○
説明員(久下勝次君) それでは、只今の
大臣の基本的な
方針についての
説明に基きまして、私から若干敷衍をいたしまして申上げることにいたします。
お手許に、
一般医療関係の改正、
診療報酬点数表、それから第二に、改正調剤
報酬計算表、改正歯科
診療報酬点数表、この三つのものを差上げてございます。それに付けまして「新
医療費体系に基く
診療報酬点数表の改正について」というので、括弧して
一般と歯科とに分けて、具体的な
内容を書いた
説明書が付けてございます。点数表そのものは非常に、御覧の
通り、厖大なものでありますので、各項目につきまして、只今の
大臣の御
説明に敷衍をした若干の御
説明を附加えたいと存じます。それにつきましてはお手許にお配りいたしました、今申上げました
説明書によりまして申上げることにいたしたいと思います。
第一は、
一般診療報酬についてでございますが、そのうちの1は
診察料の取扱いでございます。
初診料は、只今の基本
方針によりますると六点になるところでございまするが、御承知の
通り、現行
健康保険法によりますると、
初診料相当額は被
保険者が
負担することに
なつておりますので、今回の新
医療費体系及びこれに基きました
診療費
体系の趣旨から申しまして、被
保険者の
負担を
増加することは適当でないと
考えまして、
初診料の表向きの四点という現行のものを据置きにいたしまして、新たに受付料という二点を新設いたすことにしたのであります。勿論受付料と申しましても、初診の場合にのみ
初診料と合わせて請求できるのでありますが、実質的に
初診料でありますことは、変りはないのであります。こういう扱いによりまして、受付料の二点分は、実質的には
初診料でありますが、被
保険者負担に転嫁しないで済むということになるわけでございます。再診料は四点にいたしまして、
診察の都度請求し得ることにいたしました。問題となりますのは、
患者それ自身が、再診の場合みずから現われずに、代理人を以て或いは電話によ
つて医師の意見を求める場合が、実際に行われておるのでございます。この場合には、
患者本人を診て
診断を下します場合とは区別して扱うことが適当であろうと
考えまして、代理人又は電話により
治療を求めました場合には、再診料として再診料の五割相当額を請求し得ることにいたしたのでございます。それから入院中の再診につきましては、いろいろ考慮いたしまして、特別な取扱いをすることにいたしたのでございます。即ち後に申上げますように、入院料の引上げの形において再診料を
支払うことにいたしたのでございます。細部の点は入院の際に申上げます。それから夜間の初診及び再診の際に認められておりました二点の加算が、現行点数表にはあるのでございますが、これは私から申上げるまでもなく、現在の現行点数表の再診というのは、極めて稀な場合にのみ
支払われるものであるということが
一つと、それから点数表で、新
医療費体系で御
説明申上げてありますが、あの場合の
初診料、再診料は、
診療時間の内外を問わず全体を平均して出した
数字でありますので、さような点を考慮いたしまして、夜間の加算を今回は除くことにいたしたのでございます。
次は指導料でございますが、慢性疾患指導料、乳幼児哺育指導料、及び肢体不自由指導料の点数が、それぞれ五点でありましたが、これは結核の指導料と同様に、十点に引上げをいたしました。
次に調剤料でございます。先ず調剤料につきましては、薬価の
支払の
方法と、それから調剤
技術料に分けて申上げなければなりませんが、薬価につきましては、現行の薬価基準をそのまま、
医師の調剤をいたします場合には、これに一・一を掛ける、即ち一割のロスを見まして
支払をすることにいたしてございます。それから薬剤師が調剤をいたします場合には、これも現行の取扱いと同様でございますが、薬価基準に定める薬価そのものを
支払うということにいたしたのでございます。
医師の場合には一・一を掛けて、薬剤師の場合は一・一を掛けないで、そのままで
支払うという
考え方は、
一般的に薬局が薬品を購入いたしますその購入価格は、
一般の
医師の場合と差があるということが認められております。そういう考慮をも加えた現行の取扱いになら
つた次第でございます。なおこの点につきましては、現在薬局の薬品購入価格というものに関する正確な
調査がございませんので、現に薬務局のほうで
調査を進めておりまするが、その
調査の結果が出ました場合には、こういう現行の取扱いのままでやることが不合理でありますれば、検討をいたさなければなるまいと思
つておる次第であります。次は調剤
技術料でございまするが、新
医療費体系本文に示してございますように〇・五九三点でございます。これを今回平均単価の一一・八三に乗じますると、七円
ちよつとになります。従いまして一日一剤の調剤料を七円ということにきめたわけでございます。もとより現行調剤
技術料と同様に、剤形に応じまして調剤
技術料の差をつけることが適当であると存じまして、点数表にありますように、各種の剤形に応じた調剤料をきめたのでございます。それから既製剤の調剤につきましては現行の
考え方と同じように、以上申上げましたものの二分の一にいたした次第でございます。このようにいたしまして、医薬分業実施後におきましても、今申上げた
方針で、
医師が調剤する場合でも薬剤師が調剤する場合でも、同じような形で
支払をすることになるわけでございます。
それから問題に
なつておりました文書料の中の
処方箋料は、先ほど
医務局長が申上げたような
方針で、今回は廃止をいたしたのでございます。
次に検査料でございます。
初診料及び再診料の端数を切捨てました
関係もあり、初診及び再診に
診断を下します上に重要な項目である検査料につきましては、できるだけ大幅に増点をいたしたいと思いまして、ここに書いてございますように、原価計算の数を基礎といたしまして、若干
技術の難易度も考慮に入れまして、現行の五十項目のうち二十八項目を改正増点といたしましたのでございます。なお疑義解釈などで実際上他のものに準じて扱われておりました、点数表に現われておりません項目、十九項目を新設をいたしたのでございます。
次はレントゲンの
診断料でございます。透視
診断料は、新
体系の原価計算の結果を考慮して引上げでございます。それから造影剤使用写真
診断の際使用する造影剤の代金は、別に請求し得ることといたしました。従
つてこの分だけ増点に
なつたわけでございます。フイルムを二枚以上使用いたしました場合は、すべて基本点数に、枚数に応じて加算をすることにいたしました。そのために、従来二枚を一組として定められていたものにつきましては、結果において引下げられることに
なつた次第でございます。
次に注射料の取扱いでございます。新
医療費体系の本文では、注射の薬品代及び
技術料につきましては全体の平均の数値が出ておりまするが、これは調剤料の場合に申上げましたと同様に、注射料につきましても、注射の薬品代、注射の
技術料等を分けて
支払う形をとりました。注射の薬品代につきましては、注射薬の原価に一・〇五を掛けることにいたしました。
一般の医薬品と区別いたしました趣旨は、
一般の医薬品のように量り込というようなこともないということも考慮に入れまして、一・〇五という、五%のロスを乗じたのでございます。注射の
技術料につきましては、新
医療費体系にございまする平均点数を考慮し、現行の点数表も斟酌しながら、又原価計算の結果も考慮に入れまして、皮下、筋肉内注射を二点、静脈内注射を三点、その他の注射につきましては、現行のように個々の注射の
技術の難易を考慮して、点数を定めた次第でございます。
次は
処置料でございまするが、新
医療費体系御
説明の際に、たびたびお聞取りを頂いておりますように、眼科、耳鼻科、産婦人科、泌尿器科の
処置のうち、四点以下のもので
専門的
技術を必要としないものは、再
診療に含めることにして、
処置料としては廃止をするということに
なつたのであります。その結果、廃止されました項目は、眼科におきまして七項目、耳鼻科におきまして十二項目、産婦人科におきまして一項目、泌尿器科におきまして三項目、
一般処置におきまして二項目、合計二十五項目がその趣旨で廃止をされた次第でございます。外科及び皮膚科の
処置につきましては、現行点数で御案内の
通り、創面の広さによ
つて点数が定ま
つている事情もございます。これは今申上げましたように、四点以下は廃止するというような形で
処置いたしますと、その間において不均衡が生ずると思いまして、こうした創の面の広さに応じて
支払点数の定ま
つているものにつきましては、特別な取扱いをすることにいたしました。即ち初回だけ現行の所定点数を請求し得ることにいたしました。二回目以後はそれぞれ二分の一の請求ができるというような形にいたしまして、今申上げたような不合理を排除するようにいたした次第であります。なお
処置料につきましては、新
医療費体系そのものは、
手術料と同様に、手をつけない建前に
なつておりますが、実際に以上のようなことで点数の改訂をしてみますると、病院、
診療所の間、或いは各科別にアンバランスを生ずる懸念が相当ございましたので、
処置料につきましては、さような
関係を考慮に入れ、原価計算の結果も考慮に入れまして、増点をいたしたものが相当ございます。その結果、現行
処置料八十六項目ございまするうち、二十八項目か改正されております。大体増点でございます。それから六項目は先ほど申上げました疑義解釈等の従来の実際の取扱いでや
つておりましたものを、新たに点数表の中に取入れまして、新設にしてございます。二十六項目の廃止というのがございますが、四点未満を廃止するために二十五項目、他の一項目は、現在点数表にございまするが実際には行われておりません
処置でございますので、これも廃止をいたした次第でございます。
次は
手術料でございますが、これが新
医療費体系の本文におきましては、
手術料には現行の点数に手をつけないという建前に
なつてお
つたのでありますが、先ほど申上げました端数切捨ての
関係も
考え、又病院、
診療所の相互間、各科相互間の均衡も
考えに入れまして、相当なものを増点をいたすことにいたしたのであります。そのうちの顕著なものは、表面麻酔、浸潤麻酔を除きました麻酔料につきましては、全部これを分離して点数を定めたのでございます。従来は
手術料の中に含む取扱いをしてお
つたものでございます。これを新たに所要の点数を定めまして、その分だけ増点の結果に
なつたわけでございます。ギプス料につきましても、次に申述べるように、同じような
考え方を取入れたのでございます。なお
手術料につきましては、従来分類が必ずしも明確でございませんのでしたので、ここに細かく掲げてございますように、分類
方法を変えて少し
体系を改めてみたのでございます。疑義解釈等で類似項目に準じた取扱いをしておりましたものを新設したことも同様でございます。なお特に、そういうような作業をして参りましたが、先ほど
処置料の際に申上げましたように、それでもなお病院、
診療所間の不均衡が出る懸念がございましたので、具体的に申しますと、病院の
診療収入が減るような結果も出て参りまして、
診療所との間にバランスがとれないことを
考えまして、特に病院で行われる重要な主な
手術につきまして増点をいたしたのでございます。例えば結核の外科
手術などにつきましては相当な増点をいたした次第でございます。その結果、今申上げたような結果、
手術料につきましては現行二百二十項目がございますが、そのうち七十一項目が改正されて、殆んどが増点に
なつている次第でございます。更に百十一項目が新設をされ、八項目が廃止ということになる次第でございます。
ギプス料につきましては、
手術料中に含めていたもののうちから分離して、六項目の数点を新たに定めた次第でございます。
麻酔科につきましては、先ほど
手術の際に申上げましたように、従来
手術料の中に含まれておりました浸潤麻酔、表面麻酔以外の麻酔料は、別に請求することにいたしますと共に、新たに三項目の新設をいたした次第でございます。
次は入院料の取扱いでございます。先ほど再診の際に申上げましたように、入院中の
患者に対する再診料の
支払の取扱いにつきましては、いろいろ私
どもも苦慮いたしたのでございますか、新
医療費体系の基礎に
なつております
昭和二十七年
調査によりますると、結核は四日に一回ぐらいの再診、精神科におきましては十日に一回ぐらいの再診、その他の
一般入院
患者につきましては毎日一回というような実際の再診の回数でございます。その点を考慮いたしまして、先ず呼吸器結核につきまして一日について一点入院料の増点をいたしました。それから呼吸器結核、精神病以外の
一般疾病につきましては、一日につき四点の増点をそれぞれ入院料として請求することにいたしたのでございます。精神病につきましては、今申上げましたように、入院料の増点はいたさないのでございますが、別に心理検査料という精神病に特有な検査料の新設をいたすことによりまして、入院料の増点は行わないようなことにいたした次第であります。なお開放性結核
患者、開放性の呼吸器
患者、及び法定伝染病の
患者を入院させました場合には、隔離の
関係があるので、従来二点の増点をしてお
つたのでありますが、実際の実情を考慮いたしまして、今後はこの機会に廃止することにいたしたのであります。
以上が
一般医療につきまして改正をいたしました主要な点でございます。
続けて歯科
診療報酬の点数表の改正について御
説明を申上げるのでございますが、大部分は
一般の場合と同様であります。特に変
つておりまする点だけを申上げることにいたします。歯科の
説明書の中程に「
診察料について」という書出しで、そのうちで(ロ)という点だけを申上げます。その他の点は変りございません。再
診療の
支払につきましては、充填及び補綴のための行為をしている、それ自身の充愼補綴の行為をしているために、普通二回乃至三回
患者に接するのでございます。その場合は、充愼及び補綴の
支払点数の中にさような
患者を診るための費用を含むようにいたしてございますので、充填及び補綴のためには特別に再診料を請求できないということにいたした次第でございます。調剤料、文書料、注射料等は
一般と同様でございます。
次に
処置とインレー、補綴の
関係について申上げておきます。新
医療費体系で御承知を頂いておりますように、歯科につきましても、
一般医療の場合と同様に、四点、六点の再
診療、初
診療を
支払うことに
なつているのであります。この主要なものは、補綴の潜在
技術料を削ることによ
つて賄うことにしてあ
つたのでございます。ところが、それだけで点数表を構成をしてみますると、充填のうちのインレーとの間に具体的に不均衡が生じて、補綴料を引下げましたのに準じて、インレー料につきましても引下げをする必要が発見されたのでございます。而も歯科におきましては、一方におきまして
処置料が甚だ点数が従来低くて、原価計算の結果から見ても不適当だと言われておるのであります。特に
処置料の点数が低いということは、
専門家の方々からも、従来からもやかましく言われてお
つたことであります。今申しましたインレー料の減点をいたしますその点数によりまして、歯科の
処置のうち抜髄及び根管充填の
処置につきましては、特に原価計算の結果及び
内容を考慮いたしまして、増点をすることにいたしたのであります。この点が
一般の場合の取扱い、特に新
医療費体系で申上げておりました点と変
つて、歯科におきましては特に附加えられた点でございます。なお四点未満の
処置を廃止いたしましたものは八項目ございますが、これは
一般の場合の
考え方と同様でございます。
甚だ簡単な
説明で御了解しにくいかと思いますけれ
ども、以上大綱を申上げまして、
説明を終らして頂きます。