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1954-08-14 第19回国会 参議院 人事委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十四日(土曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松浦 清一君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            北村 一男君            松岡 平市君            後藤 文夫君            岡  三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    調達庁長官   福島愼太郎君   参考人    全駐留軍労働組    合組織宣伝部長 神鳥 日吉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六十七名発  議)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それではこれより委員会を開会いたします。  昨日の委員会で御決定を願いましたように、第十九国会国会に対して議員発議提案になつておりました日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案を議題といたします。取扱われる問題は、最近北海道方面における駐留軍撤退をいたしましたので、その方面から相当多数の解雇者が出るという、そういう実情に直面をいたしましたので、この法律案内容は、自分の意思によらないで解雇をせられる場合の退職手当支給額の問題が内容になつておるわけでありますから、その点についての実情特別調達庁長官から御報告を願い、又当該組合でありまする全駐留軍労働組合から参考人を呼んで、今までの実情の聴取をする、こういう内容でございます。昨日全駐留軍労働組合側から参考人として出席を求めることに御決定を願いました中央執行委員長の市川君、書記長の久保君は、現在出張中で不在でございますので、改めて参考人として全駐留軍労働組合組織宣伝部長神鳥日吉君を呼びまして意見を聴取することに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 御異議ないものと認めてさよう決定をいたします。只今まだ参考人両名出席いたしておりませんから、最初調達庁長官からその経緯についての御説明を聞くことにいたしたいと思います。
  4. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 一応只今までの経緯の御説明を申上げます。  最近にいたりまして駐留軍労務者整理退職希望退職にあらざる行政整理に基く退職の際の退職金増額問題という問題が起つておりまして、これはもう最近と申しましても昨年の暮頃から問題になつてつたわけなのであります。それが極く最近に北海道方面におきます四千数百名の整理とか、或いは全国的な米国陸軍予算削減に伴う大量整理とかいう問題が、近くなつて参りましたので、近くと申しまするのは、北海道関係の一番先の整理というのが九月十四日頃にある予定になつております。それからその頃から始まりまして、両方合せまして、北海道関係として調べておりました問題と今後起ります全国的問題と両方合せまして相当数の、恐らくは二万に近い数の行政整理があるであろうというので、退職金改正という問題もそれに間に合わなければ意味がないというようになります問題ですかち、最近急激にその問題が重要になつて参つたということでございます。  駐留軍労務者給与に関しまする規定は、占領中にきまつたものが多いのでありますが、その後講和回復後になりましてから、給与関係その他を含めまして、駐留軍との間に労務基本契約というものを取り結ぶことになつておりまして、講和発効後、直ちにその交渉にかかつたわけでありますが、今日まで三年以上経過いたしまして、まだできないというところにまあ問題の根源があるわけであります。二カ年以上、昨年の夏頃までにニカ年以上かかりましても、基本契約ができない。従つてそれの基本になつているところの給与体系占領当時のものから改められないということになりまして、昨年は御承知のような、丁度今頃でございましたが、駐留軍労務者の全国的なストライキという問題があつたわけであります。私は丁度その頃から調達庁関係するようになりまして、ここで丁度満一年間、これらの仕事の衝に当つて参りましたわけであしますが、基本契約自体は、昨年中にどうにかこうにか調印を了しておるわけでございまして、それの附属書関係給与表その他の関係が、今日まで附属書としての交渉が遅れておりましてまだできておらない。その附属書の中に、特別退職に関する日本側改訂案というものを考え提案してあるそうでありまするので、基本契約ができなければ、限職手当制度改正することができないというところに、今日なつて参つたわけであります。  そこで私どもといたしましては、基本契約自体を促進することが先決問題ではありますけれども、これを全般的な問題としていつできるかというようなことは、促進はいたすつもりでありますが、九月十四日に間に合わんということは当然に予想しなければなりませんので、全般的な基本契約の中から、退職手当に関する部分だけ抜き出して、これを現行基本契約補充契約として、これだけを早急に取りまとめたいという提案アメリカ側にいたしまして、アメリカ側もこれを承諾いたしまして、現在交渉中という段階であるわけであります。アメリカ側にも九月十四日までに間に合せることが先決問題である、その点は了承させてあります。そういう何らかの形で妥結点に達するまでと考えております。  問題は、駐留軍労務に関しまする基本契約といたしましても、その他の契約関係というものが、国家間の私契約として扱われておるという点に問題の根源はあるわけであります。それらの問題は、当面退職手当問題の現状と並びに当面の九月十四日までに間に合せるという問題には、それほどの関係もございませんので、取りあえずはそれだけさせて頂きたいと考えますが、駐留軍労務者退職手当というものは、二十三年当時にきまつたものが今日までそのままになつておりますが、それはその当時は、駐留軍労務者関係賃金関係規定というものは、駐留軍労務というものが恒久的なものでないという性格から、国家公務員より若干上廻つた線にきまるべきであるという原則の下に定められたものであります。従いまして、賃金べースも国家公務員より若干上廻つた線、例えば現在の賃金ベースは、国家公務員は大体一万五千円と考えておりますが、駐留軍労務者は一万八千円ということであります。それから、退職金規定も、国家公務員規定よりも若干上廻つた線に定められておつたわけでございます。それで出発いたしたのでありますが、その後国家公務員に関します行政整理、その他も頻繁に行われましたために、国家公務員行政整理退職制度が少しずつ変更になりまして、極く最近に行われました改正によりまして行政整理退職金については、駐留軍労務者よりも国家公務員のほうが退職金という名目のつく金額につきましては、国家公務員のほうが若干上廻つたという関係なつたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、常に駐留軍労務者賃金という問題は、国家公務員より上廻るという原則であるから、下廻るということは考えられない。従つてこの点は改正したいということで、本人の意思にあらざる退職希望退職でない、使用主側の都合によります、整理によります退職につきましての制度の一部を変更したいという提案をしておるわけであります。これに対しまして、組合組合と申しましても、只今お話のございました全駐留軍労働組合日本駐留軍労働組合関西駐留軍労働組合全日本海員組合、この関係しておる組合は四つほどあるわけでございますが、それぞれの組合から、行政整理に関する退職手当改善案として、いろいろの案が出おるわけであります。これを一応特別退職手当と呼んでおる。現在の退職手当増額という、まあ実質的にはそういうことでありましようが、名称としては一応特別退職手当という案で知られておるわけであります。これはまあいろいろ、一口に特別退職手当問題と申しますけれども、いろいろな案があるわけでありまして、全駐留軍労働組合、いわゆる全駐労の特別退職手当案というものは、現行特別退職手当に対する八割増という案、日駐労、日本駐留軍労働組合は十割増という案を出しておる。関西駐留軍労働組合国家公務員制度に比較的似た案を出しておる。調達庁といたしましては、国家公務員退職手当制度にならいまして、これを一応若干上廻るという原則に基いて案を作成しておる、こういう現状でありまして、そのいずれかに妥結させるように持つて参りたいと考えておりますが、それぞれの案の内容をなします金額というものに相当の差異もありますので、どういうふうに、アメリカとの交渉の結果、最終的の案になるか、妥結し得るかということになりますと、必ずしも組合、いわゆる全駐労案として知られておるものの通りにはなかなかなりかねるのではないかというふうに考えております。  御承知のように、最近に変つて参りました国家公務員退職手当の特徴と申しますのは、最低保障ということであります。年数の長い人については、現行制度といえども駐留軍労務者関係退職手当のほうが、国家公務員より上なのであります。年数の低い者につきましては、公務員最低保障がありますので、その関係駐留軍労務者関係金額が下るということになつておるわけであります。従つてどもとしては、国家公務員より相当上廻つておる線は変更する必要はない。下廻つてはならないということで、下廻つている分を改正すべきだ、こういうふうに考えておりますが、実例で申しますと、先ほど申上げましたように、対照すべき給与ベースというものは、公務員が一万五千円、駐留軍労務者は一万八千円と考えるべきであろうと考えております。従つて公務員の一年未満で退職する者、例えば六カ月で退職いたします者は、これは最低保障適用されることになりますから、二・七カ月分、四万五百円の退職金がある、これに対しまして現行駐留軍労務者の六カ月を以て退職する人は、二万七千円に、一年を以て退職する公務員は五万四千円である、一年を以て退職する駐留軍労務者は、現行制度においては三万六千円である、二年を以て退職する者については、公務員の場合は六万七千五百円であり、駐留軍労務者の場合は六万一千円二百円、三年になりますと、公務員の場合には八万一千円、駐留軍労務者の場合は八万二千八百円、四年になりますと、公務員は八万一千円になります。駐留軍が十万四千円、五年になりますと、公務員は八万一千円、駐留軍は十五万三千円ということになつておりますので、この最低保障の面が公務員制度と違う点であつて、その関係は追越されておるというふうに考えておるのであります。従いまして組合のうちで、代表的な全駐労の八割増という線をとりますと、五年で退職する人の例をとるというと、国家公務員の場合の現在五年を以て退職する場合は八万一千円の退職金、これは基準ベース賃金を比較しております。八万一千円の退職金になる。駐留軍労務者現行十五万三千円になります。組合要求するものは二十七万五千円というのを要求しておる。そうしますと、私たちの常識といたしましては、国家公務員の場合は八万一千円が現行であるのに対して、駐留軍は二十七万五千円ほしいということは恐らく通りかねるであろう。私ども考えておる調達庁の案と申しますのは、五年の場合、全駐労案の八割増二十七万五千円に対しまして、十五万三千円といつた方式考えておる。これに対して国家公務員は八万一千円、勿論国家公務員恩給とかその他の関係がありますので、駐留軍限職金相当上廻らなければならないということは当然であります。併しながらこの五年以下という問題につきましては、恩給も始まつていない関係もありますので、大体様相は同じであります。問題となりますものは、低い、三年以下の分が一番問題になります。これらに国家公務員と同じような最低保障という考え方適用すべきである、低いほうから申しますと、六カ月を以て退職する公務員が四万五百円になります。現行駐留軍が二万七千円、それに対して組合案は四万八千六百円になります。それに対して調達庁案は六万六千六百円になる。一年の退職者に対しては、公務員が五万四千円であつて現行駐留軍が三万六千円であつて組合案が六万四千八百円であつて調達庁案は八万二千八百円である。低いものにつきましては、この最低保障制度のほうが高くなつております。  ところがここでお考えおきを願わなければならない問題は、この議論は結局金額であるか、率であるかというところに議論の建て方の相違が出て乗るであろう。組合諸君としては金額議論するのは好かないのです。率で議論する。給与ベースが違いますから、金額議論するとどうしても……。率で議論すると金額が多くなるという関係がありますので、金額議論するのは避けようとする傾向があります。併しながら何と申しましても、退職する場合もらうのは金でありまして、問題は金額がどのくらいあるかということになるべき筋合いであります。  そこで県低保障という関係で、公務員より勤務年数の長いものについては現在でも駐留軍のほうが上であるけれども、三年以下の者については公務員より下廻つておる、一応こう申上げるわけなのでありますが、これに対しまして一つ議論は、これはアメリカ側の言い出した議論でありますが、仮に六カ月間でやめるという公務員と、六カ月でやめるという駐留軍労務者と比較した場合に、その退職金は、一方の公務員は四万五百円であつて駐留軍労務者は二万七千円である。退職金と名の付く金はそれは確かに駐留軍労務者のほうが少い。併しながら失業保険といつたような関係も考慮すれば、失業保険は御承知のように給与月額の六割を六カ月間もらえるということになつております。国家公務員の場合はその限度まではもらえるということになつておる。併しもらつた退職金との差額しかもらえないことになる。従つて二万五千円というのをとりますと、五万四千円までは退職金と名前は付いておらんけれども、つまり六割の六カ月分を失業保険で……、それで五万四千円までは六カ月を以てやめた公務員といえども退職ということによつて金になるということになります。駐留軍労務者のほうは、その退職失業保険というものは六万四千円になるわけであります。それは勿論権利はある。それに対して公務員でありませんからもらつた退職金を差引かれるわけではありませんが、その上退職金がつくということになる。従つてその合計の金額というものは九万一千円である。九万一千円と五万四千円では明瞭に九万一千円のほうが多いのであつて、六カ月といえども駐留軍労務者のほうがやめたという事実に基いて、そこで手に入るという金は、何といつて駐留軍労務者のほうが低い者といえども多いはずだ。すぐにでも就職すれば別でありますが……。従いまして駐留軍労務者のほうが国家公務員より退職ということによつて金が少いといういわれはないということは、一応アメリカ側で言うだろうと私ども考えておる。それに対しまして国家公務員には恩給とか共済組合とかいろいろそういう関係もあるのだということで、失業保険その他を議論の間に挾まれないような考え方をできるだけしたいと考えておりますが、当然アメリカ側議論としてはその点は一応考慮に入れておかなければならないかと考えます。  もう一つは三年以下の退職金が、それは公務員に比較して退職金と名の付くものは、それは低いけれども、現在の駐留軍労務者というのは全部が二年半くらいしか勤務年数になつておらない。それは講和発効と同時に一応勤務関係を清算して退職金を受取つてしまつた。その際に別に米軍側としても或いは日本政府としても退職金を清算しようという方針があつたわけではない。組合のほうの希望もあつたので、過去五年分というものは清算してしまつた。そこで退職金を払つてしまつた従つて今日では誰も彼も一番長い人でも二年半という現状になつている。そこで二年半の退職金が少いと言われることは、本当は七年半勤めておるわけです。七年半ということで今日退職金計算すれば、もう四年以上の者は明瞭に国家公務員より高いのですから、七年の計算においては国家公務員より遥かに上廻つております。遥かに上廻つておる退職金制度があつたにもかかわらず、二年半以前の過去の五年というものを清算してしまつた。それは組合要求により、清算してしまつておいてだから従つて今度は二年の勤務ということになつて二年というのは少いというのはおかしいじやないかという議論は当然言つて来るというふうに考えられますので、この退職手当増額制度改正の問題というものは、いろいろな要素をはらんおると思います。  組合の案になつております八割増というのは、公務員行政整理制度退職手当制度関係の古いほうの法律に倣つたものであろうと思われます。今日はその公務員制度というも八割増という方式はとつておりませんのでございます。相当金額が開きますので、御承知を頂きたいことは、調達庁案組合案も現在の二年半しか在勤しない人に対します退職手当の問題につきましては、殆んど変るところがない。むしろ先ほどちよつと申上げましたように現在の適用を受けるべき人に対する退職金については、年限が短かければ調達庁案のほうが退職金額は多いのであります。併し組合のほうは四年、五年、六年、七年となりますと、遥かに大きくなつて参ります。五年、六年、七年の人の退職金規定組合案のほうが相当大きいのであります。例えば五年のほうは組合案では二十七万五千円であつて調達庁案は十五万三千円である。併しこれはアメリカとの間の私契約ということを元にしてやつておりますので、アメリカとの間に話が付かなければならない。そういたしますと、これはお叱りを頂くかも知れませんけれども、私の考え方といたしましては、ここで退職金制度改正させるという非常に困難な交渉をいたしますときに、二年半以上の人間が一人もいないという現状において、十年の退職金が多いの少いのと言つて喧嘩をする必要があるか。それは三年、四年の備えはしなければなりますまいと思います。十年、七年の退職金を四倍にすると言つてむずかしい交渉を私どもはしたくない。十年、七年の退職金は現在においても国家公務員の倍近く多いのであります。十年、七年の退職者に対して国家公務員の五倍欲しい、六倍欲しいという案を出して交渉を困難にするよりも、現在は二年半の勤務者以外誰もおらない。少くとも四年以下の問題をこの際九月十四日までに片付けておけば、何らの実害はないのじやないかというふうに考えております。而も年数の少いほうの問題については、調達庁案のほうが個人に対する金額としては上廻つておるというふうに考えておるわけであります。従いまして組合側特別退職手当要求という問題を掲げておられますけれども、これは組合案通りに行かなければならないということを以て闘争の目標にすれば、私どもとしては組合案通りになる道理はないというふうに考えております。調達庁案は、架空の部分においては、現実に人のいない六年七年八年の部分においては、それは組合案よりも金額は少いであろうけれども現実に人のいる二年以下に適用される面におきましては、駐留軍労務者労働組合提案せられておるものと殆んど変りはなく、実はこの整理が二万五千くらい行われるであろう。二万人になるかもわかりませんが、二万人くらいの整理が行われると仮定いたしまして、調達庁案は若しアメリカが採用すれば、どのくらいのこの際支出増になるであろうかという計算をしたことがありますが、これは余り正確な計算にはなりませんですけれども標準計算にしかなりませんのでありますが、大体アメリカとしては、今回の整理に際して五億から五億五千万円くらいの支出増加になるであろう。それから先般団体交渉のありましたときに、全駐労の委員長に聞いてみたのですが、全駐労の案を採用しますれば、今回の整理に関連してどれだけの出血になるかという質問をいたしましたところ、これは組合としても正式に計算しておりませんでしようし、まだ正式な組合考えではありますまいが、その場合に居合わせた諸君の感じでは、大体六億円くらいの出血要求することになるであろう。従いまして現実にはさほどの開きはないと考えております。  こういう面で、こういう問題をはらんでおりますので、特別退職手当についてのアメリカ軍との交渉は、私も実は長い間役人もやつておりませんで、民間におりましたので、この仕事のためにのみ昨年来引張り出されてお手伝いをしたことでもありますので、特別退職手当の問題は、是非とも目的を貫徹するように、アメリカ軍との交渉はいたしたいと考えておりますが、適用を受けるべき人間のいないところにおいて、四年たつても五年たつてもそういう人間が出てこない制度上の問題について、相当金額の大きい要求をして、却つてそのために適用すべき人間、三年以下の制度に不利を招くような場合には、四年経つても、五年経つて現実問題が起らないという問題は触れずに片付けるということで間違つていないという考え方を持つておるわけでございます。  なお、御質問は当然ございますので、申落しておるところがあろうと考えますけれども、更に機会をお与え頂きまして、又申上げることにして、取りあえずこれだけ御報告申上げます。
  5. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  6. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 速記を付けて下さい。  参考人の全駐留軍労働組合組織宣伝部長神鳥日吉君、それから賃金対策部長大海八郎君、両君が出席をしておられますが、私の席から向つて右のほうが神鳥君、左のほうが大海君です。どなたがお述べになりますか。
  7. 神鳥日吉

    参考人神鳥日吉君) 私から……。私は只今委員長のほうから御紹介がありました全駐留軍労働組合組織宣伝部長をやつております神鳥であります。本日は委員長が当然出席するはずでございましたが、御承知のように北海道中央委員会が開催されておりますので、代つて出席いたした次第であります。  今度の特別退職手当の問題につきまして種々御配慮を頂いておることについて厚くお礼を申上げます。  只今調達庁長官のほうから種々御意見が述べられたようでありますが、それについて私ども要求する趣旨、理由等につきまして若干触れてみたいと考えるのであります。  申すまでもなく只今福島長官のほうから述べられたように、私ども退職金制度については、国家公務員のそれと比べて過去においては特殊事情が加味されておつたということも、先ほど長官がおした通りであります。併しその後において、国家公務員等に八割増待命制度というようなものが実施せられるようになつてからは、私どもの当初退職金制度として特殊事情を加味されたものが消えて来ておるというふうに長官自身も申されておるように、私どももそれを強く感じておるわけであります。今次のように予算削減或いは駐留軍の移動、撤退等の問題が頻繁に起る今日においては、私どもとしてもこの問題に真剣になつて取組んで来たわけでありますが、過ぐる大会におきましても、このことが大きく組合員要求となつて盛りつて来たのであります。そのような経緯もありまして、私どもは今をおいてこの特別退職制度の確立を期さなければ、又とこのようなことが要求できないような事態にもなろうかと考えておるわけであります。今よりして、このような急迫した状態を目の前において、我々が国家的にあらゆる努力をして来た、いわゆる国家的労務に協力して来たところの我々を、このままにおいて労働市場の悪くなつておる今日何らの考慮もなく放り出されるというようなことは、私どもとしては堪え忍びない問題であります。  先ほど来、長官のほうからお話がございましたように退職金についての金額と率の問題が組合の承服できないところであろうというふうにお話がございましたが、この点についても長官の御説の通りでありまして、金額で以て論じられることについては私どもも反対でありまして、過去においての駐留軍労務者に対するところの退職金制度が、少くとも国家公務員のそれに比べて特殊事情が加味されておつたとするならば、今次の国家公務員に与えられたところの特典を、率を以て我々の上に現わして頂きたいというのが我々の今次の特退手の要求の趣旨であります。  又退職金の過去においての清算につきましては、わざわざ率のよくなる点を駐留軍労働組合が好んで清算されたように申されておりますけれども、これについては当時のインフレの途上にありまして生活苦に追われていた切実な労務者の要求であつた考えておるわけであります。そういう点から今次の退職金制度につきましても、先ほど来長官が申されたように、短い期間の者だけカバーしてやれば、それでいいのじやないか、長期間勤務するものについては当然国家公務員よりも上廻るので、これらについては考慮をする要素はないのじやないかというふうな御説がありましたが、この点についても私どもといたしましては、飽くまでも率を以て臨んでおる限り短期間の労務者に対する一応の最低保障というもののみにとどまらず、将来続く期間内においてのいろんな苦労も考慮されて、長期者についても考慮を払うべきであるというふうに考えております。これは調達庁長官が就任されて間もない頃でありましたが、団体交渉の席上で長官自身も、現在このような要求が上つておることが自分には理解できない、もう少し早く政府もこれを考慮して退職金制度改正を行うべきである、諸君の言うことについては十分理解できるので努力するというような御挨拶もあつたのであります。それらから考えまして、私どもは少くとも将来予想せられるところの人員整理撤退、こういつた事態に直面して労働者を守る途は、他に依存するということよりも、無論自立させるというような見地から、この特別退職手当そのものについて強く要求しておきたい、又御考慮を願いたいと考えるのであります。  組合案調達庁案との調整についてでありますが、調達庁はすでに調達庁案を以て軍と折衝を開始しております。これについて私どもは甚だ遺憾に思つている点は、調達庁案ができ上つて軍と交渉する前に、労働組合と十分なる協議をなさつて、合意の上に軍交渉が行われるようになることを期待しておつたのでありますが、調達庁はすでに交渉を開始しておりますし、その間において、組合案との調整をどのように図つて行けるものかということについて、大きな心配をしておるものであります。又中央委員会の前日開かれましたところの全国中央闘争委員会においても、調達庁案についてはこれは退職金規程の改正にとどまつてつて、何ら駐留軍労務者としての特殊性を加味した特別退職手当というようなものがどこにも見受けられない。これについては飽くまでも同意できないという線が打出されております。本日と明日に開かれますところの中央委員会諸君決定も、恐らくこの線になることは間違いないと考えるのであります。そのようにして調達庁も、労働協約の中にあるように調達庁案を以て組合との団体交渉を開いて、そうしてその中から長短を勘案して修正したものを以て軍側に交渉せられたならば、無用なトラブルも避け得るのではないかというふうに考えておる次第であります。  特別退職手当の問題につきましては、十分なる説明も、或いは皆さん方には御納得ゆかない点もあるかと思いますけれども、私どもとして全労務者について、この悪くなつた労働市場に放り出されるところの覚悟として、強く啓蒙して自立の途を立てさせるという意味からも、今次の特退手の要求は我々が食つて行く、いわゆる家族を守つて生きて行くための最小必要要求であるというふうに御考慮願いたいと考える次第であります。  今までの経緯等につきましては、あらゆる機会を通じて政府側にも或いは全国知事会議等にも要求書を提出いたしまして、これらの御賛同を得まして政府に対して要求をしておるわけであります。どうか本委員会におきましても、十分駐留軍国家的労務に協力したところの我々について特別の御配慮を頂きまして、特退手の制度化に御協力頂きたいと考える次第であります。  簡単でありましたが、これを以て終ります。
  8. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それでは調達庁側と組合側との特別退職手当に関する考え方といいますか、若干相違がございますが、別に双方討論というふうなそういう形でなしに、質疑の過程を通してそれが解明されるように委員各位の御注意を願つて、質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  9. 千葉信

    千葉信君 調達庁長官にお尋ねいたしますが、先ほどのお話によりますと、現在駐留軍労務者は二十七年四月以降の勤務者であるから、従つて長期の勤務者じやない。そういう条件から言うと、今の駐留軍労務者諸君に関する退職手当計算の方法としては、五年、六年という、現在ではまだ架空の状態における条件を考慮するよりも、現実的に二年半程度の退職者の場合には、むしろ全駐労の諸君が主張している率よりも調達庁案のほうがこういう短期間の場合には有利になる、こういう考えで我々は飽くまでも現実的に問題を処理するために調達庁案を作つたという話でしたが、その有利になるという内容がどういう程度のものか、もう少し具体的に承わりたいと思うのですが、それは今御説明のありました数字によりますと、全駐労の諸君が主張しているような率で行けば、当面二万乃至二万五千という整理退職者に対する退職手当金額計算にしてみると、持出しが六億くらいになりそうだ、併し調達庁案の場合でゆくと、その金額が五億五千万円くらいだという御説明でしたが、この持出し額の点からいいますと、これは逆にやはりその結論としては調達庁案が労務者諸君にとつては不利になるという結果がこの数字からは出て来ておると思うのですが、この点はどういうふうな計算になつておりますか。
  10. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 全駐労案と申しますのは、現行整理退職規定、これはもう申すまでもないと思いますが、駐留軍労務者といえども国家公務員と同じように希望退職の倍額というのは取りあえずひと先ずあるのでございます。如何にも希望退職退職金だけで、国家公務員のように行政整理を食つた場合には、少くともその倍くらいにはなるものがないかのごとき印象を世間に与えている傾きもあるのでございますが、取りあえず希望退職者の退職金の倍というのはとにかく一応定めてある、それが現行なんです。それが下のほうは国家公務品目の線よりも低いのでありますが、上のほうは国家公務員の線よりも高いというカーブになつておるわけですが、それを一律に八割増ということにいたしますから、下のほうは幸うじて国家公務員の線に達するか、ちよつと追越すくらいの改正になるわけでございます。全駐労案の八割増によりますと、上のほうはすでに追越しているものを更に八割増いたしますから、非常に差が開いて来るということになる。それに対しまして調達庁案というものは上のほうはすでに国家公務員の線を相当に追越しておるのであるから、これは交渉も困難になる虞れもあるから、取上げずにおいて、五年くらいのところから最低保障という線でカーブを殆んど平行に横に引つ張ろう、こういう思想を持つておるわけです。従いまして六カ月、一年というものに対しましては、調達庁案のほうが組合案よりも金額としては大きくなる。二年くらいになりますと殆んど同じくらい、同じでもありませんが、やはり組合案のほうが十一万に対して調達庁案は九万九千くらいになる。三年になりますと、三年というものはいないのですが、組合案の十四万に対して調達庁案の十一万、従いまして二年五カ月くらいが数が多いということになりますと、そこで組合案のほうが少し上廻つているということになりますが、我々としては現在の駐留軍労務者というものが、まあ殆んど全部二年半というところであろうというところで計算いたしましたので、ちよつと差のあるところで倍数をかけておるという関係で、五億五千万円と六億くらいの差が出て来たというふうに考えます。
  11. 千葉信

    千葉信君 先ほどお話がありましたときには、はつきりと二年半以下の退職手当計算については調達庁案組合案よりも有利になつておる、こういう御説明をなさつた。そして最後に金額の点になりましたら調達庁の方針を以てすれば五億五千万円、それよりも不利になるという御説明であつた。全駐労の主張している案によると六億という数字になつて来るのですが、この食い違いは一体どこから出て来るかという点についてもつとわかり易く御説明願いたい。
  12. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 全体の労務者の勤務年数というのは、二年半程度のところであります。従いまして二年半という数字については調達庁案のほうが若干組合案よりも少い。従つてそこを抑えて大体どのくらいの金額になるであろうか、五億五千万、六億という比較ができるわけでありますが、これが現実整理をいたしますということになりますと、必ず調達庁案のほうが組合案より有利になるはずであります。それが二万人整理するという場合に月給の多いほうから整理をするとか、誰と誰を辞めさせるということはないのでありまして、人数をきめましたら勤務年数の短いものから必ず整理するということになつておりますので、短いものを拾つてつて先に整理してしまうということになりますから、一応の目の子といたしましては、最高額を倍数かけたのでありますが、現実適用する場合には六カ月、一年という短いもののみが整理されるにきまつておるわけでありまして、ただこれが現実の数が出て参りませんと計算ができないわけであります。現実整理の対象といたしましては、勤務年数の若いものから整理するという規定になつておりまして、現実問題としては調達庁案組合案に比べて不利であるとは考えておらないのであります。
  13. 千葉信

    千葉信君 どうもわからない。  その次に質問申上げますが、先ほど調達庁長官のお話では、全駐労の諸君金額で比較されるということについては好まない。率で幾ら幾らということをきめてもらいたいということを組合としては主張しているが、調達庁のほうの考えから行けば、併し実際上金額が一体多くなるが少くなるかということを具体的に検討して、そういう点からどつちが有利か不利かということを調達庁としては考えられておる、こういうお話でしたが、この場合に問題となりますことは、先ほどお話のように例えば国家公務員の場合には一万五千円の平均給与、それから全駐労の労務者の場合には一万八千円の平均給与従つてその比較においても、片方は一万五千円を基準にして、片方は一万八千円を基準にして、そうして一体何年勤続したものについては幾らにするという、そういう計算の方法をとつておられるようですが、この点について私はそういう平均給与というものを基礎として退職手当の問題をおおまかに考えるということについては、非常に危険があるのじやないか、それはどういう点かというと、今の平均給与考え方というのは、これは長官も御承知通り、全体の予算額に対して大体が公務員数なり労務者数をぶつかけて、そうして予算上出た金額というものを平均給与として計算しておる。又場合によると、実際上は支給された総体の給与額の平均額を頭数で割つて平均給与額というものを出しておる。これは一応幾ら、一体どれくらいの平均になつておるかという計算をする基礎にはなりますけれども、もともと平均給与額というのは、給与の実際上の厚いか薄いかという条件、若しくは適当か適当でないかという条件を考える対象としては、非常に危険極まるものだと思うのです。実際土給与がいいか悪いかということは、個々の場合における勤続年数の状態、学歴の状態、或いは経験年数の状態、こういうものが基礎になつて比較計算されなければ実際上の基礎がどうなつておるかということがわからない以上、いいか悪いか、適当か適当でないかということは結論として出て来ないわけですから、私はこういう平均給与という恰好で以て給与の比較計算をすることは非常に危険だと思うし、更に今度それをいきなり退職手当金額をどういう程度にしたらいいかということをきめる場合に、その平均給与額をいきなり計算の対象にするということは、これは適切ではない。これはいろいろな角度から申上げなければならない根拠があるのですが、そういう点は一応この際抜きにしても、例えば退職手当計算の場合に、おつしやるように片方は一万五千円で片方は一万八千円という恰好で退職手当を比較するということになりますと、個々の職員諸君の資格の問題とか、それから勤続年数の問題、或いは又経験年数というような問題から見ましても、どうも退職手当の問題について適切な結論を出すためには、そういう基礎の条件を対象としては非常に危険が伴う。従つてそういう意味から、大体間違いなく問題を考える場合には、やはり率というものがどういうものかということが基礎にならなければ、退職手当の問題を適正に考えることができないと思いますが、そういう点について長官はどういう考え方から率という問題について考慮しようとなされなかつたか、その点を承わつておきたい。
  14. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 率という問題を考慮してないというわけではないのでございます。率を加味しベースを加味しなければ、最終的な比較はできない、こういうふうに考えておるだけでございます。申上げました一万五千円というのは公務員の場合の賃金べースでございます。それから一万八千円というのは駐留軍労務者賃金ベースであります。いわゆる基本ベース、決して平均賃金ではありません。平均賃金駐留軍の場合二万二千円くらいになります。いわゆる賃金ベースというもの、従いまして国家公務員に対する退職金制度がどうであろうかという場合には、それの率とそれのベースというものを掛けたものが退職金である、それと比較いたします場合に、駐留軍労務者も勿論その基本ベースというものと率と掛けたものとでどうであろうかという比較をする場のは、私は決して不当ではないと考えておる次第でございます。
  15. 千葉信

    千葉信君 今お話のありました賃金ベースは一万八千円で平均賃金のほうは二万二千円というのはどういう計算からですか。
  16. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 基本ベース賃金以上に現在の俸給月額の定まつておるものが非常に多いということであります。
  17. 千葉信

    千葉信君 何か長官勘違いされておる点があると思いますが、賃金ベースと呼ばれておる対象なり、それから平均賃金と呼ばれておるものは、実際に給与されておる職員に対する給与額のうちで一定の対象がはつきりきまつて、その対象の枠内で金額計算されておるのですが、その場合に平均賃金というものと賃金ベースというものとの対象が違わない形で、通例国会でも取扱われているのですが、一体どういうふうに長官のほうではこの点を計算されているのですか。どうもこの話はむずかしくはなつて来ると思うのですが、問題は非常に重要な問題に関連して来ると思うのですが、その点をもう少しはつきり御答弁願いたいと思います。
  18. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 平均賃金と申しますのは、海員の関係その他高給者の多い職種を入れますと、又手当その他を入れまして、常識的には私どものペイロールの関係から言えば、平均は二万二千円くらいになるというのでありますけれども、ここに陸軍関係退職関係を比較する際にとりましたベースは一万八千円ということであります。
  19. 千葉信

    千葉信君 長官は勘違いしておられますね。長官は二万二千円なんていう平均賃金の中には、平均賃金計算の中に入れてはならない要素まで全部ぶち込んで、そうして二万二千円という数字を出しておられるのであるが、長官はその内容を御存じですか。
  20. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 二万二千円の内容はよく知りませんけれども、ここで二万二千円を適用いたしましたら、それは問題になるわけでございます。ここでは二万二千円ということは考慮に入れまして、比較する際に二万二千円で比較するわけに行かないということで、一万八千円を比較の対象に取上げておるわけであります。
  21. 千葉信

    千葉信君 この点長官はよく御存じないようだから、ここで余り論議しても仕様がありませんから、次の問題に入ります。  今御答弁のありました調達庁案というものの内容は別として、その調達庁案決定される場合に、全駐労なり或いは日本駐留軍労働組合等と一応の話合いなり若しくはその了承を得ない内容のまま、話合いをされたということについては、今回の紛争の起つて来た一つの原因として私ども了承し難い態度だと思うのですが、併しそれはそれとして、その調達庁案を以て従平駐留軍側と交渉されましたその交渉経緯について、もう少し詳しく承わりたいと思うのですが、その点は如何ですか。
  22. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 今回の調達庁案組合に相談しなかつたということでありますが、これは相談しないのが当り前でありまして、駐留軍日本政府とは駐留軍が事実上の雇用主、日本政府法律上の雇用主、ジヨイント・マネージメント、これは共同管理は組合側も主張されておるわけであります。こういう原則によつて共同管理者として組合団体交渉をするという建前になつており、共同管理者の意見が先ず以て合わなければ、団体交渉はできない。従いまして共同管理者の間で先ず以て意見を合せて、その上で組合と話をするという段取でありますので、アメリカのほうは勿論こんなものは殖やしたくないというのに対して、我々のほうが共同管理者の一方としてこれを説納した上で、組合との交渉に臨むということが私としては法律上の欠陥もないし、又実質的に効果を挙げる上においても、やはり有効であるように考えておる次第でございます。現在はアメリカとの交渉の過程にあるわけでありますが、ただはつきりいたしておりますことは、九月十四日の北海道整理の始まるまでに、この問題を片付けたいということは、アメリカ側承知しております。それからアメリカ側のもう一つ了承しております点は、駐留軍労務者制度というものが、国家公務員を若干上廻る線にきめるべきだという点も承知しております。従つて現在の実情と比較して国家公務員より下廻つておるものがあれば直そうということも言つております。問題は比較いたしまして、駐留軍労務者国家公務員とは差があるか、駐留軍労務者のほうが組合の言う通り下であるかどうかという決定なかなか困難である。
  23. 千葉信

    千葉信君 重ねてお尋ねしたいと思うのですが、今国家公務員との比較という問題についてお話がありましたが、長官も御承知のように、駐留軍の労務者に対する労務基本契約に基く給与決定等、それは御承知のように占領中に行われたものでございまして、先ほどのお話のように、その後は変更されておらない。退職手当のごときは、たしかこれは二十三年に決定された基準がそのままの恰好で現在も施行されております。ところが御承知のように一方国家公務員等の場合には、その後数回に亙つて退職手当に関する法律改正が行われておりますし、それから又昨年決定されました退職手当等におきましては、先般来問題になつておりまする整理退職の場合には八割も増加額を附加するという問題、それから又昨年の十月以降は特に整理退職をすることを前提条件として、臨時待命の制度或いは特別待命の制度が設けられております。従つて駐留軍の労務者に関しては二十三年当時の率がそのままにされて、而もその率が国家公務員等に比べれば、当時可なり条件はよかつたかも知れないけれども、条件のよかつたことはそれはよくしなければならないという条件がおのずから駐留軍労務者の場合にはあつたわけです。これは長官も御承知通り駐留軍労務者の場合は身分関係等においても国家公務員等に比べて雲泥の相違があり、今日問題になつておるような餓首というような問題についても、これは単に今回だけでとどまる問題ではなくて、今後こういうケースは可なり断続的に行われると考えなければならない。こういう条件からいうと駐留軍の労務者の場合には、国家公務員と同率で問題を考えるわけに行かないし、従つて駐留軍労務者の場合には、二十三年当時にきめられたその率が、その後における国家公務員諸君における時間的崩壊性を通じて可なりその条件に近付いて来たとはいつても、駐留軍労務者に対しては特に考慮しなければならない条件というものは、はつきり今日でも伏在しておるし、むしろ今までよりももつといろいろな条件は、駐留軍労務者つて国家公務員より不利だと考えられておる。そういう点から行きますと、国家公務員の例えば八割の増額の問題であるとか、或いは待命制度等を考えますと、長官も先ほど来お話になつておられるような、二年半程度の場合にば、これは決して駐留軍労働者諸君考えておる、主張しておるよりは、そう劣つたものではない、むしろ有利なものだというお話でございましたが、私はこの程度でも駐留軍労務者の場合にはもつと慎重に考えてやらなければならない条件をたくさん持つておる。国家公務員と同率程度ならばいいという考え方は私は最初から駐留軍労務者の立場というものを理解してない考え方だというふうに考えますが、そういう点について先ほど調達庁長官は例えば失業手当等の問題もお話がございましたけれども、そのほかに特別待命制度とか臨時待命制度というような条件を考慮する必要が今度の退職手当の問題を決定する場合には必要ではないかと思いますが、この点については調達庁長官はどうお考えになりますか。
  24. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 只今御指摘の特別待命、臨時待命の制度という問題がたしかにあることは間違いございません。その点が唯一の根拠に恐らく今後の交渉がなつて行くであろう、その点が若しなければ、現状でも国家公務員退職する場合と駐留軍労務者退職する場合と比較して一年未満であろうと何年であろうと、退職という事実によつて支給される金額というものは、どちらが多いのだという比較をいたした場合に、公務員より少いという実例は一つも挙つて来ないのであります。臨時待命、特別待命というものをどういうふうに考えますか、これはまあ併し整理の場合に全部適用するものでもありませんし、又一年、二年という諸君の獲得する権利というものは、実態的には全部の人がそれによつてカバーされるというわけでもないと思いますので、比較はなかなかむずかしくなつて参ると思いますが、この臨時待命、特別待命という二つの要素を組入れなければ、駐留軍労務者国家公務員との比較という場合には絶対にものにならないというふうに考えておりますので、当然この二つの要素を考慮に入れて比較するということを主張しなければならないかと考えております。比較の方法ということが非常に問題になつて来るわけでありましよう。我々としては一応ほかの要素というものをできるだけ無視するような議論の立て方をいたしておりますが、アメリカ側から言わせれば、とにかく問題は、やめさせられたというときに、一体幾らの金額に対して権利が発生するか、一年の者、或いは半年の者、二年の者、その場合に国家公務員と比較して、同じような勤務年数つた場合に、多いか少いかという比較の仕方を必ずして来るであろう。そういう比較の取り方をした場合に、初めから公務員よりも低いという実例になる駐留軍労務者は、現在では一人もおらないということが言えると思うのです。
  25. 千葉信

    千葉信君 まあ今の質疑応答の中で、大体駐留軍のほうでも一応九月十四日あたりまでを目安として、それまでに問題を解決しようということについては、これは両者の話合いが進んでいるようですが、実際問題としても、例えば北海道等におきましては、駐留軍撤退というようなことも、実際現実の問題として起つております。駐留軍の労務者が不当に解雇される時期までに、この問題が決定されないということになりますと、相当重要な段階に突入するというような気配も濃厚だと言えると思うのであります。そこでこれらの駐留軍も、退職手当等を決定している日本の法律の建前から行けば、昭和二十七年の百七十四号の建前からすれば、これらの決定は、法律上は調達庁長官がきめるということになつております。併し実際上は、これは駐留軍の直接調達であるという状態だと思いますが、併し法律上は調達庁長官がこういうものを決定するということになつているわけです。この法律の建前から言いますと、若しも今お話合いを進められおられるいろいろな話の結論が、実際上その変更若しくは修正を必要とする段階に至つても、なお且つ、結論の出ないような場合に、長官としてはこの法律の建前上から考えて、場合によれば日本政府の問題として、日本政府がこの退職手当の支給率について、国家公務員等と余り較差のない、余り不利益に扱わないような方法について、何らかの手を打つということについて、今まで交渉されたことがありましたか。それから又今後そういう点について考慮される御意向であるか、この点を承わりたい。
  26. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 法律の建前は、御指摘の通り調達庁長官が定めるということになつております。調達庁長官は併しながら一方において、それに要した金額アメリカから償還を受けるという任務を持つているわけであります。従いまして調達庁長官が定めた通り償還を受けることができなければ、日本政府がこれを負担しなければならないという問題が起るわけであります。従来といえども、そういう場合に備えて、相当な研究はいたしておりますが、問題はやはりその根源になりまするところの、公務員と比較して、まあいろいろな制度関係その他はありましようけれども公務員と比較して不利な待遇を受けておるかどうか、不利な待遇を受けておるということが立証されなければ、それ以上の手当というものはなかなか実現性が困難であります。アメリカを説得することもできなければ、大蔵省を説得することもできますまい。アメリカに対しましては、若し不利な待遇になつておれば、直せということは言い得るのです。組合諸君その他にもお願いしているところは、公務員より不利だということを確実に立証的な材料を以て証明してほしいということを言つている。私ども取りあえず言つていることは、公務員より不利だというところではなく、退職金という名のつく金額においては、少いものがあることは事実でありますけれども現行制度を更に改良しようということを言つておるのでありまして、公務員より不利だということを、これは考え方の相違でありますが、退職ということによつて幾らの金をもらえるのかということが問題の根本であるとすれば、駐留軍労務者をやめて、公務員をやめた人以下にもらう人は一人もいないはずでありますが、それはアメリカ側を説得する上にも、日本政府予算に割込もうとする努力の上にも、相当な影響を持つて来るわけでありまして、私どもとしては一応多少の考慮に入れるべき要素の、目をつぶつても現在は退職金と名のつく金額について、公務員より低いものがあるというところで議論をいたしておりますけれども、いろいろの要素を取入れて参りますと、これに対抗する唯一の手段は、臨時待命、特別待命以外にございませんが、その比較という問題で、立証的に公務員より下廻つておるという証果なかなかつかないという点に、あらゆる困難の根源があるわけであります。
  27. 千葉信

    千葉信君 おつしやるような条件になりますと、私は問題が起つて来ると思うのですが、それは駐留軍のほうとの折衝の場合にも、せめて国家公務員と同率程度、国家公務員よりも不利だという条件については、これは折衝される余地が大いにあると思うのです。それから、それでもなお且つ、その問題が合理的な解決を見ない場合に、これは半ば御注文の形で申し上げておるのでありますが、日本政府の負担においてそういう不均衡は是正されなければならない問題だと思います。その折衝が成功するか成功しないかは別として、そういう考え方も私はこの際は必要ではなかろうかと思うのです。そこで一体駐留軍のほうとの折衝なり、或いは日本政府自体の内部における交渉の場合等の点等を考えてみましても、今長官のおつしやいました一つの具体的な内容として、先ほど申上げました特別若しくは臨時待命制度等の制度があるとないと、こういう点からかなり不利な点があるということは、長官もお認めだ。併しそれ以外の条件については、先ほど長官説明されたように、長官駐留軍なり或いは大蔵省と折衝される場合に、折衝をされるその内容が、国家公務員の場合には一万五千円、駐留軍労務者の場合には一万八千円の賃金ベースという考え方で折衝されるということになりますと、これは駐留軍労務者自体も、そういう折衝のやり方については賛意を表しておらない。それから又そういう折衝をされるということになりますと、折衝をされるそのこと自体にも、私は決して有利でないという条件が出て来ておると思うのです。そういう平均給与を基礎として金額がどうのこうのという問題について、これは先ほど触れましたからこの際は避けますが、今度はそうじやなくて、個々の労務者なり個々の国家公務員が何年勤めたか、若しくはどういう学歴を持つておるかどうかは別として、今同じ給与を支給されておる国家公務員と、それから駐留軍労務者との同じ勤務年数を経た者の退職手当を、個々人の比較として検討してみますと、これは明らかに国家公務員と非常に大きな相違があります。これは長官もおわかりのように、四年半以上の場合は別として例えば同じ一万円の俸給をもらつておる国家公務員駐留軍の労務者、そうしてこれが二割の勤務地手当を支給されておる者の場合、これを勤務年数に応じて比較してみますと、駐留軍労務者の場合には一万八千円、六カ月勤務者で一万八千円、国家公務員の場合には三万二千四百円、それからこれが一年ということになりますと、駐留軍労務者の場合は二万四千円、国家公務員の場合には四万三千二百円、二年の場合になりますと、駐留軍の労務者の場合には四万八百円、国家公務員の場合には五万四千円、三年になると駐留軍労務者は五万五千二百円、国家公務員の場合には六万四千八百円。四年の場合でも一方は六万九千六百円なのに片方はこの場合にはやつと国家公務員のほうは駐留軍の労務者と同率程度と、こういう恰好になります。そうすると、実際問題として二年半程度以下しか今まで勤務してない駐留軍労務者の場合には、三年を基準にしましても相当大きな開きがある。二年半ならなおそれより多い、こういう恰好になるのですから、私はその比較検討して、そうして調達庁長官のお立場として、駐留軍の当局なり、或いは大蔵省なりと折衝する場合も、折衝の根拠として、私は長官の出しておられるような結論というのは駐留軍労務者に対して決して親切なものじやない。又問題の解決のためには有効な計算の仕方じやないと思う。長官はこの際できるだけ問題を解決するために有利な条件で解決するような根拠を以て折衝される御用意があるのか、ないのか、この際承わつておきたい。
  28. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 只今その一年、二年、三年の場合の一万円という報酬月額についての比較額がございましたので、まあそれはベースにせよ、平均賃金にせよ、二万円といい、二万二千円といい、或いは一万八千円というか、いずれにいたしましても、大体二万円という平均が出ておる際、二年、三年勤務したものとして一万円というのを比較の対象として取上げたこと自体がかなり実情に即さないようにも思いまするけれども、併し、仮りに半年でやめる者が一万円といたしましても、これは公務員の場合には失業手当その他まで考えれば三・六カ月分まではもらえるということは言えるわけです。三万六千円まではもらえる……いや六千円の六カ月分ですから六、六、三万六千円。駐留軍労務者の場合にはこれは幾らになりますか、一万円が二月になりましてその六割ですから一万二千円ですか、駐留軍労務者の場合にはそのほかに公務員と同額のあれがあるわけでありますから、失業手当があるわけでありますから六カ月のものをとりましても、必ず、それはまあ退職手当ではないのですから、その点はちよつと問題になりますけれども退職したという事実によつて金が入つて来るという関係だけから言えば、常に駐留軍労務者の場合には最低保障の面に関します限りは公務員よりも退職手当と名のついている金額だけが多いということになるわけです。その辺の実質的な金額比較という問題になりますと、必ずそういう問題を起しまするし、又先ほど申上げましたように、二年半以前の賃金の清算を、退職手当の清算をしてなかつた場合には今日でも必ず国家公務員よりも上廻つた退職金になるべきである。これは誰が言い出したか、誰が主張したかという関係は別としましても、交渉上は、問題の解決上は相当混乱した要素を含んでおるということだけは間違いありません。単純な数字上の比較というものがどこをとつていいかよくわからないというところに問題の困難性があるわけです。アメリカ側公務員よりも若干上廻つた線というものに同意を与えておりながら、現状を以て若干上廻つておると見るべきなのであるか、そう見られないのであるかという点が容易にきまらないという点が問題の焦点になるわけであります。
  29. 松浦清一

    委員長松浦清一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  30. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それじや速記をつけて。  まだ御質疑ございますか。御質疑なければ、私からちよつと長官にお伺いしたいことがあるのですが、今伝えられているところでは、北海道の駐留部隊が撤退して四千数百名が解雇せられるということが伝えられている。もう一つは、その他の方面でも先ほどからの長官の言明によりましても二万乃至二万五千名が解雇されることが予想されておる、こういう話なのですが、北海道のほうで四千数百名というのは正確に申しますとどういう数字になりますか。
  31. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 北海道の今回の整理と申しまするのは、北海道における陸軍部隊が本州へ移るという関係整理になるわけであります。これは若干違うところがあるかも知れませんが、大体四千三、四百名と承知しております。それからその他の全国的な整理という問題の数はまだきまつておりませんのです。これは目下アメリカ側と相談してその数をつきとめるようにしたいと考えておりますが、どういうようなきまり方をして行くかと申しますと、米国陸軍要求されておりますのは、二五%の予算節約なのです。陸軍全体として二五%の予算節約をするためには、陸軍のあらゆる方面ででき得る限りの予算を節約してみて、日本人労務に関する部分でもどのくらいの貢献をしなければ総合して二五%にならないかということに、まあなるわけなんですが、それで私どもアメリカ側交渉しておりますが、金が減つたからといつて労務を減らすという合場には、仕事の分量が仮に減らない以上は、労働強化になつては困るという一線が存在するわけだから、労働強化になるという線は越えられい。従つて仮にそれが何%にまでしかできなくても、二五%の貢献というものは労務に関してはできないのだという方式があることを承認して欲しい。それから又全般的にはほかの部分で努力して、労務に関しては何%やればいいのだという数字を至急確かめて欲しい。これはまあいろいろな関係もありまするので、この数字がまだきまらないわけなんです。二五%全体予算の節約上、日本人労務の関係では何%、恐らく二〇%、若しくはちよつと下くらいにきまるのであろうと考えておりますけれども、そのパーセンテージはまだきまらない。二五%の上に行くことはないというのが現状であります。そこでまあ現在の段階といたしましては、まあ取りあえず二五%ということで案を立ててみようということになつております。二五%ということになりますと、陸軍関係の労務者が十一万五千と考えられますので、二万八千幾らという数が出るわけであります。全駐労あたりで三万と言つておるのはその根拠に基いておるわけであります。そこで二五%の予算節約をするためには、その労務関係だけで仮に二五%の予算節約をする必要があると仮定して、各部隊に二五%の予算を節約するためには、この際何人の整理が必要かということを部隊それぞれに訓令を出して数字を集め終つたところなのであります。それが正確に申しますと、二万ちよつとという数になつたわけです。で、この二万少しというものには北海道関係は勿論入つておる。移動の関係であろうと或いはほかの理由であろうと、今回行政整理ということを言い出す前に、既定計画として節約にかかつたものは本年度予算に当然組まれておつたものであるから、ほかの理由でそれが整理されても当然予算には貢献できる、こういうことになりますので、二万という総数で大体全部をカバーしておる。北海道のほうは、これは減らすの殖やすのということはできませんので、いなくなつてしまうのでありますから、四千三、四百人くらい確実に整理するということになりますと、残り一万五千何百人のうち、今度は陸軍が減りますが、空軍を若干殖やします面もありますので、空軍関係の新規採用の余地というのは二千ぐらいありやしないかと考えておるのであります。そういたしますと、それが更に減つて来る。そのほかに自然退職者というのが毎月相当あるわけであります。これが一年待つておれば必ず何千人かの自然退職者になる。この際慌てて二万くらい直ぐに切つてしまうと又来月から自然退職者が出て来て新規採用しなければならんという事態になる。初めから自然退職者計算して、これが一年間の自然退職者によつてどのくらい予算節約に貢献するかということをつきとめておいて、それを考慮して整理すればいいのじやないかということになつておりまして、その案がすつかり出そろつたときに、今度は労務以外のいろいろな点を検討して二五%何%かということにきまつて来ます。それを更に掛けて行くということになりますと、これが一万でとどまるか、一万を下廻るか、その辺のところはまだ確定しないのでありますが、あらゆる将来計算すべき要素を除いて、陸軍が二五%の予算削減を仮に労務の面でも実施すると仮定すれば、二万をちよつと上廻る数というのが現在出ておる数であります。現実に二万人が整理されるという意味ではないのであります。又そのほかに、私どもといたしましては、単純に人間を減らす、機械的に減らすということでは、目的が予算節約なのであるから、予算節約上の効果の上る減らし方と、上らない減らし方とあるであろう。例えば大阪の日赤病院は三百七十人ばかり労務者がおりますが、この三百七十人全部整理してほしい。ついでに病院も閉鎖してほしい。病院は日赤に返してしまえということを提案しておるわけであります。この三百七十人を整理して病院をしめてしまえば、節約し得る金額は三百七十人の月給だけじやないということが言える。単純に大きな三百七十人のただ人間のみを減らすよりは、節約上の効果も上つて人間の数に対する犠牲が少なくなつてくるということに対するアメリカの案に対して、私ども調達庁といたしましては、陸軍の施設関係も預かつておりますので、ここで十人減らすよりはそつちを十人減らすほうが節約に余計なるという考えをもちまして、総合的な計画を立てつつあるわけでございます。できるだけ早くこの案を立てて、できるだけ早くきめて行きたい。一日でも遅れますと、元が予算節約でありますので、犠牲者の数が殖えるということになりますから、組合諸君としてはできるだけ遅らしてもらいたいということを考えるかたもあると思いますけれども、私どもとしてはできるだけ早く研究を終つて、できるだけ早く而も一斉に切つちまいたい、こういうことを考えておる次第であります。
  32. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 北海道からすでにもうきまつておるような四千三百名というこの解職者の中には、特別の技能を持つておる人たちもいると思いますが、そういう人たちを他に転職させるという方法でなしに、やはり北海道に働らいておる関係の労務者は一斉に北海道で解傭する、そういう方針をとつておるわけですか。
  33. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) その点は北海道整理されます陸軍関係の労務者を、北海道に残します空軍の関係で新規採用する面は私は出てくると考えております。それからこれは日本側でありますが、自衛隊に対しても実質的に優先的に雇用するようにという場合もいたしております。それから北海道の部隊というのはアメリカに帰るのじやなくて、本州、而も東北地方に移るのであるから少し連れてつたらどうか。組合のほうで希望者があるかどうか調べてもらいましたら、七百五十人くらい希望者がある、こういうことなので、できる限り同伴させようという交渉もさせたのでありますが、これは必らずしも思うようにならない。特殊な人で軍が連れて行きたいという人は当然出て来ると思いますが、建前としては今同伴できないということになつておるわけであります。それは実は北海道キヤンプ千歳とかキヤンプ真駒内、キヤンプ・クロフオードとか言つておりますが、そういうところで整理が行われるわけですが、北海道から東北地方に引越すのは騎兵第一師団が引越す。東北地方にはキヤンプ八戸、そういうところにコマンダーがあつて、一種の寄宿舎みたいな宿屋をしておる。北海道のほうのキヤンプ千歳、キヤンプ真駒内の旅館のほうは減らすのでなくて中のお客だけが引越す。これは騎兵第一師団の雇用関係では全然ない。全部キヤンプ千歳、キヤンプ真駒内の使用人ということになつておる。これらは北海道に全部残り、残つた上で全部縮小する、整理するということで、自動的には転勤という関係は出て来ないということになる。併しそれは何とか便法を講ずるつもりではおりますけれども、全面的に全国的に二五%整理という問題が出て来まして、東北地方の状況では八戸でも現在働らいておる日本人のかたに整理という問題が起つて来た。それには新たに第一師団が来るということで、こちらのほうは整理はしたくない。どうせ移駐が行われれば人も殖やさなければならんのだから、今から減らして殖やすというわけにはいかんから減らさずにとつておきたい。従つて北海道から七百五十人も来てもらいたくない。八戸キヤンプの東北地方における米軍関係も従来から度々行政整理をやつたことがある。今度斯く少し雇えるかも知れんというチャンスが出ておるとすれば、東北地方の司令官として曾つて整理を加えた人に対して仁義があるので、よその地方から運び入れて来るということはどうもできないという関係もありまして、七百人ばかりの希望者はありながら、これは極めて特殊な技術者を除けば、いわゆる転勤という形式は思うに任せないというのが実情でございます。
  34. 松浦清一

    委員長松浦清一君) これはどういうことになりましようか。適正な退職手当制度がきまりますと、全国的に希望退職者を募つた場合に、二五%には達しないかも知れないけれども、若干の希望退職者は出て来ると想定されるわけですが、その整理の仕方というのは、どの地区における部隊に雇用されておる労務者の何人か整理をしなければならんという方針で出て来るものか、それとも全国的に二五%の整理であるから、若し適正な退職手当制度がきまつたのちに、希望退職者を募つて、全国で何人の希望退職者ができた、こういうような場合、全国的に調整を図つて、労務の移動、流通を図ることで、直接解傭するというような、解傭するというのは、そういう形でなしに自然の整理ができるという、そういう感じを受けるのですが、そういう方針を考えておられるか、又そういうことは不可能なのであるか。
  35. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) これは全国的にどこの部隊も一律に二五%という考え方は持つておりませんので、先ほどもちよつと申上げましたように、できるだけ予算節約に貢献のできる部隊で、できるだけたくさん整理をして総体的な数は減らしたいと考えておりますが、全部の数が集まりましたところで、どういうそれが分布状況になるか、幾ら予算の節約ができるからといつても、労働市場の関係で極めて困難な所に数が集まるという関係があつたら、それは分散させなければならんというふうな考慮が必要になつて参りますが、一律二五%という考え方は持つておりません。それから又希望退職という関係は、その数がきまりましてから、それぞれの部隊で希望退職者は当然に募るということになります。まあ希望退職の場合の退職手当という問題も勿論持つておりますが、これは従来から人員整理の際には、希望退職を募るということになつておりますので、今回もできる限りそれによつて整理の時期が遅れるというようなことがありますと、人員の増加という影響が生じますので早くやらなければならんという関係はありますけれども、その範囲内においてできる限りの希望退職というものは募つて参りたい、これはアメリカ側だけでなくて、日本側の私ども関係の労務管理、その他でできることでありますのでやりたい。それから又新規採用といつたようなものも、これは日本の労務管理事務所からアメリカ側に提供するものでありますので、我々としては、この際アメリカ側から何を言われても、一切新規採用はするな、将来新規提供の要求が出て来た場合に、前の整理者の中から提供しろ、駐留軍労務者の過去の前歴がなかつた場合には一切受付けるな、これはほかの関係で如何かと思われる節もありますけれども、そういう方面でできるだけの措置をとつて参りたいと思います。
  36. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それからもう一つ最後に伺いたいのですが、この整理を具体化するという形は、アメリカ測の一方的な方針が日本側て押付けられるという結果によつて、こういうことになるのか、それともアメリカ側日本側とが平等な立場において話合の上で、何万名の整理をやるということが決定されるのかということが一つ。それからもう一つは、現在の民間産業が非常に行詰つているような、例えば造船、石炭というような、そういうところで、政府の方針として帰休制度というものが採用されておりますが、三ヵ月間帰休をして、そうして又再び雇用するというようなことが、これは労働組合と雇用者側との団体協約ではなしに、政府の方針としてそれがきめられてそれが労使の協約と言いますか、話合でその制度が採用されているのですか。駐留軍関係の労務者についてはそのようなことは政府としてはお考えになつておられませんか。
  37. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 日本政府といたしましては、共同管理という原則ではありまするけれどもアメリカ側予算上の制約、軍事上の目的というものに立入らないという態度をとつております。従つて今回の場合でもアメリカ陸軍が二五%の予算節約を米国国会決定によつてやるのだという決定に対して、我々は異議は挾めないわけであります。併しながら陸軍として二五%の予算を節約するに際して、労務で何万人切らなければならないかということについては、我々も相談に与つてこれだけ切ればこれだけ節約になるだろう、若しくはその際に自然退職を考慮に入れればここまでやらなくてもいいだろうとか、或いはその部隊を整備したほうがもつと効果があるではないかという、具体的な人数の決定には我々の意見も出し、我々の同意をした上で決定となるという態度をとつております。なお、御指摘のございました帰休制度でございますけれども、これは米国軍の整理関係、特に今回の陸軍の整理関係では適用困難であろうと考えております。米国軍の日本における駐留人数というようなこと、定かに私承知しておるわけではありませんけれども、私の仕事の面からわかりますことは、陸軍はアメリカへ漸次帰つて行くという兆候が現われておるということでございます。施設の返還の関係若しくは北海道からこちらへ移つて来たとか、いろいろな関係もありますので、恐らく来年、来会計年度、来年の七月以降になれば、そういう動きが見えて来るのであろう、そういうことを前提としたいろいろな相談にも乗つておりますので、従つて帰休を命じておいて、あとから又仕事があるというわけには参りかねるのであろうと考えております。
  38. 松浦清一

    委員長松浦清一君) もう一つ問題が残つたのですが、アメリカ陸軍の二五%の予算削減というものは、労務賃金だけで二五%の予算削減をするという、そういう方針でございますか。
  39. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) その点は申上げ足りなかつたかも知れませんけれども、二五%の削減は陸軍全般を通じて二五%の節約であります。労務が二五%ということではありません。従つて全般二五%の目的を達成するために労務は二〇%ぐらいでいいか、一八%でいいかという決定を今急いでいるわけであります。
  40. 松浦清一

    委員長松浦清一君) ほかに御質問ございませんですか。  それでは本日の委員会はこれを以て散会をいたします。    午後零時四十三分散会