○
政府委員(
渋江操一君) 前回に
提案理由の説明を申上げました
土地区画整理法案並びに
土地区画整理法施行法案、両
法案の
逐条説明を申上げたいと思います。
この
法案は、
土地区画整理法の、本法におきまして百四十八条、
施行法におきまして二十二条に亘り、かなりの長文の
法案でございますので、要点を要約いたしまして
逐条説明をさして頂きたいと思います。そこでお手許に
土地区画整理法案要綱というのが多分差上げてあると思いますが、それとこの本
法案とを対照しながらお聞き取り願いたいと、かように思います。
先ず第一は総則でございますが、第一点といたしまして、
都市計画法、
特別都市計画法並びにこれらにおきまして準用されておる旧
耕地整理法のそれぞれに定められております
土地区画整理に関する諸
規定を本
法案におきまして
統合整備をいたし、一面、それによりましてれ従来
土地区画整理事業を主たる内容といたしておりました
特別都市計画法は廃止するという
建前をとつたのでございます。
特別都市計画法の内容は、御承知のように、
戦災復興事業による
都市計画事業、
土地区画整理事業、これに対する
根拠法規、
手続法規をきめたわけでございますが、ただ一点この中には
緑地地域の
規定がございます。その部分を除きまして
特別都市計画法を廃止することに
規定いたしました。このことはあとで申上げます
整理法の
施行法におきましてその点を
規定をいたしております。
第二は、
土地区画整理事業の
目的でございます。
事業の
目的といたしまして、健全な
市街地を造成するため
都市計画区域の
土地について、
公共施設を整備し、
宅地の
利用増進を図ることにあり、こういうことにいたしております。この点はこの
法案の一条、二条の定義のところでそれぞれ掲げてございます。従来の
土地区画整理事業と違つております点は、ここに
公共施設整備改善ということを
目的の中に新しく附加えております。この点は、第二条の定義の項の第一項におきまして「
都市計画区域内の
土地について
公共施設の
整備改善及び
宅地の利用の増進を図るため、」云々と
規定しておるところで明らかにいたしておるつもりであります。即ち、
公共施設の
整備改善と、それから
宅地利用増進と、両者の
目的を併せ達するということにあるといたしておるのであります。従来は
宅地の利用の増進だけを
目的として謳つておりました。併しながら現在行われております
区画整理事業の実態を見て参りますと、
宅地の
利用増進ということだけにとどまりませんで、必要な街路或いは河川敷、
河川水路の改良、或いは
駅前広場の拡充、こういつたようなそれぞれ
公共施設の
整備改善ということをこの
事業に当然伴つていたしております。さような実情からいたしまして、
宅地の
利用増進と
公共施設の
整備改善という両方の
目的を相照応して
土地区画整理事業の
目的となる点を現在でも実行されておりますので、その点を明らかにすることにいたします。なお今後の問題といたしましても、
市街地内の
公共施設の
整備改善を図る場合の
用地取得の
方法においては、
買収方式だけではなかなか現在のような
市街地の地価の上つておる状況或いは
宅地の不足しておる状況から参りまして、事実困難でございまして、さような場合におきまして、やはり
公共施設の改良というものを行います場合には、これは当然さような
土地区画整理事業を併せ伴わなければならないという趨勢にだんだんなつて参るということは当然予想しなければなりませんので、そういつたような点からもこの
目的の中に
公共施設の
整備改善ということを附加えさして頂いたわけであります。
次は、総則の第三の問題は、
土地区画整理事業の
施行主体の種類は従来
通り個人施行、これは一人の
所有者が
施行する場合を一人
施行と申しております。それから二人以上の
土地所有者が共同して
施行する場合を
共同施行と申しておりますが、さような
個人施行のうちの一人
施行、
共同施行、それから
土地区画整理組合というものを結成いたしまして、一定の区域内の
土地所有者或いは
借地権者が
区画整理組合組織を以ちまして
事業を執行する場合、これを
通例組合施行と言つておりますが、そういう
組合施行の場合、それから
地方公共団体が
施行主体となつて行う場合、即ち
市町村或いは
都道府県というものが
施行主体になる場合、それから更に
行政庁が
施行主体となる、即ち
行政機関でございます
市町村長或いは
府県知事、更に国の場合で申しますれば
建設大臣というものがそれぞれ
施行主体になる場合もございます。これらをそれぞれ
公共団体施行或いは
行政庁施行と通例申しておりますが、そういうふうに種類を従来通り
規定することにいたしております。域上は総則の点でありまして、只今申上げました
施行主体の種類・
方法におきましては第三条にその点をそれぞれ
規定いたしております。即ち第三条の第一項は
個人施行、第二項は
組合施行、第三項は
公共団体施行、第四項が
行政庁施行、こういうことに
規定をいたしておるわけでございます。
次に各
施行主体の
関係につきまして
規定しておるところを申上げます。先ず第二の問題といたしまして、一人
施行或いは
共同施行の場合、即ち個人が
施行主体となる場合でございます。要綱に掲げてございますように、
宅地について
所有権又は
借地権を有する者は、その
権利の
目的である
宅地について
関係権利者の同意を得て
区画整理事業を
施行することができる、こういう
関係に
規定をいたしております。この中で御注意願いたいと思いますことは、従来と異りまして、
借地権を有する者、
借地権者を
施行主体の中に入れております。この点は先ほど申上げました第三条の一項におきましても或いは二項におきましてもそれぞれ「
所有権又け
借地権を有する者」と
規定をいたしておらます。この点ね
提案理由の説明の際に申上げましたように、現在の
市街地の
土地に対する
権利者としての
借地権を相当尊重しなければならないという趣旨からいたしまして
規定の中に附け加えることにいたしたわけでございます。なお
関係権利者の同意を条件として
施行できるという
建前にいたしております点につきましては、第七条並びに第八条にそれぞれ
規定をいたしております。第七条
関係は
宅地以外の
土地管理者の承認を得なければならないという点を
規定しております。これはいわゆる
公共施設の用に供しておる
公有地或いは
国有地の
管理者の同意を得なければいけないということを言つているわけであります。それから八条はこの
施行地区となるべき区域内の
宅地について
所有権、
借地権以外の
権利をそれぞれ有する者につきまして、
事業計画について同意を得た上で
事業施行に当る。この点を
規定しておるわけでございます。なおこの
施行の認可につきましては、
知事の認可を必要とする
建前にいたしております。この点につきましてはなお後ほど申上げたいと思います。
第三は
組合施行の場合でございます。
組合施行の場合につきましては従来と異りまして、先ほど申上げましたやはり
借地権者を
組合員として
所有権者と同様に参加せし
むる建前にいたしております。この点も先ほどの第三条の第二項に
規定しておるところで御承知を願いたいと思います。
組合の設立につきましては従来
通り都道府県知事の認可を必要とする点を第十四条に
規定をいたしております。
都道府県知事が認可の申請を受けた場合におきましては、あらかじめその
組合の
事業計画を公衆の縦覧に供し、
利害関係者から
意見の
提出があつたときは、これを審査した上で認可をするということに
規定をいたしておりますが、この点は第十四条に認可の
規定を、
都道府県知事の認可を必要とする
規定を置いておりますし、それから第二十条におきまして
事業計画の縦覧、
意見書の処理という
規定を御覧になつて頂きたいと思うのです。この
事業計画を二週間公衆の縦覧に供するという
建前にいたしましたのは勿論今回の改正の大きな
改正点でありまして、即ち地域内の
権利者の、
利害関係者の縦覧に供しますと同時に、これによりまして
関係者からそれぞれ
意見書の
提出を求め、この
意見書の
提出は
知事になされるわけでありますが、
知事はこれによりまして、これを採択すべきか否かということを一応認定をいたしまして、それぞれこれを
施行主体であります
組合、或いは採択すべき必要のないと認めた場合につきましては、その旨をそれぞれ
意見書を
提出した者に通知するというふうな民主的な
処理方法にいたしまして、この
事業計画を公正なものにいたしまして、その上で
組合の
事業計画の認可をする、こういう
建前にいたしたわけでございます。
次に
組合は従来は
施行地区内の
土地所有者によつて組織されることを原則としていたが、これを改めてその地図内の
土地所有者及び
借地権者によつて組織するものとする。この点につきましては前申上げた通りでございます。
次の問題といたしまして、
組合の
役員制度でございますが、
組合の
役員といたしましては理事、監事を置くことにいたしております。この点は二十七条を御覧になつて頂きます。従来の
制度におきましては、
組合長或いは
組合副長、
評議員というような
制度を置いておりましたが、これを改めまして、
土地改良法の例に倣いまして、理事、
監事制に改めたわけであります。ただこの改正のうちで大きな要点となりますのは、この
役員に対しまして
解任請求の
制度を認めたことであります。即ち二十七条の第七項、第八項にこの点を
規定いたしております。
解任請求の要件といたしましては、第七項に
規定しておりますように、
組合員の三分の一の連署を以てその
理由書を、書面を
組合に
提出することによ
つて解任請求をする。通例これを
リコールと言つておるわけでございますが、この
制度をこの
区画整理組合の
役員の問題に対しましていたすことにいたしたわけでございます。さような
解任請求があつた場合におきましては、この理事は直ちにその請求の要旨を公表して、これを
組合員の投票に付さなければならない。理事、監事それぞれ
組合員の投票によつて選任される
建前でございますので、その
リコールの請求の結果といたしまして、これの解任の
手続といたしまして、
組合員の投票に更に付する、こう
規定したわけであります。
次に
組合のもう一つの機関といたしましては、総会の
制度が
規定されております。この点は第三十条に
規定をいたしております。ただ総会の機関に代るに
組合員が非常に多数に亘ります場合におきましては、
組合員招集の
手続等の
関係からいたしましても極めて総会の
招集等が困難でありますし、又運営につきましてもいろいろ問題がございますので、さような場合におきましては
総代会を総会の代りに設けまして、総会の権限を行わせることができるものと
規定いたしております。この点は三十六条に
規定をいたしております。
総代会の組織はこれも
役員の場合と同様に
組合員によつて選挙される
建前にいたしております。総代につきましても先ほど
組合員の
役員について申述べましたと同様に
解任請求の
制度を設けておるのでございます。その点は三十七条の第四項に
役員に対する
解任請求制度の準用を認めておりますので、総代につきましても
解任請求の
制度が行われると、こういうわけであります。
組合の解散、
合併等の取扱いにつきましては従来と同様でございます。この点は五十条に
規定をいたしております。
次は
地方公共団体が
施行主体になる場合でございます。第三節がその
規定でございます。
地方公共団体が
施行主体になる場合につきましては、従来は
建設大臣の
施行命令によ
つて土地区画整理を
施行することができる
建前になつておりましたが、これを改めまして、
公共団体が自発的に
土地区画整理をすることができることに改めたわけでございます。従来の
土地区画整理事業の
建前といたしましては、先ず個人、その
施行地区に
関係ある
権利者たる個人或いは
組合、そういう者が
施行主体になることを原則といたしておりまして
都市計画区域内のかような者が全然手を着けないという条件があつた場合に、初めてこの
建設大臣の命令を受けてこの
施行命令を受けまして、
公共団体がこの
土地区画整理事業に初めて乗り出すという
建前にいたしておつたのでございますが、現実の実情から参りますと、最近におきましては
地方公共団体がかような
公共施設の
整備改善の
目的と併せまして、みずから自発的にこの
事業を行うという機運に相成つております。さような点からいたしましてこの点は従来の条件にかかわりませず、自発的に
土地区画整理事業を
施行することができる
建前に改めたのでございます。五十三条にこの
施行規程のことを認つております。
土地区画整理事業の
施行規程と申しますのは、これは
組合施行の場合でありますれば、いわゆる
組合の定款に相当するものであります。それを
公共団体の場合におきましては
条例形式でこの定款に相当する
施行規程を定めるということを明らかにいたしたのでございます。この点は従来この
施行規程の法規上の形式をどうするかという点はあいまいだつたわけでございますが、この点を明らかにしたのでございます。
次に
事業計画でございます。
事業計画につきましては、先ほど
組合の場合に申上げましたと同様な
建前におきまして、二週間公衆の縦覧に供した上で
利害関係者の
意見提出を求めて、その結果を
都道府県知事が
都市計画審議会、これはその
施行地区に
関係ある
都市計画審議会という意味でございますが、その
都市計画審議会の
審議に付して、その
意見を採択すべきか否かをきめて
事業計画を立てる、こういう
手続をとる
建前にいたしております。これは五十五条にその
規定を明記いたしておるのでございます。趣意は先ほど
組合施行の場合に申上げたと同様の意味でございます。それからなお
換地計画等を
審議させるために
土地区画整理審議会というものを、この
公共団体施行の場合におきましては
審議機関として置くことにいたしております。即ち五十六条を御覧願います。五十六条におきまして、
公共団体が
施行する
土地区画整理事業ごとに
土地区画整理審議会を置くということを明記いたしておるのでございます。
審議会の権限といたしましては、第三項に
規定しておりますように、
換地計画或いは仮
換地の指定、
減価補償金の交付、
保留地の処分、いわゆる
土地の
権利者に対する
利害関係の最も重要な事項についての
意見の
提出或いは処分を行う場合の前提となる同意、こういつたようなことをこの法律の命ずるところに従つて行うという
建前にいたしておるのでございます。
土地区画整理審議会の
委員につきましては、五十七条にその構成を
規定いたしております。即ち十人から五十人までの範囲内で、
施行面積に比例いたしまして定める一定の基準、これは政令で定めるつもりでございますが、これによ
つて定数を定めまして
委員を選任することにいたしております。
委員の
選任方法は選挙の
方法によることにいたしておるのでございます。即ち五十八条にその旨を
規定しておりますが、「
施行地区内の
宅地の
所有者及び
施行地区内の
宅地について
借地権を有する者が、それぞれのうちから各別に選挙する。」いわゆる
所有者は
所有代表、
借地権者は
借地権者代表という意味におきましてそれぞれ選挙することにいたしております。
委員の数の比は、それぞれ
宅地の
所有者の総数或いは地区内の
借地権者の総数というものに対して相応する比例で以て選出されるということを併せてその末尾に
規定をいたしております。五十八条の一項でございます。「
委員の任期は、三年をこえない範囲内において
施行規程で定める。」、これは只今の五十八条の第六項が
規定しておりますが、それと同時に七項、八項におきまして、先ほど
組合の
役員の場合或いは
組合の総代の場合と同様にこの
区画整理審議会の
委員に対しても
リコール制を採用することにいたしております。
リコールの条件或いはその
手続、これにつきましては前段申上げましたと同様でございます。なおここに附け加えまして申上げたいと思いますことは、九項におきまして、投票の結果として
リコールを受けた
委員が改選された場合におきましては、その
委員について置かれる
予備委員も同時にその地位を失うということを
規定しております。この
予備委員制度は五十九条に
規定しておるのでございますが、それぞれ
所有権の
代表者或いは
借地権の
代表者について
予備委員をそれぞれ置く
建前にいたしておりますが、
リコール制の活用の場合に、いわゆる
予備委員の策動のために、策動といいますか、
予備委員が本
委員を排斥せんがために
リコール制をとるというような場合をむしろ懸念いたしまして本
委員、
予備委員同時に改選という
建前に、これは総改選という
建前に
規定をいたしたわけであります。
次は
中立委員の
規定でありますが、五十八条の第三項におきまして、
施行規程の定めるところによりまして
委員定数の五分の一を越えない範囲内におきましては
土地区画整理事業の
学識経験者、いわゆる
中立委員に相当せられる者を別に
都道府県知事或いは
市町村長が選任することができる
建前にいたしております。
土地区画整理事業そのものの内容がかなり複雑な
手続、非常に理解しにくい
方法において行われるということでありますので、さような
専門家をこの中に加えられ得る場合を
規定したわけであります。五十八条の第三項であります。
それから次は
評価員の
制度でありますが、これは六十五条に
規定をいたしております。即ち六十五条第一項におきまして、
都道府県知事、
市町村長は、
公共団体が
施行する
土地区画整理事業ごとに、
土地又は
建築物の評価につきまして経験を有する者三人以上を、先ほど申上げました
土地区画整理審議会の同意の上で
評価員に選任することができる
建前にいたしております。御承知のように
土地区画整理事業の
施行に当りましては、或いは
清算金の
決定でありますとか、
保留地の
決定処分でございますとか、或いは
減価補償金の交付といつたような
宅地の価格或いは
宅地上の
権利の価格の評価が前提となる
処分行為が相当ございますのでこれらにつきましてそれぞれ専門の
評価機関を設置する必要がございます。その点から改めて
評価員の
制度を
規定したわけであります。
次は
行政庁施行の問題に移ります。第四節がその
規定でございます。先ず第一に、
施行規程につきましては、先ほど申上げました
公共団体施行の場合と異りまして、
知事乃至は
市町村長が
行政機関として行うのでありますから、この意味からいたしまして
法令形式は、
建設大臣の場合でございますれば
建設省令、それから
府県知事或いは
市町村長が
事業主体であります場合におきましてはそれぞれ
都道府県乃至は
市町村の規則で定めるということを明らかにいたしております。これは六十七条の第一項であります。
行政庁施行を如何なる場合に行うかという点につきましては、前の第三条の第四項にその条件を
規定いたしておるのでございます。即ちその条件としまして、
都市計画の
決定区域内の
土地につきまして、国の利害に重大なる
関係がある
土地区画整理事業で災害の発生その他特別の事情によつて急施を要すると認められるものを、
都市計画事業として
施行させることができるということに
規定をいたしております。三つの条件を
規定しておるわけであります。即ち、一は、
都市計画決定区域内の
土地である。二は、国の利害に重大なる
関係のある
土地区画整理事業である。第三は、災害の発生その他の特別の事情によつて非常に急施を要すると認められる
事業である。かようなことが
行政庁施行の一つの条件に
規定されておるわけであります。
事業計画の
決定方法といたしまして、二週間公衆の縦覧に供し、その結果、
関係権利者の
意見提出を受け、これを
都市計画審議会の議に付した上で
決定をするという点につきましては六十九条に
規定しておりまして、この点は
公共団体施行の場合とおおむね同様でございます。なお
行政庁施行の場合におきましても
土地区画整理審議会という機関を設置することを七十条で
規定しておりますが、この
土地区画整理審議会の
委員の
選任方法、これに対する
解任請求或いは任期につきましては、大体
公共団体施行の場合と同様でございます。更にその点は、七十条に前段の
公共団体の
施行の場合を準用することによつて明らかにいたしておるわけであります。更に七十一条に
評価員制度について
規定をいたしておりますが、これも
地方公共団体の場合と同様でございます。
以上で
施行者のそれぞれの種類に応じます組織なり運営の
手続なりにつきまして、それぞれ
施行者ごとに
規定をいたしたわけでございますが、次に第三章といたしまして、
土地区画整理事業の内容、その
手続について
規定をいたしておるわけでございます。
先ず第一は、
換地計画であります。
換地処分を行う場合においてはあらかじめ
換地計画を定めることにいたしまして、その
換地計画の
決定につきましては、
個人施行の場合においては、
関係権利者の同意を得た上で、その他のいわゆる
公共団体乃至は
行政庁が
施行主体である場合にありましては、公衆の縦覧に供した上で、
利害関係者からの
意見の
提出を受けて審査の上で
決定をする
建前になつておるわけであります。この点は八十六条、即ち
換地処分を行う前提として
換地計画を定めなければならないことを
施行者に義務付けておりますが、その
換地計画の定め方につきましては、只今申上げましたような
手続を要することを
規定しております。即ちこれが先ず八十六条にその
施行者に対する
換地計画設定の義務を
規定いたしますし、それから八十八条におきまして只今申上げましたような
利害関係者の同意乃至は
換地計画に対する公衆の縦覧、それに対する
利害関係者の
意見提出、それの
処理方法、これを八十八条に
規定をいたしておるわけであります。今申上げましたうちで
公共団体或いは
行政庁が
施行主体である場合における
換地計画に対する
意見書の審査に当りましては
土地区画整理審議会の
意見を聞かなければならない。これは先ほど
土地区画整理審議会の権限の上で申上げましたが、八十八条の六項でその点を
規定をいたしております。
次に
換地処分の
方法でありますが、この原則は八十九条に
規定をいたしております。第一項に「
換地計画において
換地を定める場合においては、
換地及び従前の
宅地の位置、地積、土質、水利、
利用状況、
環境等が照応するように定めなければならない。」、当然なことではありますが、従前の
権利関係と
換地される新らしい
換地となるべき
土地の条件とは相照応するものでなければならないという点を明確にいたしておるのでございます。
次に九十一条に移ります。九十一条は従来過小
宅地の
換地方法についての特例を行なつておりましたが、それを法文の上で明確にいたしたものであります。第一項に掲げてございますように、第三条の第三項又は第四項とありますのは、第三項の場合は
公共団体が
施行主体である場合、或いは第四項は
行政庁が
施行主体である場合をそれぞれ
規定しているわけでありますが、さような
公共団体或いは
行政庁が
施行主体である場合の
換地計画においては、災害の防止の
目的、或いは衛生の向上を図るために、
宅地の地積の規模を適正にする特例な必要があると認められる場合においては、その
換地計画区域内の当該の
宅地の地積が極めて小さい場合、いわゆる過小
宅地と認められる場合につきましては、或いは増し
換地の
方法におきまして或いは
換地に代る一つの金銭清算をすることによつて、それぞれ過小
宅地の発生を防止するという特別の措置を
換地計画の中で定めることができる。こういうことを第一項で
規定したわけであります。第二項におきましては、過小
宅地の基準は、それぞれ政令で定めることにいたしております。勿論これにつきましては
施行者が
土地区画整理審議会の同意の上できめる
建前にいたしております。第三項におきましては、増し
換地、それから先ほど申上げましたように、
換地を与えずして金銭清算をするということを第三項においてそれぞれ
規定をいたしておるわけでございます。
次に九十三条について申上げたいと思います。先ほどのこの過小
宅地の
換地処分、これは
換地計画一般の原則に対する一つの特例であります。それと同じ意味におきまして、或いは本法において新らしく取入れられた
制度といたしまして、立体
換地という
方法を新らしく
制度としてこの
法案で取込むことにいたしたのであります。それが只今申上げようとする九十三条でございます。趣意は、過小
宅地或いは過小借地として整理することができる
宅地乃至は借地、或いはこの
宅地の
所有者、
借地権者、更にその他の使用収益権者のそれぞれ同意があつた場合におきましては、この
換地に代えまして
建築物の一部を与えるということを
換地計画の中で定めることができることにいたしておるわけであります。九十三条の第一項を法文について申上げますと、第三条第三項又は第四項の
規定による
施行者は、これは先ほど申上げましたように
公共団体或いは
行政庁が
施行主体である場合を言つているわけでありますが、九十一条第一項の
規定により過小
宅地にならないように
換地を定めることができる、そういう条件のある
宅地の場合、或いは
借地権の対象となつておる
宅地について過小
宅地と同様の条件がある場合につきましては、
土地区画整理審議会の同意の上で
換地計画において
換地、或いは
借地権の対象となるべき
宅地を与えないで、むしろ
施行者が処分する権限を有する
建築物の一部を、或いはその
建築物の存する
土地の共有持分をそれぞれ与えることによつて一般の
換地方法に代る措置とすることができる、こういうことを
規定したわけでございます。これを私どもは立体
換地の
方法と通称しているわけでございますが、現在のこの
土地区画整理事業、或いは過小
宅地の地域或いは高層
建築物を予定されるような地域の
土地区画整理事業につきましては、むしろこういう
方法をとることによつて建物の高層化を図り、
土地区画整理を円滑に進める
方法を考えて行きたいと、かような趣意でございます。
次に九十五条に移りまして
換地計画のもう一つの特例といたしまして、鉄道とか軌道、港湾、学校、その他官公衙の施設の用に供する
土地、いわゆる公共的な
事業の
目的に供せられておる
土地、或いは史蹟、名勝地、かような特別の事情のある
土地につきましては、
換地計画において一般の
換地処分と別の意味におきましてそういう公共用地に供せられるという事情を参酌いたしまして特例を設けることができるということを明確にいたしたのでございます。これは説明を省略させて頂きます。
次は九十六条の
保留地の
制度でございます。
地方公共団体或いは
行政庁が
施行する
土地区画整理事業におきましては、その
施行の費用に充てるために
施行地区内の
宅地の
土地区画整理事業による増価の限度内、増価というのは地価の上りましたその範囲内におきまして、
換地計画の中で
保留地というものを一応取りまして、これを
施行者が換価処分をすることによつて
施行費用の一部に充てる途を開いておるのでございます。これは従来からもさようなことがこの
区画整理事業の上では行われておりますので、これを
制度として法文の上で明確にいたしたわけでございます。勿論かような
保留地を定める場合におきましては、それぞれ
区画整理審議会の同意を得なければならないことにいたしております。今申上げましたように
保留地を置くにいたしましても、第二項に
規定しておりますように、
施行後の
宅地の価額の総額が
施行前の場合に比しまして、それを超える場合に限つてこの
保留地制度を設けられることになつております。これは当然のことであろうと思います。
次は百九条に
減価補償金の
制度を設けております。従来
行政庁が
施行する
土地区画整理につきましては、
特別都市計画法におきまして定められていた
宅地の減価に対する補償金の
制度を
規定いたしておりましたわけでございますが、これをこの
法案におきましては
地方公共団体及び
行政庁の
施行する場合におきましても、これを同じくこの補償金の
制度を
規定することにいたしたのでございます。
土地区画整理事業の本来の性格といたしまして、健全な
市街地の造成にあるわけでございますから、従来の
宅地の値上り、従つてこの
宅地が減価補償をしなければならないということは通例の場合としては考えられないわけでございますが、併し御承知のように、広面積の
駅前広場を取ります場合とか、或いは広幅員の街路を設定する、改良する場合でありますとか、さような場合におきましては坪当りの
宅地の単価は、さような
公共施設の整備の結果として上りましても、地積全体として総体の地区内の地積が減少することによつて、
宅地総体の価額が従前よりも減るという場合が予想されるのであります。かような場合におきましてはこの
減価補償金を払わなければ
施行してはならないということを明らかにいたしたのでございます。
次は仮
換地の
制度でございますが、これは九十八条以下に
規定をいたしました。前に戻つて恐縮でございますが、仮
換地の指定の
制度でございます。
換地処分の
方法といたしましては、
換地計画による最終の
換地のあるべき
土地がきまることによつて一時に
換地を従前の
土地所有者に与えるということが、これは同時に行うことは極めて困難でありまして、逐次なし崩しに従前の
土地権利者に対する新らしい
換地を予定し、その
換地の中に移りました
権利者の
土地を更に次の
換地予定地として定めて行く、こういつたようななし崩しの
方法で実際の
換地処分は行なつて行くよりほかに
方法はないわけでございますが、そういう意味合におきまして本来の
換地を実行する一つの事前的な行為としまして、この仮
換地の
制度を利用する必要が出て来るわけでございます。それからもう一つは九十八条の第一項に書いてございますように、
公共施設の新設若しくは変更に係る工事のために必要がある場合……、前段の
土地の区画形質の変更の必要がある場合というのは、後段の
換地計画に基き
換地処分を行うため必要がある場合というのは只今私が申上げました通りでございますが、それ以外に、
土地の区画整理形質の変更、いわゆる一筆の
土地の区画を変えるとか或いはその整地をしなければならない場合でありますとか、或いは街路予定地に従前の
宅地を編入する場合でありますとか、さような必要の工事が行われる場合におきましては、この場合におきましても一時、最終的な
換地の事前の
方法としまして仮
換地の
規定をしまして、これに一時
土地の
権利者或いは
借地権者を移すことによつて、できるだけ
権利者の犠牲を少くする、こういうことが行われているわけでありまして、これを法文の上で明記したわけでございます。この仮
換地の指定につきましてもそれぞれ
土地区画整理審議会の
意見を聞かなければならないことにいたしております。これは九十八条の第三項の末尾にその点を
規定いたしております。
次に費用の負担
関係に移ります。第四章に
規定いたしておりますが、費用の負担及び補助という章に移ります。第百十八条以下でございます。
土地区画整理事業の
施行に要する費用は、
施行者が負担する原則を明らかにいたしております。これは第百十八条の第一項及び二項にその旨を
規定しております。
建設大臣以外の
行政庁が
施行ずる
土地区画整理事業につきましては国が費用の一部を負担する、これを第三項に
規定をいたしております。これは
施行者負担の原則に対する一種の例外であります。更に百十九条におきましては、
地方公共団体或いは
行政庁が
施行主体である
土地区画整理事業においてその
施行に要する費用の一部を受益者に対しまして受益の限度で負担させることができる旨を
規定いたしております。百十九条の第一項であります。それから二項におきましては、上級団体である
都道府県が受益の
市町村に対しまして、或いは国である
建設大臣が地元の府県以下の
公共団体に対してそれぞれ負担をかけようという場合につきましては、一応
意見を徴さなければならないということを明らかにいたしております。百二十一条の
規定は、これは現在行われていると同じような意味合におきまして補助金の
規定を置いたわけであります。それで補助金の率につきましても二分の一以内、大体現行認められているものをそのまま
規定いたしたわけであります。
それから前に移りまして、やや恐縮でございますが、第百十三条でございますが、
権利関係の調整の節につきまして若干附け加えさせて頂きたいと思います。この
権利関係の調査と申しますのは、
土地区画整理事業の
施行によつて
権利関係の変動があつた場合に対しまして、この私人間の、個人の間の
権利関係の調整を図るために設けられた
規定でありまして、先ず百十三条は、
土地区画整理事業の
施行の結果といたしまして、従来の地役権の対象となつておりましたそれぞれ
土地の地代、小作料、賃貸料、その他、対価が不相当に高くなつた場合におきましては、従来の契約条件にかかわらず、高い場合におきましては減額請求をいたしますし、反対にこの地役権の対象である
土地そのものの利用度が高くなつた場合におきましては、
土地所有者から借地人に対しましてその地代の増加要求を行うことができる、これを従来の契約条件にかかわらず、この
土地区画整理事業の効果としてあつた場合の従前の
権利関係の調整を図り得る根拠規程をおいたわけであります。只今申上げましたのは、
宅地の利用度が殖えたり或いは減つたりした場合でございますが、百十四条は全然さような収益をすることができなくなつたような場合につきましては、むしろ契約を解除することができるということを
規定いたしたわけであります。その場合におきましては契約解除の結果といたしまして、損失の補償を
施行者に対しまして要求することが当事者の間においてはできるということを
規定いたしております。
百十六条は移転
建築物の賃賃借料の増減の請求につきまして、これ又只今、
土地の
権利関係につきまして申上げましたと同様の意味におきまして、家賃その他の増減を請求することを従来の契約条件如何にかかわらず、当事者の間でできるということを
規定したわけであります。百十七条は、以上の増減請求の
権利の行われ得る期限を
規定をいたしております。即ち第百三条第四項の公告のあつた日から起算してニカ月以内ということにいたしております。百三条第四項の公告があつた目というのは、
換地処分の確定をいたした日であります。それから押えましてニカ月以内に、只今申上げましたような
権利関係の調整としての当事者の請求権は行使しなければならないということに
規定をいたしておるのであります。
次に第五章の監督の
規定でございます。
事業計画に定められております設計につきましては、従来はすべて
建設大臣の認可を要するものとされておりましたが、今回の
法案はこれを改めまして軽微なものにつきましてはその権限を
都道府県知事に委任することにいたしております。百二十二条にその点を
規定をいたしております。三項に、軽微な変更については適用しないということにいたしまして、その他の変更につきましては、
府県知事が認可する場合におきまして、これを
建設大臣が認可を最終的にやらなければいけない、こういうことにいたしておるわけであります。それから
施行者に対する監督
規定を整備いたしまして、
組合に対しましては、
組合員の請求に基く
都道府県知事の
組合の
事業、或いは会計検査の義務、或いは総会招集の義務等に関しまして、新らしい
規定を設けたのであります。百二十五条の一項であります。で、職権監査のほかに
組合員の請求に基く検査乃至は監督の義務を負うことを
規定いたしておるわけであります。それから
組合、
地方公共団体、
行政庁が
施行者としてなした処分に対しまして訴願の途を
規定いたしております。これは百二十七条でございます。
以上を持ちまして
土地区画整理法案の逐条につきましての説明の大要を終ります。
次に、この
土地区画整理法施行法案の内容でございますが、先ず第一点は、先ほど申上げましたように、
特別都市計画法はこれを廃止することにいたしております。この点につきましては先ほどこの
法案の最初の際に、総則の際に申上げた通りでございます。
次にこの従来の
特別都市計画法或いはそれによりまして準用いたしております
耕地整理法に基きます
土地区画整理事業の処分の効果でありますが、その点につきましては先ず第三条に「
土地区画整理組合が
施行している
土地区画整理歯する措置」ということで
規定をいたしておりますが、かような
組合の
施行しておりますものにつきましては、新らしいこの本法の
規定によつて、処分の効力は
施行後におきましても効力を有するということを先ず第一項に
規定しておりますが、かような
組合の存続、
事業の存続をいつまで認めるかと、新法に切替えるかという点でありますが、これにつきましては第二項に新法の
施行から起算しまして五年以内ということにいたしております。五年後におきましては
土地区画整理事業の継続の如何にかかわらず、新法に切替えられるということに
規定をいたしておるのでございます。そこで
公共団体施行の場合につきましてはどうでありますかと申しますと、これも第四条の第三項に
規定をいたしておりまして、これ又
組合と同様の
建前にいたしております。これらにつきましては、それぞれ
組合の場合におきましても、
公共団体の場合におきましても、
組合員或いは
公共団体のそれぞれ議決機関の
手続を経まして行われておるものでありますから、さような意味合におきまして、この
施行者の従来の
決定をできるだけ尊重して
事業を行わせるという
建前にいたしておるのでございます。
ところで
行政庁施行の場合の措置といたしましては、これは第五条に
規定しておりまして、この本法の
施行の日から新法に切替えるということに
規定をいたしましたわけであります。新法
施行の日からという点につきましては、この法律の
施行時期がいつになるかということにかかわるわけでございますが、先ほど本法の際に申し落しましたが、「公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から
施行する。」ということを本法の附則で誰つております。私どもの考え方といたしましては、できるだけこの法律に基く政令乃至は省令の準備を急ぎまして本年の十月頃にはこの新法を
施行する運びにいたしたいということに考えております。さような意味合いにおきまして、一年を越えない範囲内でこの新法
施行ということを考えておるわけでございますが、それと同時に
行政庁の
施行の
土地区画整理事業は新法に切替わるという
建前に考えられておるわけでございまして、その点を只今
施行法の中で
規定をいたしたわけであります。
以上甚だ簡単でございますが、本法と
施行法の
逐条説明の大要をお話いたしました。