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1954-03-25 第19回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十五日(木曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            赤木 正雄君            飯島連次郎君           小笠原二三男君            近藤 信一君            田中  一君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    建設政務次官  南  好雄君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省計画局長 渋江 操一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    自治省府県税課    長       細郷 道一君    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君    首都建設委員会    事務局長    町田  保君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○提出予定法律案に関する件 ○道路整備費財源等に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣  送付) ○住宅金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今より建設委員会を開会いたします。  最初に石破建設省官房長より法案提出予定の御説明があるそうでございます。
  3. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 本国会提案予定されて、建設省において法案を準備いたしておるものにつきまして、今日までの大体の経過と今後の予定について御報告申上げたいと思います。  先ず第一に土地区画整理法案でございますが、これは目下の予定では、明日の閣議において決定いたしまして、来週中には国会提案できるものと、かように考えおります。たびたび御説明申上げております通り、この法案土地区画整理を円滑にするために従来耕地整理法等の定める手続によつておりましたのを、或いは又特別都市計画法によつて手続をやつておりましたのを、一般土地区画整理法の中にまとめまして、内容におきましても若干従来のやり方を変更したい、かような考えでございます。  主な改正の要点といたしましては、先ず区画整理に際して借地権者の権利の保護と申しますか、これと土地所有者との間のどちらをどの程度重く見るかというような点につきまして、大体法案内容といたしましては、借地権者土地所有者と大体同様に取扱いたいというようなことを考えております。又換地するに当りまして、新らしい制度として立体換地、つまり土地の足らん場合には立体的の換地もやれるようにしたいというようなことを考えております。又組合の役員等につきまして従来任期もなかつたの任期を付けるというようなことも考えております。又換地計画を定める場合には、事前に縦覧に共しまして、異議を申立てる機会を与えるというようなことも考えております。又訴願の途がなかつた分につきまして、訴願の途を開くというようなことも考えております。それから従来建設大臣認可事項でありましたのを一部都道府県知事認可事項に下すというようなことを考えております。大体さような点で考えて、来週中には提案できると、かように考えております。  その次には建設機械抵当法案でありますが、これは建設省法務省の共管の法律になる予定でございまして、法務省のほうでいろいろ法律技術的にむずかしい点がありまして、まだ最終決定に至つておりませんが、来週早々には閣議決定をして、国会提案できるであろう、かように考えております。この狙い建設機械について動産抵当を設定して、それによつて金融の途を開こう、これが狙いで、そうして建設機械整備を促進する、建設工事の能率的な施工を図ろうというのが目的でございます。  それからこれに関連いたしまして、公共工事前払保証事業に関する法律を一部改正しまして、こういう建設機械抵当に入れて金融を受ける場合に、保証事業会社が保証する途を開こう、こういう点を考えております。  以上三つの法案はいずれも来週中遅くとも再来週中には必ず提出できると考えておりますが、更にもう一つ河川法改正案というものも考えております。これにつきましては先週初め頃、建設省部内要綱案決定いたしまして、今週の初めの次官会議に概要を報告したという程度でございまして、まだ各省折衝もついておりません。これから更に各省の了解をとり、法制局審議を経る、それから政府意思決定して提案するという段取りでありますが、見通しといたしましては、法案の形でまとまりますのは、早くても四月の半ば以降ではなかろうかと考えております。従いましてこれを国会提案するといたしましても、会期等関係上いろいろ検討しなければならん点があるのじやなかろうかと、かように考えております、なお河川法改正案につきましては、これは建設旨といたしましても非常に重要な法案でもあり、当委員会におかれましてもかねがねいろいろの御意見もあるところだろうと考えておりますので、機会を得まして、形式といたしましては委員会要綱を正式にお諮りするというわけには参らんかと思いますけれども、何らかの形をとつて頂きまして、実質的には建設省が目下考えております点について御説明を申上げ、御意見も承わりたい、かように考えております。   —————————————
  4. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では本日の予定をお諮り申上げます。  本日は初めに道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の御質疑を願い、そのあとで前日に引続きまして住宅金融公庫法の一部を改正する法律案質疑を御継続願いたいと存じます。  なお道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の御質問に入る前に、目下地方行政委員会に付託されております、これに関連ある昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案説明を承わることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 深川タマヱ

  6. 青木正

    政府委員青木正君) 只今お話揮発油譲与税の問題でありますが、提案説明と申しますか、そういう形式的な提案説明の問題でなしに、二十九年度の揮発油譲与税ができましたいきさつ等を申上げまして御理解を願つたほうがよろしいのじやないかと思いますので、そういう意味で申上げたいと思うのであります。  御承知のごとく揮発油を使います自動車によつて道路が非常な損傷を受けるということから、先般揮発油に関する目的税が設定されたのでありますが、道路管理につきましては、府県道は勿論府県責任でありますし、又国道につきましてもやはりその管理責任都道府県又は五大市にある、こういうことでありますので、揮発油税の三分の一はこれを揮発油譲与税財源としてそうして都道府県並びに五大市の道路面積等に按分してこれを地方公共団体に譲与する、こういう考え方に立つてつたのであります。然るところ、その後いろいろ衆議院の建設委員の方々又建設省等ともいろいろ折衝いたしまして、この揮発油譲与税一般的に府県道路財源に充てるということになりますと、先般国会で成立いたしました道路の五カ年計画のために充てるという趣旨にもとるのじやないかというような意見も出ましたので、そこでいろいろ折衝いたしました結果、揮発油税によつて入りまする税額の三分の一、即ち七十九億、その七十九億のうち四十八億だけは道路整備五カ年計画道路のほうに充当する、そうして三十一億だけはこれを五カ年計画以外の一般地方公共団体道路費用に充てると、こういうような話合いになつて参つたのであります。そこで将来の問題等も勘案いたしますと、このガソリン税を設けました当初の目的から考えて、これは飽くまで五カ年計画のために使うべきだという御意見もありますし、又一方におきましては、都道府県或いは五大市等におきまする道路整備のための財源という問題も考慮いたさなければなりませんので、今回は二十九年度だけの工事費といたしまして、そうして三十年度以降における道路に関する問題につきましては三十年度の予算編成に当りまして改めて研究、決定すると、こういうような方針にいたしたのであります。  そこでそうしたいきさつでありますので、当初はこのガソリン税の三分の一を地方財源に入れるということでありましたので、地方財政計画はさような考えの下に立案いたされたのでありますが、そうした折衝の結果、四十八億だけは取出しまして道路整備五カ年計画のほうに充当するということになりましたので、地方財政計画上は、そうした特別の五カ年計画のために地方財政上当初から見積つておりましたのは十億しかないのであります。従いましてまあ三十八億だけ別に財源措置を講じなければならない、こういうことになりまして、関係各省等ともいろいろ折衝いたしました結果、その三十八億の財源につきましては今後実際の運用に当りまして、例えば都道府県におきまして計画しておりました道路計画、それと五カ年計画とのまあ重複部分ができて参りまする場合はそこで若干の節約もできる。それからそれ以外の都道府県一般単独事業におきまして節約できるものはまあ節約いたして、なお不足する分につきましてはこれを起債に求めるということで大蔵省建設省並びに自治庁との間に話合いを進めまして、そうした方向でその不足財源は処理するということに話合いができた次第であります。  以上、極く大体のことでありますが、今日までの経過を申上げた次第でございます。なお御質問によりまして詳細の点は申上げたいと思います。
  7. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 如何いたしましよう。只今の御説明に対しまして簡単に御質問なさいますか。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 昨日話合いをした通り、先ず本委員会に付託されている部分について質疑をしている過程において問題点が出て来たとき、それぞれ正式に関係委員会の御交渉で質疑ができるようにしたらいいかと思います。
  9. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) さよう取計らいいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ではさよういたします。それでは揮発油譲与税に関する法律案の御質問あとにいたしまして、道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の御質問に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では順次御発言を願います。
  12. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ昨年いろいろと議論をしてこの委員会で通したこのいわゆる議員立法法律が、早速その法律通りには実施することなく変ろうとするわけですが、その提案理由のところを見ますと、この法律趣旨通り揮発油税収入額相当額の金額を国の道路予算に充当しますことが、国と地方財源配分から考えまして非常に困難となりましたので、二十九年度に限つてとこうなつて、要するに中央地方財源配分からこれをその法律のまま実施することを実現もなくまあこういうふうに変えなきやならなかつたと、こういう説明を端的にしておられるのですが、一体この配分から考えて非常に困難となつた、この事情をもう少し説明をして頂きたい。例えば今説明がありましたように、三分の二の地方に譲与する額のうち四十八億という額はいわゆる五カ年計画従つて使うのだ、そうなつて来るというと、問題は三十一億だけがいわゆる地方一般財源に充てられるということになるのだと思うのですが、この点をもう少し事情のわかるように説明をして頂けませんか、先ずこれをお伺いします。
  13. 青木正

    政府委員青木正君) 御指摘のごとく四十八億は道路整備五カ年計画に伴う直接の費用として使うわけでありまして、三十一億のほうはやはり道路費用に使うのでありますが、五カ年計画とは限らず、府県道その他地方公共団体計画に基く道路のほうに使う、こういうことになるわけでございます。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 一体、私はその五カ年計画という問題からお聞きしなければならなかつたわけですが、この五カ年計画というのはいつお出しになるのか。私はこの法案審議の際に五カ年計画というものの一応雛型みたいなものを審議参考資料としてもらつたことを覚えているのですけれども、この五カ年計画内容というもの、そうしてその計画そのもの、これは若し修正しなければならない場合においては閣議でまあ修正をすればいいのですから、順序から言えばこの五カ年計画というものが先へ政府としては確認されて、予算との関連をお考えになつて然るべきものなんである、私はこういうふうに思うのです。この五カ年計画内容如何によつては、只今四十八億を取つた残の三十一億を府県計画に従う道路費、こういうふうに言われているのですが、仕組如何によつてはそれらをも含む場合もあるかと思われるのです。一体五カ年計画の性格というものがはつきりしていないからの問題もあろうと思いまするので、その辺を一つ
  15. 南好雄

    政府委員南好雄君) 三浦さんの御質問お答え申上げます。  臨時措置法によりますと、あの法律が施行になりますると、閣議で五年計画というものを策定いたしまして閣議決定をやらなければならん仕組になつております。法律公布になりましたので、建設事務当局といたしまして、御承知のように一応の皆様方に御参考にまで供したような案をもう少し検討いたしまして、大体の骨子を作りまして、御承知通りに五年計画と申しましても、これの裏付けになりますものはやはり国家予算でありまするので、大蔵省事務当局として会議をいたしたのであります。ところが当時たまたま御承知通り二十九年度予算案審議時期にぶつかりましたために、なかなか事務当局案が進捗しておらんというのが現在までの経過なんであります。昨年の十月の終りに大蔵事務当局会議をしたのでありますが、なかなか大蔵省承認を得られない、従つてそれが本当の意味の完全なる五カ年計画として閣議までに持出す段階にまで至つておらん。大蔵省にしてみますと、建設事務当局案が約一万キロの改良距離でありまして、総計にいたしまして国の予算にしても二千一百億、事業予算にいたしますと約三千億の予算になりますものですから、五年計画としてこれをやるにつきましては多分の難色がございまして打明けて申上げますると、まだ大蔵事務当局承認を得られないというのが現在でありますので、従つて若しこのような、今御審議を願つておりますような法律にきまつて参りますれば、又その意味におきましての案を作つて閣議に五年計画として承認を求めるという段取りになるのでありますが、あの法律公布になりましてすぐに五年計画を完全にまとめ上げまして、閣議決定を経、又皆様方にもお示しすることができるとよかつたのでありますが、不幸にいたしまして、まだ五年計画政府の案といたしましてはつきり完全な手続をとつておらんというのが現状でございまして、この点につきましては誠に申訳ないと思つて恐縮しているような次第でございます。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私どもはあの臨時措置法審議する場合に、今となつてみれば相当にまだ審議を慎重にしなければならなかつた点があつたように思う。例えば今のような問題、これは一体五カ年計画というものを先に出して、そしてその後のいわゆる財政規模といいますか、それぞれ国費の配分においてどうしても変えなければならん点があれば、又閣議に諮つてこれをおきめになるということは、これは法律にはあることですね。ところが全然出していない。これは一体大蔵省と言い、どこであろうと政府部内でありましよう。ところがまあ出すのは建設大臣が出すということになつてつて建設大臣大蔵省の何といいますか、態度に負けて五カ年計画を出さなかつた。これは法律を守つていないということだと思う。ところが今度の一部改正法律を見ると、依然として政府は五カ年計画道路計画を出さなければならないといつたような、建設大臣がこれを出し閣議決定を求めなければならないというような条章は少しも変えてない、私は若し改めるなら、大臣閣議に諮つて行くということ自身について政府として、この修正案をお出しになることを考えたかどうか、私はこの点を聞きたい。
  17. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。御承知通りこの臨時措置法三浦さんよく御承知通り議員立法でありまして、これは政府提出法案でありまするれば、段取りは、たといそれが閣議決定に至らないまでにも、或る程度準備段階その他ができておるのでありますが、議員立法でありました関係から、法案公布になりまして、政府がその法律に基いて五カ年計画を策定して行く、もとより事務当局の試案といたしまして、五カ年計画というものがあつたので、お手許にお示した程度のものをお示しすることができたのでありますが、要するにこれが法律となつて初めて政府を拘束するようになつて、その拘束に基いて五カ年計画案というものを作つて大蔵事務当局に交渉した。それは先ほども申上げましたような事情からいたしましても、約三千億というような巨額に達しますために、国家財政の見地からいつてなかなか同意を得るに至らなかつたた。今日においてもなお且つガソリン税相当額財源にするにいたしましても、中央だけに充てなければならんものじやない、それは地方道路の負担にも一部使つてもいいじやないかという思想を政府部内で持つておるのであります。御審議つておるような本年、二十九年度に限つて三分の一相当額中央計画だけでなく、地方にも充てていいじやないかというので案が通つたので、私どもこういうような改正案をお願いしなければならんようになつたわけでございますけれども、そういう考え方もあるのでございます。
  18. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは政府部内の、この修正の一部改正法律案を出すといつたことは、内部の事情でしようけれども、私はこの点について只今お答えではどうも満足できない。例えば昨年の二月二十日に建設大蔵連合委員会を持ちました際、これは午前と午後に亘つております。午後に堀木委員より、法律通つて何とか処置しなければならん場合、閣議に提出される五カ年計画というものに連帯して責任を持つのか、こういう趣旨質問をしております。その前にいわゆる大蔵大臣として、この法律自分たち財源に紐付きをされるのであるから通してもらいたくないんだという率直なお答えまであつて、その後幾つかの問答があつて、そして最後には若しこの法律通つて何とか処置しなければならん場合、閣議に提出される五カ年計画には連帯責任をお持ちになるのですかと、こういうふうに質問した際には、大臣は、大蔵大臣はですよ、又同時に建設もですが、持たなければならんと思う、こういうふうにはつきり言つているのです。私は議員立法というものについての今日国会でいろいろといわゆる反省と申しますか、お互いに自己批判をしているという問題は知つております。知つておりまするけれども、すでにこの案自身、その議員立法というものでこれは一体やるべきかやるべきでないかという非常に議論なつたことは御承知通り、その挙句、持たねばならんと思うということを言つておりながら、言つておりながら、五カ年計画は出さんわ、そうしてその法律通りに実施することは一年もしないに、直ちにこれを変えなければならない。そうしてその提案理由説明によると、中央地方財源配分の必要止むを得ない事情からだと言つている。たからじやあと言つてこう聞いてみますると、四十八億というものは五カ年計画の線に則つて使うし、あと地方譲与をした三十一億というものはこれ又道路のほうに使うということでございます。時に、一体五カ年計画というものを出しもしないでおいてそういつたようなことを言つているということでは、私は実際何といいますか、政府としてはもつと納得の行く説明に持つてつて頂かないというと、私どもどうも審議する上において非常に困ると思うのです。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。これは私の記憶を以てするならば、当時この道路整備費財源等に関する臨時措置法の案が出た場合に、私やかましくこの点は言うたことなんです。いわゆる税収入が、このものの見込み限度において道路整備計画を立てるというのが趣旨なのか、私たちから言えば、目的は飽くまでも道路整備ということが計画的に実現されるということがこの法律案の趣意であつて、たまたまその財源ガソリン税を以て充て、それにプラス・アルフアーがあるんだ、こういう考え方でなかつたら、将来この税収入如何、或いは政府財源都合等々で事業がいつも浮動することになる。そんな馬鹿なことではこの法律案趣旨は貫徹できない。従つて提案者としては、道路整備五カ年計画の案というものはあるのか、閣議決定に持込む案というものを示されなければ、そうして計画そのものをこれでよしときめられる、財源的な裏付けはこれでやるということで、そうでなければこの法の趣旨は成り立たんということで、大いにその当時議論をして、そして道路局長のほうからこれこれの案は今考えている案でございますと言うて提示せられたんです。そして今度はその案通りに仮になるとしても、国道線なら国道線でも、実は全国のどこの二級国道、どこの一級国道をどうするという細目に亘つて資料を出せ、それさえも出て来なければ、今度は予算の分捕りというようなことでいろいろ不明朗な問題が起るということで、その点まで私はその当時お伺いしたわけなんです。それがまあまあ私らの危惧した通り、国の財政都合とか或いは財政計画の立て方によつてこの税収入額が三分の二だとか或いは四分の一だとか、こういうふうに浮動するようなことが政府の勝手な立法で、勝手な考え方で出て来るというようなこと自体は、私は参議院としての考え方に真つ向から、何といいますか、矛盾するし、又逆行することを強硬に持ち出して来たんだとしか思われない。確かに三浦君がおつしやるように、十二月頃成案を得るという確約をしておりながら、未だその閣議決定もなし、要綱も出ていない。何ということですか、それは南さんのおつしやるようになるには、これは議員立法なんで、たまたまできたから、できてから研究したような話をしておりますけれども、そうではないのですよ。事実はそうではなくて、建設当局も十分これは裏腹の関係議員立法となつて来て、前回だつたと思いますが、一致した意見法案が通つたものなんです。そうしてこの財源的なものはもう動かせない状態においてこの立法をせられたのがこの立法趣旨なんです。その税収入額を何分の幾らにするというふうにこれを動かすということは、この法律自体自殺行為なんだ、私はこういう意味で誠にけしからんことだと考えております。  もう一点けしからんということは、形式論でございますが、少くとも衆参両院国会意見としてそうして法律なつたものが、未だ陽の目も見ない。二十九年度から実現しなければならん、実施する義務を負わされている政府が、逆に修正して来て、実施を怠るというような、そうして院の意思を覆えすと申しますか、拘束するような、こんな法律案を提出することができるかという点に私ら大いに疑義がある。これは政府法律案提案権はございますけれども国会は新憲法によつて国権最高機関として、この立法府の意思そのものが優先するのだ。その意思を実施される責任を負わされている政府が、実施する前に、これはこの程度に行いますというような法律案などを出すことができるかどうか。この点は他の補助金等の特例に関する法律案審議している委員会等でも、衆参両院憲法違反の疑いがあるということで、同じ考え方に立つ法律案について学者の意見も聞いておるのです。ところがこの意見は賛否半ばしている、そういう疑惑のある問題なんです、手続上も。こういうものを今更建設当局は、実は打ち割つた話、大蔵当局が承知しませんで……、大蔵当局つて何ですか、そんなものはこの立法府から言えば何ですか。この今の政府与党、二百数名を持ち、我が世の春を称えている自由党の力を以てして何ですか。大蔵当局と言うのは、こういうことこそ南さん、その他田中君でも誰でも、これをやつた者が、そうして他会派の同調まで求めた自由党の責任ですよ。こんなふしだらな法案出して来るというのは、内容的には逐次……まあ南さんを吊し上げるわけではないのですけれども、毎日のように文句を言つてやりますが、先ず大前提として、こんな法律案というものを出して来るということは、院の意思というものを行政府が蹂躪し、或いはその責任を負わない怠慢なことである、手続上も違法ではないか。又閣議決定を未だするような計画案それ自体も出さない。そうして財政都合によつて計画のほうは伸縮自在になるのだということは、この法律趣旨から言えば本末顛倒している。こういうような点について責任のある御答弁をお願いしておきます。
  20. 南好雄

    政府委員南好雄君) 三浦先生、小笠原先生の御質問、或る部分については全く私も同感な点があるのでありますが、それで最初から私はいわゆる政府委員の答弁でないように打明けた話を申上げておるのでありまして、この法律が出るまでは、まさしく道路にいたしましても、河川にいたしましてもです。国家財政の見地で大蔵省の査定があり、その査定に異議を申立てて、徹頭徹尾いろいろねばつて、最後に閣議できまるというような、いわば道路費用にいたしましても河川の費用にいたしましても、財政事情によつていつも動かして行くというのが今までの実際でありました。ところがこの法律ができまして、少くともガソリン税相当額というものは道路に使わなくちやならんという大きないわゆる制約ができたわけであります。そこでそのガソリン税相当額道路に使うのに、考え方が二つ出て来るはずであります。それを全部中央で使うか、或いは一部を地方に使わして、ひとしく道路に使うのなら地方にも分与するか、こういう考え方が出て来るわけであります。  御承知通り建設省道路予算と申しますものは直轄と補助に分れておりまして、直轄は三分の一だけを地方が負担する、それから補助は少くとも半分は地方が負担する。で予算額は出ておりましても、事業量と申しますものは予算以上になつておりますことは、もうすでに各委員承知通りなんでございますが、その場合において、中央予算額が、事業量全体がガソリン税相当額に達するようになるか、それとも一部は地方に負担さすかというような考え方があるのでありまして、財政当局の考え方といたしましては、本二十九年度は国家財政の非常に逼迫している点も勘案して、ガソリン税のこの臨時措置法の精神は十分わかるが、一部をいわゆる地方にやつてもらつて、そうして道路の五カ年計画の実施の一部に充てさしてくれ、こういうことが結局最後に政府意見にきまつた。そのために法律改正が必要になつたというのが、先ほど青木君もそういうお答えを申上げたのでありまするが、私も今まで、なぜこの法律が出て来たのかと申上げますると、ガソリン税相当額予算額のうち、中央事業と、それから地方が裏になつて持たなければならんものもガソリン税相当額のうちから支弁する、こういう考え方政府全体がなつたのだと、こういうことを先ほどお答え申上げたような次第なんであります。  で、小笠原さんの質問の第二の点は、少くとも衆参両院一致した院議が、予算の提出権ということで、陽の目を見ないうちに変つて行くことはけしからんという御議論は、私も全く立法府におりまする一人といたしまして多分に共鳴する議論なのでありまして、その点は少くとも私に限りましては、本改正案は最後にはこうなりましたが、改正案の成立経過途中におきましては、私も同様の議論で、少くとも財政当局などにもいろいろ説得をしたのであります。併しさように国家財政が非常に窮迫しておる。それから一兆億予算が或る意味における世論の希望するところでもあるという点も見受けられましたので、先ほど申上げましたようにガソリン税相当額を以て道路に充てるのだ、だが大部分中央、その一部を地方にやつて地方の負担分に充てて行くのだ、こういう考え方なつたわけであります。そうしてなぜ三十一億がいわゆる一般地方費用になり、四十八億だけが五カ年計画道路費用なつたかと申しますと、御承知通りキロ当りの税金が一万一千円でございます。今度御審議を願つておりまするガソリン税が上りまして、キロにつきまして一万三千円になります。そうすると本改正案なり五カ年計画議論しておりました際においては、二百三十九億という、これはキロ当り一万一千円の税収入があるものとして議論しておつたわけです。そういたしますると約三十一億という金が二千円上げることによつて増収になるわけであります。その分だけは地方に分与してもいい。併し残りの少くともキロ当り一万一千円の算定基礎になつてつた四十八億は、両院の全く一致したいわゆる法律にある道路の五カ年計画に使えという趣旨に従うのが、私どもとしてもこれはやらなければならんことだと考えましたので、四十八億は五カ年計画に使うのだ、上つた分のキロ当り二千円の分の三十一億だけは、いろいろ都道府県におきまして道路整備に必要な経費に従来も使つてつたのでありますけれども、そのほうに分与する。こういう考え方に最大限に協調点を見出しまして、四十八億、三十一億に分けて使用するようなことになつたわけでございまして、誠にこう法律が陽も見ないうちにこういうふうに直つて行きますことにつきましては、卒直に遺憾の意を表しまするのでありますが、国家財政の非常に困つておるような点につきましても、政府の一員として考えますると、その間における一つの協調的な態度をとりまして、以上のように分けて作り上げましたことを卒直にお答え申上げまして、一応御説明の資料といたしたいと存じます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今あなた卒直に議員になつた立場で話したり、政府の立場になつて話したり、卒直はいいですけれども、使い分けして、どつちにも都合のいいような御答弁になつたけれども、あなた自身、仮に政務次官でなくて、衆議院の建設委員をやつておられたならば、今聞くような議論は到底起り得ないと思う。素人の私たちでさえもおかしいと思うのです。あなたは今、どうせ従来地方道についてその整備なり補修に金は使つているのだ、その一部に割くのだからいいのだという意見でありますが、従来地方道は平衡交付金等においてそれぞれ財源的に措置されておるのだ、そういうことは十分わかりつつ、このガソリン税収入の相当額を以て国家的な見地に立つて計画的に国道並びに地方重要道を整備して行こうというのがこの立法趣旨なんです。これが院議なんですよ。然るにあなたのおつしやるように、ガソリン税相当額の三分の一をやり、そのうちの四十八億は計画の中に使うのだから同じなんだと言いますけれども、そういうふうに四十八億をやつて、そうして国の計画に基いて紐付きでそれを実施させるとしましても、そうなれば他の面の一般道路費財源というようなものは国から行く分というものは減るのですよ。大体三十一億というものであとは始末せいということになつて、従来の交付税その他において面倒を見ないという傾向が出て来るのです。だから国の財政負担はこれは軽減されても、地方のほうには実際的に道路の維持管理或いは補修等に関する費用負担というものはしわ寄せになつて殖えて行くのです。何ら国で面倒を見られない結果が生じて来る。従来平衡交付金等で算定せられて渡されている金でも、一キロ当り幅員が何メーターなら幾らとか、いろいろ細かい規則を以て計算では渡されていますけれども、それだけでは地方道の維持管理というものは賄えない実情なんです。それが却つて紐付きでこの金が行くということによつて、そうして国家計画に基く地方道を除く一般道路の維持、管理、補修、整備等は三十一億なんだ、こういうことになつたらあとはどうなります。その点が一つ問題点なんです。  もう一つはあなたがおつしやるように、三十一億というのは二十九年度の二千円の増徴額の税収なんだから、これは従来の計画から見れば余分の金なんだ、余分の金を出してやるのだから、従来の現行法に基く、いわゆる議員立法に基く計画のそれとは関係のない、はみ出した金なんだから、その分だけは地方で自由に使うことを認めさして欲しい、こういう意味合いになつて来ると思うのですが、併しこのガソリン税収入額を以て充てるということは、これは最低の限度を示したものなんです、立法措置としては……。そうして提案者も当時から言われておるように、それにプラス・アルフアーがあつて一般財源を投入した計画を以てこれをやるのだ。少くともガソリン税収入の相当額は下廻らないようにしたいのだ。その目安の下にガソリン税相当額とするのだ、こういうことだつたのであります。その立法趣旨からいつても、政府考えておることは真向から逆行する、対立する考え方なんです。そういうことで院の意思をふみにじろうとするその態度を私は先ず問題にする。而もあなたおつしやるように、ガソリン税そのものを分割するのじやないのです、この法律は、ガソリン税収入額というものをいわゆる国家予算中の一般財源のうちから、収入額というものを目安にしてこの道路整備費財源等に充ると、こういうことなんです。ところが今度のやつは、明らかに地方のほうに渡すという七十九億というのはガソリンの譲与税として渡してやる。税そのものを渡してやる。国がとつたものの中からその税を分けるという思想なんです。その点から言うならば、分けるものは分けてやつてよろしいという議論を仮に私が肯定しても、この法律を直す必要はない。この法律ガソリン税収入額の相当額を出せばいいのですから、ガソリン税地方に渡そうが、何にしようがそんなことは勝手だ。渡したいものは渡しなさい。渡したつて、国自身責任を持つてガソリン税相当額を使うならこんな修正を出す必要がない。地方の面倒をそれだけみたいならば大いにお渡しになればよい。或いは仮にもつと切詰めて行くというならば、三十一億だけ渡せばいい。四十八億というものは国定財政一般財源の中にぶち込んでおいて、その相当額というものをここに充てるという修正でも出すほうが筋が通つておる。ガソリン税が分割されたからと言つて何でこれを修正する必要があるか。この立法趣旨からいうて、つべこべ言うとお叱りを受けるかも知れませんが、だから筋道立つたような理で私たちを言いくるめようたつて、それはそういうわけに行きませんよ。
  22. 南好雄

    政府委員南好雄君) 先ず一番先に、私は別に言いくるめようとしてお答えしておるわけじやないのでありまして、こういう結論になるまでのいきさつを率直に申上げて、御納得を得たいという気持から申上げたのであります。三十一億を、向うに七十九億をやるにいたしましても、譲与税法を御覧下さいますればわかりますように、これは道路に使えと言つてちやんと紐を付けて出しております。七十九億のうち四十八億というものは、少くとも当初から五年計画に充てる金であつたからこれを五カ年計画に充てよう。併し税金が上つた分から……、国家財政が許せば、小笠原さんのお言葉の通り、別に三十一億をやらずに、五カ年計画にプラスをすればそれだけ早くなるのでありますから、これも結構なことではございますが、先ほど申上げましたように国家財政が非常に困つておる。困つておるから院の決議は私どもも尊重するが、国家財政の困つておるという点を率直に申上げて、御納得を得て、その間に何とか妥協はできんものかということで、精神を尊重しました結果、こういう結論になつたのだと、こう申上げておるわけであります。四十八億の分は五年計画に使う、三十一億は道路関係するが、五年計画以外の道路使つて行く、併しそのために三十一億しか地方道路に関する費用は使わないというのじやなく、それは従来やつておりましたように九十何億でございますか、それのうちの一部に三十一億を充てる、そうなりますというと、地方財政計画が三十八億ほどはみ出して来る。はみ出して参りますのを大蔵省地方自治庁建設省と三省が協議いたしまして、全般のいわゆる地方財政計画に則ります事業の運用上できるだけ節約をして、三十八億をいわゆる節約して出そう、併しどうしても出ない場合には預金部の資金なりのいわゆる貯蓄の増すものから三十八億は起債で賄つて行こう、こういうことを先ほど青木君がお答え申上げたのであつて、少くともこの措置法に盛られた精神はできるだけ尊重しよう、但し法律通りに実行できない、いわゆる国家財政も非常に困る点もあつたので、三分の一だけはこういうものにして使わして頂きたいというのが本改正案趣旨なんであります。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 議論に亘る点もあるかと思うので、ただ手続上、形式上素直な当時の考え方から類推して私はお尋ねしておつたわけなんですが、あの当時の立法というものは、平衡交付金制度を認めた上で立法がなされておるわけなのであります。国家財政の見地に立つてこの計画が左右されるということでは、五カ年計画というものに値しない。そして又五カ年計画を立てて強行にこれを実施するということは、日本の自立経済を建て直す基盤なんだ、緊急欠くべからざることなんだ、そういう趣旨を以てやつたことなんで、将来においてこの問題等を契機にして産業開発等もでき、税収が相当上廻つて来るという経済効果も十分勘案の上できておる法律なんです。従つて緊縮財政と申しましても、防衛費その他を殖やすという、国民論議の的になつておるものは一方的に強硬に殖やそうとする。こういう内政として、又産業経済の上に緊急欠くべからざるものは緊縮財政と称してそれの犠牲にせられる。而も又同じ国の財政と言つたつて、国と地方を通ずる財政なんですから、国の予算面は一兆円で抑えたにしましても、そのしわ寄せが地方財政にだけに及んで行く。地方で始末せいというやり方が地方税全般にも漲つた思想でありますし、今度の改正の又こういう中にも如実に現われて来ておる。こういう点は相当今後論議しなければならん点でありますが、少くとも今あなたがおつしやつたように、七十九億の、地方における道路費分三十八億というのはガソリンの譲与税を以て充てるということで、その分だけは国が儲かつておる。従来の考え方から言うなうば国が儲かつておる。確かに緊縮にはなつたかも知れない。併しこの分を地方自身が又苦労しなければならん。起債ということが協定せられたと言つてつても、それが又事情変化でどういうことになるかわからん。そういう幾多の問題があることを考えるならば、少くとも建設当局としてはその院の決定を背負つておる限り、強硬にこの財源は確保すべきであつたということを私は申上げなければならん。それでもなお且つあなたたちとして、約三十一億は上廻つた分なんで、既定の計画通り四十八億を含む金を充ててやつて行くのだから、御心配は要らないとこう言うならば、先ず私は委員長にもお願いしますが、この五カ年計画内容を細部に亘つてこの委員会に御提出願いたい。そうでなければ実際既定計画が変更せられたものやら変更せられないものやら、完遂できるものやらできないものやら我々にはわからない。従つてあなたの意見裏付けるためには、その道路計画ですね、五カ年計画を御提示願いたい。
  24. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 関連して。それに併せて私はこの法律整備法の政令、これを見てみるとどうも出ていないように思われる。五カ年計画を出すためにはむしろ政令を出す必要があるのだが、政令一つ出ていない。そうしてあなたのほうは院議を非常に尊重して何とかと言つているので、全く私は詭弁というか、その場逃れの何物でもない。而も一方譲与税に関するところの政府法律説明提案理由、これを見ても、五カ年計画五カ年計画と言つてれいれいしく引用しているんですね。何が五カ年計画です。そういう根本の問題が全然わからないというよりは、しようとする意思がないのに、そのない砂の上に立つて五カ年計画五カ年計画、何を言つているのだと私は思うんですよ。併せてその点をはつきり、政令というものをあるなら出してもらいたい、五カ年計画は当然です。そうしてこの審議の対象の根本になるんですよ。而も五カ年計画的なあの法律の主眼であつた道路整備というその意図がどの辺まで一体尊重するように考えておられるのか。我々は全然零だと言うんですが、若し零と言われて困るなら出してごらんなさい。
  25. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  26. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を起して。
  27. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。小笠原委員三浦委員から最も私たちの心配しております点を重ね重ね御指摘頂いたので何とも恐縮なんでございますが、私たちも両院が全会一致で以て通過いたしましたこの臨時措置法と申しますものは、これは両院の本当に厳たる意思であります。できれば政府でこれをこのまま守つて、そうして道路五カ年計画を速かに実施してほしかつたのでありますが、先ほどから何度も申上げておるように、本年度、二十九年度予算全般について見られます通り国家財政が非常に窮迫しておる、こういう点もございましたので、先ほどお答え申上げましたように、考え方といたしましては五年計画地方が負担しなければならん分にガソリン税相当額のうちの一部を充つて行く、こういう考え方建設当局としては必ずしも当初からこれに賛成でなかつたわけでありまするけれども国家財政が非常に窮迫しておる二十九年度に限つてはこういうふうにやるのだ、こういう点で止むを得ず、我々といたしましてもそういう考え方も絶対考えられないわけではないわけでございまして、三分の一の相当額だけは地方にやる、こういうような考え方政府部内として一致したようなわけでございます。
  28. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 政府予算が緊迫して止むを得ないとおつしやるなら、防衛費になぜこの法案を変えても出さなければならんか、それだけ聞きたい。それは私はむしろあなたよりも、提案した自由党の諸君に聞きたい。それはあなたの答弁よりも自由党の諸君の答弁を願いたい。私は今日は時間ありませんから……。
  29. 南好雄

    政府委員南好雄君) お答え申上げます。赤木さんの御質問でございますが、私も自由党員ではございますが、むしろ御意向を察知いたしますると、或いは私よりも提案者である方のお答えをむしろ望んでおられるようでございますから、いずれの機会かにおきましてそういうようにいたしたいと思つております。  ただ私繰返して申上げますが、両院の意思をできるだけ私たちは尊重するように努力したのでございます。誠に微力で申訳ないのでございますが、事ここに至つたのでありまして、一つその点御了承願いまして、できるならば速かに御審議、御賛成を得まして多少傷はついておりますが、五カ年計画そのものを早く陽の目を見せて、そうして国家の道路計画と申しますものを推進させて頂きたい、こう考えておるような次第でございます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう時間がございませんから、私は南政務次官は、それは政府を代表するということで頭は痛いことであると思うから、端的に道路局長に伺いますが、昨年度我々に提示せられたようなああいう資料に基いての五カ年計画は、こうした事態になつて実現できるかどうか、端的に担当責任者として御答弁願いたい。又先ほど要請しました資料の提示ができるかどうか、この点も委員長から私確かめておいて頂きたい。
  31. 南好雄

    政府委員南好雄君) 道路局長がここにおりまして、私がその横から品を出しては恐れ入るのでありますが、道路局といたしましては、五年計画そのものはすでに道路局の案がまとまつて建設省の案として今審議中なのでございます。で遠からず私はまとまるものと思いますから、審議途中ではございますが、私たちも極力促進いたしまして、閣議決定案ではございませんが、閣議稟請案になるべきものをお手許に配付いたしたいと、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 道路局長の答弁。
  33. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) 只今政務次官から申されましたように、道路局としましては五カ年計画の案も持つておりますし、又政令の案も持つております。これから関係各省との折衝がございますので、それが終りましたら閣議出したいと考えておりますが、その案がまとまりましたら提示できると考えております。  それから前に考えました五カ年計画と今考えております五カ年計画とでございますが、これは事業量にしまして、只今考えております五カ年計画は前回のものよりも多少上になると考えております。と申しますのは、ガソリン税が上つた関係もございますので、その程度事業量は持つて行きたい考えでございます。
  34. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私最後にですけれども、どうも私は最も問題にあなたたちもしなければならんし、誠意を以て答えなければならないと考える五カ年計画及びその政令ですよ。これを今のようなことを聞いて全く驚いたのです。あなたがたは一体院の両方の経過から考え、これは随分慎重に議論をし、審議されてできたのですから、法律ができた以上は、法律趣旨に副つてやることは勿論のことだ。これは法律が通れば、憲法にだつて法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」というのが内閣責任になつております。ところがその前提である予算の問題にからむ前にこの五カ年計画というのはできていなければいけないのですよ。政令を出していなければいけないのです。それも一つも出さないでおいて、予算の上でつべこべつべこべ言つていたつて、そんなものが責任を以て法律を執行しようとした態度か。私は根本問題はそこにあると思う。それに対して答えもしないで、今聞いてみていると、これが又建設の当局の作つた案はございます、それが実態じやないか。それならば、如何政府は苦慮してあの法律の実施を忠実にやろうと思つておりましたのですが云々……、何が一体、それは言葉の上だけですよ。私はそういう誠意のないことでは全く問題だと思うのです。この点を今もう聞いたつてしようがない。どう答えるのがあなたの立場かどうか、よく考えて返事してもらいたい。この次で結構です。
  35. 南好雄

    政府委員南好雄君) 三浦さんの御質問お答え申上げます。  御承知通りこれはたしか七月の終りに法律通りまして、案を整理いたしまして、十月の初め大蔵当局に正式に会議をいたしております。ところがその返事がなかなか得られませんものでしたから、どうしても正式の閣議の稟請案にならないのであります。これは三浦さんもようその間のことは御承知のことと思うのでありますが、道路五カ年計画案そのものは裏付けになる予算を伴うている関係上、財務当局も財政事情その他を勘案して、うかつには私は返事ができないのだろうと推察いたしているのでありますが、私のほうといたしましては、もう前々事務的には折衝しているわけであります。なかなかこの案が一致しなければ閣議稟請案にならんものであるから、こういう醜態をお見せしているわけでありますが、少くとも五年計画建設省案といいますものはこれはお見せすることができると思います。
  36. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私が知つているとか何とかいう穏やかならん言葉でありますが、私は毫も知らない。第一この問題について、この審議の際、この五カ年計画というものは、今日の財政窮乏の際ではあるけれども、どうしても直さなければならないところの計画というものは、その良心的な意味で完全にお作りになり、そうして閣議に諮られて、そうして予算に絡んで、これが併し残念ながら或る程度直す、修正されるという場合があるだろう、そのためにこそこの第二条の三項によつて道路整備五カ年計画を変更しようとか、ちやんと途を作つておるんでしようねと、こう言つたら、そうでありますと言つてつたじやないか。私は何も予算に絡んで道路五カ年計画を立てろなどとは豪も我々は言わない。道路というものを計画的に整備して行くということがこの法律狙いなんだ。それを予算に絡んで、どうも出なかつた財政が伴うから閣議決定に至らなかつたということでは本末転倒だということは明らかなんですよ。そういうことで一体何が忠実な法律の施行に任ぜられる一人としておられるか。甚だあなた個人に対しては御迷惑な失礼な言い分になるけれども、そういうような法律の扱い方自身は私はその内閣責任だと思うのですよ。本当に。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 速記録を御覧になればわかるが、私もその点は強く駄目を押したわけなんです。私は飽くまでも財源都合によつて計画が左右されるようではいけないし、その計画そのものが妥当であるかどうかということも、こんな無理な法案を通す限りは、我々は責任を持たなければならない。従つてこの五カ年計画の案なるものを法律に付して法文において明確化しておいて、将来においてこれらが左右されないという措置までとらなかつたら、こんな法律など通してもどうされるかわからないのだいうことさえ再三言うたのだ。提案者並びにこれは建設当局も出て、絶対信用してもらつていい、この法律さえ通るならばもう明日にでも関議決定できるようなことで鋭意こういう案で進めておるのだというようなことで、非常に大見得を切られて、それならば、それだけの自由党に熱意があるならばやれるだろうと思つて我々は賛成したのです。ところがあに図らんや、こういう状態になつておる。その当時の政府なり或いは政府与党なりが我々に対して言明しておることを裏切つておるのです。そういう点については、あなただつて恐縮しますと言うよりほかは言えないだろう。もう言われないでもいいのですけれども、こういう事態になるについては何回も念晴らしに言つておいた。どうなんでしよう。
  38. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  39. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を始めて下さい。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  40. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では只今より建設委員会を再開いたします。  前回に引続きまして住宅金融公庫法の一部を改正する法律案質疑を御継続願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ちよつと速記をやめて……。    〔速記中止〕
  42. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を始めて。  なお、出席政府委員は町田首都建設委員会事務局長、渋江計画局長、鮎川住宅経済課長でございます。順次御発言願います。
  43. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今度の法案を見ますと、今までの公庫とは大分性質を異にしていまして、土地の造成までも関与するとなつております。この前の委員会にお示しになつ一つの例を見ましても、東京で十二万坪の土地を造成する、こういう案を示されております。この東京に土地がどの辺にあるか存じません。又この取得費が果して適当であるかどうかも、これはこの前の委員会で随分論議された点であります。ただ私の承わりたいと思うのは、こういうふうに大きな土地を住宅公庫は対象として仕事する場合に、これは東京都の首都建設とも非常に関係するし、無論建設省計画局としても十分お知りになつているべきことと思うし、又知つておられねばならんことと思うのです。従つて今までと、この法案関係上公庫の性質も変りますので、その間首都建設委員会並びに建設省の他の局とはどういう連絡が取られていますか、その点を承わりたいと思います。
  44. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 御指摘のように、この土地開発事業は、都市計画地方計画等の問題にも関係いたしますので、内部におきまして関係局とは連絡をいたしてこの法案の作成に当つたわけでございます。
  45. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 計画局といたしましては、今鮎川さんのお話の通りに、事前にこの事業に対する連絡はあつたものか、又その連絡は果して正しいものか、又首都建設委員としてもどの程度までこの土地に対して、この首都全体の計画の部面から諾否を与えておられるのか、その点を承わりたいと思います。
  46. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 只今の御質問の点でございますが、法案自体内容につきましては、建設省の省議を通じて決定になつておりますし、勿論それに対しましては、内部の各局といたしまして、計画局なり或いは首都建設委員会事務局なり、それぞれこの内容につきましては審議もし、それについて同意を与えた関係に相成つております。で、ただ都市計画との関係、或いは首都建設計画との関係、これはやはり御指摘になりましたように、個々の具体的な宅地開発事業の候補地域につきましては、おのずから出て参ると存じます。個々の宅地造成ということでなくて、一団地の宅地を開発するという一つの規模を持つて参りますれば、殊にその関係は深いことになつて来るのは当然でございまして、そういう関係から、個々の具体的な宅地開発事業地域を如何に選定するか、それに対する計画をどう立てるかということにつきましては、今後この運営として密接な連絡を取らにやいかん、かように考えておるわけでございます。
  47. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 首都建設委員会のほうはどうでしよう。
  48. 町田保

    説明員(町田保君) 只今計画局長から御答弁がありましたように、この方針については省議を通じて私ども十分了承しておるのであります。ただ具体的な場所につきましては、目下首都建設委員会といたしましては、調査費を頂いて調査をいたしておりまして、東京の周辺に二十カ所ばかりの適地と思われるようなところを具体的に調査をいたしております。住宅局とはこれらの場所については、我々のほうでこういう場所の調査を目下しつつある、適当なところと思える場所ばかりを選んでおるのだということが住宅局と連絡してあり、住宅局も資料を提出してございます。ただ具体的にここにやるのだということは、これは今後の御相談のことであろうと存じておるわけであります。
  49. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 きのうお示しの理由を見ますと、坪当り二千五百円とありますが、これは平均の坪当りか、或いは一団地の坪当りか存じません。併し私は恐らく一団地の坪当りと思つて論議していたのです。これは住宅局のほうでは、坪当りはこれは一団地の坪当りか、或いはほうぼうの各分散している土地の平均した坪当りでしようか。
  50. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この提出いたしました資料の坪当りと申しますのは、或る一定の地域におきます具体的な場所における坪当り価格でございまして、平均的な意味ではないわけでございます。勿論その団地といたしましては、一応平均的な問題になりますが、東京、大阪、神奈川におきます平均的な坪当りではないわけでありまして、各地域によりましてこれよりも低い場合、勿論高い場合といろいろあるわけではございますが、ここに掲げておきましたのは、こういうような地域が一応現在考えられる。但しこの地域が公庫融資によりまして、開発されるかどうかということがまだ決定されておるわけでもございませんし、こういうただ一応の地域が予想されておるという例でございます。
  51. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この造成予定の東京の場合でありますが、造成予定の十二万坪というのは、これは団地としてたくさん分れているものでありましようか、或いは一団地か、どうなんでしようか。
  52. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この掲げておきましたのは、各一団地のあれにこの程度の数があるという資料でございます。このほかに各府県等におきましては、団地は更にいろいろあるわけでございます。これは或る団地の一つの例でございます。
  53. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今お話の通りに、十二万坪というのは一団地のように考えられますが、又それに対する総額の金、あれは坪当りになつております。それでこの金とか坪当りは、私今聞こうと思いませんが、ただ一団地の十二万坪という、そういうふうな具体的に示されたものについて、首都建設委員会或いはその計画局とはどういうふうな関連性を持つてこれを決定されているか。これは今後首都建設としても、或いはひとり東京のみならず、大阪、神奈川、兵庫等におきましても今までと様相を異にしていると思いますが、密接な関係があると思いまして、かように念を押している次第であります。現にその事実を示されております。その示された事実において、どれほどの関係を持つて、この一団地が今後の首都建設には、これがこういうふうな宅地を造成して、果して首都の面目を保ち得るかどうか。或いはこれよりももつといい所はありはしないか。坪当り若し高くても或いはもつと安くても、遠い所がいいとか、そういう所があつて然るべきものと思う。計画局としても当然それは具体的の例が示されておりますから、この具体的な例によつて当然計画されているはずと思いますが、その点を聞きたい。
  54. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この資料に出しております例は、ただこういう地域が、開発をすればまだ開発できるところの地域があるというための例でございまして、これを直ぐに開発地域とするとか、これだけの坪数がすぐにこれによつて開発されるという例ではないわけでございまして、実際に開発をいたします場合には、具体的な問題になりますのでこれにつきましては先ほど関係の局長が述べられましたように、十分に個々の問題につきましては打合せをし、連絡を行いまして実施いたす考えでございまして、これは飽くまでもただこういうところに開発ができる地域があるという例にだけに過ぎないわけであります。
  55. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ここにお示しになつた例は具体的なものでもなし、まだ夢みたいなものですね。
  56. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 現実にこういう地域はあるわけでございますが、ただこれがすぐに公庫の融資によつて開発される地域として決定された地域という意味ではないわけでございます。
  57. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 併しこういう開発計画土地があるのだということについて、計画局なり或いは首都建設委員は御相談にあずかつておられましようか、どうでしようか。
  58. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) この宅地開発計画一つの例として示されました東京を初めといたしますいわゆる大都市を中心とした開発適地というものに対する一つの造成費なり或いは譲渡価格の基準という点につきましては、実は私どもまだ深くこれについて担当局である住宅局との話合いをつけてはおりません。従いましてここに挙げられたこの取得価格なり或いは造成費なりにつきましては、なお検討を要する余地があるだろうというふうに考えております。ただ私もさつきこの資料を拝見しまして、いろいろ考えおるわけでございますが、従来の都市計画の上で考えられておるいわゆる宅地の整備と申しますか、住宅地帯のこの区画整理、それらとの単価的な比較という問題になつて参りますと、事情が非常に違つておる点がかなりあるのではないか。即ち、すでに開発された宅地の手直しとしての整備と、それから今後宅地化したいという地域における一つ事業内容とはおのずからそこに差異がありまして、そういつた点につきまして、例えて申しますならば、盛土、切土といつたようなこの土地の整地の事業費とか、或いは給排水、電気、ガス等の施設費とか、そういつたような点につきましては、かなり新規造成の宅地についてはこれらの点についての費用が嵩むことは考えられると思います。いずれにしましても、そういつたような従来の土地、宅地の土地整理事業と、単価の上では違う点はありますが、併しいずれにいたしましても、そういつた具体的な、先ほど申上げました地域に対する価格のとり方、或いはそれに対する事業費のとり方、これらにつきましては十分担当局と打合せをし、計画局の立場においても適正な意見を申上げて、事業効果が上るような仕組にしたいと、かように考えております。
  59. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は住宅の不足している今日において、一戸でもたくさん住宅のできることを希望いたします。併しもはやそろそろ首都全体の考え、各都市においても各都市の計画というものを具体的に考えて行かねばならん時代と思います。その観点からして、計画局といたしましては、仮に今お示しになつた十二万坪の土地があるとして、これは或いは衛星都市の関係もありますので、こういうふうに、言い換えるならば衛星都市的に或る団地を東京の中心から離れたところに持つのがいいか、或いは現在東京都内に空いている土地を成るべく手入れして、そこに住宅を建てたほうがいいか、この二つの根本の相違に対してどういうふうに計画局としてはお考えでしようか。
  60. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) この問題につきましては、先般の参議院の委員会でも委員の皆様がたからいろいろ御指摘がございました。端的に申上げますと、既成市街地においては公共施設の整備を中心とする都市計画事業というものは考えられますが、併しそれにいたしましても、やはりこの不燃化を中心とする構造制限を或る程度つたこの都市計画、いわゆる立体的な都市計画の姿にどうしても既成市街地に対しては形を変えて行かざるを得ないというふうに私ども考えております。一方におきましてまだ市街地化しない未開発な、市街地としては未開発な地域における手当、これは正直に申しまして、今までの都市計画事業が主として災害その他の跡仕末として行われていた関係もございまして、実はそういう地域に対する都市計画が、或いは街路の整備でありますとか、そういつたような点につきましては若干ございましたが、全体的な都市計画というものが事業化されている実例が実はどつちかというと少いかと考えております。で、この前も御指摘になりましたようにもう市街地の人口の密集度合、そういつたような点から考えまして、今後の都市計画一つの重点は、やはりそういう未開発地域と申しますか、市街地としては今後の問題に残されている地域の都市計画をしつかりやつて行く、こういうことが一つの問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  61. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 日本の住宅は今まで木造が主でありました関係もありますので、無論家の高さも違いますが、三階建その他の高層家屋を建てる場合におきましては、どうしても中心を市街に置くより方法はないと思うんです。果してこういうふうにただ土地が得られるから、東京の中心から相当遠ざかつた距離にとにかく土地開発という意味において金を投ずるのがいいか、よし金はたくさんかかつても、先ず都市のそれ自体の形を作る、いわゆる本当の都市計画の観点から、この東京都におきましても根本的に改革といいますか、改造といいますか、改造して住宅の住みよいところを作るというふうに進むべきじやないかと思いますが、それに対する都市計画のもう一度お考えを伺いたいと思います。  もう一遍言いますと、私は現在の東京都におきましては、ただ郊外に発展するよりも、もうすでに東京都そのものが、旧東京にしましても面積が広過ぎますから、成るべく面積を狭くして、高層のものをやる時代に来ていると思うのでありますが、どういうふうにお考えでしようか。
  62. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 御指摘になりましたようにこの都市計画の原則と申しますか、根本的な考え方としては、今御指摘になりましたように既成市街地においてはやはりこれをコンパクトな形にして、建築或いは住宅、そういつたようなものにつきましては高層化を図つて行くということが、これが一つの方法であろうというふうに考えております。併し一方それだけで現在の実情に副うかどうかという点になりますと、やはり既成市街地だけにそういつたような手当を施すということだけでは恐らく現実の需要を満たすことは甚だ困難であろうというふうに考えられます。そういつた意味におきまして、この前も申上げたかと思いますが、衛星都市の整備の問題、或いはここに今回の住宅金融公庫の改正の上で取上げられております新らしい住宅適地の開発事業、そういつたようなものがやはり相平行して行われるという必要が私はあるんではないかというふうに考えているのでございます。
  63. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今、局長のお話の一部は肯定できますが、一部は私はどうも肯定できないんです。つまり今のこの宅地開発のように、まあ分散といいますか、東京のサブアードのこういう衛星都市的のところを作るのもいいようなお考えでありますが、やはり都市計画としての場合、先ほども言う通り、又計画局長の言う通りに中心に成るべく集つて高層の建物にすべきだと思うんです。そんならばそういうふうに今後の開発計画、その他のほうの資金を運用する観点から、都市計画といたしましても、この法案を作られる場合に、やたらに新らしい遠隔の土地を開発するよりも、むしろ従来の東京都内を成るべくコンパクトにし得るように金を融通する、そういうふうに協議でもされた点かあるでしようか、知りたいのです。
  64. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 住宅局の立場といたしましては、先ほど申上げましたように、この住宅に要します敷地問題のことから、都市計画地方計画にいろいろと関連をいたして参りますことは、先ほども申した通りでございまして、現在の宅地問題を解決するという観点からばかりではなく、将来の都市の発展、都市の姿というものとの十分な関連の下にこの計画を実施しなければならないわけでございまして、これにつきましては十分内部においても相談いたしますと共に、今後実施いたします場合には更に具体的な問題につきまして、それぞれ関係部局と緊密な連絡の下に実施いたしたいと考えております。
  65. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 わかりましたが、私と根本のお考えが相違しているのです。先ほどもくれぐれも申す通りに、成るべくコンパクトな東京都にすべきである。御承知通りに食糧にしても余りない日本でありますから、余り農耕地を住宅地にするよりも、現在ある住宅を、一戸の戸数なら、そこに三戸も四戸も住めるようにいたしたならば、宅地が今よりも少くて済むわけです。そういうふうにどうも住宅局と都市計画のほうと協議しておられるように見えないのです。又一面に首都建設委員会もそういう点においてどの点まで協議しておられるか、非常に私は疑問に思うのです。こういうふうに野放しにしておきますと、又行詰る時期が来ますから、果してどこまで協議してこの法案をお作りになつたか、それが知りたいのです。
  66. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 只今赤木委員から仰せになりました点は、成るほど御尤もな点がございます。一方から申しますと、これは住宅の量的増産を図るという考え方があるわけでございますが、一方又この都市計画の立場としては、建築物を離れた、いわゆる街路網の整備でありますとか、そういつたような形にやや重点の置きどころがあつて、そのピントがややこの両方が合致しないという形で行われておつたいうことも、今御指摘になりましたような印象を抱かれる一つの原因であろうと思うのです。これは先ほど申上げましたような考え方に基きまして、どうしてもこの既成市街地における都市計画の行き方としては立体的な都市計画、即ちこの建築物との関係を離れた都市計画ということは無意味でありますので、そういつた点につきまして今後密接な連絡が必要であるというふうに私ども考えております。ただそれだけで現状に対する都市計画の要請に対する答えとしては十分であるかということになりますと、これは一例を首都建設の場合に、東京都の場合にとりましても、今後想定される人口が仮に千数百万に達するという場合を考えました場合に、これを限られた地域にコンパクトに収容するということは事実上不可能であります。そういう点を考えますと、やはり或る程度これはこの都市計画の上でも分散する体形をやはり考えなければならない。その一つの現われがやはり私は衛星都市の考え方ではないかというふうに考えておるわけであります。
  67. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それは誠に巧みに申されましたが、実際には両方に通じていないのです。この法案を見ましても、これはやはり先ず東京、都市中心ということに全然なつていない。やはり東京のサブアードのほうに主に行つているのです。そうであつては立派な都市はできない。やはり或る程度は中心に集める、二階のものは三階なり四階にする。ベルリンも戦前世界の有数な市でありました。ああいうふうに勿論富は違いますけれども、だんだんそういう形に持つて行くのが本当の都市計画です。特に住宅と都市計画は不可分です。これを二つの局でなさるというのは非常に間違つているのです。局が二つありましても、一つの局として手足のように密接な関係計画なさつて初めて公庫の運用によつて本当の都市ができる、こう思うのです。都市計画のほうから言うと、住宅局の関係だからして直接関係ないとおつしやるかも知れませんが、これは非常に重大な関係があると思うのです。又東京都の首都建設委員会としても、これは重大な関係があると思うのです。それでわざわざお越し願つたのです。ただこの法案審議して通過していいだけでは、今後立派な都市もできないし、折角公社が宅地を開いて家を作つても、そこまで行くのに非常に不便で住む人も困る。それではむしろ、少々金が高くても、東京の中心に二階のところは三階にするとか四階にするとか、そうして住みよい都市にしたほうが将来のためにいいと思つて私は質問するのです。
  68. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 只今御指摘になりました点は私ども同感でございます。従つて今回のこの法案に盛られた宅地造成事業、それを都市計画の観点から十分協議もし、又それに対する我々の意見を加えて、この計画がなされるように是非我々としても協力もし、又連絡をとつて参るという考え方にいたしたいと思います。ただこの既成市街地の問題に対しては、これは既存の建築物との関係考えて参らなければならないわけでありまして、宅地としての適地を市街地に求めて行くという点につきましては、具体的な処理方法において、既成市街地よりもややそういう郊外地に求めて行くという趨勢にならざるを得ない根本の理由は、やはり既存の市街地の建物、権利、そういつたようなものに対する補償措置、そういつたようなことがやはり考えられて参りませんと、事実この解決は非常に困難だという点があるというふうに私ども考えている。
  69. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今局長の言われたように既存の市街地の土地所有者、或いは宅地所有者の権利、いろいろとあります。それをお考えになるべきは当然なんです。それが少しも今まで考えてないのです。だからしてのつぺらぼうに広い街になつて、実際住む人は困つてしまうということになりますから、今局長の言われた通りのことを考えて欲しい。私の考えはあなたのお考え通りでありますが、それが一向実際においてはこういう法案には盛られた例がないのです。却つて逆になつていますから、それではいけないというので、こう私は申すのです。併しこれ以上私は質問いたしましても同じことですから、私の意のあるところはそういう方針ですから、同じ建設省におられるのですから、今私の申したこと、あなたの御意見と大した相違はないと思いますから、その方針に向つてつて欲しいと、私は特にお願いいたします。特に首都建設委員会は都市計画と重大な関係がありますから、首都建設委員会においても私の言つたことを十分検討して欲しいと思います。
  70. 田中一

    ○田中一君 今赤木さんの質疑に関連して言いますが、渋江さんは今のような郊外の敷地造成というものがあなたお嫌いなんだね。東京都の十二万坪のものが新らしく無計画にできた場合には非常にこれは今後困るという気持は持つていますが、あなた恐らく最初の原案構想に対しては参画していないように思う。参画していればもう少しあなたが頭に描いておるものを言えるはずだと思うのですが、今赤木さんの御質問のつぼを外すように御答弁しているが、事実においてあなた御自身計画局長としての良心から言えば、このようにあつちに三千坪、こつちに五千坪、こつちに一万坪というようなものを平面的に、それもこの程度の造成費では完全な住宅地や宅地はできやしません。そういうものをやられちや困るという気持があるのです。それを何とかしてこの法案に結び付けようと思うから、苦しい答弁をなさるのであつて、殊に今市街地における地価が高いの安いのと言つて、高いから得られないというお考えなのか、どこまでも高いものとおきめになつているのか、あなたはこの都市計画その他を担任している局長として、現在の地価とか現在の市街地の土地の動きというものはどうなつておるかという点はお調べになつたことございますか。
  71. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 市街地の宅地政策全体の問題につきましては、いろいろ見方があろうと思いますが、この価格そのものについては、これは或いは私の見方が間違つておるかも知れませんけれども、必ずしも安いとは考えておらないのでございます。
  72. 田中一

    ○田中一君 一つの例を言いますが、渋谷で東京都住宅協会が建てた十階建のアパートがありますね。あれは幾らで建設されたか、御存じですか。これは首都建設委員会のほうへ聞けばわかるか知らんけれども、幾らであそこは建設されたか。
  73. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 今ちよつとここにはつきりいたしませんので、後刻又調べて申上げたいと思います。
  74. 田中一

    ○田中一君 大体市街地の建物がどうのこうの、敷地はどうのといつて検討していない。それは無論何もない原野を開発すれば調査も何も要りやしませんよ。これは幾らぐらいで売れるかと思うからやるのであつて、実際に国民経済の上から、或いは国家経済の上から、都心から少くとも一時間半、二時間をあらゆる交通機関によつてつたほうが利益か不利益かということを検討されてないのです。或いは渋江さんは車で朝晩通うからいいか知らんけんども、少くとも十二坪や十三坪の家を持つ人は庶民であります。こういう人たちが一時間半も二時間も乗物や泥んこの中を通つて、これは非常なロスだ。従つて今赤木さんの質問しているように都心に近いところには、少くとも徒歩で十五分か三十分のところには既存のというか、造成された土地、これを立体化すれば、結局私は造成費か何か入れて、これ四千四百四十四円とかいう単価になつておりますが、その日常の生活の上におけるロスというものを加えれば、ずつと都心に近いところに住んだほうが国家経済からいつても、国民一人々々の経済からいつても利益だと思う。そのようなところに改めて土地を求めるなんということは、市街地に土地がないならば別ですが、たくさんある、空間があるのです。これは甚だこの法案そのものにだけ、立案者が自分の立案した面子にこだわつて、本当に目を開いてないと思うのです。そういうような気持がぴつたりと表現されて、併しこの際は自分のほうは智恵がなくてこういうような方法がない。殊に政府や与党からもこういう要求があるんでやつているんだ、本当のことを言つてくれれば、又立案者の何もあるから、条件を付けて何しないでもないわけなんですよ。ただこれにこだわつて、幾らでも空地があるんです、幾らでも建てる余地があるんですよ。そうしてこれは国民に結局売つてやるんです。分譲するんですから、結局こういうことで借りた人たちは、二十五年かそこらで以て木造でばらばらになつてしまうんです。国民の負担が重くなつて来るんですよ。こういう点でもう少し詳しいデータを出してもらえませんか。例えばあそこのアパートに住む人たち、この人たちの実際の現在の住み方を調査願い、且つ立川か国分寺かの、あの辺からでも通つている人たちがどういうものであるか、その調査も一つ両方で、住宅局並びに計画局で以て協力してその資料を出して頂きたいんですよ。そしてできるなら私は公聴会を持ちたいと思うんですよ。全く車や何かで通つている人たちと、時間九時、十時に出勤の人たちと、これは比べものにならないんですよ。これは渋江さんに失礼な、甚だ申訳ございませんが、この点は本当に庶民の住宅ということを考えられて、根本的な検討をもう一遍して欲しいと、こう思うんですが。
  75. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 赤木委員からの御指摘になりました点は、成るほど私どもとしても十分留意すべき問題点だろうと思います。即ち市街地の、先ほど都市計画として立体的な都市計画という点を計画上の一つのプリンシプルから申上げたわけでございますけれども只今観点を変えて、この宅地の地価と、それの高度利用による経済的な国民経済に与える影響という点から、いずれが国民経済にプラスするか、或いはそれに伴う個人経済にも延いてはプラスになるかという点を御指摘になつているわけでございまして、そういう点につきましては、今後の具体的な地域をきめる上においても十分私どもとしましても検討をいたしたいと存じます。只今御指摘になりました資料につきましても、後ほど整備をいたしまして御審議を頂きたい、かように存じます。
  76. 田中一

    ○田中一君 私、委員長にお願いするんですが、もう大体細かい問題は……逐条は別ですが、逐条に入る前に公聴会を持つて頂きたい。証人を呼んで頂きたいと思うんです。これはどうしても公述人を呼んで一遍聞かんとなかなかその賛否は言えんと思うんです。それも、或いは何でもいいから実さえくれればいいんだという人たちもあるだろうし、せめて宅地の、庭の五十坪もあるようなのを欲しいんだという人もあるでしようが、結局少くとも国民の意思を聞きまして、その上でこの法律に照し合わせて判断したいと思うんですが、私はその逐条に入る前に、今総括質問をやつているわけですから、逐条に入る前にそういうような措置をとつて頂きたいと希望します。
  77. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記をとめて下さい。    午後三時二十三分速記中止    —————・—————    午後三時五十四分速記開始
  78. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を始めて。質問を御続行下さい。
  79. 石井桂

    ○石井桂君 今までにいろいろな委員の方から御意見がございまして、都市の中心には高層建築を建てて、そしてそれを住宅として使うのが最良の方法だという趣旨の御意見、又それに対する政府委員の御答弁がございましたが、私もそれと全く同じなんですが、併し毎年各都市で何万戸という住宅を建てます場合に、その住宅の所要の土地というものは大きな面積に上ります。従いまして一挙にして耐火構造を建てて、そうして必要な住宅の数を充足するということは非常に困難なことは明らかでありまして、これに対して比較的郊外に近いところに宅地を造成して与えるということは、住宅政策から言えば私は現在の段階においては最も適切な方法だと思うのです。従つて私としては、東京都に例を取りますと、十二万坪の敷地の対象としては、主として郊外の家の建つてない所を対象としておるか、或いは都市の中で、つまり都市の中でというのは、周囲に道路や給水・排水或いは電気、ガスの設備のある、それに囲まれた空地が、例えば元軍用敷地のようなものがあります。そういう所も含まれているかどうか。その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  80. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今の御質問の、この東京の場合におきまする十二万坪の中に軍用地その他が含まれているかというような御質問でございましたが、これはこの東京におきます二十三区内の或る地域がこういう条件の下において開発すればできるという例でございまして、この中にはそういう軍用地その他は含まれてないわけでございますが、併しながらこの開発の適地といたしまして、そのほかに軍用地その他もあり、或いはそういうほかの場所におきましても開発予定地があれば勿論、ほかの条件が充たされますれば、こういう点は当然開発の対象になると考えておるわけでございます。
  81. 石井桂

    ○石井桂君 十二万坪の敷地は具体的に言うと主として郊外の家の建つてない所でありますか、もう一遍お聞かせ願いたいと思います。
  82. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) これは私も現地において見たわけではございませんから、どの程度家があるか、よくは存じませんが、現在若干の家は建つているように聞いております。
  83. 石井桂

    ○石井桂君 それでは方面を変えまして、私はこの法律要綱案の中に、すでに同僚委員から聞かれた公庫、地方団体、又は業務を実施するに適切な組織と能力を有する法人ということについてお伺いしたと思うんですが、適切な組織と能力を有する法人ということについては、すでに田中委員からも何度も懇切に質問があつて、大体わかつたわけなんですが、承わるところによりますと、この案は事務当局の元の原案には公益法人というふうに限られた法人であつて、途中でいろいろな人の意見が入つて、例えばまあ自由党の政調会というような意見が入つて、ここへ直されて出たということも聞いているんですが、そういう事実はありませすか。
  84. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今の御質問は、この開発事業の対象となります法人等の問題につきまして、自由党の政調会その他の意見によつてつた点があるんじやないかという御質問だと思いますが、この法律案並びにこの法律案要綱は、昨年度におきます住宅金融公庫の業務の概況、又数年に亘ります住宅金融公庫の業務の概況からいたしまして、昨年度におきまして、特に建築費の値上りとか或いは土地の値上り等によりまして、非常にこの従来の利用と変つた点が出て来た。いろいろ困難な問題が出て来まして、一般の国民階層が利用しがたくなつて来たというような現象が若干見えて参りましたので、そこで建設省においては勿論この問題について検討をいたしますと共に、建設省の付属機関になつております住宅対策審議会におきましてもこの問題を取上げまして、数回に亘りまして部会を開き、その結果としまして、本年の一月の中旬頃に建設大臣に対しまして建議書が提出されたわけでございます。この建議書に基きまして、建設省におきましてはその趣旨に基いてこの要綱を作成いたし、並びに法律案の具体的な準備をいたしたわけでございまして、その要綱と、そういう当時の考え方と現在におきます考え方と全く変つておりません。若干字句の修正その他があつた以外は、根本的な問題は全然変つてないわけでございます。途中におきましてそういうことがあつたことは全然ないわけでございます。
  85. 石井桂

    ○石井桂君 公益法人以外の一般法人がこの仕事をする場合にいろいろ間違いが起る場合も予想し得るわけでありまして、その点について田中委員等も非常な御心配があるわけです。私も同委員のお話を聞きまして、若しそういうことがあつては甚だ相済まんということで心配しているものの一人でありますけれども、そういうことに対する御心配は政府委員側においてはないのでありますか。又そういうことをお考えになつてあるとすれば、どういう方法でお防ぎになる心組なんですか、お聞かせ願いたいと思います。
  86. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今の御質問全く御尤もな点でございますが、このような事業をいたします場合の貸付をいたします際には、従来もそうでございますが、この法律の定めるところに従いまして、いろいろ計画その他諸般の事情を十分に審査いたしまして、これを貸付の対象といたしておるわけでございます。なおこの法律改正案によりまして従来よりも範囲が拡大されまして、いろいろな業務が公益法人以外の団体にもできるようになつておりますので、この改正案におきましてはそれに対します監督を厳重にいたしますために、この法案におきまして特に新たに監督規定を設けたわけでございます。これは建設大臣、勿論主務大臣でございますから、大蔵大臣も入りますが、特にこういう土地の開発事業を行う主体、その他の問題につきましては事業を実施いたします団体につきましては特に主務大臣が監督するという条項を三十三条第一項に入れているわけでございます。で、そのほかになおこれに違反しました場合には罰則の規定等も整備いたしておるわけでございまして、運用の面におきまして、その他の点におきまして十分そういうことがないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  87. 石井桂

    ○石井桂君 只今の御返事は、何か過ちが起つたときにいろいろ監督の規定があるからというお話ですが、そういう不正の起るような虞れはないとお思いになつておるかどうか、こういう点の御返事がないように思うのですが、もう一遍……。
  88. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 勿論人間がいたしますことでございますので、絶対に間違いないということは申上げかねるわけでございますが、従来公庫におきましていろいろ貸付業務をやつておりますが、大体において間違いなくやつて来ていると考えております。今後もこういう事業ができましても、更にその運用の面におきまして十分な注意をいたしておきますれば、大過なくやつて行けるものと考えております。
  89. 石井桂

    ○石井桂君 そうすると政府委員の側におきましては、間違いが大体起らないだろうというくらいなところで、それによつて起る害と、それから家を建てることによつて国民を利することをバランスをされた結果、一般法人も含めてここへ仕事ができるようにすればよろしいという結論でこの要綱をお作りになつたのですか、どうですか、その辺は……。
  90. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 特に土地の開発事業に関連して申上げますが、土地の開発事業の場合に営利法人ができるようになつておるわけでございますが、これは先ほど来申上げましたように、譲渡価格その他譲渡の方法についていろいろ厳重な制限があるわけでございまして、従いましてこの事業そのものは飽くまでも非常利事業としてしかできないわけでございます。従いまして一般の営利会社、営利法人等はこういう営利事業をやるためにこの資金を借受けるということは実際上は余りないと見ているわけでありまして、そういう営利会社で非営利的な行為のような事業を行うものは極く限定された場合でございます。例えば電鉄会社等はそういうことが一応できるのじやないかというふうに考えられるわけでございますが、従つてそれ以外の営利法人等がこのようなことをやる場合は、ちよつと私どもとしては考えられないというふうに思つておるわけでございまして、主体は従いまして地方公共団体及び地方団体が出資いたしております会社、延いては法人等でございます。
  91. 田中一

    ○田中一君 罰金の問題ですがね。これは官房長、ちよつと前へ出て下さい。まあここにたくさん条項を置いて罰則の問題を規律していますが、罰則を適用して……、幾らでしたかね、罰金は。
  92. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) これは場合によつてつておりますが、最も重い場合には十万以下の罰金になつております。
  93. 田中一

    ○田中一君 そうすると罰金を受けてもその契約そのものは現存するわけですね。
  94. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この罰則のほかに、公庫といたしましては、公庫が定めます或る条件とか契約事項に反しました場合、或いは商法規に反しました場合には、一時償還その他解約等のことができるようになつておりますので、そういう場合には当然契約の解除或いは一時償還等をやるわけでございます。
  95. 田中一

    ○田中一君 ちよつと見ていて下さい。公庫法のどこですか、本法のどこですか。
  96. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 改正案で申上げますと、二十一条の三でございまして、この二十一条の三の第三項に「公庫は、第一項の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する場合においては、貸付を受けた者に対し、貸付金の弁済期日が到来する前に、貸付金についてはいつでも償還を請求することができる。」という規定がございます。例えば土地の開発事業などについて申上げますと、その第十号に、「貸付を受けた者で第十七条第一項第四号の規定に該当するもの又は同条第四項の規定による貸付を受けた者が第三十五条の二第一項又は第二項の規定に違反したとき。」とございます。この規定は、主務省令によります譲渡価格とか譲渡方法の規定でございまして、こういう制限規定に違反した場合には一時償還ができるようになつておるわけでございます。
  97. 田中一

    ○田中一君 返さない場合はどうします。私はこれは住宅金融公庫を指しておるのではないのですよ、営利会社を指しておるのですよ。
  98. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 返さない場合は一般の例によりまして強制執行、その他手続をいたすわけでございます。
  99. 田中一

    ○田中一君 例えば罰金覚悟でやるんです。罰金覚悟でやつても、自分の隣接土地価格が上つて来れば、その部分だけ住宅金融公庫にお返しする、とにかく公庫は損害なしだと思いますが、公庫以外の営利法人というのは何物を対象にしておるか。どうしてもあなたのほうで説明してくれないから……悪徳業者に貸付けた場合、これは初めから、なに十万円くらいの罰金屁でもないですよ、そういう場合が想定されるのです。その場合にどうされます。
  100. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 罰則を覚悟でそういう悪いことをいたす場合には誠に困つたことでございますが、そういうことのないように貸付の際に、この法律その他の規定に従つてできるものに貸付の対象を定めて、未然にそういうことがないようにいたさなければならないものと考えます。
  101. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一遍私聞きたいのですが、営利会社、仮に軌道のほうがだんだんこういうふうになつて土地がなくなつて来ると、又自分の営利的なデパートと関連して、これを経営するという場合に、最近デパートも土地の安い郊外に大きなデパートを持つて行こうとする、そういう計画さえだんだん進んでおるんです。同時に軌道のほうでも営利を目的とする、そういうことがありますからして、初めからそういうことがあつては困るとか何とか、そういう罰金とか変なことはしないで、もう初めからそういうことが全然していけないように、そういう営利会社にはこれは関与させないというふうなすつきり行かないですか。
  102. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この法律によりますと、営利会社が一応貸付の対象になつておりますが、先ほどから申上げましたように、この事業そのものは非営利的事業しかできないわけでございまして、事業を非営利的にやる営利会社というものは極く限られた場合しかないと考えておるわけでございます。
  103. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 極く限られた場合が私はいけないと思います。初めからそういうものに関係されてはいけない。そういうふうに法の上にすつきりしたほうがいいと私は思うのですが、これに対してなぜそういうことがはつきり限定していけないという論拠を知りたいのです。
  104. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) この法律におきまして、この法律目的を達するための事業主体としては地方公共団体その他の非営利法人が最も適切であると考えられるわけでございますが、なおそのほかにおきましても、只今の住宅事情、宅地問題の点からいたしまして、それ以外の団体におきましても、そういう公共団体が行いますと全く同様の立場で行いますならば、それは認めても差支えないじやないかというふうに考えたからでございます。
  105. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そこでありますが、結局今あなたのお話の通りに営利会社としてはこういう事業をやつても営利にならんでしよう。それに関連して営利になることができる。例えばその周囲にデパートを作るとか、交通機関を設けるとか、それによつて利益を上げる、それに関連して非営利のものが営利的になつて来るのです。でありますからそういうことの意図のないような、今大体あんたの意図はわかりましたけれども、そういうことがないように、初めからすつきりしたほうがこの法律の精神に適するように思いますが、限定したほうが……。政府の方針があなたのおつしやる通りなら、修正はこの委員会でやりますから……。大体御趣旨はわかりました。
  106. 田中一

    ○田中一君 あなたに伺いますが、官房長に伺いますが、公営住宅三カ年計画十八万戸は二十九年度で全部完成するという約束でありまして、衆議院及び参議院の承認を求められている。それにつきまして両院ともこれに対して承諾を与えました。この与えられたにつきましては、衆議院においても参議院においても、相当強く完遂できるや否やの問題を十分に論調をし尽しました。ところが完全にやりますと言つて、あの承認を与えたのです。それで二十九年度には完成できないことはわかつておることです。二十九年度の予算には五万戸だけ落ちておりますから、そうすると二十九年度に落ちておる五万戸というものの対象は、家はそのくらいの家ができたから、予算から削つたというふうに解釈していいんですか。
  107. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 只今田中委員から御指摘の通り、公営住宅建設三カ年計画を立てます際には、政府は必ずこれを実現するようにということで強く希望もし、覚悟もいたしたわけでございますが、御承知通り事情で、初年度におきましては僅かに二万五千戸、第二年度で漸く六万戸、で二十九年度を迎えることに相成つた次第でありますが、我々といたしましては、どうしてもごの残りを建設したいと思つたのでございますが、御承知通り財政全般の事情から制約されまして、二十九年度分をするといたしましても、当初計画の大体七〇%程度しか完遂できないということになりましたのは、建設省全体として誠に遺憾に思つております。決してこれで足りるとかいうことは毛頭建設省の中で一人も考えておらないわけでございます。
  108. 田中一

    ○田中一君 住宅金融公庫から金を借りる階層の人と、それから公営住宅に入る希望者と、おのずから収入その他の点について政府としては指令か何か府県に出されて制限があるはずなんです。例えば住宅金融公庫から借りる申込をする人はこれだけの収入がなくちやならんぞ、公営住宅のほうの家を欲しい人はこういう収入がなければならんぞときめてあるはずです。どちらが幾らですか。
  109. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 住宅金融公庫の場合について申上げますと、住宅金融公庫におきましては、法律その他におきまして、これ以上ではいけないとか、これ以下ではいけないという制限はないわけでございますが、御承知のように住宅金融公庫では資金の貸付をいたしておるわけでございまして、資金を貸付けますためには、償還をして頂かなければならないわけでございまして、その償還金の償還できるかどうかという点が最も公庫利用階層の幅を実際上においてきめるということになるわけでございます。
  110. 田中一

    ○田中一君 よくわかつております。わかつておりますから、片方の場合は幾らの条件で、もう片方は幾らの条件か伺つております。
  111. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 大雑把に申上げますと、公営住宅につきましては一応二万五千円が最高の大体の基準になつておりまして、その家族の収入等によつて、家族の状況等によつて多少変る場合があると思います。最低は一万円以下の場合もありますから、最低はないと思いますが、これははつきりいたしません。大体そのあれだと思います。公庫の場合には結局、尤も九坪の中で建てる場合の償還金がどの程度払えるかということになるわけでありますが、これを実際のことをこの調査資料によつて申上げますと、昭和二十七年度におきまして三万円台の人が八七%利用いたしておりますし、昭和二十八年度におきましては三万円台以下の人が八〇%利用いたしておりますので、大体公庫におきまして一万円、二万円、公庫を始めました当時は一万円台の者が最も利用いたしておつたのでありますが、現在においては二万円台の収入階層が一番多く利用いたしておるわけであります。
  112. 田中一

    ○田中一君 そうすると最高二十坪までは貸付けることになつておりましたね、三十坪未満のものに対する貸付の対象になるのは、そのうちの二十坪分だけを貸すということになつておりましたね。
  113. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) さようでございます。
  114. 田中一

    ○田中一君 そうすると二十坪の家を作るのには幾らの収入がなければなりませんか、そのくらいの資料は出して下さいよ、わからないこともあるのだから、不深切極まるよ。
  115. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 丁度今二十坪という場合とおつしやいましたのですが、十五坪の場合について丁度資料がございますので申上げますが、十五坪の場合、坪当り単価を三万四千円といたしますと、一戸当りの建築費が五十一万円になるわけでありますが、それに対しまして貸付金が八割でございますので、四十万円でございます。それで償還金が元金、利息を合わせまして三千六百八十五円になるわけでございます。これは第一回の償還金でございます。公庫におきましては一応貸付けをいたします場合には、この大体六、七倍程度の収入のある人を見込んでおりますので、仮にこれを六倍といたしますと二万円程度の人が申込みできるわけであります。
  116. 田中一

    ○田中一君 私は、それは資料を出して下さい。そんなインチキは許さない。現に我々の周囲で何人も聞いておるのですから……、二万円で以て貸してくれやしませんよ。委員長資料を要求して下さい。
  117. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今申しましたのは土地資金は全然含んでいない場合でございまして、三千六百八十五円の第一回の償還金の大体六倍程度に当る方は、公庫におきましては貸付けの対象にいたしておるわけであります。
  118. 田中一

    ○田中一君 そうすると大体公営住宅に入る人の収入と、住宅金融公庫の金の貸付けを受けようとする人との収入とはどちらが、余分な収入がなくては対象にならないのですか、どちらがなるのですか。
  119. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) これは先ほど申上げましたように、公庫の資金によりまして建てます住宅の大きさにもよりますが、大体に申上げますと、公庫の、政府の資金を借受けまして建てる方のほうが余計に収入がなければならないものでございますと考えております。
  120. 田中一

    ○田中一君 それに土地がない人は、土地の金も借りるわけですね。たしか二千五百円まで貸すわけですね。そうしてみますと、結局公営住宅に入る人のほうが低収入だということに断定してよろしゆうございますか。
  121. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) そういうふうに考えております。
  122. 田中一

    ○田中一君 官房長に伺いますが、今の政府の住宅対策というものは、金の、収入の多い者を対象にして融資をするということにウエートを置いておるのか、或いは低収入の人間に家を貸そうということに考えを持つておるのか、今の鮎川君の御答弁を聞きますと、低収入の者に対する五万戸は頬かぶりして捨ててしまつて、それよりも高収入の者に、そうしてなお且つそれに土地まで造成して与えようという政策は、成るほど資本主義的自由経済政党としては似合わしいものですけれども、併しあなた個人としてはこういうものであつていいと思いますか、悪いと思いますか。
  123. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 一方は、住宅金融公庫のほうは金を貸してそれを返してもらうという制度でありますし、更に公営住宅のほうは、国庫が補助をして、それでやつて行くということでありまして、これの扱いについては勿論いろいろ検討しなければならんわけで、一概にどうこうとは申上げかねると思いますが、実はこれも申上げれば却つて叱られる種になると思いますけれども、二十九年度は二十八年度に比較しまして、公営住宅だけを減らしたのではございませんので、誠に申訳ありませんが、住宅金融公庫のほうも減らさざるを得ない状況になつております。その辺のバランスは……。
  124. 田中一

    ○田中一君 私は今言う通り住宅金融公庫の貸付というものが減つたことに文句を言うのではない。一兆円よりもつと、今の政府よりももつと緊縮予算のほうがいいと思うくらいなんですよ。併し今言う低収入の者の家を大幅に五万戸も予算上から削減して、そうして高収入の者に対するものはそのまま残して、なお且つそのものを対象にして宅地造成の資金を出すということ、これは少くとも正しい意味の行政じやないと思う。こういう点はどうですか。
  125. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 御意見御尤な点もあるとは思いますが、
  126. 田中一

    ○田中一君 点もある……。(笑声)
  127. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 誠に御尤とは思う次第でありますが、土地造成というものは、特別にいい土地、賛沢な土地作つてやろうという考え方ではございませんので、先般来当委員会におきましても土地の取得に対して非常に安過ぎるというようなお話もあり、又この造成費にいたしましても、そう贅沢な造成を考えておるわけではございませんので、すでにでき上つている宅地を、非常に権利を譲つてもらうのに困難だという状況に対して、宅地造成をちよつとでもやつて土地の取得を楽にして行こう、こういうのが今度の制度の狙いでありまして、特に収入の多い者を優遇しようというような考えは持つておらん次第であります。
  128. 田中一

    ○田中一君 現実にそうじやありませんか。住宅金融公庫の金を借りる者は高収入、公営住宅に入る者は低収入、而も土地の造成は高収入の者を対象にして金を貸そうというのでしよう、間違いじやないでしよう。違うのですか。
  129. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まあ建設省といたしましては、できればこういう方々には全部公営住宅のほうのような形で供給するというのも確かに一つの方法だと思いますが、やはり収入の高に応じまして、借金してでも建てられるという方には金を融資して建てて頂く、それもできない方には公営住宅を供給する、こういうような考えであります。できることならば、それは勿論公営住宅というようなことが或いは理想かも知れません。
  130. 田中一

    ○田中一君 どうも今あなたが……、石破さん速記録をあとで読んで御覧なさい。どうもおかしいですよ。住宅金融公庫の貸付を受けようとする者が当り前の人間で、それからそれよりももつと低収入の者は家をやらないでもいいということになつちやうんですよ。低家賃の五万戸というものを削つておいて、今言う通り今度の百五十億ですかの住宅金融公庫の金を貸付けるという対象は、今言う借金しても家を建てられる階層なんです。いいですか、従つて結論としてはあなたのおつしやるのは、金を借金して家を建てられる階層だけに余分に金を貸す、なお且つ家ばかりでなくて土地までも買える人間に又国家資金を流してやろうと、こういうんですからね。従つてあなたは低収入の者に対する家は考えてないということに結論はなるわけですね。それじやもう一つ……、いいですよ、聞いたつて、間違つた話だから……。そこで、そのようにだらしのない計画で以て土地造成をやられるならば、ぬかるみを長靴をはいて歩かなければしようがないことになるに違いなんです。そういう粗末な宅地を作ることが主都建設委員会並びに計画局長の望みですか。
  131. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 先ほど田中委員から私の答弁についてお叱りを頂いたわけでございますが、もう一遍答弁させて頂きますと、政府といたしましては二十九年において約九万戸の住宅を供給しようということで計画いたしており、そのうちの五万戸は公営住宅で、あとの四万戸は住宅の融資で行こう、こういうふうに考えておるわけであります。先ほども申上げました通り政府に金があり余るならば、これを全部公営住宅のような形にして供給するというものも一つの方法だろうと思いますが、そうも参りませんので、五万戸だけは公営住宅で行き、あとの四万戸は金を融資して、あとで返して頂くという制度をとつたわけでありまして、何も私は低収入者をないがしろにしておるというふうには考えておりません。
  132. 田中一

    ○田中一君 その住宅金融公庫の貸付を減らして、五万戸分減らして、五万戸分公営住宅に廻せば低収入者が少くとも住宅が持てるのです。同時に又余れば、余りつこありませんがね、余れば住宅金融公庫から借りる人たちへ行くのです。大体住宅金融公庫から貸付を受けようという十三坪なり十五坪の人たちは、公営住宅が少くて入れないので、止むを得ず苦労して住宅金融公庫の金を借りるんです。借りていながら……、なお且つ何百人に一人か何千人に一人しか当らないんですよ。そういう政策をとるならば、公営住宅を我我の承認を受けたと同じように五万戸建てたほうがもつと住宅問題を緩和し又大衆の喜ぶところなんですよ。従つてあなたのおつしやるところの結論は、何も予算上の問題じやないのです。金はある、住宅金融公庫の貸す金はあるんですから、従つて低収入の者よりもそれよりも高収入の者に家を提供しようという思想であることは間違いないと思います。で、その問題はそれで結構でございますから、今のそういう悪い毒をどんどん何と言うか、あちらに作りこちらに作りしてやつて行くことが計画局長は望みですか、首都建設委員会は望みですか。
  133. 渋江操一

    政府委員(渋江操一君) 宅地造成の適地につきましての条件は、只今お話のありましたように、できるだけ環境の整備された地域をむしろ利用すべきである、これはさように考えます。で、先ほど申上げましたように、この具体的な宅地造成の地域を如何にとるかということにつきましては、今後住宅局と我々と、都市計画の立場から十分密接な連絡をとつて、さような点についても十分の注意を払いつつ候補地のとり方をきめて行く、かような考え方で実施面においていろいろ考慮することはいろいろあるんではないかというふうには考えております。
  134. 町田保

    説明員(町田保君) 私ども住宅地につきましては、その場所をどこに選ぶかということについては、首都建設委員会としては非常に重大な関心を持つておるのであります。先ほど渋江局長から言われたことの重複になりますが、具体的に東京について考えてみますと、昭和五十年に約千二百万に近い人口になるという予想が立てられておるのであります。かような数字が二十三区の中にどういう方法で入るかというふうなことを具体的に検討して行きますと、どうしてもやはり一部は高層化することによつてこれを入れる、一部は衛星都市というような考え方を以て行かなければならん。これはもう計算をしてみるとそういうふうになるのでございまして、その意味でその衛星都市に該当するような部分をこの法律でおやりになる場合については、十分打合せをして我々の考えておる構想と一致するような方向に行きたいと希望いたしております。
  135. 田中一

    ○田中一君 もう一遍お二方に伺いますが、東京都が一億四千万でどれくらいの場所が首都建設委員会では……、もう土地がわかつているでしようから、二千五百円で得ようという土地ですね、坪二千五百円……。それで仮に一団とすれば二億六千万か幾らかぐらいのもので、どの程度あるというお見込が立ちますか、仮に団地とすれば……
  136. 町田保

    説明員(町田保君) これは今その資料を持つてつておりませんが、調査をいたしまして、大体まとまりつつありますから、それを一つ書面で……。
  137. 田中一

    ○田中一君 資料としまして出して下さい。  もう一つ、国有地は、未利用の国有地が日本全国に幾らあるか、それもちよつと資料を出して下さい。委員長、要求して下さい。
  138. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 資料の要求がございますが、お出し下さいますか。
  139. 田中一

    ○田中一君 もう一遍言いますが、国有地で山林も何もかも入れて下さいよ、国有地で未利用、未開発のものが幾らあるか、その表を出して下さい。それから今のもう一つのものは首都建設委員会にお願いした資料です。
  140. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 国有地で未利用とおつしやいますと、公共用地とか何とか、公共用財産とか、現に使つてない土地になるものでございましようが、これは実は大蔵省のほうの所管でございまして、私のほうでは今直ちにお出しできるかどうか御返事いたしかねますけれども大蔵省とも連絡をいたしましてできるだけ御希望に副うようにいたしたいと思います。
  141. 田中一

    ○田中一君 ではこの次に国有財産課長を呼んで頂きたいんです。今でもまだ国有財産はどしどし処分しているんです。どしどし処分して今度は又民有地を買込んで宅地を作るなんという、全く馬鹿々々しいというか何というか、未期的現象ですよ、とにかく。もう私はこれ以上の質問はこの次に延ばしますから、資料を出して頂きましてから質問します。皆さん大分弱つていらつしやるからこれで終ります。(笑声)
  142. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会