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衆議院議員(
田口長治郎君) 先ず第一点は輸出水産物の定義でございますが、本法では『「輸出水産物」とは主として輸出の用に供せられる水産製品で政令で指定するものをいい、』とこういう表現をしておるのでございますが、いろいろ公取の
関係から政令で指定した場合に
範囲を広くされては困る、こういうような御
意見がございまして、
水産庁自体の
仕事の能力という点も考えて、一応我々といたしましては、まぐろ類、めかじき、さけ、ます、いわし、さんま及びかにの缶詰、冷凍品、漁糧、水産油脂のうちで主として輸出の用に供せられる水産製品、この
程度に種類を考えておるのでございます。
これは御
承知の
通り中小企業安定法という法律自体に、いろいろな品目を記入いたしました
ところが実際に行
政府で
処置しようと思いますと、なかなか二進も三進も動かないで、この国会で又その種類を指定したものを法律を改正いたしましてやはり政令に譲ると、こういうような中小企業安定法の轍もあります。一応重要水産物だけを予定をいたしまして、そうして政令にあとは譲ると、大体公取のほうともいろいろ
折衝いたしまして、
只今申上げました
程度のものであれば公取も別に異議がない、こういうことで政令には譲りましたが、大体の種類は右申しましたような
程度に考えておるのでございます。
それから第二点でございますが、この許可制をとると、余りに強くなる、どうかすると官僚統制、官庁の統制に傾く虞れがあると、そうかとい
つて放任しておきますとどこが輸出水産物を製造するんだか、或いは数量がどうな
つているんだか、そういうような点も
はつきりいたしませんし、又設備を改善させるにいたしましてもその点が明瞭でございませんからこの法律では施設の登録、こういうことを考えた次第でございます。これによ
つて製造する場所も
はつきりわかりますし、製造する数量もわかると、或いは設備が不完全である場合は
農林大臣が監督することによ
つて施設を改善させることもできる、こういうような目的で登録ということを考えたのでございますが、この場合におきまして原則として
漁船の施設につきましては登録を除外をすると、こういうふうに考えておるのでございます。
それから第三点は最も重大で真剣に討議をしたのでございますが、この
輸出水産業の健全なる発達を図り、輸出の振興に資するために政令で規定した水産製品につきまして営利を目的としなで全国一円の
輸出水産業組合を組織することができるようにいたしたのでございます。この組織につきましては協同
組合と同じように加入脱退は自由といたしまして、出資の口数にかかわらず議決権は平等とし、又「一
組合員の出資口数は、総出資口数の百分の二十五をこえてはならない。」と、こういうことにいたしました、
輸出水産業組合の事業といたしましては事業資金の貸付及び
組合員のためにする借入、輸出水産物の保管、運送、
組合員の事業に関する技術の改善向上等のための教育、情報の提供に関する施設ができることといたしました。
その他経済的地位の改善を図るために副資材の供給については団体協約が締結できるようにいたしました。ここの副資材と申しますのは勿論製造に必要なるいろいろな資材でございます。
魚類、魚につきましては全然考えておりません。又魚に対する購入の団体協約というものは締結してはいけない、こういうふうに考えておりますからこの団体協約のできる副資材は魚を含んでおりません。
それからこの
組合の特質からいたします
輸出水産業者の自主的調整による経営の安定を図るために生産過剰による過度の
販売競争の防止、粗悪品の濫売防止等の事態が必要と
なつた場合におきましては
組合員の事業の、そういうことができまして
組合員の事業の経営が困難となる、或いは輸出の不振を来たし関連産業にも重大なる影響を及ぼす虞れがある場合には輸出水産物の製造数量、出荷数量、
販売方法、時期及び
販売価格又は製造施設の制限等を行い、輸出水産物に関する調整ができることにいたした次第でございます。なおこの調整をする場合におきましては
農林大臣の認可を受けるわけなんでございます。このときは公正取引
委員会との
関係もありまして
いろいろ議論をいたしました結果
農林大臣は「公正取引
委員会の同意を得なければならない。」と、こういうことにいたしたのでございます。なおこの種の調整の場合におきましては、
組合員だけを含みましては全般的の目的を達しない。いわゆるアウト・サイダーをどうするか。こういうことが極めて重大でございますが、今御
承知の
通りこのアウト・サイダーを作るという
方法はいずれの業界いずれの法律におきましても認められておりませんが、実際に調整するためにはどうしてもアウト・サイダーもこの
組合と同じ方向に進んで行かなければ目的を達しられないのでございますから、このアウト・サイダーに対しまして
農林大臣はこの
組合の調整規程と同じ省令を出しまして、そうしてこの省令に従わなければならない、こういうことにして、そうして
組合もアウト・サイダーも同じ方向に進む途を講じたような次第でございます。この点が非常に
議論がありましたけれ
ども、ともかく今の輸出物、殊に輸出水産物につきましてはそこまで行かなければ実際の目的は達せられないだろうと、こういうことで
決定をいたしましたような次第でございます。
それから第四点といたしましては本法の適正且つ民主的な運営を期するために、十五名の
委員からなります
ところの
輸出水産業振興審議会を設けました。
農林大臣の諮問に応じて
輸出水産業に関する重要事項を審議、或いは
農林大臣に建議することができるような、さような途を講じたような次第でございます。
大体重要なる点は第二条の、今申上げました品物の問題と、第三条の製造施設の登録に関する問題、第七条の
輸出水産業組合、第十七条の
組合の事業、第十八条の輸出水産物に関する調整、第十九条の調整規格の認可、第二十六条の製造数量等の制限に関する命令、いわゆるアウト・サイダーに対する命令と、それから第三十一条の
輸出水産業振興審議会、これだけがポイントでございます。
非常にたくさんの条項にな
つておりますが、骨子は
只今申上げましたような点でございます。なお逐条的に御
質問がございますればお答えいたしたいと思います。