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1954-03-15 第19回国会 参議院 水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十五日(月曜日)    午後二時十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君            菊田 七平君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    調達庁不動産部    企画課長    鈴木  昇君    調達庁不動産部    補償第二課長  佐藤 長治君    水産庁漁政部長 立川 宗保君    水産庁生産部長 永野 正二君    海上保安庁警備    救難部長    砂本 周一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ヒトデによる魚貝類被害に関する  件)  (漁船だ捕事件に関する件)  (演習場補償に関する件)  (らつこ、おつとせい猟獲に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会開会いたします。  議題の第一、ヒトデによる魚貝類被害に関する件を議題に供します。  先ず水産庁のほうから御報告を頂きたいと思います。
  3. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 東京湾に昨冬発生いたしましたヒトデ被害に対処する処置につきまして御報告を申上げたいと思います。  昨年の冬以来東京湾においてヒトデが異常に発生をいたしまして、先ず千葉県の沿岸中心といたしまして、部分的には東京神奈川県の沿岸に押寄せて貝類を蚕食いたしましたことにつきましては御承知通りでありますが、これに関しましては、我々のほうは千葉東京神奈川関係の府県を集めまして、水産研究所或いは県の試験場等にも参加を願いまして、これの被害現状調査並びにこれの駆除等措置について三回ほどに亘りまして会議をいたしまして連絡を図り且つその処置を講じて参りました。これは当初は浦安中心といたしまして、木更津に至ります千葉県の沿岸に先ず出て参つたのでありますが、漸次東京都においては葛西、羽田でありますとか、神奈川県では生麦でありますとか、というような所に漸次出て参りまして暴威を振いました。これに対していろいろヒトデの生態に関する学問的な資料を取りまとめて、有効な駆除対策研究をいたしましたけれども、現在の措置では薬物を以てする適当な措置もありませんし、文科学的に処理をする適切な方法もありませんために、要するに方途としてはこれを貝けた網、その他の方法で取つてしまうということのほかはないというので、関係都県漁民と協力いたしまして、その駆除努力を傾けたわけであります。それで大体の状況といたしましては、漸次水温が上昇いたしますにつれて、暖かくなりますにつれて、ヒトデの成長する適温がありますために、このヒトデの数もだんだん減つて来たということ、それからもう一つは或る程度貝類相当食い荒した、そして移動し始めたというようなことで、それと駆除の効果と三つが相待ちまして、被害をこうむつておりました所から漸次ヒトデが少くなつて来ておる、こういうような状態でもございます。今年の初頭に、例えば最も被害を伝えました浦安におきましては、当初海の底が真黄色に見えたというような状態でありましたが、この二月の末に私どもが現地に参りましたときには非常にその海底の黄色さも集団的ではありませんで、ぼつぼつ点在をしておるというような状態にもなつてつたよう工合でありまして、かなり状態は一時とは変つて参つたわけであります。そこでこれは結局関係漁民のかたがたが非常に努力をされて、自分漁場を守るという努力をされたことに非常に大きな原因があるわけでありまして、その点は敬意を表すると共に喜んでおるわけでありますが、この駆除その他の方法に対しまして、県又は国等援助をする方法もいろいろ検討いたしまして、予備金支出というようなことについても、内部でいろいろ討議をいたしたのでありますが、農林省内或いは大蔵省ともいろいろな話合いをいたして参りましたが、なかなかこれは、こういう突発的な被害に対して予備金を簡単に支出するというわけになかなか参りません。この具体化が非常に困難ではないかというように考えておるわけであります。  それから当面の措置といたしましては、これは貝類漁場組合の持つております区画漁業権対象でありまして、組合漁場でありますが、その組合漁場を最も被害駆除する、こういう意味におきまして、組合が現在保有しております漁業権証券、こういうものの資金化を図りまして、駆除に対する費用、或いは稚貝を買つて来てここにまきつけて、将来大きくする、こういう費用を出すという措置を取りあえず講じておるわけであります。具体的に千葉県におきましては、漁業権証券資金化ということを現実に出して来て、それを行なつておる、こういう状態であります。千葉県当局におきましても、当面の駆除費用に対して、県において若干の財政的な援助をしたいということで、県当局でそのような駆除費の一部負担というような措置をとつておられると聞き及んでおります。東京なり神奈川等におきまする被害を聞いて見ますと、被害が非常に部分的であります。そこまで県の負担で実行するというようなことまでは必要がないのじやないか、こういうような御意見であるかのように承わつております。そのほかなお駆除のために必要とする資金、これは協同組合自身支出するわけでありますから、その協同組合の、組合としての必要な経費信連等を通して、その系統で流す、こういようなことで考えておるわけであります。さようなことで大体非常な、最大の危機というものに一応去つたかのようでありますが、なお将来について十分注意をしまして、調査研究のほうと相待つて、監視を継続すると共に、将来こういう事態発生しないような努力を進めて参るという工合に今折角努力しておる次第でございます。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 何かこれにつきまして御質疑ありますか。
  5. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 一つ聞き漏らしたのですが、この駆除に対してはどういう方法をとつてやればいいのですか。
  6. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 駆除を現在やつておりますのは、船にけた網をつけまして、それで引張るというのが一番能率的ないい方法であるように思います。それからそのほかに、やすみたいなもので目に見えるところを突いて行くというようなこともやつておりますし、それから貝をとるときに、こしまきという漁具があるのですが、こういうもので貝と一緒にヒトデをとつておる、こういうような方法もやつておるようです。そのほか有効な方法としていろいろ研究はいたしました。例えば硫酸銅で殺すようなことも実験的には成功するのでありますけれども、海の水に必要な硫酸銅の量を流すということが非常に困難でありますので、生れは実行的には困難と思われます。それからお湯の中につければ、これはすぐ死んでしまいますが、生水につけると二時間くらいでヒトデは死にますが、海におりますやつを、そういう方法で殺すということは、これ又困難でありますので、ほかにやり得る具体的な方法としましては、今申したけた網等でまとめてとつてしまう、こういうのが能率的であるようです。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そのけた網の使用とか、その他これの操作については、養殖業者自体がそれぞれにやつたのでありますが、又何か組合とかその他の機関でやつたのであるか、そのやつた方法はどういうふうにしてやつたのでしようか。
  8. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは被害を受けました貝類漁場は、例外なしに漁業協同組合漁業権対象になつております漁場でありまして、つまり組合漁場であります。そこで組合が音頭をとりまして組合員出動要請をしまして、今のような駆除の道具で以て駆除をいたした。漁業者個々自分漁場駆除するということではなかつたのであります。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私はそこの実情をよく知らないのでありますが、区画漁業になつてつて区画漁業権組合が持つておるのですか。
  10. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 組合が持つております。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしてその組合が養殖しておるのですか。
  12. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 組合が養殖しております。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に先ほどの駆除費の問題ですが、漁業権証券資金化してそれを駆除費に充てた、或いは被害を受けたと言いますか、組合員がそこの収獲がなくなつたために、非常な損失をこうむつたものに対しては組合から資金を流したというようなお話でありましたが、そのほかにはどこかからも、県費も国庫も全然出ておりませんか。
  14. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 千葉県では駆除費の三分の一だつたかと思いますが、三百万円ほどの駆除費県費支出をいたしまして関係漁業組合に交付をするというような措置をとつてつたようであります。国費につきましては先ほど申しましたようにいろいろ検討をいたしまして努力はいたしましたが、なかなか実現が困難と考えられます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 今の駆除について国費で助成をするということをいろいろ検討されたが結論が得られなかつたということは、それを駆除するについて確信の持てる的確な方法がないということでそうなつたのか、それを駆除することは当然受益者負担というような観念から地元の協同組合が当然やるべきだという建前でそういう結論が出たのか、予算関係財政的に都合が悪くてそういう結論が出たのか、いろいろ研究したが適当な案が立たなかつたというその研究の過程において今申上げたようなことでどういうことが考えられてそういう結論が与えられたのか、その経過一つ聞きたい。
  16. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは駆除の適切な方法がなかつたということではないと考えております。それでこれは我々は何とか出して欲しいという側でありますので、どういう理由でということについては、尤も権威あるお答えはいたしにくいのでありますけれども、大体考え方といたしましてばやはり予備金支出になります。これは当初の予算に勿論ありませんし、それで予備金性格上非常に制約があるということで、主として財源的になかなか困難であるというのが大体主たる考え方になると思うのでありますが、なおそのほかにこれは農業のように一種の災害保険農業共済という一つ制度がありまして将来のために常に準備をして保険をかけておくというようなことがありまして、いろいろな被害があつた場合、病虫害があつた場合にこれに対して必要なる経費を出して保険をするというような制度がある場合には割合に楽なのでありますが、漁業のこういつた貝類の場合は非常に、仮に値段が高くなつた、或いは貝がたくさんとれたというときにもこれは組合それ自体負担でありますし、まあ或る程度貝が少い、或いは何か病虫害にやられたという場合にも、いわば危険負担が、得したときも損したときも自己負担でこういうものはやつて来ておる。そういうことが暗々裡一つ財政当局や何かのものの考え方に反映すると考えられるのでありますが、或る程度そういう被害があつた場合にも直接に補助ということにはなかなか乗りにくいのではなかろうか。これは儲かつたときも損したときも主として自分努力する、こういうことになりますと資金面とかというようなことで或る長期間の均衡を考えてやつて行くということでもよかろうじやないかということになります。例えば浦安その他等の組合ではたまたま相当今までに漁業権証券をたくさん持つておる、こういうようなこともありましたし、なかなか予備金駆除費を特別に支出するということにはなりにくかつた、こういうことでございます。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 駆除に対する技術的なことについては対策がないわけでもない。やれば一応確信の持てる方法があるという前提に立つたときに、今のお話のようなことであつたとすれば、何か政府のやつておることに非常な方針的に一貫しないものがあるように私は考える。と申上げますのは、自分漁場を荒されておるものだけを始末したのでは問題の解決にはならないので、次から次へ恐らく移動をして移つて行くという性格があると思うのです。そういうようなことのためには今お話があつたように、普通の米麦作等農業においては保険の問題を離れて、個人が自分の家のを駆除するだけでは十分ではないのであります。隣で発生すればやはり移つて来るということがあるから国が病虫害の防除に対して一定の補助を出して公共の利益を守つて行くというような建前仕事が進められておる。それから厚生関係に例を取れば天然痘にかかる、かかればそれはかかつた人が著しむことは当り前のことなんです。当然受益者負担という建前から自分予防接種をやればよろしいけれども、若しやらなかつた人があつたのでは困るということで国が費用を持つて強制接種をやつて予防をやつておる。火災の場合にも同様にやはり公設の消防というものを作つて一般に害が及ばん施策が講ぜられておると同じように、やはりヒトデの問題はその人だけが努力するということだけでは解決しない問題ではないか、そうすればやはり国が広く公衆の利益を守つて行くというような建前に出なければならんものであるというように私は思うのでございますが、そういうことが徹して来れば予備金支出とか或いは国会の開会中でありますので昭和二十八年度の追加補正をするということも時期的には困難な問題ではないのであります。要するにヒトデというものに対する考え方政府方針としてその他に対する場合と異なつた見方をしておられるところに問題があるというふうに考えられるのですが、水産庁としてはどうお考えになりますか。
  18. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは農業の場合、或いは火災の場合、或いは伝染病の場合というように、いろいろ事例をお挙げになりましたのですが、そういう意味規律をするという御意見に対しましては一つの極めて筋の通つた考え方で、この場合もそのように規律をしてはということも具体的には考えられるわけでふります。ただ東京湾ヒトデの例をとつて見ますと、ヒトデ木更津の沖に年々おるわけでありますが、沿岸の貝が被害をこうむつたということで、著しい被害をごうむつたという例は未だ曾つてそういう例がないので、年々の状態を見ますと、ほんの微少なものが部分的に所によつて出て、来るということはありますけれども、このように異常に押寄せて来るというような例はらよつと出ていないわけであります。しよつちゆう恒常的にあります被害ということになりますと、さような問題も出て来るのでありますが、今年はあるけれど、来年、再来年は全然こういう事態がないかも知れないというようなことになりますと、やはり非常に農業病虫害の例というような工合に軌道に乗りにくいということが一つあると考えます。それから又、併しなお且つ更にそれを一歩踏越えて考えて見ましても、この漁業災害は単にヒトデ被害だけでなくて、そのほかにも例えば真珠に対する赤潮でありますとか、いろいろなものが考えられるわけでありますが、これについてその一つの、先ほど例をお挙げになりましたような農業の、災害或いは人間の伝染病といつたよう一つレールが敷かれておりませんので、いわばそこまで達しておらんという状態であるかと考えられるわけであります。そこで勿論このレールを敷くという問題につきましては、将来の問題といたしまして、例えば不作不良の場合に対する恒常的な救済施設、例えば保険制度というようなものはこれは十分研究に値すると考えておりますし、又病害虫駆除一つレールというものも当然考えられなければいかんかと思いますが、今の、現在の状態といたしましてはそこまで達しておりませんために、そういうことを一つの背景といたしましてこのヒトデの問題に対していろいろ具体的に措置を講じて行きます場合には、なかなかその措置に乗りにくいというような現状があるわけであります。十分御意見のところは将来もそういう方向に努力したいと思いますが、差当りヒトデの問題について現在までの経過では関係の向きと相談をいたし努力はいたしましたが、なかなかそこまではすぐは具体化し得ない情勢であるということであります。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 まあ気持はよくわかりますが、私の考えるのは先刻申上げましたように、農村における病虫害一般社会における伝染病と同じような性格のものではないかと思うのです。必ずしも常習的にあるということではない。伝染病にしても何年目に一遍集団的に発生すればそこに翌年も発生するとは限りませんが、国費を投じてその予防を徹底的にやるという事例はたくさんあるのであります。そうやつておるのであります。だからそれと同じような意味において当然このことは国が乗出すべき性格のものではないか、発生したところだけを駆除すればそれでその近隣のほうに影響がないかと言えばやつぱり近隣相当漁場を荒されるという事態伝染病と同じようにあると私は想像しておるのであります。自分のところだけ追出してしまえばよそのほうに行つてよそのほうに又被害を及ぼすということもあるのじやないか、こう考えられるのですが、そう考えて来ればこれはやつぱり今申上げた例のような受益者負担というような意味発生をしたところの人だけがやつておるということでは問題の解決にはならんので、例がないから手がつかんということでは私は政府のやつておるやり方について水産の場合と農業の場合と一般厚生関係の場合と考え方に分裂があるというようにも思われる。やはり筋を通して一貫的に一つ方針として考えてもらわなければならんと、こう思うのです。予算がないということはこれは理由にならんと思います。そういう方針を確立されれば予算を作る方途がこれは与えられておらんわけではありません。これは一つしつかり考えてやつて頂きたいという希望を申上げておきます。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の問題は森委員と私どもは全く同感でありますが、どうも今のお話を聞くというと、例がないと言いますけれどもヒトデの例が東京湾に珍らしかつたというのであつて赤潮の例なんか頻りにあつておる、よそではあつております。従つて丁度農作物に対する病虫害と同じ性格のものである、それを例がないからということで水産庁が引つ込むということは私は実に解せんと思う。もう少し道理を尽して他の例と比較をして一つ大蔵省を説いて補助金支出なり何なりをさせるべきである。そうしませんとこんなものが毎年続いてはたまつたものではないが、併し来年来ないということは誰も保証できない。来年あつたら出すというのか、来年なくて又何年目かに来たら珍らしいから出さんというのでは非常な片手落だと思います。水産とかくいろいろそういう政府救済面において始終下積みになるということを非常に我々は心外に思つておるのですが、そういう面において水産庁はもう少し強硬にやつてもらいたい。農業においては相当やかましくいろいろな問題が起つた場合には論議されまして、場合によつてはお釣りが来るくらいに出ることもあるようであります。今森委員お話のように、千葉県、東京湾を食い荒して次に神奈川県のほうに移つて行くといつたようなことは、これは病虫害と何ら異なることはないと思います。それで私は駆除費にもそうでありますが、それによつて生じた損害というものも相当大きいように聞いております。それらのために零細な漁業者がその日その日の生活にも相当圧迫を受けて、おるのじやないか、これらに対してたまたま協同組合漁業権証券があつたからそれで幾らか補なつたかも知れませんけれども漁業権証券というものは毎年々々あるわけのものではありません。たまたまあつたというだけであります。これもあるからやらんのだということは筋が通らない、こういうことで是非一つこれからでももう少し押して頂いて、そうしてそれらを救済して行くような方法水産庁一つ強硬に講じて頂きたい。
  21. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかにございませんか。  それでは一言私から聞きますが、この国費支出するということにつきまして今まで水産庁農林大臣或いは大蔵省に折衝されたことだろうと思いますが、折衝された経過についてちよつと一言お聞きしたいと思います。
  22. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ヒトデ駆除に対する補助金予備金から支出をいたしたいという工合に考えまして、駆除漁船出動に要する経費でありますとか、或いは駆除漁具の製作に関する経費でありますとかいうようなものを見積りまして、大体その経費の一部千四百万円ほどのものを予備金で出してもらいたいということを農林省内でも討議をいたし、或いは大蔵省等にもお話をいたしたのであります。で再三再四お話をいたしましたが、大体現在までの状態は先ほど申上げましたようになかなかいろいろな理由を以ちまして非常に困難である、こういう態度でありまして、未だこれを具体化をするという見通しは非常にまあ私どもとしまして、なかなかむずかしいのじやないか、こういう工合に考えておる次第であります。
  23. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 更に今の予備金よりの支出方要請は具体的には誰にされたのか、或いは農林大臣はこの問題をはつきり知つておられるか、これは困難であるという結論については農林大臣責任を持たれるのかどうか、この点を一つお聞きしたい。
  24. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは農林省におきましては会計課長官房長というところとの話合いでございます。大蔵省に対しましては当該主計官という人々に対する話合いでございます。
  25. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは農林大臣はやはりこれは困難だから出せんという御意見だと確認していいわけですか。
  26. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これはまあ農林大臣と申しますか、この問題について官房長なり会計課長という人が、恐らく内部的には大臣と打合せをしておるかどうかわかりませんが、少くとも大臣の当然代りになる職務の委任を受けておる、こういう工合に考えております。
  27. 千田正

    千田正君 これは全然世界に例がないのですか。
  28. 立川宗保

    説明員立川宗保君) なかなか世界的にも例は少いようでありますが、文献によりますと一度アメリカ沿岸で「かき」が被害にあつたという事例報告されております。
  29. 千田正

    千田正君 アメリカのニユーヨーク州でしたかね、あすこの水産試験場において「かき」に対するヒトデ被害に対して調査をして駆除をやつているはずなんです。そういう資料等についての研究は積んでおられるわけですか。
  30. 立川宗保

    説明員立川宗保君) アメリカの「かき」に対する被害文献はこちらにありまして、それのレポートは十分早速取調べて今回の措置についても重要な資料として活用しておるわけであります。
  31. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今いろいろお話を聞きますと、まあ事は何十億という被害じやないけれども、単なる過失によつた被害とかいつたようなものでなしに、少くとも一都二県に跨がつておる被害なんで、これに対しで国のほうで何とか見てやるというのは、農業方面の例から見ましても先ほどからしばしばお話のある通り幾らでも例のあることなんですが、今お話聞きますというと、どういうわけか下のほうでちよろちよろつていて農林大臣も果してそれを知つて責任を持つておるのかどうかわからん程度のものではこれは話にならんと思う。単なる主計官事務同士話合いでなしに、もつと大臣同士話合いくらいに持つて行つて相談すれば私は話はわかるのじやないか。下のほうでこそこそ抑えているうちにもういなくなつたからいいじやないかというようなことじやこれは業者はたまらんと思うのです。これは一つ今からでももう少し上のほうと話合いをして見るという気はございませんか。
  32. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 農林大臣には事態発生いたしました直後いち早く御報告をいたして、大臣はこの事情は十分承知をしておられます。ただ私どもいろいろな予算或いは財政に関する仕事をやつて参りましたときに、大臣同士話合いにいきなり持つて行つてものが解決するかどうかというようなことについてもいろいろ考えたのでありますが、これは必ずしも大臣にいきなり持上げて農林大臣と大蔵大臣のお話合いをするということで解決をする、事務当局同士の話合いでは解決できんものがすぐそこに持つて行けば話合い解決するという工合にはどうも判断をしておりません。でやはり事務当局同士で話合いをつけるべきものではないか、こういう工合にいろいろな事例から判断をいたしまして努力をいたしたのでありまして、内容は大臣も御承知であります。
  33. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これはその通り事務当局話合いで話がつけば問題はないのですよ。話がつけばもうそれで結構ですが、話がつかんからといつて打切つてしまうということは、水産庁も成るほど大蔵省の言うのは尤もだからやつても駄目だ、こう匙を投げたものであるか。若しそうでなくてどうも大蔵省の言い分はおかしいというのであればもう一つ尽す手は残つていると思う。最後の手まで行つておらんと思うのですがね。大臣大臣同士がこれはおかしいじやないか、やつぱり農業にも相当出しておるから水産にも少し見てくれということを大蔵大臣大臣から話して、それは事務当局でやれといつたところで事務当局で話はつかんのだから、そこで大臣にもう一つ押してくれというくらいに話ができないものか。余り金額が少いからそれができないのであるか。私は金額の問題じやないと思う。大きな問題が起つたときにはやるけれども比較的金額が少いからというのでは筋が通らんように思うですが、もうこれでこの上の話はできないのですか。
  34. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私はこの予備金による支出の要求を打切つたということは申上げておりませんので、今大体この経過を御説明をいたしますに際して一つの見通しを申上げておるわけでありますが、いろいろやつて参りました経過では非常に困難であろうという判断を私どもせざるを得ないということであります。ただなお今後もいろいろ努力は尽して見たいと考えております。
  35. 森崎隆

    委員長森崎隆君) じやこの議題は一応この程度におきまして、又必要に応じて……。   ―――――――――――――
  36. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは第二、漁船拿捕事件に関する件を議題に供します。海上保安庁の警備救難部長砂本周一君から御報告を頂きたいと思います。
  37. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) それでは本年に入りまして以後の問題の概略を一応申上げたいと思います。  朝鮮海域におきましては、本年に入りまして三月十五日、本日でございますが、八時三十分までに判明いたしましたもので、韓国側によつて拿捕されたもの七隻でございます。うち帰還いたしましたものは巡視船佐渡一隻でございます。このほかに臨検、追跡等に類する、まあ従来もあつた事件でございますが、これが三十隻に達しております。  次に東支那海域におきます状態でございますが、これも同様本年に入りまして中共船によつて拿捕されたものが十隻ございます。これはいずれも未帰還でございます。ほかに臨検、追跡等に類する事件が二十二隻に及んでおります。  なおこれは関係がないかも知れませんが、北海道近海の海域におきまして暫らく中絶しておりましたものが、三月に入りまして一時に四隻拿捕されております。二隻ははつきり確認しておりますが、他の二隻もその後の状況から判断いたしましてほぼ同じ所で漁をしておりましたので、これは御承知の海馬島の南方でございますが、大分近く接近しておりましたので、四隻とも完全に拿捕されたように、現在はそういうふうに考えております。  それから特に李ライン内における状況をちよつと附加えたいのでございますが、昨年九月韓国側によりまして李ライン内における日本漁船の一切退去の措置をとつてつたのでございますが、当初御承知のように海軍艦艇みずからが警備取締に当つてつたのでございます。従つてそれが直接まあ理由になりますかどうですか、九月、十月には毎月二十隻以上にも達しておりまして、その後十一月は二隻に減少いたしました。それから十二月、それから本年の一月には一隻も拿捕事件発生を見ておりません。これは韓国側の李ラインの警備状態が海軍によつて直接措置されておりましたものが、特に海洋警察隊、或いは海洋警備隊とも言つておるようでございますが、これに移管されたのでございまして、それが直接こういうふうな結果になりましたものですかどうですか、これもはつきりわかりませんが、そういう取締機関の変化もございました。本年二月に入りまして三隻でございます。それから三月は現在までに四隻、これが海洋警察隊の名におきまして、勿論これには水産局の監視船も一緒に行動しておるようでございますが、直接海軍の手でなくして今申しました海洋警察隊警備船、そのほかに水産局監視船、こういうものの機関によりまして拿捕が継続されておるわけでございます。  それからまあ極く最近本月の事情を申上げますならば、今月に入りましてからは韓国側によつて拿捕されたも、の、これは四隻でございます。それから追跡、臨検等を受けたものは途中に連行されておつて脱出したのも含めまして十一隻に達しております。又中共船によつて拿捕されましたものが二隻でございます。追跡を受けましたものが二隻でございます。それから先ほど申しましたようにソ連の関係が四隻。これが最近におきます概要でございます。
  38. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御質疑がありますれば……。
  39. 千田正

    千田正君 これはこの前の拿捕された漁船に対するところの代船建造の利子補給その他の法律を作る際にも非常にこういうことが起るであろうということを我々が心配しながらあの法律を作つたのでありますが、今海上保安庁の方の御報告によると大分あの法律が出てからもつかまつておるようでありますが、これは水産庁側は一体こういう問題が出たんだが、これに対してどういう処置をとるのか。あのときは特定の地域内におけるという李承晩ラインにおいて拿捕された船に対してのみいわゆる代船建造に対する金融の措置をとる、あとは何か便宜いろいろなことを考えようというような答弁しか得られなかつた。我々は非常にあの法律を通す際において遺憾に思つたのでありますが、一体これに対してどういうふうな一体善処する方法があるのか、水産庁側からこれは一つ御答弁を頂きたいと思うのです。
  40. 永野正二

    説明員(永野正二君) 只今の韓国関係でその後起りました拿捕の事件につきましては、あの法律が施行されるまでのものにつきましては同様な取扱をいたすと、こういうことに相成つておるわけでございます。
  41. 千田正

    千田正君 それはこの前の答弁でわかつておるわけでありますが、単に韓国との間ばかりでなく、中共においても拿捕されて帰つて来ない、更に最近に至つてはソ連側からも拿捕されておる、こういう問題、更にあの法律を作る以前においてすでに拿捕されて帰つて来ない、中共に拿捕されたものその他に対してはどういう一体そうした不幸な目に会つた漁船の代船建造その他の政府側としての善処する方法をとつて来たか、今後又どういうふうに措置するつもりか、その点を聞きたいと思います。
  42. 青山正一

    ○青山正一君 今の千田さんの問題に附随してお尋ねしたいと思いますが、公布までの分があの法律の適用を受けるわけでございますか、公布後は全然適用を受けないことになつておるのか、その点を一つお答えを願いたいと思います。  それからもう一つは、千田さんのおつしやつたようにソヴイエトなり、或いは中共なり未だ交戦中であるからああいうふうな法律を作ることは無駄であるというような御答弁だつたのですが、私らの目から見ればむしろそういうものに特に何らか考えてやるべきが本当じやないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、その点について一つお答え願いたいと思います。
  43. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 韓国関係の具体的な事実だけを申上げたいと思いますが、法律が参議院を通過をいたしましてその後に捕まりました韓国関係の船は、三月三日に第十高砂丸、第八浜吉丸というこの二隻がありますが、これは法律の施行の前でありますのであの法律で適用を受けるわけであります。その後只今報告がありました、これはまた確認をされておるかちよつ、と問題なのでありますが、三月の十四日に韓国関係で日本水産の田村丸、それから日米水産の日米丸というトロールの底曳の船が一隻ずつ捕まつておりますが、いずれも千トン以上の船でありますので公庫の対象にはならないわけであります。
  44. 千田正

    千田正君 あの法律には大資本であるところの千トン以上の船においては対象にならんのでありますが、恐らく今後ともそういうものは起きると思う。今まで一体、さつきも書山委員からも補足して尋ねておられたのですが、中共、ソ連、こういう所に拿捕されて帰らない船には何ら国においては十分なるところの措置を講じておらない。それは単にいわゆる中共、ソ連に対しては日本は友好条約を結んでおらないから、そういう立場にあるから、そういう所へ行つて、そういう所へ行つたんじやないけれども、公海で操業していて捕われたのだが、そういうものは全然考えてやらないのだという方針なんですか、その点をはつきりしてもらいたいと思います。今日はまあ長官来ないからあれですが、あなた方のお考えがどういうふうなのか、一応聞いておきたい、事務当局のお考えを。
  45. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 中共、ソ連の問題は法律を御議議の際にしばしば出た問題でありますが、まああの法律といたしましては、非常にたびたび審議の過程で、長官或いは大臣等から申上げておりましたように、非常に限定をいたしまして、制限的に臨時緊急の事態に相応する極めてまあ臨機の措置であるということで一貫をしておりますために、まあ一般的にあの法律を広く拡げるという趣旨は、初めからその趣旨で立案をいたさなかつたわけでありまじて、そのために李承晩関係の実力行使が活動に入りましたその前後の一定期間だけを限りましたという工合に非常に絞られております。そこで更にその中共、ソ連関係等につきましては、まあおのずから韓国に対します対外関係とも若干趣きを異にするというような理由も附加されまして、そういうふうに制約をせられたという、こういうことであります。そのほかに一般に拿捕に対処いたしまする方法といたしましては、現在ある方法としては、漁船損害補償制度の中で特殊保険というものもございますし、更に乗組員給与保険というものもございます。それはかなり国庫の負担もあれは非常に多くなります。大体七割くらいが国持ちで補償しておるという制度に現実にはなつておりますから、そういう制度一つあるのだということで、そのほかにそれを軸といたしまして、いろいろ監視もし、警戒もし、善処をすると、こういうことに相成ろうかと思います。
  46. 千田正

    千田正君 どうもあなたと議論してもこれはなかなか解決がつかないと思うのだが、これは先般予算委員会において吉田総理に対して僕は質問をしておる。アメリカにする前に、なぜ李承晩と会つてこの問題を解決しないか、したいというけれども僕はやれないのだ、向うもやる気がないのだということになると、丁度中共とソ連と同じように、日本とは何ら友好条約を結ぶ意思はないのだということをはつきり向うは証明をしておる。だから李承晩ラインのみを特定の地域としてこういう問題を取扱うのは不当だと思うのであつて、むしろ現在条約を結ばれないところの国との関係にある公海の操業をやる自由操業に対して不当な圧迫を受けた場合においては、国内において十分そうした不幸な人たちを救う方法が考えらるべきで、特定であるところのいわゆる李承晩ラインのうちに捕まつたものだけは考えてやろう、そのほかのところは勝手に行つたのであるから私は知らんということでは、私は制度の根本が大体間違つておる。そういうわけで、あなたと議論したつて解決がつかんから、長官が来たときにはつきりそういう点について聞こうと思うのであります。
  47. 青山正一

    ○青山正一君 千トンまでの枠をきめてありまして、千トン以上保有する会社におきましては、やはり開発銀行のほうで何か世話してやるという行政的措置水産庁がとつてつておるわけなんですが、今度の場合、この日水とか或いは日米或いは大洋漁業、こういつた千トン級以上の船が、或いは五百トン級以上の船が相当取られておるわけですが、そういうものに対して恐らくそういつた船は、向うのいわゆる戦争用の艦船に使われることは、これはわかり切つておるわけですが、そうなるとすると、これはどうしても帰つて来ない、帰つて来ないということになるとすれば、やはり前の行政的措置を講じたと同じように、やはり今後も措置を講じてやらなければならんし、それからどこまでこれは臨時特例というふうなことで解釈しておつても、これからもどしどしやはりあの法律を長く生かさなければならんという場合も予想されるわけなんですが、その点について一つお伺いしたいと思います。
  48. 千田正

    千田正君 関連質問としまして、さつき課長の説明によると、日米水産、その他事トン以上というのですが、新聞の発表によると、二百二十六トンと私は記憶しておりますが、一体トン数は何トンですか、それも一緒に話して頂きたい。
  49. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 日本水産の田村丸は二百三十六十ンであります。日米水産の日米丸は、七十五十ンの以西底曳の船であります。先ほど千トンと申上げましたのは、農林金融公庫の融資の対象といたしましては、所有又は使用しておる船舶千トン、常時使用する人間が三百人以上というような扱いになつておりますので、そのいずれもそういう種類の会社に入るということであります。  それから只今お話でありますが、これは法律の立て方については、いろいろ御審議の過程に議論がありましたのでありますが、その提案の趣旨といたしまして、大臣から御説明を申上げました通り、まあ政府の立て方といたしましては、あれはいろいろ御議論もありますけれども、臨時応急の措置ということにどうしても制限をするということで立てておりますので、あれを今後そのままの格好で、どんどん適用期限を延ばして行くという考えは持つておらない次第でありまして、これはやはり常態に戻りまして、漁船の特殊保険制度というものを以てこれを軸にして対処をして参りたいという工合に考えておる次第であります。
  50. 千田正

    千田正君 一体これを防禦するにはどうするかという問題もたびたび論議が尽されておるわけですが、今後もこういうような状況の下にたびたび同じようなことを繰返されるし何か知らんこれに対して防禦する方法がないといつたことなんですが、これに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  51. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 現在海上保安庁と水産庁が派遣しております巡視船と監視船を最も有効に使うという趣旨に基きまして、三月一日から特に門司の第七管区海上保安本部に対策本部を結成いたしまして、これは動いておるわけでございますが、動きましてもこれは昨日のような拿捕事件が起きておるのでございまして、今後許された範囲、或いは勢力の許す範囲におきまして最善を尽しましても、はつきりと完全にこれを防止するということはなかなか言い切れないと思うのであります。現在の巡視船の能力を以ちまして船を増加して、その増加を如何に防止するのにうまく使うか、こういうことの技術上の問題でございまして、根本的の問題はちよつと私どももここではつきり申上げるものがございませんのです。ただいろいろ船の通信機関その他をうまく総合いたしましてやるというのが今回の対策本部の狙いでございますが、もう少しは効果が挙ると思いますが……。
  52. 千田正

    千田正君 そうすると、それは結局まあ現在の方法としてはない、あらゆる努力を重ねて向うが出動しそうなところに配置して、向うの動き方をキヤツチして漁船に知らせて退避させる、こういう以外に手がないということなんでありますね、現実の状況としては。
  53. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) はい、大体そういつた程度でございますが、なお交渉その他によつて防げるものならば今までもやつておりますように、その方法も尽したいと思います。併し効果のほどははつきりしたことは期待できません。と申しますのは、巡視船自体も拿捕された実例もございますし、現在の状態におきましてそれ以上効果的なものがあるかどうか疑問に思つております。併し私どもとしてはいろいろ考えて最も効果的のものをやるという意思はございますけれども、大体現状、非常に画期的なものがありますかどうですか非常にむずかしい問題であります。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 一言私のほうから海上保安庁にお聞きいたしますが、この間の特定海域における拿捕漁船に対する損害補償の法律の問題は御存じの通りだと思います。それについては今ソ連邦並びに中共に拿捕された漁船、又この法律施行以後の各問題等については今お話通りでございますが、そこで私たち実は考えまするには、拿捕された漁船が不法行為をして拿捕された場合にはこれは又日本から詫びてその帰還方を依頼しなければならないと思いますが、公海で堂々と操業している場合にこれを拿捕した場合には飽くまで相手国に全面的な責任があるわけなんです。これは李承晩ラインとかいう線に入つた、入らんなんと、こんな問題は全然ないのでございまして、問題は日本の漁船が許可なくして外国の領海内に入つたか入らないかという線で一つの何と申しますか、取扱方に差異が生じて来るだろうと思うのです。それで中共又はソ連邦に拿捕された漁船について、公海で操業しておる場合、又は今言いましたように、領海に入つたといつたような場合とは違うと思う。若し本当に生きた法律を作るとしますれば、そういう点で領海に入つた場合にはこれはもう補償も何もできないと言つてもこれは筋が立つわけでございますが、中共並びにソ連邦に拿捕された船、ましてや韓国に拿捕された船等につきましては、これは又逆に全面的に国策の一環として国家が責任を負わなければならんと思うのです。そこで大切な問題は、拿捕された漁船がどういう地点で拿捕されたかということが私はやはり平和国家日本側としては良心的にはつきりとした責任のある記録を取つておかなければならんと思う。ですから韓国の領海内に不法に入つて操業した船があるかないか、それから中共、ソ連邦に対してもやはり同様領海内に侵入してそこで操業して拿捕された事実があるかないが。その上に別に又中共或いはソ連邦とはまだ形の上では戦争状態にあるという一つ理由もほかにはありまするけれども、少くとも日本としては領海に入つたか入らなかつたかという点ははつきりしなければならんと思うのです。その資料が今まで拿捕された漁船について出せるものか出せないものか、一応聞きたいと思います。
  55. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) これは拿捕されました船自体が帰つて来る場合もございますし、又船員が帰される場合もございますが、これは私のほうでもいろいろな方法を講じまして調査をいたします。併しどの漁船につきましてもはつきりと領海に入つてつたという船は、なお正確に調べる必要はございますが、たくさんケースがありますから殆んどないと言い切れると思うのでございます。それでこれを確かめるのも非常に困難でございますし、それから先ほどのお言葉のように私どもの漁船の保護の一つの具体的な大きな目的は、まさに正常な公海で漁をしておつたかどうか、拿捕の現場を確認するのも大きな問題でございます。朝鮮或いは中共関係は場所柄非常に漠然としておりまして、なかなか多数の漁船のそういつた現場の確認は困難でございますが、ソ連関係におきましては時期によりますと比較的場所も制限されておりますし、日本の沿岸から近いものもございます。漁船保護の大きな分野は漁船の操業位置と、拿捕されて行く場合を早くキヤツチいたしまして、実力によつてそれを奪い返すことのできない場合には、これはなかなかできないのでございますが、はつきりとあらゆる船の装備、人力、智力、経験を以てその位置を確認して置く、こういう指導を最初からいたしておりますし、又それをやつております。公海における日本漁船の保護は我々の大きな義務でございますが、なかなか思うように参りませんが、こういつたことにつきましてはつきりした証拠を得ることは今後もやるつもりでございます。今までもやつております。
  56. 青山正一

    ○青山正一君 委員長ちよつとお伺いしたい、先ほど委員長の御質問に領海という言葉がありましたが、委員長のいわゆる領海というのは朝鮮の三海里沖合の領海という意味ですか、それから海上保安庁からお答えになつた領海というのもそういうような意味合いの領海ですか。
  57. 森崎隆

    委員長森崎隆君) お答えします。勿論その通りで、保安庁のほうもそのように解釈しておると私は信じております。
  58. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 委員長と同じ解釈です。これは公の解釈でございますし、国際的に認められた領海と申しますのは三海里でございます。ただ海のことでございますので取締の実際面を申しますと、そこは多少場所によりまするとマージンをとつて漁船の漁業を指導する場合がございます。北のほうは、こちらは決して認めていないのでございますが、正式の通牒もありませんが、御承知のようにいろいろの領海説を唱えております。実際向うで裁判をやりました実況を調査いたしましても他の説をとつておるようでございます。実際の取締は要心の意味におきまして若干の含みはございますが、日本といたしましては、又私ども方針といたしましては領海は定説である三海里をとつております。
  59. 青山正一

    ○青山正一君 只今までの報告で考えられることは韓国にいたしましても中共にいたしましても船は絶対返さないというような原則で進んでおりますのですが、ソヴィエトは今まで殆んど全部返しておつたわけですが、最近拿捕された船は一体どういうふうになつておりますか、その点について伺いたいと思います。
  60. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 極く最近のものはまだ帰つて来ておりません。北海道の歯舞附近で拿捕されたものはほんの二、三時間取調を受けて帰つたのもございますし、或いは数日間抑留されまして取調の結果帰つて来るのが常態でございます。
  61. 青山正一

    ○青山正一君 ソ連の関係は殆んど全部帰つておるわけてすね。
  62. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 古い調査によりますと、ここにございますから調べますが、ソ連関係でございますが、二月末現在までで拿捕船二百四十隻でございます。うち帰還百九十二隻でございます。未帰還が四十八隻ございます。最初は殆んど船は返さなかつたのであります。
  63. 木下源吾

    ○木下源吾君 北海道でこの頃いろいろのことを聞くのですが、何隻捕まつておるか、こういう話だが、それはどんな船がどういう状況でいつ頃捕まつだか、わかつておりましたら一つ
  64. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) これはわかつております。ソ連領の海馬島の南西、報告によりますと六海里、南端下ですね、従つてこれは明らかにこの情報が確かであれば公海だと思うのでございます。そういう状態でこれはトン数が十四十トン、それから十七十トン、一番大きいので十九十トンでございますね、名前もここにはつきりしております。これは三月七日の七時三十分でございます。
  65. 木下源吾

    ○木下源吾君 漁は何するんですか。
  66. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) これは「たら」場でございます。
  67. 木下源吾

    ○木下源吾君 どこの船です。
  68. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) ここに資料はありませんが、船主はわかつておるはずでございます。皆八名乗つておりまして、全部で二十四名捕まつたというようになつております。
  69. 木下源吾

    ○木下源吾君 海上保安庁でしたね、さつきから保護々々と言つているのですが、その中に話を聞いていると交戦状態、ソヴイエトと中共が交戦状態だと、戦いの中途だとこう言つているのてすれ、それでそういう戦争状態であるならば、公海も何もないじやありませんか、そういう場合にはどういうところを基準にして保護をするということになるのかな、それを一つ聞かして下さい。
  70. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 私国際関係のことをここで申上げることはちよつとむずかしいのでございますし、その能力がございませんが、日本といたしましては、やはり公海における船舶の航行、特別な条約その他の制限がなければ漁はできるというふうに解釈しております。
  71. 木下源吾

    ○木下源吾君 いや、私の聞いておるのは交戦状態だと、こういうお話なんで……。
  72. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 戦争状態……。
  73. 木下源吾

    ○木下源吾君 その状態だというならば、公海もへちまもないじやないか。(笑声)それに対してはどういう保護をしておるか、こういうことを聞いておるわけです。わからなければまあお答えなくてもいいがね。(笑声)
  74. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は木下委員、これはやはり外務当局にはつきりして頂くのが適当じやないかと思います。
  75. 木下源吾

    ○木下源吾君 それもそうだけれども……。
  76. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 私の言葉に交戦ということはありませんでしたが。
  77. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 私のほうで戦争状態だと申したのであります。
  78. 木下源吾

    ○木下源吾君 やはり戦争状態なことには間違いないでしよう。(笑声)
  79. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) それはちよつと私……。
  80. 木下源吾

    ○木下源吾君 それが根本の問題だと思う。そこで私はお聞きしたいのは、どうして今日あなたに委員長聞いておるかというと、こつちのほうの船の取締のほうは向うよりもきついというんだな、(笑声)それだからその基準をお尋ねしているのです。敵のほうよりも味方のほうの取締がきついというのだ、歯舞のあの附近でも、それで聞いているんですよ。なおここでいろいろ口で言うことは簡単だけれども、実際の面ではそうだというから海上保安庁に特に聞いておる、その辺は思想統一をやつているのかどうか、外務省や日本政府全体が。それで聞いているのです、どうですか。
  81. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) ちよつとお言葉を返すようでございますが、敵よりか日本政府のほうが日本船舶の取締がきついということはちよつとどうかと思うのでございますが、私どものほうはソ連関係につきましても拿捕されることが事実でございますので、拿捕を防止する意味で一応先ほど公海の御質問もございましたけれども、やはり事実上拿捕される海区を一応推定いたしまして、拿捕されないように指導をしておるわけでございます。決して敵より以上な取締はやらない、(笑声)今までもやつておりませんし、今後もそういう指導はしないのでありますが、現地におきましてそれと全く同一の動きがあるとしましたならば、これは中央の意図でもございませんので、十分気をつけますけれども、単に漁をしておる場所における漁船の安全の確保のためと、併せて閣議決定もございまして拿捕防止に当つておるわけでございます。
  82. 木下源吾

    ○木下源吾君 その安全というのはどこからどこときめておるのだと言つたら、向うとこつちとはまだ戦争しているというじやないか。
  83. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) ちよつと私の今の安全と申しましたのは、船舶の公海上の安全でございます。
  84. 木下源吾

    ○木下源吾君 だからどこら辺を航海したらいいんでしよう。
  85. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) しけがありましたり、エンジンの故障が起きましたり、いろいろな船そのものの、拿捕されたほかの、自然におきます気象とか、或いは船自体のトラブルによるその安全の意味でございまして、今の私の説明は、拿捕と一般の船の危険その他と分けて申上げたのでございます。
  86. 木下源吾

    ○木下源吾君 捕まらないように保護しておるとこういうのだが、どこら辺において漁しておれば捕まらないかということを聞いておるのだ、(笑声)それを聞いておるのだ。あなたでわからなければいいけれども、それば外務省とよく思想統一をせられたらいいと思う。そうでないと一生懸命あなたがやつて保護してやろうと思つていることが、中央も現地も同じことですよ、そんなことをやつておることが、どうも向うよりもこつちのほうが厳し過ぎる。(笑声)仕事にならん、商売できない、こう言つてこぼしておるから私は聞いているのです。そこのところをはつきりせんと、公海が十二海里だろうが、三海里だろうが、かまいません、そんなのはどつちでもいいのだが、そんなことはかまいません。それは今こつちのほうで国際公法とか何とかというのは話合いでできるときの話で、戦争しているときに公法も何もないでしよう。そうして或いはそれが戦争だ、講和ではないだから……。どこら辺をめどにしておやりになつているかということを聞いているのだ。それがわからなければ盲めつぽうに船に乗つてつていることなんだ、あなたたちは……。(笑声)そこでお尋ねしたいのだが、第一番に水産庁来ておりますか……今年もその四十七度とかで北洋上の鮭鱒の漁をやらせるのですか。
  87. 永野正二

    説明員(永野正二君) 北緯四十七度以南の流し網の、鮭鱒の流し網の漁業につきましては、大体前年度の方針を踏襲して参るつもりであります。
  88. 木下源吾

    ○木下源吾君 今度はあなたにお伺いしますが、そこで接岸幾らとか何とかというあなたのほうで条件を付けておりますが……。
  89. 永野正二

    説明員(永野正二君) この操業区域につきましては、この鮭鱒漁業は非常に特異の性格を持つております。鮭なんというものは、沿岸の川へ遡る性質を持つておりますので、その関係を考慮いたしまして、或る程度沿岸から相当離れた所に一定の線を引きまして、操業を規制いたしませんと、先ほどの海上保安庁からのお話のありました、現実の拿捕の問題というものが非常に数多く起りやしないかという心配を持つておりますので、そういう方針につきましても、大体前年の方針を踏襲したい、こう考えております。
  90. 木下源吾

    ○木下源吾君 この前年の方針とはどういう方針……。
  91. 永野正二

    説明員(永野正二君) これを図面を持つてつておりませんのでございますが、大体四十七度の線から千島列島が斜めに走つておりますので、その方面に大体三十海里ぐらいの距岸の所に操業区域の制限線を引きたい、こういうふうに考えております。
  92. 木下源吾

    ○木下源吾君 三十海里外なら何ですか大丈夫だ、戦争しておつても、交戦状態でも大丈夫だと考えて、やつておるのですか。
  93. 永野正二

    説明員(永野正二君) 私どもは交戦状態という表現はいたしておりません。その点につきましては、法律的にどういう関係であるか、これは外務省からお答えがある、できるかと思いますが、そういう点は私どもはほかの各方面で実際漁業をやりました経験からいたしまして、交戦状態ということを前提にして、公海における漁業に対して非常に無理な措置に出て来るような心配はないものと思つております。但しそれが逆に無制限に公海における操業をやつても大丈夫だということにも相成らん、こういうふうに考えます。
  94. 木下源吾

    ○木下源吾君 先ほどから聞いておりますが、三海里とかいうのは国際公法だとかいう話なんですが、或いは十二海里でもよろしい、それがそういうふうに一応こつちのほうでもきまつておるならば、又考えも一致しておるならば、十二海里までやつたらどうですか。
  95. 永野正二

    説明員(永野正二君) いろいろ漁業の種類によりまして、その操業の便利な場所、或いはその操業のやり方等によつて違いますので、原則的には私ども条約による制限がない限り、領海以外の公海における操業の自由はできるだけ確保したいというふうな原則は貫いて参らなければならんと思いまするけれども、現実の事態及びいろいろな漁業の種類に応じまして、そこには適当な暫定的な措置というものも考えて参らなければならんかと、こう考えております。
  96. 木下源吾

    ○木下源吾君 それはそこで拿捕されなければいいのですか、拿捕されると又問題になつて来る。そこで保安庁はその三十海里ということを一体水産庁で許可を条件としてきめておるのをそれをやはり守るように考えておるのですか。或いは又三海里とか十二海里とかと、そういうふうに保護する場合に考えるのか、それを一つ……。
  97. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 特に一つ方針といたしまして、水産庁が何らかの制限をおやりになる場合は、私ども全くその趣旨に従いましてやはりこれも漁業の保護の関係その他で必要な措置だと思うのでありますから、よくそれは連絡いたしまして独自の、或いは特別なケースが起り得るかも知れませんが、一般的に申しまして独自の取締というよりも常に水産庁と連絡をとりまして、その趣旨に副つた取締をするというふうに考えております。
  98. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると水産庁はそういうような方針でやつたとすると、保安庁はそういうことで取締る法的根拠はあるのですか、それをお聞きしたいのです。
  99. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 根拠と申しますと水産庁がおきめになること自体に遡ると思うのでございますが、それが一応の行政指導で、ございましたならば、やはりその線に沿つて指導をして行く、こういうことになろうと思います。それから三十海里の問題でございますが、千島における各島のへりぞれの漁場につきましては別に三十海里という制限はされておりません。
  100. 木下源吾

    ○木下源吾君 これは何も今いろいろ聞いてあなたをいじめるという意味じやないのです。四十七度以南の鮭鱒流し網、これも漁業者たちは五十度なり五十一度にしてくれ、又実際も四十七度以南では商売にならないのです。これは水産庁は私よりよく知つておるだろうと思う。そこでやはり少くとも四十九度くらいまではやらんというと仕事にならない、魚がとれないと私は思うのです。そうするととれないところへ許可してやつているのですから、どうしても無理をしてあなたたちの御厄介になるような方向に行きがちなんです。そういうことで私は、漁業者は少くも五十トン前後の船は今年も一番危険が多いと思うのです。できてしまつてから、今ここで公海だ交戦だと言つて論議をしておつてもしようがないので、これから許可をしてやらせるならば、現実に安全に魚がとれるようにしてあげないと、これは漁業者に対する本当の親切にならんと私は考える。水産庁は三十海里、四十七度、片方は十二海里、三海里という、何も法的根拠も一つもない。そうしてだんだん突詰めて行けば、両方戦争しているのだ、(笑声)こういうことになると何のために皆が金をかけて騒いでいるのかわからないということになるのです。ですから私はもう少し方法を別に考えて、問題の根本は日本の漁師がどうしたら安全にもう少し魚がとれるかというところに主眼を置いて、一つそういう問題をそこから積重ねて解決してもらいたいと、こう思うのです。それで四十七度なんというのは、北海道でも千何百今度許可するらしいのです。北海道で三十トン以内なら、これはいいです。あの辺でどうせ小さい船だから……。ところが五十トン以上の船になるとこれはまさに危険です。これは私は今からでも断言しておいて憚らない。これは必ず先へ行きます。而もそれは本州のほうの船が多い、ここに重大問題があります。水産庁は今度もやはりそれをよほど考えて、五十一度と業者は言つても、それは向うとダブる線もあるのだろうし、緩衝地帯も置かにやならんということもそれはわかります。占守のあの辺は……。ですからもう少しとれる所べやらなければ、許可ばかりしてやつたつて、ただ船を突つ放してみんな魚がとれないでもかまわないというような考えでやつてもらつては困ると思うのです。だからそれで私はいろいろお尋ねしておる。何もあなたたちをいじめるつもりではない。これはあなたにばかり言つてはわからないから水産庁の長官に、あの人たちはよく知つているから私はそのうち行つてよく頼もうと田ふう。  次には今度四隻捕まつたというでしよう。これからも捕まるかも知れない。捕まつて今まではソ連関係はみんな返してくれておる、あなたは今百何十隻のうち四十何隻帰らないということを言つておるけれども……。
  101. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) それはずつと前のことです。
  102. 木下源吾

    ○木下源吾君 今帰らないうちでも遭難しているのがあるかも知れない、浦河で一隻、それからこの間塩釜で一隻、これなどは恐らく遭難しているのじやないかと思う。こういうのはあなたがたわからないのははつきりわからんということで向うに聞き合わして、行つているか行つていないかそれくらいはソ連と交渉してもらわなければいけない。それはできるのです。この前根室の、何といつたか油槽船、タンカーが漂流したとき、あなたたちは無線電信を打つて向うに交渉した、洋上の真ん中でやつているのだから、そんなことを誰も叱らない、外務大臣も誰も怒らない、日本政府も皆漁民のためにやつてくれるのなら、文句を言う人は一人もないのです。又あなたたち法律に引つかけられて裁判なんてやられることも絶対にないのです。ですから無線でどんどんやつてくれればいいと思う。私は何も別に命令する権限もありませんけれども、ここであいまいな答弁しているようなことをいざというときに言えばいいのだから……(笑声)本当ですよ、それはみんな苦しいのですから、それで返してくれるのですから……、又拿捕されて行つているのでなければ、保険も又とれるという手もあるし、その漁民が又自分の始末をやることも早く片が付いていいわけなんです。だから何でも漁師本位に一つつてもらうことを考えてもらいたい。私今御答弁を願おうとしないけれども、どうです、今の無線でのやりとりは私は結構できると思うのです。あいまいな答弁でもいいから一つしてもらつて……(笑声)この前やつたのでしよう。
  103. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 明快には御答弁できませんか、拿捕であるか、海難であるかということは、私どもが一番必要を痛切に感ずるわけなんです。それで何とかしてそれを判明する措置につきましては、お説のようなこども含めていろいろ研究いたしきて、できることならそういうことをやりたいと考えております。それからオイル・パージをやりましたのも、これはまさに今のお話通りで、これはうまく参りました二つの例でございます。
  104. 木下源吾

    ○木下源吾君 そのよき例を何でもかんでもやつてもらいたいというのではないのですけれども、余り私が言うと却つて感情的になつていかんから言いませんけれども、本当にこの寒いのに昨日あたりの新聞を見ると、オホーツク海あたりでも零下三十度だというのだ。そういう所に誰もすき好んで漁師をしている者はないのです。皆食えないから漁師をしているのですから、そのような所へ行つている者が捕まつて今度は魚も持つて来られない、身ぐるみ皆捕まつていなければならんなんというのは、早く何とかしてくれないと私は困ると思うのですから、一つ稚内からでもどこからでもやつて、早く帰してくれということをやれば、向うは帰してくれますよ。一つつてもらいたいと思のですが、どうですか。無線ですから突つ放してやればどこでも捕まえますすよ。(笑声)本当ですよ。
  105. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今の木下委員の要望は非常に漁民のために大切だと思います。水産庁、海上保安庁、よろしく一つ御善処を頂きたいと思います。
  106. 木下源吾

    ○木下源吾君 もう一つ水産庁一ついいですか、四十九度くらいのところをどうですか。(笑声)
  107. 永野正二

    説明員(永野正二君) 木下委員漁民漁業が成るべく採算よく成立つように、又拿捕その他の危険がないように計らつて、旨として仕事をしろという御注意は有難く拝聴いたしました。できるだけその線に沿つてどもも従来考えておるつもりでございます。ただ個々の漁船の採算とかいうことだけを唯一のめどにいたして、漁業の許可制度を運用して参るわけには参らないわけでございます。いろいろな型の船が、いろいろな漁業者一つ漁業について、おのおの別な特色を以て操業をするのが一番理想的な状態なのでございます。ただ同一の漁場に全体の漁業者が殺到して、お互いの漁業が今度は摩擦を生じて成立たなくなるということも、漁業の場合にはまま起り得る問題でございます。従いましてそれらの問題を全体的に考え併せて、現在の北洋の鮭・鱒の漁業につきまして方針を立て、実行しておるつもりでございます。只今御指摘に相成りました現在の北海道を根拠とする流し網の操業区域は北緯四十七度以南ということにきまつております。これは母船式漁業との操業区域の区分として私どもは考えておるわけでございまするが、あの辺から四十八度、九度方面におきましては優秀な漁場は我々の見るところではないと思つております。優秀な漁場只今御指摘になりましたやはり北千島の占守、幌筵、つまり大体北緯五十度以北が優秀な漁場でございます。この漁場は現在の母船式漁業による流し網漁業が利用できれば、十分利用するところの漁場でございます。従いまして個々の漁場価値も、利用する母船式漁業によつてやるのがこれは国家経済的に見ましてでございますが、経済的にもよりよい。でございますから、この方面の漁場をできるだけ十分に活用して、北洋の母船式に出漁する独航船の数を成るベく殖やして、成るべく多くの沿岸の漁船をこの方面に動員できるということを私どもは理想として従来やつてつたわけでございます。ここへ北海道根拠の流し網漁船をまじつて入れますことは、非常にいろいろな問題がございます。根拠地から長い間の航海をいたしまして、一杯の船が満船をいたしてすぐ帰つて来るということは、その個人々々の企業から見まするならば或いはそれが望ましいというふうに非常に希望なさることはよく私どもわかるのでございまするが、この個々の漁場を利用する形といたしましては、やはり母船式漁業の独航船としてここを活用するのが国民経済的に見てより経済的な利用の方法だと、こういうふうに考えておるわけでございます。又北海道根拠の流し網漁船の規模を大きくし、或いはずつと北のほうまで独航の形で漁業をさせますということにつきましては、先ほどからいろいろ話が出ておりますように、領海侵犯その他のいろいろな問題が起きまして、現在我が国の力では十分な不正取締ができないような実情にございますので、それらの点の事情も考慮いたしまして、現在のような方針を暫定的に続けて参りたい、こう考えておるわけでございます。
  108. 木下源吾

    ○木下源吾君 今そう開き直つて言うとすつかり別なんで、大体この元を、一体それならば、北洋はどのくらいの、年産で鮭鱒を漁獲しておつたか、今のあなたがたが試験的にやつておるのは幾ら幾らの漁獲を……。去年あたりやつているのは問題にならん、十分の一もない、私から言うまでもありますまい。それだから私どもは言つているので、戦前にとつた半分も今あなたたちが試験でとつておるならば、何もそつちのほうまで言うことはない。殊に今去年あたりでも五十度附近まで来たら来たでそれならどのくらいとつたか。恐らくそんなことをしなくても向うで十分に去年あたりとつているはずです。とつておらんということになりますればどうかしておる。あなたたち知つておるならばここで言つて御覧なさい。元はどのくらい一体漁獲は、あの辺でとつたか、それを一つお尋ねします。そうして去年は何ぼとつたか。
  109. 永野正二

    説明員(永野正二君) 実は正確な数字を以てそのお答えをしたいと思いますが、戦前の数字と申しますのは、これは我が国がソ連領の陸上に漁業根拠地施設を持つておりました。又北千島が我が国の領土でございました関係でここを陸上の根拠地にいたしまして、操業いたしました、これらのすべての数字を含んでおるのでございます。現在日本が利用できる漁場というものは、戦前の漁場状態とは全く違つておるということが前提に一つ大きく変つた事情があるということを御了承頂きたいと思います。
  110. 木下源吾

    ○木下源吾君 とるのは、そういう状況か違つておるだろうが、魚がおることは間違いない。去年あたりは戦前の十分の一もとつていない。魚はおるのです、十分に……。それですから何も独航船に漁場だけ大きく与えてそうしてほかのものは個人々々がとろうが別に国策じやないようなことを言わんでもいいと思う。これは五十度以北だつて十分に今の百六十度なり二百度だつて何でもない。そういう根拠をちやんとつかまえていないと私どもは承服できない。  で先ほど言うた漁場は五十度附近で、五十度附近なんというのは、今言う四十七度以南に制限しておるその奴をそこまで拡張しても何でもない。これを一つ私は調べてもらいたい。そういう場合に独航船にどういう漁獲の障害がある、こういうことですね、あなたたちはそういうことを言うけれども、今の五十トンの船は占守まで行くのですよ。九州までもどこまでも行く。商売にならないから行くのですから、それを私は言つている。ですからあなたがおつしやつた理窟は私どもはますます承服できない。今あなたたちと論争してもしようがないが、今度こういうふうになつたら間違いない。あなたたちは船に乗つていないから知らないと思うのです。間違いありません。ですから四十七度なんというところで、鉛筆で一つの線を引張つて、そんなことをやらないで実際の漁業者が五十一度まで行つて見たいとお願いしたらば、しつかり考えて見て、五十一度はあんまりだと思つたら五十度あたりで、それでここらでというように一つしてもらわんと、漁師は立つて行かないですよ。それをお願いしているわけですから、もうここでそれをきつばりできないなんということは言わないで、そうすると抜差しできなくなるから、一つ許可しないなんということのないようにやつてもらいたいと思います。
  111. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は業者のほうからも強い要果がございますので、一つ水産庁でよく御研究頂きたいと思います。   ―――――――――――――
  112. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは次の議題演習場補償に関する件を議題にいたしたいと思います。
  113. 千田正

    千田正君 海上保安庁に聞きたいのですが、さつきのお答えの中に、なかなか次から次に拿捕問題が起きて来るのを防ぐ完全な手がない、手がないんだがあらゆる努力をしておるのだと……。実は昨年我々も壱岐、対馬方面を調査して来たときもその実情はわかつておりまするが、あんな状態では十分に向う側の出て来るのもわからないし、それからこつちにおる漁船のほうにも、十分に気を付けて待避するようにと事前に報知するにしても十分じやない。ですからこれは一応相当予算を組んで、そうして海上のそうした不祥事が起らないように、国際紛争をできるだけ避けるためには、或る程度国内におけるそうした準備が必要でないか。向うが鉄砲を使うからこつちも打つのじやなくて、そういう問題が起らないように避けるために、やはり海上保安庁としてはもう少し高速度の船を造るとか、或いは昼夜兼行でああやつて巡視しているところの職員に対して待遇の方法であるとか、いろいろあると思うのだが、一体二十九年度の予算は二十八年度の予算よりもこの面においてはどれだけが増額してありますか。
  114. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) ここで金額に対する資料はございませんが、船艇の増強の問題でございますが、これは今後火器の問題でもございますが、それを別といたしますと、巡視船の平常業務における最も必要な性能と申しますればやはりスピードの問題がございまするし、これでかなりスピードの早いもの、それからトン数の大きいものということは、今年限りでなく随分前から要求しておりますが、いろいろな関係で認めて頂けません。従つて今年度三百五十トンニ隻のものを認められて目下建造中でございますが、二十九年度はそれが一杯でございます。他の二十三メーターという型はございますが、これに対しましては大体本年度の予算を出ないという一つの根本方針がありますので、船艇の増強につきましても本年度以上は認めてもらつておりません。非常にスピードを増しますことはいろいろ建造費もかさみますので、又数を殖やすことがそれよりもつと急な面もございますし、それから新造船を一杯或いは二杯認められましても、これは古い船の代替船ということで認められております。従つて全体の枠は新らしい面で若干の勢力増強になりますが、乗組員定員の増加を認めない。そのためにその枠で抑えられておりますし、隻数もことによりますと小さいものを潰して大きいものを造ると減ることもありますので、今年度並びに二十九年度の予算は代替ということで以て新造を認めておる現状でございます。もう少し海上保安部の船艇増強は必要でございますが、実情はそういうふうでございます。
  115. 青山正一

    ○青山正一君 今の千田さんの質問に関連しまして、先般私は委員会の席上におきまして二十九年度の予算と、それから海上保安庁の船と、海上警備隊の待遇が非常に違うように思われる、どういう点が違うかそういう点をはつきり参考資料としてこちらへ提出せよということを申入れてあるわけなんですが、未だにその回答がないわけなんです。できるだけ早い機会にそういうことは予算書なり、或いはそういつた内容を書いたものをこちらへ提出して頂きたいと思います。
  116. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 先ほどのお申出私承わつておりまして、予定といたしましては水曜日には整えて差上げなきならんようにしております。遅れて大変……。
  117. 千田正

    千田正君 今お話を伺いますと、殆んど昨年と、いわゆる二十八年度と同じようだ、これでは私は今後ともそういう不祥事件の勃発を防ぐには容易じやないと思うのです。今ここには政府の代表者としての責任者である大蔵大臣もおらんので言わんけれども、MSAだの、何だのということに金を出すくらいだつたら、とにかく今問題の起つておる李承晩ラインその他におけるところの、平和にできるような方法として、大砲を積む艦艇を作るよりも、先ず国内の平和産業を守る運輸態勢としての今の高速度の船であるとか、レーダー装置を十分付けた船であるとか、そうした近代装備を付けた船で以て不祥事件を防ぐように考えなければならない。これは私はそう思うのであつて、海上保安庁としても強くその点は要求してもらい、我々としましても政府考え方に対してそういう点で非常に誤謬があると、こういうふうにさつき青山君からも話があつたように、あなたがたのほうの予算の詳細の説明を承わつて私自身も予算委員会やその他の委員会でそういう問題については十分検討して見たいと思います。
  118. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは次の議題に入ります。演習場補償に関する件でございます。  私から調達庁のほうに質問いたします。前回の委員会で一応の現状を聞いたのでございまするが、その当時何というのですか、日本国における国連の軍隊の地位に関する協定というのが根拠になりましてこれに基いて云々という御説明がありましたので、私のほうでは早速この協定を研究したのでございまするが、実はその協定なるものが六法書にもありませず、手許にもありませず、外務省に聞きますと調印しただけでまだ国会の承認も経ていない。資料も我々にはまだ提供されてないということでございまするが、この点はその通り考えてよろしうございましようか。
  119. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) その通りでございます。
  120. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでこの前のお話から聞きますと、占領軍当時の補償についてはまあ見舞金ということでこれは二十九年中に解決をするというお約束でございましたね。それ以後につきまして、お聞きしたいのは、講和が発効してから後にそれではどういう根拠で以て、もつと詳しく言いますと法的根拠に基いてアメリカの駐留軍以外の国際連合の軍隊が日本にとどまつておるのでありましようか、その点。これは或いは外務省へ聞くべきものかも知れませんが……。
  121. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) お尋ねの占領期間中の見舞金につきましては、これは昭和二十八年におきまして米駐留軍の、講和発効前でございますので占領国軍の行為に対する見舞金として措置が完了しておるわけでございます。  それからその次の、国連軍が日本国に駐留いたしております理由は、委員長からもお話がございましたように、外務省から答弁することが適当かと存じますが、これはサンフランシスコにおきましての平和条約の調印の際に吉田総理とアチソン氏との間に交されました吉田・アチソン交換公文によるもの、こういうことになつております。
  122. 森崎隆

    委員長森崎隆君) では更にお聞きしますが、その後の問題は全然未解決のように伺いましたが、ところが、前回では三月八日に漁業権行使に伴う損害が実は含まれておるかどうかを事実問合しておるが、まだ返事が来ないというようなことも申されておりましたが、この国連軍の地位に関する協定というものはわからないので何にも私のほうでそれ以上質問できないのですが、まあ原則的に考えて、日米行政協定に伴う場合と同じような程度の内容でございましようか。細かいことは次回までに一つこの協定を頂いて研究した上で聞きたいと思いまするが、原則的にはどんなのでございましようか。
  123. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 原則的な線におきましては、米駐留軍の場合と、国連の駐留に伴います各種の日本側との協定の内容は均等待遇という点におきまして同一の線を保つております条項が極めて多いわけでございます。ただ費用負担という条項におきましては、米駐留軍の場合におきましてはその費用負担を日本国側において負担することが規定されておるわけでございます。国連協定におきましては、日本国において国際連合軍の軍隊を維持することに伴うすべての経費は駐留期間の間全部日本国に負担をかけないで国連軍が負担するというところが大きな相違になつているのであります。
  124. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これは協定を見ないとどうも質問ができないのでございますから、協定の内容を見せて頂いたあとの質問に譲りたいと思いますが、ただ二点だけ。一つは、はつきり申しますれば二十七年の四月下旬以降ですね。全然まあ国連軍側は補償していないのですね。内閣委員会の速記を見ますと、昨年の一月何日でしたかに、外務、調達、大蔵等のかたがたに来て頂きまして、内閣委員会でこの問題を私の党の誰かが質問したらしいのですが、その当時は近々に必ず補償はいたしますという、これは言質があるのですね。あれから考えますと、もう一年以上になつておる。これはなぜ遅れたかという問題が一つですね。  それから、今から国連軍の地位に関する協定はまあ調印するとして、国会の承認を得なければこれは駄目だ。それに基いてやはり日米合同委員会のよ主な機関も作り、又予算はどこから出るのかわかりませんが、補正で組むのか、今の予算の中に入つているのか、予備費で出すのかわかりませんが、予算の額も大よそきめ、そうして被害その他を調べる、それから被害を受けた漁民その他に渡されると、相当の期間が今からかかるのですね。下手すると更に一年くらいかかるのじやないかと思うのですけれども、これは被害者にとつては重大な問題だと思うのですね。従来も私は冗談めいたことを言つたのだが、政府が貸付けたような金等については必ず利子をつけて取りますが、漁民は本当を言えば当然損害を受けたときに受けるべき金が受けられない。だからこれは政府に貸付けてある金だと言えば一応言えるのじやないかと思うのでありますが、今までそういうことは国の責任で利子なんということは考えられない、而もこの補償は全額じやなくて随分悪く削られて、而もその八割というようなことでありますが、これは国のためには倹約になるかも知れないが、国の予算というものは国民の幸福のために使うべき予算でありますから、国民を犠牲にして幾ら国家資本の蓄積をやつても無意味だと思います。遅れている問題はせめてこの問題だけでも早く解決しなければならないと思いますが、この支払は少くとも二十七年の五月以降の補償、二十八年度ももうあと二週間くらいしかないのですが、この一年間の補償等につきましては一体いつ頃に目途を置いて、どういうような努力の積重ねの上にこれは支払われるのか。非常に私はこれを考えますと大変な問題じやないかと思うのですが、見通しがあれば一応お聞きしたいと思います。それ以外の問題は協定を一つよく見せて頂いたその上で質疑をいたしたいと思いますから、その点御自信もないだろうと思いますが、見通しだけを一つ説明して頂きたいと思います。
  125. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 国連軍の日本駐留に伴いましてのいろいろな費用負担につきましては、これは陸上関係の分は昭和二十八年の一月に英連邦軍と調達庁との間におきまして借料その他原状回復費用の協定ができまして、現在まで費用負担を日本国が先に立替えをいたしまして、あとで一カ月後に英連邦軍からの支払を受けまして、国の歳入といたしまして処理をいたしているわけでございます。で、漁業関係につきましても或いは昨年一月十日にその協定ができましたときに同時に英連邦側と交渉を始めたわけでございますが、なかなか納得するに至りませんのと、かたがた国連協定が先に速かにできるのだというようなことで推移いたしておりましたので今日まで遅れたわけでございますが、その間におきまして漁業を制限しております地域等につきましては英連邦軍側との間にも再三の折衝をいたしております。まだ未確認の地域等も相当ございますが、これは前回の委員会でも申上げましたように、只今これらの漁業上の損失も併せて国連軍側が講和発効の日の翌日に遡つて負担するということで申入れをいたしているような関係もございまして、現地におきましてもそれらのものの調査を今急いでおられるわけでありますから、従いましてそのようなものの地域等の確定と併せまして損失額等の算定につきましてできるだけ速かに処理をいたすように善処をいたしたいと考えております。
  126. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それじや次回にすべての質問は譲りたいと思いますが、少し神経質な考え方ですけれども、漁船その他の補償が来ないために随分困つているだろうと思うのです。実際生活できない面があるだろうと思うのです。多少まあ皮肉な考えですけれども、非常に貧としておると、選挙で金を撒く候補者があればその金でやはり投票するよりになる。もつと逆に言うと、政府は金を撒いて票を得ようとする。まあ立候補者に間接的に協力しておるようなことを結論的には言い得るわけです。実際金がないと焼酎一ぱいでも、たとえ百円でももらつてもやはり投票するようになる。そういう関係も私はないと言えないと思うのですが、ですからこういう与えるものはちやんと与えて、補償して差上げるものは差上げて、そうしてやはり選挙なら選挙というものをうんと取締つて行くというようなことをしないと、貧乏人を金でつるという悪条件を政府が作つておると言われても答弁のしようがないと思うのです。次回には一つ資料を出して頂きたいと思います。  それから国連軍使用水域関係資料もお願いいたします。  それからできますならば、一つそれぞれ大蔵等も来て頂きますが、調達庁のほうは長官その他の責任者のかたにも是非出て頂くようにお願いいたしたい。いずれ御連絡いたしますが、以上でこの問題を終りたいと思います。
  127. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 実は防潜網の関係で、従来漁をしておつた者が魚が来なくなつて漁をやめてしまつた者がある。ところがやめてしまつた者には何にも補償がない、こういうことで非常に困つておるのですが、やろうとしたつて魚が来ないからやめざるを得ない。そこでまあ具体的に申しますと、大村湾の「いわし」の刺網というのですが、これは「いわし」が来なければ何ぼ網をやつて見ても何にもならないわけですから自然やめたわけですが、これは許可漁業になつておりまして、許可を受けようとすれば税金がかかる。そうすると、一つも収入がないのに税金だけ払つてつたのではたまらないから、一応魚が来ないから漁獲もやめてしまつて魚をとらない。ところでその人は何かはかの漁を考えなければならんが、そういうふうに漁をやめたというか、やまつたというか、とにかく継続していない者に対しては一文半銭の補償もないのが現状なんですが、これに対する何らかの救済の方法はないのですか。
  128. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) よく調査はいたしたいと思います。
  129. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは今度初めて起つた問題じやありませんし、昨年頃からこの問題は言われておつて、どうしても解決解決じやない、もうその後金は出さないのだということになつてしまつた。これは私は非常に矛盾だと思うのです。細々でも続けていれば又その減収に対する補償がある。零になつた者に対してはやらないというのは非常におかしいと思う。零になつたものは毎年くれということは言わないだろうと思う。もうとにかくやめて転換でもしなければならんですから何かやらなければ転換もできないし、のたれ死しますから、これは一遍やめたのだから、三年前までやつていたのだから毎年くれということはこれはおかしい。併し一応やめたらやめたときどきらいの補償はしてやつていいのじやないかと思うのです。これはただやめたのではなくて「いわし」が全部駄目だからやめたのですから、それに対する途を一つ、これは今更研究じやないと思うのですが、何か救済する途がありそうであるならば研究して頂きたい。ないとすればなぜそういうふうに出せないのかということを一つこの次までよく研究して頂きたい。
  130. 千田正

    千田正君 永野水産部長にお伺いしますが、先般来私は予算委員会で例の「らつこ」、「おつとせい」の捕獲禁止法案に対する質疑応答をしたのですが、農林大臣も外務大臣も十分な答弁ができなかつたので、改めて私は二の委員会の席上でお聞きいたしますが、大体これは一応の調査をするにしましても三月から普通始まつて大体六月頃に終るのですが、今年は水産庁としては全然許可しない方針ですか、或いはアメリカならアメリカとのこういう問題の解決調査資料として今年も昨年と同様或る一定の期限を限定して許可する意向であるかどうか、その点を伺いた
  131. 永野正二

    説明員(永野正二君) 「らつこ」、「おつとせい」の問題につきましてはアメリカ及びカナダを含めましてこれを規制する条約の交渉は当然いたさなければならないことはよく御存じのところでございます。その交渉の一つの材料といたしまして、日本近海におきまする「おつとせい」につきましての習性なり、そういう点につきまして十分な調査資料を以て交渉しなければならないということで従来も調査をやつて参りましたこともよく御承知のところでございます。本年度は実は予算の際に相当一時は困難な事態もあつたのでございますが、結局は本年の試験調査につきまして必要な経費予算に計上されることに相成つておりますので、大体前年度通り、或いは若干経費関係で規模に移動があるかも知れませんが、調査を続けて参りたいと考えております。
  132. 千田正

    千田正君 こういう国内法は廃止すべきというのが私の持論でありますけれども、国際信義を重んじて将来日本の生産ということを考えて自粛しながらなお且つ今後外部からの害獣によつて日本の沿岸漁業は壊滅に瀕する虞れのある場合にはこれを廃止しなければならないというふうにまで私は考えるのですが、幸いにして本年或いは下半期において日米加の間においてそういう問題を十分検討されてお互いに国際漁場において信義を守るという動向に行こうとするなら、当然本年も続けて十分な調査をされるのが至当だと思いますので、重ねて本年も調査資料の収集を捕獲を十分に監視しながらやつて頂きたいと要望しまして私の質問を終りといたします。
  133. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 日濠漁業協定に関する件を議題にいたします。この件につきましては中間報告水産庁から頂きたいと思いますが、交渉の段階でございますのでいろいろこみいつた話があると思いますので、秘密会に移りたいと思いますが、如何がでございましようか。
  134. 千田正

    千田正君 今日は残つている委員委員長を含めて四人でありますので、でき得ることならばみんな揃つたときのほうがいいのじやないですか。皆さんにお諮り願つて、なお今日のほうがいいとおつしやるならば……。
  135. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 千田委員の御提案如何でございますか。よろしうございますか……。  それではその件は次回に譲ることにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十一分散会