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国務大臣(
草葉隆圓君) これは先に申上げました
国庫負担の問題は、
一つのやはりバランスというものがあると思います。
従つて一割五分が二割になり、或いは三割になり、四割になるということは、そのものが大変この
改善のようにも思えまするが、併しいわゆる
保険年金としての立場から、
国庫負担というものと、本人の掛金というものと、
事業主の
負担というものとが、
一つのやはり今後バランスは或る
程度と
つて行かなければならん問題だと思います。それにいわゆる国力というものが
検討されて、割出して行くべきものだ。で、そういう点から
考えますると、相当
国家の
財力ができました暁におきましても、必ずしもすべてがいわゆる国費によ
つてという
状態だけが、
年金保険の建前ではないと
考えております。勿論このできるだけの
負担をする、相当の
負担をする、そのバランスの点をどこで押えるかというものが、最も問題の点だと
考えます。で、本年度におきましては、この点を実は相当
努力住いたしたつもりで、従来の一割を一割五分に増額いたしたような次第でございます。なお、この年齢が、従来は
一般の場合の五十五歳を今回六十歳にいたしました。大変改悪ではないか、一応そういうふうに、年齢が増しました点につきましては、そういう改悪のような印象を与えると存じますが、これは将来の日本人の年齢層における
労働力というもの、そういうものを
考えて参りまする場合に、私
どもが実は改悪という
意味じやなしに、これは
検討して参
つたのでございます。直ちにこれを現在、今までお約束しておつたいわゆる加入者に対しまして、明年から直ちに六十歳に延ばすとなりますと、いわゆる
既得権であります期待権というものが外れて参りますから、これは二十年後にな
つてから六十歳に実施して行く、それまではこの現在の
段階においてはだんだんと延ばして行こう、こういうまあ
方式をと
つて参
つております。従いまして六十歳にいたしましても、直ちにこれを六十歳に年齢を
引上げる、こういう
方法をやめまして、二十年後に六十歳、で、日本人の今後の
労働能力を、二十年後においては六十歳までは
一つやれるような行き方を頭に置いて、そうしてこの行くことが、日本としては、この際
改正するに当
つて妥当ではないか、こういう
一つの
考え方をいろいろな点から
検討いたしまして、五歳
引上げたのでございますから、これは単なる
一つの年齢の
引上げによ
つて、受ける人が大変五歳だけの、まあ一種の損失をこうむるというふうな
考え方ではなくいたしたのでございます。この点は
一つ御了承を頂きたいと存じます。
なお次に、一万八千円で今度は切つたが、それを更に修正して行くならば、一層協力するのでいいじやないか、これも実はいろいろ
検討して参りました。現在の八千円を一万八千円といたしまする問題につきまして、併しこれには相当
段階の
負担と、それから
事業主の
負担と、現在のような経済情勢におきまして、これを一躍増して参りますることには、相当な思い切つた行き方をと
つて行かなければならん、こういうので、実は今度
引上げるにつきましても、大体これで一万八千円にいたしまして、
事業主の
負担が四十四億円
負担をすると存じております。
従つて現在の
事業主に対しましてこれだけの
負担は止むを得ない
負担として
一つ忍んで頂きたい。それだけが又この掛金をされます
被用者のほうにも当然
負担にな
つて参るのでありますが、そういう次第でありまして、この現在の経済情勢なり事業の情勢なりを
考えて、現在までの八千円では誠に不都合という点が相当ひどいので、
従つて一万円を増加して一万八千円というところに行
つたのでありまするが、今後更にこの経済情勢、すべての点を
考えまして、
検討すべき余地は勿論、これでこれが最終的のものであり、絶対的のものとは
考えておりませんけれ
ども、
只今の
段階におきましては、そういう
意味において、一万八千円といたした次第であります。