疑に関連いたし、御都合のおよろしいように御報告等をお願いしたいと存じます。又今明日の委員会の後に、明後日、二十日は横浜税関視察することになつておりますから、御都合のいい方は御参加を願いたいと存じます。なおこの際、御了承を得ておきたいと存じまするが、実は昨日大蔵大臣のほうから使いが見えまして、閉会後第一回の大蔵委員会が今明日あるが、実は大蔵大臣のお姉さんがお二人この春お亡くなりになりまして、丁度通常国会開会中でありましたので、その跡始末が今日までできておりませんで、丁度昨日立つて、お二人のお姉さんの死後の跡始末をしに郷里にお帰りになる予定なつておりましたので、甚だ申訳ないけれども、今明日のところはさようなことであるから御了承を願いたいというお話がございましたが、折角の暑いところの委員会でございまして、大臣の御出席できないことは甚だ遺憾でございましたが、さようなことでございますので、今回の今明日の委員会には大蔵大臣出席がないと思いまするが、只今申上げましたような事情でございますから、委員各位のその点も御了承を得ておきたいと存じます。  それでは只今から……。
  3. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと……。大蔵大臣が出なければ、政務次官なり次官でも代理で出てくれませんですか。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 政務次官も、山本政務次官が就任いたしまして、今日の委員会に挨拶に来るということになつておりますが、今朝郷里から着きますので、まだ見えておりませんが、追つて来ると思いますが……。
  5. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました。
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは最初に金融一般情勢につきまして、河野銀行局長から説明を求めます。
  7. 河野通一

    説明員河野通一君) それでは只今から最近の金融情勢、及び政府といたしましてとつて参りました金融上の施策について概略御説明申上げます。お手許資料を差上げておりますので、おわかりやすく御説明申上げるために、できるだけこの資料に即して申上げて行つたほうがいいかと考えております。  金融施策につきましては前国会中にもいろいろの機会に御説明申上げたところでございますが、昨年の十月以降財政金融を通じて相当な緊縮と申しますか、引締めといつたような政策に転じて参つたのでございます。これを金融の面で申上げますならば、第一は、日本銀行における高率適用制度の強化を昨年の一月以降行なつて参りましたが、前後三回今日までに行なつて参りました。逐次これを強化いたして参つたのであります。  それから第二には、輸入決済手形輸入金融の引締めという言葉で言われておりますが、輸入決済手形の従来から与えられておりました優遇度をだんだん是正して行く、つまり過度に過ぎた優遇をできるだけ元に戻すという措置を昨年のこれもやはり十月以来四回に亘つて行なつて参つております。それからこれもやはり輸入関係いたしまするが、日本銀行で行なつて参りましたいわゆる別口外貨貸付制度、これは緊要な輸入物資に対して特に外貨貸付制度日銀をして行わしめて参つたのでありますが、この制度についての改正を一回、今年に入りましてからこの別口外貨貸付制度というものを全廃いたすということにいたしたのであります。なお輸入の問題に関連いたしまして、従来輸入物資に対してスタンプ手形制度が適用されておつたのであります。つまりスタンプ手形という形で優遇をされておりましたが、この輸入関係スタンプ手形の範囲を縮小いたしまして、最近にはこの輸入物資の引取り資金関係スタンプ手形制度を廃止するということにいたしたのであります。なおこれらに関係いたしまして、やはり輸入物資関係いたしまする工業手形制度も併せて廃止をいたしました。今申上げましたところが輸入金融関係のいろいろな引締めと申しますか、改正の処置の概要であります。  それから第三には、特に金融政策と申すほどのことではございませんが、従来から政府指定預金が相当多額に預託されておりましたが、これを逐次計画的に引揚げて行くという方針を昨年の九月以来とつて参つております。尤も最近におきましては、最近の金融情勢に鑑みまして、当初立てました引揚計画を若干延期するという措置をこの数カ月前からとつて参つております。この八月の末に参りまする約十七億の指定預金につきましてもこれが延期をいたすつもりで現在措置を考慮いたしておる次第でございます。まあそういつたわけで指定預金の問題は、当初立てました計画のそのままを実行いたしておりませんが、そのときぞれの金融情勢に鑑みまして計画の変更と申しますか、計画延期をいたしておりますが、方向といたしましては今申上げましたような態勢で臨んでおる次第でございます。  そのほか細かい点につきまするといろいろの制度改正もございますし、又単に量的な引締めだけでなくして、史にこれを質的な規制というふうなことを考えて行く必要があるという観点から、従来から行なつて参りました方向を、今年の春、私の名前で各金融機関に対して通達をいたしまして、この質的な規制ということの線を更に一歩進めるような措置をとらして参つておる次第であります。併し現在のところではこれらの質的な規制を法的に措置をいたしますまでには段階参つておりません。できるだけ金融機関の自主的な規制、自主的な判断に待つて、今申上げましたような方向に持つて参りたいというのが現在の段階であります。  さて今申上げましたような考え方で今まで参つておるのでございますが、その結果どういうふうなことになつておりますか、その数字について概略申上げたいと思います。  先ず第一は財政収支日本銀行貸出金との関係がどういうふうになつて現われておるかということであります。これはお手許にありますいろいろな表がございますが、第三表が割合わかりやすいのではないかと思うのでありますが、この表で御覧頂きましてもおわかり願うと思うのでありますが、なお国庫収支状況につきましては、国庫収支の問題につきましては、後ほど理財局長が参るようでありますから、詳細そのときの機会にお聞き取り願いたいと思うのでありますが、ここでは概要だけ申上げてみますと、この第三表の一番左の欄に財政収支という数字がございますが、この数字を二十八年十月以降の推移について御覧願えれば、大体の推移がわかつて来るわけであります。それに対してこの真中の欄に日銀一般貸出というものが月中に如何に増減しておるかという数字が出ておるわけであります。日本銀行信用の出て参りまするルートというものは、これは皆さんもよく御存じの通り、現在のところでは市中に対する日本銀行の、中央銀行信用供与と、一つ財政の尻の日本銀行信用への影響と、この二つに現われております。そのほかに外貨という問題がありますが、これは一応国庫収支の中にすでに現在含まれておりますから、大きく分ければこの二つ日銀通貨増減信用放出、或いは引揚の一番大きなアイテムと御覧願えればいいわけであります。この二つがコンバインいたして参りますが、端的に申上げれば、非常に国庫財政が揚げて行きます場合におきましては日銀貸出というものはこの際には、一般通貨状況さえ変りなければ、日銀貸出しというものの残高減つて行つて差支えないわけであります。いや、失礼しました。国庫放出超過をいたします場合には、日銀貸出というものは、ほかの状態が同じであるならば、減つて行つていいわけであります。国庫が逆に引揚げを強く行なつて参ります場合には、日銀市中信用供与というものは殖える場合がある。ほかの条件さえ変らなければ……。まあそういう関係で、この二つ状況を併せてお考え願いたいと思うのでありますが、この数字でおわかりのように、昭和二十九年の一月から三月の累計という数字真中のほうにございます。これの一番右側の計という所を御覧願えれば、この二つ推移が、結局昨年の十二月末に比して九百二十八億の引揚というわけであります。△が放出超過ということ、これは御案内のように、十二月というものは非常に通貨というものが出る月でありますから、一—三月の間には当然引揚が起つて来る。それがその右にあります括弧の中が去年の一—三月における状況でありますが、これは六百七億という数字であります。去年は一—三月の間に六百七億の収縮があつた。これが今年は九百二十八億の収縮という数字なつて現われて来ておるのであります。それから四—六月を、その三、四欄下にありますが、四—六月の累計というのがありますが、これも同じようにお考え願えれば、三月末に比して、六月末においては△でありますが、百五十二億の信用が殖えて参つておるということであります。それが去年はその右側にありますが、二百九十七億の信用が殖えて参つておる。これはやはり四—六月というものは時期的な関係でやはり三月末に比べて若干信用が殖えるのが普通の状態でありますが、数字でわかりますように、その殖え方が去年に比べて遥かに少い、こういう数字なつておるわけであります。  これを概括して申上げますならば、財政収支に応じて日銀信用というものも適宜収縮されて参つておるのでありますが、市中に対する放出金全体では収縮を見ておるというのが現状であります。その数字はその真中にありますが、数字を御覧願えれば大体のところが御見当がつくと思います。  それから今申上げました数字に関連いたしますが、日銀貸出というものはそれじやどういうふうになつているかということを、この表でも大体数字はわかりますが、更に申上げておきたいと思うのであります。これは第四表、その次の表を御覧願います。日銀貸出は、非常に最近金融引締めで参つておると言われておるにかかわらず、どんどん貸出残高が殖えているじやないかということがよく言われております。これはやや誤解を招く虞れがありますので、この点を一応御説明申上げておきたいと思うのでありますが、日本銀行貸出には御承知のように一般貸出というものと外国為替貸付というものと二つあるわけであります。外国為替貸付というのは先ほどちよつと申上げましたが、別口外貨貸付というものがその中では一番大きな数字を占めるわけでありますが、これは一種の輸入金融外貨貸付の形になつておりますが、これは実質円金融であります。一般貸出と、特に形は外貨貸付ということで区別いたしておりますが、実質上につきましては、市中金融というものが日銀を通じて信用供与されておるというときには、実質的には同じ性質を持つておる。普通日銀貸出と言われておりますのは、これは貸出だけの数字がとられておる。又それがそういう立場でとつて行くことが適当な場合も勿論あるわけでありますが、一体日銀信用がどういうふうに市中に対して供与されて行くかということを見ます場合には、外国為替貸付も含めて見るのが正確なことになるわけであります。然るにこの表の左から三段目にありますように、外国為替貸付というものの推移を御覧願いますと、昨年の十月頃が、そこにありますように大体九百六十七億というような数字でありましたものが、別口外貨貸付制度改正し、或いは遂にこれを廃止したのでありますが、そういうことに応じまして逐次、逐月残高減つて参つております。七月におきましては、一番下の欄でありますが一十月の九百六十七億が三百五十八億という数字なつております。六百億以上の減少ということになつております。それに対して一般貸出は成るほど昨年の十月当時三千四百九十六億でありましたものが、七月におきましては三千九百四十八億、相当大巾な増加を来しておるのでありますが、この両者を合計いたしまして見た場合の中央銀行の対市中信用供与という数字は、その右から四段目の合計という所でありますか、仮に昨年の十月を御覧願いますと四千四百六十三億という数字なつております。それが今年の七月の数字を御覧願いますと四千三百六億という数字なつておる。日銀貸出状況がこれでいいか悪いかという点につきまして、これを多過ぎるとか少な過ぎるとかいうことは、これはいろいろ議論があると思います。十分これらの見解の問題としてはいろいろな見地から検討を要する問題と思いますが、少なくともよく世間で俗に言われておるような意味日銀貸出が非常に殖えておるといつたことは、この数字によつて御覧願えれば或る程度誤解を招く虞れのある表現であると考えております。これは要するに外為貸付を含めた日銀市中信用供与増加額というものは必ずしも殖えて参つてない。少なくとも前年の増加状況に比較いたしましては遥かに増加のテンポ或いは趨勢というものは縮小いたして参つておるということがはつきり言えるわけであります。これによりまして、できるだけ別口外貸制度を廃止することによつてその尻が日銀一般貸出というほうにしわが寄つて来ることを極力抑制して、金融全般としての日銀信用増大を抑制して参つておる跡がここに現わされておると思う。ただこの数字だけでは金融全体の日銀の操作というものは出て参らないのでありまして、先ほどお話申上げましたように、国庫収支状況と睨み合わせて日銀信用というものを考えてもらいたい、この点は勿論のことであります。  それからその次は、然らば市中銀行金融というものはどういうふうになつておるか、市中銀行の、特に銀行に限つて申上げたいと思う。あといろいろな金融機関がございますが、特に銀行の問題について申上げてみたいと思いますが、これは第七表でおわかり願えるかと思いますが、ちよつと表がおわかり願えないかと思いますが、比較いたしますために、一番上の欄に二十八年の三月末という所がありますが、ここへちよつと入れて頂きたいのでありますが、二十八年の一月から三月までの貸出市中貸出増加額、そこにちよつとメモして頂きたいのでありますが、これが千三百三十四億、去年の一月から三月までの間における全国市中銀行貸出額残高増加額千三百三十四億ということに相成つております。これを今年の二十九年の一月から三月においてはどういう数字なつておるかということを申上げますと、その下から五、六段目にありますが、一—三増減なつておりますところの月中増減額という線を御覧願いますと二百五十一億という数字なつております。去年の一—三月には千三百三十四億の市中銀行貸出なつておつたものが、これは今年の一—三月におきましては二百五十一億という数字なつておるのであります。又去年の四—六月、これはここに数字が出ておりますが、増加が千八十九億、これが上から五、六段目に出ております。千八十九億の増加に対しまして本年の四—六月は下から二段目百四十八億の増加という数字なつております。現在まだ若干の市中貸出というものは殖えて参つております。殖えて参つておりますが、これらの状況は殖えることがいいかどうかということは、先ほどの日銀信用の問題と同様にいろいろ議論がございますが、少くとも趨勢といたしましては非常に顕著な貸出の伸びというものの縮小が現われておるということは昨年の状況と比較して御覧願えればはつきりおわかり願えると思うのであります。而もここで一番大きな問題は、お手許はちよつとお配りしてないかと思いますが、この貸出の最近の状況における地方公共団体に対する全国銀行貸出状況というものが非常に殖えて参つておる。これは地方財政の困難な状況その他を勿論反映しておると思うのでありまして、いろいろな理由もあると思いますが、少くともその殖え方というものが如何にも顕著である。これを例で申上げますと、貸出金全国銀行の一月の間における増加額をAといたします。それからその一月の間における地方公共団体に対する全国銀行貸出額をBといたします。A分のBは市中銀行貸出増加額のうちに占める地方公共団体に対する貸出額増加割合増加比率ということになるわけです。このA分のBという数字を見ますと、大体普通の場合におきましては、それが或いは一%であるとか或いは〇・何%、多いときでも大体四%、二%というふうな数字であります。これを極く最近の例で申上げますと、二十八年の十月から申上げますと、今のA分のBに当るものは十月が七・四%、十二月が六・六%、今年の二月が四・五%、そんな数字参つております。ところが三月に入りますと、途端にそれが四六%という数字、これは三月における年度末の関係政府資金引揚げる必要が起つて来るとか、いろいろな問題がございますが、四六%、而も五月に至りますと、これは会計のいわゆる年度の繰越或いは出納閉鎖といつたような関係があるのであろうと思われますが、七二・七%という数字なつて来ておる。これが五月です。六月はちよつとわかりません。つまり出納閉鎖その他の関係が大体五月に参るわけであります。そういつたふうな非常に大きなウエートを地方公共団体に対する信用供与というものが占めているわけであります。この事実のよし悪しについては今私がにわかに結論を述べることは差控えたいと思いますが、こういつたふうな情勢を察して考えますならば、更に市中金融というものが相当な引締めになつておるということが言えると思うのであります。  次に市中銀行の、市中銀行と申しますか、普通銀行預貯金増勢状況がどうであるかということを申上げてみたいと思います。これは六表にございますが、簡単に申上げまして、預貯金増勢状況は必ずしもよくございません。併しその中で営業性預金というものが金融の引締めを反映いたしまして相当顕著な減少状況を示しておる半面、貯蓄性預金、いわゆる本当の意味貯蓄でありますが、これは必ずしもそんなに殖え方が落ちてはいない、こういうことが申上げられるのであります。これを数字で申上げてみますると、昭和二十九年の一月から三月までの数字について申上げます。この間に営業性預金は四百五十六億の減少であります。貯蓄性預金は五百三十一億の増加であります。これは去年の同期について申上げますと、営業性預金は四百六十億の増加であります。今年は四百五十六億の減少、それから貯蓄性預金は去年は六百三十五億の増加、今年は五百三一一億の増加でありますから、まだ増加額の絶対額は去年の同期に達しておりませんけれども、今営業性の貯金の増減との比較で対比して申しますれば顕著な一つ推移が現われております。これはおわかり願えると思います。今後におけるこれらの預貯金その他の形における堅実なる資本の蓄積ということの促進のためには、今後経済が正常化の道をたどるに応じましてますます重点的推進しなければならんと考えておるのであります。具体的な対案等につきましては現在研究を続けておる段階にあります。  それから先ほどちよつと申上げましたが、これから申上げますところは、金融貸出の中で輸入金融輸出金融はどういう推移を辿つているかということは、貿易金融につきましては特に金融政策の上で大きな手を打つて参りました関係上、申上げておきたいと思いますが、輸入金融につきましては、先ほど来申上げましたように、二十八年十月から本年の六月までの間に外為貸付を含めて千八十三億の減少を示しております。輸出金融の面につきましては、輸出金融優遇措置というのは実は先月これを行なつたばかりであります。まだ実施後一月を経ておりませんので、具体的に数字は現われて参つておりませんが、逐次輸出金融関係数字というものは殖えて参つておるような方向にあります。まだ的確なる推移の結果を申上げるところまでは、期間が非常に短いのでありますから参つておりません。  以上申上げましたようなことのほかに、最も重要な中小金融の問題、この問題につきましては、非常に幾多の問題があることは御承知通りであります。先般国会において御決議のありましたところに従いまして、或る程度指定預金計画通り引揚げるという点を延期をいたして参りましたことと共に、各金融機関における中小企業向け貸出に対する貸倒準備金の積立の割合を、一般その他の貸出に対して特に優遇をするということによりまして、中小金融方向へ傾斜をつけて行くような方向へ持つて参るための税制上の改正を行なつたのであります。勿論これだけの措置によつて中小金融というものが十分であると私どもは考えておらないのでありますが、一方におきまして、財政金融を通ずる引締方針というものを堅持して参らなければならん現在の段階におきましては、おのずから中小金融というものに対する考え方もその枠内で考えざるを得ない。併し今後におきましてもこれらの問題について更に一層中小金融円滑化ということに対して私どもはできるだけの対策も講じ、努力をいたして行きたい、かように考えておる次第であります。  以上申上げましたようなところの集約的な結果が一体どういうふうに現われておるかと申しますと、これはいろいろな手法で申上げられますが、先ず日銀券の発行高の状況はどうであるか、これは通貨推移を申上げるのが一番おわかりにやすいかと思います。これは第五表に数字が載つております。この表はどういう数字でありますかと申上げますと、毎月の日銀券の発行高を仮に前年の同月に対してどういう動きを示しているかということをここにとつてみたわけであります。この数字はいろいろな受取り方が、読み方はあるかと思いますが、一番端的にわかりやすいと思うのであります。ここに数字が出ておりませんが二十八年中の平均の日銀券発行高の対前年の平均発行高に対する増加割合がたしか五百億程度であります。平均発行高のベースとして五百五、六十億程度殖えて参つておるような状況にあつたのであります。ここでは十月から十二月の推移しかございませんが一年を通じて大体暦年で今申上げたような数字なつていると記憶いたしております。それが二十九年に入りますと、一月におきましては、対前年同月の比較でありますから、前年の一月の平均発行高に対して六百十三億の増加ということになつております。これはまだ金融引締の措置或いは施策というものが進行の過程にあつて、まだ形の上に現われて来ていないということを示していると思うのであります。然るに二月に入りますと途端に対前年同期に対する増加状況が顕著に落ちて参り、二百億台に落ちたのであります。それから二、三、四、五とだんだんその状況が対前年に比較いたしまして減つて参つております。これは平均発行高であります。併し依然としてそれが六百億台であつたのでありますが、それが六月に入りますとそれが百億でありまして、七月は若干百億を超えておりますが、大体百億丁度くらいの数字なつております。八月はまだはつきりした数字はわかりませんが、最近までの数字をとつてみますと、八月十六日までの平均発行高は五千百二十三億であります。前年のその同月までの平均発行高に対して増加割合は八十九億ということになつております。約九十億ということであります。この数字が示すところにつきましては、これは極く端的に現在の通貨状況を示しておるものと思いますので、特に私はこれに註釈を加えて申上げることもないかと思いますが、そういう状態で、今申上げました金融財政の引締め方針の結果がここに集約的に現われて参つておる、こういうふうにお読み取り願いたいと思います。  それから一体物価の状況はどうなつておるか。これは御承知のように今年の二月まで各国の……、これは実はお手許数字は入つておらないかと思いますが、物価は各国の状況が非常に落着いて参つておるにもかかわらず、日本の物価というものは二十八年中騰貴して、而も二十九年の二月まで上つて参つてつたのでありますが、その物価が三月以降、二月の中頃と申上げていいかと思いますが、三月以降逐次下つて参つております。七月におきまして大体二月のピーク時に比べて七・六%の下落ということになつております。つまり物価はそこまでまだはつきりしたところが現われておりませんが、どうしても時期的にずれることは止むを得ないと思いますけれども、大体最近までにピークと比較いたしまして一%弱の下落ということになります。  それから国際収支の状況はどうかと申しますと、この点は昨年以来輸出の状況も相当に改善されて参つております。これらの点を反映いたしまして、今年の一—三月におきましては一億六千二百万ドルの赤字であつた、国際収支は赤字であつたものが、四—六に入りましては、これは千五百万ドルの黒字になつている。なおそのうちで六月は千百万ドルの黒字ということで、七月は千八百万ドルの黒字であります。八月も恐らくそういつた推移、経過を更に拡大いたして行くのではないかと見通されますが、そういつたふうに顕著な国際収支の改善の跡が見られるわけであります。なおこの点は後ほど為替局長が見えておられますから、為替局長のほうから詳細お聞き取り願いたい。以上のように通貨の面におきましても物価の面におきましても、或いは国際収支の面におきましても、昨年の秋以来とつて参りました施策が順調その成果を納めつつあると私は考えております。  ただ問題は、然らばこれによつて生ずる一般の逆作用といつたような問題がいろいろあることもこれも又見逃し得ないことだと思います。私どもは今後におきましてもこの施策の基調は変えないで進めて参りたい。併しながらその過程において起つ来るいろいろな副作用或いは逆作用といつたようなものにつきましてはこれをできるだけ緩和する、或いは中和するといつたような措置が並行的に考えられて参らなければならん。これらの点につきましても今後慎重に配慮を加えて参らなければならんと私どもは考えておる次第であります。  以上非常に概略なお話で甚だお聞きにくかつたと思うのでありますが、昨年の秋以来とつて参りました金融の引締め、いわゆる金融引締めの施策及び経済全体の手法を中心にして、これがどういうふうにして推移して参つたかということを概要を御説明申上げた次第であります。今後における金融問題といたしましてはいろいろな観点から大小或いは緩急、いろいろな度合いの差異はありましようけれども、多くのむずかしい問題を控えており、目下これらの問題については今にわかに結論を申上げる段階には至つておりませんが、けれども鋭意検討を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。一応私のお話はこの程度にいたしまして、なお御質問によつてお答えを申上げたいと思います。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今銀行局長の説明につきまして御質問のおありの方は願います。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今銀行局長からの御説明によりますと、市中銀行貸出残高は更に一層減少して来ているようでありまするし、更に又承わつて驚いたのでありますが、地方公共団体に対する市中銀行貸出が、二十九年五月においては七二%以上にもなつておるというようなことでありまして、これらから勘案いたしますると、市中金融の引締めが非常に厳しくなつていることはもう数学的にもはつきりしておるところでありまして、これが中小企業に最もしわ寄せになつておることは言うまでもないのであります。  これにつきましては先般第十九国会の終りに、参議院においては六項目に亘りまして中小企業危機打開に関する決議を満場一致通過さしたのであります。その各項目について、金融、税制面について具体的に御説明を伺いたいと思うのであります。只今金融関係について、特に指定預金関係については銀行局長から一応お話がありましたけれども、八月の指定預金引揚延期は確定しておるのでありますか、なお九月分の引揚についてはどういうふうなお考えでありましようか、それをお伺いしたいと思います。
  10. 河野通一

    説明員河野通一君) 八月の引揚につきましては大体その方針で研究いたしておりまして、数日中に結論が出ると考えております。  それから九月の問題は、やはり私は一番大切なことは国庫収支がどういうふうになるかという推移をもう暫らく見ないと言えないと思います。国庫収支の問題は余り実はここで申上げませんでしたが、当初私が考えておりました国庫収支の予想に比較いたしまして非常に実は支払が殖えて参つているような状況であります。一例を申上げますと、七月について申上げましても当初は相当な引揚が起る予定であつた。これが決してそうなつていないといつたようなこと。九月につきましてはどういう数字になりますかよくわかりませんが、こういつた国庫収支状況が相当撒布に転ずるということでありますならば、やはりこの指定預金の問題も若干は豊田さんが御指摘されました中小金融というものに対しては、これらの財政方式が金融機関預金に対しては時期的なずれがあることは確かであります。その点は勿論ありましようけれども、やはり国庫収支というものがどういうふうに動いて行くかによつて私は今の指定預金の問題も又並行して考えなければならん、かように考えておる次第であります。今後の国庫収支状況をもう暫らく見ないと結果的には申上げかねる、こういうことであります。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今説明によりますと、八月分の引揚については延期することの方針であるというお話でありましたが、御承知のように、金融関係はこれが早目に発表せられるか否かによりまして現実の効果は違つて来るものであります。特に中小金融についてはそういう点が強いと思いますから、八月引揚延期という方針がほぼ確定しておるのでありまするならば、速に一つこれを発表して頂きたい。同時に九月分につきましても、この際は先般の参議院の決議もありまするし、又衆議院の決議もあることでありますから、この際少くとも八月のみならず九月分の引揚延期するというのは今日では常識だと思うのです。そういう点について十分に御考慮を願いたいということを要望しておきます。  なお委員長にこれはお願いしたいのでありますが、先般の参議院の中小企業危機打開に関する決議は六項目に亘りまして極めて具体的な決議になつております従つてこれに対して、金融、税制面から如何なる措置を今までとつて来ておられるか、更に今後どういう処置をとるのだということを書面によつて委員会に配付をして頂きたい。それを委員長のほうでお取計らいを願ます。
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 承知いたしました。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 日本銀行貸出月末残高推移についてお伺いしたいのですが、最近新聞紙上を賑わしております一万田総裁の交替をめぐりまして、この際お聞きをしておきたいと思うのです。この日銀一般貸出につきましては貸出先、これは貸出先はいろいろあると思うのですが、そういうふうな枠はどこの銀行へはどれだけ貸すというのがちやんときまつておるのか、それとも日銀当局においてこれは政策審議会ですか、あそこと相談して、そのときどきの情勢によつて変えて行くものか、銀行局のほうで指示をするのか、どこが権限を持つているのか、一般貸出を行われるのか、これをどの辺にとめようというのは、その月々で政策委員会ですか、あそこで決定するのですか。その点限度はどうきめるか、それから貸出先はどういうふうにきめるのか、この点をお聞きしたい。
  14. 河野通一

    説明員河野通一君) 日銀貸出政策はどういうふうにやつて行くかという問題でございますが、これは抽象的に申上げますならば、日銀信用の出されて行くルートは大きく言えば三つあり、一つは対市中信用供与及び信用引揚であります。これは必ずしも市中貸出だけではなしに、俗ないわゆるマーケット・オペレーシヨンという有価証券の売買という形でもやり得るわけでありますが、これは今のような事情では全然行なつていない。従つて現在市中に対する信用放出引揚のアイテムとしては、これは対市中貸出ということであります。それが一つ、それからもう一つ国庫の収支、国庫の収支がどういうふうに響いて来るかということが第二点であります。それからもう一つ大きく分ければ外貨の収支が一体どうなるかということが入つて来るのでありますが、これは先ほど申上げましたように、現在では外貨というものがすべて国の会計に属しておりますから、この関係国庫収支の中に大体現われております。従つて大きく分ければ現在の日本の状況においては対市中貸出推移国庫の収支、国庫に対する信用供与或いは信用引揚というところのこの二つのアイテムが日本銀行の窓口を通ずる通貨増減に出て来るのであります。私どもはこれらのアイテムを睨みながら一体、結局それの集約的な現われであるところの通貨量、日本銀行通貨の発行高、通貨量というものがどの程度であつたらいいかということを先ず頭に置くのであります。これはよく世間で言われておりますような、これは適正通貨量というものは一体どういうものであるかという点にかかるわけであります。これは理論的には、御承知のようないろいろな建方が実際あるのでありますが、実際はそういう理論通りには適正通貨量は出て来ない。結局私どもはこれはずつと経験的に現在あるべき姿というものを想定いたしまして、この通貨量ということを頭に持つているのであります。これらの点が一体どの程度がいいかということは、必ずしも的確には申上げかねますが、大体現在では、私どもは現在の状況におきましては、月中の平均発行高が五千億を割つた程度が適当ではないかと考えております。併しこれも一挙に持つて行くということができませんので、逐次そういつた方向へ進めて参るべきであろうと考えております。先ほど日本銀行券の通貨状況について申上げましたように、その推移は私どもが考えております方向にだんだん近付いて来ていると考えております。そういうわけでありまして、大蔵省といたしましては、個々の日銀市中向けに対する貸出について一々指図をする、これは貸してはならないとか、これは貸すべきであるという指図はいたしておりません。それから日本銀行政策委員会におきましては、個々の貸出を一々判断して、これは貸すべし、これは貸すべからずということもやつておりません。これはすべて日銀の執行部、特に日銀の窓口において今のような一般的な方針の中に量的な操作を通じて行なつているのであります。ただ特殊な問題、特殊な非常に大きな影響を持つような問題につきましては、勿論これは政策委員会等において審議に付されることがありましようし、場合によつては大蔵省が相談を受けることもあるわけであります。例えば御承知のように、アメリカとの間に綿花借款ということが行われている。こういつたようなふうなものは、これは結局日銀市中銀行に対する貸出なつて現われて来るわけでありますが、こういつた特殊なものは、これ政府としてもいろいろ介入いたします。又政策委員会においてもいろいろ論議がされる。こういつたことがありますが、一般の普通の何と申しますか、通常の貸出につきましては、大蔵省は勿論、政策委員会においても個々についてどうするということはやつておらんと思います。ただ日本銀行の窓口において量的に規制をいたします。市中に対する信用、これを量的に規制いたします場合に、大体日本銀行の対市中貸出は金が幾ら幾らであるが、これを大体或るこの程度を目標にして貸出を抑えて、或いはこの程度増加は止むを得ない、こういつたことは政策委員会においてよく報告して、何と申しますか、そこで検討をされた上で窓口が実施する、こういうふうになつている次第であります。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、具体的にお伺いいたしたいのですが、日銀の執行部が市中銀行貸出をいたしまする場合に、これはこの市中銀行預金の高、或いはその他の預金高を標準にしておやりになるのか、それから預金との比率を睨み合せてきめてやるのか、三井銀行、三菱にどれだけ貸すというのは、大体枠はきまつているのですか。三井銀行預金が殖えて来ればそれに応じて貸出が出されることになるのか、その点はどうなんですか。
  16. 河野通一

    説明員河野通一君) 日銀市中に対する貸出の量的な規制ということは非常にむずかしいのであります。実際には方法が非常にむずかしい。本来ならば、普通の正常な状態におきましては、日銀は、中央銀行というのは対市中信用供与に当つては量的な絶対額を抑えるという措置は普通はできない。普通は金利政策で行なつて参る。それで対市中に対して信用を締めなければならんときには中央銀行の金利を上げる、中央銀行の金利を上げることによつて市中が借りに来れなくなる。それから市中信用が締り過ぎて少し緩めたほうがいいというときには、中央銀行の金利を下げることによつてこれをやる。そのほかに先ほど申上げましたマーケット・オペレーシヨンの方法によつて金融の繁閑ということを調節することがありますが、普通の場合にはそういう方法で行われる。ところが日本の場合におきましては、現在の資本蓄積の状況が非常に遅れてできない。それでオーバー・ローンの状況が非常にはつきり現われている。こういう際にインフレーシヨンを抑えるという観点から行くならば、単に日銀高率適用、つまり金利政策の面だけで自然の成り行きに任すということはなかなかできない。従つて高率適用制度というものは、今御承知のように日銀に参りますと、これは預金の一定割合という計算をやらしておるわけでありますが、これは逆ザヤになる。市中銀行日銀へ馳け込んで、日銀から高率適用で借りたら、市中銀行が業者——業者と言いますか、要するに企業に対して貸す金利、これよりも二厘の逆ザヤになる。日歩二厘、例えば例を挙げますと、商業手形、商業手形は高率適用をかけておりませんが、普通の手形で二銭五厘で仮に市中が企業に貸したといたします。その手形の再割を日銀に持つて参りますと、高率適用になりますと、それが二銭七厘になります。つまりこれを逆に申上げますと、市中銀行日銀から二銭七厘で借りて、それを二銭五厘で貸している。逆ザヤになつているわけであります。そんならそんなに金は借りたら馬鹿くさいじやないかということになるんだが、現在の状況におきましては、なかなかその高率適用という制度を、そんなに逆ザヤというところまで極端と言いますか、非常に強化しておりますけれども、なお且つ、市中日銀からのローンという状態は必ずしも減らさぬ。先ほど来申上げましたように……。そういたしますと、結局これは量的に締めざるを得ない。金利政策の自動的な動きによつて、これを調整するということだけではなかなかむずかしいという段階になつて参ります。そこで先ほどもお話がありましたように、各銀行に対してどういうふうに割振るかという推移でありますが、これはやはり何も或る銀行が特に可愛いいからそこに多く貸してやろうというのじやなくして、従来からの経緯もありましようし、いろいろな動きを見ながら、必要止むを得ないところへ抑えて行く。例えば大体のやり方は、今月は前月の残に比べてこれだけ減らすとか、或いは先月の残よりまあこの程度殖えることは止むを得ないといつたような、まあ言葉は非常に悪いのでありますが、従来の実績に対してそれをどの程度締めるか、或いはどの程度緩めるか、こういつたようなやり方で現在やつておるのであります。なお、詳細は日銀当局からお聞き願つたほうがいいかと思いますが、更にそれ以上の具体的な詳しいことは、自分は窓口のことはよくわかりませんが、私といたしましては、その程度のことで見ておつて私はいいと考えます。詳細は日銀当局から聞いてもらいたいと思います。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大分お聞きしましたが、成るほど机の上の理屈はあなたの言う通りで、なかなかうまく行くように思うけれども、そこにやはり別にこういうふうに率はきまつているというのでもなければ、そのときどきの必要に応じてということになるものですから、今、一万田さんを法王だというくらいに、あの人がよろしいということになれば、その銀行へそれは今金が出て行く。それから高率適用でも二厘の逆ザヤだと言いますものの、成るほどそれは表面ずらはそういうことになるかも知れないけれども、それでさえも、たとえ二銭七厘ということになりましても、あのような保全経済会や、あんな金融機関でさえも存在するような日本の金融市場の実情でございます。だから二銭七厘の高率適用ぐらいも、これはうまくやろうと思えば、市中銀行ではやり得る余地は私は幾らでもあるだろうと思う。だからその表面は、成るほどあなたのほうは、金利はこれだけで抑えよ、ということになつておりますが、それをそろばんに合すくらいなことは、これは海千山千の銀行屋さんだから、このくらいのことは僕はやつて行くだろうと思いますが、そこに相当日銀総裁の権限というものは非常に強いものになつて来る。こういう次第であるから、だからこれを言うことをきく総裁を置いておくか、ちよいと横を向いたやつを置いておくかというところに問題が来て、総裁更迭という問題が起きているんだろうと思いますが、今御説明を承わつてみましても、あなたの御説明では、これはもう総裁の権限によつて相当取捨選択ができるようになつておる。例えば具体的に例を挙げては変だと思いますが、千葉銀行に対して、それでは千葉銀行のほうへこれだけ高率適用でもいいから貸してやろう。千葉銀行のほうでは、それをどこかの企業に高率適用でも貸すということになれば、表面ずらは成るほど合わないかも知れないけれども、実際の商売としては十分に私は成り立つて行くような状態が遺憾ながら日本の今の金融市場の実情である。そういうふうに見ざるを得ない。そこでその個々の一々の銀行に、それはどうするこうするということまでも、銀行局はできないかも知れませんけれども、一応預金を集めた率によつて、それと大体預金が殖えて行けば、従つてそれに見合うように日銀貸出しというものも認める、こういうふうになつて、趨勢としてはそういうふうな動きをとつているものか、併しそんなものは全然考慮なしに政治的配慮が相当加わつて窓口のほうでは行われているものか、この点については、あなたのほうの指導としては、まあこの銀行預金をどんどん集めて営業成績もいい、だからこれに対しては相当面倒を見てやろう、こういうことに原則としてはなつているのか、それともそんなことは余り考慮されておらないのか、この点を一つつておきたいと思います。
  18. 河野通一

    説明員河野通一君) 政治的考慮という意味は私もよくわかりませんが、少くとも中央銀行金融をいたします場合に、機械的にはなかなか行い得ないと思います。併し先ほど来申上げましたように、高率適用制度ということは、預金が非常に増加している銀行におきましては、高率適用のかかるまでの間の幅が非常に大きくなる。ところが預金が伸びない所は高率適用がかかる幅が狭くなる。これは今菊川さんがおつしやいましたが、これはいろいろ潜つているというお話もありますが、これは逆に言えば、必ず金融機関としては、借りることによつて決して得はない。ただ金融機関一般預金を集めて、それを貸している金がある。それから高率適用のかからないものが、普通の利率くらいで借りているものがあるから、それらをつつくるめれば、資金コストに対して、貸した利子はどうなるかということは、平均を弾き出せばいい。必ずしも具体的に出ているものが逆になつているからといつて銀行貸出行為というものが全部逆になつているわけじやない。そこはやはり全体を睨むから、決して銀行というものは日本銀行から高率適用を受けたから損をだしているということには勿論ならない。併し少くとも高率適用を受けた分については、その部分については逆になることは間違いない。従つてその逆になる部分について、預金の非常に成績のいいものについては、その逆のかかるまでの間の幅が大きい。それから預金の伸びない所はその幅が小さいということになつて、これは自然に私は調整されると考えます。ただそれについて十分であるかどうかということについては、いろいろ、御議論があると思いますけれども、私は現在の状況の下においては、そういつた措置よりほかに方法はないだろうと考えております。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点逆にお尋ねしておきますが、高率適用を少々受けてもかまわないから、どんどん貸してくれということを申入れた場合に貸すか貸さんのか、この点を伺つておきたい。
  20. 河野通一

    説明員河野通一君) これは先ほど申上げました通り高率適用の普通の場合においては、日本銀行の金利政策によつて自動的に動くようにしておくのが普通の場合です。併し現在のように資本の足りないときにはオーバー・ローン、或いはオーバー・ボローというものが現われて来る場合に、金利政策等によつて自動的に調整するというだけでは行かない。従つてそれによつて併せて現在の日銀の窓口というものは量的に締めるということをやつている。つまり高率適用が逆になつてもいいから貸してくれということを言つても、窓口でどうやつて締めて行くかということについていろいろ考えている。高率適用がかかつてもいいから貸してくれと言つたら、どんどん貸すならば、もう自動的に調整されるわけなんですから放つておけばいい、そういうものでは現在はいけないということで、金融の実際の貸出操作ということについてのやり方が、量的に如何にして締めて行くか、これは具体的に今菊川さん御指摘のように政治的にむずかしいんじやなくて、技術的にむずかしい問題がありますけれども高率適用がかかつてもいいから貸してくれと言うから、機械的に貸すということでは意味がない。現に日銀はそうい立場から信用調整を行なつている、こういうことであります。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこはわかるんだが、どうもその辺私どもは納得は、何遍聞いても、これはくどいようですが、これは大事な問題だと思うので聞いておきたいのだが、例えば具体的に三井とか三菱とか住友の三つある。これが同じように、大きな銀行は三大銀行、五大銀行でもいいのだが五大銀行が公平に、公平と言つては何だが平等に出るものか。高率適用の分も何でも平等に出るものか。それから銀行としては高率適用を少々受けてもいいから貸して欲しいという要望が、市中銀行としては実際に強い。高率適用は少々構わん。何でも貸してもらえればいいというのが現在の実情だと思う。とにかく資金を貸してもらいたいというのが実情だと、こういうふうに思うのですが、富士銀行はそれくらいになつているかどうかわかりませんが、何でもいいから貸して欲しい。それを抑えるのに骨が折れるというのが私は実情だと思う。だからその場合に、富士銀行はどう、或いは三菱はどうということは、非常こ微妙な問題だと思う。従つてこの最後の決定をする場合において、僅かな金でも二十億なり三十億なりだけでもうんと違いが出て来ると思う。私はそう思うのですが、その最後の決定は総裁がやる。だから総裁というのは法王と言われるくらいに権限を持つことになつたのじやなかろうか。その原因はここにあると思うのだが、それを防禦するのに、一々法律できめるわけにも行かんし、それをあなたがたが枠を作つて、これはこの範囲内でやれというような、これは地方平衡交付金を交付するような工合に参るまいと思いますが、とにかく平衡交付金というのはああいう公式があるのだが、日銀でも大体窓口ではそういう公式ぐらいはできているのですか。こういう点を一つつておきたい。
  22. 河野通一

    説明員河野通一君) 各銀行に対して高率適用をかける場合の公式はどの銀行にもございます。つまりこれは非常にややつこしい計算でありますが、今簡単にここで御説明できませんが、預金の何。パーセントに対して自己資本が幾らといつたような計算と、割引高、貸出高をいろいろ足し算掛け算をやりました結果の公式であります。その公式はどの銀行にも一律であります。従つて銀行についてその公式を左右するということはいたしません。ただ例外的には、例えば長期信用銀行のように預金を扱わないという銀行、そういう銀行預金銀行と同じように長期信用銀行信用を出すことがいいか悪いかは別として、これは預金がないのだからほかの銀行と同じように預金高で計算しては非常に何と言いますか、ぴつたり来ないという問題があります。それから前国会で御賛成を頂きまして早速今月発足いたしましたいわゆる外国為替専門銀行、これはやはり国内の店舗を非常に制限いたしましたから預金というものは非常に少くなつている。そういつた銀行に対して国内の預金銀行と同じような高率適用をすることがいいかどうかという問題は、銀行の性質によつて考えなければならん問題があります。併し同じ預金銀行であるならば一律の計算をする。併しながら今お話がありましたが、その高率適用をかけるということについては同じ計算をいたしますが、先ほど来申上げましたように、高率適用がかかつてもいいから金を貸せといつた場合に自動的に貸すわけではございませんから、具体的に申しますと、Aという銀行は非常に日本銀行からの借入が殖えている。それからBという銀行日本銀行からの借入はそんなに多くない。それは金利の優遇とか逆歩とかいう問題は別にして、そういう問題がある。それからAとBとが同じ金額のものを同じ対象にして貸すというような場合に、日本銀行資料を持つて来た場合に、日本銀行としては余りに日本銀行から借りが多過ぎるからもうそれ以上貸すことは適当じやない。B銀行は余り借りていない。つまり自己資金預金で以て仕事をして来ているというのならば、同じ銀行に対する貸出が同じ条件のものであつても、B銀行に対してはそれは日銀信用を場合によつて供与するということがあり得る。ここらの判断はやはり日銀からの信用供与、つまり今までの実績が、非常に預金に対して日銀からの借入が多いか少ないかによつて日銀が個々に判断して行く。それから各市中銀行の本当の腹はどうか、つまり高率適用の、逆になつてもやはり借りたいという気持が強いのじやない外というお話でございますが、これは私が申しますのは非常に特例でありますけれども、或いは市中銀行の最高首脳部のどなたかに聞けばわかると思います。日銀からの借入は余りしたくない。もう日銀からあれだけやかましいことを言われるなら、日銀から借りたくないというのが本心です。銀行としては併しそう言つたからと言つて、なかなか取引との関係もあつて、企業自体の生命を生かすか生かさんかという場合は、それは金融をどうしても付けざるを得ないという問題がある。それはやはり高率適用にかかることを、逆ザヤになることを覚悟してもやらなければならんという場合があり得ると思います。併し市中銀行の頭取あたりは、それは誰にお聞きになつても日銀からのそういつた意味のオーバー・ボローという状態をできるだけ解消したい。もう日銀に厄介者にならんような、いわゆる自立態勢と言いますか、そういつたところへ持つて行きたいというのが強い念願です。そんな従来より甘い考え方で、日銀から借りてなんとかここの金融を泳いで行きたいという考え方は、現在では私はないと確信いたしております。ただこれは数年前におきましては、日銀高率適用というものは必ずしも逆ザヤではなかつた。従つて日銀から借りておけば、損はしない。そういつたときには、或いは日銀からの借入ということについて、安易な考え方を起しがちであつたということを私は免れなかつたと思います。併し現在におきましては、一方では逆ザヤになつているし、そもそも今お話にありましたように、戦争前のように市中銀行中央銀行との正常な関係というものを維持したいという考え方は、これは市中銀行側の連中の頭にはつきりありますし、そうした安易な考え方日銀からの借入れ、いわゆる逆ザヤになつている日銀からの借入れというものに、安易にそれに頼るというような考え方は私はないと思います。主観的にはないと確信いたしております。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点だけ。高率適用の限度、これ以上になつたら高率適用だというのは、そのときどきによつてであつて、別に法律によつてきまつているわけじやないでしよう。そのときどきによつて、これ以上は高率適用だということにして行くのかどうか。それを決定しているのは、政府としてあなたのほうで、この際はこれから高率適用にしよう、それからこの際は緩めるために高率適用はこの辺までは高率適用にならんというような限度は、あなたのほうでそのときそれにお示しになるのか。それとも日銀が独自の見解できめるか。これは政策委員会できめるのか。この点を一つつておきたい。  第二点は中央銀行の総裁と言いますか、首脳者が今日ほど非常に、なんと言いますか、日本の、はつきり申しまして、新聞記事の談話、或いはまあちよつとしたそういう日銀総裁談というものは、日本の経済界に微妙な影響を及ぼしていることは事実であります。なんと申しましても異常な反響を呼ぶ、証券市場に現われて来るくらいに力を持つている。そのように日銀総裁が権限を持つているということは、これは一番偉いために持つているのではないので、こういう操作をやる権限を与えられているから、そこで自然出て来る。一日も早くそういう状態が解消されるようにしなければならん。まあ諸外国におきましても、中央銀行総裁というのはそんな影響力を持つものじやない。単なる事務屋であつて然るべきだと思うのです。はつきりつて金融の事務屋であつて然るべきだ。それが本当だと思う。やつばり政治を左右するものは、これは政府であり、政治家がやるべき問題だ。だが若干その点今日についてまで世間も悪いと思う。法王だというような馬鹿なことを言い出したりするもんだから、本人もその気になつて、相当権限も持つているしというので、ちよつとここ数年来の日銀の傾向というものは、中央銀行本来の姿を少し行き過ぎておつたと、私はこういうふうに思うのですがね。銀行局長として、これはあなたその問題を十分諸外国の例等も考えられているだろうし、又在来の日本銀行総裁というものの地位、立場等も検討されているだろうと思うのですが、これから考えて日本銀行法の改正というようなことは考慮されているかどうか。今のような、はやされるという姿は余り好ましくないように思うのですがね、私はそう思う。そういう点を一つ最後に伺つておきたい。
  24. 河野通一

    説明員河野通一君) 最初の御質問の高率適用制度改正したり或いはそれをきめたりすることがどういう形で行われるか。これは大蔵省としても、勿論高率適用の許可について検討をするようにということを、こちらから言い出すわけであります。それから日本銀行のほうからこれを変えて行きたいというふうな申出を受けることもあります。それはいずれが先に行くかということは、いろいろな場合によつて違いますから、一率に申せませんが、結論としては両者でよく話合つて、この問題の結論を出す。なお、今お話がありましたが、日銀政策委員会がどういう立場をとるかということでございますが、これは日銀政策委員会は御承知のように勿論大蔵省から代表の委員を出しておりますが、これは日本銀行の中の機関ですから、日本銀行がきめる場合に、それに諮るという仕組ができているだけであります。日本銀行のそとに政策委員会というものがあるわけじやございません。その点はそういうことで御了解頂きたいと思います。  それから第二の中央銀行の総裁というもののあり方の問題でありますが、非常に個々の具体的な問題に触れますので、私は甚だ失礼でありますけれども、この問題については見解を申上げる資格がございませんのでお許しを頂きたいと思います。ただ、日本の経済というものが戦後非常にいろいろ意味で正常な状態じやないということは、これは認めざるを得ないわけであります。何と申しますか、俗な言葉で、いびつな状態にある。それらの問題のうちで何がいびつの問題の一番大きなものかといえば、やはり資源を失い、蓄積を失つた。これは資本という言葉がいいか悪いかわかりませんが、要するに資本の食い潰し、資本の蓄積が足りない。資本の不足というところに、私は日本経済のいびつといいますか、正常化されない幾つかの原因の中の最も大きな原因の一つがあるのじやないかと考えております。そういつた問題が結局中央銀行にその問題が繋がつて来るわけであります。先ほどちよつと申上げましたように、外国の例は御承知のように中央銀行から市中銀行資金を借りるということは極く例外的な場合だけであります。日本におきましても、先ほど豊田さんの話がありましたが、戦前における各大銀行と言われたものは、日本銀行から常時而も多額の借入を受けるという状態はなかつたのであります。ところが日本が戦後大きな未曾有の敗戦という事態にぶつかり、資源を失い、蓄積を失つたそのときに、日本経済を立て直すというためには、正常な状態で資本の蓄積を持つていられなかつた。で、或る程度はそれが結局一種の悪性インフレーシヨンと言われるものになつたのでありますけれども、やはり信用の造出によつて、この経済の復興を図らなければならん。あれほどの生産の、何と言いますか、過少の状態を乗り切るためには、どうしてもそういうことが行われなければならなかつたという事態があつたわけであります。そういつたことが中央銀行によつて結局市中銀行を通ずる信用放出がふえて来たということの一つの大きな原因であろう。併しそれがよしあしということはいろいろ批判があると思いますけれども、そういう事態を通じて日本の戦前にはなかつたような中央銀行市中に対する信用供与というものが非常に大きく膨脹したことは事実であります。而もそれが先ほど来申上げましたような各国の例及び日本の戦前における状態から比較して、決して正常な状態でなかつたことも、私は事実だろうと思います。そのことがやむを得なかつたか、いや悪いことであつたかということは、いろいろ見方があると思いますけれども、私はそう考えております。従いまして中央銀行というものが、市中銀行に対して非常に多額の貸出を行なつたということが、やはり中央銀行の力と言いますか、そういうものが非常に相対的に強く現われた。これはやはりよく私ども皆様方から御非難を受けるのでありますが、銀行と企業との関係においても、よくそういうことを言われるのであります。金融資本とかいろいろの言葉で言われるように、やはり資金の需給というものが合わないで、借りるほうが、需要が多くて供給が少ければ、やはりどうも貸手のほうが強くなるということがあると思いまして、その関係は、丁度事柄は違いますけれども中央銀行市中銀行との間にもそういう関係がある、そういうことが言えると思います。それからあとのことは私からいろいろ申上げることはお許し頂きたいと思います。  それから第三に、日本銀行法を改正する意思があるかないかの問題であります。この点は数年来私どもとしましても、いろいろ研究を加え参つおります。併しまだこれらの問題についての最終的な結論に到達いたしておりません。問題点はいくつかありますが、これらの問題については、更に研究を続けて結論を出したい、かように考えている次第であります。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点もう一遍関連して。それでは今の日本銀行法というあの法律は正常でない、あなたが今説明されたような状態を予想しての日本銀行法であるか、正常なる状態において大体うまく動いて行く法律として制定されたものか、伸縮自在というふうに考えているか、その点を伺つておきたい。今の日本銀行法というものが、こういうふうな変則的な状態におけるところの日本銀行法であるか、それとも経済が正常状態であるときの日本銀行法であるか、どちらを想定してあれは施行されているか。これは一時的な問題というのじやない、五年も十年も長い間続いているわけだ。だからそういう事態における法律として適当なものとして、あれは制定されたのであるか、それとも平常状態を考慮して立法されたものか。それによつて大分建つて来るだろうと思う。それだけ伺つておきたい。
  26. 河野通一

    説明員河野通一君) 平常状態或いは不正常な状態ということは、なかなかはつきり区切りがつかないと思いますが、むしろ申上げておわかり願えると思いますのは、日銀法というものが制定されたのは昭和十七年でありますから、その当時の状況を大体頭において頂ければ、その当時と現在とが経済の実態というものがどういうふうになつているかということについては、いろいろな御判断があると思います。十七年当時の状況及び当時大体見通された事態を前提としてできております。それからその後この法律は改正されております。改正された一番大きなものは政策委員会というものが置かれた、これは丁度占領されておりました当時に、確か二十三年ですか、ちよつとはつきり記憶しませんが、二十四年か三年に日本銀行政策委員会という制度がこの中に取りこまれた。これは一つの大きな改正であります。そのほかには、特に十七年以来その問題以外については大きな改正はなされていないというのが実情であります。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今山本大蔵政務次官がおいでになりまして、皆様がたにちよつと御挨拶を申上げたいそうでありますから、途中でございますがこれをお許ししたいと思います。
  28. 山本米治

    説明員山本米治君) このたび大蔵政務次官に就任いたしましたので、一言挨拶させて頂きたいと思います。  私、誠に学も浅く、経験も少い者でございますが、ついこの間まで当委員会におきまして大蔵常任委員としておりましたので、皆様がたみんな顔馴染みのかたばかりでございます。どうぞ今後至らん者でございますが、よろしくお引き廻しをお願いしたいと思います。  先週雑用の間に各部局から極くあらましの話を聞いただけでございまして、まだ内部の事務等にも通暁しておりませず、又これは私用に亘つて大変恐縮ですが、前々からの約束でちよつと二、三日郷里に帰つておりまして、夕べの夜行で今朝着いたような状況でございます。  どうぞ一つ今後何分よろしくお願いしたい、これを以て御挨拶にいたします。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 金融引締めと言いますか、そういうものをやつて、まあ貸付も実際少くなつておる、それから日銀の発行高も適正と思われるような大体五千億ベースになつて来た、従つてそういうようなことをやつたために、狙いであるところの物価も昭和二十九年三月以降大体卸値において七・六%下つた、小売はまあ一%弱、併しこれは、この小売、卸売の差は時期的な差であります。だから、まあこのデフレ政策が成功したのだというような受取り方になるわけですが、それかといつて片方のほうでは、豊田君のほうから出ました中小企業の辛さというものが出たわけですが、或いは購買力が全然下つていないじやないか、例えば農村関係にいたしましても、いろいろな関係で下つていないじやないか、そういうのに物価が下つたんだが、それは本当に金融引締のあおりを食つて倒産者が出て、投売りの一つの物価の下落ではないかというような見方もあるのですが、銀行局長はどう全体把握されておられるか。例えば物価も下つた、いろいろな実際の物価というものが正常に下つて来た、実際これでよかつたのだという、そういう解釈をしておられるのか。そこら辺の御見解をお聞きしたい。
  30. 河野通一

    説明員河野通一君) 先ほど申上げましたように、私どもは引締政策が十分に成功を収めたかどうかということについては、はつきりしたことは私も見解を申上げるわけに参りません。方向としては所期した方向に進んで参つておるということを申上げたのであります。物価が下つて来ておる、併しそれは要するに金融を引締められて投売りをした或いはストックをさばいたということによつて生じた、何と申しますか、一時的なものじやないかというお話であります。或いはそういつた部面も相当にあるかと思いますが、私はやはりそういつた部面だけではなしに、やはりこれを契機としていろいろな合理化に対する努力ということが並行して行われて来るならば、私はやまりコストの引下げという形に向つてだんだん進んで行くことができると考えております。従つて更にこういつた問題を私どもがいろいろ申上げるということは、単に金融の面、或いは財政の面だけでなしに、やはり産業政策なら産業政策、そういつた面も合せて広く総合的にそういつた問題の各般の施策というものを並行して進められることが必要であろうと考えるのであります。併しながらそういつた政策が仮に進められなかつたからといつて金融の今とつて参りました政策というものを捨てるということは、これは日本の経済というもののためにいいことじやないと私どもは考えておりますが故に、先ほど来申上げましたように、この金融に対する考え方の基調そのものは私どもは変えるべきでないと、かように考えております。併しその結果、今お話のように実質的なコストの引下げということが今直ちにここで現われないということにつきましては、今後更にそういつた方向への努力を続けて参らなければならん。単に金融を引締めた結果、投売りということのために生じた物価の値下りということだけで満足すべきものでないということは勿論でありますし、又現在の物価の値下りの状況が単に投売りの結果だけで生じたものとは考えておりません。いずれにしても、そういつた各般の施策を並行されて行われることが望ましいと思つております。  なお、今お話がありましたように、農村の購買力等は決して衰えていない、都市においても同じようなことが言われる、或いは賃金の指数等に現われておることでも言われるじやないかというような御議論もあるかと思いますけれども、これらの点につきましてはやはり今日本の態勢から見て、私はこれらの購買力を積極的に消費規制という形において、これを行うことが適当かどうかについては、甚だ疑問だと考えております。それよりもむしろ貯蓄と申しますか、要するに蓄積を殖やすという方向にできるだけすべての施策を推進して行く、それによつてこれらの購買力を蓄積の形で吸収する、そういうようにやはり我々の全力を傾けて行くべきではないかというように私は考えております。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今銀行局長が言われましたが、私はこういうふうに感じているんです之。物価の下落というものは、実際コスト主義がいいか悪いかという議論があると思います。コストも全然下つていない。あなたが言われたようにデフレの狙いであつたところの資本の蓄積も全然できていない。例えばその例として預金一つその推移が現われておりますが、実際何も効果を挙げていないじやないか、だからここで、例えば金融独走と申しますか、或いは金融独裁みたいのような今の形では、実際そのしわ寄せが中小企業だけに出ているんで、中小企業のほうから何とかしてくれという声が出ている。それをあなたは何とかしてこれを続けて行く。併し総合的にもう少し考慮して行こうというような考え方を述べられたわけですが、それではそういうものについて、これは政務次官がお見えになれば、そちらのほうから聞くわけですが、おられないようですが、どういうようにそういう問題についての施策というものを、一応大蔵省としてはお考えになつておるか。或いはこの間自由党の政議会では二十日頃に新らしい経済政策を発表するとか何とか言つておられますが、大蔵省でも或いは通産省と打合せて何か出されるとか何とか言つておられますが、そういうものに対してはどういうようなお考えか。金融独走だけではいかん、又その総合的な施策をとらなければ駄目だ、こうおつしやるなら、それはどんな案があるのか、或いは今度の自由党の、これは当の政府の問題になるかも知れませんが、大蔵省としてどんなふうにお考えになりますか。
  32. 河野通一

    説明員河野通一君) これは非常に、いろいろ幅の広い各般の施策でありますし、大蔵省として個々の問題について具体的な施策を作つてどうするという筋合の問題では私はないと思います。少くとも産業自体の実際面において、コストをできるだけ下げるというような措置がとられなければならん。それから輸出の振興のためにいろいろ具体的な措置、これは政治的な措置もありましようし、純経済的な措置もいろいろありましようが、そういつたものに対する措置が強力に進められなければならん。これらの問題について、或いは通産省でありましようか、或いは経済審議庁でありましようか、そういつたところが、それぞれ具体的な施策を講じられると思うのでありますけれども、私どもとしては、そういつた施策が強力に進められなければならんと考えております。又これは私ども関係でありますが、資本の蓄積という面における今後の施策の推進、これを大いに促進して行くために、或いは税制上の問題とか、いろいろ問題を考えて行かなければならんと考えております。これはやはり各所管々々の各省なり各官庁が、それぞれの持場々々に従つて、こういつた問題を具体的に研究して行かなければならん、産業政策とか、そういつた問題については、私がここで具体的に申上げることは、勿論その力もありませんし、そういうことを申上げる筋合でも私はないと思います。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 金利の引下げですね、ということは、この間大阪のほうへ出ましたときに、何か、郵便貯金ですか、そちらのほうが、郵便局のほうが盛んにまあ、自分のほうに預金をすれば八分どれだけになる、これは実は誤りの数字のようでございますが、そういうふうにして宣伝をしてやられたために、これは相互銀行の話ですが、自分のほうに預金が来ずに郵便局のほうにどんどん行つてしまう。ですから若干ここで金利などが引下げられれば、こちらのほうにも相当なものが廻つて来るのじやないかということが考えられるのですが、資本の蓄積ということにからみ合つて金利を引下げてみよう、金利を再検討してみようという御意思がありますか。
  34. 河野通一

    説明員河野通一君) 郵便局のお話が出ましたが、郵便貯金につきましては、今御指摘かありましたように、ややもすれば過大な広告と申しますか、というような嫌いのものが実は一、二私のほうにもわかりましたので、郵政省のほうにも正式にこれらの問題について自粛をしてもらうように申入れをいたしております。最近は相当是正をされたと私は思つております。  それから金利一般の問題になりますが、私はこの金利の問題を考えます場合に、ただ貯蓄を推進するために、預金金利を名目的に上げるということをそう単純に考えるということはなかなかむずかしいのではないかと思うのであります。御案内のように、日本の経済を対外競争力を付けますためには、いろいろな合理化ということをやらなければならんが、そのうちでも金融の金利、つまり貸出金利というものが諸外国の金利に比べて高過ぎる。従つてこれはできるだけ金融の金利負担を下げることによつて国際競争力を付ける。それだけじやありませんが、いろいろ研究をすることによつて貸出金利を下げるという方向に持つて行かなければならないという要求が非常に強くあつたわけであります。私は勿論そういう方向において努力しなければならんと思いますし、現在すでにそういつた努力の現われが一、二実を結んでおるわけでありますが、今後においてもそういう努力を傾けなければならんと思うのであります。然るにいろいろな日本の金利が高いということについてのいろいろな原因でありますが、そのうちの一つの大きな原因は何かと申しますと、預金金利が高い。これは金融機関というものは正常な形におきましては、預金を集めてその預金を貸すのでありますから、その貸出金利の中に占めるコストの相当大きな部分が預金金利であることは申すまでもない。ところが定期預金にいたしましても、これは日本の定期預金は一年のものは年六分であります。然るにアメリカ、イギリスあたりの定期預金に当るものはタイム・デイポジツトでありますが、これが大体一分五厘から二分で、最近ちよつと変動しておるようでありますが、大体ベースとしてその程度であります。日本の定期預金は六カ月のものでも年五分というような金利になつております。そういつた預金金利が高いということが貸出金利を下げにくい、勿論それだけじやありません、それだけじやありませんが、下げにくい一つの原因にもなつているわけであります。一方で貸出金利をできるだけ下げて行かなければならんという要請に応えますためには、やはり預金金利というものをむしろ下げる方向にこそ考えなければならんと言われるゆえんであります。併しながら私どもは今成瀬さん御指摘のように資本の蓄積を促進しなければならんという現在の段階において、預金の金利を下げるという方法をこの際とるべきではないと考えております。併しながらこれを更に上げるということによつてその金利というものが悪い意味の循環をして貸出金利を却つて上げなければならんというようになつては甚だ本末顛倒した結果になるのではないか。これらの点については更に私どもは慎重な検討を加えなければならん。ただ先ほどもちよつと申上げましたように、預金の金利を上げるということをしなくても、預金者の手取りを殖やすというふうな形で、この問題が解決することができるならば、これは預金者の立場からすれば、事実的に預金金利を上げたと同じ効果を持つわけであります。併しこの問題は勿論御承知のように、税制全体との関係の関連において慎重に検討しなければならない。まだ私どもこの問題について結論を得ておりません。得ておりませんが、そういつた観点からの問題としては、これは私は検討いたさなければならんと思いますし、預金金利は今直ちに上げるということは、少くとも全体の水準として上げるということは適当ではないのではないか。特に最近は預金の名目上のレートは、レートと申しますか、何分何厘というレートそのものは上つておりませんが、先ほど申しましたように、全体の中に占める貯蓄性預金が殖えておる。つまり当座預金のような金利のゼロのものが余り殖えないで、貯蓄性の定期預金のウエイトが殖えて来ておるということは、どういうことを意味するかというと、平均の預金のコストというものが高くなつておるということに相成るわけであります。そういつた点もよく頭に置いて、こういつた問題を考えなければならないが、一つだけ私が考えられると思いますのは、非常に長期の預金、つまり貯蓄的な安定した預金というものを更に金利上優遇することができるかできないかといつたような問題としては、これは又考える余地があるのではないかとも思いまするし、全体の預金金利のベースを上げるということは、この際としてはとるべき施策ではないと私どもは考えております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 話を今度は変えまして、例の炭鉱の金券ですね。あれはあなたのほうはどんなふうに報告をお聞きになつており、どういうふうにお考えになつておるのか、或いはこれらに対してどういうふうな指導と言いますか、処して行く御方針ですか、伺いたい。
  36. 河野通一

    説明員河野通一君) 理財局長も見えておりますから、むしろ理財局長のほうから御説明してもらつたほうがいいと思いますが、この問題については私どもはかねがね数カ月前からそういう事態につきまして聞いておりますし、現地から、出先のものから詳細な報告を受取つております。一体これは金券というものはいろいろな意味で問題があるようであります。特に労働法規との関係においても問題があるようでありますが、私ども金融なり通貨というようなことをいろいろ規制いたしておりまする法律に関するところでは、現在主として理財局で研究されております。私の聞いておりますところでは、今俄かにこれらの紙幣類似であるとか或いは金融法規上の預金等に触れるといつたようなことは、現在のところでは、そうは言えないというふうな結論のように聞いております。而も私の承知いたしますところでは、もうすでに金券というものの発行というものは限界に来ておる、これ以上今後めつぼうに殖えるというようなことは恐らく考えられないのであろうというようなことを聞いております。いずれにいたしましても、結論は成るべく早く出したほうがいいと思いますけれども、現在のところではそういつたふうに私どもは考えております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が聞きたいのは、現在どのくらい出ておるのか、実際そのものによつて米とか野菜なんかの売買をしておるという、そういう実情が少しお聞きしたい。そういうような報告は入つておりませんか。
  38. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今金券の具体的な金額とか、そういう点につきましてのお尋ねでありますが、これは大体私どものほうは地方の財務局等を通じまして情報と言いますか、実情を聞いておるわけでありますが、実際北九州の中小炭鉱、或いは北海道の炭鉱あたりではかなり広く出しておるところがあるようであります。ただ具体的の数字になりますと、これはつかみにくいのでありまして、全体でどれだけの金券というものが出ておるか、ちよつと具体的の数字は私どものほうでは申上げかねるわけであります。金券の内容と言いますか、どんなものが出ておるかということにつきましては、これはいろいろなものがありますが、大体金額を表示した一種の金券と言いますか、そういつた式のものから、いわば何と言いますか、俸給の残高の証明書といつた形のものまでいろいろなものがあるのであります。実際使つております状況を見ますと、やはりそういうものをもらいまして、そういうものの範囲内でその鉱山なり何なりの中にあります購買部と言いますか、そういうようなところから日用品を買つておるというようなのがまあ主でありまして、鉱山以外の場所までそれが流通しておるというようなことは大体ないようであります。そういうような意味からいたしまして、殊に通帳式と言いますか、残高証明式のものになりますと、これはやはり紙幣類似証券として取締る、或いは通貨類似作用をしておるものとして取締るというところまでは、現状におきましては行つていないであろうというような考え方をいたしておりまして、現状におきましては、まあこういうものは非常に行過ぎになりまして、通貨とか取引の関係等で不都合を生ずるというようなことにならないように、常時現在の状況を注視しているという段階でおりまして、現状ではこれを取締る、やめさせると、こういうようなことは私どもとしては考えていない状況でございます。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 逐次増加の傾向にあるのか、大体現状で踏みとどまつておるような恰好なんですか。
  40. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほど申上げましたように、大体全体の流通額というようなものが掴めておりませんので、増加しておるとか、減少しておるということも的確に申上げかねるわけでありますが、墓最近いろいろ情勢を聞いておりますと、そういうものがだんだんと殖えて行く、発行額が殖えて行くとか、或いは拡がつて行くというふうには聞いておりません。大体或る程度段階に達して、それ以上は余り殖えていないのじやないか。或いはもうだんだん整理して来てやめているというような面もあるように聞いております。
  41. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 関連質問。只今の御質問、御答弁に関連しまして伺いたいと思うのですが、デパートが友の会というようなものを作りまして、庶民層から月掛けをさし、相当年月を入れると、商品券のようなものを出し、これで購買欲を誘つておるというようなことを聞くのですが、これは商品券取締法なり、或いはその他の大蔵省の取締方針から見て、どういうふうに考えられるか。又従来どういう取締りをせられたか。そういう点について伺いたいと思います。
  42. 河野通一

    説明員河野通一君) いわゆるデパートの友の会というもの、先ほど金券の問題がございましたが、やはりやつておりますものはいろいろな形態が実はあるようであります。従いましてこれを一律にどうということはなかなかむずかしいのであります。まあ私ども手に入ります限りの材料をとりまして、いろいろな研究をいたして参つてつたのですが、法務省当局と申しますか、検察庁当局は先般の国会で通過いたしました出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律、これに言つておる第二条の預金禁止の規定に違反するという一応の考え方をとつておりますことは、或いは御承知と思いますが、そういうことであります。この法律の第二条の解釈といたしまして、デパートの友の会でやつておりますこの典型的なやり方が、一体預金禁止の規定に該当するかしないかということにつきましては、いわば一つの社会の問題であります。いろいろな考え方はありましようが、社会の問題であります。私どもは今にわかに法務省の見解或いは検察当局の見解と全く同意見であるというような解釈にはまだ結論が出ません。現在これらの点につきましては、更に検討を加えて、成るべく速やかに結論を得たいと考えております。一方に商品券取締法というものがある。これはやはり中小企業とデパートという一つの大企業との関係の調整をいたすといつたようなことも、一つの目的に入つておるわけであります。こういつた商品券との、一体友の会の出しておるいわゆるお買物票というものと、どういう関係に立つかというと、これはどうもいろいろ検討いたしますと、これは商品券とは違うということがはつきり出て来る。併しながらその実体が商品券と同じような作用をする。つまり或るデパートにおいて或る一定の金額を積み立てれば、デパートの商品はその金額の範囲内において何でも買えるという仕組みでありますが、実際は商品券と殆んど同じような作用をするものである。従つて中小企業との関係の調整ということも当然これらの対策として考えなければならん。法律の解釈の問題は法律の解釈の問題として、更にこれははつきり法務省と打合せて、結論を急ぎたいと思つておりますが、その法律の解釈の如何にかかわらず、こういつたものが実体的に商品券取締法の趣旨等から考えて、そのまま放置をいたすことは、いずれにしても適当でないであろうというようなことで、然らば仮りにこれらの問題の解釈が、法律の解釈がどうなろうと、今後新しい立法によつてこれを取締る必要がありやなしや、或いはその立法で取締る必要がありとした場合に、どういう形態で取締るがいいかといつたような問題につきまして、現在大蔵省でもいろいろ関係の各省とも打合せをして研究を進めておる段階でございます。いろいろ世間に大きな影響がある問題でありますから、成るべく早く結論を得たいと思つて、今やつておりますが、結論の出ない前に、いろいろ又外部に申上げることは却つて徒らに混乱とか摩擦を起す虞れがありますので、できるだけ急いで結論を出して、そのはつきりした結論をお示しする態度で臨むべきだというのが私どもの考えでありますので、鋭意その結論を急いでおる段階でございます。
  43. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 御研究になる、今後取締るという方針のように伺つたのでありますが、この問題は御承知のように、最近始つた問題でなく、もう相当前からの問題なのでありまして、而もこれか中小企業者に対する影響というものが、非常に深刻なる影響を与えている。而も一面デフレ対策を推進せられておりまするから、そういう点から行きましても、ああいう行き方が果していいのかどうか、購買力の抑制について、先ず第一に手を打つべきは、ああいう問題ではないかということは、当然お考えになつておることだと思うのであります。今のお話だと研究せられて、そのうちに何とかやるということでありますけれども、これは一つ至急におやりになる必要があると思いますし、又法律によつてやらなくても、相手は大企業のことでありますから、銀行局から相当指導せられれば直ちに効果を発揮する。他の政府の部門を見ましても、相当指導行政は今日やつておるようでありますから、そういう面において、余り法律で研究せられることが困難であり、日にちがかかるということでありますなら、先ず第一に指導的立場から善処をせられたいと思うのでありますが、大体至急にということでありますが、いつ頃事がはつきりするか、それを一つ承わりたいと思います。
  44. 河野通一

    説明員河野通一君) ちよつと日にちは申上げられませんが、各省、関係の法制局とか検察当局といろいろ打合せをしたいと思つております。これは私どもも一日も早く結論を得なければならん、これは口先で申上げるのではありません。昨日も実はその問題で長い間部内で会議を開いたような次第でございます。一日も早く処置いたしたいと思います。
  45. 井村徳二

    ○井村徳二君 ちよつと関連して。私百貨店をやつておるものでありますが、どれだけその影響があるか、そう大した問題じやないと思うのてありますが、会員を募集して実際やつておる阪急が一番大きいと思います。従つて弊害が、抽象的なものでなくして、具体的にどういう弊害があるかということをはつきり認識せよという豊田さんの御意見ですが、その内容を聞かして頂きたいと思います。
  46. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私がお答えするのはどうかと思いますけれども、懇談会にでもなされれば私のほうからお答えしてもいいと思いますが。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今豊田さんが言われましたが、今朝の新聞を見ると、あなたが友の会について、法務省のほうは、あれは預り金等の法律に違反する。それからあなたのほうは、友の会のほうへ預金をしておいて、そして最後にそれを年末なら年末のときに買うのだから、それは合法的だと、友の会の制度は合法性だというようなふうに、あなたのほうの言明が新聞に出ておつたように記憶するのですが、今のお話ですと、そうではなくて、それは目下検討中であつて、昨日も打合せをして、まだ結論は出ておらないと、こうおつしやるのですが、そうすると、新聞はあなたもお読みになつたと思うのですが、あれは違つているのですか。
  48. 河野通一

    説明員河野通一君) 私が申上げましたのは、昨日は最終的な結論は出ておりません。出ておりませんが、考え方としてはいろいろディスカッシヨンいたしました。私も、先ほどちよつと豊田さんの御質問のあとのほうにお答えしたのですが、こういう問題はできるだけ、公衆、いろいろなものに関係の深い問題でございますから、私は各省の間においてできるだけ結論を一にするうな努力をしたい、そしてそれまでの間に、大蔵省はこういう意見だ、法務省はどういう意見だということは、決して私はそれ自体としてプラスになることではないと考えますから、私どもとしては、かなり関係の当局と打合せをして結論に到達いたしたいという態勢で考えております。  今日新聞に出ておりました、私も見ましたが、ああいう問題を一応議論されていることは事実でありますけれども、大蔵省として最終の決定的なところまでは参つておりません。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは法務省の見解をどうこうということではないのですが、法務省の結論は出したかどうか。どうなんですか。あの新聞の通りですか。
  50. 河野通一

    説明員河野通一君) 法務省の出したことのよしあしはいろいろ議論がありましようが、先ほど豊田さんの御質問にお答え申上げました通り、法務省と言うより警察当局と申したほうがいいかも知れませんが、あの出資等の取締に関する法律第二条の預り金禁止の規定に触れるという結論を出しておるようであります。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に炭鉱の金券の問題ですが、あなたのほうは情報を具体的にはあまりつかんでおられないように見えるのですが、例えばどのくらいこれが殖えて行くのか、或いはどのくらい出ておるのか、どうこうということですね。私はこういうような問題については、ただ事情を聞いて見守つているのでは、若し不測な事態が起きて労働者がえらい目に出会つたというようなこと、或いはそれを受取つた人がただ購買部だけであつて外には出ておらん、こういうようなお話ですが、私が聞き及んだ範囲でも若干外に出たように聞き及んでいる。そういうものに対してただ大蔵省としては見ておるだけだというのではなくて、私はこれに対して適切な指導、或いは金のほうでどうこうするというのなら、そういう中小企業の炭鉱に対してどうするかというような点について、何か私は結論を出されて、そして早く対処せられないといけないじやないかと思つているわけですが、どういうようなふうに今話が進んでおるか。或いはあなたのほうではどういう方向を打出そうとして考えておられるのか、ただ情報だけ受取つておこうと、こうおつしやるのか。その辺のところをお伺いいたします。
  52. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほど銀行局長から申上げましたように、まあ金券の問題は、私どものほうでは、通貨類似の証券を出す、これは現在の通貨の動きを困難にさせる、いろいろ取引上にも支障を来たすというので、こういうような弊害が起りやしないか、こういうような立場から見ておりましたので、その点を申上げたのであります。勿論、金券を出すということにつきましては、労働者が現金でもらうべき給与を現金でもらえないわけですから、その関係でいろいろ労働基準法の関係から問題があるわけであります。或いは又その金券というもので購買するわけですから、これもまあ炭鉱等の購買部、商店が入つてつていると思いますが、そういうようなところで金券ばかり買つておられればだんだん運転資金に詰つて来る、こういう問題も当然起るわけでります。いろいろと全体としてそういう問題があるわけであります。私どものほうも、そういつたような、先ほど申上げましたような通貨類似証券といつたような関係から、どうすればいいかという観点から、財務局等にも、殊にいろいろと顕著な問題等につきましては、現在実地にその炭鉱の場所等に臨んで調査をしてもらつております。  ただ先ほど申上げましたように、全体として定期にそういうものの発行高の報告をとるとか、そういうようなわけに参りませんのですから、具体的にどういう額がどれくらい全体として流通しておる、こういうようなことは的確に掴みかねるのでございます。先ほども申上げましたように、現在出ておりますので、又それの使われておる状態から申しますと、私どものほうの通貨というような観点から取締るという段階に達しておるものは、現在では、いろいろ調べましたうちではない。併しこれは行き過ぎになりましてそういうようなのが出て来るということは警戒しなければなりません。そういうようなことを防止するために常時調査をいたしておる、こういう段階でありますることを申上げたのであります。
  53. 井村徳二

    ○井村徳二君 局長にお伺いしたいと思いますが、地方では中小企業者救済の叫びが強く上つているのでありますが、先ほどからの御説明によれば、銀行貸出増加推移であり、また或いは地方団体に対する貸出増加しているということでありますが、これらの点はお示しの数字の上において明らかに見られるわけであります。その直接の原因、銀行貸出増加の原因かどこにあるか、どうしてそういう数字が出たかについてはわかりませんが、しかしそれを内容的に見ますと、非常に大口に片寄つているようでありまして、従つてそのために小さいものはますますしぼられておる、こういう叫びが強いのであります。もとよりこれには財政的に金融の道をつけるなどの方法を講じてやるのも一つでありましようが、同時にこれらの点についてよく納得の行くように説明してやらないといけないと思います。銀行局長としては地方の銀行の監査をせられ、その間の事情はおわかりになつておりましようから、ここでその内容を洩らして頂ける範囲におきまして、どういう状態なつているか、中小企業に対する貸付の内容も実際明瞭になつていないのですから、これらの点について実際はどういう事態になつているか、調査に現われました内容をこの際伺つておきたいと思います。
  54. 河野通一

    説明員河野通一君) 銀行貸出が一人当りについて非常に片寄り過ぎるといつたようなことは、できるだけ是正して行くように、従来から指導させております。銀行の検査におきましてもこういう方向で指導させております。これがためにはいろいろ法律的な規制を加えてはどうかという議論もございます。現に衆議院から現在そういつた法案の提出も実はあるわけでございます。私どもこれらのことについてはいろいろ研究いたしておりますが、現在の段階ではまだ法律的な規制を行う段階ではないと考えております。  併しながらそういつた大口に偏椅するということは、できるだけこれを是正するように従来から行政上の指導をいたしておりますので、先般も数カ月前にもそういつたことについて私からはつきり通達いたしたようなわけでございます。ただここで御注意と申しますか、御了解を頂きたい点が実は一つありますが、今お話もありましたように、大口偏筒に対しては、アメリカ等もそうでありますが、各銀行法に規制せられております。それが日本の場合は直ちにそれがそういつた問題が適用できないという点をお含み願いたいと思います。勿論これは程度問題でもありますが、程度が非常に大きく違つておる。第一は、先ほど来、議論がありましたように、日本における資本の蓄積が非常に少いということ、殊にこれは企業の面における資本蓄積が少いということ、企業のいわゆるオーバー・ボロウイングということが盛んに言われておる。そういつた点において、私どもは、これを外国等でやつておりますような極端な措置ということが一体日本にできるかできないかということは、こういう経済の実情、善し悪しは別でございますが、その実情を考えた上でなければいけない、かように考えております。そういう点一つ考えておるわけでございます。  それからもう一つは、今の中小企業に対する金融の問題として、今後金融機関特に銀行等がどういう態度で臨まなければならないかという問題でございますが、この点につきましても従来から具体的にいろいろと研究させおりますが、現在銀行協会の中に中小企業のための専門の委員会を作つて、今度は一つ具体的な方途を打出そうということで今鋭意検討を加えておるわけでございます。まあこういつたことを合せております。並行して私は進めて行くことによつて、今御指摘のような点においても逐次是正をして行かなければならないと考えております。
  55. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは大分時間も経過しておりますけれども、暑い折でございますから、本日の議題のもう一点を済ませてしまいたいと存じます。ついては財政投融資の問題並びに証券市場の実情につきまして阪田理財局長から説明を求めます。
  56. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほど銀行局長から御説明いたしましたうち財政資金国庫収支の問題、これにつきましては御説明をいたさなかつたそうでありますが、先ずそれにつきまして簡単に申上げておきたいと思いますが、銀行局のほうからお配りいたしました資料の第一表に財政資金収支という表がございます。まあこれは政府国庫の収支が全体として民間に対してどれだけ払いとなるか、或いは引揚げとなるか、こういう表でございますが、この表にございますように、一番左の欄を御覧願いますと、これが全体の政府のいろいろと各特別会計資金の運用の関係或いは指定預金、為替の関係、全部含めました国庫の収支が民間に対してどうなつておるかという数字が出ておるわけでございますが、この一番左の数字を御覧願いますと、昨年の四月からの数字が出ておるのでありますが、ずつとございまして、二十八年度年度計、この左のほうの下から六行目ですか、ここに大体九百五十一億という数字が出ておるわけであります。大体二十八年度は九百五十一億だけ民間から引揚げという数字に、結果においてなつたわけであります。それで、この九百五十一億の内訳を、ずつとこの横のほうを御覧願いますと、指定預金引揚げが四百八十五億、これから三つ目のところであります。年度計のずつと横のほうであります。指定預金引揚げは四百八十五億となります。それから為替の関係、これは外貨関係では外貨を喪失した反面、円の関係では金の引揚げになりますので、ここでは千二百五十八億と、いうような引揚げなつておるわけであります。これに対しまして、この二つを除いた特別会計、一般会計の収支の関係では、七百四十二億の支払い超過、民間に対する散布になつておるわけであります。去年の全体の態勢としてはこういうようなことでありまして、一般会計、特別会計といたしましては七百四十二億の散布でありましたが、為替の関係指定預金引揚げ関係によりまして、全体として九百五十一億の引揚げということで終つたわけであります。  それで、今年度国庫収支、これが金融とか通貨とかに非常に又大きな影響を持つて来るわけでありますが、本年度国庫収支の見込みといたしましては、実は今年の予算が国会に提案になりまするときに、その予算或いはそれに関連する投資の計画、いろいろの資金計画等から国庫収支の見込みをごの国会にも御説明申上げたわけでありますが、それにつきましては、大体いろいろ本年度の予算におきましては、予算そのものは収支均衡いたしておるわけでありますが、いろいろ前年度の剰余金を使用いたします関係とか、食糧証券が増加いたしまする関係その他で、予算面から言いますと六百十三億の散布超過の要因がある。併し他方、国際収支の関係、為替の関係で約三百二十四億の引揚げの要因がある。更に別口外貨貸付制度を廃止いたしましたので、その関係が、これがやはり引揚げの要因に約三百億程度ある。差引きまして二十九年度としては十一億の引揚げ数字、大体まあ収支とんとんになるくらいの見込みであるという御説明を申上げておつたわけであります。  併しこれは御承知のように予算或いは予算に伴う投融資計画から形式的に見ました数字でありまして、現実の国庫収支というものは、これは予算に盛られましたものでも翌年度に繰越されて来年の三月までに実施されないものもございます。  それから、一方から言いますと、前年度から越し来たいろいろの支出とか収入とかがございます。なお国際収支の関係、いろいろの資金増加関係、その他予算或いは見込みと相当違つて来る面がございますので、現実の国庫収支はこれとはかなり違つたものとなつて来るわけであります。それで、二十九年度に入りましてからの国庫の収支でありますが、先ほどの表にございまするように、四月が五百六十九億円、五月に五十六億の散布超過でありまして、六月は二百九十五億の引揚げなつておりますが、第一四半期といたしましては三百三十億の散布超過になつておる。昨年の二百二十七億の引揚げと、昨年の第一四半期の二百二十七億の引揚げという数字が上のほうにございますが、これに比べまして逆に散布超過になつておる。なお七月になりましても、二十八億の引揚げということで、引揚げ額が割合に少いわけであります。  さような状況なつておりますが、その内容がどういう関係でこういうことになつておるかと申しますと、先ほど申上げましたように、今年の予算だけから見ました状況に比べまして、非常に違つて参りましたのは、やはり前年度からの繰越金の関係であります。最初に申上げましたように、今年の予算にいたしましても、来年度に繰越されて本年度は支出されないものがありますが、二十八年度から繰越して来ました支出が本年度に四月になつてから出るというものが相当ございますので、ぞの影響がこの第一四半期等にはかなり顕著に現われておると思います。大体二十八年の歳出で今年の四月になりましてから出納整理期間中に支出されましたものが本年度は八百四十一億ございます。それからなお支出未済で二十九年度に繰越されました額が千二百八億、これはすでに支出されたものもありますが、これから本年度内に支出するものもあるわけでありますが、それだけありまして、合せまして二千億程度だけ前年度からの歳出が越しておるわけでありますが、そういうものが本年度に入つてから出ておる。それで、この二十九年度の歳出がそれでは来年度にどれだけ繰越されるかという問題が関連するわけでありまして、二千億程度来年に繰越せば本年度としてはとんとんになります見込になるわけでありますが、いろいろの情勢、殊に今日までの支出の状況等を見てみますと、御承知のように、昨年は、当初は年度初めは暫定予算でずつと泳いで参りましたので、支出等が余り進捗しておりませんでした。従つて支出未済が多く出たという事情があつたと思いますが、本年度は最初から予算が成立しておりまして、予算総額に対する支出の進捗状況も昨年よりも進んでおるわけであります。いろいろの情勢から見まして、こういうような関係で、本年度はかなり散超要素がこの面から多くなつて来るのではないかというふうに考えております。  まあ大きなところそういうところでありますが、その他いろいろの点を考えますると、この八月の引揚げも、実は当初は、いつもの例によりますれば、かなり引揚げがあるように考えておりましたが、かなり減少するのではないか。殊に御承知のように地方財政関係等も考えまして、地方財政交付金約百四十億の交付税、百四十億の九月に支給するものを八月に繰上げ支給するということにいたしましたので、八月の、これは散布超ではありませんが、引揚げ額がかなり減るのではないかと考えられます。九月、十月以降になりますと、これは御承知の食糧関係支出がずつと出て参りまするので、かなり散布超過になる。第四・四半期は、これはまあ引揚げになるわけでありますが、その引揚げがどの程度かということが大きな問題になつて来るわけであります。全体としまして、これは、これから先のこともありますので、勿論はつきりしたことは申上げかねるわけでありますが、今年は非常に緊縮した予算を組んだわけでありますが、全体としての収支はいろいろそういつたような昨年からの事例その他の要素がございまして、全体としては予算そのものから見ましたよりも民間に対する散布超過の要素がかなり殖えるのではないか。従いまして何と言いますか、金融引締めと言いますか、そういつたような要素で、この関係を調節して行くという必要も相当依然としてあるのではないかというふうに現状のところは考えておるわけであります。  その次に、先ほど話がございました財政投融資関係ちよつと申上げておきたいと思いますが、財政投融資も、御承知のように当初予算が提案されましたときの計画といたしまして、全体といたしまして昨年度よりも非常に引締めた枠になつておりますが、二千八百五億、これはまあ地方債、或いは国鉄電々等の公募債を含めましたものでありますが、二千八百五億という財政投融資の枠を考えておつたわけであります。一般会計で二百億、資金運用部で千五百八十億、簡易保険で四百六十億、産業投資特別会計で百七十五億、公募債が三百九十億、こういうような関係であつたのであります。この関係につきまして、先般、一般会計予算等につきましても実行予算の編成をいたしまして、約二百億の節約をいたしましたときに、財政投融資計画ございますが、六月、七月は幸いに成績がいいほうでありまして、大体この分ならば年間九百億の増加は十分であろうというふうに考えられております。ただ資金運用部の財源といたしましては、そのほかにいろいろ特別会計の預金等を織込んでおるわけでありますが、この関係におきまして大分目標を下廻るというようなものが出て参りました。例えば厚生年金保険の預金、これは三百億の増加を見込んでおつたわけでありますが、法律の成立が遅れまして、保険金の増額、保険料の引上げ等が時期がずれました関係上、これはどうも三百億が少し割れるのじやないかというようなことになつております。それから失業保険につきましては、これは当初は失業保険特別会計の預金の増を見ておつたわけでありますが、御承知のような状態でありまして保険金の給付も相当多い。従いまして資金運用部に預けておつた金を引出して失業保険金の給付に当てなければならない。こういう情勢になりますために、これは相当、当初考えておりましたよりも減少になり、只今の見込みでは二十億殖えると見ておつたものが、逆に三十五億引出される。差引きますと五十五億円も見込みと違つて来るというのが出て参つております。そのほか糸価安定資金特別会計、これは生糸の価格操作をやるための特別措置でございますが、これなんかも生糸の価格が御承知のような状態でありますために、その価格維持のために買出動をしなければならないかというような情勢も起り得るわけであります。そうなりますと、この糸価安定特別会計の預金というのは現在三十億ございますわけでありますが、これが引出される心配がある。まあいろいろそういう資金運用部の資金がどうも見込み通り殖えないのではないかというような予想もございます。それから一方、公募債を、地方債では四百億、国有鉄道、電々公社の計画では約九十億というものを見込んでおつたのでありますが、これは年度初め以来、起債の状況が相当つまつて来まして、社債、地方債いずれも起債額が昨年に比べて非常に減つておるような状態で当初見込んでおりました公募が今の市場の情勢ではむずかしいのではないかという関係もございまして、かたがた考え合せまして、大体具体的にどの程度抑えるというところまでは、はつきり確定的には決まらなかつたわけでありますが、大体一般会計、特別会計、全体を通じまして、財政投融資で一割くらいを下げたところで、当初計画よりも一割くらい削つたところで、財政投融資というものを実行上考えて実行して行く。なお今後中小企業金融公庫であるとか、住宅公庫でありますとか国民金融公庫、こういつたものについては、一割を特に五%といたしまして、その程度削減したところで実行計画を考えて行きたいということで、まあ一般会計の実行予算の編成のときに、同時に財政投融資のことにつきましてもそういうような実行一計画を考えて、それぞれ関係のほうとも打合せて参りましたわけであります。なおそれにつきまして、その後の投融資計画の原資の状況、或いは実行状況等を申しますと、資金運用部資金関係は、先ほど申上げましたようなことでありますが、かなり資金増加するというような見込もございます。これもはつきりまだ確定的なことは申上げられないわけであります。なお減少するというような要素もございまして、必ずしも先程申上げました投融資全体として一〇%、公庫において五%これを全部この通り削減しなくとも、中には当初計画通り実行し得るものもあるのじやないか、こういうような程度段階に現在なつております。いろいろと資金増加状況或いは公募債の状況等も考え合せまして、一つ着実に実行を図つて参りたいというふうに考えておるような次第でございます。財政投融資関係はそういうようなことでありまして、現在のところは、先般きめました実行予算に関連する投融資の削減計画というような基礎に立つて実行をやつておりますが、更に資金状況とを見合せまして、今後の実行計画を立てて参りたいと考えておるような次第であります。  それから最後に証券市場関係の問題でございますが、これは別途資料をお配りいたしましたので、それにつきまして御覧願いたいと思いますが、まあ御承知のように証券市場は最近非常に不振の状態なつておるわけでございます。その第一表で、一番最初の全国の取引所の売買高、この表で御覧願いますと、おわかりになりますが、代表的な東京の市場、一番左の東京市場の状況を見ましても、毎日平均売買高、株数というものは、非常に減つておるわけであります。昨年の一月、二月あたり、一日平均一千万株というような大きな取引がありました時期に比べまして、最近は一番下の六月のところて御覧願いましても、三百万株程度の取引になつており、非常に減つて来ておるわけであります。二十八年中の一日平均の東京市場の取引高が六百九十一万、ざつと七百万株になつておりますが、二十九年になりましてからの平均が約四百万株、四割方減つて来ておるわけであります。取引数が減つて来ておるということです。それから取引株数だけでなく、株価のほうでも下つて来ておるわけでありますが、次の表を御覧になりますと、まあダウ式株価平均、このほうで申しますと、昨年二月に四百三十三円、これが最高でありますが、昨年の十月、四百三十八円、これ以来ずつと下つて参りまして、これは六月まで出ておりますが、八月になりましてからも、今日までの平均が大体三百三十四円ということでありまして、これもまあ昨年の平均に比較しまして、株価としても二、三割は下つておる、こういうような状態なつておる。こういつたように証券市場がさびれておりまして、株価も低落しておる。こういう状況が反映いたしまして、業者の業態、内容というものもだんだんと悪くなつて参つておるわけでございます。これはこういう全体の市場の状況ですから、全体として証券業者の採算状況、営業収支の状況が悪くなることは、まあ当然でありますが、いろいろと殊に昨年の三月の株価の急落、或いはヘタ株取引というような問題もございましたが、そういうような事件に関連いたしましていろいろと痛手を受けた。そういうようなのは、特殊な欠陥がある業者、或いは従来から取引のやり方、商売のやり方が堅実でなかつた、投機的な不健全な方向に走つてつた、こういうような業者につきましては、最近やはりだんだんとそれがこういう状況になりまして、表面化して破綻を来たすというものが出て参つたわけであります。  この第三番目の表で、いろいろ証券業者につきまして検査いたし、いろいろ審問いたしまして処分いたしておる関係の表でございすが、ここにありまするように二十九年度になりましてから、この四番目の欄でありますが、登録取消をしておるものが毎月三件ずつ、七月まで十二件というような数に上つておりまして、二十八年度、前年一年間二十五件というものに比べまして、かなり多くなつていることは窺われるのであります。その他、営業停止、或いは禁止命令その他を合せまして、昨年の全体がここにありますように三十一件を処分したのでありますが、今年は全体で四カ月間に二十二件を処分いたしております。いろいろと業態悪化を反映しまして、まあ私どもとしては、できるだけ注意をいたして、検査怠らず、いろいろ問題がありまするものはできるだけ早く適切に処分いたしまして、いろいろと客に影響を及ぼす、或いは一般他の業者に著しく大きな影響を起す、波及するようなことのないようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。残存業者数の数字が最後の欄にございますが、まあだんだんと減つて来ておりますが、併しここに八百十五というような多数のものがありましても、不健全な、堅実でない業者もかなりこの中にあることは事実でございます。  それから投資信託の表が次にございますが、これはあとにしまして、最後に証券業者の法定資本の額及び会員信認金の額がございます。これは表にございますが、これにつきましてちよつと簡単に申上げておきたいと思います。今のような証券業者の状況でございますが、何と申しましても今の証券業者の資本構成が弱体である。従いまして最近のような不況に遭いますと、直ちに破綻を暴露するというようなことになりますので、自己資本の充実ということが非常に、やはり他の業態も同様でありますが、特にこういう大勢のお客を相手にする業態といたしましては、堅急な仕事になるわけでございます。現在、証券業者の自己資本、他人資本の割合は、極端に他人資本が多いのでありまして、自己資本に対して他人資本が七、八倍というような状態に、平均してなつていると思います。そういうような状況をできるだけ是正して行かなければならない。そのためには、現在証券業者の持つていなければならない法定の最低資本金というものがございますが、これは昭和二十五年にきまつたものでありまして、この表にございまするのは改正前の数字でありますが、東京の会員業者でありますれば一千万円、名古屋でございますれば五百万円といつたような、こういう数子でございましたわけでありますが、これを今回七月一日から約三倍にそれてれ引上げることにいたしました。これはまあいろいろ現在の証券業者の業務の状況からいいまして、直ちにこれを実現せよといいましても、なかなかむずかしい点もありますので、三年間の猶予期限がついております。三年間にここまで最低持つて行く、改正後のこの数字まで、三年間に待つて行くということでございます。なお新規に登録して、これから業務を始めようというものは、これは三年を待たずに、今日から新らしいこの引上げたほうの限度以上の資本金を持たなければ、営業かできないわけであります。そういうふうなことにいたしました。  それから会員信認金のほうは、多少同じような見地からいたしましたわけでありますが、今まで証券業者が取引所に納めておりまする信認金の額が、ここにあります改正前の数字のように、東京、大阪でも十万円といつたよりな極めて小額であつたわけでありますが、これもやはり取引者保護のためにもつと相当の額に殖やすほうが、この際適切であろうということで、大体まあ貧本金の一割程度の額をモットーにいたしまして、それぞれ東京、大阪三百万円、名古屋百五十万円といつたように伸ばしました。これもそれぞれ取引所か定款変更いたしまして、こういう措置をいたすわけでありますが、大体直ちに三百万円のうち百万円だけは増加いたしまして、あと三年間に残りの二百万円を増加する、こういうような猶予期間をつけて、この信認金の額も殖やすように指導いたしているわけであります。  それから最後に証券投資信託の問題でありますが、その前の表を御覧願いたいのでありますが、証券投資信託も、これは表にございますように、二十六年の八月から発足いたしました制度でありますが、非常に急速にこれが普及いたしまして、この当初設定の元本、この累計額というところで御覧願いますように、今日までに、まあ最近の数字で行きますと、設定元本の累計は、千二百億を超過いたしているというような大きなものになつております。この数字は五月では千百八十四億となつておりますが、今日までの累計では千二百億以上になつております。それで、残存元本、右から二行目の数字でありますが、これもまあ七百九十億というようなこれも非常に大きな数字なつております。それで、これだけ大きな額になりますると、その運用或いはこれからの持つて行き方等につきましても、よほど慎重に考えなければならないわけでありますが、まあ御承知のように、株式全体が非常に不振である、株価等も低落いたしているというようなことから、投資信託は、今日まで設定いたしたものは、大体当初は一割二分五厘その後一割というような配当をいたして、満期の償還におきましても、当初の払込額を上廻る、或いは倍額以上にも達するような償還ができるというようなことで、非常に好成績であつたわけですが、昨今はやはりなかなかこの運用におきましてもむずかしい状態になつて参つております。それで実は昨年の暮に、いろいろと投資信託のやり方につきましても、業者とも話しまして、やり方を変えましたわけでありまして、特に投資信託の中間の配当の問題につきましては、従来一割を配当いたしておりましたわけでありますが、その内容を見てみますと、投資信託によつて保有しておりまする株券、或いは預金、社債いろいろあります。株券が大部分でありますが、そういうものの配当収入とか、利子収入、こういうもので配当しております分がざつと半分くらいでありまして、その他売買益によりまして一割の配当資金を捻出しているというような状態なつております。株界がこのような状況に向いて参りました場合に、売買益というものを無理に出して一割の配当を維持するというようなやり方は非常に不健全なやり方ではないかということで、実は配当のやり方を変えまして、投資信託の配当に当てる資金は、配当収入とか、利子収入、これはそのまま投資信託の中間配当に当てられますが、売却益は、これはまあ大体評価損とか売却損とか一方にあるわけでありまするから、そういうものを埋めて、なおその上に将来の危険のために残りの三割を積立てた上でなければ投資信託の配当金に当てられない。要するにいろいろ損がある、埋めなければならないものがあるという場合には、売却益があつたからといつて直ちにそれを投資信託の配当に当てることができないというふうに制度を変えたわけであります。それで、その新らしい制度による配当が実はこの八月に第一回の分が来るわけであります。それによりますると、やはりいろいろとそういうふうな売買益自体も余り上つておりませんし、売買益の配当をするということも今言つたような基準から困難な事態になつておりまするので、大体八月期の配当は、いろいろ各社、或いは各投資信託のユニットによつて違いますが、大体平均して六分程度の配当になるんじやないかというふうに、先ほど申上げましたような新方針で行くとなるわけでありますが、まあ大体そういうような状況なつておりましたわけでありまして、従来の一割というようなものに対しましてかなり低下して来るわけであります。ただ最近業者のほうでいろいろと協議いたしました結果、今まで投資信託の手数料、証券会社のほう、信託銀行のほう、両方合せまして千分の二十五の手数料をとつてつたわけでありますが、これを千分の二十に減らすということにいたしまして、その分だけは配当に廻わせることになりましたので、大体その分が殖えますので、大体まあこれはユニットによつて、実績によりまして配当するわけでありますから、違つて来るわけでありますが、大体七分程度の配当はできるんじやないか、こういつたような状態なつているわけであります。  なお元本の償還の問題でございますが、これは従来のものは二年、現在新たに募集しておりますものは三年という期限でありますが、現在満期になつて償還いたしておりまするものは大体当初の設定額の払込額の五千円を上廻わるような償還ができておりますが、だんだんと先になつて参りますると、高値のときに設定しましたユこツトにつきましては、償還期のときに今のような株価では五千円という元本が確保できない。五千円を割る償還をせざるを得ないというような心配もございますわけであります。これはまあ現在の問題でありませんので、先の、この調子では先にそういうことも起り得るのではないか、こういう問題でございますが、その辺のところも本当に慎重に考えまして、これから一つ対策を立てて行きたいと、こう考えているようなわけであります。なお投資信託はそういうような状況で現在まで非常に伸びて参つたわけでありますが、株界の不況等も反映いたしまして、最近では設定額が非常に落ちて来ております。昨年あたりは毎月五十億程度の新規の募集をいたしておつたわけでありますが、本年度に入りましてからは月平均二十二億程度、昨年の約半分くらいのスピードで募集がされているというような状況なつておりまして、まあこれは最近の全体の市場の状況から言いましても、止むを得ない点であろうと思いますが、現状はまあそういうふうなことになつておるわけでございます。  大体この表につきまして、最近の証券市場状況を御説明申上げました。なお又御質問等がございますればお答え申上げます。
  57. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では御質問ございませんか。
  58. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 時間がないようでありますから簡単にまとめてお伺いいたしたいと思いますが、資金運用部資金の運用方針についてお伺いいたしたいと思います。  第一点は、先ほどもお話になりましたように、資金運用部資金の額も大体殖える、殊に郵便貯金は昨年度だけでも千二百九十億も殖えたようでありまして、残高だけでも三千三百五十億とかいうような状態でありますが、ところがこれによつて金融債を引受ける場合の金利が市中金融債を引受けたのと同じ金利で行つておるのは、これはどうも非常に政府としては因業だという感じがいたします。こういう点がやはり貸出金利の、先ほどから問題になつております貸出金利を高からしめる非常に原因をなしておると思うのであります。こういう点について今後どういうお考えであるか、これが第一点。  それから第二点は、今言うように資金運用部の資金残高としては少くないのでありますが、足らん足らんと言われるのでありますけれども金融債の引受額に二百億予定せられておるようでありますが、これがすでに少いという問題がありますが、その二百億の内訳を見ると、興銀債が八十三億、長期信用銀行債が七十一億、合計百五十四億でありまして、二百億のかれこれ八割というものが殆んど大企業金融機関のほうへ流れる。ところが中小企業専門の金融機関のほうは、商工中金債年額僅かの二十四億、二百億の一割二分しか引受けていない。大企業関係のほうへは八割から行つて、中小企業関係のほうへは一割二分、ここに根本的に中小企業金融のつまつて来る原因が、如実に、これは一例ですけれども示されておるのであります。このアンバランスをどういうふうに是正されるか。資金運用部資金の本来の性質から行つてどういうふうにお考えか。これは大体中小のほうに多く行つて然るべきだ。大企業のほうが少くて然るべきが資金の性質じやないか。ところが逆になつて大企業のほうへは八割ぐらい行く、ところが中小のほうへは僅かに一割二分、こういう大きなアンバランスに対して大蔵当局はどういう考えを持つておるか、その点を第二点として伺いたい。  それから第三点は、資金運用部資金は昔のこれは預金資金でありまして、昔はこれは低利資金貸付として中小企業の専門金融機関などによく貸付ができるようになつている。ところが現在はこれを法律で禁止しておるのですが、これは占領中はGHQにいろいろ言われた関係もあるかと思いますが、もう今日の状態においては昔の式になおされたらいい。そういう三点についてお伺いいたしたいと思います。
  59. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 最初の金融債の金利の点についてお尋ねでございますが、この金融債の金利の点につきましては、よく御承知のことでありますけれども、まあ金融債に対する運用というものが、法律の建前上、市中に募集される金融債の一部、六割以内というような額を資金運用部でも引受ける、こういうような形でできておるわけでありまして、市中で募集される金融債と違つた条件をつけるということは、現状におきましては法律上困難なわけであります。根本的な問題といたしまして、いろいろこういつた商工組合中央金庫でありまするとか、或いは興銀、長銀等でも同様であろうと思いますが、そういうものに対しまして資金運用部資金を融資いたしまする場合に、特殊な用途と言いますか、貸出先を指定してそういうものには低利で貸出すべきであるといつたような考え方をとりまする場合に、それにあてる資金も、これは特別な資金として低利な資金を出さなければならない。こういうような考え方をとることは、これは考え得ると思います。まあ以前の資金運用部資金の運用の仕方としてはそういう考え方をとつてつたわけでありますが、とにかく現状におきましてはそういつたようなことで、市中金融債はそれぞれの金庫、銀行等が募集される、その一部を資金運用部でも引受けると、こういう建前でできておりますので、現行法上の建前ではこれはまあどうともいたしかねるわけであります。なお資金のコストの関係等からいたしましても、これは金融債のほうは資金運用部につきましては非常に利廻りのいい運用になるわけでありますが、国に対する或いは地方債或いはいろいろ公庫に対する融資、それぞれ低い金利がついておりまして、資金運用部のコストとしましては、郵便貯金の利子といつたもののほかに、いろいろ郵便貯金の事務費その他も必要となりますので、必ずしも現在運用いたしておりまして非常にまあ収支に余裕があるという状態ではないわけであります。そういうような点も一応問題になるわけでありますが、いずれにいたしましても、金融債の金利の問題は、先ほど申上げました現在の金融債を引受けているその建前が根本的に問題でありますので、まあこれがこれでいいのか或いはもつと新らしい行き方を考えなければならないかどうか。これはまあ非常に問題があることでありまして、私ども十分これは検討してみなければならない問題だと思つてはおりますが、現状におきましてはさようなことであるということは、これは一つ承知のこととは思いますが御了承を願いたいと思います。  それから金融債の運用の内訳の問題でありますが、これは金融債の毎年の運用額も当初三百億程度毎年やつておりましたわけでありますが、だんだんとその他の公庫に対する融資等も出て参りまして、金融債の金額も実は本年度は百九十億というような額に大分圧縮されて参つておるわけであります。その中を更にこれは興銀、長期信用銀行、農林中央金庫、商工中央金庫、こういつたようなものに配分されるわけでありますが、従来のいろいろの各金庫、銀行貸出状況資金の需要の状況、従来の実績もありまするし、本年度の見通しもございまするが、そういうものも勘案いたしまして配分額等をきめましたわけであります。大体商工組合中央金庫につきましては毎月二億の引受けをいたしております。年間その調子で行きますと二十四億程度、農林中央金庫は毎月一億で年間それで行きますと十二億程度になるわけでありますが、その程度の運用を実行いたしているわけであります。資金運用部資金の運用といたしましては、これは豊田さんよく御承知のように、金融債というような関係ばかりでなくて、中小企業金融公庫の関係でありまするとか或いはこれはまあ直接直ちに中小企業金融とは言いかねるかも知れませんが、国民金融公庫、いろいろそういつたような関係にも別の面から金融債という形でなく出しているのであります。資金運用部の資金の性質といたしましては、なんと言いましても郵便貯金等が主体をなしておりまして、広く国民全般から集まつた資金である、こういつたような立場から、やはりこれはできるだけ広い方面に還元するように運用して参らなければならない。こういうような点はこれは確かに当然そうあるべきところだというふうに考えますわけでありますが、資金運用部の資金の要望するほうの立場、需要する方面から行きますと、やはりこれは中小企業、勿論できるだけこの方面には金を廻したいと考えているのでありますが、まあ電源開発とかいろいろそういつたような国全体の立場から見ますと緊急に是非資金を投資して行きたい面或いは地方債等、その地方のためにどうしても金を出して行きたい、いろいろそういつたようなものがございますので、なかなか思つた通り中小企業関係、これに十分な資金を配つて行くということはむずかしい状況であります。ただ御承知のように、本年度といたしましても、実は財政投融資全体といたしましてはかなり厳しく圧縮いたしまして、大体昨年の枠に比べまして七百億程度縮めたと思いますが、その中でも併し中小企業公庫とか、国民金融公庫等につきましては、昨年よりも貸出資金増加し得るように資金増加を当初の計画では考えておるわけでありまして、その辺のところもできるだけのことはやつているのだということを一つ了承願いたいというふうに考えます次第でございます。  それから最後にお尋ねになりました資金運用部が従来の、戦前やつておりましたような形の直接貸付というようなことは考慮しないかというお話でございますが、これはまあ戦前いろいろ直接貸付をやつておりましたものでありますが、或いは特殊の金融機関を通じまして用途を指定して転貸の方法によつて貸しておつたというような方法もございますし、いろいろあつたわけでありますが、とにかく現在の建前は、これは御指摘のように、占領中にいろいろと向うの指示もありましてできた制度でありますが、現在の制度の建前からいいますと、かなり昔のそういつたような政府の投融資をやるにつきましての意図をはつきり条件に示したような融資を、而も直接やるというような方法は、現在の資金運用部の建前ではやりにくくなつておる。運用の方法が非常に限定されておるということは事実でございます。これをもう少しやはり実情に即して拡げて行つたほうがいいじやないかというような点につきましては、確かにお説のような点もございまして、これも私どもいろいろと考えてはおるつもりであります。ただこれも今更申上げるまでもありませんが、特殊金融機関の組織等につきましても、勿論、戦前と非常に変つて来ております。それから資金運用部自体の機構、或いはその機能、或いは具体的に入つて参りますと、スタッフとかいう問題につきましても、なかなかまあ直ちにそういうことを取上げて適切に、公正に運用できるような組織に持つて行けるか。そういう法律的な能力の問題も離れまして、事実問題としてそういうような機構を運営し得るような状態が、資金運用部としても、その基幹となりまするいろいろの特殊金融機関等といたしましても整備しておるかといいますと、この辺もなかなかいろいろ問題があると思いますので、非常に重要な課題でありまするが、十分に検討いたしまして、勿論、資金運用部の資金運用というものの機能が一層適切に発揮されるというような方向を目指しまして、なおよく研究いたして行きたいというふうに考えております。
  60. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今御答弁によりますと、資金運用部の資金が国民全般から寄つている金だというようなお話がありましたけれども、これは大企業から入つている金というものはないのですね。ですから、ひとり中小企業とはいいませんが、中産階級、小産階級以下なんです。ですからそれぞれの資金用途というものは、もう資金が困つて来た時に還元的な行き方で根本的に考え直すということでないと、運用方針は実情に合わんと思うのです。それで、できるだけのことはするというお話であり、又自分らも考えておることだし尤もだというお話でありますから、これ以上今日は申しませんが、一つ根本的な考え直しを資金運用部資金の運用一方針についてはせられる、そういうお考えもあるようでありますから……、併しお考えがあるだけで実行してもらわんではしようがないのでありますから、次の国会あたりには資金運用部資金の運用方針の根本的な考え直しをやつたというところを一つ見せてもらうようにこの際特に希望しておきます。
  61. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本日は大分時間も経過いたしましたからこの程度にいたしまして、今日の説明質疑が残つておりますから明日続けて頂きたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後一時二十九分散会