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政府委員(山口伝君) 一昨日の二月二十日に
海上保安庁の東支那海に出ております
巡視船の「さど」が韓国側に不法連行されました
事件が起きましたので、
只今わか
つております
範囲で
状況を取りあえず御
報告さして頂きたいと思います。
一昨日当時済州島の西方海域並びに東支那海
方面において
巡視船「くさがき」を指揮船といたしまして「へくら」、「さど」、「こしき」計四隻を以て
行動中であ
つたのであります。
巡視船「さど」は二十日の午前零時三十分農林漁区二百九十四、これは済州島の西南西約五十海里、おおむね位置は北緯三十三度十七分、東経百二十五度十五分、当時こういうことでございます、におきまして突如韓国警備船P三十八号、韓国の沿岸警備隊所属、トン数は約二百五十トン、装備は十三ミリ機銃二門及び小銃、これは後ほど先方の金星号ということがわか
つたのでございますが、これから銃撃を受け横付けを要請されました。七時頃船長は機関長と共に相手の船に移乗いたしまして会談を行いましたところ、先方は「さど」を捕獲する旨を通告したので、種々折衝したが翻意せず、次いで八時頃、相手船即ち金星号の乗組員七名が「さど」に乗り移
つて来まして、「さど」の乗組員十五名を先方の警備船に移乗せしめ、このため「さど」は八時以後
無線の封鎖を受けまして通信は不能、一方この情報を入手いたしました指揮船「くさがき」は、直ちに
現場に直行しまして、八時十五分「さど」を認めた。レーダーか何かだと思いますが、認めた。八時三十分頃、「さど」が済州島に向け連行されつつあるのを
確認いたしたのであります。八時四十七分、「くさがき」は、警備船に横付けをした上、直接交渉を行わんといたしましたが、相手の船は横付けを許さず、九時五分に至るや、
威嚇のためと思われますが、小銃二発を発砲して来た。なお「くさがき」は、交渉を断念せず、至近距離、大体四百メートルと言
つていますが、至近距離が並行しつつ、国際信号、その他の
方法を以て種々折衝を試みましたが、相手の船は応答をいたしません。で、折衝不能のため、このような
状況報告を受けましたので、九時四十五分に、門司にある第七管区
海上保安部長の指令によ
つて、これは効果がないと認めたわけでありまして、止むなく、一応「くさがき」は
現場を離脱いたしたのであります。かような
報告を受けましたので、私のほうでは、早速内容を、情報を
外務省に入れまして、即刻韓国のほうへ、厳重なる抗議と共に、船体並びに乗組員の即時釈放を申入れて頂きました。又
水産庁のほうにも御
報告するし、或いは又
アメリカ大使館等へも情報を入れました。その後早速
外務省とされては、同日午前中に、十一時頃だ
つたと思いますが、奥村次官が金公使を呼ばれて厳重なる抗議をし、折衝をして頂いたわけであります。その後情報によりますると、いろいろな
新聞、UP電、或いはロイター電にも伝えられましたが、昨日になりまして
巡視船から情報が入りました。「さど」は二十日の十五時十五分済州島の済州邑に到着をしてそこで軟禁をされ、同日の夜二十二時三十分、午後の十時半、向うの金星号の船長から釈放の
通知を受けて、二十一日、即ち昨日の午前零時に当地を発港いたしまして今朝四時四十五分関門港外の六連に着き、そこで検疫を受けまして八時二十分門司に入港したのであります。なお船長から概況を
報告して来ておりますので、それを附加えたいと思います。日時は先ほど申上げましたように、一昨日の午前六時三十分、位置は北緯三十三度十五分、東経百二十五度二十分、五分だけ違います。これは船長からの
報告であります。それから当時の海の気象は、北の風で風力は二で、僅かであります。雲量が六、半晴、うねりは西、靄がかか
つてお
つて、
海上は平穏、当時の
状況は「さど」としましては午前六時にレーダーにて左舷のほう七海里に三隻の船影を見ている。これらの船の国籍
確認のために接近をいたしましたところが、一隻は極めて感度が良好で恐らく韓国の警備船か又は三百トン型のスチーム・トロールと思われた。六時二十分に、東のほうが次第に明るくな
つて参つた。西方はガスがかか
つていることと、月没のために
視界は依然として不良であ
つた。六時二十五分頃右舷のガスの切れ間に航海燈が薄く見えた直後、相手の船から国際信号で発火信号を以て何船だという信号を受けたわけであります。その
状況によ
つて、「さど」としては恐らくこれは韓国船じやなかろうかという公算があ
つたわけでありまするが、こちらからもホワツト・シツプという信号を送
つたのに対して返答はしないで、相手の船は突然銃声を以てこれに報いて、同時にストツプ・カムという信号を送
つて来たのであります。「さど」はそのとき避退すればするだけの余裕はあ
つたのでありますが、ほかのレーダーの二隻は操業中の情報があ
つた日本の
漁船と思われましたので、その二隻のことを慮
つて会談を行うことに決意したと言
つております。七時頃から八時まで約一時間韓国の金星号船上において同船の船長と会談を行
なつたそのときの会談の内容につきまして次のように船長から来ておりまして、「さど」の船長は国際法上の慣例に基いて公海における公海の自由並びに
漁業の自由ということを主張しましたが、先方の船長は「さど」船長の主張する国際法上の権利はわかるが、
自分たちは韓国政府の指示で
行動している、船長個人の
意思では如何ともいたしがたいとして、「さど」を連れて行くというので、いわゆる平和ラインを固守して譲らないので、
結論を得ないまま八時頃相手は実力を以て「さど」を連行すると告げて、この際十五人の人質をと
つて遂に連れて行くことにな
つたのであります。済州島における取扱
状況についてこれ又
報告が入
つておりますが、「さど」の連れて行かれたところは済州島の済州邑という港であります。「さど」の船員は、「さど」に乗船のまま軟禁状態でありまして、個人の自由は別段拘束されないが、韓国側の警備兵が約八名が陸上との交通を絶つ意味において「さど」を警護してお
つた。それから釈放のときの理由につきましては別段申さずに韓国政府の指示によるということのみを告げたようであります。私のほうといたしましては取りあえず
外務省を通じて厳重に抗議しその日のぎりぎり一ぱいでありますが、即日釈放の形をと
つて一応一段落のようでありますが、そのような不祥
事件を今後起されてはかないませんので、なお更に不審の点も詳報を得ましてこれを十分分析研究して改めて韓国に対して文書による厳重なる抗議をいたしてもらうことに
外務省と折衝いたしております。や
つてもらうことにいたしております。
なおこれらのことに鑑みまして、今後の同
方面における警備の方針等につきましても十分
考えなくちやならんと思うのでありますが、目下情報を得た上で情勢の分析をいたして、至急
考えをまとめたいという
状況であります。