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1954-06-01 第19回国会 参議院 水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月一日(火曜日)    午後一時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君   国務大臣    国 務 大 臣 安藤 正純君   政府委員    外務省条約局長 下田 武三君    外務省参事官  寺岡 洪平君    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    厚生省公衆衛生   局結核予防課長  軽部弥生一君    中央気象台長  和達 清夫君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (定点観測に関する件)  (ビキニ被爆事件に関する件)  (日豪間の真珠貝採取取極めに関す  る件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは水産委員会を開会いたします。  先ず最初に日程を少し変更いたしまして定点観測に関する件を議題に供します。太平洋定点観測業務復活に関する件ということでございますが、本件に関しまして中央気象台から和達台長が参つておりますので、一応その問題についての説明を伺いたいと思います。
  3. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測は御承知通り昨年十一月アメリカ援助打切りのために北方定点は中止いたし、南方の定点夏季六カ月のみこれを続行するごとにいたしました。定点観測我が国気象事業にとりまして非常に大切なものであります。特に海洋の船舶の保安に対しては重要な役目をいたすものでありますから、我が国といたしましてはこれを是非再開いたしたいと存じておる次第であります。ただその定点観測に用います船を新造いたさねばなりませんので、多額の経費を要しますために、今年度の予算には計上されませんでした定点観測を、来年度から是非実行いたしたいと存じまして、先ず第一着手として、北方定点を一年中観測をいたすようにいたすため、三隻の観測船を新造するという計画において来年度予算を請求いたしたいと中央気象台は存じております。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今お聞きの通りの事情でございまするが、この際この問題に関しまして御質疑のあられるかたは順次御発言を願いたいと思います。  大体この問題は先々月頃から各委員におかれましても十分御了解のようでございますので……。
  5. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これを続行して行くということになると、確かに六カ月であつたように思いますが、あと六カ月に問題があると思うのですが、どのくらいの経費がかかるのですか。
  6. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測は二カ所でございまして、北のほうは中止いたしておりまして、南のほうは夏季六カ月いたしております。今度第一着手としてやりたいのは北のほうのやめております分を一年中やりたい、それを第一順位にいたしたいと考えておる次第でございます。そして経費は一カ所の定点に一億八千万円ぐらいかかります。但し北のほうの海は非常に荒海でございますので、船を新造いたさねばなりません。それが一つの点を観測いたしますには三隻必要であります。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、それは一年中の経費が一億八千万円、それは何点でございますか、定点は……。
  8. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 一点を観測いたします。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 北のほうの一点ですか。
  10. 和達清夫

    説明員和達清夫君) さようでございます。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その船はどのくらいの船で、どのくらいの建造費がかかるのでございますか。
  12. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 二千トンでございまして、一隻六億円かかります。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、今から船を建造してかかるということになると、実際の定点観測にかかるのはいつ頃になりますか、仮に今からかかるとしてもですね。
  14. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 来年度予算通りますれば、すぐに着手いたしますと、来年の暮からが一番早いかと思います。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、それまではできないわけでございますね。
  16. 和達清夫

    説明員和達清夫君) さようでございます。
  17. 森崎隆

    委員長森崎隆君) お諮り申上げますが、本件は今秋山委員からの御質疑もありましたように、今から早く準備をいたしたいし、そのことについて政府に強く要望いたしたいという意味におきまして、本委員会決議案決議をいたしたいと思いまするが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは決議案を作りたいと思いまするが、手許に決議案を一応作つておりますので、これを原案といたしまして読上げまするから、修正等の御意見のあるかたは申出て頂きたいと思います。一応決議案を読上げます。    太平洋定点観測業務復活についての決議案   年々、突発的に本土を襲う台風の被害は誠に甚大にして、特に漁業上に受ける人的、物的の災厄は言語に絶するものあり、現に、去る五月初め北海道に来襲した暴風雨雪災害のごとき、未だ生々しき事実であるが、これらの災厄が、気象観測通報業務の強化によつて未然に防止し、或いは軽減し得べきことは自明の理なるも、未だ所期の目的を達するに至らざるは遺憾とするところである。  殊に、過般廃止された太平洋上の北方定点観測のごとき、気象災害の防止に重大な影響を及ぼすことが懸念されるところであり、政府は速かにこれが完全な復活を実現する具体的方策を樹立するよう要望する。   右決議する。  以上が案文でございまするが、御賛同頂けますればこの通り決定いたしたいと思います。
  19. 青山正一

    青山正一君 二十九年度の予算と書いてあるかな。
  20. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 予算ということになりますと、今年度は補正予算でも組みますか。
  21. 青山正一

    青山正一君 補正予算でも何でもいいからできるだけ早く……。運輸委員会では二十九年度というふうに書いてあるんだがね。
  22. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 予算という言葉を入れましよう、ここではその意味を以ちまして……。それでは青山委員の御意見がございまするので、最後のところを少し予算意味を含めまして、「政府は速かに予算等これが完全な復活を実現する具体的方策を樹立するよう要望する。」そのように訂正いたしたいと思いますが、それでよろしうございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 森崎隆

    委員長森崎隆君) では……。
  24. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 質問していいんですか。
  25. 森崎隆

    委員長森崎隆君) どうぞ、これに関連されまして……。
  26. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それで現在南のほうで定点観測をやつておられるそうですが、それは船は三艘でございますか、やはり……。
  27. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 現在は二隻でございます。
  28. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、その二隻はどれくらいの船で、そうしてそれは暫時の間でも転用はできないのでございますか。
  29. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 簡単に申しますが、この南のほうで観測いたしております船は千トンでございまして、旧日本海軍海防艦であります。これが老朽いたして参りまして北のほうの荒海では使用に堪えないために南点のみに使つておるのでございます。半年でございますから二隻で以て交替観測をいたしておりますが、一年中となりますと修理その他がございまするので三隻必要といたすわけでございます。
  30. 青山正一

    青山正一君 転用するというわけに行かないんですね。それから又ほかにチャ—タ—するような船はないんですか、どうですか。
  31. 和達清夫

    説明員和達清夫君) これは技術的の問題で検討を要しますが、夏場の時期には北の海も多少穏かでありまするから、或いは暫時はその船を使うこともできるかも知れません。
  32. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑はございませんか。  それでは只今決議案通り決定してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今決議案は原案通り決定いたしまして、政府運輸大蔵、官房並びに予算委員長、これは参議院の予算委員長でございますが、各方面に強く要望することにいたします。   —————————————
  34. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは次に移ります。  次はビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。只今安藤国務大臣並びに水産庁清井長官も見えておられます。後ほど外務省関係の方も来られますので、この問題につきましてその後の処置の経過等につきまして一応政府委員から御報告を頂きたいと思います。
  35. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その後の損害でありますが、直接損害及び間接損害を極めて詳細に且つ慎重に調査をしまして、それをそれぞれ実行に当つているわけであります。即ち直接損害アメリカに対しましては初めは第一段の要求をし、更に続いて起つたことに対しては追加要求という形でやる方針をとつてつたのでありますが、アメリカのほうでは一括してきめたい、どうかそうしてもらいたいということでありましたので、そういうわけになつて来たものですから、全部を一まとめにしまして今日までのところをアメリカ提出いたしてあります。但しこの提出した中には直接損害は勿論でありますが、間接損害というものも入つておるので、これはともかく全部提出をしてあるわけであります。    〔委員長退席理事秋山俊一郎着席〕 但しその間接損害というものは、今までこういう例もないことであり、又アメリカ慣例等においてそういうしきたりもあると、いろいろな関係によつて間接損害として計算したものを全部とり得るかどうかということは問題なんであります。直接損害は、これは言うまでもありませんから当然要求をし、とらなきやならない。間接損害はどこで限度を切つていいかということは、これは非常に微妙な問題であります。併し今提出をし、それに対しまして折衝中であります。  それから今度そのまぐろ値下りによりまして及ぼしたいろいろな影響すね。つまり生産地生産業者或いは卸とか仲買とかいつたようなものの受けた損害ですね、まぐろ値下り等から来たそういうようなこと、及び又消費地のものもそれに入ることにもなりますが、そういう点につきましては、これは行政措置金融をしてやる、こういう方針決定しまして、その行政措置のことについて今その段階に入りまして現に進行中であります。経過としてそれだけ申上げます。
  36. 青山正一

    青山正一君 今安藤国務大臣から後段のほうで、産地荷受人なり、産地仲買、或いは荷物を引取るほう消費地側の、つまり中央卸売市場荷受人、或いは仲買人に対する損害を行政的に金融措置を講じて今進行中であるというお言葉を承わつて、まあ非常に心強くしておるわけであります。問題は今まで三崎なら三崎、或いは焼津なら焼津の陸揚げされたものを無理に産地仲買人と申しますか、或いは出荷人と申しますか、これが無理に引取らされて、そうして送る。その結果非常な損害を受けておる。殊にその損害は莫大な数字に上つておる。それでたびたび三崎とか、或いは焼津、或いは塩釜あたり産地仲買人、或いは行商人そういつた面も非常に当委員会陳情に来ておるわけであります。この面に措置只今のお言葉によりますと進行中であるというふうにお答えがあつたわけでありますが、これなどは非常に焦眉の急である、殆んど立つて行けない者もある、倒産者も続出しておる、こういつた面に水産庁あたり具体的に相当の方法を講じておるかどうか、その点についていま少しく詳しく一つ説明を願いたいと思います。
  37. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 水産庁長官から細かいことをお答えしますがね、ちよつとその前に申上げておきます。今相談中じやないのですよ、そのことは。もうすでに決定しましてね、実行中なんですよ。話さえ向うときまりますれば、もうそれでいいことにして金融措置決定しておるのであります、行政的に。それで更に細目を長官から……。
  38. 青山正一

    青山正一君 今安藤国務大臣は全般的な関係について御説明願つたわけであります。いま少しく具体的に一つ水産庁長官からこの件について御説明を願いたい。
  39. 清井正

    政府委員清井正君) 只今安藤大臣からお答え申上げたことに尽きるのでありますが、実はお話通り消費地産地共生産者のみならず流通業者も非常な打撃を受けておるわけでありますけれども、たびたび私のほうへも御陳情があり、又我々も出張いたしましてつぶさに実情を調べて参つた次第であります。そこで全般的に損害賠償要求しておる点につきましては、これは政府としても対策をいたしておるわけでありますが、取りあえずの行政措置ということが目に見えて緊迫感が増して来たというように実は考えておるりであります。そこで私ども事務的にできるだけこの問題を解決したいと先般来大蔵事務当局と実はいろいろ折衝いたして来たのでありますが、そこ或る程度これは政府資金と申していいのでありますかどうですか、要する大蔵省方面の御斡旋によつて所要県を通ずるなり、或いはその他の方法を講じまして非常に緊急の措置を講じたいということで目下地元に対して具体的な働きかけをいたしておるのありまして、もう二、三日中に何とか目鼻がつくというふうに考えております。
  40. 青山正一

    青山正一君 三崎魚市場焼津魚市場、或いは塩釜、そういつた生産地魚市場ばかりでなく、東京、横浜、名古屋、京都、そういう中央市場内にある荷受人とか、或いは仲買人に対する直接損害と申しますか、こういつたものについて只今長官方針通りに進んでおりますかどうか、そ点について承わりたい。
  41. 清井正

    政府委員清井正君) 損害を受けましたと見られるものは両方一緒でありいす。ただ御承知通り金融関係の状況でありますので、そう厖大な金額を一遍に措置いたすということはなかなか行かないと思つておりますので、取りあえず困窮度が増しておると思われる点から逐次具体的に解決して行きたい、こういうような考え方で実は前々から業者のかたがたとも相談をいたしまして具体的に話をしようじやないかということでやつております。従いまして私どもといたしましては具体的に解決されやすいものから逐次解決して行き漸次それを広めて行く、こういう考え方でおります。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 今融資の問題でありますが、これは一種の損害に対しての当面対策融資ということになるわけなんですが、そこで過般五月の北海道における暴風被害等に対しましても、融資措置に出づる分につきましては同時にそれは損失補償制度がついておるから、現在のような非常に困難な金融情勢下においても多少不満足ながらでも進行が見られておると思うのでありますが、ところか只今ビキニ関係流通部面における資金融資ということになりますと、間接損害の部類に入る関係になるので、その他の見通しもつかざる限り金融機関金融ベ—スに乗らない金融になるので、ただそういうことを気休めに言つてつたつて事進行しないと思う。如何に政府進行するとか何とか言つたつて責任金融機関にあるのですから、回収堅実性が予測できないものに対する金融はこれはできません。又それを政府が強行するということはこれは恐らく不可能だと思います。そういうようなことを考えて来ると、間接損害に対する見通しはつきり立つか、然らずんば災害に対する融資の場合における損失補償のような制度が樹立されるということでなければ、これは実際問題として私は進行しない。ただ世間がやかましいからそういうことをやつているという程度に私は終ると思うのです。そのことについて私の申上げるようなことではない、それは確信があるのだということでありまするなれば、もう少し一つ具体的な内容を詳細にお示し頂きたいと思うのでございます。
  43. 青山正一

    青山正一君 それに関連しまして。只今森委員質問は私も実は質問いたしたいと、こういうふうに考えておつたわけなんですが、例えばこのビキニの問題も、或る面から言えばこれは自然発生というふうの問題と考えても僕はいいのじやないかと、こういうふうに考えております。事実今まで数回に亙つて水害とか、或いはその他の災害について、近くは北海道の問題につきましても非常な政府として骨を折られておる。利子補給、或いは損害補償、この間保証というやつは恐らくアメリカさんもそこまで十分に考えてくれないと私はそういうふうに考えております。そうすれば国家としてこれは当然そういつた水害とかその他の災害と同じようにみなされやしないかと、こういうふうに考えますので、いま少しく、森さんのおつしやつたようにそういう面について具体的な何か策を講じておられるかどうか、その点も関連して御質問申上げたいと思います。
  44. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その損害補償損失補償というまあ災害補償ということについて、まあ北海道のような又最近のこともありますが、これは少し趣きを異にしておりまして、例えば霜害だとか、或いは北海道のようなああいう漁獲に関する損害だとかいうようなものは的確につかめるのですがね。今度のこのまぐろ値下りビキニのことから来たその影響ということについて、ああいつたようなふうにすつかり的確につかめないという点もあるのです。それでありますから、直接損害についてはこれはそうして一方にはこれはアメリカが実験をしたということのアメリカ責任において生じていることだからアメリカに向つてその損害要求をやる。併しその直接損害ばかりじやない、それから起つた間接損害アメリカ要求をするべく提出をしてあるのですが、材料をすつかり書き出しまして。ただ、今お話のようにアメリカがこちらから提出した間接損害を全部そこで承認するかしないかは問題でありますが、政府としましては間接の中でもまあ直接と認定してもいいというような点は強硬に要求するつもりなんであります。そこでまあそういうことが出て解決をすればそう遠くはなく行くのじやないかと思う。アメリカのほうでも今議会が六月一ぱいでおしまいですから、議会へそれを恐らく提出するわけでありましよう。そうすると六月一ぱい、一月そこそこで何とかその話がきまつて来ますから、それに対する賠償実行ということもそう遠くはなかろうと思われる。それができますれば、おのずからそれからこちらのビキニ損害、直接及びそれから起つた直接的間接損害というところにもその賠償が廻つて行くという段取りになろうと思います。併しながらそれまでもまだ時間が多少かかると推測するので、内払いをやることにいたします。それはもう一日や二日のうちにやることになつております。それから今の業者に対する金融措置行政措置をやつてそれで金融をしてやるほうが適当であろうと、こう存じまして、その方針を以てやつておるのであります。その行政措置というのは政府のほうから金を県なら県を、まあそこのところが最後どうかまだ、ここ一日二日のうちにきまりましようが、県なら県を通じて政府のほうから金繰りをしてやつて、それによつてその損害を受けている、打撃を受けている業者のほうに廻してやると、こういう段取り方針をとつておる次第であります。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話内払いをすると、おつしやいましたのは、直接損害の査定が済みまして、アメリカ要求しておるが、アメリカ国会関係等で多少時間がかかるので一部を日本政府責任で始末をしようということでありまするのか、間接補償の分についても調査は済んだので、それも併せてアメリカ要求しておる、これも同時に又時間がかかるので、その部分にまで及んで内払いをしようとされておるのか、先ず最初にその点をお伺いいたします。
  46. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは先ほどから申上げておりまするように、こちらから提出しておりますから、これに対してアメリカ議会にかけてどういうふうにそれが議決になつて、どう向うから最後の結論が出るかもわからん、従つてこちらの内払いというのは直接とか間接とかいうのではなくて、アメリカ損害補償要求をしておるうちの或る部分内払いをしよう、こういう意味であります。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、先刻来質問をいたしておりまする疏通過程に立つておるいわゆる業者諸君が魚の値下りによつて非常に困難をしたとか、一般国民衛生上の見地から不安を感じて仕事といいまするか商売が非常に圧縮せられて生活にも困難をしておるというものまで引つくるめてその総括的なものに対して内払いをしてやる、こういうように了解をしてよろしうございますか。
  48. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それはアメリカ要求してあるもののうちのそこばくの内払いなんです。ですからアメリカのほうの決定がどうなるかということじやないとわからないのですよ、よく。併しながら実際的には福龍丸の買上げというものをこれは別にしまして、最も損害現実に多く、これはまあ議論のないといつたようなところに対する内払いと御承知を願いたい。
  49. 森八三一

    ○森八三一君 これはもう端的にお答えを頂けばいいので、安藤国務大臣非常に慎重にお答えを頂いておりまするが、私の質問は今の福龍丸の船体の問題は過日の委員会でよく承わりましたので、これはもう了承済みであります。取つて来た魚が廃棄処分にしなければならんというようなことになりまして、はつきりと損害がわかつた、それはそれとして今アメリカ要求しておるからまだ決定がないからそれに対してやつてやれ、これはわかります。わかりますがね、業者諸君折角買つた魚が販売をするときに行つて値下りを食つちまつて損したというものも、これは今度の事件に関連する間接損害と私は理解をしておる。それから商売そのものが非常に圧縮せられて行つたということも現実のこれは損害なんだ。これも間接損害と私は見ておます。そういうことまでについてもアメリカ要求されておると思うのですが、これはアメリカがどのくらいの程度まで取上げるかどうか、これは未定です。わからない。わからないが、まあまあ或る程度までやつてくれるであろうと、日本政府のお見込の決定何%というものを実際の損失として支払をする、こういうことでございますかどうか。こういうことはやつておらん。前段申上げましたように、取つて来た魚を廃棄処分にした。これはもうはつきりわかつた損害だからその一部を前払いしてやるという程度のものか、その範囲をお聞きをしておるのであります。
  50. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その何でよ。今のお話まぐろ棄てちやつたでしよう。廃棄をした、それは入つております、内払いの中に……。それだけのものです、今は。    〔理事秋山俊一郎退席委員長着席
  51. 森八三一

    ○森八三一君 そうしまするとはつきりしました。そこで問題は我々が政府に善処を求めておる多数の魚を取扱つておる諸君の困難を打開するということにその内払いというものは何らの役割を果さない、こういうことになるのです。その者には融資措置によつて当面を考えて行こうという御親切なお話で、我々もそういうことをかねがね要望して来ておつたのであります。ところが現在のその金融情勢においては、そういうような業者に対しては金融上の原則からいつて、これは恐らく融資は私は不可能であると思うのであります。これは救済事業ではありませんので、融資でありまするか、回収確実性のないところへたとえ政府資金といえども供給はできないはずと思うのであります。農林漁業金融公庫から出すとか、国民金融公庫から出すとおつしやいましても、損失が予見されるような、回収の不安を覚えるようなものに対しては、金融上の原則としてはどうしても出せない。殊に現在のような逼迫しておる情勢においてはなお更そういうことは強く首肯されると思うのであります。それをあえて押切つてやろうという政府の御熱意であるとするならば、例に申上げましたごとく災害地における融資に対して金利補給のことが行われた、重にその損失補償制度が設けられたというようなところまで踏込んで行かなければ、一片のジエスチユア—に終つてしまうと考えるのであります。そんな心配は要らん、それはもう大丈夫融資ができるのだということであるならば、具体的に一つお伺いをして見たいと、こういうことなんです。
  52. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の点は私どもにおきましても実は心配いたした点で、森さんの御意見はよくわかります。非常に損失をしたから融資をしろといつて金融ベ—スに乗らないことは御承知通りであります。そこで私どもそれであるが故に事務的に実は非常に苦心をいたしたのであります、全くこれはざつくばらんに申しまして。そこで大蔵省事務当局とも十分相談をしておりますのですが、その点が非常にネックになりまして、うまく行かなかつたのでありますが、いろいろ国務大臣にも御心配頂きまして、私も大蔵省事務当局といろいろ相談をした結果、或る程度の結論に達しましたので、それをさつき大臣が御説明申上げたのであります。それは御心配の点は先ず先般の御審議願いました北海道災害のように、或いはそれに対して損失補償なり或いは利子補給等の裏付けがなければ融資のできないということは御説の通りでありまして、そこにいろいろ問題もありますので、先ず取りあえず緊急にやるべき必要があるというようなことから行政措置をやつて行こう、そのためにはとにかく直接政府資金を流して、金融機関を動かそうといつてもなかなか実は問題がある、そこで私ども考えましたのは、当該県の県庁に入つてもらおうじやないか、県庁に一肌脱いでもらつて県に対して資金の斡旋といいますか、当該県の業者金融融資の割当をすることに、県が中に入つて参りますれば、御心配の損失補償の問題も県が中に入つて相当いろいろな手が打たれる、思う通りに行かなくともその間にいろいろと県において工夫をして頂けばいい、県自体の財政の問題もありますので、県と金融機関の話合いもありますし、或いは結局最後的には県が責任を負うようになるのでありますから、政府に対しては。そこでそういつたようないろいろな考慮を払つて参りますれば、県内の重要問題でございますから県においても然るべく考えてやつて頂けるだろうというようなことを考えまして、そこで大蔵省当局と私どものほうとも事務的な相談をいたしまして、当該県に中に入つてもらい、その処置を講ずるというような大筋で以て目下地元県とお話を実は先週からいたしておるのであります。県においてもいろいろ相談いたしまして目下進行いたしておるのでありまして、どのくらいのことになりまするか、まだ最終的な話合いになりませんので、しかとは申上げられませんが、とにかくそういうふうな工夫をいたしまして、御心配の点は極力そういうふうな方法によつてなくする方向に持つて行こうということで進んでおるということを、ざつくばらんに私どもの気持を申上げたわけでありますが、御了承願いたいと思います。
  53. 森八三一

    ○森八三一君 速記をとめて頂いて、もう少し肚を割つた話をして見たいと思うのです。速記を一つとめて頂きたいと思います。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  55. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。
  56. 青山正一

    青山正一君 折角厚生省のかたも来ておられますから、ただ一点お聞きしたいと思います。このまぐろの入つて来る基地の焼津にいたしましても、三崎にいたしましても、塩釜にいたしましても、これは日本漁業の集散地として、やはり下関とか函館とか、釧路、八戸あたりと匹敵するくらいの大きな基地なんです。そういう所で、この前にも質問いたしましたのですが、市場の中で検査をするということになりますと、三崎とか、或いは焼津とか、そういう所に入つて来た品物は全部、何かビキニ影響を受けたのじやないかというふうなことで、消費地へ入つて来る魚なども、三崎なり、或いは焼津を通過して来た魚という魚は、これはまぐろ以外のさばとかいわし、何品にかかわらず値段が安いように思われるわけです。そこで私は市場に陸揚げして検査するというようなことじやなしに、例えば三崎ならばどこかその附近の城ケ島で検査して、そうして検査の通つたものを全部三崎に陸揚げするとか、例えば焼津なら知多半島あたりにそういつたものを集めちやつて検査して、そうして焼津へ揚げるというようなことにしないことには、これは一時的な検査だ、一時的な検査だと言つてつても、もう早やこのビキニ損害を受けてから相当の日数もたつており、これが殆んど半永久的に僕は進んでいるのではないかと、こういうふうに考えておるわけですが、こういつた、どつか陸揚地に出す前に何か一時一カ所に集めて、検査するというふうな方法を講ずる途はないのですかどうですか、その点についてお聞きしたいと思うのです。
  57. 軽部弥生一

    説明員軽部弥生一君) 厚生省の前、昨日まで研究所課長をしておりましたが、昨日結核予防課長に代りまして、今日関係部長が別の会がございまして留守しておりますので御説明に上りました。只今の御質問でございますが、厚生省といたしましては、食品としての漁獲物の安全ということを協議いたして、只今検査を一応やつております。只今のようなお話の向きにつきましては、漁船そのものが帰つて参ります水揚げの関係もございますので、私どもの立場のみで事を決するわけには参りませんので、事の出発から只今おられます水産庁の長官とも御相談をいたしまして、そうして便宜方向を示して頂いておる。こういう経過でございますので、むしろそういつた検査の場所をどこかに変えさせるというふうな点につきましては水産庁長官のほうのお考えを頂きまして私どもそれに附随いたしまして衛生上の見地からの検査を担当いたしたいと、かように考えております。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題は、これは青山委員がこの前に厚生省のほうの部長さんですか、そういうことを質問されて例として三崎に揚げるのは城ケ島がどうかという具体的の例まで示してお話になつて、それはよく研究して見ますということで……これは速記録を御覧になればわかる……その研究がつかないのですか、まだ……。今の答弁では研究なされなかつたということになるのですが。
  59. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問でございますが、その点は私どもといたしましても打合会において厚生省のほうからも相談がございました。御質問の御趣旨はよく私了解をいたすのでありまして、むしろこれは生産業者の立場を非常に強調した意味において私どもといたしましても折角陸揚げされましたものが市場でこれが検査されますことによりましていろいろな弊害或いはそれによつて一般に及ぼす影響、いろいろな悪影響を考えましてできるならむしろそこに入る前に適当に措置する方法はないものかと実は考えておつたのでありますが、たまたま厚生省のほうからも只今の御質問お答えの御趣旨でわかつたと思うのでありますが、先般の打合会でも非常に議論が出たのでありますが、私どもも中に入りましていろいろと相談をいたしたのでありますが、方針としてはそのほうが確かにいいということは方向としては言えるのであります。ただ実際問題として実施することにつきましてはいろいろな観点から考えて行きませんとすぐに実行に移すということはいろいろ問題があるので、方向としてはいいがどういうふうにして実行に移すかということを小委員会でもう少し小範囲の者が集まつて相談しようじやないかということで今相談をいたしておるのであります。御了承願います。
  60. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではこの問題につきましては一応これで質疑を打切ります。安藤国務大臣に特に一つ今後の善処方を要望しておきます。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  61. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  それでは次に日濠間の真珠貝採取取極めに関する件を議題に供します。日濠間の暫定取極めが成立いたしましたようでございますので、この問題につきまして外務省からこれまでの結果の御報告を頂きたいと思います。
  62. 寺岡洪平

    政府委員(寺岡洪平君) 日濠間の真珠貝漁業に関する協定につきまして概略御説明いたします。  本件は昨年真珠貝の漁業を始めようといたしましたときに濠州側から出漁を待つてくれ、協定ができてから出漁するようにという話がございまして、結局昨年の三月から会議を始めまして、なかなか難航いたしましてその結果日本側は自主的に操業をするということになりまして、この交渉が打切られたわけでございます。そして本件のいわゆる大陸棚の漁につきましては国際司法裁判所にこれを提訴いたしまして裁判所の判決によつてこの間の紛争を解決しようということになつたのでございますが、濠州側といたしましてはその紛争の解決の前に一応暫定的に両国間の真珠貝の漁業についての話合いをつけてからにしなければ裁判所に提出することは困るということでございましたので、再び日本と濠州側の間に真珠貝の漁業についての暫定的な取極め、即ち裁判所の最終的な判決があるまでの真珠貝を取ることについての取極めをきめることになつたわけでございます。その趣旨は、要するに真珠貝を濫獲いたしますと取れなくなる。そこで真珠貝を保護しながら長い間最大の効果を挙げるということがその目的となつておるのでありまして、お手許にあると存じますが、その協定ができたのであります。その趣旨は大体日本側は昨年の実績だけの貝を取る。その貝を取るためには日本国の法律並びに濠州側のきめました真珠貝漁業法、両法に従つてこれをやる。そして私どもの努力いたしました点は濠州の法律に従うわけでございますが、そのライセンス、真珠貝漁業に従事する者に対する許可制度につきまして日本側が認めたものにつきましては濠州側も簡易的にこれを許可するという点と、それからどこで取るかというその地域を協定したという点、この二つが主なる内容でございます。大体において昨年の実績に従つてきめたわけでございます。従いまして大体裁判所に持つて行きますと相当時間がかかると存じますので、取りあえず昨年の実績というものを基礎にいたしまして、その間の漁業を可能ならしめるという点が趣旨でございます。
  63. 青山正一

    青山正一君 これはすでに今朝の新聞に全部発表になつておりますし、ラジオでも言うておるのでありますが、私どもは新聞に発表になる前に、勿論これはいろいろ国際的な問題であるわけだから、いろいろ秘密会とか何とかいうようなことも必要だろうと思うんですが、こういつた問題につきまして当委員会も三回なり或いは四回に亙つていろいろ検討いたしておるわけでありまするからして、あの新聞などの発表の前に、たとえ秘密会であろうとも一応はこの委員会のほうへこういうふうなことに決定するというような報告だけでも結構だろうと思うんですが、一つ何とか今後委員長のほうでも、当委員会は非常にこの問題については三回に亙つてこの委員会も開いておるわけですからして、その発表の前にたとえ秘密会でも結構だから、一つこれは報告すべきが僕は本当の道じやないか、こういうふうに考えておるわけですからして、今後そういうふうなことのないように一つ特に申入れて頂きたいと思います。
  64. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑ございませんですか……それじやほかに御質疑がないようですから、本件は一応外務省から御報告を承わつたままにしておきます。  速記をとめて下さい。    午後二時四十四分速記中止    —————・—————    午後二時五十四分速記開始
  65. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  本日はこれで散会いたします。    午後二時五十五分散会