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1954-09-21 第19回国会 参議院 水産委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十一日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員松澤兼人君及び森崎隆君辞任 につき、その補欠として天田勝正君及 び小笠原二三男君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事      千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君           小笠原二三男君            天田 勝正君   国務大臣    国 務 大 臣 安藤 正純君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君   説明員    水産庁長官   清井  正君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件)  (北洋漁業に関する件)   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  最初ビキニ被爆事件に関する件を議題に供します只今宅藤国務大臣がお見えになつておりますので、安藤国務大臣から賠償問題に関するその後の経過を御説明願いたいと思います。この点につきましてその後の経過安藤国務大臣から御説明を願いたいと存じますが、この際特に一つお尋ねいたしたいのは、今問題になつているアメリカから日本に支払われるというこの金はどういう性格の金であるかということをお尋ねいたしたいと思います。先般外務大臣はこれは賠償金であるというお話でありましたけれども、先般来の御説明では、内容アメリカは言わないで、一括して八十万ドル乃至百万ドルという金を日本に支払う、その使い方は日本に任すと、こういうような御説明でありますが、そういうような性質の金は賠償金と言うことはできないのではないか、これは単たる見舞金ではないか、そういう点について政府はどういうふうにお考えになつておるか。  もう一つは、先般決定になりました被害者一人当り五十万円の内渡金という、この五十万円の性質についてこの際御説明を願いたいと思います
  3. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今の御質問ですが、これはまあ幾度も今まで出ておるのですが、アメリカから出す金は賠償金であります。但し説明の中に、一括してこれだけ出すと、而してその配分日本に任すと、こう言つているのは、それは性質賠償の金ですね、只今申上げましたように賠償金です。で、そういうふうに日本に任すとかどうかというようなことは、これはまあアメリカの何と言いますかね、技術的方法とでも言いますか、そういう言葉が当るか当つていないかはわかりませんが、そういうものでございます。それから日本にその配分等について条件を付けないというのは、これは条件を付けないということのために賠償金ではないというような性質のものではなく、条件を付けないということは、むしろアメリカ日本に対する何と言つていいか、便宜を図つているやり方なんだろうと思います。  それから五十万円ずつ賠償金の中から立替払日本がすることにきめましたけれども、この金の性質アメリカから参ります賠償金の内払であります。而して、その金は患者に対する慰藉料であります
  4. 千田正

    千田正君 只今の、賠償金という名前が付いておるが、まあ賠償金というふうに国務大臣考えておられるようでありますが、将来、これは今年ばかりじやなく来年も向うは続いてビキニ、或いはあの周辺において実験するということを言つておるし、日本外務大臣であるところの岡崎外務大臣としては或る程度協力を惜しまないということを言つておる。そうなるというと、勿論、先般以来安藤国務大臣及び岡崎外務大臣の我々に対する御説明によるというと、協力を惜しまないということは、いわゆる自由国家群の一員としての意味であつて損害に対しては飽くまでこれは要求すると、これは御尤もだと思いますが、安全保障条約という面から言うと、やはり日米間のそうした問題は、将来これは条約において取極めるという方向に向つて行くのじやないだろうか、こういう点が考えられまするが、日米安全保障条約の中において原子爆弾実験一つのいわゆる日米間のお互いの協力という意味から行くというふうに考えられる節もあるのでありますが、この点はどういうふうに考えられますか。今度の場合は臨時的な処置として、この被害に対して賠償金として支払うと、併しこれが継続して実験が行われるとするならば、当然これは日本立場から言えば、継続して被害を受けるという虞れは十分にあるのであります。この点もしよつちゆう継続してこの賠償問題が起るとするならば、両国間に何らかの取極めというものがここに生じて来るのではないか。それが安全保障条約内容に盛り込まれるのか、或いは全然別個のものとして将来考えられるのか、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  5. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今後の実験に対して協力するということは、私は申上げたことはありません。
  6. 千田正

    千田正君 岡崎外務大臣協力すると言つておりますが……。
  7. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 外務大臣協力と言われたのは、これはまあ外務大臣がどういうお考えか知りませんが、政府としては、協力するとかしないとかそういう相談をしたことがありません。そういう検討をまだしておりません。ただ一言言つておくと、岡崎君が協力と言うのは、こつちから手を出して協力を積極的にするという意味ではないのだろうと、ただ今国際関係の現状の上からアメリカがやるということを今の平和保障等の上から日本は反対だとは言い切れないと、こういう程度意味だと思います岡崎君の話は……。  それから今度、アメリカはしばしば言う通り、今年はやらないと、来年はやるでありましよう、それに対しては、十分のそれに対してのアメリカ折衝をするつもりです。その折衝はもうすでにやつている段階であります。で安全保障ということは、まあ第一にこういうふうになるし、又そういうことを私どもは希望している。実験をやらないことがいいと、併しやらなくてはならないという今の世界の情勢とか平和維持情勢であるならば、止むを得ずやるということになるならば、日本及び日本に近い所でやらないで、もつとアメリカのほうの近いほうでやつてもらいたい、こういう話をするつもりなんです。それから、それがどうしてもそういうことに可能性がなくて、やはりビキニ環礁等が一番止むを得ないと、こういうことになるならば、これに対して十分なる安全を確保する話合をあらかじめつけたいと思うのであります。安全を確保するということは、まあ専門的に言えばそこにいろいろありましよう、ですからまあ私ども専門家じやないが、要するに危険区域を拡大すると、この間も危険区域を中途から更に拡大したのですが、そういうことにないように、専門家がすつかりそれと研究して、危険の及ばないだけの区域を設定する。もう一つこういうことが考えられるのですね。こういう危険区域を十分今言つたように設定する。もう一つその外廻り安全区域というものの限界線をこしらえるというようなことも技術的にできると思うのですね。これは科学者なり専門家寄つてそういうことをやつてもらいたいという交渉をするつもりなんです。それが第二段です。それから第三段となりますと……。まあ第一段は、つまりアメリカビキニ環礁で、ああいう日本に近い所でやらないでくれということ。第二は、今の危険区域を厳重にやる。そしてその外に安全区域といつたようなものをこしらえるようにでもして、十分安全保障をしてもらう。第三は、それだけのことをしてもなお且つ何らか被害が出た場合には、これに対する十分なる補償をするということ、すべてに関して十分なる補償をする。そういうことをアメリカの今度の実験前に十分アメリカ折衝をする方針であります。で今お話安全保障条約の中にこれを繰込むとようなことがあるのですが、これは又法律関係で詳しく検討しないとはつきりしたことはお答えできませんがね、いい加減なことは……。けれども、それはおのずから別なんだろうと思うのですね。おのずから別にして、そういう安全保障の確約をするということになるのだろうと思います
  8. 千田正

    千田正君 今の安藤国務大臣のお説は、まあ今までの禁止区域を拡大するということ、更にでき得べくんばその外側にまあ安全区域というものを一応設定するという要望をする、これでもなお且つ又被害をこうむるという場合に対する損害補償というものは十分要求すると、こういう心がまえであるようでありますが、それは損害要求はそれでもできるでしようが、一番困るのは、この禁止区域を設定され、或いは安全区域を設定されたために、従来の漁場及びその漁場に行くところの航海が迂回されると、或いは場合によつて漁場を変更しなければならない、こういう問題が起きて来るわけですね。そのためにこうむるところの損害なりその他相当大きいものがあるので、これはまあ今日安藤国務大臣しかお見えになりませんから、岡崎外務大臣要求するのですが、今アメリカとカナダと日本との間に日米加漁業条約というものが結ばれておつて、さけやますというものは或る一定の限度以上に向うに近寄れない、操業できない。併し実際は相当漁場があるわけなんですれ。戦前はどこまでもやつてつたわけです、自由航海原則によつて……。ですから、こつちができないとするならば、まぐろなり或いはかつおなりの漁業を、場合によつては、さけ、ますというほうに転向しなければならない。そういうような外交折衝も将来残されておりますし、現在さけ、ます等罐詰とか、そういうものに対しては四五%の関税をかけられて、向うでは或る程度の制限を受けておる。関税撤廃或いは関税の減税というような問題もある。場合によつては、従来これだけしか買わなかつた、一カ年仮に五億円なら五億円しか日本まぐろやその他を買わなかつたといろ原則の基本を打破つて余計買つてもらうという手を打たなければならないと思います。その点はいずれ国務大臣としても考えておられるでありましようが、更に私お伺いするのは、昨日厚生省の局長を呼んで聞きました場合には、最近非常に放射能の被害をこうむつたまぐろ類相当つて来ておる。而もこの五月や六月よりも遥かに数量が多い。これはすでにアメリカ側に通報してあるところの二十五億という損害に対して、更に追加してこの問題についてはやはり請求すべきであると思いますが、その点はどういうふうにお考えになつておられますか。
  9. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その点は、無論向う追加要求をしなければならないと思いますあとからあとから出て来るのですから……。尤も今まででも一遍やつたらそれでおしまいにしていないのです。あとから出しておりますから、今度まだあんなふうに出て来るということに対して、そのまぐろが廃棄されておれば、損害が直接あるのですから、これはまあ要求しなければならんと思います。  それからその前のお話は、これは日本水産資源の問題として大いに研究しなければならんと思いますね。これは水産庁等において一つ大いに研究をしてもらつて、将来どういうふうにします考える必要はあろうと思います。それはまあ私失礼したいから、あと水産庁長官が丁度来ておりますから………。
  10. 千田正

    千田正君 もう一遍お伺いしますが、五十万円については、この賠償金立替内払として一応払うことが決定した。先般新聞の報ずるところによるというと、これは一体どの現業官庁がこれを扱つていわゆる罹災者に渡すかということに対して、部内においてちつともまとまりがなかつたように我々は聞いているのです。今度は成るべく早くこれは被害者に渡さなくちやならない。一体今度のこの五十万円の内払というものは農林省でありますか、或いは厚生省でありますか。そういう点はどこが一体扱うのか。その点をはつきりして、将来の問題もこれははつきりしておかんというと、折角あなた方が考えて一日も早く被害者に渡そうと思つても、セクシヨナリズムの対立によつて荏苒として延びるということはこれは誠に遺憾極まりないことだと思いますから、この点もはつきりして頂きたい。
  11. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今のあなたのお話セクシヨナリズムですつたもんだしてきまらないということはとんでもない話です。私全くあなたと同意見であります。でありますからこそ非常に促進したわけなんです。併し又事務的の立場に立つと無理もない点もあるのですね。私どもはものを政治的に考え大局に着眼してやつておるのだが、その大局に着眼してずつと行くのに対しては、そこに事務的に専門的に考えて行かなければならんから、それも必要なことではあるのです。必要なことでありますから飽くまで研究しますが、どもらかに譲らなければならんということがあれば、これ又大局から譲らなければならんから、今度は大局から判断しましてそういうふうにきめたのです。で今お話通りこれは水産庁で受持つのが当然だという議論も立ちます水産庁があるのですから農林省でやるのが当然だという議論も立ちます。これは本質論並び運用論、両方とも必要なんです。でそういう方面からそれぞれ理屈はありますが、結局そういうことを言つていると時間がだんだん遅くなつて誠に相済まないわけです。そんなことは政府の内部の話なんですから、患者に対して一日も早く慰安を与えてやらなければならん。ですからそれできめました。で最後に申添えますと、これははつきり農林省の受持と、こう確定いたしました。従つて今までどんな議論があろうが、最後は統一された方針なつちやつたのですから、今までのことはお聞きにならないで頂きたい。事務的のそういう検討はこれも必要なんですから無理もないことなんです。併しきまれば統一してちつとも間違いない。ということは、今度それを運用する場合にいろいろないざこざの出ないようにしたいと思つて万全を期して考えている。その万全を期した結果、結局農林省ときめましたから農林省がすべてやります
  12. 千田正

    千田正君 簡単に最後にもらう点だけ聞きたいのですが、この間静岡現地の焼津の方面では、二十五億というアメリカ側に通報をした損害は将来全部賠償金としてもらえるのだ。取りあえずのところは五十万円という立替払政府から出してもらうのだというようなことを静岡県庁経済部長ですか、それが現地漁民にそういうことを発表しておる。これはあなた方が指示したのか、或いはそういうふうに向う感違いしたのか。勿論感違いでなく、全部これは二十五億というものは、将来アメリカからは仮に百万ドルしか来ないとしても、あと損害の分は日本政府が立替えてやるのだというふうに静岡県庁に話してあるのかどうか。それを漁民のほうでは全部もらう、取りあえず五十万円ずつもらうのだというふうに感違いをしておるのじやないか。この点は感違いであるのか、或いはすでにそういうふうに指導しておるのか。この点を一つ聞きたいことと、もう一つはこの賠償金アメリカ予算では一体どの面から出されるものと思つておられるのですか。この点は原子力委員会のほうでは相当損害見積つて、いわゆる被害があるものと仮定して最初から予算を組んでおる、その中から日本へ払うという意思であるのか、それとも別個に、こうした偶発的な問題に対しては、国として賠償金という項目の中から、アメリカ予算の中から払うということを言明しておるのか、その辺は外国のことでありますからわかりませんが、その点の観察はどうか、この二点だけ伺つておきます
  13. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 前のお話はそういうことを政府言つたことはありません。静岡県庁言つたことも勿論ありません。でありますから静岡県庁がそんなことを漁業者に対して言うわけはないと思いますが、若し言つたとすればそれは誤りでありましよう。そういう根拠はありませんからそんな一時の気休めのようなことを言つては、政府として責任が立ちませんし、そういうことは政府として言つたことはありませんです。で要するに二十五億内外というものは日本としては是非何とかしてアメリカから賠償させたいという誠意は十分あります。それから又努力も十分いたしましたが、要するにどうもアメリカはそこまでは出しません。結局直接損害及び準直接損害とでもいいますか、そういう言葉があるわけじやないが、私考えたのですが、直接のほかに中間的で直接のほうに寄つたようなものくらいは出すでしよう。でそこらで今度は手を打ちたいというのが向う最後考えだろうと思います。併しそこまで持つて来るのにも相当骨を折つたわけなんです。併しそれはまだ最後的にはきめてないのです。きめてないというのは、そんなことは甚だ察しが悪いじやないか、不明敏じやないかと言われれば、そのお叱りは受けてもいいが、何とかして少しでも余計というふうに考えているものですから、それで結論を延ばして向うとまだ打切りにしずにあるのですが、大体向う程度はそういうふうであるということを申上げておきます。  それから今度出す五十万円はこれは慰藉料の内払です。慰藉料はもつと多く積つてありまして、これは大体アメリカ承知しています。ですから結局慰藉料はもつと多くなります。勿論患者の症状の軽重の関係もありまするし、あの中へ出て又どんどん働けるようになる人も相当あるらしいです。それから又そういうふうにならないで、多少慢性化するというふうな人もあるらしいです。ですからそこに甲乙の区別は付けなければならんと思いますが、五十万円くらいではなく、大体もつと多く計上してありまして、アメリカで大体承知をいたしております。  それから最後アメリカ予算ではどこから出すか、これはアメリカでは議会にかけなかつた、なぜ議会にかけなかつたかというと、議会にかけます一つは時間が延びるということ、今は御承知通りありませんから、そうすると来年になつてしまうというようなこともある。それからその前はあつたのですけれども議会向うがかけないのです。ということはいろいろ向う議論があるのです。で議会にかけるといろんな議論が出て来て、非常に日本に対してもうまく早く行かないというふうに国務省が考えたらしいのです。ですからそれは向うが悪い気持じやないらしいです、公平に考えまして……。そこでそれじやどこから出すのかと言えば、これは私は外務のほうでありませんからよくわかりませんが、大体対外活動本部の金から出すのじやないかと思つております
  14. 千田正

    千田正君 軍事援助資金というような名目の項目からは出ないのですか。
  15. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは断じてありません。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう簡単に、時間が来ているのですからお尋ねしますが、賠償金仮に八十万ドルということできめたとなりますと、アメリカ側では大体賠償の対象というものを細分で、内訳で示してこれだけ出すということになるのですか、手掴みで総額で八十万ドル、あと如何ようにも日本政府で使えという、こういう態度で出して来るのですか。
  17. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは先ほどお話していますように一括払いです。併しながらその一括払い根拠向うが細かい検討をしているのですよ。日本からすべてのものを提出しているのです、ことごとく。それに対して非常な厳密な検討をしているのです。そしてその根拠に基いてこれは払える、又払わなければならん、それからそれ以外のものも気の毒で払いたいけれどもアメリカが今までそういう例は一つもない、払うとすればいろいろ向うでも苦情が出てどうしてもできないのだというわけで、払うものは一括払いでありますが、それは根拠があるのです。きちんとした根拠が……。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう簡単に伺いますから簡単に御答弁願つて結構ですが、そうすると八十万ドルの内訳はある、根拠はある。そうならば日本政府如何ように分けるということでも、根拠に基いて事務的にただ分けて当事者に渡すと、それだけのことでございますか。
  19. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) これは日本のほうで配分ますのに条件は付けてありませんから……。条件は付いてないが向うは今申上げたように根拠がある。日本でもそれについて今折角検討しております、しつかりした根拠に基いてそれをどこへ分配するかということを、ただ目分量だとか、或いはただ事務的にやるということでなく、しつかりした方針に基いてやるために今検討を進めております
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、アメリカ側が認めない間接被害、いわゆる漁獲の損害ですね、これを政治的に八十万ドルの中にはアメリカ側では考えていないにもかかわらず、日本政府は八十万ドルの中から、何らか慰藉料とか何とかという形で出すというふうに、それにも使うというようなこともやるとするならばやれないことはないわけですか。
  21. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) そういうことはおのずからできませんね、理窟が立たない、筋道が立たないから……。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 わかりました。そうすると根拠のある範囲内で日本が妥当な配分をするのだということになると思いますが、そうするとこの賠償金は、それぞれ被害を受けている当事者アメリカの問題でなくて、当事者に対しての賠償金という直接のものでなくて、日本国に対する賠償金八十万ドルだと、こういうふうな筋合考えられるわけですか。
  23. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その点は法律的にどういうふうになりますか、今ここで私が軽卒にちよつとお答えができません。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 日本がその配分の自由のあるようにして渡される賠償金ということであれば、当事者のほうではそれが足りないというような場合日本政府アメリカには要求できない、併し当事者の申出は妥当なものである、こうなればやはり日本政府として別途に予算でも取つて足りない分は補つて補償でもする、こういうようなことにもなりますか。
  25. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 日本のほうとしまして細かに検討してありまして、直接及びそれに準ずるようなものは決して不足だということでなく、それぞれの決定従つて計算し、払える額になると思います
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると間接被害の部分の、私にはわからんが、仮に二十五億なら二十五億という金、これは取れない、取れないが取ることについて継続して交渉をする、それで時間はどんどん経過して行く、こういう場合には日本政府としては妥当なものであるとしてアメリカ要求しておる筋合のものですから、それが取れない間は日本政府として日本政府責任当事者に対して面倒を見る、こういうことになつてますか。それとも取れないうちはなけなしの融資なり何なりで出したくらいで結果から言えば放つて置く、こういうことになりますか。
  27. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それでありますから今の患者生活費といつたようなものを今五十万円ずつ出すというので今日閣議決定したわけであります。そこでアメリカと話がつけば賠償金が早く来るのですからそれでそれぞれ処置ができるわけなんですけれども、更に多きを望めば今すぐここでおしまいにしないということになると日時がかかります。そうなつた場合には例えば患者慰藉料というふうなものも或いは第二回のこともやらなければならんかも知れない、こういうような立場に入ると思いますね。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の尋ねておることは直接被害のほうは大体見通しがついて来たからいいわけでしようが、間接被害ですね、漁獲されたものを破棄した、そういう損害補償は妥当なものであると日本としては認めておる、アメリカのほうとの折衝が長引いておる、又これは将来においても打切らず交渉する、取る努力はするのだ、こういうことであればその間の損害を受けた当事者に対して日本政府としては面倒を十分見るのか見ないのか、金が出ないうちは仕方ないのだという形で交渉を続けて行くのだということになるのか、どうかという点を聞いておるのです。
  29. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 小笠原委員に申上げますが、或いはあなたの御質問に参考に申上げますちよつと誤解があります。魚を廃棄したものは廃棄分についてはこれは直接損害ということでこれは賠償の一応対象になつておる。それであなたのおつしやるのは、魚価の低落等による間接被害に対する政府の態度をお聞きになつておる。それで御参考のために申上げますが、政府アメリカ賠償金以外は融資以外には一銭も出しませんということを今までずつと答弁されておるのであります。そういうことで御質問願います
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私にも誤解がありましたから最後に念ばらしに伺いますが、そういう漁獲そのものの損害、直接損害その他犠牲者等が出ており、こういうものへの慰藉料、物的な補償、これが八十万ドルで済むのでございますか、私素人でわからないのですが。
  31. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは今までに十分出ておるのですが、ちよつと簡単に言います。詳しいことは水産庁長官に聞いて頂きたいが、それは十分に出るのです。ちやんと細かい計算を立つてあります。福龍丸の処置の問題、それから患者の治療、慰藉料、それから廃棄したまぐろあとから出て来る廃棄したやつはみんな取ります。のみならず遠廻りをして漁船が行つた、その間の損害があるから、そういうものまでも入れてあるのですから、大体その賄いが付くわけなんです。その商売関係のものはそれが間接と言えば間接である。これはそう簡単に行きません。アメリカも出さないでしよう。そこで融資のほうで心配をしようというので、もうすでにやつておる次第であります
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、その本当の取極めができて、当事者それぞれに金が渡る時期は遅くともいつ頃までだというふうに見通しをつけて仕事を進めておられますか。
  33. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) アメリカとですか。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 アメリカからこちらへ金が来て……。
  35. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 話がきまればそんなに長くかからないでしよう。話をきめないのです。なぜきめないかと追及されると、そこは非常に困るのですよ。というのは、直ぐきまつちまえば、例えば今のところなら八十万ドルというようなところなんですね。少しでも多くしたいと思うものだから延ばしておるというようなことがある。けれども今あなたのおつしやる通り、そういつまでも荏苒としていたつて、どうしたつて出さんと見込がつくものなら、いつまでもやつてもしようがないから早く決着をつけたい……。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私そこがわからないのです。八十万ドルで間に合うんだ、十分手当できるんだというのに、もつともらおうというのは、直接損害でないのです、それは。何をもらうのです、もつと。
  37. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それはいろいろ段階があるのですよ、それは細かい計算の。今までもずつとこの委員会にも出ておりますから水産庁長官に聞いてもらいたい。例えば向うが余計に出せば出すだけに、間接損害の一部にも日本考え方で廻すこともできるということもありましよう。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは廻さないとあなたがさつきおつしやつた根拠があつて直接損害補償だけだから間接損害には廻さないとあなたはさつきおつしやつた
  39. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) そうじやないのです。そんな機械的なことを考えていないのですよ。もつと、少しでも情味のあることを考えているのですよ。アメリカがもつと出せば文句ないのです。ないけれども出さないんだからしようがない。併しながらそれを少しでも余計とれば、早く言えば慰藉料も少しは多くなるだろうし、それから間接損害の中でも幾分はその中から出して上げることもできようというような考え方をしておるのです。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私にはさつぱりわからん。直接損害でも慰藉料でも何でも十分手当できるんだ、妥当な金は出るんだ、それはきまつておるんだということを言つておりながら、それをもつと余計とるというのは、それは日本政府のほうがむちやなんで……。
  41. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 私は、同じ問答ですが、時間が二時までにして頂きたいが、今日は。それが直接損害としてあるものなら十分なんですよ、直接損害なら。併しアメリカのほうでは間接損害は出さないのですから。出さないけれども同じ直接損害でも、間接といつてもその間接というものは一体範囲、性質、限界というものの定義はないのですからね。これは魚価の低落とか何とかというような問題なんですから。それでありますから、それはまあ金が余計来ればそれに按配をしても差支えない。そこが、向う条件が付いてないから、日本の都合のいいところになると思うのですね。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議論を何ぼしていても私にはどうもわからん、前言と後言がまるで違うんで。とつたらそれをうまく廻してやればいいんだとも言うし、とる金には一々根拠があつて日本政府ではその範囲でただ基準をきめて出すだけで、範囲以外のものは出せないとも言うし、どうも時間も時間ですからこの程度で……。
  43. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは日本政府言つているんじやないのです。向うがそう言つているんですから。アメリカのほうが、直接損害で限定しようというのはアメリカの態度なんですよ。けれどもそれには条件を付けて来てないのです。だから日本政府が余計に金が来れば直接損害は十分払えるのですよ。払えるように出してあるのですから。少しでも余計になればそれは間接損害のほうへ廻り得る、つまり日本に対して条件を付けないところの自由範囲で按配ができようと、こういうわけです。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはあなたの議論なら、直接損害を受けたものの妥当性を認めてアメリカから出した金の上前をはねて日本政府で主観で十分だと思われる金を直接損害のものに払つて、そうして幾分でも残る金を広く渡してやろうという考えで、向うが直接損害に払うという態度を改めないで、直接損害の対象としてだけよこされた金であるならば、その定義の範囲内でだけ日本政府が支払うのが義務であつて、上前をはねた形で直接損害の金をよそへ廻す、それがわからない。
  45. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 私は立ちますが、あなたのように、ものを横のほうから考えたり、ひがんだような考え方はしたくない。もつと素直に考えたい。つまりそこが向う根拠はあるが、それをどう配分するか、どう持つて行くかには条件を付けていないのですよ。だからそこは日本の自由です。そこにこちらの自由があるから、少しでも多く賠償をとるように交渉して、そうして少しでも間接損害のほうへ廻り得るなら廻したい、こういうわけなんです。それを一つ御了承を願います
  46. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 最後一つ。そうしますと、この内容を示さないということは、これはアメリカが希望したのでなくて、日本政府がむしろ進んで、内容を示さないで一括してくれということを日本政府が希望したのですか。
  47. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 日本政府が希望したのじやないようです。これは外交の折衝外務省がやつておりますけれども向うがそういうふうらしいですよ。
  48. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そこでお尋ねいたします。私はこれは重大な、今小笠原君も言われたように、今後重大な国内的な問題になると思うのです、この配分について。そこで私はむしろ日本政府としては、そういう国内の紛争を防ぐ意味からも、進んで算出の基礎を明示してもらうことを要求したらどうかと思います。その点如何ですか。
  49. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは或いは算出の基礎に無論基礎があつて、その根拠に基いて向うはやつておるのです。それを明示するかしないかの問題であります
  50. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そこが非常に問題なんです。この間も焼津へ行つて、百万ドルの配分アメリカ政府から一括して来るのだ、それで日本政府は独自の立場でこれを配分するのだ、そういう説明をしたら、そこの仲買人は、我々の損害は第五福龍丸関係の人たちの損害とこれは同じなんだ、同等の権利があると強く主張されておるのです。そういう要求が今後全国的に起つて来たら、水産庁はそれをさばく政治力がないと私は思うのです。そこでそんな恩恵をこうむつて、どうもアメリカの好意だなどと言わないで、進んでその内容等を示せということをアメリカ要求したらいいと思います。それはどう考えておるか。
  51. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) アメリカの恩恵じやない、こつちは恩恵を受ける場合じやない。直接損害を受けておるから、それをとる権利がある。それは飽くまでそれでやつておる。ただ向うの都合としては、そのほうが向うの都合なんですよ。向うの都合であるから……。
  52. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そこで向うが都合がよくわかりませんから、向うはそういう都合か知れないけれども日本としては困るから明示してくれということをもつと強硬に言つたらどうですか。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も関連して。安藤国務大臣の言うように、継続して次々と追加もし、足りない分をとる努力をしようというなら、外交の交渉としては、今出ようとする金の内容内訳は何だということを明らかにして、足りない分というものがそこに出るから要求さるべきなんです。それをアメリカから手掴みで八十万なり百万ドルよこされるということは、それで一切あと日本政府責任で始末せいということで打切ることなんです。手掴みで渡されてしまうということは、結局それでこの問題はけりだということなんだ。だから日本が対等な交渉をする立場に立つなら、八十万ドルでも百万ドルでもその内訳を示されて、そしてそれを一応妥結するならするとして、問題を次に残して足りないものについても外交交渉が行われる、これが筋だと思う。手掴みでもらつて来れば、それを日本政府は自由にまあ薄く広くなり配分してそれでけりをつけるというような結果にならざるを得ない。そうすれば被害を受けた者が本当にアメリカ根拠によるだけの金額を与えられるかどうか、これはわからないということになる。そういう意味合から私申上げているのです。
  54. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) で、それは從つて最後の結論をつけておらないのですよ。ここで打切るか、或いは今の問題だけ打切つてあと保留して談判を継続するか、そういうことをまだ検討最中なんです。その結論がつかないと、こう言つているんです。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりましたから、八十万ドルでも百万ドルでも、国会側としてはその積算の基礎、これだけは明らかにされなけりやならんという考え方を持つと思うのです。将来必ずそれで安藤国務大臣にこの内訳はどうだとお尋ねすると思うのですね。だから日本政府にそれを明示してもらつておくということが将来の紛争を未然に防ぐ唯一のいい方法だと思うのですね。そうでないと、その八十万ドルが日本政府のお手盛りで如何よう配分されてもこれは紛争の種になる。私はまあ念ばらしにその点だけを申上げておく。
  56. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) この賠償金配分した場合に日本政府のお手盛りでやるということはありませんね。それはおのずからはつきりします。それははつきりしますよ。ところがアメリカ交渉をまだ打切つていないのですから、それでまああなたの言うようなことを政府考えているのですよ。これだけ打切つてあと保留して継続しようか、それとも今このままで少し延ばして一遍にもつと余計賠償を出させるようにしようか、まあそういう点を考えているんですよ。今検討中なんです。
  57. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 時間があれでございますので、ただ念のために申上げますが、安藤国務大臣は今おつしやいましたけれども岡崎外務大臣は先般来アメリカはもう内容を明示しないで日本に渡すということをはつきりおつしやつておられますから、更にこの点を確かめられて、アメリカにその内容を明示して日本に渡してもらいたいということを御相談下さるように特にお願いいたしたいのです。
  58. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは関係閣僚の間で、殊にそのほうの担当は外務大臣ですから、よく又相談して検討ます
  59. 小林孝平

    委員長小林孝平君) この問題で水産庁長官に尋ねられることがあつたら継続してやります
  60. 千田正

    千田正君 一括してこの今度の立替払——内払の五十万円ですね、これを水産庁で取扱うことにきまつたわけですか。
  61. 清井正

    説明員(清井正君) その通りでございます
  62. 千田正

    千田正君 そうすると、厚生省関係の問題もあなたのほうから分割してやるということになりますか。例えば医療費であるとか、そういう……。
  63. 清井正

    説明員(清井正君) 医療費については、これは現に患者が東大病院と東京の国立第一病院、文部省と厚生省の両方になつておりますから、そのほうでやつておるのであります。この五十万円の問題は、先ほど大臣から御説明申上げました通り、どういう性質の金かということの判断にちよつと困りましたので実はどこの省の所管かということが問題になつたのでありますけれども慰藉料の一部払ということがはつきりいたしまして、水産庁といたしましては漁業者のお世話をいたします関係上、私のほうで取扱うということにいたした次第であります。ただ医療等の関係、或いは魚の検査、そういうはつきりいたしておりますものは全部厚生省でやります。その他それぞれ関係の省において一般責任は持つということでございますが、私ども被害者立場漁業者立場ということでお引受けいたした次第であります
  64. 青山正一

    ○青山正一君 それならばちよつとお聞きしたいのですが、被害者立場から考えて行くということになりますと、例えば県を通じてやるというようなことになりますと、非常に時間がかかるわけなんですが、例えば病院で患者にすぐ渡すとかそういうふうな点をやつぱり考えておりますかどうですか、その点について。
  65. 清井正

    説明員(清井正君) 尤もな御注意でございますが、その問題は一刻も早く御本人の家族に渡すようにいたさなければならんのであります。できるだけ早く渡すことにいたしまして目下相談をいたしておりますので、只今お話のような方法も極めて有力なる一方法だと考えております。   —————————————
  66. 小林孝平

    委員長小林孝平君) じや次は北洋漁業に関する件を議題に供します。  最初に清井長官から最近の北洋漁業に関する概況を御説明願います
  67. 清井正

    説明員(清井正君) 本年度の北洋漁業について御説明申し上げます。  三枚の紙がございますが、一番上が地図でございます。略図でございますが、これを御覧願いたいと思います。ここにございます太い実線で囲んでございますのが母船式の鮭鱒漁場であります。四十八度から北にかけまして東は西経百七十五度、西はカムチヤツカへ寄りまして引いてありますが、やや四角い漁場、これが母船式の鮭鱒漁区でございます。それからその真中にございますのは母船式の捕鯨の漁場であります。全部で四カ所、これは短かい線と長い線で囲んでありますが、これが捕鯨の漁場であります。それから一番右に斜線が引いてございます。これがかにの漁場であります。こういうことになつておるのであります。  そこで先ず二枚目の数字を御説明申上げますが、先ず母船式の鮭鱒漁業でありますが、これは二十七年、八年、九年三カ年やりました数字を実績によつて表わしておるのであります。母船は二十七年、八年は三隻でありまするが、二十九年は七隻出まして、直接さけ・ますをとる独航船は二十七年度は五十隻、二十八年度は八十五隻、本年度は百六十隻ということでございます。その他調査船がございます。そこでどれくらいとれたかと申しますと、ここに総漁獲高と書いてございますが、二十七年が二百十一万尾、二十八年が七百七十万尾、二十九年度は二千四十九万尾、こういうふうになつておるのであります。この種類別はそこに書いてございますが、そこで漁船の一隻当りの平均漁獲数はどれくらいになりますかというと、二十七年が三万七千尾、二十八年が七万三千尾、二十九年が九万九千尾、そういうようなことでいずれも逐年隻数の増加と共に成績も非常な発展を遂げておるような状況であります。  それから次が母船式のかに漁業でありますが、これは二十八年と二十九年の二回しか出ておりませんが、東慶丸という船が一隻母船として出まして、これに附属船が十二隻出ております。昨年はとれました罐詰が五万八千二百四十函でございましたが、今年は「ずわいがに」を入れて六万三千三百七函、「たらばがに」では五万九千八百五十函というかに罐を製造いたした次第でございます。これも又非常にいい成績を挙げておるのであります。  それから一番最後が母船式の捕鯨業でありますが、これは二十七年、二十八年はばいかる丸という船が一隻出たのでありますが、今年はばいかる丸のほかに更に錦城丸という船団がこれは一年限りの試験操業ということで出漁をいたしました。錦城丸はすでに漁を終えて帰つてつておりますが、ばいかる丸も又近日中に漁を終えて帰ることになつておるのであります。これ又非常な成績を挙げておるのでありまして、例えば白長須換算で二十七年が百七十八ということになつておりますが、二十八年は三百三十二、二十九年のばいかる丸は五百七、錦城丸が三百五十という計算になつておるのであります。そういうことで、おしなべて見ますと、北洋は母船式の鮭鱒漁業も母船式のかに漁業も母船式の捕鯨業もいずれも成績が非常に優秀なものを挙げたということになつておるような次第であります。なお御質問ございましたらばお答え申上げます
  68. 青山正一

    ○青山正一君 ちよつとお伺いしたいのですが、鮭鱒漁業ですね、鮭鱒漁業の独航船は大体各県にいろいろ割当があつて、例えば岩手県とか宮城県とか青森県とか、或いは裏日本の秋田、山形、富山、石川というようなことでいろいろ割当がありますが、その基本的なものは例えば底曳業者の関係からそいつを選んで行くというふうな建前で行つておるわけなんですが、まあ県によつてはそういつた業者が余りいないので、一人で独航船五隻であるならばそのうちの二隻或いは三隻を経営しておるような向きがあるわけなんです。併し県全体から見ればできるだけ自分たちも北洋漁業というような大きな仕事をやりたいというような希望が非常に多いわけなんですが、条件としてやつぱり底曳業者から選ばなきやいかんというようなことになりますので、例えばどこそこの県はこうやつているとかいうことは申上げられませんが、いわゆる底曳業者の一、二は三箇統も或いは四箇統も経営しておるというような向きが非常に多いわけです。ですから県自体が船の構造とかそういうものを尻押ししてやれば、別に底曳業者からそれを選ぶとかいうようないわゆる基本方針とかいうものをはつきり捨てて頂いて、県自体に責任を持たせちやつて、そういうふうな船の施設やなんかはその条件に合つたものを選ぶというようなことで進んで行つたほうがいいんじやないか、こういうふうに思つておりますが、非常に独占漁業に流れがちになりますから、その点少し水産庁のほうで考えられたらどうか、こういうふうに思いますが、その点について一つお伺いしたいと思います
  69. 清井正

    説明員(清井正君) 今の御質問の点でありますが、これは実は母船式鮭鱒漁業についての考え方の根本問題に触れると思うのであります。私どもは母船式の鮭鱒漁業というものは、御承知通り、母船が自分で独航船を選んで行くという形はとらずに、母船と独航船とはそれぞれ別に選びましてそれが逐次両者の相談或いはその他の方法によつて組合さるということになつておるのであります。そこで母船のほうはそれぞれの条件を以て選定いたしますが、独航船のほうはこれは内地のいわゆる底曳の整理転換という方針とマツチさせる、いわゆる内地の漁種転換と申しますか、漁業転換と申しますか、一つ水産庁としての大きな政策に乗つた大きな方針といたしまして底曳業者の転換ということで取扱つてつておることは御承知通りでございます。そこで底曳業者の転換ということの方針で参つておりますが、そうかといつて全然経験のない底曳業者というわけには行きませんので、曾つて北洋漁業において活躍をしたところの経験者、即ち東北、北陸というふうに限定をいたしまして、即ち過去の実績、経験者、而も底曳漁業の転換、この二つの方針によつて今まで選定をいたしておるのであります。そこで選定の方法も、これは県別の方法は大体過去の実績等を勘案してきめますが、県内でどの船を選ぶかということはこれは県に一応任せております従つてこういうような一経営者が三箇統も経営しておるのがあるというようなお話かと思いますが、この点は私どもといたしましても一々見るまでの力がございませんので、総枠を県に与えて県に順位をきめさせて推薦させる、そこから選ぶ、こういう形にしております。無論その前に漁船の能力等も実地に行きましてよく検討をいたしまして、これなら北洋に出ても大丈夫だという見当をつけました船につきまして今のような選考方法をとる、こういうふうにしておるのであります。而も本年度は実は底曳をこの際放棄する、過去の実績者は別でありますが、新らしく入る者は内地の底曳をやめる、そうしてこちらのほうへ転換するというような条件を出しまして、それを承知した者が入つておるということになつてつて、現にどんどん底曳をやめつつあるというような状況でありまして、私といたしましては内地の底曳漁業者の転換方策の一方針として母船式鮭鱒漁業に出漁させるということ並びに過去の実績者に優先させるということ、これはやはり独航船の選定の根本的な問題であるというふうに実は考えておりますような次第であります
  70. 青山正一

    ○青山正一君 そういう御質問を申上げたのは、先ほど後段に御説明があつた過去の実績者が非常に多いということ、例えば岩手県あたり或いは富山、石川あたりは相当の実績というものを持つてつた。ところが現状においては底曳機船を持つていない。底曳機船を持つておるのは他の業者が三ばいも四はいも持つておる。その点は県に任せておると、結局その三ばいも四はいも持つたその人が全部一人で専有しておる。一方において過去の実績を持つた人は殆んど泣寝入りの状態である。そういうふうな点はやつぱり水産庁あたりが過去の実績者はできるだけそういうふうな船を造つてつたほうがいいだろうというふうなことを県に指導して行くのが本当じやないかと思います。今の現状においては、青森にしましても、岩手にしましても、或いは秋田、富山、石川にしましても、そういうふうにしちやつて、いわゆる独航船というものを名義は他人の名義になつておるかも知れんけれども、実際は二はいなり三ばいなり経営しておる向きが非常に多いわけです。そうすると、所によつては県で補助するのだ、国策に応じて県のほうで相当予算的措置を講ずる、それが一部のそういつた人たちのみ享有を受けちやつて、前に実績を持つた人たちが船がないために或いは底曳の権利がないために泣寝入りの状態だ。そういうことは一つの親心を示して、昔やつぱり相当大きくやつた人たちで船のない人は船はどこかから都合して来い、都合して来れば何とか考えてやろうというふうなことで、県に一応任すは任すにしましても、そういう親心は必要じやないか。一人の人が底曳機船を三隻も四隻も持つてつたら全部それを専有して行くというふうな向きが現状においては恐らく五組も六組もあるのじやないか、こういうふうに考えておりますから、その点今後こういつた点を十分参考にして頂いて進んで行つて頂きたいと思います
  71. 清井正

    説明員(清井正君) 只今お話お話の御趣旨はよくわかりました。ただ私が申上げました基本原則はこれはゆるがせない問題だと思います。ただ具体的な事例としてやや妥当性を欠くものがあるのじやないかということでございますので、その点はなお実情を十分一つ調査いたしまして善処したいと思います
  72. 千田正

    千田正君 今年の報告が出ておりますが、来年度はこの隻数を増す予定ですか、この現状のままで来年度はやるつもりでありますか。
  73. 清井正

    説明員(清井正君) これは母船式の鮭鱒漁業についての御質問ですか。
  74. 千田正

    千田正君 そうです。
  75. 清井正

    説明員(清井正君) その点は私どもは慎重に実は考えております。成るほど実績を見ますというと、まあ船を殖やすごとに非常な漁獲が殖えておるわけでありますので、ちよつと見ますというと隻数さえ殖やしたらどんどん漁獲は殖える。従つてこういう際であるから、この次は非常に殖やしたらいいじやないかということも一応考えられる点もあるかもわかりません。併しこの点は私どもは非常に慎重に考えております。ということは、成るほど今年は非常な収獲を挙げたのでございますが、独航船の百六十隻が出まして今年の非常に漁のよかつたということは、割合に凪が多かつた、或いはもう三年来の経験でありますから相当散らばつて魚群を見付けたということもありますし、或いは化学繊維の漁網を使つたというふうな、漁船というか漁具、漁法等が非常によかつたというようなこともいろいろ考えられますが、やはりこれは、私どもがこの百六十隻の独航船の現在までの動向をずつと調べて見て参りますと、相当一カ所に固まつて操業をしておつた場合が相当あるのでございますが、成るほど散らばつてつた場合がありますけれども固まつてつた場合が相当ある。或るときは母船と独航船と、独航船の網の上に母船が通つたという事件もありましたが、とにかくそういうふうなことで相当固まつて操業をしている事例が相当ある。そこで必ずしも隻数を殖やすということが、そういうような観点からいつてできるかどうかということはちよつと問題があるというふうに考えておるのであります。この点は、無論現場に行きました監督官が帰つて来ておりますので、十分それらの事情を聞きまして、今後どういうふうに措置したらいいかということをよく考えてきめなければならん問題だと思いまするが、いずれにしろ、母船の問題にしろ独航船の問題にしろ、単に本年の結果だけから見て直ちに結論は出しにくいと、こういうふうに考えております。  それからもう一つ考えなければならんことは、御承知通りこれはソ連に接近をしている漁業でありまして、だんだん漁期が終り頃になりますと西のほうに移動して参ります。漁期の終り頃には殆んどカムチヤツカ辺に固まつて漁業をするということになつておりますので、その辺が船が多くなつて参りますと、なかなかその辺の漁期等の関係から、漁期を厳守するという意味におきまして或る程度無理なことが行われるというようなことがあつても困る。いわゆるソ連との関係につきましては、殊に日本漁業のこれは根本的な問題でありまするから、相当と申しますか、よほど慎重に考えなければならんというような、いわゆる操業の規律と申しますか、そういうようなことも考えなければならんということもありますので、私どもは現場の監督官の意見も聞き、なお業界の意見等も十分に聞きまして、来たるべき北洋漁業はどういうような形で操業したらいいかということの結論は慎重に検討して出したい、こういうふうに考えております
  76. 千田正

    千田正君 本年の母船と附属船の登録に当つて相当の何といいますか、縄張り争いですか、或いはそれに伴うところの闇の登録の獲得に対する運動等がしばしば行われたように仄聞しておるのでありますが、こういうことの調整は、来年度は何か基準を設けてはつきりするつもりでありますか。
  77. 清井正

    説明員(清井正君) その点は、只今お話がございましたが、確かに本年度はまあ或る一定限度の船、一定の母船につきましては或る程度の数字をきめましたが、それ以上の母船については独航船の自由競争という形をとりましたために、非常な摩擦を起した点があつたのであります。この点は私といたしましても非常に残念だと思つております、率直に申しまして。ただ、ああいうふうにせざるを得なかつたようなことでございましたのでああいうふうな措置をとりましたが、これは非常な問題の点だと思います。業界としては恐らくああいうことに出られるということは希望していないのだろうと思います。併しながら私といたしましても、仮に今年の成績がよかつたから来年度大いに出ようということで随分希望者が殺到するということになるのでそれをどうさばきをつけるかということで非常に苦心をする点もありやしないかという感じを受けるのであります。だからといつてああいう措置をすぐとるというふうには考えておりませんが、私としては今年の成績に鑑みて来年度は一つわしもやりたいということで相当の希望者が出て来やせんか、その場合にどう処置したらいいかということを実は内々考えておるようなわけでありまして、本年度の問題も問題でありますが、又来年度の希望者が殺到する場合にはどうするかということも十分考えなければならん、こういうふうに考えております
  78. 千田正

    千田正君 もう一点、今日の問題は母船式の問題でありますが、沿岸の鮭流し網の問題ですが、母船式はこれは資本系統がはつきりしているからあれですが、沿岸漁民は小さい船を持つてつてつておる。四十七度線を中心にした問題、非常に違反その他の問題が起きておる。これは相当来年度はよほど調整せんというと不祥な事件が起きやしないかという杞憂さえも持つのです。これに対しては長官としては何らかの方針を立てられておられるのでありますか。その点はどうでありますか。
  79. 清井正

    説明員(清井正君) これは四十七度以南の独航船の鮭鱒流し網の問題でありますが、確かにこれは問題だと思います。率直に申しまして。もともとはあすこへ出るのが無理じやないかという説があるくらいであります。併し問題は母船式漁業とは別に沿岸の漁業者のための母船式漁業ということで作業としての私は特色があると思います。ただ時期の関係、漁船の関係、或いは漁区等の関係でなかなか実際問題として取締に問題が起る場合が多いのであります。ところが希望者は皆非常に殺到いたすということであります。殊に先般の北海道の災害で遭難漁船が相当多かつたというのも相当小さい船が遠方まで出たために無理をしたということもあつたと思います。道庁側といたしましても、成るべく大きい船に将来して行きたいというふうに言つておりますが、私どもはその方針は非常に結構だと思いますが、これは御承知通り道庁の許可と大臣の許可と二つあるのでありますが、道庁の許可ばかり多くなりましても全体が問題になります。全体が殖えますと又無理をして外へ飛び出すということになつてもいかん、そこで全体のトン数から隻数を見合つて成るべく小さい船を大型化して行くということは結構だというふうには考えておりますが、併し現実といたしましてどういうふうにこの間を調整するかということは目下北海道庁と実は相談いたしておるわけであります。全般的に申しますと、その問題をも含めましてこの四十七度以南の鮭鱒漁業をどういうふうなあり方に持つて行くかということは今年の実績にも鑑みまして、よほど考えるべき問題だと思います。先般も陳情等もありまして十分伺つておりますが、なかなかこの問題は母船式との関連も非常に問題であります。併し何とかしてこれは解決しなければならん問題であることは痛感しておりますので、成るべく早めに母船式漁業との関連においてこの問題に適切な結論を得たいと考えておるわけであります
  80. 青山正一

    ○青山正一君 ちよつと一、二点今の質問に関連しまして、この四十七度線の流し網ですね。そういう点は内地の船と比較したつて勿論北海道は地元であるわけですかどうですか知りませんが、非常に隻数が多い、そういう点もやはり長官のほうで北海道とよく相談し合つてその点を相当制限しなければならんじやないかというふうにも私まあ考えておるわけであります。その点について一つ御意見を承わりたいということ。  それからもう一つはこれは問題は別でありますが、昨年、或いは今年あたりかに工船の場合は母船は一隻でありますのですが、これはさけ、ますと同じようなふうなことで母船を二隻に殖やすとか三隻に殖やすとかというようなお気持があるかないか。つまり来年度ですね、そういう点について一つ承わりたいと思います
  81. 清井正

    説明員(清井正君) 第一段のほうの御質問ですが、成るほど北海道庁の船が非常に多いわけです。而も三十トン以上の船が北海道庁で許可になりまして、三十トン以上が水産庁、農林大臣から許可になりました北海道の漁船が非常に多く、而も今度の災害もそういうところから起つたということでありまして、只今千田委員の御質問にお答え申上げたと同じでありますが、北海道としては船を大きくしたい。ただ私どものほうは隻数をそのままにして船を大きくするということは問題がありまして、これは二船を一緒にしてやりますとか、或いは全体の総隻数、全体の総トン数ということでこれは大きくするということを考えるべきである、そういう考えであります従つてそういう観点から只今北海道と相談をいたしておるのでありまして私どものほうはお説のような方向で考えておるわけでございまして、果して隻数制限というところまで行き得るかどうか、まだはつきり申上げられませんが、私といたしましては今申上げましたような気持で独航船の流し網を考えておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。  それから、かに漁業のほうは明年度二母船を出すという考え方は只今つておりません。
  82. 青山正一

    ○青山正一君 一母船で行くのですか。
  83. 清井正

    説明員(清井正君) 一母船でやるというふうに考えております
  84. 千田正

    千田正君 今の北洋の四十七度線以南は相当問題があるのでこれは慎重に御検討願いたいと思います。これは北の問題ですが、次に私は南の問題ですが、昨日今日の新聞によるというと、さばの漁場が李承晩ラインの問題によつて閉鎖されておるような状況でありまして、どうしても漁民としてはとらなければ死ぬよりほかはないのだ、生命を賭してまでも李承晩ラインと称する線を突破して、そしてやるのだ。こういう意気込で更にもう準備をしておるというようなふうに新聞にも出ておりますが、これは再び又韓国との間の大きな問題になつて出て来ると思いますが、これに対する方針は何か立てておられますか、その点を伺つておきたいと思います
  85. 清井正

    説明員(清井正君) 李ラインの問題でございますが、誠に残念でございますが、確たる方針只今立ち得ない状況でございます。私どもといたしましては、李ラインを認めないという建前をとつておりますので、仮に漁船が出漁するという場合には海上保安庁と協力いたしまして適切な保護措置をするということははつきりいたしておりますけれども、その方針には変りないのでありますけれども、現に相当の隻数が海上保安庁と共に東海、黄海方面に配置されております。ただ根本的な李ラインの問題の解決でございますが、これは御承知のような状態で、私どもといたしましては何とか解決をいたしたいという考え方を持つておりますが、その後何らこの問題については進展を見ていないような状況でございます
  86. 千田正

    千田正君 そうすると、とにかく李ラインはまあ日本側としては勿論認めないのですけれども、あそこで操業するというと向う側はこれを抑える、拿捕する、而も拿捕して今日の新聞ですか、懲役一年とか十カ月とかいう一つの判決を下されて抑留されておる、これは非常に不幸な事態でありまして、これは何とか解決しなければならない、併し現実の問題としては食つて行かなくちやならないから日本漁民としては当然あの漁場に進出する。最近に至つてはいわゆる日本側としましても海上保安庁のみならず海上警備隊が砲などを備えておるようであります。更に竹島の問題等をめぐつて感情は相当対立した感情の下において今後の漁場の確保という問題が行われると思うのでありますが、これは長官としては行く者はもう抑えられる覚悟で行くよりほかにないのだ。できるだけのいわゆる予防といいますか、抑えられる前に海上保安庁の船等が行つて注意もし、或いは保護をするということは従来とちつとも変らないのだが、それでもなお且つ去年と同じように抑えられるというような問題が起きて来ると思います。去年よりも何か一歩進んだ保護の措置を考えられているかどうか。この点はどうですか。
  87. 清井正

    説明員(清井正君) 昨年よりも進んでいるかどうかということはちよつと私も申上げかねるのでありますが、現地の海上保安庁の船も水産庁の船も漁業者と密接なる連絡をとつております。すでに御承知通り海上保安庁の第七管区に私どものほうも出向きまして連合の本部を作り、漁業者としよつちゆう緊密な連絡をとりまして適当に漁船に対していろいろな保護措置をいたしております。そこでいろいろな情勢がわかりますればその情勢の判断によつて方面といいますか、東海或いは黄海方面に操業いたしております船については連絡を緊密にいたしているのでありまして、私どもとしてはまあそういうふうに非常なその事態々々の情勢をよく漁業者に連絡するということ以外には、それ以上には進んでいない状況であります
  88. 千田正

    千田正君 今までも、長官が御承知通りに、拿捕された漁船の乗組員等を当委員会で証人として喚問していろいろな事情を聞くと、向うの船は船足が速く、而も砲を備えている、或いは機関銃を備えている、それに対して日本側のいわゆる水産庁或いは海上保安庁の船は無防備である。だからいざというときになるとどうにもしようがない、結局泣く泣くその場に放置して帰らなくちやならない。それで漁船と漁民はそのまま曳航されて向うにおいて抑留監禁示されておるという憂目を見ておるわけであります。今年も恐らくそういう問題が繰返される結果になりやしないかと思うのであります。それに対しては今のお答えによると全然手がない。やはり去年と同じようなことが繰返されることになるのじやないかという感を深くするのでありますが、止むを得ないというような考えで去年と同じような方法しかとれない、こういうわけでありますか。
  89. 清井正

    説明員(清井正君) 止むを得ないと申して適切であるかどうかわかりませんが、私どものほうといたしましては、只今申した通りやはり李ラインは認めてはいないのでありますが、そうかと言いましてむざむざ大切な漁船を大量に拿捕されるということ自体も甚だ残念だと考えているわけであります。で、そういう面を十分認識いたしておりまして、只今申しました通り海上保安庁と連絡いたしましていろいろな情勢を刻々と漁船に通告いたしまして指導するということであります
  90. 小林孝平

    委員長小林孝平君) じや本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会