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1954-09-02 第19回国会 参議院 厚生委員会社会医療関係の諸問題に関する小委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二日(木曜日)    午前九時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 壽彦君    副委員長    山下 義信君    委員            高良 とみ君            藤原 道子君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   白石 正雄君    国税庁長官   平田敬一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会医療関係の諸問題に関する件   —————————————
  2. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 只今から社会医療関係の諸問題に関する小委員会を開会いたします。  本日は国税庁長官及び直税部長さんの御両人が見えておりますが、御承知通り昭和二十六七年度におきましては、社会保険診療報酬に対する課税率は三〇%ということであつたのが、二十八年度からこれが中止になりました。そこで大蔵当局のほうからは通牒によりまして成るべく前年度の課税と同様になるよう課税するというような通牒が出ておるのでありまして、末端におきましてはなかなか円満に行われていない実情もあり、又一面にこの適正なる単価というものがまだきまつておりませんので、この課税の問題が全国的に大きな問題になつております。これらの点につきまして国税庁長官から御説明を願いたいと思います。
  3. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 只今問題になりました健康保険に関する医師所得課税の実際につきまして、私から最初に概要を申上げたいと存じます。  只今ちよつと委員長からもお触れになりましたように、昭和二十六年分と昭和二十七年分、この二年分につきましては、保険料収入から生ずる所得につきまして、所得計算上の一種特例と申しますか、という措置行政措置といたしまして実はとることにいたしたのでございます。それはもう大体皆さん御承知かと思いますが、昭和二十六年の暮に単価改訂の問題に関連しましていろいろ問題が併せて議論になりまして、当時といたしましては、単価改訂が十分に行われがたいという事情がございましたのと、それからもう一つは、その当時一番問題になりましたのは、二十六年分の所得についてでございましたわけでありますが、診療収入が十分上らなかつたのに対しまして医薬代が急激に上つて従つて収入も、純所得余りよくないと、こういう事情がございましたので、その当時いろいろ経緯もございましたが、国税庁といたしましては、一応そういう問題を応急的に解決する手段といたしまして、医師健康保険から生ずる所得に対しましては、収入金の三〇%を以ちまして大体所得として計算するように、こういう趣旨通達を発しまして、この問題に対処いたしたわけでございます。ところがその後いろいろ更に問題もあつたわけでございますが、昭和二十七年分につきましても実はいろいろ問題がございまして、こういう措置を、取扱いで行いますことは、どうも法令運用上適当でないのじやないかという議論もございましたけれども、なお併し、その当時まだ問題がたくさん残つておりまして、早急に解決しがたい事情もございましたので、二十七年分といたしましてもこの扱いを急に変更するのはどうであろうかというので、部内には変更意見もございましたが、まあもう一年は継続を認めようということで認めることにいたしまして、従いまして昭和二十六年分と七年分のこの二年分につきまして、所得計算収入金の三〇%を以つて健康保険の純所得として行こう、こういうことにいたして参つたわけであります。  ところがこれに対しまして実はいろいろ問題がだんだん深刻に出て参りまして、一つ会計検査院のほうから実は推問を受けまして、こういう法令に基かないで、行政上の手心で極めて勇敢な措置をとるというのはどうも不適当だ、一刻も早く是正されたい、こういう実は推問を受けたのでありますが、そういう問題が一つございましたのと、それからもう一つは各地方におきましてどうも各納税者間、横の納税者間の均衡がとりにくい、殊に青色申告納税者方面におきまして所得があるなしにかかわらず一律に収入の三〇%を以つて所得にするといつたような、こんな荒つぽいことできめられるなら、皆そういうふうにしてしまつたらどうかといつたような議論が出て参りまして、私ども税務行政を円滑適正にやつて行く立場から由しましても、地方から実は非常な問題を捲起して、来たわけでございます。税務官庁の間でもそうでございますし、又地方の間における納税者の相互間の問題といたしましてそういう問題が出て来まして、まあいろいろ問題が出て来たわけでございますが、国会におきましても委員会その他におきまして実はこの問題一刻も早く本来の姿に戻すようにという議論も大分承わつていたのでございますが、そういう事情がございましたので、二十八年分としましてはこういう応急的な暫定措置取扱いで続けて行くのは、どうもやはり適当でないというふうに考えまして、二十八年分の課税に当りましては、実は昨年の四月以後私どもこういう特例措置はやめる考え方の下に、関係方面といろいろ話合いを進めて来たわけでございます。その問いろいろ事情もございまして、いろいろ行違いなり草の話の食い違い等ございまして、そのために各方面で若干更に問題を起したことが率直に申上げましてございますが、私ども考え方といたしましては、実は終始一貫そういう態度で参つたわけでございます。二十八年分としては何としましてもこういう行政上の特別な措置はやめる、こういう考え方で行つたわけでございます。ただ、そういたしましても、やはり健康保険収入に対しまする課税につきましては、それに応ずる特別、できるだけのことは行政考えたい、何とか理窟なり弁明のつく範囲内におきましては、必要な措置考えたいという考え方を私どもつておりまして、そういう趣旨からいたしまして実は二つのことを実行に当りまして行うことにいたしたのであります。一つ必要経費見方につきまして、理窟のつく限り或いはできるだけ理窟をつけまして寛大な見方をとる。従来はまあ図書購入費或いはその他の会合費研究費といつたようなことにつきましては、なかなか実際画人所得計算上ははつきりしないのと、理窟がつけがたい点もございまして、一年限り、そういうものを計算にすぽつと落すということは認めていなかつたのでございますが、そういうことは何しろ収入金はつきりしていることでもございますから、認めて行くことにいたしました。それからもう一つは、つまりお医者さんに特別にあるような経費は特別に一つ引こう、そういう趣旨通達でございます。それからいま一つは、これは少し遅れて出したのでございますが、それにもかかわらずなお前年に比べまして相当所得が激増する人、まあ収入が殖えまして所得が殖えるのはこれは当然のことだと実は私ども考えたわけでございます。収入余り殖えないにかかわらず計算方法を変えたために相当所得が殖える人、こういう人につきましては、これは切換えの際の特別な措置といたしまして、激増の程度を或る程度のところでとどめる、そういう考え方で行くようにという趣旨通達を出したわけでございます。その通牒につきまして、実は若干趣旨の履き違いで何もかも前年と同じにするのだととられたところもございますが、そこまで行きますのは行き過ぎでございまして、著しく殖える人は一年限り或る程度のところでとどめよう、こういう趣旨通牒を発しまして取扱い変更に対処いたしまして、できるだけ円滑適正を期して参りたいというふうにしていたしたのであります。それとできるだけ各地の医師会等との緊密な連繋、協調を保ちましてよく話合いをつけてきめるように、こういう趣旨で指導した次第でございます。その間若干行き違いがあつたり、或いは地方によりまして考え方の更に若干違つたような点がございまして、地方によりましては円滑を欠いたような所がございますが、いろいろ中央からも、更に具体的な指導いたしまして、現在のところは大体におきまして全国的に見ますれば、落ちつくべきところに落ちついておるんじやなかろうか、まだなお若干問題が残つておりますが、或いは途中でもいろいろいきさつがございましたが、そういうことになつております。  七月末現在の大体の概況でございますが、余り詳しい数字はございませんが、大体の数字は間違いないと思います。二十八年分として調査の対象なつておりますお医者さんが五万三千八百人程度おられます。そのうち五万二千九百人程度がすでに申告を出して頂きまして、或いは最初出して頂いた申告を修正して頂く等の方法によりまして、申告通り納税をしてもらうことになつております。それから百六十人程度がどうも話合いがつかないで更正決定ということになつております。なお、そのほか七月末現在で話合いがつかないでなお調べ中、或いはいろいろ折衝中で未決になつている分が六百八十名、こういう大体の概況なつておりまして、全体として見ますれば、いろいろいきさつもございましたが、今申上げましたような処理の状況なつておるということを申上げたいと存ずる次第でございます。  なお、今後の問題につきましては、いろいろ問題があるか思いますが、一応今までのいきさつとこの問題に対する要点だけを申上げまして御参考にいたしたいと思います。なお、先ほどのにちよつと補足して申上げますが、標準率を二十六年分と七年分につきましては、一律三〇ということで参りましたが、七月末現在で、概数でございますが、実際にどれくらいの率になつておるかと言いますと、これは平均いたしますと、健康保険のほうは、三五%くらいの所得率なつております。これは勿論地方により人により若干の差がございますが、総平均が三五%くらいのところでおさまつておるようでございます。  概要以上御説明申上げまして、なお御質問によりましていろいろ申上げたいと存ずる次第でございます。
  4. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 御質疑がありましたら……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 速記を始めて下さい。
  6. 高良とみ

    高良とみ君 保険医の三五%くらいで、二十七年度の納税総額、二十八年度、九年度の見込の総額はどのくらいになるのですか。
  7. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 二十七年分につきましては、余りまだ詳しいのはございませんが、二十八年分につきましては、特に調べましたものを見ますと約六十億くらいの税額でございます。
  8. 高良とみ

    高良とみ君 更に保険医でない医師全体の納税の二十八年度の総額はおわかりですか。
  9. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今申上げましたのは、たしか医師全体の税額でございまして、これは御承知通り税額は両方兼ねておられるお医者が大部分でございますので、総括でしか出ておりません。所得金額としましては健康保険の分と一般の分と大体概算で分けておりますが、全体が約二百三十九億の所得金額に対しまして健康保険の分が百五十四億、一般の分が八十五億程度金額なつております。従いまして全体の所得のうち約三分の二弱が健康保険で、三分の一程度がその他の分で、税額は御承知通り各人所得をまとめまして一括いたしますので、大体所得の比率で按分して御判断頂けば一つ判断ができるかと思います。そういう関係なつております。
  10. 高良とみ

    高良とみ君 先ほど御説明のあつた最後の方針として示された収入額は或る程度でとめておくということの御趣旨をもう少し説明して頂けませんか。
  11. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今年三月四日に地方国税局長宛に出しましたその点に関する通達ちよつと申上げさせて頂きますと、社会保険診療報酬に対する課税標準率による課税取扱昭和二十八年分から取やめることになつたことに関連して、医師及び歯科医師研究費図書購入費交際費などの取扱については、本年一月十五日付これこれの指示した通りであるが……その次でございますが、なお従来の経緯に顧み昭和二十八年分の状況が前年に比して大差のないにもかかわらず、従前の扱いが廃止されたことにより、所得金額が著しく増加する向きについては、必要経費の算定につき特に配意する等できるだけ実情に即するよう十分留意されたい。これが私ども実は公式に書面で通達を出し得る限度のものでございまして、こういう程度のものでございますれば、会計検査院から文句をつけられないと思います。ところでこの意味ではどのくらい増加するということがわからんではないかということが、実は衆議院の大蔵委員会で、ちよつと速記をとめて頂きたいのですが……。
  12. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 速記を始めて下さい。
  14. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) なお、この通達運用につきましても具体的にでき得る限り不均衡なことにならんようにできるだけの措置とつた次第でございます。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 もう一点伺います。その前に言われた医師に普通不可欠であるという施設についても考慮するというような御説明がありましたね……、
  16. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 一月十九日付で実はこれは相当この通達は早く出しておきませんと、具体的な所得計算に間に合わなくなりますので、一月十九日付で私の名前で国税局長宛に出したのでございますが、それは医師及び歯科医師所得計算上の取扱いについてということでございまして、その内容は先ほど私が趣旨を申上げましたように、一つ医業に関する会合等に出席するための費用も、これは若干いろいろ疑問もあるが大体必要経費と認めるように、それから研究費ども必要経費に認めるように、これを更に具体的に相当細かく書いております。例えば動物を飼うとか、その他大学の研究室等を利用して研究するような場合、その場合に費用を出すとか、そういつたような研究費を少し広く解釈いたしまして、できる限りそういうようなものは引くように、それから図書購入費なんかについても、厳密に言いますと一年限りで落していいのか、いろいろ議論があるのでございますが、これも少し引くように、それから接待費交際費等につきましても、お医者さんの医業遂行関連があると認められるようなものは認めるように、それから寄附金なんかにつきましても、医業関連があると考えられるようなものはできる限り認めるように、こういう趣旨通達相当細かく出しまして、実際に応ずるようにいたしたわけでございます。
  17. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと第一、第二等は大体似たりよつたりの条件たろうと思うのです。そうしてそれから第三のものも大体大蔵省としてはできるならば三〇%でとどめたいという趣旨を大分苦心して、いろいろ細かく手心を加えておられるような印象を受けたのでありますが、そうするとそれは主として税制の衡平化の問題と、それから会計検査院等立法措置がないということに対する行政当局責任上の苦心のあるところだろうと考えたわけなんです。そうすると、その背景にある御趣旨はどういうふうにしてこれをやつて行つたらいいという考えが、根本にあるのですか。国民保険を扱つておられ、社会保険を扱つておられる医師に対してはこういう特別な考慮をして来ると、やはりそうすると青色申告をしているほうからも商店の広告費とか社交費とか、接待費というものは、やはり言つて来るのではないかと考えられる、そうすると、国民保険社会保険に対する大蔵当局考えの中には、国民或いは社会福祉に基くこういう奉仕に対してはやはりできる限り課税をこういうふうに殖やして行きたくないという思想が入つていると思われるのですが、やはり立法化して行く方向へ持つて行かれる趣旨を持つておられるのか、或いは依然として青色申告者医師の中にも青色申告をしているものがあるが、そういうものをどういうふうに衡平化して行くと考えておられるでしようか。
  18. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今後の問題につきましては、実は先ほども意見を申述べることを差控えた次第でございますが、いろいろ問題があるのではないかと存じます。今読みましたことに関しまして少し補足して御説明申上げておきたいと思います。一つは先ほど申上げましたように、法令に十分な根拠なくして極めてはつきりした法令違反をやつているのじやないか、と申しますのはつまり帳面はちやんとつけて青色申告しておられるお医者さんがおられます。そういう場合に所得計算すれば、仮に所得率というものが四十五として出て来る、それが中央から指令しまして三〇%にしておけ、こういうことに実は二十六年、二十七年いたしたわけでございます。これは非常に応急的な荒つぽいことをいたしたのでございます。そういうことは如何にも行政執行として、法令執行として正しくない、これが一つの形式的なおかしさを直す、こういう問題かと思います。この点は私どもとしてやはり一年、二年やつて見まして、どうもやはり具合悪い、国税庁全体として税務行政をいろいろ改善すること努力しておりますが、私ども一番の焦点は如何にして国会できまつた税法を法律通り、而も法の精神を如何にして実情に活かしつつ適正に実施するかということに苦心をいたしておるわけでございますが、そういうこと等もまともにぶつかつて行きまして、どうも納税者にも、或いは地方の役所にもこういう指令を出すことにつきまして、よく弁明できない。これは従いまして私ども今後の問題につきましてもこういう点はもう如何に問題がございましても困る、こういう考え方気持を実は持つておる。暫定措置といたしまして応急的な解決措置としてやつた、そうして今度改めることにつきましては、昨年来厚生省と事務的にたびたび打合せをいたしまして、こちらの態度は終始一貫その点に関する限り変えないで参つたわけでございます。従つてただその法令運用につきましても、今申上げましたように何とか理窟がつくような方法、これはできるだけ考えようということでいたしたわけでございまして、運用でこのような措置を再び繰返すということはどうも如何であろうか、こう考えておる次第でございます。  それからもう一つの問題は、それじや立法措置でやつたらどうかという問題が確かにあると思います。この点は私が責任を持つてお答えするよりは、主税局長が大臣を補佐しておりますので、そのほうの仕事のほうでやり得ることになつておりますので、必要がございますればそのほうの責任者から御意見を聴取して頂きたいと思うのでございます。ただ御参考までに申上げますと、地方におきまして納税者問におきまして負担均衡が果して得られるか得られないか、そこに問題があると思います。或る程度はお医者様の所得だから低くてもいいのだという見方もあるかと思いますが、田舎に行きますると、非常に狭いサークルで税金がお互い比較できる。そうなりますと、農家がこんなに所得税なり市町村民税を払つているのに、お医者さんは非常に低いということになりますと、これは非常に負担の不公平を来しまして問題が多い。昨年におきましても実は私ども地方に行きますと、そういう不平を大分ほかの納税者から聞いたことがございます。従つてそういう問題に対しましては、更に慎重に配慮を加えた上で、結論を出して頂く必要があるのではなかろうか。特別に考えている一つ理窟もあろうかと思いますが、同時に他の納税者との負担の比較ということを考え、殊に地方に行きますとシリアスな問題になつていることを立法措置でいたしますと、その問題は結局取扱いでやつたのと同じ結果になりまして、実質的な問題は残るということになるかと存じます。そういう問題はどういうふうに考えるか、総合的見地からいろいろ判断してきめられる問題ではなかろうかと、かように存じております。  なお、それから先ほど高良先生のお尋ねの青色申告との関係でございますが、実は青色中止につきましては、一般課税者に対するよりも経費見方につきましては程度の差はございますが、これもやはり一般方針としては、できるだけ理窟の付く限り経費についても寛大な見方をするように、それで青色申告もできるだけ普及いたしまして、合理的な基礎の上で課税が解決されて行くようにいたしております。勿論この場合私ども気持といたしましては、必要経費見方等についてはどちらにすべきかという疑問のある場合には、できる限り経費と見るといつたような考え方でやるようにということで現地を指導いたしまして青色申告の増加を図つているような次第でございます。
  19. 山下義信

    山下義信君 高良委員の御質問関連して私もちよつと伺つておいて、あとで小委員長にお尋ねしたいのですが、やはり今の点ですが、ちよつと長官の御答弁がはつきりしないのですが、社会保険医というような性格を、これをはつきりと大蔵省はいわゆる公共性を多分に持つているものであるという見解を明確に下して、こういう処置をとることになつたのですか、どうなんですか。
  20. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 二十六年分にとりましたときのいきさつは、さつき申上げましたように、一番の要点単価改訂の問題が問題になりまして、一部は解決されたが全面的に解決されなかつた。その際の問題が薬代が非常に上つて、それから収入余り上らない。従つて所得率が非常に低くなつて苦しいのだ、こういうことが一つ議論なつたわけでございます。従つてそういう際におきましては、応急的に解決する方法として非常にこれはどうも本当を申上げますと腰だめ的な措でございます。三〇%と見よう、そういうことでまあ暫定的に一種の政治的というのは少し言い過ぎかも知れませんが、応急的な解決策を図つた。それから二十七年の分につきましても、同様問題がございますが、なおいろいろ問題が残つておりますので、そのまま引継いだのであります。やつたところが、如何にも他に弊害が多くてそのままやつて行けないということで、二十八年度からやつて行くというのが率直に申上げましてこの問題の中心であります。私ども更に二十八年度分につきましているく経費見方等について言つておりましたのは、一つ課税の上から行きましても一つ見方を持つておるのでありまして、健康保険の場合は収入金は非常にはつきりしております。その場合には経費見方もできるだけ親切に見てある、それで以て初めて納税者にも親切ではないか、負担の実際の実情にも合う、こういう考え方を取入れましてそれならば受入れるだろうという考え方で、実は先ほど申上げましたような措置とつたのであります。激増したような場合には格別の掛酌を経過的に認めて、納税者のトラブルを起さないというような措置でございます。根本は勿論私どももいろいろ健康保険の問題につきましても、実情或いは必要性等につきましてはいろいろ承わつております。課税につきまして判断をした中心は今申上げましたようなことでございます。従つてこれを更に立法措置をするしないということになりますと、お話のような更に健康保険所得性格或いは性質、それが果して他の所得特例を設けるだけの理由があるかどうかそういう問題を、更に一層突き進んで検討いたしまして結論を下すべきではないか、所得税の場合におきましては原則は非常に無分別でございまして、如何なる所得もいやしくも所得があるという以上、課税するのは大原則でございまして、役人の給料も全部課税対象にいたしておりますし、それから泥棒の所得まで課税するかしないかということが議論になるくらい、あらゆる所得課税することを実は大原則にいたしておりますので、そういう課税の際の特例を設けることにつきましては、非常に理論、実際両面から、立法措置につきましては慎重な措置をいたした上で結論を出したい。私ども十分健康保険重要性特殊性を私ども承わつて、その点につきましていろいろ研究いたしておりますが、立法措置としてそういうことをやるべきかどうかということになりますと、なかなかやはり簡単に、軽率に結論を下しがたいのじやないか。主税局方面等におきましても、十分な理由があることに対しまして疑問視しておるような状態でございます。現在の段階では、なお併しこの問題はよく議論を聞きまして、その上で慎重に結論を出して然るべきではないか、かように考えております。
  21. 山下義信

    山下義信君 これはやはり保険医性格を、課税対象からどういうふうに見解を下して行くかという大蔵省態度を決定することは、社会保障制度の上における諸般の関連事項と睨み合せて非常に大きな問題として今慎重に検討するという、しなければならんという長官のお話、従つて今はそういう根本の問題については触れないで、こういう措置とつたのだ。それで、ですからこれをほかの意味で、今の支出のこれこれのものを特別の扱いをしてあげるのだ、親切に実情に副うようにしてあげるのだということで、質問をしても同じ質問になるだけであつて、どういうわけでこれだけの特別の温情を以て扱うのかということも同じ答えであります。それですからこの措置は理論的にははつきりしないのですね。まだ、大蔵省はこの措置をとられたことについての理論としては、まだはつきりしていないのだ、こういうことでありますね。そうしますと今回おとりになりました措置は、三月四日のまあ通牒、この措置は、これはやはり暫定的の措置でございますか。これは今年度限りの措置でありますか。
  22. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) この一月十九日の通達は、これは先ほど申上げましたように、青色申告について考えられる考え方を更に一歩進めたというのでございまして、まあこのほうは更に合理的にするという意味で今後とも継続して行きたい。研究費その他の見方等も出ると思います。それから三月四日の通達は、二十七年と二十八年度の切替りに関する通達でございますので、更にこの次の年度にどうするかということを改めてよく検討した上で結論を出したい、かように考えております。
  23. 山下義信

    山下義信君 そうすると、つまり今年度限りのこれは暫定措置でありますね。そうすると今後の方針につきましては、まだ大体の方向も長官のお考え大蔵省のお考えはまだ承わることはできませんか。ほぼ大体の御方針というものを……。でこれはその大体の方針ということを承わらなければ税金の今年の措置はこうして済んでしまつちやつたのですから、これでいいのですけれどももう言うまでもないことです。他の関連した問題も、これはどういうふうに考えていいものかわからなくなつちまう。で大体の方針はどうなんですか。この社会保険収入に対する大蔵省の今後の方針はどういう方針かということの、大体の方針でもいいです、お心持を承わりたいと思うのです。私は他の席で長官相当意見をお洩らしになつたと思うのですが、他の席でお洩らしになつた以上、私どもも承わらなければならん。これは言葉は短くてようございますから、私ども国会の意思を決定せねばなりませんので、これは非常に長官のお考えは重視せにやなりませんので、忌憚なく一つおつしやつて頂きたいと思います。
  24. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 先ほど高良先生にお答えしましたように、行政上の措置といたしまして、やり得る限界のことは私どもつておるわけです。  これ以上のことは、将来再びやるということは私ども困難であると、これもはつきりこの際申上げておきたいと思います。それから今の一年限りの暫定措置云々、この問題はあらためてやはり来年度こういう問題もよく検討してみたいと思います。これはもう少し先の問題になるかと思います。それから従つて行政措置といたしましては、大体今年やつたような方法がぎりぎりのところではないかというふうに考えます。なお併し具体的に経費見方等につきましては、地方の実際に応じまして、いろいろ徹底していないところもあるかも知れませんが、そういうところにつきましては十分徹底いたしまして、実際にも合い、而もお医者さんと話合いを付けまして、納得の行く線でとりまとめたいと考えております。  次の立法問題につきましては、実はこれは単価改訂の問題にも関連して来る、そうなつて来ますと大蔵省といたしましては、やはり予算の、歳出予算の問題の関係、租税政策の全体の問題にも関係して来るわけでございます。大蔵省意見をこの際言えということでございますと、私率直に申上げまして、それを申上げる資格は本日はないわけでございますので、御了承頂きたいのでございますが、税の立法の問題といたしましては、まあ私ども議論いたしました点は、単価が低いから税で何とかするということは、暫定的、応急的には考えられないこともないが、そういうものを恒久化するような措置はどうも賛成いたしがたいと思います。これはやはり単価単価で、ちやんと合理的な資料に基いて、果して妥当であるかどうか、少くともそれを適当なところできめることにいたしまして、課税課税で合理的にやつて行く、これが一番やはり行き方としては行くべき道ではないか。この本筋の道はそこにあるのじやないか。課税の上で特別考慮するとしますれば、保険医所得の特性に応じて、果して特別な考慮を加える理由が十分あるかどうか、むしろそういう問題として取上げらるべきである。そういう問題として取上げる場合におきましては、先ほど申上げましたように、所得税というものはなかなか特例を認めにくい性格のものでありまするので、よほど慎重に、十分な理由がないとうまく行かんのじやないか。うつかり認めますと、さつき申上げましたような、地方から実際に納入者間のアンバランスということが出て来まして、実質的に不公平だという議論も出て参ります。そういう点を考慮してやるべきである。従いましてこの問題も、大蔵省の主税局の所管でございますので、私本日決定的な意見を申上げることは差控えたいと思いますが、簡単に結論を下すのはなかなか困難じやなかろうか、こういうふうに私考えております。この点はあらためて、大蔵省意見ということでございますれば、別に相談いたしまして、又適当な時期に委員会に申上げるように取計らいましても結構であります。
  25. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 今日大蔵省主税局の税制第一課長の白石君がここに御出席になつております、若し……。
  26. 山下義信

    山下義信君 よくわかりました。結局現業の、税金を取り立てるほうの官庁として、いわゆる取り立ての上における手心を加えるということは、すでにこれがもう限界だ、これ以上のことはいわゆる行政措置だなんだと言つても、要するに、名前はきれいなことを言つておるけれども、要するところ手心を加えるということは、徴税の上において非常にアンバランスを生ずる虞れがあるので、これ以上はできないということですね。我々もそうだろうと思う。所得税で何ですか、その事業を国策の上で補助して行くという、助長して行くというために、非常に顕著な、特殊の取扱いをしておるという例が他にありますか。あれば一、二お示し願いたい。
  27. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 取扱いの上で特別にやつておるというのは、私非常に一般的の問題としては、今ここにはつきり記憾して申上げるような材料はございませんが、租税特別措置法という法律、特別な経済政策の目的を達成するために、特例措置を設けている例は相当ございます。或いは又所得税、法人税法の中にも、そういう趣旨をとり入れて立法している例はございますが、それはそれぞれそのときの必要性に応じまして、政策がいいかどうか判断してやつておるわけでございますが、所得税では御承知のように、今超過供出奨励金がありまして、基本米価等は全部課税しておりますが、あの上に乗つかる奨励金の問題は、如何にもそういう奨励金を出して政府に集めるのだ、そういう意味でそれに課税したのじや、本当に奨励金の目的を達成いたしがたいという趣旨で、この分は免税いたしております。預金等につきましても、特例を設けておるのは御承知通りであります。扱いにおきましても、微細な問題につきましては、たまに問題があるようなことでございますが、一般的な問題としてはそれほどございません。ただ、もう一つ、これは思い出しましたが、先般実はこういうことをいたしました。最近デフレで会社が大分潰れかかつておる。売掛金を回収に行きましても次々焦げついておる。これは税法の建前からいいますと、一応権利発生主義となつておりますが、ぎごちな解釈をいたしますと、取れようが取れまいが、貸倒れになるまで課税するという、一応形式になつておるのですが、如何にもこの実際に合わないということで、この所得計算て対して若干救済するという意味で特例を設けたことがございます。これは行政扱いはいたしましたが、何とか理窟の上におきましてもつきそうな限度、限界までにとどめるという趣旨で実はいたしております。そういうのが御質問関連しまして、今私思い出しましたことでございます。
  28. 山下義信

    山下義信君 今あなたの中小企業者の営業の実態上、損失の状況に陥つた者につきましては、或いはすでに徴収しておる税金を返してやる、これは非常に善政で、あなたの先々月頃でありましたか、地方御旅行中にそういう談話の出たのを新聞で見て、これはいいと思いましたが、そういうことは別として、それではつきりしておることでありますから、当然のことであるかも知れませんが、今の特別措置法以外の収入の査定の上において、手心を加えるという例は余りないでしようね、免税するとか、税率を別の法規によつて扱うということはあるでしようけれども収入の査定に手心を加えるということが、その業種々々によつていろいろに行われておりますか。
  29. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 収入の査定に完全に手心を加える、殊に所得の実際にかかわらず、一律に幾らで行けということは非常に異例でございまして、余りございません。先ほど申しましたように、経費見方につきましていろいろやつておる例はございます。例えば葉たばこの収納から生ずる所得、これは非常に所得はつきりいたしますので、経費見方等につきましては、できる限り見落しのないようにという趣旨中央からも通知して注意させる、そういう負担のより一層衡平、所得の一層適正な、実際に合うような計算方法にするようにという趣旨で、注意や通達はときどき出しております。所得が幾らにできるように、一律に幾らにせよといつた通達を出す例は、異例でございます。
  30. 山下義信

    山下義信君 それでは何ですね、大体率から言えば、三五%以下を見てやるというようなこと、或いは支出について、つまり言えば徴税の手心についてこれ以上するということは、もうこれ以上はできない、要すれば、実ははつきりした特別の法的措置があることが一番望ましいことであつて、当局としても大体はそれが原則である、そういうことを希望しておられると、こういうふうに理解してよろしうございますか。
  31. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その法的措置をとるかとらないかにつきましては、先ほど申しましたように、それぞれの問題として別に相当慎重な検討を要する、私は併し行政上の措置といたしまして、本年やつた以上のことをやるのは、どうも困難である、こう申上げておるわけでございまして、すぐ法的措置をとつて然るべきだという言葉では申上げてないことを御了承願います。
  32. 山下義信

    山下義信君 私は法的措置をとつて然るべきだという意味ではない、法的措置をとらなければ、これ以上のことは、もうあなたの手心では行かないだろう。従つてこの程度でも私は来年はできるのではないか。ですからくどいように聞きますが、今年だけの措置ではありませんかということを伺つたのですが、言うまでもなく医療費の支払が非常に激増の状況にある、それからこれまできるかできんかわからんが、一応法律においてやるということになつているのは、来年の一月からの医薬分業、いろいろ社会保険の様相変つて来る、従つて社会保険医収入の状態も大きな変化をしようという場合に、来年もこの通りやりますとは言えんはずです。ですからそういうようなことをいろいろ考えると、どうしてもこういうふうな社会保険医収入について、いろいろな考方から社会保障制度の建前や、社会保険医性格や、そういうものから特別な扱いをするんだということになれば、毎年々々暫定措置ということはできないのであつて、かつちりとした筋が立つて来なければ、実際はできなくなつて行くのだろうということを私は伺つた。自然そういうことが必要になつて来るのだろう、若し特別措置はどうせできないのだということになれば、原則的に立つておかなければならん、はつきりして来なければならん段階がやはり近付いて来るだろうと私はこう思うのですね。そういう意味で伺つたのです。それでこれはそもそも発端は不明朗だと思うのです。今の二十六年の単価が暫定単価で引上げ方が少い代りに、税金のほうで片棒を持たせるというつまり取引ですね、ここから因を発してここまでもたたして来ている。それ自体が実際私は筋が立たんと思うのです。それからあのときは三〇%にしました。その三〇%にしましたことについては物が高うなつて来るし、収入がまだ伴わないしという同情をなされたわけですね。私はそれはそのまま受取れんと思うのです、理論的にはですよ。二十六年、二十七年はインフレですから、物は高うなつて来る、収入が伴わないという状態は、何も医師収入支出の状態だけではないと思うのです。私はやつぱり単価をあの程度でいわゆる政府が値切つて、代りに税金のほうをまけてやつて埋合せをしようとしたというその不可分の取引の問題、ここにずつと尾を引いて来ておると思うのです。それですから問題が非常に不明朗で今日非常に大きな騒動の因になつておる原因は、二十六年の単価引上げのときの取引にある。誰が取引したのですか、厚生大臣と大蔵大臣が取引したのです。この取引したことは明確なんでしよう。天下周知の事実でしよう。ですから私はそういう取引が因になつて、それで課税手心を加えるということになつて来て、そしてよい加減のことをやつて行くということは私は面白くないと思うのです。これは国全体としても面白くないし、社会保険医としてもそれじや私は安心ができないと思う。いつまでも不安定な状態ですね、こう思うのです。それで今日昭和二十八年度の扱い方が依然として単価問題と関係があつてこうしたのか、ただ二十七年度から急にこうなつて行くことの何と言いますか、苛敬謙求になるから、徴税当局が苛敬謙求にならんようにしたのか、やはり依然として単価問題と関係があるから、こういう措置をしたのかということの、この種の手心を加えられました方針は一体どういう方針でおいでになるのでしようか。先ほど長官単価問題と関係があるのでこうせざるを得ないのだというように聞えたのでございますが、そうすると一方には単価の引上げがあつたならばこういう扱い方はやめます。単価の引上げが幾らかなされても、やはり社会保険医にはこういう扱い方をするのですか、そこを一つ承わつておかなければ、無方針じやいかんと思うのですね。たとえ今年の当面の二十七年から八年の切替りの急激な変化があつてはいかんというだけの措置では、こういう大きな国の政治の一端としては筋が立たんと思うのですが如何でしようか。
  33. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) いろいろいきさつは別にいたしまして、私ども判断の際の中心考えました点だけを申上げますと、二十六年につきましては、今山下委員も御指摘のようにお医者さんの単価が十分上らない、収入余り殖えてない、これに対しまして朝鮮動乱以後急激に薬代その他が値上りした。この一般的事実は大体判断できたわけでございまして、そういう事態のあるということを考えまして実は応急措置でございますが、少し荒つぽい措置とつた、これはとることにつきまして我々も一つ決意して見ようということになつたわけであります。その他の事情につきましてはいろいろあるかも知れませんが私どもよく承知しておりませんが、私ども判断中心はそこにおいてやつたわけであります。ところが結果は、先ほど申上げましたように、いろいろの問題が出て来て改めなければいかんということで変えたわけであります。二十八年度分につきましては、所得計算の本旨に基いて、飽くまでも所得税というものは各人の収入支出経費をよく調べて純所得を出す、これは大原則でございます。その原則に先ず立ち戻ろう、そうしてそれを運用する際におきまして先ほど申上げましたように一番中心考えましたのは、健康保険はとにかく収入金が非常にはつきりしておる、そういう場合には経費見方、につきましてもできるだけ何とか理窟のつく限り見よう、これはやはり負担均衡論から行きましても理由がある、こう考えまして一月十九日の通達を出したわけであります。ところがもう一つ、どうも如何にも何といつても二十六年、二十七年は一種の少し変態的措置でございますが、特例計算を認めて来たじやないか、それを急に政府が変えて負担を激増させることはどうも怪しからん、こういうように納税者が非難して来た場合に、我々といたしましてもその非難」に対しましては或る程度やはり考えざるを得ん。それでいたしましたのが三月四日の実は通達でございまして、従いまして中心は私どもやはり課税の問題をどうすべきか、どうしたのが一番実際の場合公平になるかということを中心にいたしまして、合せてその他のいろいろな事情も参酷いたしまして運用を図るようにいたしておるということが、実は私ども少くとも問題を扱う場合の中心点はそういう角度から判断さるべきであるし、又判断して行きたい、こういう趣旨でおりますことを重ねて申上げさして頂きたいと思います。
  34. 山下義信

    山下義信君 そういうことにいたしましよう。わかつていて問うておるのですからくどいのもいけますまい。要するところ今回の措置はこれは税法上明確に合理的になし得る範囲内の措置で、この種の収入はつきりわかつて、隠すこともごまかすこともできないのだから、余り苛酷なことはできない種類の対象である。それから一つには、前年度から急転しての急激な増徴はこれは一応考慮しなければならん、こういうことで当初の単価問題かここに尾を引いて引き続いてこの種の特例措置をとるのではない。こういう御趣旨と解するのでございましようか。
  35. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 単価問題との関連があつた過去の事実は認めますが、二十八年度としましては、少くともそういう問題は直接の理由にはしないので、課税の見地から考えられるだけの措置をとろう、こういうことにいたしたことを重ねて申上げておきます。
  36. 山下義信

    山下義信君 わかりました。それではつきりいたしました。それでこの三月四日の通牒は、私も拝見しましてなかなか理解しにくくてわかりにくいのでありますが、三九%の頭打ちで見てやるというと、平均すれば三五%になつたということでありますが、これは遠慮なしに一体当り前にとりますとどのくらい見込むべきものですか、六〇%くらいは見ていいのですか、どのくらいなところに見るのか、いろいろなあの手この手で御親切にお扱いなつてこの程度におさまつたのでございますか、その辺を一つお渡し願いたいのです。
  37. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、サンプル的に調べたのがございますが、全部のものにつきまして実はそういう計算はできておりません。又なかなかむずかしいのでございます。今申上げましたのは、結果として結論が出た数字の総平均を実は三五%というのは申上げたような次第でございまして、その場合にさつき申上げました計算上認められるようなやり方をやらない場合にどうなるのかという数字はどうも余り正確なことを申上げかねるのてございますけれども、その点御了承願いたいと思います。なお、サンプル等について調べました場合におきましての例といたしましては、勿論それよりも或る程度高く出ているのが通例のようでございまして、その数字余りここで詳しく申上げることは差控えさせて頂きたいと思います。
  38. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、本年度の実績が三五%ということがどの程度のいわゆる恩典になつているかということは、ちよつと我々ではわかりませんね。それからいま一つは、先ほどおつしやつたように、前年度と比較してみて実際の業態は変らないのに、収入が非常に急激に増加するような計算の仕方ではそうなるということは、どういう意味なんでございますか。つまり言ひ換えるというと、支払は明確なんでございますね。そのいろいろ支出が、その他の調査を正確にしてみると、もつと所得があるということも、そこまではしないでそれで行くという意味なんでございます。
  39. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 二十七年度、八年度を比較してみますと、収入という言葉は支払基金からお医者さんが支払を受けるグロス・サム、即ち最初の収入が或る程度殖えて来る。それと収入から支出を差引いて計算した純所得収入金に対する比率がさつきから問題にしている三〇%とか三五%、これは個々について調べてみたら、従来の三〇よりも高くなつた、こういうことでございます。而もそれは先ほど申上げました支出、つまり経費見方につきましては税法上認められる限界の線が先ほど申しました研究費とかそれを引きましても、なお巨つ平均三五%になつた。そのほかに若干激増嵐酌で頭打ちしている人もありますが、出つ放しの数字はもう少し高いところにあるだろうと、こう思いますが、それが実情でございます。
  40. 山下義信

    山下義信君 この社会保険収入のことはわかりましたが、同一医師社会保険医であり又自由診療の開業の医師であると、この自由診療のほうに対しまする課税とは何ら関係はございませんか。そういう影響がございますか。
  41. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 実は大部分の人が両方兼ねておられますので、結局さつきの経費見方等につきましても、両方に共通する分は共通して引くということにいたしておるわけでございまして、実際問題としましては、率直に申上げまして終費のほうを精密に区分するということはなかなかむずかしいので、最後に一括して計算しておるというのが大部分だつたと思います。どういうお尋ねか、更にお尋ねに対してお答えいたしまするが、所得計算方法はそういう方法でいたしております。
  42. 山下義信

    山下義信君 特別に控除してやろうという研究費や旅費や図書、接待器具費、こういうものですね、こういうものの一体今回の査定の中にはどの程度の、支出のパーセンテージはどのくらい御覧になつておられますか。
  43. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは非常に人によつて違うようでございます。そうして研究費図書費等を買つておられる方と、田舎のお医者様になると余り買つおられない方といろいろありますから、人によつて違うようでございますが、今までサンプル的に報告を受けているところによりますと、大体収入に対して六、七%ぐらい出る人が多いという状況でございます。これが概況でございます。
  44. 山下義信

    山下義信君 私は実際の収入見込みと、今回査定した三五%というものとの間の関係が、どういうふうな関係で、従つて三五%というものの実際収入と見込まれる。パーセンテージに比較してどの程度の恩典になるかということを伺おうとしたのでありますが承わることができなかつた。併し支出のほうの特別の扱い方をすることが六、七%からになるということでありますと大分影響するところがあるのでありますが、これは末端ではこれらの経費の何といいますか、商人とかその他につきましてはいざこざは起きませんか。
  45. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは勿論経費の点について問題がございます。一般納税者の場合におきましても収入、支出を出して所得計算するわけでございますが、徴税査定の一番むずかしいところはそこにあるのでございまして、各地におきまして経費見方等につきまして常に問題がございますので、ひとりお医者さんだけでなく、すべての所得者の事業所得の場合一番の大問題でございます。従いまして本年度におきましてもそういう点について、地方によりまして相当問題を起したことが相当ございまして、私どもから更にそういう点につきまして具体的に、こういうものはこういうふうに見るようにと通達したこともございますが、こういう問題は慣れて来ますとおのずから又早く話が付く。それともう一つは、青色申告にお医者さんがなつて来ますと、非常に又基礎がはつきりして話が早く付くということになりますので、そういう線で今後はお医者さん方にも極力お薦めいたしましていざこざが……、少くとも合理的な基礎の上で話合いが付くような線にもつて行きたい。事実がはつきりわからないで認めるとか認めないとか、研究費を出したとおつしやるなら、果して出したか出さんか記録にも載つていないと、甚だ認めにくいということもございますので、そういう線で今後はできるだけお薦めいたします。少し面倒ではあるが、記録を取つて出してもらいまして、合理的に話が付くように進めて参りたい、こういう趣旨で今年もやつております。
  46. 山下義信

    山下義信君 わかりました。そうすると今回の措置は、前年のように一律に三〇%にせいとかどうとかという通牒によつてやつたんでないのですから、この程度のことなら会計検査院は何も異議をさし狭む余地はない、会計検査院においても異議はないだろう、こういうお答えでございましようか。
  47. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 私どもとしましてはそういう考えでいたしております。
  48. 山下義信

    山下義信君 将来の社会保険医課税の問題について、関係者は税の減免を非常に主張しておる。又私どももこれはやはりそういう筋に行くべきものじやないかという気持ちがあるのです。併し今長官が言われたように噂に公共性、公益性を多分に持つているものの所得も厳として徴収しておる今日の我が国の税制でありますから、非常に関係するところが多いだろうと思いまするが、将来の社会保険医のこの課税の問題につきまして、主税局はどういうふうに考えておられるか一つ将来のお考え方をこの際聞いておきたいと思います。
  49. 白石正雄

    説明員(白石正雄君) 結論から先に申させて頂きますと、将来の社会保険医課税問題につきまして、特別の立法措置を講ずるということは非常に妥当ではないというように考えておるわけであります。今まで国税庁長官から緯々御説明申しておりますような趣旨から、将来社会保険医課税問題といたしまして、立法的な措置を講ずるという場合に考えられますることは、まあ私どもの想像するところによりますれば、二つの問題があろうかと思うわけでありますが、第一は今までの所得標準率というものを例えば三〇なら三 ○というように法定するという問題が一つ。それから社会保険診療から生ずるところの収入金につきまして、これを所得なり課税対象から外すという問題が考えられるわけでありますが、第一の所得標準率を三〇というように法定するというような問題につきましては、これは所得税法の命ずるところによりまして所得の実態を把握いたしまして、そうして課税をするのが、現在の所得税の建前でございますから、それをあらかじめ法律によつてその率をきめるということは、所得税の建前を崩すものであろうと考えられるわけであります。そういう意味におきまして、標準率を法定するというようなことは、今までにも例のないことでありまするし、所得税の建前上妥当ではないと考えられるわけであります。又第二の問題といたしまして、社会保険診療報酬につきまして、これを所得税課税対象から外すことがどうかという問題でございますが、そもそも所得があるところにおきましては、すべて所得税を課するというのが現在の建前でありまして、ただ御承知のように、所得税法の中には、特殊の所得考えられるようなものにつきまして非課税措置を講じておる例はおります。例えば旅費のごときでございますが、旅費につきましても、厳密な考え方をいたしまするならば、会社や官庁からもらつた旅費額と実際上使つた支出との差額につきましては、やはりこれは一応所得考えられるわけでありますが、併しこれは旅費というものがそもそも実質弁償というような趣旨から出されておるわけでございまするので、その趣旨考えまして、一律的に旅費につきましては非課税というような措置を講じておるわけであります。こういつたように、その所得の種類によりまして、所得の性質によりまして、課税対象から外すということは考えられるわけでありますが、併しそういつた性質から考えまするならば、社会保険診療から生ずる所得につきましても、これはやはり他の所得と何ら区別すべき性質はないと考えられまするから、そういつたような意味におきまして、これをやはり所得課税対象から外すということは非常に妥当を欠くものだと考えられるわけであります。又先ほど長官が申せられましたように、超過供出の奨励金というようなものにつきましては、非課税措置が現在講ぜられております。二十九年産米につきましてはまだ講ぜられていないわけでございますが、過去におきましては講ぜられておつたわけであります。これは現在の供出制度という、特殊の制度から、超過供出の奨励金のみにつきましては特別の非課税措置が講ぜられておるわけでございますが、今回社会保険診療報酬につきまして、こういつた立法問題が起つて来ておりまするゆえんのものは、そもそもこの社会保険診療報酬というものがその性質上、課税上特殊の措置を講ずるというような問題から起つたというよりも、むしろ私どもの想像するところによりますと、二十六年以来の特殊の課税上の取扱から問題が発展しているように考えるわけでございまするので、むしろこの際といたしましては、このような見地から、税制といたしましては、これを本来の軌道に戻すということこそ必要でありまして、むしろそれを一歩進めて余り明朗でないような措置を立法化するというような方向に発展することは、非常に面白くない問題ではなかろうかというように考えるわけであります。殊に二十六年の当時と現在の状況とでは諸般の条件におきまして変更しておる面もございまするので、むしろ一点単価の問題は一点単価の問題として、正面からこの問題の解決をされるように検討せられることが望ましい次第でございまして、税制を余り妥当でないと思われるような方向にこの問題が発展することは非常に望ましくないことではなかろうかと、そういう考え方から、只今のところ私どもといたしましては、この社会保険診療報酬につきまして特殊の立法措置を講ずるということにつきましては、妥当ではなかろうというように考えておる次第でございます。
  50. 山下義信

    山下義信君 わかりました。これで私は社会保険医に対する課税についての大蔵当局のお考えはつきりした。ここで単価との関連性は清算して、そして本来の筋に戻そうこういうことです。言い換えるというと、何といいますか、政府のほうは若干この際単価改訂は止むを得ないというようなこともお考えなつておられるのかもわからない。長官は二十六年、二十七年のときは主税局長でいらつしやつたのですね。あのときの三〇%は長官主税局長のときの御通牒でございますか。
  51. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 二十六年一番最初にきまりましたときは私主税局長でありました。通牒国税庁でございますので、私も参考にあれしまして、国税庁から出したものであります。それをもう一年継続する際には、私長官なつておりまして、それを一遍やつたのを余り唐突に行くのはどうかということで、むしろいろいろ話合いをした上で変えようということで、昨年一年実は私この問題をいろいろ折衝しまして、さつき申上げましたように持つて行つたこういういきさつであります。
  52. 山下義信

    山下義信君 私は大蔵当局社会保険医に対する課税の軽減をする考えはない。従つて特別措置を将来立法するという考え方もない、そして又社会保険医に対する課税の徴税上の行政措置についてはこれが限度である。単価問題とは、よつて来たる因縁は当初二十六、七年あつたけれども、今回の措置関係がない。又将来関係を持たすべき筋合いのものでないという大蔵当局の御見解がはつきりいたしましたのて、私の質疑はこの程度にいたします。
  53. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 私から長官一つつておきますが、先刻来御説明のように自由診療と保険診療の平均が三五%、まあ現在の情勢を見ますと、都市と町村では非常にその割合が違つておる。町村に行きますと殆んど十割が社会保険診療だ。東京のような大都市でも、最近私どもが聞いたところによると二割ぐらいしか自由診療はないのじやないか。でありまするから、三五%平均しての間に、自由診療と保険診療との割合がどういうようになつておるか、割合によつて保険医にとつては非常に大きな差がある。だからして、これは自由診療だ、これは保険診療だというふうに区別がつきますというと、そこにはつきりするのでありますけれども、平均ということになりますと今申上げたように地方によつて非常に差がある。保険診療のほうはこれはガラス張りでありますからなんでありますけれども、もう最近の情勢というものは、そういう傾向が年と共にだんだん殖えて来ておる。もう結局はすべてが保険診療に移り変るのじやないか、まあこういうふうに私どもは前途を想像しておるのでありますが、その辺を一つ……。
  54. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それではお尋ねのございました点、もう少し数字を申上げて御参考にいたしたいと思います。これは七月末現在の概数であるということだけ一つ御了承願いたいのでありますが、先ほど三五%と申上げましたのは、健康保険の分の平均の率でございます。人によつて地方によつてもこれは違います。全国総平均のことでございます。それが三五%。それから自由診療の分は、一応経費がややこしいところがございますが、一応の基準で区分して計算しておつたところによりますると、その所得率は四九%ということになつております。で、両者を合せました、結局医師全体の所得率は三九%、つまり自由診療の分が所得率が四九%、健康保険の分が三五%、全部合せました総平均は三九%、こういうことになつております。なお収入金から申しますると、全体で、収入金所得で申上げますれば、患者からお医者さんが支払いを受ける総額、支払いを受ける最初の金額でありますが、これが全体で六百十一億なのでございまして、健康保険の分が四百三十九億、お話の通り殆んど七割強になつておりまして、あとの百七十二億円程度が自由診療から来る収入、総所得である、こういう状況なつております。これは御指摘の通り都会と地方、或いは同じ都会におきましても、個々にお医者様、或いは田舎によりましても大分差があるかと思います。課税は勿論個々のお医者ごとの収入支出を調べて課税する建前にいたしておりますので、非常に人によつてつておるかと思います。それを全部総合計しました数字を今申上げたのであります。
  55. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 只今お話の双方の関係が、私どもが直接地方保険医の諸君から聞きますと、どうもそうでないようなふうな話がいつも多いのであります。どうも我々のところはもう自由診療はないのだ。保険診療ばかりだ。そうして従来保険診療は三〇%であつたが、今度はそれが相当上つて来たということで、これではどうも困ると、まあこういう声が地方保険医諸君全体の通有な叫びなんですね。で、私ども、それはもう実際支払う人、診ておる人の話であります。それがまあ事実であるように一応は受取つておるのであります。その見解が御当局のほうの見解と少し何だか違うように思うので、お尋ねしたわけであります。
  56. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 御承知通り社会保険の分の収入金というのは、これは比較的資料がはつきりして確実であると思います。これに対しまして自由診療のほうは収入自体がなかなか調査しにくいという点があると思います。従いまして私どもの懸念しておりまするのは、自由診療のほうは或いは十分調査ができていない部面がありはしないかということをむしろ逆に恐れるくらいでございまして、そのほうを過大に見積りしているということはまずないのではなかろうかと存じております。併しこれは例外的には、或いはそういう問題があるかも知れません。そういう点につきましてはよく計算の内容をお医者様と話合いまして、先ほど申上げましたように、最後は申告で納得の行くところできめたいというふうに指導いたしておりますわけでございます。その際になかなか税務署の鼻息が荒く、これは判こを押しました、こう言うお医者様もありますが、そういうことをやつちやいかんということを言つているのであります。併し、全体として見ますと、お医者様は地方に行きますと相当名士の方でありまして、税務署も概して大事に扱うと言つているし、又今後もそういうように私ども指道いたしまして、両者の関係が円滑に行つて適正なところに落ちつくようにということで、今後ともできるだけ指導したいと思いますので御了承願いたいと思います。
  57. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 多数の保険医の中には若干何といいますか、正当でないような方も若干あるらしく思う。殊に今日のようにだんだん妙な思想が加わつて参りますと、そういう人も若干殖えるのじやなかろうか。併し全体から申しましたならば、現在ではそういう人はそう多くない。多数の人は社会保険という治療に全面的に協力をしている。その協力もまじめに協力をしている人が非常に馬鹿を見る、こういうことを言うて来る方も相当ありますのです。少数ながらこういう不誠意な好ましからざる行動をとつている人が一つの標準、多数の善良なる保険医に不利な結果をもたらすような場合があるのじやなかろうかということも一面に考えられるのです。こういうことも私は心配いたしているのであります。そういう点はどうなんですか。
  58. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは今年の方針が、そういう私ども根本的な考え方一つの現れでございまして、一時戦後所得税所得の査定につきまして、率直に言つて目標をきめた時代があつたのです。これはどうにも徴税がうまく行かないので、いい加減な方法をとつておつたのかということで、中央からこのくらい税務署が勉強すれば入るのじやないかということで、大まかな目標をきめまして鞭撻いたしたことがあります。これは非常にここにおいて弊害を生じまして、何と申しますか大まかなところで、大づかみのところから個々の所得かきまつて行くということは、これは所得税の本質には合わない。所得税は飽くまでも、できるだけ税法を忠実に解釈いたしまして、実情に合うように解釈いたしまして、できるだけ個々の納税者収入支出にぴたりとそれをあてはめて計算して行き、その結果所得税が正確に出て来ることは当然のことでありますが、戦後そういう考え方が一時薄らいで来た虞れがありますので、私どもこの二、三年来そういうことにすべてが行くように実は非常に苦心をして努力をしているわけであります。お医者さまの場合においても、先ほど申上げましたように標準が収入支出の状況如何にかかわらず三〇%ということになりますと、どうもやはり前のような色彩があつてこれも面白くない。これは個々のお医者さまの収入支出を調べて所得を出す。その結論がどう出ようと、勿論正しく税法に合つてさえすればそれで結構だということで、徴税当局とお医者さまと話合うように極力努めているわけであります。従いまして、又地方に行きますと、お医者さまの課税は幾らぐらい見積つたらいいかという質問を受けるのでありますが、中央でも幾らぐらい見積つたらいいかということを質問を受けるのでありますが、お医者さまの所得は幾ら出るか、もつと大きな額で見積つて行くか……、そういうことを抜きにいたしまして、個々の納税者にぶつかつて、そうして税法を個々の納税者にあてはめまして正しい結論を出す。その際にはできるだけ法の精神、趣旨は生かして行く、その点で個々の納税者話合いをいたしまして話合いで円満に行くようにと、こういう趣旨てやつております、健康保険云々のためにほかのほうをあれするとか、自由診療のほうは低いので健康保険のほうは大変なことをする、そういう考え方は持つている者はないと思います。それは仮にあるとすればとんでもない。私ども考えております税務行政の基本線に実は反することでありまして、是正をして参りたいと考えているわけであります。なお、併し実際問題といたしましてなかなか所得収入支出の計算はむずかしうございますので、非常に税務官吏も勉強する必要があるし、又納税者もそれをよくわかつてくれる必要がある。これは率直に申しまして私ども国税庁、税務署は法人税、個人の所得税の調査が仕事の上の一番大きな部面を、占めておりまして、できる限りいろいろな措置をとりまして円満に行くように努めております。御趣旨の点はよく徹底するようにいたしたいと思います。
  59. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 税務官吏の方も、中央等の通牒文をよく理解をいたしまして、そしてこれを善意にやつておる方も、これはもう多数あろうと思います。税務署長はそうであつても、直接この納税の衝に当つておる人のうちには、随分税はたくさん取るほうが成績がいいのだというような妙な考え方を持つている方もあるらしくて、相当厳重といいますか、少し度を過ぎた態度をとられる方も地方には相当ある。そういうことで保険医との間に摩擦が起るというと、ますますその態度が一層激化するというような結果、結局は高いものになる、こういうようなことを言つておる人もあるので、そういうような訴えを私どもちよちよい聞いております。これは双方が共にまじめに、誠意を持つて当らなければできないことでありますが、今日のような社会情勢でありますから、この辺の指導、監督を実情に即してやつて頂いたならば……。善い方もありますけれども保険医と同じように又悪い方も若干ある。悪い方ということは、無理をなさるのじやないかというふうに解釈していいような態度をとつておる方もあるということを私感じておりますが……。
  60. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 御趣旨全く御尤もでございまして、私ども納税者とよく話合つて対立関係をなくして、お互いに納得ずくで税をきめたり、徴税するというのが基本方針でございますので、更に一層そういうことが徹底するように十分努力いたしたいと思います。
  61. 高良とみ

    高良とみ君 二、三伺つておきたいと思います。平均が三五%だと言われましたが、健康保険の扱つておる数が非常に殖えて来たので、これは三五%ということはやはり地方によつては八〇%以上も健康保険を扱つておる人にとつてはもつと、これが、その三五%の中でも非常に高くなつている人もあるのじやないか、或いは地方によつてもつと低くなつている、平均そのものはそうなるでしようが、最高これ以上取つてはいけないというような最高率が、健康保険についてはあるのですか。
  62. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) ちよつと速記をとめて頂きたいのです。
  63. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  64. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 速記を始めて。
  65. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) つまり激増する人につきましては、余り殖えないような措置をとるということをいたしておるわけでございます。
  66. 高良とみ

    高良とみ君 併しそれが三九%以上にはならないようにと指示されても、先ほど御説明があつたようなサンプルの中には上つておる傾向にあるものがあるのじやないかと考えられるのですね、これは診療の数が殖えて来れば、なかなか三九%でもとまり得ないのではないかという点を、非常に医師側としては不満に思つておる面もあろうと思うのです。これは実際そうだろうと思う。それはそれとしても一応そういう措置をなさつた……。  もう一つついでに伺いたいのは、一般診療については四九%まで九月末概算して一括となるとこれは五〇%の人もあるでしようし、それ以上に出ているのもあり得ると考えられる。そうすると収入のうち五〇%、六〇%を税の対象にされるということになると、それに対しては何か最高限度は考えておられますか。徴税の全般としての話ですが、遺産相続とか、そういう累進課税においては違うでしようけれども、自由診療のほうはこれは幾らでも累進課税でどこまで行つてもいいのですか。
  67. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今申上げましたのは三九%の問題でございますが、これはまあ二十七年と二十八年との移り変りの問題として、実は考えておるわけでございまして、そういう措置所得計算上別にとつていることはございません。自由診療の分は従いまして収入と支出を調べまして、本当の純所得の出放しで納税して頂いているということでございます。調査が十分行つているかいないかという問題はあるわけでございます。経費見方につきましては、先ほど申上げましたように特殊の経費も業者に共通する場合は引いております。そういうことでございます。
  68. 高良とみ

    高良とみ君 よくわかりました。そうすると自由診療は、たとえそれが幾ら高くても、とどまるところなく課税の率は上つて来るということでございますね。先ほどお話のあつた総所得が二百三十九億円あるというのは、これは何年度のでしたか、それと伺いたいのは、本年度の二十八年に対する三五%で行つた税所得の総収入はどのくらいに考えておられるか、その中で先ほどの自由診療と保険診療との区別はつきますかしら。
  69. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 二百三十九億と申しますのは、収入から経費を差引いた残りの純所得、これはつまり課税所得になるわけです。これから基礎控除、扶養控除を引きまして税額が出て来る、その課税所得でございます、に二百三十九億。
  70. 高良とみ

    高良とみ君 年度は。
  71. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 年度は二十八年分、昨年分でございます。その中で先ほど申上げましたように、百五十四億が健康保険で八十五億が自由診療の分でございます。大部分が、三分の二弱が健康保険のものになる。税額は両方の所得を一緒に持つておられますので、共通して出してありまして、それで出て来ておる概算が約六十億。こういうことになります。税額を精密にどの分がどうだという計算はむずかしいのでありますが、所得の比で仮に按分して計算しますと六十億のうち約三分の二弱が健康保険所得から生ずる、三分の一強が自由診療の所得から生ずる。非常にこれは大まかな計算で、精密にはなかなかこういう計算は困難でございますが、そういうことでございます。
  72. 高良とみ

    高良とみ君 続いてさつき山下委員から御質問なつたことにもう一遍入つてみたいのですが、二十六年度に三〇%を御了承になつた当時の主税局長としてのお考えは、単価改訂が不十分であつた、一方薬価は上昇の傾向にあり、インフレの傾向にあつた、こういう実情から来た妥協案として三〇%に落ちつかれたと思うのでありますが、今度はデフレの傾向になつて来て、そうして単価は古い二十六年の暫定のままにあつて、その後多少変つたでしようが、そういうふうな、時によつて変化をして行くことに対して今度は是正して行こうと言われる、先ほどの主税局のお話のように元に戻すという場合にはどういうふうに考えておられるか、やはり単価改訂について、これをデフレ下において適正なものに、デフレ下において而も二十四年度の計算に立つた単価でなく二十九年度の実情に即した単価に持つて行き、そうして税率に関してはこれ以上の妥協はできないというふうに考えておられると想像できるのですが、その点どういうふうに考えておられるかを併せてお伺いいたします。
  73. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 単価の問題は直接所管が厚生省でございますので、これをどうするかはやはり厚生省の問題だと存じますが、今主税局から申上げた意見は、そういうことと課税の問題は切離して行くべきじやないかということだと思います。所得計算がデフレ下でどうなるか、これは率直に申上げまして非常に重要な問題でございますが、これは先ほど申上げたように三五%というのは、何も頭から三五%にしようというのでした数字じやないのでありまして、個々の納税者につきまして収入と支出を調べまして、経費見方につきまして先ほどのような見方を加えまして出て来た各人の収入経費との総平均で比率をとつてみると、三五%に結果においてなるという数字でございまして、本年度は勿論お医者さんの所得もいろいろ変つて来ると思いますが、二十九年分の調査に当りましては、やはり個々のお医者さまの収入経費をよく個々的に調べまして、それに応じまして妥当な結論を出して行きたい、従つて、その結果が幾らになるということがこれはもう全然わからないのでございます。下からすべて個々の納税ごとに計算してやつて行く、この本筋に従つてやりたいと思います。その際におきましてはできるだけ現在の実情も調査に際しましては考えに入れまして、適正を期するように努力をして参りたい、かように考えております。
  74. 高良とみ

    高良とみ君 それは大体それでいいだろうと思いますが、併し国税庁としても、ただにこの徴税の方面ばかりでなく、単価として今度は個々の技術者に支払つて行く価格についても、やはり財政全般に影響するところでございますから、それは税金として取るほうでなく、やはり労働に対する、或いは薬価に対する適正な価格を払うということに対しては考えておられるだろうと思います。その点で私が伺いたいのは、税はそうであつても、単価改訂についても二十四年から二十九年までの間の変化に対してやはり適正なものでなければならないというのが、納税者或いは支払いを受ける技術者に対する適当な考え方だろうと思うのですね、その点どういうふうに考えておられるか。まあ単価はできるだけ安くてもいいのです、税率のほうは実際の収入によつてつて行くのが税の根本であるということになると、成るべく安く行く、誰かが言つていましたように、悪貨が良貨を駆逐して行くというような形にどうしてもなると思う、それについてはどうお考えですか。
  75. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 単価の将来の問題につきましては、恐縮ですけれども意見を申上げるのを……個人的にはないわけでもございませんけれども、差控えさして頂きたいと思いますが、徴税に当りましては今御指摘のようにいろいろな状況も十分考慮に入れつつ情勢の推移も見つつ、究極には先に申上げましたように個々のお医者さんの適正な所得を見付け出す、そのためにはどれが一番妥当な方法かということを実は中心にいたしまして、その際に、今申しました経費見方のほうにつきまして考えられる点は十分考えまして妥当な結論を出して、そうして税法にかなつた、円満な徴税ができるようにしたい、これが実は殆んど中心点でございまして、その他の問題いろいろございますけれども、本席にて申上げることは実は差控えさして頂きたいと思います。
  76. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、根本にある考え方といたしまして理論と申しますか、私どもが、国税庁のお考えは、経済の実態に触れ、それらに対して適当に特殊な或いはあらゆる種類の納税者に起つて来る現象そのものを追つて行くべきであつて、別にこれは社会性であるとか、公共性であるとか、或いは供米をするからこれは特別国策に援助しているというようなそれに対してそういう思想的なものは特別のもののほかは出て行かない、そう言われる、徴税に対する一つの哲学的な考え方は持たないというふうに考えていいですか、考え方としては特別な国策というものや、社会性というものは入れないで行くのが本筋と考えておられるか、その点。
  77. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 徴税に当りまする根本は、税法をきめますというのが非常に政策的な配慮でいろいろな政策から税法がきまつて行くと思いますが、きまつた税法を実施する場合におきましては、その税法の根本精神を生かしつつそれを正しく忠実に実行して行く、これが私ども徴税の実際に当ります基本的な中心的な考え方でなければならんと考えております。その際に先ほどもちよつとお話しましたように、最近企業が苦しくなつて貸倒れが多くなつた、そういうただデフレで困つておるからというのでなくて、貸倒れが多くなると、結局は担税力が弱まつて参りまして、無理に徴税しようと思つても、そういう人々からはなかなか徴税できない。そういう場合におきましてはそういう政策の推移、実際に現われるところを考えまして又適正を期して行く、さつき申しました中心点に関連しつつ考えて行くべきことは私どもとして常に怠りないようにいたしたい。又情勢の推移等につきましても、早く十分認識いたしまして、それに応ずるようにして行きたいということは考えますが、やはり根本は今御指摘の通り国会できまりました税法を、できるだけ実際に合うように精神を生かしつつ実情に即して、而も納税者の納得を得て徴税して行く、この線がやはり基本的な線でそれは私ども非常に重大な点だと考えております。
  78. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。
  79. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) ほかに御質疑ございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  80. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 速記をつけて。  本日はこの程度で散会いたします。    午前十一時五十四分散会