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説明員(鈴木昇君)
日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定におきまして、
補償の
関係条項と申しますところは、その第五条と第十五条ということに相成
つております。で、これを米駐留軍との行政協定の場合の条項と比較いたしますと、行政協定におきましては、
日本国に駐留するため、
施設区域を提供する場合の費用の負担者はその二十五条に掲げてございますように、
日本国がその負担をいたしまして、合衆国にはその負担をかけないということが規定されておるわけでございますが、国連軍の場合におきましては、逆に
日本国に国際連合の軍隊を維持することに伴うすべての経費は、この協定の存続期間中
日本国に負担をかけないで連合国軍が負担しなければならない、こういうふうに規定をされておるわけでございます。但しこの場合におきましても、
日本国の国有財産の提供につきましては、これは無償提供ということに国連協定におきましては定めがあるわけでございます。
これは
一般の費用負担の問題でございますが、軍隊の駐留に伴いましての費用の負担というのはいろいろのものがございまして、特に事故
補償のごときものにつきましてはこれは行政協定、国連軍協定共に同じ十八条というものに規定がございまして、これらの事故
補償につきましては、当事国間におきまして割合をきめまして、負担をするということが掲げてございます。他の提供するために発生いたします費用の分担につきましては、今申上げましたように、国連軍が国連軍協定の場合には負担をするということにな
つているわけでございますけれ
ども、これを更に細分いたしまして、漁業
補償でありますとか、それから駐留に伴な
つての特別損失の
補償というものは、それではこのすべての経費を負担するという、すべての経費の中に包含されているかどうかということにつきましては、
はつきりしたものはないわけでございまして、実際問題といたしましては、国連軍が使用しております土地の地先のの漁業権の行使が阻害されるというふうな事態のものは、広島県下におきましても
相当見られているところでありますし、更に又国連軍が使用しておりますために、それから派生いたしまして特別損失に該当するようなものも当然起り得ると
考えられるわけでありますが、これらのものにつきまして、今申上げました国連軍協定の十五条のすべての経費に含まれるものであるかどうかということにつきましては、
はつきりさせる必要がございますので、それにつきましては三月の八日に外務省から、このすべての経費の中には漁業権の行使制限に伴う
漁業者の損失
補償というふうなものを包含するものであると解していいか、その見解はどうか、こういうふうなことを文書を以て申入れているわけでございますが、先方といたしましては、この趣旨はよくわか
つたので、後刻返事をするということにな
つているそうでありますが、抽象的に申しますれば、すべての経費は国連軍が負担いたしまして、これは
日本国との間に比率をきめて分担するものではない性質のものとな
つておりますので、全額が国連軍によ
つて負担されるものと了解しているわけでございます。
それからその次の占領期間中の
補償の
状況及び講和発効後の
状況はどうかという
お尋ねでございますが、占領期間中の
一般の占領国軍に対して提供いたしておりました諸
施設、区域の
補償につきましては、陸上
関係におきましては、これはそれぞれ当該機関においておおむね
補償は完了しているわけでございますが、芳干未払の債務とな
つて残りましたものは、その後二年間に亙りまして整理をいたしまして、本
年度中には完結をいたすことにして現在処理を進めております。更に漁業
関係の
補償につきましては、占領期間中の分といたしましては、閣議
決定に基く見舞金としての処理を完了いたしているわけでございます。併しながら、講和発効後国連軍の駐留に伴
つての国連軍のために起された漁業上の損失につきましては、従来国の支払の根拠となりますような協定が成立しておりませんでした
関係上、
只今まで処理がなされておらないような次第でございます。広島県下におきましての米駐留軍
関係の漁業
補償につきましては、二十七
年度までのものが完結いたしまして、二十八
年度の上半期九月までの分を
只今処理中でございまして、本
年度末までには支払を完了することに相成
つておりますが、国連軍
関係につきましては処理がなされておらないという
現状でございます。以上であります。