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1954-03-30 第19回国会 参議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十五日委員鹿島守之助君辞任に つき、その補欠として徳川頼貞君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            赤木 正雄君            飯島連次郎君           小笠原二三男君            近藤 信一君            田中  一君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君    建設政務次官  南  好雄君    建設大臣官房長 石破 二朗君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○住宅金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では只今より建設委員会を開会いたします。  本日は前回に引続き住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の質疑を続行して頂きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 御異議ないものと認め、さよう進行いたします。  本日御出席政府委員の方は、南建設政務次官石破官房長鮎川住宅経済課長牧野国有財産第二課長でございます。では順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 国有財産の方に先ず第一に質問したいのですが、現在、終戦財産税その他で民有地を物納したものはたくさんあると思うのです。これは無論国有財産のほうに移管されておるものと考えられますけれども、これは一体どういう工合なつて来ているか、又どのくらい今日まで受入れられ、又それが売却されておるか、第一にそれを伺いたいと思うのです、その量ですね……。資料の準備がなければ次の委員会までに、或いは次の委員会に調製が間に合わなければその次の委員会で結構ですからその資料をお出し願いたいのです。  ちよつと書きとめて頂きたいのはこういう点なんです。戦前までに持つてつた宅地山林、その他の、国有財産土地に関するものです。それから戦後財産税その他で以て取得されたところの新らしい土地全般、それからそれが市街地地方、それから宅地と畑、山林水田という工合に分けて頂きたい。そうしてそれらのものが今度転売ですか、売却されたもの、これを別にリストを、同じようなケースで表を出して頂きたい。そして現在、戦後に物納された、新しく取得されたものの残がどのくらいあるか、府県別に分けて頂いて、その府県別のうち市街地、これは地目変更市街地地方と、こう分けて頂きたい。それでできるならば大都市五大都市ですね、東京を入れて六大都市周辺にある地籍変更をしたものとか、或いは地方、地域におけるところの地図に対して色分けして頂きたいのです。この部分にこのくらい、この部分にこのくらいという工合に、今現在国有財産部が管理して持つておるもの、六大都市並びにその周辺ですね、これを色分けしてこの部分にこれだけあるのだということを出して頂きたい。  それから地上権を持つておる人たちに対して、売つた場合には幾らで又売つているか、どのくらいの価格で売つているかという実例を示して頂きたいのです。それから元の物納した人にもう一遍売却した場合にはどのくらいの価格で売つているかという実例を示して頂きたいのです。これだけ一つ資料として、この次間に合わなければ、その次でも結構ですから、これはもう只今提出されている法案に重大な関係があるものですから、それをお示し願いたいのです。
  5. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 只今質問に丁度合いますような資料を持ち合わせておりませんで、誠に失礼いたしました。只今資料を出すようにお話でございましたのですが、これはできるだけ揃えましてお出し申上げたいと思つておりますが、この物納財産という戦後のものは、実は非常に全国の至るところに細かいものが散らばりまして、散在しておりますので、その地図色分けというようなことがなかなかちよつと……、これは大きくまとまつたものでないものですから、地図色分けというようなことは困難だと思いますが、それから今市街地地方というような分け方なんかも、これもなかなか分けるに際してはいろいろとどういうふうに分けるかという考え方の相違もございますでしようし、なかなかむずかしいのじやないかと思いますが、併しできるだけお話の趣旨に合いますように資料を整えまして、若干時日を要するかと思いますが、提出するようにいたしたいと思います。
  6. 田中一

    田中一君 では、この国有財産部に対する質問は、資料を出して頂けば結構ですから……。農林省の方見えておりますか。
  7. 平川守

    政府委員平川守君) 参つております。
  8. 田中一

    田中一君 この今かかつている法案に関連して伺いたいのです。これは今の法案御存じですね。
  9. 平川守

    政府委員平川守君) ええ。
  10. 田中一

    田中一君 新らしく国は住宅を建てるための敷地というものを取得して、主として民間から取得して、造成して売ろうということになつておるんですが、私は心配するのは、市街地周辺にあるところの耕地がどんどんつぶされる現状ですね。こういうものに対して農地法の精神からいつて、それに対して好もしいと思つておるのか好もしいと思つていないのかというのが一つと、それからどのくらいそうしたものが地目変更もしないで、いつの間にか宅地に流れておるというようなことが今まであつたか、そういう二点だけまず伺いたいと思います。
  11. 平川守

    政府委員平川守君) 農地が非常に、毎年大体災害分を除きまして五、六千町歩はつぶれておるわけであります。我々といたしましては、できるだけこの農地潰廃を避けたいというので、農地法に基いて許可制度をとつております。止むを得ず、産業上の必要でありますとか、或いは住宅等もその中に入れておるわけであります。でき得るならば、それは例えば高い建物にするというようなこととか、いろいろ工夫をして頂きまして、成るべくその農地をつぶすことは避けたいという考えであることは申すまでもないところでございます。ただ何分にも住宅の問題となりますと国民生活の極めて緊切なる部分でもありまするから、この点は建設省のほうにもお任せいたしまして、建設省のほうとしてもこの程度は是非必要であるということの御意見でありますれば、止むを得ずその潰廃を認めておるというような状況であるわけであります。只今お話の、知らん間になつておるという数字は、ちよつとはつきりした統計を持ち合わせておりませんのでありますが、要するに潰廃面積としては毎年五、六千町歩あるわけであります。
  12. 田中一

    田中一君 災害でつぶれる耕地はどのくらいあるのでありますか。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) 災害でつぶれますのは、大体最近では二万町歩内外は毎年つぶれます。
  14. 田中一

    田中一君 そうすると農林省としては市街地周辺にあるものは主として宅地にするために潰廃されるということは避けたいという方針ですね。
  15. 平川守

    政府委員平川守君) それは極力避けたい気持であります。ただ止むを得ないというものについて止むを得ず認めておるということでございます。
  16. 田中一

    田中一君 止むを得ないというものはどういうところに基礎を置いておるか、一つお示しを願いたい。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) これは私のほうといたしましては、つまり住宅地としての必要性ということはよくわからないわけでございまして、住宅地として建設省のほうでこれだけのものは是非必要である、こういう御意見でありますれば、それを尊重して行くより仕方がない、かように考えております。
  18. 田中一

    田中一君 そうすると個人が地目変更して宅地にするのだからこれをつぶすといつた場合には農地委員会農業委員会と言うのですか、どういうような態度でこれを許可する、しないの基準をきめておるのですか。
  19. 平川守

    政府委員平川守君) 個々ケースにつきまして、実際にその人の住宅として必要性があるかどうか、それからその宅地の仮に面積は、その宅地の三〇%程度がいわゆる建物の乗る面積に該当するというような、いろいろ具体的な、その建築をする必要があるかどうか、こういうことで判定をいたしておるのであります。
  20. 田中一

    田中一君 どうもはつきりしない。もう少し何か具体的な……例えば建築基準法に則り、二十坪の家を建てるにはこれだけの空地が必要だというようなことで以て認めておるのが、あなた方の場合には、成るべく宅地に開放しないという建前でやつておるのですから、一番小さいものを許可すると思いますけれども、やはり基準法なら基準法とか、その地区土地によつて全部違いますからね。二十坪の場合には何坪とか、六十坪あつてもこの地区はそのうちの三割しかいけないとかいう基準がありますから、そういう法律則つて基準で以てきめているのですか。
  21. 平川守

    政府委員平川守君) その法律をできるだけ尊重いたしまして、ただまあ個々ケース・バイ・ケースで多少事情はいろいろあろうか思いますが、大体その基準を尊重し、それから今申しましたように建物の実際の面積のその三倍くらいの程度を限度として宅地として認めるというようなことをいたしております。
  22. 田中一

    田中一君 山林の場合にはどういうように考えておりますか。
  23. 平川守

    政府委員平川守君) 山林につきましては只今農地法で考えておりますような厳密な制限は考えておらない。むしろ保安林とかいうような意味の制限はありますけれども、一般的に山林そのもの宅地に変えるというようなことについては農地法のような制限はないように思います。
  24. 田中一

    田中一君 この五、六千町歩ですね、毎年宅地変つて行くというものは、一体どういう種類のものが変つて行つているのか、一つその集計をして資料を出して頂きたいのです。殊に都会地に続くものを、主として六大都市で結構ですけれども、六大都市周辺にあるものがどういう形で以て地目変更と申しますか、されているか。
  25. 平川守

    政府委員平川守君) 先ほど申しました五、六千町歩と申しますのは、これは都会地周辺住宅だけではございません。工場敷地もございますし、それから鉄道道路用地というようなものも含めましての総計でございます。これは毎年ございます。ちよつとその内訳の精密な資料は、現在の統計では総括した統計なつておりまして、私のほうの手許に都市近郊住宅地としてつぶれるものというのはちよつと出にくいのでありますが、むしろ建設省のほうでそういう何はあるかと思いますが、或いは都市計画関係等で出るのじやないかと思いますが、ちよつと都市近郊のそういう住宅地だけの統計というのはとつておりませんのです。
  26. 田中一

    田中一君 東京などでも、この東京周辺へ行きますと、みんな畑地がどんどん売られて、例えば私もこの間大島土地というものを調べて見ましたところが、武蔵境から約二十五分くらい徒歩で行つたところ、立派な畑地が全部宅地として売られている。ああいうものはやはり地目変更をして宅地変更としての承認を得て売り出しているものですか、それとも勝手にやつているものなんですか。
  27. 平川守

    政府委員平川守君) そうやつてぴらにやつておるものはやはりちやんと許可を得ていると思います。ただ中に実際上許可を得ずに宅地化して、あとから規則を知つてあわててその許可を願い出るというようなこともございまして、全部を必ずしもつかんでいると断言することはできないと思いますが、併しかなり大ぴらにやつているものは大体許可を得ていると思います。
  28. 田中一

    田中一君 そうしますと必要じやなくて、営利対象として百姓から安く土地を買つて売るというのは、私は大島土地のほうを全部調べてみましたのですが、大部分そうなんです。もう市街の中心にはないのですよ。みんな耕地です。それが耕地を売るために地目変更しているのですね。こいつは先ほどあなたがおつしやつたようにその必要性があるから云々じやなくて、営利対象としてそれをあなたのほうで開放しているのか、その点が疑問になつて来るのですがね。あなたのほうで、じや現在大西土地とか大島土地とか、大きな資本を持つてつているところがどういう形で農耕地をつぶして行つているかという実情をお調べなつたことはないですか。
  29. 平川守

    政府委員平川守君) 私のほうとしましては、許可する場合には、住宅地なら住宅が建つことが確実なるものということを条件にしております。従いまして個々の今売られているような土地一つ一つについてそういう判定をした上で許可したりしなかつたりするということをやつているわけでございます。只今お話のような具体的な会社の扱つているものを精密に調べたことはございませんけれども、これは至急に調べて御報告申上げることにいたしたいと思います。
  30. 田中一

    田中一君 それでは今の電鉄会社系統、それから土地会社、少くともこの法律で以て、この法律はこうなつているのですよ。業務を実施するに適切な組織と能力を有する法人となつておるのです。こういう人たちが今言うような地目変更をどんどんやつて農耕地は全部宅地なつてしまつているのです。これをお調べ願いたいと思うのです。電鉄会社は私大体これは調べたのですが、西武鉄道高松琴平電鉄帝都高速度土佐電気鉄道東京急行電鉄、東武鉄道名古屋鉄道奈良電気鉄道、南海電鉄、西日本鉄道、阪神電気鉄道伊豫鉄道江ノ島鎌倉観光、小田急電鉄、近畿日本鉄道、京王帝都電鉄、京成電鉄、京阪神急行、京浜急行電鉄、京阪電鉄、京福電気鉄道神戸電気鉄道、山陽電気鉄道、相模鉄道、このほかに大西土地とか大島土地とかいう、土地銀行とか称してあらゆる大資本を持つてつておるという人たちが、どういう形で農耕地宅地として取得して売つておるかという実情調べて頂きたい。事実大島にしても大西にしても私行つて見ているのです。皆畑地です。畑地しかありませんから畑地です。こういうものをどんどんやつているのです。どういう形で農林省許可するか、今度の法律も、今問題になつておる法案も、そういう形で以てどんどん宅地にしようという方針なんです。私への答弁は結構でございますから、一つ資料をお出し願いたいと思います。
  31. 平川守

    政府委員平川守君) わかりました。早速調べまして提出いたします。
  32. 石川榮一

    石川榮一君 折角農地局長もいらしたのですから、これに若干の関係を持ちますので、いい機会ですから伺つておきたいと思います。  只今お話伺いますと、年々六千町歩畑地宅地その他の使用に変換される、災害も二万町歩程度ある、こういうお話ですが、約二万七、八千町歩のようでありますが、農林省統計を見ますと、昭和十八年八月一日現在の全国の田畑、桑園を加えまして総計五百九十三万町歩、それから二十三年の八月一日にはそれが五百二十八万町歩に減つておる。又そのうち水田においては三百十七万町歩つたものが二百九十二万町歩減つた、約二十五万町歩水田が五年間に減つておる。それから畑地桑園を加えまして二百五十七万町歩つたものが二十三年八月一日の五年後におきまして二百二十五万に減つておる。総計しますと五十七万町歩つておる。これは最近あなたのところへ行つて調べたことがある。非常に減り方が大きいのです。その後も減つておるかと思うのです。まあ大体年々百万石くらいの生産は土地の変換、潰滅等によつてつて行くということを聞いております。常識上これは……、仮に二石取れるといたしましても、百万石ということになると五万町歩、そうすれば大体これに合う、今のお話は、半減しておると思うのですが、もつと減つていやしませんか、その点一つ
  33. 平川守

    政府委員平川守君) たしか終戦前までの二十年間くらいですかの平均はもう少し多いのであります。毎年三万五千町歩くらい減つておりました。終戦後、それは特にこの戦時中に非常に工場とか或いは軍用地とかいうものでたくさんつぶれたものがありまして、終戦前は非常に多かつたのであります。終戦後はそれが一万町歩ぐらい減りまして、二万七、八千町歩なつておるというふうになつております。只今お話統計、私もちよつともう少しよく調べてみたいと思いますが、それほど、五年間に二十五万町歩というほどは減つていないと思います。お調べなつ一つ元をお聞かせ願いまして、私のほうでもよく調べてみます。
  34. 石川榮一

    石川榮一君 それは先月あなたのほうの何ですか、計画課といいますか、そこで統計資料を借りまして調査したわけでありますが、余りにも減り方が非常に激しいので不思議に思つておるのでありますが、昭和四年の九月一日、このときの総反別は五百八十三万八千三百四十八町歩つた。それは田が三百十八万五千町歩桑園が六十八万八千町歩、畑が百八十二万九千二百町歩、こうなつておるわけであります。昭和十八年の八月一日になりますと、総計において五百九十三万町歩、これを区分けしますと、田が三百十七一万町歩、畑が二百五万町歩桑園が三十六万三千町歩、これが昭和二十三年になりますと、ずつと減つて参りまして、五百九十三万町歩が五百二十八万七千町歩、田は三百十七万町歩つたものが二百九十二万町歩、約二十五万町歩つておる。畑は二百五万が二百六万ですから、大体同じです。桑畑は三十六万が十八万に減つておる。これが昭和二十三年八月一日なんです、その後の統計はあなたのところにはない。こういうような減り方で行きますれば、如何にこの食糧増産に予算を投入しましても、この方面で殆んど追い付かん、追い越される。人間は殖えて行く、畑地は年々五万町歩も、水田畑地も減つておる。而も五カ年ということでありますから、これは恐るべきものがあると思つて実は気にしておつたのですが、こういう点からも今の住宅にのみ重点を置くということになりますと、やはりこの水田畑地をつぶすということになつて来るので、やはり住宅がどうこうと言いましても、今度は食糧に非常なる窮屈を感ずるということもあり得ると思います。こういう点は大きな農政の問題であります。住宅も勿論必要でありますが、或る程度食糧を確保するという建前を堅持する以上は、よほどこれは慎重にこういうふうなものを検討してもらいたい。  それからもう一つは、各地にあります戦災工場軍需工場は殆んど遊休工場で、至るところにその残骸をさらしておる。それは殆んどどこでも使つておらん。埼玉県下においても随分あります。これらのものを農林省は積極的に調べて、そして関係官庁に交渉して、ああいうものを宅地にするとか或いは公営住宅にするとかいう方面に積極的に働きかけて頂くことも必要じやないかと思うのです。建設省のほうは、主として住宅さえできればいいという感じでありますが、あなたのほうは要するに食糧問題を解決するという使命があるのですから、他省関係のものでも、ああいうふうな遊休工場なんというものをいつまでも五年も十年も放つて置くということは、これはどうも遺憾だと思う。この点については農林省は御研究なつたことがありますか。
  35. 平川守

    政府委員平川守君) 実はその問題は私どもも非常に頭を痛めておるのでありますが、どうも工場のほうの立場から申しますと、例えば戦災を受けたような工場を復旧するということは非常に金がかかるわけでありまして、そこでむしろ新らしく美田をつぶして建設をしたほうが非常に安いということがあるらしいように思われるのであります。私どもといたしましては、ちよつと工場のことはよくわからないのでありまして、この必要性等についてはその道の専門家意見を聞いてやつておるわけでありますが、極力農地をつぶすということはこれを許可の際に抑える。例えば、同じ工場を作りますにしましても、いろいろこういうところは節約できないかというようなことで、できるだけ面積を圧縮するということをいたしております。それから予定地の近くに今お話のような戦災工場等があります場合、こちらでできないかということを極力勧奨するわけであります。どうも非常に採算が違うらしいように思うのであります。私どもとしましては、これに対してはやはりそういう方面に積極的に工場その他が動くような経済的な制度が必要なんじやないか。つまり農地というものが比較的安いが故にそちらのほうに自然に来る。そうして一方私どもとして非常にやりにくいことは、地元が先ず誘致運動をやるわけです。工場等になりますと地元誘致運動をして、村にしても県にしても皆これを是非やらしてもらいたい。こういう力が非常に強く、地元とそういうものとが一致した力で来るわけであります。これを農林省だけが抑えるということになるので、よほどしつかりした根拠のある場合以外はなかなかなか抑えにくい。そこで私ども研究しまして、一つはそういう場合に税金と申しますか、一種の負担を農地をつぶすことについてかけたらどうか。一方において我々のほうではつぶれます農地を回復すべく非常な国費を費やして新らしい農地造成をやつておるわけでありまして、そういう費用の一部をそういうふうな農地をつぶす人に持つてもらうということが一つ制度として成立つのじやないかというようなことも研究いたしてみたのであります。まだこれも研究中でありますけれども、そういう関係一種の憲法上の問題等にも絡みまして、なかなか複雑な問題を含んでおります。どうも併し私ども研究では、そういう一種の経済的に自然に農地をつぶすことを避けるような制度がありませんと、片一方で非常に農地をつぶすことが安上りで利益が多いというような状態に置いたままにして、許可制だけでこれを突張るとういことはなかなかむつかしいように経験上感じておるわけであります。そういうようなことも考えてみておるわけであります。
  36. 石川榮一

    石川榮一君 大体わかりましたが、食糧増産の面から、今の遊休工場その他放置してあるところの荒廃地等を十分にお調べ願つて、そうして各省と折衡をして頂きまして、そういうものを優先に住宅として提供する、金がかかるのだつた立法措置でもして、そういうものを年限を切つて片付ける。遊休工場がどのくらいありますか、これは調べてみなければわからないが、相当あります。これらを片付ける法案作つて、主役として農林省が先に立つて食糧増産の面から立法化してもらいまして、そういうものを生かしつつ、一方において抑制するということにいたしませんと、これは先ほどお話のあつたように、最近における動向は殆んど都市集中の傾向が強くなつて、東京都のごときは年々三十万人いつも殖えておる。その他の都市もどんどん殖えております。そういう面から考えますと、これは農耕地はどんどん減る一方です。荒廃地或いは遊休工場、それはもう十年も放つて置いてあと見通しがつかないというのは非常に惜しいと思いますのですが、積極的に御考案願つて、大きな線を打出して頂くということに御心配願いたいと思います。
  37. 田中一

    田中一君 もう一つお願いしたいと思うのですがね。あなたのほうで駐留軍の基地として接収された耕地、あなたのほうの所管で、何県のどこが何万坪、それが宅地がどれくらい、畑がどれくらい取られちやつて、それから水田はこうなつた、山林がこうなつたというやつの表を出して頂きたい。
  38. 平川守

    政府委員平川守君) 承知いたしました。
  39. 田中一

    田中一君 同じく建設省にお願いしたいのですが、市街地における接収された宅地山林等で、これはあなたのほうの関係でわかると思いますが、それを出して頂きたい。今と同じようなケース、それを資料として出して頂きたい。もう一つ大都市が所有しておる不動産、建築は別にしましよう、土地ですね、土地一つ資料としてお出し願いたいのです、六大都市の、これはあなたのほうから言えば出してくれると思いますから、六大都市が自分で持つてつたものを、あなたさつき言つたように物納を受けたようなところがあるはずですから、そういものをお調べ願つて出して頂きたいと思います。
  40. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 只今資料の問題でございますが、私どものほうにおきましてわかる範囲のことはできるだけ準備いたして提出いたしたいと思つておりますが、六大都市の所有しております不動産等につきましては自治庁のほうで所管されておる問題だと思いますので、私のほうでも連絡いたしますが、一応私のほうとしてできる範囲のことをいたしたいと思つております。
  41. 田中一

    田中一君 若し急で又いかんか知らんけれども、自治庁の人が若し空いてれば今でも呼んで頂ければ私からでもお願いしたいと思います。
  42. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 交渉いたしてみます。
  43. 田中一

    田中一君 業務を実施するに適切な組織と能力を有する法人というものが、小田急に該当しますか。
  44. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。前々回の委員会かと存じますが、その際におきましてもお答え申上げましたように、形式的には営利法人であつて営利を目的としないようなそういう土地の造成については貸付対象に考えられると申上げたのでありますが、今のような場合には、これは形式的に営利を目的とせずに、而も本計画なり或いは宅地造成の目的を達するのに適切だと思われるようなそういう事例の下において貸付を申請するというような場合には、審議の対象には私はなると思います。が併しなかなか貸付条件も非常に厳重なことでもあり、本当の最後の見通しまでつけなければ、委員会における御質問、その他いろいろの関係もありますので、私はなかなか本当に貸付の対象になることは実際具体的問題としてはむずかしいのじやないかと考えております。
  45. 田中一

    田中一君 小田急は曾つて慶応大学に土地を寄附したのです。寄附するということは、これは非営利感覚で寄附したのであつて、これを営利とは認められません。併しながらその土地に対しては、今政務次官がおつしやる通り、全然利益は要りません、政府がきめられたところの価額とか、造成費というものよりも五割安くて結構でございます、それで提供いたします、二十万坪提供いたしますと言つた場合、そういうケースの場合ですね、これは営利的な行為とはみなしませんか、みなしますか。
  46. 南好雄

    政府委員(南好雄君) そのこと自身は私は営利行為でないと思つております。
  47. 田中一

    田中一君 そこで申上げたいのですよ、すべての電鉄会社というものは三十年、四十年前から慶応大学に土地を何十万坪も寄附しましたと同じような行為をしまして、これによつて利益を得ようとするのじやないのです。これに接続する土地の値上りを目的として寄附行為をするのです。この前も、ただ電鉄の客が殖えるから、殖えれば電鉄会社は目的を達したのだとおつしやるけれども、そんなものじやないのです。私が先ほど申上げた二十ばかりの電鉄会社はことごとく土地会社を経営しておる。定款にちやんと土地の経営というものが入つておるのですが、単なる電車によるとか鉄道によるところの輸送力の問題ではない、土地の値上りを目的としてやつておるのです。定款に皆入つておる。その部分に対しては成るほど寄附行為でもいいのですよ、やつております。五円で買つた土地を二十万坪寄附したつて、五円の土地が五千円ならば半分寄附してもいいぐらいですよ、これが電鉄会社の実態なんです。その部分じやない、その部分はただでもいいのです。その部分以外の大部分のものから暴利を得れる、不当なる利益が得られるからそういう寄附行為もするのですよ。この問題は若しあなたがおわかりにならなければ幾らでも説明して差上げます。たくさん事例があります。なぜ小田急が慶応大学に何十万坪の土地を提供したか、小田急の株主総会においてそういう非営利行為ですね、美しい行為ですよ、この裏には必ず……、あの周辺におけるところの土地の値上りを目途としてやつておるのです。これを否定しますか、否定しませんか。
  48. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私は従来の電鉄会社が今御質問のようにやつて、その土地自身には営利でなくて比較的非営利性ないわゆる半公共物、学校などは公共物だと思いますが、そういうようなものを招致するためにそういう実例があつたことは率直に認めます。先ほどの農地局長平川君のお話のように、工場誘致などというようなものも、農村あたりが目の色変えるというのは、将来の税の対象なつたり或いは人口問題の解決になつたりいろいろするから、そのこと自身には別にプラスにならなくても、附随するいろいろの目的からプラスの面を考えて私はその特別の便宜を図つたりするのだろうと思います。そういう実例は過去においては私はあつたと思う。将来も営利性の会社として宅地造成などにはそういう点を見せるかも知れませんが、併し必ずしもそうだからといつてこの貸付の皆対象なつて来るとは私は考えておりません。要するにこの法律に規定せられましたように、将来のいろいろの点を考えて、本当に非営利性で、ただ単に附近の土地の値上りを目的とするものでないという見極めがつかなければ私は貸付の対象にならんものだ。併しその問題を余り広く議論して参りますると、道路をつけてやるのも或いは鉄道をつけてやるのも、どつちかというと国家の金でその附近の宅地もおのずから値上りして参りますので、特定の会社が広くそういう目的のためにそういうことをするということは、今日のような世相の下においては多少非難すべき点も出て参りましようかと思いますが、これが特定の会社でない相当たくさんのものに分れておりますれば、国家費用を鉄道の名前において投じても、道路の名前において投じましても、今田中先生御質問の点は、程度の差こそあれ、多少起きて参るのでございます。ただ今設例をされましたような、電鉄会社がそれだけでそういう遠大な百五十年、百年の計画でやる。例えば箱根土地が国立の一ツ橋の大学に無料で土地を提供したとか、或いは慶応の、日吉台に慶応が学校を建てたというような実例は、考え方によつては当時の世相の下においてはなかなか着想がよかつたと思いますが、そういうものが非常にひどくなつて参りますれば、又それに対応するような法律、いろいろ防止方法なり、非常に弊害が出て参りますればおのずからそれに処する途が出て参るものと考えますが、今の段階においては、その貸付の場合において、抽象的にそういうことを言つて一切電鉄会社は貸さないということも私は言い切れない。前回か前々回かの委員会におきましても、強いて考えればそういう実例がございますと申上げた、それがたまたまいろいろの御質問なつたのでありまするが、併し非常に大きな弊害が出ますれば、又別途に土地の値上りというものに対する阻止の方法とか或いは不当利得の税金の対象にするとか、というふうな別個の意味でこれを抑制して行く必要が出て来るのじやない、こういうふうにまあ考えて、こういう例はどうですかと御質問ありましたので、電鉄会社がこういうような場合にはよく考えてきめて、そういう附近にそういうひどい値上りをしたりしない、それから甚だしくいわゆる営利的な目的でない場合には、強いて考えれば貸付の対象になり得ると、こう御返事申上げたわけであります。
  49. 田中一

    田中一君 あなたの場合だと、電鉄会社はどこにも貸さんというのですね。よく電鉄会社は定款にも土地経営を入れておるのです。定款上も……。従つてそういうところには貸さないというふうにきめていいんですか、貸すこともあり得るという御説明ですが、どちらと私たちは聞いたらいいのですか、もう短い言葉でいいですよ。
  50. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 私は個々の貸付によつて判断すべきものであつて抽象的には貸付の対象にならんというのも言い過ぎであり、又貸付の対象になるというのもいささか言い過ぎである、こう御説明申上げたのであります。
  51. 田中一

    田中一君 だから汚職が起るのです、汚職というものが……。今言う通りあいまいなところに線がある、法律があるから汚職が起るのですよ。今私が挙げたところの電鉄会社の中に大部分、大部分というか、大部分会社にはまあ政治家がやはり関係しておるんです。大部分会社関係してるんです、今申上げた電鉄会社にはですよ。現在の国家議員が関係してるんです。これは電鉄会社は自分のところは一切やめます、抜いて下さいというような陳情があつていいくらいなんですよ、今のような段階ですと……。電鉄会社営利会社が国家資金を受けないでやるなら自由にやつていいですよ。これはもう企業の自由も、それから私有財産の自由も認めておるのですからかまいません。あえて国家資金を流すというのはどういう意図で流すのか、私はわからないのです。殊に純粋な気持で以て土地を造成するために、公共団体の力じや足りないから、だからその力を借りるのだというならば、公共団体ができないという事例を示して頂きたいのです。先ほど申上げたように、公共団体がどのくらい自分の土地を持つておるか、国がどのくらいな土地を持つておるかということがわからなければ、今言つたような国並びに公共団体では土地の造成ができないのだ、だからこうするのだということにならないのですよ。まあこの資料は今要求してありますから、これが来れば、国は一体どのくらいの宅地に適当な土地を持つておるか、これはこれを売りながら、こんな民有地を買いながらやるとか、或いは殊に営利会社に国家資金を流してやつて土地の造成をするなんということは必要ないと見ておるんです。今あなたがおつしやるように、それによつて土地の値上りが大巾に上る場合には、それを抑制する方法をとる、そんなことはあなたにおつしやつても本当にやる気でおるんですか、そうなつた場合には……。政務次官からそんな野放図もない御返事を聞くとは夢にも考えてなかつたんです。あなたは本当に土地が不当に値上りした場合には、それを抑制するという措置をとろうとしておるんですか、それが吉田内閣の使命ですか、きまつておるんですか。
  52. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。田中先生は何か私の言葉を断定されるのでありますが、私は決して吉田内閣がそういうことをやるということを申上げたのではないので、そういうことが弊害になつて来れば、それはおのずからそのときの政治情勢でそういう法律も作らなければならんことになつて来る、こう申上げておるのであります。  で、今の御質問でありますが、本貸付の対象になりますものは主として公共団体が殆んど大部分でありましよう。併しそれでも目的を達しない。而も宅地はどうしても要るというような場合には、次善の方法として貸付の対象個々をよく審査してそして田中先生の御批判に当らないような事例があるといたしますれば、私は強いて電鉄会社宅地の造成も本貸付の対象にならないものだと絶対に言い切つてしまうには、私は少し言い過ぎるのではないかと思いますからそう申上げたのであります。それから大部分、は或る程度宅地造成は、六大都市におきましても、先生御要求になつ資料の中にも恐らく出て参りましようと思いますが、中心としてはそういうものが貸付対象になるものだと思う。併しなお且つそれでも御承知のように土地がないような場合、而も大体の価格が、資料にも出しましたように四、五千円というような程度で若しも行くものでありますならば、私は電鉄会社のそういう計画に対しても頭から絶対にいかんと言い切つてしまう必要もないものだと、こう前々回の委員会から御返事申上げておるようなわけなんであります。
  53. 田中一

    田中一君 もう到底これは私とあなたとの考え方が違うんで、我々の場合には、土地の値上りをする電鉄会社のやるものじやない、あなたは宅地がないから土地の造成をするんだ、私は宅地があると言つているんです。あなたの場合は値上りしないと言つておる、私は値上りすると言つている。殊に四償円の金を今度出せば必ず来年度に値上りします。これは政府が一生懸命値上りさせるんです。それは住宅金融公庫の貸付発表をすれば必ず値が上るんです。それにあなた方目を塞いでいるということがありようがないと思う。住宅金融公庫の貸付を発表すれば必ず値が上り、それが土地ブローカーのつけめです。それを又助成するような貸付方針をとるなんということがおかしな話なんですよ。実際日本の都会の土地は高い、それから都会の周辺土地で値上りになつた所は、皆住宅金融公庫なんです。これは資料が来ればわかりますけれども、一面国はどのくらいの土地を持つているか、今度は一面地方公共団体がどのくらい自分の土地を持つているか、これをお調べにならないで、二千五百円を以て土地を買うという馬鹿げたことを考えるということはありようがないんですよ。あなたがた、国がどのくらい土地を持つているか、これを調べてあるんですかないんですか、もう一遍官房長に聞きましよう、国はどのくらいの宅地に適当なる土地を持つているか。
  54. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私先ほどもちよつと申上げました通り、未利用の宅地に利用し得る国有地を何ぼ持つているかという的確な資料をまだ持つておりませんので誠に申訳ありません。ただ前段にお述べになりました、金融公庫が貸付を発表すると宅地が値上りするというのは若干事実だろうと思います。ただこれは需要が殖える、供給と需要の関係で正にそういう現象が起るのも又止むを得ない現象だろうと思うのでありますが、といつてこれは電鉄会社がこういう土地造成事業をやることを許すがいいかどうかという問題と、住宅金融公庫が貸付を発表すれば土地の値上りを来すという問題とは別問題のように考えております。
  55. 田中一

    田中一君 それは考え方が違うんだからもうしようがないんだ。  そこでもう一つ伺いたいのは、例えば現在東京宝塚劇場か、あれに対する今返還請求をやつていますね。たしか第一審では勝つたはずですよ、駐留軍が今使つておる建物を返せという……。民間でも焼跡その他で以て、これは本人に言わせれば不当に接収された民有地もあるんですよ。不当ですよ、本人に言わせれば……。国にすれば止むを得ずさつき調査をお願いしたように、取られてしまつた。行政協定に基く現在の合同委員会で今までその宅地返還の、用地返還の要求をしたことがありましたか、これは建設省としてですよ。合同委員会でこの不当に国民が取られている宅地その他に対して返還要求したことかありましたか。
  56. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) その問題は建設省の所管でありませんので、私よくわかりませんが、調達庁のほうにお尋ねを願いたいと思います。
  57. 田中一

    田中一君 そういうことを聞いていませんかな、あなたがた……。
  58. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 駐留軍が不当に取上げたが故を以て土地の返還を要求したというような事例を実は私よく聞いておりませんが、地元のほうの強い要望に応じて政府において駐留軍のほうと交渉したというような事例は恐らくあるだろうと思います。
  59. 田中一

    田中一君 私は、不当と言つてるのは国民が言つているのですよ。政府はこれはもう約束に基いて提供して貸しているんですから、政府の場合には不当でないですが、取られた者に対しては不当ですよ。焼跡のどさくさまぎれにいつの間にか自分の土地が取られた。殊に今代々木でもそうですよ。渋谷区挙げて今あそこの住宅地駐留軍のアパートを建てるということに反対をやつていますよね。一面においては国民の持つべき宅地じやなくてとんでもない方法で宅地が失われて行つている。農地局長がさつき言つたように、年々歳々三万近い耕地がなくなつている。人口は殖えて来る。宅地よりも先ず米ですよね。宅地はある。宅地は立体化すれば幾らもあるんです。幾らでもあるんですよ。宅地はあるんです。米は買つてるんですよ。米を二千万石も買つてるんですよ。それは麦にしてもいもにしてもそうしたものを取ることが、生産することが先ず第一であつて宅地造成なんて二の次でいいんです。土地はあるんだから……。
  60. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 田中委員の御意見、未利用の国有地を先ず利用するとか、それから又都市を立体化するというような方法を講じなければならんことは勿論でありまして、私のほうもそれについては今後とも十分力を入れて行かなくちやならん問題だと考えております。ただ今度の土地造成を以て狙いといたしますのは、農耕地に適するようなところは実は考えておらんのでございまして、農林省といえども、ほかに適地があるのにこういう土地造成を無造作に許すものとも考えておりませんし、まあ農耕地食糧生産に支障のないような土地を選んで土地を造成さそう。現状は田中先生もよく御承知の通り、金融公庫の金を借りても土地の取得に非常に困るというものが非常に多いのでございまして、これを何とかして解決してやろうというのが今度の改正の狙いでございます。金額にいたしましても、そう日本の食糧生産に非常な影響を与えるほどのものでもございませんし、私どもはこれを以て食糧生産に非常に支障あるものとも考えておらん次第でございます。
  61. 田中一

    田中一君 私はね、今そういう二十万坪のこの候補地がある、これは開墾して米作つたほうがいいです。都心から離れた所よりは、もう楽に働く者が自分の職場へ通う土地が手近にあるのですよ。あなたが言つている二十万坪のそういうものがあるとすれば、それこそ食糧に使つたらいいのですよ。私も狭い所でやはり麦を作つたりしていますよ。そのほうがずつといいんです。土地がないなら別です。土地はあるんですよ。米を作るのが先です。食糧作るのが先ですよ。土地はある、あなたがたはないと言つているが、私はあると言つているんですから、そのほうが先ですよ、まして、一歩の前進ですからね、これは多少はその妥協してもいいという気持はあるんですよ。併しながら若しおやりになるならば、四億円だから僅少のものだと言うけれども宅地造成なら五十億なら五十億という金を出しなさい。出して先ず宅地を、これならば誰にも迷惑をかけないという所を全国的に押えて、そうして計画的におやりなさい。この前も言つたように、一面においては安い賃貸住宅を五万戸も、国会の意思を無視して五万戸も減して置きながら、宅地造成なんておこがましいですよ。宅地は幾らでもあるじやないですか。四億円住宅に出しなさい、建てるほうに。そういうことをしてその思想がいけないと言うのです。思想が、考え方が。
  62. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 関連ですが、今の、まあ先ほど来からの問題或いは更には前回からやつている問題ですけれども、一応今までの答弁だと、大体土地造成については四億円程度を与えたいつもりだ、こう言つておられる。一方においてはそれは少な過ぎる。やるのならばもつと多くやらなければ、地代を、土地の代金を上げてしまつて、非常に目的とは違つた現象を促進することになるし、それよりももつと便利な土地におけるいわゆる高層住宅システムをもつと濃厚にとつたらいいじやないかという御主張があつて、これが随分議論の中心になつておるようですが、そこでそれに関連してお伺いしたいのですが、この住宅公庫法二十五条ですね、「公庫は、毎事業年度において当該事業年度の予算の添付書類に定める計画に適合するように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを主務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。」こういうのがありますが、この一体四億といつたような額は、本年の只今審議しておりまする予算に添付してあるものとの関連において四億というものが出たのだと考えておるのですが、その点はどうなんですか。
  63. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 只今土地開発資金のための四億円と事業計画、資金計画との関係でございますが、現在国会に提出になつております公庫の予算案におきましては、現行の公庫法に基いて作りました計画でございまして、従いましてこの添付書類もこの現行法に基く計画でございます。ただ若しこの法律案が通過いたしますならば、只今国会に提案されております事業計画、資金計画の枠内におきまして、その資金の範囲内において開発事業のための資金を廻わすように、まあ資金繰りによつてしたいというふうに考えておるわけでございます。例えて申しますと、只今国会に提案されております資金計画、事業計画におきましては、公庫におきまして四万戸分百八十億円の予算が組まれてあるわけでございますが、この中におきまして、土地資金として見積られたものの中で、こういう法律が通りますと、これを計画的にやつて行くわけでございまして、現在の資金計画の範囲内で資金操りでやつて行く考えでございます。
  64. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それはわかる、その通りだけれども、今の資金繰りによつてやる四億円といつたようなことは、この法律が通つたならば、こういう事業計画の下に一つやらせるように指導したい。又通つた後は公庫としてはこういうような庫業計画の下に認可を受けたい、この線があればこそ私は今言つた四億という数字も出たと思うのですよ。でありますからこの今まだ通るか通らないかわからないけれども、この通り通れば、こういうふうにして行きたいという、この事業計画の現段階の程度のあらましというものが出れば、更に先般来議論せられておるところの問題についても或る程度明らかになるだろうという点が一つ考えられるからこの点と、それからもう一つは、これ又前回問題になつたのですけれども基準価格、例えば東京で言えば四千五百円といつたような造成費が基準として載つております。で、それに伴つて質疑された答えの一つには、大体この基準でできるのだ、やつているのだ、恐らくこれは低過ぎて失敗したかと思つている。それからあれは一つの例だと言うあなたのほうの説明付でありますから、何もそれのみに根拠を置いてどうというふうに攻めはしませんけれども、およそ四半期ごとの事業計画を立てるときにおいては、その後の調査等に基いてあの四千五百円は変えるかも知れない。あれは一つの例だという前提でございましたから、そういつたものに基いてやられると思うのだが、一旦ここにきめてあるところの率の補助金といいますか、融資で利息で、あれを借りてやつてつた場合、今度あなたのほうで、この法律の中で政府が奨励されて定めようと考えておる基準、譲渡の基準、できた建物の譲渡の基準、貸付の基準、これで一体賄うことのできるような仕事ができるのかどうか。私はどうもこの点ちよつと計算してみても相当何と申しますか、高い値段を付けないと、これはかなり裕福な人のみが借りるし、或いは取得できることあつて、なかなかこれは償還等を考えると、或いは必要な経費、或いは恐らくその中には経営者の生活費も入つておるかも知れないが、そういうものを斟酌してお定めになるであろうと思われるものがあつて随分高いものになつちやう。そういうことから言うと、更には問題は予算との関連もあるが、或いはもつと低利な融資というものが、或いは極端に言えば利子のかからん政府資金といつたようなものが加わるという問題も議論の対象に発展しなければならないじやなかろうか、私はこんなことをこれらを通じて考えているのですが、その点についてはどういうふうにお考えになられますか。
  65. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 先ずこの法律が通つた場合に、事業計画はどうするか……。    〔小笠原二三男君「住宅課長説明員か何か確めてやらして下さい。私は大嫌いだ、こういう審議をすることは。委員長委員会に諮つて発言さしているのですか」と述ぶ〕
  66. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をつけて下さい。
  68. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 先ほど御質問がございました先ず事業計画の問題でございますが、この法律が通過いたしますならば、現在この国会に提案されております附属書類及び予算の大綱の枠内で、若干その計画も変更されることもあると思いますが、その変更によつてこの計画をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。なおこの点につきましては準備いたしておるものがございますので、若し必要でございますならばいつでも提出できるようにいたしたいと思つておる次第でございます。  第二番目に現在、この前提示された土地の取得価格或いは造成の価格、これは非常に安過ぎるではないか、これでは果して土地の造成がうまくできるかというような御質疑のようだつたと思いますが、先般提出いたしました資料は、過去におきまして全国の各地に起きました中で、私どもが集め得る範囲において収集いたしました資料に基いて作製いたしたわけでございまして、この前提示いたしました資料はそのうちの一つ基準とも考えているわけでございます。所によつてはなかなかあの計画でむずかしいところもあると思いますが、全国的に見まればあの計画で大体できるというふうに考えておるわけでございます。そこでその次に提出いたしました名古屋市におきまして宅地の開発事業をやつた例がございますが、この開発事業が大体この前提示しました基準価格に大体似通つた開発事業を実施いたしておりますので、参考までに提示いたした次第でございます。
  69. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今のに関連いたしましてお聞きしたいのですが、そうなりますと是非私は委員長に許しを得て、この事業計画の一応の試案といつたようなものをこの次にお出しを願いたいということを一つお願いいたします。それからどうも私の計算では、ああいつたものじやなかなかできないように思われる、工事費等もなかなか困難に思われるのですけれども、一応のサンプルの工事費がありました。多層建築についてもあります。あれに基いて、あの工事は、恐らく今度公庫に御斡旋願えれば、あの経費でできるのだと思うのですが、あの経費で施工が御斡旋願えるか。それからその地区のあの標準基準宅地開発の標準基準によつてあなたのほうがいわゆる斟酌値段を入れたのでやるとして、どのくらいな分譲の住宅というか、まあ住居になるか、一つ試算をして、併せて持つて来てもらいたいと思うのです。
  70. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 畏りました。次回までに一つ資料を整えてできるだけ提出をいたします。
  71. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私は今の二点が次に約束されましたので、この上いろいろと議論のある、説明員を煩わそうとは思いませんが、先ほど南政務次官は事は細かい問題であつて、だから説明さすといつたような表現がありましたけれども、私は速記を読んで頂けばわかりますと思います。止むなくて説明員にさせたわけだけれども、私はあの問題はちつとも細かい問題じやないと思う。あのくらいのことは当然この法律をお作りになり、或いは更には予算書との関係、添付したあの予算において首脳部はどういうふうに持つて行かせるかと、住宅問題が今日非常に問題となり、世間の要望の高い折であるのだから、当然この法律が通つたならば、どういうふうな四半期の事業計画というものを立てさせて行くか、資金計画をどうやつて行くか、こんなものは当然私は大臣、次官みずからが自分の考えを十分述べて、事務当局を指揮してやらせるべきところの私は重大問題だと思うのです。その点の反省を求めて私は一応終ります。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今論議になつているのは、今朝から農地局長ですかまで呼んで話をしているので、電鉄会社等への融資等の問題言うておることは、まあ一つの起点なんですね。ですから結局この四億という枠を設定して、地方公共団体を主として土地造成の施行者として仕事をやらせて行きたいというのには、地方公共団体のたつての希望というもの、そうやりたいという希望がこれこれ、これこれある、又こういつたものが出て来るはずだという予想があつて一つの一計画があるものだろうと思う。その点でどれだけこなして行けるかという見通しがつけば、電鉄会社等への融資はとても賄い切れない。そうなれば又土地の値上りとか営利会社の利潤のために国家資金を投入するのではないという実情もはつきりして来るだろうと思いますね。そういう点で資料を出せとか何をやれとか言う前に、先ず地方公共団体がどういう要望をこの問題について持つてつたのか、具体的にどこの公共団体で、こういう問題が許可せられるならば申込をする予定になつているのか、それらの見通しについて伺いたいし、又これは委員長にも諮つて頂きたいのですが、こういうことをさせなくちや宅地の造成はできないし又住宅建設が進まないと思われる地方公共団体の責任者を参考人として呼んで、この問題について問い質しておく必要がある。そういうことをしたほうが却つて審議が促進されるのじやないか、私こう思いますが、この点を諮つて頂きたい。
  73. 田中一

    田中一君 それは小笠原君、そのことは提案したのだよ。ところが三浦さんはそんな必要がないだろうと言われるのでそのままになつているのだが、これは是非やつて欲しいのだね。三浦君いいだろう。
  74. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 東京ちよつとはつきりしておりません。東京以外の土地につきましては、大体各地からそれぞれ三万坪乃至十万坪ぐらいの宅地造成の希望から詳細のものが提出されておるそうでございますから、次回までにそれでは各都市別に、すでに建設省に意思がはつきりしたものだけの表を作つて御提出いたしたいと思つております。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 是非そうして頂きたい。そうしてそれに要する事業費、これら等も概算を出して頂きたい。そうすれば二十九年度の予算でこの法案通過の暁、実施に移される予算額がどういうふうに配分されるかということも或る程度見通しがつくだろうと思う。
  76. 田中一

    田中一君 今小笠原君の発言、その通りです。ですからこれは委員会で諮つて頂いて、私はそれとそのほかに住宅金融公庫も呼んで頂きたいのですよ。この仕事の当面窓口たる金融公庫の総裁でも副総裁でも責任者を。  それからもう一つ、一体こういう形のものを望むか望まないか、本当ならば住宅困窮者の中からやはり参考人として意見を聞きたいのです。土地の取得に狂奔している人たちがいるんですよ。これこそ住宅金融公庫の申込者の中から選んでもいいんです。
  77. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。この次の委員会までに東京以外の各都市の大体希望、事業計画を提出いたしますので、御審議願いまして、それで不十分な場合にはなお且つ首脳部を呼んで頂いて結構でございます。もう一つこれは蛇足かも知れませんが、田中先生の御質問、前々回からいろいろ拝承してあります。御尤もの御意見だと思います。恐らく私個人のこれは思い過ぎかも知れませんが、先生の御意見は恐らく都市を見ましても、まだ使用しておらん土地が随分残つておるのではないか。而も半面において毎年々々何かの名目で国家資金を投入して、造成するのに非常に金のかかつている耕地が、工場その他の名前で三万町歩もなくなつて行くということは、食糧問題の上においても重大な問題だ。だからむしろ都市内において利用せずして放置されておる所などは、何か法律で別段の措置を講じて取上げてもつと有効に使えと、こういう御意見のようにも拝承したのであります。又半面におきましては多層建築などを作つて、もつと土地を有効に利用しなければいかんと、こういう御意見とも拝承したのであります。一々考え方といたしましては御尤もな考え方でありますので、本改正案におきましても、モデル・ケースではございますが、或る程度の多層建築作つて、六大都市附近には多層建築ども作りまして住宅に供したい。こういう狙いも一つはあつて法律の改正をお願しておるわけであります。  この都市内におけるいろいろのまだ利用されず残つておりまする国家のもの或いは公共団体の所有地、或いは個人の私有地につきましての利用するための法律的措置と申しますものも、今後の問題といたしましてはこれは是非研究して行かなければならん問題だと思いますが、現段階においては政府の考えといたしましては、まだその時期でないようにも考えておるのであります。この辺の考え方がはつきりして参りますれば、田中先生の御質問ども相当まだいろいろの角度から議論が出て参ると思うのでありますが、今の政府の考え方におきましてはまだその時期ではない。こういうふうに考えておりまするがために、いろいろの御質問が出たようにも私拝承いたしましたので、念のためにお答え申上げておくのでありまするが、確かに東京都内におまましても、まだ住宅も建たずそのままになつておる土地も相当見受けられますので、こういうものに対するいわゆる個人の所有権の制限を現段階においてはやつたほうが、もつと便利ないわゆる多層住宅もできるのじやないかというふうにも受取れましたものですから、なおそういう時期にはいささか早いように思われますと、現段階におきましてはできるだけ農地を損わない範囲において未利用の国有地でも或いは自治団体の所有地でも、個人の所有地でも宅地に造成いたしまして、刻下の最も問題になつておりまする住宅の必要ないわゆる宅地の需要に応じたい。この狙いからまあ法律を改正したい、こう考えまして御審議を願つておるような次第でございます。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 委員長に計らいを願つておる点について、懇談なり何なりで計らつて下さい。
  79. 石井桂

    ○石井桂君 小笠原君の発言に関連して。公共団体や何かの人を呼んでそうして宅地造成に必要な要求があるだろうからその要求を調査して見るのも審議のために必要な方法だろうということは、私も同感なんですが、それと同じような効果があると思うのですが、住宅審議会でこの要綱を出すについて随分討論されたろうと思うのです。そのことについてこの前私が質問したときには、住宅審議会と十分このことを討論いたしまして、その答えに副うて出しておるという答弁もしておられたようであります。それらの経過の資料があつたらやつぱりお出しを願いたいと思います。
  80. 田中一

    田中一君 私が住宅審議会について調査いたしましたところが、その場合には、この提案された要綱が、営利法人にやらすという審議は何もないのです。石井君の意味はどういう意味か知らんけれども、そういうあなたの営利法人に対する云々というものは審議されないで、結論がこれに賛成だというものが出て石井君が欲しくて言うのか、私が調査した範囲においては、審議会においては営利法人というものに対する審議は何も行われていないのですよ。恐らく政府に対する助け船として、審議会がこれを承認したという一つの結論を持つて来て、政府の助け船に出そうという気持か知らんけれども、私は審議会の議事録というものが速記を取らん限り正確なものでないという面から、審議会の資料をお出し願うことは必要ないと思うのです。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 黙つて発言させているとどこへ行くかわからんよ。
  82. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ちよつと速記をとめて。    午後零時二十九分速記中止    —————・—————    午後零時四十五分速記開始
  83. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をつけて下さい。  それでは住宅金融公庫法の一部を改正する法律案について地方公共団体及び住宅金融公庫代表者を参考人として出席を求めることにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお参考人の人選、日時等について如何いたしましよう。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 理事会で御決定願いたい。
  86. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  87. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それでは速記を起して下さい。  参考人は、大阪市と横浜市の住宅担当者及び住宅金融公庫の総裁に決定いたしました。期日は六日午前十時から開会いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 以上御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  それではこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会