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1954-03-16 第19回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君            小林 孝平君           小笠原二三男君            近藤 信一君            田中  一君   政府委員    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 師岡健四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○住宅金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○道路整備費財源等に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣  送付)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では只今より建設委員会を開会いたします。  本日は最初道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の御質疑を願い、次に住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の御質疑を願うことになつておりますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今出席政府委員富樫道路局長師岡住宅局長でございます。では順次御発言願います。
  4. 田中一

    田中一君 私は道路整備費の一部を改正する法律案に先立つて地方税法の一部を改正する法律案を併せて説明を聞いた上にこの議案を審議したいと思うのです。昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案を、これを政府から説明願つて、併せて審議をしなければ、本当の審議ができんと思うのです。
  5. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 如何お取計いいたしましようか。
  6. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 田中委員の言われることは御尤もなはずなんですね。だからしてこそ最近の機会に、今日ですよ、この揮発油譲与税に関する法律案説明を伺うことができればなおいいけれども、若しそうでない場合は、便宜この委員会にかかつて来ている道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正の分をやつておるうちに、成るべく早い機会只今申されたこの揮発油譲与税に関する法律趣旨一つこの委員会で聞く、こういうふうなことで進行したらどうですか。
  7. 田中一

    田中一君 これは今三浦さんの提案がありますけれども、不可分のものですね。従つてそれを両方やらなければ判断がつくものじやないですよ、これは不可分なものなんです。そこで今日の提案というか、政府から説明がなければ、これは次に延ばして、住宅金融公庫法のほうをやつたらどうですか。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 田中君がああいうふうに言うて議事進行の論議をやつていると午前中かかりますからね、だから田中君の言うことを一部認め、又三浦さんの言うのも一部認め、これは一応留保しておいて、住宅のほうをやつたほうが一番無難なんです。
  9. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) それではさよういたします。   —————————————
  10. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では、予定を変更いたしましげれ住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の御質疑を先に願うことにいたします。お発言願います。
  11. 田中一

    田中一君 これは逐条審議をするのですか、それともどういう方法でこの審議を進めて行くのですか。
  12. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 皆さんどういたしますか。
  13. 石井桂

    石井桂君 全体的の説明をもうなすつたんですから逐条でもいいんじやないですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 説明は聞いておりますけれども、私他の委員会のほうの都合もありまして、十分研究しておらないので、一般的な質問ができないのですが、やはりこの逐条審議総括質疑とは区切つて、やはり総括質疑段階段階としておやりになつて逐条に入るときには入るということを明確にしてやつて頂きたい。そうでないと私たちも他の委員会都合があつて、今日何やるという予定はつきりしておらないと困りますので、是非お願いしたい。
  15. 田中一

    田中一君 今、小笠原君の発言があるように、先般我々がこの法律案要綱説明して頂きました。従つて総括質問と言えばこの要綱に対する質問ということになるんだと思いますが、提案を受けたんですから、それに対する今日は質疑をしたらどうですか。
  16. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 田中委員の御提案のように最初に総括質問してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ではさよういたします。
  18. 田中一

    田中一君 先般政府から伺つたうち、この法律案要綱について質疑をいたしますが、この第一の地方公共団体、又は業務を実施するに適切なる組織能力を有する法人地方公共団体はわかりますけれども、業務を実施するに適切な組織能力を有する法人ということは一体どういうものを考えられてこの規定をしたか、先ず第一に伺いたいのです。
  19. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 地方公共団体のほかに一定法人にもこの土地開発事業をやつてもらおうと思うのでございますが、これはこの土地開発事業を行います根本趣旨が、住宅金融公庫利用を容易にする。現在の住宅金融公庫の実情におきましてなかなか土地が入手できないということが当面する大きな問題でありますので、そういう意味で土地開発事業をやりまして、この公庫利用を容易にするということが目的でございます。で地方公共団体が、土地開発につきまして最も適当な主体であろうと思いますが、そのほかにも例えば現在公庫から金を借りましてアパートの経営をしております協会等がございますので、こういうものにも開発事業をやつてもらいたい、こういうふうに考えております。
  20. 田中一

    田中一君 では現在土地開発、又は譲渡事業を行なつている法人は、例示される会社がございますか。
  21. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは法律の上から言いますれば必ずしも否定できないと思います。ただこの利率年六分五厘、償還期間三年以内、貸付限度は九割ということでこの開発事業をやつてもらいますが、この開発事業一つ目的といたしますところは、かような低利の金を貸しまして、そうしてその公庫利用者が取得し得るような宅地造成してもらうということが根本目的でございますから、場合によりますとそういうような営利的な土地会社というようなものは、この開発事業計画におきましてこれを貸付に当り審査いたしますならば、さような営利法人では到底こちらの所期するような低廉なる宅地開発造成して譲渡するということは場合によるとできませんので、そういう場合には、実際に当りまして貸付の面で抑えて行きたいと思います。
  22. 田中一

    田中一君 では法文で営利目的としない法人ということが書けるはずなんです。公益法人なら公益法人として謳えるはずなんです。ここであえてここに業務を実施するに適切な組織能力組織能力も、資金が潤沢で大きな企業体のものが適切な組織能力を持つものなんです。従つて土地会社、大企業会社或いは電鉄会社或いは何とか殖産とか、何とか電建とかいういかがわしい住宅供給会社というものも組織能力資金が自由にあれば可能なわけなんですね。私ははつきりと営利目的としないという、而も公益法人ということを規定することが一番そういう誤解を避けることなんてす。あえてこういうような規定をしたということの政府の真意というものがどこにあるかということを、先ず第一に伺いたいのです。
  23. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 営利目的とする会社法人でありましても、この貸付に当りまして開発事業計画が、公庫或いは建設省の所期するところと同じであるならばこれは貸したいと思います。必ずしも営利法人は排除する理由はないのだろうと思います。
  24. 田中一

    田中一君 私はそういう形のままでですよ、これは今日の政府の政策の行き方からいつてもそういうお考えになると思うのです。併しこれは大きな間違いです。この日本の国土というものは非常に狭められておる。これはこの土地というものを資本と組織を以て営利対象とすることはあり得ないのですね。自由党内閣では結構でございましようけれども、国民は、そういう形の方々に当てがつて、又その土地を分けてもらうというようなことになりますと、これは同じような、現在の住宅金融公庫そのもの庶民を相手としたものではない、少くとも五十万円、百万円の金がなければ住宅金融公庫の金が借りられないというような形になつておる現状において、それになお中間搾取的なものに事業をさせるということは、これは到底我々の会派としては忍びないことなんです。  若しあなたが先ほど言つたように、内容を調べて云々というようなことは、恐らく私は穿つた話をするわけではないのですが、前々建設大臣の野田君が顧問か何かしている恐らく電建会社にはお貸しになるだろうと思うのです。私はそのような誤解があつてはならない。若しあなたが、私が事例を挙げて、このような場合、このような場合というものに対して金を本当に融通するかしないかということについて、あなたが明確に説明されるならば、私は一応こういう表現は納得してもよろしいのでございます。私はこの次の委員会のときに資料を持つて参りまして、この会社、この会社と例示します、三十か五十。それでこれは対象にならない、これは対象になる、こういう説明があれば、この表で納得しますが、これがそうした我々の庶民住宅宅地を提供するにふさわしくない業態である大企業営利会社に対して貸付することが若し含まれておるならば、この点についてはもう少し明確に政府説明がなければこの第一点で以て行詰つてしまう。そこでもう少し抽象論ではなく具体的に庶民のための宅地なんです。その点を明らかにして頂きたいのです。
  25. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 重ねて申しますが、この業務を実施するに適切なる公益法人というものを考えました趣旨は、主として先ほど申しましたように公益法人、その他の法人考えております。ただ何故に営利法人を全然排除しなかつたかと申しますれば、これは例えば電鉄会社等がありまして、その沿線開発というようなこと、これは昔からやつておるわけでございますが、やはりこの宅地開発をやります場合にこの交通問題は最も大きなことなのでありまして、ただ徒らに宅地開発はできないわけでありまして、従いまして沿線開発という場合におきましては、この電鉄会社等にやらせたほうがいい場合もあろうかと思います。そこで重点は飽くまでも地方公共団体乃至は公益的法人にいたしたいと思いますので、この点はお話の御趣旨に合致すると思いますが、だからといつて営利法人を全然排除する必要もないのであつて、或る程度必要もあろうが、実際に貸付に当りましては、さような非常な営利性の強いところにおきましては事業計画が立たないということになるのではなかろうかと思います。
  26. 田中一

    田中一君 それではこの問題だけにひつかかつてしまいますから、ここで私は一応やめますが、次の質疑の日までに私はちやんと表を持つて来ますから、大体これは該当する、これは該当しないということを説明願いたい。これは全国的なものを集める関係上、時間がかかると思いますけれども、この問題は一つ慎重にしませんと、やはり同じように庶民宅地造成をするのではなくて、金持の宅地造成する、こういう形において土地会社その他の営利団体を利益さすということが多分にあると思います。その点について、そのことが明確にならなければ私には納得できませんから、建設省のほうにお願いいたしまして、若しあなたのほうにもそういう資料があれば、恐らく営利会社対象考えておるならば、あなたのほうにも一つのアイデアがあると思います。今までこの法案を作るためにお調べになつた建設省住宅局が持つている営利会社資料をお出し願いたいと思います。第一に全国的なものをお出し願いたいと思います。それからそれを見た上で足りないものは私のほうで追加いたしまして、一々是非を判断して頂きたい。
  27. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今のに関連してでありますが、公益法人ばかりではなく、およそ能力のある者には広く且つ確実に出資することができる、そうして今日の住宅問題の解決に資したいという趣旨だろうと思うのですが、今資料田中委員からお求めになつたようですから、私はこの機会抽象論かも知れないのですが、もう少し聞きたいのです。  これはこういう新らしい方式をなさる、又住宅公庫みずからも土地造成し、その上にみずからの家を建てて貸付ける途を開く、こういうようなことになつております。で、今の問題である法人会社等については、その譲渡に関連して価格なり或いは譲渡方法なり、譲受人の選定なり、これらについて制限を作ることができると、こうあるわけですが、先ず第一に伺いたいことは、今度の、本年度のいわゆる公庫予算で、従来の方式をも含めて、こういつた新らしい拡張された方式をも入れてどのくらいの割合で本年は運用を指導して行くといいますか、指導して行くお考えであるか、先ずこれを聞きたいのですが。
  28. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 只今お尋ねの点でありますが、宅地開発事業につきましては大体四億程度を今年度においてはやりたいと思つております。  それからお尋ねは多分方式の全面に亙るかと思いますのでれ更に申上げまするが、住宅譲渡事業に対する貸付、これは別途の資金は要らないのでありまして、つまり分譲を受けます者が公庫から金を借りて買う。その前に分譲事業者に一応公庫からこの分譲資金事業に要する資金貸しておるわけでありますが、公庫から金を借りて借受ける個人があれば、結局金は入つて来てそれを年度内に返せるという形になりますから、一応は事業実施の途中におきましてはダブるような形になりますが、年度一ぱいで入れますれば、この住宅分譲事業に対する貸付金と、それと借入れに要する個人に対する貸付金というものがダブらないようなことになつていますから、特に資金は要しません。  そこでこの分譲事業につきましては大体五千戸程度予定いたしております。併しこの分譲事業はいろいろの利点がありますので、希望相当多いことと思いますので、できればこの分譲事業は、予定されたる戸数五千戸以上にもやつてもらいたいというように我々は考えております。又公庫にもそういう考えを以て検討してもらつております。  それからその他の多層家屋が建設されます場合に、下の部分、つまり店舗部分にも貸すのでありますが、実はこの予算も特別には取つてはおりません。従いましてこれはいわば土地に対する貸付と同じような考えで、従来土地資金を或る程度貸しておるのでありますが、この場合にはつまり土地に対する貸付金は要らないということになりますので、大体従来と同じ程度予算を置いておきますれば、土地に代るこういういわゆる下駄履き部分に対する貸付を行うのでありますから、そこで特別の金は用意いたしておりませんが、これは件数はどの程度出るかということの予想は別に立てておりません。
  29. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 なお公庫みずからが土地を開拓してやるという分ですね、宅地を開拓してやる、この分と、それから併せていろいろな制限をしたいという問題があるのですけれども、先ほどお尋ねした譲受人、或いは価格、その他の条件ですね。これは恐らく審査に当つて事前にそれを公表して、そういうような何といいますか、段取りの下において、それを了承の下において借受けを申込むのだろうと思いますけれども、それらの条件と、そうしてなお且つ恐らくこの方式に従えば広く法人等に許すという、適格者であるならば許すという、その中から選択するという考え方なんだろうから、その条件はどうか。従来であれば直接の住宅の欲しい人がああいつた限定化された規格の中においてそれぞれ要望されますから、いわゆる単純なくじ引きというようなことで済むことができたと思うのですけれども、今度は恐らく条件が複雑で、今度は規模の大小、場所のより適否が濃厚に出るだろうと思うのですが、それらのものを考えて、恐らく選定される場合の基準といつたようなものを御指導になるだろうと思うのです。その点を先ず第一番に。二つです。
  30. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 先ず第一点でありますが、公庫土地開発事業並びに住宅分譲事業をみずからやる場合でありますが、これは実は地方公共団体等における土地開発又は住宅分譲事業が主でありまして、公庫は大体においてこれらの事業で一応十分な程度に行くものと考えておるわけです。で公庫が出ます場合は、やはり土地柄から申しまして公共団体にそれだけの力がない、或いは相当つてみても、例えば土地に対する需要が大きいので公庫が直接やらないといけない、又これは例えば東京都について申しますると、東京都の宅地開発は必ずしも東京都内でやることはできないのであります。さればというて東京都の都民の住宅問題のために千葉県がいろいろと乗出してくれるということもできません。でそういうような場合に公庫が直接やりませんとやはり需要を十分に満たすことができない場合もあろうかと思いますので、いわばそういう必要の場合に附帯的にこういう公庫みずからがやるということを予定しておるわけであります。でこの事業量はすべて先ほど申しました中に含まれておるものと考えております。その中で公庫が必要があればやつて行くのであるというふうに考えております。
  31. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それから第二のその条件
  32. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 条件は条文のいろいろなところにございますが、これは……。
  33. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 具体的条件ですよ。
  34. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 宅地にしましても住宅分譲事業にしましてもいずれも、例えば宅地について申しますれば、適当な敷地を探しまして、そこを取得しまして、そしてそれに適切な宅地造成事業を実施いたしまして、そして譲渡して行くおけでございます。従つて譲渡の先ず価格についての制限でございますが、これは原始取得に要する費用、それから造成に要した費用造成規模は成る程度予定を立てておりまして、一定のその団地として適切な敷地になるような事業を実施してもらいまして、そしてこれを売出してもらうわけでございます。従つて譲渡価格制限と申しまするのは、結局原始取得に要した必要と造成費用を足しまして、そして一定のマージンを取りまして譲渡価格がきめられるわけでございますから、それらの計画を見まして、この貸付の具体的に適切かどうかということをきめて行くわけでございます。
  35. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はそれは、今いよいよ貸付けなり譲渡するときの条件なり価格をきめるときにはそういつたような一応算定の基礎によつてやることはきまつているんですがね。そうじやなくて、私はこういう新らしい方式が開かれたことによつて、いろいろな事情からして或る程度申込相当に殖えるんだろうと思うのですよ。その場合どこに貸付けるか貸付けないかということを選定する基準、而もこの中には今度は新たに土地を持つておる人がその土地を開放してもらいたいために、その上に住宅を建てる場合の何といいますか途まで開けて来るわけでしよう。そういつたもろくの新らしい方式、従来に加えて新らしい方式、それらの方式について或る程度種類別に枠といつたようなものをお考えになつているかどうかという問題ですよ、一つは、裏を返して言えば。
  36. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) この宅地開発事業につきましては、先ほど申しましたように、大体今年度は四億程度の金を貸付けることができると予定しております。そこで実は公庫利用者に対する宅地開発事業としましては、この程度で果して足りるかどうかは疑問なんでありまするが、差当り最も宅地問題の逼迫しておりまする東京並び大阪くらいを今年におきましてはやりたいと考えております。そこでこの四億の枠で大体今年は大都市中心東京大阪、若干その他の大都市中心にこの宅地開発事業はやつて参りたいと考えております。分譲事業のほうは先ほど申しましたように五千戸程度事業計画を持つておるわけでございますが、これは全国に亙りまして従来各県で分譲事業が行われておりますので、その線でやつて行きたい。それで只今お話になりましたこの四億の枠内でいろいろな計画ができて来て、そうしてその金ではとても足りない、優先順位を付けて貸付けるということになろうかと思いますが、これは只今申しましたように、宅地開発につきましては東京大阪というような所に軍点をおいてやつて行きたいと思いまするし、分譲事業につきましては、大体従来の実績から申しまして、五千戸程度予定しておりますれば大体差支えないのではないかというふうに考えております。
  37. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると宅地開発については成るほど東京とか大阪という非常に住宅問題の面倒な、殊に促進しなければならん所を重点にするということもわかるのですが、この部分は、宅地開発をするその分量というものは、本年度のこの公庫による住宅を建てる敷地の限界と申しますか、敷地所要量、これと見合つた事業範囲内、規模範囲内と、そういうことに解釈されるのですね。あなたの今までの説明だと、今度住宅公庫から借りて建てたい住宅希望者のその敷地に見合ういわゆる範囲内だけが、新らたにこれらの新らしい部門において宅地として開発されるところの分量である、まあこういうことでないというとあなたの説明には合わないわけだけれども、一つにおいて宅地開発は御承知の通りいろいろな附帯設備、こういうものをするのが多くの例なんですね。そうなつて来るというと、本年度のこの公庫住宅を建てるだけの敷地にきめられるということは、その地域が或る程度まとまつておりますれば、附帯の下水とか水道とかその他の宅地条件としての施設をする場合に非常に便である、これを一括してその対象としてくれればもつと役所側としての希望している比較的低廉に分譲するところの施設ができるんだけれども、本年度の建てる戸数に見合うだけだといういわゆる限定の下では非常に不便だという問題が起きるかと思うのですが、これらの点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  38. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 今年度は先ほど申しましたように事業資金が実は窮屈でありますので、先ほど四億と申上げましたが、大体二十万坪の土地を取得しまして、そしてその半分程度を実際には造成して売出すというふうに考えております。二千戸分ぐらいになります。そこでこれは、実は公庫の一般の貸付は二万五千戸ありますが、そのうち五千戸は分譲地でありますから、二万戸程度個人貸しになるのでありまして、大体この個人貸しに当る部分宅地開発をやつて譲渡してやる部分があるわけであります。併しこの二万戸の中に東京大阪のような宅地事情の悪い所に属する分は大体まあ二、三割程度であろうと思いますので、而もそのうち土地を持つておる人も相当ございますから、必ずしも全部やる必要はありませんし、只今申しましたように事業資金も限定されておりますので、今年度差当りその程度にやつて行きたいというふうに考えております。
  39. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあはつきりわかりませんが、もう少し私のほうも勉強しますが、もう一つ最後に、今日の最後ですが、災害地関係住宅の復興については今度条件を変えて変えてといいますか、優遇する方法考えておられます。即ち「災害の発生の日から二年以内に住宅を建設しようとする場合において」といつて償還期間を三カ年以内の延長をやられるようですが、こういつた災害地域に対する特別の条件緩和だということですけれども、これらはどうなんですか。先ほどあたた自身も言われるように資金枠が少い、そこでその中からも併しこういつた天災地変によるような災害についての滅失家屋に対する同情の途を開く、これは非常に殺到する。やはりここの部分の中でも、そうしてここには法律では二年間というふうに、発生というものの日から二年というように限定しております。ところが希望者から言えば、この割当の数が少いから二年以内じやとてもその中に借りられなかつた。その間、例の救済のバラツクに入つて当ることを待つている。で、まあ二年たつたというようなことも恐らく考えられるのだと思いますが、それについてはどういうふうに考えておられるのですか。
  40. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これはお話の通り、必らずしも実は二年以内に限るのはまずいのであります。併しながら従来の公庫災害の場合の貸付は、大体罹災者の多い場合には、四割くらいまで公庫利用しまして住宅の復興をやつたわけでございますが、大体従来災害に当りまして公庫利用しよう、したいという人には、大体その年の中に貸付が行われております。従いまして大体二年以内でこの住宅金融公庫利用して住宅の復興をしようという人は片付くのであるということで、余りだらだら長くなりましても困るので、一応二年以内で片付くのじやないかというふうに考えております。
  41. 田中一

    田中一君 今の三浦さんへのお答えの中にあつたけれども、四億というものが、これは無論五千戸に入れるのですから、平面的なものじやないという構想じやないのですか。
  42. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 実は宅地開発事業と併せまして、ほかにも申上げましたように、この土地の高度利用ということを宅地問題に対する対策として考えておるわけでございます。そこでこの宅地開発事業は大体において近郊地域或いは郊外地を開発して行きたいというように考えておりましてそういう場所でありますると、これは大体郊外住宅ということになりますので、いわば田園都市というような形で、必ずしも高層化する必要はない。勿論そこにアパートが建つ場合におきましては、これは高層化されるわけでございますが、原則としてはむしろ平屋住宅が建設されるというふうに考えております。
  43. 田中一

    田中一君 それじやこの四億というものは大体どの辺で、地価がどのくらいで、面積がどのくらいで、道路、水道、ガス、そうしたものを含めた事業費がどのくらいでということの明細な資料をお出し願いたいのです。
  44. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) この全部今直ちにお答えできませんが、部分的には資料を整えまして申上げたいと存じますが……。
  45. 田中一

    田中一君 部分的な資料は作つてもしようがありません。資料で以て少くともあなたのほうでモデル地区として想定しておる地区、場所ですね、具体的な場所ですよ。それと造成費、それからガス、水道、電気、そうしたものは全部含まれておるのです。そうでなければ宅地造成にならないのです。ガスとかすべてのもの、そういう問題を想定でいいからお出し願いたいと思います。
  46. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 後ほどそれは資料を整えまして御説明申上げます。
  47. 田中一

    田中一君 この五千戸と言いますと、大体百万以下ですね、二尺大体が。そうするとこの造成されたところに五十億の資金が投入されるということは、貸付されるということになるわけですね、結局。大体五十億ですね。木造の場合には八割ですか、そうすると二割分というと十億、成るほど四億の造成費と、それから住宅に対する貸付というものが四十億ですね。そうすると四十四億というものがここに投入されるということになりますか。
  48. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 二戸当りはそうなります。
  49. 田中一

    田中一君 いや、一宅地当りに……。
  50. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) この宅地開発事業はつまり四億程度で今年はやるわけでございます。併し住宅個人住宅の建設に要する個人貸付は大体二万戸分ございます。
  51. 田中一

    田中一君 さつき四億敷地に貸出されて、その上に五千戸建てるというつもりだつたのは違うのですか。
  52. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) それは或いは説明が少し不明確であつたかも知れませんが、必ずしもこの土地開発をした上に建てるとは限らないのでありまして土地開発しまして、そのまま更地のままで売る場合もございます。併し場所によりましては、そこに分譲事業住宅を建てて、そうして土地付で分譲して行くという場合も想定いたしております。
  53. 田中一

    田中一君 この地方公共団体の意見というものをこの問題ではお聞きになりましたか。
  54. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 宅地開発事業は、これは地方の熱烈な要望があるのでありまして、そういう意味で従来いろいろと意見を聞いております。
  55. 田中一

    田中一君 そうして一緒に各地方から要望されておる府県を出して頂きたい、府県別に。
  56. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは先ほど申上げましたように、大体東京とか大阪とか或いは福岡、そういう所がございますが、なお資料を整理いたしまして御提出申上げます。
  57. 田中一

    田中一君 その資料が出ないでも私は申上げたいのは、これはちよつと私の考えと非常に違うものだからあえて言うのですが、住宅に対する敷地の問題というものは、そのように平面的にただ無制限に伸ばして行くという考え方を若し持つておるならば、その宅地問題として四億出そうが四百億出そうが、直ちに行き詰るのです。これは今あなたの四億の資金で、これは何坪ですか、造成するのは。
  58. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 二十万坪でございます。
  59. 田中一

    田中一君 二十万坪と言いますと、今度は同じような条件の所に来年度又二十万坪開発しようと思いますと、今度初年度には四億出したものが、今度十億或いは十五億になるという危険性が多分にあるのです。ということは何かと言いますと、その土地が、その二十万坪の土地は成るほど造成費の単価で買えましよう。これに隣接する土地というものは全部上るのです。値上りするわけです。そこに今まで道路もない、何もない所が、二十万坪というものが提供されれば、地主がですね、候補地を提供されれば成るほどそれは一定規模一定の地価で以てその事業を行う人は取得できるでしようけれども、そうするとその隣接の土地というものは全部値上りするのです。次の年には必ずその価格というものが増大されて、到底今考えられているような住宅金融公庫資金では直ちに次年度から行詰ります。このような国費を全く浪費して、一部の地主、一部の資本家、一部の土地売買或いは土地造成営利会社に利益を与えるような法律に対しては、これはまああなたのほうの現在の政府では止むを得んでしようけれども、私らは絶対に反対しなければならんのですよ。一体その電鉄会社なら電鉄会社一つ土地造成して、宅地に五百万坪提供して、その隣接する所有地というものはその売つた価格の十倍くらい上るのは容易です。簡単に上つちやいます。こういう点を十分お調べになつてこの方法考えたかどうか伺いたい。
  60. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは誠にお話の通り宅地開発をやります場合の最も大きな問題点であろうと思います。で、実はこの宅地問題を全面的に目下検討しておるのでありまして、今お話のありましたような、或る一定の場所を開発しますと、隣接地がそれに連れて地価が上つて行くという現象があることはお話の通りと思います。そこでこれは宅地問題の根本におきまして、さような宅地価格の値上りというものは、これはいわば不労所得であつて、社会の発展によつて自然に上つて来るこの増加価値というものは個人に帰着せしむべきではなかろうという考えが出て来るわけでございます。そこでこれに対する対策としましては、この増加部分土地増価税というようなもので取つて行くということが一つ考えられる。又そこまで行きませんでも、場合によりましては或る一定開発区域というようなものを予定しまして、そこを一挙に押えてしまうということも必要であります。そこで、お話のようにこの程度開発事業をやりますと、そういうことは、例えば一挙に土地を、一定開発区域を例えば十年くらいのことを予想して押えてしまうということができないのでありますが、併しまあ今年におきましては、先ほど申しましたように大体四億程度の仕事でございますので、そう近隣地を急激に地価を上昇せしめるような刺激を与えることはないのではないかというふうに考える。多少の値上りはこれは出るかも知れませんけれども、大体においてそういうことはないのではないかというふうに考えております。
  61. 田中一

    田中一君 住宅局長はそれを本気で言つているのですか。あなたは本当に本気で言つているのですか、そういうことを……。
  62. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 最初から申上げておりますように、この点については非常にむずかしい問題で、お話の通りの点があると思います。併し場所の選定等を留意してこの開発事業を実施せしめなければなりませんが、必ずしも理論通りに全部がそうなるというふうには考えておらないわけです。
  63. 田中一

    田中一君 あなたは先ほども東京又は大阪の、都心に隣接する区域ということを言つていましたが、これは成るほど秩父の山の中に行つてそれをやつた場合はそこまでの値上りはないと思います。あなたの前提として言つているのは、大都市の隣接の町村、隣接地を開発しようというのです。これはあなたそんな甘い考えじや到底駄目です、それは……。  それではもう一つ資料を要求します。東京近郊、大阪近郊の私鉄が買つたときの値段と、それから土地分譲したときの値段、まあ地価というのをお調べ願つて資料を出して頂きたい。これは政府として運輸省のほうとも協力して、実際に実例を年度割りにして出して頂きたいのです。殊に最近の事例というものをはつきり資料としてお出し願いたいのです。
  64. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 繰返して申上げますが、この宅地開発事業をやれば、その開発事業の結果としまして値上りを見る部分もあろうと思います。併しこの土地開発というものは、これは必ずしもこの開発事業をやらないでも、現在の都市復興、住宅復興ということに連れまして宅地需要が外に伸びて行くことは、これは必然の勢いでありますが、公庫土地開発事業に対する貸付をやらないでも、それは実際問題としてあるわけであります。これをただ私どもとしては、民間の自然の発展に任せて、都市が膨脹し、外へ外へと土地を求めて行く形を少しでも是正するというのでありまして、この開発事業が行われたために全体が非常にその勢いが激化するというようなことは私はないと考えております。
  65. 田中一

    田中一君 これは見方の違いですから、今あなた何と言うか、住宅局長をしているのですから止むを得ませんが、これは若し都内に土地がない場合をあなたは言つているのです。都市が伸びて、土地の無制限に増大することを抑制しようと思つてこういうことを考えているのじやないかと思うのでありますが、これは無制限土地の増大することを助長さしている案なんですね。  じや、もう一つ聞きますがね。それじや四億円で二十万坪の土地造成しようという場合、道路法の第六十一条に受益者負担という項目がありますが、私は土地の、本当に地価の高騰というものを、狭い日本の領土というものを高度に使うならば、少くとも庶民住宅考えられているところの住宅局長ならば、地価の高騰に太して何とか手を打たなければならない。それで道路法の第六十一条にはつきりと受益者負担というのがあるのであります。今聞きますと営利会社にもこの貸付をやらして宅地造成をやるということになりますと、それを結ぶ道路というのはいつも公共事業体が資金を出してやるのであります。市民の金、国民の税金でその結ぶところの道路をやるのであります。こういう事態を考えますと、この沿線にあるところの、周囲にあるところの都市というものに対しては受益者負担というものをかげるという意思がありますかどうか。
  66. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 只今のこの住宅金融公庫利用を容易にするという限定された範囲でこの宅地問題はやつているのでありまして、さような意味におきまして宅地問題の根本的解決をやる場合には、只今お話のようなことも十分に考えて行かなければならんと思うのでありますが、限定された事業でありますので、そこまではこの際考えておりません。
  67. 田中一

    田中一君 そういう一部の人間に利益を与えるような方法をとつちやならないです。若しも本当に庶民全体に均霑させようとするならば受益者負担を当然おかけなさい。取るくらいの決意でこれをやらなければ、これは一部の金を持つている人間のための利益を図ることになつちやうのです。  先ほど言つたよう電鉄会社一つ土地開発をやつた、或いは東京住宅協会に五百坪、千坪の土地を提供して、そこに住宅街という一つの町を作ろうという意図の下にやられている場合に、この場合にどのくらい値上りしているか、又電鉄会君はどのくらいの値上りを目途として計画をやつているかということの調べもないのに、そういう途方もない考えを持つということは間違いです。従つて先ほど申しましたように資料をお出し願えますか。
  68. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 先ほど来申上げておりますように主としては地方公共団体等にこの仕事は差当りつてもらうのでありまして、一部の者に非常な利益を与えるというような考えは毛頭ございません。ただ今のような問題は、この事業を全面的に実施して行くということならば非常に重大な問題になりまするから、その際には是非とも考えて行かなければならんと思いますが、この際としましては、事業規模も限定されておることでありまするし、差当り公庫利用を円滑にしたいということから発足しておりますので、この際としては考えておらんわけでありまするが、この第一段に更に開発事業を是非ともやらなければならん、広く大きな規模でやらなければならんということになりますれば、これはお話の通り是非ともそういう点も考えて行かなければならんと考えております。
  69. 田中一

    田中一君 それじや今この四億程度で二十万坪の造成ということは一応のめどがあるわけですね。あなた自身では、政府の案としては一応この二十万坪の開発東京都のこの辺ならこの辺、大阪のこの辺ならこの辺というめどがあるわけですね、あるわけですかないのですか。
  70. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは大体先ほど申しましたように、宅地難の激しい東京大阪その他の大都市につきましてこの事業をやつて行くわけでありますが、建設省におきまして直接どこどこの土地開発するということは考えておりませんが、なぜならばこれは適切な事業団体、公共団体等が適当な土地を探しまして、そしてその事業主体がいい計画を持つて来ました場合にこれは貸付けて行くのでありますから、抽象的には大体申上げられまするが、具体的にはどこどこ貸すというようなことは予定いたしておりません。
  71. 田中一

    田中一君 これは重大な問題なんですよ。やはり貧しくてせめて国庫資金を借りて家でも建てようという人たちがますます家が得られないというような方法なんです。あなたは第一の目的土地造成々々と言うが、土地造成は、そう新らしい土地を求めないでも、これはまあ私のいつも言う持論で言うわけですが、町の中にたくさんありますよ。それこそ私の調べたところでは、渋谷の駅から赤坂見附までの両側の耐火建築促進法で国が助成しておる区域に土地はまだたくさんあるのです。これはその次に、後段にあるところの住宅の高層化ということになれば地主は喜んで土地を提供しますから、そんなものは必要ないですよ。殊に都市に近接しているところの土地開発するというのには莫大な造成費がかかると思います。四億円で二十万だと言われておりますが、これに対する附帯事業ということを計算して出して下さいということを先ほどから言つておるのですが、これについて明確に細かい数字を出して頂きたいのです。そういうような形で以て新らしい土地を求めないでも幾らでもあるのですよ。殊に都心を離れれば離れるほどますます人間の肉体的なロスというものが多くなります。一時間三十分、二時間、三時間という所から通うには、それは朝来て晩帰える、朝来るにも精力といいますか、労力といいますか、それを消耗し、又帰るにも一時間、二時間かかつて又消耗する。それよりも都心にたくさん土地があるのです。苦しこれだけの四億の金を投げ込むならば、私は立派に渋谷、赤坂見附の間に土地が得られますよ。こういう考えなしに、ただ平面的にたつた四つの島で以てこの四つの島をもつと局限して分割して行こうという考え方に対しては僕は絶対反対なんですよ。成るほどアメリカのように土地が幾らでもあつてどんどん住宅を作り、そこに人間を入れて生活ができるという集団的なものが可能ならばいいのですが、日本にはそういうものはないのですよ。こうした形のものを出して地価を上げ、領土をますます狭くして、どうしてそういう考え方を持つかということが不思議でならないのですよ。
  72. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これが一番初めに出ておりますので非常に或いは強くお取りになつたかも知れませんが、我々としましては、この宅地問題を考えましたときに、決して宅地開発一本やりでおつたわけではございません。お話の通り非常に狭い島国に八千万以上の人が住むことになりますわけでございますから、土地を非常に大切に使わなければならんということはお話の通りでございます。そこで土地の高度利用ということも、従つて住宅の高層化ということも大きなテーマとして今回の改正法に取上げておるわけでございます。併しやはりこれも限度のあることでございまして、差当り一年、二年高層化をやつて行けば、土地は郊外に求めないでも済むという、これは見解もございましようが、やはり郊外地に然るべき安い低廉な宅地が得られるならば、そこに住宅を建てたいという希望者も公庫利用者の中にはあるわけでございますから、こういう面につきまして或る程度かような開発事業を行なつて行くことも必要ではないかというように考えました。  併しながらお話の通り非常に全面的にやるということはいろいろの影響も考えられますので、そこで本年度としましては資金の制約もありましたが、いわばテスト・ケースとしてかような程度にとどまつておるということでございます。
  73. 田中一

    田中一君 それならもう営利会社にやらせんことですね。営利会社にやらせないで、受益者負担金を取る。それならば僕は納得します。これは宅地を求める感覚の相異ですから、もう何とも言いませんよ。あなたのおつしやることをどうしてもやろうというならば、受益者負担金を取つて営利会社にやらせんことです。
  74. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは先ほど来申上げましたように、私どもとしましても、決して軽々にこの問題を取上げておるのではないのでありまして、只今貴重なる御意見がございましたが、そういう点につきましてもいろいろ考慮したわけでございます。併しなかなかむずかしい問題を含んでおるので、従つて直ちに具体的にいろいろなことがきまりませんので、然らばと申しまして、公庫利用を容易にするために差当り宅地の問題も考えて行かなければならんという当面の事態でありますので、さような弊害の出ないように十分な配慮をして本事業を実施して参りたい。従つて根本的に今のような受益者負担の問題或いは増加価値の取上げ、或いは一定開発地域というものを押えるというようないろいろの態勢を整えた上でなければ、かような宅地開発事業というものは全面的に大規模に行くわけには到底参らんから、さような考慮の下に、この事業の実施に当りましては十分に注意して実施して参りたい、かように考えております。
  75. 田中一

    田中一君 それは幾ら慎重にやると言つたところで、若し東京で一カ所発表しますと地価はぐつと上つてしまう。あなたは立派なお宅を持つておるか知らんけれども、実際宅地を求めるには皆真剣なのですよ。若し東京都の周辺五万坪の土地開発するということが誰かの耳に入るならば、必ず金を持つておる方々がその周囲を全部買つてしまう。そういうものなのですよ。あなたは余り行政官として実態を知らな過ぎますよ。そういう危険な方策をとらないでも、まだほかに方法があるということを言つておるのです。これは区会議員やそうした地方議会の人たちがすぐ臭いを嗅げば直ちにその周辺のものを買つてしまう。そういう危険な形のものを、今革命の前夜といわれるような非常に緊迫した時代にこういう案を発表するということは恐しい問題ですよ。これはもう少し考えられて、若し本当にやるならば公共団体が全部やつて、受益者負担金を取るというような方途をやらなければいかんですよ。如何に私は考えても、道路局長と懇々話をしたのです。道路法にちやんとあるのです、条文が。地主という者は、近郷における地主という者は、これは元の百姓なんですよ。そしてそれがいつの間にか客観情勢が、社会情勢が知らず知らずに自分の土地が高くなつた。そしてそのうちの自分の持つておる土地を、若し道路を作るならば喜んで提供するというのです。ただで、提供するというのです。最小限度の価格でよろしうございますから提供いたします。そうするとその隣接する八〇%を占めるような土地の地価というものはぐんぐん上つちやつて、濡れ手で粟ですよ。今こうして耐乏生活を吉田首相が国民に要求しながら、一面に物価をせり上げるような方途をとるということは、これはありようがない。変ですよ、これは。あなたは宅地を持つていらつしやるかも知れないけれども、国民の大抵の人は宅地を持たないのですよ。こういうことはもう少し考えられなければいかんと思うのです。だから実態をあなた知らな過ぎるのですよ。実態を。
  76. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 先ほど来十分に御意見を拝聴いたしましたのでありまして又私どもの考え方も申上げたわけでございますが、差当りともかくも公庫利用者に、適切な価格住宅を作つて上げたいという気持から出発しておるのでありまして、ただお話の通りいろいろな問題がございますから、これを全面的にやるわけには行かないということは、我々も深く考えておるわけでございます。そこで高度利用さえやればそれでいいのではないかというお話でございますが、やはり公庫利用者の一面に、かような宅地需要もありまするから、さような意味でこの程度に今年は仕事をして行きたい。又事業の運営につきましては、只今お話のありましたように、主として非営利的な公共団体、その他の法人に仕事をしてもらいたい、かように考えております。
  77. 田中一

    田中一君 くどいようですが、今日何新聞かに、東京住宅協会のアパート、これが発表されたのですよ。中野のどこかのやつを貸すというので、これは何十戸分か、何百戸分か、相当な数ですよ。これは平面的な木造の家がいいという国民の要望のほうが強いか、或いは不燃建築で、多少家賃は高くても高層で新らしいものを今国民が望んでいるか、あなた調べたことはありますか。
  78. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 資料も多少ございます。私としましては、かねていろいろな機会に申上げておりまするが、この公営住宅とか公庫住宅というものは、国家資金を使うものでありまするから、努めて鉄筋不燃化のものにしたいと思つております。併しこれはいろいろ予算の制約や又利用する者の立場を考慮しまして、一挙には実は行かないのであります。そこで現在、只今お話がありましたように、私どもとしましては、或いは木造の平家住宅を建てることを奨励するというようには毛頭考えておりません。併し一面そういう要求も多少はあるのでありますから、そういう考慮も実際の面からしますると多少は考えて行つてもいいのではないか。窮極におきましては、又将来の見通しにおきましては、お話の通り高層化、不燃化ということに進むべきものと私自身も考えております。そういうほうに重点をだんだんと入れておるつもりでございます。
  79. 田中一

    田中一君 それじやあなた、今度のやつは、現在木造の住宅というものが坪幾らかかるか、不燃建築の場合には幾らかかるかという、その幾らの見積りを以てこれを計画されているのですか、資金々々と言うが。
  80. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 公庫の木造の貸出は、東京都におきましては現在三万三千円でございます。それから鉄筋の場合は、高層の場合は五万七千円でございます。
  81. 田中一

    田中一君 これは今度貸そうという金でしよう。実際に幾らかかるかということを伺つているのです。住宅金融公庫で金を借りて、大工さんなり土建屋さんに頼んで自分の住める家を作るには三万三千円ではできません。実際実態をつかんでないのです。幾らかかるかということです。鉄筋の場合五万七千円の金ではできません。何を基準にされて言つているのですか。細かい仕様書を出して下さい、内容を。なぜ三万三千円でできるか、なぜ五万七千円でできるか、仕様書を出して下さい。政府としては少しも工夫をしてないのです。
  82. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 只今価格の点について申上げますと、公庫におきましては、大体ニカ月ごとに標準建設費を定めますために、各地域の実情を、資料をとりまして、それによりまして各資材、労銀、その他必要な資料を定めまして、それによりまして、只今木造の場合につきましても、鉄筋コンクリートの場合ておきましても標準建設費を定めておるわけでございますが、それによつておりまして、一応現在の単価においてできるという数字を出しておるわけでございます。先ほど局長から御説明のありました数字は、そういうような基礎によつて立てておるわけでございます。
  83. 田中一

    田中一君 じや資料を要求します。実際に建つた家で以て今現在幾らで建てておるかということを仕様書を出して下さい。仕様書と見積を、よろしうございますか。
  84. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 御趣旨に副うような資料を……。
  85. 田中一

    田中一君 鉄筋、不燃建築のほう、五万七千円のほうも出して頂くのですよ。どうも勉強なさ過ぎると言うのです。私は五万七千円でなくちやならないという規定はどこにもないのですよ。建築基準法に合格すればいいのです、家というものは。そして三万三千円の家はどんなものか、あそこに石井君がいるから、詳しいですが、私は実情を知つているのですが、鉄筋が五万七千円なんて必要ないのです。国民は要求しておりません。日本の経済力はそんなものではないですよ。四万円か四万五千円でできるのです、工夫一つで。ただ全部国家資金を使つて、特定なる人に十分満足の行く家を提供しなければならないという考え方を持つてはいけないのです。個人に渡す財産ですから個人のものです。これが永久不変の、せめて百年でも八十年でも保つようなものであつて、財産の価値というものが減らないもので、そういうものを望まない人があつても、このほうが利益でございますと親切さを以て教えることが、工夫が必要なんです。国家資金を使う場合、個人個人の財産を何しようとかまいません、法律で許しておりますから、国家資金を使うときは、その金を貸付けて、分譲形式ですね、月賦で払うのです。それを全部返さないうちに大修繕をしなければならないということはいけないのです。日本の富の現状からいつてもそういう余裕がありません。もう少し我々が納得するような細かいデータをお出しになつて、国民の大部分は木造の十五年か十八年たてば大修繕をしなければならないような家がいいのか、仮に五万七千円と見込んでおるものを四万五千円なら四万五千円で建つような工夫をして、建てた家に対して長期貸付従つて月々の払いが、負担金というものが少い、家賃で安くなるというものでやるほうを国民は求めておるか、こういうものを十分に調査した上で以て案を立てる。今までの、終戦後の二十四年か二十五年頃と時代が変つて来ておるのです。こういう点を考慮しないで、今までの行きがかりで以て住宅政策を考えているという態度、殊に今言うような宅地の助成まで、一部の地主や土地営利会社土地ブローカーとか、或いは土地分譲とか家屋の分譲をしているような人たちにまで国家資金を流してやつて、その人たちの利益を図る、中間的な利益を図るような法案に対しては、これはもう一遍反省を願いたいと思うのです。もつと筋の通つた、国民のための国民の住宅というような形のものに出し直しを願いたいと思うのです。私はまだまだ論議がありますので、余りやつても困るからこの辺で今日はやめますが、これは到底納得できないのです。これは他党の方々も恐うく私の意見、希望に対して共鳴される点もあると思うのです。なぜかかるものを出すかということ、今日は私はこれだけにしておきまして、まだありますから留保しておきます。
  86. 石井桂

    石井桂君 宅地開発営利会社でされる例に電鉄会社沿線開発の場合を例にされましたが、そういうふうに家が殆んどない所ばかり狙つておられるのですか。都内で、まあ今ではそんなにどつさり戸山ケ原のようなところはないと思いますが、例えば赤羽あたりに何万坪というような空地が、軍用地の跡がある。まだ探せばあると思うのですが、郊外や何かそういう所だけ狙つているのでしようか。
  87. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) お話の通り決して郊外地だけをいつておるのではありませんので、近ければこれは近いほど宅地としていいのでありますから、さような適地がございますれば、これはむしろそういう所を選ぶべきだと考えております。
  88. 石井桂

    石井桂君 もう一つ、例えば焼けただれた建物がまだ残骸があるというような土地、そういう所を整理や何かすることも、ここにいう開発資金が借りられるようになつておりますか。
  89. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) これは場合によりますとこの宅地開発で行つたほうがいい場合もありましようし、それから場合によりますれば、その程度のものであれば、斡旋という形で行く、併しお話の通りその場合にも一団地、例えば千坪、二千坪のものを適当な価格割にしまして、そうしてちよつと手を加えて売出すということも考えられますから、さようなものもいわゆる土地開発事業の中に含めて参りたいと考えております。
  90. 石井桂

    石井桂君 田中さんから先ほど大分長い時間かけて御意見を発表されておりましたが、私、自身としてはやはり宅地の取得に対して何らか手を打つということは必要だと思つて、長い間考えておつたのですが、この方法一つ方法だろうと思うのです。だから田中さんの御意見は御意見としてお考え願い、又この制度に多少取入れるところがあれば改めるということで、決して見捨てたものでは私はないと思うから、がつかりしないで一つつて頂きたいと思うのです。
  91. 田中一

    田中一君 資料を出してもらつてからもう一遍やりますから、資料を出して下さい。まあ予備審査ですから何もそうあわてることはないです。
  92. 石井桂

    石井桂君 もう一つつまらん質問ですが、ここに多層家屋というのがありますが、法案の説明のほうには高層と書いて、こつちのほうには多層と書いある。どうも思想が統一されてないように思いますから、つまらないことですが、理由のほうには高層住宅ということが書いてあつて、定義のほうには多層とある。多層ということは建築界で余り今まで用いなかつた言葉なんですが、どうしてなんですか。説明員(鮎川幸雄君)御尤もな点でございまして、この法案のほうで一応三階以上、こういう条件を備えておる場合に多層家屋といたしたわけでございまして、実はこれは多層家屋のほかに高層家屋とか、その他適当な表現もあるかと思いますが、普通の場合におきましては、高層家屋と申しますならば五、六階以上の本当に高い建物だけを指すというふうにいわれておるように聞いておりますので、法律のほうでは三階以上といたしましたために、それらをすべて含めまして全部に通ずる用語として、十分練れていない言葉であるかと思いますが、多層家屋というような表現になつた次第でございます。理由のほうはただ通常の用語に従つていたわけであります。
  93. 石井桂

    石井桂君 若し多層家屋というような定義をするならば、構造上の問題からお考えになると、四階くらいまではフレームを使わないで、面だけのコンストラクシヨンで非常に建築費が安く行くのです。さつき田中さんが言われたコンクリートの扱いは安く扱えば単価が安く上がるといつたのは、これは四階くらいまではプレーンのコンストラクシヨンで安く行く、こういうところから出ていると思うのです。そこで五階以上はどうしてもフレームを使つてのコンストラクシヨンです。そうするとずつと高くなる。そこら辺が高層と多層の分れ目じやないかと思うのです。三階と言うと著しくフアミリアーなところが多層となるのでおかしい、法律だけに使われると、非常に定義付感じがするのですが、これは字句などにこだわつてもしようがないけれども、普通どうも余り多層と言わないように思うのです。三階以上ということだと……。
  94. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 只今お話の点は、多層家屋という定義を下しましたのは今課長から申上げまし通りでございますが、実はお話の通り三、四階までのものと七、八階になりましたものとでは構造上、従つて建築費において相違を来たします。そこで公庫の標準建築費のときにおきましては、さような区別を認めまして三、四階のものとそれ以上のものとの標準建築費を違えて参りたいと考えております。
  95. 石井桂

    石井桂君 結構です。
  96. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会