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1954-05-07 第19回国会 参議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)    午後三時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君            菊田 七平君   衆議院議員    水産委員長   田口長治郎君   政府委員    水産庁長官   清井  正君    通商産業政務次    官       古池 信三君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    通商産業省通商    局農水課長  森 日出哉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○輸出水産業振興に関する法律案  (衆議院提出) ○水産政策に関する調査の件  (韓国海苔輸入に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今から委員会開会いたします。  先ず第一に、先般本委員会で一応の御了解を得ました連合委員会に関する件を議題に供したいと思います。  水産中心とした日ソ貿易促進に関する件についてお諮りをいたします。この件は、先般木下委員から始終御説明がありましたが、要約をいたしますと、先ず第一に、日ソ間の、日本側からの輸出面考えて見ますると、ソ連より目下注文されているものには造船関係がありまして、その実情は百九十トン級の曳船が四隻、まぐろ漁船三百二、三十トン級のものが五隻、いずれも日立造船がすでに受注して建造中で、その額は八億円ほどになつておるようでございます。又聞くところによりますれば、ウラジオストックには、修繕を要する船舶が約五十隻ほど待機しておると言われておりまするし、これらについてもソ連側としては日本に対して発注の希望があるように承わつております。一方我がほうの船台は、大型六十台のうち、稼働中のものが僅か十六台に過ぎない。業界としてもこの受注を大いに希望しておるようでございます。このほか戦前からの状況から想像いたしますと、漁網の輸入ソ連側としては当然希望しておるところと察せられるのでございます。又日本側から考えましても、輸入の面を考えますと、木材パルプ材坑木材等輸入は我が業界の最も希望しておるところでありまして、輸入港を持つ各府県は大いにこれに対して協力して増進を努力しておる最中でございまするし、又石炭につきましても、樺太の弱粘結炭が約十五万トンほどこれを輸入する話合いもすでにまとまつているやに聞いておりまするし、これが実現されますると、北米などの遠距離ものよりも遙かに格安のものが輸入できまして、日本基礎産業には大いに役立つことは疑いのない事実でございます。その他マンガン、綿花、小麦等、具体的に代表行つて話合いをいたし、調査をすればもつと貿易の途は打開されることは間違いないことでございまするし、要するに日ソ間の貿易は今後発展余地が十分にあるということは想像に難くないのでございまして、それを経済代表が行きまして、親しくソ連当局話合いをいたしまして、現在の行詰つた両国間の通商関係を打開しようというのが大きな目的でございます。又漁業問題につきましては、北洋鮭鱒漁業は、昨年はソ連沿岸より四十カイリ、本年は三十カイリまでの接近を水産庁が認めて、その沖合において操業することにしているのでございまするが、これらも今後もつと接岸できるよう話合い余地がないわけではございませんし、南千島と最も接近しておる根室地方は、ソ連の従来主張して来た領海十二カイリ論が押し通されますと、殆んど漁業はできない状況になりまするし、これらもソ連当局と十分話合えば何らかの了解がつくものと思いまして、我が沿岸漁民の生きて行ける途を打開することは可能ではないかと考える次第でございます。又北洋漁業我が国の当面する大きな経済問題として、やはり経済代表行つてソ連当局と十分に話合いをして、いわゆる両国漁業協定といつたよう正式条約締結前の便法として何かの了解に達して、これまでの行詰りを打開し、お互いの意思の疏通を図ることは、我が水産業界としましても非常に大切であり、現在政府は表向きでき得ないこういう問題を、国会或いは又民間の代表の手によつて打開できますることは、国民全体の福祉に貢献するところが非常に多いと思いましてこの決議の問題が出て来たものと考えます。ついてはこの問題は通産委員会に非常に関係が深うございますので、お諮り申上げますが、この水産中心とする日ソ貿易促進に関する件につきまして、通産委員会連合委員会を開きたいと存じまするが、如何でございますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  3. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めまして、それではさように取計らいまして、通産委員会のほうに御連絡を申上げることにいたします。つきましては連合委員会開会の日時は通産委員長と協議いたしまして決定いたしたいと存じますので、この点委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは御異議ないと認めまして、さように取計らわして頂きます。本件はこれを以て一応終りたいと思います。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  それでは只今から衆議院から送付されました輸出水産業振興に関する法律案議題に供します。  先ず本法律案につきまして提案者のほうから提案理由の御説明を承わりたいと思います。只今衆議院田口水産委員長が見えておられますので、田口委員長から提案理由の御説明を承わりたいと思います。
  6. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 只今議題となりました輸出水産業振興に関する法律案について提案理由を御説明申上げます。  輸出振興することは、我が国の最も重要なる政策一つであることは言を待たないところでありますが、なかんずく遠洋漁業の開発により水産物輸出を伸展することは、我が国地理的環境からも、又国民性の上からも適切なことであります。  併しながら輸出水産物については、時には輸入国において関税等の問題を惹起し、又国内においても変動する国際状勢に対応する調整その他の措置が必要であります。  この点に関し、特にまぐろ類輸出について業界においては自主的に努めて参つた次第でありますが、その目的を十分に果し得なかつたのであります。かかる事情等からして輸出水産物の品質の向上を図ると共に輸出水産業者組合による自主的調整によりその経営を安定し輸出水産業振興を期そうと存ずる次第であります。  次に法律案の主なる内容について御説明いたします。  先ず第一点は、まぐろ類めかじき等罐詰及び冷凍品その他輸出水産物として政令で指定した水産製品については、これが製造施設農林大臣又は都道府県知事に登録せしめることであります。  第二点は、輸出水産物を製造する者即ら輸出水産業者は、その事業の健全なる発達を図るため全国一円の輸出水産業組合を組織することができることであります。  特にこの組合輸出水産業自主的調整による経営の安定を図るため、生産過剰による過度の販売競争或いは粗悪品の濫売等が行われ、又は行われる虞れがある場合において、組合員事業経営のみならず関連産業にも重大なる影響を及ぼす虞れがあるときは、輸出水産物製造数量販売価格等を規制し、或いは製造施設の制限を行えることであります。  なおこの調整規定については、農林大臣の認可を要することにし、又農林大臣公正取引委員会の同意を得ることにいたしました。  最後に第三点として、本法の適正且つ民主的な運営を期するため十五名の委員から成る輸出水産業振興審議会を設けることにいたした次第であります。  以上簡単でありますが御説明を終ります  何とぞ慎重御審議上速かなる御賛同をお願いいたします。
  7. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 有難うございました。  本法律案についての質疑は次回に譲りたい思います。
  8. 千田正

    千田正君 ちよつとお伺いしますが、衆議院のほうでは会期延長をやるようでありまするが、参議院のほうでは議院運営委員会においていろいろ論議をされております。国会法の法文の解釈その他に対して、両院お互いに納得の上に会期延長するにあらずんばこのたびの会期延長には賛成しがたいという野党派の相当強硬な議論が繰返されておるようでありますが、只今提案なつたところの、この輸出水産業振興に関する法律案は、仮に延長しないとするならば明日しかないのでありまして、これは一体どういうふうにその法案の審議をおやりになるつもりか一応伺つておきたい。
  9. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は今朝委員長会議がありまして、衆議院で大体会期延長のことが両院の議長の話合いの上でこれは決定すべきであるのに、この話は十分なさずに議運を通して本会議上程の直前に通告を受けた、非常にこれは遺憾であるし、而もこれは第二回目のことだというので、非常に各委員長におかれましても不満の意を持つていたわけでございます。そのこと自体は配慮を十分に衆議院に申入れておるようでございますが、会期の問題、私ども昨日までは一応明日で会期が切れることと実は思つておりまして、請願陳情も、できましたならば今日上げたいというつもりで議題に供しておいたのでございますが、衆議院で事実上会期延長を強行した現状におきましては、結果的には参議院で今日明日にこれを否決しようとどういたしましようとも、自然に会期延長になることはこれは自明の理でございまして、これはやはり実質的にそういう前提に立つて、本法律案質疑は、できますならば来週に延ばしたいというつもりでさつき申上げたわけでございます。これが若し明日で切れるという十分の見通し、そういう虞れがありますならば、当然今日各委員に長くいて頂きまして、できますならば今日中に何とかしたいというつもりで昨日はあつたのでちりますが、昨日あのよう衆議院で議決されましたので、事実上会期延長は必至であるという見通しに立つて今日実は衆議院も本会議が今開会中でございますので、一応提案理由説明だけ承わりまして、来週から一回乃至二回の委員会を持つて十分質疑をいたした上で本会議に上程して行きたい、このよう考えております。その点できますならば御了解を頂きたいと思います。
  10. 青山正一

    青山正一君 一応そういうふうな前提になつておるにいたしましても、明日で会期が終りということになつておるわけなんですから、明日はやはり委員会を継続してやるというふうな建前にしておかなければいかんじやないか……。
  11. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それはそのつもりで一応考えております。これは本日散会後にそのように御了解を得まして明日午前中に委員会を開くつもりでおります。よろしうございますか。    〔「了承」と呼ぶ者あり〕
  12. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは速記を始めて下さい。  次に韓国海苔輸入に関する件を議題にいたします。  本件に関しまして清井長官も参つておりますので、只今からこの問題につきまして全海苔からの陳情から各委員にもあられたと思いますので、陳情趣旨は一応御了承得られたものとしまして、直ちにこの問題につきまして質疑をいたしたいと思います。
  14. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 海苔養殖事業というものは東京湾方面においては随分古くから行われておつて日本のいわゆる特産物として日本国内では非常な嗜好を持つておるのでありますが、近時沿岸漁業の行詰り等から浅海養殖の面に水産庁としても非常に力を入れております。従つて日本全国亘つて適地には至る所海苔養殖業が盛んになつて来ておる。これは我々沿海漁業の行詰りの一つの打開の方法として非常に喜ばしいことだと考えておる次第であります。この漁業に対して水産庁方針はどういう方針を持つておられますか、その点一つお伺いしたいと思います。
  15. 清井正

    政府委員清井正君) 只今お話がございましたが、御承知通り我々が国の水産資源全般が、沿岸漁業資源につきまして相当の問題が起りつつあるのでありまして、そのために水産庁といたしましては各方面の御協力を得て水産資源の増強或いは漁業遠洋化と申しますか等の措置を講じまして、いろいろ漁業経営の安定を図つて来ておるであります。それに関連いたしまして、内地沿岸増殖関係につきまして、殊に海苔養殖事業というものにつきましては、私どもといたしましても、これは特殊な問題でもございまするが、我が国において古くからあるこれは分野でございます。而も又沿岸において比較的中小の業者のかたがたがやつておられる、而も漁業協同組合を結成してやつておられるというようないろいろな意味におきまして、水産業といたしましてもこれが保護、助長、育成等につきまして特別の方策を各方面観点からこれをやつてもらわなければならんものだというふうに考えておるのであります。従いまして海苔の具体的な生産増殖を図るということはもとより水産業者としての海苔業者というものについての経営安定等につきましても又同様に今後私どもとしましては重視をして参らなければならんと、こういうよう考えておるのであります。
  16. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大体国内において海苔の現在生産されております数量はどの程度になつておりましようか。
  17. 清井正

    政府委員清井正君) 正確な数字につきましてはちよつと私只今数字を持合しておらないのでございますが、戦前は十四億枚と申しますか、十億枚を越す数字であつたように記憶いたしておるのでありますが、戦後その数字が下りまして、十億台を割つておるというよう状況であります。昨年は又他の諸般の関係からいろいろの事情によりまして、生産数量も割合に低目であつたということが言われるのでありまして、本年も又はつきりした数量はなかなかつかみ得ないのでありますが、やはり昨年と同程度、又はそれを前後する数字ではないかと考えておるのであります。
  18. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 このいわゆる浅草海苔と称する海苔需要は殆んど日本だけの需要だろうと私は思いますが、先年来朝鮮において日本人海苔養殖を非常にやり出した。そこで全羅南道、慶尚南道方面の南都の海岸において相当多くのものが多量に生産されて、四億枚を超えるよう状態になつてつたのです。而もこれが朝鮮人は殆んど食べないのであつて、殆んど大部分が日本内地に向けられた。それが戦後になりまして、日本人経営するのでなくて、朝鮮人経営しまして、日本に或る数量輸入されました。そこでこの海苔輸入によりまして、かよう農林省においても海苔養殖事業発展を助成し、援助してその発達を図りつつある際に、非常に安い海苔朝鮮に入つて来るということによつて生産業者価格点等において相当困難にぶつかつておる。従つて生産意欲が非常に阻害されて、折角発展ようとしておるものを、何と申しますか、阻止するような、或いは成長をとめるような結果が現われているということでありますが、水産庁としてはこれに対してどういうようなお考えを持つて見ておられますか。又それに対する措置等についての御意図を伺いたい。
  19. 清井正

    政府委員清井正君) 確かにお話通り韓国におきまする海苔生産は、曾つて日本韓国関係等よりいたしまして、専ら日本人の消費のために韓国において生産をされておるという実情であるようでありまして、韓国において生産される海苔需要は全部日本人向けのということのよう実態に動いておるということであるのであります。只今申上げました通り内地におきまする海苔生産増殖並びに海苔生産業者経営安定向上等ということにおいて、水産庁といたしましては従前においても及ばずながら努力をいたしておつたのでありますが、今後もこれについてできるだけの施策を講じて参らなければならんという基本方針に変りはないのであります。  そこで韓国海苔輸入の問題と関連いたすのでありますが、この点は私どもといたしましても只今申上げたような基本的な立場があるのでありまして、海苔輸入を検討いたす場合におきましても、その時期なり或いは数量なり、それの及ぼす内地業者に対する影響等を十分考えまして、只今私が申上げました根本方針に照して処置をしなければならんと、こういうふうに考えておるのでございます。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その御趣旨につきましての何か具体的なお考えがございましようか。韓国から輸入によつて生産業者が打撃を受けないようにという施策はどういうことをお考えですか。
  21. 清井正

    政府委員清井正君) まあ端的に申しますれば輸入をしないに越したことはないのであります。一方又需要者等関係も併せて考えなければならん点もあるかと思いますが、私ども水産庁といたしましては、やはり生産業者の問題ということを最も重点に考えなければならん問題であります。従つて、そういう観点から考えれば、韓国からの海苔輸入につきましては、これは水産業以外の別途の観点から申上げれば、いろいろ問題があるかもわからないのでありますが、私ども立場からいたしますれば、これは輸入しないということが端的に一番いい方法なのであります。私どもといたしましても、現在のところ生産業者立場は勿論、その他日韓関係におきまする漁業問題等いろいろの問題が実はあるのでありまして、そういつたような問題の観点を総合的に観察をいたしてこの問題を処理しなければならないというふうに考えておるのでありまして、水産庁といたしましては、現在のところ韓国海苔輸入についてはこれは否定的な考え方を持つておるのであります。
  22. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今長官の御意見、私も大体賛成であります。もともと戦前において日本人があそこで海苔養殖事業発展せしめた。而もこれは日本人が食べるものであるというような条件下におきましては、これは日本へ入つて来ることも当然のことであり、又持込まなければならなかつたかと思いますが、今日国情を異にした場合に、強いて日本の芽生えておる産業を圧迫してまでも入れなければならんという義理はない。殊に日韓漁業関係が、非常に日本人に対してむちやをやつておる韓国に対しては義理合いは私はないと思う。水産庁の御意見も多分そういう意味合いがありはせんかと思いますが、その点は私の考えとどうでございましようか。
  23. 清井正

    政府委員清井正君) まあ私が先ほど申上げたことは、只今秋山委員のおつしやつたことと大体同じだと思いますが、生産者立場、或いに日韓関係のいろいろな問題等考えまして、水産庁立場としては只今私が申上げた通りであります。
  24. 千田正

    千田正君 今秋山委員のお尋ねに対して、水産庁から水産庁としての方針について御説明がありましたが、具体的問題として今起つて来ておる問題は、韓国から海苔を入れるということが一つの問題になつて来ているのですが、それに対して、水産庁としては通産省側に対してこの問題について折衝した経過がありますれば御説明願いたいと思います。
  25. 清井正

    政府委員清井正君) 具体的に申上げられない点もあるのでありますが、いろいろこの問題につきましては通産省とも話合いがあります。通産省といたしましては、これは貿易振興という見地とか、いろいろな観点から韓国海苔輸入したいという希望があるのでありまして、その点につきましては、いろいろ事務的に話合いをいたした経過もあるのであります。ただ私ども意見といたしましては、只今説明申上げたよう意見でありますので、現在はそのままになつておる、こういう状態であります。
  26. 千田正

    千田正君 今年になつてから、そういうことについて通産省側との間に何か折衝なさいましたか。
  27. 清井正

    政府委員清井正君) いろいろ相談をいたしたことはございます。
  28. 千田正

    千田正君 今水産庁長官秋山委員に対するお答えはよくわかつておりますが、早く言えば、国内におけるところの海苔業者育成を図らなくてはならない立場にある水産庁でありますから、当然それをなすべきであります。併し、この貿易実態考えるというと、逆にこれは朝鮮海苔業者を保護するような結果になるような気がするのですが、こういう点については通産省から政務次官が見えておられますから、あとからお尋ねいたします。そこで私は特に水産庁長官に聞きたいのは、これは戦前、戦争中、戦後の今日又将来においてもこの問題は相当長く起きて来る問題だろうと思いますが、この際根本方針を立てないというと、毎年同じようなことを繰返すようなことになると思いますが、そういうようなことに対して水産庁としては十分に案を練つておられますか、どうですか。こういうことは毎年私は繰返されるだろうと思う。
  29. 清井正

    政府委員清井正君) 御承知通り、客観的な情勢が変らない限りは同様の問題が起ると思うのであります。従いまして、そういう問題が起りましたときには、そのときの内地海苔生産状況なり、或いは生産者状況なり、或いはその他一般的な状況等、十分いろいろな判断を私どもとしてはいたさなければならないのであります。又これも全体的に申しますれば、又別途の観点からもあろうと思うのであります。とにもかくにも、私どもといたしましては、かかる問題につきましては、やはり水産業者立場と申しますか、内地におきまするのり養殖事業振興という基本的な問題ということをしよつちゆう含みましてこの問題の解決に当らなければならない、こういうふうに実は考えておるのであります。
  30. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは通産省にも関連してどうぞ御質問を願います。
  31. 青山正一

    青山正一君 通産省からどなたかお見えになつておりましようか。
  32. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 通産省古池政務次官が来られております。なお通商局輸入課長あとから見えられるようであります。
  33. 青山正一

    青山正一君 ちよつと水産庁にお聞きしたいと思いますが、さつきから秋山委員なり千田委員からいろいろお話もあつたわけでありますが、通産省において、大体四年間の実績によつて、今年度は二百万ドルの外貨割当を十七人ですか、の輸入業者にやるという噂が飛んでおるわけですが、そういつた問題について御承知になつておりますか、どうですか、その点についてお聞きしたいと思います。
  34. 清井正

    政府委員清井正君) 詳しい数字については私も今ちよつと覚えておりませんけれども海苔輸入をいたしたいというような問題について通産省と私どものほうで事務的に話合いをしたことはございます。
  35. 青山正一

    青山正一君 その際におきまして、十七人の輸入業者のみに限つて二百万ドルの割当をやるんだ、そういうふうにお話を何か論議なさいましたか、どうですか。
  36. 清井正

    政府委員清井正君) 詳しい話の内容についてはここでちよつと御説明申上げられないのでありまするが、いろいろの問題につきまして相談をいたしておるのでございますが、先ほど私が申上げたようなことで現在はそのままになつておるという実は状況でございます。
  37. 青山正一

    青山正一君 通産省に質問申上げたいと存じますが、韓国海苔通産省のほうの側において、大体四年間の実績によつて、十七人の輸入業者外貨割当をやるんだというような噂を漏れ承わつておるのですが、その真意のほどを一つ承わりたいと思いますが……。
  38. 古池信三

    政府委員(古池信三君) それじやちよつと私から大要をお答え申上げまして、数字その他の細かい点につきましては、主管課長のほうからお答えをいたさせます。先ほど来各委員からお話がございましたが、私は海苔生産その他につきましては、その事情に明るくないのでありますから、海苔生産自体農林省の主管せられるところでありますので、これについては十分主管省としての農林省の御意見を尊重して参りたいとかよう考えております。ただ我々としましては、貿易関係主管省といたしまして、朝鮮との間の貿易はできるだけ従来の事情もあり、今後といえどもあらゆる物資について有無相通じて行きたい、隣国という関係も十分に考慮に入れて促進をして参りたいという基本方針には、毫も変りはないわけであります。ただ特に昨年来韓国との間の貿易が余り思わしくないよう事情が次々に出ておりますので、その点は甚だ遺憾に存じておりますけれども、併しできるだけさような障害も、機会あるごとに解決を将来いたしまして、輸出すべきものは輸出し、又輸入するを可とするものは、輸入して行きたいと、こういう建前をとつているわけであります。従いまして海苔輸入につきましても、これが内地生産業者、或いは又内地の一般海苔を消費する国民に及ぼす影響というようなものも十分考慮せねばなりませんから、その辺は農林省当局とも十分に御協議をいたしまして、できるならば若干の海苔輸入してもよいのではないかと、こういうよう考えで進んでおるのであります。従いまして只今御指摘になつた現在どれだけの数の海苔をどれだけの業者外貨割当をするかどうかというような問題につきましては、勿論最終的に決定したものも何もないのでありまして、ただ試案としていろいろ農林当局と折衝といいますか、お話合いをいたしておるということは、私も聞いております。併し勿論これはまだお話合いの途中でありまして、何ら結論を得ておらんように聞いておりまするので、それだけ私からお答えを申上げます。
  39. 青山正一

    青山正一君 農水産課長今の問題について……。
  40. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 今の初めの御質問は、私途中から来たのでありますが、私のほうで書きました案は二十五年から、五、六、七、八と四カ年の輸入実績をとりまして、大体それを基準にして、輸入業者——インポーターに割当をしたらどうかという案も局内で書きまして、上の方に廻わしてございます。今その段階でございまして、まだどういう方法で決定的な輸入をやるかということについては、まだ上のほうから確実な御指示を頂いていないのであります。
  41. 青山正一

    青山正一君 今仮に二百万ドルの外貨割当をする、この海苔の問題について……。そうすると海苔の枚数は大体どれくらいの数量になりますか。
  42. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) ちよつと計算して見ます。のですが、現在の国内の保有量はどれくらいあるのですか。
  43. 清井正

    政府委員清井正君) ちよつと数字をはつきり実は私のほうも正確につかみ得ないと思うのでありますが、先ほど申上げました通り生産数量が十億枚以下ではないかと、実は推定しておりますが、はつきりつかめないのであります。そこで或る程度のものは、これは生産業者国内で売つておると思います。現在手持がどれくらいと推定するかという問題になるのでありますが、ちよつと数字は確めておりません。
  44. 青山正一

    青山正一君 国内の保有量というものがわからなければ、この問題はなかなかちよつとやそつとで韓国からどれだけ輸入をしなければならないかというようなことも決定しかねる状態でありますからして、その点やはり水産庁あたりは十分これは調査をして行く必要があるのではないかと思います。ただ漏れ承わつておるところによりますと、一億五千万枚くらい保有しておるというようなことも聞いておるわけなんです。或いは二億枚あるというようなことも聞いておるわけなんですが、先ほど通産省にお聞きしたこの二百万ドルとして、大体数字は何億枚くらいになるのですか。
  45. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 二百万ドルとしまして、大体一束百枚でございますから、二億枚でございます。
  46. 青山正一

    青山正一君 そうすると一束百枚ということになりますと、一枚はどれだけですか。
  47. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 三円六十銭です。
  48. 青山正一

    青山正一君 先般の委員会におきまして、農水産課長からバターの輸入方式のようにすることも考えておるということを聞いておるわけなんですが、その気持は現在おありなんですか、どうなんでしようか、その点について承わりたいと思います。
  49. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) この前私の個人的な意見として申上げましたが、大体当時通商局の上のほうの人たちと御相談をして、その方式がいいかどうかということを申上げたのであります。最近日韓間の貿易事情から見まして、早急に問題を解決したいということで、先ほどお話申上げたような案を書いたのでございます。なお過日申上げましたように、そういうような案が通商局意見としてきまつておるわけでございません。
  50. 青山正一

    青山正一君 実は先ほどからの質問の材料は、私四月二十日に内閣へ中共の問題、或いは韓国漁業の問題について質問をしたのでありますが、その際におきまして、海苔の問題について、ちよつとお伺いしたところが、吉田総理大臣の名前で、日韓間の貿易は我が方の著しい輸出超過であり、その改善のためにできる限り韓国品の輸入を行うべきであると考えておる。海苔輸入についても目下関係省間で協議中である……、私は水産委員会の建前として、この漁村政策とか、或いはその他の李承晩ラインなどの問題も考えておりますので、只今水産庁長官お話ような意思で以て進んで行きたいのはやまやまでありますが、先ほど千田委員からお話のあつたように、ただそればかりも考えられない。これは輸入のことも考えて行かなければならんというような建前で、私今お聞きしているわけなんですが、先ほどお話のこのバターの輸入の方式のようにしたらいいのではないかと私ども考えておるわけなんですが、併しこのバターの輸入方式にいたしましても、発注権を全酪連に与えるということになると、問題が非常に多かつたというように私は聞いておるわけなんです。そういつた弊害を十分に是正しまして、例えばこの前農水産課長お話なつように、生産者団体とか、或いは問屋などに、農林省通産省の指導の下に協議会というようなものを作らせて、それに発注権を与える、そうして輸入業者には外貨の枠を全部与える、つまり輸入業者輸入の許可を与えるようにしたらどうか。それでこの調整協議会から発注権をつけて申請しなければこの輸入業者にもこれは許可しないという条件をにつきりつけちやつて、そうしてその間生産者或いは問屋或いは輸入業者、この三者が都合のいいような行き方で進んで行つたらどうかというような私は気持におちるわけなんですが、その件につきまして一つ当局の御意見を承わりたいと思います。
  51. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今提案になりましたやり方も、確かにこれは輸入一つの新らしい試みとして相当に私は考うべき問題であると思います。ただ今のところその問題につきまして事務的にも深く突つこんで検討した結果を得ておりませんので、その問題につきましては、できるならば少し時間を与えて頂いて、十分に事務的にも研究さして頂きたいと、かように存じます。
  52. 青山正一

    青山正一君 これは農水産課長が先般の委員会におきましてちよつとその片鱗、示唆を与えて頂いたので私はちよつと研究したわけでありまするからして、一つ通産省のほうでも、こうなれば恐らく三者が全部落ちつくのじやなかろうかというふうにも考えておりますので、御参考までに申上げておきます。
  53. 千田正

    千田正君 通産省課長さんに伺いたいんですが、今のお話によるというと一枚三円六十銭ということになるんですが、これが輸入業者から問屋に入り、問屋からいわゆるい需要者に入る朝鮮海苔の最終価格は一体どのくらいに見ておるのですか。
  54. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 精密に計算したものではございませんが、それが入りまして、インポーターの手数料、問屋の手数料を加えまして、大体市価で売られておりますのはその二割くらいアッフという計算と聞いておりますが、事実はもう少し高いと思いますが、事実は私たちの口に入らないものでありまして、最近は海苔を買つたことはございませんので……。
  55. 千田正

    千田正君 非常に我々が通産省の今の政務次官なり或いは課長お話を聞いていて、日韓貿易というよう観点からお考えになつておるようでありますが、我々が非常に奇異とするところは、先ほどの青山委員のお尋ねの中にありましたが、十七かそこらの輸入業者が二百万ドルという厖大な海苔輸入する、枚数から勘定すると日本のいわゆる水産業者の保有量よりは遥かに上廻る数字を外国から輸入するということになりませんか。而も相当の高い値段で最後のいわゆる需要者に入るようでありますが、そこに非常に我々が心配するのは、十七社なら十七社に限定されて入つて来る、その間のいわゆる利潤の鞘が相当大きいんじやないかという点を我々は考える。その点が一つと、それだけ保有量を上廻るだけのものが入つて来た場合に、水産業者に及ぼすところの影響がこれ又大きい。こういう観点から我々は考えて今のこの問題の起きて来た点を十分検討したいと思うのでありますが、さつき青山委員からの日韓貿易に対するところのお尋ねに対して、課長お答えは、どうも日韓貿易は最近の情勢はうまくないというので、最後に見出した点はこの海苔の問題でぶつかつて来た、こういうわけでありますが、日韓貿易はいわゆる輸出超過の状況であるということは我々は考えられるのでありますが、それが全然回収不能という立場におかれてあるんですか、その点はどうなんですか。
  56. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 先ほど政務次官から御説明があつたわけでありますが、四月十四日現在で四千二百五十九万六千二百三十七ドル二十五セント、これだけのものが輸出超過になつております。一九五三年と申しますと昨年度でありますが、昨年度韓国から決済されたものがオープン・アカウントで千二百八十六万二千九百九十八ドル、それからドルの現金で以て二千五十一万五千ドル、そのほかにポンドで二万六千ポント、これが一九五三年度分の韓国からの受取分でございます。ですからこの貿易のアンバランスになつておる部分につきまして、一部分はドル、一部分はスターリングで以て支払われておりますが、昨年の後半期になりましてから全然支払もしておりません。その結果輸出超過の勘定が溜まりまして、四千二百万程度のものが輸出超過になつておる。これにつきましては少くとも今のよう状態が続く限りにおいては、韓国としてはなかなか支払をしないのであります。少くとも現金の支払をしない、そういうよう見通しに立つております。
  57. 千田正

    千田正君 これは非常に重大な問題であつて、日韓間の外交問題が中絶しておる今日において、この裏付となるところの貿易関係は膠着状態にある、而もどうも支払を躊躇しておる、恐らく支払わないんじやなかろうかという観点に立つていろいろな案を立てられておるようでありますが、何かによつてその支払を得て、そうして収支バランスを作りたい、その目標として、そのうちの部門としての海苔を選んだ、こういうことでありますか。
  58. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 今申上げましたことにもう少し補足して申上げますと、単に輸出超過になつておるばかりではございませんで、アメリカが持つておるFOAの、或いは民間の購買資金、それから又政府が持つておるドルを民間に貸してあるわけでございますが、これもやはり現在とめておるわけでございます。もう少し具体的に申上げますと、政府のドルを民間に貸付けておる分でございますが、これは三月二十日からとめておる。それからFOAの民間購買のほうは四月三十日にとまつております。このFOAのほうはアメリカが主導権を持つておるので、これをとめるということは、少くとも日本を入札から除外するということは私たちはちよつと考えられないことでありますが、事実とまつております。ですからそのほかに韓国の民間貿易輸入方式といたしましては自由ドルというのがございまするが、これは韓国人が輸出をしましてそれで外国のドルを、外国の通貨を獲得して、これによつて外国から商品を買うということでございますが、これを一時とめるというような噂がございましたが、これはまだとまつておりません。併しこれを動かすためにはやはり韓国から物を買つてやらなくちやならない。そうしませんと向うがドルを持ちませんので、このためにやはり自由ドルも十分使えなくなるというふうなのが現状でございます。でございますから、海苔を買つたからこれらの問題がすべて解決するとは私ども考えませんけれども、少くとも今のよう状態を続ける限り現在のアンバランスは拡がろうとも縮まることはない、そういうふうに思つております。この問題につきましてはもつと全般的に市場関係課長から御説明なつたほうがいいと思いますが。私の知つておる点はこの程度でございます。
  59. 千田正

    千田正君 今のあなたの御説明は大体わかるのですが、アンバランスがこれ以上進んで行く虞れがある、だからできるだけ向うから取れるものは取つて借金の払わないかたとして一応輸入して行こう。これもまあ今の日本実情から考えられるのでしようが、そうするというと、今度日韓間の貿易というものは主として輸出は或る程度抑制しておいて、そうして輸入に重点を置いて行こうというわけですか。
  60. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) これは通産省の一般施策の問題でありますので、私から簡単に申上げかねるのでございますが、まあ私の考えで行きますとやはり或る程度バランスがとれる方法をとつて行きたい、従いましてできれば韓国から物を成るべく買う、そういう方向へ持つて行きたいと考えております。輸出をとめるということになりますと相当国内的にも問題を起すのじやないかということが憂えられますので、ここが非常にむずかしい点だ思います
  61. 千田正

    千田正君 どうも頗る、まあ通産省のかたとしての考え方は御尤もだと思うのですが、十七社に一応限定しようという考え方は、十七社そのものが輸出業者でありますか、輸入業者でありますか、或いは輸出専門ですか。
  62. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 十七社と申しましたが、これはまだ案を書きましただけで私どもの上のほうのかたの御了解も全然得ておりませんのでどういうことかわかりませんけれども……。
  63. 千田正

    千田正君 だからあなたが立案の当事者でないとすれば立案されたどなたかがいらつしやるでしようが、その点はどういうことなんですか。
  64. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは詳しいことは私も存じませんけれども、一応今問題になつておりましたのは、従来数年間に朝鮮海苔輸入した実績を持つておる業者という話だと思います。従つてその中にはほかのものもいろいろ輸入をやつておるインポーターが多いのではないか。又一、二海苔の問屋といいますか、そういう人も入つておるように聞いておりますけれども、ただ先ほども申上げましたように、何らこれは固まつたものでなく、若し輸入を許すとすればそういう従来の実績を持つた人たちに一応外貨割当てをしたらどうだろうという意味の一つの案であると、こう考えております。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 私遅く来ましたので、或いは重複をしてお尋ねをしたり御説明のあつたことを聞き漏らしておりますのでダブるかも知れませんが、今の質疑応答を聞いておりますというと、これは極めて公式論になりますけれども、従来現政府から私どもが聞いておつた通商政策の根本理念、関税政策等についてしばしば承わつておつた根本観念に何か変更でもあつたような感じを受けるのですが、政務次官にその点を一つ先ず原則的にはつきりして頂きたいと思う。と申上げまするのは、関税政策等におきましても民生の安定、国内産業の伸長という前提に立つて通商が行われ、関税政策等が講ぜられ、具体的な例としては非常に論議されました建染染料の関税をきめる場合に、国内でも相当に生産せられ、輸入の必要がないというような議論のあつた場合に、そういうよう程度のものは輸入を抑止して、どうしても国内では生産のできん部分だけを輸入をする、それも将来に向つて国内生産を伸ばさないような圧迫材料になつてはいかんから関税政策で相当国内産業を保護するということが強く指摘され、当時我々はそのものが使用せられて染つた品物が相当東南アジア方面に出て行くという形で輸出貿易考えるというと、安いものを輸入してやることが非常に必要ではないかという半面から議論をしたことがありますが、その場合にも国内産業を保護するところに非常に期待するということが前提になつて相当数の建染染料に対する高率改正が行われているということは御承知だと思います。そういうような過去のいきさつから考えますると、今の海苔の場合にはそういう基本観念を外してお考えになるのか、その基本観念というのはやはり貫かれているのかどうか、その点を一つ政策上の問題として先ずはつきりして頂きたい、こう思うのです、
  66. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今の森さんのお尋ねは誠に御尤もなことでございまして、私どもとしましては日本輸出或いは輸入に対する根本的な考え方というものは牽も変るべきではないと考えております。ただ根本方針といたしましてはその通りでありますけれども、何しろ種々雑多の品物の輸出入の関係でありますから、中には必ずしも方針通り直截簡明に行かん場合もあり得るのであります。殊に相手方とのいろいろな取引の関係上、本来ならば日本としては輸入したくないというようなものも或る場合には止むを得ず輸出の条件をよくするため、その他に関連して輸入せざるを得ないというようなことも生ずるかと思うのであります。一例を申上げまして恐縮ですが、例えば先般の日英協定のごときはその結果若干のイギリスのウイスキーであるとか、或いは羊毛製品のようなものを輸入することになつたのでありますが、これも本来の方針から言えば相当脇道にそれたもののよう考えられまするけれども、併しあの場合としてはやはり更に全般的な輸出の促進或いは貿易振興という面から止むを得ずあれを認めるというようなことになつたのでありまして、今回の海苔の場合におきましてもやはり、一体海苔そのものが果して日本国民生活の上に絶対に輸入が必要であるかどうかという議論は別といたしましても、これによつて日韓の通商関係を打開して将来大きな利益が挙がるということであれがこれ又止むを得ない措置ではなかろうかというような意味合いにおいて考えておるのでございまして、根本的な貿易に関する方針はいささかも変更すべきものではないと、かよう考えております。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、日英通商協定の場合には日本からの輸出を増進するためにはまあ好ましくない、今お話ような不要不急のものであつても或る程度これを入れなければならないという、まあバーター的なあれがあつたと思うのでありますが、今度の場合にはそういう観念に立つておるというように理解していいのか、そうだとすればその輸出される対象物資は一体どういうものが取上げられるのか、聞いておりまするところではそういうことではなくてすでに輸出をしたものの決済が非常に順調に行かんのだからその決済をするというだけのように思うのですが、それは日英通商協定を結んだ当時のような観念であると、こういうことなんですか、どつちなんですか。
  68. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 日英協商の問題を申上げましたのは、ただ一つの例といたしまして申上げたのでありまして、必ずしも今回の仮に韓国から海苔輸入するといたしましてもそれが日英協商の場合と同様だという意味で申上げたのではないのであります。ただ昨年の例を見ましても非常に輸出実績がありましても輸入は一向にない。併しこういう片貿易関係にいつまでも放つて置くということは日本としても好ましいことではなかろうと思うのでありまして、何らかの契機をつかんで将来やはり両方の貿易をバランスをとつて発展させて行くということが理想じやなかろうかと思うのであります。ただ現状そのものを見ますると、確かに輸出のほうが非常に多くて輸入が殆んどありません。その結果我が国の債権が先ほど申上げましたように四千万ドルからの焦付きになつておる、これはまあ成るたけ早く解決をして更にその基礎の上において将来両国の間に通商関係を一層緊密に発展させて行きたい、こういうのでございます。従つて今回日英協商と同じような意味のバーターの協定というようなものは具体的には実現しておりません。ただそういうようなことも心の中に置いて一応これらがその機縁になれば非常にいいことではないかと、こういうふうに考えております。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今次官の肯定された通商基本観念の国民生活の安定に寄与するという大前提国内産業発展に寄与するという前提ではなくて、別の観点に立つて今度の海苔の問題は処理をされるのだというように一応受取れるのですが、その場合に第二の前提をなす、そういう場合といえども国内生産を伸ばす必要のないというものは別でございますけれども、伸ばして行きたいというものについては国内産業に圧迫をしないという第二の前提ですね、通商上の。その前提と今度の問題をからみ合せて一体どうお考えになるのか。
  70. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今まで私が申上げましたのは、特に通産省が主管しておりまする通商という問題に重点を置いて考えて見たのでありますが、果してその場合に海苔輸入したと仮定いたしましてこれが内地海苔業者にどういうよう影響を与えるか、或いは又一般日本海苔を消費したいという国民にそれがいい影響を与えるかどうかという問題につきましては、これは主として農林省で御批判になつておることでございますから農林省の御意見も十分に尊重いたしましてその問題と通商振興という問題との調和を図るその兼合いの問題が大事であろう、こういうふうに考えております。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 その場合に、もう一遍お尋ねいたしますが、海苔輸入によつて国民生活に寄与するといいますか、消費者に安い物が入ればそれだけは潤おすことになるのですが、そういうことが海苔というものを考えた場合に、今日本の国情でとるべき方向なのか、多少国民生活には数量的には不便であつて国内産業を伸ばして行くことが重点なのか、もつと極端に申しますと、私に端的に言わしてもらうならば海苔というものは今政府の言う耐乏生活という観点から見れば必要はないと、なくてもいいのだと、これは極論でございますが、むしろ国内産業を保護育成して行くということが一〇〇%取上げられて然るべき対象の物ではないか、こう思うのです。今の次官のお話国内産業の保護と国民に、消費者に安い物を供給するという二つのことを睨んでやつて行くのだと、その睨み方が海苔というものをとらえた場合に今日本の置かれている国情から、経済上から考えた場合には、そのものを国民消費者の立場から眺めて行くという必要があるのかどうか、むしろ私はそういう観点はもう考えなくてもいいと、国内産業保護一本で行つていいこれは物資ではないか、こう思うのですが、その辺はどうですか、やはり兼合いでお考えになるのですか。
  72. 古池信三

    政府委員(古池信三君) その辺のところは非常にむずかしい、又この問題の焦点ではなかろうかと、私は思うのであります。ただこれらにつきましては私は専門の知識もありませんので十分農林省の御当局と相談をして適切なる結果を考えて行きたい。ただ私どもの役所で海苔輸入することが朝鮮との貿易振興に役立つというだけのことでこれを強く主張してもそれはやはりよろしくないので国全体を眺めて、それを輸入の問題を抑圧してでもやはり海苔生産業者を保護すべき事態であると、そのほうが適切であるという結論になればそれも結構でありましようし、又或いは逆にこの際海苔輸入してそれによつて内地生産業者にも刺激を与え、又国民がもつと海苔を欲しいという要求が強いとすればその希望を充足するほうが大事であるかどうか、或いは又只今委員お話ように現在の日本国民生活としては海苔は国産の海苔だけで十分である、それ以上はむしろこれは必需品というよりも贅沢品ではないかというお説も若しそれが現在日本としては適当であるという結論に達するならばそれも結構である、かよう考えておるのであります。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 水産庁長官にお伺いいたしますが、韓国海苔輸入することが国内生産業者の刺激材料になつて増殖が図られて行くというよう考えが持てる状況か、我々の聞いておるところでは、韓国海苔輸入国内生産業者には非常な圧迫材料になつて、却つて海苔生産を阻害するというふうに聞いておるのですが、それは一体どつちなんですか。
  74. 清井正

    政府委員清井正君) この点につきましては、先ほど森委員がおいでにならないときに各委員からいろいろ御質問があつたのでありますが、私どもといたしましては、海苔生産の確保、増強並びに海苔生産に従事する漁業者の経営の安定向上ということを考えなければならんのであります。その他韓国日本との間にあります漁業上のいろいろの問題があるのであります。いろいろの観点からいたしまして、この韓国海苔輸入の問題につきましては総合判断して行かなければならんのでありまして、現在のところ私どもといたしましては、韓国海苔輸入につきましては否定的な考えを持つておるという御返事を申上げた次第であります。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 私の聞いたのは、韓国海苔輸入ということが刺激になつて国内生産の進展が見られるというよう考えられるかどうか。今まで聞いておる私の狭い知識では逆の結果が生れるとのみ聞かされておるので、これが輸入することによつて国内業者を刺激して非常に増産になるということであれば、これは一時の困難は忍んで行くべき、又考え直して見なければならんようにも思われるのですが、そんな非常に役立つという何か考えられるものがございましようか。韓国海苔輸入国内生産業者の刺戟材料になつて、それが水産庁でも非常に奨励されておる、その奨励に拍車を加えて行くという材料になるというふうに見られるかどうかという点を端的にお聞かせ頂ければいいんです。
  76. 清井正

    政府委員清井正君) 只今も申上げました通りでございますが、やはり私ども観点といたしましては、海苔生産業者並びに海苔生産増強という観点水産庁といたしましては主といたしまして、その他のいろいろな事情を判断いたしまして、総合判断してこの問題を処理しなければならない、こういうふうに実は考えておるのであります。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、次官にもう一遍お伺いしますが、水産庁長官の話では私の質問に端的にはお答えになつておらないように思うのでございますが、これはいろいろな情勢から余りはつきり答えることは考えなければならんという思いやりからのお答えかと思いますが、拝察いたしますれば、やはり我々が理解しておるように、朝鮮海苔輸入ということは国内生産業者に圧迫材料になるということで、これが生産の刺激材料にはならないというふうに理解されるのであります。そうだとすれば、通商上の根本理念として我々が今の政府からしばしば聞かされておる、国内生産業者を保護して行くということが、止むを得ず輸入をされるといたしましても、それには十二分に考慮されなければならんというように思うのでございますが、そういうようにやつぱり通産省でもお考えになりますかどうか。
  78. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 冒頭に私も申上げたのでありますが、海苔生産事業或いは海苔の消費の関係、そういう点につきましては、私ども知識経験がありませんので、十分なことを存じておりませんから、これについてはよく農林省とも御相談を申し、ただ我々としては、特に国民生活なり、或いは国内産業に非常に大きな悪影響を与えないで、而も韓国との間の通商を軌道に乗せて行くようなことに役立ち得るものならば、その限度において考えて見ようというわけでございまして、先ほど私がちよつと申上げましたことが、或いは誤解を招いたかも知れんと思いまするが、別に私はそういう意味で申上げたのではなく、十分にそういう点も考慮に入れつつ大所高所からこの問題は処理して行くべき問題ではなかろうかと、かよう考えております。
  79. 森崎隆

    委員長森崎隆君) なおちよつと申上げますが、古池政務次官通産委員会のほうに出席しなければなりませんで、できるならば政務次官に御質疑のがあれば先にやつて頂けたらと思います。
  80. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほど森課長お話によりますと、すでにこの輸入に関する立案ができて、上司に廻しておられるというお話でございますが、そうしますというと、今の政務次官の御意見は、農林省ともともとと協議の上で適正な処置をしたいというお考えでありますが、そういう問題は前以て立案の前にそういうことにならなければならんのではないかと思うのでございますが、併しもはやその立案をされておるということになりますと、今後農林省とこの問題をよく御討議になるお考えでございましようか。従来の取扱はどいうことになつておりましようか。
  81. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この問題につきましても、従来と同様農林省関係の物資でございますから、十分に農林省と打合せしまして、両者の協議が整つた上で実行に移すようにして参りたい、かよう考えております。
  82. 青山正一

    青山正一君 古池次官が急いでおられるようなのでちよつと御質問申上げたいと思いますが、実際問題として日韓の例の輸出超過ですね、超過を、海苔にしわ寄せておるということは、これは事実なのです。海苔以外にはないのです。実際海苔にのみしわ寄せておるということは事実なのです。それで御説明は、これは国家的な建前から言えば尤も至極なことだと、私はそう思いますが、一方如何にしてこの沿岸漁業者の多数を生活させて行くかということも、やはり一つ考えて頂きたい。漁村生活を如何にするかということが、これは一番の問題なのです。例えば例を挙げて説明申上げますと、通産省の案のよう韓国海苔を、一百万ドル別当する。頂くといつた場合において、国内に実際保有しておるものは、それに匹敵するだけのものが現在あるわけです。金額にしますと約十数億になるわけです。これは課長もよくわかつておるだろうと思います。ところが韓国海苔輸入することによつて国内産の海苔は、これは一割か二割か知りませんが、下るということはこれは当り前のことだろうと思うのです。そういう点をやはり考えて、一割下ればこれは一億五千万円、二割下れば三億円というものが、沿岸漁業者は損をするという建前を一つ考えて頂きたい。そういう意味合いから前々委員会におきまして農水産課長がおつしやつておつた協議会のような形のものが非常にいいのではないか、そういう点をやはり上のほうへそういうような問題が移行されておるならば、上のほうでもそういう問題をはつきり考えて頂いて、どうしても私どもは反対なのです。水産庁長官のおつしやる通りに反対なんです。だけれども、どうしてもこれは輸入しなければならんというならば、そういう点も十分に考えて頂きたい、こういうことを切望いたしたいと思います。
  83. 千田正

    千田正君 特に僕は要望しておきたいのですが、通産省としては貿易のバランスのことを考えておるのですが、我々としましては李承晩ラインという大きな日本漁業生産に対する非常な抑圧をこうむつておる。これはもうビキニの原爆に次ぐような重大な問題です。そういう問題の片一方においては、抑圧をこうむつていながらもなお且つ韓国との間に友好なあれをやろうということを考えつつやつているのですが、これはもう通産省の首脳者は忘れては困る、我々水産関係、殊に原始産業に携つておる者についてはあそこの玄海灘におけるところの朝鮮日本との問題は単なる海苔の問題だけの話ではないのであります。この問題を解決しない限りにおいては我々は断乎としてこういう問題は承服できない。これはもう十分考えて頂きたい。もう一つ先ず第一通商協定ができておらないでしよう、実際から言つて……。そういう段階において日本海苔業者を圧迫するようなことについてはよほどこれは慎重に考えて頂きたい。特にそれは申入れておきます。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 今政務次官お話では、私はもう結論は四千万ドルの貸越を決済するための手段としてこれはおやりになるということにまあ理解をしておつたのですが、必ずしもそうではなくて、通商上の原則に立つて考え直して見てもいいというようなふうに御発言があつたのですが、そうだとすればもう少しこれは本盗的な問題に触れて研究しなければならんと思う。ただ貸越の四千万ドルがとれなくなつてしまつたのではこれは国としても大きな問題ですから、それを決済するために好ましくないものでも時によつては入れなければならない、入れるためには国内産業の圧迫にならんようにどう考えるかということを考えて行かなければならんのじやないかというふうに私は腹の中では思つている。思つているのですが、原則に立つて考え直して見てもいいという余地があるなら、これは本質上の問題をもう少し議論して見ないといかんことになつてしまうのですが、それはそれでいいのですか……。
  85. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは先ほども申上げますように当面の問題としては只今森さんのお話通りでありまして、この焦付きを何とか早く解決せんならん、日本のために非常な不利益でございますから、その一つの手段としてこれを考えの中に入れるということはお説の通りでございます。  それから千田さんのお話の点も十分我々も承知しておりましていろいろ韓国側の態度につきましては不満もあるのであります。十分その点は考慮に入れて今後の行政上の措置に当つて参りたいと思います。  それから青山さんの御意見の点は先ほども申上げましたように、まだ私も十分その内容等についで詳しく承知しておりませんので、事務的に検討いたして見ましていろいろな面から非常に良い案であるという結論に達しますならばこれも考慮して行きたいと思つております。なおそれらにつきましては農林省と十分協議いたしまして万全を期して行きたいというふうに考えております。
  86. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに政務次官に対しまする御質疑はございませんか。それでは一つ通産委員会のほうにおいでを願います。では質疑を続けます。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 今の二億枚ですか、一応の目標になつている数字は……。それがどうしても入つて来なければ国内の需給の関係から非常に困るというように見られるのかどうか。私はよく知りませんが、本年の国産数量と睨み合せて見てどういう需給推算になるのか。私の所論としては先ほど申上げましたように、海苔というものはなければなくてもいいのだ、それが非常に高くなればこれはもう経済上食わなくなつてしまつて、自然の経済現象によつて又下つて来るということで、そういう海苔価格を安定せしめ、民生に寄与せしめるなんということを考える対象物資ではないというふうに考えているのですが、これは一歩譲つてやはり海苔もなければならんものだというように折れて来た場合において、需給関係から見て入れなければどうしても足らんのかどうか、その関係はどうなんですか。
  88. 清井正

    政府委員清井正君) 需給推算と申しますとなかなかむずかしいのでございして、御承知通り主食等の問題でございますればはつきりした考え方が出るのでありますが、これは或る程度嗜好品に属するもので、あればあるだけいいという性格を持つておるのでありまして、なかなかその辺はむずかしいのでありますが、大体生産数量は先ほどもちよつと御質問があつたのでありますけれども戦前は十数億枚であつた、戦後は十億を割る数字、八億か九億くらい、昨年もその程度でしたが、本年も大体その程度のものではなかろうかと、こういうふうに一応推定をいたしておるのであります。現在は若干と申しますか、相当程度のものは生産されておりますから、若干持つておるという状態になつておるのであります。そこで果して今の二億枚が入らなければならんのかどうか、又入つたらどうかという点につきましては、私どもといたしましてはその及ぼす需給上の影響ということにつきましてはなかなかはつきりここで以てこうなるということを申上げることがむずかしい状況にあるのであります。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 私の聞いているところでは農林省の非常に熱心な奨励指導といいますか、と、業者の諸君の勤勉と相待つて、本年の生産は、今水産庁長官のおつしやるように十億を割つておるということではなくて、もう少し伸びておるというように聞いておりますが、そうだとすると、若し我々の聞いておるところが違つておりますれば画して頂きたいのでございますが、だとすれば需給推算上はそう持つて来なくてもいいんじやないか、それはお話通り嗜好品ですから、どれだけあつてもそれでいいというわけにはいかんと思います。が、これはおのずから戦前における生産数量輸入数量等の流通過程に乗つた数字から考えて行くというと、そこには一つの常識的な目安は置けると思うのですが、そう考えて行くと本年はそれほど補給をしなくても国産品で賄えるのではないかというふうに聞いておりますが、そうではないのでございましようか、その辺はどうなんでございましようか。
  90. 清井正

    政府委員清井正君) 実は海苔生産数量という問題につきましては、非常に実は甚だ私が申上げるのは工合悪いので申訳ないのでございますが、甚だつかめない。実は今年の生産状況も一時は非常によかつた、併し途中で少し悪くなつた、又回復したというよう事情がある。いろいろなニュースが私どものほうに入つてつておるわけであります。生産者方面の御意向を伺いますというと、十数億といいますか、十億を相当上廻る数字生産されておるというお話を伺つておるのであります。ところが一方流通業者方面お話を聞きますと七、八億しか生産がないということを言つておるわけであります。そこで私どもとしましてはどこをつかんでいいのか判断に苦しんでおるというのが実情であります。昨年がやはり七、八億と申しますか、十億を割つた数字である。私どもといたしましてはどちらの数字も信じて参りたいと思うのでありますが、両方ともちよつと差がありますのではつきりいたしませんが、やはり十億内外のものではなかろうかという実は推定をいたしたいのでありまして、これもそう思うという程度のことでありまして、はつきり幾らだという数字は申上げられないのであります。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 通産省の森課長にお伺いしますが、今私と次官との質疑応答をお聞きになつておりまして、次官もはつきり通商当局としての考え方を申されましたように、国内生産の圧迫ということは厳に避けて行く、そういうような通商当局の御方針で進まれる場合に、今まだ農林省と十分打合せが済んでコンクリートのものになつたわけではないということではありまするが、事務的に立案されておるものがそういう趣旨に副うものと理解されるかどうか、国内生産業者を圧迫することのないようにするのだという方針に、今通商当局のお立てになつておるものは副うと理解されるかどうか、若しそうでないとすれば、コンクリートになつたものではありませんから、今後又農林省とお打合せのときにはそういう趣旨に副うものに改変をして、打合せをし直すという心がまえになられたかどうか、その辺を一つ伺いたいと思います。
  92. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 政務次官からさつき御説明がございましたので、私が追加することはないのでありますが、通産省といたしましても国内生産業者の圧迫は避ける、そういうことは確かでございますが、別の意味で最近国内産業に対して圧迫が現われておるのであります。それはなぜかと申しますと、先ほど申上げましたが、FOAの買付の化繊が韓国側キャンセルいたされまして、従いまして輸入業者がその生産者に対して金を払い得ない、生産者のほうに金を払うのを待つてもらうというよう状況が出て来たおるのであります。従つて生産者のほうではそういう事情ならば政府がそれに対して滞貨金融なり、ほかの金融の金繰りをつけてくれという要求が出ておる。これは先ほど申上げましたが、FOAのほうの問題が海苔と結付けられるという点において多少疑問がございますけれども、たしか一つのモメントになつて一つの契機になつておるんじやないか。従いましてここは水産委員会でございますので、皆さんが生産者とおつしやるのは海苔生産されるかたというふうにお考えようでもございますが、やはり国内産業政策から見ますと、こういうことが一つのしわになつて現われておるのじやないか、こういうふうに私は考えております。  それから国内海苔生産事情ということになるとよくわからないのでありますが、少くとも値段が上りまして、今年はその程度よりも多少高目であるということで、昨年よりも総生産量は少いんじやないか。従いまして昨年百八十万ドルくらい輸入されておりますので、昨年程度のものが入りましてもそうさしたる影響生産者にあるかどうか、この点私どもはつきりいたしませんけれども、疑問に思つております。  それからもう一つは、現在生産者のかたが殆んど問屋さんに、できたものはお売りになつていらつしやる。従いまして今の段階で或る程度輸入されましてもすぐにそれが生産者に対して圧迫になるかどうか、この第三の点にいつては私は多少疑問を持つております。  それから第三点は、水産庁側から御説明願つたことでございますが、韓国海苔日本海苔とは使い途が相当違つておる、ということも言われておるのであります。そういう点については私はちよつと納得が行かんと思うのです。  それから先ほど皆さんから御提唱のありました、私たちが書いた案でございますが、これは水産庁のほうにも検討を依頼してございます。水産庁のほうも大分上のほうまで行つて御検討を願つておることと存じております。そ、れでまた両省間でどういうような結論を出すか、両方の上のかた同士のお話合いになつておりますので、私はその点についてよく存じない次第でございます。
  93. 千田正

    千田正君 今の森さんのお話の中で、生産者の圧迫になるかどうか、おかしいというようお話があつた。それは例えば生産業者は問屋に持つて行く、そういう点から言つて圧迫になるかどうか、疑問だというお話でありますが、実際そこが問題なんです。この人々は、あなたがたのいわゆる行政管轄内にあるところの商売人であつて生産者朝鮮海苔が入るか、入らないかということよりも、持つて行くというと、そういう問屋から、こんな朝鮮海苔がたくさん入るのだから、お前たちのものはもうそう買つてやらないのだ。前のような値段では買えないのだ。いつでも弱い生産業者に対してはそういう理由の下に圧迫されて、そうして一番利益を得ておるのは問屋の連中が利益を受けておる。そこでさつきあなたに質問したのは三円六十銭で仮に入つた朝鮮海苔が一体幾らで売られておるか、それが仮に五割高く売られておると言つても、その間に搾取するのは殆んどそういう問屋が搾取するのであつて、実際これは我々食べる者にとつても何らの利益にもならなけなければ、むしろ一番弱い零細漁民である海苔業者朝鮮海苔が入るというということによつて圧迫されるというところに非常ないわゆる誤差が生じて来る、我々の考え方とあなたがたの考え方と……。それをよく一つ調査して是正してもらいたいのです、そういう考えを……。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今課長お話の中に、朝鮮海苔日本海苔と使い途が違うというようなことを言われたように思うのですが、それはどういうように違うのでしようか。言葉尻をつかまえるようで何ですが、私も朝鮮におつたことがありますので、どういうふうに違うのですか。
  95. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) この前水産庁の部長がこの委員会で御説明になつたのでありますが、使い途が少し違うというようお話を承わつております。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その認識を改めてもらわないといけない。日本海苔でも使い途の違うのは幾らでもございます。日本海苔の中で、例えば焙つて食べるやつ、或いは海苔巻にするやつ、その他地方に行けば海苔だか筵だかわからないようなものもあるのですが、それは日本海苔でも朝鮮海苔でも同じです。朝鮮海苔日本海苔を区別して考えるということは本筋ではない。本筋ではないが、少くとも水産をお扱いになるかたとしてその点は私は一つ改めて考えて頂きたいと思う。そうせんと、又いろいろ考え方に違いが起つて来ますから、それは日本海苔でもいい海苔はこれは待合や料理屋で使う。そういう海苔と私どもの家庭で使う海苔とは違います。  それで先ほどもまあいろいろお尋ねしているうちに、政務次官も大分この問題について認識な得られたのじやないかと思うのだが、若し放つて置いたらこのまま森さんの立案がするすると行つてしまうのじやないかという懸念がする。併しいろいろ質問しているうちに、水産庁ともよく相談するというところまで漕ぎ付けたいということは  この委員会の収獲だと思うのですが、特に水産庁におきましても政務次官はああいうふうに言つておられますので、生産業者立場というものをよく考えられ、日本の現在の国際収支の問題もありましようから、そういう点も考えて、輸入することが必至だとすれば輸入も止むを得ない。併しこれが生産業者の圧迫にならないよう輸入方法一つ考えように、両者間で話合いを進めて頂きたい。それが我々今日いろいろ御質問したり、お願いする本筋なんです。
  97. 青山正一

    青山正一君 国会は先ほどから千田君の言うように、例えば会期延長するにしても、一応は明日でおしまいになるというわけですから、本日はこの問題を水産庁なり或いは通産省がやりやすいように当委員会で決議をして、そうして政府のやりやすいよう一つ何か考えて行つたほうがいいのじやないか、こういうふうに考えておりますが、皆様の意向を聞いて頂きたいと思います。
  98. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今青山委員から一応決議とするということの御提案がありましたが、如何でございましようか。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 私も青山委員お話に賛成でありまして、只今までの質疑を通じて感じましたことは、通商上の原則は飽くまでも守つて行く。ただ韓国との貿易上におけるバランスの関係で止むを得ず輸入する。その場合に過去において実績を持つておつた人々の要求等もあるらしく思いますので、その基本原則を貫いて行かれる……国内の零細海苔生産業者育成して、将来国内需給を達成するようなことに持つて行くためにも、この際何らかの意思表示をしておくということが、当局が仕事をするのには非常に……、仕事といいますか、今後の案を立てて行くのには非常に裨益することになると、こう理解いたしますので、別段横車を押すわけではありませんが、原則が貫かれて行くがごとき姿においてこの問題は解決されるべきであるという趣旨のものを、当然なことですからいたしますることが、問題を変なほうへ持つて行かんためにいいと思います。そういうことにお取計らいを頂きたいと思います。
  100. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今御賛成の由の御発言がありましたが、皆さん御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではその原文を作りまして、明日の十時から委員会開会いたしますから、その上でお諮りすることにいたします。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十二分散会