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1954-03-11 第19回国会 参議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事      秋山俊一郎君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君            菊田 七平君   政府委員    水産庁長官   清井  正君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    調達庁不動産部    企画課長    鈴木  昇君    調達庁不動産部    補償第二課長  佐藤 長治君    通商産業省通商    局農水課長  森 日出哉君   参考人    全国海苔貝類漁    業協同組合連合    会長      庄司  嘉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (海苔輸入問題に関する件)  (演習場補償に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは委員会をこれから開会いたします。  水産政策に関する調査を議題に供します。先ず、第一に韓国海苔輸入反対に関する陳情がございますので、この問題につきまして、通産省にこれまでの現状その他御方針に対する御質疑をいたしたいと思いますが、その前に丁度陳情者の代表のかたが見えておりますので、これから陳情を一応承わることにいたしたいと思います。つきましては全国海苔貝類漁業協同組合連合会会長庄司嘉君を参考人決定し、同君から陳情を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないようですからさよう決定いたします。速記をとめて。    〔速記中止
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記をつけて下さい。  只今参考人庄司君に対しまして、何か御質疑がありましたら……。
  5. 青山正一

    青山正一君 これは問題は別でありますが、今参考人陳情をお聞きいたしまして、ちよつとこの機会にお聞きいたしたいと思いますが、昨年度の風水害によりまして、三重県とか愛知県、或いは千葉県あたりの海苔を専業とする漁業者相当被害を受けたということを聞きましたのですが、その事実はどうか。それから、そういつた被害はどの程度か。それから施設関係被害水産庁から補助が、或いはいろいろな金融の途を講じて頂いて、元通りに回復しておるかどうか。そういう点について先ず最初にお伺いいたしたいと思います。
  6. 庄司嘉

    参考人庄司嘉君) 昨年の台風十三号によりまして、愛知三重、両県下が決定的な打撃を受けました。そこで政府のほうにおきましても、いろいろと御心配を頂いて、更に農林中央金庫のほうにおかれましても、融資の面におきまして格段の御配慮を頂きまして、丁度今年度末に差しかかつておりますが、この災害復旧の資金がどうか年度末までに円滑に当業者協同組合に渡るようにと我々望みまして、いろいろと陳情を申上げておるような次第であります。  そこで、その被害状況は、私数字を持つておりませんから詳しいことは申上げませんが、とにかく相当被害でございまして、政府のほうにおきまして、これに対しまして大体施設の百分の九十という高率な補助を出してもらえるかのように相成つておりました。これは立法手続として進められたように伺つておりますが、残念ながら予算の枠に縛られまして、実際は大した金じやなかつたということに相成つております。業者といたしましては、もう少し何とか政府に要望したい、こういうふうな声がございます。以上でございます。
  7. 青山正一

    青山正一君 今陳情中にいろいろお話がありましたのですが、この日本海苔韓国海苔と申しますか、通称朝鮮海苔と申しておりますが、その区別ができるかどうか。それから朝鮮海苔を現在においては日本海苔とか或いは浅草海苔として販売しているというようなことも聞いているのですが、そういう事実はあるかどうか。それから貿易業者なり販売業者生産業者と非常に対蹠的な建前になつてつて現状では相当この影響を受けている、或いは買叩きをしているというようなこともあるやに聞いているのですが、そういつた点についても一つ承わりたいと思います。
  8. 庄司嘉

    参考人庄司嘉君) 韓国海苔日本生産されます海苔との識別の問題でございますが、これは海苔を取扱いまするつまり流通業者でありますると容易にわかるのでありますが、大衆にはその区別がつかないと思います。恐らく百人のうちで一人もこれを区別し得るものはないと私は思つております。それから販売の面でございますが、さような関係を以ちまして、国内におきまして韓国海苔販売されまする場合には、やはり浅草海苔として販売されているかに私は伺つているのであります。  なお、お尋ねがございました流通業者との関係でありますが、それにつきまして、只今はつきりしたお答えはできかねるのでございます。
  9. 青山正一

    青山正一君 議事進行につきまして……。通産省からどなたかお見えになつておりますか。
  10. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 時間の打合せちよつと間違いまして、連絡をいたしましたが、もうすぐ来ると思います。
  11. 青山正一

    青山正一君 水産庁長官もお出になつておりますが、この機会においていろいろお聞きいたしたいと思いますが、今全国海苔組合連合会長庄司さんからいろいろ陳情を聞きましたのですが、多数の二十万以上に亙るこの零細な海苔業者立場考えると、これはこの陳情が一応御尤もなことだと私はそういうふうに考えております。そこでこの問題については先般衆議院水産委員会でも論議せられておつて松田代議士とか、或いは大高代議士あ、たりから相当追及されておつたようなふうに聞いておりますが、政府としてはこの生産者の窮状を無視するわけには行かないであろうからして通産省なり或いは水産両当局で結論ももはや出しているだろうと思いますが、この点は一体どうか、その点について承わりたいと思います。
  12. 清井正

    政府委員清井正君) 韓国海苔輸入の問題でありますが、この点は御承知通り昨年は約二千万帖くらい輸入を見ているのであります。昨年は国内におきます海苔生産も非常に不作であつたというような事情もあり、かたがたいろいろの事情も勘案いたしました結果、或る程度海苔輸入いたしましてもそう大した影響はなかろうという判断の下に、昨年は輸入許可に私どものほうといたしましても賛成をいたしたような経緯があるわけであります。それに基いて通産省じや所要の手続をとつて実施して行くということであるのであります。本年度の問題につきましては、私のほうといたしましても慎重に考慮いたさなければならんと思つております。今年の海苔生産が昨年の海苔生産と比較してどうかというような考え方が先ず一つ問題になるのであります。その点はいろいろ意見があるようでありますが、只今のところではやはり昨年よりも相当増産になつているのじやなかろうか、こういうような意見一般的であるようであります。これも今私のほうでいろいろ専門家をして当たらしめておりますので、もう少し調査を進めなければわかりませんが、昨年よりはいいのじやないかということは一般に言われておるようであります。そういうような状況があります。併し又一方海苔需要ということを考えますと、果してどの程度が一体海苔需要であるかということを考え合せますと、これ又非常にむずかしい問題でありまして、海苔需要に対して生産が多少殖えても、それで一ぱい一ぱいということが言えるのかという観点から申しますと、そこに実は非常に問題があるというようなことも言えるのではないかと思うのであります。そういつたところで只今お話があつたようでありますが、とにかく外国から海苔が入つて来るということが生産立場からいえば価格の面、取引の面から言つて不利な立場に立つということは当然言えると思います。そことの勘案と、それから現在の日韓関係状況から来るいろいろな関係ということを睨み合せまして、韓国海苔輸入ということにつきましては慎重に考えなければならん問題だと思つておるのであります。今私のほうも通産省とよく打合せをいたしまして、この問題をどう処理するかということについて慎重に考えを進めているのであります。要するに水産庁立場といたしましては、内地の海苔生産業者に対する影響ということも十分考えなければいけませんし、同時に又日韓の現在の漁業交渉の段階、十分その辺の睨み合いも検討して見なければならんのじやないかと端的に思うのであります。そういう観点からいたしまして、目下この問題は慎重考慮中であるということであります。
  13. 青山正一

    青山正一君 まあいろいろお話有り難うございます。併し通産省では、これは衆議院速記録を見たのでありますが、全部水産庁に任してあるというふうなことをまあおつしやつているわけなんです。そこで主体性はこれはまあ水産庁にあろうと思うのです。で今後この通産省とは余り相談せずに、水産庁自体がもう任されているのだからして、主体性を握つているのだからして、そこで水産庁長官としてこの海苔の問題についてははつきり通産省から委ねられているわけなんですから、水産庁一本でやつて行くというお気持はないかどうか、その点について承わりたいと思います。
  14. 清井正

    政府委員清井正君) この農林省に全部任すという意味はどういう意味でありますか……。問題は結局只今庄司氏のほうからお話がありましたような、国内海苔生産業者に対する影響ということ、或いは現在の日韓の間のいろいろな関係というような観点からしまして、農林省側の発言が極めて重要である、こういう意味であろうと思うのであります。形式的にはこれは通産省のほうが許可するわけであります。私のほうがそれに対して協議を受けるという法律的立場にありますので、結局法律的には両者協議の上でということになるわけでありますが、私どもといたしましてもその点は極めて重要視して行くべきものである、こういうふうに思つております。
  15. 青山正一

    青山正一君 通産省では水産庁方針通りにきめて行くというような恰好になつておるわけなんですからして、もう少し水産庁が強引に生産者団体、或いは生産者立場考え一つつて頂きたいということを強力に望みたいと思います。  それで、水産庁長官にお伺いしたいのですが、どうしてもいろいろな都合で国策輸入を強行しなければならない、昨年のように強行しなければならない。そういう場合に、例えばバターですな、あのバターの例のように、例えば需給調整協議会、これは農林省とか或いは通産省、それから生産者学識経験者、その他関係業者によつて構成されておるのでありますが、そういつた種類の協議会作つて、そうしてその全国酪農協同組合が殆んどいろいろな面において主体を握つておるというふうなことで、海苔にも全国的にこの生産団体があるわけなんですからして、そういうものに何か主体性を持たして行くというような、バター輸入の方法と同じようなことでやつて行くお気持があるかどうか、その点についてお聞きしたいと思うのです。
  16. 清井正

    政府委員清井正君) これがどういうふうに決定をいたさなければなりませんか、考えておるのでありますが、仮にこれを許さなければならんという立場になりますと、恐らくこれは日韓相互貿易尻関係からだろうと思うのであります。御承知通り日韓関係貿易は非常に日本側輸出超過になつておりまして、而もそれに対する支払が未済だということになつておりますので、貿易観点から見ますというと、どんどん韓国から物を買つたほうがいい、少しでもこれによつて赤字をなくなして行くことが日韓貿易見地から我が国にとつて有利である、こういうふうな見地があると思うのであります。そういう意味において韓国から日本輸入するという意味の何といいますか、積極的な面があるのではないかと思うのであります。ただ我々といたしましては、そういう意味合いも国家的にありまするが、同時に只今申上げたようなこともあるのでありまするから、その点は慎重に考えなければならんということで、この問題は極めて慎重に取扱つておる現状であります。  さて然らば、仮に少しでも輸入しなければならんという事態が起つた場合にどうするかということであります。御承知通り只今お話もありましたが、バターについては、いわゆるバター日本の大メーカー只今協議会というようなものがこの輸入の枠について若干タッチする方式が現にとられておるのであります。それと同じような方式海苔についても適用するかどうかという問題でありますが、これは今私からどうということをはつきり実は申上げられません。要するに、その何らか国内の必要な物資輸入について、その物資生産者がタッチするという方式の問題、これは大変問題が実はいろいろあるだろうと思うのであります、タッチする問題につきましては……。特に、バターについてはこれは確かなことは私も存じませんが、恐らくこれはバター日本における大メーカー協議会と申しますか、日本における、バター市場を左右する大メーカー協議会がこのバター輸入にタッチする、こういうような形にできているのではないかと今考えておるのですけれども、その問題について、その方式をすぐ海苔について適用されるかどうかということは一つの問題だろうと私思います。業者のかたはどういうふうにお考えになつておるかわかりませんが、問題としては一つの価値ある問題だと思います。そこでそういう問題も将来併せ考えて行かなければならんとは思つております。この問題について今にわかに私どもの態度はどうかということはちよつと申上げにくいのであります。もう少し研究さして頂きたい。或る物資についてほかがやつているからここもやらなければならんということは、簡単にはさう行かないという感じを持つておりますから、この点は一つ研究をさせて頂きたいと思います。
  17. 青山正一

    青山正一君 いろいろな問題もあろうかと思いますが、やはり漁村政策ということもやはり重点的に考えて頂かなければ、これは非常に困る問題じやないかと思うのです。と同時にこの李承晩ラインの問題もあるし、非常にいろいろ複雑な問題があるわけですから、そういつた問題も考えて行かなければならんと思います。ただバターのいわゆるこれは需給調整協議会というような形になつて生産者が主として入り込んでやつておるというふうに私は聞いておるわけですが、その点も十分御研究願いたいのです。できるならば、その全国酪農協同組合というものがあつて、これは一方においては自分のほうで生産をする、それから又一方においてはオーストラリアから輸入されておるところのバターを全部自分団体のほうが発注機関となつて、そうして輸入業者との間の関連を非常によくしておる、そうしなければ需給調整というものは全然できないのではないか、こういうふうに私ども考えられるわけなんです。やはり生産者も活かす、又人口問題、或いは食糧問題を解決する上においても又考えて行かなければならんと同時に、漁村政策考えて行かなければならん。同時に李承晩ラインの問題、こういつた、本日の新聞にも相当朝鮮輸入を全面的に拒否したらどうかということが出ておるのですが、こういつた点も考えて行かなければならんと思いますが、一つ全国海苔業者というものは、やはり生産者というものは二十万人以上おりますからして、その点を一つ十分考えて頂いて、そうしてうまくバター需給調整協議会、或いは全国酪農協同組合ですか、それに発注機関を持たしておるというような事実もよくお調べ願つて一つ御検討願いたいということを強力に私から申入れたいと思います。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 水産庁長官にお伺いいたしますが、今青山委員からお尋ねがありましたが、海苔輸入について形式的には通産省から農林省協議を受けて、両者協議の上で決定されることはその通りだと思います。思いますが、その場合に青山委員からも衆議院質疑応答の経過についてお話があつたように、実体的には農林省主動権を握つておるのだということなのかどうか。形式的ではなくて、実体的に農林省意見というものが決定権を持つておるか、そういうような扱いになつておるのかどうか、その辺を一つ先ずお伺いしたいと思います。
  19. 清井正

    政府委員清井正君) それは法律制度から申しますると、農林省物資輸入に当りましては、農林大臣承認を要することになつておりますので、私どものほうが承認をしなければ法律上、法制上としては通産省許可は与えられないわけでありますから、そういう意味においては実体的かも知れませんが、形式的にはそうであります。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 そこで、この問題は非常に重要だから慎重に考究するという長官お話で、抽象的には一応軽い見通しが立ち得るというように思うのでありますが、農林省がそこで協議を受けた場合に、諾否を決定するときの心構えの問題でありますが、最近の国際収支状況から言つて、この改善という問題が一番国として大きな問題だと思う。それに関連して政府耐乏生活ということを非常に強く打ち出して来ている。少なくとも二十九年度予算はそういうことが基本的な命題として取上げられて、万般の施策が推進されて行くという状況にあると思う。その場合にそういう方針の下にある政府として、海苔といつたものは一体耐乏生活ということと関連してどういう立場にあるとお考えになるのか。これがなければ国民生活の水準が低下するとか、国民の生命に関係するとか、国の産業が萎靡沈滞して行くとお考えになるのか、私見から申しますれば、置かれておる国情から考えれば、国際収支関係から言つて海苔のごときものはこれは不要不急物資であつて、これがなければ国民生活が危機に瀕するという類のものではない。こういうふうに理解するのですが、そういう大命題を掲げられているとすれば、その基本方策を進められて行く政府方針としては、海苔輸入するとか輸入せんとかいうことを議論すること自体がおかしいので、そういうことをお考えになつていること自体政府意思が分裂しているというふうに見られるので、若しそうだとすれば非常に重大な問題に発展して来るというふうに考えられるのであります。海苔というのは、一体耐乏生活というものか前提になつているという大命題があるときに、なければならんというようにお考えになるのか。儲けるとか儲けないとか、生産者がどうこうというのではなしに、今、国の置かれておる基本命題に照して、海苔がどういう地位にあるのか、これをお伺いしたい。
  21. 清井正

    政府委員清井正君) 非常にむずかしい質問で、お答えできるかどうかわかりませんが、海苔は御承知通り、無論主食じやございませんで、嗜好品であることは御承知通りであります。是非これを輸入しなければならんものであるかどうかという観点から入つてみますれば、これは無論問題があることは、率直に言つてあるのであります。現在国内においても一億二千万帖くらい生産があるわけであります。その生産物国内消費に充てられておるわけでありまして、一日にどのくらいなければならんという性質のものではございませんので、あればあるだけ、なければないという形に実際は消費されているものであると、実はこう考えておるわけであります。ただ、これが水産庁という立場から考えますれば、当然只今お話のような基本原則もありますが、同時に又水産庁立場といたしましては、いわゆる海苔生産業者に対する影響という問題とこの需要者という面も併せて考えなければならんと思うのであります。その辺の関係と、それからその他日韓関係等も併せ考えなければならんというふうに実は考えておりますので、私どものほうとしては、私どものほうの立場を護りながら全体の国策の線に沿つて考えて行くということで、いろいろ通産省とも相談し合つているという状況であるのであります。いわゆる筋としては、貿易上の見地から言えば、国際収支関係で非常に日韓関係アンバランスになつておる。そのアンバランスを早く解決するには韓国から入れたほうがよいというそういう貿易上の問題から一つの問題があろうと思います。それは今私が申しましたような水産庁としての立場がございますし、又只今お話のいわゆる基本的な考え方からして、そういうような筋をいろいろ考え合せまして、私どもとしての適当な立場において研究を進めているというような状況でございます。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話で、だんだん分解して考えて行かなければならんと思うのですが、お話のうちに、消費者立場考えなければならんというお話があつた。若し諸外国の間の交易について消費者立場考えなければならんということであるとすれば、私が今申上げておる耐乏生活というものは根柢から崩れて行く結果が生まれて来るわけですが、一九五二年の通産省の統計によりましても、化粧品のごときものは約二千万ドルも輸入している。こういうことは耐乏生活の点から行けばやめるべきだ。これは輸入許可しないという方針をとるべきだということが言われておる。まさにその通りであろうと思う。併し消費者立場考えれば、そういうものがあつたほうがよいという連中はおるわけなんです。おるからこそ輸入されているものが使われておる。だからこれは今の置かれている国の立場から考えますれば、そういう意味における消費者立場というものは考慮をすべき限界外のものである、こういうように対応して行かんといかんではないか。それでなければ今の国難というものは救えないというように私は理解するのですが、やつばり消費者立場というものも海苔の場合に考えなければいかんという意思が働くのかどうか。これは一般論としても言えると思うのですけれども、いやしくも嗜好品であり、なくてもいいというこういう品物についてもなお且つ消費者立場考慮すべきだという観念でお考えになるのかどうか。私はそれはもう捨て去つて行くべき時期が来ている、こう思うのですが、先ずその点はどうでございますか。
  23. 清井正

    政府委員清井正君) 私が先ほど消費者立場と申上げました意味は、仮に国内海苔が非常に不作になつて、べらぼうに高くなつてしまつた、そのために海苔が欲しいと思う消費者に対して非常に価格が上り過ぎて、少しほかから入つて来れば多少安く手に入るのではないかという気分もあるのではなかろうか、こういう面から見れば、消費者のことも考えなければならんではないかという気持があるということを申上げたのでありまして、仮にそういうことは関係はないのだ、或いはおつしやる通りこれは不用品だから食わなくてもいいのだから、高くなつても差支えないという考え方もあるわけであります。要するに私ども考え方は、そういう意味においての消費者立場というものは余りにも高くなり過ぎて、欲しいと思う消費者の手に入らないということもあるかもわからないということも考慮の中に入れて考えなければならんということを申上げておつたわけでありますが、問題はその必要性という問題と、実際上から物があるかどうかという問題等にかかると思うのです。この問題も一つの問題として考えなければならんではないかということを私は申上げたわけなのでありまして、単に欲しいから入れるということでなしに、価格影響があるかどうかということも検討問題として考えて見なければならんだろうという趣旨で申上げた次第であります。
  24. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 申上げます。この問題につきまして、通産省農水産課長森日出哉君只今見えておりますので、御質疑のあられるかたは併せて御質疑を願いたいと思います。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 それでは一つ通産省にお伺いしますが、今水産庁長官にもお伺いしたのですが、繰返して通産省の御意向をお伺いします。  政府は、最近における国際収支の現況に鑑みて、耐乏生活を強く要請されているのであります。これはもう一貫した方針であつて、強く打ち出されておりますので、よく御承知のことでございます。そういう観点に立つた場合に、海苔輸入という問題を、通商を所管されている通産省立場ではどういうふうに見ていらつしやるかどうかということであります。私の私見を申上げますれば、耐乏生活が要求される現段階においては海苔不要不急のものであつて、これを入れるというならば、まさに政府は言行一致しておらない行動をとつておるということになるので、これは非常に究明さるべき問題に発展をする。この海苔ということは非常に小さな問題でありますけれども政府は精神分裂をしておる、こういうふうに理解せざるを得ないということになるのですが、海苔輸入について、海苔生産の主管省である農林省海苔輸入打合せをしようとする気持をお持ちになるのかどうか。お気持をお伺いしたいと思います。
  26. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 私は、通産省の全体の性格につきましては、いろいろ申上げる立場にございませんが、海苔のことにつきまして申上げます。  一番初めに御質問のございました、海苔が贅沢品かどうかという問題でございますが、最近非常に値が上りまして、特殊な人しか食べられないというような現状であります。昔から歴史的に見ますと、海苔というのは確かに大衆食品であつたということは、戦争前の状況から見て言えるのではないかと思います。又非常に高いものでございますし、現在ではこれを入れるべきか入れざるべきかという問題もございますが、通商の面から申上げまして、水産庁とどういうふうな理由で輸入を交渉しているかという事情を申上げます。  第一の点は、日韓関関のバランスの問題でございますが、大体御承知と思いますけれども韓国に対しまして我が国が、二月十日の記録を申上げますが、三千二百万の輸出超過になつております。それで御承知通り日韓関係はこのスウイングがございまして、二百万のスウイングがございますから、大体二千九百万のものが貸越しになつております。これはドルで払つてくれればいいんでございますけれども、なかなかそう簡単にドルを払う相手じやないというのが現状でございます。そういう面から見まして、まあ成るべく韓国から物を輸入しなくちやならない、そういう要請はあるわけでございます。それで韓国の側から申しますと、日本に対しては売る物がないというのが現状でございまして、この海苔は殆んどまあ日本に輸出しているというのが現状でございます。それで両国のやはりバランスを、均衡を図るという点から見ますと、向うが非常に売りたがつている。こちらはバランスから見ますと非常に出超になつてつて何か買わなければならん、そういう状態でございます。通商関係から見ますと、確かに何か買わなければならん。そういう事態に立ち至つておりますので、まあ農林省とどのくらいの数量を入れるべきか、或いは全然入れざるべきか、そういう問題の話合いをずつとしておつたところでございます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 通商上の貸越しになつているから、そのバランスを図るために入れなければならんというその考え方と、今日本の置かれている大きな国策というものとの結び合せを考える場合には、やはり日本国民全体の耐乏という精神が盛り上つて来る。それを阻害するがごとき行動というものは、これはバランスを合せるということに急であつてはならんと私は思うのでございますが、という感覚から行けば、成るほど海苔というものは大衆の嗜好品であつたことは私は否定いたしません。いたしませんが、これがなければならんという必需品でないことだけはお認めになると思います。だから必需品でないとすれば、そういうものを輸入することによつて国民全体のこの際持たなければならん精神的な緊張に緩みを与えるということは、僅かなバランスを合せるという問題ではなくて、基本的な問題にひびを入れるということになると、こう思うのでございますが、そうはお考えになりませんかどうか。
  28. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 今の問題、私自身考えまして、非常にむずかしい問題と思います。それで確かに不要品の輸入を阻止するという今のお考え御尤もだと思いますが、国際間の協定から見ますと、こつちが欲しいものであつて、相手が売りたくないというものもございますし、こちらが欲しくないものであつても相手が売りたいというものがあるわけでございます。それで協定を作りますときに、多少まあこちらが買いたくないと思う物も、両方の国際間のバランスをとるという意味でやはり協定に入れるということが行われております。これをやりませんと、例えばインドネシアのように非常な輸出超過になるというような事態が生じますので、或る程度やはり考慮してみなくちやならん。こちらが不急不要と思うものも協定上は買つてやるということをしませんと、貿易上の拡大均衡ということはなかなかむずかしいと考えます。その問題と今の問題の耐乏生活政府耐乏生活方針をとつておりながら、海苔を入れるということについて私たちも非常に深刻な悩みを感じておるわけでございます。それでまあ一例を申上げますと、バナナというようなものもやはり大衆の食物でありませんし、耐乏生活からみたら成るべく入れたくないというものでございますけれども日本と台湾の貿易の拡大という点からみて相当量入れておるわけでございます。このバナナと海苔とは比較できませんけれども、そういう点からみまして韓国との貿易の拡大均衡を図るという点と、それから今の海苔が必需品であるかどうかという点が非常に問題だ、そういう点で農林省と話をしておるわけでございまして、どつちかけりがつくものならば、この問題が起らないで、簡単に入れないか、或いは全面的に入れるか、どつちか話がつくと思います。
  29. 青山正一

    青山正一君 そういう問題にからんで、先ほどから国際協定がどうとか、いろいろな国際的な問題を掲げておつしやつておられますけれども、ただ単に三千二百万の輸出超過、その超過のしわ寄せを海苔に帰するということは僕は不届きだと思います。日本漁村政策、例えば海苔生産者というものが二十万おる、この漁村の生活を如何にして暮らさせて行くかということが一番の問題だろうと思います。韓国の国際協定というて、韓国が国際協定なんか守つておりますかどうか。そういう点を一つ考慮して頂かんことには困るんじやないかと思います。それから本日の新聞などにもはつきりと掲げておる。韓国からの輸入は全面的に拒否しなくちやいかんというふうなことで水産業者は決議しておる。そういう点も考えて頂かなくちやならん。台湾に輸出する問題とそれから朝鮮からの問題とは問題がおのずから違つておろうと思うんです。その点を十分に考えて、ただ通産省という自分の建前から考えずに、すべての点から考え漁村政策を如何にしてやらすか、そういつた問題、或いは李承晩ラインなどの問題も十分考えて、そうしてこの問題を解決して頂きたい、こういうふうに考えております。  そこで一つお伺いいたしたいと思うのは、先般の水産委員会の席上におきまして、あなたかどなたか知りませんが、通産省のお役人から韓国海苔輸入と軌を一つとする問題としてバター輸入の方法がある、通産省としてはその場合の例もあるからと言つておられますが、その点について一つ詳しくお聞きしたいと思います。
  30. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 衆議院水産委員会で、韓国から海苔を入れる場合に生産者の利益を阻害しないようにという御希望がございました。そのとき生産者の利益を阻害しないということにつきまして、具体的にどういう方法をとつたらいいかということについて私が一例として申上げたわけでございます。そのときに通産省バター輸入をやつておりますが、これがやはり同じような問題でございまして、バターを入れますと、これらの酪農業が非常に影響を受ける。でございますので、最も影響を受けますところの全酪連という団体に紐をつけまして外貨を割当てる、そういう方式をこのバターでとつておるわけでございます。こういう方法を海苔についてとり得るかどうかについても私はまだはつきり確信を持つておりませんし、そのときも申上げたんですが、この問題は非常に重要でございますので、通産省の上のかたたちとも御相談してきめなくちやならないということを申上げておいたわけでございます。これは一番重要な点だと思いますが、国内生産者の利益を擁護するという意味から見まして、輸入するとしましたらどういう方式をとるかという点については、現在研究しておりますけれども、まだはつきりした結論は出ておらないわけでございます。
  31. 青山正一

    青山正一君 これは絶対反対である。絶対反対でありますが、どうしてもこれは輸入をしなければならん、国策上どうしても輸入しなければならないというので先ほどの輸出超過のしわ寄せをただ海苔に帰するという、そういうふうなことはこれは国策上の理由にはならんと思う。併し、どうしても国策輸入しなければならないというならば、むしろこの日本なら日本全部のこの海苔生産者、いわゆるそういつた団体に発注権というものか、そうでなければ例えば輸入許可とか、或いは外貨の枠を与えて、そうして水産庁なり或いは通産省、この両方の指導の下に例えば輸入審議会というようなものを設けて、これにあなたのおつしやつた生産者とか或いは輸入業者、或いは問屋業者、或いは学識経験者、こういつたものを入れて、そうして必要とあらばその他に官庁の役人も入れるというふうなことで、この問題を処理して行くというような方法も考えられるのではなかろうと思うんですが、その点について一つ水産庁長官とそれから水産課長の御返答をお願いしたいと思うんです。
  32. 清井正

    政府委員清井正君) 海苔輸入の問題につきましては、只今青山委員、森委員からお話を伺つておるのでありますが、この問題につきましては只今申上げました通り水産庁立場としては主として国内生産業者立場ということを非常に重要視しておりますから、これに悪影響があるということにつきましては、この処置について非常に慎重を要すべきものであるという根本的態度をとつておるのでございます。無論、先ほどちよつと申上げましたが、消費者の問題もございまするのですが、これは又先ほどの森委員お話通り、不要品でありますれば、いわゆる生活必需品でなければその価格の値上りについてそうどうということはないと思います。問題といたしましては、やはり我々といたしましては、種々我が国の海苔生産業者と、生産された海苔価格に、仮に輸入をするとすればそれがどういうふうな影響を及ぼすかということを、生産業者の経営という立場から見ましていろいろ検討してみなければならんのであります。一方又貿易上の見地から申しますれば、只今課長等からお話がありましたようなことでもあるのであります。この点は私どもといたしましては非常に慎重考究を要すべき点であると思うのでございます。特に先ほどたびたび申上げた通り水産庁という立場から申上げますれば、重点はおのずから内地の生産業者に重点がかかるのでございます。その他いろいろこれに関連して考慮しなければならん事情がいろいろありますので、そういうことを睨み合せまして、どうしたらいいだろうかということを実は今非常に慎重な観点考えを進めているという状況でありまして、今すぐここでこうする、ああするということを申上げられないのは残念でございますが、もう少しこの問題については研究をさせて頂きたい。ただ問題の根本的観点と申しますのは、私の立場としてはそういうような基本的観点に立つて問題を進めておるというふうに御了解願いたいと思うのでございます。
  33. 青山正一

    青山正一君 それで陳情者にちよつとお聞きしたいと思うんです。今水産庁長官のお答えがあり、通産省からのお答えはまだありませんですが、大体お答えはわかろうと思いますが、私の一番最後の希望ですね。これはどうしても輸入しなければならん、国策輸入しなければならないというような建前になるとすれば、今言つたようなことで例えば生産者団体なり、水産庁長官水産庁の建前をよく考えなければこの問題は推進できないというふうなお言葉もあつたわけですが、そういうふうな点を考慮に入れつつ一つこの問題についてお答えを願いたいと思います。
  34. 庄司嘉

    参考人庄司嘉君) 農林、通産両御当局におかれて我々生産者の窮状と申しますか、立場に対して深い御理解を持つて頂くという点につきましては、厚く御礼を申上げたいくらいなんであります。併しながら、先ほど申上げましたように、我々生産者のこうむるところの影響が余りにも大きく、だから今の段階といたしましては、我々としては絶対反対だというふうな気持でありまして、それ以上のことは考えておりません。どうか……。
  35. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題についてまだ御質疑がございましようか。  じや一応あと又いろいろこのことについて深く突込んだ話もございますので、陳情のおかた御苦労でございました。一応これで御退席を頂きます。
  36. 森八三一

    ○森八三一君 通産省の農水産課長にお伺いいたしますが、これは今農林の問題じやなくてバナナの話が出たが、私はバナナは完全なこれは不急不要品だと思います。今の国策に徹する限りにおいては食つちやいかん。食うべきではないということを今強力に主張をし、宣伝をしておる。だが今通産省で台湾との通商関係の帳尻を合せるためにバナナを入れざるを得ないというような感覚でおるとして、これはバナナを国民が食わないのであります。食わなくなるそのときには一体貿易帳尻が非常に狂いを生じて来る。そんな計画を織込んでやつておられたんじやこれは国策に忠実なものではないということになるのですが、やはりそういう感覚でおやりになつておるのですか。
  37. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) バナナ問題でちよつと誤解があつたと思いますので、私もう少し詳しく御説明申上げます。バナナは食べる必要がないものであるということについて私個人としては同感でございます。事実上私たちの口にはなかなか入らないものでありまして、全く同感でございますが、バナナの輸入につきましては、これをほかの貿易の手段に使つておるという現状でございます。ほかの貿易の手段に使つておると申しますのは、輸出振興のために使つておるのでありまして、台湾に対して従来出にくかつた雑貨とか或いは農水産物資というようなものを輸出した場合に、その輸出した金額に対して二〇%のバナナの輸入権を与える。そういうふうな方法をとりまして、単なる輸入に終らない、雑貨の輸出振興のための手段にしておるというのが現状でございます。
  38. 森八三一

    ○森八三一君 そのことはよくわかるわけです。わかりますが、そういう計画でおられる場合に、国民がバナナを食わなくなつてしまえば、輸入商社というものは仕事にならんから、輸入は必然的にやまるのです。その場合にその八〇%というか、他に輸出がそれで駄目になるということになるのかどうか、そこはどうなるのですか。
  39. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) これが駄目になるかどうかはまあちよつと見通しはつきませんけれども、非常に困難になるということは確かであります。例えば或る商品のごときは台湾側で殆んど輸入を禁止しておる。その品物をバナナをこつちへ買つてくれるならば輸入してやろう、そういうふうな立場をとつておる商品もございますので、私見まするのに、雑貨とか農水産物の輸出の振興には或る程度相当役に立つたということは言えると思います。今後バナナの輸入方式をどうするかという問題につきましては、まだ決定しておりませんし、来年の四月から九月、二十九年度予算につきましても全然まだきまつておりません。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますとですね。私どもは今耐乏生活という観点からバナナを食つちやいかんと宣伝をし、奨励をしておることは国の貿易には非常に寄与しない。極端に言うと国策に相反する行動をとつておるという結論になるような気がするのですが、そんなわけですかね。それが一つ。それからもう一つは、海苔を買う場合に、日台関係貿易がそういうことによつてバナナを今買わなければならんと同じような立場海苔が置かれておるのかどうか、その点を第二点として一つお伺いします。
  41. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 初めのバナナを入れることを禁止することが国策に反するかどうかという御質問でございますが、これは非常にむづかしい問題でございまして、私もこれはお答えするほどの能力を持ちません。  第二の海苔日韓関係の問題でございますけれども、これは先ほど申上げましたように、海苔輸入するだけでありまして、輸出を控えてもおりませんし、海苔輸入したから日本の輸出が伸びるというような関係はございませんです。ただもう一度申上げますと、両国のバランスが狂つておる、向うが輸出するもののうちで、なかなか日本に対して韓国が輸出するものはないのでありますが、海苔は非常に大きな金額を占めておる。そういう点で相手が輸出したいという希望を非常に持つておるのであります。甚だ不徹底な答弁でございますけれども……。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 もう大体私もこれでお聞きしたいことは結論に来たんですが、最後にまとめて一つ希望と御研究を頂きたいと思います。それは水産庁長官お話はよく了解できます。その了解に立つて進んで行くとすれば、海苔輸入ということについて恐らく同意がなされないという結論に私は百パーセントとは思いませんが、大体そういう方向に結論されるであろうと期待しておりまするし、通産省の方面におきましても、日台貿易関係日韓関係における海苔事情というものは違うように御説明がありましたので、そういうような実態から考えますると、今国のやつておる重要な緊縮耐乏ということを推進しなければならんときに、どう考えなければならんかという問題も大体結論が出て来るように思うのであります。ただ残されておる問題は貿易尻の貸越しをどう整理するかという一点に帰すると思いますので、これには必ずしも朝鮮に求めるものが海苔の一万帖やそこらに代るべきものがないということではなく、研究なされば私はあるのじやないか、研究が足らんから安易な海苔に途を求めておるということであつて研究をすればまだまだ日本の産業、民生に寄与し得るもので韓国に求めるものはあるのではないか、こういう感じを持つのであります。それでは具体的にどういうものがあるかということになりますと、浮びますものは一、二はございます。ございますが、これは我々も今後十分研究をし、政府も十分に研究をしてやつて頂きますれば、おのずから通ずる途はあると思いますので、そういうような心構えで一つこの問題を処理をして頂く。併しそういう問題が研究されて結論に到達するのには多少の日時を必要とする。その時間の進行の過程において、やはり国際収支関係からというか、日韓貿易尻の関係から多少でもその調整を図つて行かなければならんという場合に極く微量な、僅かな海苔輸入ということもこれは止むを得ない場合は起ると思います。その場合にはこれは通商政策上我々がしばしば当局からお伺いしている。これは予算委員会でも大蔵委員会でもお聞きしていることでございますが、国内産業の維持伸張ということを中心にして考えるのだ、曾つて大豆の問題が非常に大きな問題になつたのです。このときにも国内の油脂工業というものをどう考えるかということを織り込んで行かなければならん、或いは染物の染料を輸入するということについても、これは非常に大きな政治問題になつたことは御承知と思いますが、こういう場合にも国内における染料生産業者という者をどう考えるかということも、やはり基本的な立場に立つて考究されて来た問題だと思うのです。そう考えて参りますると、やはり国内産業の維持伸張という先ず基本観念に立つて、その上で考慮が払われるという筋合になろうと思うのです。併し考えますれば、今一例としてお話がございましたバター輸入の場合にも、食生活の改善、食糧自給度の向上という観点からも有畜農業の徹底的な発展を図り、その国策に矛盾を来たすような結果になつていかんからというので、ああいう対策が考えられたと思うのであります。このことはかなりの貢献をなしていると思うのです。そういうような対策が併せ考えられませんというと、一貫して持たれている通商政策というものに矛盾を来たす。国内産業の維持伸張ということが土台になつて、その上に貿易が計画されているという基本的な、今まで我々がお伺いしている方針とは矛盾して来る結果になると思うのでありますので、止むを得ず帳尻、収支の均衡を得るということのために僅かでも輸入しなければならんという最悪の事態が考えられるとすれば、その際には国内産業の維持伸張という基本観念を考えてやつて頂く。それはバター輸入の例のごとき方策が考えられるのではないか、こう思うのでございます。で輸入をやめちまうというのは一番これは徹底しておると思うのでありますが、その際水産庁長官からお話の非常に価格の暴騰して云々という点、これは別に取締の法規があるのですから、それはそう恐れることはないと思う。国内生産者だけが暴利をとるという限界にまで価格が発展して来れば、これは取締り得る法規もあるのですから、又伺つてみるというと、全国的な自主的な統制機関ではありませんけれども業者の共同機関もあるということですから、そういうような法規に準拠して作られておる生産的な販売機関を政府は監督指導しておるのですから、そういう機関の監督指導という行政措置によつて不当な値上りということは、これは生産者の段階には注意が行届くと思うし、それを流通関係で扱う場合に暴利をとるとすれば、これは取締る法規は現存しておるのですから、やれると思いますので、その心配は私は持つ必要はないと思います。そういうことを一つ考慮されまして、基本観念としては輸入はすべきものではない、万々一輸入する場合には、やはり通商の基本観念に立つて一つ処理をして頂きたいという希望を申上げまして、一応この質問を打ち切ります。
  43. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑ございませんですか……。  それではこの議題は一応今日はこの程度にしておきます。   —————————————
  44. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に、演習場補償に関する件を議題に供したいと思います。  調達庁から見えられておりますから、私からちよつとお願いいたしますが、最近アメリカ駐留軍以外の国連軍の駐留に関係して、この演習場に関する補償陳情相当多く参つております。これにつきまして国連軍との関係におきまする協定の中で、補償に関する問題はどのように取極められておりまするか、御説明を頂きたい。  なお、それと関連いたしまして、平和条約発効以前の問題と、発効後はアメリカ駐留軍に対しましては行政協定ではつきりいたしておりまするが、国連軍関係につきましては実際上どういうような取扱がなされておるかそういうことにつきまして一応の御説明を頂きたいと思います。
  45. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定におきまして、補償関係条項と申しますところは、その第五条と第十五条ということに相成つております。で、これを米駐留軍との行政協定の場合の条項と比較いたしますと、行政協定におきましては、日本国に駐留するため、施設区域を提供する場合の費用の負担者はその二十五条に掲げてございますように、日本国がその負担をいたしまして、合衆国にはその負担をかけないということが規定されておるわけでございますが、国連軍の場合におきましては、逆に日本国に国際連合の軍隊を維持することに伴うすべての経費は、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで連合国軍が負担しなければならない、こういうふうに規定をされておるわけでございます。但しこの場合におきましても、日本国の国有財産の提供につきましては、これは無償提供ということに国連協定におきましては定めがあるわけでございます。  これは一般の費用負担の問題でございますが、軍隊の駐留に伴いましての費用の負担というのはいろいろのものがございまして、特に事故補償のごときものにつきましてはこれは行政協定、国連軍協定共に同じ十八条というものに規定がございまして、これらの事故補償につきましては、当事国間におきまして割合をきめまして、負担をするということが掲げてございます。他の提供するために発生いたします費用の分担につきましては、今申上げましたように、国連軍が国連軍協定の場合には負担をするということになつているわけでございますけれども、これを更に細分いたしまして、漁業補償でありますとか、それから駐留に伴なつての特別損失の補償というものは、それではこのすべての経費を負担するという、すべての経費の中に包含されているかどうかということにつきましては、はつきりしたものはないわけでございまして、実際問題といたしましては、国連軍が使用しております土地の地先のの漁業権の行使が阻害されるというふうな事態のものは、広島県下におきましても相当見られているところでありますし、更に又国連軍が使用しておりますために、それから派生いたしまして特別損失に該当するようなものも当然起り得ると考えられるわけでありますが、これらのものにつきまして、今申上げました国連軍協定の十五条のすべての経費に含まれるものであるかどうかということにつきましては、はつきりさせる必要がございますので、それにつきましては三月の八日に外務省から、このすべての経費の中には漁業権の行使制限に伴う漁業者の損失補償というふうなものを包含するものであると解していいか、その見解はどうか、こういうふうなことを文書を以て申入れているわけでございますが、先方といたしましては、この趣旨はよくわかつたので、後刻返事をするということになつているそうでありますが、抽象的に申しますれば、すべての経費は国連軍が負担いたしまして、これは日本国との間に比率をきめて分担するものではない性質のものとなつておりますので、全額が国連軍によつて負担されるものと了解しているわけでございます。  それからその次の占領期間中の補償状況及び講和発効後の状況はどうかというお尋ねでございますが、占領期間中の一般の占領国軍に対して提供いたしておりました諸施設、区域の補償につきましては、陸上関係におきましては、これはそれぞれ当該機関においておおむね補償は完了しているわけでございますが、芳干未払の債務となつて残りましたものは、その後二年間に亙りまして整理をいたしまして、本年度中には完結をいたすことにして現在処理を進めております。更に漁業関係補償につきましては、占領期間中の分といたしましては、閣議決定に基く見舞金としての処理を完了いたしているわけでございます。併しながら、講和発効後国連軍の駐留に伴つての国連軍のために起された漁業上の損失につきましては、従来国の支払の根拠となりますような協定が成立しておりませんでした関係上、只今まで処理がなされておらないような次第でございます。広島県下におきましての米駐留軍関係の漁業補償につきましては、二十七年度までのものが完結いたしまして、二十八年度の上半期九月までの分を只今処理中でございまして、本年度末までには支払を完了することに相成つておりますが、国連軍関係につきましては処理がなされておらないという現状でございます。以上であります。
  46. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは今の御説明によりますと、占領中は米軍又国連軍を問わず一応見舞金の形で一応処理はされている。なお未払の分につきましては、本年度中に解決をする。講和発効後、但し昭和二十七年の五月以降の国連軍関係のものについては今のところ全然未解決で、従つて未払であるというように解釈してよろしゆうございましようか。
  47. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) さようでございます。
  48. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これに関連する質疑は次回に、時間の関係でいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この資料を今頂いておりますが、この国連軍使用水域その他の資料がありまするが、この国連軍が使用しております水域その他演習場等につきましては、これは現在までのところ漸減の方途を辿つておりまするのか、従来とも現在維持でありますのか、或いは又逆に水域その他が殖えつつありますのか、その点だけをお聞きしておきたいと思います。
  50. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 大体現状維持でございます。
  51. 木下源吾

    ○木下源吾君 ちよつと、この間何ですよ、実は委員長の御配慮によつて自由にでありますが、中国、四国の水産状況調査に参りました。私で参つたのです。瀬戸内海で問題になつているのは、底曳を荒して、そうして沿岸の非常に対立が起きている。私の行つている間に向うから多分こちらに陳情、請願が来ていると思うのでありますが、現地では相当深酷な対立になつていることを事実だけを報告しておきましよう。  それから築磯の問題はこれは非常にあの辺は要望している。なかんずく高知県においては従来政府の御厄介にならんで、県で三百万円くらい年間やつているような次第で、そこでこれらについては今のような問題ですね、つまり葛藤の問題、争いの問題等々のその根本をなくするためにも非常に重要な問題と思うので、これを一つ御報告しておきます。それから以西のほうばかりではなく、行詰つておる所はかつを、まぐろのほうへ是非出たいという希望が相当ありますので、この点も注意をしておく必要があろうと思います。いずれにしても瀬戸内海方面に対しては、特段にまだ調査をして根本的な対策を立てる必要があるんじやないか、こういうように考えております。  なお、塩業について、塩です。これはまあ水産関係あるかないかわかりませんが、全般としてやはり水産関係があると思うのですが、従来の入浜式といいますか、これを今の政府が流下式という方法に変えつつある。成るほど実情を私は岡山県の児島、山田村という発祥地で調査してみましたが、能率は非常に上つております。能率も上つておるし、大体人手が要らなくなつてしまうのですね、六分の一くらいでよろしい。この問題についてはだんだんまあ計画的に年次計画でやつておるという話でありますが、一方において政府補助をやり、或いは資金の融資等を斡旋してやつておるのですが、この失業者ですね、もうこれは目に見えて、従来六人のものはもう一人でいいということになるので、これはまあ一方においてはそういう非常に経済的に生産費を安くするとかいろいろあるだろうが、この失業者に対しても何らか一つこれは考えてやる責任があるのではないかというように、大体そういうように考えて見て参りましたのですが、これらについて水産庁あたりでも、直接に関係がなければ間接的にも一つ考慮する必要があるんじやないか。  以上簡単でありますが、この機会に御報告申上げておきます。
  52. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと議題の間で木下委員の御報告がありましたが、時間の関係もございますので、今の演習場の問題の質疑は次に延したいと思います。
  53. 木下源吾

    ○木下源吾君 ついでだから今のに関連して、各地から今の二十トンから百トンの間の保険の問題の陳情が非常に来ている。これはどうせここで陳情で審議されるだろうと思うが、ここに予算が削られて一つもなくなつたというように書いてあるようですが、こういう点も一つどうなつておるのか、次の機会に是非何して、これは各地へ行つて見ますと、やはり漁のほう、こういうもののほうは非常に疎かになつているように思われて、あらゆる問題がたくさん出ている。例の補償問題の利子が高いとか何とかということがたくさんありますが、これも一つ活溌にこの委員会において取上げてもらいたいと思います。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時十五分散会