○
説明員(
平田敬一郎君)
只今問題になりました
健康保険に関する
医師の
所得の
課税の実際につきまして、私から最初に
概要を申上げたいと存じます。
只今ちよつと
委員長からもお触れになりましたように、
昭和二十六年分と
昭和二十七年分、この二年分につきましては、
保険料収入から生ずる
所得につきまして、
所得計算上の
一種の
特例と申しますか、という
措置を
行政措置といたしまして実はとることにいたしたのでございます。それはもう大体皆さん御
承知かと思いますが、
昭和二十六年の暮に
単価の
改訂の問題に
関連しましていろいろ問題が併せて
議論になりまして、当時といたしましては、
単価の
改訂が十分に行われがたいという
事情がございましたのと、それからもう
一つは、その当時一番問題になりましたのは、二十六年分の
所得についてでございましたわけでありますが、
診療収入が十分上らなかつたのに対しまして
医薬代が急激に
上つて、
従つて収入も、純
所得も
余りよくないと、こういう
事情がございましたので、その当時いろいろ
経緯もございましたが、
国税庁といたしましては、一応そういう問題を応急的に解決する手段といたしまして、
医師の
健康保険から生ずる
所得に対しましては、
収入金の三〇%を以ちまして大体
所得として
計算するように、こういう
趣旨の
通達を発しまして、この問題に対処いたしたわけでございます。ところがその後いろいろ更に問題もあつたわけでございますが、
昭和二十七年分につきましても実はいろいろ問題がございまして、こういう
措置を、
取扱いで行いますことは、どうも
法令の
運用上適当でないのじやないかという
議論もございましたけれ
ども、なお併し、その当時まだ問題がたくさん残
つておりまして、早急に解決しがたい
事情もございましたので、二十七年分といたしましてもこの
扱いを急に
変更するのはどうであろうかというので、部内には
変更の
意見もございましたが、まあもう一年は継続を認めようということで認めることにいたしまして、従いまして
昭和二十六年分と七年分のこの二年分につきまして、
所得の
計算上
収入金の三〇%を
以つて健康保険の純
所得として行こう、こういうことにいたして参つたわけであります。
ところがこれに対しまして実はいろいろ問題がだんだん深刻に出て参りまして、
一つは
会計検査院のほうから実は
推問を受けまして、こういう
法令に基かないで、
行政上の
手心で極めて勇敢な
措置をとるというのはどうも不適当だ、一刻も早く是正されたい、こういう実は
推問を受けたのでありますが、そういう問題が
一つございましたのと、それからもう
一つは各
地方におきましてどうも各
納税者間、横の
納税者間の
均衡がとりにくい、殊に
青色申告の
納税者方面におきまして
所得があるなしにかかわらず一律に
収入の三〇%を
以つて純
所得にするといつたような、こんな荒つぽいことできめられるなら、皆そういうふうにしてしまつたらどうかといつたような
議論が出て参りまして、私
ども税務行政を円滑適正にや
つて行く立場から由しましても、
地方から実は非常な問題を捲起して、来たわけでございます。
税務官庁の間でもそうでございますし、又
地方の間における
納税者の相互間の問題といたしましてそういう問題が出て来まして、まあいろいろ問題が出て来たわけでございますが、国会におきましても
委員会その他におきまして実はこの問題一刻も早く本来の姿に戻すようにという
議論も大分承わ
つていたのでございますが、そういう
事情がございましたので、二十八年分としましてはこういう応急的な
暫定措置を
取扱いで続けて行くのは、どうもやはり適当でないというふうに
考えまして、二十八年分の
課税に当りましては、実は昨年の四月以後私
どもこういう
特例措置はやめる
考え方の下に、
関係方面といろいろ
話合いを進めて来たわけでございます。その問いろいろ
事情もございまして、いろいろ行違いなり草の話の
食い違い等ございまして、そのために各
方面で若干更に問題を起したことが率直に申上げましてございますが、私
どもの
考え方といたしましては、実は終始一貫そういう
態度で参つたわけでございます。二十八年分としては何としましてもこういう
行政上の特別な
措置はやめる、こういう
考え方で行つたわけでございます。ただ、そういたしましても、やはり
健康保険の
収入に対しまする
課税につきましては、それに応ずる特別、できるだけのことは
行政上
考えたい、何とか
理窟なり弁明のつく範囲内におきましては、必要な
措置を
考えたいという
考え方を私
ども持
つておりまして、そういう
趣旨からいたしまして実は二つのことを実行に当りまして行うことにいたしたのであります。
一つは
必要経費の
見方につきまして、
理窟のつく限り或いはできるだけ
理窟をつけまして寛大な
見方をとる。従来はまあ
図書の
購入費或いはその他の
会合費、
研究費といつたようなことにつきましては、なかなか実際
画人の
所得の
計算上は
はつきりしないのと、
理窟がつけがたい点もございまして、一年限り、そういうものを
計算にすぽつと落すということは認めていなかつたのでございますが、そういうことは何しろ
収入金は
はつきりしていることでもございますから、認めて行くことにいたしました。それからもう
一つは、つまりお
医者さんに特別にあるような
経費は特別に
一つ引こう、そういう
趣旨の
通達でございます。それからいま
一つは、これは少し遅れて出したのでございますが、それにもかかわらずなお前年に比べまして
相当所得が激増する人、まあ
収入が殖えまして
所得が殖えるのはこれは当然のことだと実は私
ども考えたわけでございます。
収入が
余り殖えないにかかわらず
計算方法を変えたために
相当所得が殖える人、こういう人につきましては、これは切換えの際の特別な
措置といたしまして、激増の
程度を或る
程度のところでとどめる、そういう
考え方で行くようにという
趣旨の
通達を出したわけでございます。その
通牒につきまして、実は若干
趣旨の履き違いで何もかも前年と同じにするのだととられたところもございますが、そこまで行きますのは行き過ぎでございまして、著しく殖える人は一年限り或る
程度のところでとどめよう、こういう
趣旨の
通牒を発しまして
取扱いの
変更に対処いたしまして、できるだけ円滑適正を期して参りたいというふうにしていたしたのであります。それとできるだけ各地の
医師会等との緊密な連繋、協調を保ちましてよく
話合いをつけてきめるように、こういう
趣旨で指導した次第でございます。その間若干行き違いがあつたり、或いは
地方によりまして
考え方の更に若干違つたような点がございまして、
地方によりましては円滑を欠いたような所がございますが、いろいろ
中央からも、更に具体的な指導いたしまして、現在のところは大体におきまして全国的に見ますれば、落ちつくべきところに落ちついておるんじやなかろうか、まだなお若干問題が残
つておりますが、或いは途中でもいろいろ
いきさつがございましたが、そういうことに
なつております。
七月末現在の大体の
概況でございますが、
余り詳しい
数字はございませんが、大体の
数字は間違いないと思います。二十八年分として調査の
対象に
なつておりますお
医者さんが五万三千八百人
程度おられます。そのうち五万二千九百人
程度がすでに
申告を出して頂きまして、或いは最初出して頂いた
申告を修正して頂く等の
方法によりまして、
申告通りで
納税をしてもらうことに
なつております。それから百六十人
程度がどうも
話合いがつかないで
更正決定ということに
なつております。なお、そのほか七月末現在で
話合いがつかないでなお調べ中、或いはいろいろ折衝中で未決に
なつている分が六百八十名、こういう大体の
概況に
なつておりまして、全体として見ますれば、いろいろ
いきさつもございましたが、今申上げましたような処理の
状況に
なつておるということを申上げたいと存ずる次第でございます。
なお、今後の問題につきましては、いろいろ問題があるか思いますが、一応今までの
いきさつとこの問題に対する
要点だけを申上げまして御
参考にいたしたいと思います。なお、先ほどのに
ちよつと補足して申上げますが、
標準率を二十六年分と七年分につきましては、一律三〇ということで参りましたが、七月末現在で、概数でございますが、実際にどれくらいの率に
なつておるかと言いますと、これは平均いたしますと、
健康保険のほうは、三五%くらいの
所得率に
なつております。これは勿論
地方により人により若干の差がございますが、総平均が三五%くらいのところでおさま
つておるようでございます。
概要以上御
説明申上げまして、なお御
質問によりましていろいろ申上げたいと存ずる次第でございます。