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1954-04-23 第19回国会 参議院 建設委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十三日(金曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            島津 忠彦君            赤木 正雄君            近藤 信一君            田中  一君   政府委員    建設政務次官  南  好雄君    建設大臣官房長 石破 二朗君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設大臣官房建    設業課長    宮内 潤一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設機械抵当法案内閣提出、衆議  院送付) ○公共工事前払金保証事業に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  送付)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今より建設委員会を開会いたします。  今日は建設機械抵当法案公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして逐条審議を進めて行きます。
  3. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 只今議題になりました建設機械抵当法案につきまして各条文を逐いまして御説明申上げます。  先ず第一条でございますが、これはこの法案制定目的規定いたしております。即ち本法は新たに動産抵当として建設機械抵当権設定し得るようにし、これによつて長期資金確保等に寄与し、以て建設工事機械化の促進を図ることを目的とする趣旨を宣言したのであります。  第二条でございますが、この法律に書いておりますところの建設機械の定義を規定したものであります。本法におきまして抵当権設定を認めます建設機械は、建設業法策二条第一項の別表に定めておりますところの土工工事等二十二の建設工事というのを指定いたしておりますが、この二十二の建設工事の用に供される建設機械類であることを規定し、その具体的な範囲政令で定めることといたしております。政令規定します建設機械類範囲につきましては、これはまだいろいろ、検討はいたしておりますが、最終的に勿論きめてはおりませんが、考え方といたしましては成るべく広く政令で指定いたしたいとは思いますけれども、まあ初めのうちはやはりこの法律の円滑且つ確実な施行を期するためにも或る程度制限いたしまして指定せざるを得んのじやなかろうかと、かように考えております。お手許にお配りしております印刷物によりますと、例えばブルトーザ程度のものというようなことを書いておりますけれども、必ずしもブルトーザということに我々の肚がきまつておるわけじやございませんので、後ほど機会がありましたならばいろいろ御説明も申上げ、又御意見も承わりたいと思つております。  次に第三条でございますが、これは所有権保存登記に関する規定であります。建設機械抵当権設定しようとする者は先ず第四条の規定によりまして、その建設機械建設大臣又は都道府県知事記号の打刻を受けまして、その打刻を、堂けた後その所有権保存登記を受けなければならない。こういう規定をいたしてございます。この所有権保存登記申請し得る者でございますが、これは本法の確実な施行を確保するために建設業法によつて登録を受けた建設業者に限る、こういうことにいたしたのであります。たた建設業者でありましても、只今申上げました打刻又は打刻番号横認のない建設機械につきましては所有権保存登記が受けられないこととし、又質に入つております建設機械差押、仮差押仮処分目的となつております建設機械についても同様に取扱うことといたしたのであります。従いまして若し誤つてこういう建設機械について登記がなされたような場合におきましては、その登記質権者或いは差押、仮差押仮処分債権者に対しては効力を生じない旨をこの第二項に明確に規定いたしたのであります。従いましてこの建設機械について抵当権設定されましても、その抵当権は従前の質権者等には効力を生じないことといたしてございます。  次に第四条でございますが、これは先ほど申上げました打刻に関する規定であります。この第二項におきましては、その打刻又は検認手続等はすべて政令で定めることといたしたのであります。この打刻又は検認建設大臣が実施するのでありますが、迅速にその事務を行うためには、都道府県知事登録業者の所有する建設機械或いは建設大臣登録業者の所有する建設機械でありましても、遠隔の地にあるような場合には都道府県知事に打刻させる必要があると思いますので、第三項にその委任の規定を設けたのであります。又この打刻は登記官吏形式審査によつて申請を受理し得ることができるように、行政官庁所有権について確認すると共に抵当権の実行の場合に裁判所建設機械同一性を確実に検認し得るために行う、こういう趣旨のものであります。従いまして打刻記号申請を確保する必要がありますので第四項を設けたのであります。なおこの第四項に違反して打刻した記号を毀損した場合には後ほど御説明申上げます第二十九条により一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処することといたしているのであります。  次に第五条でございますが、第三条の規定によつて所有権保存登記を受けた建設機械について抵当権設定し得るというこの法律の根本となります事項規定いたしたのであります。この抵当権民法の百七十五条に規定のありますいわゆる他の法律に定める物権一つに当るわけでございます。これは自動車抵当法によりますものとか航空機抵当法によりますものと同一趣旨の、いわゆる民法にいいます他の法律に定める物権一つであります。これは第五条の規定によつて創設されますところの抵当権内容規定したものであります。民法規定する不動産抵当権と全く同一内容であります。  第六条のうち「債務者又は第三者」とありますのは、この法律の第三条により当然建設業法登録を受けた建設業者に限られるのでありますが、例外的に抵当権設定建設業者建設業法により登録の取消しを受けたような場合には建設業者以外の者が該当することがある。又ここにいう第三者とは、債務者以外の第三者がいわゆる物上保証人となる場合であります。なお抵当権質権と対比して目的物占有を移さない点に特色があり、抵当権設定者目的物の使用、用役を続けることができますので、建設機械については特に効用を発揮するものと考えられます。又抵当権とそれが担保する債務、即ち被担保債権との関係につきましては、担保される債権は必ずしも金銭債権には限りませんが、少くとも金銭に算定してその額を一定できるものであることを要します。  第七条は対抗要件に関する規定であります。即ち物権本質的効力であります排他性対抗要件を具備する必要があるものでありますが、建設機械は本質的には動産でありますので、民法一般原則によれば占有所有権得喪変更対抗要件となるのであります。併し第三条に関して述べましたように、建設機械については抵当権設定しようとする者は必ず所有権保存登記をさせる必要がありますし、又抵当権占有権移転を伴いませんので、必ず公簿によって権利変動を公示する制度が必要になるのであります。従いましてこの第七条は建設機械所有権及び抵当権得喪変更登記をしなければ第三者に対抗できないことといたしたのであります。又登記は一個の建設機械について一用紙を備える建設機械登記簿に記載することといたしました。なお登記手続等に関しましては、第九条により政令で定めることといたしております。  次に第八条でありますが、これは登記用紙の閉鎖に関する規定であります。第七条に関連して述べましたように、建設機械は本質的に動産でありますので、不動産的な取扱い抵当権設定目的のためにだけその必要の限度においてのみ行われるべきものと考えられますので、所有権登記後三十日以内に抵当権登記がなされないとき又は抵当権登記が抹消された後に三十日以内に新らしい抵当権設定登記がなされないときには、取引の安全を図るために、登記官吏はその建設機械登記用紙を閉鎖し、本来の姿でありますところの動産取扱いに返すことといたしたのであります。併し当該所有権保存登記差押、仮差押等登記がされておるような場合には、その法律関係を安定させるために依然として不動産的に取扱う必要がありますので、登記用紙を閉鎖しないことといたしておるのであります。  なお抵当権効力の及ぶ範囲でありますとか、その不可分性でありますとか、物上代位のこととか、物上保証人求償権抵当権順位でございますとか、先取特権との順位、それから担保される利息、それから抵当権の処分、代価弁済、第三取得者費用償還請求権、それから共同抵当代価の配当、一般財産からの弁済及び時効による消滅等について、十条から二十四条まで規定いたしております。これらは民法と同様の内容規定でありますので、詳細はここでは省略さして頂きたいと思います。  その次に二十五条、これは質権設定の禁止を規定したものであります。既登記のあります建設機械について抵当制度が創設されるのでございますから、更に動産質というようなものの設定を併行して認めますと、建設機械目的とする民事法律関係を非常に錯綜させます。抵当制度の適用を阻害する虞れがあるのであります。又動産質設定を認めた場合は、抵当権順位の調整が必要ともなります。このために質権登記の途を開くというような又必要も出て来ますので、この法律におきましては抵当権設定だけを認めることとして、質権設定を禁止したのであります。なお、自動車とか航空機等、すでに動産抵当制度を認めておる法律におきましても今度の法律と同じような取扱いをいたしておるのであります。  次に第二十六条は強制執行に関する規定でございます。建設機械について前申し上げました通り公簿による権利公示制度が採用されたのに伴いまして、それらの建設機械を且的とする強制執行及び競売手続につきましても不動産に準ずる取扱いをする必要がありますので、裁判所におきまして慎重にこれを行わせることを適当とする趣旨から規定したものでありますが、更にこの手続については最高裁判所規則譲つたのであります。最高裁判所規則の定めるところによるということにいたしたのであります。なおこの最高裁判所規則でそういう手続の前例といたしましては自動車抵当法航空機抵当法、これらのものについても同様に扱つております。  第二十七条の第一項の規定は、第二条第二項に規定する政令改正によつて将来建設機械範囲が拡大されたようなときに、自動車抵当法との競合を避けるために道路運送車両法により所有権登録を受けている建設機械については、その登録がある間はなお建設機械として取扱わず、自動車抵当法によるものといたしたものでありますし、第二項は前項とは逆に、将来政令改正によつて建設機械範囲が狭くなつたような場合に、直ちに抵当権を消滅させ、或いは即時に実行させるというようなことは不適当と思われますので、こういう場合にもすでに所有権登記がなされている建設機械については、この法律による建設機械とみなして法律関係の安定を図つたのであります。  第二十八条は、将来例えば第二十七条に規定するようなことが起つた場合に、運輸大臣建設大臣登記官吏相互間の通知義務等規定する必要があると考えられますので、必要な手続その他の細則を政令によつて規定することができるようにいたしたのであります。  第二十九条の罰則でございますが、第四条の御説明の際にも申上げました。そのほかこの法律目的を達成するために、競売を免れる目的抵当建設機械を隠匿、又は損壊した者を処罰する必要があると認められますので三十条を設けた次第であります。  最後に、以上申上げましたような内容を持つ不動産抵当制度を確立するに当りまして、自動車抵当法道路運送車両法登録税法担保附社債信託法国税徴収法建設省設置法などの一部を改正する必要があり、又自動車抵当法との関係におきましては経過規定を設ける必要がありますので、附則を十一項設けたような次第でございます。  以上申上げましたのが、簡単ではございましたが建設機械抵当法案の逐条的な御説明でございます。  次にもう一つ議題になつております公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  先ず第二条の改正でございますが、第二条の改正は二つのことを含んでおります。先ず第一には、日本電信電話公社、これは公共工事前払金保証事業に関する法律施行されましたときにはまだ電気通信省でこの仕事をやつてつたのでありまして、その後公社として独立しましたので今回追加いたしたのであります。  その次にもう一つこの第二条の改正は、最近ダムなどの建設工事等、大規模な工専の発注に伴いまして、土木建築に関する工事と同様に建設機械製造代金を前払し、その製造を容易ならしめ、以て公共工事の適正な施行に万全を期する必要がありますので、国、地方公共団体等建設機械製造代価を前払いする際に保証事業会社保証できるように、土木建築に関する工事の中に、これらの工事の用に供することを目的とす機械類製造を含むこととし、前払金保証範囲を、工事だけでなしに、建設機械製逓まで拡張いたしたのであります。  次に策十九条の改正でございます。建設業者建設機械購入に関する資金に関しまして長期融資を容易ならしめ、以て公共工事施行を、確保するために、現行法によつて認められており一まずところの運転資金に関する金融保証と同様に、建設機械購入資金金融機関から借入れる場合、その債務保証することを保証事業会社に兼業させるように第二号にこれを追加したのであります。なおこれに伴いまして条文整理としまして、第二号を第三号に繰下げたのであります。  第十九条の二の一条を新設いたしましたのは、現行法上では金融保証約款については監督規定かございませんのですが、第十九条の改正によりまして、保証事業会社に行わせますところの金融保証の業務が追加されましたので、この金融保証約款建設大臣承認を求めさせる等の規定を設けたのであります。即ち第一項は承認に関する規定でありますし、第二項は金融保証約款で定める事項建設省令で以て定めるというようなことを規定したのであります。そのほか必要な事項については、前払金保証約款に関する規定を準用することを第三項に規定いたしたのであります。  第二十一条、第二十五条第一項、第二十六条のそれぞれの改正は、先ほど御説明申上げました第二条、第十九条及び第十九条の二の改正に伴いまして所要の条文整理行なつたものでございます。  以上簡単ではございましたが、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げた次第でございます。
  4. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止
  5. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を起して下さい。  建設機械抵当法案の総括的な御質問を願います。
  6. 田中一

    田中一君 この会期相当つている現在、こうして少くとも国民の或る種の業種に影響のある法案が出されますことにつきましては、これは非常に注意をして審議をしなければならんと思うのです。そこでなぜこの会期迫つた今日、殊に政界の動きも非常にあわただしいときにこれを出さなければならなかつたかということについて、今までの立法の経緯とそれから今まで法務省その他で以て難点になつてつた点、こういう点を先ず伺いたいと思います。
  7. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 大変提案が遅れまして申訳ございませんが、この法案を急いで御審議願いたい、今国会において御審議願いたいという趣旨につきましては、提案理由の際に政務次官から詳しく申上げてありますので、この際省略さして頂きたいと思います。法務省との間にいろいろ折衝いたしたのは、これに時日を要したのは事実でございますが、実はこの法律のいろいろな作業につきましては両省で共同でいたしたのでありまして、御承知通りこの物権動産抵当民法例外規定でございまして、民法法務省が所嘱しておるというような関係もあり、いろいろ折衝しておつたのでありますが、どこにどうといつて特に問題になつた点はないのでありますが、善意第三者保護する点でございますとか、或いはその善意第三者保護抵当権者権利を十分擁護するというような点をどういうふうに調整するかというような点がやはり法省ではいろいろ御検討になつたようでございます。
  8. 田中一

    田中一君 私仄聞するところによりますと、今日ある自動車抵当法は余り成績のいい運営をしていないというふうに聞き及んでいるのです。無論動産ですから相当……、殊に使えば使うほど磨耗する機械です。又どこへでも持つて行けるものであります。そういう点からいつて法務省はこうした動産抵当というものに対する根本的な検討を新たにしなければならんのじやないかというような点からこの建設機械抵当法につきましても検討されたのではないかと考えるのですが、自動車抵当法の一番の癌であつた点ですね。これは率直にそれを御説明になつて……。今まで自動車抵当法そのものに対して成果が挙らなかつたようでありますが、それをこの法律でどの辺まで活かしておるかという点を御説明願いたいと思います。
  9. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 自動車抵当法が非常に評判が悪いというお言葉でございますが、私も細部は勿論承知いたしておりませんが、この抵当法施行状況を私の知つておる範囲で申上げますと、御承知通りこの自動車抵当法昭和二十六年に制定されたものでございますが、昭和二十七年度中の抵当権設定状況、これを申上げますと、車両の数にしまして約四万二千台の車両について抵当権設定されております。これの抵当としての、これと見合うと申しますか、債権の額は百四十七億に上つております。これが二十七年度中の状況でございます。自動車抵当の……。まあ私どもといたしましてはこのように百四十七億というのは相当の数でもございますし、所期効果を、法律制定所期目的自動車抵当法としてもやはり挙げておる、かように解釈いたしております。
  10. 田中一

    田中一君 では今まで提案が遅れたというまでには、自動車抵当法成果が非常にいいという点から遅れたのか、或いはもう一遍動産抵当に対する検討を新らしく行われたものであつたのかどうか、率直に答弁を願いたいのです。法務省としてもどうしてもこれが必要なものだ、又今までのほかの航空機及び自動車債権設定の問題につきまして非常な影響をほかに与えているから遅れたのか、どつちかになると思うのです。少くともこの法案があなたのほうで立案されてから相当の時間がたつております。その点について率直に伺いたいと思います。
  11. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 前回の委員会におきまして民法とそれから自動車抵当法と今度の建設機械抵当法案との主な異同の点に関します一覧の対照表を差上げておりますので、これを御覧になりますれば、その自動車抵当法と本案との差異はここに挙げてあるつもりであります。どういうわけでそれぞれの差異を設けておるかというような点を逐条的に御審議になります際にでも申上げますれば、田中委員の御質問になつております点につきましては自然に御答弁申上げることになるかと実は考えている次第でございます。
  12. 田中一

    田中一君 そうすると自動車抵当法は非常にいい結果を招いておると言つていいのですか、廻りくどい説明ですがね。
  13. 南好雄

    政府委員南好雄君) 田中さんにお答え申上げますが、この建設機械抵当法は約二年間ほどかかつてできた法律でありまして、法務省のほうへ正式にお話をしたのも今年になつてからであります。法務省のほうも、いろいろどういう法律につきましても全部関係がございますので、法務省みずからの事務の都合上によりまして相当暇がかかつた点と、今御質問になつたような点の、いわゆる自動車抵当法がどりであるからこれがどうだというようなそういう関係のことは、これは法務省のほうでお聞き下さつて結構でありますが、私の伺つている点では、建設機械内容が非常に多いのであります。抵当権対象になります建設機械種類が非常に多い。自動車抵当法対象である自動車のようにいわゆる単一機械、或いは航空機抵当法のような単一機械と異りまして、相当省令によつて縛るとは申しますものの、建設機械種類相当あるものでありまするから、それについての先ほど官房長説明しておりましたいわゆる善意取得第三者保護取引安全性というものと占有をせざる動産のいわゆる担保物権という点との関係を主として検討しておつたように聞いているのであります。私たちもここがやはりこの法律の一番の眼目であるというふりに考えまして、法務省の慎重なる研究を待つてつたというのが事実であります。そのために多少法案提出の時期が遅れたと申すことも言い得るかと思いますが、自動車抵当法が実施の効果云々からこの建設機械抵当法案についての検討に暇がかかつたというふうには聞いておらんのであります。
  14. 田中一

    田中一君 そういう条文その他について遅れたという点はそれで結構ですが、自然に紛失又は減損した場合どうなるのか、或いは天災地変とかいう場合にはどういう工合に考えられておるのですか。
  15. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 宮内説明員説明を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 深川タマヱ

  17. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 只今質問のありました点につきましては、そのものが滅失してしまいますると抵当権は当然消滅いたします。ただその滅失が、例えば盗難の場合とかいろいろなことで損害賠償請求権に代る或いは保険金に代るというような場合には、その保険金なりそういう損害賠償請求権なりというものの上に及んで行きます。その規定は十二条物上代位という規定がございまして、この範囲内については生きて来る、こういうことになります。
  18. 田中一

    田中一君 大きな機械は大体分解しなければ移動その他ができないものがあると思うのです。そういう場合には一々担保権者に届出をしてそれを移動するということになるのですか、それは自由にやつていいのですか。
  19. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) それは抵当権設定者の自由でございます。債権者に通知するとか了解を得るというようなことは必要ございません。
  20. 田中一

    田中一君 大体金額はどのくらいの限度を押えておるのですか、大体の金額は……。一個ですね、機械一つに対して一つの様式というか、書類を作るようになつておりますが、大体の価格です。
  21. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 価格というのは機械価格でしようか、それとも債権額という意味でしようか。
  22. 田中一

    田中一君 債権です。
  23. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 債権額につきましては、これは当事者間の金の貸借ですから何らの制限はございません。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると例えば手廻しの捲上げ機みたいなものもこれは設定できるのですか。
  25. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 法律案の第二条の第二項についての御質問と存じますが、第二条によりますと「この法律で「建設機械」とは、建設業法第二条第一項に規定する建設工事の用に供される機械類」、こういうことで先ず絞つております。つまり建設業法の第二条第一項の規定によつて現在二十二の建設工事種類を指定しておりますが、これに使われる機械でなければいかんというので先ず絞つておる。その次に第二項で、「前項機械類範囲は、政令で定める。」ということにいたしておるのでありますが、先ほど御説明申上げました通り、まだ中身は勿論確定いたしておりませんが、大体成るべくこの範囲を広くしたい。併しながら法律実施の当初におきましてはやはり或る程度は固くして、それをだんだん緩めるような方向に持つてつたらいいのじやなかろうかと考えておりますが、お尋ねの捲上げ機というのはどの程度に該当しますか、大体私どもといたしましては余り細かに建設機械を全部政令で指定して、それに抵当権設定されるというようなことになりますと、抵当権そのものがどうもあやしげなものになる危険がありますので、大体一個の機械で百万円を超えるものというようなところで絞つたらどうかとも考えておりますが、まだ最終的の結論には至つておりません。
  26. 田中一

    田中一君 私光だつて、もとやつぱり建設委員をしておつた同僚の鹿島君に、一体これは君らの会社でどんなものかと聞きますと、自分たちのほうはこういうものの法律は余り影響がない。あつてもなくてもいいというような答弁を聞いたんです。今伺うと大体一個百万円以上程度のものにやるというならば、少くとも大企業にのみ融資される形になるのじやなかろうかと思うのです。恐らく鹿島君が言つたのは、自分のところは資本金は十分あり、且つ又市中銀行から十分な融資があるから、だからこういうものを抵当にして金を借りる必要がないと、こういうように僕は了解したんですが、そうすると地方の府県の仕事をしておるような連中、同じような業法できめられたところの、業法の第二条の三項の規定で、これがまあ業者でありながら自分のところの持つているものが百万円以上にならんと借りられないというような点ですと、金持で業態がよくてそれから機械を十分持つておる者が非常に恩恵を受けて小さい業者ですね、こういうものは恩沢に浴さないというような危険が多分にあるのじやないかと思いますが、その点はどうですか。
  27. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話の通りこの建設機械抵当設定し得る途を開きましても、金が十分あり、又こういうものを利用しなくても信用の十分ある方はこういう建設機械抵当に入れて金を借りるというようなことはなさらんだろうと思います。それはあたかも不動産について抵当権設定可能でありましても、そういうことをせずに金を借りる方もたくさんあるわけでありますから、そういうことは、まあこれは御利用なさらん方はそれは相当数あろうと思います。  なおこの法律が大業者だけを保護する結果になりやせんかという御質問でございますが、この点につきましては御指摘の通り一件百万円以上の建設機械を持つておるという業者の方は、実はそう全部が全部とは参りませんので、持たない業者の方もたくさんあろうと思います。お話の通りこれは該当する機械を持つておらんわけでありますから、この法律が出てもこの法律の恩典には浴しない、これは事実であります。ただこういう制度ができますと、実は非常に我々がそこを狙いといたしておるのでございますが、従来全然機械を持たない、例えば月賦販売のような式で新しい機械を購入される。それについて抵当権設定する。金は何ヵ月間かあとに月賦ででも年賦ででもお払いになるというような途も開けるわけでございまして、これでこそ従来機械を持ち得なかつた方がこの制度によつて新たに機械を購入し得る途が開ける。従つて納論的には従来建設機械を持たなかつたような中小の業者の方々もこの法律を御利用になる余地は十分あり、又必要も多いんじやなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  28. 田中一

    田中一君 今の建設謙界の実態というものは機械を持つたから仕事が来るのじやなくて、電源開発会社ができて以来というものは、告業者は無理をして随分機械を質つているんです。そうして仕事が大体もうあと二、三年で見通しが立たんような状態におきましては、仕事がなければ機械は動きません。従つて倉庫にしまつているというような機械をどんどん抵当に入れてしまつて、そうして自分のところの融資を図るというような、いわゆる仕事がなくて割に閑な会社であつて機械をうんと持つているというところに、実際に機械を動かすための融資じやなくて、自分の業態全体を、いわゆる手持機械を持ち過ぎちやつたというので主として金融をするというような形になりはせんかと心配するわけなんですが、そういう点はどうですか。例えば古物を買つて、仕事が来ると思うから機械を買うわけですが、仕事が来ない。そうした場合に遊んでおる機械でも動いている機械でも同じようにその機械そのものの価値によつて金を貸すんですか、その点はどうなんです。
  29. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。これはなかなかむずかしい御質問でありますが、法律の持つている本来の趣旨は、要するに建設業者機械を買いたいという目的の、何と申しますか、金融を受けているわけでもないのでありまして、自己の資金の中から買つているものもございましようし、或いは運転資金から機械を買つているものもございましよう。そういうことによつてこれは提案理由説明の際にもお話申上げましたが、運転資金が非常に固定しているという例も起きているのでありましてそういうような場合、その固定したいわゆる資本と申しますものを、こういう法律効果において金融をして、業態の改善に使つて行くということは、これはこの法律を作つた狙いでも一つあるのであります。ただ何も仕事をせずに機械だけ買つて休んでいるものもこういう法律によつて金を借りて行くということは、借りて行くという例と、どんどん機械が動いておつて、金融の道を開いて行く例との比較になつて参りますると、これは田中さんの御質問趣旨にあるように、どんどん機械が動いて仕事をこなしてそうしてなお且つこういう法律によつて運転資金が非常に容易に手に廻り得るほうが私たちが希望するところであります。ただ法律と申しますものはこれは一つ制度でございましてその制度を運用の際において非常に大きな弊害が起きればこれは考えなければなりませんが、今御質問のような趣旨のものは、恐らく何と申しまするか、法律を作ることによつて出て参りまする、何と申しますか、悪い面だとは私は考えられないのであります。
  30. 田中一

    田中一君 まあ二十九年度予算は緊縮予算で、公共事業も相当つています。それから民間の事業も、経済審議庁の経済審議会では高層建築を抑制しようなんというような議論も出ておりました。そうして事実は終戦後ずつとこう見て参りますと、駐留軍工事がなくなると幸いにして保安隊が増強され、そうするとそれに対する施設が相当出て来た。それから一方電源開発は特殊会社を作つてどんどんやつているという現状になつて、一応業界は賑かになつたというような印象を受けますけれども、実態はそういうものじやないのです。で、電源開発そのものに対して相当大幅な外資も来て、根本的に電源開発がなし得るという見通しの下に、相当大勢の業者は機械を買つている。そうして併し仕事が減つているということになりますと、いずれその会社は仕事が余りなければ、機械は持つているけれども、機械は成るほどこうして抵当権設定して大体長期貸付というものは開発銀行あたりから貸すのだと思いますけれども、この吉田内閣の緊縮予算政策というものが続けば続くほど、業者は手持ち機械のお手上げになつちやう。そうして一応切り抜けの策として政府が法律を出してくれた。そうして開発銀行なら開発銀行がこれを背負い込んで二進も三進も行かん。機械というものは遊ばしておけばだんだん品物が悪くなる。使えば使うほどいいのですが、そういう点からいつても、若しこれが或る時代にその会社が一ぱいに機械を抱き込んじやつて、動かない機械を抱き込んじやつて、そうして金融もかなわない。金も貸してくれないというような場合になつたときに、どういう工合にその機械を処分するか。今までおおむね機械に金を貸したものに対しては安心したような結末になつておらない。その場合に河か国が今度は金融機関に対して別な面で、国がその機械を買取るとか何とかというような方図も考えておられるのですか。
  31. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。私はそういう場合に、国がその機械を買取るというようなことは今のところは全然考えておりません。それから機械類担保物権対象になるということが、田中先生の御質問のように常になつて行くものとも考えておりません。担保附社債信託法或いは工場抵当法というような法律制度によりまして、工場内におきまする動産であろ機械担保物権対象になりましてそのために金融がうまく動いて行くという実例も多々ございますので、今の建設業界をこの法律のために、或いはこの法律によつてのみ建設業界を救うものとも考えておりません。要するに建設業界における現在の状態においてこういうのも、工場財団というようなものと同じように金融上相当の利便があるだろう。そういうためにはこういう法律も作つてつたほうが非常にいい。更に進めまして、何と申しまするか、日本の建設業界におきましてもどうかして機械化をやつて、そうして能率を上げて、場合によつて機械が外国あたりまでもどんどん進出できるような素地を作つて行くことが建設業界の将来のためにいいのだと、こういうふうに考えましたのでこの法律提案したような次第であります。
  32. 田中一

    田中一君 御趣旨は非常によくわかつて結構だと思うのですが、若しこれがただ自分で生産するというのでなくて、委託生産なんですが、建設業というものは、それも御承知のように一つ工事に何十人、少くとも五、六名の人間が入札制度で以てやつている。その銘々が機械をたくさん持つていても、仕事をするのは一人きり、入札する場合には、仕事をするためにその手持ちの機械をこうしてやればいいのだという見通しの下に入札するわけです。それが仮に五人指名する。五軒とも同じような能力を挙げられるような機械を持つている。その際仕事が一つの場合、そのあとの者が十分使いこなす機械があるけれども、それが使えない。これが現状だと思う。どこでもフルに仕事して、なお余つてつているところはない。だから叩き合する。叩き合は困るから談合で話合いしてものをきめるのが現状です。そうすると全国業者の業法で登録する場合に、大体の機械登録してありますね。そうするとその機械が全国業者、都道府県知事の認可の業者ですね、これを合わせて、これに該当するような機械はどのくらい、どのくらいの金額になつて参りますか。
  33. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) お答え申上げます。今田中先生のおつしやる通り登録するときには、全部添付書類の中に大きな機械類は全部報告してもらう、こういうようになつております。従いまして大体把握しておりますが、それを今度大よそこの政令で指定せられるだろう。先ほど官房長が御答弁申上げたものを一応想定して計算いたしまする、現在百八十億円くらいの機械類がある、こういうことになつております。
  34. 田中一

    田中一君 これは何ですか、ただ登録ばかりですか、それとも地方知事の認可する業者も入つておりますか。
  35. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) この法律を作るための説明資料として出しまして、知事の分についても調査いたしましたから、それに入つておると思います。
  36. 田中一

    田中一君 知事が入るつておるのですか。
  37. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) はい。
  38. 田中一

    田中一君 そうするとこの百八十億に相当する機械類ですね、対象物ですね、これのうちどのぐらい動いているように予想していますか。どのくらい動いておるように見ておりますか。
  39. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 非常にむずかしい御質問ですが、特定の日を限つて施設調査をしたこともないので、うまく答弁はむずかしいと思いまするが、大体想像いたしまして、業者の方々から事情を聞いた三ころでは、大きな機械類は八割以上動いておる。こういう証言を得ております。
  40. 田中一

    田中一君 今の百八十億の数字は二十七年度の恐らくことだと思いますが、いつの分ですか。
  41. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 二十七年度でございます。
  42. 田中一

    田中一君 そうですね。この二十八年度に、二十七年度でも二十八年度でもいいけれども、相当業者は機械を買込んでおるのです。これはまだ未登録になつておる、届出はありませんね。
  43. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) はあ。
  44. 田中一

    田中一君 私はね、この法律は実際にこの法律によつて融資を受けるという人たちは、恐らく動いておる機械の場合には公共工事前払金制度があるんですね。割合に円滑に行つているものと思うのです。殊に銀行などでも紐付き融資をやつております。ここまで金融をしなければならないということになりますと、これは恐らく手持ちの機械を持込んで仕事が割合になくて、フルに動かないで事実その機械がとまつているものに集中するような気がするのです。そして銀行の信用も余りない、こういう人たちのところに行く。いわゆる不良な業者に限られて行くのではないかという危険を当然感ザるのです。百万円以上の機械を持つている会社なんというものは地方登録といいますか、知事登録の業者には少いです。そうすると全国登録の中の或る局限された、鹿鳥さんの言葉ほ大企業者ほ恩恵に浴さない、中企業者も全然これに恩恵には浴さない。従つてその下にある信用もなくて銀行の融資も余り円滑に来ない仕事も少いというような、少くとも業態としてはまあ乙か丙程度のところに偏つて行くのではないかと、こういう心配をするのです。その場合ですよ、その機械が、機械は持つておる、併し期日は来ても金は返さん。従つてその機械引取つしてまう、金融機関が、こいう事態になつた場合を心配するのです。それよりももう一つ変わつた構想は考えなかつたのでしようか。例えば今年々、二十九年度は幾らになつておりましたかちよつと記憶しておりませんが、国が相当建設機械というものを購入しております。このほうにありましたものを全部打ち込んで融資というよりも、国が直接に工事と一緒に機械を貸与するというふうな形に持つて行けば相当こうした法律は要らなくなると思うのです。それでフルに機械が動かせるというような考え方があるのですが、その点はどうですか。
  45. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。機械を高度に利用する。まあ将来の日本の経済の全般を想定することも非常にこれはむずかしい問題ではありまするがです、そういう点から勘案して参りますると、従来よりも公共事業など、或いは民間の大きな工事なぞも減つて行くだろう。そういう際に現在の業者が不必要な機械をたくさん持つておる。そういうときにこういう法律を作れば、寝ている機械のための金融になるではないか、こういうまあ第一段の質問、次に進んで、田中さんのお考えが入つて、結局機械を買つておいて。プールのようなものをこしらえておいて、請負を取つた人間に貸したほうがもつと能率的に機械が動かせるのではないかと、こういう御質問になつてつたように拝聴いたしたのであります。私はこういう法律をこしらえましても、一部分は御指摘のような寝ている機械にも金融の道が開かれるということにはなつておりまするが、銀行もただ機械に金を貸すのではなくてです。要するにその機械自身の持つておる値打ちも勿論考えておりまするが、機械を動かしておる会社それ自身に対する信用も重点になつておるのです。ただその債権に対する担保としてこの機械を提供するというそういう考え方になつておりますので、金に機械だけを対象において金融して行くものとも私は考えておりません。恐らく金融の内容につきましては私のような考え方で動いて行くものと考えておりまするが、第二段の国家が或いは特定の会社が機械を持つてこれを貸して行つたほうがというお考えでございますが、これも構想におきましては私は或る程度私自身も賛意を表する点もあるのでありまするが、なかなかむずかしいものでございまして、借りた機械の管理の問題或いは国の持つている機械を有効にすべての人の需要を充足するようにやつて行くというようなことは、これはなかなか何と申しますか、むずかしい問題でございます。その一例は、先般もたしか当委員会でございましたろうが、建設省の持つている直営工事に使用しておりまする建設機械の稼動状態で非常にお叱りを受けたのであります。そういうふうに機械を持つておりましてもなかなかこれが能率的に効果的に動いて行くと申しますことは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、方針といたしましては、国が機械を持つて必要な事業に貸して行くというような考え方も或る場合は考えられますが、現在程度の建設業の使つておる機械は、やはり自分の商売をよく発展さしてどんどん仕事をして行くというような意味合におきましては私は必要備品と考えております。そういうものにつきましては借りてやるのもいいのですが、自分で持つて自分で管理し、自分で使つて行くというほうがよりいいと私は考えておりますので、そういう場合におきましてのこの法律の持つておる効果は、これはやはり相当否定できないのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  46. 田中一

    田中一君 機械相当進んで来ているのです。ですから一年ごとに改良されていいものができる。或いは古いもので借金して、その金で新らしいものを買うということも考えられるのですがね。そういうところはやつぱり銀行と業者との間で以て別にこれという個々の条件で話合つて融資をするということになるのですか。
  47. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。恐らくそうなると考えております。機械がどんどん新しくなると申しますことは、ひとり建設機械に限らず、あらゆる製造工業の過程、産業機構の下においてみな日進月歩の状態であります。
  48. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 建設機械ですね、建設機械種類の問題ですが、現在まあ日本の建設業者がいろいろ機械を買い入れていろいろ機械化をやつておるのですがね。一番問題になるのは、その機械を能率的に稼動させるということなんです。それがためにはやはり修理工場とかそういうものを完備せんとなかなか動かないですね。例えばブルトーザを買つても、ブルトーザを買つてオペレーターが運転したというだけでは直ぐ減る。相当修理工場なんか整備しなければならん。私は或る成績のいい会社、名前は申上げませんが、見たのですが、相当やつばり修理工場なんかちやんとした機械を持つたところで整備している。むしろ整備のほうが大事だと言つているくらいですが、その整備に対する工場の機械、そういうものは対象になるのですかならないのですか。
  49. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実はこれは先ほども御説明しましたようにこの法律対象とは考えておりませんが、ただ工場財団というようなことから、あの法律からいたしますと、あちらのほうで多分それを抵当に入れまして金融の途をつけるという方法はあろうかと思います。
  50. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そういう点、これは建設の機械化を促進する上においてこういう法律を作られて、私はそれは非常にいいと思うのですが、そういう点一つよく注意をされて、そつちの方向と関連を取られて、こちらの方向がうまく行かなければ、たとえ機械を買つたところですぐ動かなくなつちやうですね、そ場ういう点を十分注意されたい。それから機械ですが、機械がいろいろあるうちで、まあどういう機械をやるか知りませんが、皆セットになつておるのですね。例えばダンプ・カーだとかいろいろあるが、ダンプカーだけ落されて困るというふうに、いろいろセットになつてある。そのセットをよく見て、ダンプ・カーなんか入れるか入れられないかわかりませんが、そういうものを考えて入れるかどうかということを伺いたい。
  51. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) いわゆる俗にセットになつておるものの抵当につきましては、法案の二十一条の第一項によりますと、「債権者同一債権の担保として数個の建設機械の上に抵当権も有する場合において、」云々と書いております通り、数個の建設機械についても、勿論一個の債権に対して数個の建設機械抵当権設定できる途も開けておりますし、御指摘のような場合いろいろ例があると思いますが、これを二つ合せて一対の機械となつておるというふうに取扱える場合も相当あろうかと思います。そこはよく実情に応じまして便利なように取計らつて行きたいと考えております。
  52. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それから金額の問題ですがね、さつき百万円と言いましたが、これは具体的に私は百万円のものがどのくらいの程度かわかりませんが、百万円というのは大体どのくらいのものになりますか。
  53. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実は先ほどもお断りいたしました通り、百万円という率で考えておるわけじやございませんが、大体その辺でどうだろうかというところで、まあ法律施行上の障害もない。而も成るべく範囲を広くというような考えでやつておりますが、大体百万円というところで押えたらどういうものが入るだろうかということを考えてみますと、ミクサーの二十才、それから掘繋機で〇・四立方メートル以上のものであります。空気圧縮機可搬式五十馬力以上、それからブレーキ・クラッシャーで行きますと二十インチの十インチというようなところが入るのじやないかと考えております。
  54. 田中一

    田中一君 今の関連するのですが、まあ百万円程度ということについてまあ幅を持たしてしないと、そうしたコンプレッサーのほうで五十馬力のものですと、機械の古いものですよ、古いものだとやはり五六十万くらいであるのですよ。その品物の能率できめるのか、価格できめるのかが問題になつて来るのです。その点はどつちできめるのです。
  55. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 成るほど同じ形式の同じ機械でも新らしいものと古いものでは値段は大違いでございますから、これで個々の値段を見てやるというわけには参りませんので、大体取得価格を標準にしまして、金額で、勿論政令で指定するつもりはございませんで、これこれの機械、こういうことで指定するつもりでございますから、古い機械、値段が下つたら途端に適用除外になるというようなことは考えておらん、そういうことには行かんのです。
  56. 田中一

    田中一君 もう一遍関連して伺うのですが、そうすると大体買つたときの値段だ、新品ならばこれだ、新品ならば百万円前後ということで押えようというのですか。
  57. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) その通りでございまして、具体的に政令ではミキサーならばどれ以上のもので、コンプレッサーならばこれこれ以上のものというようなものに固定して指定したいと思います。値段などは勿論入れるつもりはありません。
  58. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) お諮り申上げますが、御質疑の内容はすでに条項に関係したものも出ているようでございますので、ここらあたりで一応逐条に関する御質疑に入つて頂きましてあとで又残つております総括質問をなさつて頂くほうが御便利かと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) じやどうぞ逐条的な御質疑をお願いいたします。つきましては第十条までを最初一括してすることは如何でございましよう、五ページでございます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) じやどうぞ……。
  61. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この一体抵当法のほうは要するに機械化の促進ということを狙い、一つは金融の緩和のため、抵当権設定という新らしい途を作つて金融の対象にさせるというのが狙いなんですね。ですから今までいろいろと話がありましたように、例えば百万円程度の機械のものは登録対象になるというふうにして登録をする。つまり対象物に列挙されて、でそいつを所有者は登録をなさる。そこでその登録というものを基礎にして抵当権ができ、それから金を引出そうというのですね。その際に第七条或いは第八条との関連がありますが、第八条あたりは「三十日以内」ということ、或いはつまり「所有権保存登記後三十日以内」、それから「まつ消された後三十日以内」というので限定されておるのは、取引の円滑を期したいのだという意味からこういうふうな期間が短期間に限定されておるわけです。ということは、結局機械の性能に関連し或いは事故に関連してもとも考えられるのですね。その一体性能、事故という問題については、貸すほうのいわゆる金融者がお調べになつて個々のいわゆる契約の際の要件であると、こういうことで結局この法律を作つたほうの側としては突放すというと語弊がありますが、当事者次第だと、こういうふうになるのだと思いますけれども、その点は如何ですか。
  62. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 御説の通りでございまして日本の現在の抵当制度というものは全部そういう態度で立法しております。
  63. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 ですから私は前の法案の総括質問の際に、或る方々からいろいろ聞いておりましたが、要するに機械化、能率化というものはこの抵当法の上ではそれが明らかに出て来ない。これは一口に言えば金融化促進法なんです。金融化促進を通じて機械化、能率化というものを狙つておるという問題であつて、あとからこれに関連して出て、来る前払の場合において機械種類、性能のいいものの指導、これは特定金融機関、例えば開銀等の関連において行政指導の立場にある建設省当局がその辺では指導的な立場がとれるけれども、今抵当権については何らそれらについては積極的な指導的な立場はとれないものと理解していいですか。
  64. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話の通りの点も実はあるのでありましてこの抵当法そのものが、第一条には目的として機械化を促進するとは書いてありますけれども、御指摘の通り機械抵当に入れて金を借りてそれを何に使おうとこれは制限はありません。たた現在の建設業界の実情は私の聞いております範囲では大体運転資金は、工事を請負つてその工事施行するために必要な運転資金というものは比較的銀行から借りやすい、ただ設備資金について長期資金が入手しがたいといいますのは、適当な担保物権がないから長期資金の借入が困難だという実情にあるように聞いておりますので、そこで抵当制度を認めてやれば、それで長期資金の融通を受けることが若干でも楽になるであろうというだけでありまして、なお後段の御指摘の通り、この保証会社の保証範囲につきまして、これは建設機械類の取得に関する資金の貸付を受ける場合この債務保証するということで、こつちのほうではしつかり縛つております。抵当法のほうではありません。
  65. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 登録対象になると考えられる機械類の総額は百八十億くらいある、こういうお話であります。この法律施行された際は、今日の金融事情等からいたしまして、どのくらい一体これが対象として借出しができるというお見通しを似ておられるか、又更にこれは当然の、金融機関と借入者との距の相対、協議以外の何物でもたないとも見えるけれども、折角この法律を作つて業界の機械化、金融の円滑化を、従つて工事が立派に早期にできることを狙つているという建前から言えば、或る程度金融機関資金の枠について政府側としても何か便宜な方法をとりたいだろうということはわかるのですが、それについて何か大蔵省方面、資金運用部だとかああいうものの特殊な預入等によつて、或いは幾つかの銀行に預入等を、特にこのことを考えながら殖やして、そしてこの円滑な実施に備えるといつたような考え方はあつたかなかつたか、如何でございますか。
  66. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お答え申上げますが、その前に先ず建設機械類の二十九年度中に一体どのくらい建設機械という、ものが新たに必要であろうかという推定でございますけれども、これは国なり公共団体、政府機関等が買入れて貸付る分と、建設業者が自分で調達して、工事をやる分と両方に分れると思います。これも大雑把で確実な資料に基いたものではございませんけれども、初めの国なり公共団体、これが二十九年度中に新たに買入れる機械の額というものは大体六十億見当じやなかろうかと推定しております。それからそのほかに大口のものとしては電源開発、その他電力会社があるわけでございますが、これも一応の計画は立つておりまして、推定はできますけれども、これは御承知通りアメリカからとかその他外国から買入れることになるかも知れません。こつちのほうはまだ国内でどの程度調達するのかわかりませんけれども、仮にこれが全部国内で調達するということになりますれば、まあこれこそ推定でございますが、二百億見当と見ていいのじやなかろうか、そう一応推定しておりますが、これらのものを要するに発注者側で買付けて、これを請負者のほうに出して工事をやる。それから一方建設業者みずからが調達するであろうと思われるような機械の調達費の合計額は、これも非常に推定の推定と申上げてもいいくらいでございますけれども、三十億を超えるのじやなかろうか、かように考えております。  そこで問題になりますのは、初めの政府なり公共団体が買付ける金の前渡金のことは又もう一つ法律で御説明申上げたいと思いますが、問題になりまずのは建設業者が調達なければならん三十億を超える建設機械について、こういう制度ができて特別の金融措置を考えているかという点でございますが、いろいろ考えておりますけれども、この法律ができてすぐ政府でこれに即応した行政的な措置をとるというところまでは考えておりません。政府の措置としては、御承知通り開発銀行からの貸付という問題もあるわけでございますが、御承知通りの政府の二十九年度予算編成方針から行きましても、開発銀行の本年度の資金計画というものも、前年と比べて相当に圧縮されているわけでありますし、又総体の資金需要量そのものが他の産業に比してそうでかいものでもありませんので、まだ具体的に検討はいたしておりませんが、いずれにしても今後できる限り開発銀行等からも建設機械に融資をしてもらうというようなことも努力しなければなるまいと思います。その他興業銀行でありますとか一般市中銀行等からも若干の融資の途が楽に開けるのじやなかろうかということは期待しておりますけれども、行政措置としては目下のところやる考えを持つておりません。
  67. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の民間の主な業者といいますか、民間企業の方々が二十九年度あたりに使用される金額は約三十億ぐらいであろうという推定をお持ちになつたのは、丁度資料として配付して頂いている中央建設業審議会の答申の後に付いております推定があります。これに大体当るわけなんですか。
  68. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) さようでございます。
  69. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それから同じく資料を頂いておりますが、土木請負工事に伴う建設機械購入予定額としてあります。その二十九年度欄を見ますと、五十億という数字が載つておるのであります。電源開発工事、建設省関係、農林省関係、これらを合せて五十億という数字が資料に載つておりますが、これは最初御説明の六十億、つまり直営工事に使う機械類の購入見込額およそ六十億といつたその額、大体それに当るものとしてのお考えですか。  それからもう一つお聞きしたいのは、つまり施工者が機械を購入して、それを貸付けて、そしてその工事をさせるのにその機械がおよそ二百億と言つたように聞えたんですが、その辺もう一度御説明願いたい。
  70. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 今の五十億と六十億とは関連がございません。それで資料のほうに五十億とございますのは、これは価格の如何を問わず、一切合切の機械で大体五十億だ、こういう考え方であります。そのうち先ほど官房長から答弁いたしました通り機械抵当法の適用を受けてやるのが百万円と一応仮定いたしますと相当減るわけでございまして、そうすると三十数億になるのじやないか、こういう計算になつております。審議会の三十五億近い数字というのはそういう計算の上に立つております。
  71. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると一応それならそれでわかつたが、官房長の御説明の二百億と六十億というのは、ちよつと説明を願いたいと思います。
  72. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 官房長が六十億と申上げましたのは、もう一つのほうの法律で、国が機械を買うときに前払をするという法律が出ておりますが、そのほうで国及び地方公共団体が買うであろうという額でございます。従つてこれは民間のものとは全然関連がございませんので、五十億と六十億とは無関係である。かように申したのでございます。  それから二百億と申しましたのは、電源開発、私鉄、石炭とか、いろいろな一切の重要民間産業の機械に該当するものについて、私どもいろいろ照会を出しまして集めた結果が大体それくらいだろう、こういうふうに集まつておるのであります。
  73. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そのぐらいだろうというのは、現在の手持機械の総額という意味ですか、或いは二十九年度との……。
  74. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 二十九年度に新らしく購入されるだろうという額でございます、
  75. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると建設機械の保有量という同じく資料があるわけですね。これはいわゆる土建屋さんと申しますか、一口に土建屋というか建設業関係の諸君の、この会員四十二社のうち三十二社が回答して来たその合計額、保有額が百五十三億であろうというところなんですか。
  76. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) さようでございます。それに漏れておるのを相当拾いましてそして加えて先ほど百八十億と、こう申し上げたのであります。
  77. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 一応わかりました。
  78. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは次に十一条、即ち五ページの初めのほうから二十条、即ち八ページの終りまで御質疑願います。
  79. 石川榮一

    ○石川榮一君 この条文には当てはまらんかと思いますが、一言承わつておきたいのは、この建設機械なるものは、抵当の目標とするものは建設業者ということを特定しておるようですが、建設機械を賃貸することを業とする会社、法人というものに対する抵当権は認めないのですか、認めるのですか。
  80. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 機械の賃貸を業としておる者は、現在のところいずれも建設業のほうの登録を受けて建設業者になつております。従いましてそういう者を当然含むという解釈になり、実際上皆受けておるのであります。
  81. 石井桂

    ○石井桂君 これは田中委員が聞かれたことですが、この法、案は非常に結構な法案だと思うのですが、この機械を持たない者の救済方法とか、そういうことは一応考えられたものでしようか、どうでしようか。
  82. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この機械を持たないいわゆる中小業者と申しますか、これらの方に対する対策は、この法律だけでなしに、あらゆる方面で考えなければいけませんのでございますが、この法律だけについて見ましても、先ほども御説明いたしました通り、従来は建設樋械は全然持つていない、百万円なんという機械を持つていない業者がたくさんあるわけであります。これらの方々は、今度新らしい機械一つ買おうということを思い立たれますと、それを買つてすぐそれを抵当に入れて、金はあと払いというようなことで相当和用されるだろう。かように考えております。
  83. 石井桂

    ○石井桂君 今官房長の御説明は、業者個人のことをお考えになつているようですけれども、百万円の借金をするような業者というものはやつぱり相当の方だと思うのです。街には何万という業者がおりますが、これら他の法律の、例えば協同組合法みたいなものがあつて、そして数名で協同組合を作つている。それでその組合に一つあれば組合員の人がみな利用できる、そういうふうな途を開けば、私は一人の業者に食わせる能力はなくてもいいのじやないか、そういうこともお考えになつて、裏をお考えになつてこういうことをやつて来たのだということになると、広く業者が助かるというのでいい答えになるのじやないかと思う、そういうことは考えないのですか。
  84. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) お答え申上げます。只今の点、中央建設業審議会で審議しているときにも問題になりまして、そういうことを大いにやろうじやないか、それで協同組合になりますれば、登録を受けてあれになりますから問題なしに受ける、それでこの間全國各地方の協会を作つておりますその協会長が集つて来ておりましたので、そのときにもよく話をして、各地各地で例えば協会の会長のところへ集中して置く、そして必要に応じて県内の業者に実費で貸すというようなことができるかできないか、そういう点を一つ是非検討してもらいたい。こういう工合にして今問を発しております。従いまして恐らく昨日福岡、それから北海道の人などからは是非そうしたいからというような意見も出ておりますけれども、これが成立いたしましたならば、行政指導でそういう工合に努力いたしたいと思います。
  85. 近藤信一

    ○近藤信一君 十六条の但書の中の「それ以前の定期金についても満期後特別の登記をした」という特別の登記というのは何を意味するのか。
  86. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 実はこの辺は、先ほど官房長が逐条詳明で申上げました通り民法そつくりを引いているわけであります。民法抵当権がこういうふうになつているわけでありまして、それで特別の登記というのは民法で使つているので我々も使つたのですが、何も特別の意味があるわけではないわけであります。そういう旨の登記という意味でございます。
  87. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 只今直接関連はないことかも知れませんが、登録業者の問題ですが、建設業法の六条の要件を備、えており、十一条の拒否の各事項に触れなければ、登録というものはいわゆる簡単にできる、簡単というか……、言葉を更に言えば、第七条の「工事経歴」或いは「直前二年の各事業年度における工事施行金額を記載した書面」というその中に記載する金額が非常に少い場合であつても、これは虚偽の申立をするのでなくて、少いだけの額、額には関係なく記載さえしてあればいい。更にはこの金額が、まだ始つたのだから二年間のうちにはないという場合でもこれはできるということになるんですか、その点ちよつと……。
  88. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 第五条の要件を備えなければならんのは勿論でありますが、先ほど御指摘になりました通り、過去実績がない、少いということは問題にせずに登録すべきものと、かように考えております。
  89. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 次に進んでよろしうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 条、即ち九ページの初めから三十条、即ち十二ページの終りまでお願いいたします。    〔「異議なし「進行」と呼ぶ者あり]
  91. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 御質疑はございませんければ、十二ページの附則、一括いたしてお願いいたします。
  92. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 自動車抵当法については総括的に当初田中委員からいろいろと質問がありました。まあ私どもこの制度が開始されて果してどのくらい一体有効に適用されるかどうかという問題の一つの参考にしたいためにお聞きしたいんですけれども、自動車の現在台数は、抵当に当る台数及びその価額が幾らあつて、そしてなお……、現在の手許にあるお調べで結構です。どのくらい入つていると、抵当対象となりどのくらい貸出されておると、この数字を一つお聞きしたいのです。
  93. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 自動車の総台数でございますけれども、実は後刻、本日中によく調べまして御答弁申上げたいと思いますが、抵当制度の利用状況でございますけれども、昭和二十七年度中にこの自動車に対して抵当権設定した状況について御説明申上げますと、抵当権設定した車両の数が四万二千三十九台、これに対する債権額が百四十七億九千四百万円でございます。  なお先ほど、この機械抵当制度ができたら、新らしく機械を買う方も利用されるだろうと申上げましたが、自動車についてもその場合を分けて考えてみますと、これは自家用車と営業車によつて若干違つておりますが、申上げますと自家用車を先ず新車と旧車に分けますと、自家用車の新車で抵当権設定した台数が一万一千百三十五台、これに対比しまして、これに対する債権額は四十四憾四百万円、それから自家用車の旧車、つまり従来から持つておるもの、これに対して抵当権設定しましたのが四千四百八十四台、これの債権額は十六億七千一百万円。次に営業用でございますが、これは新車が四千百八十六台、これの債権額は二十七億八千三百万円、それから営業用の旧事が二万二千六百三十四台、これに対する債権額は五十九億三千六百万円、こういうことになつております。で、自家用車については新らしく買う場合に抵当制度を利用したものが非常に多い、常業用については在来持つておる車に抵当権設定して金を借りた場合が多いというようなことになつておるようでございます。
  94. 石井桂

    ○石井桂君 私、知らないから聞くんですが、自動車抵当法自動車というのは三輪車も入るんですか、オート三輪。
  95. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 入るということになつております。道路運送車両法という法律自動車範囲言つておるんですが、非常に広くて、動力で道路を走るものならみんな……。こういう観念で臨んでおりますから、ちよつと我々の観念としては自動車ではない思われるものも法律上は自動車ということになつております。
  96. 石井桂

    ○石井桂君 ではスクーターも入りますか。
  97. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 勿論入ります。その証拠にナンバープレートを持つております。
  98. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは公共工事のほうは直ちに逐条審議に入りますか。
  99. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この建設機械抵当法は、今これにとめて公共工事前払金に入るんですか。一応逐条としては終つたということにするんですか。その辺を明らかにしてお願いしたい。
  100. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 建設機械のほうは逐条は終つたといたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では建設機械抵当法案逐条審議は終了いたしたものと認めます。
  102. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 次に公共工事前払金のほうでございますが、直ちに逐条審議に入りますか。
  103. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 どうも逐条と言つてもこれは条が少いのですが、これは一つ総括から入つてつて頂いたほうが便利かと思うんですが……。
  104. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 三浦委員の御提案如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは公共工事法案の総括質問をお願いいたします。
  106. 石井桂

    ○石井桂君 この公共工事前払金保証制度が設けられてもう一年になるんですが、相当の期間があると思うのですが、その場合非常に心配されたのは、中小企業者の救済を目的としたこの法案が、事実上は大企業者に利用される機会が多くて中小企業者の救済にならないんじやないかという意見が随分あつたと思うんです。そこで今までの施行状況から考えて、所期目的が達しておられるかどうかを、大体でよろしいのでございますが、数字などを挙げて御説明願えれば大変結構だと思います。
  107. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 先年来施行いたしておりますこの公共工事前払金保証事業に関する法律施行状況一般についてでございますが、お蔭様で非常に成績はよろしいのでございます。昭和二十七年の秋から北海道と東京、大阪に三つ会社を作りまして、北海道は資本金五千万円、東京は一億円、大阪は八十万円、こういうことで発足いたしたのでございます。二十七年度は創業早々でもありますし、又いういろいろての設立諸経費などもかかり、残念ながら所期の営業成績が挙がりませんで、各社とも若干の赤字を出しておつたよう状況であります。これが二十八年に入りますと非常に軌道に乗りまして、各社とも営業成績は非常に挙りまして、私どもの当初の予想は保証金額の総額は大体まあ年間二百五十億見当じやなかろうかと考えておつたのでございますが、結果は三百億上廻つて三百六十億見当の保証をいたしたような次第であります。なお北海道だけは兼業として金融保証もいたしておりますが、これも成績はよろしいようでございます。  そういう状況でございまして、最近ではやはりもう少し資本金を増さなければ保証に間に合わんじやなかろうかというようなところで増資というようなことも話題に上つておるような状況でございまして、今年のもう遠からん機会にそういう申請をして来るのではなかろうかと思つております。一方そういう状況でございますので、保証基金の料率のごときも当初よりか若干下げましたような状況で、まあいずれも堅実な営業をいたしておると思つておりますが、なお御質問のありました、これは大業者だけに利用されて余り中小業者は利用していないのではなかろうかという御質疑でございますが、大雑把に言いまして大半、半分以上は、七割というようなことを一応見当をつけておりますが、いわゆる中小業者といわれるほうが利用しているのではなかろうかと思つております。具体的にそれでは弱小業者だから保証を断つたという例はないかと思つて調べてみたのでございますが、ないようでございます。  それでこの会社ができましてから保証申請して来て拒否したというような例は七件ございますが、これらもいわゆる弱小業者だからというようなことでやつておるのではござんせんで、経営の内容が悪いとか、それから信用がもう特に悪いとか、工事がとてもできそうもないというようなので、これはそれぞれ審査会というようなものを作つて審査いたしておりますが、そういう理由で断つたのがまあ七件ほどあるようでございますが、中小業者は相当に利用しておるのではないか。特に最近はなくなりましたけれども、大業者のほうは前払金を受けなくてもやれるというようなことからしまして、この制度を利用しなかつたものさえ若干あるような状況でございます。
  108. 石井桂

    ○石井桂君 これは前払金保証してもらえる会社はあらかじめ登録か何かしておいて、それによつて会社が危いかどうかということを考えてそして貸付ける方法じやなかつたのですか。登録はなかつたのでしたかな。
  109. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) そういう制度はやつておりません。これは工事契約ができたらその契約書を持つて来て、そして誰でも申込めるということになつております。但しそれは勿論建設業者でなければなりませんから、建設業の登録はございますけれども、保証会社の登録をすることはございません。
  110. 石井桂

    ○石井桂君 そうしますと、まあその引受けた事業がとにかく危くないという見通しがあれば中小企業者でも貸付けるわけですね。貸付けるというか、前払を……。
  111. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) さようでございます。
  112. 石井桂

    ○石井桂君 わかりました。
  113. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 只今つておりますと、この保証会社は大変利用がいいのですけれども、一体この保証会社が資本金は三社で合計二億三千万円、二億三千万円で回転というか、保証した年間の額というものは三百六十億、大変な成績なんですが、これは大体この保証基金というものはどのくらいになり、そうしてこの会社自身が自己資本で足りない分で、よそからいわゆる工事資金、よそから借りる、他の金融機関から借りる関係の実態はどういうふうになつているのですか、その点を御説明願いたいと思います。
  114. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 細部につきましてちよつと御説明申上げますと、資料といたしましてこの前公共工事の前払に関する法令集を差上げてあると思いますが、その中の、それを御覧願いまして、四十一ページに事業方法書というのがございます。これは東日本だけのことを載せましたけれども、各社いずれも同じでございますので、四条を御覧願いますと、「保証限度」というのが書いてありまして、「当会社の前払金保証債務の最高残高は、当会社の自己資本(資本金、資本準備金、利益準備金その他の任意積立金及び前期繰越金の合計額をいう。以下自己資本という。)に保証基金を加えた合計金額の二十倍をこえることができないものとする。」こういうように制限をいたしたのであります。そこで只今お話の通り三社合わせて資本金は二億三千万円でございますが、保証基金というのが法律に認められてありまして、正規の保証料は日歩一銭、九十日までは取つているのでありますが、現在それの半額、つまり日歩五厘の割合で保証基金の積立を各業者にやつてもらつております。従いましてその保証基金が現在、これも資料で差上げましたが、相当な額にもなつておりまして、一億を超しているのでありまして、それと本年度は相当の剰余金が見込まれますので、そういうのを加えると、大体三社合せれば三、四億、従つてその二十倍であるので六、七十億までは最高残高としては保証できるわけでございます。それでもなお且つ非常に営業、営業といいますか、債務保証する額が多額に上るのでございますので、只今官房長の申上げました通り、もう少し増資をしようじやないか、そういうような動きになつているのでございます。
  115. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の保証基金はいわゆるここに業務保証にいう資本金、自己資本金とみなしてくれるわけですね。
  116. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) はあ。
  117. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そこでそれらを合せて大体資本金の倍というか、三億を超えると、あなたのほうで認可したいわゆる方法書は二十倍までというのですけれども、この貸出をする場合に、これにあるからと言つても金があるわけじやありませんから、実際問題として金を他の金融機関からこの保証会社が借りて来るということになるのですか。
  118. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) お答え申上げますが、この保証会社が金を貸すわけではないのであります。国なり公共団体なりが金を出してやる、前払するのはそういう機関がする、その債務をこの会社が保証してやる。そして事故が起きた場合にはこの会社が国なり地方公共団体に保証してやる、こういう建前になつております。従つてよそから金を借りるというようなことはございません。
  119. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると二十倍というのは残高ということの制限ですね。保証してやつた額の最高残高といいますか……、そうすると個々の保証関係というのはどういうことになるのですか。
  120. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 個々のものについては、ただ一つだけその次の第五条で「毎事業年度における一保証契約者に対する保証総額は、当分の間十億円を限度とする。」、そういう制限が一つございまするが、あとは野放しでございます。ただ会社全体といたしましては、絶えず最高残高を見ておつて、そして私どもの考えといたしまして、大蔵省も同意見でございますが、大体この二十倍以上のあれを保証する、万が一のときに会社が危いのじやないか、取りあえずのところはこれで行つてくれということで、全体としてはそういたしております。  それから先ほど私答弁を一つ失念いたしたのでありますが、平均工事がどのくらいかということでございましたが、今のところ、当初四カ月くらいで計算いたしましたが、平均では五カ月程度ということになつております。勿論電力関係などで二年以上のものもあります。
  121. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 大変拒否した件数が非常に少いのですけれども、およそこういう保証会社とか金融機関といつたようなものは固くノー、とやるし、保証してもらいたいほうから言えば、非常に、何と言いますか、極力お願いにお願いを重ねているのだろうと思いますが、この七件というのは、その保証申入れをしていろいろ、資産信用の程度を大いに説明して、先ずアウトになつて行く部分が、つまり表に載らないうちにアウトになつて行くのが大部分なんですね。そして大体よかろうとなつてから途中でアウトになつたというのがいわゆる七件だというふうに解釈ができるのですが、その点はどうなんですか。
  122. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) これもやはりこの事業方法書の第十条に規定がございまして、保証会社は申込まれたら原則として皆保証してやれ、そこで困るものとしては建設業法によつて登録を受けていない者、それから請負工事を完全且つ誠実に施工する見込みが確実でないという者、それからその次は公正な価格で請負わなかつた、あとはもう保証証書に必要な事項を記載しないということでございますが、今断つた七件というのは全部と言つていいくらい第三号の公正な価格、これを各保証会社ともいわゆるロアー・リミット的な考え方を持つておりまして、ダンピングしたものは全部断わろうじやないかというので、それに皆ひつかかつておるわけであります。従いまして大体は発注者に対してこれは五百万円で請負つておるけれども、予定価格に対して何割、例えば八割なら八割以下でやるかどうかという照会をしております。それでひつかかつたのがこれでございまして、そのほかどうも資産内容が云々というようなことで断つたというようなことは余りないようであります。
  123. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 これは大変どうも、それを聞いてますます心強くなつ集るように思われるのですけれども、そうするとこれだけの、二十八年度三百六十億の保証をしたというのですが、二十八年度の一体これらの対象になり得る工事量ですね、それはどのくらいあつたのですか。
  124. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) それでは概況的に御説明申上げますと、この前払保証の前払費用を出せる機関というのが国、それから公共団体、それから重要な民間産業で建設大臣が指定するもの、こういう工合になつております。併し工事量が幾らあつたということと、前払をするかどうかという問題はちよつと別個になります。というのは、例えば国の場合ですと、必ず予算があつて工事を出しますから問題はないのでございますが、地方公共団体、特に市町村になりますと、その工事を注文する、それができ上つたときに金を払えばいいという前提で注文するのです。とても前まではやれないと、こういうことでございます。併し観点を変えて、現在前払をそれじややつておるところはどういうところがあるかと申しますと、国の機関は全部といつていいくらい支出しております。それから公社関係でございますが、これは電信電話公社、それから専売公社は出しております。国有鉄道は出しておりません。それから府県は東京都と徳島県を除いては全部出しております。それから市町村は大阪市、名古屋市等を初めといたしまして、目下のところ二百十二市町村ですか、それが前払制度をとつております。それから民間産業方面には実は一年間で各地方団体の説明等に日を要して、まだ十分に手が伸びておりませんが、中国電力であるとか或いは富山鉄道であるとか、そういつたような私鉄、電力関係がぽつぽつと出しております。こういう状況であります。
  125. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 徳島がどういう事情で除かれているのか、欲しないから除かれているのか、この点もですが、全体で現在九千六、七百の市町村があると思うのですが、その中で二百十二はこの適用を受けている。ところがこれらに恐らく仕事自体は適用のできる工事量というものが他の九千何ぼかの市町村にもあろうと思うのです。それらはこれを適用してもらうという希望がないのか、或いはそれはまだこういう制度の普及がなくて、かたがた又資本金が資本金ですから、そこまで一手に勧誘するというような、この制度の徹底というものを図ろうということにはならない段階なのか、この辺のことを御説明願いたい。
  126. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) お説の通りでございまして、仕事のやれる分量というものがおのずから制約されておる。最近御承知通り国とかそういうところに非常に、先ほど申しました通り状況でどんどん発注されておるので、全国一万有余の市町村にまで及ぶということになつたならばなかなかこれは大変だという点で、従来そちらのほうへの働きかけといいまするか、そういうものが十分にやつていなかつたということは事実でございます。併し他面相当勧誘いたしました市町村でも、特にこの町村になりますと、前払するだけの余裕がない、趣旨はよくわかるがというのが相当ございます。従いまして比較的余裕があると言つちや語弊があるかも知れませんが、大世帯の台所のところはいずれも実施して頂いておる、こういうことでございます。  それから東京都と徳島がやつていないということの理由でございまするが、これはこの保証会社を利用しないで、それよりか前に地方の協会が徳島の場合ですと県から受取つてつておる、そういういきさつがあるわけで、前渡金としては出ているわけでございます。それから東京都の場合は、昭和二十六年頃でしたでしようか、東京都の業者のやはり組合的なものができております。それに東京都が出資もしているし、相当資金の預託を行なつて、業者に対する金融面を或る程度面倒を見ている。従つてこの保証会社の制度は切換えるのに手間がかかつているというので、遠からず東京都では実施して上げる、こういうことを言つております。
  127. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そういう状況であるところへ持つ来て、今度はこの法律によつて対象範囲を拡大する、つまり第二条の第一項中に「これらの工事の用に供することを目的とする機械類製造を含む」という点と、それから十九条にこの保証事業会社に更に業務の範囲を拡大して第二号を加える、こういうことになるのですが、これらはあなたのほうのこれは監督している対象会社といいますか、従つてこの問題こそ先の抵当権とは違つて、いわゆる資金量というか信用力といつたほうがよいかも知れませんが、信用力、従つて資金量に特段の或る程度の範囲というものを恐らく考えていられるのではないかと思われる。業務は拡大したけれどもその保証限度がつかえちやつていて目的を達しないということでは困る。恐らくそれについて考えているだろうと思うのですが、それはどうなのですか。
  128. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) おつしやる通りでございますが、先ほど申上げました通り第二条の関係の仕事を殖やすという要望は主としてこれは発注者のほうから出ているのであります。どうも建設工事はやれるけれども機械相当金がかかる、そこでやれないので非常に困る。例えて申しますれば、ダム関係のときに索道などは、必ず索道を作つてその人が設置しているわけであります。設置のほうは建設業法に言う工事としてこれは出せる、併し作るほう出せない。そこで予定の時日に機械ができないで困る。これを打開してくれというのが主として大発注会社側の意見であります。そこでいろいろ研究いたしましたところが、先ほど申上げました通り最高残高の制限もございますし、それをどうしようかというのでいろいろ調節して来ましたが、業者側の意見としましてもどつちみち今の資本金ではとまってしまうのだから、この際思い切って倍額増資をしようというようなとことで殆ど意見が一致しております。従いまして先ず倍額増資をするということが一つ、それからもう一つは、私ども大蔵省と交渉いたしまして、異常危険準備金というものを一つこの会社に設けさせてくれないかというととで交渉しておりました。これは何年に一度か大災害を受けるかも知れません。そういうときに今の税法でありますと、御承知通り法人税、事業税は約六〇%近く持って行かれる、持って行かれるというと誠に申訳ないのですが、会社としてはなくなる。そういうことではとても自己蓄積はできないので一定の限度でいいから異常危険準備金というものを認めてくれということで話しておりましたととろが、この三月三十一日に法人税の関係の規則を直しましたときに、総収入の五%だけ年間認めよう、こういうことで各社がこの決算期とにおきましていずれも積むことになつております。これだけでも実は数千万円の蓄積ができるわけであります。そういつたことや何かでしますと、この二十倍ということによつて建設業者のほうにその分だけしわ寄せになるという心配は先ずない。それからもう一つ異常危険準備金まで認めておれば、もうこの二十倍自体を撤廃はできないかも知れませんけれども、或る程度緩和してもいいのじやないか、いう工合にも考えております。
  129. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それに関連してもう一つお聞きしたいのですが、現在の二十倍との関係から言うと、その瞬間々々におけるいわゆる限度ですね、それはどの辺まで行つているのですか、限度すれすれまで常に動いている、つまり平均五カ月の期間との関連において、その月々の残高が二十倍との関係でどうなつておるか。
  130. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 二十七年、二八年という僅か一年半ばかりの経験でございますので、まあ将来もそうだとは断言できませんけれども、実績の示すところ見ますると、大体十月、十一月が二十倍のところにすれすれになつております。それから今年は特に暫定予算の関係もあつたせいですか、それに災害が非常に多かつたために、三月の発注が非常に多うございました。それで三月、この三月間がすれすれのところへ行つている。そこで四月、五月くらいですと実は十倍前後でとまつている。まだ倍の保証余力がある、こういうのが実績でございます。
  131. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 こういう種類のことは、今の災害というような問題が出ましたけれども、御承知通り災害については補正自身も額が少いし、一方から言えばすぐ工事しなければならんということで何とかかんとかということから工事をやつている。ああいつたいわゆる仕事の裏打ちのない、つまり政府のつなぎ資金との関係のない工事、これらについてはこの保証会社というものはどうなんですか、保証しないという建前で来たわけなんですか。
  132. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) それは今度の法律改正で十九条の二号を設けたわけですが、その前の一号がございます。これは運転資金債務保証をやるのでありまして、例えば国にはそういうことはないのでございますが、府県が国からの予算は来ん、仕事にかからなくちや困るというような場合には、仕方がないので、知事さんその他に斡旋して頂いて地元の銀行から金を借りる、銀行もなかなか貸したがらない、殊に中小企業者に対しては貸したがらない、こういうときにはこの会社が債務保証をしてやる、こういうことができるようになつております。そうしてただ今までは前払のほうの活動に追われて、これはまだ北海道の会社しかやつておりませんけれども、北海道では昨年三億幾ら債務保証をしてやつております。それで道内の業者は非常に喜んでおります。私どもとしましては、前払という制度が早く安定すれば、今度内地におき一ましても十九条一号の運転資金債務保証という仕事も積極的にやつてもらいたい、このように思つております。
  133. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そういうことになると或る程度焦げつきというか、問題が出て来るのだろうと思うのですが、それらについてのお考えはどうですか。
  134. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 誠に御指摘の通りでありまして、これは迂闊なことはできるわけのものでございませんので、その辺はよほど慎重にやつて行かなければならんと思いますが、幸いに北海道で去年から始めておりますのも成績はいいものでございますから、よく間違いのないように一つつて行かなければならんと、かように考えております。
  135. 石井桂

    ○石井桂君 この公共工事前払金保証事業法律の中にどうして機械のメーカーに対する保証を加えたんですか。
  136. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 二条の今度の改正は、機械メーカーに対する前払でございます。これは先ほど三浦委員の御答弁の際にも申しました通り、発注者側が非常にこれを希望しているわけでございます。どうも工事だけやるのと、それと密接な関係のある建設業機械のほうに出せないために、業者のほうが例えぱやりたくても機械ができて来ないから容易に仕事にかかれないというような不便が起きて困ります。従つて何とかこれを改正してくれ、こういう要求でございます、殊に御承知通り、昨年度あたりから全国でダムなどが非常に数が殖えたものでございますから、それに伴う要求でございます。
  137. 石井桂

    ○石井桂君 公共工事というのは工事中もでき上つて公共工事だと思うのですよ。けれども機械というのは一遍使つて、あとは何年も使えるわけです。公共工事に使う機械であるけれども、公共工事だけに使うというわけじやない。そうすると公共工事前払金保証事業に関する法律の中へ規定して恩典を与えるのは何か非常に公平を失うような感じがあるのですがその点についてはどうですか。
  138. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 第二条の改正を御覧になつて頂きたいと思いますが、これは飽くまでも国とか地方公共団体とか、それから特に指定する団体が発注するその機械に限るという前提が付いております。又これらの用に供することを目的とする機械類を国とか公共団体が買入れて、そして公共工事の用に供するというようなことでございまするから、大体こういう国とかその他の団体でございますから公共工事の用に……後日使うというような例は殆んどなかろう、かように考えております。
  139. 石井桂

    ○石井桂君 普通の請負が公共工事を引受けるときに、機械がなければ保証をしてもらつて、そして公共団体から借りられることができるわけですね。そうするとその一般の請負が公共工事ばかりやるとは限らんと思うのですよ、で初めに公共工事をやるけれども、あとはまあ大体は民間の工事だなんという場合もあると思います。これは土木工事は違うと思うが、建築のほうのタワーとかミキサーは民間のほうが多くて、公共工事のほうが少いのですから、そういうときに公共工事前払金保証の中の規定というのはちよつとおかしいように感ずるものですからね。
  140. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) 今の点ちよつとあれだと私思いますが、これは公共工事をやる業者がメーカーに前払をするとかそういうものじやないので、国なりその注文主が買う機械でございますから、それ以外のものに使われるということは、こわれて、あとで転売でもすれば別でございますけれども、それ以外のものは想定できないわけでございます。
  141. 石井桂

    ○石井桂君 私が聞いたような場合はないわけですね。
  142. 宮内潤一

    説明員宮内潤一君) さようでございます。
  143. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をとめて。    〔速記中止
  144. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を始めて、一応休憩いたします。    午後三時三十六分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕