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政府委員(
曾田長宗君) これも
病院と診療所等によりましていろいろ
事情が異な
つて参りますので、いろいろこれを分析いたして参り、それを次の段階において総合して全国的な
医療費に積上げて見るということには相当な作業が要るのでありますが、大ざつぱな
考え方を申上げて見たいと思うのであります。それは先般資料としてお配りいたしたものがございます。
一つは年間の
医療費の推計というのでございます。これは社会保険或いは
生活保護或いは未復員者の救護法
関係、或いは結核予防法、精神衛生法等の衛生
関係の法規、こういうようなものに基きまして
政府或いは地方の都道府県或いは市町村というものが支出いたします
医療費、これは予算で以てわかるわけであります。それから社会保険等におきましては基金で取扱います
経費、こういうようなものを土台にしまして、そのうち社会保険等においては一部
負担、或いは結核予防法におきましても公費
負担と同額のものを
患者自身が持
つておるわけであります。こういうような工合にして推計できます
経費というようなもの、それに合せまして本省で以て、厚生省で以て行いました国民の間における
医療費の
負担状況、
支払状況というようなものを調べた資料がございますが、こういうようなものを繋ぎ合せまして推計したのであります。これによりますと、大体昭和二十七年度といたしましては、約千三百億
程度のものが医師、歯科医師に
支払われたものというふうに出て参るのであります。勿論これは
支払うほうの側から調べただけでありますがこれを医師の側と申しますが、
施設の側から
調査した資料もございますが、これはお手許には差上げてございませんけれ
ども、大体年間に医師一人が何人くらい
患者を診るか、
入院患者、外来
患者別にどれくらい
患者を診断しておるかということがわかり、又その場合に平均一人一日の外来
患者或いは
入院患者についてどれくらいの診療報酬を得ておるか、或いは得べきであるか、いわゆる保険診療に換算いたしますれば何点くらいの診療を行な
つているかというようなことが資料として出ております。これから算出いたしますと、今申上げました千三百億というものよりも少し嵩んで参りまして、これは計算で幾分ずつ違うと思うのでありますが、千四百五億くらいの
数字が私
どもの試算では出ておるのであります。こういうようなことが両面の計算で幾分そこに食い違いが出ております。これは又
考えようによりましては尤もなことでありまして、医師として当然請求する報酬というものと現実に
支払われたものという間に若干の食い違いがある。今申上げました
数字によればほぼ一割ぐらいの食い違いがあるのであります。細かい点になりますと、今私
どもの資料から結論されます
数字を
余り厳格に取扱うわけに行かねいのでありますけれ
ども、或る
程度の差がある。さようなところから大体
考えますれば、国民の
医療費は千三百億から千四百億ぐらいのところと
考えていいのではないかと思うのであります。そのうち先ず四分の一乃至三分の一ぐらいのところでありますが、これが薬治料に当るのであります。勿論
病院におきましては
入院費等が嵩みますからそれよりも多くな
つて来るのでありますが、診所等におきましては、まあ大体四分の一と見て頂いていいのではないかというふうに思います。即ち診療所では二五%、
ちよつとそれよりも低い
数字が出ておりますが、二五%
程度、それから一般の
病院ではほぼ一五%ぐらいというふうにな
つております。勿論これも精神
病院だとか結核
病院というものを入れますと更に下
つて来るわけであります。こういうところからこの薬治料というものを推算いたしますれば、薬治料が今度すべての
病院、診療所、それから
病院のうちの精神、結核等を全部入れますと、総
医療費のうち一五%ぐらいにな
つております。このうち大体医師の実収入と申しますか、いろいろ薬品の原価及び調剤の人件費或いはいろいろの消耗器財類というようなもの、かようなもの、かような三つに分けるといたしますと、ほぼ三分の一ぐらいずつにな
つているわけであります。幾分人件費及び消耗器材が三分の一よりも
ちよつと減ずるようでありますけれ
ども、大体三分の一
程度、そうしますと薬品の原価がおおむね総
医療費の五%、それから医師の純収入にな
つておりますものは、薬は薬治料のうちに含まれております。医師の純収入というものは総収入のうちの五%、それから調剤に要する人件費、或いは調剤用の器材費というのが五%、
ちよつと少いのでありますけれ
ども、おおむねそのようにお
考え願つていいのじやないかというふうに思います。全部合せますれば一五%が総
医療費のうちの薬治料に当るということなんであります。
で、今のところはこれが全部診療所、
病院で
支払われているのでありますが、分業になりますれば、このうちの五%だけは医師の収入として残るのでありまして、
あとの一〇%に当る部分が薬局で以て
支払われるということが一応
考えられるわけであります。勿論薬品の原価とそれから医師の技術料というものはこれは薬局で
支払われ、
病院、診療所で
支払われるということがはつきりいたしているのでありますが、多少問題として残ると申しますれば、この中間に残
つて来ます人件費又は人件費及び調剤器材費という、この部分が問題になるとすればその点の帰属だと思うのであります。併しながら実際私
ども一応
考えておりますのでは、これは調剤に要する人件費又は材料費なのでありますから、この部分を薬局で
支払いますれば、薬剤師の調剤技術料というものもこれから賄われ得るのではないかということが
考えられるのであります。こういうように
考えます限りにおいては、その総
医療費の増額というものは来たさない。ところが診療所におきましては、実際は医師が自分でや
つている部分と申しますのは割合に少いのではないかと思うのでありまして、
看護婦とか或いは調剤助手というようなものがこの仕事をしているのではないかというふうに
考えられるので、そうするとこの部分を分業になりまして、医師のところで調剤を行わないということになれば、この部分が診療所以外で
支払われるということも止むを得ぬのではないかというふうに思うのでありまして、又一方薬剤師に対する調剤技術料というものが現在の
病院、
病院は薬剤師がたくさんおりますですが、診療所等の
看護婦というようなものの手間が今申上げました人件費のうちに入
つておるわけでありまして、勿論
病院は大体薬剤師の手間にな
つていると思いますが、こういうわけで薬剤師だけではなしに
看護婦の手間というものが入
つておる。これが医薬分業になれば全部薬剤師の調剤ということにな
つて参りますのでありますから、そういう意味から言えば、もう少し人件費というものを多少殖やさなければならんというような意見も出て来るかも知れないのでありますが、とにかく現在の、殊に
病院等においてはすでに薬剤師の
人たちが調剤に当
つておるのでありますから、現在の人件費をそのまま調剤手数料というふうに廻すという
考え方で行きますれば、総
医療費の増額は来たさないということになると思うのであります。そのほか細かいいろいろな考慮が加わ
つて来ると思うのでありますが、一応荒筋だけ申上げます。