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1954-05-20 第19回国会 参議院 水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十日(木曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            森 八三一君            木下 源吾君   衆議院議員    水産委員長   田口長治郎君            鈴木 善幸君   政府委員    調達庁不動産部    長       山中 一朗君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    公正取引委員会    経済部長    坂根 哲夫君    水産庁生産部長 永野 正二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出水産業振興に関する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から水産委員会を開会いたします。  先ず輸出水産業振興に関する法律案を議題に供します。  田口衆議院水産委員長も見えられておりますので、先日に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 青山正一

    青山正一君 昨日に引続いてこの品名の問題ですね、品名政令に委ねるか、最小限度法律に載せるか、これはまあ衆議院側と非常に水掛論になつているわけでありますが、今後私といたしましては、参議院の独自で行くか或いは附帯決議でこれを明らかにするかという問題はいずれ今後に残しまして、その他の問題について質問したいと思います。で、二三日前参考人を呼んでいろいろ意見を徴しましたのですが、一参考人から、この登録の問題について、現在全国に七、八百の製造工場がある。これが全部申請することになりますると非常に困るから、この登録制よりも許可制のほうがよいのじやなかろうかというような意見があつたわけであります。又このかつおまぐろ漁業それ自体許可制度であるから、なぜ輸出の場合だけ許可制にしないかというような意見も述べたおかたがおるのであります。で、この点について衆議院側の見解を一つお示しを願いたいのです。殊にこの法案の当初において許可制度の下にこの法律がなつてつたわけでありますが、新規の過程において登録制になつたように思われるのですが、その経緯のことも一つ説明願いたいと思うのであります。
  4. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 法案審議の途上におきまして許可という文字が出て来ておつたことは事実でございます。これは当初社会党右派方面からの提案によるこの種の法律が、大体冷凍まぐろ輸出許可制にしよう、こういうように出発から許可という文字がずつと引いておつたのでございますが、いろいろ審議いたしました結果、許可制ということになるとあんまり強過ぎて、そうして何だか官僚統制に傾く虞れもあるから、いま少しく緩和した方法考えてみたらどうか、こういうこととで各委員いろいろ知恵をしぼりました結果、結局製造場所或いは製造数量製造者というようなものをはつきりする、さような必要もございまして、これらがはつきりできて、そうして柔かい方法ということになりますというと、登録制ということよりほかに方法がないのじやないかと、こういうような結論に達しまして、登録制を採用したような次第でございます。
  5. 青山正一

    青山正一君 只今田口委員長から許可制になりますると非常に強くなる、或いは官僚統制のようにもなるというふうに御解釈なすつて説明つたわけでありますが、それならば登録さえ受ければ誰でも事業が始められ、而も政府基準に合えば誰でも登録しなければならないというようなことになりますると、この登録制はよほど考えなければならんと私はそう思います。で、無用の競争によつて業界が大混乱するというようなことになりはしないか。今まで製造する意思のなかつたものも登録を受けることになりますと、登録を受ければこれは自然的に作りたくなる。丁度戦時中に砂糖の配給がなかつた際においては、殆んど甘いものを嫌いな人でも好きになつたというような状態になりはせんかと、こういうように私どもは思うわけなんです。而も中央だけならともかくも、都道府県知事がこの掌にあずかつておるというようなことになるとすれば、なお更煩項になりはせんか、こういうふうに私ども考えるわけなんですが、それに対する御意見は如何ですか。
  6. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 現在は登録制も何もなしに、勿論許可制でも何でもなしにやつておるわけなんですが、少くとも現在よりもこの設備なり或いは製造数量なりということが、この登録制のためにはつきりなつて来ると思うのでございます。それから登録制を布いたから現在よりも余分に業者が殖えるのじやないか、こういう点につきましては、私らは登録制のために業者が殖えるということは考えないわけなんですが、勿論条件さえ揃つておれば、農林大臣としては登録しなければならんことになりますから、許可制のように一方では官庁で制限をする、こういうようなことはできませんけれども、現在こういうことも何もない。今の実情よりもまだ幾分か規制されるのではないかと、こう考えておる次第でございます。
  7. 青山正一

    青山正一君 それならばもう一点お聞きいたしたいと思いますが、これも参考人意見なんですが、審議会の構成が業者三名くらいでは非常に少い、非常に第三者の数が多過ぎやせんか、つまり直接関係者をもつと殖やせというような御意見も多かつたわけでありますが、それに対する田口さんの御説明は如何ですか。
  8. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 初め委員の数をずつと殖やしておつたのです。三十名以内程度委員の数を殖やしておつたのですが、実際問題として、審議会なんかで三十名も集まつて委員がやり出すということになると、結論が何も付かないだろう、こういうことで十五名以内ということに人員を減らしまして、その人員範囲内におきまして、各業界バランスをいろいろ考えました結果、こういうような数字を出してみたわけなんですが、このうちで学識経験者五人以内、こういうような項目もありますから、若し著しくバランスを失するような点があれば、学術経験者のところで業者代表にいたしましても、或いは漁業者代表にいたしましても、漁業者は一方水産製品製造者であるけれども、又学術経験もあるというような、こういう調節も付くから審議会委員には成るべく少くして構成したほうがいいのじやないか、こういうような落ち着きになつたわけであります。
  9. 青山正一

    青山正一君 先ほどから私田口さんにいろいろ御質問申上げましたのですが、あなたらはこの法案審議するに当りまして、一月なり或いは二月近くの審議期間があるのですが、参議院に来まして僅か五日なり十日の審議過程において、これを全部検討しなければならん場合において、例えば許可制度登録制度になつたというような、その経緯とか或いは審議会委員の数を減らしたというような経緯、そういうふうな点も、今後衆議院から廻つて来た法律に対しては、そういう点まで一つ説明願わんことには私はさつぱりわかりませんですから、その点今後一つ十分に御注意願つて説明願いたいと、こういうふうに御希望申上げておきます。
  10. 千田正

    千田正君 今の許可制登録制という問題は相当これは将来いろいろな問題が起きて来ると思いますが、この登録制基準というあれは、さつきおつしやられた通りに、施設であるとか、数量であるとか、技術の面とか、こういう意味においてはつきり何か基準をちやんと持つておるわけでありますね。
  11. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) これは政令或いは省令基準をきちつときめることになります。ちよつと済みませんが、この第三条の「輸出水産業者は、省令で定めるところにより、」という、この「省令」は「政令」のミス・プリントでございますから訂正して頂きたいと思います。「省令」は「政令」です。
  12. 千田正

    千田正君 そこでもう一つ。少くともこの法案は、表題は、輸出水産業振興に関する法律案ということになつておるのですが、こういうようになるというと、今おつしやられたように、その設備であるとか、或いは数量、或いは技術の面というものに一つ規定の枠をはめて登録制とする。これは成るほど、かつおまぐろ、さけ、ますというような一つの企業化した面においてはこれで結構でしようが、例えば干あわびであるとか、ふかの鰭、貝柱、これは輸出以外に向ける方法がない。而もこれは零細漁民生産であつて、これは又日本水産輸出の或る面におけるところの大きなウエイトを持つておる、こういうものに対しては、どういうようにお考えになつておるのですか。
  13. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) その点について衆議院でもいろいろ議論がありまして、結局海産物関係につきましては、対支貿易の関係もあるし、そうして今御指摘になりました登録設備費関係、それと製造業者が全国的に、而もはつきりとしない製造業者が相当数ばらまかれておるという関係もありまして、今直ちにこの法案で取上げる指定品目としてやることは困難だと、こういうことで、一応そういう品物につきましては対象から落しておるわけなんですが、その主なる理由は登録しなければならないことになつて登録料を納めるということになれば、却つて業者が迷惑することになるんじやないか、こういう考え方からこの対象から落しております。
  14. 千田正

    千田正君 そうしますと、輸出水産業というのは或る程度狭められた面の輸出水産業ということになるんですが、この組合を結成したことによつて受ける利益というものはどういうことなんですか。
  15. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この組合結成によつて、少くとも組合員全体の製造数量或いは出荷、販売数量販売価格と、こういうようなものに対する調整が、現在できないで非常に困つておるというのを調整できます。それと同時に、アウトサイダーを、省令に基いて、農林大臣の発動によるのですけれどもアウトサイダー組合が決定した調整規程内容と同じものによつて作られるという問題が一つございます。それと、これはまあむずかしい問題でございますけれども調整資金というものはできるだけ一つ国斡旋をしようと、それともう一つは、その業者製造原料として必要なる、これは魚を除きますけれども、例えばブリキとか、或いはオリーブ油とか、そういうものを外国から輸入する場合におきましては、自分が出したその外貨を優先的に通産省でこの組合一つ与えると、これは条文に一項設けておつたわけなんですけれども、若しこの一項を入れれば、ほかのすべての法律がこういうことになるから、勘忍してもらいたい。その代り組合ができて一まとめになれば、今の外貨割当方法があるから、必ず割当をしますから、一つ条文だけ削除してくれと、こういうような通産省からの申出もありまして、実際に割当てられるならばよろしい、こういうことで一項を抹消してしまつた関係もありますからして、外貨を優先的に一つこの組合へ、而もそれは自分等が使う製造原料購入のための外貨という範囲ですけれども、そういう点も一つ考慮しよう、こういうことを考えております。
  16. 千田正

    千田正君 まあそれは頗る結構なことで、私もその点は賛成でありまするが、さつき申上げたようなその零細漁民作つた輸出水産物、例えば貝柱であるとか、ふかの鰭であるとか、干あわびというようなものに対しては、今のところ何ら資金斡旋もなされてないし、且つ又、フリー・マーケットにおける自由な立場において買叩かれ、それでいつでもしわ寄せされるのがそうした生産者であるということを考えた場合に、何かしらこの組合だけは目下のところそういうことであるべきであつて、そうしてよろしいのですが、零細漁民輸出のために作つておるところの水産物に対しては、十分なる金融の面が見出されていないという現状ではないかと自分は見るんですが、そういたしますれば、そういう方面は、これはこれで作つていいんですが、本当に零細な漁民人たち、言い換えれば塩干物を製造しておるこの人たちに対しては、何らかの方途を得て、同じような立場でこの金融措置なり斡旋なりということを見て行かれるということなんか考えておられるのですか。
  17. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) それは結局ですね、零細なそういう種類の製造業者というものは、結局系統機関を通して行くか、或いはこの法案によつて、ほかの品物に対するモデルができれば、又その後においてそれを勘案して、これに類似したようなそういう方向にそれがまとまるかも知れませんけれども只今のところはやつぱり系統機関を通ずる資金融通その他が一番適切でないかと私は考えるのです。
  18. 千田正

    千田正君 どうも私はそう思うのですけれども、これを組合作つたとしても、これに対するところの資金斡旋、出て来る資金の面は主としてどこですか、農林中金じやないですか。
  19. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) まあ何ですね、恐らく商工組合中央金庫でもありますまいから農林が主になりやしないですか。
  20. 千田正

    千田正君 農林が仮に主となつたような場合、枠が十分じやない、現在においてさえも……。仮にこの方面に融通することによつて或る場合においては、零細漁民の大抵の場合は各県の漁民その他において、そうした集荷の面はやつておるようでありますが、そうしたほうの金融の面が或る程度の制約を受けるということはありませんか。
  21. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 私からも補足いたしまして説明申上げますが、この資金斡旋をするという条項につきまして、衆議院委員会におきましても単なる自己満足感だけでは駄目だ、具体的にここから出すのだという具体的な融資の裏付けの見通しがない条項は無意味じやないかという意見も強かつたわけであります。又私ども党政務調査会審議をいたしました場合も、この資金斡旋をするというのは最近の法律一つの流行になつてつて政府重要産業について資金斡旋をするということは、法律に書かんでも当然の責任であり、何も法文化せんでいいじやないかという議論も実はあつたわけなんです。併し私どもは、これを単なる自己満足として業界に匂わせるだけで終るべきものじやない。これを一つの足掛りにしまして、近い将来に例えば輸出入銀行法の改正をして、そうしてプラント輸出だけでなく、こういう重要な輸出産業に対しても資金の確保ができるような途等を、鋭意具体案を研究してみたいというようなこと等も主張いたしまして、非常に抽象的でありますけれども、この条文を載せることにいたしておいたわけであります。千田委員が御指摘通り極めて抽象的な条文になつておりますが、両院の水産委員会の協力と今後の努力によりまして、これを現実に金が出るような施策を是非見出したい。こう考えておるわけであります。
  22. 千田正

    千田正君 御趣旨はよくわかるのですが、現実の問題はそこに行くのじやないかと思うのですがね。登録制が布かれて、そうして一応業者がまとまつてつて行く。まとまつて行くから一人でやる場合よりも数の上において結合した団体としての行き方が非常に効果的に動けるということは、これは確かでしよう。そうした場合に、やはりそうした資金であるとか資材の面の裏付けを十分にしてやらんというと、この法案が絵に描いた餅になつてしまうというような杞憂なきにしもあらずであります。この辺はやはりはつきりして頂かないというと、折角皆さんが御苦労をして作つた法案でも、単なる一片の空文に過ぎないということになつてはいかんじやないかと思いまして、特にその点をお伺いするわけでありますが、そうしますというと、とにかくこの法案が出て組合ができたならば、一応何らかの形において、どの金融か、例えば商工中金なり或いは輸出入銀行というような金融機関を通じて一応の資金斡旋等をやる、こういうお考えなんですが、私が心配するのは当面チェックプライスの問題が出て来るのですね。例えば国際マーケットの影響によつて出血輸出をしなければならない場合においては持ち堪えられない。こういう実際の問題が起きた場合において、何によつて然らばこの組合の健全なる運営と発達を期するかと言えば、要するにそういう資金斡旋なり何なりというようなものをはつきりしておかんというと、結局組合はできたけれども、止むを得ない、抜け駈けしてでもダンピングをしなければならないというような問題が起きて来はしないか。一方では堅く締められ而も何ら得るところがなく、一方では苦しいから組合から脱退しても止むを得ずダンピングしなければならない。この法案のいわゆる盲点なら盲点潜つても生きるためにはやつて行かなくちやならないというような問題が起きることを私は恐れるのですが、それをカバーされる点をもう一度はつきり知らして頂きたいのです。
  23. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 只今お話でございますが、これはひとりこの組合ばかりでなしに、あらゆる業界がお個々ばらばらでおりました場合にはなかなか金融がつきにくいわけでありますから、本当に或る程度調整がきく組合が一本になりましたら、その点が非常にやりよくなるのじやないか、こういうふうにも考えるのでございます。  それからもう一つちよつと落しておりましたが、今罐詰組合なんかで共販をやつておりますですね。それがどうも独禁法との関係疑義があると公取はそういうことを言つておりました。ただ実情がどうもああいう必要に迫られてやつているのだから、今直ちに手を入れてないというような、そういうような情勢にあるわけなんです。で、この法案ができまして組合調整規程の枠内で別動隊として共販施設をやつても、そいつはこの法律によつて根拠裏付けられて認める、こういうようなことでもございますし、組合員利益増進のために必要な共販なんかも、これができて初めて法的に認められるというような、そういう関係にもなるのでありますから、こういうことが延いては個々ばらばらでいる現状よりも金融問題を解決するのに非常に都合のいい状態になるのじやないかと、こういうふうに考えている次第でございます。
  24. 千田正

    千田正君 もう一つ価格やその他の点においても影響する問題だろうと思いますが、例えば外国人日本内地に来てやる、日本において買付ける場合、日本円で買付けて、そうしてそれはその人たち自分第三国輸出することになるかも知れませんが、第三国人が来てここで買付けた場合において、これは輸出ということにあなたがたのほうでは見ておられますかどうなんですか。
  25. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) この法律輸出業者に渡す前の製造加工業者のための法律でございまして、加工業者日本に来たところのバイヤー等販売するものは一つ輸出業者等販売すると同じような取扱で考えていいのじやないかと、こう考えるわけでありますが、そこでバイヤー等日本輸出業者よりも巨大な経済力で以て買漁る、そのために日本輸出業者等が非常な圧迫を受けるというような事態が発生いたしました場合、現状におきましてはそれを抑制する措置が講ぜられないわけでありますが、この法律が幸いにして成立を見ることになりますれば、調整規程の中で販売方法販売価格販売の時期、販売数量というようなものも調整規程によつてコントロールすることができる規定になりますので、そういうような外国資本の行過ぎな活動、又日本輸出業自体を圧迫するような行為が顕著に出て来れば調整規程によつてこれを是正することができるということになるわけでありまして、現状よりもその点も改善になるのじやないか、こういうふうに考えます。
  26. 千田正

    千田正君 その調整規程なんですが、この組合に参加する人の中には純然たる生産加工業者もあるでしようが、一面生産者であり、加工業者であり、輸出業者である、この三面兼ね備えたような会社なら会社がこのメンバーに入つている、こういう場合に対する調整機構はどういうふうになりますか。
  27. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) その場合はやはり製造加工業者立場において調整規程の適用を受けることになろうかと、こう考えます。
  28. 千田正

    千田正君 例えばまあ会社を指定するのは誠に失礼なことかも知れないが、大洋漁業なら大洋漁業自分の船で持つて来てそうして罐詰を造り、或いは冷凍をする。これは当然今までもやつているのですから、そうして実際に海外に輸出をする、こういう場合は一貫作業ですね、あえて組合に入らなくてもやれるわけであります。併しながらこういう規程作つて日本輸出水産のために参加した、こういう場合においてはこの大洋漁業なるものはいわゆる水産業者としてこの組合に入つた場合には水産業者として以外の活動はできないと、こういうわけですか。
  29. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) その漁業活動なりそういう面は縛らないわけでありまして、調整規程の中で考えられるのは大洋漁業なら大洋漁業製氷冷凍、或いは罐詰というような部門が、生産数量でありますとか、或いはそれを輸出する場合でありますとか、販売数量ですね、或いは価格と、そういう製造したり販売したりする場合、輸出の面まででございませんが、そういう全体の同業者の共同の利益を守る面から必要なことが調整規程で語われるわけでありますから、その面については適用されることにならうかと思います。従いまして大洋漁業南方漁業場なんかに母船式まぐろ漁業で参りまして、そうして船内凍結をして日本国内陸揚げせんで、これを直接向うべ持つて行くというような面につきまして、これは国内施設としての登録ですね、これは漁船の中の施設でございますので、その面については成るだけ協調はしてもらいますけれども、そこまで当然に発動するということはちよつと困難かと思います。
  30. 千田正

    千田正君 そうなると、私は疑義が生ずるんですがね。冷凍なら冷凍の魚ですね、冷凍魚輸出するために或る程度価格調整等のために一つ組合を結成して、そしてアメリカならアメリカマーケットにおける価格維持のためにもしなければならない。併し例えば、例をとつて言うのは失礼だけれども大洋漁業なら大洋漁業南方まぐろを取つて、そうして冷凍して、直結してもうニューヨークなり或いはザンフランシスコなりの市場へこれを持つて行く、これは全然今のお話によると、これまでは到底手が延びないのだということなんですね。
  31. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 補足いたしますが、そこで直接の調整規程の中でそういうものを抑えられない場合アウトサイダーに対する規定を別の条文で設けておるわけであります。これは組合員でなくともそういうアウトサイダーの自由奔放な活動によつて同業者組合員が非常な悪影響を及ぼされるという場合は、農林大臣一つ規定を設けまして、それを省令で命ずるという措置が講ぜられるようになつておるわけであります。従いましてそういうようなことが全体の利益に反するという場合はその規定によつて調整をとるというような措置を講じたい、こう考えております。
  32. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 今の問題にちよつと補足しますが、恐らく大洋製造業者或いは冷凍業者としてはこの組合に入ると思います。入つたことになれば自分漁船で魚を取つて製造したにしても、手続はともかくとして、やはり観念としてはこの組合で決定した調整規則範囲内で、自分貿易部製造部から品物買つて、そうして国全体できめておるいわゆる輸出数量範囲内で輸出する。従つて組合員であつた場合は、当然この組合調整規則に拘束される、直接持つて行きます場合におきましても。組合員にならない場合は、今鈴木委員説明したようなことで、それが著しく業界を暗くするというようなことになれば調整規則と同じようなものを省令で、農林大臣が発動したその省令にくくられる、そういうことになろうと思います。観念としてはやはりくくられる、こういうことで進まなければならんと思います。
  33. 千田正

    千田正君 これは当然私は疑いもないし、そういう良識があつて欲しいことなんだが、現実の姿においてアメリカは、私自身がアメリカで経験していることは、漁業問題ではありませんよ、例えば生糸の問題、昨年は東南アジアにおいては私が経験したことは、ボンベイにおけるところの化繊のいわゆる輸出に対して、こういう申合せをして、これほどの法律はないとしても、規約をしておりながら、向うへ行くというとどうしても成績を上げなければならない、苦しい、止むを得ずほかの同僚には相済まんけれども、背に腹は変えられないから、結局抜けがけの販売をして行く、販売をした結果がいわゆる日本の商品の海外進出に非常な影響を及ぼして来ている。その欠陥をドイツなりイギリスなりの商社が見抜いて、日本の商社の結束を擾乱して来る。これがいわゆる現実東南アジアの市場であり、アメリカの市場です。これを防ぐためにこの法律が出たんだろうと思いますけれども、その点をやはりはつきり……少くとも水産業という一つの、何といいますか、日本水産業から更に発展して外国輸出までできた今日においてはその良心を堅持するだけの気持を持たなければ、この法律は守れないだろう。そこを非常に私としては憂うるのです。
  34. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 補足して御説明申上げますが、先ほど私がお話を申上げましたように、原則として漁船は除いて考えておるわけです。併し工船ですね、かに工船でありとますか、さけ、ます工船でありますとかいうものは陸上の施設と同じような工合に考えて、漁船はこれは原則として製造加工施設としては考えない、こういう建前をとつておるわけです。そこで今漁船が凍結したものを降す、台湾でございますとか、沖繩に降すとか、そういうようなことがしばしばあろうかと、こう思うのであります。それは漁船のことでありますから全部それを原則としてこの法律対象に入れるということになりますと、なかなかこの法律の運用が困難である。そこではつきりと工船の場合はこれはもうそれ専門の船でございまするので、それは入れると、こういうことでありますので、千田委員が御指摘のようにそれが協調心がなくて横紙破りでやるというような場合には、そういうこともやはりあり得るとは思いますけれども、併し大洋漁業等の場合は国内にもやはり罐詰工場なり冷凍工場を持つておるわけでありまして、これが調整規程にやはり服従するわけでございますから、調整規程数量等をきめる場合に、そういうこともむちやな行為があれば勘案しながら調整規程でそれを調整して行くというようになろうかと、こう思うのであります。
  35. 千田正

    千田正君 これはまあ現実は大したことはありませんが、将来当然活溌に動くであろうということは東南アジアにおけるところの日本漁業の進出、而もプラント輸出、例えばボンベイならボンベイ、或いはカルカッタならカルカッタというところに日本の漁業会社が進出して冷凍施設もやる、そうして向うにおいて漁撈したものを買上げて向うで冷凍して向うでいわゆる販売して行くと、その利潤が結局日本のいわゆる利益として確保するというような場合の問題はどういうふうに一体影響しますか。つまりプラント輸出を仮にボンベイなり、或いはカルカッタなり、或いはカラチなり、或いはインドネシアの或る一定の場所に日本の漁業が進出して行つて、向うに買上げた場合において結局日本利益を或る程度確保するための日本の進出なんですが、そういう場合に例えば向うで確保したものを向う側から直接にアメリカ側に売るか、或いはロンドンならロンドンの市場に売るかというような場合には、これは適用しないということなんですか。
  36. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) その場合先方との共同経営になるや否やということが非常に問題になるのじやないか知らんと思うのですが、共同経営でなければ単にまあここに行つて魚をとる、その国の食糧を助けるのだと、或いは技術を指導するために行つたんだというようなことになれば、やはり属人主義で、この調整規程範囲内で、少くともその数字は調整規程に出して処置したほうが国のために都合がいいのではないか知らんと思うのです。そういうふうに持つて行かなければならないのじやないかと思いますね。ただ共同経営ということになると、そいつがどうも属人主義でもいかないし、非常にむずかしい問題になるか知らんと思うのですが。
  37. 千田正

    千田正君 そういう問題が将来起きて来るだろうと思うのは、当然日本国内だけじや閉出しを食つている今の日本の漁業の状態から行けば、或る程度東南アジアその他の国へ行つて日本の漁業が進出するならば、そうして又日本技術によつて例えば四分六、或いは五分五分でもいい、日本利益の確保のために行くのですから、そういうものに対してまでこの法を適用するかしないかということを許されるか許されないかということが将来又起きて来るのではないかと思うのです。
  38. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そこまで行くと漁業にしても、或いはその他の事業にしても、国内産業であるか国外産業であるか、非常に線の引き方がむずかしくなりますね。或いは明らかに国外産業というものに属することになれば、本法を適用することが少し無理になりはしないかと思うのですが、よく研究して見なければならないと思います。
  39. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 法律のことですから明確にしておいたほうがいいと思うのですが、法人事業等の場合、その法人が相手国の国の法人という場合は、これは日本国の法律でございますからこれは適用されないわけであります。ただ日本も相当発言権を持つて仕事をやるわけでありますので、やはり日本の産業を圧迫しないように協調してやつてもらうという精神に変りはありませんが、向うの法人であればこの法律は適用されない。これはもう明確であります。
  40. 千田正

    千田正君 まあ常識から言えば、日本国内におけるところの一つの産業の面としてのものと解釈したいのであります。そう解釈するのが妥当でしようが、結論においては例えばカラチならカラチのえびを買つて来て、そうしてこれを日本の商品としてアメリカに売らなくちやならない問題も起きて来る。それは全然日本国内を経由しないで、日本商社だがカラチならカラチにある商社が買つて輸出する。それは併し日本輸出の中に入つて来るわけです、枠から言えば。こういう問題は、水産業の将来の輸出というものは国際的な問題を加味した問題が出て来ると思うのでありますが、それは飽くまで国内の産業としての面において常識的にそう解釈するほかないと思うのですが、そういうわけなんですね。
  41. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 今千田委員の御指摘通りでありまして、ただそれが非常に高度なものになつて、工船等を持つて参りまして、えびの罐詰を造るとかそういう場合は陸上の施設と同じように、ただ漁船がチャンバーで以て冷凍してそれを或る国へ持つてつて販売するというものは、漁船の場合はさつき申上げた通りですね、これはいろんなケースが漁船のことでございますので、ちよつと捕捉しがたいものですから、その点は御指摘になつたような点があろうかと思います。
  42. 千田正

    千田正君 こういう私は心配をするので言うのでありますが、幸いに漁が何か豊富で、そうしてこつちで十分やつて行けることがずつと続いてくれればいいのだが、不漁の場合において東南アジアのどこか、或いはインドネシア、あつちのほうで一稼ぎしなければならん、むしろ向うで稼いで向うから直接輸出したほうがいいという、そういう問題が起きて来るというと、日本国内におけるところの組合と海外におけるところの日本輸出業者との問に一つのこれは競争が生ずる虞れがあるのでありまして、そういう点はまあ万々ないという観点からお考えになつているわけなんですか。
  43. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) これはただに日本輸出生産物の場合だけでなくて、あらゆる産業におきましても同様のことが起り得ると考えております。例えば織物工業のようなものにつきましても、日本にとつては織物の輸出というようなものは、非常に国民経済上大きなウェイトを持つているわけでありますが、そういうようなものが、原料国のインドとかそういうところでどんどん合併なり何なりで会社ができるということは、延いては国内の織物業をその面で圧迫することになる。これはこういうことが国の政策として。プラスかマイナスか、どちらが国家の利益であるかということと勘案して行かねばならん問題だろうと思いますが、ここで考えておりますのは、合弁会社でやつて向うの法人になつた場合、今後東南アジアと経済合作をする場合、千田委員も現地を御視察になつております通り、非常に民族意識も強うございまして、向うが六〇%日本が四〇%というようなことを主張する。そして飽くまで向うがイニシアをとつたような恰好だけはとりたがる。ところが実際は日本のほうで相当発言力を持つて指導して行くような形で行こうかと、こう思つておりますが、併しこれが向うの国の法人になりますと、この法律は適用できないが、併し経営者の経営方針を通じて日本国内産業を圧迫しないように会議させるという以外にないのじやないか。こう考えております。
  44. 千田正

    千田正君 これは鈴木委員と前にアメリカに御一緒したときにも、ニューヨークやボストンのいわゆる罐詰業者アメリカ国内において罐詰を製造するとコストが高くなる。そこで労働賃金の安いところの、国境を越えてカナダにおいてこれを生産し、カナダにおいて生産した場合においては資材も安いし労働賃金も安い、そしてコストもまあずつと安いから逆にアメリカに輸入してもいいのだというので、アメリカ業者がカナダに移住して向うの安い賃金の下に生産して逆にアメリカに輸入した。こういう現実を我々は見ているわけですが、東南アジアの労働賃金が安かつたり、台湾の労働賃金が安かつたりした場合、向うにおいて資材を確保する場合においては、非常に安く入るというような場合はそういうことも私は起り得ると考える。まあ併しそれはそこの国でやることだからこの法律は適用しないのでありますが、いずれにしてもこの法案が出ることによつて一歩前進するという点については同意を表しますけれども、相当将来に対してあらゆる問題が起ることを相当私は考えて慎重に審議したいと思つております。
  45. 青山正一

    青山正一君 これは問題の観点が違いますが、実は参議院のほうで、参議院の通産委員会からこの法律案に対して或る種の申入があつたわけです。で、要約いたしますと、この組合の設立とか、それから定款の変更、調整規程の認可、解散、変更、命令、認可の取消、廃止、こういつた件について、通産大臣の同意を受けなければならんとか、或いは通産大臣に通知せよとかいう規定を入れてくれというようなことを通産委員会の総意で、まあ当委員会に申入があるわけです。こういう問題に関しまして、何か衆議院側では、衆議院の通産委員会からそういうふうな申入があつたかどうか。それから通産省からそういうふうなお話があつたかどうか。又そういうお話がないにいたしましても、まあ事実この参議院水産委員会のほうへそういうふうな申入があるわけなんですから、それに対する衆議院側の御意見は、一体どういうものか。それについて一つ承わりたいと思います。それが一つ。それと同時に、水産庁にもこの法律について、そういうふうな問題があるについて一つ意見を伺いたいと思います。
  46. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 只今お話につきましては、通産省の通商局から先ず今のお話と同じようなお申入がありました。結局要約いたしますというと、農林大臣と通産大臣と共管精神によるいろいろな認可の合意の問題、それからもう一つは、優先外貨に対する法案から一条抹殺する問題、こういう話がありまして、先ほど申しましたように、組合が一本になれば、今の外貨割当でやれる方法があるから、この一条を削除してくれという話がありました。それから共管の問題につきましては、誠に言いにくそうに話しておりましたが、我々側としては、国の役人が輸出振興に対してお互いに協力をし助け合つて一歩でも前進させるということは当り前のことじやないか。法律に書いてあろうが書いてなかろうが、そういうことは当然だと思う。で、その話だけは少しおかしいだろう。こういうことで一応通産省の人は帰つてもらつたわけなんですが、通産省との連絡がありましたかどうか知りませんが、衆議院の通産委員の連中が、やつぱりそういうような問題を持つて参りました。ただ御承知の通り、行政の簡素化の第一歩は、共管法律を整理することで、責任をはつきりして所管大臣にやらせる。こういうことで、従来ある法律でも、共管事項をだんだん整理しようという時期でもありますし、いわんやさような時期に新らしい法律を作るのに又共管を持つて来るというようなこともおかしいじやないか。こういうことで衆議院の通産委員の連中には説明しましたところが、尤もだということで了承してくれたわけなんですが、この点はいろいろ考えて見ますけれども、どうも従来法律で共管関係になつているものは、責任のなすり合いで、業者としては、こつちに行きますと、いやその問題は一つこつちのほうに聞いてくれ、こつちに行くと、又こつちにやつてくれということで、すべてのものが停頓して参りますし、業者も大変な迷惑をこうむるのでありますから、何とか共管というような、そういう形を除いて行きたいということで、通産委員といろいろ懇談いたしました結果、よくその点は了解いたしましたわけなんですが、従つて私らの希望としては、できますれば、参議院の通産委員会とも御相談下さつて、私は、この審議会委員、貿易業者代表なんというものは、これはむしろ通産省から推薦頂いたほうが適切な人が得られるのじやないか。それから調整規則の認可の場合、一応販売数量販売価格、或いは出荷数量なんかの問題もありますから、これは共管という意味でなしに、農林大臣から通産大臣に一応相談をする。その程度であれば弊害なしに却つてプラスの面になるのじやないか。こういうふうにも考えますから、それで法律を修正するということでなしに、通産省及び農林省間の覚書程度で、そこらをはつきりして頂くことができますれば非常に結構だと思つて考えておる次第でございます。
  47. 青山正一

    青山正一君 行政面から一つ
  48. 永野正二

    説明員(永野正二君) この法案の御審議過程におきまして、我々といたしましては通産省の主管事務とも相当な関連を持つておりますので、時々連絡はいたしておりますけれども、その際只今お話の出ましたような特定の事項について、当然通産省といたしては事前に協議を受けたいというような意向の表示が実はございましたのでございます。併しこの問題が今国会で立法の過程にございますので、その問題につきましては国会のほうにお話を頂きたいということで今まで参つております。我々の考え方といたしましては、この立法の条文がどういう形になりましようとも、事実上農林、通産両省の間で必要な事項につきましては十分事前に連絡をとり、不一致のないように、又業者のかたに御迷惑のかからないようなやり方でこの規程はいたして参らなければならない、こういうふうに考えております。
  49. 青山正一

    青山正一君 只今のこの衆議院案の説明なり、或いは水産庁の説明をよく一つ御解釈願つて水産委員長のほうで通産委員長と十分お話合い願いたいということを十分希望いたします。
  50. 森崎隆

    委員長森崎隆君) その点は先だつて中川通産委員長から申入がありますので、そのように善処しようと思つております。  実は委員長会議が三時過ぎにありますので、ちよつと私参りたいと思います。それで会期延長の問題だと思いますので、さつき実は本委員会開会前に青山委員千田委員がおられますのでちよつと大体意向を聞きまして、この法律案も相当慎重に審議しなければならないが、若し会期が明後日までならそのつもりでやつてもいいし、ほかの委員会のほうで特に会期延長が必要だとすればそれに同調して慎重に審議することができるという程度の返答をしておこうと思いますが、よろしうございましようか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと私行つて来ますから、秋山委員交代頂きます。    〔委員長退席、理事秋山俊一郎君着席〕
  52. 森八三一

    ○森八三一君 大体今までの質疑応答を通じまして概念的には了解をいたしましたが、この法律が一体何を期待しておるのか。これは第一条の目的にはつきり出ていますが、この第一条の目的に狙つておるところをすらつと読んで行くと、既存の法律でもこういうことは可能ではないかというように考えられる。あえてここに新らしい立法をするというのは何を本当はこれは狙つておるのか、大体のことはわかつたような気がいたしますが、提案者として本当にどこを考えていらつしやるか、そいつを先ず最初にお伺いいたしたいと思います。
  53. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 先ず最も大きな狙いは同業者間の投売だとか、それから粗悪品販売だとか、そういうような問題、今、ひとり水産物ばかりでもありませんが、すべての輸出品がその点において非常に困つております。以前は水産組合その他もあつて相当法律的にそういう点も取締られておつたわけなんでずが、今それが業者間で如何に問題を処置しようといたしましても現状においては何ともできないわけなんですね、従つて問題を解決するために、品目ごとに全国的の組合作つてそうしてその組合組合員の意思によつて調整規程案を作つて製造数量なり、或いは出荷数量なり、販売数量販売時期、販売方法、或いは製造設備の制限程度まで行ける規程作つて、そうしてこの規程の認可を得て一つ組合員同士のそういう点についてのがつちりした調整をつけよう、これが第一の狙いでございます。従来、ほかの組合もでございますが、然らばアウトサイダーの分をどうするかというこれが非常にこの法律の難点だつたわけなんですが、衆議院ではこれは戦前以上ではないかというようなこともありますけれどもアウトサイダーを何とかしなければ、組合員組合内部の調整だけでは何とも方法がありませんから、このアウトサイダー組合調整規程で決定したその事項と同じ内容のものを農林大臣省令を出してこの省令アウトサイダーを従わせる。この調整ということが恐らくこの法律の一番重要なる問題であろうと考えるのでございます。  それから第二の問題といたしましては、どの組合にいたしましても、この組合員の製造したものを共販したい、こういう希望がありますし、又一部の人もそれを実行しておるわけでございますが、その共販というものが現在においては独禁法との関係で違反の容疑がある、こういう解釈になるんだそうでございます。この法律によつて調整規程の枠内における共販は法的に認めると、こういうことが含まれておる次第でございまして、その点が第二に重要なる点でないか知らんと思うのでございます。  それから第三の問題といたしましては、やはり先ほど千田委員からの意見もありました。はつきりしておりませんけれども、この資金の問題の解決の足がかりにするという問題と、輸出によつて得た外貨を少くとも自己の製造に必要なる資材購入には優先的に一つ国割当てさせる、この問題もこの法律でも或る程度解決できると思うのでございます。それと現在におきましては登録制も何もありませんからどこでいつどの程度数量ができるのだかそういうことも何もわかりません。本法による登録制によつてそういうものをはつきりし、そうして製造設備その他が不完全であるものは農林大臣の勧告によつて改善をさせる、こういうことを総合いたしまして、結局立派なものを作つて、そうして輸出振興を図ろう、こういう狙いを持つておるわけでございます。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 そこで今のお話で大体わかりましたが、最後の、登録制度を布くことによつて製造の正確を期して行きたいということはよくわかりますが、そのことを通じて、輸出水産物を生産しようとすることについて、将来新規業者の進出をここで阻止して行くという結果が生れるのか生れんのか、この法律で将来零細な連中が一貫作業で始めようというような場合には、資金も乏しいし、設備もそう立派なものはすぐはできないと思うのであります。そうすると政令で定められました件には合致しないということで、そういう本当に零細業者というものは進出する余地をこれによつて阻まれて行くという結果が起きるのではないかという感じを持つのですが、そういう心配はないのかどうか、そういうような心配はどこで一体防いで行くのかということでございますね。
  55. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この法律自体はです、省令で示した基準設備登録を申請した場合は登録しなければならんということになつておりまして、新らしく出る人を阻止するという精神は一つもないわけであります。既存業者関係から言いますと、それがどうも困るからむしろ許可制にして、もう新らしいものは遠慮してもらう、そういう阻止して頂きたいという希望もありますけれども、そこまで行きましては少し行過ぎでもありますし、一応その点は阻止をしない、いわゆる国が示した基準設備があれば登録させると、こういうことになつておりますから、新らしく出る人を阻止するという心配は一つもないと思います。ただ先ほど青山委員からもお話がございましたが、どうも業界現状からして或る程度この新らしいものの出ることを抑制すると、さような必要があるのではないかという話もありました。その話もよくわかるわけなんでありますけれども、その点につきましては少くとも現状よりもまだ幾分か自由放任の現状よりも、その線に登録ということが沿つておるのではないかという説明はいたしましたけれども法律自体は今森さん懸念しておられるような、新らしい業者の進出を阻止するという建前はとつていないわけであります。
  56. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 私からもちよつと補足しておきたいと思います。森さんの御質問の中にございました弱小資本の者が新らしくその仕事をやりたいという場合に、抑えられるのではないかという御心配もあつたようでございますが、これは省令で定めますところの基準に基く条件が具備しておるものは登録をする、申請をすれば、必ず登録されるわけでございますが、そこでその基準でございますが、これは工場の大小等によつて抑えられるのでなくて、一番大事なのは食品衛生の面と、それから技術の面であると考えておるわけであります。輸出品でございますので非常に衛生的に完全なものでございませんと、今後の日本商品に対するいろいろな不信用の因にもなりますし、それから設備は小さくとも高い技術水準で立派なものを造るということが、この望ましい条件になるわけであります。従いまして資本力の弱い人はその資本に応じた、今申上げたような基準に合致するような工場で登録をされるということになろうかと思うのでありまして、そういう面から規制をする考え方でこういう制度を考えたものでないということを申上げておきたい。
  57. 森八三一

    ○森八三一君 当然そうでなければならんと思いますが、この三条に基く登録の条件というものが。どういうようにきまるのかここでは未定でありますから、未定の問題をだらくとして議論をするわけに参りませんけれども、このきめ方如何によつてはこのことが新らしい業者の進出を阻止して行くという結果の生れる危険があるようにも思います。といつて無制限に濫立するということは好ましい姿ではございませんので、その辺の調整がこれは一つ問題だろうと思いますが、その次にですね、委員長からお話のありました狙つておる重要なポイントとして調整規程の問題にお触れになつたんでございますが、この法律の二十六条によつて農林大臣が命令をいたしました場合には、三十三条ですかによつて罰則の規定がございますが、非常にうるわしく組合の運営が行われておる場合には問題はございませんが、先刻千田委員ちよつとお触れになりましたように、組合員として結成されておるけれども、必ずしも調整規程に全面的に従わなければならんということにもならんようにも思われるし、そういうようなことの起きた場合に、それを矯めて行く罰則規定というものがございませんので、結局自主的に守られるときにおいてのみこの効果が出て来るというので、組合員であつても必ずしも所期するような方向にだけ動いて行くことが規制されないように思うのですが、そういう点はどう考えられるのか。
  58. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 今のですね、二十六条関係アウトサイダーの問題なんですね、このアウトサイダーにつきましては組合として処置する方法がないものですから、それで農林大臣組合できめた調整規程と同様な書類を出して、これに従わせる、それに従わなかつた場合は今お話のいわゆる三十三条の命令違反ということになるわけです。それから十八条の調整規程というのがこれは組合員組合によつてくくられるわけなんです。この場合はいろいろな製造数量或いは販売、その他この組合でその組合員を、いわゆるその制裁を与える、まあ行政処置、役所にしますと行政処置ですが、組合でのそういう処置ができますからして、これは二十六条の農林大臣の罰則違反以上のいわゆる制裁が組合員に対しては組合でできると思うのです。そういう関係でここに組合員組合調整規程違反による罰則というものは出ておりませんけれども、これは組合内でいろいろな販売数量だとか、製造数量だとか何だとかいうそういうもので制裁を加えることができるからこの場合は必要ないだろう。又いろいろな罰金だとか、何だとかいうことは、組合が、たとえ組合員といえども法律できめるということはできないので、これは組合内部の申合せによつてさようなる規定を決定すべきものでありまして、法律にはこの十八条関係は何も書いておりません。二十六条関係の罰則だけ載せておるわけでありますが、この二十六条関係の罰則に似たようなこと、或いはいろいろな制限をするということは、組合総会において、組合規約によつて規定すべきものだと考えております。
  59. 森八三一

    ○森八三一君 まあ組合という性格の本質から行きますれば、当然そうなければならんと思いますが、今まで同様のような目的を以て結成されている数多くの組合が、そういうことを規定しておつてもそれが守られんというところに問題があるのじやないかと思うのでございます。先日お越しを願つていろいろこの問題に関連して意見を伺いました団体の中にも、中小企業協同組合法によつてそういう組合が結成されているが、そういうような協同組合の場合にも今お話のようなことはそれぞれ定款なり業務規程なり、そういうものできめていると思いますが、そういうことがなかなか守られにくいというところに問題があるのです。そのことを何かこうはつきりするようにしないというと、結局新らしい法律作つて行くということの真の目的が達成されないのじやないか。結局この法律作つて残るところは、既存の法律に代る点は、三条の規定と、それから二十六条の規定が入つてアウトサイダーを縛つて行くということと、それから濫立を防いでしつかりしたものができるように登録制度を布くというだけが残ることであつて、その他の点は従来の法律、既存の法律によつて行われることになるのじやないかという気がするのでございますが、結論はその二点を狙つておると、こういうように理解していいのかどうかという問題に戻るのです。
  60. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) その点が非常に重要視し、そうして最も力を入れている点でして、公取その他と折衝して漸く話をつけた点なのでございます。それからさつきの話でちよつと私落しておりましたが、第二十二条に「組合は、定款で定めるところにより、組合員に対し、過怠金を課すことができる。」この「定款で定めるところにより、」という一項を加えてあります。それと、この組合はやはりいろいろな生産数量割当、或いは出荷数量割当その他をやりまするから、その点での制裁が一番組合としては痛いと思うのですがね。少々の罰金よりもそういう点にまあ期待しておりまして、法律としてそう一歩その点をということはちよつと踏出しにくい範囲になつてしまうんじやないか知らんと思うのでありますが……。
  61. 森八三一

    ○森八三一君 まあ従来ある既存の組合でもこういう過怠金とか、違約金とか、皆書いているのですが、実際は守られんというところに問題があるのですが、この新設される輸出水産物の生産業者においては、そういうことは固く守られるということでありますれば、これは問題はございませんが、こういうような自主的な立場に立つて結成せられておる多くの組合には、そういう規定があつても殆んど守られておらんというのが、大体今までの実例だと私は承知しているのです。だからそういうようなことであるとすれば、既存の法律でもこの目的は達成せられる、結局残るところは、この新らしい法律を作る真の狙いというものは、アウトサイダー関係調整をどうするかという問題と、第三条によつて登録をして輸出水産物の製造業者というものをここにはつきりするという二つだけが残つて来るので、そのほかのことは大体今までの既存の法律でもやれることではないか。
  62. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この十八条が最も重大な問題でございまして、こういう調整を目的とした全国的の組合というものは現状においてはできないのです。それをこの十八条によりまして独禁法の除外例を開いておるわけでございまして、この十八条が一番重大で、その上に二十六条のアウトサイダーをくくるような手段として……、現状におきましては独禁法との関係でこういう組合はできないものを、この法律で初めてできるようにしたわけなんです。
  63. 森八三一

    ○森八三一君 今日は公取いらつしやいますか……。じや公取のほうにお伺いしますが、各種の協同組合は独禁法の適用は除外されているのでございますが、協同組合がこういう行為をやつた場合に、それは独禁法に触れるのでございますか。
  64. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 協同組合は独禁法の除外例になつております。それと同じ性質をこの場合にも与えたわけなんです。協同組合法によつて独禁法の除外例を設けておる。
  65. 坂根哲夫

    説明員(坂根哲夫君) お答えします。只今お話のように協同組合は独禁法に適用除外例を設けておりますから大体適用を受けないことになつております。
  66. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと繰返し申上げますですが、この新しい法律が狙つているところは、今までの既存の法律では不可能な部分として三条の関係と、二十六条の関係だけが残るということになるので、そのほかの場合は十八条のことでもこれは協同組合で行けば不可能な問題ではないと私は理解するのでございます。それから資金関係等についてもこれは協同組合政府が保護育成をして行くという建前に立つているので、これも不可能な問題ではございませんので、結論的には今申上げた二十六条のアウトサイダーの取締の問題と、三条によつて正確なものを生産するための業界はつきりして行くという……。
  67. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 実はそういうような議論もあるわけなんですけれども、協同組合の建前は、飽くまでも我々はその零細業者が団結の力によつて大きな力を得る、こういう建前をとつております。然るにこの組合は大は大洋、日水、日魯あたりから、小は協同組合員にふさわしい連中まで包含されておるので、かかる業界の実体からこれを協同組合として扱うことは非常に無理で、そうかといつて大きい人を除いてしまつて、小さい人だけの協同組合で行つたらどうかということに対しましては、この十八条の実施ということが不可能でございますから、この小のもの、中のもの、大きなもの一緒に包含した組合というところに協同組合と性質を異にする、協同組合で行かなかつた主なる理由があるわけです。これはやはり協同組合はどうしても大洋、日水なんかまで包含した協同組合という、そういう方向に進ませないで、やはり零細業者一つ固まつて大きな団結の力によつてやる、こういう建前をとつて行かなければならんと思いますから、さような意味におきまして協同組合で包含できなかつた組合をここに作つたわけなのでございます。
  68. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 私からも一つ補足申上げておきたいのですが、この輸出水産業組合は本質は経済行為をやらない団体でございます。この資材等特別なものに限定いたしまして、共同購入の途はございまするけれども、協同組合の本質であります経済団体ということでなく、これは自主的な統制団体という性格の団体でございますわけであります。なお狙いとしては田口委員長から申上げましたように、小さいものも大きいものも成るたけ多く入つてもらつて、そうして業者の自主的な調整を期したいという趣旨でございます。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 そこでもう一つお伺しておきたいのは、この十四条の規定によつて組合員たる資格が定款できまるのですが、この場合には組合員たる資格は自然人であろうと法人であろうと同様に取扱うという観念か、自然人だけを考えられるのか。ということは、今のこの組合は単なる協同組合の零細企業者でなくて、大きいものも入れるという場合に、零細企業者が集まつて組織しておる協同組合等がそれは一組合たる資格を持ち得るという点はお考えになつているかどうかという点です。
  70. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 只今の自然人、法人、これは平等に考えておるのでございます。
  71. 青山正一

    青山正一君 輸出水産業振興に関する法律案の質問は大体終了したものと認めますので、本日はこの程度に散会いたしまして若し質問が残つているならば次回に譲る。で、次回は参議院水産委員会の意向を一つ取りまとめて頂くような方向で一つ十分進んで行つて頂きたい。明後日は一番終了日でございますからして、明後日か、或いは明日か、開会日時は一つ委員長のほうで然るべくお取計らい願いたい。以上動議を提出いたします。
  72. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のは質疑終了の動議かのようにも聞えるが、又質問があつたら質問もするし、どつちなんです。
  73. 青山正一

    青山正一君 本日はこの程度一つ散会して頂きたい。
  74. 木下源吾

    ○木下源吾君 それじや質疑終了をくつつけることは要らんな。
  75. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) 質疑打切りということの動議でもないようでございますが、今日はこの程度で質問を打切つて、若し質問があるならば次回にと、こういうように私は聞いたのですが……。
  76. 青山正一

    青山正一君 次回は一つ取りまとめるような方向で一つ……。
  77. 木下源吾

    ○木下源吾君 ちよつと私一つ、次回に来るか来ないかわからない。(笑声)それで今話を聞いていると、自主統制やるというのだが、自主統制なら法律要らんじやないか。それはどういうことなのか。
  78. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) これは調整規程案を組合のメンバーが必要と認めました場合に、販売方法販売価格、或いは数量、或いは製造加工の数量、そういうようなものにつきまして、組合員の総意によつて調整規程案を作りまして、そうして農林大臣の認可を申請するわけであります。農林大臣は公取とも協議をいたし、その同意を得てこれを認可をする。オーソライズされたそういう調整規程によつて組合員調整をやる、こういうことでありますが、飽くまでこの法律としては官庁が天降り的に官僚統制を強行するのでなく、組合調整規程案を作つて役所の認可を得てそれを実施する、こういう趣旨でございます。
  79. 木下源吾

    ○木下源吾君 その点がどうも。やはり行詰つたものは統制ですね。(笑声)
  80. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 役所の統制じやありません。
  81. 木下源吾

    ○木下源吾君 それはそれとして、こういう法律作つたらば生産者のほうはどうなるのでございますか。ここでうまいことを言つて生産者殺しやらにやならん。
  82. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 今の木下委員の御発言は一番大事な点でございまして、衆議院側におきましても非常に慎重に論議を交した点であります。そこで販売価格等をきめるという場合が、直ちに生産者の魚価に影響して来る、逆算すれば影響して来るという問題が起るわけであります。私どもはこの組合できめます販売価格はフロア・プライスであつて下の値段、これ以上安く売つてはいけないという価格をきめるのでありまして、それ以上上に売る価格を、頭を抑えよう、最高価格を抑えよう、こういうことでございません。従いましてダンピング等をやつて国内輸出水産業者が自滅するようなことを避けるためのフロア・プライスを調整規程で抑えて行こうという趣旨でございますから、生産者のほうには影響はない、こういう工合に考えております。
  83. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは大いにありますよ。よほど何かで一つきつちりきめておかんと、それより安く買わんことは、それはわかるけれども、同時にこれより高く買わんも、それはくつついているね。(笑声)
  84. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 現状におきまして非常に困るのは、輸出業者なり、或いは輸出水産業者がバイヤーと我れ先に販売する量の多くを願つて日本には非常に不利な条件だと思つても売り急ぐ、或いは不利な条件で売るということから、非常に生産者のほうにも悪影響が現実に起つておるわけであります。それを是正しようというところが狙いなんでありまして、これは最高価格を抑えるものだという考え方は全然持つておりません。だから現状よりもよくなる、ダンピングをこれによつて抑えよう、こういう考え方であります、狙いは。
  85. 千田正

    千田正君 今青山君から議事進行の動議が出ておりますが、たつた一点だけ質問を許して下さい。それは水産庁に聞きたい。  これでまあ一応加工業者総体に対してのあれが登録によつて集まつた組合ができるわけですが、こういう範疇に入らない、而も輸出オンリーだけに生きているいわゆる干あわび生産業者、こんぶ、或いは貝柱、或いはふかの鰭、こういうような零細漁民の、設備を持たない、而もそれが全部外国輸出しなければならないというものに対する、何といいますか、国際価格によつて左右されて、場合によつてはダンピングをする、場合によつて家財を売つて苦しまなければならない、こういうような零細漁民に対する何か方途をあなたのほうで考えておられますか、そういう点、これは一応これでいいとしても、これの範疇に入らない本当に沿岸の漁業者たる輸出に対する生産漁業者に対してカバーする問題が何かありますか。
  86. 永野正二

    説明員(永野正二君) この法律対象になるであろうという物資以外の只今お話通り、我が国の沿岸漁業者がそれぞれの施設を活用いたしまして、相当零細な規模で生産せられておりまして、品物がだんだんと産地において集荷され、それが集散地に集まり、相当まとまつて大きな輸出をなしているという品物があるわけでございます。そういう品物につきましては、この法律の建前ではちよつと適用が、当てはめ方がむずかしいのでございまして、これは別途な方法によつて輸出振興を図らなければならない事情になつていると思います。その関係で実は一番の問題は、むしろ産地から集荷され、集散地に集荷されたものが、現在海外市場というものが非常に狭まつているというのが一つの根本的な問題があると思います。これは現在の我が国の外国とのいろいろな経済関係の問題でございまして、これは実は私どものほうの力だけでは到底改善もできない大きな問題でございますが、併し全般といたしまして通産省等を中心にいたしまして、この海外市場のより大きな開拓ということについては十分努力しなければならないと思つております。私の関連いたしますもので申すならば、産地におきます零細な漁業者からこの品物が加工され、産地において集荷されるという段階でございます。この関係は実は私どもも現在は行政能力の限度と申しますか、なかなか現地にまで出て指導し、助成するだけの行政的な機構なり、能力というものが不十分でございまして、この点は非常に早急に改善をしなければならない一つの大きな点でございます。毎年予算の問題等でもこういう問題を取上げておりますけれども、なかなか実は円滑には参つておらないのでございます。今後各方面の御協力を得ましてそういう行政能力の第一整備をいたす必要があるのじやないか。それから又産地におきますそういう零細な漁業者の協同組合、或いは加工水産業協同組合というようなものの健全な発達を図るという面につきましても実は御指摘通り、今後非常に問題が残つているのでございます。今後できるだけ具体的な金融、或いは品質の改善というような面につきまして、例えば品質の改善というような点は、国におきまして検査の制度がございますので、そういう制度で取上げて参る、或いは金融問題だとかいうふうな、具体的な改善の方策に十分努力をいたしたいと考えております。
  87. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のあなたのお話輸出の市場が狭いという問題と関連して、狭められたところへ持つてつてこういうふうにここへ押付けて論議したつて解決はつかんと思うんだ。だから今困つている問題を解決する、それから具体的に又次に困るものを解決する、こういう意味だろうと思うんだが、海外市場、輸出市場というものは狭まつて来た、これを大きいところにやろうといつたつて政府はやらないでいるのだからおかしなものがやはりでき上つているのだね。それでこれは聞き出せば切りがないから今日はこの程度でやめておきましよう。
  88. 青山正一

    青山正一君 まだ漁業特別損失補償の問題がありますが、一応本日はこれで散会して、あとは懇談の形式で………。
  89. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) 只今青山君の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 秋山俊一郎

    ○理事(秋山俊一郎君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十六分散会