○国務大臣(
塚田十一郎君) それではお尋ねでございますので、簡単に現在の段階におきます進捗の程度に応じた
考え方を申上げたいと思うのでありますが、あらかじめお断り申上げて置かなければなりませんのは、今度の機構改革は先日も本会議で申上げましたように、最初に事務整理を検討しまして、それから機構、こういう順序で、事務の整理のほうは法制局のほうで審理をやつて頂いておりますが、法制局のものを機構改革本部であとを検討する、こういうことに
なつております。それから機構のほうは一応行革本部の素案ができまして、これに対してそれぞれの所管の省の御意向や御意見を
伺つてみて、その上でもう一度
考え直そう、こういうように
なつておりますので、今各省にそれぞれ漸くお渡ししてお
考え願う段階に
なつておりますところでありますから、今これから申上げます
考え方は、その程度の段階においての物の
考え方でありまして、
従つて行政管理庁としましても又機構改革本部といたしましても、
従つて勿論
政府といたしましても何ら最終的な
考え方のものではない、こういうように御了解を願いたいと思うのであります。
そこで先ず第一にこの官房統計
調査部でありますが、これは一応廃止をしよう、こういうことに
なつておるわけであります。これは
調査部を廃止しようということでありますけれ
ども、仕事そのものをやめようという
考え方で
ないのでありまして、大体今のこの統計に対する行革本部の
考え方は、今各省のやつておられる仕事のうち共通の部分と申しますのは、集計をする部分は御承知のように各省がばらばらにやつておられて、又統計局でもやるというようにして、各省の部分は割に能率的に運用はして頂いておるようでありますが、統計局にある部分が非常に非能率に
なつておるものでありますから、それで集計部門を全部統計局にまとめて、全体として機構及び人員の整備と節約を図りたい、こういう
考え方に
なつておるわけであります。そこでそういうものを抜いて行く関係からしまして、一応部を廃止してもいいのじやないか、こういう
考え方に
なつておるわけであります。ただいろいろ意見を聞きましたところ、やはりこの各省の責任者の地位の
かたがたにはかなりな素養、それから専門的な知識、そういうものをお持ちに
なつているかたがないと困ると言うので、それにはやはり
相当な地位と待遇というものを伴
つたポストというものがいるのじやなかろうかということで、部長という恰好でなしに、統計
調査官というものを置いたらいいんじやないか。この
考え方は
厚生省だけに限らず、各省共通の
考え方でございます。そういたしまして、なるべくこの部課の分れをやめてもらいまして、あとの人達もフリーに課とか、係とかいうことに捉われずに、フリーに機動的に働いて頂いて、今の仕事をやめるというようなことは勿論なくて、特定の人間で、最高の能率で、今の仕事を続げて行つて頂いたらいいんじやなかろうか、こういう
考え方でございます。それからなお全体としてなるべく今度の機構には部制をやめてしまおう、こういうことに
なつておるのでありまして、今局、部、それから課、係というように全体として見まして非常に分課が多過ぎるという
感じであります。そこで非常に小さい課がありますものですし、又非常に小さい係がありますものですから、課もなるべく整理して、大きくまとめて、そうして現在の部というものは実は実質的に課であるというような感覚にまで
考えかたを直して頂いて、そうして部というものは大体の省において大部分の部を廃止しよう、こういう
考えかたに
なつておるわけであります。
従つて部制を廃止するということが、そこで今までやつておられた仕事を軽視しておるという
考えかたでは少しもないものであるということを併せて申上げておきたいと思うわけであります。
それから国立公園部はその方針に従いまして、一応これは官房内の一課にしていいのじやないか、こういうふうに
考えております。
それから環境衛生部のほうは、これは今の公衆衛生局の中の一つの仕事ですから、これも部を廃止して、何とかやつて行つて頂けるのじやないか、こういう
考え方であります。
それから医務局、薬務局は一応統合して医薬局にしようという
考え方に
なつております。これはなかなか御意見がおありのようでありまして、私
どももなお慎重に民間側の意向、その他を今
伺つておる最中でありますが、ただ
感じといたしましては、薬務局というものを一つの局として独立するだけの仕事の量、その他果してあるのだろうかということについても、かなり疑問を持つておるのでありまして、ただこの案が新聞紙上を以て世間に洩れましてから、公衆衛生局、それから医務局、薬務局、この三つを二つにするという
考え方ならば、むしろ公衆衛生局を二つに解体して、医務局と薬務局に仕事をわけてもらうほうがまだ合理的であるというような意見も
伺つておるようなわけでありまして、どの辺にこれを最終的に持つて行くか、なお私
どもとしても検討して見たいと
考えております。
厚生省の所管では中央に関する部分はこんなものでございましようか、なお
引揚援護庁を内局に移して、これは部制を是非やめてしまおう、こういうような
終戦後から特殊の任務を持つて出て来ました役所は、実は非常に今度の整理にどうしようかということで、かなり困
つた問題だと
思つておりますが、
引揚援護庁でございますとか、調達庁でありますとか、こういうものは皆共通のものであります。今臨時には仕事がある、併しやがてこれはなく
なつてしまうのだ。なくなるので置いておくという
考えかたも一番合理的だと思うのであります。恐らくなくなるまで置いておいて、いよいよなく
なつたときに、ばたつと切られてしま
つたときに非常に混乱を起すだろうという、実際面の考慮をかなりいたしておるわけであります。そこでこういう、もう先行きの或る程度の見通しのついておりますものは、逐次これは小さくして行つて、場合によれば仕事が若し十分できないというならば、仕事の一部分を他のところへ移しても、この機構自体をだんだんと何年かの年次計画で縮めて行
つたらいいんじやないか、そのほうが本当に政治をされるときのそこに現在勤めていらつしやるかたの
立場から言つても、非常に好都合じやないか、こういう
考え方で、こういうものは
相当大巾に今後何年間かの計画で縮小したいという
考え方を持つております。その一つとして
引揚援護庁を取りあえず内局に移して、部制を廃止してれ恐らくこういうところはかなり人員の整理という問題も出て参ると思うわけであります。
それから検疫所でありますが、これもなかなか
厚生省側に御意見がおありのようでありますけれ
ども、実は今度の機構改革の一つの
考えかたとして共管事務となるべく統合しようという
考えかたも一つあるわけであります。税関に、港についているいろいろな行政事務というもの、これは必ずしも共管という形のものではないのでありますけれ
ども、狭いところに各役所が実にたくさん出ておりますので、港における行政事務というものが一番乱雑に
なつて、複雑化しておるということが顕著に目に立つわけであります、これはそういう
意味におきまして、どこかに主として、そこに仕事を持つておるところへまとめたらどうだろうかという
考え方をいたしておるわけでありまして、検疫所を税関に統合しようという
考え方はその面から出て参
つたわけであります。併しこれは仕事本来の行き方からすれば多少仕事の向きも違うようでありますので、いろいろまだ今後議論があると思いますので、一応の
考え方はそういう
考え方でございます。
それから医務出張所でございますが、これも御承知のように各地に分散している国立病院その他の病院系統のものの所どころに出張所を置いて監督なさつておるという役所のようでありますが、今日の状態になればもうそういうことも必要ではないのではないか。監督が必要であれば、何か監理官というようなものを適当な所のかなり大きな病院かどこかに一部屋くらい置いて、そこに駐在させておかれて連絡をとらせるというような程度でいいのじやないかということで、これは是非廃止をしたい、こういうような
考え方に
なつております。それからして麻薬取締官事務所でありますが、これは麻薬取締、こういうような特別の任務を持
つた警察は、成るべく今度の
機会に……、警察庁という構想が警察制度の改革にあるわけでありますが、そこに移管をして、勿論これは専門知識をお持ちのかたでないとできないようでありますが、そういう人
たちを警察の中に置かれて、そうしてそこでやつて行
つたらいいのじやないだろうかという
考え方で、麻薬取締官事務所というものを廃止しよう、こういうように大体
なつております。
それで
厚生省の分は大体そんなところでございまして、全体として見た感しでは他の省に対してかなり大巾な整理を
考えたのでありますけれ
ども、どうも
厚生省という役所は、官庁自体に一つの社会政策的な考慮がある官庁でありまして、戦前から比べますと非常に厖大に拡大しておるものの一つなのでありますが、どうも
考え方として、十分これを整理したり研究したりしようという
考え方に、かなり私などの気持の上でも、そこまでやつては無理かなという
感じの面が多くて、まあ今の段階で
考えております各省の部分と比較いたしますと、割に
厚生省は、俗な
言葉で申しますと、改革が甘いという形に
なつておると私は
考えておるのでありますが、併し所管の省としまして、やはりなかなか手厳しいということのようであります。まあ一応御
報告申上げます。