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1954-02-16 第19回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十六日(火曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            常岡 一郎君            藤原 道子君    委員            高野 一夫君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            廣瀬 久忠君            竹中 勝男君            湯山  勇君            有馬 英二君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   政府委員    厚生省児童局長 太宰 博邦君    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省大臣官房    統計調査部長  小沢  龍君    厚生省大臣官房    国立公園部長  森本  潔君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (昭和二十九年度厚生省関係予算に  関する件) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今から厚生委員会を開催いたします。  昭和二十九年度厚生省関係予算質疑を前回に引き続いて行いたいと思います。先ず統計調査関係について小沢統計調査部長から御説明をお願いします。
  3. 小沢龍

    説明員小沢龍君) 統計調査部におきます来年度予算は、この表にあります通りに二億三千一百万円余になつております。昨年と比べまして約一千二百万円ほどの増額なつております。で、この増の内訳は主として人件費の増によるのでございます。この予算の中身を申上げますと、本省即ち統計調査部自体で使います経費が約八千九百万円、その内訳は大部分庁費でございまして、特に特徴のありますことは、統計機械借料二千六百万円計上されてございます。残りが統計資料収集のために地方庁に出します委託費でございます。衛生部関係に対しましては、人口動態統計委託費衛生統計委託費、それから各種の特殊調査に関する委託費、総計いたしまして約一億二千四百万円ほど計上いたすことになつております。それから民生部に対しましては、社会福祉統計委託費と、社会福祉統計事務補助費を合せまして一千七百万円ほど出すことになつております。かように前年度と大体予算の規模が変りませんので、仕事といたしましても、従来通り仕事を来年度において踏襲して、なお内容につきましては、一層の精密を期して行きたい、かように考えておる次第であります。
  4. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑ございませんですか。
  5. 有馬英二

    有馬英二君 ちよつとお伺いいたしますが、今の統計機械というのは、私どもよくわからんのですが、何かこの間新聞によつて、非常に精巧な統計機械があつて、一つがドイツか何かですか、統計機械が入つたようなことが書いてありましたが、そういうような機械を購入されるという意味ですか。
  6. 小沢龍

    説明員小沢龍君) 只今どもの使用しております統計機械は、アメリカのレミントン会社機械を借受けています。一カ年間の損料は二千六百万円、機械の台数は百三十台であります。非常に精巧なものでございまして、この機械によつて非常に能率が高まつています。
  7. 有馬英二

    有馬英二君 この機械は、統計を委託される各地方庁などにこれを本省から貸す、貸渡すといいますか、貸すわけでありますか。
  8. 小沢龍

    説明員小沢龍君) 機械がかなり大きいものでございまして、簡単に運搬することができません。のみならず、この機械を設置する場合に、電気工事その他相当附帯工事を必要といたしますので、軽々に地方に持出すというわけに参りません。地方から集められました資料を私どものほうにおきまして機械に載せて集計をするということになつております。
  9. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 統計調査関係、よろしうございますか。よろしいようでございましたならば、それでは次に保険局関係に移ることにいたします。  久下局長
  10. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私から保険局関係の昭和二十九年度予算案につきまして、御説明を申上げます。お手許に差上げてございまする資料の十三枚目、(13)と書いてありますところの下のほうから御覧を頂きたいと存じます。番号40、社会保険国庫負担金というところからでございます。この第一は、厚生保険特別会計へ繰入れというのがずつと次の十四枚目の中ほどの(9)まで続いております。厚生保険特別会計と申しまするのは、健康保険と、日雇健康保険と、厚生年金保険、この三つを統括して、設けられておる特別会計でございまして、御案内のように、健康保険日雇健康保険厚生年金保険共に、事務費全額一般会計負担なつておりまするので、これが(1)、(2)、(3)とそれぞれ事務費国庫負担が挙つているのでございます。これらの経費の計上につきましては、御案内のように、年々被保険者が増加して参ります。その被保険者の増加に伴いまして全般的に事務費が増加して参る傾向にございます。人員等もそれにつれて殖えているのでございます。来年度二十九年度におきましては、政府管掌健康保険につきましては人員の増加は定員では全然認められずに非常勤職員が、ここには書いてございませんが、三百人ほど増員が認められたのでございます。  それから次の(4)の他会計への繰入れというのは、これは国債整理基金への繰入れでございまして、一応これは名目的に毎年計上しているものでございまして、この金は健康保険の運営のために毎年国庫余裕金から借入れをいたしまして年度当初を過しているのでございます。これは国庫余裕金でありまするので、勿論利子は要らないのでありますが、それで足りません場合に国債整理基金から金を借入れる。その場合には利子を支払わなければならん。その利子を万一の場合を予想していつも計上しておく金でございます。従いまして実際には殆んど毎年使つたことがない金でありまするが、そういう性質上ここに計上してあるものでございます。  その次の庁舎及公務員宿舎財源、これも職員の宿舎、或いは出先の社会保険出張所の庁舎の建設というようなものが前年よりは減額になつておりますが、逐次建てておりますので、そういうものが七千五百万円ほど計上されている次第でございます。  それから保健施設費財源、極く僅か二百十万円ございます。健康保険におきましては保健施設、これは結核の検診でありまするとか、或いは寄生虫の駆除でありまするとか、或いは陸上競技水上競技等保健施設という名目で行なつておりますのは一般会計受入れなしに保健施設費財源でやつているのでありますが、日雇健康保険につきましてはこの保健施設に関する財源全額一般会計負担ということになつておりまして、その分が来年の予算として二百十万円計上されておる次第であります。これは疫病の治療ということでなくて、積極的な被保険者保健指導のために必要な費用を一般会計から繰入れたものであります。  それから福祉施設費財源、ここに書いてありまするように福祉施設と申しますのも、一般的にはやはり保険料収入を以つて賄うものでありまするが、結核病床につきましては数年来、社会保険におきましてもその一翼を担いまして、社会保険関係で施設を作つております。政府管掌におきましても、ここにございますように、来年度千六百床殖やすということでその三分の一、それに必要な経費の三分の一相当額一般会計から受入れなつておるのでございます。  次の(8)の日雇健康勘定財源でありますが、このうち特に申上げたいのは、保険給付費につきまして二十九年度新たに一割の国庫負担が認められたのでございます。その金額が右の備考欄にございますように、二億一千五百万円でございます。この金額によりまして従来法律によりますると、療養の給付期間が三月で打切られておりますが、一割国庫負担受入れることによりまして、療養給付期間をその倍の六カ月に延長することができまするし、これに伴います法律の日雇健康保険法の改正は今国会に提案をする準備をいたしております次第でございます。  それから厚生年金保険給付費財源、これも新規の計上がされておる部分がございまして、従来厚生年金保険につきましては、被保険者のうち、坑内夫給付費につきましては二割相当額、それからその他の一般労働者年金給付につきましては一割相当額を毎年国庫から受入れておつたのであります。御案内のように厚生年金保険の全面的な改正も企図しておりまする際でございまして、これに伴いまして労使の保険料負担も相当大幅に増額をされることも予想されております。さような関係上、国庫負担の面におきましても、一般労働者分、従来の一割から一割五分に引上げることが承認されました。それに基いた予算案が提案をされておりまする次第であります。前年度との比較では殆んど倍になつております。四億四千七百万円という前年度の予算は、本年度は八億八千八百万円になつておりますが、これは被保険者の増と昨年御決定を頂きました法律の改正によりまして、新たなる新規の適用の被保険者が殖えて参ります。そうしたものや、或いは実質的な被保険者増加等があります。それに伴いまして又年々保険給付も増して参る。そういう関係自然増等を考えますると、昭和二十九年度は法律の改正をいたしませんでも、前年度予算額に対応するものは六億ちよつと超えた金額になります。従いまして一割から一割五分に引上げましたために、純粋に国庫負担が増加いたしましたのは二億たしか正確に覚えておりませんが、約三千万円ほどでございます。二億をちよつと超えました金額が五分相当額殖えたということになるわけでございます。厚生年金保険の改正につきましては又別の機会に詳しく申上げるほうが妥当かと思います。  その次は、船員保険特別会計の繰入でございます。これは建前としては従前と何も変つた点がございません。最初はやはり他の保険と同様に事務費全額国庫負担分が六千二百四十三万八千円計上されております。結核病床財源として来年度もやはり百床増床いたしたいということから、一千百万、それから保険給付費財源といたしましては、これは負担率厚生年金保険坑内夫の場合と同様に二割相当額でございます。金額が減つておりまするのは、従来船員保険給付をしておりましたいわゆるC船員援護法のはうで給付を受けるということになつております関係上、金額の上では減つておりますが、実質的な負担率二割は変更がないわけでございます。  それから頁をめくつて頂きまして41の国民健康保険助成費でございます。前年度六十七億四千三十二万八千円という金額が五億三千九百万円減額になりまして六十二億円ということに相成りました次第でございます。この点はいろいろ各方面の御協力を頂きましたのでございまするけれども、あと次々申上げますような点で、本年度は前年度ありました補助金が削減をせられたもの、或いは平衡交付金に廻されたものがございまするので、かような結果になつておるのであります。先ず第一は、一番問題になつております助成交付金、いわゆる療養給付費の二割相当額国庫補助金でございます。これは前年度予算四十億八千万円が四十一億、若干の増加を見ているのでございます。この中に主な要素が備考欄に書いてございますが、受診率につきましては前年度より五%だけ高く、逆に一件当りの点数は政府関係当局において調査をいたしました結果、昨年の五八・六点分というのは、少し見込みが多過ぎるというようなことでありましたので五六・七点分にいたしました。それから被保険者数は二十八年度は二千六百五十万人、それを二千七百二十八万五千人、こういう増加の見込みを立てておる次第でございます。  それから保険者補助金として十八億三千八百六十一万六千円計上されておりまするが、これはこの内容は大体におきまして三つに分けられる。第一は事務費補助でございまして、事務費は前年度と単価におきましては同額の被保険者一人当り六十二円七十銭、これに先ほど申上げました二千七百二十八万五千人の被保険者総数を掛けました数字即ち十七億一千七十七万円というのが二十九年度の事務費補助金でございます。前年度と比較いたしまして約六千万円ほどの増額になつております。それから保険者補助金の第二は、保険指導員補助金というのでございます。これは実は前年度四千六百二十万八千円計上されておりましたが、予算折衝の結果二十九年度は削減されております。これは各市町村の保険を経営しておりまする主体が所在の開業医等を委嘱いたしまして、積極的な健康指導の面を委嘱しておりまするので、それに対して従来補助金が出ておつたのでございます。それが国庫予算としては来年度は承認を得られなかつた次第でございます。保険者補助金の第三は、保健婦設置補助金でございます。これは金額におきましてここに内訳はございませんが、念のために申上げますと、来年度の予算額は一億二千七百八十四万六千円でございます。これは前年度の予算額は一億七千万円でありまして約五千万円近い減額をみておるのでありますが、一般補助率の低下といいますか、こういうことに伴いまして従来三分の一の補助でありましたが、四分の一相当額となりましたための金額の減でございます。内訳は保健婦四千七百人に対して本人の俸給及び旅費を含めて一人当り十万三千八百円、こういう計算で一億二千七百八十四万六千円、四分の一相当額を計上したわけでございます。  次は(3)直営診療所建設補助金でございます。従来数年続きまして四億円という数字が予算に計上されておつたのでございまするが、全体の緊縮予算の建前によりまして、昭和二十九年度におきましては一億五千万円に減額をされて計上された次第でございます。  その次は指導監査委託費、これは従来は普及指導費補助というような名目で予算には計上されておつたものでありまするが、特にこの予算の性格を明らかにいたしますために指導監査というような強い名称にいたして、従つて委託費というような言葉に名目を変えたものでございます。前年度に比較いたしまして二百三十四万四千円ほどの減額になつておりますが、制度としては趣旨の変つたことなく、一般予算の趣旨に従つたための減額だけでございます。  その次に国体連合会補助金、六百十万円がございます。これは各都道府県にございます国民健康保険国体連合会に対しまして事務費補助を若干いたしておつたのでございますが、金額が少いのと、昭和二十九年度の予算編成方針補助金の整理という枠にひつかかりまして全額削減をみた次第でございます。  それから審査会補助金六十一万円、これも金額か僅かでございまして補助金のうちから落ちておりますか、これは別途平衡交付金のほうに入れられたものでございます。平衡交付金の形で地方には流れることに相成つておる次第でございます。  それから再建整備貸付金、これは御案内のように法律に基いて貸付をいたしますものでございます。前年度の二億四千八百万円が一億円の減額になつておりますが、実は昨年度法律に基いた予算を計上いたしたのでございますが、実際問題としては非常に貸付金の申請か少のうございまして、すでに本年度予算を若干或いは他の方面に流用いたしたような実情でございます。それで御案内のように法律に基きますと、前年度貸付を受けましたものが翌年度続いて一定の条件に合つたものが貸付を受けられるという関係もございますので、年々この額が減るのが当然でありますが、減り方のひどいのは初年度におきまして予定したほどの申請かなかつたためでございます、大体私どものほうとしては一億という丸い数字でございますが、この程度で再建整備資金貸付法の運用は支障ないものと考えておる次第であります。  次に災害特別貸付金、これは特別補助金で、昨年の風水害に基く関係の向きへの貸付金及び補助金で、これは特別法によつて一体なつておるものでございます。昨年度の特例でもございますので、今年度は一応予算から落されたような次第でございます。  次は、健康保険組合に対する補助金であります。先ず第一は事務費補助でございます。そのうち一番多いのは四億九千百十万円という健康保険組合に対する補助金でございます。これは立て方といたしましては政府管掌健康保険は先ほど国庫負担金がございましたが、これを政府管掌健康保険保険者総数で割りまして出ました単価、被保険者一人当りの単価をこれを今度は逆にと申しますか、健康保険組合のほうにその数字を持つて参りまして、健康保険組合の被保険者総数にかけまして出しました数字でございます。建前としては政府管掌と同様に十割を国庫負担という建前になつているものでございます。その次の労働保険組合百四十一万八千円というのがこれは前年度はございません。新たに計上されましたのでありますが、これは尼崎等日雇健康保険組合というあの法律ができます前から実施しておりました組合がございます。これにつきましては特に奨励の意味も加えまして事務費補助を差上げることにいたしました次第でございます。  それから二の結核病床の整備としまして一億七千一百万円計上されてございます。これは本年度千五百床健康保険組合として結核病床の整備に協力をして来つたのであります。昭和二十九年では一千九百床に増加されて同じように整備することになつております。これはここにありますように二分の一の補助金一般会計から出すことになつているものでございます。  それで保険局一般会計分は終りました次第でございますが、少しめくつて頂きまして特一というのが二枚ほどめくつて頂きますとございます。ここは先ほど申上げました厚生保険特別会計予定額調が載つております。厚生保険特別会計は先ほど申し上げたのでありますが、健康勘定日雇健康勘定年金勘定及び業務勘定というように四つの勘定に分れておりますのであります。最初の健康勘定につきまして概略のことを申上げることにいたしますが、保険料収入につきましては先ず基礎となります被保険者の数であります。前年度は四百四十五万六千人を予定いたしましたが、昭和二十九年度におきましては五百十七万六千人になる予定でございます。今年度は申すまでもなく政府管掌健康だけでございます、それに基く保険料収入が四百五十四億五千百三十三万六千円、本年度よりも百十億ほどの増加になつております。それから積立金より受入というのがございます。これは前年度の特別会計剰余金がございますのでこれを受入れて行くというものでございます。雑収入と申しますのは特別に申上げることはございませんが、例えば滞納処分をいたしましたような場合、滞納処分の前に保険料の支払が遅れました場合の延滞利子がこの中に入つて来るわけでございます。合計いたしまして健康勘定収入総額は四百七十二億六千七百二十一万六千円であります。  これに対応いたしまして次の表にございます歳出は一番大きいものは勿論保険給付費でございます。これは昨年の夏御決定を頂きました法律の改正によりまして保険の療養の給付期間が二年から三年に延びました。前年はこれが十一月以降の実施でございました。それを二十九年度は勿論まるまる影響して参りますので、金額におきましては非常に大幅に増額をしておるわけでございます。即ち前年度は三百九億でございましたのが、一十九年度には主としてその関係から四百四十千億の保険給付費に殖えるわけでございます。  それから業務勘定へ繰入れというのが九億四千二百万円ございますが、これはのちに申上げます、又先ほどもちよつと触れました福祉施設保健施設というようなものは一応業務勘定に繰入れて、そのほうから支出をすることになつておりますので、こちらのほうでは繰入として計上してある次第でございます。この内訳は業務勘定のほうで出て参ります。  それから国債整理基金特別会計の繰入、これは先ほど申上げました利子相当額でございます。それから諸支出金、これは名目上の計上に過ぎません。  それから最後の予備費でございます。十七億二千百万円、大体この程度のもの、これは予算の辻棲を合せるためにこういう数字になるわけでありますが、おおむね五分乃至それに前後する額を予備費として計上するのが例になつております。若干これは五分相当額より減つておりますが、数字の関係からこういうような数字になつておる次第でございます。  それから次は日雇健康勘定でございます。合計二十三億七千六百十八万二千円の収入総額でございますが、そのうち申すまでもなく一番大きいのは十八億一千三十四万八千円という保険料収入でございます。二十八年度と同様に五十万人の被保険者を予定して計上してございます。保険料につきましては前年通り変更ございません。  それから一般会計よりの受入が御覧の通り大幅に二億九千万円増額になつておりますが、これは先ほど申上げました療養給付費の一割相当額二億一千五百万円が入りましたのが一番大きな理由でございます。  それから積立金の受入が二億五千三百五十八万二千円、相当たくさんございますが、これは日雇労働者健康保険法がすでに実施されておるのでありますが、一月の十五日から保険料を取ることにしております。すでに取つておるのでありますが、ところが法律の規定に基きますと前二カ月間に二十八日以上の保険料としての印紙が貼つてございませんと、療養の給付を受ける資格がございませんで、従いまして昭和二十八年度におきましては一月の十五日から保険料を取りまして、給付の始まるのは三月からで、三月一月だけが給付になります。従つて保険料収入が二億五千三百万円次年度に繰越しされるということになります次第であります。  こうして二十三億七千六百万円の歳入に対しまして、次の頁に歳出がございます。これも一番大きなものは二十一億五千万円という療養給付費であります。先ほど申上げたように三カ月を六カ月に延ばしまして、これだけの費用がかかるという計上であります。丁度その一割相当額、二億一千五百万円が歳入の面で一般会計から繰入れられておる次第であります。予備費を二億二千万円見まして、二十三億七千六百万円という歳入歳出の帳尻の金額なつておるわけでございます。  それから年金勘定につきましては三百九十五億七千七百二十万八千円、このうち最も大きなものは保険料収入三百三十三億円、運用収入というのは、資金運用部資金に預け入れております結果牛ずる利息であります。五年以上の長期に預けますものは五分五厘、五年未満一年以上のものは四分五厘、一年未満のものは三分五厘というような資金法の規定に基く預け入れをしておるわけでございますが、その総額が五十三億五千八百万円という実収入でございます。なお、この年金勘定につきましては、厚生年金保険法改正案がまだ政府といたしましては最終的な段階に至つておりませんが、最後の結論を取急いでおりますような次第でございます。私どもといたしましては予算の修正を伴わずに、大体只今のところでは改正法の運用ができるようにすべきであり、又そうなるであろうということを予測しております次第でございます。一般会計受入れにつきましては先ほど申上げた通りであります。  これに対しまして歳出は非常に少うございまして、六十九億七千百九十二万四千円という数字になつております。その主なものは勿論やはり保険給付費でございまして、あとは取立てて申上げるほどのものもございません。この歳入総額三百九十五億から歳出の六十九億七千万円を差引ましたものが結局将来の年金給付財源として資金運用部に預託される予定になつておるのでございます。  その次は、業務勘定、これは先ほどもちよつと折に触れて申上げましたように、業務勘定と申しまするのは、健康保険日雇健康保険年金保険それぞれの事務費をこの勘定から支出いたしますと共に、保健施設福祉施設もやはりこの会計から支出する建前にしておるのでございます。そこで他勘定より受入れ……、以上申上げました健康保険日雇健康保険年金保険それぞれから福祉施設保健施設財源受入れます。その総額がここにございますように十三億一千二百万円、前年度より相当減額になつておりますが、これは主として福祉施設につきまして、あとで申上げるような大きな減額があるからでございます。  それから一般会計からの受入れ、これは事務費でございます。事務費とそれから結核ベツドの増床のための国庫補助、それが合せてここに入つておるわけでございます。それで雑収入を見まして三十二億六千七百万という歳入でございます。  歳出の大筋は今申上げた通りでございますか、ちよつと中に触れて、ここに細かくございますが、簡単に申上げて参りますと、健康保険厚生年金保険及び日雇健康保険の事務取扱いに必要な経費、これがいわゆる事務費でございます。それから他会計へ繰入れに必要な経費、これは先ほどの国債整理基金利子相当額でございます。  それから社会保険出張所新営に必要な経費、これは先ほど申上げました、来年度は六カ所事務所の建物を建てなければなるまいということで、六カ所分が計上されておる次第でございます。国家公務員宿舎新営に必要な経費、これも地方におります職員の宿舎を建てますものでございます。それから次の健康保険保健施設に必要な経費、これが先ほど申上げました結核検診でありますとか、寄生虫の駆除、或いは陸上競技大会、水上競技大会、そういうふうなものに必要な経費総額でございます。次は、日雇健康保険保健施設に必要な経費、これは一般会計負担で二百十万円、先ほど申上げました。それから次が健康保険福祉施設の必要経費八億九千五百万円、これは現在健康保険関係で全国に七十カ所ほど病院、診療所を持つております。  それと結核ベツドを政府管掌健康保険で立てることになつておりますが、その分がこの中に入つておるわけでございます。大体の方針といたしましては、健康保険関係の医療施設は新らしいものを作る計画が現在ございません。この金は従前のものが非常に傷んで参つておりますので、その補修に主として充てたいと思つております。それから厚生年金保険福祉施設に必要な経費三億六千九百万円でございまして、前年度の十二億から見ますと八億五千七百万円という大幅な減額になつておりますが、前年度こういうふうに大きくなつておりましたのは、東京、大阪の厚生年金病院の整備に相当な金が必要であつたからでございます。来年度はすでに本年度から始まつております九州の年金病院の残額を若干計上するのと、あとは既設の病院の整備に必要な金だけを計上いたしました次第であります。最後に、日雇労働者健康保険福祉施設に必要な経費三千四百十五万一千円、前年度と同額が計上されております。これも先ほどの保健施設でも申上げましたように日雇労働者健康保険福祉施設はこの分全額一般会計からの負担保険料からは支出しないという建前でございます。この内容は本年度と同額になつておりまするのは、本年度におきまして大体東京と大阪と名古屋を予定しておりますが、日雇労働者の多数集まりますところに、その便宜なところに専用の診療所をこしらえたら便利じやないかというふうな建前で予算が取れたものであります。来年度も引き続きまして他の三大都市に作ろうというので増額を計上いたしましたわけであります。これに四千万円の予備費を見まして、収支を合せております。これが大体厚生保険特別会計でございます。  次に、船員保険特別会計予定額調でございます。船員保険は御案内のようにいわゆる総合保険でございまして、陸上の労働者に対する健康保険年金保険、失業保険、労災保険というようなものが全部包括されております制度でありますことは御承知の通りでございます。そのために十五万の船員から保険料を徴収いたしまして、運営をしております次第でございます。なお、他の保険と同様に事務費につきましては全額、それから長期保険給付費につきましては二割相当、失業保険につきましては三分の一相当の国庫からの、一般会計からの受け入れをしております。その総額が二億六千七百万円と一番下に書いてあります。一般会計からの受入れでございます。減額になつておりまするのは、非船員の関係でございます。それは先ほど申上げた通りであります。  そうしてその次に歳出を、極く大まかな数字だけで内訳は書いてございませんが、先ほど申上げました長期給付、短期給付全部を併せまして二十七億一千四百万円の給付費になります。業務取扱いに必要な経費というのは、これは主として事務費でございます。  それから次が船員保険福祉施設に必要な経費、一億四千八百万円、既存の医療施設の整備のほかに保養所を作りましたり、或いは先ほど申上げました結核ベツド百床の増床をいたしました。そのようなことが皆ここに福祉施設として計上されておる次第であります。  極く大ざつぱな御説明で恐縮でございましたが、保険関係は大体以上で一通りの御説明を終つた次第でございます。
  11. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは保険局関係の御質疑はあとに廻しまして、今厚生大臣がお見えになつておりまして、なおすぐ衆議院の予算委員会に出られる必要があるそうですから、厚生大臣に対する御質疑を頂きたいと思います。
  12. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この昨年の十一月の末に私が今年度社会保険診療費に対する所得税の課税率が二四乃至二八%になつた、こういうことを聞いておつたのでありますが、その後いろいろのところから情報が入りますと、この課税率の軽減に関して大蔵省内にもいろいろ意見がある、又閣議でもまだはつきりしていないというようなことを聞いておるのであります。その真相を厚生大臣から一つはつきりとお答えを願いたいと思います。
  13. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) 実はお話のように社会保険診療報酬に対しまする課税の問題は、昭和二十七年度の閣議決定で大体三〇%以内ということに相成つて、二十七年度はその方針でとつて参りました。そのときに更に二十八年度になりまして、二十七年度に今後のことについては更に検討するとかいう一項が加わつてつたと思う。そこで二十八年度の問題になりまして、これは二十七年度の暫定措置として行なつたから、二十八年度では普通のように戻してもらいたいというのが、一応の徴税事務の当局の意見であつたと思います。併しこれは大変大きい影響をいたしますので、厚生省といたしましてはどうしても二十七年度と同様な方法、二十七年度と同じ率を以てそれ以上はいろいろな関係から認めがたい。そこで只今お話になりましたようにざつくばらんにお話しようという御質問でございまするから、そのまま申上げますると、閣議におきましても両三度の懇談をいたしました。最後に二十八年度も二十七年と同様なことにするということで閣議了解決定をいたしました。従いまして二十八年度は二十七年度通りにいたすことに決定いたしましたから、この点御了承を頂きたいと思います。
  14. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 よくわかりました。
  15. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 大臣に対する御質問はほかにありませんか。なお十八日にも大臣に御出席を願つて質疑を願うことになつておりますが、別に差迫つての御質疑がなければ、お急ぎのようでありますから次に譲りたいと思います。
  16. 藤原道子

    ○藤原道子君 ただ一つお伺いしたいのでありますが、生活保護法の不足分ですね、これの処理についてどうも納得の行かない点があるので、大臣から責任ある御見解を伺いたい。二十億は入つておりますね。併し今度は十二億とか……ところが全部行けば四十五億か七億不足しておるんですね。大体生活保護法の不足分は私どもの計算では行つておるんですが、これはどういうふうになつておるんですか。
  17. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) これは先般来予算委員会等でも御質問になつて、或いは四十五億という御質問であり、或いは五十億という数で御質問が出ておりました。私どものほうでもこれは最終的にはそうはつきりとは申上げかねるのであります。いわゆる年度を過ぎましてそこでしまして、殊に赤字と申しますか、予算外の負担予算より以上にはみ出したという点は主に医療費でございます。そこで医療費の場合には、これはそれぞれ審査機関がありまして、点数計算等におきましてもそれぞれの専門家で審査をいたしまして決定いたします。そこで最後でなければわからないということでございますが、大体厚生省としてつかんでおりますのは、かれこれ全部検討して三十二億であるという見当でつかんでおります。従つて十二億を急いで本年度の当初の予備費から支出をいたしまして、一月の下旬にこれはすでに支出をいたしまして、あとの残りの二十億程度が多分三月末までにはずつと累積して支払うべき金になるだろうという見当で二十九年度予算計上いたしております。こういう順序になつております。
  18. 藤原道子

    ○藤原道子君 厚生省の発表でも最初は四十五億ぐらいというふうなことでしたのが、だんだん切り詰められて来たのがしわ寄せして行つたのじやないでしようか。現実にこれは地方におきましては非常に混乱を起しておるのですが、そのために非常にきびしい査定をしておる、或いは退院を強要しておるというような例が頻々に起つておるのでございますが……。
  19. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) これは、あの審査機関は厚生省とは全然独立的機関になつておりまして、医療関係の方々が中心に専門的に審査をされることになつておると記憶いたしております。従いましてあそこの審査というものは、厚生省のちよつと手が入れないほど慎重におやり願つておると思います。で只今医療を受けておるものを、医療費が、生活保護法による費用がないから無理に出すのじやないかというような御懸念がありますると、誠にこれは影響が大きいのであります。さようなことは絶対にいたしたくない、又いたすべきものではない。ただ逆に、結核療養所等に入つておりまする人で、院長その他の医学的な立場から当然退院していいような方が、或いは住宅とか、或いは家庭とかいう関係で、退院をしないでおる方が、去年の十一月に調査いたしました結果二百名余りある。併しこれは人道上無理に急いでやるということはいろいろと影響が多いので、或いは住宅を御斡旋したり、職業を世話したりしてやつて行くという点においては、むしろ一方から、或る意味の濫給とお叱りを受けるかも知れないが、これは実情に即して努力するという方向でいたしております。従いまして現在医療を受けておるものを費用がないから切るということはこれは一切いたすべきものではないし、そういう指導も絶対にいたさないつもりでございますから、どうぞその点御了承を願いたいと思います。
  20. 藤原道子

    ○藤原道子君 押し問答をしていても仕方がございませんので、大臣の言葉を私信頼いたします。但し、若しも事実赤字が出て来た場合はどういう方法で処理をなさいますか。
  21. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) これは御承知のように、法律にはつきり出ておるのでございますから、当然国家の義務負担なつて来ると思います。
  22. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ほかに差当りありませんければ、大臣に対する質問はこれで打ち切りたいと思います。  それでは続いて保険局関係に対する御質問を願いたいと思います。   —————————————
  23. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 ちよつと今のに関連したことですが、私はこの委員会の性格などまだよくわかつておりませんのですけれども、この問題はもう非常に、今藤原さんが言われたことですが、各所から聞いておるのですが、そういう事実があることを利はこういう際にこの委員が公平にこれはやはり調査する必要があるのじやないかと思います。主な、関西、関東、北陸、九州というような四つぐらいの場所で、こういう事実があるかないかということをやはり委員会として調査……、これはやはり相当輿論になつているのです。そういう風説だけじやなくして、各方面がそういう危惧の念を少くとも国民が抱いておる。要援護者が抱いておるということはやはり大きな問題だと思いますので、この厚生委員会で一つ調査をする必要があると私は思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  24. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 今の竹中委員調査の発案に対して、如何でしようか、御異議ありませんか。
  25. 藤原道子

    ○藤原道子君 異議なし。私は時期を見て至急に調査すべきだと思います。
  26. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは予算との関係もありますから、何カ所調査に行くかというようなことは理事会にでもお任せを願つて予算調査の上で考慮いたしたいと思います。   —————————————
  28. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは保険局関係の御質問を願います。
  29. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 保険局長にちよつとお尋ねしておきたいのですが、今の保険診療費の所得税の課税率について二十六年の十二月、私どもが当時の池田大蔵大臣、橋本厚生大臣と折衝したときに、暫定措置である単価の適正をきめるために、厚生省に新なに審議会を設置するということで、一応これが解消したことは御存じの通りであります。で、この審議会が設置されましてから、すでに二カ年を経過いたしております。審議会の経過については私どもよく承知いたしておりません。ときどき委員の方々から向うからお話は伺つておるのですが、現在どういうふうな審議状態にあるか。又審議の今後の見通しはどういうふうになつておるか。極く大略でよろしうございますから一つお知らせを願いたいと思います。
  30. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お答え申上げます。私どもは今お話のございました審議会岸臨時医療保険審議会という名称で正式に発足いたしておるわけであります。お話のように、創設後長期間を経過しておりまするが、まだ結論らしいものが出ておりませんが、この点は私ども関係者としても憂慮をいたしておるのでございます。もともとこの審議会の運営につきましては、単なる諮問機関でないという性格から考えまして、どういう問題をどういう角度で検討をして行くかということにつきましては、審議会の御意向もございまして、審議会の委員の方々からの御発議によつて、会議の運営なり或いは取上げる課題なりというようなものをきめて頂くようなやり方をしておるわけでございます。言葉を換えて申上げますれば、厚生省あたりから案を出して意見をお聞きするというような受身の審議会でなく、むしろ内容的にも積極性を持つた審議の体制をとるべきであるというようなやり方をして参つておるのであります。そういう前提に立つて先ず当初各関係委員、御列席の委員から審議すべき問題を持ち寄りまして、その審議の順序等御相談を最初して頂きましたのであります。その結果、ともかくも医療保険に関する基本的な原則というものを先ず検討してかからないと事後の問題の解決がむずかしいのではないか。具体的な、ものによると、末端の問題から入るのが原則かも知れんけれども、併しそういうことをしておつては百年河清を待つことになるので、根本的な原則的な問題から先ず入つて行こうというようなことが審議会としてきめられました方針でございます。その後長期間に亘つて審議が続けられております。ただ昨年の選挙の当時、審議会の委員の方々から立候補された方々がございましたので、約その間二カ月間ほど会議を休んだことがございます。それ以外にはずつと続けてやつて頂いておるわけでございます。各方面から早く結論を出すようにというお話がございまして、昨年の夏以来臨時医療保険審議会の中に小委員会を設けまして、小委員会で今申上げました原則だけでも早く結論を得たいというので、随分委員に御尽力頂いておるわけであります。特に小委員長はみずから案文を作つたりいろいろ審議の促進を図つておるような次第でございます。私どもも各方面からのお話もございますので、結論を急いで頂くようなことを再々お願いをいたしておるような次第でございます。今その小委員会の結論もいろいろ議論も多うございまして、最終の段階に至つたと言いながら結論が出る、すぐに出るというところにまでまだ至つていない状況でございます。この点何分にも問題がむずかしいだけに止むを得ないものと思つておりますけれども、なかなか原則論となりますると、先々の問題を考えての御議論になりますためか、非常に意見が多くて結論に到達していないという現状であります。併しそれにもかかわりませず、関係の小委員の方々は何とか一致した結論を得ようというので、非常な努力をして頂いておりますような段階でございます。
  31. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 もう一つ関連してお尋ねをしておきたいのですが、中立系の人から私どもにこういうような話があつたのでございます。まあ社会保険事業というものは制限事業であると私どもは信じております。そこで入院料に対しましては病室の関係から被保険者の希望によつて差額徴収というようなことも認める。一般診療に対しても被保険者の要望があるならば差額徴収を認めてもいいではなかろうか、こういうような意見も我々に洩らしておりますが、保険当局としては従来差額徴収に対して反対の意向を固く持つておられたようですが、現在におきましてもやはり従来の方針を堅持されているかということ、これを一つ念のためにお尋ねいたしたい。
  32. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 差額徴収の問題につきましては、私どもは現在の保険建前が現物給付ということを建前にしております以上、これを原則的に取入れるということにつきましては、現在のところまだ消極的なのでございます。
  33. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 もう一つお尋ねしておきたい。現在この積雪寒冷地帯におきましては冬期間の燃料費というものが若干給付されております。まあ北海道だけそうでありますが、その他東北、北陸等の諸県におきましても冬期間北海道に準じた燃料費の支給を受けたい、こういう強い要望がありましたが、この要望に対する御当局の御意見はどういうようですか。
  34. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) そういう要望のありますことは、私どもも何回となく伺つている次第であります。この問題は一種の私どもは地域差の問題とも考えていますが、反面におきまして、又甲地、乙地の関係で各方面から又別の方面から御要望があるわけであります。これをどういうふうに解決して行くかということは、私どもとしては甲地、乙地の取扱いと、やや似かよつたような考え方で処理しなければならないものと思つているわけであります。一応の筋から申しますると、現在の点数、単価決定におきましては、一応平均的なところを見まして燃料費等も計上しているわけでありますが、それを地域的に差等をつけるということになりますと、なかなかむずかしい問題が起つて参るわけであります。私どもとしては現在の段階では御要望に沿つてすぐにそのほうの増額だけやるというようなことでは、正しい問題の解決ではないと思つているような次第でありますが、そうかと言つて、いつまでも放任していいとも思つておりません。非常に実は取扱いに苦慮しております実情であります。特に甲地、乙地の問題になりますと、御質問にはございませんでしたが、私どもは同列の問題と考えておりますが、この問題はもともとは都市の物価が高い。営業費が高くつくというようなことから、ああいう単価の差ができていると承知しておりますが、今日これを仔細に検討して見ますると、必ずしも物価指数と、甲地、乙地の区別とはマツチしてないというのが現状でございます。さような関係上この問題につきましても、やはり筋としては何か考えなければならないというふうには思つているのでありますが、現在の甲地、乙地の区別、それ自身がすでに不合理になつております。これは御引例になりました北海道にだけ暖房費を認められ、他の地域に認めていないというようなことと同列の問題であると思うのであります。そこで筋としては何か考えなければいけないとは思つておりまするが、一面におきまして実は昨年の中央社会保険医療協議会におきまして、こうした一連の地域差の問題につきましては全面的な検討をする際に一緒に検討をすべきものであつて、個々の問題を個々に取上げるということは中央社会保険医療協議会等ではしないことにしようというような決議がなされておるわけであります。そこで全般的な問題となりますると、先ほど御質問のございました臨時医療保険審議会の決定の方針というようなものが先ず先行すべきものだとも考えております。どうもこれは逃げ口上でなしに、そういうような破目になつておりまする関係上、今私どもとしては積極的に手をつけかねておるという……、余りにも問題が大きく、又むずかしいために積極的に案を出すというような段階までは至つておらない実情でございます。
  35. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 まあ暖房費につきましては今年の十二月からの冬期間のことでございますから相当期間もありますので、それまでに十分御検討を願つて適切な処理をして頂きたい。又医療審議会の結論等も、まあ甲地乙地等についても各方面からいろいろな要求が出ておりまして私どもも非常に困つておる。これらを勘案をされて成るべく速かなる機会にその医療審議会の結論の出まするように当局として御尽力を願つておきたいということを特に今日申上げておきます。
  36. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちよつと伺いたいのですが、この十四枚目の裏のところ、国民健康保険助成、その(2)の保険者補助金、それに三通り説明があつたように思うのですが、その中にこの指導員とか、第三番目は保健婦でしたか。
  37. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) そうでございます。
  38. 高野一夫

    ○高野一夫君 そういうような健康指導とか、保健婦というものの活動に対して保険者補助を与えるというわけなんでしようが、その健康指導とか、保健婦の活動とかいうようなことは、この国保のほかに保健所とか何かでやはりそういう面を担当している面があるわけですね。そうして更になお又例えば市町村とか、或いはこの別な組合とかいうものがそういうものをやる、それに対して補助をするというようなことは一つのケースとして重複するようなことがありませんか。保健所ならば保健所というものを充実させて、そこで健康の指導もする、環境衛生の指導もする、そうして保健婦の活動もやらせる。こういうことをするあれは、何も国保のほうでやるとか、健保のほうでやるとか何でやるとか言わなくたつて、やらなくたつて一本の線で国民に対する問題だからやれるのじやないか知らんというような感じを持つのですが、やはりここはここでこういうことを又別個にやらなけりやならんかということについてはどんなものですか。
  39. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) この問題につきましては、この制度の多少経緯もあるのでありますが、もともと各町村、国民健康保険をやつておりまする町村におきまして一種の保険の自営、という言葉を使うと語弊がありますが、被保険者が病気にならないように健康の指導をして、そういうことによつて保険財政、国民健康保険の財政の安定を図りたいという目的のために、すでに現在四千人を超える保健婦が置かれておりまするので、それに対しまして従来から補助金を出しておりましたが、そういういきさつでこれはあるのでございます。只今の御指摘のございました保健所との関係につきましては、そのまま放置して置くということでありますれば、確かにそういう結果になろうかと思いまするが、一面、私は詳しくは存じませんが、保健所関係保健婦補助金にも限度があり、従つて置かれておりまする保健婦の人数にも限度があるわけでございまして、到底各町村にまで保健婦を駐在させるというようなことはできない実情にあるように聞いておるのでございます。そこで勿論保健指導の面につきましては保健所が中心になつてやるべきことでありまするので、厚生省部内におきましては公衆衛生局とはそのことも話合いをいたしまして国保の保健婦は国保から給与をもらつて働いてはおりまするけれども、それぞれ駐在する関係市町村の区域内の保健指導に当るわけでございます。それにつきましては保健所の指示を受け、その指導の下にやるというようなことで実体的に研究をしておる次第でございます。  なお国保を実施して保健婦を置いておりまする所は、全体の市町村から見ればまさに半分以下でございます。それを置かれていない所においては全部ではございませんが、県の駐在保健婦が置かれておる所もあるようでございます。これは文字通りお話のように保健所の指導の下に動くべきものと承知いたしておりますが、実体的には給与の出る所、身分の所属は違いますが、仕事のほうにおきましては保健所と一体となつてやるように指導をしておる次第でありますから、重複はないものと承知しております。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 これは将来いろいろな法律改正問題に引つかかるかも知れませんけれども、私が感ずるところではとにかく国保を設立して、おる市町村、そこでその組合なり、市町村なりが自衛手段としてやるということはこれは当然でしようけれども、いわゆる国民全般の健康問題とか、保健活動ということから言えば国保の設定があろうと、なかろうと当然考えるべき筋合のものであつて、そうするならばこれだけの金を補助して、これを保健所なら保健所のほうにこの予算を持つてつて保健所を増設するとか、保健所の内容を充実さして、その活動を機敏に拡げて行くというようなことにすれば、統制ある本当の保健活動ができるのではないか、こんなような感じがしてお尋ねしたわけですが……。
  41. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 予算の組替というような面につきましては、厚生省部内におきましてもそういう話合いが出たことはございます。併しながら一つには国民健康保険に対する補助金ということですでに実績を持つているというような点も考えなければならんし、又国民健康保険の経営主体として本年度までは三分の二相当額、来年度はこれは補助率が減りましたために四分の三相当額を国民健康保険の経営者として一応負担するわけでございます。そういうような費用予算の組替によりまして保険なり何なりにかかつて参るということもありまして、果してそういうことが全体として形式だけで組替えるというだけで済むのかどうかというような問題もあるわけでございます。要するに私どもとしてはすでに実績のある補助金でもありますししまするので、問題の御懸念のありまするような実質的な国民保健指導というようなものが行われまするように、連絡協調をとればそれで十分であるのではないかという話合いが一応厚生省内部でついて、又地方にもその線に沿つて指導をいたしておる次第であります。
  42. 高野一夫

    ○高野一夫君 なおその問題は私ども一つ研究さして頂きますが、国民健康保険にもあつたと思いますが、日雇いのところにもある。そのほかにもあつたと思いますが、結核病床の増設とか、整備とかいうことがありますが、これは国立病院とか、国立療養所にこれだけのものを増設するという意味ですか、整備するということは……。
  43. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) これは国立療養所だけではございません。政府管掌健康保険の分につきましては千五百床、船員保険関係で百床、結局政府管掌保険で合計千六百床になつておりますが、これは既存の療養所又は病院に結核ベツトを付けるというような行き方で行きたいと思います。先ほど申上げたように、船員保険も病院を持つておりますし、すでに今年から結核療養施設を船員のためのものを作つておりますので、それの増床としてやるつもりでございます。政府管掌健康保険の点につきましては、先ほど申上げました七十カ所の医療施設をして行く建前でございます。それから健康保険組合が千九百床ほど先ほど申上げました本年度より殖えた病床を整備することになつておりますが、これは健康保険組合補助金を出しまして、健康保険組合がどこに作るかということは非常にまちまちでございます。国立の病院に委託したり或いは私立の病院にベツドを付けたりいたしますが、ただ個人の所有物で、国以外のものが所有する施設を付け足すということはいろいろその後の管理上の問題が起つて参りまする関係上、建前としては余り面白くないというやり方でございます。過去においては健康保険組合が国立の施設に委託してベツドを作つたこともあるように聞いておりますし、又実例も知つておりまするが、その後これはみな寄附その他で整備をして参つておるような状態であります。大体社会保険関係結核ベツドを作りますものは、国立以外のものにそれぞれの話合いで付けられて行くというようなことになると、かように御了承願いたいと存じます。
  44. 高野一夫

    ○高野一夫君 そこで私はやはり先ほどの指導員、保健婦の活動と同じようなことを感ずるのですが、ここで補助率が少くあつても、やはり社会保険関係の病院、診療所、それにも補助を出して結核のベツドを殖やす、国立病院は国立病院で、療養所は療養所でやはりベツドを殖やす、こういうようなことが医務局関係予算にも出ているわけであります。これは政府のほうでやるような保険関係のものは、すべて例えば国立病院とか国立療養所というふうに統一するということは不可能ですか、一本の線で行くということは……。
  45. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 昭和二十九年度結核ベツドの整備につきましては、従来からの計画の一環としてやつておるわけでございます。私の承知いたしておりますところでは、国立療養所に対する結核ベツドは全然予算が認められない結果になつておるわけであります。これは仄聞いたしまするのに、国立療養所にベツドを殖やすと必ずそこに定員の増加を見なければなりません。又勿論経常費も一般会計負担なつて参ります。そういうような関係上、財政緊縮のことも影響したのかと思いますが、国の経費負担がベツドを殖やすためにこれに伴つて非常に殖えて参ります。そういうようなことから国立の施設は今年度、二十九年度は認められなかつたと聞いておるのであります。厚生省全体の方針といたしましては、結核ベツドの整備は今お話のように国立の施設一本にしてしまうというようなことでありますと、今申上げたような関係もありまして、なかなか予算も取りにくいし、整備計画も立ちにくいので、どこでもとにかく心配のないところで経営がされる見込があるならば、できるところは相協力して国全体の結核ベツドの整備協力するような建前をとつたほうがよいのじやないかというようなことから、主として医務局、公衆衛生局、保険局のそれぞれの立場におきまして分担し、協力して整備をするという建前をとつております。
  46. 有馬英二

    有馬英二君 医務局長にお尋ねいたしますのですが、保険局で各地方保険病院が建てられておりますが、どういうような、全国的な配置と申しますか、何か一定の基準の下にそういうことが行われておりますか、それを伺いたい。
  47. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 配置につきましては、別段基準というものはありません。殊に現在先ほど申したように七十数カ所医療施設を持つておりますが、この大部分は既存施設の買収によつて当てたものが多ございます。勿論その後に新設したものもございますけれども、多くのものがそういうような経緯でできておりますので、私どもとしては別段配置の計画等を持つてつておるものではございません。なお、先ほど説明のときに申上げましたけれども、来年度予算の執行につきましては、新らしいものを作るという計画を持つておりません。既存の施設整備ということでやつて参るつもりであります。将来の問題といたしましては、厚生省部内でも今その種の問題が検討されつつありますので、国全体の医療機関の整備というようなことで従来も若干の計画はあるのでありまするけれども、そういう点につきましては更に検討をいたさなければならないと思つております。
  48. 有馬英二

    有馬英二君 国全体の医療施設というような点から考えますと、やはりこの保険病院若しくは保険診療所というものができるだけ多くできて、被保険者のために便宜を与え、又診療を完備せしめるというのがこれが常道だと私どもつておるのですが、併しそれだからと言つて、やはり民間の医業者に不平を起さしたり、或いは民間の医業を圧迫するというようなことがあつてはならんと私どもは考えておりますが、そういうことについて従来しばしば何らか保険当局とそれから民間の医業、まあ組合ではないかも知れませんが、医師会というような間に意見の相違を来したというようなことを私どもはときどき聞くのでありますが、最近はそういうことが起つておりませんか、どうですか。それを伺いたい。
  49. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 前からの継続の問題で若干まだはつきりしないものがございますが、新らしく問題が起つておるということは私は聞いておりません。確かにお話のように特にこれは国民健康保険で年々数百カ所の診療所を建てるというようなことをやつておりますので、自然地方によりますと、中には感情の齟齬を来したり、お互い連絡の不十分なところから問題を醸しておるところもあるかも知れませんが、私どもはそういう問題を起すということは厳に戒しめておるようなつもりであります。
  50. 有馬英二

    有馬英二君 私ども特に北海道のような広いところで医師が非常に不足しておるような所、いわゆる僻村でありますか、そういうような所にできるだけ保険施設によるところの診療所若しくは病院というようなものを建てて、これはまあ国民健康保険に属することかも知れませんが、できるだけ医療の完備を図つて頂きたいと思つておるのですが、まあ特に北海道というと全国的から見るというと甚だ偏したことになつて或いは支障を来すかも知れませんが、併しながら北海道というような特殊の地域、そうしてこれからどんどんと人口の抱擁を国全体として図つて行かなければならん地域でありますから、特に医療の完備ということは、そういう地域においては他の地域よりも必要ではないかと私どもつておりますからして、そういう点について特別に保険局にお考えがあるかどうか、それを伺いたい。
  51. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 確かにお話のように北海道の医療機関が非常に整備の状況が悪いということは私どもも承知しておりまするし、又その線に沿つて北海道から国民健康保険等の補助金申請して来る向きが非常に多ございます。私どもとしては先ほどお話のありましたような問題の起りません限りは、北海道には特に重点を置いて従来も予算の範囲内ではやつておるつもりでございます。なお今後とも御趣旨に副うようにいたすつもりでございます。
  52. 横山フク

    ○横山フク君 先ほど高野委員から御発言がありましたけれども、保健所の保健婦と国保の保健婦の問題でございますけれども、私としては高野委員の御意見に全然同感なんでございます。で、局長から国保の保健婦も保健所の指導の下に置いて、その地域の保健活動を十二分にするという話であります。そうして保健所の管轄、監督に入るというお話であります。そういう行き方であつたならば又私としても過渡的な問題としていいかとも思うのでございますけれども、実情においては必ずしもそうでないのです。やはり町村のほうに行きますと国保の保健婦は、保健事業、目に見えない保健事業をするよりは助産行為をするほうがその村当局者としても又村民にも喜ばれるという形で、保健事業のほうよりもむしろ助産事業をすることによつて、民間の助産婦業者を非常に圧迫しておるということが非常に声として出ているわけでございます。そういう殊に局長の今のような行き方を各会議等において十二分に趣旨を徹底して頂きたいということ、これが結局日本の保健事業の向上にもなると思いますししますので、是非機会あるごとに御督励願いたいと思うのでございます。  もう一つの問題は、やはり保健事業と助産行為の問題でございますけれども、これは局長も御熱心に御協力頂いておりますのですが、今の場合現物給付の対象になつていない、医療行為の中に入つていないということで、新らしくできる国保等では、助産事業は医療行為でないのだからという形で話合い等が行われておつて、そうして極端に言いますと、必ずしも助産婦にかからないでもいいんだ、医者は勿論助産婦にもかからないでいいんだ、そのもらわれた助産手当のうちで、その他でやつてもまあ安く上ればそれで済むのだという形で、いろいろ経済的に窮迫しておる段階において言われているのを、県の助産婦等から聞くことがございます。これはひとり民間の開業の助産婦の職業的圧迫ということだけでなくて、母子衛生の面からいつても非常に寒心事だと思うのです。今母子の保健についての国際条約の最低基準の問題も考えられるときでございますので、こういう面においてなお一般の御協力を頂きまして医療給付の対象に入るようなふうに御尽力願いたいと思います。それでございませんと、まあ必ずしもその他にかからないで助産婦にかかる場合でも、或る特定の助産婦を国保等で雇い上げのような形になるときには、実際において助産婦の数が今は需給状態において半数以上の人が若し雇い上げのような形を全国の国保がとつた場合には、失業状態になるのははつきりした数として出ておるわけでございます。併しそれが現物給付の形になりますと、そこに或る程度その日からもう一生失業というような形にならないで済んで、まあ半内職的になるかも知れないけれども、全部の人が或る程度救われるという形も出るしいたしますし、かたがたいろいろの状況からいきまして、これは医療給付の対象にして頂きたいということをお願いいたしたいと存じております。なお今後においてそういうことについて局長としてどういうような形で御協力の線が出るか伺わせて頂きたいと思います。  もう一つの問題は、国保、健保或いは日雇い労働者の保険におきましても、実際において或る線以下の人はそういう機構の中に入つて恩典を受けることのできない状態にあるわけであります。特に都会地におきましては健康保険或いはその他の保険等がございますと国保といつたようなものができない。町村等ではできますけれども、東京なんか将来国民健康保険組合は特別国保以外においてはできがたい状態にあるのじやないか。併し都会地においてこそ国保の形においてでも医療の救済をしなければならん人が数多くあるのだろうと思いますが、そういう線においてどういうふうにお考え頂けるか。これがなかなか進まないと特別国保がだんだんと多くできて来るだろうと思います。将来においてそれが全部が特別国保でなくて、一般の国民保険組合ができたときに、いわゆる特別国保と一般国保との間にどういう形で整備して行くかということがだんだん時が経つに従つてむずかしい問題になつて来るんじやないか。又一般の国保ができるまで待ち切れない。当然できますが、私どもの場合におきましても、あれが二千人以上なかつたら、その経済が賄い切れない。併し東京においては二千人以上の助産婦業者で特別組合もできますけれども、秋田県或いは岩手県等におきましては、特別組合を作つても収支が償わない。併し一般の国保はなかなかできないということになりますと、その人たちの俸給ということも目に見えているわけでございまして、大体そういうことに対してどういうふうに将来お考え頂くか、私たちとして承わらせて頂きたい。だんだんと東京におきましても食品衛生の業者の特別組合もできますし、その他の或いは理髪業者においても特別組合もできましようし、それと一般組合、国保との調整といつたようなもの、それからそういう組合ができても、なお小さい都市ではそういう特別組合もできない、一般組合もできないという形もできると思いますので、そういうことのお考え等も伺わせて頂きたいと思います。
  53. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 第一段の保健婦地方におきましては助産に専念をしておる向きがあるというようなお話でありますが、この点はもともと保健婦を設置しております目的は私がさつき申上げた通りであります。それで、そういうことをやりますことはこの本来の目的でないと思いますから、十分指導をいたしたいと思います。  それから第二段のお話は、或いは誤解しておりましたら、又後ほど申上げますが、私は助産の関係健康保険等で現物給付にしてくれというお話だと承わりますが、この問題につきましては、只今どもとしては検討しておると申すのがまあ正しい言い方だと思うのでありますが、社会保障の最低基準に関する条約が本国会に報告になつております。これの批准をするかどうかという問題が次に起る問題だと思つておりますが、これは恐らく国会の御審議の結果によるものと思つておるのであります。その際最低基準に関する条約では原則的には現物給付であるべきであるということになつております。ただ総則の規定で若干それでなくてもいいような表現はしてありまするけれども、それでなくても、果して現在のようなやり方でいいかどうか、私のほうとしても考えなければならんと思つております。やはり御要望のように現物給付にするという線を考えてもいいというふうな程度まで私どもの考えは来ております。ただ、これは今直ちに法律改正をするかどうかという点につきましては、最低基準の条約の批准がどうなるかということと見合いをいたしまして結論を付けたいと思つておる次第であります。主管省の外務省、労働省あたりのお話では、最低基準の条約を批准する場合に、関係法令で変えなければならないものがあれば、一括した扱いをしたいというようなお話も出ておりますので、その際のお話にいたしたいという考えでおります。  それから最後の特別関係と地域国民保険との問題でありますが、申すまでもなく、国民健康保険法の第二条の二の項に、「国民健康保険組合又ハ営利ヲ目的トセザル社団法人ハ市町村が国民健康保険ヲ行ハザル場合ニ於テ之ヲ行フコトヲ得」こういう大原則が立てられておりまして、地域保険が優先をするという建前でございます。従いまして、私どものほうとしても、特に本年度からの助成交付金補助金として出るようになりました関係もあり、全国的に地域的な国民健康保険の普及に主力を注いで指導をいたしているような次第でございます。併し確かにお話のように、大都市におきましてはなかなか地域保険の実施が困難である。急な実施は困難な模様であります。ただ、名古屋市におきましては相当この機運が動いておりまして、なおまだ若干反対意見もあるようでありまするが、相当具体性を持つた計画が進められておるように聞いております。併しまだこれは実現するかどうかは先の問題でありますが、いずれにいたしましても、そういう名古屋のような大都市におきましてそういう機運が動きつつありますということは、将来の一つの行き方を暗示しているものと私は思いまするし、又私どもといたしましても無理のない程度におきまして協力いたしておる次第であります。そこで、そういう関係上、特別国保を現在の段階におきましては認めて行かなければならない場合もあると思いまするが、併し指導といたしましては、将来この地域に、特別国保の被保険者の住んでおります地域に地域の国民健康保険が実施される場合には、そのほうに移つて行くような指導をいたすつもりでございます。法律上の制度としては必ずしも明白ではございませんけれども建前としては今申上げた第二条のこの規定の大原則によりまして、地域的な国民健康保険が優先をするという指導をいたしたいと思つておる次第であります。
  54. 横山フク

    ○横山フク君 私ははつきりわからないで重ねてお伺いするのでありますけれども、優先するということになりますと、すでにできた特別組合は解散して……、今後においてできる場合は別でございますけれども、すでにできた特別国保は解散してそちらに包括するのでございましようか。
  55. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) その点につきましては、解散をしろということが言えないような規定があるのでございます。これは国民健康保険法の第八条の十五という規定がありまして、市町村が国民健康保険を行う場合、即ち地域保険をやります場合には、特別国民健康保険組合の被保険者は被保険者から除外する、こういう規定がございます。この規定は、第二条のこの先ほど申上げた規定とはちよつと矛盾した規定であります、見ようによりましては……。この規定は、すでに業種別の特別組合ができて、その被保険者なつておりますものが地域保険ができたからといつて、当然にその方に移るというようなやり方をいたしますると、特別国保のほうに相当な無理が行くことになろうかと思います。解散をすると言いましても、権利義務の承継その他いろいろ面倒なものが、起りますので、建前としては、すでにありますものは一応はそうして置くというのが法律の立て方であると思います。従いまして、これは私が申上げたのは法律上そうなるという意味じやなくて、将来の問題として、地域保険ができたならば、それが優先するというようなつもりで特別国保の運営をして頂くということを申しておるわけであります。具体的に区別して申上げなければならんのでありますが、特別国保が県下一円とか、或いは数県にまたがつてできたというような場合、その極く一部の被保険者が住んでおる地域が国民健康保険を始めた場合、全体の保険がそのほうに移れるという場合には、その原則に従つてその方々は特別国保からはずれて頂くようにしたほうが地域保険の性質からいいじやないかと思いまして、そういう点を指導して参りたい。又特別国保が解散をしなければならんというような、根本的に特別国保の生命に触れるような問題になります場合には、法律建前建前でありますが、指導としては十分にこれは考えて行かなければならんと思つております。そういうふうに、場合によつて区別して参りたいと思います。
  56. 横山フク

    ○横山フク君 よくわかつたのでございますけれども、私は特別国保は都市或いは府県単位ぐらいで、過渡的に、地域のができない場合においては止むを得ないとは思つておるのでございますけれども、国全体としての地域とした特別組合にまで発展すべきものではないという考えを持つておるのでございますけれども、その前に地域の国保を作ることに促進協力をあらゆる面においてすべきだと思つておるのでございますけれども、実は派出看護婦の場合において、全国的な国保を作ることのほうにこれは局のほうの御意向があつて、そちらのほうに推進をされておるということを、これは私誤解、誤聞、誤報だろうと言つて打消して置いたのでありますけれども、これはどういうような事情なんでございましようか。
  57. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 派出看護婦の特別国民健康保険組合の問題は只今お尋ねのようなふうに簡単な問題になつておらないのであります。当初東日本、西日本、大体京都辺を境にいたしまして、東日本と西日本とそれぞれ派出看護婦が一緒になつて特別国民健康保険組合を作りたいという申請が出て来たのであります。ところがその申請が出て来ました当時、これは一昨年でございますが、その後すでに東京と大阪にはそれぞれ東京と大阪府下一円の特別国保は同じ市と市とについてできております。そこでその辺との調整も考えてもらうべきだということを申しておつたのであります。ところがその後だんだん情勢が変つて参りまして、その辺の話合いをつけるように話をしておりますうちに、東京都にあります派出看護婦の組合が、これは他の関係から全国的に足がかりを持つているということで、全日本の派出看護婦組合を作りたいという別の申請を出して来たわけであります。そこで私どもとしては、これは一定の申請が出て来ます限り何らの理由なく断わる理由はないと思います。かといつてそういうふうに重複した、地域的にも恐らく具体的に被保険者の面からも重複して将来の運営上いろいろ問題を醸すであろうようなものに、申請があつたからといつて全部認可するというわけには参らんと思います。そこで何かこの辺の話合いをしてもらいたいということで、国会議員の方々にも大分お骨折を頂いた方もあるのでありますが、結局その方方の御意向が、ともかく一本になつたらどうかという御意見でありましたので、一本になりましたならば私どもとしてもすつきりとしたものとして認可をしてもよろしいがというふうに申しておつた程度でございます。そうでなくてはならんというふうにも申しておらん、要するに一本になつてもらいたい、これは全日本として一本になるのか、東日本、西日本でそれぞれ一本になるのか、それは別問題でありまして、私どもといたしましては、いずれにしてもすつきりとした形になつて頂かないと認可はしにくい、こういうふうに申した次第であります。
  58. 横山フク

    ○横山フク君 今の話はよくわかるのであります。私もそういうふうに局長からの話があつたと了承しておつたのでございますが、局のほうの方針が全国的なものでなければいけない。私は今のああいつたごたごたした状態においては、各府県別或いは都市別くらいのところでもつてまとまつたらそれでするのがいいので、全国的にやはり岩手県や何かで百五十人やそこらの人まで全国的に入れるということは事務的にもいろいろ煩瑣だから、それよりは相当まとまつたところの都市等でなさつたほうがいいのじやなかろうかと言つたときに、いや厚生省のほうから全国を一つにしたときに、初めて特別組合を許すということが言われたから、どうしてもそういうふうにしなければならんという話があつたのでございますので今ここで伺うわけです。
  59. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私申上げたことをもう一度申上げまするが、私は先ほど申したように解釈もしているし、又そのつもりでもございますが、ただ中にいろいろお世話を頂いております方々、これはそれぞれの関係者とは別の立場から大所高所に立つていろいろ御判断を頂いているその結果、やはり全日本というのが一つ出て来ているのだから、むしろそういう面で大同団結をしたらどうか、こういうようなお話があるのであります。そういう場合に厚生省は認可するかと言うから、そういうふうにすつきりしたら認可してもよろしうございますということを申しているのでございます。どちらでもいいのだとは申しながら、そういう関係がありますから、そういうものの言い方をしておりますことを御了承願います。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 最初に、日雇健康保険保険施設の二百十万円というのはどういうことに使うのでございますか。非常に額が少な過ぎるようで、内容ちよつとわかりかねるのでございますが……。
  61. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 大変申訳ないのでございますが、具体的にどういう費用内容として計上されておりますか、資料を持つて来ておりませんので、担当の者がおりませんものでありますから、大変恐縮でございますが、のちほどお答えさして頂きたいと思います。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、日雇健康勘定財源のところで、給付期間を六カ月に延長された、これは非常に結構なことだと思います。併し先ほど高野委員、横山委員のほうからもございましたように、六カ月に医療給付の期間が延長になりましても、結局医療給付を受けるようになつたものは、傷病給付がない限り直ちに殆んど大部分が生活扶助を受けなくちやならないようになつて来ると思うのですが、そうすれば受けるほうは生活扶助や受け、一方においては健康保険の医療給付を受けるというような二本建ての給付を受ける、これは非常に複雑な状態になつて来ると思うのですが、このあたりも日雇の健保のほうがはつきりしてくれば、つまり傷病手当も受けられる、傷病給付もつくということになれば、生活扶助のほうをこちらへ廻して、結局局は違いますけれども保険政策から大きく言えばそのほうがいいのじやないかというふうに考えられるのですが、今回傷病給付をつけないで期間だけ延ばしたのは、どういう理由によるのでございますか。
  63. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 打ち明けて申しますると、実は厚生省は当初の予算の要求額は保険給付費の三分の一相当額、三割三分の国庫負担を要求したわけであります。その程度認められますれば、お話の傷病手当金の給付もできまするし、又現行法にございません葬祭料、助産等の給付もできるわけでございます。いろいろ予算の折衝をいたしました最後の段階におきまして、一割相当額以上認められなかつた、そこで一割相当額で何をするかというようなことを計算をして見ますると、丁度現在の三カ月の給付期間を、六カ月に延ばす以上のことは何もできないわけであります。特に傷病手当金を支給するということは、非常に金のかかる問題であることは申すまでもありません。私どもとしては、確かにお話のようなこの程度のことをやつてつたのでは、生活保護との競合がありまして、かなり事面倒だとは思つておりますが、建前としては生活保護制度というのは、やはりこうした保険制度の補完的な作用をするものでございますので、この被保険者の中にも生活保護の厄介にならないでも、何とかこの程度療養して行ける人も中にはあると思います。そういうようなことのできない人に対しては、生活保護は補完的な作用をするという建前であるべきでありまするので、予算の組替えというものも簡単にはできかねる事情もあります。問題は今お話のように将来を期する以外にございませんが、傷病手当金もこの保険で出せるように、漸次完備して行くものと思つている次第であります。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 厚生年金については法案が出されますそうですから、そのときにいろいろお尋ねすることにいたしまして、今度の国民健康保険の問題です。これについては保健所についてもその他についても、補助率の引下げがなされまして、その中には平衡交付金で見られるものもあるというようなお話でございましたが、どれを平衡交付金で見るというのを先ほど聞き漏らしたのですが、その点をもう一度はつきりこの補助率を引下げた分は平衡交付金というように一つお示し頂きたいと思います。
  65. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お手許に差上げた資料は極めて簡略にしてございまするから少し補足して申上げまするが、先ず上からずつと参りまして(6)の審査会補助金、これは全額六十一万円本年度削除になつておりますが、これは平衡交付金にそのまま廻すということになつております。それから戻りまして恐縮でございますが、(4)の指導監査委託費二百三十四万四千円減額なつておりまするが、これは先ほど申上げたように、従来は普及指導費補助なつておりますのを、こういう名称に変えまして、そうして監査指導に重点を置くというような建前になりました関係上、予算の積算が変りまして、減額なつたわけですが、この減額分は平衡交付金で見るという約束になつております。  大体予算の上に現われておりまするもので、平衡交付金で見てもらうものは以上のようなことでありますが、このほかに国民健康保険関係で、平衡交付金で見てもらう予定のものが相当多数ございます。先ず第一は、国民健康保険の各都道府県の専任職員、監督指導をいたします専任職員、各府県平均八人の人を置くことになつておりますが、これは従来から平衡交付金に入つておりまして、その総額は百四十八万八千二百三十八円、それから今申上げました従来の普及指導費、今度指導監査委託費になりました分の差額、差額といいますか八十二万四千円ほどは、今平衡交付金に見てもらうように交渉をいたしております。大体これは約束ができそうであります。そのほかに国民健康保険委員会というのがこれも国民健康保険の連絡調整等を図りますために置かれておるものでありますが、これに要する費用、これは極く僅かでありますが、十三万円ほどの金であります。それから診療報酬の審査委員会というのがこれも各府県にあります。それが約二百万近い金になつております。それから国民健康保険の審査会、これは先ほど申上げた審査会補助金、今度補助から落ちましたけれども、これは所要額を若干増しましたけれども平衡交付金で見てもらう。大体以上大まかな数字を申上げましたが、実はまだ折衝中のものがございまして、数字が固まつておりませんで、以上申上げましたような項目は、ここに補助金として上つておりますもの以外に、従来から見てもらつておりますものが、又新たに振替えになるものがあるわけでございます。
  66. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の御説明以外の国民健康保険の助成の第二項の保険者補助金、これの事務費が三分の一から四分の一に減じたと、この分は平衡交付金で見るということになつていないのでございましようか。
  67. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 事務費は全額という建前でありますから、三分の一、四分の一は問題ございません。被保険者一人当り二十八年度と同様に、六十二円七十銭で積算しております。三分の一が四分の一となつておりますのは保健婦補助金でございます。これは国民健康保険特別会計でやつております関係上、国民健康保険の対象にはならないのです。従つて説明申上げた保健指導補助金というのは、あれは落ちたままになつております。  それから先ほど湯山委員からお尋ねがございました日雇健康保険保健施設費二百十万円、これは差当り大きな仕事もできませんので、パンフレツト等を作りまして健康保持増進というような方面の宣伝と申しますか、指導と申しますか、そういうものをいたすために使う予定でございます。
  68. 湯山勇

    ○湯山勇君 保健婦の今の補助が三分の一が四分の一になるということになれば、これは運営に支障を来すというような心配はないのでございますか。
  69. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 絶対にないとは申上げられませんけれども、この程度でありますれば、何とか賄つてもらえるのじやないかと思います。と申しまするのは、単価を本年よりも若干ではございまするが引上げております。昭和二十八年度単価を御参考に申上げますると、保健婦の給与一人当り年額九万三千円、旅費として五千円、これが一人当り単価として、これによつて積算しておるのであります。昭和二十九年度予算におきましてはこの給与の額を十万二千八百円に上げております。そうして旅費は同額でございます。これは保健婦の実際おりまする数が四千人ちよつと超えただけでありますので、保健婦数で調整いたしまして、単価増額をいたすように積算をしております関係上、四分の一になりましてもその辺は少し金額の面では上つて来るわけであります。併し三分の一から四分の一に下つたということは、確かに影響絶無とは申せないと思いますが、私どもとしては何とかこれで、一般の方針でもありまするので、止むを得ず了承せざるを得なかつたという事情であります。
  70. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の単価の計算は、保健所もどういうふうに計算してあるか御存じないんでございましようか。
  71. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保健所の保健婦より低うございます。予算単価としては……。
  72. 湯山勇

    ○湯山勇君 その理由をちよつと。
  73. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) その理由といつて別にないのでございますが、私どもとしては保健所の保健婦と同額の単価予算の折衝をいたしたのでございまするけれども、もともとこれは最初に頭から落ちておつた予算でございまして、その復活に骨折りまして、まあ漸やくこの程度で話合いがついたというふうに御了承頂くほかにないと思います。
  74. 有馬英二

    有馬英二君 今お話になつた二分の一を四分の一に減らしたというのは、保健所のほうも三分の一を四分の一に減らしたんですね、同じに歩調を合したというわけですか。
  75. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 政府全体の方針といたしまして、この種の補助金補助率を引下げるということで、全般的にこういう措置がとられました次第であります。
  76. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の一般保健所と健康保健の保健婦との不均合ということについては、なおどういう理由かということをあとで御説明願いたいと思うのです。どれくらい違うのでございますか。
  77. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 今正確に記憶いたしておりませんが、保健所保健婦は年額が十四万ぐらいになつておつたかと思います。これは或いは間違いがあるかも知れませんので、後ほど訂正いたしたいと思います。
  78. 湯山勇

    ○湯山勇君 あとで結構です。
  79. 藤原道子

    ○藤原道子君 この保健婦が保健所とそれから国保と町村直営診療所等々幾重にも別れておるんですね。そうしてその資格がまちまちなのです。そうして非常に身分上の保障も何もないのですが、これはどうしても一本の線で行くべきだと思いますが、局長はどう考えていますか。
  80. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) その点は先ほど高野委員の御質問にお答えした通りでございまして、私は只今の段階、私だけの考えでなしに、これは厚生省としての決定した方針でありまするが、無理矢理にこれを保健所に無理にまとめるということが一体いいかどうかという問題も考えなければならないと思つております。もともとこの国民健康保険保健婦というのが、国民健康保険の運営それ自体にこういう人を置いて働いて頂くことが国民健康保険のためにもなる。こういうことのために、つまり保険給付費はできるだけ事前に保健指導することによつて医療の給付費を減らす効果は現われて参ります。そのことは又国民健康保険自体のためのみならず、その地域の住民に対してもいいわけであります。私どもとしては国民健康保険の育成という立場からこれに指導的補助金を出しておるわけでございます。そのことが同時に又一般保健指導というものに関連をするわけでありますから、国民健康保険にこれを置いちやいかんという理由は私はないと思います。置きました場合に一般保健指導と食い違つた仕事が行われるということになることは、これは絶対に許すべきでない。そういう意味におきまして保健所の指導に基いて保健指導が行われる。身分こそ違え実体的には同じような方針で動いて行くということでありますれば、私は目的を達するのではないかと思いまするし、又それが一応現段階における厚生省の決定した方針となつておる次第でございます。
  81. 藤原道子

    ○藤原道子君 それが保健所に置いていかんというのじやないのですよ、国保にね。だけど身分を統一するということが必要だと思うのです。それから先ず始めたいと思いますが、隘路となるのはどういうところにあるのですか。
  82. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) これは湯山委員の御質問にお答えする資料を持つて来たときに御説明したほうがいいと思いますが、給与の差等を付けるのはおかしいという御趣旨だと思います。七の点は先ほど湯山委員の御質問にお答えをする資料を差上げるときに、又御説明申上げたいと思います。それにまあ御要望にはございませんでしたけれども、国民健康保険の場合におきまして実際にどのくらいの給付を出しておるか、こういうことになります。私どもとしてはそれは八万円きり出していないところに十万円を出さなければいかんというわけにも参らないのであります。その辺は実情を実際に調べまして又差上げたいと思います。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 先ほど平衡交付金に移された各種の経費についてでございますが、これはまだ地方財政計画が出ておりませんので、どうなるかわかりかねるが、従来よくそういうふうに平衡交付金のほうへこれだけは廻すというような御説明がありながら、実際は廻つていないで切り落されたというものが相当たくさんございます。この点につきましては、今局長が御説明なつた点については一つ是非確保して、これはこういうふうにこうやつたということの御報告もあとで頂きたいと思います。それだけお願いいたしまして終ります。
  84. 有馬英二

    有馬英二君 日雇労務者は昨年この法律ができた時分に対象がたしか五十万人とおつしやつたように思います。ここに書いてあるのは又五十万人と計上されておるようですが、そうすると昨年は年度中途であつたのかと私は思うのですが、これはどうも大変差が少な過ぎるように思うのですが、どういうような……。
  85. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 国勢調査の面から見ました日雇健康保険の総数、日雇健康保険の対象となると見込まれる数は約九十万ほどあることは事実でございます。併しながら先ず第一にはこの国民健康保険の適用事業所に働く場合にのみ適用されるということになります関係上、相当大幅に内輪に見なければなりません。一方におきまして失業保険という大体対象を同じようにした制度が現在ございます。これが実際の被保険者四十五万人程度、そこで私どもとしては一応五十万人という予定を立てたのであります。なお御参考に申上げますると、十一月から申請によつて手帳の交付をいたしております。手帳の交付というのは被保険者なつたという証拠でございますが、極く最近まで、一月一ぱいぐらいまでに交付いたしました総数が三十万人ちよつと欠けております。これは失業保険の創設当時の経過を見ますると、やはりそういうふうな状況を辿つておりまして、漸次殖えて来ておるというような実情でございますので、来年度五十万人という見通しは決して少くはないと思つておる次第であります。五十万人程度を見込んでおれば、経理はできるであろうというふうに考えております。
  86. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 久下保険局長にもう一つお願いしておきますが、社会保険事務費は全額負担ということに年々我々もお願いして殖えているが、現在なお地方に行きますというと事務費が足りない、或いは又事務費を少し他に流用しているような傾向が出ておらんでもないと思いますが、これは一つ中央において今後十分に監督をされまして、そういう不均衡のようなことのないように、全額国庫負担の実を挙げて行きたいということをこの際お願い申上げておきます。
  87. 藤原道子

    ○藤原道子君 いま一つ、今非常に心配になつているので、最後に一つお伺いしたいのですが、保健婦さんの……、四分の一に補助が切下げられたということによつて地方負担がいたしかねるというようなことで、保健婦さんの数の減少等になつて現われることはないでしようか。そういうことになると、折角の保険給付というものに支障を来たすと思うのでございますが、私その点非常に心配なんです、四分の一になつたということが……。こういうことに対して局長はどういうふうにお考えになつているでしようか。結局そういうところでバランスを合せようとする従来のやり方が私は気になつて仕方がないのです。
  88. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) そういう点におきます見通しにつきましては、私も自信を持つてお答えができないのであります。ただ三分の一が四分の一に減つたから、すぐに保健婦をやめさしてしまうというような結果にはなるまいと思いまするし、又ないように指導いたすつもりでございます。
  89. 藤原道子

    ○藤原道子君 この点に関してはすでに保健婦さんたちの間に非常な不安動揺を来たしております。そういう点も十分お考えになつて、そういう結果にならないように厳重な御指導をお願いいたします。
  90. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは又十九日に若し残つている質疑がありましたら願うことにいたしまして、大体保険局関係を打切ります。  それでは国立公園について森本部長から説明を伺います。
  91. 森本潔

    説明員(森本潔君) 国立公園の所管の予算につきまして概略御説明申上げます。書類は前のほうでございまして、一頁の裏側、中頃に六番といたしまして国立公園等経費というのがございます。この中身は国立公園の費用と、それから国民公園の費用と、それから温泉関係費用と、この三つに分れておりまして、この書き方は一番が整備費と、二番が運営費と、二つに分れておりますが、いずれもそれぞれ今申しました三種類のものにつきまして整備費と運営費を分けたのでございます。先ず総額でございますが、本年は約八千六百万で、昨年度に比べまして約六百万減になつております。主なものはあとで申上げます整備費の補助金の一千万円の減が影響しているわけでございます。その他は大したものでございません。  (1)の整備費でございますが、その内訳へ入りまして、国立公園施設整備補助金、これは都道府県に対しまして二分の一の補助をいたして公立公園事業の整備を図る費用でございます。これが補助金整理等の方針に従いまして二割減の四千万ということでございます。  次が集団施設地区不動産購入費、この集団施設地区と申しますのは、各国立公園におきますところの利用の中心地でございまして、例えば日光で申せば湯本、中禅寺湖畔或いは山梨で申しますれば富士五湖附近というような所でございます。遊覧地でございますが、これが多くは農林省所管の営林財産になつております。それを昨年来農林省の手を離しまして厚生省の所管に入れて、専ら公園の目的に供する、こういう方針を立てまして、昨年来その移管を始めておるわけでございます。それの所管替えの費用がこの不動産購入費というものになつております。昨年三カ所移管いたしまして、本年は同様三カ所を予定しております。北海道の大雪山の層雲峡、それから十和田に生出という所がございます。これは休屋の近くでございますが、それと宮崎県の霧島の蝦野という所、いずれもそれぞれ五十町歩乃至百町歩近い面積でございますが、これを利用の基地として厚生省が移管を受けて整備して参りたいと思うのでございます。この費用が約六百万でございます。  その次の集団施設地区施設整備費、これは今申しました厚生省所管になりましたその利用の基地の施設整備する費用でございます。直接国がやることにいたしまして、本年度は昨年移管を受けました日光の湯本、中部山岳の上高地、それから北海道の支笏の湖畔、この三カ所に若干の施設をしたいというので五百万円の経費計上してございます。  次が国民公園施設整備費、国民公園は新宿御苑、それから皇居外苑、京都御苑と、この三カ所でございます。それに若干の施設をする費用でございます。例えば皇居前でございますと舗装を直しますとか、電柱を立てますとか、それから新宿御苑でありますと、芝生を張り替えましたり、まあ奇麗にして行く費用でございます。これが大体昨年同様な数字の約四百万円でございます。  次が二番目の運営費でございますが、これは国立公園関係と国民公園関係とそれから温泉関係が一括されておりますが、総計三千万でありまして、そのうち一番多い約二千二百万円はこれは国民公園の運営費でございます。今申しました三カ所の公園を手入して奇麗にして行くという費用でございます。相当額が嵩みますが、併しあれを奇麗にして行きますためには、実はこれでも足らんというような計算になつておりますが、大体昨年より若干増加で賄つて行きたいと思います。それから残りの八百万円、これは国立公園の維持管理をする費用でございます。主として管理員、指導員を置きましていろいろな取締りをしたり、或いは指導をする、こういう経費でございます。それから温泉関係はこの中に入つているのでありますが、約五十万円程度でございます。合せまして約三千万円ということでございます。  以上簡単でございますが、御説明を終ります。
  92. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑はありませんか。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 一つだけ。国定公園と準国立公園という言葉が前に出ておりましたんですが、あれはどうなつているのですか。
  94. 森本潔

    説明員(森本潔君) 国定公園と通称申しておりますが、これは国立公園にならないが、併しまあ国立公園に準ずる程度のいい所だというのを、これを国定公園と言つております。内容は国立公園法の一部を準用することになつております。これが現在三つございます。琵琶湖に、それから九州の耶馬渓附近、それからもう一つが佐渡でございますが、この三カ所でございます。これの予算的の措置は、これは大体国立公園法の一部を準用いたしまして都道府県が管理をするようになつております。それでそれに要する経費というのは国のほうで余り計上いたしません。補助の要望もございますが、まだそこまで参つておりません。但し、若干の管理というか、取締りの人夫賃を見ている程度でございます。今三つでございますが、本年度内には目下調査選定しておりますものにつきまして相当数の増加が国定公園についてあるんじやないかと考えております。
  95. 藤原道子

    ○藤原道子君 どうも国立公園は厚生委員会の所管でありながら我々よく余り知らないんですが、一つ国立公園の写真とか何とか参考資料を下さい。我々よく行けやしないからわからないのです。
  96. 森本潔

    説明員(森本潔君) わかりました。
  97. 横山フク

    ○横山フク君 それに関連しておりますが、私もそう思います。私も知らないからセンスが違つているのかも知れないけれども、国民公園運営なんかも、相当お金は二千万円ばかりでたかが知れていると言つておりますが、東京みたいなお金持の所は東京都のほうの運営にして、それだけのお金はむしろ貧乏の県の国立公園に持つてつたほうが遥かにいいと思いますが、私にはわからんのですが、これは結局知らないところから来るのかも知れないけれども、一体国立公園というものはどれだけ意義があるか、都立の公園にするのとどのくらいの違いがあるか。それが何だか国の一つのアクセサリーになるかどうかも問題になるだろうと思うし、まあいろいろわからんから、こういう発言をすることになると思いますけれども、併しこれは教えて頂く機会があればなお結構だと思いますけれども、藤原委員の御意見に同感であるし、写真でなくても、いろいろな参考資料や何かがあつてもらえればなお結構だと思います。
  98. 森本潔

    説明員(森本潔君) 私のほうの御説明等が従来不行届の点があつて只今のようなお話が出たんだと思います。今日もこれはえらく簡単に済ましてしまつたのでありますが、一つ適当な機会を得ましていろいろ資料を揃え、十分の認識を得られ、御指導を受けたいと思います。そういう機会も私のほうも作つて頂きますれば、なお、公でなくても御説明しなければならんと考えております。
  99. 上條愛一

    委員長上條愛一君) この問題についてはなお十九日にありますから、資料が整いましたらお見せ願つて説明願いたいと思います。  本日はこれで散会いたします。    午後零時四十九分散会