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1954-02-11 第19回国会 参議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十一日(木曜日)    午後一時五十六分開会   —————————————   委員の異動 一月二十九日委員松浦清一君辞任につ き、その補欠として片岡文重君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            森 八三一君            木下 源吾君   政府委員    水産庁長官   清井  正君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部漁    政課長     家治 清一君    水産庁漁政部漁   業調整第二課長  諏訪 光一君    水産庁生産部長 永野 正二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (昭和二十九年度水産庁関係予算に  関する件)  (日韓、日濠漁業問題に関する件)  (日米加国漁業会議に関する件)  (東京湾のひとでによる貝の被害状  況に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先ず第一に来年度水産庁関係予算について説明員から説明をお願いいたしたいと思います。
  3. 家治清一

    説明員家治清一君) お手許にお配りいたしました資料に基きまして来年度予算案内容を御説明申上げます。  最初に概況を御説明申上げたいと思いますが、資料の厚いほうの最後の頁でございますが、それの中間に合計という欄がございます。漁港整備事業の上の、これは公共事業以外関係水産庁関係予算の合計でございますが、これは二十九年度要求といたしましては二十二億円と相成つておりまして、前年度と対比しますと、前年度は二十六億九千四百万円でございますので、約四億九千万円の減となつておるのでございます。これは一般緊縮予算という影響もございますのでありますが、ただ内容的には実は前年度とそう大差がないのでございます。と申上げますのは、二十八年度予算におきましては漁船保険特別会計のいわゆる赤字補填特殊保険給与保険赤字補填の額が一般会計から繰入れといたしまして約二億六千万円ほど計上されております。  それから二十九年度から落ちました仕事といたしましては免許料許可料徴収仕事が落ちましたので、この関係で約四千二百万ほどの金がこれは不用という形で落ちております。  それからなお前年度は千トンの調査船建造を認められたのでございますが、二十九年度は一隻水産研究所のやはり調査船でございます蒼鷹丸の代船として二百五十トン級の建造が認められております。船型が約四分の一になりました関係金額も減つております。そういつたことを考慮いたしますと、内容的には前年度予算よりも若干上である、こういうことで一般会計予算につきましては申上げられると思います。  それから公共事業費関係でございますが、これは水産関係では漁港整備事業だけでございますが、これが前年度に対しまして相当減少なつております。具体的に申上げますと、前年度が約三十九億ございましたのが、本年度要求では三十二億、約七億ほどの差があります。これは一枚紙でございまして、但しこの場合も二十八年度予算におきましては当年災といいますか、二十八年発生災に対する経費補正予算との関係で入つておりますので、若干この数字の開きは縮まると思いますが、併し非常に要望されておりまする漁港整備事業が実は伸びなかつた、むしろ圧縮の形になつたということは緊縮予算の建前で万止むを得ないのでございますが、これは実は遺憾な点でございます。以下内容に入りまして御説明を申上げます。  最初水産庁一般行政でございますが、これで定員関係を申上げたいと思います。水産庁の現在の全部の定員は千四百四十三名あるのでございますが、これがいわゆる行政整理といいますか、政府の方針に従いまして、来年度は若干数の整理が見込まれております。数字的に申上げますと、二十九年度におきましては五十四名の減員でございまして、その代り先ほどちよつと触れました千トンの船が竣工いたしますので、千トンの乗組員といたしまして十六名の増、差引三十八名の減、従いまして二十九年度定員は千四百五名、こういうことになつております。こういう要素が一般行政のうちに入つております。そのほかに前年度は、一般行政の対比せられます二十八年度予算額として一般行政費のうちに挙つております金の中に、先ほど触れました免許料許可料徴収関係の四千二百万円が入つております。それから真珠研究所施設費が約三千七百万円となつております。そういつた関係で二億五千万円が一億九千八百万円となつておる次第であります。  次に漁船乗組員養成事業でございますが、これは一口に申上げますと、補助率が一律に二分の一になつたというのが減少の主な原因でございます。それから旋網の関係は前年と大差ございません。  それから小型の減船整理でございますが、これは大体五カ年計画計画に従いました第四年度減船整理計画に対応いたします補助金でございます。これは大体水産庁要求通り認められております。ただ若干府県に対して減船整理指導監督するための事務費補助が従来ございましたのが、実は今度補助金整理によりまして落ちております。  次に中型の底曳整理転換でございますが、これは実は二十八年度に始めて今年は二年になるのでございますが、大体隻数におきまして六十五隻の整理を促進しよう、こういう計画内容なつております。内容といたしましては前年と変りございません。大体船の改造とか或いは漁具の費用、それから乗組員の一部船を下りる人に対する一カ月の給与の三分の二程度退職手当補助金が計上されております。  それから北海道開発魚田は大体前年度と同じでございます、金額的には……。新規地区を開発するということは認められませんで、従来の入植地区に対して入植戸数二百二十戸を認める、こういうことに関連する予算でございます。新規入植者だけの新規、地区の新規はございません。  それから小型の取締り、これは取締船でございまして、前年に比べましては一隻瀬戸内海漁業取締りの船が傭船の増として認められております。  それから沖合漁業取締り、これは底曳その他沖合漁業取締船でございますが、前年度と変りありません。  次に沿岸漁業調整でございますが、これは御承知のいわゆる制度改革、それに関連する経費補助金でございますが、これは前年度と著しく違いました点は、先ず漁業調整委員会、それからその委員会書記等に関する経費は、現在の漁業法におきましては全額国負担するとなつております。前年度までは全額負担で来たのでありますが、二十九年度からは委員手当だけは全額でございまして、書記或いは委員の旅費、そういつた経費は三分の二補助に、予算上は補助なつております。三分の二補助という形に変つております。それからなお漁業調整関係職員経費でございますが、これも実は従来は全額でございましたのが二分の一ということになつております。これは実は農業関係と大体バランスをとつてやつた次第であります。農業委員会、或いは農地調整職員未墾地調整職員、そういつたものと同じような考え方査定されております。従いまして金額的には一億七千八百万円が一億二千七百万円という数字になつております。  次に水産増殖関係でございますが、これは御承知の内水面資源維持或いは浅海保護水面管理浅海増殖開発、或いは重要貝類増殖事業というように事業内容は大体前年度と殆んど同じでございますが、二十九年度で新らしく認められましたのは、実は浅海増殖開発の中に魚礁設置補助が認められたのであります。これは一応予算の積算の基礎といたしましては、大体瀬戸内海関係の二府県につきまして、これは全体で約百五十カ所の魚礁を設置しよう、それに対する三分の一の補助をしようというのでございます。それからなお浅海保護水面管理費でありますが、これは水産資源保護法の現在の規定では、保護水面管理は国の負担ということになつておりますが、この予算ではこれに対して二分の一の補助をする、こういうことに変つております。  次に内水面漁業調整は、沿岸の漁業調整で申上げたのと同じでありまして内水面漁場管理委員会の諸経費と、それから内水面漁業指導監督職員設置費ということになつておりますが、委員の手当が全額で、その他の経費が三分の二、それから府県職員設置費は二分の一補助、こういう形になつております。その他は大体前年度考え方において大差はございません。  それから北海道の内水面鮭鱒流刺網漁業整理転換でございます。これは御承知の石狩川の流刺網でございます。この整理転換経費といたしまして、これは前年度から、二十八年度から実際流用してございまして、その第二年度目でございますが、四十隻の整理を行うための補助金でありまして、補助率は半額であります。  次は水産業協同組合指導監督、これは水産業協同組合常例検査をいたします人の補助金及び指導の諸経費補助でありまして、これは前年度と特別変つておりません。  ここで項目ではありませんが、昨年度、二十八年度までは漁業編成指導というのがございましたが、これは約三カ年ほど継続した事業でありましたが、今年でその予算が実は削られております。  それから次に漁業協同組合及び連合会再建整備促進というのは、農業協同組合関係と同じように、御承知再建整備と、それから整備促進と両方を一緒にした奨励金経費でございます。これは金額が前年度よりも減つておりますのは、大体事業の進捗につれてだんだん減つて参つた次第でございます。  それからその次は、漁業災害復旧資金の融通に関する特別措置法施行、これは御承知のルース、それから十勝沖カムチャツカ等災害に対しまして、融資を行い、且つ利子補給をするそれぞれの法律がございますが、その法律に基きます利子補給金でございます。なお新らしく損失補償も若干は出て来る見込でございますので、約百万円ほどその中に含まれて計上してございます。それから次に漁船損害補償実施でございますが、ここでの内容は、先ず普通保険におきましては各種保険組合事務費補助がございます。これはいわゆる附加保険料三割と言いますうちの一割、要するに三分の一補助というのがございますが、そのほかにいわゆる義務加入船保険料の二分の一国庫負担が入ります。それからなお満期保険関係につきましても、その満期保険料の中の損害引当分につきましては、やはり義務加入に該当するものはその二分の一の国庫負担。それからなお満期保険加入奨励金としまして、いわゆる代船建造の場合の利子補給に似た奨励金があるのでございますが、これもこの中に入つております。  それから特殊保険も、本来は、例年ですと赤字補填という形で繰入が計上せられるのでございますが、実は本年度補正予算で今までの赤字を解消して頂きましたので、来年如何なる赤字が出るかまだわからないし、そういう面では計上されておりません。そこで最初普通保険関係でございますが、義務加入船を、現在の漁船損害補償法によりますと、今年の四月一日以降は、百トン未満の漁船については義務加入制を実施する、それについてその半額の国庫負担をやるということになつておりますが、予算上は二十トン未満ということになつております。この点が非常にまあ問題の点でございます。でこれは先ほどもちよつと沿岸漁業調整等につきましても申上げましたように、現在の法律で規制するのと、この予算で計上しておりますのとは矛盾しておりますが、この食い違つている点は、名前はどうなるか知りませんが、いわゆる補助金等に関する法律整理に関する法律ですか、そういつたことで法律をこの予算に合せて改正しよう、こういうまあ大蔵省の方針で、まあそういつた考え方に基いて査定が行われております。  それから漁業条約の実施並びに協定の交渉、これは日米加関係、或いは将来の日濠関係交渉に要する事務費であります。交渉に要する事務費と申上げましたが、むしろ交渉のための必要なデータを集める事務費でございます。でこれに関連いたしまして従来ございました海洋対策委員会に関する費目は、事柄として吸収されたという形で、今では事項は落ちております。  次にオツトセイ調査関係でございますが、これは全額が減つておりますのは、船数が三隻が二隻になりました点と、傭船期間が取りあえず四月から六月までの三カ月ということになつておりましてオツトセイに関する国際条約が来年度は本格的な段階に入つて、その条約の内容によつて又改めて予算上の措置を講ずる、こういうことにして、取りあえずそれまでの今年から来年へ継続する調査の分だけを計上したわけでございます。捕鯨関係は特別申上げることもございません。大体監督その他の費用でございます。  それから北洋漁業に関する指導監督でございますが、これは前年度は千トンの調査船建造いたしますために、三億四千四百万という金がこの中に入つております。今年はそういつた調査船建造はございませんで、内容といたしましては、取締船傭船、或いは千トンの運航費、そのほか若干のいわゆる資源開発調査といいますか、調査船を出しましてその傭船料がこの内容でございます。隻数はここに記載してある通りでございます。  それから遠洋漁業取締指導監督並びに新漁場開発という事項でございますが、これは大体以西、或いは太平洋関係漁業指導取締船傭船、その経費がその主なるものでございます。その傭船の勢力は大体二十八年度と同じ程度ということになつておりますが、そのほかに一部南太平洋方面、或いはインド洋方面まぐろ資源調査を行いますために、この調査船を或る程度有機的に若干運航する、そして資源開発調査を行うという経費が約三百五十万円ほど入つております。  そ、れから漁船管理、改善では、大体ここに記載しましたような事柄でございます。依頼検査、或いは登録の事業認定事業で、そういうようなものが主でございますが、漁船の船大工の講習会というのが、金額は僅かですが、新らしい事柄として認められております。これは木造船造船技術というものをもつと向上する、或いは優れた技術を保存するというために、国が講習会を開催する経費でございます。で、無線の陸上局設置は、前年度に引続いて、約五局補助して行きたいと考えます。金額が前年度より減つておりますのは、実は前年度短波無線の二局、六百万円の設置補助が入つたのが、それがなくなつた関係でございます。漁船研究室は大体漁船研究室研究の諸経費でございます。  それからその次の水産業基礎調査も、これも特に申上げることはございませんが、ただここでは従来水産研究会に対してテーマを指定して研究を委託しておつたのでありますが、二十九年度もその仕事を行いますけれども、その金額が前年度は約一千万円、実際は九百万円余りですが、それが五百万円に査定されて減少した、こういうところが金額減少なつて現われたのであります。  それから水産研究管理並びに水産資源開発、これは内容といたしましては、主なものは対馬暖流総合開発調査、それからこれは大体対馬暖流流域の二十道府県に亙りまして、これは県の試験場調査船を動員する……、勿論国の関係のやつも動員いたします。動員して、或いは一部は各大学の技術部を動員して、その総合的な調査を行おう、こういう内容でございまして、二十八年度から行われている仕事の第二年度で二ざいます。事業量としては若干殖えております。それから漁況海況予報仕事でありますが、これは太平洋岸のいわゆる海況漁況調査をして、これを予報しようという意味でございまして、さんま、或いはかつおについて、一部実施しておりますが、これを継続して来年度やりたい。事業量は若干殖えております。  それから次の冷害対策に関する海洋調査、これは今年は新規事業でございます。これは昨年の東北、北海道へかけての大冷害事実に対応いたしまして、この冷害のできれば予報をやらせて、それに対する対策を立てるといつた、その資料にするために、一応北洋、それからずつとそれ以南の太平洋の先ず海洋の調査をやる。で、寒暖流のいわゆる消長の点等を調査して、併せてそれが漁況予報にもなるということで、実は水産関係及び農業その他の関係に一石二鳥の仕事であるということで認められた仕事でございます。内容は大体水産庁官船を動かします経費と、若干府県試験船を動かしますので、その補助金ということになつております。  それから水産研究所調査船建造と申しますのは、これは東大水研で……、といいますか、水産研究所で持つております蒼鷹丸という、非常に古い船がございますが、この蒼鷹丸の船齢はもう尽きておりますので、これを廃止しまして、その代船を建造しようという経費でございます。  次に水産技術改良普及でございますが、この仕事内容は、先ず専門技術員というものを設置する。それでその内容は或いは養殖であるとか、或いは機械といいますか、機関の関係、或いは電気器具関係、そういつた関係技術者をまあ主な府県設置して、そして或る県は巡回指導を行うというような事柄と、それからなお府県水産試験場技術者が中心になりまして、いわゆる先達漁船グループといいますか……、その研究グループ先達漁船を中心にして作りました。そこで従来の伝承的な技術を科学的にメスを入れて、改良して、その技術を客観的なものとしてだんだん普及して行く、こういつたことをやりますための試験場に対して器具資材設置するための補助金、或いはその試験場の人が乗組むための旅費、そういつたものが内容なつております。前年度と対比いたしますと、人は増員は認められておりません。大体前年度に配置した人が動ける経費でございます。これが大体水産庁本庁仕事でございます。  なお水産研究所につきましては、これは前年度に比べて若干の増額が認められております。内容的には若干の試験研究項目もございます。  それから真珠検査所真珠研究所経費、これは御承知真珠養殖事業法に基きまして、国営の輸出検査をやつておりますのが真珠検査所でございます。これは東京と神戸にございますが、この二カ所の検査所を運営する費用、それから目下建設に着手しております真珠研究所の来年度運営費内容でございます。  それから北海道の鮭、鱒孵化場でございますが、これは全道数十カ所の事業場を持つておりますが、これの運営費でございまして、前年度に比べて若干の増額を見ております。  水産講習所もこれは御承知の下関にありますが、設備内容等もまだ貧弱でございますので、或る程度他緊縮予算の模様よりは甘いという査定を見ております。公共事業以外の事業は、今申上げましたように、全部総計いたしまして二十二億六百万円となつております。  次に漁港整備仕事でございますが、これは別の一枚刷りで御覧を頂きたいと思いますが、大体この公共事業費がきまりましたその考え方は、新規事業は認めず、従いまして二十九年度新規着工地区は、予算上といいますか、認めないという方針なつております。それで金額的まあいろいろな紆余曲折はございましたが、結局例えば整備関係では、中間の計というのがございますが、北海道と本土と合せまして、約前年度二十一億に対しますものが二十億になつております。  それから災害復旧関係は、これは或る程度何といいますか、復旧の年次を若干延ばすとか、乃至は復旧事業費をもつと査定をするとかいつたことを含みにして、一応来年度予算がまあ或る程度圧縮を受けて計上されております。これは勿論漁港だけではございませんで、ほかの災害復旧事業と全部一律の取扱を受けております。それで総額は先ほど申上げましたように百三十二億、公共、非公共費合せまして約五十四億というものが二十九年度予算の概略でございます。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 以上一応御説明頂きましたが、これより質疑に移ります。以下御質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  5. 千田正

    千田正君 丁度長官がお見えになつたから、今漁政課長から、二十九年度予算についての説明をお伺いいたしましたが、二十八年度に比較して成る程度減額されてあるのですが、この減額によつて水産関係人員整理等に対する影響は、どういうふうになつておるのでありますか。
  6. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問は、水産庁本省人員整理の問題と、地方補助職員整理の問題と二つに分れると思うのでございます。本省の問題につきましては、これは一般行政整理の一端として私のほうでも所要の人数を減じてあるわけでございます。これは水産であるが故に、特にほかよりも余計率が減額されたということはないように私は考えております。ただ御承知通り、先般免許可料人間が減じられたのであります。これも行政整理上はこの枠の中へ入つております。この点も水産庁といたしましては割合に有利に解釈されておると考えておるのであります。ただ一千トンの船を新たに増加いたしましたから、その収容人員がそのほかに更にプラスになつておると考えますので、総体に申しまして、本庁人間については別に問題にすべきものはない、減らされた人員の中で仕事をより簡素化し、より能率化してやつて行かなければならん、こう考えております。  それから地方職員につきましては、これも又免許可料関係の人が全部減員なつております。これは百九十六人でございますが、これは明年度より全部減員なつております。これは御承知通り本年度免許可料徴収がなくなつておりましたから、明年度まで人を残すということは絶対に理由が立たないのでありますので、これはもう止むを得ない措置であります。実はその代りと申しちや何ですが、そのほかに私のほうといたしましては、いわゆる技術改良普及とか、その他のいろいろな関係で、随分地方補助職員増加を実は図りたいと考えて、いろいろ折衝いたしたのでございますが、残念ながら地方職員の来年度新規増加は認められませんでした。それでその分だけが減員に相成るのであります。減員になつた分につきましては、先般千田委員からもこの意味において御質問があつたように記憶いたしておりまするが、私どものほうといたしましても、これは他の水産行政の他の部分にできるだけ振替えて頂けるような方法によりまして、できるだけ実際上人がやめるというようなことがないようにいたしたいというふうに考えまして、先般も私の名前で各知事に対しましてその旨を申入れているような状況であります。その他の一般職員につきましては少し減つておるのもございますが、これはいわゆる地方公務員にも、本庁公務員が減ると同じような考え方で或る程度減らすという建前から少しずつ地方職員が減つておるのでございます。その点は別段事務の運営上差支えないと考えておりますので、総体的に申しまして、地方本庁を通じまして人員整理によつて事務の支障を生ずることはないと考えておる次第であります。
  7. 千田正

    千田正君 特にこの北洋漁業などの調査船その他に乗組んでおつた人たちは、一面では或る一定の、これは将来日本水産業にとつての進出であると同時に、又外交的な問題も含んでおつて日本の将来の水産業に対する調査資料の収集の面からも、或いは将来世界的に日本水産の振興のためにも必要な経験を持つべきところの人員だろうと思いますが、今度の減船によつてこういうような問題は或る程度従来とは大分減つて来るのじやないかという虞れを感ずるのですが、その点はどうでありますか。
  8. 清井正

    政府委員清井正君) 人員につきましては、水産庁全般として減員を見ておるのでありますが、その減員の数もそう実は大した減員ではないというふうに考えられます、ほかと比べての話でございますが。そこでそのためにほかの一般行政事務に支障を生ずることはないかという意味の御質問でございますが、実はこの水産庁の所要の人員を計算いたす場合に、御指摘のような点を特に考慮いたしてもらつたのであります。水産庁仕事は御承知通りいわゆる外に出て船に乗り監督に出るような現場事務が多うございますし、或いは試験研究が多いとか、水産庁本来の仕事の特質のためにほかの局と比べましていわゆる欠くべからざる所要の人員というものがあるわけであります。そういう率を細かく仕事別に洗いまして、最低率をずつと計算をしてもらつたのでありまして、そういう点は行政整理の人数を出す際に考慮して出してもらつたというような次第でありますので、きめられました範囲内において私どもは事務に支障がないようにして行かなければならないというふうに考えております。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 免許可料徴収撤廃によつて相当削らなければならない人間ができたのですが、従来免許可料に携つておつた人員はどのくらいあつたのでございますか。
  10. 清井正

    政府委員清井正君) 本庁におきましては十四名でございます。それから地方庁におきましては百九十六人でございます。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、この二百十名でございますか、二百十名のうちからどのくらい減つたわけですか。全部減つたわけでありますか。
  12. 清井正

    政府委員清井正君) 本庁の十四人は、これは一般行政整理の枠の中に計算をしてあるのでありまして、特にこの分だけ抽出して差引くということはしていないのでございます。総体の整理の率に基いて水産庁整理人員を出しましてその中に整理人員が入つておるのでございますから、実際上は見てないということも言えるわけであります、それから地方の分は、これは全部削除になつておりますので、二十九年度から地方の人件費については補助金がない。こういうことに相成るわけであります。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回の行政整理によりまして、海区調整事務所といいますか、地方にありますね。あのほうの職員地方に、地方自治庁のほうに廻つて、そうして平衡交付金で賄われるといつたようなことになつておるのじやないかと思いますが、その点は如何ですか。
  14. 清井正

    政府委員清井正君) 只今のお話は水産庁にございます調整事務所でございましようか、それとも海区調整委員会でございますか……。委員会でございますれば申上げますが、実は海区漁業調整委員会の内水面漁場管理委員会もございますが、共に最初の大蔵省の原案では、これは平衡交付金に入ることになつておつたのであります。そこで水産庁経費からは初めから除かれておつたのであります。その後折衝いたしました結果、特にこれは国の行政事務をする委員会だ、特に漁業法上の重要事項の諮問又は決定につきまして殆んど全部が海区漁業調整委員会の議を経るということになつております建前説明いたしましてその結果元へ戻りまして海区漁業調整委員会費用一般的には原則として水産庁から直接出して平衡交付金の制度によらないということになつたのであります。ただ今までのと違いますところは、今までは海区漁業調整委員会書記全額補助というのが三分の二補助になつたのであります。そのほか委員手当等は全額でございますが、今まで全額書記手当が三分の二になつた、この点は実は農業委員会との調整上止むを得ないということになつたのであります。農業委員会は御承知通り二人職員がおりますうち一人は全額、一人は三分の一であります。平均して三分の二ということであるからこつちも三分の二で我慢しろということになるのでございまして、水産庁経費に戻りましたけれども、全額が三分の二ということになつたところに差がございます。これは主として仕事の性質上よりも農業委員会との釣合上止むを得ずこういうことになつたと私どもは考えざるを得ないというふうに考えております。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今度のこの免許可料の撤廃によつて不必要になつたということは、これは事実不必要になつたわけでありますが、実際問題としてはこれらの人々がこの免許可料徴収事務だけをやつているのじやなくて、地方において指導監督といいますか、そういう水産行政事務を相当扱つておつたと承知しておりますが、それらのものが今度全部減員になるということになりますると、地方においてそういう仕事をやつておつた者がいなくなる結果として、いろいろ行政事務の上に相当欠陥ができて来るのじやないかと思いますが、その点はどうでございましようか。  もう一点は海区漁業調整委員会というものが従来とかく経費がなくて非常に困つてつたのです。その上に更に今度のように書記の給料が三分の二になるとか、さなきだに少いところにそうなつて来るとこの機能が非常に衰えて来るのじやないかと想像されますが、その点は如何でございましようか。
  16. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでちよつと秋山委員の御質問に関連して伺いますが、ここに二十九年度予算説明がありますが、二十三項のところに地方財政平衡交付金制度廃止に伴つて、二十四に地方交付税交付金というものがありますが、この中に「二十九年度地方財政は、地方税財政制度及び警察制度の改正を前提として、通常の財政需要、財政収入の増加の外に、これら制度改正による増減を織込んで地方財政計画を策定した。これにより歳出においては、前年度補正後計画に対し、地方公務員給与改訂の平年度化等による給与関係経費の増、災害復旧事業費等臨事業費の減、その他国の行政施策に伴う経費の増等の外」云々とありますが、これは予算説明関係で、このほうでこの二分の一乃至三分の一の問題は或る程度国との約束ははつきりしておるのでございましようか。その点も併せて御説明願いたい。
  17. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問最初の点でありまするが、最初の点の免許可料関係仕事でありますが、それが来年度は全部なくなるということになるのでありまして、而も又そのなくなる百九十六人の人が免許可料だけをやつているところもありますし、又免許可料がそれだけでは足りないのでよそから人が補助している場合もあります。又逆に免許可料仕事のほかに一般仕事をしておるというところもあるようでありまして、結局形式的には免許可料徴収事務をやる人でありますけれども、実態はそれぞれの県の水産事務の繁閑に応じて適宜に仕事をしているというのが実情であるようであります。ところが実際問題といたしましてはこれは予算建前上、免許可料徴収事務をするということになつております建前上、これはどうしても削られざるを得ないということに相成つたわけでありますが、まあそのために、そのことを考えて私はそのほかの一般水産行政事務でできるだけそういう地方補助職員新規に計上いたしたいと思つて努力いたしたのでありますが、それはできなかつた。従つて結局百九十六人がそのまま落ちるということに相成つたことは誠に私としても残念に思うのでありますが、実際問題といたしましては先ほども御説明申上げた通り、各地方長官に対しましては特にこの問題を取上げて、単に仕事がなくなつたからといつてそれですぐその当該職員に対してどうこうということでなしに、広く水産行政一般仕事をやつておるのであるから、そういう意味において水産行政に従事している水産庁職員につきましては特別の考慮を払つてもらいたいという意味の通知を出しておきましたし、その後機会を捉えて個人的にも何かの機会に県の当事者につきましてはそれぞれ話を実はいたしているわけでありまして、私といたしましてはたとえ経費がなくなりましてもできるだけこれは県においてその他の経費の流用等の措置によつて、この職員は従来通り水産関係事務に従事してもらいたいという希望を持つているという私の希望を端的に表明して来ているのであります。併しこれは地方庁の問題でありますので、はつきりそういたしますということは、ここで申上げかねるのでありますけれども、私といたしましては水産行政事務にできるだけ今後も残つて従事してもらうように、今後もできるだけの手を打つて参らなければならないというふうに実は考えておるわけであります。  それからもう一つのほうの海区調整委員会の点でございますが、これは誠に御質問の点は尤もだと思うのでありまして、実績どももたびたび地方からも要請を聞いておりますし、又この予算を計上いたしますときも書記等手当或いはその他の問題につきましても、一般農業委員会と比較いたしまして相当低位になつておりますので、そういつた問題を考えまして、できるだけ仕事が円滑に行くようにということで新規予算を計上いたしたのでございますが、遺憾ながら御承知のような事情ですべてそれが新規の分も削られた上に、更に金額が三分の二になつたということであります。その点は海区調整委員会事務の運営上非常に問題があると思います。建前としては残つた三分の一は、これは平衡交付金と申しますか、地方税交付金のほうに入る建前でございますけれども、果して現実に海区漁業調整委員会書記の三分の一の分はこれだけであるという金額を特定して各府県に行くわけではないと思いますので、建前としては入つておりますけれども、現実の問題として入つておるかどうかということはちよつと私としては何とも申上げかねるような状況なのでありまして、私どもの予算といたしましては全額が三分の二になつた、あとの残りは府県で引受けてもらうということにいたして、当該委員会事務の運営に支障のないように県のほうに督励をいたしたいというふうに実は考えておるのであります。
  18. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今の点をもう一度お聞きしますが、結局二分の一乃至三分の二になりますと、あとの足らない二分の一乃至三分の一というものはやはり府県負担になるわけですね。当然にそれが紐付きとして財政平衡交付金制度が交付税交付金、これに変つた際に、当然それだけのものがやはり府県のほうへまあ大蔵から出されなければならないということに、これは理窟からでもなるわけで、ならないとこの職員というものは減俸以外に手がないということに私たちは理解するのでございますが、その点はつきりと約束はないわけですね。
  19. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の問題は御指摘の通りでありまして、無論初め大蔵省としては計算をするときには全額向うに計上して、それでそのあとから折衝の結果三分の二だけこちらに戻つたのでありますから、建前としては三分の一の分が向うに入つている計算になるわけであります。併しこれは前に申上げました通り、計算もそうなつて、積算上もそうなつておりますが、県に行く場合にこの分とこの分と特定して行くわけではないのでありますから、その点紐付きでどうこうという約束はないと思います。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に漁船損害補償の問題ですが、第十六項、このうちに先ほども御説明がありましたように、過ぐる国会においてこの普通保険義務加入の対象を二十トン以上百トン未満にまで拡げて法律が制定され、而もこれは二十九年度より実施するということに法律で明らかになつておるわけでありますが、今回の予算措置におきましては何らこれが考慮されておらん。これは我々としても非常に忿懣に堪えない点であり、且つ今後の問題として飽くまでもこの実施を迫るつもりではおりますが、大体この制度ができましたために、漁船保険の地方における組合等におきましては来年度からは半額補助になるからということで、もうすでに相当勧誘をして加入せしめておるわけです。それが万一うそであつたということになりますと、加入した人も非常に迷惑をするし、又保険組合としても誠に面目のないことになり、一体どうすればいいかという問題になるのでありますが、これらの点について水産庁としてはどういうふうに考えておられますか。法律で定めてあるから二十九年度からは二分の一補助になるということははつきりしておる。従つて保険というものは時々刻々に変つて行くわけでありますから、新らしいものに対しても、現在は実施中でありませんから、一般保険料であるにしましても、来年度からは半額になるんだということにおいてみんな勧誘されて入つておるという事実も相当あるようでありますから、若しもそれがいけないということになりますと、これらの責任は結局組合自体が負うべきであつて予算のないものに対してそういう約束をしたのはしたほうが悪いという、こういうことになるのでありますか。その点の御見解を承わりたい。
  21. 清井正

    政府委員清井正君) この問題は御趣旨の点は誠に御尤もであります。確かに法律上百トンから二十トンの間、百トン以下のものが二十九年の四月から当然強制加入ということになると法律只今明記されているのであります。ところが予算の編成につきましてはすでに漁政課長から御説明申上げたと思いますが、只今現状においては止むを得ずこれは二十トンまでという、今までの、現在やつておりまするところで切られておる状況であります。この点何とも申上げようがないことを甚だ遺憾といたしますが、予算の編成上止むを得ずかようなことになつておるのであります。ただ飽くまでも法律を実行するのが私どもの建前であろうと考えます。二十九年四月一日から百トン未満ということに法律なつておりまして、現行がそうなつておるのでありますから、私どもとしては法律を遵守いたして行くというほかには他にすることはないのでありまして、現行の四月一日から百トン未満までは強制加入、二分の一国庫負担になるという建前で諸般の事務を進めて参らなければならんというふうに実は考えております。
  22. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それもよくわかりますが、今私が申上げましたように、もうすでに加入して来ている、それが現在になつて一向裏付けがないから国庫補助がないんだという現実ですね、その現実に対して加入した人は、まあ悪く言えば詐欺にかかつた。勧誘員が嘘を言つた、組合が嘘を言つたということになつて、今後保険行政といいますか、保険の勧誘をして行く上においても非常に私は支障になると思う。又そういつたギャップができたことに対して政府には何ら責任がないのでありますか。その見解を承わりたいと思います。法律で定められておつて、それに基いて勧誘をして行つた。ところがそれは嘘だつたということについて責任の所在はどこにあるのか。
  23. 清井正

    政府委員清井正君) 責任問題ということになりますと、そうにわかにお答え申上げかねるのでありますが、確かに、御承知通り、これは法律予算とが食い違つておるということにおいて、甚だ遺憾な点であると私も率直に考えておるのであります。法律が二十九年から百トン未満なつておるのでありますから、その法律の実行を前提として、各実行単位組合において実施しておられるということは、これは当り前のことだと思うのであります。ただ、まだ決定にはなつておりませんが、予算案が御承知通り現行通りなつておるということで、そこで予算法律とのギヤツプがあるというところに実は問題があるのでありまして、私どもといたしましては、現行法があります限り、法律を厳守するという建前で進めて参らなければならんというふうに考えておるわけであります。
  24. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それに関連して私ちよつと聞きたいのですが、結局これは議員立法でこうなつたわけですね。それに対して政府は非常に不満であつたことは事実であります。それで問題は政府の不満ということに対して、水産庁長官として、最初要求予算に正規に一応入れられたが、大蔵省でこれは切られたということになつているのか、或いは長官として初めから二十トン以下ということで従来通り出したのか、その点をはつきり一つ聞きたいのです。  第二点は、百トン未満全体を予算化して長官が出されたのに、大蔵省で切つた場合、どういう理由で切られたか、その理由がまあ納得行く行かないは別として、長官が聞き及んでいるところだけは一応ここでお話を願いたいと思います。  それからあとの問題は大蔵大臣自体に、なぜこれを予算化しなかつたかという問題は、大蔵大臣にこれは聞くべき問題だと思う。ですから今の二点を長官からお聞きしておきたい。長官が出したか出されないか、出したのに切られたとすれば、どういう理由で切られたか。
  25. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の点でありますが、これは実際私ども事務当局といたしまして、法律があります以上、法律を執行するに必要なる予算を計上することは当り前でございますので、私どもといたしましては、百トンまでの漁船が入り、その二分の一が国庫負担になるという建前予算要求したのであります。最後まで要求し続けたのであります。併しながら、大蔵省としては、ただ国家財政全般の建前から、残念ながら現行法で切ると、こういういうだけの理由でございまして金額としては僅か一億程度の差額ではございましたが、私どもといたしましては、最後までこれはもう大蔵省と折衝をし続け、私どもも未だにこれについては納得いたしておらないのでありますが、国家財政の全般の理由からというので、こういうふうに実は決定を見ておるようなわけでございます。理由といたしましては、財政上の理由から現行法にとどめる、こういうことであろうかと私は考えております。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題で、これは漁船保険の問題は遺憾に思つておりますが、そのほかに同様のものはたくさんあると思います。そこで、これは正式な委員会等で聞いたことではございませんが、何か同種のものについてはそれぞれ原局との間に法律改正の手続を進める、予算に合うようなふうに進めるということの措置を講ずるというようなことを言つておられるらしいが、そういうことが大蔵省と農林省との間に話があつたのかないのか、その辺はどうなつていますか。
  27. 清井正

    政府委員清井正君) その通りであります。これはこの問題もありますし、先ほど来御質問がありました全額と三分の二の問題も同様であります。これは漁業法に国が全額負担すると書いてある。これを三分の二にしたのでありますから、この点も法律を改正しなければならない。そこで水産庁関係といたしまして、保険の問題と、海区漁業調整委員会の問題と、内水面漁場管理委員会の問題と、それから内水面管理費の問題があります。これは水産資源保護法であります。たしかその三点に亙つて法律改正をするのであると思います。その点につきまして、只今大蔵省は一括して法律を出すというであります。これはひとり水産だけではありません。農林省には多いのであります。あらゆる問題についてこれは大蔵省のほうから法律を国会に提出をする、こういうことで今事務的な話をいたしております。私どもといたしましては、事務的には反対であるということをはつきり申して突つぱねておるのでありますけれども、とにかく閣議決定になつたものであるから、これは法律を提出するのだという建前なつておりますので、いずれはそういうふうになるのではないかというふうに私想像いたしております。
  28. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この問題ですが、今森委員からお話のように、我々も聞いておりますし、これらの法律、主として議員立法だと思うのです。今のようにすでに制定された漁業法の改正も一部分含んでいるかも知れませんが、大部分はこの前の災害対策法律であるとか、或いはその他農業関係水産関係のものを一括して、特別委員会でも作つて出すとかいうことで進めておるかに聞いておるのですが、議員立法なるが故に、行政庁が、行政府がこれを否定するということはけしからん話で、勿論否定するかせんかは国会においてこれをきめるのでありますけれども、みずから制定したものをみずからが否定するということはあり得ないと我々は考える。こういうべらぼうな馬鹿な話はないのでありまして、我々としては、これはむちやくちやな法律を作つたとは思わない。それよりも政府に向つて十分了解を得て、金額の了解を得ておる。政府当局は渋つておりましたけれども、私どもは与党として、与党の正式な機関に諮つてこれを了承を得て出したものです。それを今日与党政府が否定するということは、私は甚だどうも不可解な話であつて飽くまでもこれは我々としては闘わなければならん問題だと思つているのですが、噂はそういうふうに飛んでおりますので、今後一つ御協力によつて、折角ここまで、水産業者のために、而もこの問題は国の大蔵当局から、直接は聞きませんが、間接に聞いたところによると、あの二十トン以上百トン未満の船に対する二分の一の国庫補助というものは大会社を救済するようなものだ、大会社のために援助してやるようなものだということを放言したということを聞いております。そこで我々は、果してそうであるかどうかということを数字的に調べて見たところが、大きな会社と称するものの所有船は僅かに隻数において二十トン以上百トン未満の船は五%に足りません。四%八八何がし、少くとも五%に足らない。それからトン数におきましても七%に満たない。その九五%乃至九三%というものは皆一般大衆の漁船である。何を以て大会社を擁護するものであるということを放言したのか、我々は理解に苦しむ。その僅かの五%或いは七%のために九〇何%の多くのものを無視するということは私はあり得ないと思う。こういうふうに我我は考えておりますので、これはまあ皆さんに御認識があるかどうかわかりませんが、私のほうとして正式な数字を以て調べたところがさようになつておりますのてこの点は一つお含み置きを願いたい。こう思います。
  29. 千田正

    千田正君 それからこれは長官に聞きたいのですが、最近農林省の統計調査人員整理に関していろいろ問題になつて来ているのですが、その中に現在農林省の統計調査に従事しておる職員は農林のみならず漁業の実態を調査しておる。こういうことで、農林漁業、いわゆる農林省管轄であるところのすべてについての調査をやつておる。こういうことを言つておるのでありますが、漁業の面においては何かそうした調査員に対する資料等の負担水産庁関係としてありますか。水産庁はそれには別に関係はないのだ、農林省自体として包括して農林省から出しておるのだという観点でありますか、その点はどうなのでしようか。
  30. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の点は、これは形といたしましては、農林水産統計は全部統計調査部で実施しております。従つて只今農林経済局に所属しておりまする統計調査部に水産統計課というものがございまして、水産統計課において水産に関する統計調査に従事をいたしております。そこにおいて全部資料を収集いたしておるのであります。ただ、実際問題としましては、水産庁のほうにも調査研究調査資料課というものがございまして、そこでいろいろ資料の収集等に当つておりまして、これは専ら行政事務遂行上必要な資料の収集ということになつておりまして、建前としては統計とは分離しておる、行政上の必要から生じたところの統計をこちらでやつておる。こういうことに相成つておるものでございまして、実際問題としては、ときどきいろいろな問題があるのでございますけれども、建前はそのような建前で、統計は全部統計調査部において所掌しておる、こういうことに相成つておるわけであります。
  31. 千田正

    千田正君 もう一つは、先般日米間の条約の中にあつたいわゆる海洋の観測に関するものでありますが、これの廃止をアメリカ側が申出たので、日本側の予算措置上非常に不足して来た。中途においてこれを廃止するかしないかという問題があつたのですが、これは日本の一つの海洋関係として、特に海洋における産業であるところの水産業にとつては相当に影響ある問題として我々は考えておつたわけですが、こういう問題に対しては水産庁としては別に関係なくやつておるのですか、その点はどういうふうになつておりますか。
  32. 清井正

    政府委員清井正君) 例の定点観測の問題につきましては、あれが極めて重要な調査であるという観点から、私どもも非常な関心を実は持つてつたのでありますが、ところがあれが御承知のような事情で中止になるというようなことで、私どもは直ちに気象台のほうとも連絡をいたしまして事情を確めたのでありますけれども、その後気象台としては何か特殊の事情があつて予算要求していないというような事情であつたのであります。そこでそうであつては実は相成らんといろいろ考えておつたのでありますが、たまたま漁政課長から申上げたと思いますが、丁度東北方面の冷害対策として海洋調査をしよう、こういうので急遽その問題と関連いたしまして先ほど申上げた通り、来年度には千九百六十万円の予算をとりまして主として北洋北海道東北の海面において、今度新らしく作ります一千トンの水産庁調査船並びに試験場調査船及び県の試験場調査船を使いまして、定時に一定海域を航行せしめてそこでそのときにおける海洋の気象の状況を報告させるということによつて冷害の長期予報にもなりますし、同時に海洋漁業調査にもなるというようなことで実は新規予算を認めてもらつたのであります。そこで海洋漁業調査につきましては或る程度の施策を講じておることは御承知通りでありますが、それとこれと関連せしめまして、そうして海洋調査に遺憾なきを期したいということで来年は一つやつて参りたい、こう考えております。
  33. 千田正

    千田正君 それは非常に結構なことでありますが、二十九年度はそれでよろしいのですが、ずつとこれは永続すべき問題であると思うのでありまして、将来はやはりこれは気象台のほうから予算を出すべきものであると思われるのですが、全然気象台と離れてそういう問題は水産庁予算内に含んで二十九年度以降は全部こつちで引受けてやるという考え方でありますか。現在中止されたためにこうむる影響を考慮して取りあえず二十九年度予算に組んで水産庁としてはやつて行くというお考えでありますか、どつちでありますか。
  34. 清井正

    政府委員清井正君) この問題は十分気象台とも打合せをいたさなければ最後的なことはきめられんと思いますが、私どもの気持としましては、これは単に二十九年度だけの問題でなしに、今後も継続的にやつて行かなければならん問題だろうと思います。二十九年度実施いたしました結果によりまして、或いは補足すべきところも起つて参りましようし、或いは気象台とも相談いたしまして、なお方法を変えなければならん点もあるかもわかりませんが、私どもといたしましては、二十九年度だけのものだとは考えていないわけでありまして、継続として気象台とも連繋を保ちつつこの調査実施して行かなければならんと、こういうふうに考えております。
  35. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに別に御質疑なければ長官は発熱中でありますので、生産部長が参つておりますので、よろしうございますか。  それでは一応予算質疑は今日はこの程度におきまして、次に日韓、日濠漁業問題のその後の経過につきまして御説明を願いたいと思います。
  36. 清井正

    政府委員清井正君) 日韓と日濠問題でありますが、日韓問題につきましては、実は残念ながらその後さしたる進展を見ていないのであります。これは実はすでに新聞紙上等に伝えられておるのでありますが、アメリカの一部の仲裁と申しますか、介入と申しますか、アメリカ側がその中に斡旋されまして、昨年末には会談が開始されるのではなかろうかという程度の実は気分もあつたのでありましたが、その後その気分は途絶えまして実は今日に至つておるような状況でございます。私どもとしましては、何とかして会談を再開いたしまして、日韓問題を正規のルートに乗せたいと思つておるのでございますけれども、只今のところは何ともその問題につきまして見通しを申上げかねるというような実は状況でございます。ただ現地におきましては、我々の調査によりますと、若干隻数はやはりあの海域附近においても操業をいたしておるような状況であります。ところが先般一月の十八日でありましたか、こちらの海上保安庁の巡視船が向うの巡視船と会つたときに、旧正月に向つて日本漁船も出て来るだろうから大いに取締るのだというようなことを発言しておつたというようなことで、相当それが業者にも響きを与えておつたし、出漁をやめておるというような話も伝わつてつたのでございますが、私どもとしましても、何とかして日韓の問題を正規に再開すべく実は努力したいということで、外務省とも連絡を緊密にさしておりまするが、残念ながら現在の状況においては何とも申上げられないような事情でございます。ただ、水産庁の監視船は従前同様に相当隻数同方面に配置をいたしております。又海上保安庁の巡視船もその方面に配置をいたしまして、海上保安庁の船と私どもの船とがしよつちゆう業者と会談をいたしまして、その出漁船に対する今後の仕方、方法等につきまして緊密に実は連絡をとつてつておるのであります。先般又業者のかたからも、なお一層それを緊密にしてもらいたいという御趣旨のお話もありましたし、私どもも従前もやつておるのでございますが、なお今後も海上保安庁と私どもの船とで業者の漁船の行動を十分に連絡し合いまして、更にお互いに出漁船の取締保護につきまして更に遺憾なきを期して参りたいと思つておるような状況でございますが、全般の空気としてはさような空気に相成つておるような状況でございます。  それから日濠関係につきましては、これは実は先般来新聞紙上にも多少出ておつたのでございますが、一応向うはいわゆる大陸棚を宣言して、そこに操業する船は外国船といえども濠州の法律に基いて許可を得なければならないという趣旨の法律を作つたのであります。併し当時出漁いたしておりました日本漁船につきましては、或る一定海域を許可を要せざる海域ということに指定しまして、事実上日本漁船は許可を受けなかつたようであります。その後その海域におきます操業が余り成績が思わしくなかつたのでありまして、その後引揚げて参りまして第一年度の出漁については何らの事故が起らなかつたのであります。ただ問題は保護の問題にかかつてつたのでありますが、私どもといたしましては飽くまで大陸棚の問題につきましては、これは単に日濠だけの問題でなしに、これは単に真珠貝の採取という問題だけでなしに、これは日本海洋漁業の発展におけるところの一大障害であり、同時にこれは国際法上の重大問題であるから、ただこれは日濠間だけの問題としておくべきではないという考えからいたしまして、先般来この問題につきまして国際司法裁判所に提訴をいたしたいという考えを持つたのであります。それと同時に提訴は提訴いたしまするけれども、同時にその間にいわゆる漁業ができないということであつては非常にまあ影響も重大でありまするので、国際司法裁判所に提訴すると共に暫定的に当該海域において日本漁船が真珠の採取を操業するという暫定協定を一つ併せて結びたいと、こういうような考えで、いわゆるこの両建の考え方で濠州政府とも相談をいたしておつたのでありますが、濠州政府といたしましてもその両建で行くということには賛成いたしておるのであります。国際司法裁判所に提訴するという問題と、提訴の問題がきまるまで暫定的に操業するということ、この問題につきましては話合いがついておるのでありますけれでも、さて如何なる点を国際司法裁判所に提訴するか、或いは如何なる暫定協定を取結ぶかという問題につきましては今後の折衝にかかるのであります。そこで取りあえずこれは私のほうの、日本側の政府と濠州側の政府とでこの両案について同時にお互いに案を示し合おうじやないか、そこでお互いに案を示し合つてその提示された案に基いて両国政府との間で相談をして今後話合いを進めて行こうという話合いになりまして、実は二、三日前に両方で案を示し合う段階にまで参つたのでありますが、何か濠州側の都合で少し延びたということで近日中に濠州政府のほうでも案を出すと同時に私どものほうでも又案を出すということで出し合つた結果に基いて相談をして行くということで、両方で二つの問題を並行して進めて参るというふうにいたしたいということで、実は進めておる次第であります。
  37. 千田正

    千田正君 更に新たに起きた事態として先般パキスタンの領海侵犯の名の下に日本の日水及び大洋漁業漁船と思いますが、パキスタンの官憲によつて拿捕された、その後いろいろな折衝の結果一応釈放されたと聞いておるのですが、果してそれは領海侵犯であるのか、或いは何かその間に、日本政府とパキスタン政府との間に了解事項なくしての問題でこういうふうな問題が起きたのかどうか。これも一つの国際問題として新たに取上げらるべき問題であると思いますので、この間の事情おわかりでありましたら御説明願いたいと思います。
  38. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の問題はいろいろ実は私どもも突然の新聞の記事でございましたので情報を集めて見たのでございますが、これは該地海域に日本漁船が四隻実は出ておつたのであります。大洋漁業からは一隻、日本水産から三隻と四隻出まして、主としてえびを取つてつたのでありますが、それが無論まあ無断で出ておつたのではございませんので、地元の漁民と相談の結果、相談ずくでこれは出ておつたのであります。無論その相談には山形大使その他の関係者が斡旋して参つたのであります。ところがどういう事情でございますか新聞に出ましたようなパキスタン政府日本漁船が捕えられてこれが領海侵犯であるかどうかというような問題が起つているということでございましたので、その後いろいろ、事情を調べて見たのでございますが、要するにはつきりした今のところ細かい判断はできませんけれども、要するに領海の問題で、領海を侵犯しておるから捕えろというような問題ではないと私は只今のところ判断をいたしておるのであります。何かもう少し事情がはつきりわかれば詳細に申上げる機会があろうかと思いますが、要するに両国政府の間で、パキスタン政府にもいろいろ事情があるようでありまして、そういつたような事情が不円滑であつたために何か派生的に起つた問題であるかのように聞いておるのであります。領海を侵犯した、或いは大陸棚がどうこうという国際法的な関係からあの船が捕まつたのじやないというふうに私ども只今でも判断をいたしております。
  39. 千田正

    千田正君 昨年秋パキスタンに我々が使しておつた当時に、その当時のいわゆるコロンボ・プランによつてパキスタン政府とアメリカ、或いはカナダの政府等によつてパキスタンの領海、いわゆるパキスタンの政府の管轄する海洋におけるところの漁業権というものはアメリカ若しくはカナダにその漁業権の一切を或る一定の期間内だけ移譲するというパキスタン側の政府の意向があつたということを我々は知つておるのであります。ところが実際から言つてアメリカ側もカナダ側も漁船も入りもしないし、まだ契約もしておりません。その間にパキスタン側の実業家と日本のまあさつき述べられた大洋若しくは日水との間にコントラクトができて、そうして実際の操業に従事した、そういうような何かしらパキスタン政府とは別個の立場において日本側が早くも手を着けたというようなことで、そうしたいろいろの問題がそこにあるのじやないかと思われますが、そういう点については何も聞いておりませんか。
  40. 清井正

    政府委員清井正君) 只今のお話の正確な話は聞いておりませんが、ただアメリカの一商社が同じような漁業をしたいということでパキスタン政府と話合いをしておつたということは聞いております。その問題と今度船が捕まりました問題と関連があるかどうかということはちよつと今のところ判断いたしかねますが、現在の状況では単に領海問題だけで捕まつたのじやないというふうに聞いております。
  41. 千田正

    千田正君 これは遠くパキスタンの問題でありますが、言い換えれば日本沿岸漁業の行詰りからむしろ大きな資本の漁業がどんどん海外に行つてもらいたいということを望んでおるのでありますが、パキスタンのみならずあの東洋の海域であるところのインド、或いはビルマ、或いはタイというふうに各方面に日本漁業の進出の版図が相当開けて行くであろう、そうあるべきはずであるのでありますが、その矢先にこういうような問題が次から次に起きて来るのであつて、誠に我々は遺憾に堪えないのでありまして、今後こういう方面に進出するに際するところの資料を一度集約的に、一つ別の機会に改めて外務省並びにあなたがたからお話を承わりたいと存じますから、そういう御準備を一つして頂きたいと思います。
  42. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかにこの日韓、日濠漁業問題につきまして御質疑ございませんか。
  43. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 たびたびいろいろな問題で煩わしておるのですが、この日韓問題は大分長くなりますし、漁業者としても非常に困窮をしておる問題であります。この朝鮮と日本との間にある海というものは、申すまでもなく日本漁民が長い間ここで働いて参りましたし、開発もして来た所でありまして、今これを李承晩ラインができたからといつて絶対に放棄するわけには行かないのであります。併しながら出て行けばああいつたような不法拿捕、抑留といつたような目に会いますし、退いてあそこに出て行かんということになれば日本経済も非常に困窮するのみならず、あの海域というものをいつの間にか既定事実として朝鮮の欲するがままの朝鮮の海というようなふうに自然になつて来る虞れもありますので、我が漁船としてはあそこを捨てるわけには参りません。そこで進めば捕まるし退けばさような不利益を招くのでありますから、飽くまでも日本漁船政府の保護の下にあそこにおいて操業を続けるべきである。併しそのよつて来るところの犠牲に対しまして、これが漁業者だけが負担しよう、日本の権益を各漁業者だけの犠牲を似て守るということは、これはどうしても強いることのできない問題であります。そうしますというと、政府の今後の保護の手の届かないところ、保護してもなお且つ損害を受けるというようなことに対しては、政府がどうしてもこれに対する補償の途を開いて行かなければならんと私どもは固く信じて、常にこれを要求しておるわけでありますが、水産庁としては、かような問題をどう考えておられるか。これはまあ国家財政の関係もありますけれども、財政は別として、そういつたような面について、長官はどういう感じを持つておられるか、我々と同じような感じでおられるか、或いは、これはこういう時勢であるから止むを得ないから、業者だけが犠牲を払つて我々も保護するだけはするからといつたような感じであるか、その点をお伺いいたしたい。そして日本の大いなる権益を如何にして守るかということをはつきりさせておきませんというと、今後業者たちは進退に迷つて来てどうにもならん。結果は大きな権益を捨てることにならんか、かように考えるわけですが、水産庁としては、この問題をどういうふうに考えておられるか、感じをお伺いしたいのであります。
  44. 清井正

    政府委員清井正君) 只今のお話でございますが、この点は只今のお話の通り、当該海域に全然出漁しないということになりまして、事実上いわゆる李承晩ラインというものを認めるというようなことがありましたならば、これは単に理窟でなしに事実を承認することになりまして、私どもとしましては、かかる事態の起ることにつきましては、深甚なる関心を持たなければならんと思つておるのであります。そこで私どもといたしましては、当該海域に出漁する漁船に対しては、先ほども御説明申上げました通り、いわゆる水産庁の監視船、或いは海上保安庁の巡視船を以て緊密な連絡を持つて、できるだけ安全に操業できるように手を尽すということは無論いたさなければならんのでございますし、今後も又その方式を強化いたすのでございますが、又一方、いわゆる拿捕された漁船に対する低利の融資の問題であるとか、その他いろいろ当該漁場を主漁場といたす漁業の問題について、水産庁といたしましては、いろいろ総合的措置を今後打つてもらいまして、当該漁場に出漁する漁業者の損失が成るべく少いように、その受ける被害が成るべく少くあるように、いろいろの方策を講じまして、水産庁でできることはもとより、その他の問題につきましても、関係庁とよく相談いたしまして、今後に強力な措置を打つて行かなければならんと思うのであります。そういうことが果して補償に当りますかどうかは別問題でありますが、私どもといたしましては、飽くまでも当該漁場の安全操業ということを主眼といたしまして、これに出漁する漁業者のための総合的な措置ということを、今後とも強力に推進して行かなければならんというように考えておるわけであります。
  45. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その点よくわかりますが、水産庁或いは日本政府が、万全の措置を講じて保護すると言いますけれども、万全の保護にならないのです、事実は。保護する範囲は或る程度の範囲であつて、事実今までも保護はしておるのにしばしば拿捕を受けておる。その拿捕せられた船に対しましては、実は今度補償法が出るということでありますが、これも過去において、或る一定期間に受けた損害に対して代船建造その他の資金を低利で貸付けてやる。借りた以上は返さなければなりません。これは取りも直さず漁業者の犠牲になつておるわけであります。他の者でも相当の犠牲はあるわけでありますが、金を借りて建造して行くということになれば、漸く金を借りて建造した船が出漁して行つて又捕まつたとするならば、前の借金をどうして返すか、これは到底返すことができないことになるのでありますが、こういつたようなことを繰返しておるようでは、自然漁業者はそこに行つて働くことができなくなる。これは当然であります。水産庁はできるだけの措置を講ずるというお考えのようでありますが、現在特殊保険というものがありまして、特殊保険に加入しておるものは、拿捕された場合にはその保険金がとれる。そこでその保険金がとれて、その保険金で旧債を償還し、そして新らしく又融資を受けて船を造つて、又拿捕されたらばそれで以て返して行くということならばこれは行けると思います。ところが現在の特殊保険というものはしばしば聞きますように、政府も相当赤字を出してこれは負担しておる。これはまあ当然政府が補償していると私は思つておる。併しながら一部は漁業者みずからが保険金をかけている。従つてこの保険金というものも九〇%の再保険でなしに、一〇〇%の再保険にすべきである、こういうふうに私どもは考えております。水産庁考え方政府の一部の考え方でありますので、その考え方によつてこういう問題を今後推進すべきであると私は考えておりまするので、それでお尋ねしたわけでありますが、一〇〇%の補償という問題について、水産庁はどういうふうに考えておられるか、今まで私が申上げたような理由に基いて、我々は当然そうすべきものであると考えるのでありますが、水産庁としてはその問題をどういうふうに考えておられるか、予算がとれるとれないでなしに、そうすべきものであるか、そうすべきものでないかということについてお伺いしたい。
  46. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の具体的な御質問でありますが、成るほど特殊保険乗組員給与保険の制度は、保険と申しておりますけれども御承知通りあれは保険でなくて一種の補償であります。年々相当のいわゆる保険料以上の金額一般会計より繰入れられておることは御承知通りでありまして、昨年も一億七千七百万円の繰入を補正予算でお願いいたしておるわけであります。而も特殊保険保険料につきましては、これはもう保険という建前から申しますればもつともつと金額を上げなければならんものでございましたけれども、これは今回大蔵省とも折衝いたしまして保険料は前年通りということにしてあるのでありまして、これ又その方面の一つの施策の進歩であると私どもは考えておるようなわけであります。そういつたような特殊保険の制度、乗組員給与保険の制度を今後できるだけ活用いたしまして当該災害を受けました漁業者に対する措置は考えて行かなければならないわけでありますが、只今仮に今の九〇%を一〇〇%にいたしまして全部国営保険的な制度にするということでございますが、この点につきましては成るほど只今のお話の方向からいたしますれば確かに一つの方法であろうかと思いますが、これは保険制度自体からの観点の考慮もして行かなければならないのでありまして、私どもといたしましては一〇〇%国保ということにつきましては、お話の御趣旨は十分わかりましたけれども、これはもう少しこの問題は保険制度全般についての考慮も併せていたしたいというふうに私ども考えておるわけであります。
  47. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 成るほど保険制度と考えれば今お話のようにペイしておらん、全然ペイしておらん、どうせペイしておらんものをやつておるということは、保険制度という建前でやつておるのじやない、ただ保険制度という名を借りてやつておるだけであつて、事実は保険制度じやない、保険制度ならば保険料をもつと上げて大体ペイするところに行かなければならないのが保険制度だと思う。ところがそうでなしに非常な赤字を覚悟して一般会計から繰入れてやつておるということは、即ち政府が責任を感じてやつておることですから、もう一歩責任を感じてやつて、これは実は保険組合があとの一〇%を負担すべきでありますけれども、とてもその負担をする余力がないからして、結局ない場合にはそれだけ一〇%というものは漁業者がそれを負担するということになりますから、そういうことまでせずにそういう本当の災害に対しては、政府がもう一つ一〇%だけ見てやる。そうして保険で以て事故を起さないのはどんどん保険料をかけて行くわけでありますから、保険制度に名を借りて補償してやるものであります。もう一歩やつてもらいたいという感じでございますが、併しこれは今御説明の裏から考えますと、政府当局として一〇%すべきだということはおつしやれないかも知れません。けれどもそういうふうに我々は持つて行きたいと考えておりますので、どうか保険制度、保険制度という建前を楯にとらないでこの問題を考えて頂くように一つお願いしておきます。
  48. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは更に附加えまして日米加関係漁業問題につきまして永野生産部長からちよつと御説明を頂きます。
  49. 永野正二

    説明員(永野正二君) 丁度いい機会でございますので二月の一日からワシントンで開かれております日米加の三国の漁業会議、北太平洋漁業条約に基く共同委員会会議の内報が参つておりますので許される限りで申上げて見たいと思います。  この会議はこの条約に基きます最初の共同委員会でございまして、いわば委員会の創立総会に当るのでございます。我が国からは在ワシントンの武内代理大使、大日本水産会の藤田副会長、日本水産の鈴木社長のこの三人の委員と、藤永研究部長が水産庁長官の代理としてワシントンに参つておるわけでございます。会議日本がこういう国際会議に仲間入りをしました最初の例といたしまして非常に友好的に進められておるのでございまして先ずロバートソン国務次官補から歓迎の挨拶がございました。それに対しまして我がほうの武内委員及びカナダのべーツ漁業次官が挨拶をいたしまして開会をいたしました。議題の内容は、この会議最初会議でございますだけに議事手続とか、或いは委員会の分科会の構成であるとか、或いは委員会事務局の所在地の問題であるとか、或いは委員会の会計年度並びに予算の問題というような事務的な問題が大部分を占めておるのでございます。最初にきまりました議長、副議長及び事務局長の選任におきましては、議長にカナダのべーツ委員が選ばれました。日本の藤田委員が副議長に選任された模様でございます。アメリカのアレン委員事務局長に就任した。こういう結果に相成ります。その次に委員会の所在地につきましては、アメリカからもシャトルというような案が出たのでございまするが、結局カナダのバンクーバーに置くことに決定する模様でございます。  我々がこの会議の前に半ば期待しておりました問題としては、アメリカ側からべーリング海におけるかに漁業についての制限について提案があるのではないか、こう思つてつたのでございます。非公式の機会にそういうアメリカ側の希望なり或いは提案をしたらどうかというような意見があつたのでございますが、これは我がほうといたしましてはこの条約の明文が規定いたしておりますように各種の漁業を制限するというような問題は、その漁業についての資源調査及びこれに基く科学的な証拠というものがあつて初めて論議に供し得るものであつて、今にわかに日本のかに漁業の制限というようなことをこの議題に取上げるべきではないという主張をいたしまして、この問題は本年の夏に開かれる予定の委員会の分科会において、かに漁業についての調査の必要の有無、或いはその調査の方法というような点につきまして討議をしようということで解決を見ておるのでございます。むしろ我がほうとしてはその機会に併せてアメリカ及びカナダ側の大鮃の漁業であるとか、或いは鮭の漁業であるとかいうような漁業につきましての現在とつております保存措置につきまして詳細な報告を求めたいということを提案をいたしたのでございます。あと会計年度その他分担金の問題等も大体討議が一応済んでおるのでございまするが、この点につきまして最後的な本国との連絡をいたした上で一応の決定を見るであろうと思うのでございます。大体主要な議題は終了いたしておるようでございますのでこの機会に御報告申上げておきます。
  50. 千田正

    千田正君 今のかに漁業に対しても、将来鮭、鱒の保存措置と同じような方向を向うではとりたいというような意向のように我々は感受するのですが、その点についてはどういうふうに打診しておられるのですか。
  51. 永野正二

    説明員(永野正二君) 勿論アメリカ側の業者及びアメリカの政府としての意見といたしましてはいろいろあるかと思いまするが、これを我々といたしましては今すぐにとやかく想像し、これを前提にしてものを言うことは、慎しんだほうがいいのではないかと、こう考えておりますが、少くとも我々として言えますことは、あの条約の明文を以て現在日本側が実績を持つている漁業については、鮭、鱒とか大鮃の漁業とは違う形で以てこの漁業の保存措置というものを考えて行くべきであるというふうに考えております。
  52. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御質問ございませんか。  では日米加関係の御報告は一応それでおきまして、最後に東京湾のひとでによる貝の被害が最近非常に顕著になつて来ているのでございますが、この被害状況につきまして、簡単に政府委員から御説明を願いたいと思います。
  53. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 私どものほうで情報を聞きましたので、先日水産研究所の猪野博士を煩わしまして科学的に見て頂いて、本日行政的な観点から私どものほうの黒田技官が調査に参つております。科学的に調査をして頂いた結果について申上げますと、今度のひとでは一種類であるということでございます。それでこの一種類と申しますのはきひとでと申すのだそうでございます。このきひとでは通常は十六メートルから百メートルぐらいの深さに住んでいるものであるので産卵の時期は春から夏にかけて行われ、現在非常に卵をたくさん持つているということでございます。それで発生は大体深いところで発生いたしまして、そうして発生したばかりには浮游している。それが約三週間で地に下りる。当初はあじもなどに附着しておりますけれども、成長が極めて早くて、四カ月ぐらいで腕の長さが一寸ぐらいになるという種類だそうでございます。通常食物としては動物性の食物をとつてつて、主として貝類を食べているのが通常の状態である。このたびこういうふうに殖えました原因については、どうも科学的にはつきりとは言えないけれども、推定するところによると、移動したのと繁殖したのと両方じやなかろうかという見方でございます。それでこれの移動する力は、目力では一分間に二十センチメートルぐらいといいますから、非常にのろいのでありますけれども、潮流とか或いは風とかで波が立つというような場合に、それを利用して相当動くというようなことでございます。一カ月に四マイルも移動したという記録があるのだそうでございます。それで今度の場合にはそういつたようなふうにして移動して来たものが、何と申しますかつまらん例でございますが、熊が丁度里へ出て来たといつたようなあんばいで、非常に食物の多いところにぶつかつたもので、そこに定住したと申しますか、足をとめて暫らくいるといつたような状態じやなかろうか。それで食物もいいので繁殖率も非常にいい、それで今度のように一斉繁殖をしたのじやなかろうかという見方をいたしております。それで現在は千葉県の市原郡のほうから発生いたしまして、浦安が今一番ひどい。続いて東京都の葛西のほうに変つて来まして、それから東京都下一帯に亙つて、現在神奈川県のほうまで発生を見ておるという状況でございます。  それでこれの駆除対策についてはどうしたらいいかということを調査して頂きましたところ、駆除対策といたしましては、このものそのものにつきましては真水或いは薄い薬品を使つてもこれは駆除できるのだそうでございますが、実際問題として海でそれを使うということは現実にはできかねる。それで結局のところ人力を用いてこれを克明に取るという以外には手はなかろうという結論が出ております。それで現在千葉県でとつております方法は、普通の貝類を取ると同じように、貝桁網を用いて取つております。これに対しまして千葉県といたしましては業者のほうから今まで出動してその駆除に当つたのが五千九百隻、それから出動人員が延九万人という人間が出まして現在まで約百十万貫のひとでを採捕したということでございます。それでこれを海の中で叩き殺すという方法はないかということも学者のほうでも研究したのでございますが、御承知通り、ひとでを切りますと、再生してむしろ殖えるというような状況でございますので、海の中でこれを殺すという方法も、どうしてもこいつは捕えて陸に上げて処分するという以外にはどうも途はないということになつております。  それからこのものの利用についてどうするかということを調査したのでございますが、これは肥料課のほうについて御相談申上げましたところが、肥料価値は成るほどある。あることはあるけれども、現在の一般の金肥に比べて非常に肥料価値が少いから、価格採算から言いますと、高くては到底間尺に合わない。それでそういつたような一般の現在の市場価値から割出しまして、十貫目で二百五十円程度のものであるということでございます。これは肥料価値ばかりではなく、いろいろの採算の点から見まして現在の相場もそのくらいでございますし、肥料価値も又実際にその程度しかない。窒素分が五・四%しかないそうでございます。それで炭酸カルシユウム、或いはカルシユウム分が四五%もあつて窒素分が非常に少いのでその程度のものであるということに相成つております。でございますので、現在は非常に多量に取れますので、千葉県附近で最初は肥料に若干売つたし、又売れた。併し局部的に非常に大量に取れるもので、現在は十貫目二百五十円程度でもまだ売れないという状況でございます。それでございますので、これだけの船と人手をかけて取つても、これを肥料に売つて全然採算が合わないという状況になつております。  それでこれが今後どうなるかというような見通しでございますが、これははつきりしたことは勿論わからないのでございますが、現在の状態ならば動くまいという見方をいたしております。現在の被害状況は浦安地方の最もひどいところで八割の貝類かこれに食われておつて、現在残つているのは大体二割ということでございます。そうしますと、恐らくこの二割が食い潰されるまでは動くまいというような見方が強いのでございます。或いは潮の加減で以てこういうものはばつたりとなくなるというような例か今まででもございますから、これはどうもわかりませんけれども、大体もう少しはいるのじやなかろうか。そうしますと、あとの二割を食い潰すまでに大体あと二、三カ月で食い潰されてしまうだろう。そうなればいなくなりますが、これじや勿論被害のほうも大きくなつて非常に困るので、何とか早期にこれを処分しなければならないというので、本日黒田技官が行つて、行政的に千葉県、東京あたりのかたがたの御意見を聞いて、いわゆる東京、千葉、神奈川、三県の水産試験場、或いは水産課の、こういつたような担当官を集めまして対策の協議をいたし、そうしてそれについてどういう金がかかつて、どういう方法でいつから始めるかということを打合せまして、若し予算関係で国として面倒を見る必要があるならば大蔵省に交渉いたしまして、何とかできるだけの面倒を見てやりたいというつもりで現在準備いたしております。大体以上のようなことでございます。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 有難うございました。  何か御質疑はございませんですか。
  55. 千田正

    千田正君 それは本年の、特に暖冬異変で、今おつしやられたように二十メーター、或いは百メーターの比較的深度の深いほうに住んでいるところの種類、それが五メーター三メーターの浅海のほうに移動して来たということは水温と何か関係がないかどうかということは、どういうふうに考えておられるか。
  56. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 学者の話では、現在のところは、やはり暖冬異変で水温が高かつたの沿岸に寄つて来たのじやなかろうか。そのほかの原因はちよつと考えられないということを申しております。  それで、これが殖え始まりましたのが、現在じやございませんで、昨年の七月頃から市原郡に殖えて来ております。それから八月、九月と漸次増加して、北寄りのほうに移動して来ておるのでございまして、千葉県水産試験場で水温を測つたところによりますと、夏から引続きまして水温が高くて、九月、十月時分には例年よりも半月、或いはもう少し前ぐらいの温度を示しておつた。水温も非常に高かつたのでそういつたようなことが今度の発生の原因じやなかろうかというふうに解釈いたしております。
  57. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 このひとでの損害の金額はどのくらいに見積つておられるのですか。
  58. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 現在の被害金額は千葉県のみ出ております。東京、神奈川にも我々照会しておりますが、まだ出ておりませんが、千葉県だけで一億四千万くらいの現在までの被害であるという見積りをいたしております。これが大体千葉県のあの辺に棲息しております貝類の六、七割であろう。浦安は、先ほど申上げましたように、八割程度でございますが、全沿岸を見ますと六割程度、或いは七割くらいが、この金額というふうに我々想像しております。ですから、もう少し殖えて行くという見通しを持つております。
  59. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それは被害は、ばか貝であるとか、あさりだとか、はまぐりだとかあると思いますが、何が一番多いですか。
  60. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 細かな貝類の種類別の報告はございませんけれども、今まで私どもが承知しておりますところの数量から申上げますと、あさりが数量は一番多いのございますが、金額にしたらばはまぐりが多いのじやなかろうかと思つております。それからばか貝のほうもなかなか馬鹿にならないのでございまして、これは発生いたしますときには、発生いたしておる区域には非常にたくさんおりますから、そういう区域につきましてはばか貝の被害が非常に多いというだけで、詳細に中身を分けた統計の数字はまだ出ておりません。
  61. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それから、課長にお聞きしても無理と思うのですが、ひとでにも何か害をするものがあるのじやないかと思うのですが、そういつたものは何か研究されておらんでしようか。ひとでというものはオール・マイテイーじやないので、何かひとでにも苦手があるのじやないか。そういうことは課長に伺つてもわからんと思いますが、まあ、一遍学者に一つ聞いておいて下さい。
  62. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 私、聞いておきます。
  63. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この駆除方法というものにつていは、やはり考えないと、こういうふうな大きな養殖場で、しばしば出て来て処置なしでは困ると思うのです。例えば今重要な漁場に網を張つて、しよつちゆう網で以てかかつて来るやつを揚げるとか……、何か網に有毒物でも塗つておいて、そうしてそれに近寄らないようにするとか何とかいつたような研究もやつばり水産研究所あたりでやつておかないと、これはひとり東京湾のみならず瀬戸内海等におきましても具類の養殖場、殊に真珠の養殖場などに来た場合には莫大な損害を受けることになるので、やつぱりこういう研究は何か駆除の方法、或いは予防の方法等が或る程度生態的にも研究する必要があると思うのですが、そういう面もぬかりはないと思うのでありますが、研究をして頂きたいと思います。
  64. 諏訪光一

    説明員(諏訪光一君) 只今の通常取るというお話がございましたけれども、私ちよつと村は忘れましたけれども、昔聞きましたところでは、浅海を非常に大事にするところでは、通常底曳網などで動いた場合によくこれは非常にたくさん入るのでございますが、そういう場合に必ずその村では取つてつて陸へ必ず揚げるという習慣がついておるそうでございまして、そういうところはやはり比較的成績がいい。やはり通常そういう貝類を主乏してそれで生計を立てているところは、そのくらい意を尽すのでございますが、昔は東京府の羽田あたりでもそういつたようなことを申合せて、必ず取つたものは陸へ持つて来るということもやつたこともありますが、現在は余り履行されておらないというような状況でございますので、そういつたようなことも今後は指導して参つて、必ず持つてつて陸に捨てるというようなふうにも指導して参りたいと、かように考えております。
  65. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑がなければ一応これを以て今日は委員会を閉じたいと思います。    午後三時五十二分散会