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1954-10-25 第19回国会 参議院 人事委員会 閉会後第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十五日(月曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            松岡 平市君            後藤 文夫君            岡  三郎君            深川タマヱ君   事務局側    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    調達庁労務部次    長       沼尻 元一君    外務政務次官  秋山俊一郎君    労働政務次官  佐々木盛雄君   —————————————   本日の会議に付した事件日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六十七名発  議)   —————————————
  2. 宮田重文

    理事宮田重文君) これより人事委員会を開会いたします。  日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案を議題に供します。  本法律案に関して御質疑のありますかたは順次御発言を願います。  なお、御参考に申上げますが、説明員として労働省から労働政務次官町佐々木盛雄君、同じく職業安定局長江下孝君、労政局労働組合課長山崎五郎君、なお、調達庁から労務部次長沼尻元一君が出席されております。外務政務次官は今見えられました。
  3. 千葉信

    千葉信君 お尋ねする順序として調達庁労務部次長から伺いたい。二十三日、この問題に関連して二者会談が行われて、そうして新聞の報道するところによつては、全然交渉進展しなかつたということで、聞きますと、今日又更に二者会談を開催されるそうですが、二十三日の二者会談模様に関して詳細に承わりたい。
  4. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 駐留軍労務者に対する退職手当増額につきましては、去る八月二日以降、軍と調達庁との間にこれが増額についての交渉が続けられているわけでございますが、調達庁といたしましては、現在の駐留軍労務者に対する退職手当支給規程昭和二十三年度に制定されたものでございますが、当時制定に当りましては、国家公務員に対する退職手当との均衡並びに駐留軍労務者の雇傭の不安定というようなことを考慮いたしまして、国家公務員よりも若干上廻る率ににおいて制定したわけでございますが、その後国家公務員退職手当につきましては、数回に亘る改正がなされまして、現在におきましては、昭和二十三年度に比して相当程度増額されているというようなことになつているわけでございます。併しながら駐留軍労務者に対する退職手当につきましては、昭和二十三年度以降全然改正を見ておりませんので、現在におきましては、国家公務員に対する退職手当て均衝上不利になつているというようなこと、並びに最近北海道その他において人員整理がいよいよ烈しくなりつつある、そういう点から総合的に考えまして、駐留軍労務者に対する退職手当増額せられたいということを軍に申入れしたわけでございます。  これに対する軍の基本的な考え方は、この退職手当の問題は、国家公務員に対する退職手当並びに駐留軍労務者に対する退職手当の単に名目的な退職手当だけを比較するのではなくて、退職時に支給を受ける総給与比較して、その多寡を決定する、多い少いを論ずべきである、そういう点から申しまして、駐留軍労務者には国家公務員には適用のないところの失業保険法というものが適用がある、又駐留軍労務者に対しては解雇予告制度なるものがある、でこういう点から言つてこの駐留軍労務者に対する退職手当のほかに、失業保険上並びに解雇予告手当上の利益をも加算して考えるときは、国家公務員よりも決して不利ではない、却つて有利である、又もう一つの大きな原因として駐留軍労務者に対する給は退職してのち失業した場合に初めて支給を受けるのであつて、失業するかどうかわからない。従つてそういう者が支給を受けるかどうか不確定である、そういう不確定な要素退職時に受ける給与として計算するということは日本の慣習にも合わない。又日本民間企業等においては、失業保険法が実施されたからといつて、そのために退職手当を減らすというようなことも行われていない。併しアメリカにおいては、これはまあ御承知と思いますが、退職手当なる制度がなくて、失業保険法はあるわけでございますが、而もその失業保険法というのは事業主が一方的に負担せられている、労務者や何かは経費を負担していない。そういつた違つた点もございますので、アメリカ日本とを同一に論ずべきではないというようなことを、数回に亘つて軍側交渉を持つたわけでございますが、その間ストライキ等事件もあは軍の場合においては現在即時解雇というものはなく、みんな三十日前に解雇予告が発せられて解雇されておるわけでございますが、その間の三十日というものは、これはもう三十日間の間におけるペイというものは、勤務に対する報酬であつて、これはもう退職手当と無縁のものであるというようなこと、又給与差等につきましても、これはもう昭和二十三年程度制定当時において給与差というものを認めた上で、而も雇用の不安定というようなことから退職手当給与しているというような事情から申して、そういうことを退職手当計算の際考慮すべきでないというようなことを、最近も強く申入れしておつたわけでございますが、それに対する会議が二十三日持たれたわけでございます。  二十三日において軍側考え方は、やはりトータル・ペイ駐留軍労務者国家公務員が受ける総給与で、やはり失業保険というものを含めて比較するという考え方には現在も変りがない。従つて日本側も、単に国家公務員の受ける利益としては退職金ばかりじやなく、恩給等退職時の利益駐留軍労務者に対しては退職手当のほかに失業保険等退職時の利益をやはり具体的数字に出して比較すべきである。そういう数字比較をしない以上、自分たちとしてはこの相談には乗れないというような考え方が強く示されたわけでございまして、まあ理論の問題は二十三日に始まつたわけではなく、それまでにもう数回繰返して行われておりますので、二十三日の結論といたしましては、今後具体的数字を持寄つて話しよう、この具体的数字の取り方についても、実はいろいろと問題があるわけでございます。失業保険上の利益というのも、これはやはり利益には違いない、失業保険法適用なつたことによつて労務者は全然利益は受けないかというと、そういうことはまあ言えませんで、ただ併しその失業保険法上の見方をどう見るか、これは全部失業するわけではないんですし、又受給期間全部もらうというわけでもないんですし、そういう点をどんなふうに見るかというような問題、又公務員側については、これは恩給のほかに現在待命制度というようなものがございまして、この期間勤務しないで給与全額支給されるというようなことになつておりますが、そういう点をどの程度に見るかというような、いろいろな技術的な点があるわけでございまして、又給与差の点についても同様でございますが、そういう点を整理いたしまして、数字によつて今後折衝を続けて行くというふうな約束で、土曜日は別れたようなことでございまして、現在調達庁といたしましては、そういう整理をしているというのが現在の段階でございます。
  5. 千葉信

    千葉信君 次長にこういう問題を聞くことは少しどうかと思われますけれども、併し御承知通りに、この委員会としては調達庁長官なり或いは調達庁次長なりが委員会出席しておられまして、そうして従来の交渉経過なり見通しについて、随時御答弁を願つておりますので、私ども大体の動向については推測がなされておりました。二十三日に関する二者会談経過だけでは、今後の見通しをにわかに予断することはできませんけれども、大体、非常に困難だろうということと、それから今のままの恰好の交渉だけではなかなか解決は困難だろうと私ども考えているわけですが、そこでお尋ねしたいのは、調達庁としては、今土曜日以来、今日も或いは今後も継続して駐留軍側折衝される御予定であるわけですが、その二者会談の現在の交渉形態で打開の見通しがあるのか、それとも又場合によつては、何らかの別な方法を例えば二者会談ではなくて、むしろ思い切つて者会談というような方法をとることも、一つ方法であるわけです。そのほかにも私どもとしてはいろいろ注文したい交渉形態について考えているわけですが、その点について、一体今の交渉の恰好で、何らかの進展を見る見通しを持つておられるのか、又場合によつては更に別な交渉方法についてお考えになつているのか。次長にお尋ねすることは少し無理かも知れませんが、その点についても……。
  6. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 今後の見通しというお尋ねでございますが、私たちとしては、現在のところ、今後の見通しは非常にむずかしい。ただこの数字の上で国家公務員よりも不利であるというようなことが具体的に示されるならば、向うさんも納得するというようなことは、これは当初から言つておるわけでございますが、実はその数字とり方でございますが、先ほどちよつと申しましたように、失業保険とり方にいたしましても、これは簡単に申しますと、六カ月間もらえる。その間六割もらえるというようなことになりますと、まあ三、六カ月分支袷を受けるというような、これは丸々もらうというと、そういうことになる。併しそれをその中でもらえない、離職した人で失業保険支給を受けずに、すぐに就職する人も相当ありますし、又六カ月間丸々失業してるんじやなくて、四カ月しか失業しないというようなものもたくさんあるんでございまして、そういう点、これはどの程度に見るか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、これは労働省のほうと現在どのような数字を以て当るかというようなことを検討を続けているわけでございますが、そういう技術的な面、それからもう一つには、更に大きい要素としては給与差軍側考え方は、同じ例えばタイピストならタイピストというものを、同種業務、それから同じ勤務年限のものを比較しようではないか、そういうことを強く言つておるわけでございますが、タイピストで、これは同種業務、それからお互いに二年間勤めた公務員としてのタイピストが二年間、駐留軍労務者としての勤務年限が二年間、そういうものを比較するという考え方に、今立つているわけでございますが、そういう考え方で行くと、例えば公務員タイピストであると六千円である、それから駐留軍労務者であると、これは仮にでございますが、八千円というようなことにいたしますと、そこに相当給与差が出て来るというようなことを軍側考えているようでございますが、実は私たちに言わせますというと、そういう給与公務員との比較をすることが非常に無理だ。と申しますのは、駐留軍労務者の場合、大体の非常に数多くのものがいわゆる技能工系統でございまして、これが例のPWの適用を受けておる。これは公務員にはない給与体系でございまして、そういう労務者を多数駐留軍労務者の場合には抱えておるというようなこと、それから又仮に比較するというと、事務系統ということになるわけでございますが、この場合も仕事は似ておつても、仕事内容が非常に違う。であるから、そこに同じタイピストでも給与の差があるというのは、これは当然ではないかというような考え方をするわけでございます。且つ又仮に給与差があるとしても、例えば勤勉手当とか年末手当というのは、給与差というのは問題にしないで現在受けておる給与の何。パーセントというような率で定められておるのでございまして、退職手当というものも、そういう考え方に立つて論ずべきではないか。給与差を引直して更に検討し直しするというのは、そういう考え方日本でははやらない。日本ではそういう考え方は通じないことであるというようなことを主張しておるわけでございますが、そういう給与差や何かの点についての我がかたの主張が向うさんを納得させることができるならば、或る程度の、何と言うか、明るい見通しが出て来る。併し現在のようにその給与差があるから、それは退職手当の場合に考慮しなけりやいかんというような考えで行くというと、見通しは非常に暗いというような細かい話になつて行くわけでございまして、そういう点を今後の数字検討の上において、向うさんと論議し合うというふうに考えておるようなわけでございまして、従いまして現在といたしましては、今後の見通しについては何とも申上げかねるという状況でございます。  なお、三者会談でございますが、これは御承知のように軍というものと調達庁というものが使用者というような立場に立つておるわけでございまして、組合側からも三者会談を至急開催してほしいというような強い要求があるわけでございますが、まだ管理者側意見が調整されないままに三者会談を開くということはいろいろ問題がございますので、とにもかくにも私たちといたしましては、現在の会議を更に発展させて意見を調整した上で、会議を開く必要があれば会議を開くというふうに持つて行きたい。これは調達庁側としても軍側としてもその点については一致しておるわけでございまして、現在の状況はそのようでございます。
  7. 千葉信

    千葉信君 調達庁としていろいろ努力をされておる点はよくわかりますけれども、併し問題を全体として考えてみますと、私は今度の問題に関する限り、二十三日以前も相当な高いレベルによる折衝があつたけれども、二十三日からは事務的な数字根拠とした折衝に入つておるという話でありましたが、私はこの問題は数字ではなかなか解決のつかん問題ではないかと思います。それはおつしやる通り、これは調達庁でももうすでにはつきりした方針なり結論の出ておるところですが、例えば今度のこの問題がここまで紛糾して来ておる原因考えますと、かなり駐留軍側言つておるところに無理があるということは、調達庁の持つておる方針なり結論から見ても明らかだと思う。先ず第一に、最初の出発当時の駐留軍労務者に対する給与公務員給与に対してどういうレベルできめられていたか、同時に又そういうレベルにおける給与の上に退職手当支給率がどういう割合であつたか、これは相当駐留軍労務者の場合には平均給与という恰好では公務員より高かつたし、又高いのが当然だと思う。これは学歴とか経験年数とか、いろいろな点を総合すれば簡単に出て来る問題だと思うのですが、学校を出るとすぐ採用された公務員諸君の多い国家公務員の場合に比べると、駐留軍労務者はその構成の内容も違うのだから平均給与もずつと高いというのは当然の話だ。それから又退職手当支給率にしましても、安定した国家公務員の身分と比べてみるというと、これは著しく不安定であるし、そういう点から退職手当の率も割合公務員よりはよくきめられておる。ところがその公務員退職手当支給率がおつしやる通り数次に亘つて改善されて来ておる。駐留軍労務者に対して何らその措置がとられていない。一方給与の場合には、国家公務員が改善されて来た割合には、駐留軍労務者の場合にはむしろ国家公務員方向へ、低い水準の方向さや寄せをしておる、こういう恰好で、今退職手当の問題がこういう状態になつて来ておるというときに、向うのほうでは退職時における給与総額比較をしようなどというようなことを言つておるのですから、これは退職手当支給金額計算の点で抑えようということで、率については触れようとしない。おまけに持つて来て、本来給与体系が、形態の違う問題を捉えて来て、失業保険金なんかまでを計算に入れて、これを退職時における支給総額だなどという言い方をしておる。こういうような言い方をしておる理由は一体どこに理由があるのか知りませんが、少くともこれは我々ばかりじやなくて、調達庁自体としてもああいう計算のやり方が承服できないということは、あなたがたが今向う交渉されているその根拠として出されておる数字なり、あなたがた理論なりからしても、これはもうはつきりしていることだと思う。ですから、そういう点を向う相当無理押しをして来ている今の段階で、これはあなたに申上げることはどうかと思いますけれども、そういう状態の中で、あなたがたが若しも今持たれておる二者会談なり、而も事務的な立場に立つてよりよく交渉されようとしている今の交渉の中では、私は到底解決はつかん問題だと思う。ですから、この問題については、この委員会としても、前の委員会でどうしてもこれはもう少し高いレベルによる交渉でなくてはいけない。これは調達庁長官が非常に挺身して交渉しておられるときに、調達庁長官自身の熱心な交渉でも容易に解決のめどは立たんじやないか、まあそういうことで、委員会としては国務大臣なり若しくは担当している国務大臣なり、場合によればそれ以上の、それ以上ということは語弊がありますけれども、それより高いレベル交渉ということも必要じやないか。そういう形態による交渉でなければ、恐らく解決がつかないのじやないかという考え方で、そうしてそういう形態交渉の中から、早くその三者会談を持つ必要があるだろう。それは私ども考え方から言いましても、これはあなたがたもおわかりだろうと思うのですけれども、あなたがたが事務的な交渉における折衝だけではむずかしいから、三者会談ならば割合交渉の最中に或る程度の有望な線が出て来やすいのじやないか、こう実は考えておるわけです。今承わると、飽くまでもあなたがた立場としては、今の二者会談を継続して行きたい、三者会談についてはまだそういう段階ではないということをお考えのようでありますが、それは次長にその点をお尋ねするのは少し酷だと思うのですが、まあ今日は長官の代理で来ておられるのですから、お尋ねしたいのは、長官としてはこの二者会談で何らかの進展を見ることができるというお考えで、それ以外の方法考えていないのかどうか。若しくは又或る程度段階に来たときには、どうしても今の形態交渉では見通しが出て来ないときには切替えるつもりでお考えになつておられるのか、その点を一つこの際承わつておきたいと思います。
  8. 沼尻元一

    説明員沼尻元一君) 現在までの交渉経過からして、事務的なレベルでの協議による解決は非常に困難じやないか——非常に御説御尤もでございますが、実はこの総給与というような問題になりますというと、いろいろ細かい話まで突つ込んで行かないというと、なかなかわからない点がある。私たちとしては総給与比較をすべきであるというこの理論理論として一応尤もな理論である、ただ退職時の総給与の中に失業保険とか、そういうものを入れるかどうかが、これは問題なんであつて、総給与自体比較するということは、ここは理論的にも納得の行くところである。と申しますのは、すでにもう日本法律国家公務員等退職手当暫定措置法が、将来は退職手当のほかに恩給やそういうものを総合してきめるというようなことを法律の第一条に明文にも、もうすでに謳つているところでございまして、退職時における総給与自体お互い比較するということは、理論的には別に反駁すべきところではない。ただその中にどういう要素を入れるかというようなことが非常に問題だということで、これまでやつて来たわけでございますが、さて総給与の一応比較をするというようなことになりますというと、殊に給与差とか、そういうことになりますというと、これは非常に大臣や上のレベルでは、そういう細かいところまではなかなか入つて行けないような、非常にこれは複雑な細かい問題もございますので、そういう点をやはり向うさんを納得させるためには、事務的に相当討議をして納得させるという過程が一応必要なんじやなかろうか、それで若し給与差というような点について、調達庁としては、現在調達庁自体考え方を持つておるわけでございますが、こういう点について、こちらの事務的なレベルでの考え方が通るならば、総給与比較した場合においても、公務員のほうが有利であるぞというようなことも考えられるというようなことから、そういう論議をやはり一応し尽くした上で、どうしても解決のできない場合において、別の線を考える。現在においてはそういう話が非常に向うから細かい線で入つて来ておるわけでございますから、それを否定して、政治的レベルと申しますか、上のレベルと申しましても、向うさんはこれはなかなか応ずる気配もございませんし、又やはり数字検討ということから、向うさんを納得させるというようなところまでの論議は、どうしてもしなければいけまいということで進んでおるわけでございます。  なお、この三者会談につきましても、従いましてそういう意見の交換を十分して調整し合つたところで開きたいというふうに考えておるわけでございまして、軍側日本側も別に常識はずれ人たち会議に出ておるわけではないのですし、お互い論議をすれば、常識的な結論がそこから出て来るであろうということを、私たちは期待しておるというわけでございます。
  9. 千葉信

    千葉信君 労働政務次官にお尋ねしたいのですが、実はこれは担当国務大臣ということで労働大臣を私のほうで御連絡申上げたのですが、政務次官が御出席になられましたので、当初の方針はそういう方針なんですから、一つ大臣の代りだと思つて、私のほうから御質問を申上げるのです。お聞きの通り、今駐留軍労務者に対する退職手当の問題について二者会談が開かれております。駐留軍側調達庁と盛んに折衝の最中でございますが、一時私どもの知つておる限りでは、この二者会談、若しくは三者会談というものの開催が非常に困難な状態気配がありました。そういう話には応ずるわけにいかんとか、或いは又仮りに調達庁側折衝に応じてみても、利害関係者である駐留軍労務者達が承服する様子が見えないじやないか、そういうふうな態度で、而も非常にこう切迫した空気のときには、日本側もその交渉を担当する諸君こ対する忌避の態度さえも若干出たという模様がある、今年の九月頃でございます。そういうときのこの委員会における質疑応答の中では、調達庁長官自身立場から、できればもう少し高いレベルの、つまり政治折衝というか、外交折衝というか、そういうものも併せてやる必要が考えられるというような、委員会における非公式なお話があつたのであります。まあ今その点が幸いにして、私どもその成果については必ずしも十全の期待を持つているわけではございませんが、一応とにかく折衝が行われております。こういう機会に又再び曾つてのような非常に困難な見通しなつたりするような段階にならないようにするために、担当している国務大臣として、私はこの問題について、もう少し積極的に乗り出される必要があるのじやないか、御承知通り駐留軍労務者諸君は、例えば全駐労にしても、或いは全日駐にしましても、日海員にしましても、非常にこの問題をめぐつて急迫した空気をはらんでおることは、政務次官承知通りであります。ところが聞くところによりますと、担当大臣であるかたが、この問題についてただ一度何か折衝の席上に顔を出されたに過ぎないということを承わつた。私はそういうことでは、誠意のほどはとにかくとして、この問題の解決に非常に影響を持つのじやないかと思のうです。一つそういう点について次官どういうふうに今後やられたほうがいいとお考えになりますか、その点を一つ承わりたいと思います。
  10. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 駐留軍、この労務者退職手当の問題につきましては、労働大臣といたしましても、事態の重大性につきまして十分認識をいたしておるようなわけでありまして、先に九月の下旬におきましても、日米両国政府当局並びに労働者側を加えた三者会談につきましては、すでにアメリカ側とも原則的にはこれに対して承諾を得ておるようなわけなんです。労働省といたしましても、三者会談の必要性はみずからこのことを主張いたしておるようなわけなんですが、取りあえず先ず日米両国政府間において当局者のほうにおいて話をして、大体の話ができた上で、更に組合側を加えたほうが却つて交渉が円満に行くのではなかろうか。こういう考えに基きまして、只今労務部次長の申しましたように、十月二十三日に第一回の二者会談を開いたわけなんです。今労務部次長の指摘いたしましたように、双方の主張におきましては、かなりの懸隔があつて非常な困難な問題点が横たわつて、おるわけなんですが、併しこれは第一回の会合を開いたに過ぎないのです。双方がお互いに良識を以て話合いをすれば、今後の会談におきまして妥結点が見出されるのではなかろうかと期待をいたしておるようなわけであります。今のお話のように、もう少し両国の首脳部間において政治的な、まあ外交折衝というような政治的な折衝をやつたほうが却つて解決が早いのではなかろうか、こういうお話でございましたが、調達庁のほうからも指摘いたしましたように、事は手当の金額の問題になつて来るわけでありまして、これには細かな数字計算の上に立つて折衝が行われるわけでありますから、只今の段階におきましては、双方の主張を事務的に、そして数字の上で突き合わして、そこで相談をすることにいたしておるようなわけでございまして、或いは将来もつと政治的な折衝を行わなければならんというような局面になるかも知れませんが、只今のところは引続き第二回の二者会談を行い、更に何らかの妥結点を見ますならば、労働組合側を加えた三者会談を開きたいと、こういうふうな考え方に立つて交渉をいたしておるわけであります。
  11. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁では、かなり二者会談に期待を持たれておるようですが、そして又かなり安易な考えを持つておられるようですが、そういうお考えで事態を荏苒と見守つておられる、そういう段階ではないと思うのです。特に労働関係の所管をしておられるかたの立場から、本年の八月以来非常に急迫した空気が、断続ではありますが、続いておる。今も二十三日から始つている交渉を目前に控えて、一時回避はされたけれども、いつストライキに突入するかわからないような、そういう空気になつておる。で、まあ形式の点からいつて、今調達庁駐留軍側とが交渉している最中に、あなたがたが我々の希望するように直ちに政治折衝とか、或いは違う立場からの交渉ということは、それは勿論直ぐおやりになるということは、政府自体としても奇妙な恰好になるわけですから、そういうことは今直ちには不可能だと思います。併し私の申上げたいことは、今直ちにできなくても、事態をそういうふうに楽観していると、折角解決若しくは進展させるめどもつかみ損う惧れが出て来るのじやないかと思います。で、前に私はこの問題について緒方副総理にもお合いしまして、実情をつぶさにお話申上げて、日本政府としてはこれは調達庁だけに任しておける問題ではないし、又そういう事態にも、ないと思うからということをよくお話申上げて、その点については緒方副総理も了解されて努力を約束されたのです。その緒方副総理がどういうふうにその後この問題について行動されたかは存じませんけれども、併し少くとも今の二者会談見通しなり何なりということになると、必ずしも何らかの成果を期待して手を拭いておられる段階ではないと思います。そこで実は今日はこの委員会としては、大臣の御出席を願うつもりでお願いしたのですが、御旅行中とのことでお出でにならなかつた。それでまあ一つ次官に御出席願うことになりましたが、次官から大臣のほうへ直接この問題をお話になられて、そしてあなたがた立場から二者会談に或る程度期待を持たれるのも結構ですが、場合によると私たち考えているような最悪な状態にならないとも限らない。私はそういうふうになる公算が大きいと思う。ですからそういう場合に備えて、一つ大臣と十分な御連絡をとつて頂きたいと思います。
  12. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 労働大臣におきましても、先刻も私が指摘いたしましたように、決して安易に事態を見送つておるというわけではなくして、その重大性につきましても十分に認識いたしておるわけでございますが、特に同じ労務者と申しましても、駐留軍に関係のあるものでありまするから、従つてこの問題の如何は日米の関係にも微妙な影響があるわけでありまして、事の重大性につきましては、十分慎重な考慮を払つて一刻も速やかな解決をいたしたいと、このように考えておるわけでありますが、先刻も申しましたように、今日のこの段階においては、まあ二者会談が二日ほど前に一回開いて双方の主張をつき合せただけのことであるから、これでもう問題がデツド・ロツクに乗り上げてしまつたのだというふうに考えないで、何らかの妥結点を求めたい、こういう考え方を申上げたのでありまして、決して手を供いて傍観をいたしておるというようめて重大でありますから、お説につきましても、大臣にも私のほうからよく伝えまして善処いたしたいと、このように考えております。
  13. 千葉信

    千葉信君 秋山政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、政務次官は今ここで質疑応答をお聞きになられてよくおわかりだろうと思うのです。外務大臣も、労働政務次官が言われたように、事は日米間の外交上にとつてもやはり一つの大きな問題をはらんていることだと思うのです。ところが労働大臣も又外務大臣も、この問題については、私の知つている限りでは少くともすこぶる不熱心なのです。頼まれて一度その交渉に同道されたということを聞いておりますが、それ以上のことをされたということはまだ聞いておりません。今外務大臣が丁度外国においでになつておられますが、政務次官として一つこの問題について、どう対処しようという御方針をお持ちか、この際承つておきたいと思います。
  14. 秋山俊一郎

    説明員秋山俊一郎君) この問題につきましては、只今労働政務次官から御寺弁がございましたと同じような感じを私どもは持つておるわけであります。本来、問題は国内問題とは申しながら、相手が駐留車の関係でありますので、非常にデリケートな点もございますし、問題は重大であるということは、十分認識いたしておるわけでございますが、現在、労務の基本契約の担当の責任者であります調達庁が、今日までいろいろと折衝いたして参りまして、最近に至りまして、両者が、関係当局が具体的な会議を持つようになつたのでございまして、漸く両三日前又本日もそういう方面に会議が進められておるということでございます。これにつきましては、さような関係から、当事者が十分細かい点にまで亘つて折衝をいたしておるのでありますから、現在外務省といたしまして、正面からこの問題に入つて行くという段階にはまだ至つていない、かように考えておりますし、側面的には勿論協力いたして参つておりますが、今後の推移如何によりましては、お説のように、もう少し変つた折衡ということに相成るかもわからないと存じます。本来、両者の関係当局において、適当な妥結を見ることを念願いたしておるようなわけでありまして、重大性に鑑みまして十分慎重な態度で以て臨んで行かなければならないと存じますが、今の段階におきましては、今暫く両者の政治的折衝等が、技術的に入つておるようでありますから、この交渉に待ちまして、今後の推移によつては、又考えなければならないと考えております。大臣も今旅行中でございますし、勿論深い関心を待つておることも私どもも了承をいたしておりますか、今後の推移を暫く見守りまして、従来通り正面には出ませんけれども、側面的に協力をして、調達庁と共に折衝に当つて行きたいと思つております。
  15. 千葉信

    千葉信君 外務大臣いつ頃お帰りになりますか。
  16. 秋山俊一郎

    説明員秋山俊一郎君) 二十九日頃にお帰りになります。はつきりわからいが、近い頃と思います。
  17. 千葉信

    千葉信君 一つ大臣が帰られたら、なお更のことですが、大臣の御不在中でも、政務次官一つ、この問題御承知のようなかなり急迫した情勢をはらんでおる問題でありますから、事の如何によつては、そのままアメリカとの国交にも影響を及ぼす問題でありますし、一つ次官も今行われている会談等にあまり大きな期待を待たれたりされると、不測の事態が起きる虞れがないとも限りませんから、私ども見通しでは十分その公算が大きいようですから、そういう状態にならないために、当番者にこの際は折衝を任せておるというようなことでは、私は外務省としての立場からも、あまり好ましい結果になるとは考えられませんから、一つできるだけ万全の方策を立ててもらいたい。それから大臣がお帰りになられたら、政務次官もともども協力して、この問題について外務省で適当な手を打たれるように、私から強く要望申上げて、質疑をこれで終ります。
  18. 宮田重文

    理事宮田重文君) ほかに……。
  19. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは今千葉委員のほうから御質問があつて、まあ現在のところは事務的折衝において数字を更に近ずけるというか、双方の相違点を一致させるように努力を進めておるというわけですが、基本的に外務省なり或いは労働省なり調達庁、まあ調達庁の意向は、次伺つておるからよくわかつておりますが、このようなデフレの中において放り出されるところの大量の人たち、失業対策に非常に真剣になつている労働省等が考えて事は容易ではないと思う。そういうふうな中において、朝露ですか、ああいつたところで進駐軍の労務者に対して駐留軍が暴力を振うというような事件も頻発しておるというふうなことから考えて、駐留軍当事者が、前のストライキのときに防空演習——まあ防空の練習だか何だかやつたというふうなことを考えてみると、積極的にこの失業或いは解雇するという問題に対して、こういうデフレの中で路線に迷うということ自体気の毒だという一つ考え方が労務対策としてあるのかどうか、これは駐留軍当局にとつても、我々がこのことを申上げなければならんというふうにも考えているわけです。いわゆる出発の基本的な問題として、これを気の毒だと、こういう段階として特に進駐して来たあの当時のインフレーシヨンの中において、占領協力その他の協力をして来た方々が、現在のデフレの中に放り出されるということ自体が、国家公務員比較して考えれば、まあ考えなければならんとしても、やはりそこに心構えとして気の毒だというふうな一つの対処の力、考えというものが出ないというと、やれ失業保険だとか何とかいう理屈に合わんことから、話がこんがらがつて来ると私は考えている。だからそういう点で、これは先ほど言つたように、調達庁のほうは、よくわかつているのですが、労働省自体としても、今のお答えとして一応了承したわけですけれども、併し角度として切迫して来た度合からいうと、どうも総合対策にはまだ欠けているのじやないか、つまり事務的な折衝を今までだんだんやつて来た、これは結構なんです。結構なんだが、これを推進するために、労働省当局もそれから外務省当局もこれが一つの突破の目途になるように、側面的に更に手を打つ方法を講じてもらいたいと思う。これを見守つているというのではなくて、何とかそういう方法を講じてもらえないか、そのためにはやはり事務当局者が円滑に話を進めるように、政府の首脳としてもいわゆる向うと政治的な折衝をうんとやつて、この事務折衝が進捗するようにする方法も私はあるのではないかと思う。そういうふうなことを考えてみる場合に、今千葉委員が言つたように、今後の政府の真剣な対処の仕方を期待するということになると思うのですが、私はそれと同様に、もう少し具体的な事務折衝を見守つて行く方策というものを考えておられるのかどうか、この点を一つ労働政務次官のほうに更にお尋ねしたいと、こう思うのです。
  20. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) このアメリカの陸軍予算の削減に伴つて退職されました労務者の問題につきましては、先ず一般の失業者に対しても、労働行政を担当する我々といたしましては、心から同情し、それに対して救済策について日夜腐心をいたしておるわけでございますが、同時に、先ほども指摘されましたように国際関係から見ましても、駐留軍関係の労務者というものは、別の観点からも我々は考えなければならない。こういう点からも考えまして、そうまあ今の御心配のような非常に安易な考え方をしておるのではなくして、心から同情し、これは何とかして救済しなければならない、こういう考え方に立つて、この対策を練つておるわけでございますが、併し日本調達庁が形式上の雇傭主にはなつておるのでございますが、実際使用いたしておりますのはアメリカ軍当局なんでございますから、ここに我々政府といたしましても、非常に困難な点があるわけでございます。で、日本政府側がアメリカ側の言いなり放題になつておるというようなことは毛頭ないのでございまして、先ほど調達庁の労務の次長みずから指摘いたしましたように、双方にかなりの主張の懸隔があるということも、我々はこれらの駐留軍労務者退職された人々の利益を代表して、政府当局も一生懸命になつてアメリカ側とも折衝いたしておるようなわけてありまして、決してこれを単なる事務的な折衝てあるといつて、これを傍観しておるというような考え方は毛頭持つていないのでございます。
  21. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一点、これは観点が違うところから、私の意見も入りますけれども、申上げたいと思うのですが、この問題の中心点をなしておる駐留軍労働、総評との関係から考えて、何か米軍当局或いは政府当局が、いずれもこれは一つの開放的な労務、労働組合であるから、こういつたものに対して政策的に考えて、こういう退職金その他のものについて、これを解決して積極的に打開して行こうというふうな考え方が軽いのじやないかというような気持も、私は持つてみたこともあるわけてす。要するに現在の政府が、組合に対して政治的偏向とか政治的てあるとかなんとが言つておるけれども、私の考え方はその逆で、いずれの国民でも、一般の住民でも食えなくなる、生活の前途が不安になる、それに対する政府の施策の施策というものが、失業対策にしても、すべての労働対策にしても、思いやりというものが滲んで出てないというふうなことになると、どうしても生活の不安から労働運動というものが非常に困難になり、その困難になつて行く段階を指導者というものが何とか経済的にこれを解決して行こうというふうに考えて一生懸命になつて行く、なつていればなつているほど、併し具体的に下部の層というものは、未解決になればなるほどこういうものに対して過激になると、まあそういうふうな傾向というものが増大されて行つた場合に、ますます混乱して解決がむずかしくなるということも考えられると思うのです。そういう点でやはり具体的に、いわば純粋な経済闘争というふうな面から、これを何とかして解決するという点について、やはり腰の入れ方によれば、私は直接米軍当局に対して、政府が米軍の只今問題点になつているところの失業保険金自体の一つの問題にしても、アメリカの現在の制度から考えて云々というふうなことに対しては、徹頭微尾これは政府のほうとしては、その蒙を打開しなければ私はいかんと思う。遠慮をするどころの騒ぎじやないと思う。アメリカの失業者の状態なり、アメリカ労務者給与状態なり、こういつたものを日本に持つて来て、向う制度日本の現在のシステムと同一視した毎度の中において要求が云々というほどの認識ては、私は承認できんと思う。そういうふうな馬鹿々々しい。それこそ考えてみれば、馬鹿々々しいことを俎上に採上げて、その打開が困難であるというておること自体が……。日本の国情自体がアメリカの国情自体、アメリカ制度自体というものと根本的に違う、この苦しさというものをやはり解決してやろうというふうな気魂が漲ぎつたならば、私はその蒙を打開することに困難でないと思う。つまり恵まれている立場の人間が、退職金なんというものは何だというふうな考えで、平常とつておる給与自体で生活が保障され、而も失業という危機というものが殆んどない、而もそれが生活に直接日本のようにピンと影響して行かないところのアメリカ状態比較されて、まだこの問題についての認識が徹底していないというふうな状態ならば、これはやはり事務当局の話合いということよりも、やはり総合的に政府の首脳、労働大臣なり外務大臣調達庁長官なり、三者合同して緒方副総理なら副総理というものと会談して、そのような基本的な問題だけでも先ず一つ解決してやろうというふうな手を一つつてもらわなければ、私は話の進捗状況というものは非常に遅れて行くのじやないかというふうに考えるわけです。この点、もう一点労働政務次官どうでしよう。
  22. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 先刻も調達庁労務部次長が御説明申上げましたよように、日本政府当局といたしましては、失業保険であるとか或いは解雇の予告の手当等というものを、退職手当と同一に扱うべきではないという強い立場を堅持して、それが今日日米双方の困難な問題点になつておるようなわけなんでありまして、我々の考え方は、今あなたのおつしやつた考え方と同じ立場に実は立つておるようなわけなんでありまして、決して政府が駐留軍の労務省の利益を無視しておる、こういうことでないという点は一つ御了解願いたいと思います。ただアメリカ人という国民性から考えて、非常に現実的な、そろばんづくだという、ああいう国民性から考えまして、アメリカ人を納得させるのに、いろいろ困難な問題があるというので、今折角折衝もいたしているようなわけなんでありますが、その点につきましては、決して我々が労務者利益を無視しておるというような点のないことはご了承願いたいと思います。  なお、先刻も申上げましたように、或る一定の段階に参りまするなれば、もつと高い地位の人々の政治折衝を行わなければならんというようなことになるかもわからないと思うのでありますが、お説につきましては、十分我々も大臣や関係各省の首脳部とも折衝いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  23. 岡三郎

    ○岡三郎君 外務政務次官一つ意見をまじえて質問申上げることになるのですが、簡単に申上げたいと思うのです。岡崎外務大臣がお帰りになる。現在アメリカに行つて、いろいろと折衝せられておるわけですが、この問題を、やはり日本国交調整といいますか、やはり大きく考えてみるというと、今後の進駐軍の労務者の労務管理に対する一つのポイントを私はなして来ると思う。つまり漸次陸軍をアメリカが引揚げるということになれば、これは現在起つている失業の問題と、将来の問題と切り離せないと私は思うわけです。いすれ駐留軍の労務に携つておるものは、俺たちは首を切られるのだ。国家公務員であれば、大体間違いもなければ、恩給がつくまでは一応政府としてはこれを使用して行くというような点で、完璧に生活の保障はされてないとしても、成る程度やはり見通しを立てて行くという期間的な余裕も私は十分あると考えるわけです。そういうふうなことを考えると、やはり外務当局もこれは日米国交親善を常に念頭におかれておるという考え方と共に、併せて現在の労務者状態、及び将来解雇が続いて行くというふうな、こういう悲劇的な面をやはり考えて行つた場合に、駐留軍労務者の心境というものは一体どういうところにあるかという点を更に付度せられて、十分温かい、心の中からこれは大きく一つ手を打つてつてやろうというふうな形に、外務大臣が帰つて来たらば、政務次官のほうから一つ具体的に意見を述べて頂いて、この解決が早まるように、一つ御善処願いたいと、こう思うのですが如何でしよう。
  24. 秋山俊一郎

    説明員秋山俊一郎君) 全くお説の通り労務者の今回の大量の整理という問題は、今後にも尾を引いて来る問題と考えます。我々といたしましては、早く駐留軍日本から引揚げてもらいたいということを念願いたしておりまして、そういう方面に日本の国としても進んでおるわけでありますから、今後更に第二第三の整理といいますが、解雇という問題は起つて来ると考えます。従いまして毎回の問題は、いわゆる第一回のケースてありまして、これがうまく行くか行かんかは、今後に非常に影響するところ大きいと考えますので、我々といたしましても、極めて慎重にこれを処置いたしたいと考えておるわけてあります。大臣といたしましても、勿輪その考えは持つておるわけなんでありますが、とにかく相手が軍という関係てありまして、対外的の関係もなかなか簡単には参らないような情勢でございますので、現在の段階におきましては、先ほどからしばしばお話の出ております、今回の事務的の折衝によりまして、或る程度の線が出ますから、或いはそれが出ないとなつた場合に、どういう処置をとるかということは、今労働政務次官の答弁されました通り、関係各省が寄つて一つの線を出して交渉に当ることは必要じやないか、成るべくならば、これらの折衝におきまして双方の納得、完全に納得行く線は出ないかもしれませんけれども、ます安心できるような、満足できるような線に近ずくことを、我々としては念願いたしまして、側面的に我々といたしましても、現在協力してやつておるわけでございますが、大臣が帰りまいたならば、更に我々といたしましては、毎週幹部会と称しまして、関係の大臣をまじえて会議をやつております。そういう際にも、十分検討いたしまして、御趣旨に副うような努力をいたしたいと考えております。
  25. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体、まだ具体的に現在の事務折衝段階がどう進展するか、明らかになつておらない段階であります。併しこれに対して調達庁だけではなくて、労働省或いは外務省か一体になつて、この問題をあくまでも解決してやる。それは現在のいわゆる社会環境の中において、逐次大量なる馘首というものが見通せるというふうなことを我々が考えれば、これは党派を超越して、やはり日本の大きな労務管理の問題だけじやなくして、国際的の一つの視野に立つても、これをできるだけ妥当な線にこぎつけて、そして身分不安定な労務者を、この先いくばくの期間かわからんけれども、とにかく血も涙も或る程度あるというふうな形を出して行つてやることが、非常にいいことじやないかと私も考えるわけです。そういうわけで、今後それぞれ当局者が一体になつて解決して行くという熱意を汲み取りましたので、一応この段階としては、私の質問を終つて、今後の推移をみたい。又その推移によつて、我々としてはこの問題の解決にあたりたいと、こう考えるのであります。
  26. 宮田重文

    理事宮田重文君) ほかに御質問ございませんか。
  27. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) なお、先刻来お話をいたそうと思つたのでありますが、労働省当局といたしましては、単に失業手当の問題ばかりでなくして、解雇によつて生ずる失業者の救済策につきましては、例えば自衛隊の求職斡旋であるとか、或いは又アメリカの極東空軍におきましては、今会計年度において約三千人ぐらいの労務者の動員を行うとのことでありまするから、そういつた方面に振向けるとか、或いは又その他の各基地におきましても同様なことにつきまして斡旋をいたす。或いは職業補導の面につきましては、昼は駐留軍で働いておりましても、将来これが解雇されるという見通しのあります場合におきましては、夜分は職業補導所へ行つて転業をするための職業の補導を実施する、こういつたことのために補導所を新設することにもなつておるわけでありまして、更になお、公共事業方面へも吸収する。更に公共事業において吸収し得ないものは、最後の段階におきましては、止むを得ず失対事業のほうへこれを振向けるというようなことによりまして、すでに労働省におきましても、各都道府県知事あてに、駐留軍労務者の大量解雇に伴うところの就業対策につきまして、詳細は本日は申上げませんが、すでに連絡をいたしまして、アメリカ空軍の職掌柄によつて発生いたしまする労務者失業対策につきましても、政府といたしましては可能な限り努力をいたしておるわけであります。
  28. 宮田重文

    理事宮田重文君) ほかに御質問がなければ、本日の会議は以上を以て散会いたしたいと思います。    午後零時十四分散会