○
政府委員(
山口正義君)
公衆衛生局
関係の
予算につきまして、二十九
年度私
どもといたしましては当初受胎調節或いは食生活改善或いは環境衛生改善等につきましていろいろ新らしい構想の下に
予算を
考えたのでございますが、二十九
年度は財政緊縮のために緊縮
予算を組まなければならないということになりましたので、極く一部のものを除きましては、新規の
予算を計上して頂くということはできなくなりました。而も
補助金の整理の一連の施策といたしまして、保健所等におきまする
補助費の
補助率が切下げられましたので、
公衆衛生局
関係全体といたしまして、二十八
年度の最後の更正されました
予算では約八十三億でございましたが、二十九
年度の
予算はそれから四億ばかり減少いたしまして、七十九億なにがしというような数字を現在計上して
国会に提出してあるわけでございます。その減りましたものにつきましては、保健所等に対しまする
補助費が約二億減少いたしました。それから結核対策費
補助が約一億、それからこれは災害
関係でございますが、伝染病予防費が約一億減少いたしました。それから上下水道
関係が一億減少しました。その他一億合計六億ぐらい減少し、その代りに精神衛生対策費、それから癩対策費等につきまして二億ばかり増加いたしておりますので、差引四億の減というようなことに
なつております。従いまして、
公衆衛生局
関係の
予算で昨
年度より伸びて来ておりますのは、精神衛生対策、それから癩対策この二つが主なものでございまして、そのほかは大体昨
年度と同じ或いは先ほど申上げましたような理由によりまして、
予算額におきましてやや減少しておるというような状態でございます。これが極く総括的なことでございます。
なお、それでお
手許に差上げてございます
資料につきまして簡単に逐次御
説明申上げたいと存じますが、
公衆衛生局
関係はお
手許に差上げました
資料の二頁八番から六頁の裏の十八番まででございます。そのほかにずつと飛びまして施設
関係がございます。これはあとで申上げます。
八番の優生保護
関係は、これは昨年と特別に変
つたことはございません。強制優生手術に対しまする国庫の
補助金でございますが、人数も大体二十八
年度と同じく、千三百五十人を見込んで計上してございます。
それからその次の受胎調節
関係、これも
考え方といたしましては、二十八
年度と大体同じ
考え方をいたしております。先ほ
ども申上げましたように、当初は貧困者に対して、経済的に非常に困
つている人たちに対して、器具薬剤等の配付或いは指導員の指導料を国が見ようというようなことも
考えてみたのでございますが、先ほど申上げましたような理由によりまして、新規は認められませんでしたが、大体二十八
年度と同じ線で、優生保護
相談所の施設整備費と、それから優生保護
相談所の運営に必要な
費用に対する
補助費、施設整備費は二分の一でございますし、それから運営費のほうは三分の一ということに
なつております。ただお
手許に差上げてございます
資料で、金額が非常に減
つておりますが、これは優生保護
相談所、保健所に設置いたしますもの、大体二十七
年度と二十八
年度で終
つてしまいまして、二十九
年度は二十八
年度に増設されました二十カ所分についてだけの
費用を見てございますので、金額の上では減
つておりますけれ
ども、
考え方としては同じ行き方をいたしておるわけでございます。
次が十番の精神衛生対策でございますが、これは精神病院の病床の整備、それから精神病院に入院している人たちに対する
費用の赤字
補助というようなことが主なことでございます。精神病床につきましては、一昨日医務局の御
説明の際にも御
説明申上げましたが、全体といたしまして、昨年二十八
年度は千二百床増床でございましたが、二十九
年度は二千百床、そのうち三百床が
国立関係でございまして、
公衆衛生局
関係の、即ち公立の精神病床の増設に対します
補助が千八百床に
なつております。昨年は千床でございましたのでこれがやや増加しております。ただその際、二十八
年度は新設の
予算が組まれておりましたが、二十九
年度は主に増床で賄
つて行こうというためにベッド数の増加の割合に金額が伸びておりません。これはそういう理由に基くものであります。それから入院患者に対します赤字
補助がこれはベッド数も多く見込みましたし又点数も上げてもら
つておりますので、全額が大分殖えております。
それから精神衛生対策として新らしい
仕事といたしましては、精神障害者の実態
調査費、これは金額は僅かでございますが、現在
日本におきます精神障害者の実態、精神障害者の数約三百五十万と推定しておりますが、これは大分古い
資料に基いておりますので新らしく精神衛生対策を
実施して参りますのには、どうしても精神障害者の実態を知る必要があるという建前から、二十九
年度においてはこの実態
調査をさして頂きたい。そういう
考えで百七十万円ばかり本省費として金額を計上いたしてございます。
次が十一番の結核対策でございますが、これは医務局の御
説明の際にも申上げましたが、結核病床の整備、それから健康診断、予防接種或いは医療費の公費負担というような
費用が
考えられるわけでございますが、結核病床の整備は二十八
年度は一万床増床でございましたが、二十九
年度は
国立を増床しないということになりまして、
国立は専ら内部整備ということに宙一点を注がれましたので増床は九千床ということになりました。そのうち
公衆衛生局
関係の公立、法人立の増床が五千四百床、社会保険
関係が三千六百床というような割合に
なつております。それから健康診断、予防接種に要します
費用は、これは前
年度よりもやや人数を多く見込んで金額が計上してございます。それから医療費のほうは金額が昨年の二十八
年度よりも一億ばかり減少いたしておりますが、併しながらこれはストマイ、パスというような薬品の値下りを
考えに入れますと実際に医療費を負担してやれる対象になる人間の数は前
年度よりもやや増加して対処していいのではないかというふうに
考えているわけでございます。
結核対策といたしまして
一つの新らしい行き方としまして患家指導で、患家指導費三千五百万円ばかりを計上して頂いてございますが、これは在宅患者が感染源になりましてその患者家族に結核が蔓延する虞れが非常に多いのでございます。結核患者の中の大部分が現存家庭に放置されている状態でございますので、その存宅患者から家族への感染を防ぐという手段といたしまして、患者の健康診断をや
つて早期発見をし、或いは予防措置を講ずる。それが従来は一々保健所に行かなければや
つてもらえなか
つたのを、二十九
年度は近くの指定医療機関で手軽に健康診断をしてもらえるような
方法をとりたいというために、新らしい
考え方で患家指導費を計上して頂いているのでございます。
そのほかの結核対策費といたしましては特別に変
つた点はございません。アフター・ケアにつきましては社会局の所管でございますが、大体前
年度と同じく二百床というふうに
考えているようであります。
それからもう
一つ結核対策といたしまして、結核の予防に従事いたしております専門家の養成という点につきまして、これは財団法人結核予防会に委託して
実施いたしておりますが、近年肺臓外科が非常に進んで参りましたので、従来の研修項目に加えて別に肺臓外科に関する新らしい研修を
実施したいということで若干の
経費を計上して頂いてございます。
それからその次は十二番目癩対策でございますが、これは昨年本
委員会におきましてもいろいろ御配慮を頂いた問題でございますが、その際附帯決議としてつけられました点についてどういうふうに措置しているかということにつきましては、一昨日
廣瀬先生から御要求もございましたので、
資料として差上げることにいたしてございますが、
公衆衛生局
関係といたしましては患者の入所促進という建前からいたしまして、患者家族の生活援護、生活保護法とは別建に全額国の負担において
実施するという建前をとりましてそれに要します
予算四千四百万円を計上して頂いてございます。その他
府県に対します
補助といたしまして患者の入所促進に利するような、役立つような
費用を若干、例えば患者家族が療養所を見学に行くのに必要な旅費、入所する際に患者の家族が附添
つて行くために必要な旅費というものを若干計上して頂いてございます。
その次は十三番目の伝染病予防費でございます。これは特別に変
つた点はございません。金額のほうでやや差ができておりますのは、先ほ
ども申上げましたように二十八
年度の災害のために伝染病予防費を計上いたしましたが、二十九
年度はそういう金額を見込んでございませんで、一部残りが見てありますけれ
ども、二十八
年度ほどたくさん見込んでございませんので、金額が減
つているわけでございます。伝染病院隔離病舎の建設につきましては、大体前
年度と同じベッド数にして、やや一割ほど減少いたしておりますが、金額は前
年度と殆んど同じほど見込んでございます。
それから伝染病対策の
一つであります
日本住血吸虫病の予防措置といたしまして、流行地の溝をコンクリ—ト化いたします
費用につきましては、これも大体前
年度と同じだけの金額を計上してございます。
次が十四番の性病予防でございますが、これは強制健康診断に要します
費用と、それから性病診療所、性病病院等に要します
費用、その二つが大きなものでございますが、性病強制健康診断に要します
費用は大体前
年度の実績に基きまして、必要な
経費を計上いたしてございます。性病診療所に要します
経費につきましては、大体基礎的な数字は前
年度と同じ
考え方でございますが、ただ国庫
補助率を先ほど申上げましたように、
補助率引下げの線に沿いまして二分の一から四分の一に減
つておりますので、従いまして国の
予算として計上いたしております金額が相当大巾に減少しているわけでございます。
それから十五番の保健所でございますが、これは保健所の新設に要します
費用と新設格上に要します
費用と、それから保健所の運営に要します
費用でございますが、新設格上は昨年二十八
年度は新設が二十カ所、格上CクラスからAクラスに格上いたしますのは十カ所でございましたが、二十九
年度は新設が十カ所、格上が十カ所というふうに二十八
年度よりやや減少いたしております。運営費につきましては先ほど来御
説明申上げましたように
補助率切下げの線によりまして、国庫
補助率が三分の一でございましたが、四分の一になりましたので、金額といたしまして昨年より一億七千ばかり減少いたしております。この性病診療所並びに保健所の経常費に対します
補助率の切下げということにつきましては、
地方財政が困難な折から
補助率を切下げますということは、
地方で
予算化いたしますのに非常に苦心をすることと思うのでございますが、数日前衛生部長
会議を開きまして、国全体の方針としてこういう事態に立至
つたので、できるだけ各
府県で
予算化に努めるようにというふうに指示をいたしました。たとえ
補助率が下
つても、性病診療所或いは保健所の運営に支障を来たさないように今後十分注意して参りたい。そういうふうに
考えておるわけでございます。
次は十六番の水道施設
関係でございますが、これは一般上下水道は昨年よりやや減少いたしております。地盤変動、一般鉱害、特別鉱害も昨年とそうたいした差はございません。簡易水道につきましても、二十九
年度は二十八
年度と同じく災害を含めまして四億、災害が二億四千万円組んでございますので、災害を含めました分は四億というふうに二十八
年度の当初
予算と同じだけの金額を計上してございます。
それからその次が十七番の栄養及び食生活改善、これは昨年来食生活改善の問題が大きく取上げられまして、本
委員会におきましても生活改善に関する小
委員会をお作り頂きまして、食生活改善に関する問題を取上げていろいろ御
審議頂いているわけであります。来
年度におきましては、この食生活改善につきまして新らしい線を打出して行きたいというので、
地方費の
補助等につきまして一応の構想を持
つて予算を要求いたしたのでございますが、先ほど申上げましたような理由で新規要求がなかなか困難でございましたので、取りあえず本省費といたしまして粉食普及に関します或いは食生活改善に関します
費用といたしまして、協議会費、それから講習会費として百七十万円を新らしく計上して頂いているわけでございます。
それからその次の十八番
公衆衛生関係施設整備、これは
地方衛生
研究所の整備
補助は昨年
通りでございます。それから財団法人癌
研究所に関します整備
補助も昨年と同様でございます。
それから
公衆衛生局
関係の施設といたしましてずつと飛びまして十六頁をあけて頂きますと、四十八番から五十二番まででございますが、四十八番の
国立公衆衛生院、それから四十九番の精神衛生
研究所、五十番
国立栄養
研究所、五十一番
国立予防衛生
研究所、これは特別に変
つた事項はございません。金額がやや殖えておりますのは、内部設備、例えば新らしく機械を買うとか、或いは媛房設備をするとか、それから
国立予防衛生
研究所につきましては、現在の場所から旧海軍大学に移転をいたしますに必要な
経費というようなものを見込んで頂いておりますので、やや金額が増加いたしております。検疫所につきましては、二十九
年度は新設は
計画いたしておりません。二十八
年度は四カ所検疫所の新設を
実施いたしたのでございますが、二十九
年度は新設はなく、ただ人件費の増その他によりまして金額がやや増加いたしている状態でございます。
以上甚だ簡単でございますが、
公衆衛生関係の
予算について御
説明申上げました。