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堂森芳夫君 まあくどいようですが、この、もう一遍伺
つて見たいのです。今日私新聞を読んでおりまして、産業経済新聞というものを読んでおりましたら、「患者から見た医薬分業」こういうことで、「私のページ」という欄に書いてあるわけであります。投書したのです。会社員で、大阪の人で、何とかいう人が書いたのです。医薬分業に関する
法律が、今参議院で審議中である。面白いのです、なかなか……。「この
法案に関して、反対の
医師会側では「
薬剤師は果して
医師の処方箋通り患者に薬を与えるか疑問で患者に対し責任が持てない」といい、又賛成側の
薬剤師会では「今まで
医師は三流品を一流品のごとく見せかけ暴利を取ていた」と主張し、互いに猛運動しているようであるが、いずれも自己の利益面ばかり主張し、患者側の立場に
なつて
考えていないのではないだろうか。この問題を患者側の立場から
考えてみると、医薬分業
法案反対の結論が出る。」今からでも遅くはない。「その主な
理由を列挙すると、一、
医師より処方箋をもら
つて薬局に行
つたが、
薬剤師が不在の場合は誰が調剤するのか。若し薬局が一軒しかない場合どうするのか。二、医者通いするものに丈夫な者はいない、その病体で遠方の薬局へわざわざ回らなければならぬ若痛を
考えてみてほしい。他人の手を煩す場合も……」くどいようですがいろいろ書いているのです。まあこういうふうに割合大衆というものは
考えているのじやないかと思うのです。
そこで私はもう一点大臣にお聞きしたい点があるのです。それは医療
制度というものは、これは広い
意味の医療
制度というものは、狭い
意味の医療と、それからもう一つは製薬といいますか、薬事
行政というもの、この二つはあたかも車の両輪のごときものだと私は
考えるのです。当然のことと思います。現在日本の国の八千数百万の人口のうち、およそ六千万は社会保険或いは
国民健康保険或いはその他の生活保護であるとか、未復員者給与法であるとか、いろんなもので
政府からの一つの窓口からいろいろ金を出しておる。こういうことでないかと思うのです。そこで医療担当者のほうには、或る
意味では一つのコントロールを政行が加えておるということは私言えると思うのです。ところが製薬事業というものを見ますると、これは全く野放しなんです。さつきも、これは一例でございます、人の眼さえつぶすような薬をどんどん造
つておる。これは悪い例でございますが、私丁度四年前でございます。医薬分業の
法律が問題にな
つた当時、一体製薬事業というものはどれくらい広告料を使
つておるかということを細かく調査したことがございます。数日前も薬務局長にも聞いて見たのですが、四年前の調査でも一年に約三十億から四十億ぐらいの広告料が使われております。そうして同じような薬が非常な無
意味な而も売らんかな主義の猛烈な競争が行われておる。まあ海外の
人たちが日本へ来て、どうして日本の国はこんなに薬の広告が多いのだろうかということを批評するそうですが、ものすごい、これが全く手放しの、野放しの自由企業というものに置かれている、これが私は現在だと思うのです。私は極言して言うならば、今日患者は薬を飲むより広告料を飲んでおると思うのです。そういうような数十億にも満つるような厖大な広告というものが全国の新聞、雑誌、いろんな宣伝機関にこれが振向けられて、その広告料を患者が払
つて薬を飲んでおると言
つても私は過言ではないと思うのです。私は勿論社会主義政党に属しておるものでございまして、こういうことには断固反対すべきであるという意見は持
つておりますけれども、残念ながら我々政権を取れませんから、現在のところ止むを得んわけですが、とにかく非常な片手落ちだと思うのです。医薬方面にかなりな制約、コントロールということがこれは何と言
つてもあると思うのです。ところが製薬事業には何らない。而も非常な無計画な、無
政府的な競争、悪質なと言
つてもいいくらいの宣伝費が使われておる、ばらまかれておる、数十億にも及ぶ、このようなことで一体日本の将来の広い
意味の医療
制度というものが健全な、本当に
国民のものという立場で進展するだろうか、私は大きな疑問を持つわけです。そこで
厚生大臣、殊に堪能なる賢明なる
厚生大臣でございますから、今後一つ薬務
行政といいますか、製薬
行政といいますか、そういうものにどういうふうにや
つて行くかという抱負があると思うのです。その点一つ承わ
つておきたいと思います。