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1954-05-27 第19回国会 参議院 水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十七日(木曜日)    午後二時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            森 八三一君            木下 源吾君            菊田 七平君   政府委員    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出水産業振興に関する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  前回に引続きまして輸出水産業振興に関する法律案議題に供します。只今から質疑を続行いたします。
  3. 青山正一

    青山正一君 水産当局にこの法案に関しまして御質問申上げたいと存じますが、実は参議院通産委員会から総意で以て当委員会へ或る種の申入があるわけであります。で、その申入書内容を読上げます。   貴委員会において御審議中の「輸出水産業振興に関する法律案」に基いて設立される輸出水産業組合事業活動水産物輸出に重大な関連があり、殊にそれは輸出組合活動と相待つて所期の目的を達し得る点に鑑み、輸出組合規定する輸出入取引法の例に倣い、農林大臣が、組合の設立、定款の変更若しくは調整規程認可をし、若しくは解散若しくは調整規程変更命令及び認可の取消の処分をし、又は調整規程に従しようとするときは、あらかじめ通商産業大臣の同意を受ける旨の、及び調整規程の廃止の届出を受理したときは、通商産業大臣にその旨を通知しなければならない旨の規定を設けるよう修正せられたい。   右通商産業委員会総意を以つて申入れる。  で、その修正案文内容は先ほど水産長官のお手許にお渡しいたしましたのでありますが、この点について農林水産庁当局はどういうふうなお考えを持つておられますか、御質問申上げたいと存じます。
  4. 清井正

    政府委員清井正君) 只今御質問のありました点でございますが、従前におきましても水産庁において事務を遂行いたして参ります経過において水産物輸出入等に関連いたしまして通商産業省当局事務的に連絡をいたさなければならんものにつきましては、相互に緊密な連絡を保持しながら、円滑なる事務運営を図つてつておるのであります。本法律につきましては、問題が輸出水産業振興に関することでございますので、本法律が成立いたしました暁におきまして、私どもにおいて本法律実施いたして参りまする場合におきましては、事柄の性質上、当然通商産業省関係事務当局とも十分連絡をいたして参らなければならん部面が相当多いかと考えるのであります。私どもといたしましては、本法目的達成上円滑に事務を進行せしむることが最も好ましいことであり、又我々もその面に努力をいたして参らなければならんことは当然であるのでありまして、今後本法施行に当りましては、必要なる事項につきましては、通商産業当局と十分緊密なる連絡を保持しながら本法施行の円滑を期して参らなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑ございませんか。……別に御質疑がないようでございますので、質疑をこれで打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。これで質疑は打切りといたします。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにいたしまして順次御発言を願いたいと思います。なお修正意見が若しありましたならば討論中でお述べを願いたいと思います。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今審議中のこの輸出水産業振興に関する法律案関係業者が非常に熱望しておつた法律でございまして、我々といたしましてもこの法律制定趣旨には賛成をするものであります。ただこの第二条におきまして、その輸出水産物とする品目につきましては全部「政令で指定するもの」というふうに政令に委ねております。ところでこの輸出に向けるところの水産物は多種多様でありまして、これをすべて含むということはなかなか問題であります。この取捨選択に当りましてはいろいろと問題が生じてまちて、なかなか急速にきめにくいというような事情も察せられますので、この際局限された……どうしてこれだけのものはこの法律に謳つておく必要がある、そうしてこの法律実施を一日も速かならしめるという意味におきまして輸出水産物品目を或る程度ここに掲げて、その他の輸出の用に供する水産物政令によつて指定する、かように変えることが最も適当のように考えます。従いまして私はここに本法案の修正動議提出いたします。それではその修正案を読上げます。    輸出水産業振興に関する法律案に対する修正案   輸出水産業振興に関する法律案の一部を次のように修正する。   第二条第一項中「主として輸出の用に供せられる水産製品政令で指定するもの」を「別表に掲げる水産製品及び主として輸出の用に供せられる政令で指定するその他の水産製品」に改める。  第三条第三項中「輸出水産業者又は製造受託者である者」を「当該指定に係る輸出水産物について輸出水産業者又は製造受託者である者」に、「前項基準」を「当該輸出水産物製造施設に係る前項基準」に改める。  附則第一項に次の但書を加える。   但し、第三十一条、第三十二条並びに附則第三項及び第四項の規定は、公布の日から施行する。附則第二項を附則第四項とし、附則第一項の次に次の二項を加える。 2 農林大臣は、この法律施行の日(前項本文規定による施行の日をいう。)において現に輸出水産物のうち別表に掲げるものについて輸出水産業者又は製造受託者である者については、省令一定期間限り当該輸出水産物製造施設に係る第三条第二項の基準を適用せず又はこれを緩和することができる。 3 農林大臣は、前項省令を定めるには、あらかじめ、審議会意見を聞かなければならない。附則の次に次の別表を加える。 別表 一 まぐろ類かん詰(かつおかん詰を含む。)のうち、塩水づけのもの及び油づけのもの 二 冷凍まぐろ類冷凍かつおを含む。) 三 冷凍めかじき 四 いわしかん詰のうち、水煮のもの、トマトづけのもの、香辛料づ   けのもの及び油づけのもの  五 さんまかん詰のうち、水煮のもの、トマトづけのもの、香辛料づけのもの及び油づけのもの  六 魚類肝臓油  七 かにかん詰  八 寒天  九 さけかん詰及びますかん詰  以上の通りであります。  かよう修正案提出いたします。どうか皆さんの御賛同を願いたいと存じます。
  8. 千田正

    千田正君 只今秋山委員からこのたびの輸出水産業振興に関する法律案に対する修正案提出されましたが、過般来慎重審議しました結論としてこうした修正案を出されたのでありまするので、我々としましても大いに賛意を表したいと思います。更に私は、この修正案賛意を表すると共に、先ほど青山委員から質疑の最中特に通産省に関する問題としまして、水産庁長官に尋ねられておりましたが、先般通産委員会より当委員長宛申入のありました、「農林大臣は、通商産業大臣と密接なる連絡をとること」という点につきましても、私はこの際只今青山委員修正案に更に附随しまして、附帯決議案提出したいと思います。  その案文といたしましては、本法施行に当つては、輸出の面において通商産業省と関連するところがあるので、農林大臣通商産業大臣と事前に密接な連絡をとり、万遺憾なきを期するよう望む。  以上の附帯決議案動議として提出いたしますので、何とぞ皆様の御賛同をお願いしたいと思います。
  9. 青山正一

    青山正一君 この修正案及び只今千田委員附帯決議に対し賛成いたします。殊に参議院におきまして、品種政令に委ねずに、必要欠くべからざる品種面法律の中にはつきりと、まぐろ類罐詰冷凍品域外いわしさんま、油脂、寒天、さけ、ます等をはつきりと織込んだことは誠に当を得たものと信じます。この点この法律は、ただ単に輸出冷凍業者輸出罐詰業者との争いの解決策としての法案だと世間から誤解されなくても済むと信じます。又今後罐詰業者冷凍業者の紛争の種にならんようこの法律を有効に適用して頂くよう特に希望申入れておきます。なお世間では輸出まぐろ類罐詰に関する法律を作ることによつて、某政党が非常に利益を受けるがごとき、つまり某政党ドル箱になる等の誤解の目で見る向きもあります。その点将来かかることの起きないよう特に注意を喚起しておきます。又この法案は、販売の問題、或いは金融の問題、登録許可の問題、審議会委員の員数の問題等幾多問題はありますが、今後の機会に改正することを希望として申上げ、この法案賛意を表する次第であります。
  10. 森八三一

    ○森八三一君 私は只今議題になつておりまする輸出水産業振興に関する法律案に対しまして、秋山委員から提出修正部分を含めまして賛成をいたすのであります。  なお千田委員附帯決議として提案されました趣旨、極めて御尤もなことであり、当然そうなければならんことでありますので、そういう趣旨における附帯決議賛意を表するのであります。  この際一言本法実施運営に関しまして、希望を申添えて賛成の言葉を結びたいと思うのでありますが、その第一は、本法の成立に伴いまして、関係業種別にそれぞれ組合結成されることになるのでありますが、過去の他の組合結成等に例を見ますると、いずれも自主的な立場をとつておりまするために、ややともいたしますると、その組合の内部の統制が十分に確保せられませんで、折角組合を組織いたしましても十分にその組合の本来の機能を発揮し得ないというような憾みを感ずる場合がしばしばあるのであります。今回のこの極めて重要な輸出水産業振興に関する組合結成につきましては、過去に私どもが経験した、そういうような遺憾なことのございませんように、結成される組合の健全な発達育成ということについては、格別に当局において留意を希望するのであります。この法律議員提案であるという関係からいたしまして、恐らく水産庁経費には、予算のうちにはこのことを目途とするための必要な経費というものは予期されておらなかつたのではないかというように思うのでありますが、そういうことからいたしまして、組合の指導、強化ということがおろそかになりましては、法律制定趣旨に副わないわけでありますので、予算的措置等についても、適当な機会に十分考慮せられまして、本当にこの組合が健全な発達をすることに最善を期せられたい。同時に、特に法律二十九条に融資のことを規定をいたしておるのでありますが、最近の金融情勢から申しますると、こういうような規定を作りましても、これは一片のゼスチユアに終つてしまうという懸念はないとはいえないと思うのであります。本法目的を十分達成いたしますためには、二十九条に規定する融資のことが十分に行われるかどうかということによつて目的が完全に遂行し得るかどうかということに非常に大きな繋がりを持つように思いますので、この二十九条にいう、いわゆる融資の問題が空文になりませんように、いやしくも本法目的を達するために農林大臣の発する統制命令に関連するような場合におきましては、融資の問題がその裏腹となつて、十二分に活用されますのに困難な情勢に置かれておることは十分察知いたしますが、融資の問題について本当に熱意をこめてやつて頂かないと、これはもう竜頭蛇尾に終る危険がないとはいえませんので、この点特に希望いたします。  更に第三に、こういうような強度な統制が布かれることになりますると、そのことから及びまして、先日も木下委員から御意見があつたのでありまするが、原料魚生産に携わつておる原始生産漁民圧迫が及んで来るという危険を感じないわけには参りません。そうなりますると、このことが又別な面から非常に大きな問題を巻き起して来るわけでありますので、輸出業振興ということは、日本の経済現況からいたしまして、強力に推進しなければならんことは申すまでもございませんが、そのことのために、多数の零細な直接な原料魚生産をやつておる漁民諸君経済的圧迫という結果をもたらしたのでは、これは非常に重大な結果を招来するわけでありますので、生産漁民利益保全と申しまするか経済的地位の確保ということとこの法律運営との間には、極めてデリケートな関係がございまするけれども当局においてはその間の調整最善を尽されたいということを特に申添えまして、修正案及び決議案を含めまして賛成をいたすものであります。
  11. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御発言はございませんか。……それでは他に御発言がないようでございますので、討論はこれを以て終局したものと認めたいと存じます。御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本法律案の採決をいたしたいと思います。先ず討論中にありました秋山俊一郎提出修正案を問題に供します。本修正案賛成お方の御挙手をお願い申上げます。    〔賛成者挙手
  13. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でございます。よつて修正案は可決されました。  次に只今可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案賛成お方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  14. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でございます。よつて法律案全会一致を以て修正議決されました。  次に討論中にありました千田正提出附帯決議案を問題に供したいと思います。本決議案賛成お方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でございます。よつて決議案は可決されました。  なお、本会議におきまする委員長口頭報告内容等事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  次に本法律案を可とされた方々は、例によりまして順次御署名を願いたいと存じます。  多数意見者署名    秋山俊一郎    千田  正    青山 正一
  17. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  18. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと速記を始めて下さい。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後二時四十七分散会