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1954-11-08 第19回国会 参議院 水産委員会 閉会後第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月八日(月曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員の異動 十月十二日委員森崎隆辞任につき、 その補欠として三輪貞治君を議長にお いて指名した。 十月十四日委員三輪貞治辞任につ き、その補欠として森崎隆君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            森崎  隆君            苫米地義三君   国務大臣    国 務 大 臣 安藤 正純君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁長官   清井  正君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件) ○参考人の出頭に関する件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  最初ビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。安藤国務大臣がお見えになつておりますので、その後の日米交渉経過を御説明願いたいと思います。
  3. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その後引続いて既定方針折衝はいたしておりますが、ただ岡崎外務大臣南米へ行きましたり、又続いて、アリソン大使帰米をしておつたりいたしておりますので、まあ断続いたしておるような次第であります。併し既定方針通り引続いてやつておる次第であります。岡崎外務大臣があつちへ発ちます折に、私らとも打合せをしてあちらでワシントンへ帰りに南米から岡崎君が寄つた場合に向うでも話をしてもらいたい、そのつもりだということで参りました。ワシントンでも話を岡崎君がいたしたのであります。併し結論には達しておりません。続いて行き違いにアリソン大使が行きましたので、只今アリソン氏が本国と折衝をしていることと思います。なお井口大使にもあちらでも続いて交渉するように岡崎外務大臣から打合せをして帰つて来られたそらであります。でアリソン氏もほどなくこちらへ帰られる様子ですから、そらしましたらば向うで木国のほらで打合せをして来た結果が出て来るだろうと思いますから、そらしますれば引続いて又交渉の舞台をこちらに移して、あちらはあちらでありますが、こちらも続いてやるというわけであります。一日も早く結論に達したいと思つておるのですが、そんなような行き方でまだ折衝中でありますことを御承知願いたい。
  4. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御質問ございませんか。
  5. 千田正

    千田正君 結論に達することを皆これは望んでいるのですが、一体この調子であるというと今年中に解決できそうなんですか。見通しはつきませんか。
  6. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 見通しですか。よくわかりませんが、まあ見通しとしては今年中には結論が出るだろうと思います。そんな調子であります。
  7. 千田正

    千田正君 というのは、アメリカ側では来春早々再びあの環礁地帯において実験するであろうということをときどき新聞等において発表しておることを我々は見ているものですからね。来年春早々又向う実験をするというようなことがあれば、又同じような問題が繰返されない前に、基礎的に日本立場はつきり向う側に提示しておいて、今後の問題の処置に対して日本の主張すべき点をはつきりしなければならないじやなかろうか。そういう点から言えばできるだけ早くこの問題を解決しなければいけないじやないかと我我考えるのであつて、その点の見通しを特に安藤国務大臣につけて頂いてはつきりこの問題を解決して頂きたいと、こういうわけであります。
  8. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今お話のようにこちらも考ております。今年中に大抵結論が出るだろうと思いますのですが、来年になりますと又アメリカ議会も始まりますので、議会にかけると却つて複雑になつたり、いろいろなことがあるのじやないかという傾向があり、向うでも議会前に話をきめたいというような様子が見えるのです。こちらでも今のお説の通りに来年度で又実験等が万一起るというよううな場合、前に、今度のことはきめてしまいたいと思うのであります。それでありますからその通りにこちらは急いでやるつもりです。  それから来年実験をやる場合には幾度も言つておるように、まあアメリカ領土でやつてくれ、併しそれがどうしてもできないという場合には十分な安全保障をしてくれという話はすでに持ち出しております。これもはつきり向うからどらという回答は得ておりませんが、その話はなお更に続けてやるつもりですからどうぞ御了承を願います。
  9. 千田正

    千田正君 安藤国務相の御熱心な御折衝はよくわかりますが、これは非常にこういう席上でお伺いしてよいのかどうかわかりませんけれども、若しこれが、御無礼なことであるかも知れませんが、新聞紙上に伝えられるところによるというと、いわゆる自由党内における最近の政局の問題に関連して安藤国務大臣その他の立場問題等我我心配しておるわけです。例えば新党或いはその他の問題が具体化して来るような場合において、仮に安藤国務大臣が現状のままで推進めてこの問題に取り組んで頂ければこれは有難いわけですが、そういう変化がないとは予想されないような新聞の記事でありますので、その辺の御心境は如何ですか、途中で投げられたのでは折角あなたにおすがりしておつた業者は困るでしようから…。
  10. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) この御質問ビキニ問題以外らしいから正面から春着できませんが、いろいろ私は自分所信がありますし、又その所信に向つてどう実現するかということについては自分で今考え中なんです。只今の場合においては現在のことに変動はありません。
  11. 森崎隆

    森崎隆君 今のに関連しまして、やはり始められた仕事は結末を付けて頂きたい。これはやはり安藤国務大臣の御性格からしても当然だろうと思いますが、この点は私も全面的に信頼をいたします。こういう問題だけは是非一つ信念に基いて解決をして頂きたいと強く要望しておきます。  それからここにかつおまぐろ関係漁業者協会の会長から陳情が来ておりますので、先般新聞等にも出ましたが、最初要求額は六百万ドルであつたかと思いますが、これが外務大臣のほうで三分の一の二百万ドル程度に負けるからというようなお話になつておるとか、なつておらないとかいうお話でありますが、これはどうしてお負けになつたのですか。業界その他我々としましても、これは我々の最初の二十億円程度の問題は直接、被害の極く内輪の額だと考えておるわけでありますが、これは政府の一方的な考えで、最初は当然それを上廻つておる要求をしておると言いながら、その後において負けて行くということは、どうも私としては心外だと思うわけです。こういうつかみ関係で行くのか、資料に基いて堂々と要求してがんばつて行くのか、この問題はあとから政府責任を持つて被害者に損補する場合の基本的な意義もそこに含まれておりますから、はつきりして頂きたいと思うわけであります。この二百万ドルに負けたということが事実だといたしますれば、どういう根拠に基いて対米折衝中に我々に何の相談もなく三分の一に負ける要求を始めたのかわかりませんので、御意見を伺います。
  12. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今のお話はそういうことはございません。私はそれを新聞或いは外電等を見まして、私自身もあなたと同じように非常な怪訝の感を起しましたので、岡崎君が帰つてよくその点を究明して見ましたが、そういうことは断じてないのでございます。新聞は或いは百万ドルと言つておるのが百五十万ドルになり、或いは百五十万ドルから百七十五万ドルの間できまるだろう、或いは百五十万から二百万の間できまるとか、或いはこちらから幾らでと言つて負けて要求したというような、何か外電その他で印象を与えておりますから、私は深く追及して見たんですよ、外務大臣に、向う行つてそんなことを勝手にやられちや困ると言つたら、それはとんでもないことだ、そういうようなことは決してやらないとはつきり言明しています。でありますから、あれは当時の新聞が巷間の説を伝えたことと思います。正式交渉としてはこちらから提案してあります額が基礎になつて提案しておるのであります。で、アメリカとしては、まあ幾度お話するように、あちらはそれはどういうふうに取扱いますか、日本としてはあの提案が基礎になつております、その点についての折衝なんですから、こちらからその額を負けて、改めて提案したというようなことは断じてありません。併し岡崎君ももうじき帰りますから、よく外務大臣から又お聞き取りを願いたいと思います。  それから今後岡崎君が帰りまして又日本で再交渉を始めるときにも、そういうここは私はざぜたくないと、こう思つております。  それから今千田さんからのお話であるが、私は私の立場只今変動はありません。よしんば先のことは政治界のことですから、どういうふうになるかは予測できません。たとえどういうことになりましても、私はこの問題を、官にあると民にあるとを問わず自分の主張からやつているのですから、立場どら変りましても、私自身としては努力を続けて行きたいと思います。
  13. 千田正

    千田正君 アメリカの中間選挙によつているくな外交面その他に対して変化が来たされるだろうと、これは各国でいろいろな想像をしておりますが、日本立場においてはどうか知らんけれどもアメリカ政情変化によつてこういう問題の解決に或いは影響を及ぼすというようなことはありませんか、どらですか。そういう点については政府部内において御研究になつておりましようか。
  14. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 研究と言い ましても、まだ向う政情が、選挙が終つた直後でありますし、詳しいことはよくわかりません。併しながら政府部内においては外交政策、特に日本に対する方針はそんなに変らないだろうという一般観測であります。
  15. 苫米地義三

    苫米地義三君 私一点伺いたいのですが、吉田総理が現在アメリカ行つておられるのですね。この賠償問題については事務的な交渉をやつておられますが、併し事柄が将来に亘ることであるし、賠償さえやれば実験はどんどんやつてもいいのだ、それに協力するんだというような意味にも岡崎国務大臣から言われているよへ、ですし、けれども事が非常に大きな問題でもあるし、又国際道義の点から考えて、これは非常に大きく扱つてもいい問題だと思うのです。従つて総理大臣が丁度行りている際ですからこういう問題に触れる予定でございましようか、全然総理大臣としては無関心に通るつもりでございましようか。
  16. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その点につきましては、総理大臣外遊前に閣議でも私は話をしておきましたし、更に出て前日に特別に会いまして注意をしておきました。吉田総理も、何か機会があるだろうから話はしよう、一般的のとでありますが、そういうお答えをれました。但し今アメリカ行つて、そういう話をどういう機会にどういう段取りでされるか、その具体的なことはわかりませんが、私の考えではいろいろ余剰農産物交渉とか、経済援助の話とかが出る中に、やはり一通吉田氏から話をされるのではないと思つております。
  17. 苫米地義三

    苫米地義三君 話が出るであろうというだけでなくて、こちらからそういう点について触れてもらつて、若し万止むを得ず実験をしなければならんというならば、それに対しての一切の、何といいますか災害予防施設等を講じてもらうというようなことを注文したらどうかと思うのですが、そういうことはできませんか。
  18. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) いや私は今苫米地さんの言うのと同じように考えて、出発前にその話がしてあるのですよ。併し吉田総理がどういうふうにどういう段取りでやるか、それはわかりません。それはそうでありますが、私は何とかしてそういうふうにと思つております。それから根本的に言いますと、これはどらも非常にむずかしい国際間の問題でありますが、結局国際連合国際管理の問題が米ソの間で歩み寄りがついて、何とかその国際管理の問題がきまりがつけば、そこが根本的解決点だろうと思います。御承知のように、国際管理がなおきまらないのは、結局米ソの間で基本的な考え方が違らからあの国際管理はきまらなかつたのだろう。併し幾らか歩み寄りがついて来たようですね。ですからあれが更に前進して行げば、あの辺で話がらまくなつて来ると、おのずから実験問題なども工合がよくなつて来るのではないかと思います。これは併し根本的の話ですがね。今直接には、又年々やる場合には、ビキニなどの附近で…、日本被害の及ばない所で、アメリカのことはアメリカ領土でやつてもらいたいという考えなんです。併しそれがどうしてもできんということであるならば、前々から言つているように十分な安全保障を求める、これは口を切つてもありますし、更にやるつもりなんです。
  19. 千田正

    千田正君 国内的の処置に対しましては、この間の久保山君の不幸な死亡に対してはいろいろな弔慰金その他は支払つておられるのですが、その後その他の患者であるとか、或いは直接損害を受けた漁業団体とか、そういうものに対しての国内処置は何かやつておりますか。
  20. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 患者の問題は、久保山氏にはああいう取扱をしました。ほかの患者には五十万円ずつ渡してありますが、併しこれも生活保障或いは慰藉ということは、もつと根本的に大きくやらなければならんですから、これは向うへ出してありますから、これはもう話がきまれば必ずそれは行われます。  それから融資の問題はこれもその後続いて、すでに生産関係のほらは焼津三崎のほらに先にやりました。そのほかにも生産関係のほらは更にその後融資をいたしました。未だきまらないのがそのほかの流通方面のことが、これも話がどんどんと非常に促進をし、私も非常にそれをせいております。まだその最後のところに行つておりませんけれども、これも恐らくもうここ数日間に流通関係のほらに融資することもきまるような傾向になつて来ましたから、数日間待つて下さればその辺もはつきりすると思います。
  21. 千田正

    千田正君 融資対象になるそれらに対しても、従来のやり方のようにいろいろ資産内容を調べて見たり、或いは補償の額とか、その他について相当厳重に調査した後でなければ融資してないのじやないですか。実際そうしてこうむつ損害に対してスムーズあなたがお考えになつているように、末端機関が本当に苦しい立場人たちにさつとやつているかどうかという点は頗る疑問なんですが、その点はどうでありますか。
  22. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それはそういう傾向も多少あるかも知れません。私個人としてもそんなふうに考えております。詳しいことは一つ水産庁長官からお答えして頂きたいと思います。
  23. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問の点でありますが、御承知通り融資貸金運用部の金から出ております関係上、当然融資する経路は地方公共団体を通じざるを得ないということになります。そういたしますと、やはり生産有では県でありますので県を通じまし先ず政府が県に貸して、県がその責任を持つて業者に貸す、業者に貸す場合にも、事業者には協同組合等を通して貸しますが、いわゆる協同組合に八つてない人たち、或いは地元流通業者に貸すもの等はやはり銀行を通じて貸さざるを得ないということになるのであります。そういたしますと、私こものほうといたしましてはよほど融資の問題について心配をいたしており工すけれども、やはり銀行を通じますといろいろその問題が出て来ることがあります。やはり信用を確保するためにいろいろむずかしい注文も出て来るということがあるのであります。これは私どもといたしましてはできるしけ特殊な問題でありますから、条件4を軽くして頂きたいと思つておりますけれども、やはりこれが組合系統金融でありますとまだいろいろと考られるのでありますが、銀行を通ずということになりますと、いろいろ問題が起きて参りますということけは或る程度避け得ないことだと思います。従つて貸付の或いはスピード等につきましてもいろいろ問題がありまして、私も金融機関等に連絡いたしまて、折角きまつたものは早く地元つてくれと、それから今回の貸付趣旨がそういう特別の趣旨で出てるのであるから、そういう趣旨を十分納得されてやるということをたびたび大蔵省にも連絡いたし、地元にもいろいろお願いをいまたしておるのでリます。趣旨は十分御了解願つておりまするけれども銀行より融資するものにはいろいろ保証或いは金利という問題がありまするから、これは私どもといたしましてもいろいろ流通に対する融資についても同じような問題が残つているのでありますが、そうした問題につきましても、今回の貸付趣旨のあり方を十分一つ関係金融業者のかたにも認識して頂き、同時に金融機関が貸しやすくするように関係公共団体その他の関係機関も協力しなければならんと、こう思つております。事が金融でありますのでなかなか思うようになりませんが、本来の金融趣旨に副うように私どもとしては今後十分努力して行きたい、こう考えております。
  24. 千田正

    千田正君 一つ特にお願いしたいことは、いわゆるそういう保証ができる人たち保証してもらつてやれる。或一いは銀行のほうにおいて、資産内容が十分であれば、問題の対象になつてスムーズに借りられる。そういうところはいいでしよう。併しそういうところでないところは、実際ビキニ損害を受けてもスムーズに国の対象方針対象になつてすぐに借りられない。こういうことのないような方法がないかということを我々は考えるのです。その品折角まあビキニ被害に対して国内の対策は考える、だけれどもいつもその対象になるのは、金があり、資産があり、そうして相当の信用があるものはすぐ借りられる、併し実際信用がなくて、乾坤一擲に仕事をやつたのが、遂にビキニの問題に引つかかつた、次の段階に借りられるとしても、銀行にも信用がないのだというような人たちは、一体どうしたならば、こういう問題の、いわゆる被害をこうむつたものが立ち上れるか、いつまでたつても救われないのじやないか、そういう点を我々は心配するのであります。その点に対する方針が何かあるかということをと更に私は伺つておきたいと思います。
  25. 清井正

    説明員清井正君) 御質問の御趣旨は一誠に御尤もでありまして、私どもも何とかいたさなければならんと思うのであります。併し実際金融をいたして参りますと、やはり金融である以上は信用力が問題になりますので、結局は本当に困つておられるかたよりも、かたよりもというと語弊がありますが、とにかく金融という方面から考えまして、本当に金融を受けなければならん部分に行くことが不十分だということは確かにあることだと思います。我々といたしましては、普通の金融の場合には、組合員であれば組合でやりますとか、或いは共同で審査するとか、或いは共同保証とかいろいろ立法等がありますし、立法がない場合でもそういうら方法でやりまして、やはり個人信用じやなくて共同信用ということでやらなければ方法がないのであります。今回の場合におきましても、個個の場合、いろいろ系統金融機関を通じます場合にはそういう方法を講じているわけであります。併しなかなか思うようらに行かない点もあるわけでありますことは、これはビキニの問題のみならず一般融資についても言われることであります。私どもといたしましては、将来の漁業金融についても考えて行かなければならんというような重要な部面をあると考えております。差当りビキニの問題につきましても、いろいろ問題があるわけであります。この点は十分今後いろいろ研究して行かなければならんと思います。
  26. 千田正

    千田正君 まあビキニの灰は貧富の差なくやつて来ますから、その点を考えて頂きたい、その点だけを申上げておきます。
  27. 小林孝平

    ○)委員長小林孝平君) この際ちよつとお諾りいたします。ビキニ被爆事件に」関する問題は、当委員会としても慎重審議して参つたのでありますが、未だこの対米折衝結論に達しないし、又今までの外務当局折衝等経過を見て参りますと、当委員会としても甚だ不満でもあり、又納得の行かない点が多々あつたわけであります。そこでこの際更にこの問題につきまして、国際法並びに民法関係専門学者参考人として出席を求めまして、これに関する意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御異議ないと認めまして、それならば参考人といたしましては、一橋大学法学部教授大平善梧、愛知大学校経学部教授入江啓四郎東京大学法学部助教授加藤一郎東北大学法学部助教授小田滋、以上の四君を参考人といたしましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御異議ないと認めます。それならばこの参考人意見を聴取いたします。  委員会は十日の日に開会いたしたいと一思いますが、御異議ございませんか、午前十時から開会いたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御異議ないと認めまして以上のように決定いたしまして、必要な手続をとりたいと存じます。
  31. 青山正一

    青山正一君 さつきの千田委員の問題に関連して、ちよつと長官からお聞きいたしたいと思います。  今まで流通面に対しては相当の被害を与えたということは、これは事実だと思います。これは事実に対しては何とか解決してやらなければならん。というのは、これははつきりした理窟でありますからして、今までの分に対してはこれははつきりして行かなければならんと思いますが、恐らく今後は流通面に対する問題、だんだん少くなつて行こうと思いますし、殆んどなくなつて行きはしないかと私はそう考えるわけなんですが、ただ生産面に対する問題は、例えばこの間千田会員と同道いたしまして高知県あたりヘ行きましたのですが、室戸市とか或いは室戸港、町とかいうような、いわゆるかつおまぐろの基地におきまして相当廃棄されておるものがあるわけなんですが、それに対する補償というものが非常につまり十分ではないと、例えば焼津とか或いは塩釜とか、三崎とかそういうものに比べて十分でないということを地元の人から承わつたわけなんです。そこでそういう点は十分調査なすつておられるかどうかという問題と、それからもら一つは、これからこらして廃棄される面が非常に多いわけなんですが、廃棄されるごとに、いわゆる国内的に、そのときの時価で換算して、その場で何か払つてやるというふうな形式で進んで行くわけに行きませんですか、どうですか、その点について伺いたい。
  32. 清井正

    説明員清井正君) 廃棄の問題でございますが、これは私どもといたしましてもこの問題は一番関心を持たざるを得ない問題であります。成るほど流通業者のほらの損害等も無論あつたわけでありまして、これに対する措置をいたしているわけでありますが、未だに検査の結果廃棄している魚があるわけでして、そういたしますと、廃棄いたしましたことによつて漁業者自身が非常な損害をこらむります。文それが人気となつて魚価にも影響する、或いは廃棄しなかつたものについても無論下つて参りますし、その他一般廃棄のために経費を要する等もありますので、私どもといたしましては、この問題がまぐろ漁業のみならずいわゆる漁業一般に非常な影響を与えつつあることを非常に心配をいたしておるのであります。これに対する補償につきましては、御承知通り、毎回厚生省を通じて報告を受けまして、逐一個々の船舶、廃棄数量について、個々に計算をいたしております。それでその都度重ねてアメリカのほらに数字を提出いたしております。それで前二回にはそのアメリカ側に出しております数字の一部を前渡しをいたしましたことは御承知通りでございまして、前二回やつております。引続き廃棄いたしたものにつきまして、計数を整理いたしまして、私のほらで逐次出しておりまして、これはいずれ補償がきまりますれば、その中より私どもが計算しました数字によりまして、それぞれの業者に渡るというふうに考えておるのであります。  それからその場ですぐ何か支出する方法はないか、こういうことでございますが、これはちよつと現状ではむずかしいかと思うのであります。というのは、これは元来がアメリカの行為に対する補償要求をいたしておるのでありまして、実際問題といたしまして、仮にそれを政府で内払いをいたすといたしましても、実際上計算に実は相当時間がかかるのであります。相当そのときの時価、或いはいろいろ調べて見なければなりませんし、又一々業界の言うことそのままとるわけに行かないので、或る程度調査をしなければならんと思うのです。そういうような事務的な手続も相当暇がかかるようでございまして、実際上今まで私どもがそれを計算するのにも、相当実は暇がかかつておるような状況でありまして、これをすぐその場で渡すということも実はちよつとできないというような感じがいたします。又金を出す手続からいたしましても、必ず出るということは予想できないのでありまして、出たらやるという建前でありますので、そういつたようなことからいたしまして、ちよつと現状では出た場合にすぐ何らかの措置をするということは困難だろうというふうに考えております。
  33. 青山正一

    青山正一君 大体まぐろの基地というものは日本に何カ所かということで、大体きまつておるわけであります。そうすれば、こらいつた、その水爆の実験とか、或いは原爆の実験がある際におきまして、そのまぐろの基地には、農林省の役人なり、或いはそれを県の役人が代行して行つても結構なわけですが、それを或いは厚生省の役人も行つておるわけですが、大体時価というものはわかつておる、或いは時価の一割引なり、或いは二割引で換算しても、これは結構じやないかと思うんですが、そういつた水爆実験とか、或いは原爆実験影響によつて被害を受けて、これは廃棄しなければならん、その数量はこれだけある、時価はこらというふうなことがはつきりわかつておれば、これは当然国内的に措置をやるのが当然だと思うんですが、別にその調査とか何とかいうことは、その場できめて行けばいいわけであつて、そこを窮屈にあとから考えるから、そのときの時価はどうだこらだというふうなことでいろいろ問題になるわわけですが、その場できめて行けば別に僕は大したことはないと思います。又そうしなければ恐らく漁業者といえども安全に操業するというような気がまえにならんと思うのです。今後やつばり例えば水爆の実験とか、或いは原爆の実験が今後あるということを予想されるならば、そういうふうな手配をはつきり用いて行かない限りは、今後のいろいろの折衝過程において、又今までの二の舞をずつと永久的に続けて行かなければならん。それでは解決方法がいつまでたつても出て来ない、こういうことになりやしませんか。そういう点なんですが、私の言うのは……。
  34. 清井正

    説明員清井正君) 御心配の点はよくわかるのでありまして、私どもといたしましても、これがずつと続くということが非常な影響を及ぼしておるということについて一番心配はいたしておるのであります。従つてこういうような被害の予防措置、或いはそれに関連してとられなければならん措置につきましては、私どもも十分今考えて大蔵省と相談をいたしておるのでありますが、ただ出た場合に成るべく早く関係者に損害を与えないという意味において国で措置するという問題になりまするというと、これはちよつと観点を別にして考えなければならん問題であろうと思います。御指摘の点は十分わかるのでありまして、さような問題について被害を受けた業者に成るべく被害を早く復元させるという意味で、国が早く措置をとるということがいいのでありますけれども、さりとて現在の関係からいたしますれば、無論只今損害の結果をアメリカ要求し、同時に内払いするためには、これを予備費として支出するために相当な手続をいたします。支出いたしますのは国費であります関係上、支出の方法その他につきましているく問題がございますので、御趣旨はよくわかりますが、すぐそれについて国費の一部を支出するということは、ちよつと今の状況では困難と考えるのであります。併しながら御質問の御趣旨にあるところは、十分了承できるのでありまして、私どもといたしましても、努めてこの問題につきまして善処いたしたいと考えるのであります。   —————————————
  35. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 次は先般台風よる被害状況の視察に当委員会として出張いたしまして調査をいたしたのでありますが、その調査の結果の報告をお願いいたしたいと存じます。
  36. 森崎隆

    森崎隆君 四国方面に参りました第一班の調査を代りまして御報告申したいと思います。  第一班は去る十月十三日東京を出発いたしまして、一週間に亘り岡山、香川、愛媛の三県下の本年度台風被害の状況を調査いたしたのでありますが、今回は特に被害の現状を見ることに重点を置きました関係上、県下全体の模様は一時間乃至一時間半程度で以て県当局から説明を聞きまして、その他は時間の許す限り現場を見て廻り、その先々で関係町村長や漁業協同組合関係のかたがたの陳情や説明を聴取いたした次第でございます。  先ず岡山県では片上湾一帯の伊里、日生附近の漁業及びその沖合の島を廻りまして、百三十七統が全滅したという枡網の状況を見て廻りました。  香川県では第一日に女木島、男木島、豊島、小豊島、小豆島一帯を視察いたしまして、第二日は沿岸被害地を自動車で見て廻り、荘内村から船で伊吹島の惨状を見て、観音寺町に一泊いたしました。  愛媛県では県境の川之江町から沿岸地帯をずつと自動車で見て廻りまして、翌日八幡浜市では船で附近の川上村、真穴村、三木生村、三瓶町等の被害現場を視察いたしました。  以上我々は時間の許す限り、できるだけ広範囲に現地視察を行なつたのでありますが、併し限られた日程でありますので、なお多くの被害地を見ることが不可能であつたことは甚だ遺憾に存じます。  きて現場の模様でありますが、一口に「惨憺たる有様」という一語に尽きるのでありまして、先ず漁港について申上げますと、いずれも第一種、第二種程度の漁港が多く、極めて小規模でありまして、今回のような強力な台風には到底堪え得ないという印象を強くいたしました。多くの漁港は全く跡形もないものが多く、これが復旧には容易ならんものがあると思われます。そこでかかる惨状を呈するに至つた原因について我々は次のごとく見たのであります。  その第一は、勿論今回の被害が各県とも平均三十乃至三十五メートル、瞬間風速四十メートルにも達した強力な台風であつたことによるのは言うまでもありませんが、初めに十二号台風が東から来て東側の漁港がやられまして、次に十五号台風が西から来て西側の漁港がやられたわけで、島嶼部にしましても半島地帯にしましても、全部が被害をこうむつているのが特に目立つ現象であります。殊に十五号台風は非常に風足が早く、避難準備をする暇さえなかつた模様でありまして、我々が誠に遺憾に思いますことは、かような際にいつも全島が停電をいたしましてラジオが聞けなくなることで、風足が早いのと、停電で台風の情報がキヤツチできず、漁民は全く手の施しようがなかつたようであります。  第二は、先年起つた南海地震によつて瀬戸内海一帯の地盤沈下が起り、現在岡山、香川、愛媛方面は一メートル乃至一メートル五十の大幅な沈下を来たしております。このために防波堤が平常の満潮時においてすら水面から没するものが多いようでありまして、これに強力な台風が来たものでありますから、一たまりもなかつたわけであります。一部の漁港では、旧防波堤の上に一メートル程度の継ぎ足し工事をしているものもありましたが、それも間に合せ的な工事が多く、殆んどが共倒れに倒壊してしまつている有様でありました。  次に第三といたしましては、護岸又は防波堤の工事が極めてお粗末であつたことが痛感されました。三カ年計画で最近完成した防波堤の決潰個所を見ましたが、内部のコンクリートが完全に固まつておらず、手でさわりましてもぼろぼろの砂だけが指の間から落ちるような状況で、恐らくセメントの混合率が悪いのじやないかという点も見出されたのであります。その他古く施工した堤防などコンクリートを使つていないものは内面を波浪に洗われまして殆んどが崩壊してしまつた模様であります。  その他挙げればなお幾多の理由はありましようが、このようにして岡山県は漁港の被害七十三カ所、被害総領五千七百六十余万円、香川県が漁港六十九カ所、二億八十余万円、愛媛県が五百八十一カ所、六億四千六百十余万円の被害をこうむつた次第であります。  さてこれが復旧事業でありますが、災害復旧は御承知のように原形復旧という一つの条件がきまつております。併し今回の場合地盤沈下を無視した原形復旧では全く意味がないのでありまして、この地盤沈下を十分考慮に入れた改良復旧が絶対に必要であることは言を待たないところでございます。又工事に当つては、石を積み上げただけの護岸や防波堤であつては、又次の台風で崩壊することは明瞭でございまして、国家経済の上から見ましても、又漁民の経営安定の点から見ましても、コンクリートで固めた堅牢な永久的な漁港施設を完成してやることが長い目で見て国家的に有利であろうと思います。これらの点は、今後復旧事業を進めるに当りまして、強く政府要求しなければならない点と考えております。  次に漁船の被害でありまするが、今申上げましたように、漁港が殆んど破壊されてしまつておりますので、港内にあつた漁船が全滅の憂き目を見たことは言うまでもございません。  元来、瀬戸内海の漁業は極めて零細なものが多く、その殆んどは一、ニトン乃至四、五トン程度の小さな漁船でありまして、これが漁港内で木つ葉微塵にやられておりまして、そのまま薪になるような程度に粉砕されておるものばかりであります。この小さな漁船で日々の生活をたてておりますので、多くの漁民は荘然自失、なすところを知らない有様であります。従つて、一日も早く繋ぎ資金の融資を受けたい、何とか政府から救援の手を差延べてもらいたいという陳情が各地で一ぱいでありました。現場の模様から、我々も一日も早く融資の途を講じてやらなければならんことを痛感いたした次第であります。  漁船の被害は岡山県が千六百七十八隻、被害金額五千四十余万円、香川県が四百七十六隻で六千二百九十万円、愛媛県が三千六百四十二隻で一億七千八百八十九万円であります。これは全壊或いは一部損傷を合計したものでありまするが、この数字から見て、漁船が如何に小型であるかがわかると思うのであります。  漁船の災害状況を見まして我々が深く考えさせられたことは、漁船災害補償法、即ち漁船保険の実情であります。三県の加入状況を調べて見ますと、いずれも二割前後でありまして、残る八割前後は加入いたしておりません。そこで今回の場合、二割程度は何ほどかの保険金を得られるといたしまして、残る人たちは現金入手の方法がありません。これは又大きな社会問題でありますから、国がこれを放置しておくわけには参りません。融資の利子補給とか損失補償とか、そこに相当な救済措置を講じなければならないことは当然であります。ところが今後漁船保険がどの程度伸びるかについては、その担当係官も極めて悲観的でありまして、今度の打撃で或る程度加入者が殖えることは間違いございますまいが、それにしましても、このままでは限度がある。従つて、今後台風で被害を受けるたびに、加入していない者を国が救済して行かなければならないとすれば、漁船保険に入るも入らないも同じであるという結果を保険制度自体に考えざせられますので、この点我々は再検討をする必要があろうと考えられます。  そこで漁船保険制度を撤廃してしまつてすべて災害のたびごとに国が特別な救済措置を講じて行くか、或いは又この際漁船保険制度を完全なものに拡充強化してこれ一本で救済して行くか、どちらかに徹底して行かなければならない段階に来ておるのではないかと考えられます。我々といたしましては、この場合保険制度を完全なものにしまして、これで根本的な災害対策を確立して行くことが最も妥当であるという結論に達しておる次第でございます。  その具体策といたしましては、先ず第一段階として現在行われておる二十トン未満の決議による義務加入に対しまして国が純保険料の五割を補助しているのを七割五分に引上げ、二十トン未満を全部強制加入に改めることが必要ではないかと思います。このことは会合の席でどこでも組合長や或いは県当局等に質問して見ましたのでございますが、いずれも異口同音に賛意を表している次第でありまして、是非とも実現してもらいたいと強く要望する次第であります。  今仮に国の負担を見ますと、全国的に見て全漁船の三割余加入しておりまするが、これで政府の負担は七千万円に過ぎませんし、二十トン未満が全部加入するといたしまして政府負担は僅かに一億五千万円程度しか増加しないわけであります。全部で二億円余り只今の負担でしかありません。これを農業災害補償法の負担率と比較して見ますと、昭和二十八年度、これは推定数字でありまするが、掛金の負担率は農家が四割一分、国庫が五割九分、大体四、六の割合で負担しております。更にこれは掛金の負担でありますが、保険金に対する国庫の赤字補喧が莫大なものでありまして、これを加算いたしますると二十八年度推計で農家負担は一割七分四厘、国庫負担は八割二分六厘となり、而もその金額は国庫負担二百四十一億余万円の莫大なものとなつております。我々はこれらの点を比較して見ましても漁船保険制度拡充のために国の負担が一億五千万程度や二億円程度殖えるのは何ら問題ではないと信ずるものであります。皆さんと共に今後十分検討を加えて見たいと存ずる次第であります。  次に漁網の被害を金額だけ申上げますと、岡山県が七千四百七十余万円、香川県が千百余万円、愛媛県が九千二百万円でいずれも緊急融資の必要を強く訴えて参りました。  以上が大体の実情でありますが、これに対して地元側としては、救済の立法措置、繋ぎ融資、本年の台風災害に対する救済方針の閣議決定、地盤沈下対策の確立その他いろいろ強い要望がありましたが、その大要はすでに御承知のことと存じますので、詳細は添付書類によつて御覧を願いたいと思います。  なお最後に一言しておきたいことは、地元漁業組合融資受入態勢の問題であります。地元漁業協同組合は総出資額が五万円、七万五千円といつた極めて微力なものがたくさんありまして、もとよりそのままでは金融対象とはなり得ないのであります。そこで我々は、先ず各組合ごとに漁獲から天引貯金をして借入金の返済ができ得るような態勢を整えるべきであり、又県当局や県漁連はそれを積極的に指導推進すべきであることを強調して参りました。大体その方針で進むようであります。  以上簡単でございまするが、第一班の報告を終りたいと思います。なおこの報告に関連いたしまして御質問をいろいろ申上げたいのでございまするが、是非こういう台風災害へその他の基本的な問題につきましては、私といたしましては加藤国務相並びに農林大臣から直接御答弁を願いたいと思いますので、次回には是非とも両大臣の出席委員長におかれまして手配をして頂きまして質問をいたしたいと思います。質疑は次回に譲ります。
  37. 千田正

    千田正君 第二班の調査報告を申上げます。  今般、青山理事と私の両名は院議にまりまして、兵庫、徳島、高知の三県につきまして本年度台風による水産関係災害並びに水産事情調査のため派遣せられましたことにつきまして御報告申上げます。  一行は去る十月二十二日東京を出発いたし、一週間に亘り高知県、徳島県、兵庫県の順序に三県を歴訪いたしまして調査いたしましたのでありますが、これら三県の災害並びに水産事情につきまして順次申上げます。なお詳細につきましては時間もございませんので、別途資料によつて御覧願いたいと存じますが、今主なる点について申上げます。  先ず高知県について申上げます。高知県におきましては建当局並びに県漁連代表者を含め災害の甚大であつた宿毛市、清水市、須崎市及び吉川村等の地元業者代表から説明並びに要望を聴取いたしました後引続きまして吉川、赤岡、安田、室戸室戸岬、椎名、佐喜浜、野根等の町村に亘り現地を視察いたしました。高知県は本年五号台風以来、十二号、十四号、十五号と連続的に来襲した猛烈な台風によりまして甚大な被害を受け、特に太平洋に面しました水産関係公共施設、漁船、漁具等の被害は過去にその例を見ない甚大なものであつたのであります。水産関係被害の額は五号台風から十五号台風までを合計いたしますと、漁港施設被害七十港、被害金額五億二千七百万円に及び、漁港の大半が壊滅の状態であります。漁船一千五十八隻、被害金額三千九百万円、漁具、船具等二百四十五件、六千三百万円の被害額となつております。その他沿岸零細漁家、家屋、共同施設、養殖施設、増殖場、養殖物、製品類等を加えますと、水産関係被害総額は七億四千九百三十八万六千円に上つております。これら災害の復旧措置について県並びに地元関係当局において鋭意努力中であるが、特に次のことを要望いたしております。一、公共漁港施設については、査定後緊急復旧費として交付金決定までに相当の日数を要し、又従来の例から見て当年度は被害額の二割程度にとどまり、残余の復旧には数年を要する状況であるが、緊急復旧が必要であるので、この際政府資金による特別融資措置の促進並びに大幅な枠の設定を要望する。二、施設の早期復旧を期するためには国庫金が早期に交付せられることを要望する。三、特に十五号台風による漁船、漁具の被害は過去に例を見ないほど甚大であるので、漁船の復旧については漁船保険の利用のみでは到底及ぱないので、漁具の購入資金をも含めて特別立法による融資の途を講じられたい。又県としても取りあえず一千万円を県の漁信連に預託して融資に努力しているが、更にこの点に関しましては、今回の被害に対する繋ぎ融資として漁信連に一千万円程度にては甚だ僅少なるため、更に県は二千万円程度を追加して預託するよう青山千田、両名より強く知事に対して要望いたしましたところ、知事もこれを諒とせられました。又県として預託を増額するためにも特別立法につきましては速かに閣議において方針を決定せられるよう要望がありました。  その他本県は地曳漁業が重要な漁業であるので、地曳網代の荒廃漁場の復旧、障害物除去についても国庫の助成を要望するとのことであります。  これら災害関係の要望に関連しまして、更に困窮している沿岸漁業振興救済のために必要な措置として特に次のごとき要望がありました。一、沿岸つり漁業の振興策並びに底曳網漁業侵入防止対策として、高知県は毎年県費助成三百万円を以て築磯設置を実施しているが、地方財政の現状では十分の効果を挙げることができないので、瀬戸内海地区において実施せられているものと同様、国庫助成の措置を要望する。二、漁業災害補償制度を早急に確立せられたい。三、中小漁業信用基金制度において保険料の国庫負担、利子補給等を講じられたい。四、漁業取締について県の監視船一隻のみでは取締が困難であり、且つ維持費にも困難があるので、国自体による漁業取締の強化と、地方監視船の維持費の助成を要望する。五、沿岸漁業の転換策として五十トン未満のかつおまぐろ漁業の大臣許可制限は廃止せられたい。六、漁業経営の困窮の折柄漁業用燃油の輸入関税は今後も免除せられたい。  次に室戸及び室戸岬におきましては、かつおまぐろ漁船の根拠地でもあり、全国に亘り多数の同関係業者を出している関係上、米国の水爆実験による損害並びにその対策について活機な要望がありましたが、高知県としては放射能汚染によつて漁獲物を廃棄した漁船の損害は四月から九月までの間に百三十隻、三万三千六百四十二貫、約一億円余、魚価の低落によるもの事件後三カ月の損害四億八千五百万円、合計約六億円の損害であつて関係業者の窮状はますます逼迫しているので、政府において早急に適切な対策を講じられたいとして、実験禁止、早急な賠償補償の実施、長期金融措置、並びに汚染海域の調査等につき強い要望がありました。  次に徳島県について申上げます。高知県から引続き徳島県に入り、鞆奥町、牟岐町、日和町等の現地の状況を視察いたし、県当局、地元市町村並びに水産関係代表者から説明、協議がありましたが、徳島県は十二号、十四号及び十五号の台風により被害を受けておりますが、水産関係としましては、漁港施設三十五港、四千九百四十四万円、共同施設八十件、三百九万円、漁船二百四十七隻、七百六万九千円、漁具及び副漁具八百七十四万円、養殖施設八百二十三万円、養殖物一千八百七十万円、その他二百四十一万円等、総合計九千七百七十一万一千円の被害額となつております。  これらの災害復旧に必要な措置として、一、復旧のため特別立法又は農林漁業金融公庫の低利且つ長期融資枠の拡大。二、農林漁業資金の既存施設の被害に対する利子償還の延期。三、罹災者に対する減免税の措置。四、復旧に要する繋ぎ資金の早期融資措置。五、漁船保険の現地査定による早期支払。六、気象通信網の早期整備。等について実現方の要望がありました。  又一般水産問題として、小型機船底曳網漁業の整理転換について徳島県として七は困難を克服して逐年整理を行い、本年度を以て国の示す整理目標を達成することになつているが、最近他の県において既定方針通り完遂せず、一部計画を中止することについて検討されているとのこ兵、あるが、一部府県のみの犠牲に終ることのないように、国の既定方針通り速かに整理を完了し内海漁業秩序の回復を図られたいとの要望がありました。  次に徳島県北部海区の底曳網漁業は夏秋の「えび」を捕獲して生活しているのであるが、本年は台風の被害のみならず、えびの繁殖が殆んどなく、最盛期に入つているえび漁業は不振の極に達し、漁民は生活の恐怖に襲われている、このえびが激減したことは、農薬の毒性が原因となつていると思われるので、至急に被害対策を確立し、補償の途を開かれたい。農薬は国、地方等の奨励補助政策によつて使用されているものであるから、水産業がその犠牲に甘んずる必要はないとの趣旨の陳情がありました。同様趣旨の陳情は兵庫県においてもありましたが、農薬の水産資源に及ぼす被害並びにこれが対策の樹立に関し政府は早急に措置を講ずる必要があると考えられます。  最後に兵庫県について申上げます。兵庫県下におきまして、水産関係被害が甚大でありましたのは、淡路島西岸並びに本土の播磨海区沿岸でありますが、福良町、鳥飼村、郡家町、明石市、御津町等の現地視察を行い、県並びに地元代表者から説明を聞き協議いたしました。十二号から十五号までの台風による水産関係被害を総合いたしますと、人的被害七名、漁家二百六十三戸、一千百三十四万五千円、漁港二十港、七千六百万円、共同施設四百九万九千円、非共同施設五百二十四万円、漁船六百十二隻、八百八十一万七千円、漁具六千四百十一万二千円、養殖関係百四十七万円、その他を合せて総合計一億六千八十六万九千円となつております。  復旧につきましては、一般金融ベースに乗りがたい漁業関係としては、災害復旧の融資を通常の方法によつて期待することは困難でありますので、財政支田による資金源の確保を図り、その損矢補償並びに利子補給を行うことを目的とする適切な立法措置を講ぜられたいというのが災害復旧に関する主たる要望でありました。  一般水産問題についても要望がありましたが、主なるものを申上げますと、一、漁船保険における国庫の負担率を現行法による五割を八割に引上げられたい。二、漁船損害補償法による指定猟船の範囲を日本海沿海における重要徳業である底曳漁船においても国庫負担の恩恵を受けられるように少くとも二十トンを五十トンまでに引上げるよう措置せられたい。三、農業と同様水産業についても政府の事業として改良普及員制度を設定し、国庫助成の途を講ぜられたい。四、漁場の拡張と過剰漁撈力の解決のため、県外出漁を奨励しているが、特に海外漁業移民を国において組織的に施策実行されたい。この要望がありましたが、特に兵庫県として特殊な問題として黄燐弾引揚げについて強い要望がありました。簡単に御説明申上げますと、本年七月中側に県下の姫路市及び担保郡御津町の底曳漁業者の間に集団的に黄燐弾によるびらん症病が発生し、現在約百名の罹患者を出しておりますが、これは終戦後軍需用弾薬約二万トンが播磨灘沿岸漁場に放棄せられ、最近その弾体が腐蝕し、内容物の黄燐が漏出したのが原因でありまして、そのために約三十平方キロメートルに亘る漁場が操業不能となつており、今後イペリットの漏出も予想せられ、これらの毒性は定着性の漁介類、稚魚等水産資源に悪影響を及ぼし、現に漁業者の漁獲減は五割に上つており、今後危険は拡大の予想で。ありますから、危険水域内の投棄弾薬類の引揚げを国が実施するよう、格段の配慮を煩わしたいとの趣旨でありました。  以上三県の状況につきまして概況を申上げましたが、今般被害をこうむりましたこれら地域の漁民は、殆んど零細漁民でありまして、而も関係漁民は極めて多数でありまして、その復旧につきましては、地元の要望にもありますごとく、格別の措置が必要であると考えられますので、委員各位の何分の御検伏討御協力をお願いいたす次第でございます。  以上御報告申上げます。
  38. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 何か御報告に御質疑はございませんか。
  39. 千田正

    千田正君 今日は時間もありませんので、日を改めまして又。
  40. 小林孝平

    委員長小林孝平君) じや本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会